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朗読者(新潮文庫)
朗読者(新潮文庫)
ベルンハルト・シュリンク、松永美穂/新潮社
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総合評価

381件)
3.8
90
129
112
16
5
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    読み終えて思うのは、悲しみでもなく、怒りでもなく、もちろん感動でもなく、この複雑な気持ちをどう表現したら良いのか困っています。やはりこれは個人の意思ではどうすることもできなかった過去の戦争犯罪に巻き込まれてしまった個人が、その人生を狂わされてしまった悲劇の小説だと思います。 物語の前半は、15歳の主人公ミヒャエル・バーグが、ある出来事をきっかけに、母親と言ってもおかしくないほど年上の独身女性36歳のハンナ・シュミッツと出会い、彼女に恋愛感情を抱いて彼女の家を訪ねては関係を重ねる様子が描かれます。 ミヒャエルにとっては思春期の男子ゆえ、異性に対して心が惹かれるというよりも身体の欲求が先行した一方的な恋愛感情であったように思いますが、対するハンナはミヒャエルのことを「坊や」と呼び、どのような感情でミヒャエルを受け入れていたのか、私の頭では素直に理解ができずモヤモヤした思いのまま読み進めました。 ただ、何故かいつもハンナは「なにか朗読してよ、坊や!」と、ミヒャエルに本を朗読して聞かせて欲しいと求める関係でもありました。 そんなことが続いたある日、ハンナはミヒャエルの前から突然姿を消すことになります。 ミヒャエルは手を尽くして探しますが見つけることはできませんでした。 その後、大学生になったミヒャエルは、法学部でナチス時代の過去の行為を裁く裁判を傍聴し研究するゼミに入ります。ある日、裁判所で被告人としてのハンナの姿を目にするのですか、彼女はナチス時代のユダヤ人ホロコーストに関わっていたという罪で裁かれており、ここでミヒャエルは初めてハンナの過去を知ることになります。 裁判を傍聴し続けたミヒャエルは、 「彼女は僕を捨てたのだし、僕を騙していて、僕が見ていたような、空想していたような人間ではなかった。それに彼女にとって僕はなんだったんだろう? 彼女に利用された小さな朗読者、彼女を楽しませた小さな愛人?」 などと考えて距離を置こうとしてしまいます。 しかし、ハンナが過去の戦争犯罪について、個人として罪の意識を抱えていることを知り、またずっとハンナが隠していた不遇ゆえのあまりに切ない秘密(いつも本を朗読して聞かせてほしいと求めていた理由でもあります)に気づくと、 「僕はハンナを、今まであり続けたような、これからも彼女が自分でそうあろうとしているような状態に置きたくなかったのだ。僕は彼女に関わらないわけにはいかなかった。」 とハンナが隠している秘密ゆえにハンナにとって不利に進行する裁判について、ハンナが公平な裁判を受けられるよう、そして過去に苦しみ続けているハンナを助けようと考えます。私もミヒャエルの良心と行動力に思わず期待しました。しかし、裁判長に面会できても結局何も行動には移せないまま終わってしまい、これには私も失望しました。 いよいよ判決が下る日、驚いたことに、ハンナは罪に問われた過去の職務を遂行したときの服装(制服姿)で法廷に現れ、潔く判決を受け入れます。 それはハンナにとっての、せめてもの主張であるかのように思え、個人としては善悪を判断する余地のない戦争犯罪すなわちその制服姿で遂行した組織的な行為への裁きとしてとらえる一方で、個人の責任としても受け入れたように思えました。 もしハンナがきちんと教育を受けられる環境で育っていたら、裁判で不利な扱いを受けることもなく、そもそも裁きを受けるような職務に携わることもなく、ハンナの人生は全く異なっていたに違いないと思います。不条理という言葉が頭をよぎります。 やがて、18年が経過しハンナの刑務所からの出所が決定しますが、私自身予想してはいたものの、最も恐れていた形で出所することなく終わります。 ハンナは我が身の不遇を嘆き、過去の戦争犯罪への良心の呵責に苦しみ、その一方、ミヒャエルは本を朗読したカセットテープをハンナに送ることはあっても、逢おうとはせず手紙すら書かず、ハンナと過ごした過去の事実を遠ざけ意識的に逃げていたような気がします。ハンナは敏感にそれを感じていたのだと思います。私はミヒャエルの行動を責める気持ちがある一方で、私がもしミヒャエルだったらどうしただろうかと考えると、悩ましい気持ちであることも事実です。

    0
    投稿日: 2025.11.11
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    親子ほど年の離れたハンナとの恋、ナチの強制収容所をめぐる裁判、服役中のハンナとの交流。 恋愛小説かと思いきや、メインはナチズムの戦争犯罪だった。 まだ自分が産まれてもいない時代の罪を、我が事のように捉える。 この“集団罪責”に共鳴できず戸惑った。 これは…人種の違いなんだろうか。 でも世界的ベストセラーになるってことは、メジャーな考え方といえるよね。 服役してまである事実を隠したいハンナの心情も分からなくて、モヤモヤしてしまった。

    7
    投稿日: 2025.09.14
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    親子ほどの歳が離れた二人の情愛と突然の別れ、そして戦争の影を伴う再会のお話  以下、公式のあらすじ ----------------------- 過去に犯した罪をどのように裁き、どのように受け入れるか――。 数々の賛辞に迎えられて、ドイツでの刊行後5年間に25カ国で翻訳され、 アメリカでは200万部を超えるベストセラーに。  15歳のぼくは、母親といってもおかしくないほど年上の女性と恋に落ちた。「なにか朗読してよ、坊や!」──ハンナは、なぜかいつも本を朗読して聞かせて欲しいと求める。人知れず逢瀬を重ねる二人。だが、ハンナは突然失踪してしまう。彼女の隠していた秘密とは何か。二人の愛に、終わったはずの戦争が影を落していた。 現代ドイツ文学の旗手による、世界中を感動させた大ベストセラー。 -----------------------  15歳の主人公ミヒャエルが病み上がりの不調を介抱してくれるという偶然出会った36歳のハンナ ミヒャエルはハンナと恋に落ち、学業に復帰した傍ら、彼女の家を訪ねては逢瀬を重ねる 出会う度に朗読をせがむハンナ ただ、二人の関係はハンナの突然の引っ越しによって終わりを告げる その後、大学で法律を専攻したミヒャエルは、ゼミで傍聴した裁判でハンナを見つける 彼女は、ユダヤ人の大量殺害事件に関わっていた疑いで告発されていた 真摯に受け答えをするハンナだが、何かを隠すようにやってもいない罪を認める 彼女が隠したかった事を察したミヒャエルは裁判長に進言しようとするが…… そして、その後のハンナとの再会   36歳と15歳のお姉ねショタはどうなんだ? まぁ、ハンナはミヒャエルを17歳だと思っていたようだけど、それでも19歳差 20歳と41歳だとしたら許容できなくもないけど、これは流石にいけないのではなかろうか?  物語の序盤でハンナの隠し事は察しが付く 名前を敢えて尋ねるところとか、そもそものタイトルの朗読をせがむあたりはそうなんだろうなぁと容易に思い至る 失踪に至る過程にしても、もっとやりようはあったと思うけれども、彼女にとってはそうするしかなかったのだろうなぁとも思う   そして裁判所での再会というか、発見と彼女の過去の罪の発覚  ユダヤ人をアウシュビッツ収容所に送った罪 囚人の移送中に起こった火事で、教会の鍵を開けずに見殺しにした罪  他の看守達はハンナに罪を被せるような発言をする 事実とは異なる証言でも、隠し事を暴かれたくなくて受け入れるハンナ  彼女の隠し事を察し、その事を裁判長に進言すれば罪は軽くなるかも知れない しかし、彼女が隠したがっている事を自分が暴露してもよいのかという葛藤 無実の罪を被ろうとしてでも隠したいという想いを汲み取るミヒャエル  大学に入学した頃は、まだハンナへの想いはあっただろうけど 裁判所でハンナを見つけた際には、明らかに気持ちが醒めているように思う なので、既にこの時点で彼女への想いはとっくになくなっている もし彼女と今後も何等かの形で関係を持とうと思うのであれば、裁判長に言っていたと思う  その後もコンタクトを取ろうとしないし、刑務所にも朗読のテープは送っていたのに、手紙は頑なに送っていない なぜ手紙を書かなかったのか?という疑問もあるけど 恐らく、ハンナに対して疚しい気持ちや負い目、もしくは見下した感情があったのではなかろうか  ハンナが出所する際に所長から相談されたときの反応もそう ハンナの面倒を自分が見るという事に対する戸惑いや困惑、もしくはある種の嫌悪感も読み取れる だからこそ、ハンナの最終的な選択に至ったようにも思える  ただ、ハンナはその前から食べ過ぎであったり体を洗わなかったりと、自分を顧みない行動を取っているわけで ミヒャエルの態度だけではない可能性もあるけど、それでもやはり最後の引き金であったように感じる   物語として読んでいるからこそハンナの隠し事には容易に気づく事ができるけど 実生活でこんな人に出会っていたら、私は気付けるだろうか? ハンナの特徴に限らず、人は何か隠し事をしていても察する事ができないかもしれない なので、周りから見て愚かな行動をしている人は、もしかしたら何か隠したいものがある人かもしれない」んだよな   前半の歳の差恋愛という雰囲気から、後半は戦争犯罪と世代間の問題がテーマになっている 戦争当時に生まれてすらいなかった世代に、罪や責任はあるのか? 若い世代に「罪」はないが、「責任」はあるというのがドイツの認識のようだけど 果たしてこれもどうなのだろうね?  日本でも同じ事が言えるだろうか? 特に、既に戦後80年が経過した現在において……  もちろん、当時の日本が犯した罪から目を背けてはいけないけれども 戦勝国に反省する要素はひと欠片もないのか?という疑問もある  そして、当時生まれていなかった世代の人間が背負わなければいけないのか?  国としての罪と責任はあるけど、ただその国の人として生まれただけの個人にそこまで責任を負わせる必要はないと思う ただ、その国で生まれ育ち、どんな思想を持つのかというのは個人の問題だし その結果、培われた思想はその人の責任だろうな

    7
    投稿日: 2025.08.25
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    これはね舞台がそもそも難しい。 日本人には特に。 あとね普通に倫理的に無理って人がいると思う。 人を選ぶ小説だなと。 全体的な雰囲気は嫌いじゃない。 景色が浮かぶ。 映画を観てみようかなって思った。

