
総合評価
(141件)| 35 | ||
| 68 | ||
| 26 | ||
| 6 | ||
| 0 |
powered by ブクログ傑作本! 評判通り、読み始めると引き込まれ、一気に読了 そもそも江戸幕府を開いたのは徳川家康だが、 「江戸の町」を創ったのは誰なのか? 誰が采配したのか 実は何も知らない 本書は都市作りの根幹となる「インフラ整備」に的を当てて、まちづくりを語ったもの 1.水の流れを変える 利根川水系 2.通貨日本橋に金座 京都から技術者 最期は権力が勝つ 3.飲み水を引く 武蔵野から玉川上水 水道橋で城へ 4.石垣を積む 伊豆から大石垣を運ぶ 5.天守を起こす
1投稿日: 2025.07.19
powered by ブクログ東京の基礎を作った家康と、各自の技能・想いを街造りに生かした人物たち。 関東のさまざまな土地の由来や歴史を知る事ができた。その場所に住んでいながら知らない事って多いなと思う。 ・江戸湾に注ぐ利根川の流れを茨城方面に変更。 ・井の頭から遥々引いた飲み水、堀の上に通した水道橋。 ・伊豆から切り出した石を積み上げて作った江戸城の石垣、八王子の石灰石鉱山と石灰を運ぶために切り拓いた青海街道
5投稿日: 2025.06.20
powered by ブクログ今の東京しか知らない自分にとって、家康が江戸に左遷されたというのは驚きでした 解説の「日本列島は西高東低」という話も、気候や大陸との距離といった理由を知って納得です 何もなかった江戸を都市にしていく苦労や、地名の由来を知ることができたのも良かった 天下統一で褒美に与える土地がなくなり、経済が貨幣中心へと移っていったという描写には、現代の知識を通して歴史を捉え直すような面白さがありました
3投稿日: 2025.05.10
powered by ブクログ図書館にて借りる、第422弾。 (田尻町図書館にて借りる、第96弾。) これは面白かった。 章立てになっており、非常に読みやすく分かりやすい。 シンプルながら、各章とも面白く、正にタイトルとおりの作品なのだ。 江戸が如何にして江戸となったのかについて、描かれているのだが、プロジェクトX的な要素があり、興味深い。歴史が苦手でも楽しめる。 これがあるから読書はやめられない。 星は4つ。
0投稿日: 2025.04.09
powered by ブクログとても良かった。徳川家康が豊臣秀吉により関東へと移されそこで新たな都市を作る過程が描かれている。利根川を無理やり曲げることで沼のような土地だった場所を人が住めるようにし、貨幣を作ることで経済のあり方を変え、上水を整備することで多くの人が生活できるようにする。江戸城の築城にも多くの人が関わっていて、最後の章の天守閣が白の漆喰で塗られた理由(作者の考え?)が平和の象徴及びそれまでに亡くなった人への墓標というのも感慨深い。 東京の地理にもっと明るかったらもっと楽しく読めたし実際の土地へ行けたのに、残念。 1から都市を作るってすごいことでもう日本じゃぁ起きないよな。
0投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログ何もなかった江戸の町を作るために、尽力した人たちがたくさんいたことが印象的でした。 川を曲げたり、石を切り出して積み上げたり、何人の犠牲があったのだろう。この土地が愛おしくなりました。
0投稿日: 2024.05.22
powered by ブクログ「家康、江戸を建てる」門井慶喜著、祥伝社、2016.02.20 402p¥1,944C0093(2023.12.28読了)(2023.12.15借入)(2016.07.10/12刷) NHK大河ドラマ「どうする家康」関連で読む最後の本として、この本を選びました。 江戸の町、江戸幕府の制度を作った人々の話です。 「流れを変える」は、利根川の河口を東京湾から鹿島灘の方へ変えてゆく話。 「金貨を延べる」は、小判および一分金を全国で流通できるものにする話。 「飲み水を引く」は、江戸の飲み水を井の頭公園から都心まで引いてくる話。 「石垣を積む」は、江戸城の石垣を伊豆から運び積み上げる話。 「天守を起こす」は、江戸城に天守閣を造ることに秀忠は反対したが、家康は天守閣を造らせた。明暦の大火で江戸城も全焼し、秀忠の息子である保科正之の主張により天守閣は再建されなかった話。 【目次】 第一話 流れを変える 第二話 金貨を延べる 第三話 飲み水を引く 第四話 石垣を積む 第五話 天守を起こす ☆関連図書(既読) 「どうする家康(一)」古沢良太作・木俣冬著、NHK出版、2022.12.10 「どうする家康(二)」古沢良太作・木俣冬著、NHK出版、2023.03.20 「どうする家康(三)」古沢良太作・木俣冬著、NHK出版、2023.07.25 「どうする家康(四)」古沢良太作・木俣冬著、NHK出版、2023.11.20 「徳川家康の決断」本多隆成著、中公新書、2022.10.25 「家康(一)自立篇」安部龍太郎著、幻冬舎、2016.12.20 「家康(二)不惑篇」安部龍太郎著、幻冬舎、2018.10.25 「天下 家康伝(上)」火坂雅志著、日本経済新聞出版社、2015.04.24 「天下 家康伝(下)」火坂雅志著、日本経済新聞出版社、2015.04.24 「梟の城」司馬遼太郎著、新潮文庫、1965.03.30 「覇王の家 前編」司馬遼太郎著、新潮社、1973.10.25 「覇王の家 後編」司馬遼太郎著、新潮社、1973.10.25 「司馬遼太郎『覇王の家』」安部龍太郎著、NHK出版、2023.08.01 「徳川家康」松本清張著、角川文庫、1964.01.20 「浅井長政の決断」笹沢左保著、角川文庫、1990.10.10 「鞆ノ津茶会記」井伏鱒二著、福武文庫、1989.01.19 「銀河鉄道の父」門井慶喜著、講談社、2017.09.12 (「BOOK」データベースより)amazon 「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた…。ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生!
2投稿日: 2024.01.04
powered by ブクログ【第一話 流れを変える】 伊奈忠次 から4代。利根川の東遷事業。 【第二話 金貨(きん)を延べる】 後藤庄三郎光次。 貨幣戦争については偶然最近「ホンモノのおカネの作り方」を読んでいたので興味深かった。もっと勉強したい。 貨幣制度の日本統一は徳川家康、と漠然と理解していたつもりだったが、フィクションとはいえとても現実味があって、関ヶ原の戦いの臨場感というか、こう繋がってくるのかぁと感無量でした。 後藤家が関ヶ原の戦いの際に真田家みたいに兄弟で東西分かれていたのは史実かな?気になる。 【第三話 飲み水を引く】 井の頭公園から玉川上水の川を作って都心まで引っ張る事業。大久保藤五郎と内田六次郎という人物。 井の頭公園の近くに“牟礼”という地名に聞き覚えがあったので胸熱でした。 『枕草子』の「井は、ほりかねの井」などを挙げて"ほりかねの井”なる枕詞がでてきます。 玉川上水が身近であることや目白山、椿山荘、水道橋などの地名の由来や現在の様子を比べて面白いです。 【第四話 石垣を積む】 大久保長安がとっても嫌なやつで驚いた!! 東京国立近代美術館の「眺めの良い部屋」でみたあの石垣を思い浮かべながら読みました。 【第五話 天守を起こす】 凡庸と言われる秀忠の描きようと、天守から常に普請中という江戸の街を眺める家康の目線が良かった 天守建築の事業でありながら、江戸の街全体の漆喰の壁にまつわる話。これぞまちづくり。 家康の元でそれぞれ奮闘した人物たちと事業についての独立した話かと思いきや、前話までの内容や人物像を読者に浸透していることを前提とした話運びで、みな江戸を建てるために必要なことだけれでもそれぞれ別事業でありそうなのに、やはり家康を中心に背景が繋がっていることが伝わってくる。
5投稿日: 2023.12.26
powered by ブクログ天下を取った家康が江戸を作っていく話。秀忠とか秀頼とか大河で見てたような人物像、ストーリーが絡んでいて面白かった。何も無かった江戸の地を日本の中心地として基礎を作った家康、すごいの一言。
0投稿日: 2023.12.19
powered by ブクログ利根川の流れを変える苦労、貨幣で天下を制する、伊豆から運んだ安山岩で作る石垣、白漆喰の江戸城等皇居東御苑のツアーの背景がよく分かる本であった。江戸の街を建設するのはこんなに大変だったのかと改めて感動した。
0投稿日: 2023.11.11
powered by ブクログ時代小説だけど台詞回しがマンガっぽいから読みやすい! そしてそれ以上にドラマが熱い! 「金を延べる」が面白かったな〜……男たちのプライドのぶつかりあい。まさにプロジェクトX in江戸! 表の実力者である豊臣秀吉と、知略を尽くしてひっくり返そうとする徳川家康。この心理戦が面白い!
