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板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh
板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh
原田マハ/幻冬舎
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総合評価

265件)
4.3
104
111
34
1
0
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    オーディブル読了 渡辺えりさんの朗読で贅沢だった… 原田マハさんの本は全て読みたくて 何の前情報もなく聞き始めたら、津軽弁流れてきて笑ってしまった。 私の田舎は青森岩手の県境に近い、秋田だから。 おばあちゃん達とおんなじイントネーションにほっこり、よく聞いた言葉にじんわり。 まいね!ってよく怒られたっけかなー 田舎恋しいなー

    3
    投稿日: 2024.05.16
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    行ってきました、大原美術館に ⁽⁽(◍˃͈꒵˂͈◍)⁾⁾⤴⤴ 原田マハさんの『楽園のカンヴァス』や『〈あの絵〉のまえで』に登場する倉敷美観地区の一角をなす、大原孫三郎さん設立、日本初の私立西洋美術館です 蔦に覆われた外壁、その中にある古代ギリシャ・ローマ神殿を思わせる洋館の佇まいを見ただけでワクワクしました 同館には今作の主人公、棟方志功の展示室が併設されているので、この機を逃す手はない!と、訪れる前に読んで予習しましたദ്ദി˙◡・) 日本の自然な素材を生かした板画家、棟方志功の生涯を妻の視点で描いた原田マハさんのアート小説 著者自身も子供の頃、ドラマで渥美清さんが扮した彼を好きになり、実際にお父様と同館で作品を見られたそうですね 彼の才能と妻の大きな支え、そして柳宗悦らとの運命的な出会いが彼の人生を変えていきます 「白樺」のゴッホのひまわりに憧れ、ゴッホを追いかけ、いつの日かゴッホの向こう側を目指し始めていた… ラストは、彼の行動に思わず微笑んでしまいました(*´˘`*)♡ 同美術館で棟方夫婦の苦楽や色々な思いを知った上で作品を鑑賞出来た時間は、格別でした。✧。・゚ ああ、この作品も彼は顔を板すれすれにこすりつけ、這いつくばって全身で板にぶつかって描いたのだなあ ああこれが作中にも出て来る版画巻か、なるほど 色付き版画は、墨の黒と明るい色彩のコントラストがねぶたの世界を想像させ、予想外に明るく綺麗なんだなあ 目の前にある作品と本の世界の間を行ったり来たりしていたので、誰よりも長く展示室に居座っていました(๑´ڡ`๑)Շ^✩ 今作を読まずに見学していたら、ここまで満喫出来なかったのは言うまでもありません 『美しき愚かなものたちのタブロー』と同様、今回も二度美味しい思いをさせて頂き、マハさんに感謝です(❀ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾ᵖᵉᵏᵒ 因みに海外のお目当ての作品ଘ(。•ө•。)ଓ⁾⁾も、貸出中ではなく見れたので良かったです ずっと行ってみたかった大原美術館 念願叶って充実した時間を過ごせました♡

    121
    投稿日: 2024.05.15
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    板上に咲いたのは、 棟方志功の作品の数々ではあったけれども 常に傍らにいて 力強く咲いていた チヤ自身ではなかったか ゴッホを思えば 寂しく孤独になっていくばかりであったので チヤの存在は 読み手の自分にとっても ひまわりのように まぶしかった いつか 棟方志功の版画を前にしたら また違った感じ方ができそうで 楽しみだ

    14
    投稿日: 2024.05.14
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    さすがマハさんグイグイと引き込まれます。 想像を絶する努力の結果できた棟方作品と、チヤさんを筆頭とする理解を示してくれた人々に恵まれた結果なのですね! 夫婦愛も素晴らしい☆

    7
    投稿日: 2024.05.13
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    彫刻刀と板で世界に打って出た宗方の人生を描いた作品。芸術家の一生懸命で誠実さの溢れ出た作品に感動した。

    3
    投稿日: 2024.05.11
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     原田マハさんのアート作品を読む度に、文字表現の絵を実際に観たい、美術館に行きたいと思わせてくれますね。そこがマハさんの筆致の素晴らしさであり、大きな魅力なんですね。  本作は、版画を芸術の域へ高めた棟方志功の半生を、妻・チヨの視点で描いたアート小説です。  全編を通じて、棟方志功が真っ直ぐで優しく、誰にも気さくな人物として、生き生きと描かれています。貧困や苦労の連続だったのですが、登場する周りの人は皆いい人で、周囲に愛された志功‥。最後まで清々しいまま読了できました。  結局マハにハマり(ん?意図せず回文ダジャレ)、スマホ片手に画像検索しながら読むハメになりました。欲をいうと、途中に図録があってもいいのでは?などと思ってしまいました。尚更か、やっぱり現物を観たい!と強く思わせてくれます。  スマホ検索で驚愕! 「棟方志功記念館が本年3月31日で閉館!49年間に感謝」の一文が‥  何ですとー! どういうタイミング? ガックシ。 でも、「所蔵全作品と資料を青森県立美術館へ移し、引き続き展示。展示面積が記念館の約2倍で、7月6日からの常設コレクション展でリニューアルオープン予定」とのこと。やっぱり行ってみたい!  漠然としか知らない棟方志功作品も、その背景や込められた思いを知ると、やはり全然印象が変わります。原田マハさんの作品への愛情・棟方志功への想いがあふれた作品でした。

    79
    投稿日: 2024.05.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    版画家棟方志功の死後、妻チヤのインタビュー 1987年ゴッホの絵が57億円がついた 旦那さんが生きていたらなんといったか? ゴッホ先生に憧れ画家を目指すが版画にめざめる チヤは看護婦をやめ結婚 東京では友人松木の一軒家に居候 子供が生まれたのでチヤは青森の実家に戻る 5年後、子供をつれて東京へ 版画作品が評価されるようになり中野に引越し 四面の作品版画絵巻を一面にされそうになったが 白樺の主催者柳宗悦、陶芸家濱田庄司、河井寛次郎が版画部に推薦 作品は購入し日本民藝館にかざる 棟方一家は食べるのに困らなくなった チアは夫の為に毎晩墨をすっていた 民藝館で120枚の版画をすりあけた 昭和12年松木がパリへ渡航1年滞在 戦争が厳しくなり富山に家族で疎開 板木をチアが取りにいく。その帰りの電車から東京大空襲の炎が見えた。家は全焼 1987ヴェネチアビエンナーレのグランプリ 国際版画大賞を受賞 世界のムナカタになる ゴッホの墓がある オーヴェルシュルオワーズを訪ねる 墓碑銘に和紙をあて眉墨でこすり拓本をとった

    3
    投稿日: 2024.05.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ゴッホに憧れ、ゴッホに挑んだ彫刻家の棟方志功と彼を支える妻のお話。 酒飲みの父のもと、十分に食べられない環境にあったが、絵を描いていると空腹を忘れらた。 驚くほどまっすぐで一生懸命、弱視であることを、ものともしない、とんでもない芸術への情熱。 妻と子供を養う事を考えると、当時格下に見られていた版画の道一本でやっていく決心がつかなかったが、妻のチヤが先に腹をくくり、背中を押した。 純真な棟方志功とチヤのやりとりも微笑ましいです。 空襲で版木が焼けてしまい、棟方の命にも等しい版木を疎開先に持ち帰れなかったと呆然とするチヤに、「自分の命にも等しい物は版木ではないおめぇだ。」 と曇りのない目で言った棟方の言葉にじんときました。

