新幹線、国道1号を走る
梅原淳(著)
,東良美季(著)
/交通新聞社新書
作品情報
工場で造られた新幹線の車両は、一体どうやって車両基地まで運ばれるのか?実は、メーカーから納品先であるJRへは、夜間一般道を利用して、1両ごとにトレーラーで運ばれているのだ。本書では、日本車輌製造豊川製作所から新幹線のレールにつながるJR東海浜松工場までの、日本通運・輸送チームによる陸送のプロセス、そして困難な作業に取り組む男達のドラマを追いかけた。
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商品情報
- シリーズ
- 新幹線、国道1号を走る
- 出版社
- 交通新聞社
- 掲載誌・レーベル
- 交通新聞社新書
- 書籍発売日
- 2009.10.15
- Reader Store発売日
- 2016.09.23
- ファイルサイズ
- 35.4MB
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この作品のレビュー
平均 3.7 (4件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
この書籍では、東海道・山陽新幹線で使われているN770系の陸上と言いますが道路輸送の一部始終書かれています。
レビューの続きを読む投稿日:2019.07.02
車両工場で製造された新幹線電車がJRの工場まで輸送される手段として、実は一般公道を利用して陸送される、といふのは、現在では知る人も多いでせう。テレビの特番でも何度か紹介されてゐます。
在来線の車両なら…ば、引込線を駆使してそのまま本線上を走ればいいのですが、新幹線の場合、軌道の幅が違ふのでそれは出来ません。で、結局コストその他の条件を勘案した結果、陸路での輸送が選ばれた訳であります。
本書『新幹線、国道1号を走る』では、愛知県豊川市の「日本車輛製造豊川製作所」から、静岡県浜松市の「JR東海浜松工場」までの行程を辿るドキュメントであります。運ばれる車両は取材当時最新鋭の新幹線電車・N700系。請け負ふのは日本通運の精鋭部隊。
第1章ではそのN700系が如何なる車両なのかを紹介してゐます。少し恥かしいくらゐの絶賛ぶりで、まるでJR東海のPR記事みたいです。ま、事実は事実なのでせうが。
第2章では陸送するにあたつての計画といふか、手続きの数々ですね。何しろ一般的に道路交通法では運べない代物であります。
まづ通行ルートの選定のため、道路の測量があります。障害物が有れば事前に対応。背の低い歩道橋を壊し、新幹線を運ぶトレーラーが通れる高さまでの歩道橋に作り直した事もあるさうです。
そして通行許可を得るために、国(国土交通省)や各自治体、愛知・静岡各県警と公安委員会などへの認可申請。まことに大変なのであります。
第3章では実際に陸送を担当する日本通運のメムバアを紹介。皆カッコイイぞ。
第4章で、いよいよ陸送開始。一晩に2両づつしか運べないさうで、16両編成のN700系だと8日に分けての作業となります。これは大変だ。ゆゑにスタッフはしばらく現地のホテル住まひです。
一般道を利用する訳なので、なるべく交通量の少ない深夜(午前一時)に出発します。陸送計画は公表される訳でもないのに、どこからか情報を聞きつけた人たちが蝟集します。まあ野次馬ですな。
編成は、先導者・トレーラー(N700系)・後導車・後方警戒車。幾つかの難関交差点が存在し、野次馬にとつては、最大の見所となります。もちろん経路についても公表されませんが、超大型トレーラーが通れる道となれば大体限定されるので、まあ分かる人には分かるのでせう。
交差点を曲がる時は当然前後左右が通行止めになり、トレーラー前面には舵切りオペレーターとその助手が陣取り、各角に交差点誘導員が控へる。そして輸送指揮者が監督します。彼らの協力を基に、腕利きのヴェテラン運転手が腕を振るふ。接触して傷をつけるなどは以ての外。何度も切り返し切り返し、すれすれに交差点を通過した瞬間には、ギャラリーから拍手が起きるさうです。気持ちは分かりますね。何となく一体感を持つのでせう。
素人考へでは、毎回こんな費用のかかる輸送をするより、新幹線サイズの軌道を新たに建設したらどうかと思ひますが、さうしないといふことは、最終的にこの方式がコストが低いのでせうね。官憲が指揮を執る訳ではなく、利潤を追究する私企業ですので、その辺はシヴィアに考へてゐる筈ですね。
梅原淳氏と東良美季氏の共著となつてゐますが、その執筆分担が記載されてゐません。さういふ点はしつかり記していただきたいと存じます。とはいへ、テツ以外の人も興味深く読める一冊と申せませう。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-720.html続きを読む投稿日:2017.09.19
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