0投稿日: 2023.03.18
powered by ブクログ家康の先見の明は何処から生まれたのか、未開拓の地を大都市への変貌を夢見た家康。5つの大きな先手工事をできる人材に即座に抜擢、「天下普請」(幕府の負担を軽減、地方の勢力を減退)の役割を同時期に指導したのはやはり凄い。 江戸幕府崩壊の要因は少なくともこの「天下普請」「参勤交代」が無くなったことで起きたのは間違いない。
3投稿日: 2023.03.15
powered by ブクログ短編の連作で、表題に沿ってとても読みやすく書かれていました。家康や支えていた側近、職人、二代目の秀忠まで、その人柄が手に取るように解りました。清々しい読後感に満たされました。
0投稿日: 2022.12.31
powered by ブクログタイトル:家康、江戸を建てる 作者:門井慶喜 出版社名:祥伝社 読了日:2022年11月6日 所感 利根川東遷、慶長小判、神田上水、江戸城石垣と天守。今日の東京のライフラインの礎を築いた技術者たちの苦労と思いが伝わってきて非常に面白かった。武士をはじめとした歴史の有名人の物語は国取りや合戦や政治的駆け引きなどで、それはそれで面白いがこのような生活に直結した偉人たちをもっと取り上げて広く知ってほしいと思ったし、自分でもっと調べていきたいと思った。
0投稿日: 2022.11.10家康が邪魔
小説としては少々退屈。 江戸建設の話はもっと史実に基づいて追っかけた方が面白い。資料を見ながら見ていくと当時の労苦が目に浮かぶ。 真っ当な学者が書いた本の方が文章は下手でも読みごたえがある。 内容的には別に家康出してこなくても十分面白いものがかけると思う。家康が出てくることで間延びして、あくまでも私見に基づいた小説なので嘘くささが増すのが惜しい。もっと深みのある作品ならこれもありだろうけど、そういうものでもないので「家康要らない」と強く感じる。 日本史科卒業とは思えない事実誤認もいくつか出てくるので、小説上の演出か、著者の誤解か、単に俗説の誤解を採用したのか判断に迷うのもテンポよく読み進めなくなる理由の一つ。
0投稿日: 2021.10.17
powered by ブクログ2021年7月16日 鳴かぬなら鳴くまで待とうほととぎす この言葉が実感できる5篇だった。 江戸を領地とするマイナスをどうプラスに転じるのか。不可能と思うことを根気強くやり遂げる粘着気質。 そして人を見る目。 壮大な都市つくりをやってのける手腕にわくわくした。 身分の低い者達が話す言葉もぞんざいだが、仕事は着実で、矜持を持っているところもどっしりした太い基盤に違いない。 たぬきオヤジのイメージだった家康が、こんなにも有能だったと目からウロコで楽しい読書になった。
0投稿日: 2021.07.16
powered by ブクログ江戸の町ができる様子が目に浮かんできました。 まちづくりを5話に分け、エピソードとともに語られています。 その一つに、江戸を水浸しにしている原因は利根川だと結論づけたら、その流れを変える工事に着手するなど、応急処置ではなく恒久的な対応をして現代に至ります。 真因を突き止めることの大事さを学びました。
0投稿日: 2021.05.30
powered by ブクログ徳川家康の天下取りの戦いではなく、江戸という町づくりの話。 治水工事、小判作り、江戸城工事など、それぞれ家康に仕事を任されたその道のプロが主人公の短編集のようになっている。 これが今の〇〇にあたる、など、東京の身近な地名の謂れが分かってとても面白かった。
0投稿日: 2021.05.17
powered by ブクログ歴史小説なのかエンタメ小説なのかよく分からないが、面白かったから何でもいいや。ドラマ見たかったなー 小学校の社会科で、神田上水や玉川上水をやったのを思い出したり。あれは東京限定だったんだろうなあ。
2投稿日: 2021.04.19
powered by ブクログ太平の江戸時代、その屋台骨となるインフラ整備について、史実を基にした連作になっている。 それぞれ職人たちが主人公で、職人魂をみせている。 小説を読みつつ、昔の地図を紐解く。 逆引きブラタモリとでもいえるかもしれない。
1投稿日: 2020.12.08
powered by ブクログ権力者の戦いが主題になりやすい歴史小説では珍しい江戸の街づくりに貢献した人にスポットライトを浴びせている。利根川の流れを変え、飲料水を引き、貨幣造り、江戸城を建造する(石垣を切り出し、白塗りの天守を作る)。それぞれのストーリーがオリジナリティーに溢れていて面白い。
2投稿日: 2020.05.19
powered by ブクログ300年近く続く徳川の世、その後の東京の礎ともなった5つの江戸を建てる挿話。それぞれは短編集のようで、それが集まって荒地から江戸を形成し、現代まで続く。家康の先見の明と、それを支えたプロフェッショナル達がとても生き生きと描かれている。読みやすくてスラスラ読めた。
1投稿日: 2020.05.14
powered by ブクログ大手門に吾平の石を探しに行きたくなりました。 物語自体とても読みやすく面白いので、あっという間に読み終えました。 今の東京の基礎が、こんな風にして作られたんですね。 ピラミッドやスヒィンクス、カッパドキアやマチュピチュにも引けを取らない大工事。当時の人々は大したものだ! 東京を見る目が変わりました。
1投稿日: 2020.01.17
powered by ブクログ各章で違う物語。それぞれの章で出てくる登場人物の掛け合いが面白い。東京の有名な地名の由来も紹介されていて、「あ、これがあそこか」という歴史の面白さを体験できるよさがある。良書。
1投稿日: 2019.12.22
powered by ブクログ文字通りに単なる広野に等しかった土地に江戸を作り込む話だけど、利根川を曲げ金貨を作り飲料水を引き江戸城の石垣を重ね天守閣を築き上げた5話の作品。それぞれの話に主人公が登場する。個人的には石工が登場する第4話が印象的だったかな。少し食い足りない感は残ったけど、東京の古の知識として興味深く読めた♪
5投稿日: 2019.12.19
powered by ブクログ江戸を作った男たちの物語であります。 一面の荒野であった、関東において、まず利根川を東遷し(治水)、通貨(貨幣)を造り、流通させ(経済活動を活発化)、生活用水を安定的に確保し(利水と衛生状態の確保等)、更には、今も残る長大な石垣群や巨大な天守閣等を抱えた`お城`作りという様々なプロジェクト`X`が、同時に競うように行われた時代の物語であります。家康は、乱世の英雄(海内一の弓取り)であり、稀代の陰謀家であり(狸親父と呼ばれ)、かつ良質の行政官であったかも、と思わせる一冊であります。
1投稿日: 2019.11.10
powered by ブクログ門井慶喜氏の歴史小説。江戸を一大都市にのし上げることになった大仕事を、その中心人物のドラマとともに描く。 河川の流れを変えた灌漑技術の伊奈忠次、小判を作り、貨幣の日本統一で経済を掌握した橋本庄三郎、水を引いた内田六次郎。石を見通す見えすき吾平、天守を作った職人たち。 家康の攻めと守り、そして天下人にふさわしい判断力と、一つ一つに思慮のある家康と、優秀で、且つ自分の意思と夢を持つ主人公たちが織りなすプロジェクトのロマン。ゼネコンや、石油コンビナートなどの建設に携わる現代人とも通じるような、熱い情熱が江戸を作っていたということを土台にしたドラマとなっている。特に、石を運び石垣を作るプロジェクトでででくる石切り、そして石への強い思いが、親から子へと、また人から人へ伝わっていく。江戸城完成に至るに3代をかけた徳川は、その後2百年あまりを太平の世とした。その功績と情熱を感じる一冊。
2投稿日: 2019.10.28
powered by ブクログタイトルは「家康、江戸を建てる」とありますが、歴史の中に埋もれた職人さんたちのお話です。利根川の東遷事業や貨幣鋳造のお話など、江戸時代初期の街づくりがどのように行われていったのかがわかります。 利根川東遷事業が行われていなければ2019年の台風被害でさらに甚大な被害が出ていたかも知れないと思うと、先人たちが苦労していたことに感謝しかありません。
