
総合評価
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powered by ブクログルートから外れた道=バリエーション。登山の中に仕事の話がリンクし、本当の危険とは何かがオーバーラップする。リスクと好奇心は表裏一体、バリの達人、妻鹿さんに魅せられる。読後は山に登りたくなりました(バリはしませんが…)
6投稿日: 2024.08.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
文藝春秋にて バリ バリエーションルート 危険すぎて行けない 会社がどうなるとか そういう恐怖とか不安感って 自分が作り出している 聞こえるのは山の音だけで、あとは自分の呼吸と足音。 自分は何ものでもなくて、満たされる感じになる
0投稿日: 2024.08.30
powered by ブクログ山とは普段は縁がないのだが、先日片道1時間半の登山をしてヒィヒィ言っていたところだったので、身体を動かす感じなどを想像しやすく楽しく読めた(バリ山行はとても出来やしないが)。 先行きの不穏な会社の中でうまくやりたい主人公・波多は少し気負いすぎじゃないかと思ったが、誰しも余裕がない時はこんな感じだろうか。藪の中を突き進む不安感が先の見えない社会生活とも被り、読者である私たちも雑木林の中で戸惑う。進める方向を地道に探り、斜面を攀じ登っていく妻鹿さんのような人はきっと強いだろう。
2投稿日: 2024.08.30
powered by ブクログ建設的ではない、未来は曖昧なのに、なぜか胸が熱くなる。ひとりで自然を相手にすると、強く自由を感じる。
0投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログ故郷の山を題材にし、芥川賞を受賞した作品ということで読了。個人的に、山を登る際の情景描写が素晴らしかった。岩や土や藪等に関する表現を通じて、まるで主人公の視点で山を登っているような感覚を得られた。 本書の中で特徴的な登場人物はやはり妻鹿さんだが、彼が何故バリをやるのか、何故会社を辞めたのか、何故人とつるまないのか(なのに何故、藤木常務とだけは懇意にしているのか)等の点は、分かりやすく答えが提供されている訳ではない。これはきっと当人にも分からない、言語化が難しいことなのだろう(故に語られていないのだろう)とも思う。 が、敢えて解釈をすると、妻鹿さんは「今、ここ」に焦点を合わせられることを重視していたようにも思う。(一例でしかないが)父と弟が自身の扶養に入っている中で、何をしていても、どうしても色々な自身の役割について思いを巡らす、不安になることは出てくるはず。でも、バリをやっている限りは、今をどうやって切り抜けられるか、切り抜けられないと死ぬという極限状態に自身を投げだすため、自然と色々な悩みから解き放たれていく。これを「逃げ」と当初の主人公は捉えていたが、本当にそうなのだろうかと逡巡している時期に、妻鹿さんは会社を去ってしまう。そしてラストシーン。その先にどんな物語の展開が待っているのか、妄想が膨らむ。
5投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログ芥川賞Wのはしご。 こちらは分かりやすかった(サンショウウオの・・・) 純文山岳小説と帯にはあるが、通常の小説と変わりなく読めた。 パリ山行とは初めて知ったが、方向音痴、地図の読めない人間には考えられない修行である(笑) ただ、非日常とは違った純粋な追い込み方、なぜか共感できる(似非ランナーとして) 著者のペンネーム、そして妻鹿さん、不思議な名前にも魅了する。次回作、待ってます。
11投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログ純文学はあまり馴染みがなかったけど、 バリ山行として道なき道を進み 死と隣り合わせになる中でのみ 見える景色があると知った。 その中で仕事と向き合うと、今の悩みなんてとてもちっぽけで、くよくよしていても仕方ないな、とも思うようになるのである。
2投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログ2024年上半期「芥川賞」受賞作品。サンショウウオの四十九日に続き、本作も読了。 公私、「仕事」と「家庭や趣味」、それぞれ影響し合う者とそうでない者が出会い、共にバリ山行する物語。自分は前者寄りであるが、後者の潔さに憧れる。そもそも、広い視野で読めば、人はなぜ働くのかまで、考えさせられる作品なのかもしれない。 さも、作品から得られたものは大きいようなことを書きつつ、また芥川賞にしては、だいぶ読みやすかったが、個人的には同時受賞のサンショウウオの四十九日の方が好き。 ★3.7
167投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログ生活のための仕事と、仕事を離れた個としての捨てきれないロマン。そのどうにもならない相容れなさ。 物語の前半こそ仕事一辺倒だけれど、バリ山行を境に妻鹿のいう「本物」が主人公の生活を侵食してくる。 どちらかだけが「本物」ではない。会社のゴタゴタの執拗なくらい事細かな描写が、その事実の動かしがたさを暗示している。 それでも孤独と冒険、リアルな手触りこそが人生の真実だと信じていたい。だから哀しい。 オモロイ純文との触れ込み。他人事とは思えない純文、とも言えるか。
2投稿日: 2024.08.28
powered by ブクログ主人公の気持ちもわかるし、妻鹿さんの芯の強さに対する怒りや憧れもわかる 自然の描写が細かい 自分が大事だと思って無理してやっていたことが、一人の人間の言動で馬鹿馬鹿しく感じる
2投稿日: 2024.08.28
powered by ブクログ芥川賞ということで手に取った。人生観を考えさせられるような話だった。主人公の気持ちが手の届く所まで描かれていて、気持ちがわかる。短くて読みやすい。文庫本の表紙をめくると、青いタータンチェックのマスキングテープがかわいい。
