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紙の動物園
紙の動物園
ケン・リュウ、古沢嘉通/早川書房
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総合評価

101件)
4.1
32
38
17
2
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表題作の「紙の動物園」が良かったです。包装紙を折り紙のようにして、動物を作ってそれに命を吹き込むところ、母がいろいろな苦労を重ねて今日に至っているところは感動しました。

    2
    投稿日: 2025.08.01
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    表題作がやばすぎるSF短編集 魔法のような母さんの折り紙だけがずっとぼくの友達だった なんて美しい物語だろう 子供の頃に読めば反抗期は終わり 大人になって読めば親に会いたくなり、子供が愛おしくなる SFとファンタジーにしかできない物語がこの本にはある

    6
    投稿日: 2025.07.28
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    あぁ、これは好きだな。「紙の動物園」感動系SFとでも言おうか。母の孤独。母の息子への想い。じいんと来た。魂を揺さぶる。「もののあはれ」も情緒的。俳句や漢詩を織り込みながら、西洋とは違ったヒーローを描いている。不思議で魅力的な世界観。読了したい。

    0
    投稿日: 2025.05.05
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    SFのレーベルから出てるし、SFっぽい話が多いから、一応ジャンルはSFなんかな?1話が程よい長さで、訳もきれいで読みやすいんだが、全体的に社会風刺がビシビシなので、読んでで楽しくはない。が、おもしろかった。1話ずつ、間を開けて読んだ方がよいと思う。あと、デット・チャンみたいやな〜と思いながら読んでたら、作者注でデット・チャンについて語ってたし、あと訳者さんも同じでしたわ。

    0
    投稿日: 2025.04.27
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    ケン・リュウの作品はテーマがストレートに描かれていてわかりやすい。ディズニー映画級にわかりやすい。日本人が主人公の表題作など顔が赤らんでしまうほどだ。 わかりやすく説明的に描かれている分想像の余地は当然薄れてしまい、自分的には物足りなさを感じてしまう要因となるのだけれど。 SF味の薄い「文字占い師」のような作品の方が印象に残っています。空虚なただの言葉であるはずのものが強カな力をもち人々を動かしはじめる。ル・グインを思わせる読後感。言葉は大事に使わないとね。 ラストのオカルト・スチーム・パンクといった趣の「良い狩を」が哀愁もあり一番おもしろいかな。

    16
    投稿日: 2024.11.15
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    <翻訳文学試食会>がこちらの『文字占い師』を取り上げたので。 https://podcasters.spotify.com/pod/show/honyaku-shishoku/episodes/95-vs-e2ovkl1 最近何冊かのアジアの現代SF・幻想短編集を読んでいます(「翻訳文学試食会」課題本のためということが多い)。どれも洗練されているというか、整然としていると言うか、小説のとしてきちんとプログラムされているように思います。 私はSFはそんなに多く読んでいませんが、いくつか読んだものは言いたいことを紙面にぶつけていたらSFになったというか、自分が生きられる世界をぶつけていたらSFだった、というような、多少の理屈に合わないことなど吹き飛ばすパワーを感じたんですよ。 最近読んだ「アジア出身のこれからの作家」たちは、もっと冷静に感じるんだよなあ。SFや幻想が現実に混じっているので完全に違う世界を書いてはいないと言うか… こちらのケン・リュウのSFは、SFや幻想文学という形式はありますが、「言いたいことがあって、SF、ファンタジー、幻想文学の形式を使ってます」というような。そのためかSFや幻想手段でも覆いきれない生きてゆく世界の厳しさ残酷さ、そして悲しさが(;_;) 中国、日本、台湾の戦争を含めた歴史、現代まで続く民族の確執や争い、別の国や別の民族とともに暮らすこと、自分のルーツが失われること。 しかしケン・リュウ自身が幼少期からアメリカに住んでいるので、それらをケン・リュウ自身も手探りしているのかなあ。 【紙の動物園】 アメリカ人の父さんは、妻を選ぶのにカタログから中国人の女性を選んだんだ。子供のぼくが泣くと母さんは包装紙をひっくり返し、折り筋をつけ、まわし、つまんで、「折り紙」の動物を作った。仕上げには風船のようになっている折り紙動物の身体に空気を入れ込むんだ。すると折り紙の動物たちは命を得て動いたり唸ったりする。それは母さんのいた中国の民族に伝わる魔法なんだって。ぼくの部屋には折り紙の虎、水牛、鯨、兎たちが飛び回っていた。 でもぼくは、母さんの下手な英語、ぼくが受け継いだ吊り目の顔が嫌で嫌で仕方なくなっていく。 中国語じゃなくて英語を喋ってよ!こんな紙じゃなくて本物のおもちゃが欲しいんだ! 成長して家を出た。父さんから、母さんが病気だって連絡が来たから帰ったけど、弱っている母さんよりも試験のことが気になっていた。 母さんが死んだあと、紙の動物たちをしまい込んだ箱が出てきた。もうすっかり汚れ、痛み、シミが付いた紙の動物たち。ぼくが虎の折り紙を開いてみると、母さんの中国語が書きつけられていた。 ぼくに分かる中国文字は「息子」くらい。でもその文字でこれがぼくへの手紙だってことはわかった。 中国語が分かる人を探して読んでもらったこの手紙には、母さんの人生が書かれていたんだ。 ==移民の母へ、移民二世である息子の反発。といってしまったらよくあるテーマだ。そこに「息を吹き込むと命を得る折り紙の動物たち」が幻想的だ。 この作家の特色は「言いたいことがあるのでSF幻想手法を使いました」なのかなと思った一作目。 【もののあはれ】 ぼくが乗っている宇宙船は、手書きで下手くそな「傘」の字に似ている。ぼくが知っている日本は、お父さんから教わったことだけ。それももうずっと前のこと。 ぼくが子供のころ、小惑星が地球に向かってきた。でも世界の大人達は、ぶつかるか分からない小惑星よりも、国と国との戦争にお金をかけることにしたらしい。日本は脱出用宇宙船を作っていると言われていたけれどそれも失敗した。だけど日本人は文句も言わずに家に帰って運命を受け入れることにしたんだ。 お父さんとお母さんは、アメリカの宇宙船にぼく一人を乗せることにした。「日本人であることを忘れるな」 ぼくたちが目指す星につくのは、ぼくの孫の孫の孫の…ずっと先の世代。それまでに地球の文化や心を伝えていかなければいけないんだ。 でも今、傘の形の宇宙船の軌道が外れかけている。このままでは永遠に宇宙を彷徨うことになってしまう。みんなを助けるために、ぼくにはできることがある。一人だけ宇宙船に乗せてもらった「日本人」のぼくこそができることが。 ==日本人の素晴らしさと、伝えなければならない想いを語ってくれているんだけど、すみませんが本気で思っているのか若干滑稽さを感じるのはなぜなのか…。 失われるものを伝えようとしても、受け取る気にはその気はないからかなあ。これは私達の日常でもありますけど。 【月へ】 移民局の新米弁護士のサリーは、北京からの移民希望者の文朝と娘ヴィニーを担当することになった。 文朝の語りは民話のよう。地上での暮らしが苦しかったので、木に登って手を伸ばして、月に乗り移ったんだ。月の人たちは豊かな生活をしている。だが自分たち地上人を軽蔑している。 文朝とヴィニーの移民申請を認めさせようとするサリーだが、文朝と仲間の中国人たちとの会話を聞いてしまった。「彼らは望んだストーリーが聞きたいんだ。具体的な年号、虐げられた暮らし、殺された妻の話。」 自分たち受け入れ側は、移民希望者たちのステレオタイプな話しか聞きたがらないのだろうか? ルールに従うことを自分の基盤にしているサリーは、そのうえで何をするのかを考えていくのだろう。 ==「ケンリュウの小説に好きな名前を出してもらう」というクラウドファンディングが行われたらしい。この『月へ』に一度だけ出てくる共産党員の名前が「郭嘉」という三国志の曹操配下の軍師武将なんだけど、郭嘉って中国では当たり前の名前なのでしょうか。それとも誰かが応募して名前を出してもらったのかな?共産党員の名前を出す必要がないのにわざわざ出した雰囲気なんだよね 笑 【結縄(けつじょう)】 文字がなかったころ、契約や盟約を記すために縄に結び目を作っていた。山岳民族のナン族のソエ=ボは縄の結び目を熟知するようになり、自然の様子、一族の習わし、人の心までも結び目で表していた。 それに目に留めたのはアメリカ人のトム(ナン族の発音はト・ム)。ソエ=ボの結び目は、人間を形成するタンパク質やアミノ酸の結合し合った配列によく似ていたのだ。この結び目を利用すれば、人間の病気や寿命に対応する薬が作れるかもしれない。トムはソエ=ボに、山岳地帯でも育てられる稲の種と引き換えに彼を研究所に連れ出す。 ===おお、わくわくして読み進めていった。文字ではない記録手段が、人間の細胞配列と重なるほどに人間の本質を捉えていただなんて。 しかし、終盤はがっかりな展開に。アメリカ資本というものは、欲しいものだけ取って現地の人々や地域のことなど捨て去るばかり。 SF(ファンタジー)でも覆うことのできなかった現実の味気なさ。…「アメリカ資本による一時的バブルと、去ったあとの虚しさ」テーマは色々あるけれど、そのなかでも失礼ながら後半失速感(-_-;) 【太平洋横断海底トンネル小史】 第二次世界大戦のパラレル世界史。 中国は満州を日本に受け渡し、アメリカ、中国、日本は共同で太平洋海底にトンネルを作ることにした。 十年以上に及ぶ大工事。坑夫になった台湾人の語り手は、長い長い地下暮らしに馴染み、工事が終わったあとも、海底列車の休憩地点の街で暮らしている。ここには地上を離れた人々が留まる。栄光の海底トンネル坑夫である語り手にも、そんな栄光に浸ることのできない過酷な思い出が多い。戦争捕虜と思っていた坑夫には無理やり徴収された貧しい者たちもいた。坑夫たちは奴隷のように働かされて見殺しにされた。そして漏れ聞く地上の生活も、貧乏や差別に苦しむ人たちがいるではないか。 ===パラレル世界史の作り方はなかなかうまいなーと思うのですが、パラレルにしても差別や貧困はあるのよね。海底トンネル工事というスケールは大きいけれど、坑夫や捕虜への扱いなどは現実の炭坑でも行われていたことだよね、、 【潮汐】 月が地球に接近したために潮は満ちて人類が住める場所は減る一方。人々は地球から逃げ出す。でも私は父さんとここに残っている。だってその潮で母さんは溺れたんだから。 父さんは家に鍵をかける。家をロケットに改造していたんだって。さあ、地球を救うために月にキスしに行くぞ。 一緒に月にぶつかりに行くつもりだったのに、気がついた時は私は残されていた。父さんは私が父さんを見捨てないって知ってたから、私を無理やり残すしかなかったのよ。 【選抜宇宙種族の本づくり習性】 知性を持つ生命体は本を作りたがるんだ。 人間とは違った身体を持つ宇宙種族それぞれが、その身体の特徴を使うとどんな本になるのか、そしてそれは何を伝えるのか?などと考えたようなお話。 【心智五行】 故障した宇宙船から脱出したタイラは、宇宙地図に乗っていない惑星に不時着した。そこにいるのは古代人たち。だが英語が元になった原語を話している。タイラたちは完全なる清潔を確保して、人間の体からは外部からのバクテリアを排除していた。しかしこの古代人は、人の体に他の生物や植物からバクテリアを取り入れて病気治療や日々の暮らしに使っているのだ。 ===人間の「直感・感情」は取り入れられたバクテリアによって湧き上がるような。それを日々に取り入れたり。(日本人が麹や発酵食品を取り入れてるみたいな感じ?) 【どこかまったく別な場所でトナカイの大群が】 肉体から精神だけ切り離して三次元空間に飛ばして仮想空間生活している未来ってことで良いかな。仮想現実世界なので、子供が生まれるのは一組の男女の肉体的遺伝子によるのではなくて、複数の男女のデータを集めて作るもの。仮想現実なので人間の寿命は永遠。 少女レネイの両親は科学者?だけど、母は古代人で、仮想空間よりも現実の身体や経験を大事にしたいみたい。そんな母が、夫と娘のレネイに、現実のミッションのために現実の身体を捨てる、つまりは数十年後に死ぬことを選んだ。最後に、母と娘は現実で旅行をする。 【円弧(アーク)】 リーナは16歳で未婚で息子を生んだ。その息子を残して家を出た彼女は人間や動物の死体を保存させる会社で経験を積んでいった。リーナは会社の二代目社長ジョンと結婚し、やがて会社は人間の寿命を留める遺伝子の秘密を知った。リーナは若さを留め、だがジョンは留める前に発病していた癌のために命を落とした。 見かけの若さを保つリーナは、自分より年老いた息子に出会い、別の男性と再婚し、また子供を生み、そして不老長寿の処置を辞める決断をした。 全ては戻る。円を描くように。 【波】 寿命を留める技術の開発された遠い未来。だけどその年代でいるには人数制限があるみたいで、子供のままで留める人、働き盛りで止める人、そして処置をせず年を取って死んでいく人がいる。物語では、どこで処置を止めるかとか、処置せず年を取るかとの個人の選択などが語られて。 【1ビットのエラー】 惑星から発せられた宇宙線?のほんの少し、1ビットのエラーによって人間の運命は変わるんだよ、でもその1ビットのエラーによって起きたことを愛おしみたいよね。 【愛のアルゴリズム】 授かった赤ちゃんを喪った夫婦が、生き人形を開発した。 夫婦は、会ったときから互いの気持ちを察することができるような気の合う間柄。子供を喪った哀しみから作った「生き人形」だが、人の心を埋められるのか?もしも「相手の気持が完全に分かる」なら、人間と機械との違いはなんだろう? 【文字占い師】 1961年。アメリカから台湾に引っ越したリリーは新しい学校で虐められている。どうやらリリーの父は台湾と中国の間に騒動が起きないように見張る仕事をしているようだ。 リリーは村外れで暮らす甘(かん)老人とテディ少年と知り合い、彼らは台湾で唯一の友達となる。甘おじいさんは「文字占い師」だという。選んだ漢字からその人の気持ちを言い当てたり、未来を占ったりするのだ。 しかしリリーが甘おじいさんが話してくれたおじいさんの若い頃のことをお父さんに伝えたことにより、あまりにも残酷な結末へと転がってゆく。 ===(T_T)(T_T)(T_T) 漢字やアルファベットなど文字に意味が宿るとは言われてもいますよね。それを「文字占い」として、人の心や歴史など物事すべてを読み取ろうとしながらも、ひっそりと生きている人というのはファンタジー的ではある。だけどね、話の流れはあまりにも苛烈な方向にいくからね。 この短編集が全体的に「SFや幻想要素では覆いきれない過酷な現実」と「失った故郷や民族。それでも繋げたい思い」を感じるんだけどとっても辛かったり哀しかったりするお話ばかりなんだよなあ(T_T)(T_T) 歴史的背景については<翻訳文学試食会>で解説してくださっています。 【良い狩りを】 かつて人間の世界には妖怪が悪さをしていて、ぼくは父のような妖怪退治師になるつもりだった。ある日、父は人間の男を惑わす妖怪を退治した。ぼくはその妖狐が遺した娘を追い詰め、でも逃がしたんだ。彼女の名前は艶(ヤン)。彼女とはたまに、だが長い年月の付き合いとなった。 ぼくが大きくなるころ、世界からは魔法が消え、妖怪も消えた。ぼくは機械工になった。そしてたまに会うだけの艶ももう狐には化けられなくなり、普通の人間の女として、人間の男を騙して生きていくしかない。 ある時命からがら逃れてきた艶を保護した。男たちは彼女を機械の身体に変えた。生き延びるために変わってきた艶だが、人間の女として生きる限界に達していたのだ。 艶はぼくにある願いを言う。ぼくはそれを聞くしかない。妖狐に会った男は逃れられない。ぼくは少年のころ出会った艶から離れられないのだろう。 ぼくの作業が終わると、そこには金属の身体を得た妖狐がいた。魔術が役に立たなくなった時代になり、生きるために変化してた姿。さらに美しく、強かになった姿。 妖怪と人間が共に暮らしていたころは退治する側だったぼくは、今では妖怪の仲間になったのだ。 ===ラストで現代に順応してさらに輝く妖怪の力を取り戻したとはいえ、元は男を惑わす妖怪だったならその力を失って人間になったとしても男にヤラれるだけというのは現実的すぎるんだよな。。 失礼なことを書きますけど… うーーん「これからのアジア作家」のSF・幻想文学って私が求めるパワーが弱いんだよなあ。。「それならSF・幻想文学にする必要ある?」とか、そもそも「ここまでテーマをはっきり仄めかすなら小説にする必要ある?」というか…、…、…私の考えが浅いとは思いますが、作者自身が幻想の力を信じていないように、感じる…、…、…(-_-;)

