
総合評価
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powered by ブクログ第二次世界大戦中、アウシュビッツに送られたユダヤ人少女の実話をもとにした物語。アウシュビッツに家族収容所があったことや、そこでフレディ・ヒルシュの秘密の学校があったことなど、何も知らなかった。ホロコースト関連のものを読む時はいつもそうだけど、読んでいる間はずっと動悸がし続けていて、とても辛い。 ホロコーストの物語を読むといつも辛く悲しくなり、そして今のイスラエルの状況を見てまた悲しくなる。どうして世の中はこんな風なんだろう。
0投稿日: 2026.01.10
powered by ブクログ本によって人は 知識や知恵を得ることができる。 視野を広げることができる。 心を豊かにすることができる。 だからこそ強制収容所では本を所有することが禁止され、 そして、だからこそ図書係のディタは アウシュヴィッツにおける、本の貴重な価値を理解した上で、 自分の意思で、 命懸けで8冊の本を守った。 ディタの勇気によって何百人ものこどもたちが たとえ一瞬だとしても 本を通じて現実を忘れることができた。 本を通じてimagineすることは人間らしく在ることで、それは誰にも奪えない。 子どもではいられなかった14歳の、偉大な功績。 広く伝えたいお話です。
13投稿日: 2025.11.24
powered by ブクログアウシュビッツという過酷で不条理な世界を懸命に生きた少女の姿に感銘を受けると共に、彼女がその中で大人になるしかなかったことに悲しみとやるせなさを感じた。しかもこれが実話に基づいているとは… 海外著書の内容や聞き馴染みのない名前や知名が沢山出てくるので、読みやすい本ではなかったが、心に重く残る本だった。 本や文化は生きるために必須なものではないが、人が希望を失わないために大切な要素。
1投稿日: 2025.11.02
powered by ブクログ歴史的背景の入り口としては良い作品だと思うけど、惨禍を伝える点を優先しすぎた感は否めない 実在の人物をモチーフにしているのだから、主人公自身の痛みや内面をもっと掘り下げてあったらなー 「人類の歴史において、ー独裁者、暴君、抑圧者たちには、ーみな共通点がある。誰もが本を徹底して迫害するのだ。本はとても危険だ。ものを考えることを促すからだ。」
0投稿日: 2025.10.30
powered by ブクログ私は12年ほど前にアウシュヴィッツ強制収容所を訪れ、そこで行われた人間の所業とは思えぬ史実の、その同じ場所に立ち、身震いした記憶がある。しかし本書を読むまで、アウシュヴィッツ強制収容所に家族収容所なるものがあったとは知らなかった。これは、そこに秘密裡に作られた"図書館"を守り続けた少女の話である。彼女は奇跡的に収容所生活を生き延びた。これほどまでに人権が蹂躙され、尊厳が奪われた世界を、年余にわたり耐え抜いた人々の中に、何が残されたのか、それは想像を絶する。 その図書館の図書係である主人公・エディタから、SSは、意思の強さと希望だけは奪えなかったということだ。 しかしそれにしても異常すぎる世界である。アウシュヴィッツで行われたことについては、世界中を震撼させ、その悪名を世に轟かせているところであるが、エディタが終戦間近の時間を過ごしたベルゲン=ベルゼン強制収容所の凄惨さもすさまじかった。そこはアンネ・フランクが虫ケラのような最期を迎えた場所でもあるらしい。この収容所の女看守・フォルケンラートは、ちょっと気に入らなければ息をするように収容者を殺し、大量の収容者を死に送った冷酷無比なSSであるが、作中では、もともと美容師であったフォルケンラートについて、ヒトラーが政権を握らず、戦争さえ起こらなければ、ユダヤ人だって誰だって快く髪を切る、虫一匹殺さない気のいい美容師だっただろう、とエディタが想像する場面がある。私はそれが印象的だった。体制や立場を理由に殺人行為に正当性が与えられることはもちろん論外だが、システムあるいは世界の仕組みが非常に大きな罪を誘うこともまた否定できない。いまなお中東や東欧を中心に同じような悲劇は起こっているし、私たちのすぐそばにある世界にしても、平和のバランスを欠きつつある。人を憎み排除し尊厳を脅かすことはあってはならないと世界が認識したあの日から、たかだか80年しか経っていないのに、その決意はあからさまに薄らいでいる。エディタが本によって人間らしい希望の灯火を絶やさなかったように、この本もまた、私たちが決して忘れるべきではないことを、いつまでも語り続けてくれている。
11投稿日: 2025.10.12
powered by ブクログ3.8 状況が厳しすぎて、読んでいてしんどくなってなかなか進まなかった。絶望の中のわずかな希望の話。どれだけ過酷な環境でも人の心まで従わせることはできない。命を選別する権利は誰にもない。実行した責任を体制のせいにしてはならない。
2投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なんとなくで知っていると思っていた 戦争の悲劇 この本を読んだからと言って 分かったことはそれほど多くはないのだろうけれど 思わず眉間に皺が寄ってしまう そんな光景を想像することはできた 人は誰しも失敗から学んで 次はこうしようと無意識に生きている 歴史を知るということも 同じことなんだろう ただ無関心で生きていくこともできるけど そうはなりたくないと思う ディタが80歳まで生きられたこと 一言では言い表せないけれど 心からよかったと思う
0投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログフィクションだけど、ノンフィクション。 だからこそ、本が全てを解決したりはできない。 でも、そこに本があったことが、物語を語ることができる人がいたことが、人々の心の支えになったことはフィクションじゃない。 そこに本があったことが、その後にわたって彼らの心の支えになったのではないかと思う。 例え人生が短い、悲惨なもので終わってしまったとしても。 無駄ではなかった。 大きな流れに巻き込まれる中で、自分を失いそうになる中で、そこに本があったことが、本が繋いだものが、支えのひとつになった。
1投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログ分厚くて、なかなか時間がかかったけど読了。実話に基づいたお話。あのアウシュヴィッツにそんな秘密の図書館かあったなんて…。あの劣悪な想像を絶する環境の中で、少なからず本の力が心の支えになったのかもしれない。 「あきらめるという勇気は誰がわかってくれるだろうか…」本当に色々な気持ちが入ったなんとも言いがたい悲痛な言葉だと思う。
11投稿日: 2024.08.13
powered by ブクログ実話をもとにしたフィクション。だが、ほぼノンフィクションに近いと思う。 辛く悲しい気持ちで読み進めたが、これは人類である以上、知るべき内容だと思う。 知ることしかできないということは、知ることならできるということ。 まずは知ることから。
1投稿日: 2023.11.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アウシュヴィッツには行ったことがあった。この本の主人公であるディタが収容所に送られるほんの少し前の年齢くらいのときに。当時のことはもうよく覚えてないけど、メガネと髪の束と暗い収容所の空気だけをよく覚えてる。 アウシュヴィッツの物語を読む度見る度に、ここで生き延びようとした人たちの生命力に驚きを覚える。運命による抑圧をどうにか跳ね飛ばそうとするその気力に、人間の底力を感じて、毎回涙が止まらなくなる。一方で、運命によって退けられてしまった人たちへの共感と悲しみも。自分はここにいれられてどちらの側に行くだろう。右と左にわけられるだろう。子供がこんなところに入れられて、果たして1日でも正気でいられるだろうか。子供のために体を売れるだろうか。 戦争の愚かしさをこうやって目の当たりにする度に、今でも世界で続けられている同じようなことに絶望する。戦争によって人間性を奪われるすべての人たちに悲しみを覚える。どうやったらやめられるんだろう。どうして人は忘れるんだろう。 せめて自分はどうにかして愚かしい人間であることを忘れずに、せめて足を踏み外さないように、生きていければなと思うばかり。
2投稿日: 2023.08.18
powered by ブクログアウシュヴィッツ強制収容所内にあった秘密の図書館の物語。 史実に基づいていて、巻末では「その後」も紹介されています。 言動によって結果として描かれる登場人物たちの内面が、とてもリアルに浮かび上がってきました。 そこにあった日常。そこにあった日々の営み。心の動き。会話。助け合い。絶望。希望。 リーダーであるヒルシュの存在に心惹かれました。 彼のあり方、彼はなぜそこにいて、その役割を担うことを決めたのか。 どのような場所にあっても、自分が大切にしたいことを大切にし続けていくにはどうしたらよいのかを問われる物語であるように感じました。
0投稿日: 2023.06.18
powered by ブクログ第80回アワヒニビブリオバトル「出張!アワヒニビブリオバトル@天神さんの古本まつり」で紹介された本です。チャンプ本。 2021.10.17
0投稿日: 2023.05.07
powered by ブクログたった八冊の本が、荒野どころか地獄の真ん中で、どれほどの意味があるのだろうかという問いに、ウィリアム・フォークナーが冒頭で答えを示してくれる。 ⭐⭐「文学は、真夜中、荒野の真っただ中で擦るマッチと同じだ。」⭐⭐ 話の構成は上手く作られていて、現在と過去(アウシュビッツ前とアウシュビッツBⅡb区画に来てから図書係になるまで)が交差しながら、語られる。 登場人物たちの感情は、冷静に表現され、その分、比喩表現などが上手く使われており、心の動きはよくわかる。 この世界で感情表現に重きを置かないのは、もっともかもしれない。山のような死体が自分の横を通って行くのにも慣れてしまう日常だったのだから。 翻訳の力もあるかもしれないが、普通の小説以上に読みやすい。 前半、収容所内にも関わらず、やや学園ドラマ的なムードが続き冗長さも感じたが、いよいよBⅡb区画に死神が訪れ、ヒロインのディタは家族やたくさんの仲間を失う。 それまでの、異常な日常の中で彼らが求めた「ささやかな日常」(読んだり、書いたり、学んだり、身だしなみを気にしたり、恋心を抱いたり)を思い返すと胸が詰まった。人はどうにかこうにか飢えをしのぐだけでは生きていけない。ボロボロの本はもちろん、皆で歌う唄、そしてちっぽけな石鹸の匂いや安物の髪留めでさえ、心のよりどころとなり得る。 だが悪魔の所業は、いとも簡単に彼らの希望の光を踏み躙った。ガス室の描写はもちろんないが、数頁前に登場していた人物の台詞が蘇り、哀しみが聞こえてくる。そしてディタがいた家族収容所も閉鎖され、目の前には死しか見えない過酷な強制労働の日々が続く。 ユダヤ人というだけでなぜ? アイヒマンなど歴史的に知られているナチスの人物も登場する。しかし、彼らもナチズムのプロパガンダに狂わされてしまった“普通のドイツ人”だったのかもしれない。 幸せをつかむディタだが、プラハで今度は、ソ連共産党に夫とともに苦しめられる。 時代は繰り返すのか?いや、たとえ繰り返したとしても、ディタのような賢く強い人間を根絶やしにすることなど出来ない。そして必ずや正義は息を吹き返す。