    0
    投稿日: 2025.06.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第二章からグンっと重いテーマになった。 2人だけの物語であれば、もっと違う結果になった気がするけど、ハンナの過去を考えると本の結末が妥当な気がする。主人公は手紙を書かなかったけど、きっと、書いたところでこの結末は変わらなくて、 やっぱり重い。 重いし、もっと違う結末を望むけど、読んで良かったと思える作品。

    1
    投稿日: 2025.04.04
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    前半の青年の妄想小説のような展開はなかなかインパクトがあるが、中盤以降、ムードは打って変わり、過去の隠された事実、ハンナを取り巻く悍ましい事実が明らかになる。前半が濃密な生の時間だとすれば、裁判以降の章は死の時間のような。時間は前に進んでいるはずなのに、主人公の意識は後ろへ後ろへと遡り続けている。ハンナを愛することは、先代の大きな過ちを肯定することになるのか?次代の子は過去にどのように対峙すればよいのか?もはや歳の差恋愛の物語にはとうに収まらず、加害の歴史をその直接の経験がない世代はいかに受け止めることができるかという、歴史認識のあり方を読者に問う物語だった。この問いは、日本人にも投げかけ考えさせるべきものだと思う。

    0
    投稿日: 2025.03.31
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    久しぶりに海外作品を読了、きっかけはなんらかのネット情報。ハリウッドで映像化されており、主演女優を演じたケイト・ウィンスレットはアカデミー主演女優賞を獲得した模様。お手頃価格もあり購入、読了した。以下ネタバレあります!注意してお進みください。 1960年代の西ドイツ、15歳の少年が36歳の魅力溢れる女性と出会う、彼はすぐに恋に落ちこの世の春を謳歌するのだが、半年たらずで彼女は姿を消す。消せない喪失感をともに彼は成長していくが、司法修志の道を選んだ彼の前に彼女が忽然と姿を現す。ナチス戦犯の被告人として。 と、年若い少年と年上の女、15歳と36歳という年齢差、一般的には36歳の女性はまさに女の盛と言えようが、21歳年若の男子とそういう仲になるのは道徳的にどうなんかな?と、気をまわしてしまうほどに二人の成描写が溢れている。15歳の少年、当然初めての経験をして彼女にのめり込んでいく。その関係の中で彼女が彼にねだるのが「朗読」なのであった。多くの物語を彼ミヒャエルは読んで聞かせる。このあたりは後半に繋がる伏線であるが、二人のやり取りの中で起こるいろいろなことが上手く噛み合わさって真実を読者に訴えてくることに成功していたと思う。 彼女ハンナはいわゆる文盲であった。戦犯の裁判にかけられた彼女、ナチス親衛隊に所属していた彼女であったが、いわゆるC級程度でしかない。彼女以外の被告人も複数人いる中で、文盲であるが故、証拠、状況、などなどの資料、文章の理解ができずに、どんどん状況が悪化していくのだが、自分が文盲であるという真実だけは絶対に露見させたくないのである。このあたりハンナの心象描写がないので、どうしてそこまで?と納得できる材料に乏しく、置いてけぼり感が強い。その結果終身刑という思い判決が下される。 ミヒャエルはその後、ハンナに朗読テープを送り続ける、たくさんの物語、詩、純粋に物語だけの録音だけで、なんらかのメッセージもなく10年以上も。物語は少年ミヒャエルの語りで進む。年上の女性に恋した思春期から、結婚して子供ができて離婚して青年期を経て、後半は壮年へと彼も変わっていく。それら彼の心象風景について語るなら、ドイツという国がたどった歴史が、国民に与えている影は、とうてい日本人である自分には理解が及ばない、ということであった。ナチスドイツ、ホロコーストという過去の亡霊との関係、これには多くのページが割かれており、読み進めるのに苦労する。ドイツと日本は当時枢軸国であり、同盟国でもあって敗戦国なのだが、どうにも理解に苦しんだ。その国民性といもいうべき思考がハンナとの関係にまで関係しているようなカンジで、どうにもミヒャエルの気持ちが図りずらい。とは言っても、やがてハンナから手紙が届く、これは読者である自分が嬉しかった。彼女の努力の結実が目の前に迫ってきてるように感じられた。 そしてラストでハンナには恩赦が与えられる、ハンナの唯一の関係者と見られていたミヒャエルは、身元引受人的な立場となって刑務所のハンナを訪ねる。この時ハンナ61歳ミヒャエル36歳である。「大きくなったわね、坊や」このハンナのセリフはとても心に残った。なんでだろう?年上の女に男として成長させてもらう、という体験への憧憬からか?文盲であったハンナが努力の末にそのハンデを克服したあとでの言葉だからか?判別できない気持ちのもどかしさが残る。 ハンナが刑務所を出る日、その早朝に彼女は自死を選ぶ。そこに彼女の心象はなく、なぜ?だけが取り残される。ここにも世代ごとに残る、ドイツという国家の呪いが及んでいたのか?なんともモヤっとする最後であった。

    4
    投稿日: 2025.02.05
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    今年の4月、6年ぶりにいわた書店の「1万円選書」に応募してみた。すると、10月に当選のメールが! 前回、応募したときには、3年ぐらい外れ続けた記憶があるので、これはラッキーだった。 この「朗読者」は、その選書をしてもらった本の中の1冊目。一番、薄かったから早く読めると思って手に取ったドイツの小説だ。世界中を感動させたベストセラーと書いてある。でも、絶対自分では買わないし、目にとめることもなかったであろう小説。 簡単な内容は、主人公が愛した年の差がある女性が、犯罪を犯したと裁判にかけられ、有罪になってしまう。主人公は、その愛した女性とどう関わっていくのかというストーリー。隠された真実も後半になって、明らかになっていく・・・。 こう書くとサスペンスもののように感じるか、そうではない。どちらかといえば、恋愛小説になるのかなあ。 せつない感じの。 でも、最後まで読んではみたものの、「感動」はできなかった。本当に世界中でベストセラーになったのか? みんなが感動したという小説で、自分自身はあまり感動できなかったのは、先日読了した「そして、バトンは渡された」と同じ感じだ。ちょっと残念。 つぎの選書に期待。

    3
    投稿日: 2024.12.27
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    朗読者を読んだ、泣いた。ハンナの心は永遠に分からない、私たちは戦争を経験したことがない。他人の命を無関心に見たことがない、ホロコーストに賛成したことがない、時代を感じていない。でも愛することは間違いだったんだろうか?どうしたらよかったのか?あなただったらどうした? ハンナが裁判で、「私はジーメンスに転職を申し出ないほうがよかったの?」と自問する 彼女の文盲を隠すための逃避が恐ろしい、直面しなくていい地獄まで通じているなんて誰もわからなかったでしょう 主人公も手紙を書いてあげればよかった。 でも書けなかった。愛する人が戦争犯罪者だと、自分は断罪者であり受刑者になるから もう一度読みたい

    0
    投稿日: 2024.12.01
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    あまり馴染みのないドイツの作品。 ドイツ……。 ドイツ、どどいつ、ドドリアさん、やっておしまいなさい! は、ともかくとして。 最近、犯罪グロ陰惨と暗い本が続いている気がしたので、精神をフラットに戻すべく感動ものをチョイス。 世界中を感動させた大ベストセラー、とある。 そうですか。 はい、内容。 15歳のぼくがひょんなことから36歳の女性と出会い、なんやかんやで関係を持つ。 頻繁に逢瀬を重ね、身体を重ね、彼女に求められるままに本の朗読サービスをする日々。 しかしある日突然に彼女は消えてしまう。 数年後、大学に進学したぼくは偶然にも彼女を見かけた。 法廷に立つ彼女は被告人だった。 彼女は過去にナチの看守であったのだった!! ガガ~~~ン!  まあ、これ以上は書かないけど、わずか250ページのわりにはなんか読みづらかった。 もし今作がノンフィクションだったり、限りなく事実に即して作られたものだったなら鳥肌物の感動が得られたかも知れない。 フィクションだからね。 でも、そういうことはいろいろあったかもしれない。 嫌な終わり方だがしかたない。 「私は貝になりたい」を思い出す。 同じドイツのこの手のものなら、シーラッハの「コリーニ事件 」のほうがズシンときたな。 「わたしは……わたしが言いたいのは……あなただったら何をしましたか?」 作中で裁判長に問う彼女。 それに答えられる人はいない。

    32
    投稿日: 2024.11.23
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    僕からみた市電の乗務員、過去ナチの女看守をしていたハンナ。裁判を通してハンナの過去を知る。僕はあの頃の楽しかった時のハンナを追っていただけ、何年も経って少しずつ裏切ってしまう。心がしんとする考えてしまう。

    1
    投稿日: 2024.07.31
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    ハンナが隠し通したかったことを知った時は、そんなこと?と唖然とした。そんなことと思ってしまう自分は、ハンナの思いへの想像力が足りないのかもしれない。 ハンナは、十分な教育が受けられなかった生活背景があって、字が読めないせいで、ジーメンスや車掌の仕事にもつけなかった。ハンナが気の毒だと思ったし、強制収容所の看守にならなかったかもしれない。 高等教育を受けているミヒャエルと、状況が全く違っている。生まれた時代や環境が違っただけなのに。 図書館で借りた本は日焼けしてて古くて、読みにくい文体なのかなあと思ってたけど、読みやすい文章でびっくりした。

    2
    投稿日: 2024.05.18
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    ナチ強制収容所の看守であり、同じドイツ人から有罪の判決を受ける。文盲であることが結果的に重罪となったが、育った環境、好んで看守になったわけではないことは想像できる。頑なにそれを弁明にしなかったことは、恥辱を受けることを避けること、表面的にわかっても深くは理解してもらえないであろう諦めも交じったものに感じる。主人公は、付き合っているうちにそうした彼女に気づく。主人公の苦悩は、戦犯者を身内に持ったとしたらどう考えるかと読者は投げかけられる。戦争はなぜ起こるのか、過去の歴史をどう活かすのか、の問いでもある。2024.5.12

    1
    投稿日: 2024.05.12
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    映画は台詞も少なく多くを語らず難しく感じたが、ドイツの負の遺産にどう向き合えばよいかぼくの葛藤が小説の方が分かりやすかった。愛した人が戦犯だったら。親世代が犯したナチズムを糾弾することについて。親に対して自分は責めることが出来るだろうか。 ドイツ人がドイツ人を裁く、恐らくアウシュビッツ裁判の場面、私が言いたいのは…あなただったらどうしますか。というハンナの言葉がやっぱり印象的。

