はじめてのイタリア語
郡史郎(著)
/講談社現代新書
作品情報
下手でも理解しようとしてくれるイタリア人──イタリアではことばがあまりできない外国人でも意思の疎通は比較的楽です。カタコトでもちょっとイタリア語を口に出すと「うまい」とほめられ、次にその人に会った時にまたイタリア語を口に出すと「すごい。上達したじゃないか」とおだてられます。(中略)そうして楽しくやりとりが進むうちにイタリア語を使う量も増えていきます。ですから上達も速いのです。──本書より
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商品情報
- シリーズ
- はじめてのイタリア語
- 著者
- 郡史郎
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社現代新書
- 書籍発売日
- 1998.03.20
- Reader Store発売日
- 2018.02.09
- ファイルサイズ
- 29.7MB
- ページ数
- 204ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (13件のレビュー)
-
イタリア語始める人に一番おすすめしたい
読んでるだけでこんなに分かりやすいのないと思う
テキストとかより何よりも先ずこの一冊を手にして欲しい
品詞や文法の説明も分かりやすいし、ニュアンスとか方言や由…来(語源)の話も乗っててイタリア語学ぶつもりなくても読んで面白いと思う続きを読む投稿日:2022.04.01
869
これめちゃくちゃ面白い。読む前はイタリア語なんて無理って思ってたけど、語学の授業感はあまり無くて、イタリア文化を知れるみたいな本。Amazonランキングも高い本。
郡史郎
1954年、大阪…生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。現在、大阪外国語大学教授。1993年にNHKラジオ、1995−96年NHKテレビでイタリア語講座担当。著書に『250語でできるやさしいイタリア会話』──白水社、『大阪府のことば』(共編著)──明治書院──がある。
はじめてのイタリア語 (講談社現代新書)
by 郡史郎
よくイタリア語は音楽的だと言います。ビデオ屋さんに行くと、巨匠と呼ばれるフェリーニやヴィスコンティの作品をはじめとしてイタリア映画がいくつも並んでいます。そうした映画を見るとすぐお分かりになると思いますが、ことばが非常にリズミカルでメロディアスな感じがしますし、発音も簡単そうです。実際、発音がやさしくて音楽的な話し方をするのが、イタリア語の最大の特徴と言っていいだろうと思います。
イタリア語は、イタリア( Italia)、スイス南部のイタリア語圏で話されています。イタリアは長靴の格好をして地中海に突き出た国です。面積は日本より一回り小さく、約30万 です。大国という印象は薄いのですが、国の人口としては6000万弱、ヨーロッパの中ではフランスやイギリスとほぼ同じで、スペインの1.5倍です。経済規模としては、国内総生産(1992年) を見ると、イギリスと同程度で、アメリカ、日本、ドイツ、フランスに次ぐレベルです。
イタリアは「太陽の国」というイメージもあるでしょう。これはゲーテをはじめ太陽にあまり恵まれないドイツの文学者が広めたイメージのようですが、確かに一般に温暖で湿気も少なく、過ごしやすいところです。ただ、イタリアは南北に長い国です。最北端はアルプスの山中です。アルプスの最高峰モンブラン、イタリアではモンテ・ビアンコと言いますが、その南東部分も、そしてアルプスの少女ハイジでおなじみのチロルも南半分はイタリアなのです。ですから、ミラノやベネツィアのような北部の町では、冬氷点下になるのは珍しくありません。一方、ナポリなど南部の町では冬も暖かですし、最南端の島まで行くとアフリカ大陸が見えようかという、そんな国です。
もともとラテン語という親から生まれたことばですから、イタリア語とスペイン語とフランス語が似ているのも当然です。音を聞いたり字を見た感じはスペイン語がイタリア語にいちばん近い感じがしますが、文法はフランス語の方がもっと近い感じがします。
なぜラテン語はこんな風にいろいろに分かれたのでしょうか。古代ローマ人が進出する以前から、各地には様々なことばを話す人が住んでいました。そうした先住民の言語が「基層の言語」となって大きな影響を与えたのが一番の原因だと考えられています。イタリア語、スペイン語、フランス語など、ラテン語が土地ごとに姿を変えてできたことばを、まとめて「ロマンス語」と呼びます。ラテン系の言語と言うこともあります。ロマンス語の仲間にはポルトガル語やルーマニア語も入ります。バルセロナを中心とするスペイン東北部で話されているカタロニア語もそうですし、先ほどちょっと名前を出したラディン語、これらもロマンス語です。
今の表からお気づきになったでしょうか。イタリア語の uno, due, tre は英語の one, two, three にもちょっと似ています。イタリア語は英語とも親戚関係にあるのです。さらに目を広げると、ドイツ語、ロシア語、ギリシャ語、もっと遠く飛んで、ペルシャ語やインドのヒンディー語とも親戚関係にあるのです。実は、インドからヨーロッパにかけての広い地域で同じ系統に属することばが話されていて、ロマンス語はその一員なのです。これらをまとめてインド・ヨーロッパ語族と言います。イタリア語、スペイン語、フランス語が共通の親であるラテン語から分かれたように、これらのことばは何千年も前はひとつのことばだったものが徐々に分かれてできたものと言われています。壮大な話ではありませんか。