1投稿日: 2024.08.27
powered by ブクログリストラされて再就職した会社で、社内の付き合いを極力避けてきた波多だったが、登山に誘われてから何度か参加するようになる。 職場で変人扱いされている妻鹿が、藤木常務の退職で送別会を兼ねての山行に参加した。 そこで妻鹿が、あえてルートから外れる危険で難易度の高い「バリ山行」をしていることを知る。 妻鹿に興味を持った波多が、バリ山行に同行したいと言いだして…。 会社の業績が思わしくないなかの妻鹿との山行で命がけに挑んだ波多が感じたことは…。 思いの丈をぶちまけて、自ら妻鹿と離れてしまったあとの気持ちは想像できないのだが、ひとりでバリ山行に挑んだということは、妻鹿の気持ちを感じたいと思ったからだろう。 普通の登山も未経験な自分でも一気に読めるほどのめり込んでしまった。 山は、危険で怖いけれど奥深いものがある。 山の魅力は、山行を経験した者だけがわかるのだろうか。 バリというのは、バリエーションルートの略。 通常の登山道ではない道を行く。 破線ルートと呼ばれる熟練者向きの難易度の高いルートや廃道。らしいが、素人なので初めて知った。
70投稿日: 2024.08.25
powered by ブクログ妻鹿さんは本当はどういう人間だったのか。会社に居場所がなかったわけではなく、本当は芯がしっかりあり、バリをしながら会社の未来を真剣に考えていたのではないだろうか。妻鹿さん自身は逃げてるつもりはなかったけど、あの一言によって決心がついたのではないだろうか。
23投稿日: 2024.08.24
powered by ブクログ山を登るということを通して、辛い苦悩の先にある何かが見える気がします。後半は何故か涙が出ました。悩んだ時・行き詰まった時にもう一度読み返してみたいと思える1冊。
4投稿日: 2024.08.23
powered by ブクログ前半は物語が停滞していて、あれ?となったけど後半にかけての上がり具合!読み終えたらとても良い作品と思えた。なんなら泣いた。 わたしは山登りをあまりしたことがないけど、山を登る景色、感覚、身体の状態、頭の状態が本当にリアルに伝わってきた。(瞑想に近い感覚な気がする)特に主人公の命の危機のあたりが素晴らしい描写だった…! 一人称語りのためか主人公の人格がわかりにくいけど、「自分」が「自分」を把握する感覚ってまさにこんな感じかなと思うのでそのあたりもリアル。 ストーリーラインも奇抜さや起伏が少ない一方で、綺麗事ではない、とても臨場感のある、凡人の物語だと思った。
1投稿日: 2024.08.23
powered by ブクログ登場人物のキャラが濃いところからも関西の空気を感じる。読んでみるまでタイトルの意味がわからなかった。 バリの魅力がわかった気がした高揚感の直後に突き落とされる落差に狂気すら感じる。 読ませる純文学、最高。
2投稿日: 2024.08.22
powered by ブクログ生まれ育った土地のバックにある山が舞台だと聞いて手に取った。私は登山と仕事は一緒くたにしたくないので妻鹿さん寄りかもしれない。しかし登山は1人でするもんじゃないという規律を刷り込まれてきたし、理由は主人公が命からがら教えてくれる。つまり誰にも自分を投影できなかった。ただしかし、山の描写が美しく、光や水の粒が目に浮かぶようだった。 一点、この妻の書かれ方ってどうなの?と腹も立つけど、仕事と趣味に没頭する夫がいきなり家事に立ち入れるわけもなく、いわんや妻の気持ちを気遣えるわけでもなく、リアルだなと思う。 「束の間のひとり暮らしで私が部屋を散らかさずにいたことよりも、休みの間に大掃除のひとつもしていなかったことに妻は怒った」というのはめちゃリアルなケンカの種。大掃除のひとつもしていてくれよ。妻が仕事と趣味に没頭するほかの小説を手に取って、この苛立ちは解消するとしよう。 今後、駅前で泥だらけのウェアに身を包んだ1人ハイカーを見かけたら、「この人バリや…」という目で追ってしまいそう。
1投稿日: 2024.08.22
powered by ブクログ芥川賞受賞したので読みましたが、なんなのこいつ。どうしても奥さんの立場で見てしまうので腹が立つ以外無いです。でも世の中はこういう旦那ばかりなんでしょうね。くそ
5投稿日: 2024.08.22
powered by ブクログ最高におもろい!リアルとは一体なんなのか、大切なものは一体なんなのか。生活こそが最重要とするハタの気持ちも分かるし、肉体感覚を信ずるのみとするメガの気持ちも分かる気がする。魂燃やして生きていくことが良いよねって言いたくなるけど、でも、生活は続いていくんだよね。 山の中で飲むコーヒーが美味しそうすぎて唸った。 あと、ハタゴニアは笑ってしまった。
2投稿日: 2024.08.21
powered by ブクログリフォーム会社に勤める主人公の波多が、社内サークルで六甲山のハイキングコースを歩き登山を始める。同じ職場にメガさんとゆう陰キャな感じだけど仕事では一目置かれている人がバリエーションルートの愛好家だと知る。 整備された登山道以外のところを好んで歩き一歩間違えれば遭難することもありえるところで五感を頼りに獣道や岩場、藪をかき分けてルートを切り開いていく冒険要素の強いところを歩くのがバリ山行のことです。 登山道から一歩外れたら人外魔境のように人に遭うこともなく危険動物に遭遇することも多くなるので登山をする中にあっては少数派に属し同じ山好きでも見える景色が全然違うのです。 波多がメガさんにバリに連れてってほしいとゆうことで、山行が実現する。普段無口なメガさんがバリに入ったら急に饒舌になるところなんか、こうゆう環境にいると生きていることを実感できる人なんだなあっとつくづく思ってしまう。こうゆう感じの人は同行者が命を落としても山を辞めずに淡々と登り続けていく人じゃないかと思ってしまいます。 仕事パートと山行パート、その狭間で揺れる心境。家庭パートが脆弱なのがちと寂しい。 彼らの職場には危機感があり人員整理の噂も広がるなかストレス持ったまま同行している波多とメガさんとの対比は人ぞれぞれのいろんな思いを抱えていることを実感できました。客観的にみれば、代休や有休とって平日も山に行けるところからすればまだまだ会社大丈夫だと思ってしまうし、波多も子育て世代なのに家族サービスもせず家庭は共働きの妻に任せっきりで1日中、山に行ってるとか六甲山系なら早出すれば午前中で切り上げて家事手伝ったりできるのに、ここら辺の価値観の相違も感じました。純文学ってことでどうなるのか勝手に読者は妄想するのですがBLぽっさや家庭崩壊も匂わせてくれましたw ※単行本を図書館で予約して読もうかなあって思っていたのですがまだ置いてなく、文藝春秋9月特別号の芥川賞掲載版で読んだのですがこちらのほうにレビューしました。選考評もついてるし「サンショウウオの四十九日」も読めてお得感あります。
