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水車小屋のネネ
水車小屋のネネ
津村記久子/毎日新聞出版
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総合評価

745件)
4.2
297
279
127
12
2
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    人の善意が連鎖して行き場のない人を支えていく物語。 あたたかいこの物語の伴走者がヨウムのネネであるところが、ちょっとユニークだ。 母親の再婚相手に短大の入学金を使い込まれた山下理佐。 小学校二年の妹、律はその再婚相手から家を閉め出されたり、理不尽に叱られたりして、家に居場所をなくしている。 それを知った理佐が、県外に見つけた蕎麦屋の求人に応募することを思い立つ。 「鳥の世話、じゃっかん」という謎の業務つきの。 こうして物語が動き始め、不安ながらもこの二人を受け入れた蕎麦屋店主の守・浪子(鳥アレルギー持ち)夫妻、近くに住む画家の川村杉子さん、律の小学校の担任になった藤沢先生らが姉妹を見守り続ける。 物語は、なんと四十年のスパンをもっている。 この間に、姉妹は年を重ね、今度は支える側に回る。 これまで見守ってくれた、年を取っていった人々を。 それから、新たに出会った家庭に居場所のない若い人たちを。 姉妹をはじめとした人々の生活や、水車小屋での粉挽き作業が克明に描かれる。 ネネの「作業管理」のもと、そば粉が挽かれる。 挽きたての粉で打つ守さんのそばはなんともおいしそう。 やがて守さんも世を去り、店がたたまれるが、そこを律たちが改装してそば粉のガレットを出すカフェを開き、そこでとうとうそばが供されるようになる。 ゆっくりと世代が変わりながら、何かが着実に受け継がれていく安心感がここにはある。 一方、大きな出来事と言えば、大型台風、東北の震災、コロナ禍も描かれる。 が、筆致は控えめな印象。 震災で不安を感じたネネが連発する「怖かったね」という言葉を、周囲の人々が受け止め、反芻しながらお互いの結びつきを確認し、事態に対処しようとしている感じがむしろあたたかい印象につながっている。 津村さんのファンだが、正直に言うと長編小説はどうかなあ、と思いながら読み始めた。 「ウェスト・ウィング」は、やはり嵐の夜を挟んで、同じ雑居ビルに集まる人々の緩やかなつながりを描いた長編だった。 そもそもドラマを声高に語るタイプの作家さんではない。 そこが好きで読んでいるのだけれど、長編になるとそれがつらい部分でもあった。 が、この作品は途中途中に十年の時のワープがある。 1991年以降の各章の冒頭は、いったい誰の視点から描かれているのかと戸惑うこともあるが、すぐに焦点があってくる。 そして、ああ、前の章のあの人が十年の間にこうなったんだ、と思うたびに、懐かしい人に再会したような気分になる。 何でもないような風に見せながら、実はとんでもない技量が潜んだ作品のような気がする。

    0
    投稿日: 2025.11.24
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    不幸な境遇でも、まわりの人に支えられながら幸せに生きることはできる、というストーリー。 評価が高かったので読んでみた。 分厚い本だったので、時間がかかったけど、頑張って読んだ。 でも私にはあまりピンとこなかった。 こういうこともあるよね。 人の感じ方と自分の感じ方は必ずしも同じじゃないよね。

    3
    投稿日: 2025.11.23
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    高校卒業間際、母から大学の入学金がないと告げられた理佐。 10歳離れた妹の律を連れて、移住し、水車小屋のある蕎麦屋へ働きに出ることを決意する。 章ごとに彼女たちも成長し、それぞれの世代を生きていく様を描いている。 一定のテンポで語られる理佐たちの生活。 母とその婚約者の毒っぷりが辛い… ヨウムのネネを中心に、様々な人がお互いに支え合い慈しみ合う日々が穏やかで愛おしい。

    8
    投稿日: 2025.11.22
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    いろいらなところでオススメされていたので手に取った本! 正直はじめは、その分厚さと文章の雰囲気に、なかなかページをめくる速度が上がらなかったのですが、気付けばのめりこんでいました。 おだやかにつながるひととひととが素直に素敵だなと思える本でした…!

    2
    投稿日: 2025.11.17
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    正直、今まで読んだ本の中で5本の指に入るくらい良かったです。40年間の物語、姉妹とネネだけかと思いきや、たくさんの人物が絶妙に繋がっていて、温かい気持ちになりました。個人的には藤沢先生の「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ。」という言葉がお気に入りです。相手のことを思って行動した方が心が満たされるっていうのが、自分の人生の中でも実感としてあるなと再認識しました。

    18
    投稿日: 2025.11.16
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    10歳違いの姉妹の40年を、周りの人達との交流やさほど大きくない出来事などを織り交ぜながら、取り巻く自然の様子と共に語られていく物語。 淡々と進行する物語は少し内容的に物足りない気もするものの、人々がごく自然に他の人を大切に思いながら触れ合う様子を見ていると、心が温かいもので満たされていくのがわかるような物語です。

    1
    投稿日: 2025.11.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こんなふうに、いろんな人と支え合いながら、生きていきたい。 有隣堂YouTube5周年記念のブッコロー限定カバー欲しさに、気になる単行本を探していて出会った。「鳥が表紙にいる!!」とジャケ買いしてから、(単行本で持ち歩きにくいということもあり)半年くらい積読していた、、ようやく読みました! 鳥の本を鳥のカバーしながら読んだ。 こんなふうに生きていきたいと思える、理想の生活が詰まっていた。 家族ではなくても、家族ではないからこそ、近くで助け合うことができるのかもしれない。 誰かの助けになるようなこと、わたしにもできるかな。何か見つけたい、そういう気持ちになった。 榊原さんの、"娘(寛美ちゃん)に女の子らしいことを何も教えてあげられない"という悩みと、寛美ちゃんの、"そんなのべつにいい、りさちゃんとりっちゃんが助けてくれるから"、という、それぞれがお互いを想い合っているシーンにジーンときてしまった。必ずしも全てを親(家族)に求める必要はないんだよね。 そんなことはないといまならわかるけど、子どもだった当時、いまある場所はいつまでもあり続けるのであろうと思っていた。(地元の市民プール、家から一番近くにあったセブンイレブンなど。)その場所がなくなり、そこにあったという事実がその場所を知っている人たちの記憶の中にしかないというのは本当に不思議な感覚。あんなに鮮明だったのに。 母校(高校)も合併してなくなってしまうことが決まったし、なくならないと断言できる場所・ものってないんだよな。同じことが人に対しても言える。 子どものころはまさか、自分が生まれる前からあった場所がなくなるとは思わなかったし、まさか自分が生まれた後に新しく場所ができる(いわば後輩)なんて思いもしなかった。いまはもう後輩だらけ。 人生は長く、自分一人の面倒を見るだけでは持て余してしまうとわたしも思っていたから、藤沢先生の「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」という言葉に共感した。 今年の日記のどこかに同じようなこと書いたなぁと思って探したけどそんなことは書いてなかった。 津村さんのエッセイがきっかけで編み物始めたし、今回も将来のことを考え直すきっかけになった。 ヨウム(ネネ)目当てにジャケ買いして、こんなに素敵なお話に巡り会えて、嬉しい。ネネの周りで頑張る人たちの姿がかっこよかった。でももちろん、ヨウム飼いたい。

    2
    投稿日: 2025.11.12
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    とても良かった! 二日間で読み切ったけれど、読後、心が丸くあったかくなった。 最初の章でお母さんが学校にやってきたときには、「頑張るんだ」と心で叫んだ。

    1
    投稿日: 2025.11.09
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    本屋大賞ノミネート作。 18歳と8歳で母親の元から離れることになった姉と妹。 蕎麦屋の給仕と鳥の世話少々、という変わった募集に就職先として決まり、そこからヨウムのネネと様々な人々との30年、40年を描いている作品。 ほのぼのとしただけの物語かと思いきや、少女たちの境遇はかなりハードな所から始まる。 それでも、ネネや周囲の人に恵まれて人生を過ごして行く。 出て来る人が優しくてこの人たちに出会わなければ皆どうなっていたんだろうな、と思うことばかりだった。 何時かの終わりは予感させられたものの、決して哀しい終わりじゃなくてとても良かった。 美味しいお蕎麦が食べたくなります。

    1
    投稿日: 2025.11.07
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    居場所のなかった子供たちが、それぞれの居場所を見つけ、そしてそれを同じような思いを抱えている人達に繋いで行く温かい話だった。ヨウムのネネを中心に話は淡々と進んでいくのだが、少し長くて途中飽きてしまったので星3。

    1
    投稿日: 2025.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    津村記久子さん好き~ はじめは本の厚さ(3センチ485ページ!) にビビりながら、しかし読み始めると止まらない 恵まれない家庭(親)にも負けず 18で自立し妹も養いながらしっかりと生きていく姉妹 ネネはしゃべるヨウムのことでした 親には恵まれなかったけど移転先で出会う人たちは暖かい人ばかりで、 成長してから同じような子供に向ける優しさに温かい気持ちにさせられ、 何度も泣きそうに 毎日新聞で2021年7月1日~2022年7月8日まで連載されていたそうです