0投稿日: 2023.04.30
powered by ブクログ[文学は、真夜中、荒野の真っ只中で擦るマッチと同じだ。マッチ一本ではとうてい明るくならないが、一本のマッチは、周りにどれだけの闇があるのかを私たちに気づかせてくれる。] まさに本書の冒頭に掲げられたこの言葉を噛みしめる内容だった。 フィクションの皮を被ったドキュメンタリーと言ってもいいのだろう本書。何故人はそんなにも残酷になれるのかとうち震える反面、そんな環境の中でも本を教育を守った主人公達の尊厳に畏敬の念をおぼえる。 きっと文学でも漫画でも映画でもなんでもいい、人は何かを見て心を震わすこと無しには生きていけないんだろうな。
0投稿日: 2023.03.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「全然教育的じゃないし、罰当たりかも。下品だ、不謹慎だとその本を認めない先生たちもいる。しかし、そんなふうに思うのは、花は花瓶の中でしか育たないと思っている、文学の「ぶ」の字もわかっていない人たちだ。図書館は今や薬箱なのだ。もう二度と笑えないと思ったときにディタに笑いを取り戻させてくれたシロップを、ちょっぴり子どもたちの口に入れてやろう。」 普遍的な本の力、この本が伝えたいこと。 全てが、この文章に集約されていると思う。
0投稿日: 2023.03.16
powered by ブクログなぜ人はこれほどまでに残虐になれるのか。信じがたいことが強制収容所では行われていた。世界中が戦争のない社会になるにはどうしたらよいのか。考えさせられた。
0投稿日: 2022.12.03
powered by ブクログどう感想を書いていいのかわからない。 ディタの勇気や諦めない気持ちなどとたくさんのことを思ったけど、そのまま読んだまま自分の中にしまっておこうとおもった。 本をもっともっともっと読みたいっておもった。
1投稿日: 2022.11.01
powered by ブクログあれれ。感想書くの忘れてた。 アウシュアヴィッツの悲惨さは伝わってくれけど、本作主人公は其れを乗り越えて生き残った人。 感動します。読み終わって3ヶ月も経つと流石に文章がうかんでこない。失礼しました。
0投稿日: 2022.08.12
powered by ブクログ家畜以外の扱いを受けながら、死と隣り合わせな凄惨なアウシュビッツの収容所で続けられた子供たちへの教育。そこで取り扱う八冊の本を管理する図書係のディタ。図書係と言ってもナチス公認では無いから、それを隠し通さねばならない。次に死ぬのは自分かも知れないという状態にありながら、家族を庇い合いながら、本を守り抜く。実話に基づいた話であり、物語には『アンネの日記』で有名なアンネ・フランクも登場する。 ディタは、目の前の現実から逃避するために人目を忍んで読書する。本の世界に没入する事で、想像の世界に友人を求め、悲惨な収容所から外の世界へ行けるのだ。読書には力がある。そう考えると、反対に私がディタのいる世界に没入するという事を考える。凄惨な世界に行けるのか。ディタと私の読書の質の違いを考えざるを得ない。恐らく、想像世界への没入感にはある種の現実世界の濃度による浸透圧の差や距離感が影響するのだろう。 地獄からの解放。本記録では、戦争の終わりによる状況の好転以外に、脱獄、死、叛逆、買収などの手段が描かれる。リスクを伴い、自らの運命が分からぬ中での判断。多くは、状況も知らされぬ中で、耐え忍ぶしか無かったのだ。自分ならどうするのだろうか、威勢の良い事を妄想してみても、それこそ読書にリアリティがないのかも知れない。答えは出ない。しかし、自らを場面に投影する事に、追体験的意味があるような気がした。いや、その時代のアウシュビッツに行きたい訳ではないのだが。
3投稿日: 2022.08.09
powered by ブクログ実話を基にした お話です。 アウシュヴィッツから 生きて出られるという奇跡 そして アウシュヴィッツで 正気を保てたのは 本という 心の支えがあったから・・・・ 当時 本は 回収されてしまっていたけど 必死になって 隠し持っていた よれよれになってしまった本が 子供たちにとって 笑いや 感動を与えてくれた・・・・ アウシュヴィッツについての本では 以前読んだ 夜と霧でも そうでしたけど 生き残るには 心が大事でした。 食べるものがなく 病気が蔓延している中で 生きていくのは どれだけ 大変なのか 想像もできませんが 本を読む事で 少しでも 悲惨な事を 理解できます。 この本は 夜と霧よりも 読みやすいので 多くの人にも読んでもらいたいと思いました。
5投稿日: 2022.07.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「アンネの日記」は捕まるまでの話だけれど、こちらは捕まってから解放されるまでのお話。以前、アウシュヴィッツに郵便があるという話があって驚いたけど、こちらは学校まであってさらに驚いた。家族収容所なるものがあったことにも。 話ももちろん素晴らしかったけれど、あちらこちらに名言が散りばめられている。特にヒルシュの話は本をあまり読まない人たちにも響きそうだと思った。 今更ながら、強制収容所の暮らしが想像以上に酷くて驚いた。その中でもみんなが逞しく生きていく姿にも驚いた。人は希望がなければ生きてはいけないのだと改めて思った。 主人公はアウシュヴィッツからの解放後、イスラエルに移住したけれど、そこでもまた戦争があり、大変だったんだろうなと思った。
0投稿日: 2022.07.03
powered by ブクログこれが実話ベースというのが怖すぎる…ナチスの作品に触れるたび、人間ってこんなに簡単に残酷に人を殺せるんだって恐ろしくなる。著者がジャーナリストなだけに、毒ガス室での殺戮の様子や、バラックでの病に苦しんだ様子が刻々と記録されていて、とても心が痛んだ。でも、希望だったのは、たった8冊でも、理解ができない言語で書いてあっても、本は人々に希望や現実からの逃避を与えられるということ。読書にはそんな大いなる可能性があるということ。そして、ディタの志と使命感、決して諦めぬ心、そして知恵や登場するキャラクターの優しさにとても心が救われた。ナチス側の人物も実在する人物たちで、その後どうなったか、が語られるのも良い。克明な記録として、後世に受け継ぎたい逸品。 p.35 それは君が勇敢だからだ。勇気がある人間とそれを知らない人間は違う。恐れを知らない人間は軽率だ。結果を考えず危険に飛び込む。危険を自覚しない人間は周りを危ない目に合わせる可能性がある。そういう人間は僕のチームにはいらない。僕が必要とするのは、震えても1歩も引かない人間だ。何を危険にさらしているか自覚しながら、それでも前に進む人間だ。 p.44 アウシュビッツは罪のない人を殺すだけでなく、良心を殺す場所でもあった。 p.54 子供ですって?とんでもないわ。子供時代がないのに、何が子供よ。 p.57 ナチスが音もなく更新してきた1939年3月、全てが始まった。突然全てが崩壊したわけではない。しかし、ディタの周りの世界は崩れていった。最初は少しずつ、次第に加速しながら。配給手帳が配られ、いろんなことが禁止された。カフェので入り、他の市民と同じ時間帯に買い物に行くこと、ラジオの所有、映画館や劇場に行くこと、りんごの購入…。その後、ユダヤ人の子供は学校から追放され、公園で遊ぶことも禁止された。それは子供時代を取り上げるに等しかった。 p.59 ささやかな思い出だが、ファーストキスは決して忘れない。あの後後の嬉しさを思い出すとウキウキとした気持ちになり、戦争と言う砂漠の中でも、喜びを感じることができた。大人は決して手に入らない幸せを求めて必死にあがくが、子供はその手の中に幸せを見出せる。 p.87 子供たちもその方がよく聞いてくれるのですよ。頭のおかしいの年寄りの言うことなどだれも耳を貸さないけど、それが本に書いてある事なら…別です。本の中には、それを書いた人の知恵が詰まっています。本を消して記憶を失わない。 p.104 ディタは12回目の誕生日のために自分で考えていることがあった。夜、母さんが彼女の部屋におやすみを言いに来た時、リサはもう一つの音をだおねだりした。お金はかからないからと断り、12歳になったのだから大人の本を何か読ませてほしいと頼んだのだ。 p.171 エディタ…。まるで彼が悪いことをしたみたいに言うのね。ただ女ではなく男に惹かれるだけのことでしょう。それが、そんなに悪いことかしら? 学校では病気だって教えられました。 本当の病気は、人を許すこともできない、心の狭い考え方だわ。 p.236 アウシュビッツの夜がふける。暗闇の中、列車が到着し続け、途方に暮れて木の葉のように震える罪のない人々を置き去りにしていく。そして煙突の赤みがかった強い光が、休むことなく炉を燃やし続けていることを物語る。家族収容所に入れられている者たちはシラミだらけのわらぶとんに横になり、恐怖と闘いながら眠ろうとする。一晩一晩を生き抜くことが小さな勝利だ。 p.283 ディタが本を閉じると、子供たちは立ち上がり、またバラックの中を騒々しく走り回り始めた。消えていた命の灯がまた灯った。ディタは何度も糸で縫い直されたその古い本を撫でた。そしてフレディー・ヒルシュは自分のことを誇りに思ってくれるだろうと幸せな気持ちになった。「いつも前に進み続けること、あきらめないこと」と言うヒルシュとの約束を果たしたのだ。 p.312 ナチスは私たちから何から何まで取り上げたけど、希望を奪うことはできない。それは私たちのものよ。連合国軍の爆撃の音も前より大きくなってるわ。戦争は永遠に続くわけじゃない。平和が来たときの準備もしなくちゃ。子供たちはしっかり勉強しておかねばね。だって、廃墟になった国や世界を立て直すのはあなたたち若者なんだから。 