94投稿日: 2024.08.20
powered by ブクログ低山のリアルな描写、臨場感が伝わる表現力が素晴らしい。一方で、主人公の仕事や家庭の将来への不安、それを登山のバリエーションルートを通して表現するところが、一般的な山岳小説とは違って面白かった。
1投稿日: 2024.08.18
powered by ブクログ『自らの道を進むことの尊さ・大切さを「登山」を通して教えてくれる作品』 個人的な趣味・登山をテーマにした芥川賞とのことで、即購入し読了…( ̄▽ ̄) 自分が思う「登山」の魅力をしっかりと描いてもらえているように感じましたし、主題の選び方・扱い方も良い作品だなぁと(´∀`) 本作品では「バリ山行」が「自らの道を見据えて進むこと」の象徴として書かれていたのかなと。 一般的な登山と違って、分かりやすい山頂みたいな狙いもなく、みんなでワイワイとやるわけでも流行っているわけでもない、なのでそういった象徴的な要素が詰まっていたのかなと。 主題として捉えたのは以下の2点でした。 ① 他人に惑わされず、自らの道を見据えて進むことは大切であり、そしてそれは自らの幸せにも繋がる → バリ山行をやっている妻鹿さんは、たとえ誰にどう思われようが自分のやりたいこと・目標に向かって行く楽しさ・幸せを知っている だから他人の目が気にならない、ゆえに現実で問題が起きたときでも他人がどうこうではなく自らが正しいと思った行動が取れる(会社の他の人はあーだこーだいうだけで、結局何もしなかった) その結果、社長と揉めて辞めることにはなったが、これは別に悪い結果ではなく、本人はまた次の場所で自分の信じたことをやって幸せにやっていけるのかなと、最後のマスキングテープはまだバリをやれてるということなので、少なくとも生活に困らずに好きなことをやれている その強さ、普遍性を言いたかったのではないかと思う ②死に近付いた経験から生の実感を得ることができ、死に直結しない事象はある程度些細なことに思える → アウトドアをやっている自分からするととても良く分かる感覚、登山という経験を通して日常のどうでも良いこと(しょうもないマウンティング合戦とか笑)は多少気にならなくなる、妻鹿さんはそれを知っていただろうし、波多もバリ山行を通して「肚の底に豪胆な何かが居座っている」となり、色んなことが気にならなくなったのかなと あと、妻鹿さんがバリ山行を終えたときに波多に伝えようとしたことが何だったのか?、ここをどう読み解くか…ですが、個人的には感謝の気持ちを伝えたかったのかなと思いました。 妻鹿さんは自分のやるべきことを貫いている人ではありましたが、現状の会社の危機に対しては全てをやり切れてはいたわけではなく、それを波多と会話したことで気付かされたのかなと。 それにより社長への直訴に動くことができた、だから伝えたかったは感謝の言葉だったんじゃないかなと感じました。 ちなみに、何というかあまり芥川賞っぽくない?作品かな…とは思ったりしましたが、まあそこはあまりこだわるところでは無く、良い作品でした( ̄∇ ̄) <印象に残った言葉> ・ホントは山に道なんかないんですよ。昔の人はそうやってルートファインディング、もちろんそんな言葉もなかったけど、山に入って沢沿いとか尾根伝いに、歩けそうな径を探して歩いたんだよね。だからある意味でバリエーションっていうのが一番本来の山登りに近いのかもね。登山っていうのはちゃんと整備された道を、ある意味で僕らは歩かされているんですよ。(P37、槇さん) ・ひとりだからいいんだよ、山は(P80、妻鹿さん) ・この怖さは本物だろ?本物の危機だよ(P96、妻鹿さん) ・会社がどうなるかとかさ、そういう恐怖とか不安感ってさ、自分で作り出してるもんだよ。それが増殖して伝染するんだよ。今、会社でもみんなちょっとおかしくなってるでしょ。でもそれは予測だし、イメージって言うか、不安感の、感でさ、それは本物じゃないんだよ。まぼろしだよ。だからね、だからやるしかないんだよ、実際に(P115、妻鹿さん) ・山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか!本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ!生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!(P128、波多) ・脚を伸ばしソファに腰をかけたまま庭を眺める。クビになれば困る。不安もある。しかしそれでも、私の肚の底に豪胆な何かが居座っている。(P139) ・脚を伸ばしソファに腰をかけたまま庭を眺める。クビになれば困る。不安もある。しかしそれでも、私の肚の底に豪胆な何かが居座っている。(P139) ・峪を囲うミツバツツジの赤紫が目を惑わせるほど眩しい。ふと見るとその中の一本が、枝先にひとつ青い花をつけている。不思議に思って近づいて見ると、それはまだ新しい、あの青いタータンチェックのマスキングテープだった。(P161) <内容(「BOOK」データベースより)> 第171回芥川賞受賞作。古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。 「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」(本文より抜粋) 会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。