    1
    投稿日: 2025.11.03
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    登場人物が様々な困難に立ち向かう中、終始穏やかな空気が流れていた。ネネを含む、丁寧な人間関係を思い出させてくれた。

    0
    投稿日: 2025.10.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ★★★★☆星4【心の栄養】となる読書。最近はこういうさりげない日常の中の幸せに感動させられる。序盤に出てきた理佐と律の母親の許せない行為に対してイライラしました。またこういう親かと。負の連鎖を断ち切るように、理佐は逞しく強く律は賢く周りの人に愛され助けられて成長。周りの人の行為に感謝の気持ちを持ち、また自分が誰か困っている人の助けになろうとすることで良い循環が生まれる世界。自分は周りの人の良心で生きている。誰かに親切にしないと長い人生は退屈なものです。じんわり泣けた。

    2
    投稿日: 2025.10.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久々に単行本で480Pと長めの話しでしたが、最後まで飽きずに読めました。 特に大きな事件や問題が起こる訳ではなく、ただ淡々と日常に起きている身の回りの困難を、周りの人達の優しさで、みんなで乗り越えていく40年の人生のお話しだったと思いました。 私達の身の回りでも起こっているだろう、シングル家庭の大変さに着目して、優しさの連鎖と言いますか、もらった優しさのリレーと言いますか、無意識ではなく、意識的に関わっていくことで、みんなで協力してその問題に取り組んでいく。その中で、自然とヨウムのネネの周りに集まって出来た関係性。 「自分の子供でもない限り、人間はそこにいる子供を大人になるまで見届けられると思って関わるわけではない。そういうことができた自分は幸福なのかもしれないな」とゆうところで、この本を40年とゆう長さで書かれた意味が分かる気がしました。 読み終わった時に、帯にもある通り「自分はおそらく、これまでに出会ったあらゆる人々の良心でできあがっている」とゆうのがこの本の全てだと思いました。

    4
    投稿日: 2025.10.27
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    理佐と律の姉妹の生きざま。1981年から10年ごと、2021年のエピローグまで。 ネネは、鳥のヨウム。モノマネが得意で、おしゃべりをする。記憶力もあって、学習する。失敗に気付いて慌てたり焦ったりすることも。賢くて、でも、嘘や騙したりってことはない。 心が洗われる気がした。誠実に丁寧に生きていると良いことがある。周囲の人と良い関係が築ける。

    1
    投稿日: 2025.10.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一つの文章が長くて少し読みにくい部分があったが、理佐の頑張る姿に応援したくなった。聡の理佐への告白が良かった。全体を通して主役であるネネがいい味出してる。

    0
    投稿日: 2025.10.26
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    目次が10年ごとになっていたから、長い物語になるだろうとは思っていたけど、最終章のページを開く時と読後は、登場人物達が愛おしすぎて、感無量だった。 理佐と律姉妹とヨウムのネネを中心に物語は進む。 毒親の元を離れて蕎麦屋で働きながら妹の面倒を見るなんて、過酷な環境なのに、ネネのユニークな描写と町の住人たちの温かさで、読者として救われた。 ベタベタした優しさではなくて、サラッとした当たり前の優しさを随所に感じることができた。初めて読む作家さんだけど、人との距離感の保ち方が好き。他の作品でもそうなのかな?読んでみたいと思う。 人生、出会いと別れは必然。その中でネネの存在はいいアクセントになっていた。 日常生活で会話する人間以外の生き物って思い浮かばないけれども、ヨウムがいた!

    29
    投稿日: 2025.10.23
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    あたたかくて優しい物語でした。何か事件があるわけではなく、人と人との繋がりの大切さを感じられました。

    1
    投稿日: 2025.10.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これは「姉と妹」だから成り立った話だよなぁとつくづく思う。他の組み合わせだったらおそらくもっと早くふたりだけの生活は終了しただろう。 まわりの大人たちも、おしつけがましくなく見守っている感じが大変好ましく、特に律の担任の藤沢先生が毅然としていて愛情深く印象的だった。 姉の理佐と後に夫となる聡が少しずつ距離を縮めていく様子、特に第二話のラストは本当に美しかった。 家族でなくても、自分以外のひとの良心によって自分が形成されていく、というテーマを信じたくなる作品だった。

    3
    投稿日: 2025.10.20
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    きみが近くにいると、自分はたぶん勇気を持つことができる。報われないことを恐れなくて済んで、自分がそうしていたいだけ誠実でいられる。 誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ。 自分は元から持っているものはたぶん何もなくて、そうやって出会った人が分けてくれたいい部分で自分はたぶん生きてる。

    1
    投稿日: 2025.10.16
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    audibleにて読了。 長かった…でも爽やかな気持ち。 進学の道を閉ざされた挙句幼い妹まで危害を加える親の役割を放棄した母親(とその男)から守る為、姉妹が2人で家を出るところから始まる物語だったが、かなりハードな環境にも関わらずずっと暖かく優しい空気が流れていてお陰で読み続ける事ができた。 いろいろ人との出会いが全て繋がって、引き継がれていく様が見事。その全てがヨウムのネネが絡んでいる。 惜しいのは律の初恋?あれ、いる? あと自分は洋画洋楽に疎いせいか、出てくる曲名の殆どがわからなかった。重要なキーとなる映画『グロリア』も残念ながら知らなかった(涙)こういう昭和平成の話だとあーそうそう懐かしいってなるはずなのに出てくるアイテムに馴染みがないのでその感覚があまりなかったのがある意味不思議だった。

    1
    投稿日: 2025.10.14
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    姉の結婚のときには、相手の家族の事件絡みで何かしらドラマがあったはず。そこは書いて欲しかった。 一緒に何十年も過ごせる動物はそうそういない。いつの思い出にもネネがいることが愛おしい。ただ、いくら頭のいいヨウムと言っても、意味の通る会話はできないのではないかと思う。ネネとの会話は少し盛りすぎな感じがした。 ところどころ、すんなり一文が入って来ないことがあり戻って読み返した。主語がわかりにくいというか。 全体的にゆったりと丁寧に描写され、初めの方は懐かしい田舎の風景が浮かんだ。SNSの刺激に慣れているような日々に心地の良い本だった。

    5
    投稿日: 2025.10.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    うーん、 けっこう大変な人生なのに 淡々としてるんだよな。 小説読む時は心が動くことを楽しみにしてるんだけど、 描写が淡白であまり心が動かなかった。 登場人物が多い割に、1人1人のエピソードがうすいからかな。 誰の視点で語られてるのか頭の切り替えが必要だった。 1人1人のキャラクターの特徴が掴みきれず、 東日本大震災やコロナにど時事ネタも満載。 いきなり律の恋愛が入ってきたのもクエスチョンだった。 理不尽な大人にもっと怒ってもいいし、 一方でなぜ大人たちは律やりさわや1人の人として接するようなおおらかさのようなものを持っていたのか。 いまいちピンとこなかった。

    0
    投稿日: 2025.10.13
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    毒親から離れ、蕎麦屋で働く姉とその妹と蕎麦を挽く水車小屋に住むヨウムのネネを巡る物語。 じんわりと心が暖かくなるような小説でした。初めの頃の、姉妹の母と婚約者の様子は本当に腹が立ったし、特に妹の律への仕打ちは胸が痛かったです。結果的にみんな、どこかで傷つけられたせいで、足るを知るというか、今ある環境や周囲の人たちに感謝して幸せを感じていて、人ってすごいなと思いました。ただその過程でとても傷ついたことは事実で、自分も、子どもや、家族や、友達や、周囲の人に何ができるのか考えさせられました。ネネ、いいなぁ。なんだか鳥とは思えず、1人の登場人物として読みました。

    0
    投稿日: 2025.10.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み終えた後、装丁を見直してもう一度泣くっていうのは初めての経験でした。 一人の女性(と周囲の人たちと鳥)の40年間を描いた作品。小説として、特に大きな波乱が起きるわけではないけど、怒ったり笑ったり泣いたりして、人生ってそうやってひたすらに淡々と続いていくよなぁって。小説というより、本当に「人生」だった。 ささやかでも自分なりの幸せを感じながら日々を紡いでいくことができる、そのこと自体が恵まれてるなぁ有難いなぁと改めて感じることができた。 「自分はおそらく、これまでに出会ったあらゆる人々の良心でできあがっている」 私は、人は一人じゃ生きていけないと実感として常々思っていて、この物語はそんな人と人や、生物や自然との繋がりの尊さを改めて気づかせてくれる温かいお話でした。 特に好きだった台詞。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」 まじでこれや。長いからね、人生。 日々より良く在りたいものです。

