時平の桜、菅公の梅
奥山景布子(著)
/中公文庫
作品情報
凡庸だが人心の機微を知る貴公子・藤原時平。破格の才力で他を圧倒する菅原道真。親の七光りで出世を重ねる時平は、自力で地位を築いた道真を敬慕し、その背中を追って国政に奮闘する。しかし上皇は時平率いる藤氏を疎んじ、道真を偏愛したため朝廷は二つに分裂。時平はかつて志を分かち合った道真と、互いの政治生命をかけて対立することになる!
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商品情報
- シリーズ
- 時平の桜、菅公の梅
- 著者
- 奥山景布子
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公文庫
- 書籍発売日
- 2014.03.25
- Reader Store発売日
- 2014.04.25
- ファイルサイズ
- 0.6MB
- ページ数
- 347ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (5件のレビュー)
-
あの人のことを知りたい、という悲痛な想い
藤原時平―菅公こと菅原道真を陥れ、その祟りによって死んだ人物。
こんな、史実と伝承が入り交じった形で知られる人だろう。
本書は、藤原時平を主人公とする話である。
私自身、上記のような俗っぽい認識しか…なかったので、時平という「悪人」をどのように描くのか、楽しみに読んだ。
また、この作者とは『源平六花撰』という短編集で出会ったのだが、
やわらかく美しい文章が印象的だった。
さて、時平15歳の春から、物語は始まる。
太政大臣を父に、皇女を母に持つこの藤原氏の跡取りが感じるプレッシャー。
「権勢を誇る藤原氏」というよりは「権勢を誇らなければならない藤原氏」なわけで、
「藤原氏である故に出世できる」というよりも「藤原氏であるというだけで人から疎まれる」
コインの裏表を上手く描いている。
で、菅原道真は、時平にとってどんな人なのかというと・・・
あこがれの人
という感じである。時平より25歳ほど年上で、家柄は低いものの学識深く、時平の苦手な漢文もパーフェクトな道真。
時平が道真にファンレター(?)を送り、そのお返事をもらう場面がある。
初々しく感動に打ち震える時平少年が何ともかわいい。
そして、この人たちがどうして対立することになるのだろう?と切なくなる。
時平は、藤原氏の嫡男であるが故に、精神的にいろいろと痛めつけられながらも、ある信念を持つようになっていく。
道真はため息をついて言う。
「時平さまは、やはり、どうしてもそこを中心にお考えになるのですね」
「そこ」がどこなのかは、かなりネタバレになるので書かないが(藤原氏とかではない)、
道真は「そこ」が重要であるとは考えない。時平には理解できない。
ゆえに、だいたい世間で知られているような展開になっていく。
道真のことをわかりたいのにわからない。
そんな時平の悲痛な思いが伝わってくるのは、構成の巧さもあるだろう。
タイトルだけ見ると半々くらいに登場シーンのありそうな二人だが、
実際のところは、9割くらいが時平の内面を描くものである。
道真は、理解を超えた天才として時平の前に、そして読者の前に現れるのだ。
もちろん読者は道真の考えについて、外交史の本を読めばもっと知ることができる。
本書の道真の思考の設定はもしかしたら大胆すぎると感じるかもしれない。
が、それもいいと思うのだ。
わかりたいということ、想いを届けたいということ。
それがうまくいかないということ。
そんな物語として読む。それはそれで味があると思うのだ。続きを読む投稿日:2014.11.12
-
内容(「BOOK」データベースより)
凡庸だが人心の機微を知る貴公子・藤原時平。破格の才力で他を圧倒する菅原道真。親の七光りで出世を重ねる時平は、自力で地位を築いた道真を敬慕し、その背中を追って国政に…奮闘する。しかし上皇が時平率いる藤氏を疎んじ、道真を偏愛したため朝廷は二つに分裂。時平はかつて志を分かち合った道真と、互いの政治生命をかけて対立することになる!続きを読む投稿日:2022.07.11
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