p.335 周囲には武装したナチスもいなければサイレンの音も命令の声も聞こえない机の上で、パンのかけらをかじるこの自由な瞬間は、誰にも奪えない。 p.368 並べられた本が小さな列になった。奥ゆかしい古参兵のパレードだ。この何ヶ月か、何百人もの子供たちが世界中を旅行し、歴史に触れ、数学を勉強するのを助けてくれた本たち。フィクションの世界に誘い込み、子供たちの人生を何倍にも広げてくれた。本の数冊の古ぼけた本にしては上出来だ。 p.370 強くて前に進もうとすると、勇気がいるでしょう。でも強くない人は、何をやるにも平気なんだから、偉くも何ともないわ。 p.392 数時間前まで生きていた人間が、まるでゴミのように穴に投げ入れられる。作業員のハンカチは腐臭に耐えるためではなく、顔を隠すためではないかとディタは思った。人間をゴミとして処理するのを恥じているのだ。 p.412 ディタは振り返って笑顔を向けるが、立ち止まる事は無い。英語なのも、自分には読めないものなのもわかっている。でも構わない。母さんが眠っている間、空きベッドに座って本の匂いをかぎ、ページをパラパラめくって上の音を楽しむのだ。背表紙をもう一度撫でて、表紙ののり付けの厚みを感じる。そこに書いてある作者の英語の名前もエキゾチックだ。再び本を手に取ると、人生がまた始まるような気がする。誰かが蹴散らしたジグソーパズルのピースが少しずつ元に戻る。 p.418 オータは微笑む。生き生きとした、ちょっといたずらっぽい目が、君が生きていて嬉しい、また会えて嬉しいよ、とディタに語りかけている。ディタをまた、なぜかしら微笑んだ。その微笑みは人と人を結ぶと、それが強い絆になる。彼の朗らかさが出たの心も明るくする。 作中で出てきた本たち ・『兵士シュヴェイクの冒険』 ・『幾何学の基礎』 ・『世界史概観』 ・『ロシア語文法』 ・『精神分析入門』 ・『モンテ・クリスト伯』 ・『ニルスのふしぎな旅』 ・『ユダヤ人の歴史』 ・野村路子『テレジン収容所の小さな画家たち詩人たち』 ・『ポーランドのボクサー』 ・オータ・D・クラウス『塗られた壁』 ・ルディ・ローゼン『私は許せない』
2投稿日: 2022.06.29
powered by ブクログ世界はこんなにも良書に溢れているのに 人はなぜ『本』から学ばないんでしょう ホロコーストなんてものが人間の発想なんてことがにわかには信じられないんですが史実なんですよね 推計で600万人(諸説あり)ものユダヤ人が犠牲になったとも言われていて 悪魔だってもう少しマシなんじゃないかと思わせるほどです よく「悲劇は二度と繰り返すな」などと言われますが今ではもう映画の宣伝に使われるだけの言葉になってしまったようです 本作は悪名高きアウシュヴィッツ収容所に実在した8冊だけの秘密の図書館の物語でフィクションを元にしています このタイプの作品を読んでいつも思うのは歴史の持つ圧倒的な力ですよ 「本当にあったこと」が持つ有無を言わさぬ説得力 そしてやはり本作が他のホロコースト関連の物語と違うのが『本』を題材にしてるところです 本好きなら誰でも一度は思ったようなことがより鋭角的に表現されています 『本』の持つ力がよりハッキリと感じられます ですが現実の世界を見た時にやはり『本』の持つ力には限界があるのだなぁ…と悲しく思ったりするのです そしてそしてやっばり本を粗末に扱う奴はディタに怒られろ!と思うのでした
43投稿日: 2022.05.25
powered by ブクログ大人も子どもも、本が、物語が、世界への扉が、未知への好奇心が、心の騒めきを鎮める重石になり、光を感じる光源となり、自分を外から見つめる道具になりうる。 本の持つ可能性を強く感じる。 過酷という言葉では言い表せないであろう時と空間の中で、志を折らずに闘った人達。 同じ民族でも様々な考えの人々がいて、今の自分、自分のルーツに不利益な事実について、それは事実ではないと言い募る歴史の不確かさ、脆弱性。 歴史となる中で、どういう声を聴くべきかにも強く気付かせてくれる。 今のウクライナ侵攻も心を掠めながら読み進める。
0投稿日: 2022.04.06
powered by ブクログアウシュヴィッツには生半可な気持ちで行ってはいけない。昔、ポーランドに旅行する際に読んだガイドブックにそう書かれていたことを思い出した。 実話に基づいたフィクション。だけど真実が垣間見える。読んでいた沸き起こった感情や情景。作中にもあるように、「本は別の世界へ連れてってくれる。」そう、知らなかった世界へ。 戦争は人の心を蝕む。それでも本はどんな地獄でも希望の種になる。本当に勇気ある人は怖がる人。心強いユダヤ人リーダー、フレディ・ヒルシュはどれだけの人を救ったか。そして図書係エディタ。今も彼の意志を引き継いでいることは十分伝わる。 この本読むと杉原千畝のやったことがいかに神がかりであるかを実感する。 あんな狂気の世界を二度と作ってはいけない。
4投稿日: 2022.02.15
powered by ブクログ確か「チャリング・クロス84番地」にこの本が登場して、気になって図書館で借りました。 アウシュヴィッツ関連の本だと「夜と霧」は読みましたが、これも読めて良かったと思える本でした。 8冊の本と、人々によって語られる「生きた本」だけの世界一小さな図書館。 人間としての尊厳が失われた世界で、本は命を救うことはできないけれど、人々に知識や知恵を与え、想像力を育み、思考するという、人間性をもたらすもの。 それを守るために希望や勇敢さを失わないディタに勇気をもらい感動しました。 プレゼントされたオルゴールを見て「でも、それ食べられないわ」と答えた少女の言葉が、その環境の過酷さを物語っていて、胸が痛かった。 実話を元にしたフィクションですが、人類が二度と繰り返してはいけない歴史を忘れず、後世に紡いでいくことは今を生きる人間の使命なんだと、改めて思いました。
4投稿日: 2022.02.01
powered by ブクログ14歳から16歳まで、収容所で過ごした実在の人物のノンフィクションを交えたフィクション。 一貫して冷静に少女目線で描かれている。生き延びてくれて心から本当にありがとう!
3投稿日: 2022.01.10
powered by ブクログ実話に基づいていることに驚く。 収容所の中なのに、どこかファンタジーのように 感じてしまうのは、、少女ディタの目線だからか。 絶望の淵で、本によってほんのひととき救われる、その場面に感動。 人間は、ストーリーによって救われてきたのだ。
1投稿日: 2021.12.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アウシュヴィッツで図書係だった少女の話を基にした小説。 当時の過酷な生活は、想像しても仕切れないものだなと改めて思う。理不尽な死がこんなに近いことなんてない。 『ごく当たり前の生活が、滑り台を滑るように地に落ちていった。』 『英雄的行為の大きさを評価し、名誉や勲章を与えるのは簡単だ。けれど、あきらめるという勇気は誰がわかってくれるのだろうか。』 戦争のもつ力の大きさと、それに抗えない無力感を感じることが出来る上の表現と、目に見えないものの繊細さと美しさを再考させてくれる下の文章に心奪われた。
3投稿日: 2021.10.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アウシュヴィッツ...もちろん名前は知っていた。 そこはナチスによってユダヤ人が大量虐殺された強制収容所。 有名なのは「アンネの日記」。 その程度の知識です。 本書は史実をもとに書かれたフィクション作品。 8月は先の大戦に関する書籍を何冊か読むようにしています。 本書で主人公として描かれる少女の名はエディタ・アドレロヴァだがそのモデルとなった実在の少女の名はディタ・クラウス(旧姓ディタ・ポラホヴァー)。 あの戦争を生き抜いた人々は多くの方がその生涯を閉じていかれているのも事実。 二度とあの悲惨な歴史を繰り返さない為に、思い出したくない辛い過去だと思いますが、少しでも後世に伝えていく為に形ある物として残して頂ければと思います。 その史実を見聞きすることが多くの犠牲の上に今を生きる我々の務めであり、二度と悲劇を起こさない責務だど改めて思いました。 説明 内容紹介 絶望にさす希望の光。それはわずか8冊の本――実話に基づく、感動の物語 1944年、アウシュヴィッツ強制収容所内には、国際監視団の視察をごまかすためにつくられた学校が存在した。そこには8冊だけの秘密の“図書館"がある。 図書係に任命されたのは、14歳のチェコ人の少女ディタ。その仕事は、本の所持を禁じられているなか、ナチスに見つからないよう日々隠し持つという危険なものだが、 ディタは嬉しかった。 彼女にとって、本は「バケーションに出かけるもの」だから。ナチスの脅威、飢え、絶望にさらされながらも、ディタは屈しない。 本を愛する少女の生きる強さ、彼女をめぐるユダヤ人の人々の生き様を、モデルとなった実在の人物へのインタビューと取材から描いた、事実に基づく物語。 著者略歴:アントニオ・G・イトゥルベ1967年スペインのサラゴサ生まれ。文化ジャーナリズムに携わって20年になる。日刊紙「エル・ペリオディコ」のテレビガイドのコーディネーター、映画雑誌の編集者などをつとめる。 内容(「BOOK」データベースより) アウシュヴィッツ強制収容所に、囚人たちによってひっそりと作られた“学校”。ここには8冊だけの秘密の“図書館”がある。その図書係に指名されたのは14歳の少女ディタ。本の所持が禁じられているなか、少女は命の危険も顧みず、服の下に本を隠し持つ。収容所という地獄にあって、ディタは屈することなく、生きる意欲、読書する意欲を失わない。その懸命な姿を通じて、本が与えてくれる“生きる力”をもう一度信じたくなる、感涙必至の大作! 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) イトゥルベ,アントニオ・G. 1967年スペインのサラゴサ生まれ。文化ジャーナリズムに携わって20年になる。日刊紙「エル・ペリオディコ」のテレビガイドのコーディネーター、映画雑誌「ファンタスティック・マガジン」の編集者などをつとめる 小原/京子 翻訳家・エッセイスト。山口県出身。上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業。在京スペイン大使館で23年間、翻訳官、文化広報担当として、日本におけるスペイン文化の普及・啓蒙に携わる。イサベル女王勲章オフィシャル十字型章を受章。ベネズエラ、コスタリカを経て、現在スペイン・マドリード在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
