
総合評価
(745件)| 297 | ||
| 279 | ||
| 127 | ||
| 12 | ||
| 2 |
powered by ブクログ喋って賢い鳥のネネが、題名なんだけど、実際は、ネネを取り巻く姉妹や人間達の40年の優しい物語。 挿し絵が沢山あって、イメージが共有出来てさらに良かった。
39投稿日: 2024.06.11
powered by ブクログ優しい気持ちになれる物語。 他者とどう向き合うか、自分とどう向き合うか、その中で自分なりの幸せを見つけられるか。 40年って長そうで、短い。
12投稿日: 2024.06.10
powered by ブクログ本屋大賞2024・第2位の作品。 なぜだろう? 津村さんの作品は読んだことがあると思い込んでいたのだが 初読みだった… 初読みにして津村さんの最も長い小説で485ページ。 津村さんはインタビューの中で 「ある人に出会って救われたといった丸抱えする人間関係には疎外感を感じるんです。 複数の普通の大人がいて、 みんなができる範囲で、無理せず、ちょっとずつ親切にする。 『気ぃつけて暮らしや』と2人を適度にほったらかし、 適度に親切にする感じです」と。 (引用:https://book.asahi.com/article/14927729) 身勝手な親のもとを飛び出した18歳の理佐と8歳の律。 蕎麦屋の夫婦や周りの人々に支えられていたけれど 彼女たちもやっぱり誰かの支えにもなっていた。 1991年から2021年までの40年間という長い時間。 理佐と律にとっては決して平坦な道ではなかったのに 優しさの積み重ねの中では 彼女たちの時間さえもさざ波のように感じられるから不思議だ。 特別ではなく普通の優しさ。 誰かが助けを必要とするとき その人が素直に、負担に思いすぎずに感謝できる程度。 そんなささやかで当たり前の優しさがお互いの間を行き来できる関係が理想だ。 でも、それってなかなか難しいだろうなぁ… 親切にしてあげる人、親切にしてもらう人、 そんな関係が簡単に出来上がりそうだから…
20投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ8歳の律が、18歳の姉の理佐と家を出てから、10年ごと40年間のお話。 自分という成分は自分が作っているようで、実は多くの成分は周りが作っているのだと実感出来る。とても優しい気持ちになれたし、人生を大事に生きたいと思った。ネネというのはヨウムという鳥のことで、その存在も知ったし、水車のことも少し調べた。 496頁という長編で登場人物も多いのだが、一人一人個性があってそれぞれに生き方があって、主人公は律なのだが、全員の全体の物語。 また、読みながら時々装画を見ると、その場面が描かれていることが分かり、本全体として充実度が高かった。 少しだけ文章に個性があったが、慣れるとそれが心地よく、なぜかこの感想の文体も著者に少し引きずられていると思う。まだ自分も物語の中にいるようだ。
10投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ人にはそれぞれ事情があって、それを飲み込んで生きてるって感じた。辛い思いをしてるから人の痛みが分かる・・・にしても、ネネが可愛い。自分も水車小屋に入りたいし、名前呼んでほしいし、掛け合いもしたいし。
36投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ普段何気なく生きているけれども、人は一人では生きられないし誰かに支えられ、また誰かを支えているのかもしれない、と感じることができた作品。 何気ない毎日を大切に思わせてくれる、あたたかく優しい作品。 出会えてよかった
7投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
透明〜。 いや、ひどい生い立ちや、肉親以外の支えがあって自立していく姉妹の物語なんだけど、透き通るように気楽に読めて心地よかった。たとえるなら朝のNHK連ドラ。 不思議に思ったのは、ずっと文末が「だった。」で統一されていて、自然読者と距離を置いていたのが、主人公が社会人となる第三章で急に「〜と感じる。」「思う。」とか現在進行形に変わる。 しかしその後再び、「だった。」に戻る!なぜ。 私なりの解釈は、ずっと自分を犠牲にしてきた姉が救われる(伴侶と出会う)、そこをフォーカスしたのかなとハッピーに妄想して楽しむ。 喋る鳥の存在は、まあ、まやかしみたいなものか。 美しい物語を穿って読むのは、人生曲がり角を過ぎた人間の防衛本能でもある。けど、みんなが幸せになってそれでいい。いや、それがいいんだよね、ほんとは。 みんな幸せ、が説得力をもっている作品。 そこでネネが、いいシゴトしてます。
18投稿日: 2024.06.05
powered by ブクログ大きなイベントが起きるわけではないけど、ネネを介して人の繋がりが増えていく温かい話。 登場人物みんなどこかしらで繋がっている感じがとても良かった。長い話だけど長くある必要も感じた。 何よりも、主要人物が死ぬところまで書かれてお涙頂戴的な展開かな、と思ったら本当に最後まで前向きな話で終わるところが清々しくて最高だった。
9投稿日: 2024.06.04
powered by ブクログヨウムって鳥にあまり馴染みなく、ほんとにこんなに話す鳥がいるのかな!?と最初は訝しんで読んでいたけど、ネネを中心にいろんなコミュニティができて、姉妹がこのコミュニティの中で成長していく姿を見守れてよかった。こんなに皆が優しい世界ならいいのにな。 それにしても長かったー。睡眠時間かなり削って読んだ。笑
0投稿日: 2024.06.03
powered by ブクログ小学生の律と10歳上の理佐の姉妹は、母親の元から逃げて2人で暮らし始めた。そこから姉妹の長い人生が書かれている。 章を追うごとに10歳ずつ歳を取っていく姉妹。 周りの人も同様に歳を取り、別れや出会いがある。 大きな出来事が起こる訳でもなく、ただそこに皆の人生がある。 最初は自分のことを全て後回しにして律のために働く理佐を不憫に思ったが、段々と彼女は不憫なのではなく、人生を選択してきただけなのだと思うようになった。 理佐視点から律視点に物語は変わっていくに連れ、律の成長を嬉しく思った。 いつの間にか姉妹の成長を見守っているような不思議な気分になっていた。ネネも同じ気持ちなのだろうか。 昔の私だったら、本書を読んでも特に何も思わなかっただろう。むしろ、何事もなく、つまらなかったとすら思うかもしれない。 今、この本に出会えて良かった。
8投稿日: 2024.06.03
powered by ブクログ18歳と8歳で親から離れて暮らすことを選んだ姉妹の40年が描かれた長編小説。 1981年、1991年、2001年、2011年、2021年と物語は進んでいく。 周囲の大人に手を差し伸べられ、良心に包まれて暮らすことのできた姉妹は幸せだ。 描かれない部分に苦労はあるのだろうけれど… 淡々と描かれる日々に優しさ温かさを感じ、ホッコリさせられた。 手を差し伸べられた人が差し伸べる人になっていく… 優しさのループって素敵だ。 良い本に出会えた、と思えた。
3投稿日: 2024.06.02
powered by ブクログそよ風のような物語だった。顔に当たる風が気持ちよくて、そのままそこにいたくなるような感じ。 大事件が起こるわけでもなく、たまにちょっとした出来事があるくらい。それでも482ページの中には40年もの年月が流れている壮大な物語。 この物語を読んで、人それぞれ感じることは違うと思うが、私は理佐と律の親がどうしようもなく嫌いだ。恋愛に走ったり、男に頼りたくなる気持ちもわからないではないが、子どもをそういう扱いすべきではないし、相手の男も許せない。きっと津村さんもこの親のことは許せなかったんだろうな。最後まで姉妹が親に心を許すことはなかった。 作者の津村さんはこういう静かな物語の中で、何気に色んな問題を取り上げていることに気づく。 それにしてもネネが可愛い。可愛いし、賢いし、愛おしい。鳥が苦手な私でもネネみたいな鳥なら飼ってみたいと思った。
27投稿日: 2024.06.01
