Reader Store
海をあげる
海をあげる
上間陽子/筑摩書房
作品詳細ページへ戻る

総合評価

285件)
4.2
117
86
49
4
5
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日常のなかで持たざるを得ない違和感とギャップ、何かを守らなきゃとかどうにかしなきゃ、と大きく動こうと前へ前へという話ではなくて、普通に生きているだけで侵されていく当たり前の景色や暮らしをどうしたら守れるんだろうか、ただ守ることがこんなにも難しいのか、という確かな気持ちの記録があった。助け合う、関わりあうことへの視点と大切にしたい気持ちと。読めてよかった。

    4
    投稿日: 2023.01.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    大好きな、大好きな沖縄の海。 沖縄で生まれ、普天間基地の近くに住む著者の上間さんはそんな海をあげると言う。 この意味、重みは、読み終えた読者にしかわからない。 沖縄のイメージは? 南国、キレイな海、フルーツ、ハイビスカス、首里城、ソーキそば...それだけですか? 戦争、犠牲、ヒメユリの塔、自決、基地、不発弾...おそらくこれも沖縄。 (先の大戦を描いた一冊ではありません) 言葉の持つ意味、言葉に表せない感情... ポップな表紙や挿絵からは想像だにしなかった重い内容。 自分の中で一度整理する時間が必要です。 説明 内容紹介 Yahoo!ニュース|本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞 第7回沖縄書店大賞 沖縄部門大賞 第14回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞 「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」 おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。 幼い娘のかたわらで、自らの声を聞き取るようにその日々を、強く、静かに描いた衝撃作。 生きていることが面倒くさい日々が私にあったことは、若い女の子の調査の仕事をしていると、どこかで役に立っているように思う。(……) あれからだいぶ時間がたった。新しい音楽はまだこない。それでもインタビューの帰り道、女の子たちの声は音楽のようなものだと私は思う。だからいま私は、やっぱり新しい音楽を聞いている。 悲しみのようなものはたぶん、生きているかぎり消えない。それでもだいぶ小さな傷になって私になじみ、私はひとの言葉を聞くことを仕事にした。(「美味しいごはん」より) 最後に知るタイトルの意味―― その時、あなたは何を想うか。 ブックデザイン=鈴木成一デザイン室 装画・挿画=椎木彩子 【目次】 美味しいごはん ふたりの花泥棒 きれいな水 ひとりで生きる 波の音やら海の音 優しいひと 三月の子ども 私の花 何も響かない 空を駆ける アリエルの王国 海をあげる 調査記録 あとがき 出版社からのコメント 各メディア、震撼! 朝日新聞 20.12.9 朝日新聞(武田砂鉄さん評)21.1.16 読売新聞 20.12.13 読売新聞(橋本倫史さん評)20.12.13 日経新聞 20.11.14 毎日新聞 20.11.21 西日本新聞(徳永圭子さん評)20.11.21 沖縄タイムス(與那覇里子さん評)20.11.21 琉球新報(上田真弓さん評)20.11.15 週刊読書人 20.12.4 ハフポスト 20.11.17 現代ビジネス 20.11.21 ダ・ヴィンチ 21年1月号 大竹まこと ゴールデン・ラジオ! (「ダ・ヴィンチ」関口靖彦編集長評)20.11.26 ほか ぞくぞく紹介 「半分つぶされた虫のように、地面の上をのたうちまわるような打撃をうけた人々には、自分の身に起ったことを表現する言葉がない」 ――シモーヌ・ヴェイユ 「神への愛と不幸」(渡辺秀=訳)より 着替えを済ませた娘は私のお布団に移ってきて、「まだ夜? 朝来た?」と尋ねてくる。「まだ真夜中だから眠ってね。かーちゃん、今日は辺野古に行く」と言うと、「風花も一緒に行く」と娘が言う。「今日は、海に土や砂をいれる日だから、みんなとっても怒っているし、ケーサツも怖いかもしれない」と言うと、娘はあっさり、「じゃあ、保育園に行く」と言う。 暗闇のなかで、娘は私に「海に土をいれたら、魚は死む?ヤドカリは死む?」と尋ねてくる。 「そう、みんな死ぬよ。だから今日はケーサツも怖いかもしれない」 娘の髪をなでながら、ついに一二月一四日が来てしまったと目を閉じる。 (「アリエルの王国」より) 私はたぶん朝をはじめる前に、 どこかで一度、泣いておけばよかったのだ――。 沖縄の生活を、幼い娘のかたわらで、強く、静かに描いた傑作! 【目次】 美味しいごはん ふたりの花泥棒 きれいな水 ひとりで生きる 波の音やら海の音 優しいひと 三月の子ども 私の花 何も響かない 空を駆ける アリエルの王国 海をあげる 調査記録 あとがき 内容(「BOOK」データベースより) おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。幼い娘を抱えながら、理不尽な暴力に直面してなおその目の光を失わない著者の姿は、連載中から大きな反響を呼んだ。ベストセラー『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』から3年、身体に残った言葉を聞きとるようにして書かれた初めてのエッセイ集。 著者について 上間陽子(うえまようこ) 1972年、沖縄県生まれ。琉球大学教育学研究科教授。普天間基地の近くに住む。 1990年代から2014年にかけて東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの支援・調査に携わる。2016年夏、うるま市の元海兵隊員・軍属による殺人事件をきっかけに沖縄の性暴力について書くことを決め、翌年『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版、2017)を刊行。ほかに「若者たちの離家と家族形成」『危機のなかの若者たち 教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』(乾彰夫・本田由紀・中村高 康編、東京大学出版会、2017)、「貧困問題と女性」『女性の生きづらさ その痛みを語る』(信田さよ子編、日本評論社、2020)、「排除II――ひとりで生きる」『地元を生きる 沖縄的共同性の社会学』(岸政彦、打越正行、上原健太郎、上間陽子、ナカニシヤ出版、 2020)など。現在は沖縄で、若年出産をした女性の調査を続けている。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 上間/陽子 1972年、沖縄県生まれ。琉球大学教育学研究科教授。普天間基地の近くに住む。1990年代から2014年にかけて東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの支援・調査に携わる。2016年夏、うるま市の元海兵隊員・軍属による殺人事件をきっかけに沖縄の性暴力について書くことを決め、翌年『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版、2017)を刊行。ほかにも著書多数。現在は沖縄で、若年出産をした女性の調査を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    61
    投稿日: 2022.12.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄の未成年の少女達の支援・調査に携わる中で、沖縄の性暴力について書いて来ている著者をこの本で初めて知りました。 性暴力を受けPTSDに苦しむ少女達に寄り添う著者の姿は、調査とかの域を越えて直接的な支援であり大変な苦労、心労を伴う営みであろうと思うが、そうさせるのは著者の社会的理不尽に対する強力な怒りからなのでしょう。「何も響かない」の七海の話しの「5年近く性暴力を受けながら、家族を守ろうと思って母親に一言も話さないで生きてきた娘を前にして、なせ施設の職員達は母親の意向を尊重するのだろう。自分の夫が自分の娘をレイプしてきた事を知らない母親には、自分の娘が精神科を受診しようとする理由が分からない。」の件は読んでて辛くなる。 「海をあげる」や「アリエルの王国」の辺野古の海への土砂の投入に対する怒り、絶望感も辛い。

    3
    投稿日: 2022.12.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人と寄り添うということがどれだけ人を支えているのか?作者が自然にしているすべての行為が、勉強になる。人と寄り添うことがどれくらい大変なのか?すべてを、フィルターなしに受け止めることは、どれだけ重いことなのか?作者の絶望が、題名に表れているように、その絶望に何ができるのか?考えさせられる良書です。

    2
    投稿日: 2022.11.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読んでから1ヶ月が経ったけれど、感想が書けない。 「もらった」ことばは、手帳に書き写した。 繰り返し考えないといけないなと思う。 でもそれができるのかなとも思う。

    3
    投稿日: 2022.11.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「海をあげる」。この言葉の重さはこの本を読むとずしっと肩にのしかかります。と言いながらも僕は沖縄の現状に明るくないし、TVで見る陽気で楽天的な空気感しか分からない。 重い空気のエッセイの中で最後に投げかけられる「海をあげる」この言葉を読んだ瞬間目の前の扉をバンと閉めたくなるというか、現実から目を背けたくなります。 細かい話は思い出せませんが、でも心に重い石を残す本です。