ところで、イタリア人の国民性について昔からいろんなことが言われています。外国人から見た国民性というのは、当たらずといえども遠からずということが多いようですが、そのひとつに「イタリア人はおしゃべりだ」というものがあります。日本人から見ると、特に男性のおしゃべりが目につきますが、これは男性が人前でべらべらしゃべるのはよくないという思いが日本人にあるからでしょう。
それよりもイタリアの人たちに特徴的なのは、初対面の人とでも平気で話し込むということです。いくらおしゃべりな日本のおばさんでも、列車の中で初対面の人といきなり話し込むなどということは、そんなにあることではありません。ところが、イタリアを列車で旅すると、コンパートメントの中で初対面の人どうしが急にしゃべりだす場面をよく見かけます。何か偶然のきっかけがあったからというよりも、無言でいるのがいやなので、しゃべるためのきっかけを積極的に探しているように見えます。話し込むとまでいかなくても、知らないはずの人どうしが気軽にことばを交わす場面は喫茶店でもよく見かけますし、駅や銀行の窓口などで列を作って並んでいる人の間でもしばしば目撃します。
実は、こうしたコミュニケーションのとりかたにも日本とイタリアの違いがあるということを実証するために、日本人とイタリア人それぞれ約50人にアンケートをとったことがあります。その時の調査項目に「仕事以外で初対面の人と話し込むことはよくありますか?」という質問を入れておきました。これに対して「いつもそうする」とか「よくそうする」と答えたのは、イタリア人は43%と半数近くいました。ところが、日本人は23%と大幅に下回っていました。逆に、「…
このように、イタリア人は初対面の人とでも平気で話し込む傾向があるようです。それだけではなくて、おしゃべりが好きで、おしゃべりで人をもてなそうとしているように思えます。これはイタリア語を学ぼうという人にとっては、実に好都合です。
イタリア語は「しゃべりやすいことば」です。発音や文法も簡単ですが、それだけではありません。イタリア人は、こちらのイタリア語が下手くそでも、言おうとしていることをなんとか理解しようと頑張ってくれるからです。適当にカタコトを並べていれば、イタリア人はそれをうまくつないでりっぱなイタリア語に直し、「おまえさんの言いたいのはこういうことなのか?」と聞いてくれます。イタリア語をこれから学ぼうという人にとっては、渡りに船と言いましょうか、非常に気が楽です。
フランス人やアメリカ人も、相手のことばが分かりにくい時に分かろうとしてくれる気持ちは弱いように思います。あくまで印象ですが、ことばが下手だと店に買い物に行ってもちゃんと相手をしてくれなかったり、「あんたの言ってることは分からん」と言われておしまい、ということがよくあります。私もフランス人のおばあさんになかなか話が通じなかった時、「おまえさんはもっとフランス語を勉強しないといけない」と言われたことがあります。フランスでは外国人でもフランス語ができて当たり前、アメリカでは英語ができて当たり前という意識があるせいでしょうか。
イタリア語の発音は簡単です。よく発音が簡単だと言われるスペイン語にくらべても、まだいっそう簡単だと言っていいくらいです。 特にそう感じるのは、書かれたものを読む時です。なにしろイタリアの首都はローマ。つまりイタリアは「ローマ」字の本場というわけです。ですから特別変わったアルファベットもありませんし、単語や文はローマ字どおりに読めばいい……ということになります。ただ、日本でいうローマ字読みとちょっと違うところもありますので、そのあたりから話を進めていきましょう。
あいさつの基本は Ciao![ チャーオ]。家族や友だちなど親しい人どうしや、親しくなくても若者どうしや子供に対しては Ciao! とあいさつします。出会った時も別れる時も、つまり「こんにちは」も「さよなら」も Ciao! なのです。一日に何度も会ったり別れたりすることがありますが、そのたびに Ciao! です。Ciao の後に相手の姓名の「名」の方を付けて、Ciao, Anna! のように呼びかけるということもよくあります。 この ciao はもともと「奴隷」という意味で、「私はあなたのしもべです」という意味で北イタリアのベネツィアあたりで使われていました。「奴隷」にあたることばは schiavo[スキアーヴォ]。これをベネツィア方言では「スチャーヴォ」と言い、後に「チャーオ」になり、ciao と書くようになったのです。ですから、もともとはイタリアでも北部的な言い方なのです。
ところが、親しくない大人どうしのあいさつだと言い方が変わります。たとえば店に入る時や出る時に、店員にあいさつをするような時です。時間帯によっても言い方が違い、昼の3時か4時ごろまでなら Buongiorno![ブオンジョルノ]で、文字通りの意味は「よい(buon) 日(giorno)」ということで、よい日をお過ごしになりますようにと願う言い方です。3時か4時ごろから夜寝る時間までのあいさつは Buonasera![ブオナセーラ]です。これは「よい(buona) 夕方・夜(sera)」ということです。