powered by ブクログ実家から独立した姉妹と、そば屋さんの水車小屋にいるネネ、姉妹を取り巻く人々の物語。 日常の何気ない、些細な温かさ。 人と人とが繋がり、思いやる温かさ。 それを丁寧に描いていて、自分にもそれは与えられているんじゃないだろうかと思った。 藤沢先生の「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」という言葉がじわり胸に残った。 淡々と話が進んでいきもっと起伏があってもいいかもと思いつつ、でも、丁寧に描いているからこその良さもあって、人によってはじれったいかもしれない。 また歳を重ねてから、もう一度出会いたい。 ☆3.7
3投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ物語に次々に出てくる登場人物と、 時間の経過とともに変容していく風景を、 自分自身のことと当て嵌めて考えてみたくなる 私にとっての浪子さんはあの人だな 私にとっての杉子さんはあの人かな あの人にとっての理佐だったかな あの人にとっての藤沢先生になれていたら嬉しいな この先、私がおばあちゃんになっていったら、次は私が、誰かの浪子さんや、杉子さんになりたいな。
4投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログタイトルの「ネネ」が人だと勝手に思ってたので鳥だということに少し驚いたものの、ネネをはじめ、山下姉妹をとりまく人たち(杉子さんや藤沢先生、研司くんなど)の温かさに、家族を超えた繫がりが良い方向へ進めていくところがよかった。 個人的には律や藤沢先生、杉子さんといったひとりで生きてる女性に共感することが多かった。 (理佐お姉ちゃんもよかったけれど) 理佐が聡さんに心を開いていく過程も良かった。 いわゆる生殖家族を作らなくてよいのか?みたいなところもあるのかもしれないけれど、理佐と聡夫婦や律みたいにゆるく他人と自分をつなげていくことがこれからの幸せの形の一つではないか。 シングルペアレントの榊原さんや園山さんしかり、多様な家族や繋がりの形があることの素晴らしさが丁寧に描かれている傑作だと思う。
7投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログまず装丁が素敵です。周りの人達への感謝を忘れない律は本当に良い子に育ったと思う。それは同時に理佐も立派で、出会った人達にも恵まれていて、環境が人を育てるってこのことだ。
38投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ新キャラが登場する度に山下姉妹に悪いこと起きるなよと思いながら読んだ 助けることがテーマかなと考えた 助けられた側だけじゃなくて助けた側もいい影響があるのは面白かった 暇だから助けるみたいなことを言っていたがそうかも
3投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ令和5年谷崎潤一郎賞 2024年本屋大賞2位 キノベス2024 3位 ほか 石引きの臼、編み物、しゃべるヨウム(オウム)。懐かしさと優しい気持ちになりたいときに、また読みたい本だと思った。 主人公よりも短大の入学金を使い込んだ己の婚約者を守る母を見限り、妹と一緒に18歳で新天地で生きていく決意ができた姉は、いい意味で頑固だと思う。 10年区切りで話が展開する本書、視点が変わるせいか文章自体は単調がちだが、やさしさのバトンという一貫したテーマがとても心地よい。 2011年の震災、2020年頃のパンデミックなど、地名同様くわしい単語は出さないが、物語を身近に感じる出来事を入れるのがうまいと思った。 個人的に、藤沢先生が大好き。 「もっと粘ったら話を聞いた、というのはどういう意味で?子どもが親に『お願いします大学の費用を出してください』と泣いて縋るとか?」 と言った後に母親が黙ったのは少しスカッとした。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は退屈なものですよ」も良い。 そば屋の夫婦、画家の杉子さん、藤沢先生などから気にかけてもらいつつ生活が成り立っている理佐(姉妹)。 姉の理佐に居心地の良い家を与えられた妹の律、律に居場所をもらった研司君、その彼が最後に被災地の東北へ旅立つのがやさしくて良かった。 「出会った人が分けてくれた良い部分で、自分はたぶん生きてる。」 そう考えられるのが素敵。 動物や優しいお年寄りが出てくる話は悲しい別れを身構えてしまいますが、ネネが元気なイメージのまま読み終えられたのも良かったです。
9投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ壮絶な姉妹の人生にもか変わらず、悲壮感は全くなく優しさと感謝に溢れた作品でした。 ほんわかとした空気感や水車や川の音まで聞こえて来るような感覚で、大きな盛り上がりがあるわけでもなく、とても長い期間をゆっくりと描く物語ですが、退屈することなく空気感を楽しむことが出来ました。
7投稿日: 2024.05.30
powered by ブクログとても好きなお話でした。どこまでもさりげなくて優しい文体で語られる物語と、温かみのある表紙や挿絵のイラスト、全体をまとめて手元にあるこの一冊の「本」そのものが宝物のように感じられる作品。 身勝手な母親とその内縁の夫から、まだ8歳の妹・律を連れて高校卒業と同時に家を出た理佐。こう紹介されると意志の強い女の子なのだろうと思ったりするけれど、読んでみるとそういうわけでもなく、よく悩みよく迷う。でも人に頼るところは頼り、自分にできることを引き受けていく中でよい仕事と配偶者に出会っていくのだから、やはり強いのか。「柳に雪折れなし」というけれど、そういった感じ。 理佐や律だけでなく、過酷な背景をもった登場人物はほかにも出てきますが、文体のさりげなさによるところが大きいのか、読んでいて辛くならないし悲しくならない。読者を泣かせようとする意図をまったく感じさせない、本当に淡々とした文章なのに、読みながら何度も泣いてしまった。といっても、それは登場人物たちの優しさにほっとしてつい出てきた温かい涙でした。 登場人物はみんな優しくて素敵な人たちだけど、理佐に連れられて家を出た律が転校して、最初の担任だった藤沢先生が特に私は好き。先生が律に言った「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」という言葉は短くてもとても印象的。この言葉のあと、先生の家からの帰り道で律が生きていることについて「明確な対象はなくとも、『愛している』と言ってもいいような心持ち」と気がついた、というシーンは、この物語の象徴のようだと感じます。 それから愛すべきヨウムのネネ。 この本の最後で参考文献として紹介されている『アレックスと私』を以前読んで、ヨウムは言葉を話すだけでなく、知的能力もかなり高いことに驚きました。アレックスはちょっと気難しい一面をもっていましたが、ネネはとにかくチャーミング。何度も笑わせてくれました。 この本は買ってよかった。これからも、本棚にこの本があるだけで良心を保っていかれそうな気がしています。
17投稿日: 2024.05.30
powered by ブクログ長かったです。ある人の人生の半分を追いかけるって壮大ですね。色んな課題に晒されながらも強く生きている人たちの姿が浮かびます。
3投稿日: 2024.05.28
powered by ブクログこんなにじっくりと一人の子供が大人に育っていくところを描いた作品を読んだのは初めてです。 途中途中で、律のまわりで大変な事が起きるけれども、まわりの人達の優しさに支えられがら、生きていく。そして今度は、律がそのまわりの人達の貰った優しさを、色々な複雑な事情を抱えた人達に分け与えていく。 読んでいて、優しい気持ちになる作品でした。
2投稿日: 2024.05.27
powered by ブクログファンタジーかと思って読み始めたら、ファンタジーじゃなかった。 姉妹の成長を描いた話。 でも読み終えたら、あぁ、ファンタジーだなという感想。優しすぎて、ファンタジー。 私の人生だと、リアリティがあったのは姉妹のお母さん。 この物語が優しいのは、きっとネネが優しい人を引き寄せていたのだろう。 藤沢先生の 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」 この言葉が今の私を元気にさせる。 個人的には、淡々としながらも強く心が揺さぶられるような本が好みなので評価4だけれど、優しさにひたりたい人にはとてもお勧め。