    4
    投稿日: 2022.11.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄の過去の戦争体験、米軍基地、貧困問題を日々の生活の出来事やインタビューを淡々と言語化することで闇から浮かび上がらせている内容。たまに旅行にいくだけではわからない沖縄で起きている問題を知って、自分の無知に愕然とする。ニュースを見て、大変だ、対策を考えるべきと思ったことはあれど、サポートするために自ら動いている訳ではない。そんなヌルい感覚の本土の人間に「海をあげる」という言葉で問題提起して試されているのかなと思った。

    1
    投稿日: 2022.11.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ”私たちは自分の大事にしているよきものを、自分よりも小さなものに渡します" 沖縄の基地問題、性暴力、若年出産等が書かれており、私の知る日常とはあまりにもかけ離れており、強い衝撃を受けました。 読後なんとも言えない、言葉にできない、行き場を失ったような気持ち…。 沖縄でおきている真実をもっと深く知りたいと思った一冊。

    2
    投稿日: 2022.11.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

     読みやすくやさしい筆致で、世の弱者の立場を沖縄の美しい海を背景に描くエッセイ。  ずいぶん人気書籍で、図書館の予約も1年近く待たされた。  幼い娘を育てながらの生活の気づきを綴る序盤は、沖縄版『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレディみかこ著)かと思った。 「ごはんをつくることができるようになれば、どんな悲しいことがあったときでも、なんとかそれを乗り越えられる。」 「手抜きでもごまかしでもなんでもいいからそれを食べて、つらいことを乗り越えていけたらいいと思っています。」  こんなトーンで娘への処世訓が、日々の暮らしとともに綴られていくものと予想したが、テーマは徐々に重く困難なものを扱っていく。  性被害者、未成年の母親、東京で働き故郷沖縄の家族を支えるホスト、そして、米兵による少女レイプ事件、基地問題と沖縄の抱える問題へと切り込んでいく。  いや、沖縄の抱える問題としてはいけないのだろう。自分たちの、日本の問題として考えなければいけない。それが本書のメッセージだろう。 「聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれないということなのだと思います。」  この言葉を真摯に受け止め、聞く耳をもつものでありたい。心掛けよう。

    1
    投稿日: 2022.11.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    石牟礼道子にしてもアレクシエーヴィチにしても上間さんにしても、問いかけてくることは同質だ。 この声を聞いたあなたに、出来ることは何ですか?と問うてくる。 これらの声は「悲惨な物語」として商業的に消費されることなく、本当に「読み手」に届かなければならないのだけれど。 ーー沖縄の怒りに癒され、自分の生活圏を見返すことなく言葉を発すること自体が、日本と沖縄の関係を表している(p.234) 日本「と」沖縄? 日本の中の沖縄の位置、ではなく? 筆者の実感として(事実としてではなく?だと思うが、どちらだろう?)もはや沖縄は日本の植民地、と捉えられているんだろう。 誰かの足を自分が踏んでいたとしても、相手が声を上げなければ気づくことはできない。気づいたとしても行動に移さないのならば、気づかないことより罪は重い。

    3
    投稿日: 2022.10.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄の基地問題、女性が受ける性暴力、若年出産の背景など、上間先生の語り口で綴られる本書は、改めて色んなことを考えさせられるきっかけになった

    3
    投稿日: 2022.10.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『裸足で逃げる』に続き、上間陽子さんの沖縄本。でも多分、これを「沖縄の」問題と捉えている時点で既に、他人事だと思ってしまっていることになるのだろう。沖縄のさまざまな犠牲の上に、爆音の届かない恵まれた日常を送る日本人の私は、国会前のデモにさえ参加することもなく、日米安保に守られていると意識することもなく、この世界情勢でものうのうと暮らしている。私だって確実に、問題の当事者のひとりであるにもかかわらず。 どんな経緯でこの状況に至ったのかを考えるまでもなく、今まさに、沖縄で、特有の苦しみを背負わされ続ける人々がいる。胸を痛めているだけでは何の助けにもならない。

    2
    投稿日: 2022.10.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読みやすく、静かな文章。優しさや温かさや空気を感じるが、胸が痛くなる。苦しくなる。泣きそうになった箇所もいくつかあった。 沖縄について、沖縄戦や米軍基地について、なにも知らなかった、考えずに過ごしてきたと思った。

    3
    投稿日: 2022.10.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最後にタイトルの意味が分かり、何を言えばいいのか黙り込んでしまった。普天間と辺野古の距離が三鷹から東京湾くらいなのだということも知らなかった。

    1
    投稿日: 2022.09.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この本を読んだら 沖縄って良いよね!海が綺麗だし!! なんてもう簡単に言えない 章を進める毎に、どんどん辛くなる。 "何も響かない"あたりからあとがきに至るまで胸が苦しかった。 このタイトルの意味も、最後まで読んでまた泣いた。こんな風に海をもらって、いらないなんて言えるわけない。

    3
    投稿日: 2022.09.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    痛みについてのナラティブが辛くもあり、でも、語りの伴奏者である娘の幼さが救いでもあり。そしてやっぱり、対比される現実に悲しくなる。 聴いてくれる人の前でしか話せないこと。 そこに住む誰しもが口をつぐんでいること。 沖縄に住んだことも訪れたこともないので、ただ書かれていることを読むしかできない。 そして自分の前にも海があり、それを誰かにあげたいと静かに思っている。

    1
    投稿日: 2022.09.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ひとりで生きる と題された章に出てくるのは「裸足で逃げる」に出てきた春菜と和樹。 前著では春菜のエピソードが中心だったが、今著でフォーカスされた和樹の話を読むことで、2人の関係や取り巻く環境がより鮮明に浮かび上がる。搾取するものとされるもの、加害するものと被害を受けるもの。自己責任だと切って捨てられた場所で、世代を超えて暴力と無関心が連鎖していく。感情をできるだけフラットに保ち、淡々とも思える抑えた筆に上間先生の怒りが滲むように思えて、苦いものが込み上げる。 マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや 祖国とは。祖国とは。 朝日新聞の対談で、上間先生は果たし状のつもりで書いたと仰っていた。 受け取った海を、果し状をどうしたらいいんだろう。飛行機の音がしない静かな部屋でこれを読んでいる私は考えあぐねている。

    8
    投稿日: 2022.09.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    著者の強さと沖縄に対する熱量に圧倒される。 返還50周年の明るいニュースや、ちむどんどんでは語られない、影の部分を知ることができる。 自分のメンタルがダウンしている時に読んでしまったので、読了後ぐったりしてしまった。私は穏やかな首里を捨ててあえて普天間で子育てはしたくはないし、ハードな人生を生きる彼女たちの話を最後まで聞くことが出来ない。 逆に社会の不条理に不満を感じている時に読むといいのかもしれない。

    0
    投稿日: 2022.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私は沖縄の基地問題について多くを知らない。 正直、積極的に知ろうとしたこともなかったのは、知れば知るほど自分の中に罪悪感が育つのが怖かったからかもしれない。 でも、それでいいのか。 知ろうとしないこと、声を聞こうとしないことは、その人たちから声を奪い、諦めと絶望に追いやること。 自分も含め、いま日本に住んでいる人のほとんどが、それに大なり小なり加担している。 そこから抜け出すにはどうすればいいのか。 重く大きい宿題をだされたような読後。

    0
    投稿日: 2022.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄県出の暮らし。離婚や貧しい若者たちの調査を通じた筆者の感情の起伏を鮮やかに描いた胸に響くエッセイ。 沖縄で貧困調査を行う筆者。生きるという苦行が描かれるエッセイ。 後半、政治的な内容があまりに多いのには辟易するが、ずっしり胸に響くエッセイ。