    0
    投稿日: 2025.10.10
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    年の離れた姉妹、理佐と律を中心とした長編小説。 物語は5話に分かれており、それぞれ10年の間隔があいている。1話では18歳と8歳だった理佐と律も5話(エピローグ)では58歳と48歳になっており、大河小説といった趣があった。 圧巻は第1話だと思う。理佐の決意にはただただ驚嘆するしかなかった。まだまだ序盤にもかかわらず、姉妹、特に姉には幸せになってほしいと願う。 全話を通して、何かしら困難を抱えた人たちが登場し、周りの人たちの親切や思いやりに支えられてって話が続く。 津村紀久子さんの作品にしては、毒を吐く人もおらず、登場人物はみな良い人たちばかりだ。 子どもの頃、シニカルでエキセントリックだった律に期待したのだが、思いの外常識的で普通の人に育ったような気がする。 優しい人ばかりという話は普通ならばなかなか入り込めないのだが、丁寧に描かれた第1話のおかげで素直に読み進めることができた。 「ミュージック・ブレス・ユー!!」の作者だけあって、やたらと音楽が、しかも結構幅広い年代の音楽が登場するのがうれしい。バトルスはこの小説で初めて知りました。

    20
    投稿日: 2025.10.09
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    鳥を4羽飼ってるからやっぱりネネが出てくるだけで癒される 夜は家に連れて帰れんかね?ってずっと思ってたw

    6
    投稿日: 2025.09.26
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    熱中することは無いけど、人の温かさを感じる話。 「自分が元から持っているものはたぶん何も無くて、そうやって出会った人が分けてくれたいい部分で私は生きてるって。だから誰かの役に立ちたいと思うことは、初めから何でも持っている人が持っている自由からしたら制約に見えたりするのかもしれない。けれども、そのことは自分に道みたいなものを示してくれたし、幸せな事だと思います。」 この言葉がほんとに好き。

    5
    投稿日: 2025.09.23
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    読み終わったあと心がじんわり温かくなって、誰かに優しくしたいと思える本。 理佐が自身の不遇を嘆くことなく、幼い妹を連れて懸命に生きている姿を見て綺麗だと思った。 温かい人に囲まれて、妹の律は思いやりに溢れる人に育っていたけど、理佐の勇気と根気があったからこそ、それを応援したい人がどんどん増えていったんだろうと思う。

    4
    投稿日: 2025.09.21
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    485ページ 1800円 2025年9月14日〜9月21日 10年ごとに章立てされていて、だんだん成長していく姉妹とその周りの人々、そしてヨウムのネネ。40年の月日が描かれているので、ネネの老後が心配だったけれど、終わり方もほんわかしていて安心した。人はたくさんの人に支えられて生きているし、自分でも誰かを支えたいという思いもあることに気付かされた。

    8
    投稿日: 2025.09.21
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    長い期間かけて、少しづつ読んで読了しました。 一気に読むものではなく、少しづつ読んでいく方が心地よかったです。 人の優しさ、温かさ、信頼、信用が感じられました。 読了後は、なんだかホッとした気分です。 自分もこんな優しい空間の中にいてみたいと羨ましく思います。 心に残った言葉 『誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ』 また、何年後かにこの世界に飛び込みもう一度読もうと思いたい一作でした。

    1
    投稿日: 2025.09.21
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    子供たちを顧みない母親のもとから飛び出し、18歳と8歳の姉妹だけで暮らし始める理佐と律。全く新しい場所で何もないところから始めなければならなかった二人の暮らしを淡々と描いている。 なかなかに大変な環境での暮らしではあっても、二人はきちんと生活基盤を築いていくことができ、口が達者なヨウムのネネを中心に、概ね平和に過ごし、ドラマチックなことは起こらない。 しかし妹の律は終盤、自分の人生は周りの人たちの善意で出来上がっているのだとはっきりと自覚している。ごく普通の人たちの何気ない善意が誰かを助けることもあるのだということが大げさでなく、やっぱり何気ない調子で描かれているのがいい。

    1
    投稿日: 2025.09.14
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    姉妹の40年間を描いていて、その中に色んな人との出会いがあって、色んな考えを経て、本当にやりたかったことに出会い、というお話。 こんなに長編の小説を読むのは久々だったこともあり、終盤は集中力が少し途絶えてぐだってしまった けれど心温まる素敵な小説でした!

    3
    投稿日: 2025.09.13
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    会社の先輩に勧められて読み始めました。 虐待系の導入で感情移入しやすかった。 姉妹の生活と、周りの人たち、そしてヨウムのネネを含めて常に温かく優しい日常を送る物語。 ただ単に素敵で幸せで。そんなお話し。 10年単位で物語が推移し、子どもだった姉妹も大人になり時間の経つ早さを感じた。その時々の心情や出会いと別れもあり、自分の人生もどうなるんだろうと考えながら読めた。 本当に優しい人や、多感な人たちは読んでて幸せな気持ちになること間違いなし1冊だと感じた。

    1
    投稿日: 2025.09.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    藤沢先生の、 「誰かに親切にしなきゃ人生は長くて退屈なもんですよ」が印象的だった。 誰かに親切にするのって気恥ずかしかったり、大きなお世話だったらどうしようとか考えてしまうけど自分のためにと思えば案外あっさりと片付く問題なのかもと思えた。 姉妹が浪子さんや杉子さんの良心に支えられたように、それが研司たちにも注がれていく。誰もが誰かの良心に生かされているんだなと思った。 理佐と聡にしても研司にしても愛の告白のようなだいそれた言葉はないんだけど、次の章で結婚してたり、子供がいたり、大きなイベントをあえて描いてないのかな、  理佐がやけに聡の所在を気にしたり、自分のことを話したりなんとなく匂わせる感じに留めているのが好きだった。それに気づきつつも決して茶化したりしない理佐と律の関係も心地よかった。

    1
    投稿日: 2025.09.12
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    主人公の名前が自分と姉と同じという親近感から嬉しくなり、どんどん読み進めました。登場人物がみな味があってこの世界で暮らしている気持ちになりました。久しぶりにほっこりとしました。また、みんなに会いたいな、という感じ。

    0
    投稿日: 2025.09.11
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    優しさが連鎖して誰かが救われ、救われた人がまた誰を助ける。優しさのバトンが静かに受け渡されていく様子が穏やかに描かれる作品。

    1
    投稿日: 2025.09.07
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    ハラハラしたりドキドキしたりしないけど、とても心地よく穏やかな気持ちになる物語でした。 その中心にいるのは間違いなくネネであり、水車小屋にちゃんといてみんなを見守ってくれている、その安心感で物語が進んでいきます。なんとなく先が気になって次は?その次は?と読みたくなります! 自分のことばかり考える人が増えてきた昨今、周りの人たちへの感謝を忘れずに、それを他の人たちへお返しする優しいリレーが続くと少しは世の中が穏やかになるのではないでしょうか? そういうことを考えたり願いたくなる楽しい時間でした。

    1
    投稿日: 2025.09.06
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     ちょっとファンタジーの世界観が入った癒し感のある面白い小説でした。まだ行ったこともない町での姉妹の成長のストーリーがうまく描かれていました。

    3
    投稿日: 2025.09.05
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    予約して何ヶ月か待って手に取った時は分厚すぎて読めるかなあって思った。 18歳の理佐と8歳の律の姉妹が、2人で知らない土地で新しい生活をスタートする話。 冷蔵庫もない部屋は現代では考えられないけれど、理佐が働き始めた蕎麦屋の夫婦がいい人たちすぎて母親から思い切って独立して良かったと思った。 小学生の律ちゃんがいい子すぎて、、人生何周目?と言うくらい落ち着いていて感心してしまった。 2人の半生がこの分厚いページにぎゅっと詰まっていて、いろんな人たちと出会い、時には別れもあって親切な2人だから素敵な人たちに恵まれていたんだなあと思う。 理佐は聡との出会いは本当に運命的だと思う ネネが律とずっと仲良しでいてくれて良かった!‼︎ 最後までネネがいなくなったら律はどうなるんだろとハラハラしながら読み進めてた。 理佐と律は自分たちがされた親切を、生涯かけて周りやこれから出会う人たちに返していくんだろうな 律は結婚せずに自習室を運営しはじめたのも、居場所がない子供たちを救うため 自分の子供時代孤独を読書で埋めていた時間を減らしてあげるためだと思うけれど 律にも自分の幸せを掴んで欲しかったと思う 40年姉妹の人生を読んで 周りの人たちとの関係性が素敵で、私もそんな人生を送りたいと思った

    0
    投稿日: 2025.09.05
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    しゃべるヨウムのネネが、不思議で優しいエッセンスになってる。大変な境遇であるはずの登場人物たちが互いに見守り、手を伸ばし、手を取り、暖かく連鎖していくのが良かった。本の中で40年経過するけど、ふ、っと時が経つ感じまで柔らかい。あとお蕎麦めっちゃ食べたくなる

    0
    投稿日: 2025.09.05
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    ずっとずーっと、変わらなければいい。 みんな元気で、この話も、終わってくれれば、いい。 ...と、そんな風に思っていた。でも、時は必ず流れて、引き継がれて、繋がっていくんだと、思った。 今まで、誰かが自分を生かしてくれていて、今度は、自分が誰かの手助けをしていく番なんだ。 ちょっとおこがましいけど、これからは、そんな自分になりたいな。