37投稿日: 2024.05.27
powered by ブクログ母親の彼氏に入学金を使われて、短大入学が果たせず失意の時、小学生の妹が夜遅くに締め出されているのを知り、家出を計画的に決行。 悲惨な話かと思いきや、ヨウムや雇い主など周囲の人々が優しく暖かく、ほんわかと読めた。 良かった。 途中、母親の再婚相手が現れるあたり、とても緊張した。
11投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログSNS上だとみんな他人に厳しくて、生きづらい世の中だなと感じていたけど、現実はこの本の登場人物のように優しい人がたくさんいるよなと思い出せた。 別に秀でたものを持っていなくても、ただ人に親切にできる自分でいたいと思った。素敵な物語だった。
12投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログ話しは1981年の第1話から始まり10年ごとのエピソードで第4話まで主人公を含めて取り巻く人々が皆心優しくて心温まる方ばかりそしてオウム?それともヨウム?喋る鳥のネネとの話しは実に面白かった。安心して読み終えた。
9投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最初の章、辛すぎて読み進められず。 未成年の姉妹が親に見捨てられ、二人で生きていくことを決意するくだりに、どうしても自分の生い立ちを考えずにはいられず手が止まる。 スーパーヒーローでもなく、ダメ人間でもない、強さも迷いもありながら、根拠のないどうにかなる精神と、周囲の人々のおせっかいで生きていく姿は生き生きしている。 昔ってこういうおせっかいな大人たちが何人かいて、貧困や不幸に喘ぐ子どもたちを見守り救い出していたよねって思う。 私自身は救われなかったけど。 この本の良いところは劇的な展開がないこと。 ある種の定点観察。 人々は時間経過と共に変わっていくけれど、それは人生のよくある流れであって、特別ではない。 それ故に後半は間延びした感覚もある。 この人生の長さを楽しめない人はこの本を読めないと思う。 人生においてグッとくる言葉も所々散りばめられながら、それでも淡々と進む。 不思議な本。
1投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
終わりが来るのが怖くなってしまう。それぐらい物語の中に入り込んでしまう作品だった。 人間の一生を幼少期から追いかける作品はあるが、とある動物の時間軸で追いかけていくのはなかなかないのではないだろうか。それこそ、吾輩は猫であるぐらいか。 小学生だったりっちゃんがいつの間にか自分の年齢を越していたり、50年という長い寿命を持っていると言われている、ネネの寿命の終わりが見えてきたりと、こちらも月日の流れの儚さに胸が痛くなることもあった。 りっちゃんが自分の境遇に対して何度も何度も感謝をしている場面が印象的だった。個人的にはりっちゃんには特に幸せになって欲しかった。幼い頃から聡明で、たくさんの本とネネと時間を過ごしている、良い子。どこかで崩れてしまうのではないかという、脆さを感じることもあったが、ずっと周りの人に恵まれていて、こちらまでほっとした。 決して良い境遇とは言えない、姉妹だった。それでも自分たちが大人になる中で、自分と似たような境遇の子供に手を差し伸ばし、ずっと良い関係性を築いていく。 一昔前の家族って地域ってこんな感じなのかなと思う作品だった。
1投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログ『水車小屋のネネ』— 表紙のような優しい世界観に包まれた希望と再生の物語 津村記久子氏の『水車小屋のネネ』は、心温まる優しい世界観の中で、勇気と再生を描いた感動的な物語です。身勝手な親から逃れ、新たな人生を切り開こうとする18歳の理佐と8歳の律。彼女たちは、未知の町で出会ったしゃべる鳥〈ネネ〉に見守られながら、新しい生活を始めます。 表紙が示す通り、この物語は終始優しい雰囲気に包まれており、読者は自然と理佐と律のことを応援したくなるでしょう。不遇な環境にも負けず、自分たちの力で生きていこうとする姉妹の姿は、誰の心にも響きます。彼女たちの勇気と行動力が、周囲の大人たちの心を動かし、彼らの支援を受ける姿がとても感動的です。 しゃべる鳥ネネは、タイトル通り物語の重要な存在であり、理佐と律の心の支えとなります。ネネがもたらす不思議な力と温かさが、二人の成長と再生を見守り、導いていく様子が心に残ります。 津村記久子氏の丁寧な描写と心に響くストーリーテリングが、登場人物たちの内面と成長をリアルに描き出しています。読む者は、理佐と律の旅路を通じて、自分自身の勇気や行動力についても考えさせられるでしょう。 『水車小屋のネネ』は、優しい世界観に包まれた心温まる一冊です。理佐と律の成長と再生の物語に深く感動し、彼女たちを応援したくなること間違いありません。津村記久子氏の優れた筆致が、この物語をさらに魅力的なものにしています。
18投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「自分が元から持っているものは多分何もなくて、そうやって出会った人が分けてくれたいい部分で自分はたぶん生きてるって。だから誰かの役に立ちたいって思うことは、はじめから何でも持ってる人が持っている自由からしたら制約に見えたりするかもしれない。けれどもそのことは自分に道みたいなものを示してくれたし、幸せなことだと思います」 「誰かが誰かの心に生きているというありふれた物言いを実感した。むしろ彼らや、ここにいる人たちの良心の集合こそが自分なのだという気がした」 =========================== 自分の仕事とリンクして読んだ。入社当初は、社会人としてのスキルやマナー、仕事でかかわる業界の知識がなくて未熟だったけど、会社のメンバーやお客さんからいろんな経験をさせてもらって、「これやりたい」「こうありたい」ができてきた。それこそ「良心の集合」。周りの人たちを大切にしていきたい。 お話の構成は、特に刺激的なことはなくて、淡々と日常が書かれている印象。そのため、ちょっと物足りなかった。
1投稿日: 2024.05.25
powered by ブクログ生まれる親は自分で選べないけれど,助けになってくれるはいる。その人たちに助けられたことに感謝しながら,その次の世代に受け取った優しさを繋ぎ,託していく。人間並の寿命を持つ鳥のヨウムであるネネは,そういう人々との出会いと別れを経験する。 生きることに孤独に感じたら読むべき。ほっとする本。
2投稿日: 2024.05.25
powered by ブクログなんとも心が穏やかになるストーリー。 18歳と10歳の姉妹が、親を見限って家を出る冒頭はどうなることかと思ったけど、その後は周囲の人々に助けられ、そして自分たちも誰かを支えて。。。 10年ごとに章立てされているのも良かった。 姉妹とそして主人公と言っても良い「ネネ」との関わり方、成長を楽しみながら読み進めることができた。 大きな起伏がある物語ではないけれど、全体を通してトゲがなく、クスッと笑ったり、別れに涙をしながら楽しむことができた。 読書中は、新鮮で美味しいお蕎麦を食べたくなりますw あと、ネネにも会ってみたい。
4投稿日: 2024.05.24
powered by ブクログ山下姉妹とヨウムのネネ、まわりの人達との日常のお話。入学金を彼氏に使ってしまった母親の元を幼い妹を連れて出ていくところから始まり、よくある毒親の話かぁ~と思いましたが全然! 優しさが素敵なコミュニティとなり、親切の連鎖につながる。みんな良い人!よかったなぁ~優しい気持ちになれました。 誰かが誰かを思って生きている。人はいなくなっても誰かの心の中で生き続けることができる。いつまでも忘れられない存在でいたいですね。最高の作品、本屋大賞はこっちでしょ!