    0
    投稿日: 2022.08.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    内容について、ほとんど何も知らずに読んだが、他に読んだことのないようなテイストを持った本だった。一言で言えば、「とても複雑な本」という感想を持った。 帯に「ノンフィクション本大賞」ということが書かれている。ので、ノンフィクションの本だと思って読み始めた。最後まで読んでみて、確かにノンフィクションとも言えるのだが、エッセイのように書かれたパートもあるし、あるいは、小説のように書かれた部分もある。複雑なテイストだと感じた理由の1つ目は、特定のジャンルに収まり切らないという感覚。 テーマも多岐にわたる。娘、母親、祖父母といった家族のこと。自分の離婚のこと。ご自身が研究されている若年出産をした女性のこと。別の本にまとめられた、沖縄の性暴力のこと。沖縄の基地のこと。普天間基地の辺野古への移転のこと。筆者が経験したこと、という共通性はあるのだが、インディペンデントな多くのことが、本書には書かれている。 本書のあとがきの最後に、筆者は「この本を読んでくださる方に、私は私の絶望を託しました」と書いている。また、本文の最後には「この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに、海をあげる」と、書いている。「この海」は普天間基地の移転先である辺野古の海のことであり、その海に土砂が投入され、自然が破壊され、海の生物の命が奪われることの絶望と悲しさを「ひとりで抱えることはもうできない」と結んでいる。この部分だけを読むと、本書が、筆者の絶望と悲しみと怒りに満ちたものだと思えるかもしれないが、実際に本を読むと、そういう筆致ばかりではない。優しさを感じたり、冷静さを感じたり、他人への興味と共感を感じたり、テーマが多岐に渡っているのと同じように、書いている筆者の気持ちも、一定ではない。 ジャンルやテーマや筆致が一定しないというか多岐に渡ることを、私は「複雑な本」という風に感じたということを書いた。とても面白く、ほとんど一気に読んだが、多面性を持った本なので、感想も読む場所によって異なる、そのような本だった。

    13
    投稿日: 2022.08.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄、基地問題、貧困、そこから派生する(特に若い女性に関する)さまざまな問題。 ちむどんどんでは知ることの出来ないことがたくさん。 まさかやーとか、言ってる場合じゃなかったのだ(-。-; 堅苦しくなく、でもきちんと訴えてくる本だった。海をあげる。

    0
    投稿日: 2022.08.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一番最初のごはんの話で泣けたので読んでみたけど、思ってた内容と違くてかなりダークな気持ちで読み進めました。。。 沖縄の基地問題、遠い土地に住む私はここに基地があれば日本がトータルで守られるのかな、と思ってたけど(かなり語弊のある言い方かもしれませんすみません) 基地がある所に暮らす人、そこに命を置く人、そこが故郷の人、その場所に根付いた人達の思いや生活は尽く無視されて歴史は作られてきたんだなと思った。 私の知らない沖縄。沖縄の人達はみんな今の沖縄のイメージを一体どう思ってるんだろう。 そしてどの土地にしても、不十分な教育や親の虐待、ネグレクトは本当に負の連鎖を生む。 どうしたってどの国でもどの場所でもなくならない問題、、

    0
    投稿日: 2022.08.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄で暮らす人の、真の声を聞かせてもらったよう。 観光地沖縄のイメージからはかなりかけ離れたもので、衝撃を受けた。 特に水道水の話は初めて聞いて、驚いてしまった。 青く美しい海を、どうやったら残せるんだろう。

    0
    投稿日: 2022.07.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    研究のために多くの少女に会っている筆者だが、その関わりには研究のためと割り切れない距離感を感じる。筆者は話を聴いたのちの、関わる責任をちゃんと受け止める覚悟をもって彼女たちに関わっているのだろう。

    0
    投稿日: 2022.07.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    とても静かに、穏やかな文調で描かれているけど、総じて心にずしっと重くのしかかる実態がこの本にはある。 いま2020年代だよね? なのに、まだ日本では、沖縄ではこんな状態なの?と思うようなことから、最近全く報道されなくなってしまった辺野古の現状について。 知ることができて今は感謝してると共に、これまで無知だったこと、そして関心をつづけて持てていなかった自分に落胆してしまった。 年齢や性別が変わらず、日本国民なら必ず読み現状を知らなければならない本だと思った。

    2
    投稿日: 2022.07.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ここにつづられている言葉の数々は、圧倒的リアリティを持って胸にストレートに響いてくる。導入で、著者自身の経験や食事についてつづられており、そこで一気に読み手は心を開いてしまうのではないだろうか。 読み進めるうちに、沖縄の問題など著者の怒りがダイレクトに表出する。この怒りの先には自分もいるような気がして、ハッとさせられる。沖縄とパーソナルなつながりがない自分がどのように沖縄を見ていたのかと。 自分の何気ない日常をエッセイの中で言葉にしていく。そして紡ぎだされた言葉がこんなにも力強いものなることに驚く。

    1
    投稿日: 2022.07.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    【琉大OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC03529338

    0
    投稿日: 2022.07.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ニュースなどでなんとなく 知ったつもりになっている 沖縄の現状がリアルに綴られる。 学術的な内容かと思いきや、 エッセイで、著者の娘の存在が くらしと課題の結びつきを 実感させる。 タイトルに繋がる、ラストの文は 我々全員に突きつけられた重い宿題だと 感じた。

    0
    投稿日: 2022.07.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この本から何を受け取るべきか、読後も考えをまとめるのは難しいけれど、まずは知ること。それがだいじなのだとは思う。タイトルの意味を最後に知って、成程と唸る。

    0
    投稿日: 2022.07.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    もっとゴリゴリの沖縄問題の話かと思った ゴリゴリの海洋系の問題かと思った 裏切られました いい意味で 勝手な思い込みだっただけで 沖縄で暮らす人から見る沖縄 外からみると観光地なんだよね 行ってみたいけど、住みたいかと言われると。。 それってどうなの? いい街なの? 知らぬふりして、見えなくして で実際に住んで、辛い思いをしている人はいる 沖縄だけではないのだけど、 生活地としての、沖縄を知った

    0
    投稿日: 2022.06.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    海をあげると言われ、受け取るのを躊躇してる自分。 「何も知らなかった」と、自責の念に駆られる隙を著者は与えてくれない。 受け取らなきゃいけない。受け取った後、どうすればいいのだろう。

    0
    投稿日: 2022.06.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    著者は沖縄生まれ、琉球大学教育学研究科教授。沖縄で未成年の少女たちの支援・調査に携わっている 若年出産をした女の子たちへのインタビュー 沖縄の基地問題 その合間に幼い娘の姿 転々と、淡々と、それらが語られる 惨い生活環境の話も多い 少女が語る内容には著者の気持ちは含まれず 語られるまま綴られている こういう少女はたくさんいる 『ななみの海』『空にピース』でも読んだけれど 日本の中にたくさんたくさんあって それを一つ一つ救っていくことは出来ない では、どうしたらいいんだろう? 思いがけず、教育と家庭の話が続いてしまって 疑問と悲しさともどかしさばかりが募る

    1
    投稿日: 2022.06.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ご自身のことを書きながら、子育て、自然に囲まれた沖縄の問題にふれ今まで自分が漠然と感じていたことがこんなにも切実だったのかと胸が締め付けられるような気持ちだった。何も出来ない自分と沖縄は日本の領土とはいえ、遠く離れた所のイメージが強くあまり基地問題について考えてくることをしなかったのが悲しくなってきた。こうやって文字に起こすことでたくさんの人に伝わることもあるけれど、ここまで自分をさらけだしてしまって大丈夫なのだろうかと心配にもなってしまった。

    2
    投稿日: 2022.06.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄に住んでいた時の自分の生活を、リアルタイムで見た沖縄の人たちの言葉を、思い出した。 私自身はその後沖縄県外に住み、沖縄を見る人々の目に嫌気がさすほどだった。綺麗な海、温かい人々…そういうリゾートのイメージしか見ていない(見たくない)様子に、米軍基地と隣り合わせで生きることを知ってほしいと思っていた。 普段から嫌でも米軍基地のことを意識せざるを得ない事件や事故が起きて、生活の中に入り込んでいる。 この本は痛いほどその現実を突きつける内容だったと思う。 そして、私には沖縄県外から何ができるだろうと考えさせられた。

    0
    投稿日: 2022.06.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    上間さんが会見で話してる姿を見た。 この人は強く、静かに怒っている。私も、この人の怒りを感じなければ、と思った。 沖縄の歴史を、今そこにいる人々のことを少しでも知ること、考えることをやめないこと。 私にできることはなにかと考えること。

    1
    投稿日: 2022.06.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄に生まれていない、沖縄に住んでいない私は、沖縄に基地を押しつけている側なんだよなーーーということや、介護や貧困や暴力や子育てなどの色々なことが押し寄せてきて、ずどーーーんとなった。

    0
    投稿日: 2022.06.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    優しい言葉で綴られた「エッセイ集」であるが、底を流れる熱いマグマのような物を感じる、「エッセイ」の枠にはおさまらない。差別と語られないトラウマを抱える街で、いつもと変わらない日常がある反面、弱い部分に歪みが現れている。その人たちの語りを聞き続けている人だからこそ、伝えられる事実があるが、抑えた筆致で伝えられる分だけ、拳を振り上げられるより伝わる衝撃は大きい。

