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冬のフロスト 下
冬のフロスト 下
R・D・ウィングフィールド、芹澤恵/東京創元社
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総合評価

36件)
4.3
17
11
6
1
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今回のバディは、スケベでドジなモーガン。 いくらなんでも、こんな刑事はいないよなあ。 でも、それを言えば、そもそも主人公のフロストみたいな警部自体がありえないのだけれど。 今回も、いつものフロストや、同僚達、マレットなどのデントン署の面々に会えて、嬉しくてにんまりしてしまった。 いままでの作品同様、何件もの事件が同時多発し、どう解決していくのか、期待しながら読んだ。 リズが拉致されてしまった事件はちょっとショックだった。リズは本当に堕胎したのか?(と思うけど)退院早々に、こんな目に遭ってしまったが、もっとリズの活躍ぶりを見たかった! 最後の終わり方は、エラリー・クイーンの小説のようでかっこよかった!! なるほどね、っていう感じ。本格推理小説みたいで。 とうとう、これで未読は「フロスト始末」だけとなってしまった。寂しさが湧き上がってくる。 本当は、すぐに読みたいけど、もうしばらく時間が経ってからにしよう。

    3
    投稿日: 2023.12.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不安要素なモーガン君。 やらかしてくれました。 もう、登場時点から、フラグたちまくりだった君。 上巻で事故起こした時も、「ああ、ほら、やっぱり」って思ったけど、 下巻でも、予想通りにやらかしてくれました。 期待を裏切らない。 けれど、捜査が進展したのは、彼が通っている歯科の受付嬢が殺害されて、最初、その被害者が娼婦っぽくなく、誰なのかわからなかったのに、モーガンが気付いたあたりからでしたから、まぁ、役に立ったのか? とにかく、モーガンのお陰で、リズが犯人にさらわれてしまうことに。 リズのことが心配で心配で。 バートンがイライラするのが伝わってくる。 リズ、バートンに愛されてますね。 とにかく、助かって良かった。本当に。 リズとバートン幸せになってくれ。 犯人がやっていたタクシーの無線探知、まさか、あんなに堂々と!? これはやられた。 そして、犯人が女性だったとはね。 少女の殺人に関しても、フロストの勘は間違っていなかった。 やっぱり、ヤツが犯人だったんだ。 あのおばさん、怪しいと思ってました。彼女が加担したんだね。 いやもう、あっちもこっちもハラハラすることだらけでしたよ。 気になって気になって一気読みよ。 ヴィッキーのお母さんのシーンは、涙止まらなかったなぁ・・・ 警察を攻める親ばかりだったのに、このお母さんは・・・

    0
    投稿日: 2023.04.20
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    流石にシリーズ5作目ともなるとマンネリ化は避けられませんが、癖になるストーリー展開はなぜか読んでいて安心出来る、水戸黄門の様な中毒性があります。今回も名作「サウンド・オブ・ミュージック」を「おつむのネジがハズレたように歌いまくる尼さん軍団云々」と下品さ絶好調です。養老孟司氏の解説もコンパクトでよろしい。

    0
    投稿日: 2022.10.16
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    作中のニ大事件の顛末が消化不良。リズ・モード警部がどうなったのかも語られず。 途中で出てきた老婆と知的障害のある息子の事件が一番衝撃的。 今まで読んだシリーズの中でちょっと劣るかな…。十分面白いけどその後が足りない。 オチはかなり良い。 次がラスト「フロスト始末」