20投稿日: 2024.08.17
powered by ブクログ妻鹿さんの生きざまがいい。中小企業の建設会社で合理化に不安を抱えながら働く私と、協調性のない変わり者の妻鹿さんとのバリ山行を通した交流が綴られる。経営不振の会社の内情を裏地にして、登山の情景がアクティブ且つ繊細に描かれ、危険な箇所を通り抜けると参加してたかのような安堵と疲労感を覚える。 妻鹿さんの山行での至福の感覚に憧れる。「ずぅっとこんな径を歩くと、聞こえるのは山の音だけで、あとは自分の呼吸と足音。それが混ざって、なんか気が遠くなって、ボーッとしちゃって。そしたら感じるんだよ。もう自分も山も関係なくなって、境目もなくて、みんな溶けるような感覚を。もう自分は何ものでもなくて、満たされる感じになるんだよ」 束の間でも世俗を離れてそんな気持ちに浸りたくなる読後感でした。
15投稿日: 2024.08.17
powered by ブクログ2024.8.16 読了 なんかよく分からないんだけど、映画「ハートロッカー」を観てる気分になった。生と死、爆弾を撤去するスリリングさと快感。その感じを思い出した。 最後は妻鹿さぁーーん♡ってなりました。
2投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログ山登りの清々しさと危険さという非日常。対して零細企業の会社にいるときの閉塞感。このふたつの世界が交互に描かれる。 普通は山に登っているときの方が面白く、日常生活(仕事)はつまらなく思えるはずなのだが、どうにも波多は山にも仕事を持ち込んでいて鬱々とする。 その点、妻鹿は山にいるとき活き活きとしている。しかも、登山道ではなく危険な道を一人で行くというのに。 何かに没頭しているときに日々の雑音を全て忘れて集中できるというのは才能だと思う。波多もさぞや妻鹿が羨ましかったろう。 結果的に妻鹿は職を失った。ただ、なぜか彼に悲壮感はない。自分のやりたいことができないのだったら潔く去る。妻鹿がそう語っているように思えた。 妻鹿のように会社に阿ることなく生きる人は、実際いないだろう。(いたとしたら組織に押し潰されているはず)苦しいはずのバリ山行が、清々しいものに思えてしまうのは、俗世からの解放を表現しているように思えるからなのだろうか。
1投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
単純に自分の住んでるところに近い六甲山での話と聞いて読んでみました。芥川賞受賞作はトコトン理解が難しい内容が多かったが、今回のはすごい読みやすかった。また主人公の波多に共感できる部分も多く、あのとき私も似たような境遇だったのを思いました。この本を読んで、よし、私もバリしよう!とは思いませんが、続けているランニングでは確かにこれに近い感じがありました。 恐怖とか不安感ってさ、自分で作り出してるもんだよ、それが増殖して伝染するんだよ って妻我さんの言葉に現代のSNSに踊らされる人々や普段の生活で感じることなんかもハッとさせられて、連休中のいいタイミングで読み終えられたことが自分なりのバリを突き詰めようと感じました。
7投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログ会社と登山の描写を重ね合わせて展開が進んでいるのだが、あまり感情移入ができなかった。主人公の考え方に共感できなかったかならかな。ただ淡々と読むことは出来て、登山の描写は情景が想像でき、そこは楽しめた。
1投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログ第171回芥川賞受賞作品。ちょっと覚悟を決め読み始めたところ一気に読了。登山にハマった社会人が一人称で語るスタイルが心地よい。山は独りで登っても、皆でワイワイ登っても楽しい。仕事や人生とオーバーラップすることもあるし、作中にあるような“登山ハイ”や生死の危険を味わえることもある。とりとめない感想になったが、 “あぁ、山に行きたくなった!”
1投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログ山岳小説ははじめて読む。 山と街はどちらが危険か。 圧倒的な生と余韻を与えてくれる素晴らしい作品。 出会えてよかった。 主人公の波多が会社の立場やバリ山行で追い詰められた精神状態がリアル。 徐々に精神が崩壊しつつある姿を晒し、あんなに綺麗だった景色でさえ嫌悪に映る。 誰だって自分の命、立場が一番大事なんだからと綺麗事で片付けていないのが更に興奮した。 何より情景の描写がなんて美しい事か。 作者の自然に対しての大いなる愛と情熱を感じた。 決して派手な作品ではないと思うが、ラストにかけて波多の心境のうつろいと美しい情景に目が離せず、大袈裟な物言いだが読了した時胸が焼き尽くされるかと思った。
2投稿日: 2024.08.15
powered by ブクログ十数年前の選考会であれば、石原良純さんの御父上が「巫山戯た名前付けやがって」と怒りそうな筆名と、記者会見でのエキセントリックな恰好に、何年か置きに現れるクセ強さんかと思いきや、文体·内容共にオーソドックス
1投稿日: 2024.08.15
powered by ブクログ第171回芥川賞受賞作。 「バリ山行」という言葉がなんのことか知らなかったけど、登山ルートにはない外れたルートで山を登ることらしい。 文が読みやすく、内容も面白かったため一気に読めた。あと妻鹿さんのキャラがとてもよかった。 一方で途中から、自分でバリに連れて行ってくれと頼み、折角の有休も妻に子供を任せて登りに行ったのに、本格的なバリに入ったら妻鹿さんにイライラし、勝手に先に行って怪我して色んなことにキレてる主人公にちょっとなんだかな、と思ってしまった。 妻鹿さんはあのあとどこに行ったんだろう。 バリをいいとは思わないけど、多分不安はありながらも、あくまで「自分のことをするだけ」というスタンスでどこの派閥にも入らず淡々とした仕事ぶりは好感が持てた。