    0
    投稿日: 2025.09.05
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    たくさんの素敵な出会いが描かれているけれど、同時に寂しい別れも多い。切なくて胸が苦しい。 煩わしさや別れの寂しさが嫌で地縁や血縁の少ない人生を送ってきたけれど、この本を読むと少し後悔する。もう少し人との縁のある生活をしてみたいな。できるかわからないけれど。

    6
    投稿日: 2025.09.04
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    スペクタクルは起こらないのに 続きをどんどん読みたくなる。 アレルギーの描写とかコーラスと手芸の関係とかとてもリアルで、おそらく私が詳しくない部分の話もリアルなんだろう。でもとても上品で心地よく。 素晴らしい小説だった。

    1
    投稿日: 2025.09.02
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    長いお話だったけど ちっともそれを感じなかった 確かにネネのお話でした ネネを取り巻く人達の 暖かいお話でした 最後まで生きていてくれてありがとう

    0
    投稿日: 2025.09.02
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    「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」 静かに、ときに波立ちながら、出逢い、分かれていく。 1981年から2021年まで、断片的ながら連綿と紡がれる、姉妹とヨウムのネネ、それを取り巻く人たちの物語。 読み進めるごとに、登場人物たちを好きになっていく。これ以上好きになると読み終わったときの喪失感が怖い、と思いつつ、嫌いにもなりたくない。 感情は、厄介。 冒頭に書いたある登場人物の言葉、自分の人生にとって、これがすべてに近い。 偽善、欺瞞と言われようとも、何度思い直しても、やっぱりそう。 読後の喪失感は苦しいけど、読んでよかった。

    8
    投稿日: 2025.09.02
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    心温まるお話だった。ネネが人をつなぎ、人がまた次の人へと優しさを渡しているようでこんな環境が築けたら生きやすいのになと思った。 今だれもが自分のことで精一杯で、子供にそのしわ寄せがきているのではと思ってしまう。ネネのような存在がいてくれたらと思った。

    0
    投稿日: 2025.09.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    175 ほんわかした気持ちになりたい 喋るオウムと思ったがヨウムだった。 ヨウムはオムとは違うもので飼うのも大変。 最短で20年、最長で50~60年と寿命は長い。 ネネはりっちゃんと仲良しで知っちゃんとネネとの交流がある人とのかかわりが増えていく。 一気にきくのは無理があると思う。 年代ごとにりっちゃんの成長を楽しみながら聴くともっと楽しめたかなと思った。 疲れた、やっと聞き終わったと思ってしまう。 続きがあれば聞いてみたいがゆっくりと成長を味わって余裕をもってききたい

    1
    投稿日: 2025.08.28
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    ************************************************ 理佐と律は母親から逃げ、山あいのそば屋に身を寄せる。 ヨウムのネネと共に水車小屋で働き新しい生活を始める。 1981年〜2021年の間の成長と出会いと別れを描く物語。 ネネは言葉を真似て人を和ませ、年月を通し姉妹を見守る。 ************************************************ ネネと人々との四十年間を描いた長編作品。 本屋大賞!大絶賛!高評価!の作品ですが、 ごめんなさい私の感受性が乏しいばかりに、 どうしても消火不良気味で終わりました… 北澤平祐さんの装画に強く惹かれ読み始めたけれど なんだか長くて退屈…文章もいまいち入ってこない… 第一章は毒親との関係性や折り合いの付け方、決意、 苦しい内容ではあったものの読み応えはあったけれど、 それ以降が特に何もなく、山場もなく、始終凪の状態。 聡のところは少しドキドキしたけど、それくらいかな。 研司に至っては割と衝撃的な出会いだったと思うのに、 その後がぼやけて特に印象に残らず。 とても狭い世界での狭い人間関係での穏やかな話なので 正直、朝ドラとかで長く見守り続けたい物語ではあった。 毎日新聞で一年間掲載された連載小説だったとのことで、 少しずつ読み進めていくにはほっこりして良かったかも。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」 藤沢先生が律に言ったこの台詞は、胸にくるものがあった。 最後の方でネネを野生に返そうとする?描写があったけど、 なんかそれはそれで勝手じゃない?と思った。 なんだか腑に落ちない部分がちらほらあった。 ウムムム。 ちなみにヨウム自体にはめちゃくちゃ興味があり(鳥好き)、 五歳児くらいの頭脳を持つ!?五十年生きる!?と驚き、 思わず値段を検索してしまった。 こんなに優しくて穏やかな物語を★2にするのは 自分の人間性が疑われそうなので、3にしました。笑

    12
    投稿日: 2025.08.20
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    心温まるのどかなストーリー。自然の中で大切な人に囲まれてのんびりと暮らす。これも一つの幸せの形。こんな老後が過ごせると良いな

    2
    投稿日: 2025.08.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初はなかなか気乗りしない感じの本でした。 ネグレクトのような虐待を受けている妹と家を出て姉と二人で田舎で暮らす話というイメージで面白味をあまり感じられなかった。 水車小屋のネネが出てきてもそれはあまり変わらず。 一番ネックになっていたのが主語が分かりづらく、誰のセリフなのかが分かりづらい書き方になっていて、更に装飾語がどの言葉にかかっているのかが分かりづらい文体で、正直読みづらい。 編集者はちゃんと仕事をしているのか?と思いました。 もっとリズムよく読ませてくれ。それが編集者の仕事だろ?とも思いました。 ただ、聡が登場したあたりから物語の面白味が増して、姉の理佐や妹の律、ヨウムのネネに至るまで興味が出ました。 更に中学生の研司が出てきてまた物語は一変。 それぞれの章の主人公によって面白味が変わる作品なんだと感じました。 後半は正直苦しかったですが、律の頭の中で考えていることや行動を見ていて、共感できることや自分には出来ないなと思うこともたくさん出てきて、最後は意地で読んだような感じ。 何せ480ページ以上もある小説ですから ただ、セコセコと貯金に走らず、快楽に走らずに正しいと思ったことや人を助けたいと思ったことをセッセとやる姿はとても羨ましく、自分もこんな生き方が出来ればきっと幸せなんだろうなと思った。

    2
    投稿日: 2025.08.18
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    初めましての作家さんでした。 初めての作家さんの作品だと、やはりどこが構えてしまいますが、今回はページ数があるのにとても読みやすかったですし、所々挿絵があるので癒されました。 物語の主な登場人物は、山下理沙と律の姉妹。 2人が18歳と8歳の年齢から始まります。 そして、10年毎に章が変わっていきます。 母親と3人で暮らしていたけど、母親に恋人が出来て短大進学のお金を使われて入学が出来なくなった理沙。 母親の恋人に不当な扱いをされる律。 2人で家を出て生活を始めるところから物語は綴られます。 生活の拠点を決めた場所では、当然のように心配もされるし疑いもされる。また、好奇の目でも見られる。 でも、支えてくれる人がたくさん出来て、その様子はとても温かい気持ちにさせてくれました。 また、私に心変わりをさせてくれました。 私は将来年金が受け取れるようになったら、人との関わりはしんどいので積極的にするのはやめようと考えていましたが、この作品を読むと色んな人と関わるのは大切なことで、素敵なことなんだなと思えてきました。 助け合い、支え合っていく関係を築くのは、相手が誰でも良いということではないと思うけれど、年齢を重ねてもそういう関係を築けるように自分磨き!?はしたほうが良いな〜と思いました。 あと、水車小屋の「ネネ」 可愛かったですね(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)

    31
    投稿日: 2025.08.17
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    絵本みたいに可愛いのにめっちゃ分厚い。 ちぐはぐな感じがする。 最初に受けた印象です。 18歳と10歳で生きる、訳あり姉妹の人生が10年毎に描かれます。 良質なドラマをゆったりと見ている感覚でした。 にくいな〜と思ったのが、各章の終わり方。 えっこの先が知りたいんやけど⁉︎と思わせる潔さ。 土壌は固めたので心配なさらず。 色々想像してみてね。と言われている様でした。 回想として語られるものの、その潔さは美しいとすら思いました。 でもやっぱり長いかな。 すっきり読みやすい文章、と思わなかったのが個人的には惜しいところです。

    22
    投稿日: 2025.08.17
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    10年、20年…とどの時代にも愛に溢れていて素敵なお話だった。人と人との繋がりが希薄になった現代においてこういった繋がりがあることは羨ましくもある。 水車小屋のネネがその繋がりの間に必ず存在していて、皆んながネネを愛している姿を思い描くとそれだけで何故だか涙が出そうになった。

