丸山眞男の時代 大学・知識人・ジャーナリズム
竹内洋(著)
/中公新書
作品情報
戦後の市民による政治参加に圧倒的な支配力を及ぼした丸山眞男。そのカリスマ的な存在感の背景には、意外なことに、戦前、東大法学部の助手時代に体験した、右翼によるヒステリックな恫喝というトラウマがあった。本書は、六〇年安保を思想的に指導したものの、六〇年後半には学生から背を向けられる栄光と挫折の遍歴をたどり、丸山がその後のアカデミズムとジャーナリズムに与えた影響を検証する。
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商品情報
- 著者
- 竹内洋
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2005.11.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 5.4MB
- ページ数
- 339ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (14件のレビュー)
-
本書のいうとおり、戦後左翼にとって幻滅しつつあった共産主義に代わる器が丸山眞男だったとすれば、ものすごい影響力を持つ人物だったのだと思う。いま丸山眞男の評論を読んでも深く感じるところがないので、かつて…の時代の雰囲気を逆に強烈に感じる。
本書では現代からの視点で丸山眞男に対する違和感が数多く語られる。戦争に反対する社会的クラスと積極的に賛成するクラスを、画一的に論拠なく断定したこと。社会運動を煽るものの、サルトルなどとは異なり自身はそれらに参加しないこと。そして学生運動で自身の研究室が破壊され、学生をナチス以下呼ばわりしたこと。荻生徂徠を近代政治のきざしであるかのように牽強付会に論じたこと。日本の敗戦までのみちのりを西洋近代の理想からの落ちこぼれとみなしたこと、などなど。
丸山眞男は心のどこかで大衆社会を信用していない。にもかかわらず大衆社会を自身の理論と実践に最大限利用しようとする。それは30年代における大衆社会化の逆利用のようだ。だから戦後にファシズムや軍国主義が忌諱されたように、ひとたび大衆を裏切ったかように見られれば、丸山眞男も手のひらを返して糾弾されるのだ。よくも都合よく私たち大衆を利用したなと。戦争終結時の丸山眞男の有名な言葉、「どうも悲しい顔をしなければならないのは…」。ここからすでに大衆の心もちと掛け離れていたのであれば、はじめから運命は決まっていたのかもしれない。
当初は簑田胸喜との対比で丸山眞男が描かれる予定であり、簑田に触れる部分がずいぶん多い。続きを読む投稿日:2018.07.12
竹内洋 「 丸山眞男 の時代 」
丸山眞男の思想論というより、丸山眞男は誰を啓蒙し、その背景は何かを論じた本。東大法学部という肩書とジャーナリズムを利用して、大衆にインテリという政治主体者の役割を啓…蒙したという構成
敗戦により天皇が象徴になり、国体が破壊された日本において、大衆に政治主体となるよう啓蒙したようにも読めるが、丸山眞男に代表される知識人が大衆をコントロールしているようにも読める。本の後半は 丸山眞男への批判色が強い。必要悪として捉えている
戦中日本のファシズムを超国家主義とした丸山眞男の概念は 自由意思のない国家主権をうまく表現している。倫理すら権力化し、上級者によって規定された行動基準には 恐怖を感じる
八.一五革命説
*日本国民は敗戦によって国体から解放され、自由なる主体となった
*八月十五日にさかのぼれ〜私たちは廃墟の中から、新しい日本の建設を決意した
続きを読む投稿日:2021.05.30
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