相手の名前を知っていたら、Buongiorno! や Buonasera! の後に「……さん」にあたることばを付けて呼びかけましょう。男性なら signor...[スィニョル]、既婚女性なら signora...[スィニョ(−)ラ]、未婚女性なら signorina...[スィニョリ(−)ナ]と使い分けてください。 たとえば「山田さん」という人が男性なら、signor Yamada[スィニョルヤマダ]、既婚女性なら signora Yamada[スィニョ(−)ラヤマダ]、未婚女性だと signorina Yamada[スィニョリ(−)ナヤマダ]となるわけです。 相手の名前を知らない時でも、この「……さん」にあたる言い方だけを付けて、Buongiorno, signorina![ブオンジョルノ スィニョリーナ]のようにあいさつすることがよくあります。既婚か未婚かは左手薬指の指輪で見分けますが、未婚女性でも30歳ぐらいだと signora と呼びかけるようです。名前を付けずに言う場合は、男性には signor ではなく signore[スィニョーレ]を使って、Buongiorno, signore! Buonasera, signore! と言います。最後のeのない signor は、次に人名を続ける時の形なのです。
ビアンキという姓の既婚女性がロッスィという姓の男性に会った時のあいさつは、こんなふうになります。
最後に、誰かに紹介されて「よろしく」と言いたい時に「お会いできてうれしい」という意味で使う Piacere![ピアチェーレ]と、電話の「もしもし」にあたる Pronto?[プロント]も覚えておきましょう。Pronto? は「準備できてますか」が元の意味です。
あいさつ以外の基本表現もここで紹介しましょう。まずは「はい」と「いいえ」。「はい」が Sì.[ スィー]で「いいえ」が No.[ ノー]です。
指で1、2、3と数えるとき、日本のやり方と違うのは親指から順番に立てていくことでしょう。4は小指以外が立った状態になります。順番にではなく、4だけを表す時は日本式に親指以外を全部立てることもあります。
1週間は月曜日に始まり日曜日に終わります。カレンダーも月曜から始まります。lunedì(月曜日) とは luna(月) の dì(日)、つまり月が支配する日、martedì(火曜日) は Marte(火星) の日、mercoledì は Mercurio[メルクーリオ](水星) の日、giovedì(木曜日) は Giove(木星) の日、venerdì(金曜日) は Venere[ ヴェーネレ](金星) の日ということで、sabato(土曜日) は休みの日、domenica(日曜日) は主の日、つまり神の日です。曜日は英語のように大文字で書く必要はありません。
掲示のことば 掲示のことばが分かると、旅行に行った時の安心感がぐっと増します。よく使われるものを紹介しておきます。 APERTO[アペルト] 開店、開館 CHIUSO[ キウーゾ] 閉店、閉館、休業 ENTRATA[エントラータ] 入口 USCITA[ウッシータ] 出口 SPINGERE[スピンジェレ] 押す TIRARE[ティラーレ] 引く VIETATO ENTRARE[ヴィエタ(−)トエントラーレ] 立入禁止 VIETATO FUMARE[ヴィエタ(−)トフマーレ] 禁煙 VIETATO... 「……禁止」 NON TOCCARE[ノントッカーレ] 触るな GUASTO[ グワスト] 故障 または NON FUNZIONA[ノンフンツィオーナ] TORNO SUBITO[トルノスービト] すぐもどります UOMINI[ ウォーミニ] 男(トイレ) または SIGNORI[スィニョーリ] DONNE[ ドンネ] 女(トイレ) または SIGNORE[スィニョーレ](signora の複数形) SCONTI[スコンティ] 値引き(→バーゲン) SALDI[ サルディ] バーゲン VENDESI[ ヴェンデスィ] 売ります AFFITTASI[アッフィッタスィ] 貸します SENSO UNICO[センソウーニコ] 一方通行 a m. 50 50m先 DIVIETO DISOSTA[ディヴィエ(−)トディソスタ] 駐車禁止 PASSO CARRABILE[パッソカルルラービレ] 車通ります(→駐車禁止)
旅行会話なら単語を並べるだけでもなんとかなるかもしれません。でも、自分が言いたいことをちゃんと伝え、相手が何を思っているかを理解するためには、文を組み立てる規則、つまり文法を知らずにすませるわけにはいきません。イタリア語の文法のツボは「名詞の性数変化」と「動詞の活用」のふたつです。この章では「名詞の性数変化」を中心に、名詞に着せ替える服にあたる「冠詞」と「形容詞」についても見ていきましょう。
文法の本を広げると、覚えないといけないことが多すぎて、気が遠くなりますが、規則的なこと、ツボだけをきっちり押さえてしまえば大丈夫。意外と簡単にクリアできるはずです。
さて、ルネサンス期のイタリアに出た偉大な芸術家にミケランジェロがいます。バチカンのシスティーナ礼拝堂の天井画「天地創造」は有名ですが、この人の作品に「ジュリアーノ墓碑」という、ジュリアーノという人のために作った彫刻があって、実物はイタリア中部の町フィレンツェのメディチ家礼拝堂で見ることができます。 次の写真がこの彫刻です。中央上部のジュリアーノの像の下、向かって右に男性の像、左に女性の像があることがお分かりでしょうか。実はこの男性像は「昼」を表していて、女性像は「夜」を表していると言います。でも、なぜ昼が男で夜が女なのでしょうか。