    2
    投稿日: 2024.03.02
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    是非オススメしたい本です。(私の1番大好きな本) ◆ホロコースト時代の「ドイツ人」と「ユダヤ人」の禁断の悲劇の恋愛物語   【あらすじ】 15歳のドイツ人少年のミハイルが帰宅途中嘔吐してしまい、そこに現れたユダヤ人ハンナが助けたことで、2人が出会った。最初は、お礼の挨拶をするためにお家に行くが、訪問回数を重ねるごとに恋愛へ発展する。ハンナには誰にも言えない『秘密』があり、その『秘密』が2人の関係、人生を大きく動かすことになる。 【ポイント】 1.なぜ、ハンナはミハイルに『本を読んでほしかったのか』 2.なぜ『秘密』を打ち明かすことが出来なかったのか 3.もしあなたがハンナなら/ミハイルなら、どのようなアクションを起こすか。 (是非考えて頂きたいポイントです) 【映画】 「愛を読むひと」の題名で映画化されています。 本の内容を忠実に再現されており、映画を最初に見てこの本を読むのもありです。 【問】 ・もしあなたが社会的弱者(ホロコースト時代のユダヤ人)だとしたら、どのような行動ができますか? ・もし愛する人が社会的弱者(他人の批判の的)だとしたら、助けることができますか? 悲劇の恋愛物語です。是非一読を。

    1
    投稿日: 2023.11.25
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    あまりにも唐突過ぎた。 15歳の少年と36歳の女性との恋愛から、恋愛というのだろうか。 肉欲に塗れた淫らな関係。 愛情で繋がった関係というより、肉体で繋がった空虚な関係。 そんなしょうもない話を長々と読ませた挙句、唐突にナチ戦犯として裁かれる。その中でネタバレがあるから書かないが。 戦争を生きた人ではないな、戦中生まれだが、あの戦争は親の世代。物心つくの人が書いたと思われる内容。 正直、無駄な時間だった。

    0
    投稿日: 2023.11.15
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    世界中を感動させた大ベストセラーだそうだが、少年の成長に傷を持つ年上の女(戦犯)に思慕を重ねた物語。 それに、ホロコーストをあてがうことで重厚性(存在感)をもたせた ...

    0
    投稿日: 2023.10.05
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    親子ほど歳の離れた2人の恋愛を描き、戦争で分断された世代間の闘争(ナチスに加担したかどうか)が浮き彫りになる、、 ハンナアーレントの「悪の陳腐さ」とは、実は当事者も苦しむものだったのだ!と思わされた だからこそ、人間の悪とは陳腐なのかも。

    1
    投稿日: 2023.07.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    薦められて読んだ本ですが、本当に読んで良かったと思える1冊でした。 「あなたならどうしましたか?」という言葉が本全体にかかってくるようで重い。 この言葉が苦しいのは、ハンナは裁判長をせめるつもりもなく、本当に分からなかったから何でも知ってそうな人に教えてほしかっただけで... という... 裁判長が作中でこの問いに答えられないのも、著者自身が答えをだせなかったからなのか、読者に答えを委ねたからなのか 簡単に答えがほしいと願う読者に対して、そうそう容易く答えなんか得ようとするなと言われているようで。 「僕たち後にくる世代が恥と知と罪のなかで押し黙る ─それが求めていた結果だったのだろうか」 覚えておきたい言葉です。

    1
    投稿日: 2023.05.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文盲であることの恥と苦しみはどれほどのものだろう。それを知られるくらいなら、戦犯として裁かれ服役することを選んだハンナ。 文字を学び、本を読んだことで初めて自らの罪の重さを知った時、、、 どうしようもなく切なく胸を打つラストでした。

    1
    投稿日: 2023.05.12
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    かえりみちさんの選書 ドイツ文学だけどとても読みやすく訳されている。 自分の愛した人が戦争犯罪者だったらどうするか。 自分たちの世代ではないのに、ナチ時代の過去を負の遺産として背負わされるとまどい。 戦争が過去のことではなくなった今、より考えさせられる、哀しくも美しい本でした。 ”愛を読む人”で映画化されているのでぜひ近いうちに観たいなぁ。(しかもケイトウィンスレットが主演女優賞を受賞されてる) _φ(・_・ ”幸せな歳月だと思うと同時に語れるような思い出がない” ”思い出に別れを告げたものの、けっしてそれを精算したわけではない”

    2
    投稿日: 2023.03.20
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    わかりやすく丁寧な翻訳で、細やかな心情描写が印象的だった。 ハンナの存在に無言の圧力というか、凄みを感じたが、その印象も再読すると変わって感じるかもしれない。 刑務所から出て、はじめて生身のまま罰を受ける気持ちになるのかと想像した。 今後もこの本は、誰かの拠り所になったり、自分を見つめ直したり、責めたりするのに使われるのだろうなと思った。

    2
    投稿日: 2023.03.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    感想がまとまらない… ドイツに、ドイツ国内で戦争犯罪を犯した人たちを裁いた時代があることを初めて知った。 戦争は経験していないけど、二度と繰り返してはならない罪の歴史として教育された、親や愛した人が戦争の当事者でありえた世代の人たちは、身近な人が犯罪者であることに、どれだけたくさんのことを考えたんだろう… ヨーロッパの真ん中にあるドイツが負の歴史を抱えていることが、ヨーロッパの人たちにとって、どんなに身近な出来事で、記憶や文化として残っているのか、ナチズムを扱った本を読むたびに考える。 日本も決して蚊帳の外の話ではなく、かつて戦争の時代を生きた人がいて、その子どもの世代があって、今がある…戦争の時代を歴史として学んで、当時の状況を一生懸命想像するよりも、この本はいろんなことを考えさせてくれた。 訳者あとがきに、この本は二度読むと登場人物たちの繊細な心情がわかると書いてあったので、いつか再読したい。たしかに一回目はストーリーの中の大きな出来事が印象に残った。

    2
    投稿日: 2023.02.11
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    めちゃくちゃ深い本でした。 序盤の恋愛話からの急展開、、最後の結末!へと続くストーリーにハマり、先が気になって、一気読みしてしましました。 再読したくなる深い本でした!! ぜひぜひ読んでみて下さい。

    6
    投稿日: 2023.02.08
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    甘くて酸っぱい青春と、その後に待ち受ける戸惑いや隠された秘密。 主人公を通して、罪と償い、良心、疎外感などを考えさせられます。ラストがハッピーかバッドかは、読む人によっても読むタイミングや回数によっても変わると思います。 三部にわかれています。おおよそ、一部は主人公とハンナの出会い、二部は主人公の学生時代、三部は大人になってからのお話です。

    8
    投稿日: 2023.02.05
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    わぁ、こういう本だったのか。 第一章を読んでいるときには、まさかこんな展開になるとは思ってもいなかった。 めちゃくちゃに重いテーマ。 ・時代や状況が違ったあとで、過去の事柄を裁くことができるのか。 ・大切な人を守るために、その大切な人の守りたい秘密をつまびらかにしてしまう権利はあるのか。 そして第三章、ハンナの選んだ選択肢 ドイツ文学を読んだことが今までなかったけれど、これはドイツ人であるが故に書けるテーマ。 戦時を生き抜いてきた親世代を子世代が軽蔑する権利はあるのか。口先だけで生きてはいけない。 もちろん、命が無意味に奪われていいわけがない。 人類は色々な経験をしているのに、後に活かすことが下手だ。本当に自らの血を流さないとわからないのだろうか。そんなにバカじゃないはずなのに。

    3
    投稿日: 2023.02.01
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    個人的に推しているイラストレーターさんが、この作品から着想を得て漫画を描いたと言っていたのを見て、気になって軽い気持ちで手に取ってみたのだけど、 朝の通勤電車や会社のお昼休憩や、家で寝る前のベッドの上で、何度涙を堪えながら読んだことか。 ⁡ 【いつか終わりが来る】と心のどこかで気づいていても、その人を愛さずにはいられない。 そんな無防備で、無垢で、純真そのものだった恋心を丸ごと想起させられ、 自分の中に仕舞い込んでいた過去の苦い体験が、感情ごと引っ張り上げられてきてしまう。 それだけではなく、ここで扱われているユダヤ人迫害の歴史やその事実の悲惨さに、心が耐えられず潰されそうになる。 まさに感情のジェットコースター。 ⁡ ⁡ 15歳のミヒャエルが36歳のハンナと出逢って関係を持った事。 彼女が彼にした事。 ミヒャエルが彼女の過去を知らなかった事。 ハンナが自分の"ある秘密"とプライドを守り続けた事や、 その為に自分の人生をも台無しにしてしまった事。 ⁡ どれもこれもが正しかったのかどうか誰にも答えが分からない。 まるで先の見えない中で選択をし続けなければならない、"人生そのもの"のようなこの小説について、しばらく私も考え続ける事だろう。 ⁡ あなたの愛した人が戦争犯罪者だったらどうしますか?

