
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ホリーの破天荒な生き方は危なっかしいけど大胆で奔放で、自分にはできないと思うからこそ魅力的だし幻想的。読み終わったら最初に戻ってまた読み始めてしまう。文章のすごさって、こういうところなのかな? 『花盛りの家』これもまたいい。ホリー同様、数年後、彼女はどこにいるのやら?と想像が膨らむ。別の方の翻訳と、ドキュメンタリー小説『冷血』はぜひとも読みたい。
1投稿日: 2022.04.02
powered by ブクログ映画版は途中で投げ出した。 高校生の頃、自由奔放で殿方を弄ぶヒロインに嫌気がさし"Moon River"を聴かぬまま電源を切ってしまったのだ。銀幕のHolly Golightlyとはそれっきり。とっくに大人になってても良い頃合いなのに、あの頃の気持ちを中途半端に残したまま鑑賞できないと、未だにツッパっている。でもあの時もったいないことをしたとさすがに自覚はしているから今回(一方的な)和解をしようと、思い切って原作から乗り込んだ。 この奔放さは「しなやかさ」か。(便利な言葉…) 18歳とは思えないくらいしなやかに世の中を、殿方が見上げる垣根の上を悠々と渡り歩き、時たま寂しがり屋にもなる猫ちゃん。映画と違う箇所は恐らくストーリーの一部と時代設定、彼女の見た目年齢かと思われる。彼女が愛してやまないティファニーも読者の記憶にはそこまで残らず、恐らく原作だけじゃここまで話題に上がらなかったんじゃないかな… それでいて村上春樹氏によるほぼ現代的な翻訳が、映画で刷り込まれたクラシカルでハイセンスな印象を多少だが取り払ってくれている。(あとがきは今まで読んできた中で一番主観的&赤裸々な書き様だった笑) 「君くらい枠に収まらない人には会ったことがない」 「それが私なの」 「読み進めるうちあるある」と言うべきか、当初は気に入らなかったヒロインの、出自やそこから生まれ出た信念を知るにつれ、少しずつだが情が湧いてきた笑 特にあの電報を受け取って以降は逞しさにも磨きがかかった気がする。 自分なんかが気にかけようが毛嫌いしようが、地表でも地底でも何食わぬ顔で生存してみせることだろう。そこが彼女にとっての「ティファニー」であればなお良しってとこか。 言い忘れていたが、本書はカポーティの短編集で『ティファニー』の他にも3編収録されている。都会的な『ティファニー』とは真逆の風合いとも言える『クリスマスの思い出』が特に惹かれたかな。飾り気のない文体はカポーティじゃなくて『ティファニー』の主人公(作家)が筆をとっているのでは?と謎の妄想も膨らませていた。締めくくりもまた『ティファニー』とは真逆だが、その分あの心象風景がそのまま心に沁み入ったのである。 村上氏の仰る通り、銀幕のHolly Golightlyとは全くの別人だった。しかし姿形が変わっても芯までは手を付けられていないと今なら信じていられるから、近いうちに会いに行ってみる!
53投稿日: 2022.03.06
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『ティファニーで朝食を』(原題: Breakfast at Tiffany’s)は、アメリカ合衆国の小説家トルーマン・カポーティによる中編小説。 題名は主人公の言う「ティファニーで朝食を食べるご身分」というたとえで、当時ニューヨーク5番街にあるティファニーは宝石店であり実際のレストランではなかったが、映画の影響を受け2017年にブランド初となるダイニングスペースがオープンした。映画版では冒頭で、(小説に描かれていない)題名そのものを直接的に表した「オードリー・ヘプバーンがティファニーのショーウィンドウを前に朝食を食べるシーン」がつくられた。
1投稿日: 2022.03.03
powered by ブクログホリーは美しさとあやうさが魅力的だけど、全体のお話としては惹きつけられなかった。どうしてもオードリーヘップバーンのイメージが強く、そのイメージを上手く払拭できなかったからかもしれない。 「花盛りの家」がお話としては一番好みでした。 私が憧れるのは、ホリーよりオティリーだなぁ。
17投稿日: 2022.01.31
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ティファニーで朝食を含む4作の中小編からなる。 そして、度肝を抜かれたのだがティファニーで朝食は食べない。 とても読みやすく仕上がっているが、特有の文体と変な女に巻き込まれる冴えない男というまさに村上春樹が書くような内容と相まって、氏の作品を読んでいるような感覚に陥った。ここは評価の分かれるところだろうなと感じた。 最後に、 同録の花盛りの家、ダイアモンドのギター、クリスマスの思い出も素晴らしい作品だったので、映画の内容を期待してがっかりして読むのを放棄した人がもしいたらこれらだけでも読んでほしい。
1投稿日: 2022.01.29
powered by ブクログ天真爛漫な主人公ホリー・ゴライトリーは、社交界でも名を馳せ、移り気の多いところを見せるが、寄ってくるセレブはいなしながら、しっかり自分の道を歩む一風変わった魅力的な女性。他に短編3作も登場人物の独特な生き方がおもしろかった。2022.1.24
1投稿日: 2022.01.24
powered by ブクログ有名なオードリーヘップバーンの映画ver.を観ていないのだが、どうやら映画とこの原作は大きく異なるらしい。そうだろうなと思ったのは、この原作はあまりに映画向きにつくられていないから。女性の憧れが詰まっていると言われているのは物語そのものの魅力ではない、意図的なブランディングのせいだ。愛と自由、自立した女性、その象徴がティファニー。キラキラした憧れは、原作とはあまりに乖離がある。醜い赤や青は、オードリーのキャスティングにおいてNGだったとか。 ホリーは愛を知らない少女だ、愛されている自分を信じて自由を選んだ少女。
2投稿日: 2022.01.23
powered by ブクログ自由気ままで謎多き美女ホリー・ゴライトリー。彼女のご近所さんの視点で彼女の生き方を捉える。 ぱっと、ホリーは目先のことに振り回されてるんじゃないかと思った。 しかし彼女にしてみれば、正直に楽しいと感じることを追いかけているだけだと分かった。 とはいえここまで劇的で身軽な人間は少ないだろう。 ホリーは貪欲に生きる楽しみを獲得しようとしている。それが周りの人物や読者を引き付けるのかもしれない。 それから美貌 −もし不細工だったら単なる変人だっただろうから。そしてホリーの人生を最高に魅力的にするために誰もが羨む美貌は必要だろうから。
1投稿日: 2021.11.14
powered by ブクログオードリーヘプバーンが映画やってるやつね〜ぐらいの知識で先に原作を読んでみた。 主人公とホリーの友情、愛情を超えた心の繋がりがとても良かった。 相手が自分に何をしてくれる訳でもなく、そのままの存在でただ幸せで居てくれればいいって思うのは究極の愛なんじゃないかな。 ホリーというキャラクターは、明暗や色がごちゃごちゃになった雲みたいな存在って感じがして、とても魅力的なキャラクターだと思う。 人間離れしているように思えて、自分の中での人間としての在り方を人生をかけて探しているから、不思議と人間臭さがある。 私もしがらみに囚われずに、自分の中の大切なものを鋭く研ぎつづける人生でありたいと思った。 村上春樹の訳がとても良い。
1投稿日: 2021.11.11