    8
    投稿日: 2024.05.09
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    平易な文体が読みやすく 「ワぁ、ゴッホになる!」という 棟方志功の情熱がじかに伝わってきた。 けど一方、貧しい生活や製作の苦悩 戦争の悲惨さなんかが さらっと軽く流されてしまったような… 何か大きなことを成し遂げた人のかげには それを信じ、支え、守ってくれた人々がいて 「世界のムナカタ」の誕生には 何があっても夫を信じ 子供たちを育て、一家を守り 揺るぎない大きな愛で包み込んでくれる 最強の妻の存在があったのだなー とつくづく思った。

    5
    投稿日: 2024.05.08
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    何て愛に溢れて熱量に溢れて、生というものをこれでもかと全身で放っているのだろうか。 棟方志功という芸術家の人となりを妻のチャの目線で描いた、暑苦しいほどの物語。またもや原田マハさん、感服です。 版画…いや板画にこれまであまり触れてこなかった私ですが、これは実物を絶対に見てみたい!私もその情熱の端っこだけでも、いや、おそらくど真ん中に届く、その情熱を感じたい。

    15
    投稿日: 2024.05.07
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    お恥ずかしいながらこの作品を読むまで、あまり宗方先生のことは存じあげなかった。 いつかその作品を見てみたいと思う。 とりあえず奥さんが凄すぎて、宗方先生も好き勝手やってるように思えて、ちゃんと尊敬する人の助言には耳を貸したりしてるところいいね。そしてようやく幸せになったと思ったら、全てを奪う戦争は本当に嫌だ。

    25
    投稿日: 2024.05.05
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    今回も面白かった! 小2のマハさんがTVドラマで渥美清さんが演じる棟方とその妻の変な夫婦っぷりを観たのが最初の出会い。フィクションが90%、という作品もあるとのことだが、毎回どっぷりとそのマハマジックに浸かり、今回は棟方志功、世界のムナカタを知れた! 妻のチヤの視点で描かれる棟方、愛してやまない唯一無二の存在。「ワぁ、ゴッホになる!」とひまわりを壁に貼り、版画ではなく「板画」と名づけ、目が弱いから体全体で覆い被さるように製作をする。 友人イトの家で初めて出会った棟方、その後また偶然にも弘前のデパートで再会。そして新聞に公開ラブレターをもらい、結婚。とはいえ善知鳥神社うとうさま、の前で誓っただけ。子どもを身籠り職業婦人として弘前市へ勤めていたのもやめて、実家の青森に出戻り。 1年半が過ぎ、我慢ならんと、子どもを連れて東京へおしかけるチヤ。夜な夜な墨を磨るチヤに守られ、貧困の中、製作を続け… 長男巴里爾ぱりじの里帰り出産後、ミシンを片手にまた東京へ。間借りしていた友人の松木の家を出て初めて4人で暮らす長屋へ。掃除をし、整え、棟方の仕事を支えるチヤ。 ある日の偶然で、白樺の創刊者、柳宗悦と濱田庄司に出会い、自分の版画を認められる。そして開設される日本民藝館の収蔵品として作品を高額で購入される。河井寛次郎他、知識人を紹介され、中でも閣僚の、水田良一から世界が広がり次々に創作していく。 戦火を免れ、なんとか持ち出した板木の数枚、買い付けた濱田の作品など。戦後はブラジルに出展の機会を得て最優秀賞を受賞、ヴェネチア ビエンナーレでも大賞を得て世界のムナカタに… 版画が油絵より下に見られていたとか、柳の紹介するゴッホがなによりも最初だったことなど、知らなかった。 改めて大和し美し、壮大な絵巻物を見に日本民藝館へ再訪したい。 民藝の美は、無心の美、自然の美、健康の美。 ずば抜けて個性的であり、西洋画に微塵も追従しておらず、他人の評価などまったく気にしていない無鉄砲さ…それでいて卓越した手技と緻密な構成も兼ね供えていた。 油絵よりも格下、既成概念を覆す白八年もがき続けた。 p. 160

    13
    投稿日: 2024.05.04
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    原田マハマジックで この作品も棟方志功に詳しくない私には こんな生涯を生き抜いた方なんだと 魅力のある人物として刷り込んでくれました 棟方志功を世界の棟方に向かう道筋に 民藝が関係(かなり重要ポイント)だった それは不勉強すぎて知らなかったです。。。 ドラマチックすぎる感じですが だからそんなに棟方志功を知らなくても 読み終えることができると思います

    3
    投稿日: 2024.05.03
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    棟方志功の板画家としての生涯を妻チヤから語っている。 板画家として認められる迄は貧乏のどん底で、認められてからは、いかに板画に純朴に取り組んだか、棟方志功の熱い想いがひしひしと伝わってくる。 チヤが妻として夫と一緒に歩んできた幸せを感じられる様な読後感。

    6
    投稿日: 2024.05.02
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    彫る人の心が宿る。表紙を眺め、棟方志功という人間を感じた。弱視を物ともせず、一途にゴッホ目指して突き進む志功。彼を信じて献身的に支える同郷の妻、チヤ。夫婦の息が合った津軽弁が、日常の辛苦や緊張を希釈する。芸術家は強いと感じ入った。

    4
    投稿日: 2024.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何かを成し遂げる人は、他のもの全てを捨てるくらいでないといけない、というくらい、棟方志功は真っ直ぐに板画と向き合った人だったんだな。そして奥さんのチヤも本当にすごい。 大抵何かを成し遂げる人の側にはそれを支える誰かがいるけれど、棟方を信じて、極貧生活を乗り越えてここまで支えられる人がいるだろうか。 この作品を通して棟方志功という人物を初めて知ったけど、この方は生きているうちに評価されて、最後に神と崇めるほどのゴッホの墓前にも行くことができて本当に良かったと思う。

    5
    投稿日: 2024.04.29
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    史実を基に、棟方志功の半生を妻チヨの視点で描いた原田氏の創作物語。 版画作製中の、棟方氏の版木に覆い被さるような態勢にも迫力を感じた方は多いと思うが、そのワイルドで唯一無二の作品の出来上がる迄、そして世に輝く作品として押し出される迄の苦労が時としてユーモアを交えて描かれるのが良い。津軽弁がそれを助けている様。

    19
    投稿日: 2024.04.29
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    事実2割に創作8割の原田マハ作品という事を頭に入れて読んでいる。 今作も、本当かよ〜という場面もあったが、まぁ原田マハ作品だからと納得。 今作はとにかく軽く読めてしまったのは、 棟方志功の妻の視点から描いているせいか、あまり棟方志功に感情移入しないからトラブルや苦悩が読めなかった。 実際に「ニ菩薩釈迦十大弟子」に接して魅せられた感情の昂りを知る読者には、もう少し作品について語ってもらいたかった。

