「ゼロ年代」狂想のプロレス暗黒期
上井文彦(著)
/辰巳出版
作品情報
プロレスvsK‐1vsPRIDE、最後に笑ったのは!?新日本プロレスの元マッチメイカーが明かすアントニオ猪木、藤波辰爾、長州力、坂口征二、天龍源一郎、前田日明、橋本真也、蝶野正洋、武藤敬司、中邑真輔、棚橋弘至、柴田勝頼との蜜月と確執―。
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商品情報
- シリーズ
- 「ゼロ年代」狂想のプロレス暗黒期
- 著者
- 上井文彦
- ジャンル
- スポーツ・アウトドア - 格闘技
- 出版社
- 辰巳出版
- 書籍発売日
- 2012.06.13
- Reader Store発売日
- 2014.12.19
- ファイルサイズ
- 4.2MB
- ページ数
- 207ページ
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この作品のレビュー
平均 3.2 (5件のレビュー)
-
オカダ・カズチカ。内藤哲也。棚橋弘至。
プロレス業界再大手の新日本プロレスは、奇跡のV字回復を成し遂げて、業界の盟主として君臨している。
その新日本プロレスにも長い冬の時代があった。
総合格闘…技が主流となり、プロレスラーが駆り出されては敗退を繰り返す。
会場にも閑古鳥が鳴く時代が続いた2000年代。
著者は、そのゼロ年代前半期にマッチメーカーだった。
興業全ての最高責任者として苦悩にあえぎながら、次々と戦いを仕掛けていく。
元祖・過激な仕掛け人・新間寿の涙。
破壊王・橋本真也への断腸の思い。
超新星・中邑真輔への期待と叱咤激励。
総合格闘技へ戦いを挑んだ男意気。
夢の対抗戦への仕掛け。
退社前に声をかけてくれた、ミスター・プロレス天龍源一郎。
前田日明が仕掛けようとした、マット界天下三分の計。
新日本プロレス創業者・アントニオ猪木との息を飲むようなやりとりの数々は、プロレスファンならば痺れること間違いない。
戦いの最前線でもがき苦しんだ男の一代記は、一気に読ませる抜群の面白さ。
どんなに這いつくばろうとも褪せることのない、プロレスへの大情熱が溢れた一書。続きを読む投稿日:2017.11.19
「私はその任務を受けることにした。これは素人の挑戦だ。ファンなら誰しも自分が見たい夢のカードをいくつも頭の中に持っている。それがなかなか実現せずにやきもきさせられることもある。しかし、私にはそれが実現…できるチャンスが巡ってきたのだ。」
2002年から2004年まで、新日本プロレスのマッチメーカーを務めた著者。当時の新日本プロレスは本当に大変な時期だった。総合格闘技の台頭、橋本と武藤の離脱。最大の問題は次世代エース候補の不在。問題が山積している中、著者はどうマッチメイクをしていったのだろうか?
「自分の補佐役として、セカンドブッカーという役職も作った。ヘビー級では平田淳二、ヒロ齋藤、後藤達俊というベテラン選手、そしてジュニアヘビー級には外道を指名した。」
オーナー・アントニオ猪木との連携、そしてマッチメイク体制を構築した著者。ところが・・・魔界倶楽部、坂口征二の現役復帰。プロレスのマッチメイクとしての業績はこんなものだろうか。しかし、坂口の復帰は一時的なものだし、魔界倶楽部もドームや両国のメインを張るほどのものではないだろう。
「ハッキリ言ってしまおう。この時、私の最大の目的は、総合格闘技を駆逐することだった。」
「しかし、私は信じていたのだ。“なーに、うちの選手が出て行ったら、ああはならない。中西学が本気になれば、ヒクソンなんか問題じゃない!”」
新日本プロレスのマッチメーカーのビジョンは、プロレスではなく、総合格闘技に向かっていたのである。プロレスラーと総合格闘技。当時のファンは確かに見たかったものだった。高田や安生など旧Uインター勢ではなく、新日勢なら、蹴散らすんじゃないか?そういう期待は持っていた。
「安田に付き合ってみて初めて分かった。総合格闘技の試合に出るということは、それだけ恐怖がつきまとうものだと。」
「ましてや彼らは普段はプロレスの試合もやっている。総合の試合に向けて恐怖と戦い、その一方でお客さんたちをプロレスで喜ばせる。こんなことは誰にもが出来るわけではない。」
そのマッチメーカーは、新日本のプロレスの選手がどういう人たちか、全く把握をしていなかったのである。知った後も同じことを続けていた。
「話を聞いているうちに、私はいつの間にか谷川さんの話術で丸め込まれていた。中西のK-1出場にOKしてしまったのである。」
挙句の果てには、交渉も上手にできないときた。
「私は何をしにモンゴルに向かったのか?実は当時、大相撲の横綱に君臨していた朝青龍をスカウトするためだった。“INOKI-BOMBA-YE 2003”の主催者たちは焦っていた。」
アントニオ猪木つながりとはいえ、他団体のブッキングを、海外までいって行う始末。新日本プロレスの重職にありながら、こんなことをしているヒマがあったのだろうか?
「残念ながら内部で相談相手になってくれたのは永田くらいだった。」
最初に作ったセカンドブッカーは何だったんだ?
本書を読むと、新日本が暗黒期に陥っていたのはよくわかる。そして、その原因の大きな部分に、著者がマッチメーカーだったから、ということもよくわかる。そりゃ大変だっただろうが、自分でわくわくしながら引き受けたんでしょ?言い訳と責任のなすりつけが多すぎる。
おそらく、当時の新日本プロレス、本当にマッチメーカーする人がいなかったのだろう。なので、“後で捨てれる人間”ということで選ばれたんじゃないだろうか?続きを読む投稿日:2019.10.24
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