拉致と核と餓死の国 北朝鮮
萩原遼(著)
/文春新書
作品情報
「平壌に特派員として常駐して、あの国の地獄の釜のふたをこっそりとあけて垣間見た、燃えさかる業火に焼かれるおびただしい衆生たち/二十世紀の奴隷船の悲劇といわれる在日朝鮮人の大量北送事件の真実究明などに没頭した一九九〇年代は、私の白秋の時代であった/そしていま。まちがいなく玄冬である。この国はどの方向に向かうのか(略)どうすればあの邪悪な政権を打倒できるのか」。北朝鮮の実情を正確かつ真摯な視線でつらぬき、金正日のおそるべき奇策を知らしめる。
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商品情報
- シリーズ
- 拉致と核と餓死の国 北朝鮮
- 著者
- 萩原遼
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春新書
- 書籍発売日
- 2003.03.20
- Reader Store発売日
- 2011.10.14
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 208ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (2件のレビュー)
-
2009年7冊目の読了です。元日本共産党の党員で赤旗紙の平壌特派員だった筆者が描く、北朝鮮に関する本です。内容はタイトル程は過激ではありません。
投稿日:2009.01.19
(2004.07.28読了)(2004.06.13購入)
第1章では、著者と北朝鮮との出会い、赤旗との出会いについて述べられている。
大阪の定時制高校で、出会った在日朝鮮人・尹元一については、「北朝鮮…に消えた友と私の物語」に詳しく書いたそうなので、いずれ読もう。
定時制高校を卒業した後は、小野十三郎さんが校長をしていた、大阪文学学校で、学んだ。先輩に作家の田辺聖子さんがいる。
1970年ごろは、工作船が自由に日本と北朝鮮を往復していたようで、北朝鮮の工作員を韓国に送り込むこともしていたようだ。工作員としては、在日朝鮮人も使われたようだ。
第2章、日朝交渉。北朝鮮と国交回復のための交渉が続けられている。
「北の人民はあまりにもむごい。だまされて北朝鮮に渡った十万人の在日コリアン、六千人の日本人妻らは救いを求めて日夜泣き叫んでいる。」
「拉致されて以来24年ぶりに、2002年10月15日に日本に戻ってきた蓮池薫・祐木子夫妻、地村保志・富貴恵夫妻、曽我ひとみさんの5人の被拉致者を北朝鮮に返さないと拉致犠牲者家族会が10月23日に決定した。」「外務省のアジア大洋州局長田中均らは金正日側と秘密折衝して、「5人を2週間程度日本に戻してくれればまた送り返すから」という約束を取り交わしていたようだ。」
日本政府がこの決定に沿ってその後の交渉に臨んだ事は、日本外交にとって画期的なことだった。
「日朝国交が50年にわたって開かれなかった理由は、北朝鮮と米国が朝鮮戦争を休戦状態にして終結させず、今なお戦争状態にあるためだ。日本がやるべき事は両国を促し、朝鮮半島の平和を打ち立てさせることである。軍事的に対立する一方の側に、莫大な資金を与えれば対立を激化させるだけだ。」
「朝鮮総連は北朝鮮を支持する在日朝鮮人の団体である。1955年5月に結成された当初は、在日同胞の生活と権利擁護のための組織とされていたが、1960年代末ごろから金日成の個人崇拝を推進する組織に変質し、金正日が台頭してきた七〇年代半ばからは、正日管轄下の日本人拉致の下請けなどにも手を染める犯罪者集団の性格を強めていった。朝鮮総連は表向きは大衆組織であるが、二重組織になっていて、裏は朝鮮労働党の日本支部である「学習組」が牛耳っている。」
第3章、餓死問題。核問題は、餓死問題を隠蔽するための、又は我慢させるための作戦だった。食糧増産がうまく行かず、ソ連からの援助も打ち切られて、国内暴動を抑えるための方策として、核問題を起こし、アメリカと対決姿勢を強めることにより国内を緊張体制に置き、飢餓を我慢させるという作戦だった。
北朝鮮の政権は、いつまで持ちこたえることができるのだろうか?耐え切れずに逃げ出す人たちが多数出ている。金大中の始めた北と南の話し合いもなかなか進まない。
著者 萩原 遼
1937年 高知生まれ
1963年 大阪外国語大学朝鮮語科入学
1967年 大阪外国語大学朝鮮語科卒業
1969年 「赤旗」記者
1972年 赤旗平壌特派員
1989年 フリーランス
1999年 「北朝鮮に消えた友と私の物語」で第30回大宅壮一ノンフィクション賞受賞
著書 「ソウルと平壌」文春文庫、1998年続きを読む投稿日:2009.11.18
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