    8
    投稿日: 2024.04.25
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    『もし受がらながっだらどうすだ? そのときはお父さとお母さに合わせる顔が、ね。へば、どうすだ? おんちゃが持ってぎだ縁談を受けねばまいね。たしか、相手の人は津軽の金物屋の息子だったよ。ええ? ワだば金物屋の嫁コになるの? やだやだ、そったらごど、絶対やだよ。駄目、まいね。絶対、まいねだ!』―『一九二八年(昭和三年)十月 青森 ― 一九二九年(昭和四年)九月 弘前』 津軽弁の響きが懐かしく蘇る。文字に起こされればはっきりと輪郭を持つ言葉も、年配の人々の口から発せられるとまるで知らない国の言葉のように単語の切れ目も見失いがちになる。卒論の調査で入っていた山中で唐突に話しかけられた時に閉口したことなどを思い出す。 この本は昨年10月の日曜美術館での放送に刺激されて買い求めたもの。初めての原田マハ。特に熱心な志功のファンという訳ではないが、棟方志功の版画(志功は「板画」という呼び方を好んでいたそう)集は一冊だけ持っている。草野心平の富士山を歌った詩にモチーフを求めて編まれた一冊、「富士山」。心平による「ノート」よれば、これらの作品は一九六五年に志功が渡米した際に一気に彫り上げた二十四作品に、翌年新たに二作品を加えたもの、とある。様式としては、志功を世に知らしめた「大和し美し」と同様、心平の詩を意匠的に彫り込んだものと、白黒だけの世界から踏み出した「鐘溪頌」のように色彩を施したものが混在している。 もちろん、物心ついた頃には棟方志功は既に著名な人であったし、その独特の画風、そして顔を版木に擦り付けるようにして彫る姿は一度観たら忘れ得ないものだったけれど、自らの意思で求めたものはこれ一冊だけ。けれど志功との不思議な遭遇の機会は何度かあって、例えば、時々訪れていた上野の居酒屋。せいぜい二人くらいで呑みに行くのが常だったが、六人で予約して訪れた際に通された奥の座敷に何気なく置いてあった衝立が何と志功の作品だった。聞けば初代店主と親交があり貰ったものだという。あるいは学生時代の後輩を訪ねて倉敷に行った際に折角だからと観光した美観地区の大原美術館。もちろん美術館自体は知ってはいたものの、この美術館に棟方志功館があることは知らなかった。ここで「二菩薩釈迦十大弟子」を始めとする作品群と意図せず出会って圧倒された。 『柳たちは、自分たちで見出した棟方志功というとてつもない原石を磨いて世に送り出してやろうと意気込んだ。そのために、彼らはまず論陣を張って棟方を擁護し、筆の力でこの新人を推し出した。また、仲間内で後援会を組織して会費を集め、経済的にも棟方を支援した。さらには棟方にとって有益だろうと思われる知識人や宗教人を紹介した。そのすべてが版画家・棟方志功を伸びのびと育てる太陽となり、深い人間性を育てる慈雨となり、自由に表す心を鼓舞する風となった』―一九三七年(昭和十二年)四月 東京 中野 ― 一九三九年(昭和十四年)五月 東京 中野』 さて、そんな思い出話につい浸りそうになるこの本は、「オーディブルオリジナル」として書かれたものとの註から想像される通り、するすると脳の入力装置に受動される一冊である。原田マハの作品はこれが初めてなのだけれど、キュレーターでもある著者ならでは、と思わず陳腐なことを言ってしまいたくなる文章が並んでいる。極端に言えば、美術展で提供されることのあるオーディオ解説のサービスが、より詳細にドラマ仕立てになったような文章なのだ。そのせいか、小説を読んでいるというよりも、棟方志功展を訪れ、時代ごとに作品を配した各セクションの入り口に掲示されている解説を読み、実際には目にしていない作品を眺めながら、会場から会場へと「プロムナード」しているかのような気分に浸ってしまう。特に本書に登場する作品については、前述した日曜美術館で紹介されたものや大原美術館での印象が残っているので尚更、でもある。 棟方志功が志が高いだけの文無しの洋画家の卵であった時代から、版画家として認められ日本のゴッホならぬ世界のムナカタになるまでの時代を、辛苦を共にしてきた同郷の妻の視点から描いた物語は面白く一気に読める。史実に基づいた小説だけに先の展開は読めてしまうのだが、志功の公人的な一面(画家のその特徴的な風貌と、その独特な語りは強烈過ぎるが故に、超人との印象が強く残ってしまうのだ)の裏にあった私人志功の一面がありありと描かれていて興味深い。しかしよく考えてみればこの視点を選択するのは、ある意味必然というか、むしろ小説にするならばこれ以外の視点は選びようがないとも言えるのかも知れない。何故なら、破天荒とすら見える棟方志功自身の視点というのは、どれだけ史実に基づき残された著書や対談の言葉を再構成して描いてみても、どうしても嘘くさくなる。更に、その強烈な印象で観るものを圧倒する作品で、版画家は何を描こうとしたのか、あるいは作品を生む過程でどんな葛藤があったのかを本人の口で語らせるのは、作品を解読する以上に困難だろうし、物語に落とし込める程単純なものでもない筈。現に、原田マハ自身が志功の作品について、原始的な力(それはつまり理屈で拵えた概念以上のものということだろう)を感じると印象を述べている。そしてそれは志功自身が放つ人間力でもあった筈だ。それを解ったように描いてしまうのはキュレーターとして誠実な行為ではないだろう。 それ故に、同郷でありもっとも身近に居て、その心情を深く理解していた筈の妻の立場から、見えたこと、理解したこと、そして最も肝心なことは理解し得なかったことを小説に落とし込むというのは、棟方志功の才能を、そして作品を陳腐な理屈で矮小化する愚を避け得て、同時に根源的な人となりの持つ逞しさをも伝え得る正しく唯一の方策であったのだと思う。ただし何度も言うけれど、どうしても美術展の図録に載っている解説を読んでいるような気になってしまって、小説を読む時に感じる脳の活性化が起こらなかったのが少し残念ではあるけれど。絵を鑑賞するような小説、という新たな様式なのだろうね。

    6
    投稿日: 2024.04.25
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    audibleのために書き下ろされた作品の書籍版。「板画家」の棟方志功と、その妻チヤを 描いている。 この人の名前も作品も知っていたが特に興味もなくてスルーしていた。途中までは他の芸術家同様、夢ばかり追いかけて家族を顧みもしないしょうもない人という印象だった。「日本のゴッホになる」という言葉は、ある意味で達成されたのではないかとすら思った。が、ある作品を巡る出来事から運命は大きく動き出す。まあ、偶然というより、この人の持っていたものが引き寄せたと解釈したい。 因みに、会話は東北弁が多く、聴読は難しいかもしれないと思った。でもそれ故の楽しさもありそうだ。機会があれば聴いてみたい。

