憲法と平和を問いなおす
長谷部恭男(著)
/ちくま新書
作品情報
日本国憲法第九条を改正すべきか否か、決断を迫られる時代が近づきつつある。しかし、立憲主義、つまり、そもそも何のための憲法かを問う視点が見落とされてきた。その核心にある問いにたちかえり、憲法と平和の関係を根底からとらえなおす。情緒論に陥りがちなこの難問を冷静に考え抜くための手がかりを鮮やかに示す。
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商品情報
- シリーズ
- 憲法と平和を問いなおす
- 著者
- 長谷部恭男
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま新書
- 書籍発売日
- 2004.04.01
- Reader Store発売日
- 2014.07.21
- ファイルサイズ
- 0.4MB
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この作品のレビュー
平均 3.8 (29件のレビュー)
-
今や時の人になってしまった感もある長谷部恭男先生の著書。昨年夏に読んだものを再読。しかし難しい。去年読んだときも難しいと思ったが、再読でもなお難しい。この1年間に噴出した様々な憲法がらみの議論と照らし…合わたとき、その多くが的外れであると指摘する内容だけに、現実とアカデミックな事実とのすり合わせによけい頭を使うことになる。しかしここには「民主主義や立憲主義やとは何か?」に関する様々なヒントが書かれていて、その豊潤さは汲めども尽きない。
昨年初めて読んだとき、「ソーシャルライブラリー」用に書いた感想が意外にまとまっているので、それを以下に再録しておく。
タイトルのイメージとはだいぶ違う本である。日本の憲法、特に第九条について詳しく書かれた本かと思いきや、憲法や立憲主義の意味について、ロック、ホッブス、ルソーまで遡って考えていく"政治哲学"の本だ。新書の体裁を取りながら、大学の教科書なみの歯ごたえ。「なぜ多数決なのか?」「なぜ民主主義なのか?」など、普段その意味を深く考えず、当たり前のように受け取っている事柄について根本から問い直していく。当然スラスラ読みこなすのは難しい。
しかしこれがすこぶる面白い。目から鱗の連続。立憲主義というものは多様な価値観を共存させるために生まれたものであるため、そこには違う価値観同士の対立が必然的に内包されていること。それ故に、自分が一番大切だと思う価値観を抑制しなければ維持できない不自然なシステムであること…そのような立憲主義の本質と限界を踏まえた上で、日本にとっての戦争と平和について考え直すと、これまでとかなり違う風景が見えてくる。改憲派と護憲派、どちらの立場にも情緒的な動機や、自らのイデオロギーを普遍の正義だと思い込む面が見られるが、それは立場の如何にかかわらず、立憲主義に反するものだということが分かってくる。立憲主義とは「普遍的な正義など無い」という立場から違う価値観同士の共存を目指す、非常にシニカルなシステムなのだ。
終章の「憲法は何を教えてくれないか」の一部を引用しよう。
#
立憲主義は現実を見るように要求する。世の中には、あなたと違う価値観を持ち、それをとても大切にして生きている人がたくさんいるのだという現実を見るように要求する。このため、立憲主義と両立しうる平和主義にも、おのずと限度がある。現実の世界でどれほど平和の実現に貢献することになるかにかかわりなく、ともかく軍備を放棄せよという考え方は、「善き生き方」を教える信仰ではありえても、立憲主義と両立しうる平和主義ではない。
#
ここだけ読むと改憲派(軍備拡張派)が喜びそうな内容にも聞こえるが、もちろんそんなことはなく、次の下りでは、憲法が定める枠組みは、自然ではなく人為的なものであるからこそ、いったん後退を始めると踏みとどまることが出来なくなってしまうという趣旨が述べられていて、改憲派に冷水を浴びせるような内容になっている。
要するに、改憲派・護憲派双方の議論や活動が、いかに立憲主義の基本理念から外れたものになりがちであるかが、この本を読むとよく分かる。
立場の違いにかかわらず、憲法と平和の問題に興味を持つ人なら、ぜひ一度読んで欲しい本。文章は無駄に難しい部分もあるが、この著者の他の本も読んでみたくなった。続きを読む投稿日:2015.08.02
平和主義について書かれているのは半分で、残りは民主主義と立憲主義。よって、憲法そのものというよりも政治(国家論)について書かれているという印象。ただし、立憲主義の中で人権にも触れてはいるが。著者に漂う…ある種の「ニヒリズム」に賛否はあるだろうが、個人的には好みではある。続きを読む
投稿日:2021.11.19
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