53投稿日: 2024.05.23
powered by ブクログまさかの40年間に渡るヨウムのネネが中心にいる、大河小説。(鳥の長生きなのにもビックリ) 章ごとに語り手となる人物は違うし、それぞれの生活も変わり成長もするけれど、ネネの声色はほとんど変わらない。しかも考察も加えつつ場をほのぼのとさせてくれる賢くて優しい(たぶんそう)主人公のヨウムのネネに、慰められ続けている。 1981年の姉妹の貧困と義父からの逃亡場面がやはり心痛い印象だけど、ずっと川の水の流れる音と美味しそうな蕎麦への憧れとで読み進められたのは何より。
15投稿日: 2024.05.23
powered by ブクログ最初から波乱の展開ではあるけど、語り口のせいか淡々と優しく進んでいくように感じます。 淡々としていて退屈するかなーと思いきや、読む手が止まらない。 すてきな描写がたくさん散りばめられていて、 聡はマヨネーズを好きでも嫌いでもなかったけれども、思い出すとおいしいもののような気がしてきた。(254ページ) みたいな文でほんのりと相手への好意?優しい気持ち?言葉にする前の気持ち?のようなものが表されてません?!これ?!と勝手に想像してウキウキほっこりしながら読み進めた。 なにげないキラキラがたくさんあった本でした。 本屋大賞2位も納得。
11投稿日: 2024.05.22
powered by ブクログ18歳の理佐と8歳律の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉 ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生―― 理佐は母親にアルバイトで貯めた貯金を使われ大学に入学出来ず律も母親が付き合っている男の人に虐待されている事を知り律を連れて行ける仕事先を探す。ヨウムのネネの世話をしながらお蕎麦屋さんの夫婦町の人々色んな人の温かい人情に触れ合いながら30年という月日を過ごす。もう一度読み返しながら楽しむ事にします。
11投稿日: 2024.05.22
powered by ブクログ他人に親切でいたいなと思わせてくれる作品。 他人の優しさは素直に受け取り感謝することで、自分もまた他人に優しくできる。そんなふうに繋がることで優しい世界が広がっていく、この本の世界に住めたらいいなと思う。 他人に優しくすることも大事だけど、同じぐらい他人の親切を素直に受け取ることも大事だなあと。
9投稿日: 2024.05.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
18歳の理佐と8歳の律と、2人を見守る大人たちと、ネネとの日常。 水車小屋で蕎麦粉を引くのを見張ってくれるネネ、賢い!! ケンジくんとの勉強のやり取りが笑ってしまった!ネネがいたら勉強がはかどるなぁ。 登場人物みんながいい!(お母さんとその彼氏以外)優しい、安心する場所にいるような気持ちにさせてくれる一冊。 挿絵もほんわかしていてかわいらしかった。
2投稿日: 2024.05.21
powered by ブクログ読んで良かった! もう一度読もう! と思える作品にまた会えたことがうれしい。 津村さんの「やりたいことは二度寝だけ」というエッセイを 読ませていただき面白い人だなぁ。と思ったのが この本を手に取ったきっかけです。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なもの」 「自分はこの人たちの良心の一部でできている」 単なるフレーズに聞こえるこの言葉だけど、 「頑張ってるから、やさしくしてくれても」と考えがちで、 当たり前の優しさが懐かしく感じる いまの私にはグッとくるものがあった。 この物語は個性的な人物が登場したり、 周囲に大きな事件が起こるわけではないけれど、 2人の歳の離れた姉妹を大人が優しく見守り、 成長した姉妹が今度は他人を気にかけ、 その輪が40年という年月に少しづつ大きくなって、 みんながネネと水車小屋のもとに集まって。 これからの自分はこの輪の中にいられるような人生でありたいと思った。 2024年本屋大賞2位ということで、本当におめでとうございます。 共感している人が沢山おられるということが本当に嬉しい。
18投稿日: 2024.05.19
powered by ブクログ18歳と8歳の姉妹が2人だけで暮らしていくなんて、今の世の中は許さないだろうと思う。 この物語の根底にあるそばに寄り添うという事が、辛い時期の子供たちをも真っ直ぐに育んでいたのかと思う。そしてネネの誰にも開かれた優しさが暖かい。
5投稿日: 2024.05.19
powered by ブクログ本屋大賞第二位で読んでみた。 文章がきれいで、石臼が目に浮かびます。 そばが食べたくなります。 成瀬と甲乙付けがたいです!
4投稿日: 2024.05.19
powered by ブクログいつまでもこの話を読んでいたくなるような一冊でした。ネネがいるだけで、こんなに物語が豊かになるとは。 みんなネネがダイスキになると思います。「六波羅探題!」と叫んでいるシーンを想像すると笑ってしまいました。 500ページに近い内容でしたが、エピローグの話をもっと書いてほしかった!(欲を言えば) 読み終わってからは、思わず美味しいお蕎麦が食べたくなりました。
59投稿日: 2024.05.18
powered by ブクログ少し読み進めては余韻に浸るのをくりかえしていたら、普段の読書の何倍も読了までに時間がかかったけれど、多幸感が持続したので、よい。 作者の本は数冊読んでおり、職業感覚や金銭感覚に卓越している、共感以上の何かを覚える部分があると思っていて。表紙とタイトルを眺めた時に「あれ?今回はファンタジー的な?」と思ったがそうでなく、ページを開くとわたしの読みたい津村作品がそこにあって、なんとヨウムまでもがお仕事を暮らしに組み込んでいるのだった。
7投稿日: 2024.05.16
powered by ブクログ姉の理佐と妹の律、ヨウムのネネを中心に書かれたお話。 特別大きな事件が起きたりということはないけど、話に引き込まれてどんどん読み進めることができました。 最初は理佐と律の母親の彼に邪険にされたり、お金を使い込まれたり。それに対して母親も助けようとしない。なんだか重たい話かなぁ?と思っていましたが読み終わる頃にはほっこりした気分になれました。 第一章から第四章、エピローグまで10年単位で話が進んでいきます。 40年分のお話なので、親しい人との別れもありました。 杉子さんが亡くなったときは、読みながら涙が... しかし、悲しい別れだけでなく各章では新たな出会いがありました。 それぞれの人物が、幸せそうな人生を歩んでいて読んでいてこちらも幸せな気分になりました。
2投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログずっとずっとこの物語の中に居たくなるような とても素敵な温かい作品で 私にとって大切な1冊になりました。 この作品に心打たれる私も きっと今まで出会った人たちの 優しさでできているから この作品の中で生きている人たちのように 私も生きていきたいです。
1投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログ理佐と律以外の登場人物の人物像が長い物語の中で小出しにされており、掴みづらかったです。 10年ごとのエピソードはあるものの淡々としており、最初から最後まで物足りなさを感じました。 ヨウムについて知らないことばかりだっので、そこは面白かったです。
4投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログめちゃくちゃいい本だった、が感想としては一番近い。 面白おかしくも書かれてないし、感動系ともちょっと違う。 自分の頭ではまとめきれないけど、とにかく読んでよかった一冊。とてもよかった。本当によかった。 本屋大賞にノミネートされてなかったら、まず手に取ってなかったので、感謝感謝です。
2投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログ子どものことより自分の人生を優先させたくなってしまった母親から離れ、姉妹で生きていくことにした18才の姉(理佐)と小3の妹(律)、仕事先の鳥ネネ。 10年ごとのお話。1981年から2021年まで。 ネネとのやり取りは子育てで大事なことも散りばめられているような気もしたし、ネネを通して考えることは、自分たちの生き方についても考えさせられるような、ところどころそういう言葉が落ちてくる物語。 優しい。 ネネは、ただいてくれるをしてくれる存在なのかな。で、ちょっとした言葉の掛け合いもできる。 ネネを含め、他愛もない話をできる相手のいることのありがたさ、大切さを感じた。 なんだか読んでいる時間は不思議ないい時間だった。じんわりした読後感。 40年はいろいろある。ネネ可愛かったー。 誰かに親切にできているかはわからないけれど、ネネのように誰かの掛け合い相手にはなり続けたいなとは思った。 いい本だった。
41投稿日: 2024.05.13
powered by ブクログ私の感受性が貧困過ぎました。 皆様方の高評価と別になります。 淡々と四十年の年月を500頁弱に進展もなくダラダラとした物語。100頁弱級なら有りですが。 何処面白いのか解りませんでした。自身の感性を怨みます。以上。
23投稿日: 2024.05.11
powered by ブクログこれは良い本だなぁ 側に置いておいて、また読み返したいと思う 自分は、出逢ってきた人の良心で出来ている って考え方、いいな ヨウムのネネがいい味出してて、登場人物たちをうまく繋いでくれている そこそこ辛い境遇の人々が描かれているのに、幸せな気持ちになる物語だった 子どもたちにも読んで欲しい
