
総合評価
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powered by ブクログ目次 ・美味しいごはん ・ふたりの花泥棒 ・きれいな水 ・ひとりで生きる ・波の音やら海の音 ・優しいひと ・三月の子ども ・私の花 ・何も響かない ・空を駆ける ・アリエルの王国 ・海をあげる 本屋大賞のノンフィクション部門にノミネートされた本ということで手に取った本。 それ以外の情報はなかった。 ノンフィクション=ルポルタージュというわけではないとは思うが、始めの一編で最初の夫との離婚の話で、一体何を読まされているのかと混乱した。 夫が親友と浮気して、もう別れたけれど、今後どうしたらいい?という話。 これは、片方の当事者からしか情報を得ることができない状態で読まされるべきものではないと思うのだ。 そして、彼女の多用する「○○してあげる、あげた」という表現。 「困っていると呼びつけられたら、お金を貸してあげた」「親切にしてあげた人に裏切られた」 他意はないのかもしれない。 ただの文章上の癖なのかもしれない。 でも、どうしても上からものを言っているように見えてしまう。 「してあげる」と思っている人から一方的に善意を「してもらう」しかない人の心のうちを想像することはないのだろう。 「お金を貸した」「親切にした」でいいと思うのだけど。 その後、沖縄の海洋汚染や基地問題などにも触れているのだけれど、あくまでもこれはエッセイ。 エッセイはノンフィクションなのか問題。もやもや。 あと、文章の組み立てが稚拙というか、わかりにくい。 結局何を言っているの?と読み返すこと数回。 素人の文章だなあと思っていたら、大学の教授じゃないですか。うーむ。
0投稿日: 2025.10.26
powered by ブクログ母、フィールドワーカー、娘、孫、姉——さまざまな立場から考えられてきた作者の死生観が、美しい言葉で語られている。社会問題を扱いながらも、一人の女性としての率直な感情が綴られており、深い共感を覚えた。
0投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログp240 この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに、海をあげる。 この最後の1行は、「助けて」という叫びだと感じた。 だから、私は沖縄の海をもらわなくてはならない。 旅行でたまに訪れる遠くの観光地としてではなく、自分の故郷のように。 そしてそれは、沖縄だけでなく、 福島であり、ガザであり、ウクライナでもある。 頑張って頑張ってももうこらえきれない、抱えきれない人たちの苦しみを、安全な所にいる私たちは自分事として受け取り、行動を共にしていく義務があると思う。
5投稿日: 2025.10.12
powered by ブクログ1972年(S.47)に沖縄は本土復帰を果たした。 「その後沖縄はどうなったか?」普天間で暮らす著者が現状を綴ったエッセイです。幼い娘を持つ母の思いも伝わってきました。 息が詰まるような書き出しでした。 「食べられなくなるほどの苦しみ」を受けた彼女が書く作品を、最後まで読まなければならないと思いました。 美しい沖縄の海。人は海に住む生きものと暮らし、亡くなればまた海に帰っていく。 シマ(今帰仁村)では、祖父の遺骨をお墓に納めた後、海に入り、海の彼方(ニライカナイ)に皆で声をかける。 旧暦の12月8日には、家族の健康や無病息災を願い、ムーチー(鬼餅)を作る。 沖縄に残る風習は親から子へと受け継がれていく。 「綺麗な海や水を、私たちは残せるのか?」 島の湧水や、子どもが飲んだり遊ぶ水も汚染されていた。 「基地のない平和な沖縄」には遠く「沖縄に基地は残され、飛行機が飛んでいる間、娘は怯えて泣き叫ぶ」 性暴力の被害にあわないよう、性教育を4歳で始める母親の気持ちを思うといたたまれなかった。 今、米軍の新しい基地のため、辺野古の青い海に土砂が投入されている。赤く濁った海で魚や珊瑚はゆっくり死んでいくだろう! 「もし、富士五湖に土砂が入れられると言えば、湘南の海にならどうだろうか?」と著者は問うている。 実際に現地に足を運ぶことができないもどかしさを感じるものの、沖縄に住む人々の痛みや怒りを知ることは私にもできると思う。