18投稿日: 2021.08.11
powered by ブクログ1929年にプラハで生まれたディタ・クラウスは、両親と共にテレジンゲットーに送られたとき、13歳だった。 1943年12月、彼女の家族と他の多くの人々がアウシュヴィッツビルケナウに送られた。 父、ハンスはそこで亡くなる。 アウシュヴィッツが大量虐殺の現場であったという事実を隠すためにナチスによって設立された家族キャンプのブロック31でシオニストのフレディ・ヒルシュに会う。 ヒルシュは子供たちのブロックを守り、子供たちを啓発し救うために全力を尽くす。 大量殺戮の後、10代のディタと彼女の母親のエリザベスは、アンネ・フランクが亡くなったのと同じ収容所であるベルゲン・ベルゼンに連れて行かれる。 「死に囲まれていると喜ぶのは難しい。ベルゲン・ベルゼンでさらに数千人が亡くなった。その中には私の母もいる。」 1945年4月に英国軍により解放された。 エリザベスは解放後わずか数ヶ月で亡くなった。 「アウシュヴィッツの囚人以外の人は誰もそれを説明できず、実際、それらの恐怖を表現できる言葉は存在しない。」とディタ・クラウスは語る。 ヒルシュと子供たちは殺されてしまうため、学校と図書館を「無用の勇気」の行為と見なす人がいるかもしれない。 しかし、本を隠すためのディタの勇気ある行動は、教師と生徒がどのように人間性を維持しようとしたかを示している。 ディタ・クラウスは、「人々は理解しなければならない。これは人間が他の人間にやったことであり、年月が経つにつれ、人間が私たちに対して行った残虐な行為を理解する人がますます少なくなっている。 それらの残虐な好意を犯したドイツ人の世代はもはや生きていない。」と語る。
2投稿日: 2021.08.11
powered by ブクログ一番の味方は自分。 というモルゲンシュタイン先生の言葉が強く頭に残った。どんな窮地に立たされても、臆することなく前を向いて進み続けるディタは、現代の私たちに足りない何かを教えてくれたような気がする。 命の尊さを改めて実感させられた。それはもちろん、家族、恋人、友達の命でもあり、そして自分の命でもある。 死んではいけない。と言う言葉がむしろエゴだと言われかねないこの時代でも、私はみんなに生きていてほしいと願う。どんなに今が辛くても苦しくても、必ず晴れる日が来る。寄り添い、みんなの助けを借りて支え合い、生きていて欲しい。 今、暖かい布団で毎日ご飯を食べ、生きている。ということがとても有り難く、幸せな毎日であることを忘れたく無い。 いつか、必ずアウシュビッツに行き、肌で実感したい。
0投稿日: 2021.06.25
powered by ブクログ夜と霧から入ってアウシュビッツについての本は2冊目です。 劣悪な環境の中、ユーモアと想像力を忘れない女の子が本守り本に守られながら生き抜く話。 あとがきの文章がまたいいです。引用いたします。 『人間が生き残るために必要なのは、文化ではなくパンと水だ。しかし、ただそれだけでは、人間性は失われる。もしも美しいものを見ても感動しないなら、もしも目を閉じて想像力を働かせないなら、もしも疑問や好奇心を持たず、自分がいかに無知であるかに思いが及ばないなら、男にしろ女にしろ、それは人間ではなく、単なる動物にすぎない。』 ちゃんと人間として生きような。
3投稿日: 2021.06.12
powered by ブクログ文学は、真夜中、荒野の真っただ中で擦るマッチと同じだ。マッチ一本ではとうてい明るくならないが、一本のマッチは、周りにどれだけの闇があるのかを私たちに気づかせてくれる。
1投稿日: 2021.04.12
powered by ブクログ「どんぐり文庫」で借りる。 辛すぎる歴史だけど、 人間の崇高さ、人類が本や言葉を紡いできた意味、希望の光、そんなこんなが心の奥に深く静かに染み込んでくる、そんな本。
1投稿日: 2021.03.27
powered by ブクログ史実を基に肉付けしている小説。 後半に進むにつれ、当時の収容所の劣悪な描写がひたすら続き、読んでいて辛かったです。 開放された瞬間の収容者の 「どうしてもっと早く来てくれなかったの?」 という一言が印象的で、涙が出ました。 このあたり、小説としては主人公自身のセリフや感情をもっと読みたかったところですが…。 あとがきに登場人物のその後が書かれていて、とても興味深く読めました。
1投稿日: 2021.03.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2回読んで、読み終わった時の印章がどちらも鮮明に残りました。恐らく、ホロコーストを自分が体験していないから、現実とかけ離れた世界に圧倒されてしまうのかもしれません。 8冊の本が楽園への入口というのは、当時の状況を鑑みると幸運だったのかは私が論じていい話ではないですが、今本が救いになっている人にはわかる事なのかなたま思いますり
0投稿日: 2021.02.11
powered by ブクログ全ての人に読んで欲しい 私たちが生まれる前にこんな過酷かつ理不尽な環境で、 命がけで生きていた人たちの日々を、こんなに鮮やかに描いた作品は見たことがありません。 今もコロナウイルスで厳しい状況ですが、 この頃の人たちと比べたら全くもってマシだと思います。 どんな環境でも生きる希望を失わないこと。 苦しい環境でも何かできることを探すこと。 そして、本は人に夢や希望与えてくれる。 本当に良い作品でした。
0投稿日: 2021.02.10
powered by ブクログアウシュヴィッツの家族収容所には「図書館」があった。本書は実話を基にした小説だ。小説を読み終えての感想としては奇妙なものだが、何よりもこう感じた「この本はあまりにも小説じみている」。アウシュヴィッツの記録や証言に関心があるならば、本書は物足りないと感じるだろう。 事実を伝えるためにフィクションが最も適するという状況はある。けれども、ことホロコーストに関しては記録や証言が持つ力に小説は及ばないのではないか。ルーカ・クリッパ、マウリツィオ・オンニス『アウシュヴィッツの囚人写真家』やエリ・ヴィーゼル『夜』などを読んで、個人的にはそう思う。 ともあれ本書は(事実に基づく)小説なのだが、登場人物たちの心情がうまく描き切れてない点に不満を感じる。まるで平時における日常生活のようなのだ。そしてとにかく会話が軽い。著者がジャーナリストだからか、取材で得たエピソードを盛り込みすぎている点もいまいちだ。(最後の100ページほどは急に記録的な記述が多くなって小説の色が薄くなる。これも小説として言えばもっと一貫性を持たせる方がよかっただろう。)ただし主人公ディタが読んだ本のストーリーや思い出を現在進行中の出来事と織り交ぜて描くという構成は面白い。 いずれにせよ、小説に仕上げられているとはいえ、ホロコーストを後世に伝えるにあたって本書が貴重な役割を果たすことは間違いない。
3投稿日: 2020.12.28
powered by ブクログこれ程までの壮絶な絶望の日々の中にいても、本が心を支えるとは。 この物語を読み終えた後、本を撫でて愛おしんだ。平和に感謝しながら、これからの読書時間を噛み締めたい。
0投稿日: 2020.11.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これを読み終わったあとの気持ちをなんと表現すればいいだろうか。 悲しくもあり、でも主人公の女性が生き延びたことへの安心の気持ちもわいた。この女性が収容所で見た光景はいくら生々しく語られたとしても自分には到底実感することのできない、それぐらい深いものだと思った。 この本はフィクションではあるが、主人公は実在していて、真実も書かれている本であり、当時収容所でどんなことが行われていたか、リアルを知ることのできる本。 自分はこの本を読んで、収容所の悲惨さを感じるとともに、人をそこまで狂気にさせてしまう環境の怖さも感じた。収容所で毎日ユダヤ人をガス室送りにしていたドイツ兵も、その環境にいなければ、きっと心優しい人だったかもしれない。誰しもが狂気の言動を取る、強制的に取らされる、そんな可能性があるということを考えさせられた。もっと収容所の現実を知りたくなった。
0投稿日: 2020.11.29
powered by ブクログ実話に基づいた創作ということで、アウシュヴィッツでの出来事とは思えないほど平和な展開が続く。特に驚いたのは、登場人物たちの気持ちに余裕があるという点だ。ビルケナウ収容所の家族棟にいる人たちは労働から逃れられ、大人から学べる時間があり、時には恋愛をしたり外見を着飾るという、信じられない内容である。最後のほうで主人公がベルゲンベルゼンへ移送されてから、ようやく物語が現実味を帯びてくる。だがこれも数十ページで終わる。途中でシュロモ・ヴェネツィア氏、アンネ・フランク姉妹の話が混ぜ込まれているので、著者は彼らの物語を知っているはずである。特にシュロモ氏は壮絶な体験をしているため、それと比較すると家族棟での出来事はすべて非現実的に思えてしまい、フィクションを楽しめなかった。
8投稿日: 2020.10.31
powered by ブクログアウシュビッツといえばアンネの日記は有名だけれど、そのほかの実話に基づくホロコーストの話はあまり気が進まなかった。現状のパレスチナの問題もあるが、あまりにも悲惨で胸が痛んで読み進められない、というのが大きい。けれどこの本は、本屋でてにとり、冒頭の一頁、 文学は、真夜中、荒野の真っ只中で擦るマッチと同じだ。マッチ一本ではとうてい明るくならないが、一本のマッチは、周りにどれだけの闇があるのかを私たちに気づかせてくれる。 で、読もうと思った。本が好きだからこそ、この本に出会えたわけだが、やはり、アウシュビッツの過酷な環境の中でも、本は、物語は、人々に希望と夢を与えたのだ。そして、やっぱり胸が痛くなる。
1投稿日: 2020.09.27
