ナショナリズム ──その神話と論理
橋川文三(著)
/ちくま学芸文庫
作品情報
日本ナショナリズムは、なぜ第二次大戦という破局的帰結にいたったのか。それ以外の可能性は本当に存在しなかったのか。──これが、かつて自らも日本浪漫派に熱狂した青年であった橋川文三が生涯抱え込んだ難問であった。この問いに向き合うべく、橋川は明治維新前後の黎明期へと遡行し、その起源に肉薄する。水戸学から松陰へと至る士族の流れと中間層における国学の系譜との相克。その間隙を衝くように行われた明治政府の国民統合政策。「隠岐コミューン」に託したもう一つの可能性……。日本ナショナリズムの形成過程をダイナミックに描き出す、第一級の古典。
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商品情報
- シリーズ
- ナショナリズム ──その神話と論理
- 著者
- 橋川文三
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま学芸文庫
- 書籍発売日
- 2015.08.10
- Reader Store発売日
- 2018.01.19
- ファイルサイズ
- 0.3MB
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この作品のレビュー
平均 3.5 (2件のレビュー)
-
1968年に紀伊國屋新書として出版されたこの本は、なかなか良い本だが、「新書」としては絶望的に失敗作だ。
「新書」は200ページ足らずの薄っぺらな書物に、手っ取り早く知識が「とりあえず」得られるよう、…節約して書かれるのが普通だ。このコンパクトさでも、要点だけを抜き書きしていったら割と網羅的に書けるのかもしれないが、それでは中高の教科書といっしょで、読者は面白くもなんともないから、核となる部分に関してはぐいぐいと敷衍して、読者を興がらせなければならない。そこに頁数を割かねばならないから、当然、周辺的なディテールの記述を省略せざるを得ない。
自分の経験では、たいがいの新書は1日くらいですぐに読み終えることが出来、そのときは新しい知識が頭に入ったように感じるが、2日もすれば全部忘れてしまう。それはやはり、「知識を深める」という部分がこの読書体験には欠けているからだ。要するに、新書は、手軽に知識を得られるが、そこで得られるのは非常にうすっぺらで浅い知識にすぎない。
それでも、読んでおけば「おれは○○についての本を読んだよ」と自認できるし、他者に優越を示すことだってできる。そんな気にさせてくれる日本の「新書」文化は、(なかにはけっこういい本もあるのだが)大局から見て、日本人の知的グレードを抑制するのに貢献したのではないかと思う。民主主義の当然の前提として、市民の知的向上が必要だとJ.S.ミルは説いたのだが、どうもこうした軽薄な「知」の薄皮文化のために、日本人は結局民主主義を体得できなかったのではないかとさえ思われる。
さて、本書だがこの著者の書き方はあまりにも緻密すぎて、とうてい新書向きとは言えない。だから、論述がもの凄く中途半端でおわってしまっているのだ。
序章では「ナショナリズムとは何か」という概論が展開され、西洋近代のナショナリズムの理論的土台をつくったのがルソーであることが指摘されるが、そこで終わっている。その後の、ニーチェが期せずしてファシズム出生の準備をしてしまったというあたりも、書いて欲しかった。
本論では、日本のナショナリズムの発生をペリー来航の時期から探り、国学の展開から自由民権運動の辺りまでを論述するのだが、なんとそこで本書は終わってしまうのだ。
これはどうしても、明治期の大日本帝国の誕生、および太平洋戦争への突入まではせめて扱ってくれないと、本書の意図を果たしたことにならないではないか。
が、それでも、著者の緻密な探究は読み応えがあり、特に国学に関しては興味深かった。このような学究的な記述をするなら、本書の5,6倍の規模で、橋川文三による大「ナショナリズム論」を是非読んでみたかった、という悔しさだけが残ってしまう。
ということで、ほんとうはもっと優れた書物になるべきだった、実に惜しい本である。続きを読む投稿日:2015.08.19
このレビューはネタバレを含みます
水戸学や吉田松陰の思想、国学、そして明治政府の政策、それぞれの内容について興味は尽きないのですが、それらがどうナショナリズムにつながっていくのかがいまひとつ理解できなかった。
レビューの続きを読む投稿日:2015.09.12
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