    8
    投稿日: 2022.12.12
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    年上の恋人が突然いなくなり、その後戦争犯罪の被告として裁判に登場する、という様な話なのですが。とにかく人間描写が見事。「人生においてぼくはもう充分すぎるほど、決断しなかったことを実行に移してしまい、決断したことを実行に移さなかった。」

    3
    投稿日: 2022.09.07
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    25年ぶりくらいの再読 当時に比べて細かい所の 描写に気づいたり 理解出来たり 読みなおしして良かった 恋愛小説?みたいな扱いを 受けてる時があるけど もっと深い物語だと思う 一二三館書店にて購入

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    投稿日: 2022.08.17
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    先に映画を観てしまったせいかどうなのか、文章があまり入ってこない感じだった。言い回しも個人的には読みにくいかも。

    1
    投稿日: 2022.05.24
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    本書は、長らく私のアマゾンのほしい物リストに置かれていた。この本をほしい物リストに加えた経緯は忘れてしまった。表題に引かれたからなのか?今となってはわからない。 3部構成の本書は、各部で大きな展開があり、今まで読んできた世界がガラリとその景色を変えるほどのインパクトがある。第二次世界大戦を経験したドイツの文学作品。 静かな語り口であり、テーマも重厚だが、読み手にはあまり堅苦しさを感じさせない。若かりし頃に本書に出会っていたら、また違った印象を持ったかもしれない。何度も読み返すであろう好きな作品に出会えた。

    11
    投稿日: 2022.04.13
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    【読み終わって感じたこと】 悲しく切ない物語だと思った。私にはハンナのプライドも、ミヒャエルの行動も全て理解できるわけではない。それでも、ハンナの生涯を思うと辛い気持ちになった。歴史について、教育について、愛について考えさせられる本だった。 【印象に残ったシーン】 ホテルでハンナが激怒したシーン。全てが明らかになってから考えると、本当に悲しいなと思った。どうして自分の秘密を打ち明けられなかったのだろう? それさえできていれば、結末は変わっていたかもしれないのに。 【好きなセリフ】 「苦しい結末を迎えてしまうと、思い出もその幸福を忠実には伝えないのか? 幸せというのは、それが永久に続く場合にのみ本物だというのか?」 何度も繰り返し読んでしまうほど、心に響いた言葉。ミヒャエルとハンナの恋は本物だったこと、それだけは事実であることを示しているのだと思う。そして、単なる悲劇として捉えてほしくないという強い思いも伝わった。

    0
    投稿日: 2022.03.07
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    再読。 15歳の少年が、母親ほど年上の女性に恋をする。 彼女が、隠していたのは、文盲だということ。 どうしても言えない…その気持ちがなんとも切ない。 朗読してもらうという、そのことに喜びを感じていたのか。 別れ、出会いは、裁判所。 やはり、何度読んでも救われない。 残酷な愛…と感じてしまう。

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    投稿日: 2022.02.15
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    主人公は、自分自身やアンナに対していくつもの問いを投げかける。そのどれもが真剣であり、心に残る。 主人公の問いをとおして、静かに、犯罪とはなにか?罰するとはなにか?人を愛するとは何か?選ぶべきものはなにか?守るべきものはなにか?を考えさせられた。 読了後も、止めることなく考えていきたい。

    2
    投稿日: 2022.02.07
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    少し軽めのものを読みたくなり、ネットで「海外文学おすすめ」ランキングを調べて手にとってみた一冊。 ⁡ 15歳の少年が36歳の女性ハンナと知り合い、彼は彼女のために物語を朗読する。ここまでだと少年の妄想のような話なのだが、後半はナチス時代の戦争犯罪をめぐる裁判へと移っていく。 ⁡ 15歳の少年と36歳の女性の恋愛はちょっとありえないような感じなのですが(それはもう恋愛というより児童虐待に近い)、映画版『愛を読むひと』ではハンナをケイト・ウィンスレットが演じており(この役でアカデミー賞を受賞)、彼女の肉感的でありながら、エロさというよりたくましさのある身体はこの関係にリアリティを感じさせてくれる気がします。 ⁡ 海外もののベストセラーにありがちな、チャラい感じを予想していましたが、予想以上に文章が美しく、少年の日の思い出、後悔、苦悩が真摯な文章でつづられていました。 ドイツが背負い続ける過去の負い目と、それを背負わされる次世代の葛藤も垣間見えます。 ただ、ナチスの戦争犯罪と責任という重い問題がなんとなく感動的な恋愛ものにキレイに収まってしまうのはいかがなものなのか。 ⁡ 小説ではときとして食べることが性的メタファーとして描かれるように、朗読もまたセクシャルな行為にも見える。 彼が読む物語が『戦争と平和』だったり、『オデュッセイア』だったりするのもまた。 以下、引用。 ⁡ ⁡ 友情も、恋愛も、別れも、何もかもが簡単だった。すべてが簡単に思え、すべてが軽かった。だから、思い出の量もこんなに小さいのかもしれない。 ⁡ それはまるで、注射されて麻痺した腕を自分でつねってみるようなものだった。腕はつねられたことを自覚しないが、手の方はつねったことを自覚している。最初の瞬間には、脳をそれらの認識を区別することができない。 ⁡ 「ではあなたは、場所を作るために、『あんたとあんたとあんたは送り返されて死ぬのよ』と言ったわけですか?」 ハンナは、裁判長がその質問で何を訊こうとしているのか、理解できなかった。 「わたしは……わたしが言いたいのは……あなただったら何をしましたか?」 それはハンナの側からの真剣な問いだった。彼女はほかに何をすべきだったのか、何ができたのか、わからなかった。 ⁡ 「わたしたちは幸福について話しているんじゃなくて、自由と尊厳の話をしているんだよ。幼いときでさえ、君はその違いを知っていたんだ。ママがいつも正しいからといって、それが君の慰めになったわけじゃないんだよ」 ⁡ ときおりぼくは、ナチズムの過去との対決というのは学生運動のほんとうの理由というよりも、むしろ世代間の葛藤の表現であって、それこそが学生運動の駆動力になっていたのだと思うことがある。 ⁡ ぼくは当時『オデュッセイア』を再読していた。初めて読んだのはギムナジウムの生徒のときだったが、帰郷の物語としてずっと記憶にとどめていた。しかし、それは帰郷の話などではなかった。同じ流れに二度身を任せることができないと知っていたギリシャ人たちにとって、帰郷など信じられないことだった。オデュッセイアはとどまるためではなく、またあらためて出発するために戻ってくる。『オデュッセイア』はある運動の物語にほかならない。その運動には目的があると同時に無目的でもあり、成功すると同時に無駄でもある。 ⁡

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    投稿日: 2021.12.11
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    先日「愛を読む人」を、DVDで見た。何度も書店の棚で見かけていた「朗読者」の映画化だと、その時知った。 文庫の裏表紙のあらすじでは、母親ほども年の離れた女性に恋をしたという一節があり、甚だ下品な興味から映画を借りたのだが、実際にはナチスの戦犯として裁かれる女性と恋をしてしまった男性の話になっている。 なぜ朗読を求めたのか、そして、彼女はなぜ、別れも告げず主人公の前から、姿を消したのか。 文盲であるということは、僕には想像するとことしか出来ないが、それがヒロインハンナの人生を翻弄している。 文盲であるために、失踪し、文盲であるために、裁判で重い罪を課せられる。 文盲であることを公にするのと、重い刑を受けるのを秤にかけて、ハンナは刑を受ける方を選んだ。  僕からすれば、愚かに思えるし、主人公も何とかハンナが文盲であることを伝えられなかったのか思ってしまう。 主人公は獄中のハンナに物語を朗読したカセットテープを10年にもわたって送り続け、ハンナはそれに応えるように、字を学び、主人公に手紙を送るが、主人公は朗読のテープ以外に、返事は書かない。 ハンナの出所の日が近づき、更生に向けて主人公は準備をするが、ハンナは出所の日に自殺してしまう。 そして ハンナの残した金を、ユダヤの生き残りの女性に渡しに行ったところで話は終わる。 僕が感じたのは、所々にある齟齬、すれ違いのようなもの。 男女或いは、人間は完全には、理解出来ないものであると思った。

    0
    投稿日: 2021.11.14
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    「ぼくたちの逢瀬も、記憶の中ではただ一度の長い逢い引きだったように思える。」美しくも実に刹那い。 映画『愛を読むひと』の原作 シャワーを浴びてベットに入るまで、少年は彼女に本の読み聞かせをする。 それを愛と呼びたい。時代背景が憎い。

    0
    投稿日: 2021.10.28
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    大学の講義で題材として取り上げられたことで興味を持ち、読むに至りました。映画も一部見ていたので、読んでいる最中その先入観が先走ってしまった気もします。これから再読に入ります。2回目はさらに繊細な感情表現をくみ取ることができるそうなので楽しみです。

    0
    投稿日: 2021.10.25
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    ハンナを理解することは難しい。戦時はナチの看守として勤務し、移送中の事故の折にはとらわれていた人たちを見殺しにした。その後、ふとしたきっかけで出会った15歳の少年と関係を持ったというと、道徳心のない人物のようだけど、実際のハンナは激しやすくやや不安定とはいえ、普通の人に見える。「あの時私はどうしたらよかったの?あなたならどうしましたか?」という問いかけは切実だ。また罪が重くなることより文盲が知られることが彼女にとって耐えられなかったこと、恩赦を前に死を選んだこと、理由は想像できるが…。幸せいっぱいではないかもしれないけど、静かな余生を送ることもできたのに。理解が難しい。

    2
    投稿日: 2021.10.14
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    まず、題名がこれはなんだろうと思わせる。 それはあっと驚くこと、ミステリーではないけどここでは言えない。 15歳の少年ミヒャエルと36歳の女性ハンナとの恋愛。 なんだか新聞沙汰のようでしっくりしないんだけど、そんなこともあるかと読み進むほどに嫌な気はしない。 不思議なことに、彼女の家で逢うごとに「オデュセイア」や「戦争と平和」などを読んでとせがまれ、読みつづける。 そうして逢瀬を重ね、落第しそうな彼に「勉強しなさい!しないなら来ないで!」という。 『バカだって?バカってのがどういうことだかわかってないのね』という彼女の悲痛な叫び。 彼は勉強も頑張り、落第はしないが別れは来る。 7年後、法学の大学生となった彼は、ゼミのため訪れた法廷でハンナと再会。 ちょっとトルストイの「復活」を思い出すが。 ナチス・ドイツ戦争の影。 彼女の秘密。 ふたたび、朗読が始まる。 朗読は18年続く。そして...。 主人公が哲学者の父に諭される言葉が、私には印象的だった。 私がよくしてしまって、後で後悔することだ。 でもどちらがいいのだろう? 父 『でも、わたしは大人たちにたいしても、他人がよいと思うことを自分自身がよいと思うことより上位に置くべき理由はまったく認めないね』 主人公 『もし他人の忠告のおかげで将来幸福になるとしても?』 父 『わたしたちは幸福についてはなしているんじゃなくて、自由と尊厳の話をしているんだよ。…(後略)』 解説に、この本は二度読むように勧められているとある。 感想を書きながら、そうこれも二度読むことになったと実感した。

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    投稿日: 2021.09.16
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    他の方も書かれているように出だしの章はきつかった。投げ出しそうになりながらこの本を薦めてくれた人のことを思って乗り切った。 そのためか再会からの流れが衝撃的で切なかった。 戦争を起こした親世代のことをわたしたちは糾弾したり謝罪を求めたりしただろうか。断罪を要求する資格がないにしろ、納得のいく答えを欲している人は少なくないあろう。小麦や石油不足の生だけにしてはいけないような気がする。 この本はドイツとナチスの関係を題材としてそんなことを囁いている。 釈放される前日の自殺。 自殺の重さも置かれた状況によって違うと言うことを学んだ。

