刑務所の経済学
中島隆信(著)
/PHP研究所
作品情報
300円の万引きの後始末にかかる税金は130万円!!これだけの費用をかければ犯罪者は本当に更生・社会復帰できるのか。刑務所や少年院の役割を考えたことがあるだろうか。罰を与える施設なのか、それとも矯正するための施設なのか。そうならば、犯罪抑止力、社会復帰のための施設として、現代の社会にあっているだろうか。またわれわれは、失敗を赦す社会を目指すのか。徹底して排除する社会を目指すのか。それによっても変わってくるだろう。日本の刑事政策を経済学の立場から鋭く分析し、より合理的な視点で裁判や刑務所のあるべき姿を提言する。
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商品情報
- シリーズ
- 刑務所の経済学
- 著者
- 中島隆信
- 出版社
- PHP研究所
- 書籍発売日
- 2011.12.01
- Reader Store発売日
- 2012.01.20
- ファイルサイズ
- 1.3MB
- ページ数
- 240ページ
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この作品のレビュー
平均 3.4 (13件のレビュー)
-
経済学帝国主義って言葉があるらしい。社会のいろんな分野に経済学が口を出すこと。でもそういう観点からの分析も確かに重要だな。刑事司法だって,正義とかだけじゃなく,経済合理性も無視しちゃいけない。
犯…罪の内容とか裁判の経緯とか,判決がどうなったとかで普通人々の関心は終ってしまい,刑務所での処遇とか,出所後のことなど,殆ど注目を集めない。著者はそれを大変憂慮。刑務所の事なかれ主義とか,矯正の実効性とか,保護観察の問題とか,一向に改善しないのは世間が関心を寄せないからでもある。
本書は,経済学者が書いた(主に刑務所の下流の)刑事政策の本。そんなに具体的に経済学を適用しているわけではないけれど,犯罪を犯してしまった人たちや障害者など,社会から排除され,不可視化されている人たちに,居場所が必要なことを,比較優位の原則を援用して訴えている。
実際に刑務所に収容されている人って,高齢者,知的障害者がかなり多くを占めるようだ。凶悪犯罪とかばかり報道されるからって,受刑者がみんな怖い人たちってわけではないんだよね。あたりまえだけど。そういう人たちに,犯罪者の烙印を押して社会から排除するのは,結局社会のためにならない。
ただ,第五章「少年犯罪とサイコパス」の後半で,世の中には極めて冷静で戦略的,自己中心的で良心をもたない先天的脳障害「サイコパス」が結構な割合でいると言っている。こういった人たちへの対処として,その特性を社会に活かすような仕組みが必要だと言うが,いったいどうすればいいのだろう?この部分だけ異色な内容で違和感があった。続きを読む投稿日:2012.06.12
経済学がテーマの本ではあるが、日本における犯罪者への処遇、刑罰や刑務所の内情、そして元・刑務所収容者への更生支援の実情も分かりやすく記載されていて法律を学ぶ人間にも大変勉強になる本である。
少額の…窃盗でも繰り返せば懲役刑になる可能性がある。300円のパン1個を何度も盗んだ窃盗犯を刑務所に収監し、半年間懲役刑に就かせ、釈放までにかかる費用は約130万円ほど(本書刊行時、2011年)そのお金は税金から支払われる。
犯罪を犯した人間が社会に与えた損害とその犯罪者を収監し、懲役刑を科して何年も刑務所で生活させるために必要な費用。後者が前者よりも重くなれば刑罰の意味を考えなければならない。しかし日本の司法は犯罪被害者への救済が不足している。そのため傷つけられた被害者の感情は加害者へのより一層の厳罰を求める声へと変化し、結果として費用はさらに増えてしまう。それだけの費用をかけて、出所した人間が本当に更生できているのか。
刑務所に収監された人のうち、知的障がい者や低学歴の人間の数は非常に多い。それらの人々が犯罪に手を染めた原因にはそういった障がいや経歴が関係していることも多いという。
犯罪者が同じ犯罪を二度と犯さないように自分自身を理解し、自尊心を回復し、反省して更生するには刑務所での手厚い支援が必要になる。しかし刑務所は常に手一杯で、刑務官という仕事もインセンティブを得られるような仕事ではなく本人達のモチベーションも保ちにくい。
このような現状に対して、経済学の観点から評価し改善点を提案しつつ、日本の更生支援について様々な活動や機関も紹介されていて、非常に勉強になった。
ニュースで犯罪者が懲役刑になり刑務所に収監されたのを見て、やれやれ一安心だ、もう自分には関係がない。そう考えることも多いだろう。しかし本書にも書かれているが、刑務所はゴミ箱ではない。見たくないものを刑務所に押し込めておけばそれで終わりではないのだ。
10年近く前の本なので、紹介されている内容が現在と少し違うこともあると思われるが、非常に有用な本であると思う。
続きを読む投稿日:2023.01.25
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