1投稿日: 2019.10.17
powered by ブクログ国を作る、街を作る、ランドマークを建てる、インフラを整える。江戸という未開地を首都にするために、多くの異能人が働き場を得、家康は彼らを巧みに使った・・・という見立ての歴史小説。
1投稿日: 2019.05.01
powered by ブクログ2.6。誰が何をしたかは分かったけど平坦な上連作短編だからどうにも盛り上がりに欠ける。しいて言うなら金作りが面白かったかな。他よりはね。
0投稿日: 2019.04.21
powered by ブクログ物語というよりは記録のような感じだが、今までにない面白さの作品だった。 江戸という寂れた田舎が、日本を動かす中心地になるまでのはじめの一歩を見ることができたような気持ち。 治水、貨幣、上水、石垣。とても興味深く読めました。
1投稿日: 2019.01.26
powered by ブクログ湿地の江戸に新しい都市を築く。歴史物として、地理書として、小説として面白かった。利根川の流れの出口を江戸湾から千葉の太平洋に変える大治水。天下を支配するための貨幣作り。江戸へ上水を引くための精緻な治水。築城。いずれも長期に困難を極め、職人達が天分を発揮して完成した。▼家康はそれらを見通して江戸に都を築いたわけではないと思う。秀吉から迫られ、緊迫する短時間に、漠然とではあるが何らかの確信を持って江戸行きを決断したのだと思う。すごい判断力を持った大名だと感心する。▼史実に、あたかも自分で見てきたような物語が装飾されており、面白い。
1投稿日: 2019.01.19
powered by ブクログ岡田斗司夫が文は下手だが面白いと言っていたのと、NHKドラマが結構良かったので原作も読んでみることにした。確かに短期間に当時世界一の大都市となる江戸を建設した話は面白かったし日本人にいかに優秀な人材がいたのかは分かったが、古地図や参考資料写真なども添付してほしかったし、史実の出典も明らかにしてもらいたかった。よって磯田道史にもう一度江戸の成り立ちを書いてもらおう。ローマは1日にして成らずだったが、江戸は20年程度でなったわけだが、ガウディのサグラダファミリアのごとく一生完成しそうもない街のようだ。
1投稿日: 2019.01.18
powered by ブクログ純粋に面白かった。住んでいるのに知らないことだらけ。今の再開発もこの延長にあるんだなと。文体や人物描写もカジュアルでわかりやすとっつきやすく、楽しく読めました。
0投稿日: 2019.01.12
powered by ブクログ門井慶喜さんの時代小説は初めてですが、非常に読みやすい。時代小説としてのハードルが非常に低い。 内容は、「小説版ブラタモリ」。上水のエピソードとか、そのままタモリさんがブラブラしていました。 壮大にしてニッチな、というあの雰囲気も近いものが。
2投稿日: 2019.01.03
powered by ブクログ6年前に関西から関東に来て、純粋に江戸のことが知りたくなった。もともとさびれた漁村と沼地だった江戸の地を一大都市に変貌させた家康。やることは山積みなのだが、なんだかんだ一気に読んでしまった。
1投稿日: 2018.12.11
powered by ブクログいま現在でさえ街づくりには多大な労力と時間がかかる。1590年、今から数えて400年以上も前のことならばなおさらである。 小田原征伐後、教科書では単に家康が関東に移封されたことしか学ばない。だが、そこには多大な苦労があり多くの人間が江戸の街づくりに関わり、長い時間をかけて、今の東京を築いてきたのだ。 ある程度発展していた小田原ではなく、未開発の江戸に本拠を定めた家康の慧眼も素晴らしいが、そこで0から多くのものを作っていた数多の人々の努力があるからこそ、今の東京があるとしみじみと実感できた。 特に「金を延べる」が面白かった。全ての歴史は経済的視点で見るとまた違って見える。 治水工事:伊奈家三代 貨幣鋳造:後藤庄三郎 飲料水確保:大久保藤五郎、六次郎、春日与右衛門 石垣工事:吾平、喜三太 天守建設:徳川秀忠
3投稿日: 2018.12.08
powered by ブクログ今、僕の暮らす東京にどんな歴史があるのか、その一端を感じることができました。普段、何気なく眺めている井の頭公園や神田川が、史跡として立ち現れてくるようです。「江戸」というコスモポリスの知らない部分をたくさん教えてもらいました。皇居の見学に行きたくなりました。
1投稿日: 2018.11.19
powered by ブクログ一冊にわたって、江戸時代初期の江戸の開発の様子が描かれている著書だと思っていましたが、いい意味で裏切られ、しかも、一話一話に個性的なキャラクターを登場させることで、様々な角度から江戸がどのように整備されていったのかを感じることができる、興味深い一冊でした。 この著者の作品は初めて読みましたが、今後も継続的に読んでいきたいと思います。 「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた…。ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生! <目次> 第一話 流れを変える 第二話 金貨を延べる 第三話 飲み水を引く 第四話 石垣を積む 第五話 天守を起こす
1投稿日: 2018.08.30
powered by ブクログ秀吉から、当時はまだ荒れ地、湿地であった江戸への国替えを命じられた家康。秀吉にしてみれば、家康を警戒して遠ざけることに成功し、してやったりというところだったのだろうが、家康は彼らしい辛抱強さを持って、大阪に負けない大都市、江戸の街を作り上げていく。 当時は足立区を通って東京湾へ注いでいた利根川の流れを東へ変え、井の頭公園のあたりから上水を都心へ引き、新たに小判を作り、伊豆半島から石垣の石を運びこみ、これまでにない白色(平和の象徴とされる)の天守閣を建てた。 歴史小説というと、戦記ものが定番だけれども、こういう切り口は新鮮だし、好奇心をくすぐられる。江戸の歴史を調べて歩いてみるのもかなり面白そうですね。
1投稿日: 2018.07.28
powered by ブクログ「家康、江戸を建てる」門井慶喜。2016年、祥伝社。 門井さんという方の本は、初めて読みました。 これ、面白かったです。 ●利根川などの、大規模で数十年に渡る、治水工事の話 ●金貨を鋳造する話 ●飲用の水を地方から江戸まで引っ張ってくる工事の話 ●江戸城の石垣用の石を掘り出してくる話 ●天守閣を建てるか建てないかという将軍の悩み という、5編の短編からなる1冊。 「家康の時代、つまり江戸時代の初期に、江戸という土地を繁華な人口集積地にするために、具体的な町作りやインフラ整備などを手がけた裏方的なひとびとの、プロジェクトX風味の物語」 ということです。 そういうコンセプトだけ共通していて、5編はそれぞれ登場人物もまったくちがいます。微妙に年代も違うし。 1編1編は、それなりに短編だから読みやすい。なにしろ冷静に、文芸的に?言うと、それほど長い頁が維持できるような構造には作られていないです。 そういう、力は、そんなに感じないんですね。 ただ、先に触れた、都市インフラ整備事業を担った人間物語、というコンセプトが面白いのと、かなりの話が、江戸=関東平野という地理的な個性に影響を受ける事業の話。つまりは「ブラタモリ」的な「へ~そうなんだ~度数」とでもいうべきふむふむ感があります。 だから、いわゆる文芸ファンという垣根を全く越えて、ビジネス書が好きな読者層まで掴んで話題を呼んだ一冊になったのでしょう。 # 無論、ビジネスとしての本作りで言うと、そういう読者層とか東京オリンピックに向けての話題性とかを、キチンと狙った一冊だと思います。それをあざといと興ざめに思うのか、素敵だなと思うのか、その辺の好みで印象も変わってくるとは思います。 # 小説としての深みだとか、コクだとか、人間像の浮かび上がり方の感動みたいなものは、そんなにではないですが、こういうコンセプトと切り口の見事な小説、というのは、なんだかんだ言って、ありそうで実はレア。 好みの持ちよう次第ですが、僕は楽しめましたし、こういうのも大いにアリというのが、本を愉しむことの間口の広さとして素敵だなあ、と思いました。 個人的にはやっぱり冒頭の1編が、この本の特徴が一番でていて面白かったですね。なにせ気が遠くなるほどの年月の土木事業なんで。 それを短く語って言っちゃうと起きる、恐ろしい簡潔な人の人生の描き方みたいなものが、凄みを感じさせました。
