
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
友達に「ルシア・ベルリンにちょっと似ている」と教えてもらった作家で読んでみたんだけど、確かに後半の狂気と死、悲惨な運命をからからしたユーモアで書いていくあたりはちょっと似ているかも。面白かった。好きなのは「使徒書簡朗誦係」「フローラ夫人とその娘婿のポンツァ氏」あたり。何が狂っているのか、おかしいのは何なのか、分からない。でも、悲惨を滑稽にすり替え、何が正しいのかとか、正しくあることに意味なんてないだろう?と言わんばかりの堂々とした書きぶりは好感を持ってしまう。 最後の解説によると作者自身の人生も恵まれた生まれながら相当残酷な目にあっており、そこからこの作品群の凄みが生まれてくるのだなあと思った。悲惨だから、なんだというのか。現実がそのようにあるとして、笑うしかないじゃないか、と。他の作品も読んでみたくなる。
0投稿日: 2023.04.16
powered by ブクログ奇妙な物語、奇妙な人たちがたくさん。 先日読んだ『作者を探す六人の登場人物』の作者・ピランデッロ(ピランデルロ)の短編小説を集めた本。 戯曲のモチーフになったであろう短編も色々あり、面白い。 出てくる人たちが結構、妙な追い詰められ方をした妙な人たちが多くて、変人列伝みたいな趣がある。 お気に入りは どちらかが狂人である、という二人が、町の人々に「あの人が狂人です」と主張し合う 『フローラ夫人とその娘婿のポンツァ氏』 急に女性に向かって「バカヤロー!」と怒鳴りつけた男が決闘をする羽目になる、その繊細な動機を描いた優しい短篇 『使徒書簡朗誦係』 どっちも設定が攻めてる。
0投稿日: 2022.12.31
powered by ブクログ『紙の世界』が一番ドキドキした。 「それが彼の世界なのだ。紙の世界。彼の世界のすべて。」 滑稽だと描かれてるのは分かるのだけど、本の世界に閉じこもる幸せを知ってるから笑えない。 喜劇だし、皮肉なんだけど、何か悲しい。全部そんな感じ。生きてるのって喜劇で狂気なんだけど、自分の見える場所だけに自分の幸せがあるって背中押してもらった。 以下、いくつか気に入ってるの。 『月を見つけたチャウラ』 誰に必要とされて生きてるのか分かんない。だけど月を急に”見付ける”瞬間の幸せがくっきり描かれてる。幸せ。 『手押し車』 本物の狂気ってこういうものだな、ってゾッとした。だけどそれが幸せなのも伝わる。気持ち悪さの上に、抑圧の中の幸せを感じ取れて好き。
1投稿日: 2022.08.16
powered by ブクログイタリア人ノーベル賞作家の短編集。 薄めの本だけど、全部は読み切れず。 読んだ中では、「笑う男」が印象深い。 寝てる間ゲラゲラ笑っているらしいが、なんの夢を見てるのかは本人は分かっていない。妻からは「さぞいい思いをしてるのね」と蔑まれ、自分では、過酷な現実を忘れさせ心の錘を取り除く高尚な夢を見ているのだろうと思うことにした。 だが、ある時、夢の内容を思い出す瞬間がきた。 その内容のあまりのくだらなさ、下衆さに、うんざりする、というお話。(ここで書くのも憚られるくだらなさ。) 「手押し車」も、真面目で権威ある立場のひとが、くだらないことにハマっている、という点では、似たテイストだった。
3投稿日: 2022.05.14
powered by ブクログ「手押し車」が一番お気に入り。 アテクシ(男)自宅で仕事してるのインテリだから。いわゆる書斎ってやつね。子供達(四人いる)には、入っちゃ駄目だし自分がここにいる時にはうるさくするなって言ってあるの。 だから快適よ! 。。。なんだけどさ、実はうちには犬がいてね、当然のようにアテクシの仕事場で、さも自分の犬小屋のようにぬくぬく昼寝してる訳よ。理由はないんだけど何かムカつくの。さあ、歩いてみなさいー、それえー!(犬の前足を手に取り無理矢理二足歩行させる=手押し車)おほほう!これがアタシの復讐の仕方よ!