powered by ブクログ「ティファニーで朝食を」他、短編を加えた計四編の作品。表題作も含めて、「ここではないどこか」を希求してもがく人間のいじらしさ、不器用さ、純粋さ、弱さそして強さを描いた作品。 ティファニーで朝食を ホリーみたいな女性って天真爛漫さばかりが人目について誤解されやすいけど心のどこかに入り組んだ所が必ずあって、そこに僕はよりいっそう惹かれる。 「信心深いとかじゃなくて、もっと実際的なものとして自らの則に従う」こと。 卑怯者や猫かぶりや精神的なペテン師や商売女に成り下がらないなら、楽しい気持ちになるために墓だって暴く。自分の気持ちに公正であることが世間の常識に反したとして、公正さを欠いた人生に何の意味があるだろう? 花盛りの家 ちょっと不気味な欧州怪談みたいな話。後半の夢の中みたいな展開を読むと最後、ロワイヤルが来た瞬間にはオティリーは死んでいたのかもとか考えてしまう。 ダイヤモンドのギター 一番好き。文章のテンポ感はずっと変わらず、無駄な抑揚はつけない。それでも脱走の瞬間とその失敗の場面はコマ送りで脳内を駆け巡った。本当に悲しい時に涙なんて出ない。本当に辛い人は声も出さずに、大泣きしている人を慰める。ドライな文体で哀しみを表現するのがむしろ人間のリアルな姿を浮き彫りにしていて好きだ。 クリスマスの思い出 ダイヤモンドのギターが印象強すぎて、結構後半まで内容が入ってこなかったが最後の一段落だけでお釣りは十分すぎるほど。 「まさにそのとき、それが起こったことが僕にはわかる。電報の文面も僕の秘密の水脈がすでに受け取っていた知らせを裏づけたに過ぎない。その知らせは僕という人間のかけがえのない一部を切り落とし、糸の切れた凧のように空に放ってしまう。だからこそ僕はこの十二月のとくべつな日の朝に学校の校庭を歩き、空を見わたしているのだ。心臓のかたちに似たふたつの迷い凧が、足早に天国に向かう姿が見えるのではないかという気がして。」
7投稿日: 2021.10.23
powered by ブクログそういえば読んだ気がする。 海外の名作みたいなのに触れ始めた時期に読んだけど、そこまでハマらなかった気がする
0投稿日: 2021.10.20
powered by ブクログ授業で英語版も読んだ。 テストには、「あなたはホリーの姉です。ホリーの生き方に何と助言をしますか」という問題が出た。
0投稿日: 2021.08.31
powered by ブクログ人種差別とか薬物の話がこの時代から書かれていたのが意外だった。 ホリーの謎めいた感じがたまらなく面白くて、結末は良い意味で期待を裏切られた。 「ティファニーで朝食を」というタイトルから明るい話なのかと思ったら、そこも違った。 けど、このタイトルが例えで表していることを見た時に、その表現の豊かさに感動しました。
1投稿日: 2021.07.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
カポーティの文体がとても良かった。 比喩表現が特に見事で、「そんな例え普通思いつかない」と言った驚きと同時に、的確に思えて納得してしまう。おしゃれというか、スタイリッシュというか、素敵な文を書くなぁと思った。 “ティファニーで朝食を”はすごく面白かった。 ただの超自由人かと思いきや、彼女なりにいろいろ考えながらも生きているホリーに惹きつけられる主人公。 先の展開が気になって、忙しい中でも読むのは苦じゃなかった。 “クリスマスの思い出”は、とても短く、特に印象に残るお話だった。 カポーティの小さい頃の、年の大きく離れた親友とのお話。 貧しい暮らしではあるが、毎年クリスマスになると、頑張って貯めたお金でたくさんのケーキを作る。遠くまで木を切りに行き、クリスマスツリーを立て、自作の飾り付けをする。そして2人で自作のプレゼントを送り合う。 そんなお互いを思いあう親友との思い出の話。 暖かく切なくて、ジーンときた。 これまで読んだカポーティのお話で1番好きだった。
1投稿日: 2021.06.17
powered by ブクログすごく面白いストーリーと文章だっただけに、短編ではもったいない感じがしました。 ある程度の尻切れ感は覚悟して読み始めましたが、もう少し膨らませてほしかったです。 それでも映画よりは好き。
1投稿日: 2021.06.13
powered by ブクログ不正直な心を持つくらいなら、癌を抱え込んだ方がまだましよ。 このセリフに彼女のすべてが詰め込まれているような気がします。
1投稿日: 2021.05.12
powered by ブクログ映画「ティファニーで朝食を」を以前見ていて、あまりいい印象を抱かなかったものの、アメリカ文学に触れてみたくなって手にした本書。映画版とはいい意味で印象が違っていてとても良かった。ホリー•ゴライトリーの懸命さとやるせなさ、弱さを感じた。表題の他には三作の短編が収録されていて私は「ダイヤモンドのギター」が好き。
1投稿日: 2021.05.01
powered by ブクログ表題作を含む4つの短編集。このうち『ティファニーで朝食を』『花盛りの家』は、天真爛漫でまっすぐ恋する女性の姿をブレることなく最後まで描ききっている。人を盲目的にさせる恋愛の要素も作用しているだろうが何より、彼女たちが本来持っている無垢で直情的な部分が滲み出ており、自分にはないその人物像に羨望や憧れのようなものを感じた。作品全体には牧歌的な雰囲気があり、陽だまりにいるような心地にさせてくれる。訳は村上春樹ということもあって非常に読みやすく、また彼の特徴的なレトリックも堪能できて、二度美味しかった。
18投稿日: 2021.04.24
powered by ブクログ中三春、読了。 ホリー・ゴライトニーの、自由気ままな生き方がとても好きでした。続けて2周読みました
5投稿日: 2021.04.08
powered by ブクログずっと読まなければと思いながら先延ばしにして、やっと手に取った。 あぁもう予想を超えて遥かに素晴らしく、余韻がすごい。 映画も未見だったのだけれど、先に観なくてよかった。やはり映画は原作とはまったく別物に仕上がっていたのだということを訳者あとがきを読んで再確認したし、これだけの読書体験の後ではもはや観る必要もない気がする。 「グレーテルのかまど」という番組で「クリスマスの思い出」のフルーツケーキを取り上げた回を以前に見たことがある。 カポーティの人物像を「でこぼこ道をおんぼろトラックに乗って、傷つきやすい心をホコリまみれにしながら、なのにすました顔をして生きたスピード感、疾走感…」と評していた方がおられて、それがものすごく印象的で心に焼き付いていた。 奔放で夢見がちといわれるようなホリーの性格は私から見れば決してそのような言葉通りのものではない。それらはむしろ人生におけるどうしようもなさのようなものをよく知っているからこその、哀しい性なのだろう。 登場人物がちゃんとその人として活きていて、彼らの発する言葉や行動に不自然なところがなく、すっと物語に没入させてくれる。 ホリーの生きる上での持論みたいなものも、それをカポーティ自身が言わせてる感がないのがすごいなあと思う。そういう台詞の裏に作者の姿が透けて見える作品と、きちんとその物語の登場人物の息づかいが感じられる作品の違いってどこにあるんだろう。 またこの物語の、というかホリーの魅力を引き出しているのは何色にも染まっていないような主人公の力によるものも大きいのではないかと感じる。主人公のもつナイーブさや、彼女を干渉しすぎず、でも少し離れた場所からいつでも見守っている感じ。彼女を束縛し独占しようとする男ばかりだったからこそ、そこには彼女の心の琴線に触れるものがあったに違いない。 読み終えて冒頭に戻ると分かるラストの独白のもつ感傷の軽さや儚さもまた良い。 どの短編も素晴らしくこれから何度も何度も読み返したい大切な一冊になった。
1投稿日: 2021.03.29
powered by ブクログホリーの人生観に凄い惹かれました。 少し破天荒な、自分を貫こうとする姿勢、それが彼女の本紙での行動とセリフから沢山滲み出てました。 ストーリーは最初読み終わった瞬間「え?!これで終わりなん?!はぁぁぁぁ?!」って驚きしかなく、腑に落ちませんでした。ですが、よくよく深く考えると、ホリーの破天荒な性格と主人公の僕には一番現実的な、悲観的でありながら前向きな終わり方以外しっくり来ないなぁって思いました。 とりあえず映画も見てみたいです
2投稿日: 2021.03.04
powered by ブクログ三宅香帆さんの書評に惹かれて読んでみました。 だいぶ前に観た映画版のイメージのまま、ホリーは華奢で天真爛漫でふと何処かに飛んでいってしまいそうな女性だと思っていたけれど、原作を読むと、天真爛漫さの中に人間的な切実な気持ちが垣間見えたような気がします。 「不正直な心を持つくらいなら、癌を抱えた方がまだましよ。だから信心深いかとか、そういうことじゃないんだ。もっと実際的なもの。癌はあなたを殺すかもしれないけれど、もう一方のやつはあなたを間違いなく殺すのよ。」 書評の中にもあったけれど、この一文は至極のフレーズですね。 のんびり生きているとうっかり忘れている、自分の人生に対する切実さを思い出させて貰えました。 他の短編も描写が凄く丁寧で面白かったです。