    6
    投稿日: 2024.04.25
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    原田マハさんの久しぶりの芸術家シリーズ。 かつてのモネやゴッホを描いた作品が彷彿とさせられます。 貧しく、先の見通しが立たない過去。 地を這うような苦労をした棟方夫妻ですが、一貫して、先の光を信じて疑わない ゆるぎない強さを感じました。 まだ誰の目にも止まらない版画家だった棟方志功さん。 彼の才能を見いだす人物に出逢うのは、ちょっとした偶然でした。 団体美術展 出展準備の仕事を請け負った時のこと。 稼がなくてはならなくて引き受けた仕事でしたが、その場で偶然廊下を通りかかった人物との出会いが 彼の作品を世に出すきっかけになります。 生きているうちに才能を認められる芸術家は本当に幸せです。 東京大空襲の時も、ほんの少しの時間のいたずらが妻のチヤと彼の作品を救います。 そして何より、故郷の青森で、チヤという最大の理解者となる妻と偶然出会ったことは、棟方志功さんの何よりの幸運だったと思われます。 最初と最後を飾るのが、棟方志功の妻、チヤの語り。 志功さんへの尊敬の念と愛情があふれています。 ゴッホに憧れていた棟方志功さん。 油絵より格下と思われていた版画で「世界のムナカタ」と評価されるまでになり、ゴッホを越えていきます。 唯一無二の存在として他の追随を許さない棟方志功の存在そのものに、日本人として誇らしいものを感じます。 読む前は壮絶な内容かと想像していたのですが、読んでいて温かい気持ちになりました。 努力を惜しまない才能には、神さまが救いの手を差し伸べるのですね、きっと。 そして、いつだったかテレビのドキュメンタリーで観た 棟方志功さんの子どものような屈託のない笑顔がふわっと浮かびました。 ああ、マハさんだ!と思わせる素敵な作品でした。

    48
    投稿日: 2024.04.24
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    板上と聞いて原田マハもとうとう棋士の話を書いたのかと思ったら棟方志功の話でした、それも妻チヤの語る棟方志功でありました、作者には珍しく成功物語であり、あまりヒヤヒヤさせられる展開でもありませんでした、しかしこれまで原田マハの書く実在人物ものは想像の世界が入り込んでそんなアホなと言う物語が多く、ちょっとそれはやり過ぎじゃないのと言う感想を持ちましたが、さて本作はどこまでも真実が述べられているのでしょうか。

    2
    投稿日: 2024.04.23
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    原田マハさんのアート長編を初めて読みました。 棟方志功の妻、チヤ子が語る棟方志功の生涯。 自分の知らない世界でした。

    1
    投稿日: 2024.04.22
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    棟方志功の妻チヤが語り手の史実を元にしたフィクション 原田マハの他の作品のようなミステリー要素などは全くナシで、棟方志功という人間に真正面から向き合って書いた作品です 自分の体験ですが、中学生の時の修学旅行先が「棟方志功記念館」で、牛乳瓶の底のようなメガネをした髪の毛ボウボウの男が、板に顔を擦り付けるようにして版画を彫っている姿を見てカルチャーショックを覚えました またその作品のふくよかで神々しい顔や体のライン、版画独特の墨がかすれた感じが心安らぐ感じで、今でも大ファンです そんな愛する棟方志功を原田マハさんに描いていただき、知らなかった史実を知れた喜びと同時に、さらに棟方のことが好きになりました とても感謝です

    22
    投稿日: 2024.04.17
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    偉大な功績を残した人の側には、その人を信じて支えた人の存在があることを改めて感じました。孤独に自分と闘った人もいたでしょうが、私はこの無鉄砲な人に振り回されながらも見捨てずに側で支えた人との二人三脚のようなエピソードが自分の身に置き換えれば絶対に拒否する筈なのに、嫌いではないのです。 芸術というと作品にばかり目が行きがちですが、原田先生の作品によって芸術の奥にある人間に触れられたような気がするのはとても素敵なことだと思います。 チヤと棟方の戦友のような二人のエピソードに熱くなりました。 #プルーフ

    5
    投稿日: 2024.04.15
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    原田さんの新作は棟方志功。 主人公は棟方志功の妻チヤ。 最初と最後が現代のチヤの語りで、本編はチヤ目線の物語。 原田さんは相変わらず巧い。同じ時を共有している気分になる。 チヤさんの事をほとんど知らなかったので、興味深くてあっという間に読んでしまった。 妻を主人公にすることで棟方志功の人柄が出ていると思うし、妻との会話が青森弁なのも、人物が生き生きしてくる。 すごい夫婦で感動した。

    2
    投稿日: 2024.04.14
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    版画家棟方志功の物語。 いつもながら、マハさんの筆にかかればノンフィクションを読んでいるかのような『へえ~、なるほど、そうだたのか、凄いなあ』感で、最後まで流れるように、いつの間にか読み終わってる感じ。 でも、Wikipediaで見てみると、結構違いが(笑)。 その辺りを理解した上で読むのがマハさんです。物語として、最高です。 欲をいえば、あと100ページくらいあったら良かったかなぁ。

    16
    投稿日: 2024.04.14
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    「我(わ)ぁ、日本のゴッホになる!」そう言って、美の世界に魅入られた青年を、一生支え続けた妻のチヤさんの視点から語られた棟方志功の物語。 1930年代、棟方一家は、野草のお浸しや煮付けのみの食事に甘んじながら、精力的に製作活動をしていた。  1936「大和し美わし」で、棟方志功はバズる。単なる版画ではなく、佐藤一英の「詩」を、絵巻物として彫ったのである。文字も絵の一部だった。 これを見つけて、柳宗悦は「(駒場の)日本民芸館を作る時に、これを買い上げたい。」と伝える。陶芸の濱田庄司、河井寛次郎らとも知り合う。日本の民芸にある「美」があると、彼らは棟方志功の版画の中に「手仕事の美」を見出したのである。 その同じ思想の展示物が、実は岡山県倉敷市大原美術館の東洋館にある。まさにここには、濱田、河井、富本憲吉、バーナード・リーチと共に、棟方志功の展示コーナーがあるのである。民芸館を援助した大原孫三郎が彼らの作品を倉敷に持ち込んだのは当然だ。何故ここに棟方志功がいるのか、初めてわかった。 バズったあと、棟方志功は全長10メートルの大作を思いつく。「面白いなあ!」と驚いてくれる仲間もいたが、柳宗悦は喜ばなかった。対象の本質に迫っていなかったためである。棟方は意気消沈する。柳宗悦は日本にゴッホを紹介した人物でもあり、棟方にとっては師であり父親だった。 この作品ではないけど、倉敷国際ホテルにある大作を私は思った。コロナ特別割引で同ホテルに泊まった時に、ラウンジにあるこの作品に、私は驚愕した。「大世界の柵(坤) 人類より神々へ」だ。このホテルのために描いた棟方志功史上最大級の板画らしい。人類の生誕と死を、肯定的に受け止めて、人類の幸福と平和を願っている。悔しいけど、ホテルの中にあってこその板画だと思う。 俳優朗読本の第3弾。最後の最後まで、まるでネイティブの津軽弁で語られる渡辺えり版の棟方志功伝(実際には彼女は山形出身なので、イントネーションには苦労したらしい)。昔気質(かたぎ)の夫婦愛物語だった。