1投稿日: 2020.12.26
powered by ブクログイタリアのノーベル賞作家。最近またじわじわとイタリア文学ブームが自分の中でキテる。皮肉がきいた短編集。「ひと吹き」が好きだった。
0投稿日: 2018.12.18不安定な結末がある
イタリア(シチリア)の名前や生活がピンとこなくて最初は戸惑いましたが、知らずに取り込まれてしまいまし。各短編に「決定的な結末」がなく不安定な気持ちです。各章、はたしてどちらが本当のことなのか?という流れ。でもガリガリ事件が起こるわけではなく、少しづつ引き込まれます。 強い共感とわかりやすい感動ばかりが本の楽しみではないのだなぁ。
4投稿日: 2015.03.01生への気づき
イタリアの作家・劇作家ピランデッロの短編集。一つ一つの短い物語には、炭鉱夫、農民、法律家、修道士など様々な人の生き様が書かれています。この短編集に収められている作品には、死や狂気という主題が扱われているのですが、死や狂気は「生への気づき」の契機であったり裏返しであったりします。ここでいう「生への気づき」とは、医学的・生物学的な意味ではなく、哲学的・根源的な意味のものです。 例えば、「木々」という物語では、経済的に破綻した男マッテオが、自死を決意して自ら墓場に赴く様子が書かれています。自ら墓場に行くのは、残された家族が自分の葬式に少しでもお金を遣わなくて済むようにという非常に打算的で死ぬ間際までも現実的な理由による行動でしたが、いざ墓場へと歩き出してみると死を決意した心には世界が大きく変化して見えたのです。 『木々……おお、なんという驚き!木はこんな姿をしていたのか。これが木だというのか。』 主人公は、死を決意して、死の間際になって、「生への気づき」が訪れ初めて世界を真直ぐにそのままの姿で見ることができるようになりました。安楽に暮らすことだけに心を奪われている者や毎日の仕事に没頭している者は生という海に溺れている状態にあり、真の意味で生に気づいていないし、世界を真に見てもいないのではないでしょうか。 本書は、「生への気づき」を教えてくれる佳作であると思います。ピランデッロの登場人物に対する暖かい眼差しと、人生という現実に対する冷めた諦めの感情が織り交ぜになって、甘くも苦い複雑な味わいの作品集になっています。
5投稿日: 2014.11.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
1934年にノーベル文学賞を受賞したイタリアの作家の短編集。 私はこの作家を知りませんでしたが、どうやら劇作家としてかなり有名だそうです。 本書に収められているのは寓話のような物語ばかり。 『ミッツァロのカラス』では、鐘の音を鳴らしながら空を飛びまわるカラスと農夫の戦いを、『ひと吹き』では息を吹きかけるだけで人に死をもたらす能力を持ってしまった男を描いています。 一見、軽妙な筆致で書かれている短編集ですが、物語の登場人物たちは、持ちたくもない能力やら不相応な扱いやらを生きなければならない悲劇的な運命を背負っています。そこに、抗いようもない力に左右される人の生という、作者の深刻な現実認識が感じとられました。 最後の短編『ある一日』は一日に人の一生を圧縮したような物語。奇しくも作者が亡くなった年に書かれたもので、晩年に人がどのように人生を感じるのかを考える上で、参考になりそうな作品です。
0投稿日: 2014.05.17
powered by ブクログ当時のシチリアにおける硫黄鉱の惨状がよく描写されている。知恵が遅れたチャウラが鉱山から出てきて月を眺めるシーンはピランデッロが鉱夫に対する哀れみが感じられる。真っ暗な鉱山とチャウラを照らす月明かりの対比が印象的だった。
0投稿日: 2013.11.27
powered by ブクログ光文社古典新訳文庫にハズレなし。いきなりの表題作「月をみつけたチャウラ」の息をのむラストショットの見事な詩情は無論、「手押し車」の予想外のオチはちょっと凄い。鬼気迫るとはまさにこのことだ。スプラッタな無差別殺人描写を、狂気の描写と勘違いしている凡百の作家もどきは、全員この「手押し車」を100回以上黙読すべきだ。この哀しみと滑稽とさらに凡庸(!)を基盤にした恐怖の描写は、そうそう味わえるもんじゃないw すばらしい。
0投稿日: 2012.12.18
powered by ブクログ青森っぽい喩えで言うなら、スルメのような本です。よく読まないと(何度か読み返したりしないと)、その奥深さがわからない…
2投稿日: 2012.11.24
powered by ブクログ読むのに結構時間をかけてしまった。 各話、独立している。ストーリーとして似ている話がない。 その中でも、標題作は浮いている。 素直な話だからか。そして、他の話がひねくれているからか。 結局なんだったんだろう、一体。話はここで終わったみたいだけど、どういうこと?という話が多かった。 甕、使徒書簡朗誦係なんかは分かりやすい。 貼りついた死はあまりに理解できなくて2回読み。
0投稿日: 2012.11.12
powered by ブクログ「毎日新聞」2012年10月28日付朝刊の書評で 知りました。 (2012年10月29日) amazonで買いました。 (2012年10月31日) 読み始めました。地下鉄御堂筋線。 (2014年1月2日) 読み終えました。山手線恵比寿駅。 (2014年1月4日) 「登場人物の悲劇」「フローラ夫人とその娘婿のポンツァ氏」「ある一日」は、とんでもなく傑作。 (2014年1月4日)
0投稿日: 2012.10.29