11投稿日: 2024.05.09
powered by ブクログめちゃくちゃ良かった。まず、鳥のネネが良い。しゃべり方とか、身体を動かす感じとか、人との掛け合いとか、読んでて楽しいし、微笑ましい。 あと、登場する人達が、苦しい環境にいたりするんだけど、皆優しくて、自然体で協力しながら生きてる感じがして素敵。 話が長くて、読むのに時間かかったけど、またいつか読み返したい。
3投稿日: 2024.05.08
powered by ブクログ久々の一気読み。ヨウム賢いな。ネネの世話をする人がいいタイミングで交代していくのが良い。大人になってからの姉妹の性格が思ってたのと違ったのも良い。興味深い登場人物ばかりで大変面白かった。
3投稿日: 2024.05.08
powered by ブクログ淡々とした文章で読みやすかった。 10歳の妹律さんを連れて家を出た18歳の理佐さん。 お蕎麦屋さんの店員さんとして働きながら、ヨウムのネネのお世話をしている。 大変なこともたくさんあっただろうが、そういったことには触れないで、優しく親切な人との交わりだけが描かれている。 飄々とした律さんが好きだなぁ…
0投稿日: 2024.05.06
powered by ブクログ優しさの連鎖 ハラハラする大事件がほとんどない。 淡々と物語が進行する。 かと言って、決して退屈な話ではない。 優しさの連鎖にグッと来る。 ヨウムの賢さも作品の魅力の一つ。
3投稿日: 2024.05.06
powered by ブクログヨウムのネネを中心とした物語 我が家はインコと暮らしています。 この物語の中にはヨウムがでてきますが、「いや、こんなことないでしょ…」なんていう矛盾?気になるところ?がほぼなく、物語に集中することができました! なんだかほんわかあたたか気持ちになる物語でした。
4投稿日: 2024.05.05
powered by ブクログヨウムのネネを取り巻く人々の40年の物語。 人に支えられた人が、後に人を支え、自分が関わった人が誰かを助けたりする。優しい人の営みの物語でした。 500ページ近くある大ボリュームにも関わらず、重さを感じず、途中で億劫になることも無く読めた。素敵な作品です。
12投稿日: 2024.05.04
powered by ブクログ【きっかけ】 本屋大賞2024ノミネート作品を読破しようと思ったから。 【あらすじ】 18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉 ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生―― 助け合い支え合う人々の 40年を描く長編小説(Amazonより) 【心に残ったところ】 ◉ 「お母さんにもお母さんの人生があるってことなんだよ。そう思うしかないよ」 「でも、それはりっちゃんを私の年齢ぐらいまで育てるまで我慢すべきでしょ」 「私が十八になるぐらいってことは、お母さんは五十歳過ぎてるわけだし、それじゃ遅いって思ったんじゃないの」 ◉「母親という人々も人間なのだ、ということは、律もよくわかっていた。二十年前、母親の恋人に短大の入学金を使い込まれて家を出ることを決めた姉は、その男からの虐待に近い扱いを母親から放置されていた律を連れていくことに決めたのだった。」 ◉「しばらくの間、自分という人間がおらず、何もしなくていいように感じることを気分良く思いながら、律は去っていった守さんや杉子さんや、この場にいない藤沢先生のことを思い出していた。彼らもその場にいるような気がした。誰かが誰かの心に生きているというありふれた物言いを実感した。むしろ彼らや、ここにいる人たちの良心の集合こそが自分なのだという気がした。」 【感想】 主人公たちが皆それぞれしんどい過去を背負っているのだけど、周りの人たちに支えられ、そのうち人を支え、それをネネが見守って…という優しさの連鎖の物語だった。 どこかの外国の童話のようなタイトルのように思えるけど、ネネはじつはおしゃべりな「ヨウム」。 読んでいて、テレビや電話からスマホやゲームへと、時代の移り変わりを感じられる楽しさもあった。 まだ当時小学生だった律に、「お母さんにもお母さんの人生があるってことなんだよ。そう思うしかないよ。」と言わせてしまうなんて…とやるせなさが込み上げた。 しかし、自分も親の立場でありながら、理佐と律の母の気持ちが1ミリも理解できないとは言えないのだ。 現に私は毎日、母という役割と自分らしさとの間で葛藤している。 つい趣味にのめり込んで夜更かしをしてしまったり、自分の時間がないと落ち込んだりしている。 子が産まれた途端に無償に愛を注ぐなんてできない。自分のことだって可愛いのだ。 葛藤するたびに、「自分も人間だ」ということを強く自覚させられるのである。
2投稿日: 2024.05.04
powered by ブクログネネがむちゃくちゃかわいい。「空っぽ」「六波羅探題」「私はネネ」お話してみたい。 最初は理佐目線でストーリーが始まって、途中から夫になる聡、妹の律と主人公が変化する。 ネグレクトや犯罪者の家族に貧困、地震と重いテーマだけどネネのおしゃべりに癒やされたりクスリと笑わせてくれる。 独特の文章。「だけれども」が印象的。 なかなかの厚みで読み応えがあった。 本屋大賞第2位に納得。
10投稿日: 2024.05.03
powered by ブクログ初めましての津村記久子さん。本屋大賞ノミネート、おめでとうございました。 18歳の理佐が、身勝手な母親から離れるため8歳の妹を連れて家を出た先は、ヨウムのネネが働く水車小屋のあるお蕎麦屋さんでした。そこで、周りの人々とお互いに助け合い支え合いながら歩んだ40年を、10年ごとに描いています。 結構分厚くて淡々とした語り口だったので、途中で飽きるんじゃないかとちょっと心配でしたが、全くの杞憂でした。 同じく本屋大賞にノミネートされた川上未映子さんの『黄色い家』と、毒親貧困というスタートは一緒だったのに、こちらは出会いの運が良かった、だけではないと思うのですが、心が温まる、読んでいて応援したくなるお話でした。 津村さんの他の作品も気になります。
6投稿日: 2024.05.03
powered by ブクログじんわりと心が温かくなる人生のおはなしだった。 特に感じ入った文章を残しておく。 「きみが近くにいると、自分はたぶん勇気を持つことができる。報われないことを恐れなくて済んで、自分がそうしていたいだけ誠実でいられるんじゃないかと思う。」 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ。」 「誰かが誰かの心に生きているというありふれた物言いを実感した。むしろ彼らや、ここにいる人たちの良心の集合こそが自分なのだという気がした。」
2投稿日: 2024.05.03
powered by ブクログ愛おしさがあふれ出てどんどん読み進めたくなった。 最近ハマっている津村記久子さん。 我慢していた読書解禁ということで、せっかくなので話題作を購入。 482ページある結構なボリューム感。 以下、あらすじ(軽いネタバレ含) 父と別れ、女手一つで高校まで苦労しながらも育て上げてくれた母。 けれども恋人を優先し、自分の進学に充ててもらうはずだった資金を恋人の事業につぎ込んでしまう母。 10歳にも満たない妹の律に厳しく当たる恋人の姿を見ていながら、味方になってくれようとしない母。 そんな母親に、理佐は恩を感じながらも、自分の生活を確立するため隣県の蕎麦屋に妹を引き連れ、住み込みで働く決意をする。 こだわりの詰まったその店は、蕎麦の実を水車の力で石臼で砕いている。その水車小屋に駐在し、空になった石臼が消耗してしまわぬよう見張っているのは、ヨウムのネネだ。 本作は、ネネが紡ぐ縁を中心とした、理佐と律を巡る物語。 各章ごとに10年ずつ経過した登場人物たちの生活が描かれているのが読んでいて楽しい。それぞれの章にスリリングな場面と心温まる場面があり、ひとの繋がりの大切さを再認識する。 まさに社会教育だな、と思う。 そして、本作は人生そのものだと思う。 前情報を入れずに読み進めたので、ネネの正体が私の大好きなヨウムだと知ったときは思わず破顔一笑。 そして無性に蕎麦が食べたくなってしかたない。川の側もいいよね。 個人的には第一章が一番面白いと感じ、後半は若干間延びした感もあったのだけれど、それでも☆5をつけたくなるような、何度も読み返したい作品でした。
12投稿日: 2024.05.03
powered by ブクログうるっときちゃったよ〜 心を動かされたら⭐︎5つけるしかない。 著者はまたもや同い年、同じ大阪生まれの女性。 入りはまた不幸な親話なのかなと思って、それから鳥が出てきて変わった設定と思ったんだけど、読み終わった今は、小説なんだから波瀾万丈、幸にも不幸にもできるだろうに、丁寧に書かれてたなぁという印象です。 朝テレビを付けると嫌なニュースが目に入ってきて、ネットでは娯楽かのように気軽に批判するだけの人が大勢いる現代社会で、「それでもまだ世界は(人は)信じられる」というような著者の強い思いを感じた。 人生ってほっといたら都合よく楽しくならないですよね。 斜に構えて自分を守るより勇気を出して人と関わる方が、失敗する可能性もあるけど面白くなりうるし、失敗しても批判して追い詰めるのでなく、手を差し伸べる人がいる寛容な社会が結局皆が生きやすくなる道なんじゃないかな。 綺麗事かもしれないけど、誰かが言ってやらないと変わらないもんね。 とは言えじっとしてる方がラクだったりもするので自分もできてるわけじゃないんだけど、そういうことを思った。 気になったのは登場人物で結婚してない人が多いこと。特に子どもがほぼいなくて、子どもがいなくてもいい、という主張も感じられた。 確かにそれはそうで(当たり前だ)、でも私は子どもがいるので、子どももいいもんだよと言いたくなるんだけど、「誰かに親切にしないと人生は長くて退屈」というのを読んで、さすがだなと思った。 私は子どもでもいないと人生長すぎると思って子どもを持ったけど、他人に親切するのでも同じだ。 「利他とは」なんて難しいことを考えなくても、この本を読んだらエッセンスが伝わると思う。 もう一つ、かつて大学のゼミの先生が「37歳の時にどうなってるかですよ」と言って、ハタチそこそこの我々は何の根拠があって?とキョトンとしたんだけど(でも印象的だったので覚えてる)、やっぱりそれぐらいがひとつの目安なのかもな。 最後にヨウム。本当にこんなに賢いの? どんな鳥だろうと思ったら将棋の森師匠が飼ってる鳥だった。