    124
    投稿日: 2024.04.14
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    とにかく原田マハさんが書くアート小説が好きで、アート小説なら誰が題材でも読むようにしています。そのため、棟方志功は名前しか聞いたことがなく、画家なのか、どんな作品を創る人なのかも知らずに読み始めました。(タイトルとふれ込みで板画家と知ったくらい) こんな風に、取り上げられてる人や作品は知らずに読み始めても、読み終わると本人のファンになったり作品を知りたくなったりするから、マハ作品が好きなんです!と今回も思いました! 序盤はわりと普通に読んでいたんですが、最後から2番目の章で涙がポロポロと溢れました。ここに行き着くまでの道のりや出来事や感情を、読み進めるうちにいつの間にか一緒に背負っている感覚でした。 読み終わった直後なので、いまはとにかくムナカタ作品に興味津々、といったところです!

    3
    投稿日: 2024.04.13
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    福光繋がりと先月大原美術館へ作品を観に行き、勝手に身近に感じている棟方志功。棟方志功だけ、ではなくチヤさんの視点で書かれた夫婦の物語。

    10
    投稿日: 2024.04.13
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    棟方志功、来たっ!! …とはいえ、作品以外あまり知らなかったんだけど。 弱視で、板に齧り付くようにして彫ってるイメージのみで、気難しくて、とっつきにくい人のように思っていたけど、家族を愛し、人にも愛される、素敵な人なのだった。 とにかく、奥さんのチヤさんが凄い。 なぜこんなに深く、信じて、支え、愛せたのかな? チヤさんはひまわり。 棟方という太陽をどこまでも追っていくひまわり。 日本のゴッホに成ろうとし、世界のムナカタになったのも凄いんだけど、家族の太陽でもあったんだろうな。

    3
    投稿日: 2024.04.13
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    真っ直ぐな夫婦の真っ直ぐなお話 心の根元で繋がってるってこう言うことだな マハさんのまとめ方がグッときすぎる

    2
    投稿日: 2024.04.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    棟方志功の人生と作品を、妻のチヤの目線を通して語るアート小説。『リーチ先生』の語り手がフィクションで、その分民藝運動全体の動きを俯瞰していたが、これは妻目線であることで棟方志功1人に的を絞ってある。 チヤの深すぎる愛に涙が出る。 芸術家が芸術に殉じる為には、必ず深い理解者が必要だ。芸術に命を注ぐ代わりに生活能力が著しく低いから。世界のムナカタの第一の恩人はやはり妻で間違いないんだと思う。 印刷博物館の展示の動画で、板に目をくっ付けるようにして彫り込む棟方志功の姿を見たことがある。その時はあまりの近さに違和感しか無かったのだが、弱視だったことを初めて知る。目を患って絵を極めるなんて、困難さに絶句してしまう。 棟方志功の作品は、どちらかと言うと私は好きではなかったのだが、この小説を読んだあとに眺めると違って見える。眺め方を教えてもらったというか。アート小説は芸術鑑賞の最良の先生だなと改めて思った。 渡辺えりさんの朗読は山形県ご出身というだけあって東北の言葉としてあまり違和感を感じなかったが、青森の方はどうだったのだろうか。 どこかで聞いたイントネーションだなぁと思っていたが『千年万年りんごの子』だ!それと『たそがれ清兵衛』だ! 青森いっでみでなぁ。

    3
    投稿日: 2024.04.13
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    マハさんのアート小説はどれも本当に素晴らしいです 何回読んでも、フィクションなんだよね!?と思わせてくれる 棟方志功の世界にどんどん引き込まれていきました こうやって知っていくと美術館に行きたくなるし、アートに触れたくなるんです この作品は、どんな想いで作られたんだろう そこにどれだけの価値があるのかなんてそこまで深いことはわからないけれど わからなくても、わからないなりに感じてみたくなります マハさんの作品大好きです

    12
    投稿日: 2024.04.12
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    『板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh』―棟方志功とチヤの絆を描くアート小説 原田マハ氏の『板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh』は、1924年に裸一貫で青森から上京し、画家を目指した棟方志功の苦闘と成長、そして彼を支え続けた妻・チヤの深い愛を描いた長編アート小説です。棟方が絵を教えてくれる師もおらず、画材を買うお金もない中で、弱視に苦しみながらも木版画という道を見出し、その「板画」が後に革命の引き金となる様子が丹念に描かれています。 この物語は、ただのアート小説を超え、棟方志功とチヤの夫婦愛、二人の人生の歩みを通して、信念を持ち続ける大切さと、それを支える無償の愛の価値を伝えています。棟方が世界を変えるアーティストへと成長していく過程は、多くの苦難と挑戦に満ちていましたが、それを乗り越えた先にある成功の価値は計り知れません。 現代において、このような夫婦の形は珍しいかもしれませんが、本作は夫婦とはどうあるべきか、互いをどう支え合うべきかについて考えさせられる作品です。特に、Audibleでの渡辺えりさんによる朗読は、方言の訛りを含めた表現が印象的で、物語の雰囲気をより一層深く感じさせてくれます。 『板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh』は、棟方志功の人生とアートへの情熱、そして彼を取り巻く人々の生き様を通じて、アートが持つ力と人間の深い絆を感じさせる、心揺さぶる一冊です。読み終えた後も長く心に残る、感動的な物語をぜひ体験してください。

    21
    投稿日: 2024.04.09
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    棟方志功といえば渥美清(古い!) 存命なうちに評価されてよかった。 芸術家には周囲で支える人が不可欠。

    2
    投稿日: 2024.04.09
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    棟方志功、名前はどこかで聞いた事があるぐらいの認識。奥さん目線で書かれた本。棟方志功の板上に掛けるもの凄い情熱、命懸けの取り組みがズシンの心に刺さる。棟方志功がいかにして世界のムナカタになったのかがわかりました。

    17
    投稿日: 2024.04.07
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    原田マハさんの本、好きで読んでいますが、今までは何か静かな感じの作品でしたが、今回のものはかなり動な泥臭さが出ている感じがします。 やっぱり、好き。

