銀行員諸君!
江上剛(著)
,須田慎一郎(著)
/新潮新書
作品情報
二〇〇三年三月、みずほ銀行築地支店長を最後に、作家・江上剛は二十六年間の銀行員生活にピリオドを打った。なぜ、彼は愛する銀行を志半ばで辞めなければならなかったのか。入行からの銀行員生活を振り返り、信頼するジャーナリスト須田慎一郎に語ることによって、これまで銀行がやってきたことを検証し、これからの銀行のあるべき姿を探る。苦言は苦言として、銀行の仲間たち、後輩たちへ心からのエールを送る。
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商品情報
- シリーズ
- 銀行員諸君!
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮新書
- 書籍発売日
- 2003.11.20
- Reader Store発売日
- 2012.05.25
- ファイルサイズ
- 1MB
- ページ数
- 191ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (11件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
現場にいた方の回顧録的な読み物として。
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pp.40-1
「決算書を貰ったってごまかしがあるんだから、結局は相手の会社に足を運び、どういう仕事の流れで荷物がどう動いていくのか、トラックを何曜日に出すといったら本当にその通りにしているのか、自分の目で調べなきゃ駄目だと教えられました。[…]担保なんか貰っても、それに全面的に頼る発想はない」
p.45
「住友銀行が端緒を開くと、他の銀行もこぞってそれに続く。住友銀行はいつも時代に先行していて、それに他行が続いたのです。」
pp.47-8
「そもそも「好きに使っていい融資」なんてない。ところが、バブルの頃になると、銀行が相手の金の使い道まで無理矢理考えて融資するという、そういう時代に入って行ったんですね。」
p.48
「当時はとにかく転がし融資が多かった。土地を買って短期譲渡して、また融資して一週間で大儲けするような、そんな融資ばかりでした。でも、それが支店長から褒められたりするわけです。」
p.49
「住友銀行はなんでも最初にビジネスモデルを考える。すごいことです。住宅ローンひとつ取っても、銀行の営業マンが登記簿謄本をとって、高い金利でお金を借りてる人たちに軒並み攻勢をかけて全部確定金利で肩代わりするとかですね。[…]「○○業界が今後伸びる」というレポートが調査部から出されると、銀行の営業マンから審査部までが取り組みを強化し、その業種に集中して融資をするとか、住友銀行はそういうこともやったわけですよ。」
p.55
「「本部は風評だからな」」
p.59
「全銀協自身が当時は法人格のない任意団体にすぎないのに、そのなかにさらに秘密の組織があって実際の舵取りをしていた」
p.65
「顧客の利益とは全く関係ない次元で、物事が決まっていく。これが銀行の護送船団、談合方式の実態でした。たしかに大蔵省が箸の上げ下ろしにまで一々口を挟んでくるのも事実ですが、同時に銀行も大蔵省を上手に利用している。能力の低い銀行は、ライバル行が少し先に進みそうな時には大蔵省に抑制を頼むし、実際にその意を汲んで動いてくれることもあるわけです。」
pp.71-2
「「銀行員にはいろんな誘惑があるが、絶対に貰ってはいけない」」
p.77
「一勧の人事の弊害を言えば、二本立て人事の他に東大至上主義があると思います」
pp.80-1
「銀行の人事部は、女性も含めてどの職場かも関係なく全ての行員を査定するんです。」
p.84
「第一勧銀の場合、一体化ということを意識しすぎて、お互いの本音のぶつかり合いを避けたのかも知れません。この教訓はみずほに生かして欲しい。行員の実力は、一緒に働けば、自ずと分かるものです。出身銀行のレッテルじゃない。」
pp.90-1
「記者という職業は、基本的に調べた事実はきちんと書こうとする。そうした立場や気持ちを考えずに闇雲に押さえ込んだりすると、記者との関係も壊してしまう」
p.110
「危機管理には、この先どういうふうになるのかというイメージを持つことがやはり必要なんです。そのためには、外部からそれなりに正確な情報が入ってくるルートも持たないといけない。」
p.132
「その地域の中での支店の役割というものを復活させたいというのがあった。」
p.161
「経営トップが「バカ」なんじゃないか」
p.167
「銀行は同質な人間ばかりを集めて、それを偉くしてきたから。」
p.175
「元来、銀行は公的役割を担っていたと思うんです。それは何かといえば、金融を通じて企業や社会に貢献するという意味の役割です。ここに銀行員は誇りを感じてきたんです。銀行に就職する人も、周りの人も、銀行に対してそういう公の期待をするわけですね。ところが、実際には銀行の経営陣は私的利益の追求に走っている。そのギャップがなかなか埋まらないことが問題なのです。」
pp.177-8
「サラリーマンというのは、トップになっても挫折が待っているのだということを、常に自覚して暮らすことが大切なんだと思います。[...]銀行員は着任したら転勤を考えて仕事をしなさいとよく言われました。必ず転勤が待っているんだから、着任した時から「さあ、仕事」ではなくて、着任したらすぎに二、三年先の転勤を考えて仕事を進める。この二年間、あるいは三年間で、この支店や部署で何をするか、何がやれるか。それを考えていれば、二年後に引き継ぐ人に迷惑をかけない仕事をできるんですよ。」
p.178
「自分の役割はどういうものであるのか、どんな役割を銀行の中で担いたいのか、さらには長い人生をどう過ごすのかを、これからはもっと考えて過ごさないといけない時代だと思います。」投稿日:2013.06.23
江上剛の銀行員時代の半生が書かれています。
銀行の現実が書いていて面白いですが、悪く言えばただの武勇伝です。投稿日:2015.03.05
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