男性名詞の語尾はo、女性名詞の語尾はa 生き物でもないのにいちいち男か女か決まっているなんて、なぜそんなめんどうくさいことをするのか不思議な感じもします。これは、名詞にA型とB型の2種類があって、A型には生物として男性のものが含まれるので男性名詞と呼び、B型には生物として女性のものが含まれるので女性名詞と呼ぶのだ、とでも考えてください。「男性」とか「女性」とかいう名前自体にはあまりこだわらない方がいいでしょう。
しかし、この男性名詞、女性名詞という区別はイタリア語を話す上で欠かせないことです。というのは、ある名詞が男性か女性かで、それに付ける形容詞や冠詞の形まで変わってくるからです。 では、男性名詞と女性名詞はどうして見分けたらいいのでしょうか。幸いなことに、名詞の性別は語尾さえ見ればだいたい分かるようになっているのです。語尾がoで終わる名詞なら男性名詞、語尾がaで終わる名詞なら女性名詞なのです。
例をあげましょう。 libro(本)、 museo(美術館)、 treno(列車)、 supermercato(スーパーマーケット) などは、語尾がoなので男性名詞です。 また chiesa(教会)、 farmacia(薬局)、 camera(部屋)、 piazza(広場)、 strada(道)、 via(通り) などはaで終わっているので女性名詞と分かります。
蛇足ですが、そもそもワインというものは、食事をしながら飲むもので、赤の方は肉料理に合わせ、白は魚料理に合わせるのが原則です。イタリアでは食事をするときには甘いワインは飲みませんし、ロゼもほとんど飲みません。実はイタリアは世界最大のワイン生産国なんです。ワインと言えばフランスやドイツのイメージが強いので意外かもしれませんね。
もうひとつ、「フィレンツェは美しい」ならどうでしょう。まず、Firenze など町の名前は女性名詞扱いにするという決まりがあります。「美しい」とか「きれいな」にあたる形容詞は bello ですが、形容詞というものはそれがかかる名詞の性と数しだいで、自分の形も変えるのでした(第4章で説明しました)。ここでは Firenze が女性名詞単数形なので、それに合わせて、bello を女性単数形の bella に変えてください。動詞はやはり essere ですが、ここでは「フィレンツェ」が主語なので、3人称単数の形 è を使います。アクセント記号を書くのを忘れないでください。この記号は「そして」のeと区別するための印になっています。文全体はこうなります。 Firenze è bella. 「フィレンツェは美しい」 ついでに、「フィレンツェはとっても美しい」と強調する言い方も覚えておきましょう。「とても」は molto[ モルト]です。強調したいことばの前、ここでは bella の前に付けてください。
近過去形と半過去形 きのうあったできごとや、その時に自分が感じたことなど、過去のことを言えないとイタリア語がちゃんとできることにはなりません。この章では過去の言い方の話をします。 イタリア語では、過去のことを言うのにふたつの表現法があります。つまり、2種類の過去形があって、違うニュアンスを表すのです(正確に言うと2種類ではなくて、実は全部で5種類ありますが、話しことばでよく使う重要なのはこの2種類だけです)。その名は「近過去形」と「半過去形」。みなさんがイタリア語を話す時にも、この2種類だけは使い分けないといけません。
さて、イタリア人はイタリア料理に信仰に近いまでの信頼感を持っているように見えます。中華料理はわりとポピュラーで、好奇心の旺盛な人は食べますが、一般の人は外国の料理にはほとんど関心を示しません。日本のように生の魚を食べる地方もなくはないのですが、大多数のイタリア人は刺身を受けつけません。フランス料理の専門店さえイタリアにはないと言っていいぐらいなのです。それでは、この「イタリアにはフランス料理の店はない」はイタリア語でどう言えばいいのでしょうか。 「ある」とか「ない」ということを言うには、次の表現を使います。
イタリアでは、買い物をする人はまずいろんな店(negozio[ネゴッツィオ]) のショーウインドー(vetrina[ヴェトリーナ]) を見比べて目星をつけておき、実際に手にとってみて気に入れば買うという覚悟を決めてから店に入るのがふつうです。店に入ると店員(男なら commesso[コンメッソ]、女なら commessa) がすぐ寄ってくるのはそういうわけなのです。何かいいものがあるか見るだけのために店に入るということは、あまりしません。「ちょっと見せてもらっているだけです」ということは基本的にはないのです。その分ショーウインドーのディスプレーが重視されています。
