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世界記憶コンクール
世界記憶コンクール
三木笙子/東京創元社
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総合評価

22件)
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    最初の作品とは視点を変えた作品が集められている 欲張りな一冊になっているかな 2冊目から読んでもいいかも

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    投稿日: 2021.02.04
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    シャーロック・ホームズが縁で知り合ったふたり、という前提を思い出させるような第2巻。 1巻同様にふたりが中心となった日常の事件を解決していくのかと思いきや、1巻で登場した人物の視点で描かれる作品あり、時系列の異なる作品ありで動きがあって面白い。 まだ親しくなる前のふたりも描かれるこの巻で、恵少年から見た「そばで見ていても眩しいくらいの信頼関係」というふたりの距離感も描かれるのが面映ゆくて良かった。 どの話も良かったけれど特に印象に残ったのは『生人形の涙』かな。あえてすべてを描かず余韻を残す結末。 時間の流れと信頼や絆を感じさせるお話がまとまっている巻だなと思う。

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    投稿日: 2020.09.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    謎の背景には、親子の絆。 お得意の分野、明治+美形+ホームズ&ワトソン。〈帝都探偵絵図〉シリーズの第二弾。とはいえ、実は小説で読むのは初めて。会話中心で読みやすかった。主人公コンビである雑誌記者の里見高広と美貌の天才絵師有村礼が直接かかわらない話もあり。何組かの親子が出てきて、それぞれの関係がある。優しいものも、厳しいものも。親が子を、子が親を、思っている、だけではない。でも全体的な雰囲気は、優しく、後味もよい。 「第一話 世界記憶コンクール」まさに「赤毛組合」でした。似たような条件が揃ったらわくわくしちゃう有村先生の気持ち、わからんでもないホームズファン。 「第三話 黄金の日々」過去の事件の関係者・東京美術学校予科の森恵と、その学校で出会った西洋風の顔立ちの同級生・唐澤幸生。これまた主人公コンビとは違うけれど、興味深い二人。西洋の血を引き、養父に有名な陶工を持つ、しかし家族の縁には薄い幸生。二人に共通するのは、彫刻への愛情と、家族への複雑な想い。でもきっと情熱を注げるものと、一緒に精進する仲間が、二人を守ってくれる。 ホームズ&ワトソンっていうと、ホームズ(=探偵役)が傍若無人の天才肌っていうイメージになりがちだけど、高広はむしろ礼のために(そして関係者のために)事件を解いている感じがあるよね。優しいホームズは苦労するんだろうな、と。

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    投稿日: 2016.07.31
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    明治東京を舞台に、しがない雑誌記者がホームズ役、その友人で超有名人でもある天才絵師がワトソン役(?)な日常系ミステリー。といっても全体的にちょっと重め、暗め。 主役をはじめ大人の男が多いせいもあるか。ただシリーズ1作目「人魚は空に還る」にくらべ各章の主人公が前作の脇役だったり時制も色々なので、より奥行きが増した。 謎解きとはいえ痛快という言葉とは程遠い。徐々にほどけていく感覚が楽しい。

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    投稿日: 2015.10.01
  • 帝都東京のホームズ譚第2弾

    超絶美形の天才絵師有村礼と雑誌記者里見高広(ワトソン&ホームズ)の活躍はもちろん、二人の出会いや高広の義父 基博(マイクロフト)の若き日の物語なども含めバラエティに富んだ短編5篇。 若き基博は、意外と苦労人。でも自分の理想の為に熱く突き進んでいく姿は、何だか高広と似てるなぁと思ったり。そんな思ったままの気持ちを口にしては、女性にとってはねぇ…。(この意味はこの短編のタイトルにご注目を)。 そして礼に対する高広の相変わらずの熱い想い。ああこれはやっぱり(ワトソン)です。突然の礼の無茶ぶりに振り回されながらも嫌とは言えない、否嫌ではないのです。自分もワクワクしつつ行動を共にする。その上高広は事件解決(ホームズ!)までしてしまって大忙し。そこが面白いんですよね。 注目すべきは本書のタイトル。表紙の美しい礼のイラストとの不釣り合いさ。どんな話だろうと思わず手に取りたくなります。奇妙なエピソードに興味を引かれたホームズが乗り出すとその裏には大きな事件が隠されている・・・。こんなタイトルはやっぱり『正典』の匂いが。タイトルロールの第一話はまさに、『赤毛組合』。未読の方は是非『正典』もお読みください。  

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    投稿日: 2015.04.25
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    感想はブログにて。 http://croco.blog14.fc2.com/blog-entry-108.html

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    投稿日: 2015.02.06
  • 友情が良い!