    2
    投稿日: 2025.08.15
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    最初は不遇な姉妹の勇気ある行動と新たな生活の始まりにグッと入り込みました。 住み始めた場所に流れる川のせせらぎと水車とヨウムのネネ、蕎麦屋の夫婦との出会いから新たな生活が始まり、2人だけでなく、そこから繋がり、広がる人との出会いと其々の人生の踵を感じながら読み進めました。人生の転機や出来事の大小の波を人との繋がりの中で乗り越え、先へ進んで行くストーリーに登場する人たちに心を重ねながら、心がじんわり温かくなる場面が自然な感じで巡ってくる小説です。 ここにいる人たちの良心の集合こそが自分 色んな人の良心に触れ、自分の中の心が育てられる。 この小説に描かれたひとつひとつの場面に繋がる一節、大切にしたい部分だなと思いました。 そして、人生の移り変わりの中にネネの存在が必ずあって面白かったし、ほっこりします。また、様々な音楽や映画のタイトルも出てきて調べたり、音楽を流したりしながら読み進める楽しさもありました。 自然豊かな田舎街、身近な世界、川の流れを感じながら、自然な感じで心温まる長編小説でした。

    4
    投稿日: 2025.08.13
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    ネネがまさか鳥のことだとは思わず、読み始めてまずびっくり! お姉ちゃんが幸せになってくれて良かった。ちょっと優し過ぎるかなとも思った。(私は絶対にお母さんと再婚相手を許さない笑 お金も絶対渡さない) ネネが死んじゃったり飛んでいってしまうんじゃないかと心配しながら読んだけど、そのシーンはなくて、号泣せずに済んでよかった。 ちょっと登場人物増やしすぎて話が長く感じた。

    1
    投稿日: 2025.08.12
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    長い年月をかけて築き上げられた温かい人とのつながりに心が洗われました。この先何十年もこのつながりは途絶えずに次へ次へと連鎖していくのだろうと思います。自分が不憫な目にあった時はどうしても自分がどれだけ可哀想か、に目を向けてしまいがちだけど、周りには手を差し伸べてくれる人がいて、その受け取ったものを同じだけ人に与えられるような人になりたいと改めて思いました。

    3
    投稿日: 2025.08.11
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    素晴らしい作品でした。 じんわり心に響いて、優しくなれる。 支え合って生きていくってこういう事なんだ。 今の環境や出会った人を大切にしよう。 と思います。 読書しながら、 幸せな気持ちになりました。 この本に出会えて感謝です。

    21
    投稿日: 2025.08.10
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    これほど愛おしいと思える小説はめったにない。 不安ながらも生きていく姉妹と出会った人々、そして水車小屋のネネの長編小説。 エピローグ含めると四十年の歳月の物語だが、長くもあり短くもある読後感。 子供の頃こんな小説に図書館で出会っていたら。でも人生折り返しで色んな経験や小説を読んだ今だからこそ素晴らしいと感じるかもしれない。 エピローグの何気ないラストの場面でこみ上げてきた。 人生の終末もそうでありたい。

    46
    投稿日: 2025.08.09
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    心が浄化された。 律が8歳から48歳までの、ネネや周囲の人達と過ごした長い物語。静かにゆっくりいろんな人と関わりながら、きれいな景色の中で進んでいく。 おいしい蕎麦食べたい。きれいな川があるところいきたい。ヨウムとしゃべりたい。

    3
    投稿日: 2025.08.03
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     スピードばかり感じる現代において、コスパ重視や人との関わりの薄さを一蹴してくれる、とても温かい物語でした。毎日を一生懸命に生きていく大切さが感じられる。それが当たり前のように流れていくことに目を向けることができる、ある意味心の余裕が大切なんだと気付かされる物語です。

    4
    投稿日: 2025.08.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いやあ~。良かった。津村記久子さんの作品はこれまで短編や中編しか読んだことがなく、『水車小屋のネネ』の分厚さには正直たじろいだ。でも、読み始めてみると最初からずっと面白く、ぐいぐい引き込まれた。このボリュームであることにちゃんと意味がある、そう思わせてくれる内容だった。 作中にたびたび登場する映画『グロリア』(1980年公開)も気になって、観てみたくなった。ネネが聴いている洋楽をYouTubeで検索して一緒に聴きながら読みたいと思ったけれど、その時間すら惜しいと思うくらい、物語自体が面白くて、先へ先へと読み進めてしまった。とはいえ、あの音楽たちをプレイリストにまとめてBGMにしながら再読したら、また違った読み方ができるかもしれない。余裕があれば、ぜひやってみたい。 この作品を読んで、自分が物語に対して抱いていた“ある癖”にも気づかされた。私は小説でも漫画でも映画でも、「誰かを傷つける存在」には、必ずと言っていいほど報いを受けてほしいと思ってしまうところがある。本作でいうと、それは理佐と律の両親だ。だから読みながら、「このふたりがいつか両親に一矢報いる瞬間が来るのでは」と、つい期待してしまっていた。 でも、いつまでたってもその気配がない。それどころか、静かに時が流れていくだけで、「もしかして、このまま何も起こらずに終わるのでは?」と、逆にハラハラしてしまった。 読み終えたときには、「これでいいのかもしれない」と思えていた。たとえば、謝りたいことがあると訴える母親に対して、理佐と律の返答がただ「もういい」で一致していた場面――あの一文には、大人としての深さと静かな覚悟がにじんでいて、思わず胸を打たれた。 そして同時に、自分が“他人の物語”に対して、つい当人たちの気持ちを差し置いてまで怒りや正義感を抱いてしまうことがあるなあ、と少し反省もした。

    3
    投稿日: 2025.08.01
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    胸がじわりとあたたかくなるような余韻が各章にあってよかった。 特に起承転結があるわけでもなく、ただ流れていくだけの田舎の生活。人によっては美しく、人によっては退屈と捉えられる人々の営み、それに伴う解決のない悩み、そしてそれに寄り添うことをいいリラックス感で描いている。文学感。 エンタメではないが就寝前の1時間の読書には最適だった。 特に物質に溢れかえった現代、新宿や渋谷に行くと溢れ返っている人々の欲望に当てられてしまうことも多いが、この本に出てくるような人々の生活もいいよなと感じた。 ただそれはあくまで本の中の世界で、今の田舎がどのくらい住みやすいのかはわからないけど。

    3
    投稿日: 2025.07.30
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    淡々と物語が進んでいく。しかし、その全てがあったかい。辛い経験を小さいときにし、そこから逃げながら歳を重ねていく。姉りさや妹りつはもちろん、出会う人の性格もわかるような描写、語り手が変わりがわり、話を進めていく。 りさとりつ、水車小屋のネネ、周りの人と関わりながら強く生きていく様子を描いている

    2
    投稿日: 2025.07.29
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    最初、あまりにも両親(母親再婚)が身勝手すぎて淡々と進んでいく内容なんだけど結構キツくていつもよりなかなか進まなかった。 でも、2人の主人公の成長が章ごとに成長するんだけど丁寧にそしてネネが可愛いのなんの。

    2
    投稿日: 2025.07.27
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    読み始めてすぐはネグレクトの話だったので、読み進めるのが辛かった。 女で一人で子どもを育てるのが大変なのは、わかる。 全てを自分で決定しなければならないのは、確かにしんどい。 でも、自分の人生を他人に預けるのは勝手だが、子どもの人生を放り投げてしまうのはどうか。 そうまでしなければ繋ぎ止められない彼氏って、いざという時に自分を助けてくれるのか。 むかむかむか。 第一章の語り手は理佐、18歳。 本当だったら4月から服飾系の勉強をするために短大に進学するはずだったのに、母親が入学金を振り込まずに婚約者に渡してしまったので、進学することができなくなったことが判明。 いけ好かない母の婚約者と顔を合わせたくなくて、アルバイトをしたり友達と遊んだりして時間を潰していたが、ある晩、不審者が出そうな公園の街灯の下で、10歳年下の妹を見つける。 妹・律は、時折晩ご飯も与えられず、家の外に追い出されたりしていたそうなのだ。 そこで理佐は家を出る決心をする。 家賃補助のある家。 律に「一緒に来る?」と聞くと、「うん」 仕事は蕎麦屋の接客、水車小屋の仕事と鳥の世話じゃっかん。 この街で暮らす理佐と律とヨウム(鳥)のネネの40年の話。 もちろん順風満帆ではない。 近所の人、学校の先生、友だちの親、お店のお客さんなど、多くの人が彼女たちの生活を少しずつ気にかけて少しずつ手助けをする。 それでも、環境に甘えることも不貞腐れることもなく、自分のできることを精一杯することで、毎日を過ごしてきた。 周囲に支えられながら、時に支えながら。 第一章に出てくる母親が本当に嫌でね。 子どもが自分の婚約者に虐待されても、見て見ぬふり。 娘の入学金を使い込んでも、それを娘に報告することすらしなかったから、理佐は学校から連絡が来るまで進学する気満々だったのだ。 律の担任に母がした言い訳は、わがままで少しぐれていた理佐が、妹を連れて家出をしたという、とんでもないものだった。 うっかり入学金の振り込みを忘れた当てつけに。 もっとちゃんと頼んでくれたら、私だって何とかしたのに、と。 しかし、理佐の暮らしぶりを見ていた先生は、母に問う。 「子どもが親に学校の入学金を振り込んでくれと〈もっとちゃんと頼む〉とは、具体的に何をすることだったんでしょうか?」 第二章以降は律が語り手となり、10年ごとの彼らの暮らしが描かれる。 就職したり、進学したり、脱サラしたり。 そのたびにネネとのかかわり方も変わってくるけれども、ネネもずっと家族だった。 人間の3歳児程度の知能があると言われるヨウムのネネ。 音楽が好きで歌を歌い、物まねをし、受験勉強の相手をし、ポルトガル語まで少し話せるようになる。 読み始めの重苦しい気持ちから、読み終わりには爽やかな気持ちへと連れていかれた。 いつもどこかに別れの気配を感じながら、だからこそ誠実に生き、縁を大切にする。 とても良い読書となりました。

