思考術
大澤真幸(著)
/河出ブックス
この作品のレビュー
平均 4.3 (8件のレビュー)
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p10~11 一生をかけて考えるテーマとはなんなのか、10代の中盤くらいかに基本的なところはできあがる。そのときにはそういう意識はなく、徐々に気づいていく。
おそらく私の一生のテーマは「知とは、考え…るとは何か」のような問いだと思われる。ただし、一生のテーマというものは、モヤッとした抽象的な感覚がその実体であるから、このように言葉にした形はその一部を表したに過ぎない。「知、知能、知識、知性、思考、知の表現方法、理性と感情、感覚、興味、意味……」などと、一生のテーマに関するキーワードを上げていくことはできるが、それを言葉で包括的に一義的に表現することは不可能である。おそらくテーマの中核らしきところの一種の表現として「知とは、考えるとは何か」という言葉による問いが存在している。
p15~16 ミネルヴァの梟は黄昏に飛ばず、出来事の最中に思考する。「面白い」と思いつつ、なぜ面白いと感じたのか分析し解釈する。流れに身を委ねる自分と、身を引いて冷静に考える自分に分裂する。自分が二重化する。
私もまったく同じ感覚を持つことがよくある。『構造と力』の「序にかえて」における「ノりつつシラけ、シラけつつノる」も、これと同じことを言っている。
ただ、私が最も頻繁に抱える感覚を言葉にすると「メタ認知しつつ乗っかる」である。この言葉に、筆者の表現との微妙な違いがあるのがわかるだろうか。その違いとは、身を引くことと身を委ねることのどちらが先行しているかの違いである。
私の場合は、最初から身を引いている感覚を持って出来事に接している。「ここで自分がこう言ったら相手はこう思うだろうな」「映画を見るので、今から自分は面白いと思わされるんだろうな」と、メタ認知が先行している。このような認知をしていながら「乗っかる」、つまり「純粋に楽しいと思う」ように努めるのである。
これに対して、筆者の表現では、出来事に身を委ねることが先行し、感情が生じたときに身を引いて考え始める、ということが表されていると思う。
もちろん、私も没入が先行することはあるし、筆者にもメタ認知が先行することもあるだろう。単に、私の抱える頻度の高い感覚が「メタ認知しつつ乗っかる」=メタ認知先行ということが言いたかった。
p24~28 アイディアを言葉にする方法
一目で見渡せる形で紙の上に書いていき、順番をつける
この部分を読んだとき、私は少し驚きつつも、深く共感した。なぜなら、私がプレゼンテーションを作成するときとほとんど同じ方法だったからである。
私の方法について記しておく。あるコンセプトにそったプレゼンテーションをすることを想定する。まず、コンセプトを念頭に置きつつ、「こんな感じのことを言おうか」「こういう感覚を伝えたい」と、明確に言葉にはなっていない状態で、脳内で思考を巡らせる。A4のコピー用紙を1枚用意し、マインドマップ的に、思いつくままに言葉として思考を書いていく。十分な材料が揃い、プレゼンで具体的に自分が何を言っているかの未来イメージができたら、順番をつけていく。別の紙を用意し、1枚目のスライドではマインドマップにおけるこの内容を言う、というように組み立てていく。順序よく並べることができたら、スライドを作り始める。スライドを作る前の段階で内容に関する思考はほとんど終了しているため、考えるのは見せ方のみで済む。
p34オリジナリティとは関係のつけ方である
『思考の整理学』『アイディアのつくり方』と通底している。まあ、この部分に限らず、この二つの本と通底した内容が書かれていることが多い。思考というものについて書かれているから。続きを読む投稿日:2020.10.18
わたしたちは、普段、コレコレについて考えよう、といって考え始めるのでしょうか?例えば、地球環境、戦争、マイノリティの問題、人種の問題。そういうこともあるかもしれませんが、突然想定していなかった状況に追…い込まれることによって、取り憑かれたように考えるようになるとき、人は深く思考しはじめるものです。このことをドゥルーズは「不法侵入」という言葉で表現しています。例えば自分がトランスの当事者であり、社会的不利益を受けたとき、性とは何かについて考えざるを得なくなる。自分とは何かについて問わずにはいられなくなる。例えば被災することで、技術の進歩と弊害について頭を悩ませなければならなくなる。生きるとは何かについて考えなければならなくなる。
この本は、そうして、思考し始めたさいに、どのようにそれを深めればよいのかを示しています。著者の大澤氏は社会学者ですが、歴史学から自然科学までの幅広いジャンルに目を通し、氏の通底するテーマ(例えば「不可能性」はその一つです)に絡めて論じます。
テーマに沿って「読む」というのは普通に鑑賞してただ面白かったつまらなかったというのとは異なり、慣れなければ難しいものですが、本書では大澤氏の考えた実例をとおしてそのやり方を眺めることができます。みなさんも、自分の人生を通したテーマを思い起こしてみてはいかがでしょうか?
続きを読む投稿日:2022.12.26
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