    シリーズ二作目。短篇集。今作は里見高広&有村礼の消極的ホームズ&強気ワトソンコンビだけでなく、高広の義父基博の若かりし頃や、森恵が主人公の話、礼との出会い等々、一辺倒でなく楽しめました。 「氷のような女」の基博と秀真、「黄金の日々」の恵と幸生の友情も良かった。切ないお話だった「生人形の涙」のアーリントン卿と静聴にも、これから同じような友情が芽生えれば良いな…。相変わらず礼の絵を好きすぎる高広と、ホームズに夢中でキラキラしてる礼。この二人の友情もまた微笑ましいというか何というか。

    1
    投稿日: 2014.04.14
  • さらに磨きのかかった第2弾

    全部で5編収録されていますが、実際に高広&礼のメインコンビが活躍するのは3編だけ(しかも礼の影が薄い)。 むしろ高広の父・基博の青年時代の話や、『人魚は空に還る』で登場した恵の話も入っています。 個人的には『人魚は空に還る』よりもこちらの方が面白かったです。 和製ホームズ&ワトソンコンビもいいんだけど、サブキャラかと思っていた人々にスポットが当たり、 しかもそれがスピンオフにとどまらず、この物語の世界観を膨らませることに成功しているからかも。 という訳で、5編の中で一番好きだったのは、若かりし基博が活躍する『氷のような女』でした。 青春ものとしても面白いし、当時の製氷業解説も初めて知ることばかりで納得の一編。 凄惨な事件などはなく、上品で繊細、まるであたりのいい軟水みたいな作風です。 ただし作中でコナン・ドイルの『赤毛組合』『ボヘミアの醜聞』のネタバレ記述があるので、 これから上記2作を読もうと思っている方は『世界記憶コンクール』を後回しにしたほうがいいかもしれません。

    2
    投稿日: 2014.04.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    高広と礼がメインの物語も面白かったけど、高広の義父の若かりし頃の――危機に陥り、さらにはその刃を突きつけてくる相手に指摘されるまで、よし乃への自分の気持ちに気付かない、生真面目ぶりというか鈍ちんぶりがとても愛しく感じました。初めて出会ったとき、陽の光が射して思えた…なんて、素敵な一目惚れですよね。恵のその後のお話も――学生時代って、本当に何にも変えがたい時代だなぁ…と。よき友よき仲間たちと、謳歌してほしいと思いました。

    0
    投稿日: 2013.11.28
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    前作に続いて読了。読んでいて気持ちのいいきれいな文章とお話は相変わらずで楽しく読みました。最後の人形のお話が切なく優しくでちょっと泣けた。

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    投稿日: 2013.11.03
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    前巻よりも更に面白かったです。主人公・高広の義父・基博や、前巻「人魚は空に還る」に登場した事件の当事者・恵が主人公の話を今回加えることでシリーズの奥行と彩を出しているのに成功してると思います。その分、美貌のおいしいキャラ・礼の登場が僅かだったり、怪盗ロータスは今回登場なしだったりでしたが、その楽しみは次巻に持ち越しという事で3巻目期待してます。高広のパパ、いいわぁ。

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    投稿日: 2013.09.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1作目から続けて読了。 義父上のお話はよかったなぁ。あと生き人形。 美の巨人たちを好きでよく見ているので、美術や古美術関連は楽しみな題材。 それから単に好みに合わないだけかもしれないけれど、表紙や中表紙の耽美なイラストは蛇足というか狙いすぎというかあざといと言うか(絵が嫌いなわけではないですよ。 文章だけで十分想像をかき立てる美しいものだけに、イラストで固定しちゃうのはちょっともったいないかなぁという印象を持ちました。 今回は人物だけじゃなく、礼の絵までイラストレーターさんが描いていたのでひっかかったのかも。 そこは読む側の想像力に任せてよ的な。

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    投稿日: 2013.08.25
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    恵と、その友人幸生の物語が一番好きかな。 全体的に、優しい風がふいているような物語群。 でも、この人の文章・・・私、時々見失いそうになるんだけど、 私の読解力が低すぎるのかな? よく、遡って読みかえしている^^;

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    投稿日: 2013.08.05
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    話は相変わらず面白いし、雰囲気も好きなんですけどやっぱり文章がちょっと読みづらいなあというのが残念です。 でも登場人物は皆魅力的で、好きです。

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    投稿日: 2013.02.28
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    「人魚は空に還る」続編でもあり、前編ともいえる話も収録されている、贅沢な短編集。 里見司法大臣が出て来るとなぜか嬉しい。 白菜って明治の頃に日本に入ってきたんですね。知らなかった。 恵くんが苦労性なところやホームズ好き仲間が増えていくのも楽しいですね。安定感のある作家さんです。「人形遣いの影盗み」も早く文庫になってほしい。

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    投稿日: 2013.01.11
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    高広と礼の出会いの話とか高広の義父の話など時系列的には前作よりも前の話が入っていたり、恵の話は時系列的には前作よりも後のものなど入っていたりと、時系列は飛びますが、あまり気になりませんでした。 特に高広の義父の話や恵の話は殆ど高広は出てこなかったりするのですが、私は高広や恵が出てこない事にイライラする事なく、楽しく読めました。 二人の出会いの話はさりげなくて、あとがき読んで気がつきました。そう思って読むと、確かに、出会いです。そう思うと、ちょっと変な感じのした場面がキラキラするので不思議です。 『人形遣いの影盗み』も読みたいのですが、なかなか見つからない…店頭じゃなくて、ネットで探した方が良いのかなぁ?

