ずばり東京
開高健(著)
/文春文庫
作品情報
開高健も若かった、東京の街も若かった、1960年代前半のことである。深夜タクシーに深夜喫茶、屋台のオデン屋、佃─明石町の渡守り、出稼ぎ者、労災病院、銀座の裏方さん、遺失物係、うたごえ喫茶、ある都庁職員の一日、練馬鑑別所と多摩少年院など、東京のさまざまな貌を、著者自身も泥酔、飽食、そして宿酔に苦しみながら、足と舌と裸の眼でさぐる。東京オリンピック前後の、日々生成をくりかえすアメーバの街をさまよう、今も輝きを放つ名ルポルタージュ!
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商品情報
- シリーズ
- ずばり東京
- 著者
- 開高健
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 1982.10.25
- Reader Store発売日
- 2011.11.25
- ファイルサイズ
- 1MB
- ページ数
- 368ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (3件のレビュー)
-
古本で購入。
東京オリンピック前後、1960年代前半の東京を取材したルポルタージュ。
戦後を引きずりながらも現代の東京へ確かに繋がる、「眼もなく足もなく日々生成をくりかえすアメーバの街」が活写され…、当時の東京の雰囲気「におい」のようなものすら表現される。
各項文体の異なる文章で構成され、それぞれがユーモアと毒と皮肉と好奇心に彩られている。
個人的に共感を覚えたりおもしろく感じたりしたのは、「“戦後”がよどむ上野駅」「上野動物園の悲しみ」「古書商・頑冥堂主人」。続きを読む投稿日:2013.07.18
このレビューはネタバレを含みます
1964年、東京オリンピック間近の社会状況を、さまざまな市井の人に会いながら描き出したルポルタージュ。まだベトナム戦争に行く前の時期の作品だが、饒舌な開高節は鋭く東京の様子を伝える。
レビューの続きを読む
それにしても、…再度の東京東京オリンピックを迎える2020年の今にしても、当時と何も変わっていないというのは、いったいどういうことなのだろうか。
「いまの子供は保育園だ、幼稚園だ、学習塾だ、ソロバン塾だと学校の外でも追い立てられていて、とても紙芝居など見ている時間がないのである。」
「聞くところによると、工業倶楽部は財界の"奥の院"で、資本主義の"最後の牙城"なのだそうだ。倶楽部員の名簿をもらって見るといずれも高名な名が目白押しにならんでいる。(中略)どういう仕掛けになっているのかこの人びとはなにをしてもぜったい悪口を書かれるということはない。」
「"近代化"とは、利口で、正確で、ゆとりがないということらしい。寛容とか、即興とか、想像力などというものは追放されるらしい。」
「わが国では甲羅が一メートルもある海ガメが沼津海岸にあがったことや、通産省の木っ端役人が2万5千エンの汚職をしたということは徹底的に自由に報道されるが、政府首脳たちの派閥争いのために二十億、三十億の金が贈与税の対象になることもなくスイスイスイとうごくという実態については、なにひとつとして報道されないのである。」続きを読む投稿日:2020.02.24
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