2投稿日: 2021.02.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『誕生日の子どもたち』が非常に良かったので、カポーティの小説を掘り進めるべく購入。恐らく小説以上に映画が有名なのだろうけど、古い映画はあまり観たことがない(同じくオードリー・ヘップバーンが主演を務めた『ローマの休日』は先日観たばかり。危なかった)ため未視聴。原作と大きく毛色の異なる作品に仕上がっているそうなので、先に小説を読むことができてよかった。 <ティファニーで朝食を> 美貌を活かして男たちを金づるに生きる奔放な女性ホリー・ゴライトリーと、彼女が気になっちゃた優しくて人畜無害で便利な男に成り下がった「僕」。ホリーと体を重ねられずとも、愛情を独り占めにできなくとも、彼女にとって何か特別な人間になれたというだけで喜びのようなものを感じてしまう「僕」は、非モテの自分には何となく理解できるようでもあるし、馬鹿だなあとも思える。 雑誌に自分の文が掲載されることを報告に行った「僕」に対するホリーの対応など、この「僕」の情けなさといい描写の妙といい、強く強く印象に残っている(p.84)。 ホリーは「落ち着き場所」が手に入らない不安に満ちた人生を送っており、またそうすることでしか生きていけないような人物だ。それに対し、何かしてあげたくても、大して何もできない(と感じているだろう)「僕」の、決して埋まらない溝のようなものが切なかった。 小説を読むときに、特に昔は、悲しい物語を読むときに「どうしたら幸せになれたのだろうか」と考えることが多かったが、最近はそうでもなくなった。とりわけ、こうした物語を読むと、ハッピーエンドがまるで見えてこないのだ。回避できない虚しさや悲しさ、それが原罪のように登場人物にのしかかっている。 <花盛りの家> 都会の売れっ子娼婦がド田舎に嫁ぎ、クソみたいな姑を引いてしまい、良い感じに死に追いやり、夫を捨てるチャンスを手に入れ……という話。。 さっさと田舎すてて華やかな世界に戻っちゃえばいいのにね、とも思ったが、以前読んだ短篇集『誕生日の子どもたち』に描かれたような少年時代を、この物語のヒロインは享受していない。彼女が意識して、あるいは無意識に欲していたものが何なのか明確に指摘することはできないけれど、そんな何かが彼女の新生活の中に含まれていたのだろう。 <ダイアのギター> 刑務所で平穏な生活を送る50代の男、ミスタ・シェーファーの元に現れた、生命力に満ちた若者。彼により自分が生きていることを思い出し、同時に今まで死んできたことも思い出す話。 世界が明るいことを知るも、同時に自分がそこに辿り着けないことも知る。何とも後味の悪い短篇。
1投稿日: 2021.02.27
powered by ブクログ美しくて、自由奔放で、どこか掴めない。我儘かもしれないけど、自分にどこまでも正直でとっても魅力的でした。映画も見てみたいな。先に本に出会えてよかったです。 他の短編も通してキャラ作りがとても上手だなあと感じました。
0投稿日: 2021.01.27
powered by ブクログ訳者があとがきで述べるように、確かにこの主人公の女性はオードリー・ヘップバーンでは無い、かもしれないが、まぁ別にオードリー・ヘップバーンでも良い、ようにも思う。 他の短編も含めて、本書に出てくるような女性たちが「魅力的なヒロイン」として位置づけられることは、この小説の書かれる時代まではなかったんじゃないかと(感覚的には)思えてしまう、「当時としての斬新さ」みたいなものを感じさせる。
2投稿日: 2021.01.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
映画を先に観てからの小説だったのでホリーをとても魅力的で可愛い、愛くるしい人って思えるけど(オードリー・ヘプバーンが好きだから。)共感はできない。お行儀が悪くて我が儘って思う。よく言えば天真爛漫で自由奔放(これは褒め言葉の部類に入らないと思うけど)。野生の生き物の話の時もそれは、転嫁して誤魔化してる。人間は野生でないもの。映画のエンディングの方が好きだな。小説の方の猫ちゃんがとても可哀想。映画の僕の方がかっこいい。映画と小説は別物なのだ。映画なしで読んでいたら、ホリーに寄り添えた気持ちになれただろうか。 14歳で結婚し、ホリーは大人、早くに大人だった。境遇によって大人にならさざるを得なかった。 自分の居場所を見つけて笑顔でいて欲しい。
7投稿日: 2021.01.03
powered by ブクログ『ティファニーで朝食を』というタイトルが印象的で、読んだことはないがタイトルは知っているという人もいるはずだ。この小説は映画化もされていて、オードリー・ヘップバーンが主演したことで有名になった。オードリー・ヘップバーンの印象が強い人が多いだろうが、原作の小説は映画とかなり異なる。『ティファニーで朝食を』は、ニューヨークを舞台にした、自由奔放なホリー・ゴライトを中心とする青春小説だ。 映画では成熟したホリーと魅力的な男性との大人の恋といった感じだが、原作では自由奔放なホリーが、様々な出会いを通して成長し、自分らしく生きる様が描かれている。なので、映画と小説は別物として思った方がいいかも。
2投稿日: 2020.12.31
powered by ブクログ友人曰くオシャレ×オシャレ。 カポーティのモダンな雰囲気と村上春樹のナルシストな雰囲気がうまく融合してる作品。 気楽に読めました。今度は映画観てみよう。
0投稿日: 2020.12.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『ダイヤモンドのギター』が一番ぐっと来た。特に「生きているというのはすなわち、思い出すことなのだー魚が溌剌と泳ぎ回っている茶色のは川や、女性の髪に映える陽光やらを。」の一節が心に残った。ミスター・シェーファーの人生から寂しく悲しく感動するのは人間としてちゃんと生きているからだということを知った。 『ティファニーで朝食を』は奔放だけどもてる女性のパイオニアがホーリー・ゴライトリーなんだろうなと思った。ラストシーンの猫が他人の家で過ごしているところとホーリーゴライトリーのリオデジャネイロからの手紙から人間の本来持っている図太さみないなものを感じ爽やかな読後感だった。 『花盛りの家』は夜の仕事をする人も別に暗いことばかりじゃないと普段私が思っていることと重なり、共感できる内容だった。 『クリスマスの思い出』は年を越えた友情に心がほっこりした。また友人との別離を経験するバディーから、自分の経験してきた友人たちとの別離の切なさを思い出した。
2投稿日: 2020.12.25
powered by ブクログ村上春樹訳は読み易い。 やはり、同じ時代を生きる人の訳だからだろうか。 私は村上春樹が好きだ。 上品でソフト。 ただ、今回の訳は、なんでだろう、心に刺さる部分が減っていたように感じた。 瀧口直太朗さんの訳と比較することは失礼なことなのかもしれない。 それでも、あえて言ってしまうと、瀧口訳のほうはぐっと心に刺さる言葉があった。 村上訳は読み易くソフトな分、ホリーのきつさのようなものが削がれてしまっている気がする。 訳の仕方で、言葉や内容の細部も変わっているように思った。 翻訳の面白さを感じた。 村上春樹氏の解説が面白かった。 うなずきながら読むとともに、私も原文を読んでみたい、という気になった。 英語はゆっくりしか読めないけれど。
1投稿日: 2020.12.17
powered by ブクログホリーは気まぐれだけれど、小悪魔のように魅力的。何を考えているか分からないようで、何かしらポリシーのようなものは感じられる。 映画は見たことがあるが、原作を読むのは初めて。映画と違って、ラストで主人公はホリーを捕まえない。それによってホリーがより謎めいて見える。
0投稿日: 2020.12.13
powered by ブクログ1940年代ニューヨークを舞台に港区女子の半生を描いた本。 社交場という名のクラブ、ホームパーティーという名の宅飲み、現在の港区に置き換えると非常に分かりやすいです。 初めて読んだ10代の頃には気付けなかったホーリーゴライトリーの魅力を発見できたので是非今一度読み返してほしい一冊です。 美しく自由奔放だが依存体質のある女性、きゅんです!