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    投稿日: 2012.09.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公周辺の登場人物が魅力的。 優しさの感じられるストーリーも良いが、舞台となる時代の描写に浸るのが心地良い。

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    投稿日: 2012.08.22
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    前作のぎこちない感じが抜けて、いろんな視点からの帝都ミステリー。 あんまり深刻にならないのは良さかな。とっても人情的。 前のを読んだときは現代ミステリ寄りだと思ったんだけど、古い用語を使い倒した回りくどさが時代小説っぽい。でもまだ次作も読みたい。

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    投稿日: 2012.08.10
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    てっきり主人公固定と思いきや前作と違い主人公と時系列が1話毎に変わるので、また違った面白さがありました。巻末の解説にもありましたが、里見&有村シリーズではなく帝都探偵絵図だから帝都の人ならだれでも主人公になりうるって感じなんですかね

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    投稿日: 2012.07.19
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    静謐で、それこそ竹のようにすっと背筋を伸ばして 凛と冷えた空気が流れ 小説って作者による音楽がずっと奏でられているものだけれど このシリーズでは音のない音楽があって 登場人物の動作による音しかきこえない。 あと風景の音と。 風であったり舗装されていない土の上をゆく足音や 大八車、紙に鉛筆を走らせる音、 ため息や白菜の芽が顔を出す音。 気持ち良い男たちによる清々しい物語。 やっぱ好きだなあ、このお話たち。 そう、意外に礼ってかわいいらしいんだ。 聞き耳たててたんだね。

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    投稿日: 2012.06.18
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    シリーズ2作目。 今回のテーマは親子の恩讐という感じか。 文庫化で追加された5話以外は親子関係が物語りに深く根ざしている。 『世界記憶コンクール』 一目見ただけで文章を覚えることが出来る質屋の息子。 父に勧められ、新聞広告の求人に応募し記憶力を鍛える訓練を受けるが、その内容がいかにも怪しく雑誌記者の高広に相談を持ちかける。 ホームズの『赤毛商会』を下敷きにしている。 2組の親子を通して子を思う親の心も表現されていて味のある話である。 ミステリとしてはうまくいきすぎか。 今回は1巻と時系列が逆転している2話が収録されていて 『氷のような女』は高広の義父基博の話、 『生人形の涙』は高広と礼の出会い。 『氷のような女』 製氷とその販売が行われるようになった明治初期、安全基準に満たない悪水氷流通の黒幕を高広の義父基博が探る。 基博は高広よりも一枚も二枚も上手なひとである。 ほのかに恋愛要素もあり。 『生人形の涙』 かつて日本に滞在していたイギリス貴族が若かりし頃遭遇した”動く人形”の謎と、 30年後の(この本で言う)現在、貴族の勲章を盗んだ相手を見つけ出し、在り処を探り出すという2つの事件を高広が解決する話。 動く人形の謎は切ない展開。 ハッピーエンドかは微妙なところ…。 現在の話はこれまたホームズの『ボヘミアの醜聞』に着想を得ている。 動く人形のトリックを使って隠された勲章を探すという繋がりはおみごと。 相変わらずうまくいきすぎだけど。 『黄金の日々』は第1作で出てきた少年が主人公となり謎解きをする変り種。 違った視点で面白かったものの、犯人を疑った理由がちょっと切ない。彼はいつか報われるのだろうか。 『月と竹の物語』 白昼堂々小間物屋のディスプレイから金塊を盗んだ犯人を探す。 文庫化で追加されたエピソードで短いお話。高広の礼への愛を垣間見る回。 礼はかぐや姫ですか、そうですか。 確かに美しく、高広に謎解きとホームズの新作の翻訳をねだる姿はかぐや姫でございます。 今回礼の影はかなり薄い。 シリーズ全体としての動きは緩やかである。 ミステリとしては平凡だけれど物語としてはよい。 今回から各話に表紙がついたのがよかった。

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    投稿日: 2012.05.24
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    明治が舞台の『帝都探偵絵図』シリーズ第二作。作品のイメージと表紙絵が見事に一致しているので、表紙買いしてもOKな作品です。 美しくて清廉、人情味が溢れるミステリというより、もはや群像劇。 今回は高広の養父の過去話が出てきたり、前作のあのキャラが主役になったりと、『帝都探偵絵図』シリーズの世界が一回り広がっていった感じです。 明治の、あの雑然としていて近代化されつつ古い時代の空気も残っている雰囲気が大好きなので、このシリーズお気に入りです。 ミステリのトリックの奇抜さではなく、物語としての美しさやキャラ萌えで読ませる作品集です。

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    投稿日: 2012.05.23