    0
    投稿日: 2022.06.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「空を駆ける」 「……でも私は、触りたくない」 というお母さん。 わかります。 私も、触りたくない。 「海をあげる」と言われても、 ドウシマショウ。 ウーン。 私に何ができる? 慣れてはいけない、と思います。 沖縄・震災・コロナ・ウクライナ・ 今、自分の目の前の大変をどう乗り越えるか?で頭がいっぱいだけれども、 託されてしまったし。 とにかく、忘れない。

    1
    投稿日: 2022.06.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルからだけでは分からないが、沖縄出身の著者が沖縄における問題を取り上げたエッセイ。著者の専門である貧困に苦しむ未成年少女や米軍基地問題を扱っている。 今年は沖縄の日本返還50年目ということでNHKを始めメディアでも取り上げられているが、真実を知るにはメディア(本も同様)だけでなく、直接これらの問題に自分の五感で触れて感じ取らなければ、どこか他人事になってしまうと痛感させられた。 本書では度々、著者の幼女が登場するのだが、そのおかげで重たい空気感が和らぐとともに、彼女たちの世代にまで問題を先送りしてしまっている我々世代の情けなさも考えさせられる。 作品の中でも特に耳に痛く印象に残った言葉をピックアップしました。 ・講演とか調査とか、執筆することの意義は分かります。でも、もっと広げて、もっと直接社会に訴えるような活動をすることも必要だと思います(元山氏の発言) →自分もブクログに登録している読書を通して、気候変動などの問題を知り市民活動への想いは強くしたものの、未だに行動が伴っておらず情けない気持ちになりました。 ・秋田のひとの反対でイージス・アショアの計画は止まり、東京の人たちは秋田の人に頭を下げた。ここから辺野古に基地を移すと東京にいる人たちは話している。沖縄の人たちが何度やめてと頼んでも、青い海に今日も土砂がいれられる。これが差別でなくてなんだろう?差別をやめる責任は、差別をやめる側ではなく差別する側の方にある。 →本土の人たちにとって心のどこかで米軍基地は沖縄の問題であり、本土に持ち込まず沖縄で解決してくれという考えが見え隠れしている。 ・これまでもずっと若い女性の調査をしてきました。でも、近親者からの性暴力について語られているのはこの調査からです。そのことが意味しているのは、聞く耳を持つ者の前でしか言葉は紡がれないということなのだと思います。 →何を聞き出せるかは聞く側のスキルや意識に依存してしまうということを考えさせられた。

    4
    投稿日: 2022.05.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    知っていたようで知らなかった沖縄。 見ようとしなかった沖縄が書いてあります… 著者の上間さんの、 他者への共感性がすばらしいです。 すごく優しい読みやすい文章で綴られてるのに、 静かな怒りがひしひしと伝わる。 沖縄の美しい海は誰のものでもないのに 日本のだれかが、 だれかのものにしようとしてくる それに向けた叫びが痛い。 読みたかった話。 探してた話、ノンフィクションです。 次の50年を、どう生きるか、託すか、向き合うのか、 海をもらった私が、決めないといけないこと。

    0
    投稿日: 2022.05.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    内容の重みにも圧倒されるけれど、上間陽子さんの姿勢や眼差し、他者に対する共感性に心打たれる。 抑圧され差別され殺され踏みにじられてきた沖縄のずっと続いてきた歴史のいちばん間近にある辺野古の問題をわがこととして捉えられないわたしたち内地の者に向かって、上間さんは「湘南の海を大量の赤土で埋め立てるとしたらどうだろう」と問いかける。 『海をあげる』という美しいタイトルは、じつは、もうこの重荷に耐えられない、この海あげるからどうぞ考えて、という沖縄の人のわたしたちに対する声に他ならないのではないか。 それにしても、沖縄で無抵抗の一般の人たちを大勢虐殺したアメリカが、戦後日本に(沖縄に)謝罪をしていないということにも驚くが、日本もまたアメリカに謝罪要求をしていないことにもあらためて絶望に近い気持ちを抱かずにいられない。それどころか、さらにどうぞどうぞと沖縄の土地や海を自虐的に差し出してさえいるのだ。地位協定と言う法律もだ。これは沖縄の土地や海や人のことだから出来ることで、本土のことだったら、ここまでのことはあからさまに出来ないだろう。だから、これは沖縄に対する日本が行っている差別だし、支配なんだろう。そして無関心でいることは、それに加担していることと同じだ。沖縄がアメリカから日本に返還されることによって、沖縄は自由になったどころか、アメリカと日本の両国から支配されるようになったように思える。敗戦国か戦勝国かは関係なく、どの国も、いちどこれまでの自分たちの行いを振り返り、総括したその後で、ロシアによるウクライナ侵攻や市街地への無差別爆撃を非難したらどうか、と思う。ちょうど今日、ロシア人のこんな発言をネットで見た。「ロシアの場合、みんなが政治とか選挙に興味を持たなかった結果が今だと思う。選挙が操作されるっていうのはもちろんあるけど、みんなが政治に興味を持っていて投票率が高ければ、簡単にはいかなかったと思うんだ。だから、投票には必ず行け。それも1人じゃなくて周りの人も誘って行け。誰に入れるとかはもちろん自分で決めていいから、とにかく投票には行ってくれ。でないとロシアみたいになるぞ」。 この本を読んで「なんとかしたい」という思いはあるけれど、出来ることは少ない。でも、ゼロではない。関心を持ち続け、ウォッチし、政治に携わる力ある人たちが沖縄に対してどういう態度を取っているのか見極めて、選挙できちんと投票することは、わたしたちにでも出来る最低限のこと。その最低限をちゃんとやろう。

    2
    投稿日: 2022.05.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「裸足で逃げる」の上間陽子さんが日常をしたためたエッセイ集。基地の近くで子どもを育てる。それだけで日常のエッセイは基地問題への静かな抵抗のメッセージを放つ。“ナイチャー”であるぼくらは、沖縄を“穏やかで温かい観光地”というラベリングの中におしこめ、そこからはみでるものには蓋をしてしまっていないか。辺野古に赤土が流される。沖縄戦の犠牲になった方の骨は埋まる場所をコンクリートで固めて基地を建てる。それをぼくらはあまりにも無責任な“他人ごと”にしてしまっていないか。復帰50年、50年かわらず基地問題に向き合う沖縄。ぼくらは赤土が富士五湖に、湘南の海に流し込まれる今日を想像しなくてはならない。上間さんの文章は、そんなことを強く促す文章ではない。あくまで娘さんとのある1日をしたためているにすぎない。だけどなぜだろう、胸をうたれるし、泣きそうになる。内地のぼくらは“観光地”でない、なんでもない沖縄のとある1日を思いの限り想像する必要がある。

    2
    投稿日: 2022.05.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    なんだか、沖縄に帰りたくなった。 沖縄にいるおとーさんおかーさん、おじさん、おばさんに会いたくなる、 基地問題にちゃんと私もむきあわなければ、 うちなーんちゅとして と思えた一冊。 内容としては上間さんの内地生活(離婚)、子育て、現在の執筆のお仕事、 どれも、心に染みる内容だった。

    0
    投稿日: 2022.05.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読み終えた晩に、家族が散り散りになる夢を見てギョッとした。 内容が、自分の中のかなり深部に突き刺さったのだと思う。もらった海をどうしたらいいのかな

    2
    投稿日: 2022.05.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一話目で泣きました。なんか、人は食べることで、なんとか辛い事も乗り越えていけるってとこは腑に落ちて、言葉の選び方、文章など、すごくしっくりきて読み進める期待値が上がりましたが… 二話目以降、なんか、全く入ってこなくなって、うーん…。

    0
    投稿日: 2022.05.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私の住む沖縄の話。 ノンフィクションでありながら小説のような読み心地だった。 上間さんご自身の離婚のお話しから沖縄を取り巻く米軍基地の話など、様々なことを書かれているが、同じ地にいながら見えている景色がこんなにも違うのか、という驚きが大きかった。 読みづらい箇所が少々あったものの、あとがきを読んでその理由を理解できた。 そこを含めて人間らしさを存分に感じられた本だった。