3投稿日: 2020.10.23
powered by ブクログティファニーで朝食を (和書)2012年07月23日 20:54 2008 新潮社 トルーマン・カポーティ, 村上春樹 オードリー・ヘプバーンの映画を見た記憶がある。しかしこの本を読もうと思った動機は津島佑子さんの「本のなかの少女たち」の中でホリーが取り上げられていたからです。映画の内容は忘れてしまったけれど、僕自身はあまり良い印象は持たなかった気がする。もう一度映画も観てみようと思う。 この作品は僕的にはかなり良い作品だと思えました。こんなに良い作品ならもっと前に読んでおきたかったな。 村上春樹の翻訳でそれなりに面白い意見も聴けて翻訳も悪いところは無いと思うし丁度良かった気がする。
1投稿日: 2020.09.26
powered by ブクログホリーが、自分にとってのティファニーを、心のオアシスを求め続けている姿が物悲しかった。「ティファニーで朝食を」以外の短編でも、オアシスの渇望、叶えられない希望、諦め、それらがとても印象的だった。 幸せや心の拠り所を探して生き続けるけど、求めてるものはなかなか見つからない。手に入っても、満たされるかは分からないし、いつまで続くか分からない。それでも生き続ける人間の物悲しさが、生き生きと明るく、でもどこか寂しく表現されていて素敵な世界観だったな。 自分の居場所を見つけたホリーの猫、ホリーの幸せを願う僕。ラストの描写は心に迫るものがあるけれど、どこか寂しい。 感覚的で鋭利なタイプの本とは逆で、一つ一つが与える効果を考えて構成された本な気がした。だから、心にまざまざとした印象や、傷跡を残していくタイプの本ではなかった。直接的な描写が積み重ねられているけれど、どこかふわふわしていて、柔らかに何かを心に残していってくれた。個人的にずっと冷血が気になっているけど、彼の他の作品とはタイプが違うだろうから、冷血を読む前にこの本を読めてよかったと思う。これ以前の本も機会があれば読んでみたい。 あとがきの村上春樹の言葉には納得する部分が多々あって、彼の洞察力や表現力は流石だなと思った。カポーティにしか表現できない美しくも悲しい世界観、イノセンスの表現、彼と執筆についてなど。 「ティファニーで朝食を」はとても映画向きな小説だと思うからこそ、小説の世界観が全面に出ている映画が創られたら観てみたいなと思う。
11投稿日: 2020.08.24
powered by ブクログ人物描写はめちゃくちゃ良いと思う。けど村上春樹が絶賛するほどの良さは感じられなかった。翻訳小説が苦手なのかも。出来ればまたもう一度読んでみたい。
0投稿日: 2020.08.14
powered by ブクログホリーがとても魅力的で、またティファニーの描かれ方も好きではあったけど全体の内容としてはそこまで惹きつけられなかった。表題以外の3つの短編の方が間延びせず読みやすくて面白かった。
1投稿日: 2020.08.05
powered by ブクログ最初読み進めているうちに思ったのは、いつティファニーで朝食を食べるのだろうかということだった。 ホリーは人生のアカを落とすための方法としてティファニーに行って美しいアクセサリーを眺めるということを挙げた。誰にでも突然不安になることはあるだろうが、それを解消する方法は人それぞれなのだということを改めて確認した。 読み始めた時には、本書の映画が存在する事を知らなかった。本を読む際には主要な登場人物を親しみのある俳優、女優に当てはめて読み進めていくのだが、ホリーを特定の女優に当てはめるのは難題だった。結局、長い髪が虹のように輝いていてセクシーで美しい女性という抽象的なイメージで読み進めていった。しかし、40ページくらいまで読んだところで、本書の映画にてオードリーヘプバーンがホリーを演じていると知ってからは、気づかぬうちにホリーをヘプバーンに当てはめて読んでいた。その結果、それまで想像していたホリーの妖艶な色気はヘプバーンの持つ可愛らしい色気へと変換された。読んでいて違和感があったが、逆にそれがホリーの特異さを際立たせ、ホリーの行動に目が離せなくなっていたと思う。映画は大ヒットしたらしいが、そういう浮世離れを感じさせる違和感も大ヒットの一因なのではないかと思った。 結局、最後までティファニーで朝食を食べるシーンがなくて残念だった。本書の題名は、現在所在不明のホリーが「ティファニーで朝食を食べるような、優雅で、常識外れで、また、ホリーにとって幸せなことをしていて欲しい」というフレッドの想いを表したものなのではないかと思った。
1投稿日: 2020.07.18
powered by ブクログ他の短編小説も読んで、どれも心に残るお話であった。 どのお話も想像が広がる。そんなお話であった。2020.7.17
0投稿日: 2020.07.17
powered by ブクログ軽快で乾いていてさらっと読めました。 「ティファニーで朝食を」の映画は観たことがないのですが、ホリーはオードリー・ヘップバーンのイメージはないです…オードリーは上品な気がします。ホリーはもっと蓮っ葉な感じ。 「私は違うな。何にでも慣れたりはしない。そんなのって、死んだも同然じゃない」という台詞がぐっときました。自由なようで、思い切ったひとりの生き方だなと思います。 「クリスマスの思い出」が素敵でした。7歳の僕と、60過ぎのおばあちゃんの友情、いつまでも続かないのだろうなと切なくなりつつ、ほのぼのします。 村上春樹さんは翻訳の方が好みかもしれない。。
3投稿日: 2020.06.15
powered by ブクログ儚さと破天荒さが同居するホリーが、コケテイッシユな女として魅力的に描かれていて、映画ですでにヘップバーンのイメージが出来上がっていたからか、情景が思い浮かべながら読む。 象徴としてのティファニー。 アカとアオの対比。これは原書ではどんなワードで表現されていたのだろう? 「わたしとしては普通よりは自然になりたいんだぁ。」 続く3つの短編も2人の人間の間の微妙な感情が描かれていてよかった。 古典として時の試練に耐えうる小説と消えていく小説の違いは何だろう? 2020.5.23
12投稿日: 2020.05.23
powered by ブクログ表題作の中編は、破天荒というか破滅的なかわいい女がすごくいい。刹那的な気持ちは分かるような。 クリスマスの短編は、単体で読みたいと思っていた作品で、思いがけずこれに収録されていてよかった。絵付きのがほしい。 やはり文が読みやすくて、慣れない翻訳作品でも楽しめる。
4投稿日: 2020.05.21
powered by ブクログ表題作は、タイトルに密かにこめられた哀しさが響き渡り、叶わない祈りとなる物語だった。主人公ホリーの幼少期の壮絶さはどれほどだったのだろう。アメリカの作家はこういう視点を揺るぎなく持っている。底のない哀しさだ。 「花盛りの家」 設定の過酷さに反して、カラッとした幸福感がある。 「ダイアモンドのギター」 監獄のような状況だからこそ信頼が生きる希望になるのだが。その信頼とは? 「クリスマスの思い出」 哀切な物語。老人の孤独、子どもの純真さがかけがえのない友情をもたらす。
2投稿日: 2020.05.13
powered by ブクログ"イノセンス" あとがきを読んで「しまった」と思った。ティファニーで朝食を=映画&ヘプバーンの印象がこびりついてしまっている私は(といっても映画はみてないが)、小説で描かれるホリー像をヘプバーンに当てはめてずっと考えてしまっていた。いやあ悔しい。小説に忠実に映画化するとしたらエマ・ストーンは適役なのではと思う。凛とした役も多い彼女だけど、バードマンで演じた野暮ったい雰囲気の役も良かった。 花盛りの家"再生"のイメージ ダイヤモンドのギター 無邪気さゆえの愚かしさ 無邪気というベールにかかった罠にひっかかった時、生み出す絶望感 クリスマスの思い出 全てが輝いていたあの時
0投稿日: 2020.05.05
powered by ブクログティファニーで朝食を、私は映画もあまり観ないので全く先入観無しに、私の想像のホリーで読めてとても面白かった。 自由奔放に生き、出会った男を片っ端から虜にしていく。でも本当はティファニーのような場所を求めている。明るくみんなに優しく、でも理解者はおらず、とても孤独で、それをどこか諦めつつ今を楽しく過ごすような女性。 ティファニーのような場所を見つけるため、部屋に必要最低限のものしか置かないところも、猫に名前をつけないところも、彼女の孤独に感じる。 華やかな生活を送りつつも、なんとなく彼女の存在がずっとふわふわしているのはそのせいかなと思った。 最後の終わりは物悲しいけど、冒頭に続くならまだホリーの物語は続いているということなのだと少し安堵した。(複雑でもあるけど、それが彼女の人生なんだなと) ほかに入っている短編の、花盛りの家、ダイアモンドのギター、クリスマスの思い出、全て面白かった。村上春樹が少し苦手なのでじりじりドキドキしながら読んだけれど、ぐんぐん読めた。
2投稿日: 2020.04.04
powered by ブクログ正直感想を書くのが難しい。個人的には好きな小説では無いが、ホリーの「普通に.ではなく、自然に、」この考え方は心に残った。 もう少し大人になってから再読したい。 (大人とは?)