10投稿日: 2024.05.02
powered by ブクログ人はいろんな状況でなんとかして生きていかなくてはいけないんだけれど、その状況に感謝できる人、文句ばかりの人、立ち向かえる人...。 その中で、あるがままを受け入れて、自分の役割をきちんとこなすネネの存在が愛おしい。そのネネを大切に思える人達はまたみんな良い人で、読んでいてほっこりした。
5投稿日: 2024.05.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本屋大賞2位との事だが、何でこんな上位に入賞したのか分からない。育児放棄に近い形で家を放り出された理佐と律の姉妹、水車小屋に棲むネネというヨウムと言う言葉を話す鳥を世話をするという仕事を得て、そこでの人々との出会と別れを繰り返して40年間を描き続けると言う長い長い物語、登場する人々は良い人ばかりだが、理佐と律には子供を与えなかったのはどう言う事だろう、多少の事件はあってもただ淡々と流れる時間はやや冗長だ、「ポストライムの舟」以来読んだことのない作家だったが、特にまた読みたくなるような作家ではない。
1投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログ長編だけど、あっという間に読めてしまった。必要な言葉を尽くしてネネと姉妹、また彼女らを取り巻く人たちの流れゆく暮らしを描いてくれて、嬉しい長編。ずっと読んでいたい。 ところどころ、簡潔ではない文章で表現されているところもあって、それがまた、物語を急がずゆっくり読むことができて良かった。分かりにくいというのではなく、ネネや姉妹と一緒に時を刻んでいくのに十分なスピードを文章が保ってくれているという感じ。水車小屋周辺を昔から知っていたかのようにわたしも、彼女たちの成長を見守ることができた。 そして本当に、平穏で満ち満ちた瞬間の数々。姉妹の家族環境や震災、コロナと、悲しくつらい出来事ももちろんあり、人々が自分の心に刻んだ強く正しい覚悟と行動で掴み守っていた平穏ではあるけれど、人々が自分にできることを考えて人のために動いたり、人への恩をちゃんと返そうとしたりといったその誠実さが恵みをもたらしていた。真面目に生きていると人生は上手くいくんだなと思ったりした。
8投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログ482ページ 続けて長い本を読んでしまった! 本屋大賞2位 作家さんにとってこれまでで1番長い小説だそうです。 物語の初めは、救われないような環境にいる姉妹で始まる。 絶望的環境を淡々とした文で進む 不出来な母親とその内縁の夫 親切な他人たち 親以外、登場するのは良い人ばかりで、現実の世間の方が厳しいと感じた 文中に「自分が元から持っているものはたぶん何もなくて、、出会った人が分けてくれたいい部分で自分は出来ている」とある 親ガチャと言われる中で、生まれた環境より育っていく環境の方が確かに大事だと思う、、が、、、 一気読み面白かった
10投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログ本屋大賞ノミネート作ということで手に取り、とても面白かった。主人公の生い立ちは悲惨とも言えるので、作者が違ったら暗い物語になりそうだが、小説には珍しい頻繁な挿絵や柔らかな描写により、この物語はバッドエンドにはならないだろうな、と安心して読み進められた。特に中盤の結婚までの話は、人と人が心を通わせる様を丁寧に描いており心に残った。 多方面に配慮したような多様性のある人々も描かれており、誰も置いてけぼりにしない意志を感じた。ただ、田舎だと結婚や出産のプレッシャーがすごいイメージがあるのでこんなに心穏やかに過ごせるものだろうかというのは疑問に思った。 家に置いておきたい一冊。
8投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログ清々しい読後感。生きることは素晴らしい、その一言に尽きる。日々の暮らしを真面目に誠実に送る姉妹、そしてそれをめぐる人々の愛がいとおしい。『黄色い家』の反転世界のように思った。
5投稿日: 2024.04.29
powered by ブクログ本屋大賞にノミネートされる前から気になっていた作品(表紙と裏表紙のイラストがカラフルで可愛かったと記憶に残っています) 水車小屋にいるユウムの『ネネ』と姉妹の約40年に渡る物語。時間の経過と共に成長や変化していく2人の姿、周囲の人との関係性、日々の生活が描かれています。出会いや別れなど共感する部分もあるので、親近感を持ちながら読み進められました。 理佐と律は、決して裕福だといえない環境で周囲の人たちに助けてもらいながら生きていき、やがて大人になり助けてあげる立場になっていく。誰と出会って何を吸収し成長していくか、そして助けてあげる立場になった時、何をするかそんなことを考えさせられました。 『出会った人が分けてくれたいい部分で自分は生きている』という研司の言葉が好き。私も出会った人から素敵なものをたくさん吸収していきたいと思いました。 続編読みたいなぁと思った作品で、良い読書時間を楽しめました。
3投稿日: 2024.04.29
powered by ブクログそんなに悪い作品とは思わないが、2024年の本屋大賞で2位と云うのはちょっと信じられない。これでノミネート作の8作を読んだけど、私の評価としては低い方だな。なんか、メリハリのない話が延々と続いてた感じ。特に、姉ちゃんが結婚して以降の律の描写は読んでて全然面白くない。でも、まあ長かったけど、最後まで読める話ではあった
5投稿日: 2024.04.29
powered by ブクログ姉妹と町の人達の40年の話、長い本です 日常の中で人が色々な想いを繋いでいきます なんかどの人を生活してるんだなあと思って。のところが好きです 洗濯してるとか掃除してるとか。 ほんとに誰かいなくなっても、誰かの中に生きる。それは特別なことじゃないんだなーって
1投稿日: 2024.04.28
powered by ブクログ1981年、18歳の理佐と8歳の律は 母親とその婚約者の元を飛び出し山間の町へとやってきた。 家を出なければいけない理由があったからだ。 母親は離婚後、女手ひとつで姉妹を育ててくれたが 男に頼りたくなる弱さも持っていた。 理佐の不安な気持ちをヨウムのネネが癒し 働き先の蕎麦屋の夫婦をはじめ町の人たちが2人を助けてくれる。 理佐と律の生活が安定する様子にホッとしたり。 ネネの可愛さも読んでいて楽しかった。 ただ、理佐が結婚をして物語から離れたことにより 律の成長が止まってしまったような 彼女の考えていることが見えてこない。 歳を重ねた彼女が周りに心を開かないのはどうしてか。 最後の方はそのことが気になり集中できなかった。 欲を言えば、年数で区切るのではなく 姉妹の成長の過程を丁寧に掘り下げて見せてほしかった。
1投稿日: 2024.04.28
powered by ブクログ40年の人生の物語。 長くて退屈。 なんでこんなに評価高いのかなぁ。 内容はまぁ『優しさに溢れた』的なものなのだろうけど、ただダラダラとしか感じられなかった。 そして文章が読みにくい。 まわりくどくて長ったらしくて疲れる。 文章までダラダラだった。
6投稿日: 2024.04.28
powered by ブクログ本屋大賞2024 第2位。 姉妹と鳥のネネの40年の物語。姉妹のお互いの気遣い、優しさ、助け合い、そして鳥のネネも良かった。
6投稿日: 2024.04.28
powered by ブクログ身勝手な母親から逃れ姉妹で生きていくことに決めた理佐と律、そして賢いヨウム(ネネ)の40年にわたる物語。 手に取った瞬間、『あっ、分厚い…』という感想(笑) ゆっくりと心穏やかに進む物語に、1週間浸っていました。読後感、本当に心地良いです。 周りの人に感謝して、幸せを感じて生きていきたい。そして私も何か返していけたらなーと思える1冊でした。
19投稿日: 2024.04.28
powered by ブクログ表現はどうかですが、日常が淡々と流れる、月日も何十年と流れていくのですが、なぜ生きるのか、幸せって、ということを感じさせてくれました。良心にあふれる登場人物たちも快く、いい小説家でした。
1投稿日: 2024.04.27
powered by ブクログ「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」 「自分はおそらく、これまでに出会ったあらゆる人々の良心でできあがってる」 帯ににも書いてあるこの二文が、心に染みました。 死者の思いも、記憶とともに受け継がれていく。人に影響を与えて、生き方をも変えていく。 人が生きるということは、他者と関わり支え合っていうことなんだと温かい気持ちになりました。 自分もこれからの人生どう生きるか、考えていきたいと思いました。 切実にヨウムが飼いたい!!