24投稿日: 2025.10.08
powered by ブクログ沖縄の現状とか、風俗とか、性、暴力のノンフィクション 作家は大学の先生だそうで、そのバックボーンや家族とか知らずに読んだので、なにを読んでいるのか、と、思ってしまった。 沖縄の一般的な文化の本かと、勝手に勘違いしてしまった、自分のあやまちで有る。 文章は読みにくいと感じた
11投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ実際に沖縄に住んでいる人の基地、米軍の性的暴行に対する思いが丁寧に、率直に書かれていた。 実際に住んでいると当事者だからこそ、声が上げられなくなってしまうんだなと思った。だから客観的に見ることのできる人が他人事ととして考えるのではなく、声を上げなければいけないんじゃないかな。
13投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログ静かで素朴に生きられるはずの沖縄における悲しいリアル。ノンフィクションだが、小説のようでもあり、映画のようでもある。 悲しさの核心にあるのは不条理。自分たちではどうしようも出来ないような大きな力が、自分たちを踏み躙り犠牲にしていくが、争う力がない。基地を押し付ける本土にも、暴力により支配する米軍にも、島民の心理を逆手に取って虎視眈々と世論操作する中国と、それらに染まったメディアや政治にも。 だから、海をあげる。いや、海をあげる相手は抗えない権力者たちに対してではない。本当は、子供たちに胸を張って渡したい海は、辺野古基地のために土砂で埋めらていく。 ー 私の家の上空では、今日もオスプレイやジェット機が飛んでいる。接近する飛行機の騒音は九〇デシベル以上になるという。九〇デシベルは、隣に座るひととの会話が通じない、騒々しい工場内と同じ音だ。私はここで小さな女の子を育てている。 ー 戦時から戦後へとわたる歴史を聞きながら、戦場を逃げまどう時間が三カ月も続いたことに気がついて、「生理とかはどうしていたの?」と私は聞いた。男性が、「おしめでしょう、おばあ?」と聞くとかぶりをふって、「そのときはあんまりなかったよ。あれ(爆撃)で止まるのかしらね?」と女性は話す。「捕虜になって、こっちに戻ってきてから生理も戻ってきた?」と尋ねると、「あんまりなかったさ」と女性は言う。三カ月ものあいだ、どこに逃げたらいいのかわからないまま女性は逃げていた。逃げる前も逃げるときも、十分な食べ物はなかった。逃げ惑う先々で家族はひとりずついなくなった。飢えと恐怖で生理は止まるだろう。私はやっぱりなにもわかっていないのだと話を聞く。 抗えない諦めの中で生まれたアノミーは、若いウチナンチュを自暴自棄に導く。知らなければならない、悲しい物語。海も、島も、私自身も、奪われてしまう。
96投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログご飯が好きな沖縄で暮らす母と娘の話かな〜くらいに読み始めたら全然違った。心にガツンと来る内容だった。 沖縄と聞けば、旅行、青い海、リゾート、バカンスといったイメージばかり。SNSでもそういう明るい沖縄の姿しか見かけない。でもこの本を読んで、中学の修学旅行で初めて訪れた沖縄のことを思い出した。初めての沖縄の記憶は、戦争、白百合学徒隊、防空壕、、、そんな重い思い出ばかり。大人になってリゾートとして沖縄に行くいくようになってからは、その部分をすっかりと置き去りにしていた。 どうしても身近にない出来事は、日常の中でリアルには感じにくい。でも、この本をきっかけに、あの暗い防空壕の中で感じたことを思い出した。あの記憶は一生忘れてはいけない。これからはSNSでキラキラ沖縄を見る度に、修学旅行での経験と、この本のことを思い出したい。 いつか、子供にも読んでもらいたい一冊。