    28
    投稿日: 2024.10.06
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    第68回ビブリオバトルinいこまテーマ「みのり」で紹介された本です。チャンプ本。 2019.9.29

    0
    投稿日: 2024.09.14
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    ケン・リュウは初見だったが思ったより情緒的で、ハードSFを期待して読み始めた自分にはちょっと合わなかったなと思いつつ読み進めたが、テッド・チャン(大好き)にインスパイアされたという2作品はとてもよかった。とくに「1ビットのエラー」は扱っているテーマも描き方もすごく好みだった。大変SF的な現象が「普通の」事実とつながることで、現実とフィクションがつながる感覚が好き。 あとがきによると作者にとって重要な位置づけの作品らしく、それもまたうれしい。

    0
    投稿日: 2024.07.15
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    海外SFは今まで古典的なディック、ハインライン、クラーク等の長編しか読んだことがなかったのですが、短編で作品ごとに全く違う世界が繰り広げられる本作に圧倒されました。 読む人やタイミングで、1番心に残る作品は変わってくると思います。「結縄」「文字占い師」にショックを受け、「紙の動物園」に涙しました。「良い狩りを」も好きです。 問題に向かって進むSFばかりに慣れていたので、こんな終わり方があるのか!と驚かされるものも多かったです。 個人的にはNetflixで連続ドラマ化して欲しいと思いました。作品によって長さが違っても融通がきくのが配信なので。

    0
    投稿日: 2024.07.10
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    15作もの短編集で、魔法や呪い的な要素が入った作品、生命の定義を問うもの、システマティックなもの、歴史認識に関するものなど幅広い作品が収録されていました 読み応えのある作品が多く、読む時間は長くなりました 【特に好印象だった作品】 ・良い狩りを ・紙の動物園 ・結縄 ・波 【歴史認識を高めた作品】 ・文字占い師   訳者の後書きは、あらすじに触れずに作者の略歴や収録の経緯を解説されていて秀逸、先に読んでも問題はなさそうです

    1
    投稿日: 2024.04.28
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    表題作の『紙の動物園』が、あまりにも素晴らしい作品だったので、読み終えていませんが感想を書いてしまいます。 歴史に翻弄される人間の悲哀、深い愛情行動、辛い人生の救い、それらが合わさって、非常に深い物語に仕上がっています。 一生に一度は読むべき傑作です。他の短編も読んできます。

    2
    投稿日: 2023.12.25
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    中国系アメリカ人作家の短編集。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞受賞の表題作ほか、全15篇を収録。 「紙の動物園」「もののあはれ」「月へ」「結縄」「太平洋横断海底トンネル小史」「潮汐」「選抜宇宙種族の本づくり習性」「心智五行」「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」「円弧」「波」「1ビットのエラー」「愛のアルゴリズム」「文字占い師」「良い狩りを」を収録。 SFに与えられる各賞を総なめにした表題作「紙の動物園」が冒頭に収録されている。最初にもってきたのが正解で、いきなりガツンとやられるインパクトによって、この作家に対する印象が好感あるものに満ちてしまった。折り紙で作られた動物に生命を吹き込むという、ファンタジーを感じる設定ながら、中国系アメリカ人だからこその世界観が巧みに深い母子愛を描き出し、涙なしには読めない結末となっている。文句なしの傑作に喝采だ。 続く「もののあはれ」は、滅びの道にある地球を旅立ち、300年後に到達する深宇宙の星を目指すというガチSFな傑作。ここでも親子愛が基軸となる結末が深い感動を呼ぶ。漢字や日本語がフューチャーされているのが興味深い。 【抜粋――「どんなものでもそれを言い表すのに千もの方法がある」父さんはよく言っていた。「それぞれの場合に合わせたふさわしい表現があるんだ」日本語が陰影と雅趣に満ちた言語であり、一文一文が詩であることを父さんに教わった。日本語は、重層的な言語であり、語られぬことばが語られることばとおなじように深い意味を持ち、文脈のなかに文脈が潜み、まるで日本刀の鋼のように層が重なりある言語である、と。】 他に政治情勢やSFギミックにおける設定も緻密で、この作家はいったい何ヵ国語に精通しているんだ……どれだけ多才なんだ……と空恐ろしくなる一作。物語の感動だけでなく、扱われているテーマも深いものがあり考えさせられる。 最初の2タイトルだけでお腹いっぱいになりお釣りがくるぐらいな上、残りの作品も読み応えあるものばかり。多彩なケン・リュウの世界にどっぷりハマる入門書としてふさわしい一冊になっている。ガッツリSFだったりファンタジーぽい雰囲気だったり歴史改変ものがあったり、様々なタイプの話があるが、「文字占い師」だけは閲覧注意レベルの重たい作品なので、読むときは気をつけてほしい。こういった歴史認識に関わる問題をぶっ込んでいるのもこの作家の特質のひとつなのだろう。あなたのお気に入りはどれですか?読者どうしで語り合いたくなる傑作短編集。

    7
    投稿日: 2023.12.17
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    抒情的ファンタジーにトンチキSF、風刺強めの歴史ifもの…飽きることなく満腹になる1冊。テッド・チャンやディック未読のSF初心者には、ぜんぶ新鮮だった。 科学と信仰、思考とAIのアルゴリズム、といったテーマを、人間ドラマの中で読者になんとなくわかった気にさせながら描く「1ビットのエラー」「愛のアルゴリズム」が好き、この時代の旬のSFという気がした。

    0
    投稿日: 2023.05.23
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    作品が凄いし、これを違和感無く翻訳した翻訳者も凄い。難しい話が語られているのに、何となく理解できる世界観を作り出せるのが本当に素晴らしい。何とも言えない切なさや刹那さ、、、言葉にできないものが物語として描写されている。本当に頭の良い人が書くとこういう物語になるのかもしれない。難しい話を解るように語り聞かせてくれる。ものすごく良かった。

    1
    投稿日: 2023.04.03
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    空虚で絶望感のある未来世界で描くヒューマニズム作品。人間味や暖かみがより際立ちます。 めちゃくちゃ感動するんだけど、すごく切なさが残る。ちょっと苦手。

    0
    投稿日: 2023.01.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    結縄と円弧が特に好き。理解力が追いつかないのもあったけど大体は楽しく読めた。 ト・ムを許すな!!!!!!(結縄)

    0
    投稿日: 2022.09.15
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    『心智五行』が一番好き。 人間は科学で説明できるものじゃないと思っているので、ロマンを感じた。 説明できないけど感じるものをうまく表現できていて胸が熱くなった。 『1ビットのエラー』の中の「成熟を価値あることと見なすというよくあるミス(p272)」という所ははっとさせられた。 SFを使って「人間とは」ということを表現するのが得意な作家さんなんだなぁと思った。

    1
    投稿日: 2022.05.21
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    紙の動物園:折紙で動物を作る優しい母。成長した主人公は中国人母を避けるように。母の死後虎の折紙に母の思いが託される。泣ける話。 円弧:不老不死。 良い狩りを:妖怪退治師と妖狐。機械仕掛の展開。

    7
    投稿日: 2022.04.29
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    SFというよりもファンタジーに近い雰囲気の短編集。 自伝的な要素が感じられる作品がいくつもあり、アジア系ならではの表現が随所に感じられた。 どの作品も一級品の出来で、この一冊でケン・リュウの世界観を存分に堪能できる。 「紙の動物園」「もののあはれ」「月へ」「円弧」「文字占い師」「良い狩りを」 が特によかった。

    0
    投稿日: 2022.01.20
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    移民の母親と、母親が周りと馴染めないことに憤りを感じる息子との間で、距離が広がっていく表題作でぼろぼろ泣いた。しかもその下地に文化大革命での複数の死があるのだから。

    0
    投稿日: 2021.12.24
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    家族の話が多い(個人の話が少ない)のが叙情的に感じるのだろうか。 ・紙の動物園 中国母の折り紙の魔法 ・もののあはれ 宇宙船を直すヒーロー ・月へ 土地と亡命申請者 中国語訳なし ・結縄 タンパク質構造解析とターミネーター種子 ・太平洋横断海底トンネル小史 ・潮汐 満潮と塔 ・選抜宇宙種族の本づくり習性 口吻手記 石の脳 ・心智五行 腸内細菌群と脳内化学 ・どこか全く別な場所でトナカイの大群が ・円弧 ボディワークス社 不死 ・波 おかえりなさい 数世紀前に追い越された ・1ビットのエラー ・愛のアルゴリズム ・文字占い師 秋 羊 制海権 freeze 中国語訳なし ・良い狩りを 機械になった妖狐

    0
    投稿日: 2021.11.20
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    ファンタジーなものからハードSFまで楽しめます。日本が舞台になっていたり、漢字が主題だったりで海外作品ですが身近に感じるのが多かったです。表題作はたくさんの賞を取ったそうですが、スチームパンクっぽい「良い狩りを」がお気に入りです。?