1投稿日: 2024.08.15
powered by ブクログ今年の5月初旬に初めて登山に誘われた。塔の沢なので初心者〜中級者向けではあったが、足の爪は血を纏い棒のような足で最寄の駅までたどり着いた。当分行きたくないなと思ったが、YAMAPアプリをみていると何故かまた行きたいと言う気持ちが湧いてきた。そんな経験をしたからか、非常に気持ちが入る物語だった。 中小企業の建設会社で働く主人公は、会社の登山サークル?に参加するが、メガさんと言う陰陽がある同僚の営業マンと過酷な登山を経験する事で、不条理な思いから何かを見出す物語。登山とはいえ低山での物語だが、道なき道を進むバリエーション山行と呼ばれるもので、建設会社におけるゼネコンとの関係性や立場における考え方の違いなどをおり混ぜながらストーリーは進んでいく。自分も感じているが登山はひとりで行った方がよく、色々な考えを巡らせる事ができる空間だと思った。
1投稿日: 2024.08.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第171回芥川賞受賞作。 転職して間もない波多は、バリエーションルートという通常の登山ルートではない熟練者向きのルートで登山をする妻鹿に戸惑いながらも次第にある意味魅入られ、ある日妻鹿とともにバリルート登山を敢行する。 就職した会社の行く末とバリルートと、自身の盤石ではない立場、令和のサラリーマンの悲哀、芥川賞には珍しい題材だなぁと思いつつリーダビリティに重きを置く著者さんの狙い通りさくさくと読み進んで読み終わりました。 芥川賞は候補作が発表されてから発表された雑誌でざっと目を通すんですがこちらは断トツ「読みやすいな?芥川賞で?」と思いました。芥川賞に馴染みがない人にでも手に取ってもらいやすそう。 芥川賞受賞おめでとうございます。 選評のレビューはこちら↓ https://booklog.jp/users/kei1122/archives/1/B0DB9FVVQP
2投稿日: 2024.08.13
powered by ブクログデビューから2作目でいきなりの芥川賞受賞。読んでみて納得。非常に完成度が高い作品。 話のあらすじとしては目新しいものはなく、他の作品と比べるとやや派手さにかけるので、一見この作品の凄さはわかりにくい。 だが逆にこの内容で最後まで飽きさせず、一気に読ませるのは凄い技術だと思う。特に登山の描写が素晴らしいのと、会社や家庭での描写との対比も良かった。 作者の取材力や想像力ももちろん大切ではあるが、自分が経験した事以上に確かな事はないわけで、作品に、作者の人生経験に裏づけされた説得力があり、それはいくら才能があっても若い人には書けない作品だと思った。 とにかく読みやすく、わかりやすく、そして何より面白い。設定や人物が突飛すぎて共感しにくかったり解りにくかったりする作品も多いが、設定にも人物にもリアリティがあり、本の世界に引き込まれてしまう。 そして、波多と妻鹿さん、対照的な2人ではあるが、作者がどちらかの人物に肩入れしたり語らせたりする事なく、視点が一定であるので、どちらの人物にも共感する事ができたし、ラストシーンの素晴らしさもより際立ったような気がした。 ネタバレ的な感想は書いてないのでぜひ一度読んで欲しい。
6投稿日: 2024.08.13
powered by ブクログ中小企業の危機と社内のあれこれ、そこから浮き上がる一人のベテラン社員と立ち回りに悩む主人公の山行… テーマの絡め方も上手いし、リアリティもあって小説としてよくできていて読ませる、のだが、これが「芥川賞」だと言われると、思うところがある。 芥川賞は短編小説の賞だと思っていたのだが、最低限の長さの制約でもあるのか、近年短編と呼べる中では長いもの(中編小説?)が多いように思う。というのも今回受賞した2作とも、もう少し短い方が魅力的な作品になったのでは?と感じる点があったから。例えば風景について同じ描写が何度か出てくると、そこに必然性を読み取るよりも、まず惰性を感じ取ってしまう。 必死に描かれている作家の方には申し訳ないのだが、無理矢理引き伸ばされていると少しでも感じてしまうと、もう読む意識がどんどんそっちに流れてしまって実にもったいないのだ。 作者の責任ではない、構造的な問題なのかもしれないが、気になってしまった。 ただ今回受賞の2作の中では、私は本作が好きです。
2投稿日: 2024.08.13
powered by ブクログ人性を登山に例えて、とだけいうと陳腐な感じもするが同じ登山でもバリルートという、一般の登山道ではないルートを行く登山と会社人としての生き方を対比させた物語。 道なんていうものは最初からあったわけではなく、誰かが切り拓いてそれが維持されるからこそあるのであって結局は自分が信じた道を行くしかない。バリルートを行く妻鹿さんは仕事でも自分の信じた道を進んでいたのだろう。 会社が危ないのでは?との疑心暗鬼からどこかに道がないかを居酒屋で小田原評定を繰り返すものとか、我先に辞めるものとか色々ある中で妻鹿さんの態度は今風ではないけど一つの在り方と思うし自分と似てるとも思う。会社やそれを支える顧客に対して本当に誠実なのは誰なのか…こういう感覚最近も感じてるので凄く共感できた。 会社として正しいと思われてるルートとそうでないルート、多分どちらも必要でそのバランスをとる藤木常務みたいな人がいい組織の要なのかな。中々に難しい問題か… 文体も読みやすく内容もわかりやすく芥川賞としては珍しいかもしれないけど、良い作品でした。
13投稿日: 2024.08.13
powered by ブクログ一時期アドベンチャーレースに出ていた頃のバリエーションルート(その当時はそんな言葉は知らなかったけど)をタイムを競うためにもがきながら進んでいたことを読みながら思い出した。近頃リスクに足がすくんでしまっている自分を改めて見つめ直す時間となった。
1投稿日: 2024.08.12
powered by ブクログ山の空気や湿度、土を踏み込む感触など一緒に登山しているような感覚でした。会社での立ち位置、悩みなどがすごくリアルに綴られている。終わり方が良かった。