    1
    投稿日: 2022.06.19
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    自分にとってイギリスの正統派ミステリはなじみが薄いが、この作品は別格で世界を代表する警察小説の金字塔だと勝手に思っている。 主人公のフロスト警部は風采が上がらない、行き当たりばったりのいい加減なオヤジ。 更にセクハラたっぷりの下品なトークの連発となれば、ユーモアを通り越して引いてしまう場面も多い。 しかし、知らないうちにこの人物の魅力にぐいぐい引き込まれてしまうのが不思議だ。 気づいたときには上下巻1000頁を一気に読まされてしまうのだ。 本国イギリスでは1984年の『クリスマスのフロスト』からシリーズが始まり、現在2008年に発表された『A Killing Frost』までが出ている。 シリーズは『A Killing Frost』で完結となる。その理由は著者のウィングフィールドが2007年に亡くなっているからだ。邦訳は2020年以降となるという情報もあり、いつの日か原書版のペーパーバックに挑戦してみようかとひそかに思っている。 ともあれ、パワフルで、下品で、やさしくて、人情味があって…そして哀愁が漂うフロスト警部。 猛烈に忙しい主人公の魅力に、どっぷりとはまらせてもらった。

    0
    投稿日: 2021.01.26
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    微妙に全部のフラグを回収しきれていないのでは?と思う気もするけど、まぁ細かいことを気にするのはやめにしよう。

    1
    投稿日: 2020.07.07
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    このミス海外編2014年版3位。フロスト警部シリーズ5作目。このシリーズめっちゃ好きだわ。とても長いのだけど全編ユーモアに溢れており、フロストの発言の9割ぐらいは冗談ばかりだし地の文も笑わせる。ずっと面白いコントを見続けてるようで無尽蔵のネタが圧巻。次々に発生する事件と行き当たりバッタリで失敗ばかりの捜査もスピード感が溢れていて、どこをとっても無駄で退屈な部分がなく一気読みした。何年かぶりかで本に夢中になって電車乗り過ごした。後半は物語もクライマックスになって読んでいて鳥肌が立つぐらい興奮して話しに没頭した。感動するところもあり、最高のエンタテーメントでした。

    1
    投稿日: 2019.11.30
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    大好きな英国警察ミステリーシリーズの第5作目。 主人公のフロストは、架空都市デントンで勤務する中年の下品な警部。このシリーズは、デントン署で立て続けに発生する事件を、フロストが当てずっぽうに解決してゆく顛末を描きます。 我々が目にする多くの警察モノは、ある特定の事件を追う刑事を描きますが、このシリーズでは、大小複数の事件が同時に発生します。設定としては異色ですが、その方が現実に近いと思います。ちょうど、我々、サラリーマンが扱う色々な懸案事項を同時に対応しなければならないことに似ています。 今回、発生する事件は、少女行方不明、売春婦連続殺人、ショットガン強盗、「怪盗枕カヴァー」事件などなど。さらに性欲だけが強い無能な部下と、出世と保身しか考えない上司。どこの会社でもありそうな中間管理職の悲喜劇が厚めの文庫2冊にぎっしり詰まっています。 パワハラやセクハラの一線を超えてしまうフロストの言動、お互いに軽蔑し合っている上司とのやり取り、新しい事件の発生するタイミングの悪さ、フロストの非効率的な捜査活動には笑えます。しかし、本書は非常に練られたプロットが詰め込まれた傑作警察ミステリーです。その証拠に2013年のこのミスで3位、文春ミステリーでは6位を獲得しています。 フロストを反面教師としたビジネス小説としても楽しく読めるかもしれません。お勧めの★★★★。

    1
    投稿日: 2019.05.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    フロストシリーズ 第5弾 今回は推理小説ぽい感じでなかなか事件が解決されず、こいつが犯人だと思っても違っていたりして最後まで2つの事件が解決されずに進む。 フロストの人情味がこの書では全開で、相変わらずハチャメチャだけど全てが許され応援したくなる。一方署長のマレットは増々フロスト虐めに拍車がかかり駆け引きが面白い。 フロストがどんどん好きになっていくのだが、ただ1つ殺された被害者宅の捜査で、住人が居ないのにタバコを吸って絨毯に灰を落とす行動が納得出来なかったので残念!