    0
    投稿日: 2021.11.18
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    最初の表題作でボロボロ泣いてしまった。一方、途中にはSF慣れしていない自分にとって難解な話もいくつかあり、再読の必要性を強く感じています。SF的なモチーフをふんだんに使いつつも人の心と心の触れ合いに重きを置いた優しい眼差しの作風に、なんとなくカーヴァーを連想しました。「紙の動物園」「もののあはれ」「月へ」「良い狩りを」が好み。

    0
    投稿日: 2021.07.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読書備忘録583号。 ★★★★。 じわ~と来るSF短編集。カチコチのSFではなく、どの作品もファンタジー的で、東洋的で細やかな情感で、叙事詩的な雰囲気を感じさせる。 アメリカSF界の旗手で、本のタイトルになっている紙の動物園でヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞の3冠達成。史上初。 紙の動物園:生きていくためにカタログに載り、アメリカ人に買われて結婚した台湾人の母。ハーフとして生まれた主人公。幼い頃、おもちゃが欲しいとねだった。母はチラシの紙で動物を折り、ふぅ~っと息を吹き込み命を与えた。動き出す紙の動物たち。成長した主人公はいつまでも英語を話せない母にイラつく。そして母は亡くなり、動物たちは・・・。切ないですね。母の想い。 もののあはれ:小惑星が地球に衝突する。人類は宇宙船を作り、選抜された人々を乗せて旅立つ。日本での宇宙船建造は失敗。主人公は両親の口添えでアメリカの宇宙船に乗れることになった。しかし航行中、太陽帆(数kmに渡る)に穴が空き、修理しないと宇宙船は全滅する。修理できるのは複雑な骨組みを理解して破損個所まで最短時間でたどり着ける主人公だけ。移動中寝ることすら許されないギリギリの空気で修理に旅立つ主人公。 これらの代表作以外にも、太平洋横断海底トンネル小史、潮汐、心智五行、円弧、波などどれもこれも珠玉の短編。生命の捉え方が独特で、命の定義ってなんでもありだなと、新鮮に楽しめました。

    1
    投稿日: 2021.05.08
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    最初は図書館で借りたのだけど、冒頭2作を読んで自分で買った。若い頃にディックを読んだ時のような衝撃。 最近の科学技術を基にしたSFを舞台に、アジア的思想を反映した寂寥感のある物語。 私の中の「特別本棚」に久々に入った一冊。無人島に1冊だけ持っていくとしたらこれを持っていく。

    6
    投稿日: 2021.02.25
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    とても面白かった。東洋の世界観が見事に反映されたSFで、このレベルの作品はなかなか出るものではないと思う。織り込まれている歴史背景や人種観のメッセージ性が深く、SFの枠を飛び越えて面白いと思う。 テッド・チャンの『あなたの人生の物語』のなかでも「地獄とは神の不在なり」が好きだったので、「1ビットのエラー」を読んでピンときた。一番お気に入りの短編は「良い狩りを」で、訳者さんがトリに持ってきただけあるなと思った。訳者あとがきを読めば、この短編集への愛が感じられる。

    2
    投稿日: 2020.11.02
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     たとえばPバック『大地』は外から見た小説だったが、内なるものとして“中国人の目線”で記述ししかもSFである作品群。  それは、自らの血肉の源であり恩義を被る肉親を裁断するようなものである。宗教であれば棄教し、昨日までの神を悪魔とすることもできようが、血は争えない。  解説で示された作者の言は太字で写した。   中国本土で翻訳されないヤバい作品も英語では流通を阻むのは難しいだろう。体制を揺るがすほどの衝撃度ではない、「たかがSF=絵空事」だが。 紙の動物園 The Paper Menagerie〈F&SF〉2011/3,4 折り紙に命を吹き込む中国系の母には、やはり出自の秘密があった。 人形などに命を吹き込む、宿るファンタジーは数多い。  けれどもむしろ、投稿者は以前NHKドキュメンタリーでやっていた、中国の少数民族の女にだけ伝わるという〈女文字〉を想起する。女だけがむすめにだけ教えて受け継がれてきたという…(中国人作曲者が郷里のそれを「交響曲のテーマにするために教えてほしい」と懇願したことから世界的に明るみに出た)。少数民族が自らのアイデンティティーを守るための小さくて大きなシステム。それは折り紙の賦活にも共通する。単なる生活の便利ではなくて、民族nationを守るためのものであったに違いない。 他国の作家が書けばファンタジーだろう。しかし中国人の血を成分とするケン・リュウが著せば“プロレタリアート文化大革命によって、少数民族の宝が毀され流出霧散した”というヤバい真実を暗示する政治寓話political fantasyになってしまう。政治寓話は権力闘争という政治学の思考実験だからSFと限りなく近似しているのだ。 「テネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』The Glass menagerie(戯曲)へのアリュージョンallusion(ほのめかし)です。短篇の中でもっぱら弱弱しく、脆い存在であると見られていた母親が、折り紙の動物と同様、大きな内なる力を持っていることが明らかになるのですから」 戯曲の登場人物ローラは、ガラス製の人形コレクションを持っていて、その脆い人形たちは心象を象徴するらしい。 もののあはれ Mono no Aware (2013年ヒューゴー賞短編部門受賞)オリジナルアンソロジーThe Future is Japanese 2012 2011東日本大震災の折、日本の被災者の落ち着きが世界的に称賛された(らしい)。それにメガ倍する地球に小惑星が衝突して壊滅するというカタストロフィ、世界各国政府は各々に地球脱出をプロジェクトするが、日本では「みんなの席はありますから、あわてないで整然と集合して乗りこみの時を待って」と国民に呼びかけた。 ハヤカワSFシリーズ『300対1』では、火星に避難できる割合が1/300で「それでも(すべての資源をつぎ込み)驚異的な数字だと聞かされた」、まあそうだろう。  他国では、僅少な脱出宇宙船の建造で汚職があり、暴動があって、席の総数も分からず分配をめぐって冷静な議論などできる状況にはない。  いや、日本でも 「建造した連中は政府に嘘をつき、まだ用意が整っていないのに整っていると言ったんだ。首相は面目なくて真実を認められずにいる」 … 首相の声がか細く、体つきがとてもひ弱で年老いて見えたのは覚えている。心底申し訳なく思っているようだった。 「国民のみなさんを失望させてしまいました」噂は本当だった… … (語り手・大翔は、あるコネでただ一人アメリカの光子帆船に席を得た) 「みんなただ家に帰ったの?」 「そうだよ」 「略奪はなかったの?パニックにかられて逃げ惑う人たちや、町中で反乱を起こした兵士たちはいなかったの?」 「それが日本なんだ」自分の声に誇りがにじんでいるのがわかる。父さんの誇らしげな声を真似ていた。 … 西欧式ストーリーテリング《物語の主人公は問題解決のために積極的に行動しなければならない》に従わない語り… 月へ To The Moon 〈ファイヤーサイド〉2014/4  亡命したいものは「迫害された」とストーリーを作りたがる(経済的理由での亡命は多くの国で認められていない)、ことに「キリスト教徒であることが迫害された」は同情を呼びやすい。しかし信仰は内心にあるもの、それの表現が無制限に自由とは言い難い。  してみると自由は迫害されるから美しい(価値がある)、恋愛が抵抗にあって燃え上がるように。 結縄 Tying Knots 〈クラークスワールド〉2011/1 「では、わしらの結縄本から言葉を学んだとしたら…あんたらも毎年わしらにカネを払わねばならないのではないか?」… 「 お得な話には、紐がついていた。…わしらは藩王に年貢を払わねばならないのだ。わしは天村を阿片王と結びついている農民らとおなじくらい低い立場に貶めてしまった」文明は阿片だ 著者付記:人間のパターン認識能力と空間認知能力を利用してタンパク質フォールディングのための効率的なアルゴリズム探索の支援をするというアイデアは、セス・クーパー他『マルチプレイヤー・オンラインゲームでタンパク質構造を予測する』ネイチャー誌466号…で述べられている。/ナン族の結縄システムのいくつかの特徴は、ハングル文字およびインカの縄文字と中国の結び紐細工民芸をモデルにしている 太平洋横断トンネル小史 A Brief History of the Trans-Pacific Tunnel 〈F&SF〉2013/2 『太平洋横断トンネル小史』世界恐慌脱出に、1935年、戦争ではなく太平洋横断トンネルという大事業を採った並行世界。 インスパイアされた? 大西洋横断トンネル、万歳! (1979年) (サンリオSF文庫) 大西洋横断トンネル、万歳! (1979年) (サンリオSF文庫) 著者: ハリイ・ハリスン 出版社:サンリオ 発行年:1979 Amazon ハリスンは、別の軸で20世紀前半をひっくり返している。工事に1人の事故死も許容せず、安全対策にコストを惜しまず、人身事故の可能性を未然に防止する献策した技師を「素晴らしい貢献だ」と称賛する超平和なグローバリズム。戦争など起こりようがないわな。  19世紀末の北米大陸の鉄道建設には大量の中国人労働者が使用され「枕木一本に一つの死体」とか言われた。  投稿者は前にダム建設の絵本をレビューしたが、日本の土木工事でも初期にはかなりの“犠牲者”(嫌な言葉だ)があった。  21世紀、中国は最後の資源大陸アフリカに「援助攻勢」をかけている、という。土木工事の労働力は中国本土から派遣し、囚人である疑いがある。ありそうだが投稿者は“断言はしない。  ただ、死刑も人命軽視の事故も多い中国人の命が安いのはいつまでだろうか。  アメリカ人(兵)の命は高価である。イラク戦争の最初の1週間で米兵と報道者53人が死亡したことは「多すぎる犠牲」だったらしい。  1993年、ソマリアの国連活動の中で起きた“モガディッシュの戦闘”で18名(+国連兵1名)死亡、73人負傷、(ソマリア民兵+市民は350~1000名死亡)、悲惨な遺体凌辱の映像が報道されたことで翌年アメリカ軍は撤退を決めた。  キルレートが10倍以上でも許されない。  おそらく米中が白兵戦で激突することは、今世紀前半にはないだろう、と思うが。人命の高価な国に勝ち目はあるだろうか。 潮汐 The Tides 配信誌〈デイリーサイエンスフィクション〉2012/11/01 「軽快な小編」とある。 娘への父の愛に打たれる。 選抜宇宙種族の本づくり習性 The Bookmaking Habits of Select Species 〈ライトスピード〉2012/8 ブライアン・オールディスによくあるスタイル 「個人のいないこういうスタイルで書いた初めての例」 心智五行 The Five Elements of Heart Mind〈ライトスピード〉2012/1 どこかまったく別の場所でトナカイの大群が Altogether Elsewhere,Vast Herds of Reindeer 〈F&SF〉2011/5,6 順列都市 上 順列都市 上 著者: 山岸 真/グレッグ イーガン/Egan Greg 出版社:早川書房 発行年:1999 Reader Store ブックパス Amazon に設定が似ている。 自然環境が過酷になり、数学的空間の中で生きる人類たち。 語り手のママは古代人(「自然出産された」の意。ただし今やその意識をロボットに移行している)、その特性を最大限に活かす「宇宙飛行士になる」決意をした。生命が存在する可能性が高い惑星へ、行ったきりの旅をするのだ、(意識上で)45年後には出発し、永遠の別れ、しずれは異星で朽ち果てる…。だが原始古代人のオーバークロックされない意識の数十年に比べれば無限に等しい。娘と実体験で過ごす飛行艇(莫大なエネルギーを費消する)が貸し出された… 「遠くにあるあの丘が見える?トナカイがいるでしょ?あそこはモスクワと呼ばれた大都市だったの。モスクワ川の氾濫に覆われ、泥に沈むまえは。シンギュラリティ自然人類が全滅した大災害のはるか前に亡くなったオーデンという古代人が作った詩『ローマの没落』トナカイの群れ、黄金の野原、人けのない都市群、雨、降り止まぬ雨、この世の抜け殻への優しい抱擁」 彼女らはまた大西洋で鯨の頭上を通過し、マンハッタンの残骸も見た 「人類が作ったものはなにひとつとして永遠には残らない…データセンターでさえ、宇宙の熱死のまえにいつか崩壊してしまう。だけど本物の美は残る。たとえすべてのリアルなものが必ず滅びるとしても」 … ママの意識が星々のあいだに浮かんでいるのを想像する。宇宙塵のなかでかすかに光る電磁リボンとして。はるか遠くのあの惑星で、ロボットの容器がママを待っている。異星の空のもと、時の流れのなかで錆び、腐食し、ばらばらになってしまう容器が。 円弧 Arc 〈F&SF〉2012/9 セックスと子供を作ることが不死に替わる我々の最上の手段だった (SF的イノベーションで生きているうちに見たいものは)「我々が死を克服するところを見たい。生はあまりに貴重な贈り物Giftで、それが終わらねばならないのはただただ残念でしかない」 貧富による医療格差は許せないと日本では建前が語られる。 〈不死〉が実現するとしても、最初は超高価で独裁者しか享受できない、という最悪なシチュエーションになるだろう。 (記者会見)「われわれの処置は、個人のゲノムに合わせた手順をとる必要があります。それには高い費用がかかり、数十年は高いままでしょう。さらに研究に投資し、コストを下げるのに充分見合うほどの代金をいただかねばなりません。その費用を負担するための保険を求めるのであれば、議会に陳情してはいかがでしょう」 … 二十年で、千人以上の人間が長命化処置を受けた。しかし、同僚で配偶者のジョンは阻害の遺伝子で逆に老化してしまった。 … ところで 放浪惑星 放浪惑星 著者: フリッツ・ライバー他 出版社:東京創元社 発行年:1973 Amazon では、地球に訪れたエイリアンは「地球で今見えている夜空は遥か昔の光に過ぎない。先進文明星系はとっくにダイソン球を建設して無駄な放射をしない。不死も達成して、文明に遅れた地球は“死の島”。でも不死は退屈でたまらない」と語る。 語り手は開発グループの中心メンバーであり、30歳で老化を止めた。 はるかに年長に見え、「自分を捨てた」と思い込んでいた息子に出会った… 抗老化措置はポピュラーになっていたが、彼はそれを拒んだ。 彼女も。 波 The Waves 〈アシモフ〉2012/12 ディアスポラ ディアスポラ 著者: 山岸 真/グレッグ・イーガン 出版社:早川書房 発行年:2005 Reader Store ブックパス Amazon と設定が似ている 1ビットのエラー Single-Bit Error オリジナルアンソロジー〈Thoughtcrime Experiments〉2009 A.C.クラークの代表作の一つに『星』(短篇)がある。(ネタばれ)キリスト誕生の夜空の啓示は超新星の爆発によるものだったというのだが、奇跡にはそれほど大きな動作は必要ない。電子回路への1個の準光速プロトンの直撃で自動運転装置が誤動作し、聖女リディアは死んだ。同乗していた男タイラーは  (リディアが先に見て聖女となった)天使アンブリエルを見た。1ビットのエラーの連鎖反応と言うべきか? 著者付記:三つの着想の源がある。テッド・チャン『地獄とは神の不在なり』…同様のテーマを扱っていることから、出版前にチャンの許諾を求め、了承を得た。 書き直し、書き直し、感性を阻む一種のブロックができたが 2009年に、何度も没になった作品を集めるというアンソロジーに収録されたことで、吹っ切れ、そこから本格的に書きはじめる。またこの頃、中国のSF作家たちと連絡を取るようになり、彼らの作品を読みはじめ、非英語圏文化のジャンル小説に魅了され、多大なインスピレーションを受けたのも、作家としてブレークするきっかけとなった。 愛のアルゴリズム The Algorithms for Love 〈ストレンジ・ホライズンズ〉2004/7/12配信 文字占い師 The Literomancer 〈F&SF〉2010/9,10 『文字占い師』漢字を部分ごとに分解してどんな意味があるのか考察する。 イジメ問題と絡めて『ドリアングレイの肖像』みたいなトリックも。 アメリカは「美国」と書くが、ほんとうにその国是は美しいだろうか。 主人公は父がスパイで反共活動のために非人道的行為もしていたことを知っている。あるいは、盗み見た書類の意味を成人してから気づいた。 この作品もまだ中国語訳はない 良い狩りを Good Hunting〈ストレンジ・ホライズンズ〉2012/10/9&同/10/20 化かす狐の側から見た妖し。 語り手の父は「妖怪退治」の専門家である。が、このごろ文明開化で仕事が減っている… 久しぶりに来た仕事だが、妖狐を取り逃がした。 しかし息子は僧堂の隅に白い狐を追いつめて飛びかかって押さえつけた。 と、狐は全裸の少女に変身した。追いかけていた妖狐の娘だった。 女の子はゆっくり立ち上がると、背後に積み上げられた藁から絹のローブを手に取って身にまとい、ぼくを高慢な目つきでにらんだ。  (妖狐の娘が語る)「一か月ほど前のある夜、商人の息子は、養鶏家の仕掛けた罠につかまった母さんにたまたま出会ったの。母さんは罠を逃れるために人間の姿に変身しなければならず、その姿を見たとたん、あいつは一目惚れしてしまった。/母さんは自由気ままにしているのが好きで、あいつに悪さする気なんてなかった。だけど、人間の男がいったん妖狐に惚れてしまったら、たとえどんなに離れていても、妖狐には相手の声が聞こえてしまう。泣いたりわめいたりするのを、さんざ聞かされて、母さんは頭がおかしくなりそう…あいつをおとなしくさせるためだけに毎晩会いにいかなくちゃならない」 … 「あの男が弱っているのは、母さんを忘れさせるつもりで、藪医者が毒を盛っているからよ。母さんこそ、夜ごと訪れてあいつを死なないようにさせているの。それから誘惑なんて言葉を使わないでくれる?人間の女に恋に落ちるのとまったく同じように、人は妖狐に恋に落ちるんだから」 「意外な方向転換と結末…きつねうどんかと思ったら、蒸しパンだったみたいな」。蒸しパン喰ぅSF?フェティシズムで金属身体を愛するというのは理解できなくはない。