1投稿日: 2020.03.28
powered by ブクログ映画のイメージが強く、ついついオードリーをイメージしてしまうが、それ以上にホリーはとても魅力的。川端康成の「雪国」の駒子との相違は、日本との違い。冒頭のアフリカ原住民の木彫像、ホリーがその後も世界を相手に自由に生きていると、読み終わって願わずにはいられない。
0投稿日: 2020.02.02
powered by ブクログ『ティファニーで朝食を』 この作品の名も無き主人公は脇役的存在だ。恋愛物でヒロインと結ばれる主人公の近くにいて、ヒロインが好きな友人と同じカテゴライズだ。ヒロインと結ばれることは絶対に無く、ヒロインの頼みはハイハイと聞いて、居なくなっても一生思い続ける。白雪姫の言うことは何でも聞くが、白雪姫とは付き合えないという7人の小人みたいなものだ。 ホリーは、近くにいて欲しくないワガママ女だけど、自分の能力をフル活用する所と、思い切りの良さは見習える。 映画とは違う物語で、映画の甘いハッピーエンドや主人公のアメリカナイスガイっぷりよりは哀愁があって良い気がした。映画だって、抱き合ってエンディングだけど、あの後すぐに別れるでしょう。綺麗事すぎる気がしていたので、ホリーが外国へ行って消息が分からなくなる小説の終わりはかなり良い。 余談だが、「彼女が死んじゃった。」を思い出した。あのドラマはホリーが死んで、その死因を探す男の話なのかもしれない。好きなドラマの行間が、違う作品を通して読めるようになるのは嬉しい事だ。 『花盛りの家』 オティリーはハイチで娼婦をやっている。両親はいなくて、恋というものをしたことがない。 オティリーがロワイヤルという男と結婚をした。それは恋だった。そして亡くなった祖母の呪いを解くために木に縛り付けられて、昔の仲間達に助けられても、元に戻してくれと言った。死んだふりでもして、ロワイヤルを心配させようとして少し微笑む。 下手なことでも無い限り、この純粋な愛は継続されるだろう。両親が死に、農家に拾われて重労働、その後は娼館で客を取り、好きな人ができて結婚。自分の手でレベルアップをして幸せを勝ち取ったのだ。 『ダイヤモンドのギター』 ホモセクシュアルな話だと思った。 もう長いこと刑務所のいて、死ぬまで出られないシェーファーが、ティコという新入りと仲良くなる。ティコの脱獄に付き合うが、足がもつれて置き去りにされてしまう。 ティコという存在は、年をとったシェーファーにとって輝かしい過去の象徴だ。忘れていた希望の光でもある。 シェーファーが過去を追いかけても、それは叶わない。 『クリスマスの思い出』 老婆と7歳の従兄弟の生活は非常に無垢で、セレブな著者の生活とは真逆な二人がクリスマスの支度をする。すぐに壊れそうな、その輝きになんだか居た堪れなくなる。 老婆の行動は子供のようだ。少しボケたのか、元からそうなのかはわからない。その行動を見ると、無垢や純粋を表現したかったのだろう。無垢への憧れは、キリスト教の土壌がそうさせるのか、はたまたアメリカがそういう土地だからなのか。 綺麗で切ない小説だった。特に純粋さを感じたのは、大統領にケーキを送って、それを食べてもらえてるかなと想像するところで、これを切ないと感じるのは私が大人だからだ。微笑ましいノスタルジーを感じている。 老婆は無垢のまま亡くなった。少年は学校へ行き、老婆との子供の時代が終わり、これからは大人の世界に足を踏み入れる。聡明そうな少年なので、きっと大丈夫だろう。美しい過去の記憶を、モノトーンの世界で思い出しているかもしれない。
0投稿日: 2020.01.31
powered by ブクログ黒いドレスに、肘まである黒い手袋を身につけ、それとは対称的な、光輝くティアラとネックレスを身につけた少女が、一方の手で肘をつき、もう一方の手ではキセルを持ち、こっちをじっと見つめている。 映画は観たことがないのですが、オードリー・ヘップバーンの『ティファニーで朝食を』の写真は、鮮烈に印象に残っています。女性を「妖精みたいに可憐で可愛い」と思ったのは、今のところあの写真を見た瞬間だけじゃないかなあ。 そんな映画の原作を含む中・短編を、四編収録したのがこの作品集。表題作目当てで読み始めたのですが、思っていた以上に他に収録されていた短編も、味わい深い短編ばかりでした。これはうれしい誤算! まずは表題作の『ティファニーで朝食を』 あとがきでこの本を訳した村上春樹さんも触れていますが、ヒロインのホリーの描写は、オードリー・ヘップバーンのイメージとは少し違うかもしれません。自分の場合はとにかく可愛く、魅力的な少女というイメージが植え付けられていたのですが、原作のホリーは自由気ままで、男性関係にも積極的。可愛らしく健気な妖精というよりかは、悪戯をしてクスクス笑うタイプの妖精といったイメージでしょうか。 でも、この悪戯好きの妖精のイメージも好きだなあ。個人的にホリーの魅力は彼女のおしゃべりにある気がします。自分が話し下手なせいもあるかもしれませんが、流れに棹さすかのように、次々と縦横無尽に話を展開していく女性はスゴいなあ、と圧倒されることが多々あります。油断すると置いて行かれるような話の展開は、自分は聞いていて好きなのですが、ホリーのおしゃべりにもそれに似たようなものを感じます。だから、彼女がただしゃべっているだけでも、ずっと読めるような気がするくらい好きなのです。 この人物造形をやってのけたカポーティと、そのおしゃべりの訳を見事にやってのけた村上春樹さんはとんでもないなあ、と思います。そして話が進んでいくごとに、ホリーの隠された半生が明らかになり、そこから導き出された彼女なりの哲学というものが、感じられるようになるのです。そこでまたホリーの魅力が増すわけですね。 悪戯好きの妖精と書いたけど、まだヘップバーンのイメージに引っ張られてるかなあ。陳腐な表現ですが、嵐のような人が一番正しいのかも。でも、その嵐って実際に来てる瞬間は迷惑ですが、さしたる被害もなく通り過ぎてくれれば、強風や強い雨という非日常。そして学校が休校になる、というワクワク感だけが、後に残ったりもします。ホリーの存在もはた迷惑なところはあるけど、でも一方で思い出さずにはいられない。できるならまた会ってみたい、そんなふうに思えます。 そのほかに収録されている短編は3編あるのですが、それらとこの表題作の共通点は、自由への希求と過去への郷愁のような気がします。 「花盛りの家」のヒロインのオティリーも、個人的にはホリーに負けない魅力的なヒロイン! 不幸な生い立ちながらも、ひょんなことから娼館で一番の人気者となり、その後恋に落ち、小さな集落のある村に嫁ぐことになるオティーリー。しかしそこで待っていたのは、今までと全く違う生活と新しい嫁を良く思わない姑で…… オティーリーの前向きさというか、物事の捉え方や対処の仕方が面白かったし、夢か現実か分からない不思議な展開から、ちょっとお茶目でキュートな結末まで、様々な魅力のある作品だったと思います。でも一方で、これは世の男性に対する警告だよなあ、と思わなくもなかったり(笑) 「ダイアモンドのギター」「クリスマスの思い出」は何かを企む楽しさやワクワク感を見事に表現する一方で、寂しさやもの悲しさも印象的な作品。いずれも短い短編なのですが、この短さで楽しさやワクワク感と、もの悲しさを両立させるのがスゴいと感じます。そして何よりラストの切り取り方と、そこから抱かせる読後感はもはや名人芸! いずれの作品も回想形式であったり、あるいは過去の思い出というものが話に関わってきます。その回想や思い出というものは、いずれも状況は違えど、楽しさやキラキラ感がどこかにあったように感じます。おそらくそれは、登場人物たちの自由への思い、自由だった時代への思い、というものがあるのではないでしょうか。 有名すぎて、なかなか読んでこなかった作品ですが、やっぱり名作といわれるゆえんのある作品なんだなあ、と感じました。いずれは映画版『ディファニーで朝食を』も観たいなあ。
17投稿日: 2020.01.13
powered by ブクログ2019.10.10 映画はまだ見たことがなくって、今更だけど読んでみようと思って手に取ったものの、、 あんまり好みな作品ではなかった。 彼女をオードリーヘップバーンが演じたのかと思うと想像できない!映画もちゃんと見てみようと思った。 ダイヤモンドのギターと、クリスマスの思い出の方が好き。 村上春樹のあとがきもなかなか読み応えあって楽しかった。
0投稿日: 2019.10.11
powered by ブクログティファニーで朝食を。自分の中では「名前は知っているけど読んだことは無い本ランキング」ナンバーワン!w 「人生を狂わす名著50」で紹介されていたので、良い機会だと思って手にとって見た。 いやー、良かったね。映画版でオードリー・ヘップバーンが演じたホリー・ゴライトリーはとっても魅力的。元祖・ニューヨークの女!って感じ?その言動、振る舞い、暮らし方はとにかく都会的。 ホリーに入れ込んだある男性は、彼女を以下のように表す。 「今のあの子はあんたにはどんな人間に見えるかね?睡眠薬をひと瓶空けて人生を閉じ、あんたはそれを新聞記事で知ることになる――まさにそういうタイプの娘なんだ」 (続きは書評ブログでどうぞ) https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E5%85%83%E7%A5%96%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%AE%E5%A5%B3_%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%81%A7%E6%9C%9D%E9%A3%9F%E3%82%92_%E3%83%88%E3%83%AB
4投稿日: 2019.09.21
powered by ブクログ2019.8.6 46 ティファニーで朝食をってこんな物語だったんだ。クリスマスの思い出もよかった。
0投稿日: 2019.08.06
powered by ブクログはぁ…素敵だった。映画もすごく好きだけど、やっぱ村上春樹の訳、いいな。すごくあってる。村上春樹の作品自体は毛嫌いしているのに翻訳物だとなんでこんなすんなり入れるんだろ。ニューヨーク旅行にいくので気持ち高めるために読んだけどすごくよかった。ティファニー行くのが楽しみ
6投稿日: 2019.07.28