    2
    投稿日: 2021.09.07
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    面白かった。 すごい生々しい描写が多いと思ったけど、裁判の話になってからはそんなこともなく。 生きる上でのプライド、他の人にはわからない部分。 そこまでして守りたかったもの。 罪を犯してしまったのは無知が原因ではあるんだけど、それを償おうと必死の様子が伝わってきて、、 本当に愛してたからこそ、相手の負担になりたくなくて身を引いたんだよね。

    0
    投稿日: 2021.09.06
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    何年ぶりかに再読。 なぜか何度も読み返したくなる好きな本です。 ハンナの 「……あなただったら何をしましたか?」 この真剣な問いに自信を持って答えれる人はなんて答えるのだろう? 裁判長 「この世には、関わり合いになってはいけない事柄があり、命の危険がない限り、遠ざけておくべき事柄もあるのです」

    7
    投稿日: 2021.08.05
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    舞台は第二次大戦後のドイツ。ふとしたきっかけで母親くらいの女性と逢瀬を重ねるようになった(日本でいう)高校生。彼女のために本を朗読するようになるが、彼女は突然姿を消す。その後法律の勉強を重ね、父親世代が犯した戦争犯罪について研究する。彼女と再会したのは裁判所の法廷で、彼女はナチスの活動に関わったとして起訴されていた。それには二重三重の理由があって、、、。 タイトルにある「朗読」というのは不思議な行為だ。本を読んでいるのは自分なのだが、朗読は相手のためである。しかも相手が聞いているのか、他のことを考えているのかは、自分にはわからない。「他人」「歴史」との関わり方というのは何となく「朗読」に似ている。相手との関わりの中で家族を作ったり生活を共にしたりするが、決して自分自身ではない。歴史とは、親たちが過ごした時間であり、その結果責任を負うことになるのだが、自分が起こした事象ではない。この距離が近すぎても遠すぎてもうまくいかない。いろいろ考えさせられる一冊。

    0
    投稿日: 2021.07.27
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    徐々に明らかになっていくプロットに、点と点が繋がっていく感覚。こうした感覚を覚えるのは久々でした。ただ、映画化の時点で世論が紛糾したハンナの台詞は、内容に没入する余り、あまり気にならなかったかも。どうしてもハンナという名前がアレントを想起させてしまって、彼女の名付けに筆者の意図が絡んでいるのか気になります。再読必至。

    0
    投稿日: 2021.06.06
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    15歳の僕と36歳のハンナ。戦争中に芽生えた2人の恋。それは戦後に悲劇を迎えた。ハンナの気持ちが痛いほどわかる。ピュアな気持ち。戦中の日本文学を読むような懐かしさと切なさ。人生に明確な答えはないし、今後も迷い続けるだろう。それは良いことでも悪いことでもない。もどかしいけど白黒つけることではない。

    0
    投稿日: 2021.05.20
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    原題 DER VORLESER ミヒャエルの朗読は、少年の頃と大人になってからとでは、いずれもハンナに聞いてもらうというのは同じでも、その目的意識が違う。 物語は全編を通してミヒャエルの回顧録の形をとっていて、彼の心情の紆余曲折が語られるだけで、人生に対する明確な答えは出ない。 出るわけないよ、人生ってそんなもの。…と言い切らせない設定が、とても重い。 「そしていまこの瞬間、わたしはシュミッツさんにもあなたにも腹を立てています。」 物語後半の所長のこの言葉に、肯定しつつも否定したくもあるもどかしさ。 ミヒャエルはなぜ手紙を書かなかったんだろう? でも朗読テープを送った気持ちもわかる気がする。 そういう相反する感情が重なって、それはそのまま重ねておくしかない…かな。

    0
    投稿日: 2021.05.16
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    いや~、間違えました。何故かミステリー書だと思って読み始めてしまいました。 文学でしたね。それも重いテーマを抱えた・・・ 特に前半の部分。15歳の少年が36歳の大人の女の人と関係を持つ辺りを読んでいて、これ、男女逆なら大問題になる話しだなと。なんで、男と女が逆になったたけでその問題には焦点が当たらないのかは最後まで疑問でしたわ。私にはこれ、受け入れがたい問題でした。 愛した人が犯した罪を許せるかとか、そんな事は私にとってどうでもよいテーマでした。(もともと恋愛小説が好きじゃない) 重いテーマの中で私がどうしても自分の中で消化できなかったのは、「あなたが私の立場だったらどうしたか?」というハンナの問いかけ。アウシュビッツの看守だったハンナは、恐らく義務を遂行しただけだったに違いないんです。ハンナはどうするのが正解だったんでしょうか。 答えは本には書かれていません。なので自分で考えるしかない。 そして答えは出ないまま。

    1
    投稿日: 2021.05.10
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    15才の少年と36才の女性の激しくそして儚い恋を描いた小説。先がまったく読めず、中盤からガラッと雰囲気が変わる。単なる恋愛小説にとどまらず、戦時下で行われたある歴史的な出来事にまで足を踏み入れることになる。そしてラストは衝撃的な展開でさらに心を揺さぶられる。世界的に有名なベストセラーだけあって読者を唸らせる場面はたくさんあった。タイトルにもある「朗読」は、二人を繋ぐ大きな意味をもつところが読みどころでもある。衝撃的な展開に目が奪われがちだが、何度も読むことで深い味わいが出る作品ではないだろうか。

    17
    投稿日: 2021.04.24
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    本を好きな方、読まない方、朗読をする人、朗読が好きな人、老若男女。 誰もが1度読んで欲しい!20年前の作品ですが、古さを感じません。 ただ、面白いとか、いい話とか、単純か言葉が当てはまらない本だと思う。 なんとも言えない読書感。後半は涙なしでは、読めませんでした。

    0
    投稿日: 2021.04.19
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    買って、ずいぶん読まないでいましたが、やっと読みました。映画化もしているようなのでそちらも観てみたいと思いました。カセットでの朗読や若い清潔だった恋人が刑務所で老人になっていたとか、重々しくもあり、でも感情に横溢になることなく書れていて考えさせられました。後書きで勧められているように、再読をいつかしようと思いました。

    1
    投稿日: 2021.04.02
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    第二次世界大戦後のドイツ。ナチスの暴虐が依然として影を落とす社会が舞台。15歳の少年ミヒャエルは病をきっかけに、倍近い年齢のハンナと逢瀬を重ねる。彼女のために物語を朗読し、一途に愛するミヒャエルだが、ある日を境に彼女は姿を消す。数年後、再びハンナと出会ったのは思いもよらぬ場所だった… スッキリとしない物語です。誰もが多くを語らず、密かな思いを自分のうちに閉じ込めてしまう。だからこそ、その思いを本人も気がつかず、微妙なズレからすれ違いが起きてしまう。 読んでいて感じたのは、ミヒャエルもハンナも、一度でも誰かに胸のうちを明かしていたならば、違う結末になったのではないかという残念さです。そんなやるせない気持ちにさせる本書。だからでしょうか、終盤は読む目に涙をためるばかりでした。 さて、本書ではハンナやミヒャエルがときに不可解な行動を起こしますが、答えらしい答えは描かれません。特にハンナの行動の真意は、彼女が抱える問題や時代背景、ミヒャエルとの関係などから推察するしかありません。ミヒャエルの言動もまた同様。こちらはなんとなく想像し易いかもしれません。初恋の尾を引きずり、裏切られた衝撃から、自閉気味になったり、傷付くのを恐れてあと一歩がでないところに、自分を投影してしまう読者も居るのではないでしょうか。 しかしなにより、本書はこの物語に対する見解を明らかにしていません。ハンナやミヒャエルの行動に肯定も否定もしていないのです。 「ここで語られる事件についての判断は、読者に委ねられている」とは訳者あとがきの言葉ですが、読み終えたあと、この事件をどう捉えたらよいのか、とても重たい宿題を与えられたかのようです。 個人的な感想は先に述べたように残念という思いが強く残りましたが、戦争という文字と映像でしか認識していない世界を前にすると、残念という判断はどうも身の程知らずにしか思えません。 なにが正解でなにが間違いなのか、戦争はそれを曖昧にし、思考を鈍らせるのかもしれない。そして、異常な戦争下で起こした行動の真意を、正常な世の中で読み解くことはできないのかもしれない。結局、ハンナは答えをみつけられなかったのでは。裁判は法律や倫理といった方程式で解するだけとなり、自らの真意を明らかにしてはくれなかったのでは。 考えれば考えるほど、まとまりのない考えでいっぱいになるもので、今回はこの辺で。世界中で読まれる理由がわかる作品でした。

    1
    投稿日: 2021.02.09
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    愛した女性を通じて、戦争犯罪者について考え苦悶する。 法廷で、何故そうしたかを言わず、被害者の思い込みによる言葉を、事実のようにされても、反論せず、微動だにしない。 文盲とは…。 読んでて、息苦しくなる。 読後も、重苦しい。 でも、これが当時の史実でもあったのだろう。

    0
    投稿日: 2020.07.28
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    一度目の通読。 おそらく、様々な読み方を求められる本なのでしょう。 僕は序盤に関しては村上春樹チックな読み方で満足できると感じます。そうすると、読み進められたのです。というより僕はそれで読み通せました。 21歳という年齢のおかげもあるかもしれません。おそらく、10代では読み切れなかったと思います。また、歳を取ったら主人公との共感覚は断ち切れて、違った感想を得ていたようにも思います。このタイミングで読めて、とても運が良かったかも。 ただ、その読み方だけでは、ところどころ引っかかる所や見落とした感のある所があります。 中盤のアウシュビッツとハンナの識字に対するコンプレックスなんかは引っかかるのではないでしょうか。多少感覚がないと、無視すらできずに止まってしまうかもしれません。 僕の場合、前者はフランクルの「夜と霧」の通読で、後者は障害者を取り上げたバラエティ番組「バリバラ」の視聴で、多少感覚ができていたからこそ読み進められたというような感じがあります。