powered by ブクログホロコーストの話はいつ読んでも衝撃だ。子どもの頃にアンネの日記を読み、初めてこの出来事に触れた時の気持ちを思い出す。何度読んでも受けるショックは同じだ。 アウシュヴィッツ強制収容所内にひっそりと作られた学校には、本が8冊だけの秘密の図書館がある。 その図書係に任命された14歳の少女ディタは、見つかれば命はない状況の下、文字通り命がけで本を守っている。 なぜそんな子どもが危険をおかしてまで…とふと思ってしまうが、それは平和な世界で生きているからこそ、そしてこの苦しみがいつか終わることを知っているからこそ、の疑問であることに気がつく。 生きる望みも将来への希望も失った彼らだからこそなのだ、と思い直した。 ディタが本を守る使命を全うすることは、そのまま自分の命を守ることに直結していたのではないか、守るものがあることで強く生きることができたのかもしれない…そんな風にも思った。 この物語は実話ではないが実話がベースとなっており、モデルになったディタ・クラウスさんはまだご健在とのこと。それだけがこの物語の唯一の希望である。 この本の中にあるのは果てしない絶望だ。その絶望の中、日々を生き延びる少女が放っているのは決して光などではないように思う。泥の中でいつか芽を出すことをじっと待っている古代ハスの種を思い出した。 読むのがしんどい。 読み進めてもいつまで経っても絶望しかない。 中には、文字でありながら、想像もつかないはずの悲惨な状況がありありと目の前に浮かぶようで思わず目を瞑りたくなる場面もある。 もし自分がこの中にいたら、なんて想像もつかない。人は本当にしたくないことはイメージできないものなのかもしれない。 信じられるものなど何もない、そんな中で生き延びることのできる力とは何なのだろうか、と深く考えさせられた。
0投稿日: 2020.09.09
powered by ブクログ実話をもとに小説化した作品。 アウシュビッツやユダヤ人の迫害について、さまざまな作品があるが、図書係がいたとは初めて知った。 日本の戦争体験もそうだが、何人、という数の裏には一人一人違った経験がある。みんなが生きている人間であり、それぞれの人生があったことをこうして思い出していかなくては、いつまで経っても戦争は無くならないのではないだろうか。そこには文学の力も必要だ。 また、厳しい生活の中で、楽しい経験を頭の中でできるのは本があるから。本がなくても読んだ本のことを思い出して楽しむ。文学にはそういう力がある。このcovid19 によってそういう楽しみを奪われた時、その力がいかに生活に浸透していたかを知った。
7投稿日: 2020.09.08
powered by ブクログ「地球上のすべての国が、どれだけ柵を作ろうと構わない。本を開けばどんな柵も飛び越えられるのだから。」 好きな本を好きな時に読めることがどれだけ幸せなことなのか…… 絶望の日々でも決して投げ出さなかった彼女の生命力に勝てるものなんて何もないと思った。
4投稿日: 2020.08.16
powered by ブクログ過酷で劣悪な環境の中、大きなリスクを負い、実際に命を脅かされるほどの危険を感じながらも図書係としての役目を担う14歳の少女ディタ。 あまりに現実離れした世界。絶望せず希望を持ち続けることがどれだけすごいことか…。 ディタの意思の強さと未来を信じる力強さをヒシヒシと感じた。 客観的な事実、隠れた真実や当事者の声を知ることはとても大事なこと。 本は未来へ繋がる大いなる可能性を秘めている。 この
0投稿日: 2020.07.14
powered by ブクログ実話に基づくフィクション。 これが実際に起こっていたこととほぼ相違ないなんて、戦争を知らない私は本当に信じられない。 こんなに壮絶な体験をした主人公の少女が、90歳で今でもご健在と知って驚き。 ホロコーストについては、どうしてそんなことが起きたのか、一体どんなことが実際に行われていたのか、本当に人間は悪魔のようなことができるのか、子供の頃から興味があった。 これがたった75年前のことだなんて。 ガス室や処刑などの描写はもちろん、飢えや病気の蔓延、劣悪な環境についてのシーンも読むのが本当につらかった。 そんな絶望でしかない世界で、本は唯一の希望の証。 子供にとっての学校や教育の存在も然り。 本さえあれば、世界中どこへでも行ける。 たとえ身動きができなくても、心だけは旅できる。 ユダヤ人としての誇りやプライドを失わず、自分らしく最後まで闘い続けた姿には、心打たれた。
0投稿日: 2020.07.11
powered by ブクログ世界大戦時でのアウシュビッツの酷さが分かる。 そんな中、本に希望を求め、また本が人々に少しでも勇気を与える存在だった。 もっといい本に巡り会えるよう、これからも読書を続けよう。
0投稿日: 2020.07.04
powered by ブクログ「最初のマッチの引用文は、どういう意味?」という質問を受け、気になって読んでみることにした。 普通に読むと、「闇のひどさが明確になる」という後ろ向きなことなのかな。 マッチ一本ではあまりに頼りない、というような。 でもなんとか明るさを見出だそうとする読み方をすることが、読者として救われる態度のような気がした。
2投稿日: 2020.06.23
powered by ブクログアウシュビッツ内に密かに存在した図書館の蔵書を管理、つまり図書係という任務を任された少女の目線で描かれた、アウシュビッツ内の日々の生活の様子。そして、本を読むことがどれだけ人々に希望と喜びを、もたらし、想像力をかき立てるのかを伝えてくれます。 日々の弾圧。劣悪な生活環境。死への恐怖。それでも生きることへの希望を失わず、むしろ貪欲に生きようとする人の強さ。同じ環境にいるもの同士の中で現れるエゴ、自己中心的な態度。その一方で、常に穏やかに、平等に、且つ淡々と生きようとする人もいること。ごく普通の人間社会の営みもまたあったのだ、ということを知らしめてくれる作品です。 図書係の少女が生き残ってくれたからこそ、その事実が小説という形になって後世に語り継がれることができる、その奇跡をありがたく思います。
1投稿日: 2020.06.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アウシュヴィッツ関連の話は避けて来たけど、怖いからと言う理由で真実から目を背ける事は果たして良いのかなと感じ始めて、この本はとっつきやすいかと思い、読んでみた。 でもやっぱり辛かった。私はいつ終わるか分かっているけど、終わりが見えない中のこの生活は絶望感しかない。それでも本は人の心を癒してくれる。人の心を束縛する事は出来ない。 被害者加害者全ての人から戦争は夢や希望を奪っていく。ドイツの女性看守も元々は美容師を目指していたのに、今は毎日人殺しをしていると言うくだりは切なかった。 最後はハッピーエンドでホッと。しかもいまだご存命なのはすごい。強烈な体験をした後でも、人はそれを乗り越えて幸せになれる。主人公が芯が強くて明るいので、救われた。
12投稿日: 2020.06.11
powered by ブクログ・文学は、真夜中、荒野の真っただ中で擦るマッチと同じだ。マッチ一本ではとうてい明るくならないが、一本のマッチは、周りにどれだけの闇があるのかを私たちに気づかせてくれる。 ウィリアム・フォークナー (ハビエル・マリアスによる引用)p6 ・本はとても危険だ。ものを考えることを促すからだ。p10
2投稿日: 2020.06.07
powered by ブクログドキュメンタリー番組等でしか見た事のなかったナチス・ドイツのホロコースト。1部を切り取った映像ですらその非人道的な政策と強制収容所の様子に閉口したが、1人の人物に着目して描かれる書籍からは更なる悲惨さが数多く伝わってきた。生きていくのに必要最低限の食糧も与えられず、それにも関わらず多くの労働を強いられ、労働の出来ない女性・子供・高齢者は情けなどひとつもなくガス室に送られる。人間性を保つことが難しいと言われたこの空間で、たった8冊の本を危険を冒してまで守り続ける主人公ディタ。この状況で家族収容所が存在する意味はなにか。彼らにとって一冊の本はどのような意義を持つのか。救いのないこの物語だが、実際に行われていた事実であることはどれだけ時間が経っても忘れてはならないと思う。他のアウシュビッツを題材にした本も読んでみたいと感じた。
0投稿日: 2020.04.10
powered by ブクログ本を開くとそこには別の世界が広がっている。 世界地図を開いては収容所の柵を超えて世界中を旅することを想像した。 物語に夢中になり、恐ろしいナチスの絶滅収容所の中でさえ、生きる意欲、読書の意欲を決して失わない。 ディタにとって「本を開けることは汽車に乗ってバケーションに出かけるようなもの」だった。 ボロボロになった本を愛おしそうに修理するディタ。私も今手にしているこの本を抱きしめたくなりました。 電子書籍で読書をする機会が増えましたが、紙の本も手にしたくなる一冊でした。
0投稿日: 2020.03.03
powered by ブクログ国際赤十字監視団による立入調査がある。ガス室や死体焼却炉の存在を覆い、監視の目から逃れる隠れ蓑として、親子で時間を共有できる「家族収容所」がアウシュビッツ強制収容所内にあった。そこに「秘密の学校」で教える教師と僅か八冊だけの本の管理を任されたユダヤ人少女ディッタがいた。物語を聞いている間だけは、ノミやシラミだらけのバラックにいることや怖い思いを忘れることができる、人が焼かれる肉の臭いにも気づかずにいられる。極限状態の中で生きる意欲と力を得ようとした人達の、真実の証言に基づいた慟哭のフィクション。(T図書館蔵書)
2投稿日: 2020.01.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
知らないことばかりでした。 ナチスのした悲惨なことは、知っているつもりでいたのですが、知らなかった、 ユダヤの人ばかりでなく ロシアの人もアウシュビッツに隔離?収容?されてひどい扱いをされていたのですね(++) アウシュビッツで子供たちが生活していたなんて、びっくりしました。 ひどい生活の中で 勉強をしたり お友達とおしゃべりしたり ささやかなしあわせを探しながら 明日死ぬかもしれない恐怖のなかで生きていたんですね。 「今日一日を生きなさい」って・・・つらすぎます。小さい子供たち(涙)そして、そんな生活しか与えられなかったと、嘆く母親 読んでいて悲しいのと怒りとでむかむかしました。 アンネ・フランクにも少しふれています。 あとがきに おもなナチスのその後も書かれています。 このことも、しらなかったことでした。 2019年最後の本 重すぎました。でも、読んでよかったです。
0投稿日: 2019.12.31
powered by ブクログ悲しみ怒り恐怖 同じ人間なのに 今だからこんな事書けるけど かつて日本でも戦争を批判することが許されない時があり 戦争という名の人殺しが罷り通ってた。 その中でも1番悲惨な場所 アウシュビッツ 先日ポーランド人と話す機会があり、アウシュビッツに行きたいと言ったら とても嫌な雰囲気になり、そこは観光で行くとこではないけど分かってる?みたいな感じだった。全くそんなつもりはないけど その気持ちを表す英語も時間もなく、、 ディタの強さは全ての人の励ましになる! 読んで良かった!