    3
    投稿日: 2024.04.07
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    子どもの頃、渥美清さんが扮する棟方志功さんのドラマを観た。十朱幸代さんが共演して。特に忘れられないのは、棟方志功さんがふすまに絵を描く場面。大人がこんなことするんだとビックリしたのかもしれない。 そのドラマ『おかしな夫婦』を小学生だった原田マハさんも観ていたという。『男はつらいよ』が好きなところもおんなじで嬉しくなる。 この小説、『板上に咲く』は妻チヤの視点で書かれている。棟方志功さんが全身全霊で絵師、彫師、摺師の全部を行う姿を見守っている。ほれぼれしながら。 絵巻物の「大和し美し」が、認められる場面、絵の大家が棟方志功さんの家を訪ねた場面が面白い。妻チヤの機転、ユーモアに思わず笑ってしまう。圧巻は、京都にゴッホの絵に会いにいった時に起こった出来事。熱いものが込み上げる。 1941年太平洋戦争。棟方志功さんは富山に疎開している。東京を離れた棟方家も東京大空襲を避けることは出来なかった。 クライマックスはさらにいい。 いつもはノンフィクション1割、フィクション9割のマハさんが、今回は逆らしい。 芸術に対して熱い棟方志功さん。子どものように濁りのない澄んだ目をもつ棟方志功さん。彼は、父としても夫としても人としても熱い。限りなく魅力的な人だ。 もしもの分かれ道で最善の道を選ぶ。 久しぶりのマハさん、やっぱり素敵だ。

    79
    投稿日: 2024.04.06
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    バッハのひまわりに魅了された版画家のお話 私、芸術に疎く、全然入ってこなかったのですが 「もしもの分かれ道」は良かった 私に置きかえてみると、いくつものもしもの分かれ道が思い浮かびますが、それを上手く選んでこれたからこそ今があって、満足ができる日々を過せているので選択は間違ってなかったと振り返ることができた もしもの分かれ道が重なり今がある 良い選択をし人生を楽しんでいきましょう!

    27
    投稿日: 2024.04.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    事実として知っていらっしゃる方も多いと思うので全部ネタバレで書きます。 棟方志功の妻となったチヤ子が語る棟方志功の生涯。 二人が出逢ったのは棟方とチヤの故郷の青森市。 チヤは18歳で看護師を目指していました。 棟方は17歳でゴッホの<ひまわり>を見てひと目で心を奪われ東京で青森の絵の仲間の家に居候しながら「日本のゴッホ」になりたいと言っていました。 チヤと棟方は弘前のデパートで再会し、棟方がその後新聞で公開ラブレターを送ります。 そして二人は結婚するのですが、東京へ戻った棟方はなかなか食べられず、チヤと長女のけようを呼び寄せてくれません。 ところが棟方はとある偶然から、 柳宗悦、濱田庄司、河井寛次郎の三人に認められ、太平洋戦争を経て「世界のムナカタ」になります。 ヴェネチア・ビエンナーレのグランプリ国際版画大賞を受賞しました。 日本のゴッホになる、とあの人は最初言いました。 だけど結局、あの人はゴッホにならなかった。 ゴッホを超えて、とうとう世界の「ムナカタ」になったんです。 「私はひまわり、あの人は太陽」。 棟方は四人の子どもたちとチヤ子のことをとても大切にしていた愛妻家でした。 若い頃二人が離れ離れに暮らしたのも棟方が妻子を大切に思うからこそでした。 チヤ子はチヤ子で棟方の為に、版画で使う墨を磨って、子どもたちに「お母さんは墨の匂い」と言われるほど。 相思相愛の素敵なカップルでした。 閑話休題 この本は出る前から私はとても楽しみにしていました。 というのも、私の母の実家に(母が産まれる前ですが)棟方は遊びにきたことがあるのです。 母の実家は東京の阿佐ヶ谷に二軒家を持っていて、隣の一軒を青森出身の人に貸していたそうです。 この本を読むと、その人物とは棟方の居候していた家の主人で、青森出身の松木満史ではないかと思われます。 そして、棟方が日展(帝展)に初入選した日、二人が「隣の奥さん親切だから御馳走してもらうべ」と言って訪ねてきて母の母(私の祖母)が御馳走すると、「ワァは、世界のムナカタになる」と言い、「奥さん紙をください」と言って何枚も墨絵を描いて残していってくれました。 そのうち何枚かは、私も家にあったので(母は上の姉二人を乳児の時に亡くした一人っ子です)実物を見たことがあります。 でも、その絵もうちに置いておくより棟方の好きな方にお譲りした方がいいということで売ってしまいました。 最後の一枚だったふくろうの墨絵の写真を私のXにポストしておきますのでよろしかったら御覧いただければ嬉しいです。(私のXには私の本棚からすぐ入れます)

    114
    投稿日: 2024.04.05
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    作品から豪快なイメージだったが、愛妻家だったんだ。「なんという輝き、なんという力だ。こんなにも粗削りで根本的な美をもろに突きつけてくるとは」by柳宗悦「君のものを見ていると、人がかつて山野を駈けまわっていた時の荒魂が頭をもたげる。君は確かに人々の中に隠れている荒魂を呼び返す人だ」まさに棟方志功作品。

    7
    投稿日: 2024.04.04
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    Audibleで聴了 ゴッホに魅せられて、憧れて、画家を志した棟方志功の物語。 油絵から版画という全く違う芸術へどうして変わったのか、どのように世に出たのかを妻の視点から描かれます。 構成が素晴らしいのと、語るのが山形出身の渡辺えりさんで、他の方ではなかなか真似できない臨場感でした。 本当に貧しく、野草が食卓を飾るような毎日の中で、暗中摸索しながら版画をする毎日。 その貧しい長屋の部屋を聖画のように照らすのは、ゴッホのひまわりの切り抜きであった。 自分を信じぬき、日本のゴッホになると制作に没頭する姿は、鬼気迫るものがあり、元々弱視だった目が見えなくなってしまうかもしれない場面では、神に祈るような気持ちになりました。 棟方志功にとってヒマワリとはどのような存在になったのか 読んでいただきたいです。

    24
    投稿日: 2024.04.03
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    宗方志功の妻ムハを通しての夫宗方志功の話だったと同時に2人の生きた時代そのものまで語りつくした作風だった。読み終えてすぐに2度読みに!素晴らしい作品だった。まるで漫才の世界の様な記述がありクスクス笑いながら読み終えた。宗方志功なる人物は純粋で子供ぽくでそれでいて思い込んだら 一本道を突き進む人だったんだな。小生の記憶の中にも彼の作品はいくつかある。感動感動の連続だった。

    7
    投稿日: 2024.04.02
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    2024/4/1 読了 感動以外の言葉がないくらいに良かった。やっぱり芸術家ってすごい。自分の力を信じぬく才能がないとできない。

    1
    投稿日: 2024.04.01
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    シンプルに良かったですが、マハさんにしては少し歯応えやパンチがないというか、結構すいすいとストーリーが流れて言ったイメージでした。 倍ぐらい厚みが欲しかった!

    1
    投稿日: 2024.03.31
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    強烈な津軽弁と生活苦の内容が暗すぎて、前半は中々読み進めが出来なかったが、柳宗悦先生達に認められて上向いてからは一気に読めて行った。 棟方志功の妻チヤの視点からの物語だが、棟方志功の版画に掛ける情熱が迸り、チヤが霞むほど。 序章と終章のみ昭和62年だが、本編は戦中の昭和20年で終わっている。戦後に世界で認められた棟方志功をもっと読んで見たかった。

    56
    投稿日: 2024.03.29
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    妻の視点で棟方志功という芸術家の人生を描いた作品。 Audible先行の作品だったので、 Audibleで聴きましたが、 渡辺えりさんのナレーションが とても合っていて感動しました。 読み終わった後の余韻がいい。 最後、なんだか涙が止まりませんでした。 芸術家の奥さまって、 夫の1番のファンであり、 夫をささえる気持ちがすごいですよね。 私にはできないなぁ、 なんて思いながら読みました。 棟方志功さんが、木版に顔を近づけて、 魂を彫るように、作品を作っている様子が目に浮かぶよう。 棟方志功の作品をあらためて見に行きたくなります。 オススメの一冊です!!