1投稿日: 2024.04.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ネネを中心にした穏やかな物語。慌てて読んでしまったけど、長い時間かけてゆっくり読みたい話だった。物語が終わるまでネネがずっと生きててくれて良かった。
1投稿日: 2024.04.27
powered by ブクログ津村さんは、家庭環境が複雑な少年少女をすごく丁寧にそっと寄り添うような描写をすると思っているのだけれど、今作はそれがより顕著だったように思う。 小説の中の登場人物というより、一人の人間として接しているようなやりとりに誠実さをとても感じた。 特に語り手が律になってからは、みんな親切で良心的で穏やかで、時間がゆっくり進んでいるようなそんな雰囲気がいいなぁ、と思った。そしてネネがかわいい。
1投稿日: 2024.04.26
powered by ブクログ『水車小屋のネネ』 読了 仕事の手帳買うついでに手に取った作品 すごく長い物語だったけど、人とのあたたかい繋がりを感じる素晴らしい作品でした。 藤沢先生の言葉。すごく身に染みるものでした。自分もこのような方を目指していきたい。 そして、人との出会いを大切にしていきたい。 そう思わせてくれる作品でした。
3投稿日: 2024.04.25
powered by ブクログシングルマザーとして長女を育て上げた母が乱心し、婚約者として家に引き込んだ男に8歳の妹が虐待されているのに気づいた姉は、妹をつれて家を出る。職安で見つけた「鳥の世話じゃっかん」と付記されたそば屋に就職し、そこでヨウムのネネと出会う。 この姉妹を軸に、ネネと様々な人々との交流を40年に渡り描いた長大な物語だ。始まりこそ「重そう……」と思って覚悟を決めたが全然そんなことはなく、軽やかな文章とネネの愛らしさでさくさくと読み進めた。人との繋がりや優しさに思いを馳せる良書だった。 ぼくは本作が本屋大賞を受賞すると予想していた。『成瀬……』も大好きな作品なので、結果には不満はないが。
11投稿日: 2024.04.24
powered by ブクログある姉妹の40年間の人生をあたたかく、ゆっくりとえがかれた小説。りさとさとるの恋が、今まで読んだ中で一番穏やかな恋だなと思った。ネネというヨウムがつねにアクセントになり、時折時代にそった音楽がでてくることでその時代を想像することもできた。始終穏やかな気持ちでいられる、そんな一冊だった。
1投稿日: 2024.04.23
powered by ブクログ図書館で予約してた本!やっと読めると思ってたらなんと!本屋大賞2位⸜(*ˊᗜˋ*)⸝ ヨウムのネネの物語。 何年も通しての物語なので私もネネと律と一緒に過ごしているような気持ちで読める 全482ページ
16投稿日: 2024.04.23
powered by ブクログ出てくる登場人物が全員優しくて強くて… 特に18歳で妹を連れて育てる覚悟を決めた姉と まだまだ母親が恋しい歳なのに姉と一緒に自立を 決めた8歳の妹。この姉妹は本当に強い。 久しぶりに心温まる物語読んでホッコリした。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」 意識しなくても自然と親切出来る人間になりたいなと思えたストーリーでした。
6投稿日: 2024.04.22
powered by ブクログ本屋大賞2024年 2位 この作者はいつも少しの非日常に 当たり前の日常を混ぜてくるのです。 ネネに制限された狭い世界は、 ひとりぼっち達を引き合わせて じんわりと温めていきます。 本を閉じると生きててよかったと思える本です。
4投稿日: 2024.04.22
powered by ブクログ母親の婚約者に家から閉め出され、夜の十時に公園で本を読んでいた8歳の妹・律と、短大の入学金をその婚約者のために使われてしまい進学できなくなった18歳の姉・理佐は家を出て、職業安定所で見付けた「鳥の世話じゃっかん」と記されたそば屋の仕事につく。この鳥がタイトルの「ネネ」で、まるで人のように話す。水車小屋はそば粉を挽くのに使われていて、空挽きしないようにネネが見張っているのだ。物語は十年ごとに進み、姉妹の成長が描かれるのだが、出てくる大人たちが皆とても善良で、なんでこんなにも姉妹に親切なのだろうと思ったが、大学進学の学費まで出すと言ってくれた小学生の頃の担任、藤沢先生の「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なもの」と言う言葉に、そういうものかもしれないと納得した。ネネの存在に癒され、人に親切にしたくなる小説だった。
6投稿日: 2024.04.22
powered by ブクログ母親の恋人の暴力から逃れ、家を出た理佐と律の姉妹。高校を出たばかりの理佐は田舎の町のそば屋で働きはじめるが、その仕事には水車小屋に住む賢いヨウム、ネネの世話も含まれていた。二人はネネを通じてさまざまな人と触れ合い、たくましく生きていく。 1981年から2021年までの物語がネネと二人の姉妹を軸に紡がれる。ヨウムという鳥は実際に人間の幼児並みの知能があることを初めて知った。周囲の人に助けられた二人が、やがて困難を抱えた身近な人々に手を差し伸べていく様は心温まる。親から逃れて家を出るという発端が共通する『黄色い家』と読み比べるのも面白い。
1投稿日: 2024.04.21
powered by ブクログ8歳の時に18歳の姉に連れられ知り合いもいない土地で二人だけの生活が始まった律。周囲の人に見守られながら成長し、その恩を彼女がまたみんなに広めていく、長い時間を追った物語。見返りを求めない親切な気持ちがそれぞれの居場所を作り均衡を保っているように思えた。律を見守りその他にもあまり恵まれていない子供らへのサポートをしている教師が『誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ』という言葉、そのささやかな手に救われる人は確かにいるんだろうと思った。
1投稿日: 2024.04.21
powered by ブクログ本屋大賞2位の作品。 やっと読めた〜! ざっと500ページ。 な、長かった、、 18歳と8歳の姉妹が、親元を飛び出し辿り着いた町で、ヨウムのネネと、そしていろんな人達と出会い、支え合いながら過ごした40年間を描いた作品。 緩やかに淡々と描かれていて、その空気感が心地良い。 特に大きな事が起こるわけでもなく、じっくりと姉妹の成長や人生を見守る感じだった。 これ読んでると、今まで自分もいろんな人に助けられて生きてきたんだな〜としみじみ。。 私もその温かい気持ちを、受けるだけじゃなく誰かに向ける事が出来る人になりたいな〜と感じた。 そしてなんといっても、ヨウムのネネが可愛かった〜♪♪ ネネがいたからこその部分も多く、脇役のようでこのお話のいいアクセントになってた。 だけど正直言うと、淡々として穏やかな空気感は心地良くもあるけど、長いとちょっと飽きるとこもあって、、 読み終えるまで、だいぶ時間がかかってしまいました。←ごめんなさい。私の個人的感想ですm(_ _)m
89投稿日: 2024.04.20
powered by ブクログ読み終わった本を手放したくない、気持ち初めてかも〜 レッチリとかもぐわいとか出てくる 津村さんはとにかくセンスがいい本当に大好き
1投稿日: 2024.04.19
powered by ブクログこれまでの私の津村さんの作風イメージとは異なる一作だったけれど、とても良かった。人は人によって傷つきもするし、救われもするのだなと改めて感じた。あと、ネネちゃんが可愛い。こういう存在がいてくれるか否かで全然違う。 子供として必要な庇護を受けられない環境にいる子が、周囲の大人や子供に支えられ守られつつ、しっかりと自立の道を歩み成長していく姿、自分と同じような境遇の子や傷ついた人に手を差し伸べる姿にジーンとしたし、自分を顧みて反省もした。自分のことだけに閉じこもらず、周囲の人にもっと目や注意を向けて、変に考え過ぎて恐れることなく、他人に対して開いた人間に私もなりたい。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」(383頁) 「自分が元から持っているものはたぶん何もなくて、そうやって出会った人が分けてくれたいい部分で自分はたぶん生きてるって。だから誰かの役に立ちたいって思うことは、はじめから何でも持ってる人が持っている自由からしたら制約に見えたりするのかもしれない。けれどもそのことは自分に道みたいなものを示してくれたし、幸せなことだと思います」(438頁)