またイタリアの店というのはかなりプライベート性が高い空間と言ってよいでしょう。喫茶店(bar[ バ(−)ル]) や市場(mercato[メルカート]) 以外で、日本のように入口を開けっぱなしにしてあるところはありません。自動的に閉まるドアはあっても、自動的に開くドアはめったにありません。貴金属の店にいたってはドアに鍵がかかっていて、どんな客かを見た店員が開けてやろうと思わない限り入れないのです。そういうわけで、日本人の目から見るとイタリアの店は入りにくくなっているのです。イタリアで店に入る時は、人の家に入るのと同じ気持ちを持つ必要があります。ですから、たとえちょっと見るためだけで入るにしても、入る時と出る時にはあいさつがいるのです。あいさつは、朝は Buongiorno[ブオンジョルノ]、午後は Buonasera[ブオナセーラ]。入る時も出る時も同じです。
店に入るとたいていすぐに店員が寄ってきて、何が欲しいのかなどと話しかけてきます。もし店員が来なければ、呼んで待たないといけません。日本人旅行客はそれをせずに勝手にそこらの商品を触ることが多いのですが、これはマナー違反になります。日本人が多く行く店では、「触るな」という掲示を目にすることがあります。勝手に商品に触って選んでいけないのは、八百屋でも同じです。 イタリアでは「お客様は神様だ」とは思われていないのです。
本題に戻りましょう。買い物をする時には「見せてもらってもいいですか?」とか「試着してもいいですか?」のように、許可を求める「……してもいいですか?」という表現をよく使います。この表現は、観光名所などで「ここに入ってもいいんですか?」と聞きたい時にもあてはまります。そういう場合イタリア語では「……できる」にあたる補助動詞 potere[ポテーレ]を使って、「私は見ることができますか?」「私は試着できますか?」「私は入れますか?」のように言います。
今では tu と lei は親疎関係で決まるのが基本になりましたが、そうした古い習慣を嫌って、誰に対してもかまわず tu を使おうとする極端な人もいます。ところがそれは現実の社会のしきたりを破ることですから、そういう人から初対面なのに tu 扱いされると、侮辱されたと思う人が出てきます。実際、店に行って知らない店員に tu と呼びかけられ、もうあんな店には行かないぞ、と言って憤慨するイタリア人の話は時々聞きます。誰にでも tu を使いたがるのは無教養の象徴か政治的に左派だからだと考える人もいます。このように、tu と lei の使い分け方には、その人の世代や物の考え方から社会階層までが反映しているのです。
これから親しく付き合うことになりそうな人に初めて会う場合にひとつ言えることは、今のイタリアではなるべく相手との垣根を作らないようにしたいのか、個人的なつきあいをする相手や親しみを感じる相手には、初対面のあいさつの後すぐに Possiamo darci del tu?[ポッスィア(−)モ ダルチデルトゥー](tu 扱いでいいですか?) などとことわって、あとは友だち感覚でどんどん tu を使う人が多いということです。最後まで lei で通すつもりならいいのですが、いったん lei が固定してしまうと途中で変えにくくなります。lei を使い続けてもかまいませんが、その人との間に距離を置いたままになります。日本ではとりあえず誰にでも敬語をつかっておけば「失礼」にならないという感覚がありますから、lei を使えば「ていねい」な言い方になると思いがちです。その結果、イタリア人は心を開いて tu で話そうとしているのに、日本人は lei で壁を作っているように見られてしまう結果になることも、なきにしもあらずです。
ではこんな場合はどうでしょう。電話がかかってきたので出てみたら、あなたのお兄さんの友だちでした。その人は昔はあなたともよく話をしていたのですが、長い間会っていません。さて、今この人には tu で話しかけるべきでしょうか、lei でしょうか。実はこんな時、イタリア人でも tu にしていいのか lei にしていいのか分からなくて、電話でも最初は lei だったのに途中で tu に変わり、そうかと思ったらいつのまにかまた lei に戻る、などということがあります。つまり、どっちを使っていいか分からない人間関係…
日本でも、発音の癖や、ちょっとした言い回しの特徴からその人の出身が分かることがあります。特に関西や東北の人はそうです。関西式のアクセントを使っていれば間違いなく関西人ですし、そうでなくても数字の7を「ヒチ」と言い、床屋のことを「散髪屋」と言い、ビールの大瓶を「ダイビン」と言う人がいれば、それは関西の人でしょう。 これはイタリアでも同じです。北部には北部式のイタリア語があり、南部には南部式のイタリア語があるのです。特に発音には特徴が出ます。たとえば casa(家) が北部では「カーザ」、南部では「カーサ」となるので、少し話し声を聞けば北部の人か南部の人かすぐ分かります。地域差があるというのはイタリア文化のあらゆる面に見られることで、イタリアらしい特徴です。イタリア語を学習するならば地域差のことを知っておくことも大切ですから、この章のしめくくりとしてお話ししておきましょう。
本書の最初では、こうしたことばの発音は中・南部式で説明しました。なぜかと言うと、もしカナ書きで「ペーシェ」「アーリョ」「ヴェネーツィア」「バーニョ」と書いたのを日本人がそのまま読むと、母音が伸びすぎるからです。北部でも教養人と言われるような人はあまり母音を伸ばさずに「ッ」「ン」が少し入ることが多いのです。