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    投稿日: 2020.07.26
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    散々話題になって、2010年代SFのベスト10にも選ばれて、ようやく読んだケン・リュウの『紙の動物園』 確かに面白いのだけど、それ以上にSFというジャンルに吹いた新しい風というか、雰囲気を感じる短編集だったように思います。 表題作の「紙の動物園」は特に傑作だと評判は高かった気がしますが、本当に評判に違わない傑作! アメリカ人の父と中国人の母を持つ息子が主人公。折り紙の動物に命を吹き込むことが出来る母。しかし息子は成長するに従い、中国人の母に反発を覚えるようになり…… 国籍や言語の違い、文化の違い、それは親子ですらも遠い距離にしてしまいます。そして母からの手紙で明かされる、語られることのなかった母の人生と息子への想い。 過酷で孤独だった彼女の人生。そして見つけた居場所。一方でどれだけ愛が深くても埋めることのできない、我が子との距離。 どこかメルヘンチックな紙の動物たち。それはおもちゃで自分だけの世界を作っていた子どものころを思い出させるような気がします。 そして母への反発と紙の動物からの卒業。作中では人種や言語、文化の違いからこの反発の端を発していますが、この反発心やおもちゃからの卒業も、子どもだった人の多くが思い当たりそう。 そして、離れて失われてから分かる母の存在と愛情の大きさ。それでも決して時間は戻ることは無く……。 SFであったり、幻想であったり、海外が舞台であったり、異文化がキーワードになったり、歴史的な事件も織り込まれたりするのですが、それ以上に「紙の動物園」という作品は、どこにでもある普通の母子の物語でもあった気がします。 郷愁や思い出、母に対する決まり悪さ、そして母の愛と想い。あらゆる人が共感できそうな感情と過去をゆっくりとなでおこすような、そんな感覚を読み終えた時に思いました。 この切なさであったり、あるいは郷愁であったりは、ジャンルに縛られずあらゆる人に届くのではないか、とも思います。 もう一つ強く印象的だったのは「文字占い師」 台湾に引っ越してきたリリー。しかし父の仕事のため、台湾の米軍学校の同級生から距離を置かれてしまう。そんなリリーがある日出会った一人の少年と、彼を育てるおじいさん。 そのおじいさんは、自分は文字占い師だと話し、リリーが何気なく選んだ単語から、リリーの現在を言い当てて見せると言う。 リリーが選んだのは『秋』という単語。それに対し文字占い師の甘(カン)は、秋の漢字の成り立ちを説明した後、その下に心を書き加え『愁』という字に書き換えます。 そして「愁」には愁いや悲しみの意味があることを語り、リリーの孤独を言い当てます。そうしてリリーは、どんどん二人との距離を詰めていきますが……。 この文字占い師の甘の語りは、本当に魔術のよう。漢字の意味や成り立ちを説明していく中で、徐々に話は甘の人生、そして中国や台湾の歴史や国家の話へ形を変えていきます。 そしてそれは、国家や歴史、政治や思惑に振り回されてきた個人の悲劇と、それでも前を向こうとする人々の強さまでも表現しようとするのです。 しかし、やがて訪れる登場人物たちへの過酷な運命は、国家の矛盾と、国家に繋がれた個人の哀しさを浮き彫りにします。最後に残る切なさや寂しさが、印象に強く残りました。 「結縄」のアイディアは、この短編集でも随一の面白さだったなあ。縄で文字を伝える少数民族。その少数民族の元を訪れる研究者ト・ムの目的が明らかになったときは、アイディアの面白さに脱帽しました。 そしてアイディアの面白さで話を終わらせず、そこから科学や時代の波に飲み込まれる、少数民族の哀切を浮かび上がらせるのもすごい。 アイディアでいうと「選抜宇宙種族の本づくり習性」はまさにセンス・オブ・ワンダーという言葉が当てはまります。 様々な異星人、さらにはロボットのような種族までが、地球人からすると本とは思えない、それでも「本」としか言いようのないものを作っていく様子をただ解説する話。 想像力がかなり必要とされますが、これだけのことを文章に起こせるのがまずすごい。そして、ラスト一行は本好きにはある意味力強く響くかも。 他に印象的だった短編を簡単に。 「もののあはれ」の主人公は宇宙船の乗組員の日本人。 東日本大震災の時に、物資の配給にちゃんと列を作って受け取る日本人の姿が世界から賞賛されましたが、ケン・リュウもそんなふうに日本を良く思ってくれているのか、とも感じる短編。 ひねくれてる自分は、列を作るのは外国の人が思ってるような、崇高なものが理由でもない、と思ってしまうのですが、それでも作品の穏やかな語り口と、深遠なテーマは、日本という国や文化を誇らしく思わせてくれます。 「太平洋横断海底トンネル小史」 上海からシアトルまでをつなぐ巨大な海底トンネルの建設に、現場で携わった男の話。 国家の巨大事業として派手に進められた建設の裏で、地上で暮らす家族とは疎遠になり、地上に戻れなくなった男。やがて時代が進むに従い、産業の高度化や仕事の危険さ、人件費の高騰で工事の担い手が少なくなり国が取った選択と、男が取った行動は…… 繁栄する世界の裏で、忘れられ語られることもなくなってしまった悲劇と罪。そして取り残された者の哀切が印象的。 「どこかまったく別の場所でトナカイの大群が」 安全な空間で暮らすレネイと、宇宙飛行士として飛び立とうとするその母。そしてレネイが初めて外の世界へ飛び出したときのワクワク感。 一方で外の世界を知ってしまった娘に対しての父の思いであったりと、冒険心と親の切なさが感じられる作品。 不老不死がテーマの「円狐」 生と死、様々な人や家族との出会いと別れから導き出される、人生の真理。静かに穏やかにたおやかに閉じられる物語の終わりが、また情緒深い。 妖狐の娘と妖怪退治師の男を描く「良い狩りを」も独特のSF。 文明や科学の発達により居場所を失っていく妖弧と妖怪退治師。本来相対するはずの二人が、そんな時代の波に飲まれつつも、その時代の中を必死に生き抜き、そして流れゆく時代に対し、最後に示す気高い姿と、未来への希望が心に残ります。 最後に収録されていた「良い狩りを」の影響もあるのか、『紙の動物園』に収録されている短編の持つ雰囲気は、ジブリ映画の『平成狸合戦ぽんぽこ』と似たものがあるように思います。 都市開発により、住処である里山を奪われそうになった『ぽんぽこ』の中の狸たち。彼らは妖術を使って開発を中止させようとしますが、それも徐々に限界を見せ始め…… 失われたもの、戻らないものへの郷愁。科学や文明の発達に取り残されたり、あるいは翻弄される人々。国家や時代のうねり、科学技術の波に飲まれ、表舞台からひっそりと消えたマイノリティや弱者たち。 『紙の動物園』で描かれた登場人物たちの姿が、人間や文明の発達の前に、故郷を失い姿を消した『ぽんぽこ』の狸たちと、どこか似ているような気がします。 そしてもう一点、『紙の動物園』と『ぽんぽこ』に共通しているように感じたのは、そうした弱者であったり、表に出なかった声を掬い上げようとするどこか優しい視点。 人間たちへの反抗への一方で、狸たちの生活や個性、そして自然を生き生きと描いた『ぽんぽこ』 穏やかな語り口と静かな抒情で、登場人物たちを見つめる『紙の動物園』の短編たち。 時代や歴史の流れ、あるいは技術の発展に伴い失われゆくものや、表にでなかったもの、変わってしまうもの……。そして、そんな中でも最後まで変わらないもの。 そうしたものたちへの愛惜であったり、優しい視点が根底にあるように感じました。 そしてこの視点こそが『紙の動物園』が、ベストSFに名を連ねた理由だと自分は思います。 今まで読んできたSFも、こうした話はあったような気はします。でもその視点はどちらかというとシリアスというか、ブラックというか。 進みすぎた技術や、強大な国家への警鐘、あるいは皮肉が印象に残るものが多かったです。 一方でこの『紙の動物園』はそれ以上に、そうしたテーマに押し流される人たちの声を、静かに、そしてたおやかに掬い上げようとしていることが印象的でした。 そうした視点が、この感想の最初に書いた「SFの新しい風や雰囲気を感じた」理由だとも思います。 こういう視点って人柄もそうですが、著者のケン・リュウの出自もやはり関係しているのかもしれません。 歴史的な事件や政治的な事柄に対し、自国民に自由に語ることを許さない中国。その裏にはたくさんの声なき声が渦巻き、そして聞かれることのないまま、時代の中に消えていった声もたくさんあると思います。 幼少期をその中国で過ごし、その後アメリカに移住したケン・リュウ。海外から見た故国の矛盾と、その一方で子ども時代や、中国文化への郷愁。 そうしたものが合わさってこうした独特ながらも味わい深く、そして世界の壁を越えて愛される短編たちが生まれたのではないか、とも想像してしまいます。 以前『折りたたみ北京』という中国SFのアンソロジーの感想でも書いたのですが、中国SFの作中で描かれるキーワードやガジェットは確かに目新しくて面白いです。 でも作品の根底にあるものであったり、人間に対する視点というものは、やはり普遍的なもののような気がします。 一方で、中国という出自やキーワード、ガジェットがあるからこそ、その普遍的なものがより鋭く、あるいは味わい深く描かれているところもあって、だからこそ中国SFが熱い! という熱が生まれたのだとも思います。 でも〈中国〉や〈SF〉はあくまでキーワードであり、設定でしかありません。それを存分に生かした物語と、その根底にある優しい視点。それこそがこの『紙の動物園』の最大の魅力だと思うのです。

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    投稿日: 2020.07.14
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     大満足の一冊。  プリミティブな理論と科学的な話を、上手いこと組み合わせた話が多く、わくわくする。また、アジア(とりわけ中国)の歴史を下敷きにした作品もかなりの数を占めていて、短編ながら厚みのある物語が収録されているのが良かった。  表題作の「紙の動物園」が一番心に来た。なんの気無しに居間で読んでいたのだが、唐突に泣きそうになって、慌てて自室に駆け込んだ。辛い話は少なくなく、誇張でなく、歯をきしらせながら読んだ話もある。  爽やかな読了感とは言い難いが、非常にバリエーション豊かで、完成度の高い短編集。また、「1ビットのエラー」などケン・リュウ自身のプロフィールを活かした話も収録されている。SF短編と言えば、やはり日本では星新一だろうが、そう思っている人にこそ読んで欲しい。今、SF短編はここまで来ている。