12投稿日: 2024.04.19
powered by ブクログひとつひとつの出来事に対して、登場人物たちが感じたこと、考えたことが丁寧に書かれていて、それを一緒に味わえることが良かった。心を落ち着かせてくれる優しい小説だった。
6投稿日: 2024.04.19
powered by ブクログずっしりと重い本だけど、ゆったりとした時の流れとともに水車小屋とお蕎麦屋さん、ネネに律にお姉さんの生き様が丁寧に描かれていて、さすが本屋大賞ノミネート作品と思わず唸った。時系列に沿って登場人物が入れ替わっていく様もとても自然で、不幸な生い立ちに悲しくなる場面もあるが支え合う人たちの優しさに心が洗われる思いだった。人のために時間を使う尊さのようなものがにじみ出る優しさと相まって、助け合うことの大切さをひしひしと感じた。いつもいつもは難しいかもだけど、自分の中でひとつでもこの物語から優しさを実行できたら良いなぁと思った。
13投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログ第59回谷崎潤一郎賞、受賞作。 2024年本屋大賞第2位。 第一話は1981年。 山下理佐18歳が母親の恋人に短大の入学金を使い込まれて、その恋人から虐待を受けている8歳の妹の律を連れて家出をするところから始まります。 場所は他県の水車小屋のある蕎麦屋で、鳥の世話じゃっかんの求人票をみつけて、そこで雇ってもらいます。 水車小屋にはヨウムという人間の三歳くらいの知能のある鳥がいます。 ヨウムのネネの仕草とことばが愛おしく読んでいて楽しかったです。 ネネは今、10歳で寿命は50年程。 そこで二人は忘れられない人々に出会います。 蕎麦屋の主人守さんと浪子さん。 律の友人の寛美ちゃんと、お父さんの榊原さん。 絵描きの川村杉子さん。 小学校の先生の藤沢先生。 のちに理佐と結婚する鮫渕聡。 中学生の笹原研司。 最初は理佐と律の母と恋人が追ってきて、サスペンスかと思いきやそうではなく(その時ネネが律の教えた映画のセリフをしゃべって、律を匿ってくれるのが感動的でした)。 一番印象的だったのはネネがしゃべるシーンですが。 藤沢先生が「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」と言ったのが印象的でした。 研司が「山下さんが昔話してくれたいろんな人によくしてもらって、それでお姉さんに勇気があったから自分はこんな人間になったんだっていう話を思い出して」とずっと勉強をみてくれた律に言うのも素敵でした。 誰かよくない人がいても、支えてくれる人っているものなのだなと思いました。律たちは自分たちの手で幸福と安らぎの生活を手に入れました。 ただ、理佐が裁縫が上手だったという設定は誰に習ったのかと思いました。(私、裁縫が苦手なので)よく小説の不幸だけど後に幸せになる女性ってみんな裁縫が得意なことが多いですよね。
147投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログ身勝手な親から逃れ知らない町で生きていく覚悟を決めた姉妹とおしゃべりヨウムのネネ、それを取り巻く周囲の人達の優しさに包まれた40年間のお話。 登場人物が全て優しい。500ページ弱の長編ですが、ずっと心が穏やかになる作品でした。
3投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
育児放棄された本好きの8歳の女の子と、10歳年上のお姉ちゃんが、親から離れたくさんの温かい人たちの助けを借りて生きていくお話。 そこにはいつもネネがいて、水車と川の流れがあって、人々が集まり、時に別れもあるんだけど、心はちゃんと強くて温かなものが育まれている。そして繋がっていく。 お金がなくて、モノもなくて、生きるのに必死なお姉ちゃんから始まった、ささやかだけど壮大なストーリーだった。
2投稿日: 2024.04.16
powered by ブクログ家を出た姉妹が住むことになるそば屋の夫婦と、そこに隣接する水車小屋にいるヨウムのネネ、そしてこれらに関係してくる人々の40年間を辿った物語。 姉妹がそば屋の夫婦や教師、地域の人の親切を受け、その親切が次に出会った人へとつながっていく。一つ一つの親切は決して大袈裟なものではなく、する方にしてみたら当たり前のことかもしれないが、だからこそされる側にはじわじわと沁み入るのかもしれない。 藤沢先生の「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」、研二の「自分が元から持っているものはたぶん何もなくて、そうやって出会った人が分けてくれたいい部分で自分はたぶん生きている」の言葉が心に残った。 40年以上にわたって全ての人の営みを見てきたネネの存在が柱となって、物語を支えているように感じた。
4投稿日: 2024.04.16
powered by ブクログ水車で挽いたそば粉を使った田舎のそば店と 挽くそばの実の残量を見守る賢い鳥(ヨウム)のネネ。 その雰囲気がまず素敵! そこにやってくるのは18歳と8歳の姉妹。 姉妹は、母親の新しい婚約者に 大学の入学金を使われてしまったり、 夜に家を追い出されるなどの虐待を受けていた。 まだ若く幼い姉妹に、 周囲の人たちは最初は心配するものの 少しずつ馴染んでいき、 たくさんの人の善意を受けながら成長する。 1981年、1991年…2021年と10年ごとに綴られた大長編。 人のあたたかさが心地よい。 そしてちゃんと生活しようとしている姉妹の強さもよい。 でもその強さは力を入れたら折れそうな強さではなく 「なんとなる」という、しなやかさでもある。 そして親切はぐるぐると次の人に回っていく。 本屋大賞2位も納得の読後感の良さでした。
4投稿日: 2024.04.16
powered by ブクログ出てくる人達がみな温かく、出会いや別れを通じて読みながら人の優しさに包まれる感じがする、ほんとうに素敵な物語です。 何よりヨウムのネネが、賢く可愛い! 鳥とこんなに心が通う交流が出来るなんて!! お話は、山と川に囲まれた水車小屋のお蕎麦屋さんで働きながら、18歳の理沙が8歳の律を育てていく所から始まります。 周りの大人達は最初警戒するものの、 若い2人を心配し、程よい距離感で支えていく。 そんな中で成長し、徐々にかけがえのない仲間になっていくふたり。 大人になってからは支える側となり、地域の若者に優しさを与えていく。 そんな優しさのループが至る所に描かれています。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」と話していた藤沢先生。 生きるっていいな、人との関わりって素敵だな、とほっこりする、大人として自分のできることは何だろう、と考えさせられるそんな一冊です。
3投稿日: 2024.04.16
powered by ブクログ母とその恋人に短大の入学金を使われて進学を諦めた18歳の姉と、夜に家を追い出される事もある8歳の妹が家を出て、姉妹だけで暮らしていく。周りの方々に親切にしてもらい、姉妹も誠実に生きていく。 その中心には知能の高いヨウムのネネがいつもいて、こちらが世話をしているだけでなく、しっかりと仕事をして、助けてもらったり、勉強の相手になってくれる。 「出会った人が分けてくれたいい部分だけで自分は生きてる」 というケンジの言葉通り、まわりの方々の優しさで成長していく姉妹の長い物語
3投稿日: 2024.04.15
