日本の「ミドルパワー」外交 ――戦後日本の選択と構想
添谷芳秀(著)
/ちくま新書
作品情報
戦後の日本外交は、憲法九条を維持したまま日米安保条約を結ぶという吉田茂の「中庸」の選択によって規定されてきた。しかしこの外交路線は左右両政治勢力から攻撃され、「平和国家日本」と「大国日本」という国家像の分裂をもたらし、時にそれが日本外交の足枷となってきた。本書は吉田路線の上を歩んできた戦後日本外交の主体性を「ミドルパワー外交」の視座から掘りおこす。ミドルパワー外交とは、大国との全面的対立を放棄しつつ、紛争防止や多国間協力などに力点をおく外交である。国際政治および戦後日本外交への深い洞察によって導き出された、等身大の日本外交を考えるための必読書。
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商品情報
- 著者
- 添谷芳秀
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま新書
- 書籍発売日
- 2005.05.10
- Reader Store発売日
- 2014.12.23
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 236ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (13件のレビュー)
-
本書の言うミドルパワー外交とは、大国外交とは異なる選択肢のことを指す。もちろん、これは対義語ではない。
戦後日本は、占領-独立期に選択した吉田路線が、55年体制によって定着していった。しかし、現…実主義的な外交感覚から発したとはいえ、吉田が採った日米安保の路線は左右両派からの反発を招き、そして日本国民に健全な独立心を根付かせることに失敗した。
極めて妥当な選択であるはずの日米安保が、55年体制の中で、いつも違和感を覚えなければならなかったところに吉田路線のねじれが存在すると著者は言う。
1960年代における吉田路線の定着→吉田ドクトリンの醸成は、ニクソンショック以降の外交関係の大転換を経て、いわゆる大国外交とは一線を画すミドルパワー外交の体系化をもたらす基盤となった。
特に中曽根が唱えた「非核中級国家」論は、軍事大国化するのではなく、日米安保体制を弾力的に活用しながら一定の拒否能力を備えた軍事力を整備するという現実的な路線を選択することになる。
そして本書の末尾には、そのようなミドルパワー外交を実現するためには、関係が思わしくない東アジア諸国に向けて、日本の防衛力の位置づけ等を正確に理解してもらう必要を説き、『人間の安全保障』をふくむ21世紀の総合安全保障体制の構築を提言している。
本書は、大国外交とミドルパワー外交という2つの外交姿勢に揺れ動く戦後日本の外交史を、すっきりと説明している良書だと言えるだろう。
ただ、安全保障体制を体系的に説明するために、経済政策について言及や対ヨーロッパ・国連外交についての考察がほとんど無かったのが残念だと言えるが、新書という制約を考えると、致し方ないのだろう。続きを読む投稿日:2010.02.08
もう10年前の作品になるから、特に日中関係とか、ここで書かれているものとは違う展開を見せている部分も少なからずあるとは思うけど、それでもなお、今の時代にも十分に通用する内容だと思う。マスの意見だけじゃ…なく、市民のレベルでの対話によって関係を構築、ってのも正鵠を射てると思うし。ただ、時代性もあってか、ちょっとアメリカ寄りかな、って思えるのは確か。日米関係あってのアジアにおける日本、ってのも納得は出来るけど。総じて、本趣旨である、大国主義ではない、ミドルパワーとしての日本の意義を、これからも模索していく必要があるとは感じました。続きを読む
投稿日:2014.04.08
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