powered by ブクログ表題作『ティファニーで朝食を』のヒロイン「ホリー」は、映画版のオードリーヘップバーンのイメージが強いが、村上氏があとがきでも述べているようにいい意味でもう少し下品で天真爛漫なキャラクターであった。映画版はオードリーヘップバーンに助けられその支離滅裂な展開にも関わらず名作扱いになってるが、原作は音楽を聴くように小気味よく流暢に言葉が紡がれ、ホリーの自由人的表層と居場所を渇望する深層が対比的に描かれ「もし別の人生があったら」というテーマが伝わってくる。(まわりに居たら嫌なタイプだが) 表題作のほか短編3作品を収録。「村上春樹」訳が見事にマッチしている作品だ。
4投稿日: 2019.07.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
映画を先に観ての読了。あらすじが全然違って驚いた。映画の方が話が単純で分かりやすいラブコメになってたと思うが、小説は難解で、私には理解できなかった。一緒に収録されてる「ダイヤモンドのギター」が面白かったというか、完成された作品だと思ったので星よっつ。村上春樹が訳しているからか、全体的に村上春樹の世界観に近いなあと思った。訳者が変われば雰囲気も変わるんだろうか。表現はところどころ詩的でうつくしい。例えば「ダイヤモンドのギター」のラスト、「彼の指は弦の上をさまよい、それから世界の上をさまよう。」という表現には、友人に裏切られたことの行き場のない痛みがこめられているようだった。
0投稿日: 2019.07.17
powered by ブクログ2019/07/07読了 (ティファニーで朝食を、のみ。花盛りの家・ダイアモンドのギター・クリスマスの思い出 未読) 本来のわたしの好み的に、そもそもそんなに外国文学読んでないからか、あんまり面白さ!ってのを感じられなかった… ホリーのキャラの可愛らしさとかを描写しようとしてたのかなー。くらいにしか… わたしにはまだ早かったかな? 映画見てたので、 女たるもの、口紅もつけずにその手の手紙を読むわけにはいかないもの。 って言うセリフはやっぱ目にとまるなぁ。ステキ
1投稿日: 2019.07.07
powered by ブクログ有名すぎるタイトルとアメリカ文学のゼミに所属している手前読んでおかなくてはならないと思い手に取りました。 映画も見たことがなかったので勝手にタイトルとオードリーヘップバーンのイメージから「優雅なお嬢様の1日」を描いたお話なのかなと思っていたのですが全然違いましたね。なんだろう常にもどかしい気持ちになるお話でした。 英文じゃなくて翻訳されてる物だけどどうしても教科書を読まされているような気持ちになってしまうんですよね笑(英文科所属) 短いのにとても読むのに時間かかってしまった。まだまだ修行が足りないということですかね
3投稿日: 2019.07.07
powered by ブクログ映画は観ていないが、有名な作品であることと、村上春樹の訳ということもあり読んでみることにしました。 私の読解力不足と古典ということもあり、この作品の魅力の全てを読み取ることが出来たとは思わないが、映画のように場面が美しく変化していく様を文学を通して味わせてもらったという心持ちになりました。 ホリーの手紙の内容など、本当に秀逸だと思った。 表題作と一緒に収められていた短編作品群もまるで映画を観ているような心打たれるものがありました。 今度は映画で表題作を観ようと思います。
0投稿日: 2019.04.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「普通より自然になりたい」(『ティファニーで朝食を』p.81) 頭のなかを洗うためによんでみたら、おもしろかった。ホリーはヘプバーンみたいな上品なひとがやったらあかんわ。アニメにするのもありかも。大学生のとき、英語で読まされたけど、とーぜんわからんかった。映画をみるとよけいわからなくなるかも。都会派小説は波長があわんと思っていたが、年を食ってきたら読めるようになってきた。
0投稿日: 2019.02.22
powered by ブクログ映画は見ていないけれどそれでもオードリーヘップバーンのイメージが頭にあったためか読み進めていくうちに思っていたのと違うなと思った。 他の短編も同じく、思っていたのと違った。 それが悪いという意味ではなく。
0投稿日: 2019.01.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
間違いなく村上春樹の文体だけど、努めて平易な文章としている様子で、たいへん読みやすかった。 ティファニーで朝食を。 幼い頃に観た映画の印象は「ヘプバーン印の作品」で、彼女のお姫様みたいな上品さとか小粋さ、お洒落で小生意気な雰囲気を活かした作品て感じだ。 それはそれで魅力的だしもちろん名作なのだけど、原作は映画とは随分異なる。 ホリーは全然お姫様じゃない。 軽率で、性的なことも含めてあけすけで、台風の目みたい。それでいて子供みたいに無垢な部分もあって、へんてこにアンバランスな女の子。 呆れるほどのトラブルメーカーのくせに、しかも都会的な気配りや鷹揚さも身につけている。 こんな娘に懐かれたら、すっかり骨抜きにされちゃうだろうな。 彼女が最も眩く輝いていた瞬間が描かれているこの物語は、明るく爽やかなのに退廃的にも見える。ほんの少しだけ。 映画『キャバレー』のサリーを連想してしまった。 読解力不足で、この作品の表現せんとするものを掴むことができていない。 兄の死とともに封印したもの。 ホセと暮らし、野生を捨てたように見えるホリー。 ホリーが猫を放したとき、「猫も私もお互いのものだった」と言う。猫と一緒に失ったものはなんだったのか。 ほか、花盛りの家。恋に恋したオティリーが、最後まで少女性を失わず、ついに現実に勝利する。手に入れた可愛らしい家、愛する旦那様。無邪気なオティリーにホラーを感じた。 ダイアモンドのギター。文字から映像が見えてくるようで、この作品も映画にしたら綺麗だろうな。 無垢で野生的な存在の若きティコと、朴訥として良識ある人間シェーファーとが対比的に描かれている。 歳をとると、若さの素晴らしさが嫌でも理解ってくる。 シェーファーは若さに惹かれ、憧れ、自分にも重ね合わせてみるわけだけども、見事に期待は打ち砕かれて、また元の日常に戻る。 なんともやりきれない。 老いと若さをそんな風に切り取られたら、胸が痛くなる。 クリスマスの思い出は別な本で読んだので割愛。 どの物語も胸に響く素敵なものだった。 あとがきを読んで、『冷血』も読んでみたいなと思った。
3投稿日: 2019.01.18
powered by ブクログ映画を観たことがなくて、純粋に小説の世界を楽しめた。 ティファニーで朝食を、から、クリスマスの思い出、まで、まさに珠玉の作品が編まれている素敵な1冊だった。 とくに、クリスマスの思い出、は、ほんとうに文章が美しくて想像できる世界が美しくて、思わず音読したら気づいたら涙が出てきてた。なんかすごい体験をした。
0投稿日: 2018.12.19
powered by ブクログオードリーヘップバーン主演の映画で有名なこの作品。なんと映画を観たことがないので、先入観なく読めた。村上春樹が訳者あとがきで「映画の先入観なしで読んで欲しかった」と述べているが、そこは良かった。確かにオードリーではイメージが違う。もっと洗練されていない泥臭い感じがする。学生時代にこういう子何人か居たのを思い出した。ふらっと学校辞めて小劇団に入ったりとか。懐かしい。カポーティは初めて読んだけど、ふと振り返ると人生の中で一瞬だけ、もう手に取ることのできない輝きを切り取るのが上手いのかな。他の本も読んでみよう。
0投稿日: 2018.12.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
映画の印象=ティファニーなのは否めないけど、オープンエンドで、「真のまやかし」的な終わり方をする小説の方が好き
0投稿日: 2018.11.26
powered by ブクログ村上春樹さんが訳すアメリカ文学は、ワタシの好きなジャンル の一つ。 古き良きアメリカってこういうものなんだろうなぁ、と想像を かきたててくれて、全体に流れる空気の質感が心地いい。 この文庫には、あまりにも有名な表題作のほか、三つの短編が 収録。ワタシには、表題作よりもむしろ、この短編の方が面白 かった。 特に、最後の『クリスマスの思い出』がいい。 それから、はずせないのは、村上春樹さんによる『訳者あとがき』。 村上さんのあとがきからは、自分が訳した作品と作家に対する 愛情がいつも滲み出ている。 今回のあとがきもその例にもれず、愛情たっぷり。
0投稿日: 2018.11.18
powered by ブクログ主人公の女の子たちが、とにかくキュート。 さすが、村上春樹訳と感じさせられる微妙なニュアンスのある文体。とにかく、主人公の女の子たちの、わがままで、まっすぐ、自由奔放な女の子たちに魅了されました。
0投稿日: 2018.08.01
powered by ブクログ宝石のような美しいお話だった。 ホリーが女性として、とても魅力的。 「癌はあなたを殺すかもしれないけど、もう一方のやつはあなたを間違いなく殺すのよ」 ホリーのこの言葉に狂いそう。 自分に正直に生きると自らを殺しかねないような癌を抱え込むことにもなり得る。 不正直な心を持つことは癌よりも確実にあなたを殺す。 私は、前者の選択をしているだろうか。
0投稿日: 2018.06.03
powered by ブクログ愛というのは広く許されるべきもの 何度も読んでいる大好きな作品である。ポールがホリーを見る視線には恋愛感情が全く含まれていないことに何度目かの再読で気がつく。家族愛、友情ともちがう名づけようのない関係性。作家の興味から生まれる、好奇心に端を発する人間関係。 パトリシア・ハイスミス「キャロル」に出てくるキャロルとホリーはどこか似ているような気がする。バイセクシャル女性の表象?ただ単に私の好みかもしれない。
0投稿日: 2018.03.24
powered by ブクログ映画のティファニーで朝食を、は見たことなく。 タイトルだけなんとなく知っている、ほかのカポーティの本も読んだことない状態で読んだ。 でも、私としてはかなり久しぶりに最後まで読みきれた本。 表題作は前半の様子があまりイメージできず、ホリーの奔放な様子に、???という感じだったけど、後半の怒涛の展開にビックリし続け、そして、気がついたら終わったという感じだった。 映画の方もまた見てみたいなぁ。 また、一緒に収録されていた短編は展開がわかりやすく、おもしろかった。 花盛りの家、ダイヤモンドのギター。 どちらも現実の場所から逃げれなかった(逃げなかった?)のが印象的だった。 2018.3.9.