13投稿日: 2024.08.10
powered by ブクログ雲行きが怪しくなってきた建設会社の営業の会社員が、バリエーションルートを登る同僚と出会い、バリエーションルートでの登山を通じて主人公の心の中に変化が起きる物語です。 私は、ソロで二泊程度の山小屋泊をする夏山メインの女性登山者です。単独行をする人は誰でも一度は、めがさんや主人公の感じる危険や不安を山で感じることはあるのではないかと思います。今思えば、毎週のように1人で山行をしていた頃は、仕事やプライベートでのプレッシャーや不安がある時ほど、心のバランスを取るために取り付かれたかのように登っていた気がします。 山の都合、山の論理の中に身を置くと、自分の中に日常と山との二つの世界が存在し、どちらもそれぞれ相対化される感覚があり、それがなにか自分にとっての救いになっていたように思います。 そんな自分にとってはこの小説は、まるで自分のことを描かれているかのように感じられるものでした。これからは、山がなぜ好きなのか、山を登ってどんな心の変化があったかを聞かれたら、この本を読んで欲しい、そこに全て書いてある、と答えることにしようと思います。 また、山をはじめた時の高揚感や、山と溶けあう感覚、好きで登ってるのに一刻も早く降りたい気持ち笑などが非常に解像度高く描かれているのも好印象でした。 端役の登場人物の名前が、ちょいちょい有名登山家からつけられているのが、クスッと面白かったです(谷口、花谷、栗城など)。
2投稿日: 2024.08.10
powered by ブクログ題名を見て、アジアのリゾート地のバカンスの話かと思いきや、それは日常的なサラリーマン社会とそのアンチテーゼ?としての週末ちょっと特殊な登山。その2つの行為のバランス、あるいは行き来することをテーマにした小説でした。 著者も述べていますがこの作品は平日の昼間、組織の中で働くサラリーマンにとっての一服の清涼剤と少しの希望になる作品と思います。もっとこういう作品が日常に溢れる時代が来ると、著者のいう『おもろい純文運動』もいいですね。
11投稿日: 2024.08.10
powered by ブクログごくまれに登山する私でも「バリ山行」というワードは聞いたことがなかった。 バリ山行とは、バリエーション登山のことで通常の登山道から外れた道無き道をゆく登山。 私は山登りにおいては、メガサイドの人間かもしれない。通常ルートから外れて登るわけではないが、ヒリつき感が欲しいし生死を間近で感じたい。手探りで道無き道を進んでいきたい。ロッククライミングなんかは程よくヒリつきを感じられてイイ。 だが、メガさんみたいな危険を伴うバリ山行をしていいのは、アルピニストか独身だけだろ。奥さんと子供がいるのに、頻繁にバリ山行するメガさんの気持ちに全く共感はできなかった。 街の中、会社などでもこのようなヒリつきを感じられることってあるのだろうか? ※引用 妻鹿さん。「本物の危機」は山じゃなくて、やっぱり街に向き合っていないのは妻鹿さんなんじゃないですか?妻鹿さんがこうやって山に入って、崖に貼り付いていられるのも、街があって仕事があるからじゃないですか?実体を見ていないのは妻鹿さんで、それは知らないからじゃないですか?
17投稿日: 2024.08.09
powered by ブクログ安定なんてものは存在しなくて、常に不安に晒されながら、瞬間毎に活路を見出すしかなくて、難局を乗り越える瞬間、難局を乗り越えて一息つく瞬間、こそが人生の喜びであると作者は伝えたいのかなと感じました。私もその主張に同感です。 学生の頃は大人になると安定した世界があって、日々がルーティンの様に健やかに流れていくと想像していました。ただ、就職して7年が経ちましたが、毎日変化に晒されて、毎週、[なんとか週末に辿り着いた、、、]という感覚で日々を過ごしてます。この本を読んで、安定という言葉に期待をせずに、日々変化の中に晒されて、不安を抱きながらも、その中にこそ喜びがあると信じて生きていく方が、前向きに積極的に人生を歩めるのかなと思うようになりました。素敵な読書体験ありがとうございました。
1投稿日: 2024.08.08
powered by ブクログ転職して数年の会社で立ち上がった登山部。山に登ったことのなかった主人公は、同僚たちとの登山を楽しむようになる。 山という非日常空間を、日常的な会社の内情を話しながら歩く登山部に対して、ひとりで独自に切り拓いていくバリ山行をする妻鹿さん。 妻鹿さんの考えていること、感じていることを理解したいと思い、主人公はバリ山行に同行することを申し出る。 方針転換による業績不振に苛まれ、いつ首を切られるかわからない不安をかかえる社員たち。 ひとりで山に入って、下手をすれば命を落としてしまうかもしれない恐怖を感じにゆく妻鹿さん。 「本当の危機」とは街にあるのか山にあるのか。 不安感は自分が作り出したもので、本物ではない。という妻鹿さんの意見は理解できる。けれど不安感は本人にとっては不安そのもので、本物だとも思う。 その気持ちとどう向き合っていくのか、その方法がきっとそれぞれにあるのだろうなと思った。
46投稿日: 2024.08.07
powered by ブクログほぼ1日で読了 面白かった 読んでて、仕事・家族・お金を人生の中心として考える自分と、時間・自由度・自分のやりたいことを人生の中心として考える自分が衝突してしまった。なんだろう。登場する二人が、それぞれの意思の象徴のような…。
2投稿日: 2024.08.07
powered by ブクログ芥川賞受賞作は 読みにくいものが多くかなり覚悟して 向かうのだが この作品は 読みやすかったし、とてもわかりやすかった。 六甲山の登山 バリの様子を目の前で見ているような とても細かい描写も よく書けていて、テンポも飽きさせない ちょうど良さがあった。 登場人物も それぞれのキャラがちゃんと描かれていて 短い小説なのに たくさんの人物の印象が残った。 面白かった。良い時間だった。
8投稿日: 2024.08.06