    6
    投稿日: 2024.03.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    Audibleのために書かれており、Audibleにて聴了。津軽弁多用なので渡辺えりさんが朗読者に起用され、さすがに巧い。書籍は見ていないが個人的にはAudibleを最初に聞いてもらいたいと思う。棟方志功の妻チヤの視点でのゴッホに憧れた男の半生物語。世界の棟方になるまでの成功物語が語られる。直線の物語でやや単調かもだけど、耳で聞いてるとこういう感動ものは心地よい。Audibleは聞きながらタイトル検索して版画を観れるのでよい。これまで棟方志功の人と作品をあまり知らなかったからなおさら良い体験だった。

    9
    投稿日: 2024.03.27
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    〈 「ワぁ、ゴッホになるッ!」 1924年、画家への憧れを胸に裸一貫で青森から上京した棟方志功。 墨を磨り支え続けた妻チヤの目線から、日本が誇るアーティスト棟方志功を描く。〉 原田マハさんのアート小説はやはりすごい 引きこまれて一気読み 昔、倉敷の大原美術館で壁面に並んだ版画に圧倒されたことをありありと思い出した 弱視のため板に覆いかぶさって彫る志功の映像を見たこともある 表紙カバーをめくると現れるお釈迦様のお弟子たち ユニークで今にも動き出しそうだ 妻チヤの目線で描き切られたストーリーが何んとも切なく、力強く、そして愛しい ゴッホをこえて「世界のムナカタ」がうまれた その過程を堪能させていただきました ≪ 板上に いなづまのごと 血の花を ≫

    36
    投稿日: 2024.03.27
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    絶対上梓されると信じておりました。大好きな棟方志功を大好きなマハさんがアート小説として昇華されることを。棟方志功の足跡も知っており、ほぼほぼ作品も観てきているので、小説を読むと作品がありありと眼前に浮かぶようだった。妻チヤ子視点で進むストーリも斬新で面白かったが、疎開先の福光に行くまで(戦中)で終わってしまったのが非常に残念ではある。板画と一体となった世界のムナカタが堪能できる。「楽園のカンヴァス」のようなムナカタ作品を通じてのミステリー仕立ても読んでみたかった。

    3
    投稿日: 2024.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

     一瞬で読み終わりました。チヤさんの人柄がそうさせていると思う。ストーリーも面白いし、作品一つ一つを見てみたい!と思うし、芸術に寄り添った素晴らしい小説を書き上げていると感じます。  ただ、これは私の好みもあると思うんですが異性との恋や愛そのものが大きく描かれすぎていてまたこの落とし所なのか…と思ってしまいます。  今回の作品は芸術とチヨを明確に比較して愛って素晴らしい!というシーンもあり、ええ…比べるんだ…?と思いました。が、間違いなく没入して読める作品でした。好きです。

    10
    投稿日: 2024.03.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    原田マハさんの美術関連本は外すわけにはいかない!ただ今回は版画家。イマイチ乗り気ではなく始まったのだけれど、やはり素晴らしい。「わはゴッホになる!」強烈でした。 妻、チヤコさんの口から語られる天才棟方志功。時代のせいもあるがどうにも女性の扱いが低いのはしょうがないのでしょうね。 あっという間に読み終えてしまって、あとは画集を見るために図書館へGOという気持ちになりました。

    14
    投稿日: 2024.03.24
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    ゴッホになると大志を抱いて青森から東京へ出て来た棟方志功。 今でこそ世界のムナカタと言われてるとして、 でも東京に出てきたばっかりの時は妻子を青森に置いたまま、金も仕事も家すらない状態…… もし自分がチヤの立場だったら愛想を尽かして即捨てて逃げていただろうな…と思わず思ってしまった。 そう思うと二人の愛の強さと、棟方を絶対に支えると子供二人を抱えてミシンを携え青森から遠路はるばる東京に出てきたチヤの強さよ…女は強し。 と、痺れる様に思った。 燃える太陽の様に生きる棟方志功とそれを最後まで献身的に支えたチヤが居たからこそ棟方も世界に羽ばたいて行けたのだろうなと思った。

    6
    投稿日: 2024.03.23
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    オーディブルで拝読。あの時代にゴッホに憧れて、人生・命をかけて、生涯に渡って、力強い作品を生み出していく棟方志功の人生を知ることができて良かった。棟方志功のことを誇りに思ったし(日本人として?ちやこ目線?)、作品を人生で一度は見たいと思った。棟方志功とちやこの力強い生き方を渡辺りえさんの朗読で聞けたこと、至極の極み。原田マハさんを好きになったきっかけの本。

    7
    投稿日: 2024.03.17
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     棟方志功と聞くと、真っ先に思い浮かぶのは版画だ。この作品を読むまで、版画がどのような位置付けにあるのか知らなかったし、以前に読んだ『たゆたえども沈まず』とこんな風な繋がりがあるのだなと思いながら読んだ。  よく棟方志功のにっこりした写真を目にするが、本で読んだ人柄が表れているようだった。

    14
    投稿日: 2024.03.16
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    Amazonの紹介より 「ワぁ、ゴッホになるッ!」 1924年、画家への憧れを胸に裸一貫で青森から上京した棟方志功。しかし、絵を教えてくれる師もおらず、画材を買うお金もなく、弱視のせいでモデルの身体の線を捉えられない棟方は、展覧会に出品するも落選し続ける日々。 そんな彼が辿り着いたのが木版画だった。彼の「板画」は革命の引き金となり、世界を変えていくーー。 墨を磨り支え続けた妻チヤの目線から、日本が誇るアーティスト棟方志功を描く。感涙のアート小説。 棟方志功の活躍を妻視点で描いた作品です。出会いから始まり、都会で居候生活をし、貧しいながらも懸命に棟方をサポートします。 原田さんとアート小説となると、どこかミステリーな要素を含むのかなと思ったのですが、そういった「色」はなく、いかにして、棟方志功は世界的存在になったか。その奮闘劇が描かれています。 序章は棟方の死後から始まります。新宿の美術館にゴッホの「ひまわり」が登場するということで、妻は物思いにふけます。かつて棟方が憧れていたゴッホ。もしも生きていたら、どんなに喜んだことか。 そう思いながら、過去の出会いの場面から回想していきます。棟方の描写は、とにかく芸術に没頭しすぎながらも、愛らしい存在でもあります。ただ、売れるために遠距離になったり、生活に支障が出たりと、妻の忍耐力は凄いなと思いました。それでも、棟方を愛する姿勢は素晴らしいなと思いました。 最初は、なかなか上手くいかないながらも、徐々に徐々に作品が受賞されたり、有名な人から目が止まったりとステップアップしていきます。 生活がちょっとずつ潤っていく一方で、子供が病気になったり、戦争が発生したりと状況は一変していきます。 遠距離になっても、戦時中になっても、夫婦が共に支えていく姿にジワジワと感動がこみ上げてきました。 2人の半生を描いているのですが、若干急ぎ足といいましょうか、あまり一つ一つの出来事を深掘りせずに、意外とサラッと描いている印象があったので、ちょっと物足りなさはありました。 しかし、その分読みやすかったので、フラットな状態で読めました。 絵画の裏側では、作家の壮絶な物語があることに、今度棟方志功の作品を見る時は、じっくりと味わおうと思いました。