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    投稿日: 2020.05.09
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    中国で生まれ、幼年期を同国で過ごした著者。そのため表題作をはじめ、多くの作品には東洋文化の影響が色濃く反映されており、同じ文化圏の私たちには特に心にグッとくるものがある。お気に入りは「もののあはれ」「太平洋横断海底トンネル小史」「円弧」あたり。すでに多数の短篇を、しかも驚異的な速さで書き上げているみたいなので、どんどん邦訳され刊行されると嬉しい。あ、長篇も出ている様なので、そちらもお願いします。今後大注目の作家。

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    投稿日: 2019.10.18
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    「折りたたみ北京」の編者兼英訳者が書いた短編集。 原題?に「fantasy and science fiction」とあるように、SFというよりファンタジー感が強い。 「折りたたみ北京」でも感じた抒情性はさらに強く、作者の作風なのか、中国”SF"の一般的傾向かはわからないが、何となく前者のような気がする。

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    投稿日: 2019.09.20
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    めちゃくちゃ面白い……なんでもっと早く読まなかったんだ〜〜!!!!どの作品が好きか選ぶの悩むな〜〜……表題作も大好きだし、「月へ」「結縄」「文字占い師」もショックを受けたけどそれがまたすごいなと思ったし、「円弧」とか「愛のアルゴリズム」みたいな、技術の発展ゆえの悲しさみたいなものを描く設定大好きだし、「1ビットのエラー」とか「良い狩りを」とか美しすぎるし……「選抜宇宙種族の本づくり習性」とか「心智五行」とかは最初ついていけないかな?って思ったらどんどん引き込まれてしまったし……どれも選び難いけどこの本でのマイベストはやっぱり表題作の「紙の動物園」かなと思います。あんまりSF読んでないからというのもあるけど、こんなSFあるんだ!と感動してしまった。 生まれた国からの移動や、文化への興味や、職業の経験や頭の良さや、すべてが豊かに活かされているというか………プログラマーと弁護士の経験を活かすSF作家って要素盛りすぎだと思うのに活きてるんだよな〜〜……… SFって無機質なイメージがあって、クールな選ばれし人たちが「これがいいんだよ!」と熱狂しているように思っていました笑、が、なんていうか、良い意味で普通の物語のひとつなんだなと思って。人間臭い物語もあるんだなあと。 あとは、世界すべてがSF的世界にすっかり染まり、新旧の技術を持った異なる存在の断絶ではなく、同じ世界に進んだ技術があり、それを選ぶ人も選べない人も、なんなら選びたくても選べない人もいて、さらには同じ登場人物でも時によって考えや選ぶことが変わったりする描写がとても上手くて、そういう時代は実はもう来てるんだろうなと、そのある意味でのリアルさにも舌を巻いてしまいました。 他の作品も読みたい!し、ケン・リュウさんは英語圏の作家さんと言えるんだろうけど、その生い立ちや他を絡めたあとがきのおかげもあって、非英語圏の海外作品も読みたいな!あとは単純にSFもっと読みたいな!と思える作品でした。めちゃくちゃ良かった!!!!

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    投稿日: 2019.08.03
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    表題作が凄かったです。感情を根こそぎ持っていかれた感じがしました。SFでくくって読者を選んでしまうのが勿体ないと思うほどとても良かったです。他の短編では、もともと私自身がSFをあまり読まないので好みや感動する観点が他の方と違うのか、訳者があとがきで「バカSF」と称した「潮汐」が絵的で結構好きでした。元プログラマーらしい「1ビットのエラー」「愛のアルゴリズム」も好みです。ただ、心の奥底に訴えかけてくるものが大きいので一つ一つが重くて、続けて読むのがきつくて一冊読むのに何日もかかってしまいました。

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    投稿日: 2019.06.14
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    予想以上に面白いSFだった。 どの短編も独特の世界観があり、陶酔させられてしまった。 どれが特にといわれると困るが、「紙の動物園」「心智五行」 「文字占い師」「良い狩りを」あたりかな。 また、時をおいてケン・リュウの違う作品を読んでみたい。

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    投稿日: 2019.04.03
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    「紙の動物園」「良い狩りを」「文字占い師」が気に入った。叙情性の高さはブラッドベリを思わせるところがある。他の作品も読んでみたい。

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    投稿日: 2019.03.17
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    短編にもかかわらず、一話一話に読み応えがある。SFでありながら(だからこそ)人間の体温と心を感じる。その時々の自分の状況によって、響く作品が変わるため、手元に置いておきたい一冊。

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    投稿日: 2019.01.19
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    面白かった。東洋のテイストだからだろうか、派手な起伏はないものの、じっくり味わえる物語。それにしても英文からここまで翻訳された訳者の技量に驚嘆。

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    投稿日: 2018.12.25
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    短編のどの作品も単純なハッピーエンドでは無く物哀しさが漂う。「紙の動物園」「もののあわれ」の2作が飛び抜けて面白かった。他に自分好みなのは「心智五行」「波」。 別の作品も読んでみたい。

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    投稿日: 2018.11.17
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    SF短編集。でも、ファンタジー色強め。 読み始めたらググッと引き込まれる話が多い。 表題作の「紙の動物園」はなんとなくノスタルジックな雰囲気が漂い、しんみり。 でも、次の「もののあわれ」はしんみりするはずのストーリーなのに、なんだかサラサラ乾いたような読後感。不思議。 「心智五行」「良い狩りを」は夢中でグイグイ読めた。 図書館の返却期限が来たから、読めなかった短編もあり残念。

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    投稿日: 2018.10.17
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    まず、気合いの入った装丁からして出版社の意気込みが伝わってきた。そして、その気合いも当然だなあといった内容。結構情緒的なものが多いし、著者が中国系(というか中国で育って幼少期に米国平民)なので伝奇SFっぽいものも数点。なかなか良い。ただ、これは中国じゃ出版できないだろうなあ?と思ったモノはやはり翻訳されていないそうな(訳者後書きより)そして、最後に一言。 『読んだ。悪くない。』言ってやった!言ってやった!

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    投稿日: 2018.10.14
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    12:ついったでの評判通り! どの作品にも静かな(東洋的な?)生死観や情緒があって、素晴らしかったです。生命としての流転や別ステージ(形態)、言語についての話が多くてほくほく。私には難しい科学要素もあったけど、読んでよかった。他の作品も訳されてほしいなあ。

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    投稿日: 2018.10.08
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    中国系米国人によるSF短編集 前作多少あれアジアン風味が漂う 冒頭の表題作「紙の動物園」で、幻想的な作風と思いきや、結構バリバリなSFもあってバラエティに富む

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    投稿日: 2018.09.08
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    SF短編集。登場人物や舞台がアジアに関連しているものが多く、今まで欧米のSFばかり読んでいたので斬新だった。短編でも1話1話の話や設定の濃さがすごい!

    0
    投稿日: 2018.08.08
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    紙の動物園、もののあはれ、月へ、結縄、太平洋横断海底トンネル小史、潮汐、選抜宇宙種族の本づくり習性、心智五行、どこかまったく別な場所でトナカイの大群が、円弧、波、1ビットのエラー、愛のアルゴリズム、文字占い師、良い狩りを。 あり得たかもしれない日本の歴史は、日本人ではないから書けたのかもと思いました。

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    投稿日: 2018.04.09
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    しまった…これも人生後半に取っておくべき一冊でした! テッド・チャン信奉者であるという点でもうハズレじゃないのは解っていた・・そして先生に勧められたので、これはもう読んでおこうかなと。昨年出版された文庫版は、こちらの短編集からの再収録なので、こちらのトールサイズを読んだ方がお得です。 以下気に入ったものを抜粋して。 「紙の動物園」からもうね…霞んで読めない一作でした。これは少し不思議の方のSF。 「もののあはれ」正統派SF。そして染み入る様な語り口と、美しく悲しいラスト。でも悲しまなくても良いんだよと云う、優しさ。 「心智五行」若干乙女ゲ―的な楽しみを覚えました(笑) 「円弧(アーク)」生死とか愛情とか何それと思わせる話。もし人に永遠があったなら、リーナのような生き方をするだろうか、いやそれが悪いとか良いとかなど、誰かに断ずることは出来ず、本人が何もかもを(それこそいつ死ぬのかも)決めて生きねばならないのね、嗚呼。 「波」円弧に対を為すような話でありながら設定はガチSF。円弧では人の肉体を、こちらの波では意識を物理に用いています。またその上で前者は個を、後者は集団を描いた作品です。是非セットで。 「1ビットのエラー」まんまテッド・チャンの「地獄とは神の不在なり」展開で、ラストが違う感じかな…この作品でケンリュウ自身も作家として天国と地獄を見極めたのだという機縁な一作。読み比べ推奨。 「文字占い師」一番辛い・・・。小説には著者の生まれや育ち、思想が根ざす物とはいえ、彼が中国出身者であるという事を一番感じさせる一作。でも目を逸らしてはいけない事なのですね。 「良い狩りを」ボーイミーツガールな話かと思いきや!胸ワクドキ冒険活劇の始まりかと思いきや!いや、そういう部分が無いかと云われたらそうでもないけど!巻末解説の「きつねうどんだと思ったら蒸しパンだった」が云い得て妙。蒸パンク喰ぅSF!(笑)

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    投稿日: 2018.02.14
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    散々話題になっていたSFをようやく読みました。ふだんSFをそれほど読んでいないのですが、読むと面白いのですね。それはアイデアが開花する瞬間を目の当たりにする面白さとでも言いましょうか。そしてこの短編集でもその面白さを思う存分堪能したのです。 ひとつのアイデアから広がる世界。動き出す折り紙の動物、結び目を文字とする民族、未開の星へ辿り着いた人物の変化、不死を手に入れた者の想い、感情のアルゴリズム、文字占い、などなど。それらのアイデアが物語を展開させる時の軌跡の美しさと哀しさ。 いわゆるハッピーエンドの作品が少ないにも関わらず読後感が悪くならないのは、その軌跡の素晴らしさを見せられたから。種が芽吹き花を咲かす様子を堪能したから。物語作家としての力を見せつけられました。 これはSFに対して苦手意識を持つ人にも勧められる作品でしょう。物語に耽溺する悦びに満ちた作品集です。

    1
    投稿日: 2018.01.26
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     15編からなる短編集。  何気なく入った初めての書店のレジ横に積んであり、何気なく買ってしまった一冊。  そういう本との巡り合わせっていうのもあるのだな、とちょっとした運命を感じたりする。  僕にとってここ数年で読んだ本の中でもベストの一冊。  SFらしからぬ作品も収録されているが、むしろ本書をSFという狭いジャンルに縛り付けてしまうべきではない、と思う。  決してSFというジャンルを下に見ているのではなく、特定のジャンルという括りを大きくはみ出した面白さがあるからそう思うのだ。  勿論、飛びぬけたアイディアによるSFもあれば、SFを背景としたいわゆるヒューマン・ドラマもある。  中国系アメリカ人というスタンスから生まれた、アジアの悲劇的な歴史をテーマにしたとても重い作品もあれば、生と死にSF的な要素を見事に絡ませた哲学的な作品もある。  表題作「紙の動物園」は物悲しく、胸が締め付けられそうになる話だし、「文字占い師」は本当に重く重く心にのしかかってくる話になっている。 「もののあわれ」は日本が舞台になっており、日本のコミック「ヨコハマ買い出し紀行」にインスパイアされた作品とのこと。  プラスティネーションに関するグロい表現や、拷問に関する目を背けたくなるような悲惨な表現もあるので、その手が苦手な人にとっては少々要注意かも知れない。  後味の悪い作品も多いが、どの作品も読み終った後に何かしら考え込まずにはいられない何かを残してくれる。  全70編の中から日本独自に15編を選択した短編集とのこと。  できればその70編全てを読んでみたいと強く思う。

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    投稿日: 2018.01.04
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    表題作はとても良くて、泣けた。 表題作だけなら星四つ。 自分の好きな「移民の抱えるジレンマと哀しみ」系の話と、やさしいファンタジーとが淡々と混ざりあっていて、ちょっと、こんなSF小説っていうのもあるんだ!って発見。 それ以外の話は面白かったり面白くなかったりだったので、星三つ。

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    投稿日: 2017.08.28
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    明敏かつセンチメントな文章というか。 「円弧」「文字占い師」はセンチって言葉じゃ温いか。この2作は本当にシビれた。前者は不死の社会、後者は二・二八事件に纏わる話。 よく訓練されたSFファンなら「トランス脂肪酸たっぷりのクッキー」と読んだ瞬間によだれが出るはず。舞台の時代背景とそれが禁断の誘惑に溢れた食べものであることを直感して。