ルネサンスよりまだ前の14世紀に、ダンテ(代表作「神曲」)、ついでボッカッチョ(代表作「デカメロン」)、ペトラルカ(代表作は詩集「カンツォニエーレ」) という大文学者がそろってトスカーナに出ました。彼らは自分たちの出身地のことばを基にして作品を書きました。当時はイタリアという統一国家もありませんでしたし、イタリア全土に共通のことばというと、宗教関係や非日常的な場面でしか使わなくなっていたラテン語だけでした。しかし、フィレンツェ出身のダンテをはじめこの3人の作品が優れていたために、後世の作家も彼らのことば使いをまねて文学作品を書くようになり、それがイタリア全土のインテリの間に広まっていきました。こうしてインテリの共通の書きことばとしての「イタリア語」ができたのです。この「イタリア語」は各地の言い方の影響も受けながら時間をかけて成熟し、国家としてイタリアが統一されてからは、学校教育や放送を通じて話しことばとしても定着していったのです。そういうわけで、首都でもなく人口も40万人程度の現在のフィレンツェのことばが、イタリア語の標準だとは言えないのですが今でも特別扱いされているのです。
イタリア語はフランス語やスペイン語と同じく、ラテン語から生まれたことばです。ところが、イタリア語には英語に似た単語もたくさんあります。本書でもうおなじみの ristorante(レストラン) をはじめ、lettera(手紙)、strada(道)、macchina(車・機械) などです。これは、英語がはるか昔にイタリア語と同じ先祖から分かれてできたことばだからということだけではなくて、比較的最近、といっても11世紀以降ですが、フランス語などラテン系のことばが英語にたくさん取り入れられたからなのです。11世紀というのは、ノルマン征服というできごとがあって、フランスから来た征服者がイギリスに先進文化を伝えるようになった時代です。英語はこのできごとによって新しく生まれ変わったと言ってよいほどの変化をしました。イタリア語はラテン家の家督を継いだ長男ですから、言ってみれば今の英語というのは、イタリア語から見て妹にあたるフランス語が、押しかけで嫁に行ってできた子供のようなものです。そういうわけでイタリア語と英語の単語にはよく似たものが多いのです。
音楽の時間に習うイタリア語に「フォルテ」「フォルティシモ」「ピアノ」「ピアニシモ」があります。原語では forte[ フォルテ](強く)、fortissimo[フォルティッスィモ](非常に強く)、piano[ ピアーノ](弱く)、pianissimo[ピアニッスィモ](非常に弱く) ですが、-issimo という接尾辞が付くことで強調する意味になっているのです。 形容詞に -issimo を付けて強調することは音楽以外でもよくあって、イタリア語らしい表現のひとつです。たとえば、buono[ ブオーノ](良い、おいしい) に対して buonissimo[ブオニッスィモ]、italiano[イタリアーノ](イタリアの) に対して italianissimo[イタリアニッスィモ](非常にイタリア的な) など、自由に使ってみるとよいでしょう。
libro[ リーブロ](本) もとはラテン語の「木の皮」ということで、昔はそれに字を書いていたことからきたことばだそうです。英語の library(図書館) もそこからきています。
orologio[オロロージョ](時計) 時間のことを ora[ オーラ]と言うのですが、orologio は「時間告知装置」といったところ。というのは、-logio は英語の psychology(心理学) などの -logy と同じく、もともとはギリシャ語で「言う」の意味なのです。「時間」はラテン語では hora ですが、英語の hour もここからきています。
ristorante[リストランテ](レストラン) パリに最初のレストランができたのは1765年だそうですが、それがイタリア語にも英語にも入りました。語源はラテン語の「修復する」ということば。お腹が減ってボロボロになった身体を修復して元気な状態に戻すわけです。イタリアでは昔の文化財を修復している場面によく出くわしますが、そこには in restauro[インレスタウロ](修復中) と書いてあります。そう言えば英語で「店」のことを store と言いますが、実はこれも同じところからきているのです。 料理屋には trattoria[トラットリーア]というのもあって、これは少し庶民的な店になります。どちらも食事時間しか開いていません。
università[ウニヴェルスィター](大学) 「総体」という意味のラテン語からです。学生と教師の連合体であり、諸学問を集成する場であったわけです。世界最初の大学は12世紀のボローニャにできました(一説では11世紀にナポリの南のサレルノ)。 大学に行くと入り口に VNIVERSITA と書いてあったりしますが、これはそもそも昔は小文字というものがなく、Uの字もなかったためです。そればかりかJもKもありませんでした。WもVをふたつ重ねて作ったものなのです。GももとはCから作ったものです。
vacanza[ヴァカンツァ](休暇、バカンス) 日本で言う「バカンス」はフランス語からきたものですが、語源はどちらもラテン語の「空いていること」。イタリアでは働く人は1ヵ月ぐらいの夏休みを取るのがふつうです。ちなみに「仕事」のことは lavoro[ラヴォーロ]、「勉強」は studio[ストゥーディオ]と言い