    0
    投稿日: 2019.04.09
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    相変わらずの面白さだが流石にワンパターンになってきた感があり。マンネリ=安定感であり、自分としては肯定的ですけど。フロストは署長の理不尽な叱責にもめげず諦めない責任感・正義感があるが、一方で捜査手法は適当でそのギャップがシリーズを追うごとに大きくなっている。ユーモア小説ではなくユーモアのある主人公がハードでシリアスな事件に翻弄されるハードボイルド小説として読み終えました。

    1
    投稿日: 2019.03.21
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    ある論文によると、落ち込んだとき気分転換に最適な余暇の過ごし方は、何よりも読書だそうです。個人的には納得の感。このフロスト警部シリーズは、ラヴゼイのダイアモンド警視シリーズと並んで、お気に入り。純粋な推理ものではなく、フロストの武器はあくまでヤマカン。推理小説としては変化球だけど、これが面白い。今回は事件がてんこ盛り過ぎて、正直、完全解決にはほど遠い。周りの警官も無能過ぎ、科学捜査のカの字もない。それでもやっぱり面白い。よい読書の時間でした。

    0
    投稿日: 2019.01.02
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    危機一髪から始まった下巻。最後まで大忙しのフロスト警部ですが、本編は本当に最後の最後まで引っ張ります。フロストの、身内に見せる優しさや情も見どころ。

    1
    投稿日: 2018.12.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    相変わらず、ドタバタしながら直感を頼りに捜査を進め、運が良ければ犯人逮捕、悪ければ訴えられないようぎりぎりの交換条件をちらつかせ釈放という垂れ流しの捜査絵巻であるのだが、何故かおもしろい。 フロストの根は真面目で正義感が強いところ、でもとにかく下品で皮肉を言わせたら天下一品であるところ、周囲の部下からはとにかく親しまれているところがじわじわと滲み出ているところ、などなど、あったかストーリーで肩肘張らずに読めるところが良いのだと思う。 タフィーが何かどでかい仕事をしてくれるのかと思っていたが最後までただのぼんくらだったのが、残念なような、これがフロストシリーズだと思うような。

    2
    投稿日: 2018.05.11
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    フロスト警部シリーズ。忙しすぎるのは変わりない。児童誘拐殺人事件、娼婦殺人事件、白骨死体事件、、といくつも同時に事件を抱え、どたばた捜査しながら解決していく話。署長にいらつき、無能な部下にあきれながら読み進めた。フロスト警部の会話や冗談のおもしろさは半端ない。誰にも聞かれてなくても一人でつぶやくところもいい。明るく楽しく読める警察小説。

    0
    投稿日: 2015.05.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    お気に入りのフロスト警部シリーズの今のところ最新の邦訳版。本を読んで思わず笑ってしまうことは、めったにないが今回は笑わしてもらいました。ただ、描かれる事件は笑えるような事件ではなく、それも同時進行で、多発するのだが、最後は全て解決してしまうという、作者はどうやって書いているのかと不思議に思う。これがイギリスの良質のミステリー。

    0
    投稿日: 2014.10.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    よくもこんなに事件が起きるな、と思います。 それにしてもこのシリーズは、日本語の表現が多彩です。横紙破り、業腹、身空などは普段使わないので勉強になりました。また「掛り合いになりたくない」はずっと「かかわり合いになりたくない」と思ってました。。。訳も秀逸で楽しめるミステリーだと思います。 あと1シリーズで終わりとは残念すぎます。

    0
    投稿日: 2014.10.12
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    下品な冗談も勘頼みの捜査も芋兄ちゃんのダメっぷりも何もかもパワーアップして、分厚さを感じさせない面白さて一気読み。読み終わってから、あれ終わっちゃったと寂しくなる始末。覚えきれない数の事件を並行捜査し、それを全部解決するフロストは、実は凄腕刑事なのではなかろうか。なによりそれをししっかり書ききる作者の腕と訳者の技量が際立つシリーズも、あと一作。心して待とう。