3投稿日: 2018.06.22
powered by ブクログ面白かった!家康と題しているが実際にはアセンブルキャストで利根川の治水伊奈忠次、新貨幣鋳造の庄三郎、飲用水整備の大久保藤五郎春日与右衛門、石垣の吾平と喜三太、そして最終章が天守の建造だが、漆喰にフォーカス、メインは時の将軍秀忠。キャストは所々クロスオーバーしたりする。そして全てを通して読むと家康の江戸ビルドの意図が見えて来るという趣向。短編集的だがとても面白かった。
1投稿日: 2018.06.08
powered by ブクログ第一話 流れを変える 第2話 金貨を延べる 第3話 飲み水を引く 第4話 石垣を積む 第5話 天守を起こす
0投稿日: 2018.04.09
powered by ブクログ「家康」自身の話ではなく 「家康」の命で江戸の町を作った男たちの連作 利根川や荒川の付替えをした人 小判の鋳造をした人 江戸城のための石を切った人 神田上水を引いた人 江戸城の天守を作った人
0投稿日: 2018.04.07
powered by ブクログ秀吉の命により、家康が転封した江戸。 関東の一寒村だったこの地が、今や世界に冠たる大都市となった所以は、やはり家康の先見の目と、職人たちの情熱と奮闘にあったことを改めて教えてくれる。 街づくりのため、水害をもたらす元凶たる利根川を曲げてしまう伊東忠次。 家康の意を受け、貨幣鋳造に生涯をかける橋本庄三郎。 井戸水は、江戸の地の地質ゆえ塩辛くて飲めたものではないため、家康から水利措置を講じられた大久保藤五郎と春日与右衛門。 江戸城の石垣に自ら見出した最上の最上の石を積もうとする、みえすき五平、喜三太。 己の意を込めて天守閣を建てる家康とその真意を推し量ろうとする秀忠。 著者の臨場感あふれる描写と緻密な実証により、直木賞候補になり、また今だにロングセラーを続けていることも、納得できる傑作。
7投稿日: 2018.04.04ラストの謎解きは驚くほど感動的。
江戸を作るプロジェクトX、なもなき男たちののドラマ。時代と人が飛び飛びの 連作小説。ただ最後の一編が重要な巻く引きのドラマになる。泣ける。
0投稿日: 2018.03.22
powered by ブクログ面白かった。江戸発展の基礎となったインフラ整備の話。章ごとに治水事業、貨幣鋳造、水道事業などに分かれていて、主人公の官僚や職人たちも違うので、短編集的にも読める。特に水道事業の話が好きだ。藤五郎のキャラがいい。
1投稿日: 2018.02.26
powered by ブクログ「関八州をやろう」小田原攻めの陣中で、秀吉が連れ小便をした家康に発したこの申し出から始まる壮大な江戸開発事業の物語。 当時はまだ大半が低湿地帯で、海が現在の皇居のすぐそばまで入り込んでいた武蔵野の地を居住可能にし繁栄させるために治水、造幣、上水道、石垣、天守の江戸の基盤造りという難工事を任され奔走した男達が主役のいうなれば裏方奮闘記ですね。 各章の主人公達がこれまた熱い。 幾代にも渡り普請に尽力した家もあれば、一代で流れを変えてしまったりと面白い話ばかり。 文章が読みやすいので一気に読み進められます。 江戸の古地図や現代の東京の地図、そして江戸城本丸図なんかを手元に置いて、出てくる地名等を探しながら読むとより一層楽しめそう。 書店の手書きポップに書いてあった”ブラタモ好きにおすすめ”ってのは間違いじゃなかった。
1投稿日: 2018.02.22
powered by ブクログ徳川家康が関東に国替えになってから、いかにして江戸の町を作り上げてきたかを、河川・貨幣・上水・石垣・天守の5つの切り口の短編から描いた歴史小説。家康が主人公かと思ったら、各切り口毎の立役者が主人公でした。 各短編はそれぞれ興味深い話なのですが、ほとんど相互に交わることはないので、5短編を通して読みきった時の感覚も、まぁ徐々に江戸ができてきましたねという感じ(短編が時系列に並んでいる訳でもないのですが)だったのがちょっと残念。 全般的に解説が親切で、登場人物の出自や現代における場所をさりげなく添えてくれる等、非常に読みやすいのですが、話の筋で描く対象の人物が変わっている所など、わかりやすく引っ掛かりを作っている箇所があったのは、これ必要かなぁ?と思ってしまいました。 個人的には序盤の3篇(河川・貨幣・上水)が好きで、プロジェクト自体や登場人物の決断がダイナミックで思い切りが良く、楽しく読めました。 小説としての感動は個人的には期待しすぎていた感がありますが、綿密な取材(しかも歴史面だけでなく技術面も)に基づき、正確な情報をわかりやすくまとめているのは凄いことだと思いました。
1投稿日: 2018.02.18
powered by ブクログ広大な江戸という地の城郭と城下町の創設。先見の目は天災・人災を防ぐライフライン、経済基盤の礎など公共の大事業に智を廻らし、盤石な積み重ねの各パーツ造りに及ぶ。馴染みの地名のゆかりにも触れ、"なるほど!納得!!"の満足の読後感。
1投稿日: 2018.02.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
流れを変える:ここは初志を貫かせてくれぬか。繰り返して言う関東には未来がある 金貨を延べる:へりくだる人間は仕事もへりくだる。おのれをたのめ 飲み水を引く:豊臣秀吉による天下統一から15年。この国の気風は、急速に平和へと傾いている 石垣を積む:目的は、次釣りだった。仙台藩と南蛮諸国との間で直接的な交易を開始し、併せてキリスト教の宣教師を派遣してもらおうとしていたのだ 天守を起こす:江戸は永遠に普請中。成長をやめる日は来ない。そこに街がある限り、槌音は響き、道路は均され、海は埋められ続けるのだ
1投稿日: 2018.02.01
powered by ブクログすごい壮大な長編かと思ったら、5つの側面から江戸を作っていく、主人公もそれぞれ異なってる連作でした。 治水、貨幣、飲水、石垣、天守閣。 主人公はそれらに関わる職人で、もしくは役人。秀忠に関しては殿様だけど。 細切れになってる分最後に天守閣に登って江戸を見渡す家康の気持ちに入り込めなかったけど、それぞれの物語は面白かった。 個人的には貨幣、お金で天下を取ろうとするお話が一番面白かった。 2018.1.28 15
1投稿日: 2018.01.28
powered by ブクログ家康を軸に、歴史上有名無名の脇役の人たちによる江戸発展の物語。5つの物語が独立していて、家康でつながっている。江戸が少しずつ形作られる様子がわかる。この作家にかかれば、堅苦しい人物も愛嬌が備わる。キャラもたっている。直木賞候補作となって受賞しなかった作品だが、受賞する資格充分と感じた。 家康が関東に入るまで、この地は人が住めるような場所でなかった。家康が入ったからこそ、今の東京の殷賑がある。
3投稿日: 2018.01.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いや、面白かった。確かに江戸という日本の中心地たる都市を造るには様々な事業が必要で、それをまるで見てきたかのように生き生きと描かれている。利根川、上水道、貨幣、石、城。どれも面白い。 残念だったのはややこなれていない表現があり、語り口のパターンが似かよってしまっていること。これが例えば司馬遼太郎や城山三郎であれば、と思わずにはいられず、星一つ減じた。 それにしても、これだけの名人、名職人たちを力ずくでも金ずくでもなく動かした家康は、やはり人たらしであったのだろう。