    1
    投稿日: 2022.05.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私は沖縄のこと、そしてそこに住む人々について、何もわかっていなかったのだと痛感した。 どうか一括りにしないで、個々の人々のそれぞれの暮らしの営みが守られる世の中になってほしい。

    0
    投稿日: 2022.05.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄について、何も分かってなかった。 楽しい観光地、綺麗な海。 そんな印象しかなかったけれど、大きな闇がある事を知った。

    0
    投稿日: 2022.05.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄を離れて長いが 改めて忘れかけていた沖縄の問題を 目の当たりにした やはり私もないちゃーとウチナーンチュの 平和と戦争の感覚の差に 愕然としたことがあるひとり

    1
    投稿日: 2022.05.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     「海をあげる」という人がいらっしゃったので、もらいに行きました。神戸の丘の上から、のんびり眺めている、まあ、穏やかな内海しか知らないし、だいたい泳ぎとかも苦手なので、「今さら、もらってもなあ」という気もしていたのですが、もらいに行ってよかったです。  「海」をもらって考えたことはブログに書きました。読んでいただければ嬉しいです。  https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202201060000/

    11
    投稿日: 2022.05.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ある程度わかっている"つもり"だった でもそんなのしょせん"つもり"でしかないのだと 思いしらされ落ち込んだ 不思議なほどに空気感を纏った1冊だった ここには対話への希望と絶望が強烈に記されていて キチンと向き合って相手の話しを聞くことで射す光と まともに向き合ってくれず、そもそも対話しようと 考えてない相手とやりとりすることで広がる闇 この本が評価され多くの人が手に取るっていいよね

    2
    投稿日: 2022.04.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「この本を読んでくださる方に、私は私の絶望をたくしました。」著者が沖縄に住み感じる問題を綴ったエッセイ。明るい話はないけれど、どうか明るい未来がそれぞれにあってほしい。 辛い経験をした人の話を聞くときに、私に同じ体験があってよかったと思う著者の気持ちが少しわかる。

    1
    投稿日: 2022.04.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    書かれている沖縄(だけじゃないかもしれない)の現状がすさまじく、うまく受け止められない。大きな権力に翻弄される小さなわたしたちの生活を、けれどこんなふうに見ていてくれる人がいることは、かろうじて救いだと思う。

    5
    投稿日: 2022.04.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄の情景が目に浮かぶ描写と娘さんに対する慈しみが深く感じられる文章。 最後は傍観者である自分ら読者に筆者の絶望を突きつけられてドキッとした。

    0
    投稿日: 2022.04.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    もっと政治にダイレクトに踏み込んでるのかと思っていましたが、ちょっとイメージと違いました。冒頭の話のインパクト大きすぎました。

    0
    投稿日: 2022.04.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    感性の強い女性が書いた柔らかい、繊細な読了感の残るドキュメント。 男性が書くゴリゴリのドキュメントとは違ったタッチは新鮮だった。 上間氏の本はこれからも何冊か読んでみたい。

    0
    投稿日: 2022.04.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    骨太のしかも、何ものにも阿る事ないエッセイ。 今一度、立ち止まって自分が居る場所を見据えたいと思った。

    1
    投稿日: 2022.03.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     大好きな作家さんがいるのだけれど、その方が紹介したり絶賛したりした作品を同じような熱量をもって良いと思えなかったり、逆にわたしが素敵だなあと思った人をあまり好いていないらしいことを示唆するような内容のツイートを見てしまったりということがここしばらく続いて、少し読書に対する気分が落ち込んでいる。憧れや好意を持った相手と全てを共有する必要はないしきっとそんなことは不可能だけど、それでもできるならなるべく多くを共有したいと願ってしまうから、同じ強さで同じ方向を見据えることができないことがすごくもどかしいし、悔しい。  この本は、途中まで純粋に無責任にすごくいいなあと思いながら読んでいた。わたしもこんな文章を書けるようになりたいなあと。今にも溢れそうな怒り、苦しみ、悲しみがありながら、感情のままにわあっと綴るのではなくつとめて冷静に淡々と語られる文章が素敵だなあと。  でも後半に至るにつれて徐々に感じ方が変わっていった。子育ての方針。他人との関わり方。なんて言えばいいかわからないけど自分以外の人間を精神的に受け容れる度合い。わたしとはあまりにも違って、へええ、そういう考え方をする人もいるんだなあ、、、と少し遠くに自分を置いて他人事のように眺める感覚にまた陥ってしまった。最近こういうことがよく起こる。自分と違うな、と思うとスッと引いて遠くから眺めてしまう。よくないと思う。「他者の合理性」というワードを思い出す。筆者には筆者の、そのときそうせざるを得なかった理由が必ずある。ムキになりすぎじゃない?と思うようなことがあっても、ムキにならざるを得ない今を作り出したその人の過去がある。わたしはすぐに、ああ近くには寄れないと見切りをつけてしまう。頁を閉じようとしてしまう。でもそれじゃあ人と話したり本を読んだりする意味がない。一生近所の友達とだけ井戸端会議でもしてろって話になっちゃう。いろんなことが知りたくて本を読む。実際には見に行けないものを少しでも見たくて、自分の感覚が全てじゃないことを思い知りたくて。だからきっと共感できなかったからってすぐにうわ、とか言ってる場合じゃない。難しい。  終わり方はほとんどホラーだった。恐怖を感じた。いつに間にか有無を言わさず筆者の絶望の一部を請け負うことになっていた。請け負えないよわたしには、無理だよと思う。思ってしまった。思うべきではないけど。  沖縄にずっと多くの問題を押し付け続けているという大前提。基地。騒音。オスプレイ。性犯罪。東京の人間としてわたしは今この瞬間も沖縄の人々にいろんなことを押し付けている。夏が近づいてふとああ沖縄に行きたいなと呟くとき、いいところだけを味わおうとしている。苦しいところには焦点を合わさないまま。自分のその立場を思う。気付く。でもどうしろと?何ができると?今までも頭の片隅でそういうことを感じていたけれど何もしてこなかった。それはきっと正しくない。絶対に正しくないし恥ずべきことだけど他にもやらなきゃいけないことが目の前にたくさんあってそもそもわたしは今までも正しい生き方なんかしてきてなくて、、、  また逃げ道を探している。苦しくなる。

    5
    投稿日: 2022.03.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    東京に暮らしていると、沖縄で暮らしてみたいと安易に考えてしまうこともあるが、沖縄の人達が戦争を経て今もなお米軍を押し付けられ、犯罪や騒音に悩まされていることを改めて考えさせらせた。辺野古の綺麗な海を「絶望」の思いで「あげる」現実は、切実なんだと思う。

    1
    投稿日: 2022.03.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自分なりに沖縄のことを考えてはいたつもりだけど 私の想像を超えて離れていて読んでいてきつかった。 また再度考えさせられた。

    1
    投稿日: 2022.03.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄で生きる人々の現実 その中でも、若い女性の感じる痛みと苦しみ。 それを押し付ける、男達や米軍や政治家たちに少しでも読ませたいエッセイ。

    0
    投稿日: 2022.03.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    あとがきに「聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれない」との言葉がありました。 これまで私に聞く耳を持ってくれた人達への感謝と、聞く耳を持ってもらえなかった時の孤独に想いを馳せたと共に、可能な限り聞く耳を持つものでありたいと思いました。

    0
    投稿日: 2022.03.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    SL 2022.3.15-2022.3.16 「裸足で逃げる」に比べると個人的な感情が前面に出ていてちょっと戸惑った。 基地の問題、実際本土に暮らすわたしたちにはあまりにも日常とかけ離れている。その罪深さをもっと知らないといけない。託されたのは絶望なんだよ。なかなかに重い。深い。

    0
    投稿日: 2022.03.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄と聞くと、真っ青な海を思い浮かべる。 そこはどうしても観光客目線でしかなくて、沖縄で暮らす人々の息遣いや、轟音が日常の生活、米軍による犯罪、基地問題、家族のように海を大事に想う心、怒りまで思いを馳せることはない。 うつくしい海を想像する分だけ、この本の悲しみが深く感じられ、呼吸が浅くなる。 いつまでも「沖縄の問題」ではなく、「日本の問題」「私たちの仲間が直面している問題」に意識を変えないといけない。 何の力もお金も持たない自分が悔しいけど、文中にあったように、話を聞く人の前にしか声は届かない。 詳しくないからとか難しいとか、知るのが辛いからなどと言い訳せずに、本を読んだり調べたりして、まずは賛否問わず自分の意見を持とうと思う。 そうでないと、いつまでも無関心な加害者だ。

    12
    投稿日: 2022.03.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    タイトル「海をあげる」って,そう言うことか!と,ラストで膝を打つと共に,グサリ来た. 共感するとは,信じるとは,こう言うことなのだな,と思った. ただ一つ,この作品は上間さんの他の作品を読んだ後に読むべきだったと.多分作品に感じる厚みや重みがグッと変わる気がする. 順番は逆になるけど,他の作品もこれから読み進めたい.