    5
    投稿日: 2025.07.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2人の姉妹の約30年にも及ぶ歳月が描かれた小説 物語の中心は水車小屋でそばのみが空にならないように見張っていたオウムのネネ 姉妹は10歳離れており、姉は大学合格して進学というときに、期限の3日前に入学金が振り込まれて意なことを知る。とはいえ、3日間ではお金が集められるわけもなく、母親は来年行けばいいと。そのお金は新しい彼氏に使ってしまったらしい。 それに失望した姉は、その彼氏に締め出されていた妹を公園で発見し、妹と一緒に家があって働ける場所へと向かう それが蕎麦屋。そしてそこでオウムのネネと出会う。 高校卒業したばかりの姉と妹でやっていけるのかと周囲の人は心配するが、婦人会で衣装制作に尽力したり、人一倍頑張りやな姉は周囲からも認められていった 妹も成績優秀、色々あったが、2人とも幸せに暮らしている。姉はいい人と結婚をしていた。妹は自分が姉や周りにしてもらったことを恩返ししないとと小学生の子供に無償で勉強を教えたりしていた。 ネネの存在以外はどこかに実際にありそうな話。そのほのぼのとしたところ、そして姉妹が一生懸命考えて生活するところ、ネネの存在感がこの小説の魅力だと思う

    2
    投稿日: 2025.07.24
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    すごく上質な映画を観たような気分になれた。 ネネがかわいい。人間と意思疎通ができて、会話まで成立する生き物がいるなんて。 当初、主人公姉妹の周りの人はただ優しく親切なだけではなくて、心配に混じって少しだけ厄介者を見るような人もいたかも知れない。というか浪子さんは明らかに困っていたし。 そこがご都合過ぎなくてよかった。 姉妹の人間味と努力で作った居場所ということに説得力がある。 人と一緒に成長し、老いていくネネ。動物と人生を共にできるって、いいなあ。、

    2
    投稿日: 2025.07.23
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    表題の「水車小屋のネネ」とはヨウムという鳥である。水車の動力を使って石臼で蕎麦を挽く。水車小屋で石臼が空挽きしないように管理しているネネ。母親から独立して、二人暮らしを始めた姉妹の、ネネとの出会いからその後の40年を描いた物語である。 短大進学を望んでいたのに、入学金を自身の恋人のために使ってしまった母。その恋人は妹に虐待に近い振る舞いをする。就職を機に小学生の妹律を連れて家を出た姉の理佐。就職先は鳥の世話付きというちょっと変わったお蕎麦屋さんだった。 無謀とも思える18歳と8歳の二人暮らしを見守ってくれる蕎麦屋店主夫妻や担任の教師、絵描きの高齢者杉子さん、みんな真っ当で心優しい人たちだ。側から見れば恵まれない家庭環境と言われる少年少女が登場するが、理佐、律姉妹と同じく、出会い、見守られ、健全に成長していく。心優しくなれる物語だ。 何より、ヨウムのネネが、賢くて、口真似上手で、機転も効いて、とにかく役に立つし、みんなを和ませる天才。こんな相棒が欲しい、と誰しも思うような存在で、この小説を魅力的にしてくれている。

    2
    投稿日: 2025.07.21
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    ヨウムという鳥のネネと過ごした40年を追った姉妹のお話。 ある理由から家を出た姉妹は蕎麦屋の水車小屋でそば粉をひく石臼を監視しているネネに出会い、そこの地域で暮らす人々に助けられ、出会いと別れを経験し、成長していく。 周りの人たちが優しいし、干渉しすぎず、姉妹も適度な距離を保ちつつ、心も成長していく様子に自分もそこで暮らしているかのように感じた。穏やかな時の流れが川のせせらぎの音の様で、こういうゆったりとした時間の中での生活って良いなと思う。表紙や挿絵がとても良い!姉妹のそばにネネがいてくれてよかった。

    1
    投稿日: 2025.07.21
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    久々に心がほっこりし、不思議と郷愁に似た昭和の下町の臭いをかんじた。 何時の世にもバカ親は存るが、姉妹の母を一方的に責めるのは、簡単だが それも違うような気もした。「男が屑という事でしかない 」 思うに良き人には良き人が集う。 情けは人の為ならず 当にそのような小説である。

    1
    投稿日: 2025.07.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    18歳の理佐は母の再婚相手と折が合わず、8歳の妹律が虐待に近い扱いを受けているのをきっかけに妹を連れて家を出る。田舎の蕎麦屋で店の手伝いとヨウムの世話という一風変わった仕事を得た理佐は妹と2人、徐々にその土地の暮らしに馴染んでいく。 田舎の蕎麦屋に転がり込んだ姉妹と水車小屋に暮らすヨウム「ネネ」との40年(1981〜2021年)を描く。手芸が得意な理佐と本好きで賢い律、姉妹を見守る蕎麦屋のご夫妻、近所の老婦人、律の担任、律の友人の父親、みなが温かく優しい。理佐と律も成長し、複雑な過去を抱えて街にやってきた男性と理佐は結婚し、律はシングルマザーの貧困家庭に育つ研司に勉強を教えその成長を見守る。 姉妹が田舎の暮らしを安定させるまではハラハラドキドキしながら読み進められたが、その後の人生は大きな波乱もなく淡々として後半飽きてしまったかも。

    2
    投稿日: 2025.07.20
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    こんなに感動して心が満たされる小説を読んだのは、初めてだった。 初めてこんなに長い長編小説わ読み終わったけど、すごく満足した。 登場人物がそれぞれ関わる事で、新しいことを始めたり人生の目標や夢を見つけたり凄くいいなと思った。 私もこの本のような出会いをして見たいし、水車小屋を見てみたいと思った。

    1
    投稿日: 2025.07.15
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    水車小屋のネネと姉妹の40年を描いた物語。 何も持ってなかった姉妹が田舎に移住してきて、周りの優しさに支えられながら、そして成長しながら受け取った優しさを他の人に還元していくさまが素敵だった。自分は他の人の優しさでできているって自覚しているところがいいなと感じた。 読みながら周りが緑に囲まれて、水車が回っているような音や風景がありありと想像できた。 田舎の夏の青い空と緑を見たくなった! 優しい気持ちになれるお話だった☺️

    1
    投稿日: 2025.07.13
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    分厚い本でしたが、読み出すと止まりませんでした。 ネネの世話人がどんどん変わっていく様子、それぞれの優しい人達の関わり合いがほのぼのとして心が温かくなる一冊でした。

    9
    投稿日: 2025.07.09
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     あとがきを含めて485ページと大作で、読みきれるか心配になりましたが、読み終えてもう1度読みたい!!と強く思うほど、あたたかくじんわりと心に沁みる物語でした。    自分の選択が良い出会いを連れてくることも、悲しい出会いを連れてくることもあるのかも知れないけれど、姉妹の選択を見守り成長を助けてくれる様々な出会いに恵まれ、それをまた姉妹が見守り助けるあたたかな人々に繋がり、ネネがそのすべてを見守り続けている。  物語の中で、研司くんが話した一文がとても印象的でした。  「自分が元から持っているものはたぶん何もなくて、そうやって出会った人が分けてくれたいい部分で自分はたぶん生きてるって。だから誰かの役に立ちたいって思うことは、はじめから何でも持っている人が持っている自由からしたら制約に見えたりするのかもしれない。けれどもそのことは自分に道みたいなものを示してくれたし、幸せなことだと思います」  ネネがもう少しの間、みんなの側にいて見守り続けていてくれますように!!  北澤平祐さんのイラストが物語りを更にあたたかく優しく包んでいて、何度も読み返したくなります。

    9
    投稿日: 2025.07.06
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    2人姉妹が手を取りあって成長していく作品。蕎麦屋さんで過ごしながら大人になっていく姉妹が微笑ましかった。少し分厚めの本だけど、読みふけってすぐに読破してしまった本屋大賞にも選ばれた作品。