    0
    投稿日: 2017.07.20
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    先月にテッド・チャンを読んで非常によかったのだが、他に邦訳がないので、同系列のケン・リュウを読んでみた。 中国系の登場人物や舞台、文化をベースにしていて、他に読んだことがないテイストのSF短編集。 SFというよりファンタジーかというのもある。 一部、難しくてよくわからない話もあるが、総じておもしろい、というか凄い。お薦め。 以下は読書メモ: 紙の動物園 紙で動物を折ると動きだす。壮絶な過去を持つ母親と、その息子の話。母が死んでから知る深い愛情が切ない。 もののあはれ 地球に小惑星が衝突するため一部の人が地球を脱出した。十数年航行して宇宙船に致命的なトラブル発生。唯一の日本人乗組員が数日がかりの修理に出るが… 月へ 法律事務所に勤めるサリーは難民を助けようとするが裏切られる。 結縄 縄を結ぶことで読み書きする部族。それを新薬開発に応用しようという企業。 太平洋横断海底トンネル小史 歴史が違って昭和の初めに太平洋横断海底トンネルが作られた。その掘削に従事するある人の話。陸の上にはもう住めない。 潮汐 月が地球に迫り、満ち潮で海面が上昇していく世界。 センバツ宇宙種族の本づくり習性 宇宙人の記録方法を何種族か説明。 心智五行 トラブルである惑星へ1人たどり着く。 そこにいた異星人と交流していく。 人類は病気を引き起こすバクテリアのない世界にいたが、その星は地球人が大昔に移住したらしく昔の地球のような生活をしていた。 どこかまったく別な場所でトナカイの大群が 人間が電子化した世界では何次元もの空間に生きている。母は最後の実態がある世代。 円弧(アーク) 人間の死体を残す仕事。 不老不死が実現しつつある世界。 最後の子供は最初の子の100年後。 波 地球から400年、何世代にも渡る旅に出る宇宙船。途中で地球から連絡があり、不老不死の方法が見つかる。 目的の惑星に着いたら、機械のような異星人?に迎えられるが、それは… 1ビットのエラー 著者付記によると、この話には三つの着想の源があり、そのひとつがテッドチャンの「地獄とは神の不在なり」。なるほど、天使降臨が出てくる。 それにしても、ここまでで一番わからない短編だ。 愛のアルゴリズム これも難しくてよくわからなかった。 テッドチャンの「ゼロで割る」からの着想だそうだ。 機械仕掛けの人形 鬱病 文字占い師 選んだ文字(漢字)から、その人を読み解く。その術を持った爺さんには、戦争の悲惨ね経験があった。 拷問シーンが出てきて読むのが気持ち悪くなる悲惨な展開となる。 良い狩りを 妖狐の母娘と、妖怪退治をする父息子の、香港の話。 イギリスから蒸気機関車などが入り世の中が都会化して、妖狐の娘は魔力が落ち、狐の姿に戻れなくなる。息子は妖怪がいくなって仕事がなくなり、街に出て技術を身につける。 最後はまさかのサイボーグ…

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    投稿日: 2017.07.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    中国、アジアの香りがする。切ない話が多い。多彩。 1.紙の動物園 泣ける、せつない。折り紙の動物たちが可愛いだろうなあ、きっと。 2.もののあはれ 最後のシーンですごく宇宙がイメージされた。挿入される詩歌が叙情豊か。一番好き。 4.結縄 トム、ひどい!アミノ酸配列の設計のアイディアは面白い。 8.心智五行 これも面白かった。ストーリーも良いが、個人用AIがとても気に入りました。これまた欲しい。 バクテリアが気分や脳内化学に影響を与えてるというアイディアが面白い。 9.どこかまったく別な場所でトナカイの大群が これもなかなか面白かった。データとして不老不死で生きる時、親子関係や愛情はどのようなものになるのだろうか。 10.円弧(アーク) こちらの中での不老不死は、あまり幸せそうでない。 11.波 永遠に子どもなら、身体は大人でも頭(脳の処理)的には大人並なのか? 12.1ビットのエラー テッド・チャン「地獄とは神の不在なり」にインスピレーションを受けた作らしい。 13.愛のアルゴリズム …(紙の動物園) テッド・チャン 「ゼロで割る」から、トーンと葛藤の部分のインスピレーションを受けたとのこと。 14.文字占い師 …(紙の動物園) 結末がきつい。ある程度予想はしていたけれど。 15.良い狩りを 歴史改変モノ ファンタジー+SF。これも好き。 予想を裏切る展開で意外だったが、想像すると妖狐が非常に魅力的だった。アニメ化してほしい。

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    投稿日: 2017.07.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ケン・リュウの評判は聞いていたが、この短編集良いぞ。 表題作を読んで「これのどこがSF?ファンタジーやん」と思ったのはともかくとして(笑、ミニマル小説の一つの完成形ではないだろうかと思う。そぎ落とすべきとこを、そぎ落とし、引き算で作り上げた小説。澄み切った出汁の味わいのような余韻が素晴らしい。 その他の作品には、そこまでの引き算感はないものの、想像力と感受性をグイグイ刺激してくるインパクトの強さ、これぞ短編小説の醍醐味という感じの作品が多い。 東洋人であることが、小説の中に表にも裏にもしみだしてきており、日本人も儒教や仏教や道教の影響を受けているんだなぁと、こんな俺でも思えてしまえるのだから、欧米や中国で絶賛される理由も分かるような気がする。新感覚のオリテントっぽさやねんなぁ。 中共批判が交じると、中国では翻訳出版されないらしい。そういう政治背景は残念だが、その手の作品も政治色よりは人間のあさましさや哀しさを描いていて、(少なくとも表面上は)なんでも読める日本にいて良かったと思う。 ケン・リュウ、他の作品も追いかけてみよう。

    1
    投稿日: 2017.06.21
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    短編集はあまり趣味ではないがあまりに評価が高かったので読んでみた。評価の高さにちょっと身構えて読んでしまったがどの作品も短い中にそれぞれの世界観があり楽しめた。著者のバックグラウンドであるアジアの文化が意外にストレートに描かれてるなと感じた。

    0
    投稿日: 2017.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    目次 ・紙の動物園 ・もののあはれ ・月へ ・結縄 ・太平洋横断海底トンネル小史 ・潮汐 ・選抜宇宙種族の本づくり習性 ・心智五行 ・どこかまったく別な場所でトナカイの大群が ・円弧(アーク) ・波 ・1ビットのエラー ・愛のアルゴリズム ・文字占い師 ・良い狩りを この短編集は、よい。 昨日寝る前に表題作の「紙の動物園」を読んだ。 主人公の母の気持ちに胸がふさがれるような思いがし、主人公のいらだちや悔いは身につまされるほどリアルに自分のものだった。(私の母は健在ですが) 今朝、通勤の電車の中で「もののあはれ」を読んで、涙をこらえるのに苦労した。 トム・ゴドウィンの名作「冷たい方程式」の大人版だと思った。 愛する者を切り捨てる痛み。切り捨てられる切なさ。 それは研ぎ澄まされた刀でスパッと切られるのではなく、無理やりはがしたかさぶたのように、いつまでもじくじくと痛みを見せつけられる。 この短編集にはそんな痛みや哀しみがつまっている。 だけど、どんなに文明がすすんでも、身体が進化しても、人の心は変わらなくて。 人の心ってどこにあるのか、何でできているのかはわからないけど、それが人を人たらしめているものなのだろう。 2足歩行だとか、道具を使えるなんていうのは、ほんの表面上のことなのだ。 先日牧野修の「月世界小説」で、ニホン語についてさんざん読んだと思ったら、こんな記述 “日本語が陰影と雅趣に満ちた言語であり、一文一文が詩であることを父さんに教わった。日本語は、重層的な言語であり、語られぬことばが語られることばとおなじように深い意味を持ち、文脈のなかに文脈が潜み、まるで日本刀の鋼のように層が重なりあう言語である、と。”(「もののあはれ」より) そして、日本人についても “「日本人は、火山と地震と颱風と津波の国に暮らしているんだ、大翔。地下の炎と上空の凍える真空とのあいだにはさまれた、この惑星表面の細長い土地に縛られ、いつなんどき生命の危機に襲われるかもしれない暮らしをずっと送ってきた(中略)もののあはれは、いいか、耐え忍ぶことを可能にしているんだ。それが日本という国の魂なんだ。それが絶望することなくヒロシマを堪え忍び、占領を堪え忍び、都市の崩壊を堪え忍び、全滅を堪え忍ばせたんだ」” 耐え忍ぶことはあきらめることではない、と。 漢字の国の人、台湾の国民党と共産党、そして国民党の後ろにいるアメリカのパワーゲームに踏みにじられたアメリカ人の少女と台湾人の老人と少年の交流を描いた「文字占い師」も多分ずっと心に残る作品になるだろう。 多作の作家らしいので、もっと日本に紹介されればいいと思う。 〈氷と炎の歌〉シリーズに比されるような長編小説も発表されているようなので、日本語に訳されたらぜひ読みたい。 あまり長くなり過ぎないことを望むけれどね。

    0
    投稿日: 2017.05.18
  • 文字の魔法は消えていく

     伝統と先端、光と影のアイロニカルな対比が素晴らしい短編集。他のレビューでも書かれているように、読後の満足感は相当高かったです。  結縄(けつじょう)といったもはや神秘的な記録方法と最先端製薬会社の駆け引き。太平洋横断トンネルという大事業により第二次世界大戦が起こらなかったif世界。その影には・・・。全ての細菌(乳酸菌も!?)を駆逐した未来の女性が辿り着いたのは、忘れられた人類の末裔が住む細菌いっぱい?の惑星だった。などなど。起こった事、起こした事は不条理でも、それが人類が生きていくリアルだと感じてしまい「ほーぉっ」とため息をついて読了。

    4
    投稿日: 2017.05.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読後、満足感でいっぱいの短編集。いろんな人におすすめできると思う。宣伝は何度となく見ていて、真面目っぽい読み物かと敬遠してたけど、もっと早く読めばよかった!!  予想通り、表題作他はしっとり純文学テイストだが、収録15編の内訳は、ガチSFもあればアホSFもあり、ファンタジーもあり、歴史の重さを背負う作品も。ケン・リュウは中国生まれのアメリカ人なのだが、日本人に響く感性を持っていて、読み心地は不思議に良い。  多作な中からバラエティに富むラインナップを選んだが、まだ何冊も編めそうだと訳者は書いている。また読むのが楽しみ。  この著者は、アイデア勝負の作品もあるけど、人間を描いているのは共通だと思う。地べたで生活する人間と、未来で変貌した人間の有り様と。いずれも面白いし、遠くへ連れてってくれる作品たちであった。

    0
    投稿日: 2017.03.12
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    短編。SFファンタジー。ファンタジー要素の強いものが好き。 紙の動物園と、良い狩りを この2つが一番好きでした。 元素がふわふわしてるような空気感。ラストは寂寥感。もののあはれ。折り紙の虎や水牛も、妖狐の娘も、寂しくてとても美しい。

    0
    投稿日: 2017.02.04
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    「THE SF」という内容であり、文体なので久し振りにSFを読んだなって気分になれました。 しかも想像力を掻き立てられたり、切なくさせられたりと秀逸な短編集なので、SFを読み始めるにはちょうどいい一冊としてお薦めできます。

    0
    投稿日: 2016.12.24
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    図書館で。これはそのうち買う。 短編集なのだけれども全編どこか哀切な印象を与えるのは取りあげられている題材が基本的に社会的弱者やマイノリティを扱っている所為なのか。 紙の動物園を読むと何で男性って後悔するとわかっているのに母親に優しくする事が出来ないんだろう…と思う。同じことは東京タワーとか男性が書かれた本を読んで感じたことがあります。それができないから男性は母なる存在に執着するのかもしれないけど。お母さんは娘を産んだら良かったんじゃないのか。まあそう簡単な話でもないんだろうけど。愛しているがゆえに反発したり傷つけたりする事がわからない訳でもないし。そして私も老虎が欲しい。 不老不死を扱った題材も面白かったし結縄も辛いけれども面白かった。こういうアイディアもあるのかぁ、と。知られてないだけで世の中には結構古くから伝わるスゴイ技術とかあるんだろうな、なんてことを思ったりもする。 でも個人的に一番好きなのは最後に収録された「良い狩りを」かな。妖怪とスチームパンクが混ざったようなラストが好き。カッコイイ。世界が変わって絶えてしまったり変わってしまったものも多いけれども本質を変えずにしたたかに生き延びているものもある、という感じが好きでした。 もののあはれ 月へ 結縄(けつじょう) 太平洋横断海底トンネル小史 潮汐 選抜宇宙種族の本づくり習性 心智五行 どこかまったく別な場所でトナカイの大群が 円弧(アーク) 波 1ビットのエラー 愛のアルゴリズム 文字占い師 良い狩りを

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    投稿日: 2016.12.20
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    極上のSF短編集。15編の物語の中でお気に入りは表題作「紙の動物園」。「選抜宇宙種族の本づくり習性」と「良い狩りを」も良作。これはいい!長編も読みたい。

    0
    投稿日: 2016.12.20
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    各所で評判になっていた中国系移民のアメリカ人による抒情的SF短編集。 とにかくめちゃくちゃ面白かった。   歴史や運命に翻弄される主人公たち(多くの物語にお いてそれは、異郷、異文化の中で孤独に生きる東アジア人)の姿に、 作者の東アジア人としてのアイデンティティ(西洋文明への強い疑問)を重ね合わせているのだろう。 いかにも日本的な職業観や死生観を持つ日本人宇宙船乗組員の最後の一日を描いた「もののあはれ」には、強い共感を覚える読者も多いはず。 台湾二・二八事件など悲惨な史実を基にした物語も とても読みごたえがある。

    8
    投稿日: 2016.12.12
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    又吉さんのオビに誘われ読んでみた。 「紙の動物園」は間違いなく傑作です。 収録されている短篇はどれも秀逸?と 考えるとしましょう。いやー時間かかったな。

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    投稿日: 2016.11.26
  • SF文学

    短編集だがけっこうボリュームがある。長編小説を読み終えたような満足感があった。 文章が繊細で表現力に富んでいて、登場人物の心を読ませるまさに文学といっていいと思う。別にSFじゃなくたっていいじゃないかと思うのだか、一編一編読み終わる度に、ベースがSFでないことにはストーリーが成り立たないことに気づく。 彼らの舞台は現在とは違う場所にあるのだが、そこにできるストーリーは現在の私たちとは何ら変わらない人間がつくるのだ。気持ちも行動も現在の延長線上にある。その上、SFのアイデアも加わるのだから面白くないわけがない。近未来の日常、フィクションを舞台にした日常、うまく溶け合って馴染んでいてうまいなあと感心してしまう。 この世界観をずっと読んでいたい。もっと翻訳本が読めるといいのにと思っている。

    4
    投稿日: 2016.11.14
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    著者は中国生まれ.巨大宇宙船による移住の話などSFらしいテーマのものもあるが,感じが出てきたりしてちょっとアジア的な雰囲気のものもある.