    1
    投稿日: 2022.03.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「沖縄の怒りに癒され、自分の生活圏を見返すことなく言葉を発すること自体が、日本と沖縄の関係を表していると私は彼に言うべきだった。」(234頁)沖縄の若い世代の調査や、幼い娘の成長が進むことで、沖縄の日常を知ることになります。軍機の爆音が響く中、琉球大学、沖縄国際大学では、共通テストが実施されている。あとがきで読者に絶望を託し、残ったのは青い海とあって、この差別を重く受け止めました。

    2
    投稿日: 2022.03.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    P9 ひょいと娘を抱き上げながら、食べることが好きな子でよかったとつくづく思う。そして、娘にご飯を作ることができるようになれば、どんなに悲しいことがあった時でも、なんとかそれを乗り越えられる。 最初の「美味しいごはん」のような、ご飯×人生のような本だと思って読んだ。 てびち・ジーミー・ムーチービーサー・「やー。フラーやー。」の懐かしい方言等々沖縄を身近に感じる。 沖縄に住む人の、住んでいる人だからこその、切実なる思いがジワジワ伝わってきた。 小さいころ、おばあに 「この夜景綺麗だね。」と坂の上から見える家々の明かりにそんな感想をつぶやいたら 「どこがよ!」と怒られた。 大きくなってから、良く晴れた天気に、海の青さがいつもより煌びやかに輝いていたので父に 「今日の海は、いつも以上に綺麗だね。」と言った時 「昔はもっときれいだったさ。こんなんとは比べ物にならないくらいに。」って寂しそうに言っていた。 あぁそういえば私も 内地に転校してきた時に、「沖縄人」って言われて「なんでよ!同じ日本人だよ!」って思ったのを覚えている。 沖縄の歴史に触れるたび、基地の問題に触れるたび、そこで暮らしてきた先祖や今も沖縄に住み続ける親戚や基地で生計を立てている親戚を思い出す。 語らないからっといってないわけではない。沖縄で暮らしてきている人は、いつも静かに心の奥底で言葉にできない感情がうごめいているのを、ふとした瞬間に感じる。私は、もう沖縄の地では暮らしていないから、上間さんと同じ気持ちでいられていないことが、残念に思う。 でも、こうして奥底でうごめく感情を「海をあげる」を書くことで、沖縄の実態を知らない人や知っている人や色々な人に本を通して伝える上間さんって、ものすごいことをしたんだと思う。 そして、 この本を読み終わって しっかり海をもらった。 さて私にできることは何だろう。

    1
    投稿日: 2022.03.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    海をあげる 上間陽子 筑魔書房 海をもらいたいなと思って手にしたが 感情豊かというのだろうか こうした人情論に迷い込んだ個人的な話を 公にして何を得ようとしているのか その根拠がわからない ともかく読んでは見たが 優しく哀れな宗教的善悪感にはまり込んだ 上から目線の話に 甘えるのも良い加減にしろと ウンザリするしかなかった

    1
    投稿日: 2022.03.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄の歴史 短篇12篇とあとがき 性も含めて多くの考えさせることがあった あとがきで作者の思いが強く伝わった

    0
    投稿日: 2022.03.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    エッセイ的だけど語られる内容は重たい。 語りを聞く側にもケアが必要と言われたという後書きは様々なことに通じる気がする。 考え続けなければ。

    0
    投稿日: 2022.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    某評価ランキングが異様に高い。こういう本に共感できる自分であることをアピールしたい層、から支持されそうな内容だった。自分はというといまいち没入できずDNF

    4
    投稿日: 2022.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ノンフィクションを久しぶりに読みましたが、最初は物語を読んでいるようでした。 本州に住んでいるほとんどの人は沖縄のいいところしか見ていない。もちろん私も。沖縄の本当の姿を知るべきだと思いました。納得のノンフィクション大賞です。

    7
    投稿日: 2022.02.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    2022年8冊目。 「わたしは沖縄戦や基地問題に深い関心があるよ」と思っていました。 曲がりなりにも教える側ではあるので、それなりの基礎知識と、問題意識は持っていると。 でもそれは、著者のいうところの、他人事としての関心なのだと思い知らされました。 著者の綴る出来事や思いを通して、ほんの少しでも、自分事として捉えることができたと考えて良いのかな… 沖縄戦についてだけでなく、基地問題について、もっと知りたいし、考えていきたいと思いました。 数字だけで教えるのはやめ、沖縄の声を、もっと取り上げていきたいです。 あと、コロナ禍の休校措置の件の文章が、胸に迫りました。2年前を思い出しました。 p152 子どもの日々を知らず、教師の仕事を知らない誰かの決定によって、ひととひととが重ねる時間が奪われる。4月からの1年間、関係を編み上げた子どもと教師がお互いのことを慈しみあう、そういう3月が奪われる。いままでの苦労のすべてが果報に変わるこの時期に、子どものいない学校に教師は通う。

    0
    投稿日: 2022.02.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最後にこの本のタイトルの意味がわかって、この不意なプレゼントに言葉を失った。きれい事の言葉なんて意味がないし、言ったところで何もない。それほどの絶望。 その絶望を私たちはしっかり譲り受けたのだ。好むと好まざるとにかかわらず。

    0
    投稿日: 2022.02.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    作者の悲痛な叫びが、海をあげるというタイトルに詰めまれている。タイトルが読んでいるうちに理解できるという構成が好きなのでジワっときた。 私の沖縄のイメージは作者のいうお気楽でひどい本州側の意見だった。普天間の悲惨さや、声の届かなさを嘆いてくれてもどうにもならなくて、行動してなければ皆同じこととバッサリ切っていく様子にハッとさせられた。

    0
    投稿日: 2022.02.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この人はとにかく怒っている。静かな怒りがどんどんどんどん押し寄せて、読むのも辛かったけど読み切った。目を逸らしてはいけない気がして。 なんの提案でも解決でもない単なる事実をひたすらに突きつけられてとても苦しい。タイトルの「海をあげる」の意味にも途中で気づいた。そして最後にしっかり投げつけられた。

    0
    投稿日: 2022.02.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    沖縄での戦争から現在にいたる「沖縄」を書いている。そこに大人として親として、沖縄県民として何もしないでいいのか?人ごとではなくそれは身近であるんだぞ。と訴えかけられる本。 そして綺麗な青い海を子どもにあげたいと心から思えた本。

    0
    投稿日: 2022.02.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    絶望は沖縄に住む人のものじゃない 私たちが背負って行かないといけなくて、それは祈りなんて生やさしいものじゃなく、行動として起こさないといけない

    0
    投稿日: 2022.02.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄の海が好きだ。 「だったら、海をあげる」と言われて、 受け取ってみたら、あまりにも重かった。 本土に住む者にとってみれば、そんな本だ。 上間陽子さんの、美しく正しい言葉で綴られたエッセイ集。 同じ国のはずなのに、物理的な距離以上に精神的に歴然とした距離がある沖縄。その距離の正体は一体何なのか、戦後日本に生きる者たちは、この本を読んで考えるべきなんだろう。 でも生半可な本じゃない。 簡単にヒントはくれない。 だから、じっくりと、行間まで読んで、ひたすら考え続ける必要がある。 それは苦しいこと。 しかし、豊かな未来のためには必須の苦しみなのだと思う。

    55
    投稿日: 2022.02.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    テーマごとにパラグラフが分かれており、とても読みやすかった。 沖縄が抱える深刻な問題が当事者の視点からリアルに描かれていてて衝撃的な内容も多くあった。また沖縄には何度か訪れたことがあるが、その時には全く感じられなかった現地の人の想いを知ることができ、とても貴重なない内容だった。いつか自分自身でこういった問題をを感じてみたい。 ストーリーの要所要所で、筆者の子供の女の子が出てきて可愛らしかった。彼女のような小さい子にはなんの罪もないのに…