1投稿日: 2018.01.06
powered by ブクログ治水事業、築城事業を通して江戸のなりたちを垣間見る。それとともに壮大なグラウンドデザインを描くリーダーと、それを愚直に実行するエンジニアの想いを知る。
0投稿日: 2017.12.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
関東には手つかずの未来がある! 秀吉からの突然の国替えの申し出に対し、反対する家臣達に向かい言い放つ徳川家康。 ここから家康の一大プロジェクトが始まった! 問題多発の荒れ放題の土地の地ならしは、利根川東遷に始まり、日本史上初めての貨幣統一、上水道設置工事、強固な江戸城の築城……先人達の知恵と技術の賜物。 感心するのは家康の人を見る目。 無名の技術者を指名し務めを果たさせる。 そして決して好機を逃さない時流を見る目……これぞ天下一のリーダー! お陰で今の東京、いや日本がある。 江戸は一日にしてならず! そして今に続いている。
11投稿日: 2017.12.14
powered by ブクログ家康が秀吉から国替えを言い渡され、江戸という街を造っていく。 まず河の流れを変えて台地造成、貨幣造成、飲み水の確保、城の石垣造り、そして江戸城天守閣。 江戸は出来たのではなく、建てたのだ、という気持ちが伝わってくる。
2投稿日: 2017.11.19
powered by ブクログ徳川江戸都市計画・・・史料的には読んでいましたが、 利根川も江戸の町も別々に、でした。 が、小説化してつなげてくれるとは! 他にも、治水・財政・土地改良・・・まさに、 江戸という都市を作る! それに従事した人々の困難への挑戦! まってました!な感です♪
1投稿日: 2017.11.10
powered by ブクログ「家康、江戸を建てる」というタイトルだが、家康はほとんど出てこない。 家康がいかに将来を見据えていたか、それとその家臣がそれぞれの事業にかかわる人選に秀でていたか、それに尽きる。 家康が築いて来た江戸が、現在の日本の生活に多大な影響を与えている。生活する為の飲み水を確保したり、貨幣を流通させたり、今の生活に根付いていることの原点を見た気がする。 そこが現在の日本銀行本店や井の頭公園である、と聞くとなんだか鳥肌が立つ思いだった。 川の流れを変えるなんて、計画が壮大過ぎる‼︎ 44
2投稿日: 2017.10.28
powered by ブクログ★SIST読書マラソン2017推薦図書★ 【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11630258
0投稿日: 2017.10.25
powered by ブクログ江戸が完成されるまでをお金、水(川の流れ)、天守、石垣の面から描かれた本です。 直木賞の候補作なので読んでみました。 私は大阪に住んでいて東京にはゆかりがないため地理の面では全くわかりません。 でも歴史が好きなこともあり街をつくるということはそれだけで本当に無数の命でできているプロジェクトなのだな、と楽しめました。 直木賞・芥川賞を実況・解説するニコ生で言っていた通りぜひブラタモリで本を片手にまわって欲しいです。 それにこの大阪編も読んでみたいなあ。
1投稿日: 2017.10.24
powered by ブクログ「関八州を差し上げよう」 秀吉は“ありがたい良い話”のように言うが、父祖の代からの三河をはじめとする現在の領地と引き換えである。 猿におにぎり取り上げられて柿の種をもらった蟹みたいである。 家臣たちは猛反対するが、家康は関東の「伸びしろ」に賭けたようだ。 そう、柿の種はやがて育ち、多くの実をつけるようになる。 しかし、さすがに水浸しの大平原とボロ城を前に、家康絶句。“ぽーん”という擬音が聞こえてきそう。 しかし、切り替えは早い。 江戸そのものの地ならしに取り掛かる。 時系列どおりの小説ではなく、各プロジェクトごとに現場が描かれる。 まだ戦乱は続いていたが、収束に向かいつつあった。 ここではすでに戦国武将は主役ではない。 そこここに、時代の変わり目に置いていかれそうな人物も描かれている。 文官と技術者の時代がやってくるのだ。 亡くなる前年まで、家康は武将として豊臣を押さえてきた。 軍事と民政の二足のわらじを履き、もちろん忙しい。 人材を集め、各プロジェクトごとに専門家に任せる、そういう人使いの巧みさも、家康の江戸作り成功の秘訣だろう。 第一話 流れを変える 関東平野を水害から救い、米の収穫量を上げるために、利根川の川筋を変えるという大事業。 時代の流れを変える、という意味も含むだろう。 伊奈三代の仕事。 第二話 金貨(きん)を延べる 貨幣を流通させて、経済の天下統一を目指す。 伝統ある彫金氏の家、後藤家につかえる庄三郎の野心が家康とシンクロ! 第三話 飲み水を引く 治水事業により水害は減り、交通網としての河川は整えられつつあるが、良質な飲み水を手に入れなくては生活の質は上がらない。 質プラス量。 驚くべき技術開発で、水道を引く。 第四話 石垣を積む 城の土台となる石垣。 石の摂理を読み、良質な石を切り出す吾平と、石の重さの偏りをはかり安全かつ堅牢に積み上げる方向を決める喜三太、二人の「見えすき」と、神になった石。 第五話 天守を起こす 最後の戦国武将として、家康がどうしても打ち立てておきたかったのが天守ではなかったか。 時代はすでに次世代のものであるが、本当に天守が必要なくなるのはもう少し後である。 江戸は一日にして成らず。 そして永遠に普請中であり発展中。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ヴィジュアルと、江戸・東京のお散歩のガイドをお求めの方にはこちらもお勧め! 詳伝社新書「江戸城を歩く」黒田涼/著 ISBN978-4-396-11161-8
3投稿日: 2017.09.28
powered by ブクログ秀吉の小田原攻めの時に、秀吉より三河・駿河から関東移封を命じられた徳川家康。 当時の秀吉の絶対的な権力に逆らえないのは理解できるが、関東に下った家康の居城は、小田原ではなく、何故寒村と言われた江戸だったのか? その答えは、本著にはない。 調べてみると、江戸は中世あるいはそれ以前から水運で栄えた交易都市で、しかも後北条氏の重要な軍事拠点だったという説が近年浮上しているそうです。 冒頭から脇道にそれましたが、本題に戻ります。 江戸に下った家康が、というより家康の部下が行った今日の東京の基礎を築いた話です。特に現在の東京の拡大の基礎が、このように計画・実行されたのかと、知識欲が大いに満たされる。 1.流れを変える・・・伊奈氏3代に渡って成し遂げた、利根川東遷 2.金貨を延べる・・・秀吉の大判に対抗した金小判の鋳造 3.飲み水を引く・・・江戸に飲料水を供給した神田上水 4.石垣を積む・・・・江戸城の石垣を積む 5.天守を起こす・・・江戸城の天守閣を巡る家康と秀忠の対立 特に興味を惹いたのは、「2.金貨を延べる」 秀吉の天正大判というのは、流通する貨幣ではなく、石高を増やしたり領国を与える代わりの褒賞の意味を持っていた。日本統一を果たした秀吉には、国内に余った土地などなかった。その窮余策が金の大判だったのだ。これに対抗して家康は流通できる金の小判の鋳造を行い大判の駆逐を目論む。今日的な観点からすると非常に画期的な事業といえる。 また江戸城の石垣にしても、天守閣にしても、こういう意味があったのかと改めて驚くことが多かった。 天守閣は安土城にしても大坂城にしても、漆を塗り込んだり、金を使ったりして黒いものだった。漆喰で塗り固めた純白の天守閣は江戸城が初めてだという。 近年改修工事の終わった姫路・白鷺城が、やたら白すぎると評判になっているが、江戸城も白鷺城のようだったのか・・・ 今度江戸城(皇居)へ行った時には、そういう知識を噛みしめながら眺めてみたいと思う。 【追記】 小説としては、人物描写がやや甘い。この点が直木賞選考の際に、本書の欠陥とするどく指摘され、直木賞を逃したのは残念であった。 やはり選考委員のプロは、その弱点を鋭く抉り取っている。そのことを端的に捉えたのが、高村薫の以下のコメントである。 ※直木賞選考を終えた時の高村薫のコメント 「職人たちにはそれぞれ人生の物語もあるが、いずれも江戸時代のインフラや技術を楽しく紹介するための道具立ての域を出ない。老婆心ながら、小説は面白いアイデアとは別の次元で成立している何ものか、である」