powered by ブクログバリ山行って何の事だろうと思ったら、バリエーションルートのことか。 本書を読んでいて、そういえば俺の取引先のメーカー技術者が同じことを筑波山でやっていると飲みの席で聞いたことがある。 筑波山の登山地図にない昔の道を探しながら山頂を目指すことをしていると。 本書では、六甲山を舞台にそういうことをやっている人を観察する視点で描かれている。 転職して得た仕事は、建物修繕の営業だった。 極力人付き合いを避けてきたが、山登りの集まりに顔を出すことになった。 長年勤めあげた常務の引退式前のイベントということもあり、多くの社員が参加したが、その中に普段から人と付き合わないベテランの妻鹿がいた。 彼は、集合場所からではなく、途中からの参加を表明していた。 その場所に一行が到着すると、彼はやぶの中から現れて、さらにゴールまでの道のりは登山道から外れて先頭を立って歩き始めた。 一方、常務の引退後、会社の方針が変わり、小口の仕事は一切やめ、大口一本で行くことになったが、だんだんと見通しが立たなくなってくる。 リストラのリストには妻鹿の名前が挙がっていた。 バリエーションルート、それは自ら道を切り開いて歩いていく山歩き上級者の歩き方。 妻鹿の生き方をバリ山行に例えているのだろう。
6投稿日: 2024.08.05
powered by ブクログ登山と会社での問題を同じ感覚で捉えてみる 会社での立ち位置や将来に不安を抱える主人公波多はやはり登山でも不安定で自分の考え方しか頭に無い 一方登山で経験豊富であり、困難なバリ山行でさえ一歩一歩目の前の岩や斜面を確実に登る妻鹿は仕事でも自分がやれることをやると言う 波多の、他人もきっとこう思ってるだろうと、自分の考え方と同じにする所が腹が立った 人間性はどにでも現れる
12投稿日: 2024.08.01
powered by ブクログ●なぜ気になったか 第171回芥川賞受賞作なのでなにはともあれ読んでみる。「純文山岳小説」と紹介されているが確立されたジャンルなのだろうか? 「芸術性や文学性を重視した、山や登山を主題とした小説」、そんなに多いとは思えないが・・・ ●読了感想 「えっ、これが芥川賞?」と驚いた。賞に値しないとかでなく、今まで読んだ受賞作で一番楽しめたから。純文学の理解しがたさや退屈さがなく、さすがと感じる表現に情景をリアルにイメージさせてもらえて一気に読了。こうゆう芥川賞大歓迎! #バリ山行 #松永K三蔵 24/7/29出版 https://amzn.to/4d1Ih4u
9投稿日: 2024.08.01
powered by ブクログ先月発表された芥川賞受賞作で、すぐ買って 読了しました。帯の部分に純文山岳小説と 紹介されていたのですが、どういう意味なのだろうか、あと、バリってどういう意味なのか、すべて理解できないまま、読了したのですが、読んで感じたのが、山に魅了される人たちの真相心理が 少し分かったような気がしました。本作の舞台は 兵庫県の中では1番メジャーな山でもある六甲山で、主人公の波多は会社の付き合いで登山グループに誘われて参加したのだが、そこで、一人異彩を放つ存在が現れた。職場で変人扱いを受けている妻鹿だ、彼も登山が趣味なのだが、彼の登山ルートは、難易度の高い危険な「バリ山行」だった。 何のためにあえて危険なルートで登るのか、そこに何が待っているのか、波多とのバリ山行で、新たな境地が開かれた。
53投稿日: 2024.08.01
powered by ブクログ主人公の波多は転職した会社である日誘われた登山。 それをきっかけに登山にはまる。 ある登山で、職場の変わり者の妻鹿も登山に参加することになるが、彼は1人で山に登り後で合流するという。 彼も登山をほぼ毎週やっているというが、その登山が特殊で… 彼はなぜ、特殊な登山をするのか。 そして、その特殊な登山に興味をもった波多は妻鹿にお願いし、特殊な登山を一緒にすることに。 波多はその登山で何を感じるのか。 登山を通じて見えてくる普段関わっている社会が見える不思議な作品です。 芥川賞受賞前、候補となった時にたまたま「登山」をテーマにした作品と聞き、どんな作品なんだろうと気になっていた本作品。 純文学なので読めるのか?と不安がありましたが、読んでみたら、今、職場で悩みや不安を持っている人に見事にささりそうな作品。 私も刺さりました。 ちなみに、読む前はバリの山に行く話なのか?と思っていたのは内緒です。 自然の中を歩く登山。 登山のことは詳しくは分からないですが、迷わないように必ず登山道を歩く。 これが鉄則なはずです。 基本的に頂上を目指すルートは決まっていて、安全な日に安全に頂上を目指して楽しむもの。 これが通常の登山といえるものです。 これって、実は実社会での生活でもそうで、私だって将来というのを考えた時、良い会社で、できるだけ高い給料を得て長く働きたい。そして、良い会社というのは、手堅い商売であったり、定年まで成長を続ける会社だと思っていないだろうか?と思ってます。 これって、安全なルートを探して、頂上を目指す登山と同じではないか?とまずはなるわけです。 しかし、実際はその安全なルートが安全である保証はないし、登山だって安全だと思っていても急に天気が急変して大雨になり安全だと思っていたルートが安全でなくなるなんていうことはよくあります。 そして、その安全だと思っていたルートが実は安全でもない、急に土砂崩れで道をなくしてしまうといった時に、どんなルートを探すのだろうか。 見えない安全を信じて、その見えない安全が脅かされると見えない不安を抱き押しつぶされそうになる。 登山が自然を相手にしているように、普段の私たちの生活も安全なレールが敷かれているように見えるものも自然を相手にしているようなもの。 見えない不安に押しつぶされるよりは、実際にある目の前の危機にぶつかった時にその都度対処するくらいの気楽さがあっても良いのではないか。 そう、人生は結局『バリ山行』なのだから。 と言われているように感じた作品です。
5投稿日: 2024.07.31