    0
    投稿日: 2020.04.29
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    余りに引力が強く、余りに哀しい物語だった。 始終ストリングスが聴こえる様な静謐さに反し、激しい感情の起伏を強いられる箇所も屡々。 舞台は戦時色が強く残るドイツ故に、社会的背景はとても陰鬱だ。 只、それがこの美しきロマンスをよりドラマティックに仕立て上げ、読者の心を高揚させた事は否めない。 ハンナの秘密は自身の身を滅ぼした。 数十年の人生と引き換えてまで守りたい秘密だったのか? それは、正直な感想だ。 しかし、人に知られたくない事やひっそりと持ち続ける誇りなど、人それぞれではないか。 出逢った当初の二人は互いの身の上より先に、身体が持つ情報を交換し合った。 そして数十年の時を経、ハンナは彼の発信する情報より秘密の重大さを克服しようと懸命になったのだ。 彼女の努力は実に涙ぐましく、心を揺さぶる。 やるせない結末の着地点も、とても素敵だった。

    0
    投稿日: 2020.04.18
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    自分の隠したい秘密と、戦争犯罪の弁解を天秤にかけられたら、一体どうすれば良いのだろう。ハンナの答えは、ハンナ自身を納得させる事ができたのだろうか… 戦争は、被害者にもなりうるし加害者にもなりうる、その両方にもなりうることがある。あなただったらどうするか、読者に問いかける物語だった。

    0
    投稿日: 2020.03.19
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    うーん これがベストセラーになった理由が分からない。 主役の「ぼく」ことミヒャエルにも、 そのかつては体の関係まで持った年上のハンナにも 共感がもてなかった。 というか この人たちのこじらせ感にモヤモヤ…

    0
    投稿日: 2020.03.02
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    朗読をする男と朗読を聞く女が執筆者になる物語。男は女の愛については何も分からない。女に何をすべきかもわからない。しかし、女を愛すことで青年期を迎えた男の記憶に、女の姿は褪せることなく焼きついている。

    0
    投稿日: 2020.02.15
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    戦争を知らない世代にとって、かつて自国が戦争をしたということについてどう捉えるべきか考えさせる内容。また、自分のコンプレックスを乗り越えること、更生と再生などをテーマとして感じた。

    0
    投稿日: 2019.12.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    児童書を普段から読む自分にとって、1章は「えっ・・・」って感じでしたが、2章からハンナの過去がわかるにつれ読み進められましたが・・・ 文章がうまくないのか、頭でっかちなのが(ミハエル)鼻について、特に3章からは少しイラっとしながら読みました。 これは恋愛小説ではないですよね。 ドイツ戦争責任云々もあると思うけど、日本は人のことはいえないですね、きちっと責任を果たしてないですから。

    0
    投稿日: 2019.12.11
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    もっともっと早く読めば良かった。感動させたベストセラーだからと言うわけではなく、自分と彼女の関係、父との関係、友との関係、その関係性の中で何が正しく、何が違っているかを物語はあくまで読者に委ねている。自分はどう考えるか?ハンナが裁判で語ったようにあなたならどうしますか?心に突き刺さる。

    0
    投稿日: 2019.10.12
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    やはり、戦争という悪魔が降臨すると、 個人の意思は、微塵も権利を持たない。 この世から、世界から戦争が無くなる事を 祈りたくなった

    0
    投稿日: 2019.09.29
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    最初は単純な年下の男の子と年上の女性の恋物語かと読み進めていたが、中盤から物語がガラッと変化する。途中結構辛くなったけど最後は一気に読めた。ハンナは努力家の真っ直ぐな気質で女性で、それ故に許される自分のことが自分で許せなくなったのか。自分が同じ立場になったときにどう行動できるのか、反復して考えるために、このような物語を読むことは力になる。ハンナが裁判長に問いかける「あなたなら何をしましたか?」これは読んでいる読者すべてに、自分のことではないと傍観してはいけないと問いかけられていると感じた。

    3
    投稿日: 2019.08.29
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    再読。 確か凄い話題になった本だと記憶しとりますが、改めて今読むと、結構粗さが目につくなぁ。ストーリー展開がちょっと雑な気がする。設定のセンセーショナルさに酔ってるのかな。 さておきいつも思うんですが、何でこんなことになったんでしょうかね。日本社会に生きている当方ですから、同時代の日本のイメージは付くのですが、ドイツは何とも。それに比べて日本は、、、的なドイツ賞賛本を読む度に思うんですよね。人間の奥に潜む悪とかいう次元でも無いのかな?と結局結論がいつも出ないのですが。

    0
    投稿日: 2019.08.18
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    大学の教授に紹介してもらって読み始めた。 教授に教えてもらった時から、あらすじをざっと聞いていたが、ナチスとは、ユダヤ人への犯罪とはということを考えさせる作品であった。 過去最大の犯罪とも言われるナチスによるユダヤ人への犯罪は、だれが悪いとか悪くないとかをすべて飲み込んでしまうようなテーマであると思う。しかし、きっと戦後は一つ一つを本書内のように裁いていってたのであろう。 本書内の人間関係のような事実もあったかもしれない。それくらいナチスは近くにあったのだろうし、国民に根付いた話題であるのだと感じた。 ドイツの歴史についてかじった私も、一度めくり始めたら手が止まらなくなるほど興味を持って読み進められた。 作品を紹介してくれた教授に感謝したい。

    4
    投稿日: 2019.07.17
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    [ガーディアン1000]読み終わって余韻がすごくて暫くぼーっとしていました。恋愛ものは普段手に取りませんが、これは意外とミステリのように後々まで引きずって気になる部分もあり一気に読み進めてしまいました。不器用でまっすぐで一生懸命。「あなただったら何をしましたか」この問いに誰が答えられますか?何をするのが正解だったのでしょう?そして「私への手紙はありませんか」に胸が詰まります。彼女が取り寄せていた本、さらには「彼女はあなたと一緒に学んだんですよ」にとうとう涙がこぼれました。なんて残酷な悲しい世界でしょう。

    0
    投稿日: 2019.06.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大学のドイツ語の先生に薦められて読みました。 坊やの心情やハンナの裁判での葛藤が映画よりも細かく描かれていると感じました。 特に、裁判でのハンナの一言が印象的です。 そして、最後のハンナの選択には涙が止まりませんでした。 さらに、最後の一文にも涙が溢れました。 20代の私にはハンナの選択が理解できません。 これから読み込んでいきたいと思います。

    1
    投稿日: 2019.06.07
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    前半は冗長で中盤も中弛みして読む手が止まることが多かった...。文盲なるが故の選択・決断とその先にある過去の行いに対する贖罪…。「わたしは…わたしが言いたいのは…あなただったら何をしましたか?」この言葉が深く突き刺さった…。

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    投稿日: 2019.05.24
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    15歳の少年が母親のような年齢の女性と関係を持ち、次第に溺れていくという展開に目が行ってしまいがちだが、この小説の主題はドイツにおける戦後世代のさまざまな葛藤だと感じた。 多くの収容所を擁していたドイツでは、親世代に対する反発心等は、同じ敗戦国の日本とはまた異なると思う。 愛した人が実はナチ時代の戦争犯罪者だった。その時自分は何ができ、何をしたいのか。悩み、苦しむ様子が丁寧に描かれている。

    1
    投稿日: 2019.04.28
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     久々の海外文学。 主人公の年齢は若干15歳、ヒロインのハンナは主人公の母親くらいの年齢。 年の差を超えた愛とそこに潜む深い葛藤の物語。 前半は甘い恋愛小説。 そして、後半は一転して深く重たい物語。 もし、愛する人が戦争犯罪を犯した人だったのなら、あなたはどうするだろう? 僕も戦争を経験していない世代。 戦時の状況等、必死に思い浮かべようとしても、わかるはずもなく。 それでも、主人公はハンナを信じずにはいられない。 僕だったら、苦しみながら、関わり続けるか距離をとってしまうか、それくらいしかできないのかもしれない。 何故、ハンナが文盲で、それを隠そうとしたのか。 それは、僕の中で一つの大きな謎だった。

    0
    投稿日: 2019.03.22
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    親子ほど年の離れた相手との恋愛。 強制収容所で働くということの罪。 文盲を隠したいプライド。 過去を秘密にしていたことが裏切りなのか、その秘密を知った時に救いの手を差し伸べなかったことがことが裏切りなのか。 ただの恋愛小説ではない、重~いお話。

    0
    投稿日: 2019.02.12
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    感受性の強い少年と年上の女性のぎこちない恋愛で幕を開け,別れと「アウシュビッツ裁判」に物語が進む中,人間の自由や尊厳といった哲学的な問題へと続く.愛の記憶残滓に苦しみながら,大学生になったミヒャエルは裁判を見届ける.そして何より朗読,これがハンナが文盲だと知る鍵ではあるが,この朗読によって流れる静謐な時間を想うと抱きしめたくなるような気持ちになった.とても重いテーマを抱えていながら,美しい描写と深い考察,素晴らしい本です.

    1
    投稿日: 2019.01.04
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    ・「でもわたしは大人たちに対しても、他人がよいと思うことを自分自身がよいと思うことより上位に置くべき理由はまったく認めないね」「もし他人の忠告のおかげで将来幸福になるとしても?」父は首を左右に振った。「わたしたちは幸福について話しているんじゃなくて、自由と尊厳の話をしているんだよ」 ・「傷ついているとき、かつての傷心の思い出が再びよみがえってくることがある。自責の念にかられるときにはかつての罪悪感が、あこがれやなつかしさに浸るときにはかつての憧憬や郷愁が。ぼくたちの人生は何層にも重なっていて、以前経験したことが、成し終えられ片が付いたものとしてではなく、現在進行中の生き生きとしたものとして後の体験の中に見出されることもある。ぼくにはそのことが充分理解できる。にもかかわらず、ときにはそれが耐え難く思えるのだ」

    0
    投稿日: 2018.11.04
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    初めましての作家さん。 重い・・・重過ぎる・・・・ 色々と考えさせられるというか、考え過ぎてしまう作品です。 「ぼく」は物語の語り手であって、正に朗読者でしかない。 ハンナの内面を想像することはできても知る事はできなかった。 何も答えてもらえずに結末が来て、消化できない思いが 澱となって残り続けるんだろうなぁと・・・ ハンナの最後の決断は、そんな彼に対する優しさですか? 彼の人生に踏み込まないという・・・ やはり難しいです。 映画化されてたんですね。

    2
    投稿日: 2018.09.17
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    映画「愛を読むひと」の原作です。 映画が良かったので、原作も読む事にしました。 映画はほぼ忠実に原作をなぞってました。