1投稿日: 2019.12.21
powered by ブクログ場面は伝わってきたが、話が飛び飛びで、少しわかりづらい感じがした。実話なので、話の展開より事実を伝える事の方が優先されているのがわかる。2度と繰り返しては行けない歴史。
1投稿日: 2019.12.08絶望の淵でいかに生きるべきかを問う感動作
読書すら禁止のアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所。たった8冊の本を命を懸けて守る少女ディタ。絶滅収容所とも呼ばれるその中では、常に死の恐怖と隣り合わせ。1日に何千という命が何の躊躇もなく流れ作業のごとく殺されていく。さらに暴力、飢え、チフス、コレラ、悪臭、シラミ、強制労働。生きていくこと自体が辛い中にあって、人間らしさや希望を保つ原動力となるのは紙の本や教師たちの話す物語、生きた本だ。勉強や本が嫌いという日本の子どもたちにぜひ読んでもらいたい一冊。そして90歳近い現在のディタの生き様にも感服。
0投稿日: 2019.11.02
powered by ブクログ人の持つ残虐性がナチスによって形になり 多くの人が共に行動した。 遠い昔の事、でも二度と起こらないと確信が持てるのだろうか? 暗いニュースが日本にも海外にも多くて 不安が募ります。 ディタの全てを乗り越えた後の強さが 読後に光を放ってくれました。
0投稿日: 2019.10.14
powered by ブクログ読む進路を妨げられるほどの残酷な描写。しかし80年もしない前に実際にあったこと。いつ殺されてもおかしくない恐怖、飢え、大切な人との別れ、10代で経験するにはあまりにも辛過ぎる環境の中生き抜いた主人公と、それを現代の私たちに伝えてくれた作者に深く敬意を表する。ちょっとした不自由さや、思い通りにならないことに歯痒さを感じていたが自分の甘さを痛感させてくれたこの本に感謝。
0投稿日: 2019.10.12
powered by ブクログ☆実話に基づくフィクション (関連)図書係 マングェル、私は許せない ローゼンバーグ、塗られた壁 クラウス、
0投稿日: 2019.09.29
powered by ブクログ登場人物の名前等を若干変えているが、内容は実話に基づいている小説。わかっていたことだけど題材が題材だけになかなか読み進むのが苦痛だった。しかし目を背けてはいけないことでもある。この小説の主人公のようにどんなに苦境でも、芯を通すことができる人を尊敬する。死後、家族をアウシュヴィッツで失うフランツ・カフカの『カフカは誰よりも早く未来に起こることを予想していた。人間はひと晩で怪物に変わるということを』という文章が印象的だった。
1投稿日: 2019.04.24
powered by ブクログ小説の力がこの感動を生み出したのだと思う。たとえ事実に基づく物語だとしても。そもそも愛読者たちはフィクションとノンフィクションを区別して読まない。また、本好きにはたまらないテーマでもある。生きる力、闘う力となる。
0投稿日: 2019.03.16
powered by ブクログ第二次世界大戦中、ユダヤ人であるがゆえにアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所に送られた少女 ディタ・クラウス(1929年プラハ生まれ)の実話をもとに書かれた。 わずか9歳で送られたその収容所は特殊であると思われる。 教育も本も禁止されていたその場所に、青少年のリーダーによって学校のようなものが作られている。 その学校の図書館係を務めていたのがディダ。 たった8冊だけを所蔵する図書館、貸出、回収、修繕、すべてナチスに見つからないように秘密裏に最善の注意を払って、または危険を冒して行われた。 家畜小屋のようなノミやシラミが飛び交いまた伝染病が蔓延している住居、食事は水っぽいスープとひとかけらの固いパンというような劣悪な環境の中で、ディタは日々死の影におびえながらそれらの本を慈しむ。 やがて右と左に仕分けされてディタは次の収容所に送られる(送られなかった人たちはそこで終わり・・・)そこでは学校の存続もむつかしく、リーダーもいなくなり、読み進めるのもつらいようなさらなる壮絶な毎日が始める。以前の収容所がまるで平和に感じられる。こんなことがいつまで続くの?終わりはあるの?と祈るような気持ちで読み進める・・・ まさに奇跡のような物語、作者はスペイン人綿密な取材によって書かれている。
0投稿日: 2019.03.09
powered by ブクログ本の所持を禁じた収容所にあって、収容者によって運営されていた子供達のための学校で、密かに保管されていた僅か八冊の本。その図書係としてディタは本の傷みを繕い、見つからないように守っていく。 実在の人物をモデルにしたフィクションということだが、描かれているような状況の中でも、ひたすら真っ直ぐで不屈で気高い、そして明るく人に笑顔を忘れさせないディタが素晴らしく魅力的だった。当時まだ、14、5歳の少女に過ぎないのに。 過去に何があったかを知る機会を失ってはならないし過去を忘れてはならないと、こうした本を読んで強く感じる。
0投稿日: 2019.03.02
powered by ブクログアウシュビッツ収容所で図書係となるディタ、 家族、収容所の人々の実話も含めた物語。 少なからずとも誰もが知るうる アウシュビッツでの出来事は、 人間の尊厳をいとも簡単に消し去ってしまう。 子供時代を戦争によって奪われたディタは 常に自分を見失わないように、 細い足で8冊のボロボロの本を 胸に抱え泥濘みの地に立つ。 明日、死ぬかもしれない恐怖に囚われながらも、 本が持つ力を糧に生きていく。 簡単な言葉では言い表したくないが、 美しく力強い話だ。 「ベルリンは晴れているか」もだったが、 本という存在は 人間の存在でもあるのかもしれない。
2投稿日: 2019.02.06
powered by ブクログ2017年1月12日(木)に近大の図書館で借りて読み始め、14日(土)に読み終える。実話に基づいたフィクションだけど、想像を絶するようなアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所やベルゲン・ベルゼン強制収容所などでの生活の描写には真に迫るものがあり(基本的な部分は実話に基づいているはず)、恐くて読み進めるのが困難な場面も所々あった。 以下、特に印象に残った箇所からの引用。スラッシュは段落の切れ目。 「神が存在するなら、悪魔も存在する。どちらも同じ道を行く旅人だ。ただ、向きはさかさまだ。良くも悪くもお互いを必要としていると言えなくもない。もし悪というものが存在しなかったら、どうしてこれが善だと言えるだろう。まあ、アウシュヴィッツほど悪魔がのさばっているところは、世界のどこにもないだろうが。」(223-4頁) 「神様はアウシュヴィッツという存在をお許しになったのだ。しかし、悪臭を放つ堆肥の中から、この上なく美しい花が咲くこともである。神様は腕のよい時計職人のようだと聞いたことがあるけれど、もしかしたら神様は時計職人じゃなくて庭師なのかもしれない。/神様は種をまくが、悪魔はその苗を刈り取り、全てを破壊する。/この狂気のゲームに勝つのは誰だろうとディタは自問した。」(224-5頁)
0投稿日: 2019.01.22
powered by ブクログアウシュヴィッツの悲惨で残酷な話しではあるものの、子供目線なので目を背けずに読める感じでした。未来のある、未来しか見えない子供目線だからこそ辛すぎる生活も前向きに語られる部分が多かった気がします。この世界の何処かで今も尚、戦争が続き飢えや人種差別、暴力での支配が行われています。決して、このアウシュヴィッツの話が遠い昔の話しの、過去の話しではない事に心が痛いです。
1投稿日: 2019.01.20
powered by ブクログアウシュビッツの収容所内の描写が凄まじい。 これほどまで劣悪だったとは…。 これまで映画やドキュメンタリーなどで ある程度の知識はあったけど 初めて知ることがいっぱいあった。 あらためてこの凄惨な状況の中で亡くなった 大勢の方たちに思いを巡らせた 私には関係ないと言ってしまえばそれまでなのだけど どうしても、申し訳ない、救えなくて… と思う気持ちが止まらない。 あの中で生き延びた聡明で本好きの少女のことを 書籍化してくれた著者がいて また、それを日本語で読めることを 心から感謝したい。
0投稿日: 2019.01.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アウシュヴィッツの家族収容所の学校で 図書係をしていたディタのお話。 事実を元に読みやすくストーリーのある小説となっている。 ディタの強さ、優しさに惹かれる。 フレディ ヒルシュの強さにも。 アウシュヴィッツで生き抜いた人たちは 彼らの強さに救われることも多いだろう。 小説だからいないはずの登場人物ではなく、 ディタもヒルシュも実際に生きていたんだ。 後書きに出てくる本物のディタ(エディタ)は 80歳になった段階でも強さを感じることができた。 闘い続ける登場人物たちに辛くなる場面もあったが、 それでも最後まで闘い抜いた、生き抜いた人たちに敬服。
0投稿日: 2018.11.11
powered by ブクログすごい引力のある物語。いま、日本が幸せで、本を通じていろんな世界を知ることができる環境を改めて幸せに感じた。アウシュビッツのような過酷な状況の中でも、本や物語があれば、人は希望を抱き心は自由である。
1投稿日: 2018.10.28
powered by ブクログタイトルでお察しの通り、独裁政権下による言論弾圧、その一環としての書籍への弾圧に対する抵抗が物語の主題として描かれる。 非常に強い意志を持った主人公「ディタ」であるが、それ以上に強い濁流として氾濫する「戦争」という大河。 大きな流れの中でも心が輝き続ける人間がいるということ。悪い人間でなくても、うねりの中でその人の心は壊れてしまうこと。この手の物語は何百万回と描かれている気もする。ましてや8月になるたびに戦争の教訓をガッツリ教わる日本人としては。本書の特筆すべき点はそれが実話に基づいているという点なのだろうか。
1投稿日: 2018.10.27
powered by ブクログ事実をもとに脚色したフィクション小説。 アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所内、囚人であるフレディ・ヒルシュが開いた子供ための学校がある。そこで図書係を任された少女、ディタを主人公に、時に彼女の周囲の人物に視点を移しながら語られる、アウシュヴィッツの悲惨な日常と、解放までの過酷な道程。 図書館のティーンズコーナーでこの本を見つけた。大人でも十分に読みごたえがあるが、平易な言葉を選んで書かれており、中学生や高校生向けだと思われる。 アウシュヴィッツの名前や強制収容所の悪夢のような事実は、学校も習う有名なものだし、子供の頃にアンネの日記を漫画で読んでいたから、大体のことは想像がついた。それでも、負の遺産は何度触れても痛ましい。 人一倍の勇気と正義感を持つ少女、ディタは、収容所内には持ち込み禁止であるはずの書物、そのたった8冊の管理を担う「図書係」を、学校のリーダーであるヒルシュから託される。見つかれば即刻処刑という危ない仕事だが、必ず学校の建物内でのみ扱い、持ち運びの際には服の中の秘密のポケットに仕込むなどの工夫で監視の目をかいくぐる。 絶望の淵に沈みながらも、囚人たちのレジスタンスのようにほんのわずかに希望の光が覗く瞬間を狙い続ける人たちもいる。「戦争が終わったあと、普通の生活に戻るために学ぶ」というようなセリフがあって、それがとても印象に残った。 未来を諦めなかった人たちの記録や証言によって、アウシュヴィッツや各地の収容所でのホロコーストの実体が、いま、克明に残されているのだろう。 物語を読破された方は、著者あとがきでこの本が書かれることとなった経緯もぜひ読んでみてください。