1投稿日: 2017.08.25
powered by ブクログ17/08/19読了 登場人物が真田丸キャストで再生される笑 淡々と、江戸設立時のエピソードを楽しめた。
0投稿日: 2017.08.20
powered by ブクログ面白い・・・面白いけど、小説を読んでる感じはしなかったなぁ~。 もっと小説っぽいと、もっと面白いだろうになぁ~。。。 個人的には「石垣を積む」が面白かったかな。
0投稿日: 2017.08.05
powered by ブクログおととし東京都現代美術館でオスカーニーマイヤーの建築を振り返る展覧会がありました。彼の作り上げたブラジリアという人工都市のスケールに度肝を抜かれました。でも「家康、江戸を建てる」を読みながら、家康の江戸にあってブラジリアにないものもなんとなくわかりました。そこに暮らす人の生活です。人生です。江戸を建てるということは江戸城を建築するということではなくて新田を開発して生産力を上げるだし、上水をひいてインフラを整えるだし、貨幣を鋳造して商業システムを作るだ、と思い知りました。ビジョンとしての都市とリアルの積み重ねとしてのと都市の違い?治水の伊奈忠次、鋳造の後藤庄三郎、水道の大久保藤五郎、六次郎、春日与右衛門、石切りの見えすき吾平、見えすき喜三太、そして新概念の天守閣を作った徳川秀忠、平和の時代に必要なマニアックなスペシャリストたちの総合芸術がその後百万都市になる江戸なのでした。いやいやすべてを包含する総合プロデューサー家康のビジョンが凄いのかも。2020に向けて槌音高らかな江戸の進化形,TOKYO。そこにはどんなビジョンが示されているのか、いまだに見えてきていません。
2投稿日: 2017.08.01
powered by ブクログ家康が江戸をつくるお話。上水の話とか、地元の話はもちろん、鹿島の話も出て来て興味深かった。古地図持って散歩したくなった。 1.流れを変える 2.金貨を延べる 3.飲み水を引く 4.石垣を積む 5.天守を起こす
0投稿日: 2017.07.25
powered by ブクログオーディブルで聴きましたが、これはかなり面白いですね。 関白秀吉に東海から関東へ国替えさせられた徳川家康。家臣団は大反対したが、家康はここにこそ未来があると江戸にかけます。 本書は家康の命を受け、河川工事、飲料水、通貨の発行、城造りなどなど、派手な戦場での話ではなくどちらかというと地味な内政を行う文官の活躍を連作短編によって描いています。主役は江戸の街そのものですね。この巨大都市がどのように造られていったのか? 秀吉が大阪で発行していた大判に対抗して、家康は小判を造ろうとするエピソードなんかは特に面白いですね。 戦と同様に経済や民の衣食住の改善に力を注いでいたからこそ、結果的に家康が他の武将を抑えて勝ち残ったんだろうなあ、という事も感じます。 今はなき江戸城の天守閣は、家康の強い意志で真っ白な漆喰塗りだったそうです。その時代においてはあまり考えられない事だったそうです。家康がなぜ真っ白の天守閣に拘ったのか?その謎を2代将軍秀忠が推理する場面がありますが、その答えを語る家康の言葉はに感動してしまいました。
1投稿日: 2017.07.04
powered by ブクログ「家康、江戸を建てる」 タイトルとは違い、家康はほとんど出てこない。主人公は江戸を建設し繁栄に導いた仕事人たちの物語である。 その主人公たちは治水工事、小判の製造、水道工事、石垣作り、漆喰の壁作りの専門家の活躍の話である。 家康は先見の明や何が最優先課題かを判断する能力はあっただろうが、それぞれの分野の技術専門家たちが活躍して江戸を作ったと言うことは間違いないだろう。 五つの話はそれぞれ独立しており、主人公は侍だけではないことも面白い。決して時代は為政者だけで動くのではなく、時代に合わせた技術力が集まることによって動くことを感じさせる。そして、時代を動かす力はそれぞれの主人公がこれをやりたいという思いであり、それぞれの主人公の個性によるところにあり興味深い。 時代小説というとどうしても為政者の話しが多くなりがちであるが、大変面白い切り口で楽しめた。 翻って、現代社会を動かしている、あるいはこれからの未来を作るであろう技術とは何なのかを考えさせられる。
1投稿日: 2017.06.11
powered by ブクログ歴史小説のように心地よく、すらすら読めた。 『ローマ人の物語』の10巻「ローマは一日にして成らず」の江戸版とでもいえそうな、すなわち、「江戸は一日にしてならず」とでもまとめられるような内容だった。 (じっさい、文中に「パクス・トクガワーナ」という記述もあり、ニヤッとさせられた) 上水道を井の頭池からひいた神田上水の話や、金貨をのべる話は、土木や国土経営的な観点からも面白かったし、江戸城の石垣をくむ話も、印象的。 逆にすこし残念なのは、利根川東遷の話については治水のことぐらいしか背景が語られておらず、物足りなかった(まあ仕方ないか・・・)。 内容にフィクションが多いともおもってはいないが、もう少し詳しく、学術的に記されたものも読みたいと想い、『江戸はこうして造られた』(鈴木理生)をこんど手に取ることにしたのである。
2投稿日: 2017.06.06
powered by ブクログ徳川家康が江戸幕府を建国するまでの過程を小説仕立てにしており、歴史好きにはたまらない一冊。運河の工事、金貨の鋳造、天守閣の建設、飲料水の確保など、江戸幕府の開国に至った経緯を詳細な取材に基づいて描いており、筆者の歴史への造詣の深さに圧巻される。 本書は歴史書に分類されるが、マネジメントやコミュニケーションといった、要素を含んだ一種のビジネス書のような一面も持ち合わせている。例えば、利根川の流れを変えるように家康の家臣が領主に依頼するシーンがある。なぜ川の流れを変える必要があるのかと訝しる領主に対して、家臣は利根川の流れを変えることで、年貢が増え、ひいては領主様にとって利益をもたらすことを主張しいる。これは、相手にとってのメリットを伝えて説得するという、現代のビジネスシーンでも用いられている交渉術である。 家康が江戸幕府を開びゃくし、その後250年もの治世を維持することができた背景にあるのは、家臣の能力を見抜き先進的な取り組みを続けていた、家康のマネジメント力かもれない。 以下に面白かった点を述べておく。 ①小判の流通 豊臣時代に流通していた小判は金の含有率が低く、市場の信用性が乏しいため、ほどんど流通していなかった。家康はこの点に目をつけて、金の含有率が高い小判を家臣に作るように命じた。より質の高い小判を江戸で流通させることで、悪貨を駆逐することができ、「徳川」の権威を高めるためである。 ②天守閣の建築 防衛の観点から見ても城に天守閣を建築する必要性はない。それでも、家康が天守閣の建築にこだわったのは、大名に金を使わせるためである。天守閣建築に関わる材料費や工事費を全国の大名に負担させ、彼らの経済力を弱めることに加えて、徳川家こそが天下の支配者であることを誇示することができる。
9投稿日: 2017.06.03
powered by ブクログ史実をベースにしたフィクション。 秀吉から国替えされた家康が水浸しのクソ田舎の関東をプロデューサーとして全体を構想し、ひとつひとつをゼロから造り上げていくという設定の連作集。 インフラとしてまずは利根川を曲げて水の流れを変え、水道を整備し、貨幣を造り流通の仕組みを整え、江戸城を建て天下に知らしめる。 それぞれを実直な事務次官や職人を主役に据えて、さながらプロジェクトXのようなものづくりの魅力を満喫できます。 江戸城の石垣築城を石切り職人の目線で見る章は特に面白かった!皇居ランが今後新鮮に感じられそう!