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    投稿日: 2018.07.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    過去に戦争犯罪を犯していた人を愛することは罪になるのか 組織的とも思想操作とも言える戦争犯罪を誰がどう裁くべきなのか 自ら体験したわけではない悲惨な出来事にどう向き合うべきか 人に言える関係、言えない関係、言いたくない関係 法廷でミヒャエルと目があった時、ハンナはなにを感じた?当時ハンナはミヒャエルをどう思っていた? 清潔で綺麗好きなハンナが刑務所生活の中で突然身なりに気を遣わなくなったのは、そして釈放直前に死を選んだのはなぜ? わたしがミヒャエルだったらハンナが文盲であることを裁判官に言っただろうか 本人に気づいたと告げただろうか わたしがハンナだったら答弁にどう答えただろうか 戦争に対しても、人と人の関係に対しても、自分や過去との向き合い方に対しても、考えさせられる部分の多い物語だった

    1
    投稿日: 2018.07.08
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    ドイツの友人からおすすめされて日本語訳版で読んだ。男の子が大人になっていく。ドイツの歴史を少しずつ知っていきたいと思える。

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    投稿日: 2018.06.14
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    私たちは「あの出来事」を、どう思い出すべきなのか。 無機質を気取って、他者の過ちだと斬って捨てるのか、理解しようと努め、苦しみ続けるのか。

    1
    投稿日: 2018.04.07
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    私にとって素晴らしい作品とは「分からない/判断がつかない部分がある」点で共通していると思う。 登場人物の発言や行動にうまくは飲み込みきれない何かがある。だから二回、三回と読み返し、演劇や映画といった別の手法による表現に触れて、あらためて考える。 そういった「繰り返し」に耐える力のある物語が、時の審判の中で古典になっていくのだと思う。 きっと、この作品も古典になるのだろう。普遍性のある物語である。 一方で、ある世代の生々しさや戸惑いが含まれていることが私にも伝わってくる。発刊当初はもっとリアルな感覚として共有されていたのだろう、後ろめたさのようなもの。 「朗読者」は、確か高校生の時に途中で読むのを止めてしまったのだった。その時の気持ちはもう思い出せないが、読めて良かった。

    1
    投稿日: 2018.01.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何度も読み返したくなる、とても好きな本。すごくきれいな小説だなと思う。ミヒャエルやハンナの思い、自尊心、こだわりが、鮮明にかつ赤裸々に描かれている。 15歳のミヒャエルと30代半ばのハンナとの恋から物語は始まる。毎日のようにミヒャエルはハンナの家に行き、朗読をしてセックスをする。しかしある日突然、ハンナはいなくなる。 2人の再会は、ミヒャエルが大学の授業で傍聴した裁判所だった。それはナチス時代にユダヤ人の強制収容所で看守を務めていた女性たちを裁く裁判であり、その被告としてハンナはいた。 裁判ではハンナは非常に正直にふるまった。しかし1度だけはっきりと嘘をつく。ある報告書を誰が執筆したのか、ということが問題になった時だ。裁判官が筆跡鑑定をしようとしたところ、ハンナが自分が書いたと嘘をつくのだ。ハンナは文盲だった。書けるわけがなかった。しかし文盲だからこそ、それがバレてしまうことを最も恐れたからこそ、ハンナは嘘をついた。 ミヒャエルはハンナが文盲だということに気づいていた。だから苦悩する。文盲だということを裁判官に伝えるべきか、伝えないべきか。ハンナを説得して文盲だと告白させるべきか、そうしないべきか。。。 ”そうだ、彼女はそれを(量刑を軽くし早く自由になる事--引用者)求めて闘っていた。しかし、勝利するために文盲を暴露するという代償を払うことまでは望んでいなかった。彼女は、軽を何年分か短くするために、ぼくが彼女の自己演出を暴いてしまうことも望まないだろう。自分でもそうした取引をすることができたのに、彼女はやらなかった。つまり、やりたくないわけだ。自己演出を守ることに、刑務所何年分もの価値があるわけだ。でも、その演出はほんとうにそれほど重要なのだろうか?こんなふうに彼女を束縛し、麻痺させ、自己発展を妨げている偽りの自己演出から得るものがあるのだろうか?これほどのエネルギーを費やして嘘をつき続けるくらいなら、とっくの昔に読み書きを学ぶこともできたのに”pp159 ”君は裁判官に、何がどうなっているかを言うかい?考えてごらんよ、彼はホモで、その犯行はホモでは行い得ないのに、ホモであることを恥じている。左利きやホモを恥じるべきかどうかという話じゃないんだ。考えてごらん、被告が恥ずかしがっているということが問題なんだ”pp160 ミヒャエルは結局、裁判官に何も言わなかった。そしてハンナは無期懲役になる。数年間、ミヒャエルはハンナと何も接触しない。しかし数年後、ミヒャエルは、物語の朗読を吹き込んだテープをハンナに郵送する。何もメッセージは送らず、ただ朗読だけを送り続ける。 するとある日、ハンナから短い、一言だけの手紙が届いた。ハンナは、ミヒャエルからの朗読テープを使って、字の練習をした。朗読テープと実際の本の文字とを照らし合わせながら練習したのだ。 そして、ハンナがついに仮釈放になるとの手紙がミヒャエルに届き、ミヒャエルはハンナに会いに行く。そして、釈放後の家の準備をして、釈放の前日もハンナに会いに行く。しかし、釈放の日の朝、ハンナは自殺する。 なぜ、ハンナは自殺したのだろうか。ミヒャエルにとってハンナはどんな存在だったのか。ハンナにとってミヒャエルとは。読みながら、そして読んだ後、いろんな疑問がわく小説だ。 何より、ミヒャエルとハンナがそれぞれとても魅力的な人物として描かれている。 ハンナは文盲であり、その一方で知識欲が非常に旺盛であり、誇り高くかつ非常に誠実で人望のある人物だ。ミヒャエルは、様々な葛藤の中を生きている。ハンナへの思いも複雑で、対立する思いが同居してもいる。著者のシュリンクは、そんなミヒャエルの悩みや葛藤を赤裸々に描き出す。それは、思春期における恋愛の悩みであり、あるいはナチス時代の戦犯を裁かなければならないという時代の風潮とハンナへの愛情との葛藤であり、ハンナの文盲を公開すべきかどうかという苦悩であったりする。 僕は、これは人間の誇りについての話だと思った。文盲を隠して生きていくこと、これがハンナの人生を貫く一つの大きな原理だった。それは確かに歪んでいる。文字の練習をすればよかったじゃないか。そういうのは簡単だ。しかし、文字の練習をするということは、文字が書けない自分と向き合わざるを得なくなるということでもある。ミヒャエルはそんなハンナの強い自尊心に直面し当惑したのだ。しかしそんな中、ミヒャエルが送った朗読テープを使って、ハンナは文字の練習を始める。これはとてもすごいことだ。本のなかのミヒャエルと一緒に僕は興奮した。ハンナの強さに、勇気に、感動した。 ハンナは、しかし自殺をする。いや、「だから」自殺をしたのだろうか?なぜ彼女は自殺をしたのだろうか?いまだによくわからない。 また読みたい。

    4
    投稿日: 2018.01.09
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    強制収容所へのヒッチハイクなど,映画では省かれたシーンもある. 映画よりも詳細な描写があるので,心の機微が見えてくる.

    0
    投稿日: 2017.12.31
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    小説の登場人物が、この時、何を想ったのだろうかという余白がある。その余白に色々と考えさせられる作品。読みやすく色々な要素を兼ね備えている作品。一昔前に、売れた理由が読んでわかったような気がする。

    2
    投稿日: 2017.12.18
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    久しぶりに読む海外純文学です。 全体で250ページほどの掌編ですし、さほど難解な書き方では有りません。このため割りにサクサク読めますが、ナチスの戦犯裁判が一つの大きな舞台であり、その分やはり重い感じです。 かつて愛した女性が、強制収容所の女性看守であったことを知った主人公の悩みが、女性と主人公の距離感で表現されます。強制収容所についてはエキセントリックな批判では無く、また決して弁護するわけでもなく、淡々と話は進んで行きます。その分、読者が色々と考えることを期待されているようです。 今のところは「読んで、受け入れた」そんな感想です。ちゃんとするにはもう一度ゆっくり読む必要がありそうです。

    0
    投稿日: 2017.11.08
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    出だしの展開に、この本は好みじゃないな、と思いつつも我慢して読み続けたら、よもやの展開に。オトナの文学作品だった。

    0
    投稿日: 2017.10.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    思春期の少年の感情への共感がある一方で、ナチスの戦争を経た環境への実感のなさ、そして戦争が引き起こす悲劇が心に刺さるにも関わらずどこか他人事として、このまま読み終わってしまうんだろうなという無力感。 麻痺、想像力の欠如。 ベルクが感じたものは、レベルや性質は違えど、自分自身にもあてはまる。 「夜の霧」を読んだときも、「日本の一番長い日」を読んだときも、山岡荘八の「太平洋戦争」を読んでも、そして、知覧を訪れたときも、苛酷な環境のなかで戦う人間の強さ、弱さ、優しさ、身勝手さ、そうした様々な感情に心を動かせたものの、結局、私の生活の何かが変わる訳ではない。 これを、麻痺、想像力の欠如と言わずして、どう考えたらいいのだろう。 そして、それを埋めることは可能なのだろうか。 分からない。分からない。

    0
    投稿日: 2017.09.09
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    これを恋愛小説というのだろうか。もちろん、恋愛小説であるという側面もある。けれど、猛烈にもやもやする。 それは、二人の「愛」の始まりがあまりに唐突だったからか、(日本的な価値観で言ったら)男女逆なら犯罪じゃないか…などとつい無粋なことを思ってしまったからか、「ぼく」が真っ直ぐなだけではなく弱いからか、家族や戦争や自由と尊厳など愛以外の視点が多すぎるからか、はたまたハンナの最後の「決断」をどう捉えたらいいのかわからなかったからか。 この猛烈なもやもやの決定的な理由は、そのどれでもあって、どれでもないような気もする。 この物語ははたして純愛なのだろうか。「ぼく」は、思春期の少年特有の真っ直ぐさで確かにハンナを愛していたけれど、ハンナのどこに惹かれたのかは、性的なこと以外は具体的に書かれてはいないし、ハンナもこの「坊や」のどこに惹かれたのか、全くわからない。 それでもあえて考えるなら、二人が惹かれあったのは「タイミング」ゆえなのではないかと思う。子どもから大人の男へと成長する過程にあったミヒャエルと、孤独なハンナ。二人の出逢い自体が運命だったのだろうか。 二人の関係は、確かにずっと続いていくものではなかったと思う。 それでもやはり「ぼく」にもハンナにも、他の選択があったのではないかと思ってしまう。最後の一文が、余計にやり切れなさを感じさせる。 この作品は、見る視点によって感じることが変わるだろうと思う。 例えば、恋愛以外の要素では、中盤の自由と尊厳に関する「ぼく」と父との問答が、とても印象に残っている。 幸福と、自由と尊厳は別である―。 もう少したったら、違う視点でまた読み返してみたい。 レビュー全文 http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-499.html