日本語からイタリア語に入ったことばもあります。伝統文化や風俗関係のものがほとんどです。 まず、きれいなところからいくと、ikebana(生け花) と bonsai(盆栽)。看板を町でときどき見かけます。origami(折り紙) も教えている人がいます。kimono または chimono(着物) は有名です。geisha(芸者) もかなり知られています。 東洋医学や護身術関係では shiatsu(指圧) を教える人もいて、judò[ジュドー](柔道) や aikido(合気道) の講座と一緒に行われていたりします。karate(空手) も有名です。また、samurai(侍)、harakiri(腹切り、切腹)、kamikaze(決死のテロ攻撃) のようなことばも知られていますし、ninja[ ニンジャ](忍者) を知っている人もいます。そう言えば、catch[ ケッチ]と言う英語名で日本のプロレス番組がテレビでよく流れていたことがあります。 食品関係では cachi[ カーキ](柿) は結構食べられています。soia[ ソ イヤ](大豆) や sushi(すし)、sakè(酒) を知っている人もいます。
もっと新しいところでは、karaoke(カラオケ) と manga(マンガ) があります。一時テレビでゴールデンタイムにカラオケ番組をやっていたせいで、カラオケの名はよく知られています。ただ、意外にも自分で歌うには抵抗がある人が多く、文化的退廃だと言って嫌うインテリもいます。日本のアニメは昔からテレビでよくやっていましたし、日本のマンガ本も翻訳されています。 Sayonara(さようなら) も日本語としてはよく知られたことばのようですが、Ciao! のように別れる時だけでなく出会った時にも使えると思っている人がいるせいか、突然 Sayonara と言って話しかけられた経験が何回かあります。
イタリア語の辞書にはこの他、haiku(俳句)、kendo(剣道)、no(能)、scintoismo[シントイズモ](神道)、sumo(相撲)、tsunami(津波)、yakusa(やくざ) といった語も載っています。変わったところでは sodoku(鼠毒症) という語が医学用語として載せられています。 逆に、日本語に入ったイタリア語は、音楽や料理の関係に多いことはみなさんもご存知でしょう。ただ、直接イタリアからではなく、英語を通して入…
たとえば piano[ ピアーノ]は音楽用語では「弱く」ですが、ふつうは「平らな」または「ゆっくり」の意味です。楽器の「ピアノ」は正式には pianoforte[ピアノ フォルテ]と言って、文字どおりの意味は「弱・強」です。それ以前の鍵盤楽器のチェンバロと違って、キータッチで音の強弱を変えられるからということです。しかし、なぜわざわざ「弱」の方を先に持ってきたのでしょう。「強」を先にして fortepiano ではいけなかったのでしょうか。実は、そういう名前のよく似た楽器もあるのです。また、声楽の「アルト」は contralto[コントラルト]と言います。「ピッコロ」は「小さい」ということですが、楽器の名前としては ottavino[オッタヴィーノ]と言います。「アレグロ」は allegro[アッレーグロ]ですが、ふつうは「陽気な」…
食品の「マカロニ」は日本やアメリカでは有名ですが、イタリアに行ってもレストランのメニューにはほとんど出てきません。もとはイタリア南部の方言からきたもので、maccheroni[マッケローニ]と言います。チーズの「パルメザン」は parmigiano[パルミジャーノ]、正式には parmigiano reggiano[パルミジャ(−)ノレッジャーノ]と言って、ミラノの南東にある Parma[ パルマ]と Reggio Emilia[レッジョエミーリア]…
この他、「カメオ」「フェスタ」「フレスコ(画)」「マラリア」「インフルエンザ」もイタリア語からです。原語では cammeo[カンメーオ]、festa[ フェスタ](祭り、お祭りさわぎ、パーティー)、affresco[アッフレスコ]、malaria[マラーリア](悪い空気)、influenza[インフルエンツァ](影響) と言います。「インフルエンザ」はペストと同様、月や星の力に「影響」されてかかる病気だと思われていたのでこの名が付き、18世紀にイタリアからはやりだしたことがあったので他国語でもこう呼ぶことになったようです。時計の「アラーム」も実はイタリア語の allarme[アッラルメ](警報) が英語を通ってやってきたものです。これはもとは「武器(arma) を取れ!」という号令だったのです。また、…
Roma[ ローマ] 言わずとしれたイタリアの首都で、人口は300万ほどです。「永遠の町」と言ってイタリア人のあこがれの町です。イタリア人は口をそろえて Roma è bella.[ ローマ エベッラ](ローマは美しい) と言います。そういう意味では、京都に近いイメージがあると言っていいかもしれません。昔のローマ帝国の中心地だった場所に遺跡公園があります。Colosseo[コロッセーオ](コロッセオ) や凱旋門、カラカラ浴場、カタコンベなど名所旧跡は数えきれません。町にはルネサンス時代の建築もありますが、それよりもトレビの泉に代表されるようなごてごてした感じのバロック様式の建築や装飾が目を引きます。どうしてローマという名前がついたのかはよく分かっておらず、エトルリア人という民族に関係があるのではないかと言われているようです。