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    投稿日: 2016.10.28
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    ★SIST読書マラソン2016推薦図書★ 【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11630057 本を読んで読書マラソンに参加しよう! 開催期間10/27~12/7 (記録カードの提出締切12/14)

    0
    投稿日: 2016.10.27
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    ハヤカワSFシリーズから出ているが、SFでない作品も含まれる。 最近のSFらしい、シンギュラリティを扱った作品もあれば、歴史改変小説あり、文化人類学的知識を基にした作品ありとバラエティに富んでいる。作者と同じ中国系の文化を持った人々の話や、日本人を主人公にした物語など、その心情や背景は、アジア系の読者の心にはより強く訴えるのではないかと思う。だから、SFに関心のない人、翻訳小説に関心のない人の心も捉えたのではないか。表題作はファンタジー要素はあるものの、生活のためアメリカに渡った中国系移民の悲しみ(そしてそれにあえて目を向けなかった2世の苦しみ)が胸を打つし、「文字占い師」「結縄」「月へ」「良い狩りを」もSF要素はないか、きわめて薄いので、たいへん読みやすい。SFが苦手な人はこのへんから読むといいと思う。 SF度高めのものでも「心智五行」は恋愛ものだし、「もののあはれ」は日本人が主人公で、地球脱出の時の日本人の様子は、東日本大震災の時の様子からヒントを得たのではないかと思う。主人公の行動はグスコーブドリ的で極めて日本人らしい。 個人的には「選抜宇宙種族の本づくり習性」「円弧」「波」「愛のアルゴリズム」も良かった。駄作が一つもない短編集。 アジア的情緒と、巧みな構成力(所々に挟まれた創世神話などが効いている)、幅広い情報収集力(どこから思いついたかちゃんと作品の終わりに書いているところに誠意を感じる)、本当に楽しみな作家が出てきたなと感じた。

    1
    投稿日: 2016.10.10
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    短編15編 全部が★4ではないけれど,表題作,「結縄」「心智五行」「「文字占い師」「良い狩りを」が良かった.中国の香りがまとわり付いて,少し息苦しく感じるところもあるが,そういう所,日本人だから理解できるようで,また逆に考えさせられる.

    0
    投稿日: 2016.08.29
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    SF短編集。タイトル作はとてもよかったけど、他はSF色が強くあまり頭に入らなかった。本づくり習性は発想が面白かった。

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    投稿日: 2016.08.06
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    なんか新しいSFを読んだ気がした。まあ、がっつり中国ですが。ストーリーテーラーとは、彼のことでしょう。短いなかでの完結感はただものではない。次も読みたい。って、長編も出ているようですが。こうご期待。

    0
    投稿日: 2016.07.25
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    【収録作品】紙の動物園/もののあはれ/月へ/結縄/太平洋横断海底トンネル小史/潮汐/選抜宇宙種族の本づくり習性/心智五行/どこかまったく別な場所でトナカイの大群が/円弧(アーチ)/波/1ビットのエラー/愛のアルゴリズム/文字占い師/良い狩りを  *作者を単純に中国人と思って構えて読んだら、ところどころ日本人的で、またアメリカ人的な視点もあって混乱したが、読みやすくはあった。抒情的な作品が多い。

    0
    投稿日: 2016.07.06
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    SF短編集。 全体的に良かった。一編目からぐっと引き込まれました。 壮大にSF的展開をするものや理系の小難しい作品もあるものの、あまりSF臭のしないものもあって作風が多彩。 個人的には「紙の動物園」「心智五行」「良い狩りを」あたりが好きだけれど、「文字占い師」が衝撃的でどうしても印象に残っています。これは悲し過ぎる。うーー。 良かったけれど哀しい話が多め。

    0
    投稿日: 2016.06.27
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    けして感情的でない冷静な筆致なのに、短編1話読むごとに目の奥に熱さを感じたり、胸の奥に冷たい石が残る感じがしたり、とにかく読んでいるこちらの感情は揺さぶられまくり、本当に素晴らしい本でした。人類や世界の未来、もしくは別の進化を遂げていたら?を描いたようなSFが多いのでとっつきにくい人もいそうですが、SF要素のない作品もあります。個人的にはSF入ってる話の方が好きですが!

    1
    投稿日: 2016.05.29
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    抒情がありながら、きちんとSF。郷愁はブラッドベリのようで、斬れ味は宮内悠介のようで。受賞ラッシュとなったのは欧米が期待するオリエンタリズムに上手く応えているのも大きいだろう。その辺上手く調整・プレゼンできれば日本人作家も普通に勝負できるように思う。

    0
    投稿日: 2016.04.24
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    タイトルとなっている冒頭の短編からして泣いた。全体を通じて、命の美しさと儚さ、身体性、(家族)愛がテーマ。SF的世界観や技術的な話は控えめで、パーソナルな語り口なのでSFに馴染まない人でも読みやすいと思う。人類の進化に対する思索と希望に溢れている。

    0
    投稿日: 2016.03.24
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    話題になっていたので、読みたかった短編集。表題作はどちらかというとファンタジーの趣きがある作品。SFとしてすごいというより、ジャンルをこえて万人に訴えかける力がある。その他の作品でも、感傷的な人間ドラマがしっかりと描かれていて、SFをあまり読まない人にも受け入れてもらえる気がする。長編もぜひ読んでみたい。

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    投稿日: 2016.03.18
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    「心智五行」と「どこか遠いところでトナカイが」がわりと好き。「もののあはれ」も、うん、まあ、ストーリー的には嫌いじゃない。 「結縄」は…こういう話はしんどくなりますね…。

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    投稿日: 2016.02.22
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    15篇が収録された短篇集。 紙の動物園、 結縄、 選抜宇宙種族の本づくり習性、 心智五行、 文字占い師、 が好みでした。

    0
    投稿日: 2016.02.11
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    訳書にしては読みやすく、たいへんおもしろかったです。 ジョージ・R・R・マーティンの武侠小説バージョンと言われる長編「the Grace of kings」の翻訳が待ち遠しいです。 本作では「円弧」、「波」、「心智五行」などがお気に入りです。 時折あるグロい描写は必要なのか、疑問ですが。

    0
    投稿日: 2016.01.28
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    15 の短編からなる日本オリジナルの作品集。 テッド・チャンは寡作な作家だが、 ケン・リュウは多作な作家らしいので、 大変うれしい。 今後の翻訳、どんどん進めてください。 『紙の動物園』 2012 年度 ネビュラ賞短編小説部門受賞作品。 2012 年度 ヒューゴー賞短編小説部門受賞作品。 2012 年度 世界幻想文学大賞短編小説部門受賞作品。 2014 年度 第45回 星雲賞海外短編部門受賞作品。 『もののあはれ』 2013 年度 ヒューゴー賞短編部門受賞作品。

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    投稿日: 2016.01.19
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    愛とは生とは死とは・・・ その大きな空間を感じることは出来るけど 読み切れなかった。 文字が滑って行ってしまう。

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    投稿日: 2016.01.01
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    中国系アメリカ人であるケン・リュウによるSF短編集。中国だけでなく日本も含めた東アジアの文化や歴史を織り込んだ東洋情緒溢れる作品が多い。全体通して、過去から未来、親から子世代への受け渡しと繋がりが作者の興味ある大きなテーマの一つになっているのかなと感じました。 『もののあはれ』『心智五行』『円弧』『良い狩りを』が特に好き。 『もののあはれ』 ヒーローの自己犠牲精神は東西とも変わらないように思うが、日本人の生死感を通して描くと、かっこよさでなく美しさになるのかなあ。しみじみくる。 『心智五行』 未開の星に不時着するよくある設定に、五行思想と最新の細菌科学を上手くミックスさせて、バイオSFとして面白い作品に仕上がっています。僕らの感情の在り処に疑問を投げかける不安感もよい。4話目の『結縄』が直接的ですが、こちらでも未開地から発見される技術の知的財産権への言及があり風刺なのかなと。 『円弧』 前後の話でも共通して、不老不死の実現が、個人の意識や人の繋がり、社会をどう変えていくかを描いているが、特にこの話は一人の人間の生涯から生と死の両面を語っていてより身近に感じる。 『よい狩りを』 妖怪退治の幻想譚がホラー風味のスチームパンクへと変貌していく意外性のある傑作。西洋文化に浸食されて東洋の古い魔法が駆逐されていく中で、新たに生まれる魔法。一番お気に入り。

    0
    投稿日: 2015.12.30
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    2015/12/13-16/05/03 紙の動物園▶︎たかだか7000字の短編の中である。凄惨な文化大革命や返還前の自由過ぎる香港に翻弄されつつ失わなかった母としての溢れんばかりの子に対する愛と折込められた拙い折り紙の織り成す世界。母は死して自由を得る。

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    投稿日: 2015.12.13
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    上手い話と、だれている話があった。 なにより、アジア系アメリカ人が当たり前のことと書かれていることに隔世の感を抱いた。

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    投稿日: 2015.12.13
  • 形容しがたい複雑な味わいと魅力を持った15篇の短編集

    三種の異なる糸が撚り合わされてるよう。 通底に流れるのはノスタルジックで寓話的な愛の物語で、例えば「人々はいっしょに年を取らなくなった - いっしょに成長しようとしなくなった。結婚している夫婦はおたがいの誓いを変えた。もはやふたりをわかつのは死ではなく、退屈だった」と永遠に続く人生を送る夫婦を描写してみせる。 時に展開されるハードSFの片鱗、例えば哲学者サールの"AIは幻想で、思考も幻想だ"とする謎の問いかけに煙に巻かれ、どこか懐かしみを覚える東洋の文化的背景に支えられ、読者は過去と未来を往還する。

    7
    投稿日: 2015.11.21
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    ウェットなSF短編集。好きなのは表題作と、自己犠牲「もののあはれ」、ロマンチックな「心智五行」、不死について「円弧」、著者が何度もボツをくらった「1ビットのエラー」、2・28事件「文字占い師」、自由への転調「良い狩りを」。これは良い短編集!

    1
    投稿日: 2015.11.21
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    日本で暮らしたことがあるのかしら、と錯覚してしまった。違った。 著者は『ヨコハマ買い出し紀行』を読んでいるらしい!

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    投稿日: 2015.09.08
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    非常に格調高い文章で、SFの域を超える、純文学テイストが満載の作品でした。表題作と、それに続く「もののあはれ」はしっかり味わうことができましたが、次第に集中力が切れ、文体についていけなくなったというのが本音です。手元に置いて、長い時間かけてじっくり味わうべき作品なのかもしれません。軽い気持ちで読んでしまって、もったいない思いをしています。もう一度しっかりと味わい尽くしたいと思います。しかし、「もののあはれ」では、これほど日本人の情緒に迫った外国人作品を読んだのは初めてで、驚きました。漢字のニュアンスまで取り入れられていて、その奥行きの深さに舌を巻きました。

    0
    投稿日: 2015.08.26
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    SFの短編集だが、どれも静謐で悲しみを湛えた物語である。 幼少期に中国からアメリカへ移住したという作者の来歴の為か、どの作品にも、異国へ迷い込んだ異邦人のような寂しさや心許なさが感じられ、それが、SFというジャンルとマッチして、素晴らしい趣きを加えている。 ファンタジー寄りのもの、純然たるSF物、社会派寄りのものといろいろ集録されているが、どれも珠玉の一品。

    0
    投稿日: 2015.08.25
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    読み進めるのにとても苦労した。 SFだけに、恐らく原文がそうなんだろうと思うが、人称も時間軸もコロコロ変わって「ん?」と止まってしまうこともしばしば。 しかし、読みやすい短編も中にはあるし、やはり、「紙の動物園」や「もののあはれ」は秀逸。

    0
    投稿日: 2015.08.23
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     新鋭SF作家の日本オリジナル短編集だそうだ。力量と豊かさを見せてくれる多彩な良編が選ばれていて、翻訳者の愛が伝わってくる。 一読激震の傑作があるわけではない。使い捨てのセンス・オブ・ワンダーがつめこまれているわけでもない。憂愁の色合いが遠くに望まれるような、内省的な抒情の作風だ。  中国生れの作家なので、中国とアジア圏の歴史、社会、文化を取り込むところもあり、それが目新しく、興味深い。台湾の二・二八大虐殺事件が物語の背景に取り上げられていたりして、教えられ、考えさせられる。「中国人は長いこと、語って聞かせられるような幸せな話を持っておらんのだ」(「文字占い師」) 日本という社会・文化も相対化されて作品中に登場する。「もののあはれ」では危機に際した日本人の行動が主題だ。東日本大震災における被災地の人々の行動は余程印象が強かったと見え、この作品でもその影響を読むことができる。また、歴史改変SFである「太平洋横断海底トンネル小史」では、日本とアメリカが開戦せず、太平洋戦争が起こらなかった世界、第二次世界大戦がない世界が描かれる。  そして、この作者の関心はどうやら言葉と文字(漢字)にあるらしい。「結縄」「選抜宇宙種族の本づくり習性」「文字占い師」の三編で言葉と文字がテーマになっている。「結縄」では縄の結び目を文字とする民族が登場する。作者の創作による架空の民族と文字だが、それがアッというアイデアに結びつけられている。苦い結末も好ましい。「選抜宇宙種族の本づくり習性」は異星の生命体が作る「本」のカタログだ。「だれもが本をつくる」が、その「本」の奇想天外な変奏が刺激的。「文字占い師」は、前述した台湾の二・二六事件を背景に、文字占いをする男が受ける社会の暴力と過酷な運命が語られる。「"日本"や"中国"は存在していない。それらは単なる言葉だ。」という思想は繰り返し語られてきているのだろうが、ケン・リュウはそれを自分の言葉で語ろうとしている。 言葉と文字というテーマは当然、コミュニケーションというテーマへも深化している。「1ビットのエラー」は信仰というコミュニケーションについて、「愛のアルゴリズム」はコミュニケーションの本質に存在するパラドックスについて、厚みのあるイメージを彫琢している。「月へ」は亡命者と難民認定のために働く弁護士とのコミュニケーションが筋になっている。特に「紙の動物園」は、母親と息子のコミュニケーションを哀切に描いていて迫るものがある。  これ以外の作品はもう少しSF寄りかもしれない。「円弧」と「波」は不死を扱ったポスト・ヒューマンSFと言えるだろう。「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」はサイバー・スペースへ移住してしまった人類の話。「良い狩りを」はちょっと風変りな角度からやってくるスチーム・パンクSFだ。華麗とは言い難いが、物語後半のあれよあれよという感じが面白い。

    1
    投稿日: 2015.08.05
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    SFに、アジアン風味の諦観・自己犠牲・つなぐ世代・自然共存などをうまく混ぜ込んで、せつなくも美しい世界を作り出している、けど、これらは70年代に星野之宣がすでに完成させてたわ!とファンとしては言いたいw この作家を好きな方は「残像」「妖女伝説」などお読みになるときっと気にいるはず!