    0
    投稿日: 2014.08.10
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    後半になってもドタバタ続き。それがなんとなく終息していくのが面白い。怪盗マクラカヴァーはちょっとあっさりすぎだけど。結局モード警部代行の病欠は何か意味があったのだろうか。初め思わせぶりだったけど、結局そのままだったような。

    0
    投稿日: 2014.06.25
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    私の評価基準 ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版 ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ ☆☆ 普通 時間があれば ☆ つまらない もしくは趣味が合わない 2014.4.26読了 上巻に合わせて記載

    0
    投稿日: 2014.04.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    少女誘拐連続殺人、売春婦連続惨殺事件、マクラ窃盗など未解決事件に奔走。 長い小説でもいつもは下巻の途中から解決に向かっていってた気がするけど、今回は最後の10ページとか20ページで解決だったから、ちょっとイラッとしちゃったかも。 でも、作家さんが亡くなっちゃったから、次作で終わりなんだっけ。それは哀しいな。

    0
    投稿日: 2014.04.07
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    (上巻より続く) 後半も、 史上最低の部下、芋にいちゃんの活躍もあり、 フロスト警部の暴走もあり、 大混乱。 しかもここまで来て?というタイミングで、 新しい事件が発生したり、 かなりハードな展開もあり、 最後まで気が抜けない。 既刊のフロスト警部シリーズはこれが最後。 場所をわきまえない、お下品極まりない警部の冗談にも、 多くの警察署員同様、 苦笑して流せるようになったのに、 かなり淋しい。 もちろん、それでもたまにみぞおちを殴られたように、 笑いの爆弾を撃ち込まれることもあるが。 ほんとに可笑しい。 まだ未訳の作品があることが唯一の望み。 早く、出版してほしい。

    0
    投稿日: 2014.02.21
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     フロストを読むのは実に久しぶり。何を隠そう17年ぶりにこのシリーズの中二作をすっ飛ばして最新翻訳作品に卑しくも手を伸ばしてしまったのだ。そしてこのシリーズの凄みに、まるで今初めて出会ったばかりのように、ぼくは改めて驚愕するのだ。そしてこのシリーズへの評価を新たにする。そしてその手応えの確かさに酔い痴れる。  このシリーズ、いちいち分厚い翻訳小説である。この厚みと丁寧な翻訳の手仕事こそが、フロストシリーズの翻訳を難航させているのだろうなあ。何しろ、この作品だって、イギリスで刊行されて14年目にして日本にその翻訳の成果が披露されるわけだから。今時の14年と言えば決して短くはなかろう。携帯電話だってコンピュータだって、自動車だって、輸送機関だって、もしかしたら紛争地帯の国境だって、その頃と今ではまるで違ったものに変わっていやしないだろうか? 警察小説ということで言うならば、捜査技術そのものだって変貌を遂げているかもしれないのだ。CSIみたいに科学捜査技術が最前線で活躍する、というような。  そういう意味で言えば、このシリーズはある意味古き良き時代の警察小説であるのかもしれない。そんな時代背景の中で今と決して変わらないものを読み、発見することができるから、今と同じ面白さやスリルやぶつかり合いを見ることができるから、このシリーズは人気を博してやまないのかもしれない。  確かに犯罪者が犯罪に来る心理や、犯罪を構成する世の中の仕組みであったり、警察官が有する犯罪を憎む心情といったものは、時代を超えた普遍のものであるかもしれない。フロストは殺人事件の被害者の惨状に眼を背けず、犯人を憎む気持ちに拍車をかけて、疲れた体に鞭を打ち続ける。誰かがやらねばならないのだ。犯人の手首にお縄をかける仕事を。冬の真夜中の寒さの中だろうと、寝不足が連続する状況の中であろうと、人は足りず、警察組織は検挙率表を手にフロストの背に迫ってくるのだ。  そんな辛い過酷な状況を笑い飛ばすかのようにして、下品でユーモラス極まなりない、マイペース刑事部長フロストの活躍は、休むことなく続く。事件は次々とデントンの街に沸き起こり、フロストの行動は止むことを知らない。スラップスティックのブラックな味わいで全体を明るく進行させながら、様々な人間模様を、同時多発的複数事件の捜査を通して描き切るこの作家の筆力を今さら語る必要もあるまい。放送作家としてならした途切れのない娯楽作品作りのコツを有しているとしか言い様がない。  今回も、モジュラー型小説と言われる多様な捜査描写が凄い。少女連続誘拐事件、売春婦連続殺害事件、ショットガン強盗、フーリガンの一団、怪盗<枕カバー>、等々。毎日のように死体発見現場に向かい、翌朝は必ずのように検死解剖に立ち合い、マレット署長の小言から逃れ、交通費の割増請求をやりくりし、若い無能なスタッフを庇いつつ、署内捜査スタッフを切り盛りする手練の腕前がとにかく凄い。まさにジャック・フロストではなくては務まらない、奮闘ぶりに喝采である。  ちなみにデントンはシェフィールド、リーズ、リバプールで描く三角形の丁度真ん中に位置するロンドンよりはだいぶ北部の街。ウィングフィールドは2007年に世を去っているが、残り一作の未訳が残され、これも過去作品同様に日本の読者に期待されている。本シリーズは『フロスト警部』の名でTVドラマ化されており、日本ではスカパーなどのミステリチャンネルで放映されてきた様であり、ぼくはこれを見る機会に浴していない。