1投稿日: 2017.06.01
powered by ブクログ江戸城を見て、想像以上のお粗末さに呆然とする家康であったが、川の流れを変え、飲み水を引き、低湿地ばかりの土地を豊かな土地に変えていく。また、家康は江戸を日本一の商都とするために小判を発行し、現代に通じる貨幣経済の地固めをしていく。 個人のもつ能力を適材適所で発揮させる術に長けていた武将家康の、江戸に託す思いを描いた小説。
1投稿日: 2017.05.29
powered by ブクログ【収録作品】第一話 流れを変える/第二話 金貨(キン)を延べる/第三話 飲み水を引く/第四話 石垣を積む/第五話 天守を起こす 江戸が町となっていく過程を簡潔にまとめた連作。さくさくあっさりとまとまっている。
0投稿日: 2017.05.11
powered by ブクログ江戸という世界有数の巨大な街を造り上げた人々を描いた連作短編集。 江戸城というより、江戸という都市の機構をどう造り上げたかを重点的に描かれているところが面白い。上水機構や利根川などの河川工事など、今現在に到るまでしっかりとその機能が受け継がれていることに感銘すら覚えるものであった。
1投稿日: 2017.05.08
powered by ブクログ江戸構築を描いた連作歴史小説。 ・流れを変える ・金貨を延べる ・飲み水を引く ・石垣を積む ・天守を起こす の5編収録。 家康の方針を受けて、それぞれのインフラ事業の物語でした。 前半の三つの章は町のインフラ、最後の二つの章は江戸城建築の話なので、土地の埋め立てや町づくりなどの町のインフラ話でまとまめた方が良いかと思いましたが、最後の一章は家康から秀忠へと引き継がれていくところは良かったのでOKだと思います。 それぞれの章が短く、自分も知らないような史実的主人公も異なるので読みやすいですが、巻数を増やしてでももっと多くのインフラ話やひとつひとつの仕事の深堀や物語の厚みを増しても良かったと思いました。
2投稿日: 2017.04.26
powered by ブクログ江戸を作り上げたのは、家康じゃないんだということね そりゃあ、家康が全部できるわけではないけど 人の力を信じて、発想して、時間をかけて そして、江戸に住む人々を想像して作られる姿は なんだかすごいなぁと思いながらも やっぱり、顕示欲や独占欲、諦めもあったりと 人間臭くて、驚きも満載の、元気が出る小説
1投稿日: 2017.04.24
powered by ブクログ家康の江戸開府について歴史小説として知れる本。ひとつひとつのエピソードが長くないので読みやすい。今の東京の地名の由来が分かって面白い。冷静に考えると東京が都市として発展したのはこの江戸開府の400年前からであり、それまでは湿原状態だったことを考えると、とてつもない編纂だし、その基礎を作った徳川家の偉業ぶりは計り知れない。
1投稿日: 2017.04.23
powered by ブクログ江戸、家康という切り口で書かれた作品は枚挙に暇が無いが、江戸のインフラに着目し独自の視点で書かれている本作品。 関八州の荒野を目の当たりにした家康の心に去来したものを推し量る術は持ち合わせてはいない。けれど、 江戸から戦禍を無くし未来永劫平和な社会を打立てようとする胸に秘めた家康の決意が 天守閣の漆喰を白に固執する、その言葉に込められた真意を知り思わず言葉を失う自分があった。 命を賭けて江戸の基盤を築いた人々が、巷での市場移転・誘致勧誘の混乱醜態を見て何処かで嘲笑していないことを切に願う!
1投稿日: 2017.04.22
powered by ブクログ連作短編5編 江戸の町を一から造るという大事業に,治水工事や金融政策,上水道や築城などそれぞれの専門分野で精魂傾けた男達の仕事,気概に圧倒される.そしてその背後にあるのは家康の信念.感服しました.
1投稿日: 2017.03.20
powered by ブクログ徳川家康が江戸をどのように開発してきたのか、物語として読ませる。利根川を曲げて鹿島灘に注ぐようにしたこと、全国で使えるお金を流通させたこと、都市の住民が生活できるように、上水道をひいたこと、そして江戸城を築いたことーーこれらが江戸の未来を見据えた巨大な都市計画プロジェクトであることに驚愕した。さらに、川を曲げるプロジェクトなど、個々のプロジェクトを指揮する人々の苦悩や苦労については、その行動が今の東京が世界に通じる都市であることを支える成因であろう。こんな大規模プロジェクトを推進できた家康がうらやましい。権力を持っていただけではなく、その先の未来を見据えることができた家康の偉大さに敬服。その偉大さは、現在も残る地名にある。銀座、井の頭、水道橋、もちろん丸ノ内や大手町なども。
1投稿日: 2017.03.14
powered by ブクログ①流れを変える ②金貨を延べる ③飲み水を引く ④石垣を積む ⑤天守を起こす どの話も面白い。江戸時代最初期、首都造りに携わった個人を主人公に5章。 壮大な話も有れば、一族の内輪揉めみたいな話も有る。 後世に名を残す人もいれば全然知らない人もいる。 題名に反して家康が出て来ないのが面白い。出てきても脇役だ。オススメ!