    0
    投稿日: 2022.02.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ふんわりした語り口やけど、言葉の端々に力があった。 読み始めは物語っぽいなと思いながら読んでたけど途中からは完全にノンフィクションで、でも文章がサラッとしてるからスルスル読めた。 完全に理解するには私に沖縄についての知識が足りなすぎるなぁ。

    0
    投稿日: 2022.02.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    エッセイのような語り口で、事実日常のことも多いのだけど、沖縄普天間での暮らしや若年女性へのインタビューを通じた切実なノンフィクション。 痛みがわかってしまう分、身も心も切ってインタビューをされているのではと心配になってしまったけど、そのぶんしっかりと絶望を受け取った。

    0
    投稿日: 2022.02.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    【日常に織り込まれた悲しみと叫び】 基地移設、若年女性の貧困……沖縄に深く根をおろす問題について書かれた本書。 沖縄に暮らす筆者の、日記をつづるような、友人に語りかけるような文章が印象的。 数年前に始めて沖縄に旅行し、ひめゆり平和祈念資料館を訪れた際、自分が漠然と想像していた沖縄戦のイメージがあまりにも薄っぺらくて、実態を伴っていないものだったかを知って、愕然としたことがあります。 私は女性で、それはいまの日本社会では「弱者」にカテゴライズされるけれど、本土に生まれ育っているという点においては、圧倒的に「強者」の立場にいるし、もっと言ってしまうと生まれながらに加害者なのだと思います。 ページをめくりながら、何度も目頭にわいてくる涙を抑えるために手をとめなくてはならず、その度に、これはなんの涙であるのか、考えることを迫られました。 登場する人物への感情移入なのか、問題解決の糸口すら見えないことへの苛立ちなのか……。 でも、安易にその涙に名前をつけることは許されないし、ずっと考え続けていく必要があることを、本書は伝えていると思います。

    24
    投稿日: 2022.02.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初めてこの手のノンフィクション本を読みました。軽い気持ちで読み始めましたが、重くのしかかってくる内容でした。沖縄の現実をちゃんと見ていない自分や無力な自分に落ち込み、色々ととても考えさせられました。

    1
    投稿日: 2022.02.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本屋大賞2021年ノンフィクション本大賞受賞ということで手に取った。著者は、若年出産した女性や、風俗業界で働く女性、性虐待にあった女性などの調査をしている琉球大学の教授だが、ノンフィクションというより、筆致はエッセイのよう。家族のこと、保育園に通う娘の微笑ましい話があるかと思えば、父親から性暴力を受けていた女性の話や、沖縄のアメリカ基地の話、辺野古の問題などが語られる。女性の問題は、大学教授として学術的に書いたものではなく、一般向けに読みやすい文章で書いてあるからこそ、却って生々しく、胸に迫るものがある。

    0
    投稿日: 2022.02.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    たしかに食べる場面がとても多く印象的な本だった。 上間さんは痛みを知っているからこそ女の子たちの話をこれだけ聞けるのだろうなぁと思った。 私は数年前まで沖縄の基地問題だとかもほぼ知らなかった(今もちゃんとわかっているとは言えないかもだけれど)。2年ほど前に初めて行った沖縄はどこかアジアの外国を歩いているようでその街並みの全てが興味深かったのを覚えている。でも上間さんが暮らす辺野古は軍機の轟音が響き100年かかって完成するのかもわからない基地のために土砂が注がれている。そのことを本土の人々(自分も含め)はどれだけわかっているだろうか。 先の選挙で基地反対派の候補は軒並み落選した。それは基地建設を受け入れることでその代わりのお金が沖縄には支払われるからとも言われている。生活のためのお金のために基地を受け入れる?全く綺麗事ではないことはわかっている。いつも国はお金と引き換えにそういう差別をするのだろう。 そこにあるのはただ悲しみと抱えきれないなにかなのかもしれない。

    2
    投稿日: 2022.02.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    12編のエッセイ集、優しい出始めのエッセイから始まるけれど早くも3章目から重く厳しく哀しい現実を読み手に伝えてくる。 未だ行ったことの無い沖縄だが何かにつけ本土の防波堤にされてきた沖縄。 これまでも今もこれからも多分変わる兆しが無い立ち位置へのもどかしさ辛さ嘆き、そして怒りが静かに確かに伝わってくる好著です♪ 遠い他人事みたいな視点しか持たないわたし達を静かに、しかし強く揺さぶる作品で襟を正して読みました。版を重ねていることに納得し共感しています。

    25
    投稿日: 2022.02.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    こんな風にやわらかい語り口調で、シリアスな問題を語れる著者は素敵な人なのだろうと思う。 まだ、うまく言葉にできない。 何度も何度も読みかえして、言葉を綴りたい。

    3
    投稿日: 2022.01.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    書店で目につき購入しました。 3時間くらいで一気に読むことができ、 読みやすかったです。 沖縄在住ですが知らないことも沢山ありました。 性虐待や基地問題。 沖縄が国に背負わされているもの。 本のタイトルにもなっている「海をあげる」という章の最後の文がとても心に刺さりました。

    0
    投稿日: 2022.01.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    図書館で8人待ちだったけれど、予想より早く読めた 一言で言うと、読みやすい本 時々、はっとさせられる文章が出てくる 娘の純粋さが、読みやすくしているな、と 選挙結果で落ち込んでいただけに、読んでよかった

    0
    投稿日: 2022.01.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれない。 ・この海をひとりで抱えることはできない。だからあなたに、海をあげる。 →沖縄以外で何年か生活してみてはじめて、"沖縄ってユニークなとこ"と思ったと同時に、"沖縄について全然わかってない"と思った。やっぱ、歴史や世相を学んで、考えることは大切!

    0
    投稿日: 2022.01.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「裸足で逃げる」に続いて、こちらも妻の勧めだ。前作はインタビュー記事ばかりだったが、今回はインタビューを、織り交ぜたエッセイ集という仕上がり。沖縄の目を背けたくなる現実が赤裸々に描かれている。

    10
    投稿日: 2022.01.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    この本が広く読まれていることに正直驚いた。そして自分のことのように嬉しい。筆者と同じように一度沖縄を出て戻ってきた組。基地や貧困からは離れた場所で育ったけど、青い海だけじゃないことは知ってるし、聞かされてきた。 上間さんの祖母と自分の母が重なってみえたり、ジャーマンケーキが好きなこと、リアルタイムで見てたハンガーストライキ、そうだよねって思うことは多々あったけど、風俗で働く少年少女や、未成年の出産に関しては、遠い話のように感じた。住む世界が分断されていることを思い知らされる。

    1
    投稿日: 2022.01.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄のイメージが変わった。 自分も加害者という意識を持つようになった。 自分なりにできることを考え、実行していきたい。

    0
    投稿日: 2022.01.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    実際に見えているもの全てではない。昔行った時のあのキラキラの沖縄は幻想だったのかなと思うくらい沖縄の現実を知ることになった。 自分は問題があっても無視しているのではないか、海を貰ったからには私も誰かにこの本を紹介しなければならないと感じた。

    0
    投稿日: 2022.01.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読後、タイトルはそういう意味だったのかと気づき、言葉が出なかった。 筆者の怒りがひしひしと伝わってくる。

    0
    投稿日: 2022.01.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    沖縄に生まれ、現在は若年出産女性や沖縄での性暴力被害についての聞き取り調査を行っている社会学者の著者。幼い娘とのやり取り、過去の話、調査で出会った若者とのやり取り、祖父や祖母との思い出とその死、そして沖縄の基地問題。静かな言葉で淡々と書かれているが、そこには慈しみや悲しみが溢れている。暴力や虐待を受けている若者達の言葉、幼い娘の純粋な言葉、沖縄の基地問題について語る著者の言葉、どれも何気ない言葉なのに、その背景にあるものの大きさや過酷さを考えてしまう。 表題作「海をあげる」、このタイトルに著者が込めた思いを知るとき、これは沖縄という遠く離れた地に住む他人の話ではないということを突きつけられる。 「切実な話題は、切実すぎて言葉にできなくなる」これは特別なことではなく、どこにでも起きていること。そこに耳を傾ける著者の姿勢を知り、他の著作も手に取ってみたいと思った。

    0
    投稿日: 2022.01.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今の沖縄の現状を、静かで優しい文章で描く傑作。数々の賞を受賞しているが、この作品はウチナンチュだけでなく、ヤマトンチュウが心して、ただただ読むべき本です。