    1
    投稿日: 2025.07.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    津村記久子の中で一番好きな作品!暫定1位である。 主人公、理佐と律の姉妹をはじめ、決して楽でない生き方をしている登場人物たちが総じて優しく、色々あっても自分は恵まれいるからと、他の人々に気を使い、その立場を思いやり、役立てることは何かを模索し、勇気を持って提案し行動する。その行動を読むと「自分もそうして色んな人に助けてもらってきたし、自分ももっと優しくなれる」と思うことができる。 そして、タイトルにあるヨウムのネネである。そば粉を挽くための水車小屋に住み、石臼のそば粉を補充するタイミングで「カラッポ」と鳴…いや言って知らせる仕事に就く鳥。音楽が好きで、簡単な会話ならできる(と思える)くらいに賢い。姉妹は蕎麦屋の店内業務とネネの世話をする仕事を見つけて越してくるのだが、世話を焼いているというより、友人であり仕事仲間であるような関係。 40年に渡る物語、時代時代の出来事や音楽、本の話などが挿まれ、懐かしく感じるとともに、登場人物たちの成長や老いを読むことで、自分の人生を振り返り、今とこれからの来し方に思いを馳せる至福の時間も味わえる。 本屋大賞ノミネートで得票数2位だったということだが、確かに書店員さんが推してしかるべき素晴らしい小説。

    2
    投稿日: 2025.07.05
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    最初、分厚さにちょっと慄いたのだけど、読み終えた今はもっと読みたくて。淡々と綴られる日々に、私も良心の一部を受け取れたような気持ちになった。

    1
    投稿日: 2025.07.05
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    第59回谷崎潤一郎賞、 「本の雑誌」が選ぶ2023年上半期ベスト1位、 2024年本屋大賞 2位

    5
    投稿日: 2025.07.03
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    ヨウムのネネと、姉の理佐、妹の律、まわりのたくさんの優しい人たちの40年のお話 仕事中もネネや水車小屋のみんなが生きてるようで頭から離れなかった! そもそもの始まりが、守ってくれない親から離れた姉妹2人の暮らしなので不穏ではある なのに全然不穏じゃない ただおおらかではあるけど、大人の入口にいた理佐が母の思いまで慮れたのが悲しい 登場人物が増えていくけど、みんながいい人で優しさを持ち寄って暮らしていて、その中心にいるネネ 苦しいことや辛いことはことさらに描かれることはないけど、きっとみんなネネに聞いてもらってたんだろうな

    3
    投稿日: 2025.07.02
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    谷崎潤一郎の「細雪」は第二次世界大戦中に書かれたが、作中ではほとんど戦争の影はなく、ひたすら他愛もない他人の思いを推し量っているような小説だった。 「水車小屋のネネ」は谷崎潤一郎賞を受賞したそうで、本作も「細雪」と同様に、社会の動きとは隔絶されたような雰囲気がある。いちおう、東北の震災の話は出てくるし登場人物の出奔にも関わるのだが、やはり全体的には、日本にありながら日本社会とは離れている善良な人々が住むどこかの話、といった印象はある。 ちなみに、舞台となる場所は関東圏だとは思うが具体的な都道府県は書かれていなかった。たぶん。 あまり「細雪」と比べてもしかたないが、共通点は多いと思う。最初に書いた、登場人物たちが他人の気持ちをひたすら考えているというのは本作にも当てはまる。それも悪意ではなく、良心によるものである。とにかく本作には善良なひとびとばかりが出てくるので、必然とそうなる。あとついでにいうと「細雪」とおなじく、水害のシーンがある。 善良な登場人物しかいない小説が、はたしておもしろいのか?しかも500頁近くある。読む前から不安に感じるひともいそうだけれども、これがとてもおもしろい。新聞で連載されていたということで、読みやすさも意識されているように思えるが、話の山場を定期的に設置しており、メリハリもある。 なお、本作に明確な悪があったとすれば、それは親である。そもそも主人公の姉妹ふたりが家を出ることになったのは、母親とその恋人の男のせいである。そして、本作には多くの登場人物が出てくるし、物語のスパンも40年に渡るのだが、姉妹を含めて子どもを産む登場人物はほぼ出てこない。擬似親子的な関係性は書かれるものの、小説全体を通じて、親というものに対する否定的な目線は注がれ続けている。 が、「ほぼ」と書いたように、それは最後の最後で覆される。「細雪」の有名なラストは不穏さを残していたけれど、本作の終わり方は正反対といっていい、明るいものだった。

    4
    投稿日: 2025.07.02
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    子供の頃に姉妹で家を出て生活を始め、10年ごとにお話が進んで行くので、特に大きな事件は起こらなくても、姉妹がどう成長していくのかを楽しめました。 ヨウムのネネを含め姉妹の関わっていく人たちが良い人ばかりなので、心地良く読む事ができました。

    11
    投稿日: 2025.07.01
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    淡々とした、優しい話。18歳と10歳の姉妹が両親の家を出て田舎で暮らす時を、10年ごとに描く長編。最初の章は1981年から始まる。シングルマザーの母親が恋人を作ってから雲行きが怪しくなり、今で言うネグレクトを受け始めた姉妹。姉は進学を諦めざるを得ず、田舎で職を得て家を出ようとする。そして、10歳の妹に問う、私と来る?妹は迷いなく頷く。そこから物語が始まる。 そこから、1991年、2001年、そして東北の震災があった2011年と2人の人生は進む。エピローグは、コロナさなかの2021年だ。なるほど、10年単位で切り取ると、人生はいろんな時代を通り抜けるものだ。おぼつかない足取りで歩み始めた2人の姉妹の人生は、地域の人や新しい人との出会い、そして別れを経て、奇跡のような「無事」な状態を続けてゆく。 タイトルの水車小屋のネネとは、姉妹が世話になる雇い主の蕎麦屋の先代が蕎麦粉を挽いていた水車小屋と、そこに住む喋る鳥ヨウムだ。姉妹の仕事には、このヨウムの世話も入っている。ヨウムは鳥にしては長命で、50年くらい生きる場合があるそうだ。物語の中のネネは、姉妹が歳を重ねるのを常に横で見守る存在。言葉がわかっているのかわかっていないのか、考えがあるのか無いのか、加減が絶妙。人間側がセンチメンタルになったりメランコリックになったり悩んだり優しい気持ちになったり、周りでジタバタしているのをどこ吹く風で、ただそこに、側に居続ける。チャーミングな相棒として。愛を与える対象として。 p.382-383引用 「自分は本当に充分に大人になったと思えて、やらないといけないことをやり始めるのがそのぐらいなのかもなって。」 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」 苦労して大人になった姉と義兄がNPOに転職して外国人労働者を手助けし始めたことをかつての恩師に報告した妹が、恩師に言われた言葉。 人は自分の生きる糧を見つけ生活が軌道に乗り何とか人生を走り抜ける目処が付いたら、人に親切にする時期が来る。なんて素敵な考え方なのだろう。「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なもの」なのだ。妹は、自分は色んな人の良心の塊のような存在だと、自分の生い立ちを振り返って想う。そして次の章では、妹もまた、「人に親切にする」をする人生のフェーズへと入るのだった。 そしてエピローグでは、その妹の「親切」により大人になった地域の子たちが、地元を巣立ったり地元で独り立ちした様子が描かれる。 自分の「人に親切にするフェーズ」はいつだろうか。今がそのときな気が、してきた。

    21
    投稿日: 2025.06.29
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    10年ごとの世界を異なる人たちの目から眺めているような感覚。ゆっくりと流れる年月を振り返りながら、周りの人たちへの感謝を覚える物語。

    1
    投稿日: 2025.06.28
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    前半2章はかなりひきこまれたが、後半はちょっと飽きてしまった。理佐の登場が少なくなり、他の人物にフォーカスされていたからかも。最後まで、姉妹両方をもう少し丁寧に描いてほしかったかな。ネネの最期はあえて描いていないのかもしれないけど、表題にもなっているわけなので、ネネの人生がどう始まってどう終わったのかも気になります。

    1
    投稿日: 2025.06.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ヨウムのネネをとりまく人々の善良さ、慎ましくも正しく生きることの尊さが心に沁みる。 恵まれない境遇であっても、「自分はこれまでに出会ったあらゆる人々の良心でできあがっている」と思って、周囲の人々に感謝し、また同じように他者に手を差し伸べる…律の人生は素晴らしいと思う。 聡から理佐への愛の告白?が、実に奥ゆかしくて素敵だったので書き留めておく。 「きみが近くにいると、自分はたぶん勇気を持つことができる。報われないことを恐れなくて済んで、自分がそうしていたいだけ誠実でいられるんじゃないかと思う。…そのことについて、感謝を伝えたかった。どうもありがとう」

    2
    投稿日: 2025.06.27
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    すごく良かったです。もっとこの世界に一緒にいたかった、そう思わせてくれる作品でした。 「水車小屋のネネってなんだろう?」と読み始めたところ、「そういうことか!」と良い意味で驚かされました。人との交流を通じて、優しさや慈しみが静かに流れていて、自分も一緒にのどかに暮らしているような、幸せな読書時間を過ごせました。 こんな人たちとの縁がつながれば、それは本当に幸せなことだと思います。一方で、もし縁がなかったら……この人たちはどうなっていたんだろう、と少し怖くもなりました。人は人によって生かされ、豊かにもなれる、逆もまた然りなのだと、しみじみ感じました。 理想の世界かもしれませんが、良い意味で“物語”として描かれていて、素直に受け入れて読むことができました。淡々としていて、地味といえば地味なのに、ネネという存在が物語のスパイスになっていて、最後まで面白く読めました。 目次を見て、「ああ、まだこの章にいたいな」と思いながらも、「次どうなるのかな」と先が楽しみでページをめくる時間が心地よかったです。 心穏やかに、しみじみとあたたかい気持ちを味わいたい方におすすめの一冊です。読書って

    0
    投稿日: 2025.06.26
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    ほんと面白かった!! 人間味ある温かい話が好きなのかも私 人と人の巡り合わせと助け合いがすてき あと表紙めっちゃかわいい!