    17
    投稿日: 2024.03.12
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    「ワぁ、ゴッホになるッ!」ゴッホに恋焦がれた青森の貧乏青年はいかにして世界のムナカタとなったのか?40余年夫を支え、墨を磨り続けてきた妻チヤの目線で語られる、版画家・棟方志功の試練と栄光の物語。夫の成功を信じて疑わず献身的に支え続けたチヤの姿は、どこまでも美しく、いつ何時も彼への愛情で溢れていた。周りの人の愛と勇気に支えられた試練だらけの激動の人生、笑いも涙も溢れた巧みな筆致に何度も心が揺さぶられた。津軽弁がまた良い。

    7
    投稿日: 2024.03.08
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    オーディブル版が先に公開されたのか、渡辺えりさんの朗読が魅力を引出したというレビューがちらほら。そんな作品は、テキストだけで読んでも感動できるものなのか確認したくなった #板上に咲く #原田マハ 24/3/6出版 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き #読みたい本 https://amzn.to/3wLwrvm

    10
    投稿日: 2024.03.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    版画ではなく「板画」。ゴッホのひまわりに心を奪われ日本のゴッホになるべく一生をかけた棟方志功の、その人生。 極度の貧乏、極度の近眼、そして極度の情熱。 その作品はよく知っていてもその人生については全くと言っていいほど知らなかった。 原田マハの描くスコさの人生が、温度を持って目に飛びこんでくる。 紙の上の白と黒。日本人はそこに色を見、無限の広がりを感じ取る。スコさが極彩のひまわりに心惹かれながらも白と黒の世界に最高の美を追い求めたのも、日本人のその血のゆえか。 極度の近視というハンデをアドバンテージに変えていった熱量に圧倒されつつ、スコさの底抜けの明るさに魅了され、ずっと笑顔が絶えない読書時間だった。 スコさの成功は本人が引き寄せた偶然と運もあるけれど、なんといっても最愛の妻チアによるところが大きい。なんと大きな妻の力か。その妻を射止めたスコさのチヤへの公開ラブレターにはまいった、いやほんとに、まいった。これぞ幸せの見本なり。

    8
    投稿日: 2024.03.06
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    audibleで聴きました。まずaudibleだから、の感想として、渡辺えりさんのナレーションがとてもよかった!青森弁のセリフ(渡辺さんご自身は山形県のご出身だそうですが)にとても味があり、地の文の部分も耳に心地よいナレーションでした。ひとつ前に聴いた「黄色い家」のナレーションではセリフ部分が感情的にやや過剰な感じがしたので、余計にそう感じたのかも。 妻チヤの視点から語られる棟方志功はとても魅力的な人。才能に恵まれ、自分の目指す芸術に向かってストイックに猛進しつつも、家族への愛情にあふれていて、まずそこに心をつかまれます。志功に間貸ししていた同郷の松木や、志功の才能を見出してよきアドバイザーとなった柳宗悦など支援者に恵まれたのは、志功の人としての魅力が引き寄せたのだろうな、と思えます。そして志功本人も、支援者あっての自分だと分かっていたのでしょう。ゴッホに憧れた志功ですが、その生き方はゴッホと対照的で熱いというよりは温かい。 多くの人に支えられた棟方志功ですが、一番のサポーターはやはり妻のチヤ。チヤの志功推しはゆるぎなくて、この夫婦のあり方は尊い!と思いました。 ストーリーはマハさんらしく優しくて、聴き終えたあと温かい気持ちになりました。

    12
    投稿日: 2024.03.02
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    『日本のゴッホになる!』と宣言した極貧で弱視の男性が『世界の棟方』になったお話。 どの分野でも天才と呼ばれる人間は実はかなりの数がいると私は思っています。ただその才能が認められ成功した言われる人間はどれだけいるのでしょうか。 そこには運が必要でしょう。いや、運が無い人は結果天才とは言われないんですよね、生きている時には。 棟方志功はまさにその運をもった人間だと改めて思いました。 運が無かったのは彼が神様のように崇拝したゴッホ。ほんと天才とは何なんでしょうね、ゴッホと言う天才が棟方志功という天才を誕生させ、そして、彼は現役の内に天才の称号を得る、って簡単な話ではなく、棟方志功の極貧生活(もー、成功する前に子ども3人てw)を読み、柳宗悦に偶然に発見されたシーンでは鼻先が熱くなりましたよ、良かった、良かった、努力が報われて本当に良かった。 アートとはここまで命を削るものなのかと、壁に落書きしているどっかの国のオッサンもまあ、見つからないように命を懸けているかもしれませんが、一瞬美大進学も考えた大甘ちゃんな私はアートに対する意識の乏しさに大反省する次第であります。失礼いたしました。 とは言えこの天才にはチヤさんという奥様があってこそ、チヤさんの人生観、性格、全てが棟方志功を世に送り、チヤさんに出会えた棟方志功の運の良さ、そしてこの本はそのチヤさんから見た物語です。感動。

    16
    投稿日: 2024.02.28
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    感想 花はどこにでも咲く。精一杯咲く。だけど水は必要。それは人も同じ。才能があっても支えがなくては生きていけない。孤高の天才なんてきっと。

    6
    投稿日: 2024.02.26
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    アート好きなら誰もが知ってる棟方志功の物語。 妻の視点で語られます。 すごく面白かったです! 読み物として面白い! 内容も史実にそったフィクションに仕上げられていて楽しめました。 そして戦争の愚かしさについても考えさせられました。 時代背景が今と異なるのでとても新鮮です。 男女の考え方も昭和って感じです。 でも、昭和の時代の中でここまで強く生きられる女性ってすごくカッコイイ!! 終盤、惚れた男のために戦火の中へ戻る姿に感動しました。 すごいなあ笑

    15
    投稿日: 2024.02.16
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    感動した。感動した。読んでいてもう読み終わるのがとてもいやでした。もっと終わらずに読んでいたいと思いました。版画を彫るシーンは映像で見た事がありあんなに近くで彫る姿がとても印象的でした。疎開した時に版画を配送できなかった時、志功が妻チヤがいてくれるだけでいいと言うシーンはとても感動しました。この作品を読んで棟方志功の木版画をじっくり見て見たいとつくづくと思いました。あなたもこの感動作をじっくりと読んで見て下さい。

    26
    投稿日: 2024.02.13