    0
    投稿日: 2022.01.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    【感想】 読みながら沖縄の海のことを想像してみた。 沖縄の海は青く淡く澄み切っており、白い砂粒が太陽を反射して辺りに光をばらまく。東京の人々はその異国感に安らぎを覚え、都会の喧騒を忘れされてくれる楽園のようなイメージを抱く。 だが、そうした理解は一面的な見方でしかない。沖縄にどこか憧れを持って暮らす本土の人々は、現地の人々が接している問題に対して声を挙げず、ただの「リゾート地」として沖縄を無分別に消費しようとしている。 こうした「沖縄のイメージ」に待ったをかけ、今まさに現地で起こっている問題を、そこに住む人々の目線からありありと語ってくれるのが本書だ。 本書には大きく分けて3つのテーマが書かれている。 筆者の家庭を描いた日常の話、性風俗で働く女の子たちの物語、そして米軍基地のお話。 3つのうちの後ろ2つは、重く凄惨な物語が多い。実の父親にレイプされてPTSDとなり、家を出て施設に入りながら、遠くで暮らすためのお金を貯めるべく性風俗で働く七海さんの話や、辺野古基地建設の県民投票を認めさせるためのハンガーストライキを行う元山さんの話など、沖縄の人々が抱える負の側面に焦点を当て、当事者たちの生の声をそのまま紙面に綴っている。 2つのカテゴリに共通しているのは、「対話の必要性」を訴えていることである。父親からのレイプをただの家庭内不和と捉える母親や施設の職員、基地への反対意見を蔑ろにする市長など、力の強い者から弱い者への一方的な押し付けが本書のあちこちに描かれている。その傍若無人な態度に異を唱え、「私たちもここで生きて、ここで暮らしている」と主張するのだが、そうした言葉の多くは聞く耳を持たない人々には届かず、耳障りな主張の一つとして霧散していく。 そうしたお話の間にときおり、筆者の家族の話が挟まれる。一人娘の風花ちゃんだ。 風花ちゃんはまだ4歳であり、沖縄で起こっていることを知らない。本書での話も風花ちゃんの腕白さを描いた日常生活が多くとてもほほえましいのだが、そうした幸せなエピソードの中にも、未来が脅かされることへの不安感が見て取れる。 風花ちゃんが飲んでいる水道水は、米軍基地で使用される化学物質によって汚染されており、基地埋め立てのための土砂流入は海の生態系を壊していく。汚されていく沖縄から始まり、壊されていく沖縄で終わっていくこのエッセイは、そこに住む少年少女たちの未来を案じるメッセージに富んでいる。自分たちの生活は米軍基地とともにあり、同時に日本最悪と言われている貧困とともにある。彼女たちの未来はアメリカと日本政府の手に握られたままであり、その宙ぶらりんの中で何100年も苦しみながら生き続けて行かなければならないことを、遠く離れた場所で暮らす私たちは理解していない。沖縄の人にとって本土の人間は全員政府と同罪であり、「対話に耳を傾けなかった人間たち」なのである。 私はこのエッセイを読んで、どう行動すればよいのか、いまだに分からない。私も沖縄の情景を「消費してきた」側の人間だ。彼らの苦しみに耳を傾けず、自分の目の届かぬところで繰り広げられる諍いのような意識で、貧困問題や基地問題を聞き流してきた。 筆者は本書の最後でこう語る。 ――私は静かな部屋でこれを読んでいるあなたにあげる。私は電車でこれを読んでいるあなたにあげる。私は川のほとりでこれを読んでいるあなたにあげる。 この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに、海をあげる。 この本を読んだとしても、私たちの多くは沖縄に何もしてあげられないのかもしれない。ただ、こうして語り継がれてきた現状を口に出して、誰かに伝えることはできる。ひとりで海を抱えるのは無理でも、大勢の人と一緒なら抱えることができるかもしれない。 筆者は風花ちゃんに海を受け継いだ。ならば、この本を読んだ人々にも、同じように誰かに海を受け継いでいくことができるはずだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 【メモ】 恐怖で眼を見ひらく娘に、戦争があったのはほんとうにはるか遠く、これはむかしむかしのお話だと、私はいつか娘に言ってあげられるのだろうか。いまこうしているあいだにも、自然壕のなかでは水は休むことなく湧き出ていて、光る水面を飛ぶカワセミを一緒に見ようと娘を連れて、ここはとてもきれいな水のあるほとり、だから風花はなにも怖がることはないと、私はいつか娘に言ってあげることができるのだろうか。 和樹のインタビューの記録を、データのまま出してみようと思う。これは、沖縄で殴られながら大きくなった男の子が、恋人に援助交際をさせながら数千万円以上稼ぎだし、それをすべて使いはたし、その恋人に振られて東京に出て、何もかもを利用しながら新宿の喧騒のなかで今日も暮らしている、そういう記録だ。いつか加害のことを、そのひとの受けた被害の過去とともに書く方法をみつけることができたらいいと、私はそう思っている。 そうやって聞き取ったほとんどは、しばらくのあいだは書くことができないことだ。語られることのなかった記憶、動くことのない時間、言葉以前のうめき声や沈黙のなかで産まれた言葉は、受けとめる側にも時間がいる。逡巡と沈黙の時間をふたりでたどり、それから話はぽつんと終わる。そして最後は静かになる。 未成年のときに風俗業界で働きはじめた女の子たちへのインタビューの帰り道では、ときどき泣いた。三年前にはじめた、10代でママになった女の子たちへのインタビューの帰り道では、ときどき吐く。彼女たちがまだ10代の若い母親であることに、彼女たちに苦悩が不均等に分配されていることに、私はずっと怒っている。 まっすぐ前を向いたまま、七海はぼろぼろ涙を流す。 五年近く性暴力を受けながら、家族を守ろうと思って母親に一言も話さないで生きてきた娘を前にして、なぜ施設の職員たちは母親の意向を尊重するのだろう。自分の夫が自分の娘をレイプしてきたことを知らない母親には、自分の娘が精神科を受診しようとする理由がわからない。 細切れにしか眠れない娘の状態を知っても、ときどき身体が動かなくなる娘の姿を見ても、病気になるのは気持ちが弱いからだと七海のことを母親は責める。 結局七海は、PTSDの治療をあきらめた。 精神料行くのあきらめます。 なにもかも邪魔されますもんね。 あたしの支援なのかママの支援なのかわからない。 なにもかもママに報告するっていうのも意味がわからない。 疲れました(笑)。 年明け、七海は毎日貯金箱にいれていた500円玉を全部お札にかえた。出勤した日に貯めておいた一万円札と合わせると、貯金の総額は70万円になっていた。七海は自分の住んでいる施設の担当者にも施設長にも、誰にも自分のことを話さない。夏を迎えたころ、七海は施設を出ていった。七海は誰も信じていない。 富士五湖に土砂が入れられると言えば、吐き気をもよおすようなこの気持ちが伝わるのだろうか?湘南の海ならどうだろうか? 普天間の危険除去をうたう「最良の決定」の内実は、普天間直下の我が家から車で一時間とかからない、三七キロ先にある辺野古への基地新設である。それが三鷹と東京湾くらいの距離でしかないことを知ってもなお、これは沖縄にとって「最良の決定」だとみんなは思うのだろか? 私が沖縄出身だと話すと、沖縄っていいところですね、アムロちゃんって可愛いよね、沖縄大好きですなどと仲良くしてくれるひとは多かったが、ああ、こんなところで暮らしているひとに、軍隊と隣り合わせで暮らす沖縄の日々の苛立ちを伝えるのは難しいと思い、私は黙り込むようになった。 沖縄の怒りに癒され、自分の生活圏を見返すことなく言葉を発すること自体が、日本と沖縄の関係を表していると私は彼に言うべきだった。言わなかったから、その言葉は私のなかに沈んだ。その言葉は、いまも私のなかに残っている。 私は目を閉じる。それから、土砂が投入される前の、生き生きと生き物が宿るこっくりとした、あの青の海のことを考える。 ここは海だ。青い海だ。珊瑚礁のなかで、色とりどりの魚やカメが行き交う交差点、ひょっとしたらまだどこかに人魚も潜んでいる。 私は静かな部屋でこれを読んでいるあなたにあげる。私は電車でこれを読んでいるあなたにあげる。私は川のほとりでこれを読んでいるあなたにあげる。 この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに、海をあげる。

    38
    投稿日: 2022.01.14