    0
    投稿日: 2025.06.26
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    2024年本屋大賞第2位受賞作。 1981年から2021年までの40年間を10年ごとにおっていく、2人の姉妹の物語。 姉の理佐と妹の律は周囲の人たちの優しさに素直に甘えることができた。だから、自分が受けた親切と優しさを今度は誰かに差し伸べたいと思うのだろう。 優しさのバトンが繋がっていく、そこにはネネがちゃんといる。

    35
    投稿日: 2025.06.21
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    1981年から2021年までの40年間、姉の山下理佐(18歳)と妹の律(8歳)、二人の人生を描く長編作だ。 山下姉妹は母と3人で暮らしていたが、母は恋人と出逢い夢中になる。 恋人の彼は律との折り合いが悪く、顔つきが気に入らないと虐めたり、夜中に家から追い出すなどの虐待をしていた。 理不尽な親の仕打ちを受け、理佐は家を出て自立する道を歩むことを決心し、妹に一緒に来るかと聞くと一緒に行くと応えた。 家を出てからの姉妹の成長記が、ゆったりとしたペースで綴られる。 ネネを筆頭に、蕎麦屋の老夫婦、近所に住む画家の杉子さんとのお付き合いが始まり、どんどん人との輪が広がって姉妹は多くの人たちの優しさに囲まれて成長することになる。 周囲の大人たちは姉妹のことをいつも気にかけて援助をするのだが、その行動は無理のない範疇で行われ、お互いに適度な距離感を保って心地の良いお付き合いだった。 この物語に登場する人々の優しさが当たり前の世の中であれば、争いごとなどは無縁となると思う。 『水車小屋のネネ』は、まるで大人の世界の童話のような物語だった。

    8
    投稿日: 2025.06.20
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    図書室本。毒親のせいで進学出来ず独立して姉妹だけでで肩を寄せ合って暮らし始めた。周りの人に助けられて時は経つ。小学生だった律は、高校卒業後資金を貯め大学に行き、卒業後は自分の道を切り開いた。姉の理佐は結婚して水車小屋を守り続けた。激しい生き様を体感した。

    2
    投稿日: 2025.06.19
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    なかなかのボリューム 姉妹の人生をほぼ最初から最後まで見守ってる感じだった。 色んな人と関わって、助けられながら私たちって生きてるんだなって改めて思える 温かい気持ちにさせてくれる本だった。 ネネに会ってみたい

    0
    投稿日: 2025.06.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    優しい気持ちになれるお話。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」 「出会った人が分けてくれたいい部分で自分はたぶん生きてる」 なんて素敵な言葉!

    0
    投稿日: 2025.06.18
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    高卒で18歳の理佐は、母親に入学金を使い込まれ進学予定の短大に進めなくなり、10歳年下の妹の律を連れて他県のお蕎麦屋さんに就職をすることになった。その蕎麦屋さんはそば粉を水車小屋で轢いており、ネネという鳥が番をしていた。ネネをとりまく人達と暖かい繋がりと交流を持ち、出会いと別れを経験しながら、姉妹は成長していく。1981年から2021年までの40年間の記録。ヨウムというこんなにも賢く、こんなにも長生きする鳥がいることを今まで知りませんでした。歌を歌ったり、会話をしたり、勉強の問題を出したり、ある時は人探しまで。ネネがあまりにもかわいくて胸が熱くなりました。そしてお蕎麦屋さんの浪子さん守さん夫妻、画家の杉子さん、小学校の藤沢先生など、本当に暖かい人達で心温まりました。母親はその正反対で私も腹が立ちましたけど、こうはなりたくないという反面教師でしたね。実の親に恵まれなくても、周りの人達がとてもいい人に恵まれて、善意を真摯に受け取って、「こんなふうに生きていきたい」と思えるような心のあり方がとても尊いと思いました。コロナ禍の最中に書かれたストーリーだそうですが、人と人の繋がりの尊さがしみじみ描かれていて、今の時代に必要な物語だなぁと感じました。ネネの存在が人と人を繋げる役割を担っているのがとても良かったです。

    12
    投稿日: 2025.06.15
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    人によって感想が変わりそうな本だなと思う。あらすじと言うか、この本はこういう本という説明するのがちょっと難しいんだけど、とにかく人の優しさを淡々と粛々と染み込まされるようなお話だった。登場人物たちと長い年月を共に過ごすように読み進めるような感覚で、読了感は良かった。ただ私は捻くれているので人生こうもうまくいくかよ〜!とも思ってしまって、素直に良い話だなぁにはなれなかった。笑

    0
    投稿日: 2025.06.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2024年本屋大賞ノミネート作品。 「自分はおそらく、これまでに出会ったあらゆる人々の良心でできあがっている。」 40年間の物語を、10年ごとに描いている長編小説です。 読み終わったときは、帯に書かれていた、冒頭の文章の意味を深く理解しました。 小説にしては珍しく、装丁とおなじ方が描いた挿絵がところどころ出てきました。 主人公は、理佐と律の姉妹。ですが、語り手が変わって、周囲の様々な人々の視点から語られていきます。 どの人物も、愛おしい。 ネネがまさか鳥の名前だとは思っていなかったのですが、ネネとの別れのシーンがなかったことはとてもホッとしました。 エピローグは、自然と笑顔になりながら読みました。とても心温まる作品でした。 特に私は、藤澤先生が真摯に姉妹を支えてくれていたところが印象的でした。30代半ばごろに、そんな判断ができるだろうか。 水車小屋の引き立ての蕎麦粉からつくられたお蕎麦、食べたいなあ〜 と思い、生成AIで調べたところ 水車石臼挽き蕎麦粉を使っているのは全国でわずか8社(チェーン含む)の蕎麦店のみ!貴重ですね。。

    0
    投稿日: 2025.06.11
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    毎日がただ慌ただしく過ぎていくと、生きることに息苦しさを感じるときがある。津村記久子さんの『水車小屋のネネ』は、そんなときに、そっと寄り添ってくれる物語です。 18歳の姉・理佐と8歳の妹・律。家庭の事情から家を出た理佐は、水車小屋で蕎麦を挽く町の蕎麦屋に住み込みで働きながら、妹と2人での生活を始めます。そこで出会ったのが、“ネネ”という名のヨウム(大型インコ)。ここから、彼女たちを取り巻く人々の40年にわたる人生が、丁寧に、そして静かに描かれていきます。 この物語の魅力は、「日常のささやかな親切」が人の生き方を変えていく様子を、静かだけれど力強く描いているところ。たとえば、「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」という藤沢先生の言葉。自然体で押し付けがましさがなく、見返りを求めない優しさに、人生の奥行きを感じさせられました。 印象に残ったのは、研司がこぼす「自分には何もない」という一言。その彼に手を差し伸べる人たちの姿に、自分も物語のすぐそばにいるような気持ちになります。 ネネは、ただの鳥ではありません。町の人々の人生をつなぐ存在として、時にユーモラスなつぶやきを交えながら、物語の縦糸をやさしく編み上げていきます。読み進めるうちに、いつの間にか自分もこの町の一員になったような、そんな感覚が芽生えます。 誰かのために行動すること。それが静かに巡っていくこの物語を通して、「優しさの循環」がどれだけあたたかく、力強いものかに気づかされました。日常に疲れたときに、そっと手に取ってほしい一冊です。

    121
    投稿日: 2025.06.10
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    かなり好き。衝撃な展開とかドキドキハラハラはなく、2人の姉妹の人生を覗かせてもらったかんじ。 受験勉強で辛かった時期に、読んで和んでました。 人生どうなるんだろ、、って不安になったときに読む本になると思います。

    4
    投稿日: 2025.06.10
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    10代で家を飛び出したリサとリツが鳥のヨウムと出会い、色々な気持ちを抱きながら長い人生を歩んでいく物語。単純にヨウムのネネとの関わりもほっこりするしながらも、これからこの姉妹はどうなるのかハラハラしながら読んでいた。二人は周りの温かい人達に囲まれて愛や親切を受け、受けたものを他の人に与えていく。そうやって人生って自分の何かを受け渡し紡いでいくものなのかもしれない。藤沢先生の「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なもの」ってコトバが心に残っている。自分のことでいっぱいいっぱいでもいずれは何かのために頑張っていきたいと思った

    1
    投稿日: 2025.06.09