    1
    投稿日: 2014.02.09
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    フロスト警部シリーズ第5作、下巻。 面白かったです! 人員不足のさなかに次から次へと起きる事件は、硬軟取り混ぜた種類の雑多さがにぎやかで、テンポよく描かれるために事件のひどさはいつまでも残りはしない。 深刻な事態の中で睡眠不足になりつつも、とんでもないジョークを飛ばして皆をあきれさせるフロスト警部。 これぐらいタフじゃないと、警官なんてやってられないかも? 何しろ陣頭指揮をとれるのはフロスト警部ぐらい。 気が合わないマレット署長は、捜査の失敗をフロストを左遷させる機会ととらえるのだが‥そうは問屋がおろさない? どう転ぶかわからない展開で読ませます。 ふとした機会に見せるフロスト警部の心配りが印象的。 訳文もいいので、気分よく読み終われました!

    3
    投稿日: 2014.01.09
  • 安定の面白さ

    フロストが使えない部下に窮地に陥れられながらも彼を必死ですくい上げようとしているところがいい。 フロストも丸くなったものだ。 なんだかんだ言って捜査熱心だし部下思いだし上に諂わないし、いいやつなんだよな、フロスト。 下品だけどw しかしこれで残り一作か。 早く読みたいような、ずっと待っていたいような…。

    0
    投稿日: 2013.12.23
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    フロスト警部シリーズ5下巻。 面白い。どこがと言われると困るが、会話のテンポとスピーディな展開が飽きさせない。全くロジカルではなく当てずっぽうなカンのみで推理し捜査するため外れて失敗する事も多いが、結果オーライ。娯楽として読書するには最適だと思う。

    0
    投稿日: 2013.12.21
  • 切り返しのうまさにうなり、真相の奥深さに慄然とさせられる

    フロストのきわどいジョークが注目されるが、病院の用務員のうまい切り返しには思わずニヤリとさせられた。その後のフロストの仕返しも非情で笑えるが。 他にも脇役との何気ない会話にクスリとさせられ、こうしたやり取りがフロストシリーズの大きな魅力の一つなんだよなと改めて感じた。 肝心の捜査過程は、今回も行き当たりばったりで、フロスト自身が「どでかいつき」を待ち望むほど、読者もやきもきさせられっぱなしだった。 一見するとコージーなユーモア小説と思われがちだが、それを期待する読者には時に刺激が強すぎるほどサイコ的かも。 考えてみると、それぞれの事件の中心には女性がいて、その決然とした態度や伺い知れない心情を思うと、寓話的かと思っていた作品が生々しく現実的になる。