    0
    投稿日: 2015.07.30
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    評判通り!いいですねえ、ケン・リュウ。バラエティに富んだ短篇集で、それぞれ趣向が違い、そのどれにも細やかな情感が流れていて、胸にしみる。一篇一篇ゆっくり堪能した。 中国文化が色濃く出ている作品がいくつもあり、これはとても意外だった。同じ中国系のテッド・チャンなどはほとんどそういう傾向がないが、チャンは移民二世でアメリカ生まれ、ケン・リュウは十一歳まで中国で育ったと知り、なるほどその違いは大きいだろうと納得。チャンのおそろしく洗練された作品世界とはまた違うが、この著者もまた明晰で知的なスタイルを持っていて、すごく好みだ。 その中国風味だが、さすがに「本場もの」は説得力が違う。欧米の作家がアジアンテイストを取り入れると、往々にして単なるエキゾチシズムのふりかけにしかならなかったりするが、ここではしっかりとした世界観と結びついている。紙の動物が命を吹き込まれたり、妖狐が狩りをしたり、漢字で未来を占ったり……、長い長い歴史を持つ文化のありようが、容赦なく押し寄せる近代化という名の欧米化に踏みにじられていく。これはSF(もしくはファンタジー)の形を借りた哀切な挽歌のように思える。 表題作には不覚にも涙が出た。フィクションに泣かされるなど、ほとんど記憶にない。さして目新しい話というわけではなく、こう来るであろうと身構えていたのに、である。ここに込められた真情に胸を貫かれた。訳者の古沢氏が書いているとおり、冒頭の本作を気に入った人はケン・リュウのファンになるに違いない。 地球を脱出する宇宙船に乗り込んだ日本人の少年を語り手とする「もののあはれ」、縄を結んで物事を記録するミャンマーの結縄師を描く「結縄」、遠い異星を舞台に東洋医学を登場させた「心智五行」、このあたりに著者の特色がよく出ているように思った。 中国風味抜きの作品としては、不死がテーマである「円弧」や、人間の精神というものを問う「愛のアルゴリズム」などがおもしろかった。そして、もっとも読後感が重く、忘れがたい余韻を残すのが「文字占い師」。長く伏せられていた台湾の歴史的事件が題材となっており、登場人物の運命はあまりにも過酷だ。こういう問題を扱っているところに、「歴史のなかの自分」という存在を真摯に考えていこうとする著者の姿勢を感じる。著者は中国にも多くのファンを持つが、本作をはじめいくつかの作品は中国語に訳されていないそうで、これはまあそうだろうなとは思うが、とても不幸なことだ。 と、ほめちぎって終わりたいところだが、一つだけ。最後の一篇「良い狩りを」。訳者の古沢氏は「一番気に入っている」そうだが、え~ほんと? (一部の)ファンを喜ばせたという最後の「転調」に私はコケた。これはないわー。そこまでのいい気持ちがちょっと冷めちゃったじゃないか。これが最後でなけりゃもっと良かったのになあ。

    4
    投稿日: 2015.07.23
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    訳者の方の高いテンションにちょっと引いてしまった。普段SFを読みつけていない者には決して読みやすい本ではない。だからこそじっくり味わうべきなんだと思う。泣けるSF。日本人の主人公に大翔という名前をつけるって、今時の日本のこともよく知っている人なんだな。古い伝説や文化と未来の科学技術がよく組み合わさっている。

    0
    投稿日: 2015.07.20
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    むごい話もあるので、そういうのに弱い方は読むときには注意してください。 全体的に、著者の知見の広さが分かるとと同時に、中国国内では翻訳されない理由もよくわかる。 国内で自由に書けないことの抑圧からの反作用なのか、と思うくらいセンセーショナルに物語を紡いでいる。 これは現実ではなく「SF」である、と願いたいと思う作品もある。 もちろんSFな内容の短編も多く、面白く読めると思う。

    0
    投稿日: 2015.07.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表題作のほか、『心智五行』、『文字占い師』など、せつなくも惹かれる作品はある。しかし、半分の作品は理解できずに読み流してしまった。集中して文字を追わないと、展開を把握できぬままに進み、幾度も読み返すはめになる。翻訳がまずいわけではないのだろうが、奇抜であって、心理描写を読み解かなければならない海外SF作品についていけない自分を知った。うむ、残念。

    0
    投稿日: 2015.07.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    15話からなるSF短編集。 すっごい。 作者の頭のよさがビシバシ伝わってくる。頭が追いつくのに精一杯で、たまに振り切られる。 表題の紙の動物園がよかった。 アメリカ人の父を持つ息子が、軽蔑していた中国人の母親の人生を知ることになる手紙。 それは、母が折り紙の動物たちに全身全霊をかけた小さな魔術でもあった。 読んでいて何度も『道化師の蝶』を思い出したのは、SFつながりだからかな。あまりSFは読まないのだけど、けっこう自分の好みなのかもしれない。 2017.1再読

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    投稿日: 2015.06.21
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    大期待の短編集  アメリカ在住中国人。驚くほど日本的叙情派だ。  表題作「紙の動物園」はまさに日本的。親孝行したいときに親はなし。悲しいお話だなぁ。  ありきたりの筋書きなのに、これだけぜい肉を落としてエッセンスだけを書ききれるものかと感動する「もののあはれ」。日本語訳にもよるんだろうが、冒頭の2作品だけで、星みっつが確定だな。  「月へ」はがっかりかな。中国の現実なのかもしれないけど、SFではないな。  すごい連携というか発想の輪を感じる「結縄」なんだが、乗り切れずに終わった。残念だ。  「太平洋横断海底トンネル小史」はよくできてると思うけど、イマイチ。  「潮汐」も同じ感じかな。ま、圧倒的に短いのが救いだが。  「選抜宇宙種族の本づくり習性」のアイデアはいいんだけど、おもしろくはない。  「心智五行」って日本的かつ人類的。おもしろいね。  「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」の意味がわからん。  そんな中で「円弧」がとてつもなく素晴らしい。宇宙のランデブーを思い起こさせる不老不死物語の中に散りばめられた円弧がいい。円弧、アーク、対になる考え、言葉、運命。いい物語だ。  さらに「波」が知的生命体としての進化をテーマとする大風呂敷の話を語る。体を捨てて光になる。しかし、快楽はどうなるんだろう?  「1ビットのエラー」はイマイチ理解できず、「愛のアルゴリズム」、「文字占い師」、「良い狩りを」は全く乗り切れずに終わった。  SF色が濃い「円弧」と「波」が私の好みだな。

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    投稿日: 2015.06.04
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    15篇収録の短編集。胸を鷲掴みにするような叙情的な部分に加えて、多様な奇想にも酔わされる。収録作のどれもが魅力的で個人的にはオールタイムベスト級の一冊。 お気に入りは「選抜宇宙種族の本づくり習性」、「波」、「文字占い師」。表題作はあざといなと思いつつも、まんまと術中にはまって泣かされたので、してやられた悔しさから、ちょっと減点w

    1
    投稿日: 2015.05.19
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    アメリカにおいては評価されにくいと聞く短篇を主体とするからか、本国では単独著作は未刊行。翻訳によって外国で作品集が刊行される珍しい作家である。これも訳者によって編まれた日本独自のオリジナル短篇集。表題作「紙の動物園」は20ページたらずの短篇だが、史上初のヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞の三冠に輝く。ただ、この一篇を取り出して読ませたら、これがSFだと思う読者はいないだろう。 「ぼく」は、コネチカットに住む中国系アメリカ人。自分につきまとう弱みの出所である中国人の母を憾みに思い、あるときから口を利かなくなった。母の死後、小さい頃母が作ってくれた折り紙の虎の裏に書かれた手紙を見つける。そこには自分の知ろうとしなかった母の数奇な人生が書かれていた。後悔の涙と母への愛が、一度は死んだ魔法を蘇らせる。この作品に幻想文学の要素を探すとすれば、母が折り、その息を吹き込んだ折り紙の動物は、吼えることや走ることはおろか、翼あるものは空を飛ぶことさえできるところ。 貧しい農家の娘が唯一授かったのは、古くから村に伝わる折り紙に命を吹き込む魔法だ。清明節の日に祖先にメッセージを伝えるための工夫であり技術である。日本の陰陽師が使う式神を思わせる、いかにも東洋的な呪術が、伝承遊びである折り紙と結び付けられることで、母と子を結ぶよすがとなる。この折り紙のモチーフが効いている。クリスマス・ギフトの包装紙で折られた老虎(ラオフー)に赤い棒飴と緑のツリーの模様がついているところや紙の水牛が醤油皿で水遊びをしたために毛細管現象で脚がだめになってしまうところなど、ほのかなユーモアが湛えられ心和む。 紙は水や火に弱い。破れてしまえばゴミ扱いされる。そんなはかないものにしか自分の愛を託せない持たざる者として運命づけられた母の悲しみ。その一方で、どこにでもある紙を折るだけで、そこに命を宿らせることのできる魔法のような手わざがあり、紙であればこそ、文字を書くこと、つまり自分の思いを相手に伝えることができる、という秘密がある。ここに覇権大国アメリカに移住した中国人という出自を持つ小説家の自負が現われていると見てもあながち牽強付会のそしりは受けないだろう。 ロケットや宇宙船といったいかにもSFらしいガジェットを用いた作品ももちろん多く収められている。古典的なSFを思わせる王道をゆくスタイルはSF好きにはたまらないのだろうが、永遠の若さや不死、過去の地球人対未来の人間を主題にした作品などにはいささか図式的とも思える二項対立的思考がうかがわれる。現実にある着想からヒントを得たアイデア・ストーリーは独創的なひらめきを感じさせるが、特にSF好きでもない読者としては、アジア系作家としての独特の持ち味を生かした作品の方に興味を引かれた。 ミャンマーの奥地で麻縄を結ぶことで文字に代える結縄文字文化を残すナン族の最後の一人ソエ=ボと複雑なタンパク質の折りたたみ技術を探すプラント・ハンター、ト・ムとの出会いをもとに、バイオパイラシー問題を描いた「結縄」。ソエ=ボの手を使うリテラシー能力をコンピュータに取り込むという発想の新鮮さに驚いたが、無邪気なプラント・ハンターと思われたト・ムがソエ=ボに対してみせる態度のなかにグローバル資本が山間の地に残る米作りまで搾取してしまうあくどいやり方が露わな結末には後味の苦さが残る。 同じアジアにある日本においても詳らかではない中国、台湾といった隣国の歴史に材を採った作品には教えられることが多かった。所謂「ありえたかも知れない世界」を扱った「太平洋横断海底トンネル小史」も読ませるが、台湾を舞台にした「文字占い師」が心に残った。アメリカ情報部に属する父に従って台湾の学校に転校してきた少女が新しい土地になじめないなか老人と少年に出会い友人となる。老人は文字占い師であり、いくつかの漢字を使って少女の未来を占ってみせる。次第に親しくなってゆく三人だったが、少女が父に漏らした一言が悲劇を招きよせる。日本や中国共産党といった大きな力に飲み込まれ、翻弄される「このうえなく美しい」島フォルモサ(台湾の旧称)の歴史を背景に、水牛がゆったりと泥田の中を歩む湿潤なアジア的風土のなかで成長してゆく少女の姿を追った佳篇。SFという枠を外しても、充分読者を獲得できる作家ではないだろうか。 長篇に手を染めたと解説にあるが、広くアジアをカバーして、西洋的な視点一辺倒でない小説が書ける才能の持ち主である。未訳の作品も残されているし、これから書かれる作品も楽しみである。訳者には是非オリジナル邦訳短篇集の続篇を期待したい。

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    投稿日: 2015.05.07
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    [関連リンク] 紙の動物園 by ケン・リュウ - 基本読書: http://huyukiitoichi.hatenadiary.jp/entry/2015/06/19/233844

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    投稿日: 2015.05.05