    3
    投稿日: 2017.06.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    圧巻のドイツ文学。素晴らしいの一言。 やるせない気持ちになる。 何の予備知識もなく読みはじめ、前半の倒錯的な恋愛模様に困惑しつつも読み進めていくと……中盤以降、やられた。 今まで第二次世界大戦のドイツやドイツ国民の心情について、知識としてはそれとなく知っていてまあナチス関連はけっこう敏感になっているらしいなあ程度に思っていた。でもナチス時代はともかく「その後」のドイツに焦点を当てられることってほとんどないので、全然、わかってなかった。彼ら特有の苦しみや罪責感や憤りを。 ユダヤ人迫害、ホロコーストについても日本でもがっつり勉強させられるし、テレビでもけっこう特集組まれるし、映像や写真で何度も見たことあるし、私は『ライフイズビューティフル』とかを観て泣いたり憤ったりしたし……でも、特に戦争世代じゃない日本人にとっては「教科書に載っている歴史」という感覚で、実感をもってそういった歴史的事実に触れることは全然できない。それどころか小説中でも、主人公は親が戦争世代のドイツ人で私たちよりずっと距離が近いところにいるはずなのに、「書割的な空想」しかできない場面が描写されている。今は資料が充実してきたとはいえ、あの時代が遠ざかっていくほどに現実感のない空想しかできなくなっていくと思う。 ドイツの戦争世代、その子ども世代は相当に特殊だと思う。歴史上彼らのように集団として一人の例外もなく罪を負わされることとなった国民はいただろうか? 直接酷い行いに手を染めていなくたって、「ナチスを支持したじゃないか」「止められなかったじゃないか」と。 (日本も敗戦国で戦争責任云々についてはいろいろ議論が交わされているけれど、ドイツとは雰囲気が違うように感じられる) でも私はただ戦争世代を責めたり過去の残虐な行為を糾弾するだけじゃ思考停止だと思う。 小説中のハンナの言葉、 「あなただったらどうしましたか?」 これを考えなくてはならない。正直、あの当時あの状況において「正しい」行動をとれる人は全人類の1%もいないんじゃないかと思う。 そして難しいのは、だからといって罪が罪じゃなくなるわけではないということ。 主人公がハンナを「理解したい」という気持ちだけではなく彼女を「裁きたい」という気持ちを持っていたこと、これは今まで読んだどのような物語にもなく新鮮だった。このあたりがドイツの戦争子ども世代(しかもインテリ)が抱く精神の特殊性なのだと思った。 激しく葛藤し、何かをしようとして何もしないことを選んで、その末に辿り着いた彼女との心地良い距離が「朗読者」であったこと……涙を禁じ得ない。

    7
    投稿日: 2017.05.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    外国の小説を読むことはあまりないので、とても苦戦。と同時に、訳者あとがきにもあったように、センセーショナルな出だしと設定、そして壮大な戦後の背景で、登場人物たちの感情の移り変わりには気が回らなかったので、 本書を味わうには二度読むと良い、というのは、本当だと思う。 ちょうど世界の歴史を学んでいたところだったので、ドイツのこの時代背景はとても勉強になったが、小説ながら、頭を使い想像力を必要とする作品だったと思う。

    0
    投稿日: 2017.04.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3部構成 少年時代 学生時代 さらに18年後くらい 読んでよかった本 いかにもドイツ的か 私にとっては、なぜか読みにくい 情緒的な文章

    0
    投稿日: 2017.03.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

     ホロコーストに関連した小説ですが、ホロコーストに加担した者を一方的に断罪するような単純な作品ではありません。また、戦時の行為を特殊な状況下であったことを理由に安易に正当化しようとするものでもありません。いろんな理解の仕方があると思いますが、大きな不幸に不可抗力的に巻き込まれた人の悲劇、加害者の側に立ってしまった人が背負う罪の意識、人が人を裁くことなどできるのか、そもそも何のために人は人を裁かねばならないのかといったことをテーマとした作品といえば当たらずとも遠からずだと思います。  第一部がかなりショッキングな内容なので嫌悪感を持つ人がいるかもしれません。しかし、主人公のミハエル・ベルクがハンナ・シュミッツの人生(あるいは心の問題)に深く関わっていく必然性を導き出すには、このような物語の設定が必要だったのでしょう。  作者のベルンハルト・シュリンクは法学者だそうで、いかにもドイツ人の学者らしい明晰な言葉で、主人公の複雑な心の内面を細かく描いていきます。結末は悲劇的であり、決して心地よいお話でもありませんが、読み終えてから暫くするともう一度読み返して意味を確かめたくなるような本だと思います。

    7
    投稿日: 2016.09.25
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    2016.08.29読了。 今年5冊目。 岩田書店一万円選書で選んでいただいたもの。 主人公とハンナの恋愛からはじまった話。 別れから何年後思わぬ形でハンナと再会する。 強制収容所について収容されていた者ではなく、監視していた者の立場を描いている。 戦犯としてハンナは裁かれることになるが、それは本当に正しい裁きだったのか。 ハンナもまた犠牲者であったのではないかと思う。 2人のその後の関係は朗読を通して穏やかで良好なように思えたけど、彼は最後までハンナのことを理解できていなかったし、何とも切ないストーリーのように思った。 しばらくしたらもう一度読みたいと思う。

    1
    投稿日: 2016.08.29
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    いい本だった。 読むと分かるけど、この本には確実に伝えたい事がある。でもそれをオブラートに包むどころか、殆ど匂わないように封じ込めて、年の差カップルの恋愛としてお話が始まる。 第一部は、恋愛の行く末。私は女性だけど、主人公と一緒にハンナに恋をする。 第二部は、法学部教授である作者の本領発揮どころ。法学を学ぶ人が読むと、感じることが違うのではないだろうかとい思わせる内容。黒と白の狭間で揺れる主人公。 第三部は、ハンナとの穏やかな関係と意外な終焉。 ドイツというと、、、という話を想像したが、逆の立場からの話で私にはその方が共感できる。人は弱い生き物で、よく考えもせずマスコミに煽られ、現在の行動はどうなのかという人に対しても不用な同情心をもったり味方をしたりする。それに、勇気を持って(世間のあおりとは反対側に立っているように見える可能性もあるから)、穏やかに誰を責めるでもなく、こういう見方もあるよと提案してくれる良著だと思った。

    2
    投稿日: 2016.06.29
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    誰かを愛するということ、恋をするということ・・・深く考えさせられる作品です。こんな苦しく哀しい、しかし確かな愛もあるのだと思いました。 作品を読み進めるにつれ、自分の奥深くにあるものを強引に引き出されるような、何とも言えない哀しい感情が沸き上がってきました。 主人公が愛した女性の最後に取った行動は、誰もが分かっていたが、止められないものだったのではないかと感じた。さまざまなことを受け止め、行き着いたものであり、そして最初に戻ったのではないかと思った。 「あなただったら何をしますか?」という女性の問いかけが忘れられない一文です。 恋愛小説として読んでも、戦争小説として読んでも、何度も読み返す作品になりそうだと思った。そして、読み終わるたびに女性の問いかけ、主人公の苦しみと行動に対しても、回答の出ないまま、繰り返し読み続けるのだろうと思います。

    2
    投稿日: 2016.05.12
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    母親ほど年の離れた女性との恋。 数年後に知らされた彼女の過去 そして償いきれない罪 時代に翻弄された人びと 必要以上の罪を認めてまで彼女が 守りたかった秘密。 繊細で力強く包み込むようにあたたかい作品。

    1
    投稿日: 2016.04.29
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    内省的な語り口のせいか、自身の深部へ深く入り込み、時に辛く、ときに悲しく、勇気づけられたり。 愛の話しでもあり、男と女の物語でもあり、ナチスの話でもあり、人間とは、という崇高な話しでもあり、目線の向け方できっと感じ方は全く違ってくるんだろうな。 そういった意味では再読してみたい。 匂いたつ描写は、自分自身の過去を強引に引き出されるような、そんなリアルな、悲しい、やるせない感情が湧き上がってくる。

    0
    投稿日: 2016.04.15
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    すべてを、目を逸らさずに、直視してしまうひとっている。そういうひとは、自分をごまかすことも、いろんなことを都合よく考えることもできないから、自分が間違っていると納得してしまったら、消えてしまうしかない。ハンナはそういうひとなんだと思った。主人公とは対照的に、ハンナの思考はとてもシンプルで、刺すような痛みを伴う切実さがある。全体を通して、どれだけ理屈をこね回しても、帰ってくる場所は同じなんだという大きなメッセージがあるように、個人的には感じた。ハンナはその最初の起点にいるんだと思う。

    3
    投稿日: 2016.04.05
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    歳上の女性との恋愛小説かと思いきや、戦争の罪を問う重いテーマを持った作品だった。内容が深く、考えさせられる小説だが、喧伝される様な泣ける小説ではないと感じた。

    0
    投稿日: 2016.03.19
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    恋愛にはこんなに難しい形をしているものがあるのかと考えさせられた。ハンナと主人公は不器用ではあるが互いに深く愛し合っていたのだと読み進める中で理解できた。 2016.1.25

    0
    投稿日: 2016.03.15
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    Ⅰぶでは、中学生のミハエルと年上のハンナの恋愛物かと思ったら、Ⅱ部で、話はアウシュビッツの裁判に。被告は、ハンナ。ミハエルは、裏切ったのだろうか?これで、正解だったのか?もっと、優しくできたのではないだろうか?愛に満たされたら、違っていたと思うが・・・。今、読み書きができる幸せをかみしめる。

    0
    投稿日: 2016.02.28
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    最初は、少年と年上の女性の恋愛ストーリーで、いずれすれ違って別れるんだろうな、と思っていた。 概ね合っていたけど、再会したところぐらいから、様相が違ってきた。 重い話だったけど、いろいろ考えさせられる内容だった。

    0
    投稿日: 2016.01.13