0投稿日: 2018.10.17
powered by ブクログこれは良かった。事実に基づいたフィクション。 「アウシュヴィッツ」での出来事なので、読むのが辛い場面もありました。それでも、この本をたくさんの人に読んでもらいたい。 「生きることをあきらめない」、そんな意志を持った人々がいかに強いか。 [private]ディダはボロボロの本を丁寧に修復しながら図書係に打ち込んだ。父は痩せ細って死んでいった。病気がちの母は危うくガス室送りになるところだった。しかし、ディダは以前読んだ「魔の山」のみずみずしい文章を思い出しは自分を励まし、教師から聴かされた「モンテ・クリスト伯」の話に精神の不屈さを学ぶ。そして、彼女の愛読書は「兵士シュヴァイクの冒険」だった。ユーモアによる権力への抵抗と諧謔。明日をも知れぬ悲惨な日々のなかで本を読んでいる時だけは辛さを忘れ、希望を消さずにおれた。彼女は本によって自らを高め、強さを身につけていく。聡明で強い意志を持った姿には毅然とした美しさがあった。わずか14歳の少女だというのに。 冬が近づいた朝。空から白いものが舞い落ちてきた。雪かと思えば灰であった。「あの人たちが帰って来たよ」と母がディダに語りかけた。前日に家族収容所の半数がガス室送りになっていたのだった。同郷の親しかった人たちが灰になって空を舞っていた。その母は解放を前にして息をひきとり、ディダはすべての家族を失い独り取り残されたのだった。 [/private]
0投稿日: 2018.10.08
powered by ブクログ本へのオマージュを抱かずにはいられない作品。 アウシュビッツの収容所内は、劣悪で自由のない絶望的な現実が広がっているが、8冊の本の中だけでは自由に生きられる。そこで見出した希望を道標に、何とか日々を生きていく。 本来なら禁じられている書物を、図書係として管理する少女とその周りの人達が織りなすストーリーは必読。 少女の本への愛情、そして本の持つ力。 希望を持つ大切さ。 それらが詰まった一冊。
0投稿日: 2018.09.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
毎年8月は戦争関連の書籍を読むことにしている。今年、選んだのがこの一冊。 アウシュヴッツ強制収容所内に秘かにつくられた学校。そこには8冊だけの秘密の図書館があった。図書係に任命された14歳の少女・ディタは所持が禁じられているその8冊の本を懸命に守り抜いていく。 まさに死と隣り合わせの地獄の環境、人間らしさを保つことさえ困難な状況下で本が人びとの心にわずかな希望を繋いでいく。 本書が事実に基づいたフィクションという点は非常に大きい。アウシュヴッツの悲劇を「事実」として捉えると同時に、ディタが絶望のなかで苦しみながらも大人に成長していく姿、登場人物たちが織り成す人間模様を「物語」として感じることができる。 何よりの救いはディタという女性が実在すること、彼女が力強く誇りを持ってその後の人生を生きていることだ。 途中で何度か挫折しかけた。しかし読み終えた時には「この本を読んで良かった」と心底思えた。迷うことなく自分の中の特別な一冊に加えることにした。
1投稿日: 2018.08.28
powered by ブクログ終戦記念日の週に読了。日本の話ではないけど、やはり戦争は人間の何かを壊し、恐ろしい一面を晒す狂気だと思う。死の恐怖が日常的な世界で、その中でも恋があり、知識への欲求がある。人間は強いのか。それともこんな狂気を生み出してしまうほど弱いのか。淡々と戦時中を描いた本。フィクションだからか、全体が冷静な視点で描かれている分、リアリティがあるように思える。
0投稿日: 2018.08.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
史実と小説と。悲惨と文化への志向と。しんどいけれど。自殺のとらえ方の違いがひしひし。灰が降る話。脱走、解放後の清潔なシーツの上での母の死。
0投稿日: 2018.08.17
powered by ブクログ読後、言葉で表せない無常な気分になった。本の大切さも、命の大切さも、現実の理不尽さも、本を読んでいる間は目の前に突きつけられるような感じがしたのに、最後のページをめくった途端にそれが過去のものになったような気がした。まるで、昨日まで揺るぎない絆で結ばれていた友人がふと姿を消したような気分だった。本で体験した物語の記憶は、現実と同じように時間が経つごとに薄れていく。本の世界と現実世界は常に隔てられているが、それでも自分たちは向こう側の世界に入り込んだり、そこから何かを学び取ったりする。とりわけ、現実世界において重要な過去の出来事についての本なら尚更だ。その過去は遠い出来事で、自分たちの生活に何も影響を与えないかもしれない。でも、それを知っているのと知っていないのとではやはり全く別物だ。なぜなら、何も影響を与えないというのはそう思っている人の単なる思い込みで、実際はその人が知らない間に現実世界がその埋没した過去によって支配されているかもしれないからだ。世の中には忘れてはならない出来事というものがある。なぜ忘れてはいけないのか。過去を顧みない人は、そうすることでどんなことが起こるのか一度考えてみるといいと思った。そういうことで、本を読んだ自分もその過去が体の一部になったとして生きていかなければならないと思った。
1投稿日: 2018.08.02
powered by ブクログアウシュビッツ強制収容所内に作られた秘密の図書室。主人公の少女はそこの図書係に任命される。彼女の仕事は誰にもばれずに図書を運びだし、授業が終わるとこっそりと元の場所に返すこと。暗く、重い話だけれど読むのをやめられなかった。いろんな人に読んでもらいたい作品。
0投稿日: 2018.07.19
powered by ブクログ戦争は、人の心の中にある悪の部分をあぶり出すものだと思った。極限の状況の中でも人としての大切な部分を忘れずにいられる人と、そうでなくなってしまう人とは何が違うんだろう。 アウシュビッツに限らず、差別や悪意を特定の対象にぶつけることは昔も今も起き続けていて、その感情の芽は人間だれしも持っているものなんだということを忘れてはいけないと感じた。もちろん自分自身も含めて。
0投稿日: 2018.07.01
powered by ブクログずっと読みたいと思っていて、ようやく手が出た積読本。 アウシュビッツでたった8冊の本を守った少女の話。 フィクションだけど、実話に基づいていて、かなり胸に迫る。 やはり当事者ではないので、「夜と霧」などにはかなわないけど。 アウシュヴィッツを出てからの方がキツイのがよくわかる。 読みやすいので、ぜひ。
0投稿日: 2018.06.20
powered by ブクログ死、恐怖、絶望が渦巻く、ナチス・ドイツのアウシュヴィッツ収容所。だが、たった8冊の本を守り続けた少女が実在した! 収容所には国際監視団の目をごまかすために名ばかりの学校が存在するが、実際のところ「本」の所有は禁止されていて、見つかれば最悪銃殺である。主人公は命懸けで本を隠し、読書による「想像」という世界を守る。 アウシュヴィッツ収容所の過酷で悲惨な現実も描かれるのだが、同性愛、SSとユダヤ人の恋愛、脱出劇などバリエーション豊富なストーリーで飽きさせない。 砂糖4粒がかかったアーモンド1個が景品というのがまた酷く悲しい...
0投稿日: 2018.05.28
powered by ブクログ『魔の山』『モンテ・クリスト伯』は挫折本。『兵士シュヴェイクの冒険』はタイトルは知っていたけど、全く未着手の本。それを読みたいと思わせてくれる。ヒルシュ自身はさほど本好きでもない、いわゆる体育会系なのに、子供達に本を読ませる大切さを理解している、素晴らしいリーダー。それだけに最後が悲しい。殺人なのか、それとも硬い木ほど折れやすいということなのか。本は心の中に現実とは別の世界を作ってくれる。村上春樹がオウム信者は小説を読まないと言っていたのを思い出した。
0投稿日: 2018.05.26
powered by ブクログ初めの数ページを読んだだけで、名作だと思える本に出会うことがある。 その一冊が本書だ。 本書は、「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に送られた少女(中略)の実話をもとに書かれた小説」(訳者あとがきより)だという。 今は、「遠い過去」のあの時の物語.......。 その事実に衝撃を受けた。 アウシュヴィッツといえば『アンネの日記』がすぐに思い出されるが、本書は、それに匹敵する。 たった8冊の図書館。 それから生きている「本」である先生たち。 それを守るため、主人公ディタは知恵を働かせ、勇気を持って駆け回る。 しかしそのよき日は決して永遠に続くわけではない。 心ある大人たちが守ってきた日々は、悪意を持って終わりを迎えさせられる。 人々は、焼却炉で、焼かれた。 ディタはその悲劇からは逃れた。 不合格になり、焼却炉送りのはずの母とともに。 助かった?いや、移送先はさらにひどい場所だった。 恐ろしい看守は元は美容師だった。 ディタは、もし戦争が起きなかったら、と想像する。 恐ろしい看守に「人」を見ていた。 恐怖の日々を終えたディタは、後世のために体験を伝えることにした。 アウシュヴィッツの、図書係として。 世界を見れば、残虐行為は今も続いている。 日本人だって、かつては人を殺した。 それを否定はできないし、目を背けるべきではない。 戦争とは、人を変えてしまうもの。 なぜ起きたのか、起こさないためにはなにをすべきか。 それを考えることなく、誰かに責任を押し付け、蔑み、自分と切り離そうとするならば何度でも同じ間違いを犯すだろう。 ドイツ人はきっとこれからも、過去の罪と向き合わざるを得ない。 それは、現代に生きている人々にとっては辛いことだろう。 時には、いつまで過去の亡霊に縛られなければならないのだ、と反感の気持ちも持つだろう。 私たちは、断罪すべきではない。 私たちがすべきことは、過去を学び、過去を知り、未来の礎を積むことなのだ。
9投稿日: 2018.05.20