powered by ブクログ芥川賞受賞作だし バリってなんだ?って思って買ってみた とてもよかった あんまり芥川賞っぽくない気がする 芥川賞独特のスンッ…とした感じが 全然ないのにそれらしき重さというか 満ちてる感じがすごいする 芥川賞嫌いな人でも 割とすんなり読めるんじゃないかな 妻鹿さんのキャラがたってるんだけど うそっこじゃない匂いしかなかった キャラたってると エンタメ度があがるかわりに リアルが損なわれるなぁと 勝手に思ってて でもこの話は成り立ってる!って感じて のめりこんで読めた 星は限りなく5つに近い 星4つ
2投稿日: 2024.07.30
powered by ブクログ「この道は、安全です。保証がついてます。」誰かの用意した道にしがみつき、なんとなく流れに沿って渡り歩いていく。流れにのることだけに、夢中になり、それが少しでも揺らぐと、いたずらに見えない不安に煽られる。こんな感覚が、今の世染み付いてしまっているように思う。自分の道を引いていく。そして、知識と、経験と、勘とで乗り越えたところがルートとなっていく。そこには保証などはない。うまくいくかどうか、それは行ってみないとわからない。山の中の話だけではないよなぁ、これは。
9投稿日: 2024.07.30
powered by ブクログ通常ルートを外れた山登り『バリ山行』 鬱蒼とした薮、倒木、滑る急斜面、 棘々の蔦、草いきれの匂い。 混乱、無秩序、錯綜、不安、恐怖。 迷いながら、藻掻きながら 道無き道を 息を切らして踏み進む。
1投稿日: 2024.07.28
powered by ブクログこちらも芥川賞受賞されたとのことで手に取りました。会社パートと山パートがあって、山パートは個人的には好きだったかなという感じでした。 以下あらすじです。 古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。 私も会社の先輩に連れられて登山をしたことがあって、登山道でも危ないところがあるのを知っていたので、主人公たちが危険な道をひた進むのに驚きでした。自然の豊かさと生死の狭間の中で、孤独に耽るにしてもさすがにやり過ぎだろっていうのが感想です。とはいえ、こういう言葉にできない体験した人しか知らない感覚は私も好きなので、久しぶりに山に登ってみようかなとも思いました。
62投稿日: 2024.07.27
powered by ブクログ感想 ひとりで生きていける人。どうしても周りを巻き込めない。怖いから。だからついて来てくれる人を愛おしく思ってしまう。大切にしたくなる。
1投稿日: 2024.07.19
powered by ブクログ芥川賞候補作ということで読んだ。バリとは危ない道を行くことらしい。スラスラ読みやすい。文章がうまいってこういうこと?で、とにかく面白い。山岳小説だけど、会社員は誰もが共感できる内容では。自分は波多なのか、妻鹿なのか考えてしまった。バリ登山シーンは読んでいて本当に山に登っている感覚になる。ラスト、声が出ました。たまに笑えるのもgood
6投稿日: 2024.07.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった。近在で時々六甲ハイクもする人間として親近感があったが、そうでなくても面白かったと思う。芥川候補にしては長くて、セクションが分かれている感じもあり、小説三つ分くらいが入っている気がした。エンタメお仕事小説のリアリティと展開、文学的人間探究、そして山行。 妻籠という人物は現場の仕事で俄然カッコよく見えてくるのだが、真骨頂はタイトルであるバリエーションルート山行の1日だ。これでもかこれでもかという濃さと長さ、迫る狂気に圧倒された。長いが、この盛り上がりあってこそ書き切れた観があり、着地も良かった。
2投稿日: 2024.07.09
powered by ブクログ危険なルートで山登りするのが趣味の妻鹿さんに同行させてもらったら死にそうになっちゃってワー!ってなる話。 会社でも山でも一人立ち向かう妻鹿さんの狂気を見た。 死にかけた主人公にも死なせかけた妻鹿さんにも変化が訪れる。 目の前が開けない…明日からものっそりと淡々と生きるのだ。
1投稿日: 2024.07.07
powered by ブクログ芥川賞候補作ということで読み始めましたが、一気に読んでしまいました。 松永K三蔵さんの書き物自体も初めてでしたが、テンポもよく読みやすかったです。 物語は無趣味な建設系のサラリーマンである波多が、会社の数人と登山に参加し、山登りを好きになるところから始まる。釣りバカ日誌のハマちゃんフォーマットを思わせる流れである。 そこから山登りは定期イベント化し、社内の登山サークルへと変わっていく。今まで無趣味だった、波多も登山道具も揃え、一端のアルピニストを思わせる出立ちになって行く。 会社の常務である藤木の壮行会を兼ねた山行が行われた際、社内のどんなイベントにも参加しない妻鹿さんが参加することになった。道がない別ルートから山頂で合流した妻鹿を見て、波多の先輩は「バリやっとんや、あいつ」と軽蔑する様に吐き捨てる。 バリとは一体なんなのか、そこはすぐにわかるのですが是非読み進めていってもらいたいです。 中年の危機が囁かれる現代において、様々な生き方が提案されますよね。この本を読むことであなたの悩みが少しだけ軽くなるかもしれません。波多の先輩の様にむかついて二度と読まないかも知れません。 私自身も登山するんですが、この本を読んでいると本当に山の香りがするような気がします。山のいいところも悪いところも丁寧に書かれている本書は登山家必読の一冊になりそうです。 群像 2024 3月号で読みました。単行本も楽しみです。
7投稿日: 2024.07.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
群像3月号より バリ山行… 一体何の話だろう?山を行く話。そうみたいだ。じゃあ、バリって?方言?と、タイトルへの疑問を感じつつ。その意味がわかった時はすっとします。お仕事小説の面もあり、自然の雄大さ、自然の神秘さを感じながら、筆者の筆力もあり、臨場感があり、正に都会の喧騒から離れ、俗な社会を抜け出し、そこにいる感覚を味わえる。併せて登場人物の妻鹿は魅力的だ。不思議と話しに引き込まれて魅せられた 良い読書となった。
6投稿日: 2024.07.03