1投稿日: 2018.03.11
powered by ブクログニューヨークの生活、黒人への態度、戦争。 そういった時代背景をわかっていると、より深く読めるのだと思う。 でも知らなくても、ホリーにとにかく夢中になれた。 チャーミングで自由で危うい。 彼女を素敵だとも憧れるとも思わないけれど、 実際に話したら振り回されちゃうなって思った。
0投稿日: 2018.01.25
powered by ブクログ映画を先に見ていて、「あれ?どんな作品だったかな?」と思い出せないでいた。 村上春樹さんの文章が気になりはじめていたので、翻訳という事で購入。 「あれ?映画見たときこんな話だったっけ?」と思いながら読んでいた。 どうやら映画とは少し違うらしい。あとがきにあるようにどうしてもオードリー・ヘップバーンが浮かんでいた。 個人的には、「花盛りの家」の一部分だけツボりました。仕返しがね。 トルーマンカポーティの、24歳で書いた長編処女作も読んでみたいと思いました。
0投稿日: 2017.10.31
powered by ブクログ名作中の名作を読んでみる。ホーリーを取り巻く全ての人たち。彼女は常に自由を欲しているのかと思ったら、自由に生きざるを得ないのかな、と思い直した。彼女が本当に欲していたものは一体なんだったろう?単純に魅力的な女は罪深いなぁと思った笑 映画が楽しみだ
0投稿日: 2017.10.08
powered by ブクログ夏の新潮文庫プレミアムカバーでティファニーカラーに惹かれ購入! 再び読むことになったのだが、私も大人になったのか以前読んだ時にはない面白さが。 自由な主人公の女性だけど、何か儚さも持っている、そこが私にはとても魅力的に映る。 映画とは原作はストーリーが違う。 映画も好きだけど原作の方がもっと好きかな!
0投稿日: 2017.09.19
powered by ブクログ2017新潮文庫プレミアムカバーの、ティファニー・ブルーの表紙に惹かれて購入。 アパートメントの階下の住人、気まぐれで可憐なホリー・ゴライトリー。彼女はいつでもどこでも彼女らしく、話し方、生き方が魅力的! 彼女の奔放な生き方に振り回されつつ、惹きつけられる取り巻きの一人になりたい。 p116
0投稿日: 2017.08.13
powered by ブクログオードリーの映画を観て、とても良かったので原作も読んでみた。映画は高校生のときに初めて観て、そのときは全然ぴんとこなかったけど、今回は非常に面白く感じたので。 原作は映画とは違っていた。特に、主人公の雰囲気と、ラスト。
1投稿日: 2017.08.03
powered by ブクログとっても良かった 宝石みたいなお話の集まりだった 他に何も付け加えられなくていいし、解説とかもいらない 全部おとぎ話みたいな話で、先が想像できないものだった ティファニーで朝食を、は泣いてしまった。ホリーの生き方を読んだら、私もこんな風になりたいって思ってしまうよね。 花盛りの家はとても心を穏やかにさせてくれる話だった。 すごく素敵な話の塊で、著者が好きになった、心が浄化されたようでずっとこの話の世界の中にいたいくらい。 真面目に何かを学ぼうとしなくてもいい、こんなこともあったんだよって、のんびり座りながらお話をきいてるみたいな、でもどこかで自分が変わったような後味をくれる、本当にいい話だった(ボキャ貧) 他人と比べることなくのんびりと自分の好きなことをして生きていきたい。 「正直さが大事なの、人を好きにもなろうとしないくらいなら」っていうホリーの言葉が一番胸に残ったかな 何度でも読みたいと思った
1投稿日: 2017.07.31
powered by ブクログ表題作は、めそめそした主人公がいいし、ホリーのイノセンスがセックスと分かち難く結びついているのがまたいい。どもりの女の子は、英語にして想像するとなんとなく印象が変わる。ギターの歌がドクのエピソードにつながったり、首を吊ってニュースになるタイプの女の子だという話がフレッドの死のいざこざに繋がったり。 あとは、やはり最後の雨の中の別れ。こんなに素晴らしいシーンを他には知らない。 クリスマスの思い出も、しみじみと好き。耄碌してしまった無邪気なおばあちゃんと主人公の子どもは、イノセンスという共通項でつながっている。そして、ずっと昔から親友だったというけれど、そんなことはないんだ、それは君の夢なんだ、という哀しさ。主人公が全寮制の学校に入ってからも映画代にしてくれと小銭を送ってくるおばあちゃん、もうそんな年齢ではなくなってしまっている主人公。一方は死に、一方はイノセンスを葬って大人になる。 村上春樹の解説にもあるし、内田樹がどこかで論じていたけど、イノセンスを保持しながら生きていくことはできない。だから私たちは大人になる。そして、イノセンスが描かれた物語を読む。 そして、自分も大人になったので、誰かのイノセンスが可能な限り長い期間失われないように守ってあげられるのは、イノセンスを捨てた大人だけだということもよくわかっている(フィリップマーロウ!)。
1投稿日: 2017.06.11
powered by ブクログ「村会春樹 翻訳ほとんど全仕事」を読む中で、再読したくなり引っ張り出した一冊(のはずが、保有していることをすっかり忘れて二冊目を買ってしまった)。 「都会のフェアリ・テイル」とも称される表題作は、ホリー・ゴライトリーの奔放な自由さが魅力的であると同時に、その奔放さを生み出すエネルギーとして幼年時代の悲しさが、心を打つ。こうした両面性をこれだけのソリッドな文章の中で描けるカポーティの文章力は、やはり何度読んでも感銘させられる。 個人的に好きなのは、ラストに収められた「クリスマスの思い出」であり、カポーティの作品で1つ選べ、と言われたらこの短編を選ぶかもしれない。少年期の持つイノセンスさを、彼はなぜここまで結晶化された形で描くことができたのか。カポーティの才能の神髄はこの鋭すぎる感性にあったのだということを改めて実感する。
1投稿日: 2017.05.21
powered by ブクログ映画は観た事あるけど、原作は初めて。 全然違うとは知ってたけど、私は映画も小説も両方好き。 映画のホリーはオードリー•ヘップバーンにハマってたけど、小説のホリーはまた違うタイプで想像が膨らみました。 他に3編の短編も入ってるけど、 どれもカポーティの新境地って感じで、読んでて心が和んだ。 特に、『ダイヤモンドのギター』に出てくるミスター シェーファーの存在感に圧倒された。 翻訳が村上春樹氏なので、たまに村上春樹の本を読んでるような錯覚におちいった。
0投稿日: 2017.04.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
正直、どこが面白いのか、さっぱり?。主人公ホリーの立ち振る舞いにも、勝手にすれば、としか思えなかった。こんなタイプとかかわりを持ちたくないと思っているからか。それにしても、ホリーの評価も割に高い…。うーん、感受性が鈍磨してるのかなぁ?