powered by ブクログ恥ずかしい話だが、私はこれまで『アウシュビッツ』や『ナチス』といった言葉はなんとなくは知っていたが、きちんと理解していなかった。 この本を読むにあたって、背景を掴まないことにはしっかりと内容が入ってこないので、自分なりに調べてみた。すると、そこには目を背けたくなるような恐ろしい現実があった。常に死が目の前にある現実。 そんな現実の中で、本書に登場する少女ディタ。彼女は小さな図書館の図書係をしている。蔵書は8冊。その8冊を監視に見つからないように管理している。見つかれば容赦ない仕打ちが待っている。もしかしたら殺されるかもしれない恐怖に向かい合いながら、心の栄養を提供していた。 ここの図書館では、この8冊の本以外に『生きた本』がある。それは、先生たちが語ってくれる物語だ。 明日死ぬかもしれない状況で、こうした本たちはどれほど心の救いになったことだろう。 本書にはあまりにも悲惨な現実が綴られている。しかし、読者が暗くならずに向き合えるのは、ディタの真っ直ぐで前向きな姿勢が希望を感じさせてくれるからだろう。 それにしても、今から約75年前の世界でこのような残虐なことが起こっていたとは信じられない。そこでは、およそ東京の人口くらいの人が殺されている。ただ殺されるだけではなく、重労働を強いられ、1日にパンのかけらと水っぽいスープを与えられるだけの生活。寝るのもシラミだらけの布団と、上から排尿やらが垂れてくるベッドに知らない者同士で重なり合うように寝る。殺されるまでもなく、病気や過労死、栄養失調などによる死も多い。人間が、同じ人間にそのような生活を強いる。ただ、ユダヤ人というだけで。 これは、ノンフィクションに少しだけ肉付けされて出来上がった小説である。この小説を読んだ方は、必ずあとがきまで読んでいただきたい。もう一つの物語に愕然とし、涙することになるだろう。 この小説を世に送り出し、英雄であるフレディ・ヒルシュの名誉を守った著者に精一杯の拍手を送りたい。
5投稿日: 2018.05.06
powered by ブクログ私はナチスのユダヤ人政策に詳しくない。ただばくぜんとナチスはなぜユダヤ人を殲滅するために収容所を作ったりしたのだろうと思っていた。粗末なものだとしても建物を作ったり食料をあたえたり。・・この本で、とあるSS隊員が戦後自分の行ったことを「選別で多くのユダヤ人を合格の列に送ることによって、彼らを死から救ったのだ」と語っていたということを知った。あの夢にみそうな収容所は、ナチスの良心であった可能性があるのだなあと思った。
0投稿日: 2018.05.02
powered by ブクログ1944年、アウシュヴィッツ強制収容所内には、国際監視団の視察をごまかすためにつくられた学校が存在した。 そこには8冊だけの秘密の“図書館"がある。 図書係に任命されたのは、14歳のチェコ人の少女ディタ。 その仕事は、本の所持を禁じられているなか、ナチスに見つからないよう日々隠し持つという危険なものだが、ディタは嬉しかった。 彼女にとって、本は「バケーションに出かけるもの」だから。 ナチスの脅威、飢え、絶望にさらされながらも、ディタは屈しない。 本を愛する少女の生きる強さ、彼女をめぐるユダヤ人の人々の生き様を、モデルとなった実在の人物へのインタビューと取材から描いた、事実に基づく物語。 アウシュビッツものは読むのに勇気がいる。 実話ともなると、尚更。
0投稿日: 2018.03.18
powered by ブクログこれが実話に基づいているというのが本当につらかった。そこに記されている数字は、ただの記号じゃない。命の数だ。忘れがたい本になった。
0投稿日: 2018.03.17
powered by ブクログ独裁者は、本を取り上げる。 考える力は、どんな武器よりも怖いから。 本を守るということは、考える自由を守るということ。 ディタは14才でそれをやり遂げる。 私がいるのは、戦時なんかじゃない日本。でも考えたくないことから目を背けてる。今まで何度も本に力をもらってきたけど、この本は、ほんとに強く、背中を押してくれます。
13投稿日: 2018.03.11
powered by ブクログ一冊の本を読むと出てくる書物に興味が湧き、読みたいと思うのが多いのだが、今回も数冊出てきた。 取りあえず、H.G.ウェルズの「世界史概観」を借りてきた。あとは数冊も。
0投稿日: 2018.02.26
powered by ブクログ面白いとか面白くないとかじゃない。圧倒的な史実の前にただ言葉を失う。 アウシュヴィッツの悲劇は知ってるつもりではいたが、収容所にもいろいろあり、次から次へと移送され、戦況が収束するにつれてユダヤの囚人たちの状況は過酷になる。 大戦中の戦災は各国によって様々だと思うが、ナチス統制下のユダヤ人の被害ほど人間性を破壊されるものはないと思う。 徐々に正常な判断力を失い、それは逆に幸せを感じる感度、いや「まだましだ」と感じるレベルを下げてゆく…。 チェコ系ユダヤ人の少女ディタの使命は、家族収容所内の学校に設けられた「図書館」の蔵書8冊をナチス親衛隊の魔の手から守り抜くこと。どんな劣悪な状況下にあっても、本を通じて得る知識、想像力は奪われない。 彼女のもう一つの希望は、収容所内のユダヤ人リーダー、ヒルシュ。彼女の心の中の英雄であり続けたヒルシュは移送を前に謎の死を遂げる。だが餓死寸前の最後まで、ディタは彼の無実を疑わない。 こんな状況の中では、それでも信じる心を失わないこと、そしてただ生き抜くこと自体が唯一の勝利なのだ。 だがこの狂気の時代では、ナチ側の人間でさえ戦争に翻弄される被害者なのだと思った。 この史実を知るためだけでも多くの人に読んで頂きたい一冊。 2018/01
3投稿日: 2018.02.03
powered by ブクログブクログ通信で紹介されていて手に取りました 実話を元にしたフィクション アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に 1943年9月と12月に到着した囚人たちが、家族収容所(31号棟)に特別収容されていた。そこには若き指導者アルフレート・ヒルシュが建てた学校があり、本を所持することも危険だった収容所で、たった8冊だけの秘密の図書館があり、その図書係をしていた14歳の少女ティダを中心に、地獄の収容所のお話しが展開される アウシュヴィッツはあまりにも有名な惨劇の場で 有名な『アンネの日記』からテレビの特集などでも年を追うごとに新しく詳しい惨劇の話を見聞きすることもあったが “絶滅収容所”ということばをこちらの本ではじめて聞いて、改めて恐ろしさを感じてしまいました 戦争を知らない世代で、日本という国で育ったので 人種間で対立(至上主義で絶滅させようとするとか理解できない)や宗教観など想像できにくく、 なぜここまでしないといけないのか、到底理解できるものではない 日常(?)通常では絶対に悪だと思われることでも 悪を正義だと思って、そうしなければならない状況になると 人はどんなことでもするという恐ろしいこと。 ここまで酷い環境を同じ人間に対してつくれる人間という生き物・・・本当に恐ろしい生き物 模範囚でレジスタンスの囚人たちが集まって情報交換をする場面で、ガス室の担当をしている子が 「神様、どうかお許しください・・・」と何回もいいながら、ガス室での様子や自分の行っていることを報告する場面 9月到着組の6ヶ月後の特別処理 ディタの「真実が戦争の第一の犠牲者かもしれない」ということば ディタが最後に送られたベルゲン・ベルゼン強制収容所では、『アンネの日記』のアンネと姉の最後の日の記載もあり 1945年の終戦の知らせがされた時の、想像を絶する収容所の悲惨な状況 最後に、著者あとがきで、著者が執筆した経緯の中で、モデルとなったディタ・クラウスと出会い、アルフレート・ヒルシュのモデルになったフレデイ・ヒルシュの最後の真実 ヒルシュは汚名をきせられていたということ が特に印象深かった 『アンネの日記』に続くアウシュヴィッツの出来事と本の存在意義を伝える良書だと思いました
6投稿日: 2018.02.02
powered by ブクログ実話を基にしたフィクション。 アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に実際にあった「学校」の図書係が主人公。 人はなぜ本を読むのか。現代人にも戦時中の人にも質問したい。現実から目を背けるためなのか、何かを学ぶためなのか。 私はこの本を読むまで、「アウシュヴィッツ」という名前しか意識していなかった。他にも強制収容所があることとか、強制収容所=死ではないとか、ビルケナウという名前とか、それらがポーランドにあることとか、アウシュヴィッツ=ビルケナウで起きていた事が、現代人の誰もが知っているのに当時はほとんど誰も知らなかったということ。 無知というのは恐ろしい。それは誰かを傷つけるし、恥だと思う。知ろうとすればどんな情報でも手に入る現代で、知らないということは知ろうとしないということ。 ゲームをしている暇があるなら学ぶべきだ。 無駄な労力を割いている時間や体力等あるのだろうか。 遥に恵まれた環境にいるのに、それに満足できないのは強欲なのだろうか。 資料室で借りた本で、単価も高いが、ぜひ手元においておきたい。 この本を読んで色々調べてみたが、偽名を使うという初等手段で最重要人物であると認識されていない戦犯が多かったことに驚く。ディタなど生存者の情報を元に似顔絵をつくれば、少しは違ったのではないだろうか。
3投稿日: 2018.01.31
powered by ブクログ31棟は家族収容施設として、使節団の視察がきたとき用に外向きにつくられている。 そこでは強制労働はないが、勉強することは許されない。 そんな環境で8冊の本を隠す図書係となったベッダ。 途中でいろいろある、本当に。 それでもほかのアウシュヴィッツ本よりは読みやすい。収容所内のユダヤ人内情とかがよくわかる。
1投稿日: 2018.01.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実話に基づいた第2次世界大戦 アウシュビッツの話。 自由を奪われたユダヤ人。 本を読むことも許されない中 8冊の本を図書館として守っていく少女の 物語 過酷な中でも人間は強いと 訴えてくる作品
0投稿日: 2018.01.27
powered by ブクログ昨年ブクログで、海外小説部門大賞で尚且つ 昨年からなんとなく読み漁ってる アウシュビッツビルナケウ強制収容所が舞台の本。 あー、この本を読んでから「否定と肯定」を読めばよかったなと思ったけどまぁいいか。 実話半分、フィクション半分らしく 主人公のディタはまだご存命だという。今年89歳なのかな、たぶん 家族収容所(国際的な批判を避けるために作った外部に見せるための収容所)で生活してて 見つかったら殺されるナチスの目を盗んで8冊の本を管理する図書係のディタ。 教育することも許されないわけだけど そんな多感な時期の子ども時代を収容所で生活してて もう終始劣悪な環境すぎて、読んでいるのが辛くなってくる。 食事も衛生状態も最悪だけどそんな時に本って読むだけのものだけど 人を豊かにするものなんだなーとつくづく思う。 心のゆとりというか、なんというか。
5投稿日: 2018.01.18