    0
    投稿日: 2013.12.13
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    これでもかってくらい失敗を繰り返して それでも、あまり反省している様子でもなく 落ち込みもせず、能天気な部下を ひたすら庇うフロスト警部って 懐が深いなぁ

    0
    投稿日: 2013.11.15
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    好きだなあ、フロスト。何でこんな、二言目には(いや一言目から)下ネタセクハラ発言ばっかりのさえないオヤジが好ましいのか、自分でもわからん。この新作は本当に楽しみにしていて、一気読みできる日まで寝かせておいたのだ。 で、フロストは相変わらずフロストだった。捜査は行き当たりばったり、大嘘ついて自白を迫り、くだらなーいジョークを連発し、不眠不休のワーカホリック、よれよれの風体で顰蹙を買いまくる。このシリーズはどれもいわゆるモジュラー型で、大小取り混ぜいろいろな事件が起こるのだが、今回はシリーズ最長だそうで、次から次から事件のてんこ盛り、デントン署は大忙しだ。 もちろん最後にはどれも解決するわけだけれど、別にフロストの推理がさえていたからとか、勇敢な行動があったから、というわけではない。そこが面白い。勝手に犯人の方から自白してくれたり、棚ぼた式に一丁上がりとなるものもあったりして、ニヤニヤしてしまう。どの「真相」もなるほどと思うもので、まったくうまい。 もちろん、そうして「解決」するのはちいさなヤマで、娼婦を狙った連続殺人事件と、子どもの行方不明事件はそういうわけにはいかない。ここではフロストの直感と、絶対に諦めないブルドーザーのごとき突進力がものを言う。今思ったのだが、あの刑事コロンボをうんと下品にして、名推理を抜いて、後先考えない行動力をくっつけたら、フロストのイメージに近いかも。いやあ、とんでもないな。 それにしても、読むことそのものがこれほど楽しいミステリーもそうはない。大小の事件の決着がどうなるかという興味だけではなくて、フロストの言動一つ一つに、おかしさと人間味があって魅力的だ。フロストが、殺された旧知の売春婦セアラの若い日のことを語る場面と、九死に一生を得たリズ・モード警部代行に示した思いやりが心に残った。

    3
    投稿日: 2013.10.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    はっきり言って扱われてる事件は、半端なくエグイ物語です。冒頭から、少女行方不明事件、強盗事件、果ては売春婦殺人は、連続事件に発展し。次から次へとデントン警察、つまりはフロスト警部の肩にのしかかってきます。このようなミステリーはモジュラー型警察小説と言われているそうですが、このフロストシリーズは、その中でも面白さは群を抜いていて、読んだことのない人にもお勧めしたいです。 事件はひどいが、あえて面白いと言ってしまうのは、 1. 圧倒的なスピード感、物語の面白さ、文章の面白さです。(これには翻訳者の功績大です) この小説は、間違っているかも知れませんが、昔の東宝映画、社長シリーズや無責任男の警察バージョンではないかと勝手に思ってたりしています。 2.やはり主人公フロストの魅力につきます。むさ苦しい恰好と風采、いつも下品な冗談ばかり。しかしそこには、確固とした信念があり、血や肉が通っている人間として見事に描かれています。天敵なマレット署長や容疑者に対して屁ともしないフロストは実にカッコよく、痛快でさえあります。 個人的には、日本で言うとイメージは俳優の伊藤四朗さんなのですが、どうでしょうか? 3.フロストだけでなくデントン署の面々も実に生きいきと描かれています。女性警部代行に対して敵愾心を持つ、ビル・ウェルズ巡査部長から規則にこだわり続ける眼鏡猿マレット署長までここに登場する全ての人が人間的に描かれているのは素晴らしく、またフロストとのやり取りが実に楽しく 笑ったり、時に溜飲を下げること請け合いです。