Milano[ミラーノ] イタリアン・ファッションの発信地と言われることからも分かるように、イタリアの商業、経済活動の中心地です。ですから合理性を重視し、働くことに生き甲斐を求める人が多いところです。地理的にも北部にあって、フランスやドイツとも近く、物の考え方も中央ヨーロッパ的です。背も高く、青い目でブロンドの人がたくさんいるのが特徴です。ローマは政治家の町、官僚の町で、どちらかと言えば南部ですから、ミラノの人とは容貌も考え方もずいぶん違います。そのため、お互いに悪く言い合うことも多いのです。 ミラノの人口は150万ほどですが、町の由来は「平野のまんなか」という意味のラテン語 Medio lanum からきた名前です。大阪と姉妹都市になっています。
Napoli[ ナーポリ] 人口は120万ほどで、今でこそイタリア3番めの地位に落ちましたが、長い間ヨーロッパ有数の大都会でした。イタリアの町はそれぞれ個性豊かですが、とりわけナポリには独特の文化や気風が感じられます。古くから大都会であったために、大金持ちから貧しい人までさまざまな人間がいて、場所によっては治安がよくないところもあります。ただ、旅行者に関係するのはせいぜいスリとかひったくりですから、気をつけてさえいれば大丈夫です。日本人がイタリアに対して昔から持っているイメージは、良くも悪くも実はナポリ的なものが多いのですが、おもしろいことに、この町に対しては、ミラノなど北イタリアの人も日本人とほとんど同じようなイメージを持っています。 ナポリは古代のギリシャ人の植民地として発達したところで、町の名前もギリシャ語の Neapolis(新しい町) からです。nea が「新しい」で、英語の new の親戚、polis は「町」で、こちらのほうは英語で言えば…
Firenze[フィレンツェ] 人口は40万ほどで、日本でいえばかなり小さめの町になりますが、ここにルネサンス芸術の粋が詰まっています。19世紀後半のイタリア統一後のごく短い間ですが、首都になったこともあります。盆地にあるということもあってか、京都の姉妹都市になっています。町の名前はラテン語の Florentia からですが、…
Italia[イターリア] イタリアという国の名前の由来も本当のところはよく分かっていないのだそうですが、よく言うのはラテン語の vitulum(子牛) と関係があるという説…
これから本格的にイタリア語を勉強しようという方は、語学学校に通ったり、個人教授を受けたり、独習書を買い求めたりすることになります。独習書にはさまざまあって、それぞれに特徴がありますから、どれがいいとか悪いとか一概に言えません。読者がイタリア語で話せるようになることを目指したものもありますし、文法の解説に重点を置いたものもあります。練習問題がたっぷりの本もありますし、全体をコンパクトにまとめた本もあります。話しことばも書きことばも両方身につけられれば理想的でしょうが、生活会話だけできればいいという方もいるわけでしょうし、ビジネスに活用したいという方や、専門雑誌を読みたいという方もいます。そこで私がお勧めしたいのは、イタリア語ができるようになったらまず何をしたいのかを考えながら、それにあった独習書を何種類かの中から比較検討して選ぶことです。どんな例文を使っているかには著者の考え方や個性がよく出ていますから、それも参考になります。タイプが異なるものを何冊か買って、比べながら勉強を進めるのもよいでしょう。そして、最初からしっかりした辞書を買っておくこと。語学も成果を求めようとすれば相応の投資が必要なのです。
勉強のしかたも各人各様のはずです。語学は毎日少しずつコツコツやることが大切だと言う人がよくいますが、私は必ずしもそうは思いません。私の見るところ、毎日コツコツと言う人は、そういう勉強のしかたが好きな人、あるいはそれに憧れている人です。私自身がコツコツは大の苦手で、短期集中型だからということもあります。しかも私は細かい文法事項はとりあえず飛ばして先に進むタイプです。短期集中で基本だけ理解して、とりあえず文のだいたいの意味が分かるようになれば満足なのです。ですから、語学の教科書もいろんなことをまんべんなく取りあげたものよりも、最重要なところと二の次でよいところを区別して書いてくれているものが好きです。要はみなさん自身で自分に合った勉強法と教材を見つけることですが、独習の場合、最初は文法だけを集中的に一気にやってしまうのもひとつの方法だと思います。
ところで、イタリア語の文法がいくらシンプルだと言っても、途中でやっかいな箇所に出くわすこともあるでしょう。たとえそれが最重要ではないことだったとしても、どの文法項目もまんべんなく説明するタイプの教材だけを使っていると、そこでひっかかって、「イタリア語の文法って難しい」と思いがちです。たとえば本書でも少し触れた「誰々に・誰々を」にあたる代名詞や「誰がするのかを言わないための si」(受け身の si と非人称の si) の使い方がそうです。「接続法」という動詞の活用の使い方も、とっつきにくいところでしょう。もちろん、どれもイタリア語らしい言い方ですし、最終的には知っておきたいことなのですが、こういうものには最初はあまりこだわらないでおくという気持ちを持つことも大切です。続きを読む投稿日:2024.05.09
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