0投稿日: 2017.03.08
powered by ブクログ秀吉から家康に告げられた、不公平な領地替え。 家康は関東には、手つかずの未来があると直感を信じて、日本史上もっとも人と米と土と金を投入した巨大なばくちに打ってでた。 物語は連作で、それぞれの事業でメインとなる人物を立てて、家康の江戸の基盤となる事業を地道で気の遠くなる作業で仕上げていく様子を描いてます。 ちょうど関ヶ原やら大坂の陣やら戦もあったその時に 戦とは関係なく進められていた壮大な街づくりに、 いちいち関心しましたし、 土木はちょっとわからないけど、建築は見るのも好きだし、 細かな表現でイメージしやすくて楽しめました。 請け負う職人の仕事も誇りも気持ちいい。
2投稿日: 2017.03.06
powered by ブクログ天正18年(1590年)夏、小田原攻めの最中に、豊臣秀吉は徳川家康に関八州を「進呈」すると言い出した。それまでの東海5カ国と引き換えに。 家臣たちの猛反対の中、家康はこの国替えを受け入れる。「関東には、手つかずの未来がある」との直感の故に。 江戸の泥地を、利根川の流れそのものを変えることで肥沃な関東平野に変える一大工事。三代に渡る執念ーー「流れを変える」 現代に続く計量貨幣の世の基礎となる小判を発行し、全国貨幣の支配者にーー「金貨を延べる」 江戸の街に上質な水道を。井の頭のルーツーー「飲み水を引く」 城が焼け落ちても残る、強くて美しい石垣を作り上げた男達の物語ーー「石垣を積む」 常識を覆した白い壁に込められた二つの意義ーー「天守を起こす」 戦争から平和の世へ。軍人・家康の治世家としての側面をクローズアップした快作。 世界に冠たる江戸の町を、現代の大都市東京の基礎を作った男達の物語。 普段歩く町の風景も変わって見えてくるような気がする。
4投稿日: 2017.03.05
powered by ブクログ家康が未開の地江戸をどのように作ったかがわかる5つのストーリー。 川の流れを変えて(現在の利根川は東京湾に注いでいた)湿地であったところを開発できるようにしたり、戦国の世から天下統一された世界では土地を褒賞にできないが故貨幣を制することが天下を守るために必要と見抜き小判を鋳造する話など、家康の先見性と大胆さがよくわかる。 今の地名がなぜその地名なのか(水道橋は、名の通り飲み水を井の頭の方から引っ張り外堀を超えさせる橋をかけたからとか、銀座はあたりが銀貨幣鋳造の中心地だったからとか)がわかり楽しい。 ブラタモリをみているような、へぇ〜で溢れる本。 その分感情の起伏はなく、ストーリーというより知識欲を満たすようなもので、小説というよりも江戸という地域の建立歴史本といった感じである。
1投稿日: 2017.02.26
powered by ブクログ中学校や高校で江戸時代を学習した後に読むと知識がさらに深まる作品だと思いました。山城から平城への変化については、日本史の学習でも学んだので懐かしいなあと思いながら読み進めました。今ある利根川の形や、貨幣の意味、そして天守閣の在り方など今ある事象を見るときに違った視点をくれる作品だと思います。分かりやすく書いてあるので、歴史好きはもちろん、歴史が苦手な人も入りやすい作品です。個人的に、貨幣ができあがっていくまでの話が一番ドキドキしましたし、読んでいて楽しかったです。
1投稿日: 2017.02.26
powered by ブクログとても面白かった。 家康が江戸に入府した経緯は知りながらも、江戸を栄えさせることがこれだけの困難を伴っていたとはまったくしらなかった。新たな角度で歴史を楽しませてもらった。 文体も、歴史の重みを感じさせながらも、現代を踏まえた例えも多く、感情表現も含め親しみ深い。 また、連作最後の話は締めにふさわしい含蓄深い余韻であった。 おそらく、初めて読むことになった門井氏の作品。今まで手に取っていなかったのが悔やまれる。
1投稿日: 2017.02.19
powered by ブクログ豊臣秀吉が徳川家康に要求した国替えの真意は、低湿地の土地と豊饒な所領の交換であった。家臣団が激怒する中、なぜか家康は要求を受け入れ…。ピンチをチャンスに変えた天下人の挑戦を描く 2016年上期直木賞候補作。タイトルと違って主人公は家康ではない。江戸の町の建設のために川を曲げたり、貨幣を鋳造したり、上水を引いたり、城の石垣や天守を造ったりした男たちの物語だった。作者が建築に詳しいことは知っていたが、こういう視点で描かれた歴史モノも斬新で面白かった。 (B)
3投稿日: 2017.02.18
powered by ブクログ治水、貨幣、飲水、石垣、天守。 何にもない荒れ地からいかにして江戸のまちを興したのか。 河川をまげて土地を造り、質のいい小判を造り、上下水道を整備し、江戸城の石垣を積んで白く輝く天守を築く、何ていうか今の東京の繁栄って元を辿れば家康公の時代ありきなんですな。 それぞれ歴史的には名もなき人々の努力と意地の賜物で成し遂げられたものだけど、その道のプロっていうのはいつの時代にもいて、先を見通し未来を創っていってるものなんだね。
1投稿日: 2017.02.13歴史好きじゃなくても
秀吉に突然国替えを命じられ、関東の荒れ地に移ることになった家康。 ただ単に城を作るのではなく、天下を取ることを見据えた城下町造りが始まった。 湿地帯を人が住める場所にするために、川の流れを変える。 経済の発展のために、小判を鋳造する。 飲み水を引く。 伊豆から石垣のための巨石を運んでくる。 戦のない時代を象徴する天守を建てる。 それぞれにプロフェッショナルな職人が関わり、260年以上も続く江戸時代の基礎を造っていく。 歴史好きじゃなくても楽しめる1冊。
2投稿日: 2017.02.13
powered by ブクログ歴史小説にはあまり興味が無かったのですが、近年織田信長関連の本を読んだり、「村上海賊の娘」を読んだりするうちに興味が沸いてきました。 この本を読みながら、東京の地図をネットで検索する。 かつて住んでいた場所や、働いていた地名などが文中に出てきて、それが更に興味を湧き立てます。 徳川家康という男の偉大さも感じる事が出来ました。 東京誕生の基礎を学ぶ事が出来ましたね。
1投稿日: 2017.02.12
powered by ブクログ大都市江戸 その起こり 視点が主に職人からで斬新で面白かった ただ文章がごつごつしててもう少し滑らかだったらよかったな 著者の名前 15代将軍と同じだけれどペンネームでしょうね ≪ 江戸の町 河、水、金と 天守閣 ≫
0投稿日: 2017.02.12
powered by ブクログ結構なページ数の割に読みやすかった。 家康が江戸を開くプロセスが重要なパーツごとに描かれてて面白かった。 今まであまり考えたことのなかった切り口から江戸、家康像が見えてきた。
1投稿日: 2017.02.09
powered by ブクログ徳川幕府開府に関連したものづくりにまつわる短・中編集。 題材はともかく、作品はどれも小振りな印象。 事業規模でいえば、利根川東遷事業が圧倒的。それに次ぐのは神田上水か。
0投稿日: 2017.02.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
家康が江戸入府し、土地を使えるものとし、水を引き、江戸城を作っていくまでの都市づくりについて記している。 治水、上水、石垣、壁など、江戸を作り上げた物語を短編小説で綴る。 主人公に感情移入してしまうような描きぶりで、上手に書かれていると思うが、短編なので、イマイチ物足りない。 こんど、著者の長編歴史小説を読んでみようと思った。
1投稿日: 2017.02.05
powered by ブクログ時代小説、ではあるんだけど時代劇的なお話ではなく、江戸の街づくりを担った職人たちを主役にしたノンフィクション的短編集です。 治水、造幣、築城、といった戦国時代とは一線を画した現代にもつながる治世の原点を垣間見ることが出来、そこに目を付けた家康も偉いし人生を賭けた職人も偉い!と感動しました。 が、著者の文章力がなくて正直魅力半減。 テーマ、というか目の付け所がよいので☆は甘めですが、これが直木賞候補?!とちょっと驚きました。
1投稿日: 2017.02.03
powered by ブクログ江戸は壮大な土木工事の上に誕生した都市であり、決して自然を大切にした都市ではない。人が自然を改造しながらつくっていった都市が江戸。とはいえ現在の都市開発とこの当時の都市開発は何かが違う。その違いはなにか?が今後のテーマ。がちがうのだろうか?そこは今後考えてみたいテーマ。
1投稿日: 2017.01.23
powered by ブクログ家康が江戸を建てるための基本となる、川・通貨・飲み水・石垣・天守を作り上げていくかが描かれている。 連作としては時系列が前後して、少し読みづらい。 個々の工事においては主となる人物がいるにはいるが、どれも魅力が足りない。 評判が良かっただけに、少し残念。
1投稿日: 2017.01.17
powered by ブクログ面白い。家康が江戸の町を作っていく話だが、家康は脇役。実際に事業を行う者が主役。川の流れを変えるもの、貨幣を作る者、飲み水を行き渡らせる者、石垣を作る者、天守閣を作る者。決して歴史の表舞台に立つ事がない事務方の人間を主役にしてる所が斬新で面白い。しかもそれぞれの事業の必要性や困難さや時代の先見性を見事に表していて、歴史の裏方を学べるところも素晴らしい。
2投稿日: 2017.01.15
powered by ブクログ東京の成り立ちを、政治と技術の両面からダイジェスト的に書いた作品。江戸初期の土木技術、建築技術、鋳造技術の調査、裏付けを取りながら、ドラマに仕立てているところが秀逸。特に「石垣を積む」のところはこれまで想像していた技術の確認ができ、もっともっと細かく知りたいと思わせた。今の地名で書いてくれてあるので想像しやすく、引き込まれる。天守閣のデザインに関する家康と秀忠のエピソードは、作者の想像の産物なのだろう。軽いけれど清々しく感じる。
1投稿日: 2016.12.04