    1
    投稿日: 2013.09.04
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    あぁおもしろかった。 今回は前代未聞に冴えない刑事、モーガンにさんざん尻拭いをさせられる哀れなフロスト警部・・・。 でもそんなダメな部下の失態も自分の落ち度として落ち込む彼が素敵です。 1つのストーリーの中で、沢山の事件が並行して起こる形式は ミステリではあんまりないよなー。 あってもこんなに面白い小説は他に知らない。 何と言ってもフロスト警部の人間味あふれる人柄と、下品なジョークがたまらない。 全体的にコミカルな雰囲気で話が進んでいくのも読んでて飽きません。 作者はもう他界されているので、翻訳されて新刊で出てくるのはあと1作・・・。 残念でなりません。

    1
    投稿日: 2013.08.23
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    マンネリに嫌気がさして何度か萎えそうになった前半。 どこが分かれ道だったかな… 結局さいごは、徹夜読み

    0
    投稿日: 2013.08.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    このくそ忙しいのに,2日で読んでしまった.上巻のレビューでも書いたけど,今回もフロスト警部は絶好調(=絶不調).行き当たりばったりで不眠不休の遠回りを続けたのち,執念が実って最後には“神様が降りてきて”無事事件解決,といいたいところだが,今回は無事でもないか.もう一つの事件も首の皮一枚繋がって何とかゴール,といった感じ.まあ,何とか全て落とし前はつけてくれます. しかし,シリーズ当初は署内の鼻つまみ者的描き方だったが,何だか段々デントン署のみんな(マレットを除く)にとっての愛すべき上司になって来ちゃってるなあ. 次作がいよいよフロスト最終巻,兼,ウィングフィールドの遺作です.翻訳が待ち遠しいような,そうでないような.

    0
    投稿日: 2013.08.16
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    やっと出た、フロストシリーズ最新訳! 内容?内容は、「マンネリ」の一言です。汚いえび茶色のマフラーをしたフロスト警部に、上昇志向のゴマすり署長、気はいいけど冴えない同僚たち、フロストの足ばかりひっぱる部下。そして、今回もフロストはとにかく眠れない。ようやっと深夜に冷たいベッドにもぐりこんだと思ったら新たな事件でたたき起こされ…。 次々起こる事件が多すぎて、読者どころかフロスト当人ですら「いけねえ、すっかり忘れてた」こともしょっちゅう。 しかーし、フロストシリーズに限っては、どれもこれもが「よっ、待ってました!」って感じです。ビバ、マンネリ。 それにしても、今回も翻訳の素晴らしさに舌を巻くばかり。 「そんなのはとっくのとんまに知っていた」とか 「御意でござるよ」なんて、いったい原文はどうだったの?? 日本でのこの人気、フロスト警部の下品な魅力だけでなく、訳者の力に負うところが非常に大きいはず。 著者はすでに故人のため、残るはあと1作…。訳了までどれくらいかかるでしょうか。寂しい気持ちで待ちます。

    1
    投稿日: 2013.08.16
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    なかなか面白かった。 次々起こる事件と、行き当たりばったり捜査の果てに明かされる数々の真実と軋轢など、さすがですね。

    0
    投稿日: 2013.08.15
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    状況は混沌とし錯綜したまま、追い詰められていくフロスト警部 「つき」を必要とし、「つき」を探し求める警部 そしてついに「つき」を引き寄せ、事件はすべて解決する。 すべては「つき」があったから。「つき」が「つき」を呼び寄せる。

    0
    投稿日: 2013.07.20
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    いやあ面白かった。いい加減で、行き当たりばったりな捜査が、怒涛の展開で見事に実を結ぶ気持ち良さときたら ♪。フロストシリーズも残り1作。早く読みたいような、読み終えるのがもったいないような……

    0
    投稿日: 2013.07.09