図書館の政治学
東條文規(著)
/青弓社
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戦前・戦中期の図書館界は、文部省などの行政組織の意向を受け、検閲や思想善導、選書を積極的におこないながら、天皇制を利用して全国に図書館を設置しようと試みていた──。図書館界発展の欲望の高揚と挫折の歴史から、彼らの戦争責任・戦後責任を問う。
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この作品のレビュー
平均 5.0 (1件のレビュー)
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本書は、我が国戦前の図書館・図書館人が、如何に政治に「取り入り」「翻弄」かつ「利用」されてきたかその「苦悩」と「罪」の歴史を、新新史料を用い詳細に明らかにする力作だ。
我が国における図書館は教育行政…において、第一義的な学校教育に順ずる第二義的なものとして低い重要性しかあたえてこられなかった。そこで苦悩する図書館人は、「可視化された帝国」構築に向けた天皇による行幸啓を千載一遇の機会として大体的に利用しようとした。
とくに天皇自らの全国行脚は日本国家の中心である東京から遠くはなれた僻地の人々へ「国民」としてのアイデンティティを強烈に植え付けた。さらに、これを機会に齎された近代化の果実は、中心/辺縁という関係性からみて疎外の対象である地方住民にとって、ほかでもない天皇の「大御心」によるものとして捉えられたのである。この点は一般的に日本においては、神宮や外苑などに見られるよな画期的な「大事業」の多くは天皇関係である点に注意したい。
また、1910年の大逆事件や大正・昭和を通して加速する政治・社会不安を背景に国家による国民統制の急激な加速をみたが、この思想面での統制に役割に図書館が加担することとなった。思想善導のための「選書目録」の作成、配布、検閲という手段を通してであった。
詳細は勿論本書を手にとって紐解いていただくしかないが、全体の読後感としては、本書は戦前「図書館人」の罪を徹底的に暴くというよりは、まず国家行政の「中心」から疎外された、「周縁」としての図書館・図書館人であり、彼らが自らのポジションへの苦悩がゆえに「国家」に対する過剰反応・過剰適応を行ってしまったということである。
例えば、図書館の検閲への加担においても、内務省・文部省の「発禁書」の目録が図書館へは配布されず、多くの「発禁書」が閲覧可能となっていたという有様で、図書館人自らが目録の請求を行ったり、日中戦争の前面化の「非常」体制においては、いくら図書館界から「積極果敢」に働きかけを行っても「不要不急」として端から相手にされないという具合である。
また文部省による統制機関としての図書館ではなく、あくまで人間形成の場としての図書館の構築を図ろうという少なからぬ図書館人の抵抗の痕跡をも記している点も興味深い。
図書館の政治性というテーマを扱った書物はあまりないため、本書は極めて貴重な作品だといえる。続きを読む投稿日:2012.06.19
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