1投稿日: 2017.01.24
powered by ブクログどの話の女の子も可愛らしかったなぁ、とか 恋は盲目なのかぁ、とか 裏切られた親友かぁ、とか。 なんだろうな。幸せであってほしい、ってそう思った。
0投稿日: 2016.12.10
powered by ブクログ名作と言われる今から70年以上昔の物語。 とてもスタイリッシュな印象を持っていて絶賛している人も多く読んでみたがだめだった。 読んだ時期が悪かったのか疲れているのか物語に没頭することができなかった。
0投稿日: 2016.08.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なんというか、村上春樹の作品だな、と。 最初に訳したのは彼ではないと思うけど、"Breakfast at Tiffany's"を「ティファニーで朝食を」と訳したのは素晴らしいと思う。 「ティファニーで朝ごはんを食べるときにも、このままの自分でいたいの」(63頁) 「彼の物語は、人々の抱えるイノセンスの姿と、それがやがて行き着くであろう場所を、どこまでも美しく、どこまでも悲しく描き上げていく。」(訳者あとがき、280頁)
0投稿日: 2016.08.11
powered by ブクログカポーティの短編集。 有名な表題作の映画は見ていないけれど、 さすがにオードリーがこんなだったらいやーだ 苦笑。 「ダイヤモンドのギター」が切なさこみあげる。
0投稿日: 2016.07.26
powered by ブクログ何故男達はホリーを求めるのか。読み終えて自分もその中の一人になっていた事に気付いた。急に寂しさを覚えるが、野生の動物はそこで出会うから素晴らしいのだ。
0投稿日: 2016.07.10
powered by ブクログ映画は観たことないのだけど、オードリーのイメージが強くて、ホリーゴライトリーにオードリーを被せて読んだけれど、なんとなく違う感じ。 ホリーはとても魅力的だ。名刺がミスホリデーゴライトリーなところもいい。名刺をティファニーで作ったというエピソードが好きだ。
0投稿日: 2016.06.28
powered by ブクログカポーティの文章は、本当に無駄がないなと思った。 小説を書くことそれ自体が無駄みたいなもんだけど、だからこそ、無駄のない文章は素敵だと思った。 短編はどれも素晴らしかったけど、表題の「ティファニーで朝食を」が最高だった。
0投稿日: 2016.06.23
powered by ブクログどの邦訳を読むかによって海外作品の印象は大きく変化します。 こちらの作品には、「2008年 村上 春樹」「1968年 龍口 直太郎」版があります。もちろん、初読するなら村上版をオススメします。68年では使われていなかった言い回しを含め、少々わかりにくい部分があるのです。文中に注釈が入るのもちょっと読みにくいです。 村上版では、瀧口版の良さを崩さずに今の人にもわかりやすく邦訳してくれています。会話はとくに気を使っているのを感じます。 他に、瀧口版ではフレッドは弟なのに対し、村上版では兄。映画に合わせたのでしょうか? 抜粋しますので、比べてみてください。 下記 http://books117117.blog110.fc2.com/blog-entry-5087.html
0投稿日: 2016.05.10
powered by ブクログ社交界での話題を独り占めするほどの若く美しい女性、ホリー。 そのホリーと出会ってしまった作家志望の主人公。 主人公目線からのホリーの様子が描かれています。 映画は観ていませんが、聞いたことはあるので、オードリーヘップバーンをイメージしながら読みました。 時代が時代だからか、どの人もが希望にあふれていながらも、生きるのに必死、というような人間臭さを感じました。 ホリーも天真爛漫というよりは破天荒、いや、むしろその言動はむちゃくちゃです。 でも、当時はこんな女性が魅力的だったのかなぁ。 日本の豊かな現代にどっぷりつかった私には理解しがたい時代背景と人間模様です。
1投稿日: 2016.04.17
powered by ブクログ映画の方は幸いにと言っていいかわからないけど見たことがなかったので、先入観なしに読むことができました。とは言え映画の主演のオードリー・ヘップバーンはあまりにも有名だったので、彼女の面影を思い浮かべることはありましたけど、でも、この小説のホリー・ゴラトリーのイメージとオードリーさんがあまり重ならないのだけど??という困惑も感じました。ホリーの枠にはまらない自由奔放さとオードリーさんの清楚で高貴なイメージが結びつかないからです。多分小説は小説、映画は映画で独立した魅力があるんでしょう。他の短編も含め、心にアカが染みていない輝かしい人生の瞬間を写真に撮り収めるように、美しい文体で書き残した小説、という雰囲気でした。
1投稿日: 2016.03.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
名前だけは聞いたことのある名作。気になっていたのですが中々手が出せなかった作品でしたが、村上春樹さんが翻訳をされていたのを見つけたので、思いきってこの機会に読んでみることにしました。 出てくるヒロインのホリーが、「気まぐれで可憐、そして天真爛漫」と本の裏側に書いてあったので、凄く明るく強かで無鉄砲な女の子を想像していたのですが、思ったよりも情緒不安定な節があり驚きました。物語の中盤までは、書いてある通りの女の子で、数々の男の人を虜にしているホリーですが、ホリーの魅力であるミステリアスな部分が剥がれ落ちていく後半では、暗く感情的な部分が露になっていき、魅力が半減したかなぁ、と私はがっくりきてしまいました。 男の人にとっては、こういう弱い部分も含め、ホリーの魅力なんでしょうかね?私はどちらかというと江國香織さんが書くような、人前では絶対弱音を吐かない、涙も流さない、みたいな強がる女性の方が好きだなぁ、と感じました。 ですが、ラストの猫を見つけるシーン、本当に綺麗にまとまっていて、さすが名作と言われるだけあるな、と感動しました。 この本は、端正な文体と魅力あふれる人物造形で著者の名声を不動のものにした作品集、と紹介されていましたが、本当に魅力的な人物ばかりだったと思います。カポーティの作品、他にも読んでみようかなぁ…。とりあえず、この表題作の映画を見てみます!
0投稿日: 2016.03.12
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映画と違う雰囲気で、これはこれで良かった! 映画よりもビッチなホリーゴライトリーと、映画よりも気弱で奥手な僕。 名前のない猫ちゃんがストーリーに奥行きを。 歌はムーンリバー? 他の作品もよかった。 テーマは信頼、信用、愛、そしてそれの消失。 花盛は嫁姑問題の確執、ギターは囚人達の夢と裏切り、クリスマスは子ども目線の冒険譚と死別の記憶。 蛇足だけど、主演はヘプバーンじゃないよね。モンローでしょ。
0投稿日: 2016.02.19
powered by ブクログ非常に魅力的な小説だった。映画の方は恥ずかしながら見ていないのだが、こちらは少なくともとても好きな作品だと思った。ホリー・ゴライトリーにヘップバーンはどうなんだろう…… 彼女のように奔放で、芯が強く、しかしどこかとらえどころのない女性が嵐のように通り過ぎていくという話が大好きだ。それからラストシーン、主人公が猫を再び見つけるシーンは心に染み入る良いシーンだと思った。あのシーンで、作品が綺麗に結ばれ、名作だなと思った。
1投稿日: 2016.01.07
powered by ブクログ今更ながら、名作をあらためて読んだ。主人公ホリーは、若さと自らの容姿ゆえの、性に対する開放性や無邪気さが、なんとも魅力的。加えて、儚さや脆さもそこにはあり、刹那な美しさと寂しさも描かれている。村上春樹が憧れるカポーティの世界には、やはり村上春樹の作品と似た魅力があると思った。
1投稿日: 2015.12.07
powered by ブクログホリー・ゴライトリーといえば奔放とか天真爛漫とか、個人的にはそれどころじゃない。 人生の哀愁を自分の憧れに滲ませてこっそりうっとり語る「それはティファニーみたいなところなの」この品位に目頭が熱くなった。
2投稿日: 2015.11.22
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「ティファニーで朝食を」 とにかくホリー・ゴライトリーが魅力的。彼女は奔放で野性的、そしてなによりも非常に不安定な女性だ。現実で身近にいたら関わり合いになりたくないと思いつつも魅かれてしまうんだろうなと思う。 訳者あとがきにもあったが、彼女が「嫌ったらしいアカ」から解放されて安寧を手に入れることはないような気がする。彼女は一生不安定なままで、いつか決定的に転落してしまうのだろう。なんて儚い女性だろう、そしてそれゆえに美しい。 主人公が安易にホリーと恋愛関係にならないところがいい。主人公は明らかにホリーに魅かれているのだが、あくまでも友人関係で終わる。それだからこそ主人公はホリーという人間の核のようなところを垣間見ることができたのではないかと思う。 また、本書では「ティファニーで朝食を」以外にも三篇の作品が収録されていて、そちらも面白い。特に「花盛りの家」は結末が好きだ。著者は野性的で奔放な野兎のような女性を描くのが上手いなと思った。
1投稿日: 2015.11.15
powered by ブクログ「ティファニーで朝食を」の主人公ホリーと言えばヘップバーンというようにあの有名な映画を思い浮かべます。でも原作はあれとはちょっと違った自由奔放なホリーがいて、確かに映画のオードリーも素敵でしたが、それ以上にかわいらしくて気まぐれで、でもなにかすっと芯が通っているような魅力あふれるホリーがいたのです。こんな女性見たことありません。映画以上に好きになりました
1投稿日: 2015.11.12
powered by ブクログ表題作の「ティファニーで朝食を」は一番好きな作品の一つ。龍口直太郎の訳と比べて読みやすい。 「クリスマスの思い出」もなんとも優しさと、哀愁を感じる話でとても好き。
0投稿日: 2015.10.26
powered by ブクログホリーのように自分の考えをもっていて、それを人に伝えられるような、そんな人間になりたい。 これを読んだ後に映画を観たが、その順番でよかった。 4編のなかで1番好きなのは「クリスマスの思い出」。どうしようもない切なさに襲われた。過去が美しければ美しいほど環境の変化は悲しい。
0投稿日: 2015.10.04
powered by ブクログ「クリスマスの思い出」が一番好き。7歳の僕の親友は60歳を超えている。2人は一緒にフルーツケーキを作り、もみの木を見つけに行き、凧を贈り合う。
0投稿日: 2015.09.22
powered by ブクログ「ティファニーて朝食を」 映画のパッケージやタイトルのイメージとかけ離れた内容だったが、とても好きなタイプの小説だった。映画を見たことがなくて良かった。 どうしてという理由もなく、何となく波長があって友達になった人たちの、思い出をのぞくような内容のお話だが、主人公の二人が少し自分と似た性格だったのでグイグイ引き込まれた。 他の作品も可愛かったり、切なかったりといい感じのものばかり。すぐに読み終わってしまった。
0投稿日: 2015.09.21