1投稿日: 2025.09.11
powered by ブクログ真藤順丈さんの『宝島』と並行しながら読んでいたのですが、両作品から、己の無知さや無関心さをひしひしと痛感させられました。 無意識に基地を押し付けている。これを差別と言わずに何と言うんだ? そう訴えかけられているようで、どちらも読んでいて終始苦しかった。 本島に生まれ、基地のない場所で暮らす自分こそ、沖縄のことに関心を持ち、彼らの抱える問題や歴史について知ろうと能動的にならなくてはいけないと感じました。住まう人々の苦しみを全てわかることが出来なくても、それでも海の向こうにある遠い出来事と思わず、これは自分たちにも繋がっている問題なのだと、そうやって無関心や無知という加害性を自覚することが、その土地への差別から抜け出す一歩だと思う。 まだまだ知識のない状態ですが、これから知って感情移入して、考え続けていきたいです…。
0投稿日: 2025.08.15
powered by ブクログ南沢奈央さんのラジオで紹介されていて興味を持った一冊。自分の家族や人の気持ちについて思いを馳せる。世の中の問題を自分ごととして捉えるにはどうしたら良いのか。大変な出来事や痛ましい事件を知るたびに目の前の家族ばかり優先させてしまうなともどかしい気持ちになった。 大人は沖縄の貧困に連なる様々な問題と向き合わなければならない。
14投稿日: 2025.08.07
powered by ブクログ戦後80年を迎えるいま、本土に暮らす「日本人」が何を沖縄に押し付けているのか、この本を読むことできちんと向き合ってほしい。
0投稿日: 2025.08.03
powered by ブクログ吐き気をもよおすほどの、沖縄の若い子達の苦悩、を聴く仕事をする上間さん、、 彼女を癒してきた海、に赤土が入る、辺野古埋め立て ハンガーストライキも知らなかった私、です… 普天間基地で自衛隊も共同訓練を行い、実戦を経験している米軍から色々と学んでいるのは事実、がしかし… 娘の風花ちゃんが迷子になったのを機に、性教育を始め、、卒園式では親を鶯の止まり木を守るひと、に例える上間さんのエッセイ、哀しくも優しくて…読んで良かったです 沖縄の貧困ゆえに、幼い頃から性被害、家庭内暴力、援助交際、妊娠・出産、、という問題が存在する、のは、沖縄に敗戦、米軍基地を押し付けてきた私達おとな、の責任でもあるのだなぁ、今までちゃんと向き合って来なかった、と反省しました…知ることが出来てよかったです…
1投稿日: 2025.07.22
powered by ブクログ自分は沖縄のことを何も知らない。と思った。 少し恥ずかしくなった。 柔らかい文章で、私たちは沖縄の海を渡される。 あと、この本で本当に伝えたいだろう事とは、逸れた話だけれど。 葬儀の後、みんなが海に入っていくところで、 しんだら穏やかだなぁ、なんか、シンプルだなぁと思って、色々悩んでるのがつまらない気がした。 どうせ、みんなしんだらこうやって海の遠くにいく。なら、難しいことも失敗も、何も怖くないなぁと。好きなことやってみたらいいじゃん、楽しんだらいいじゃん、生きてるうちに。と思った。
1投稿日: 2025.07.15
powered by ブクログ普天間基地の近くに住み、未成年の少女たちの支援・調査に携わっている著者のノンフィクションエッセイ。若年出産をした女性の聞き取り調査、沖縄の現状などが淡々と綴られていきます。知ることの大切さに気づかされる一冊です。
10投稿日: 2025.06.14
powered by ブクログ図書館で何度も借りてたのに一度も読めてなかった。きつい話だったな……上間さんの本はいつもきつい。それは上間さんが悪いわけではなく、研究テーマ的に若い女の子が酷い目に遭ってる話ばかりだから。七海さんがPTSDの治療を辞めちゃうのが一番きつかった。「あんのこと」に近い世界が広がっているんだろうなと思う。そして基地問題。何も言えない。「怒り」を思い出した。沖縄に押し付けている、本当にその通り。本当にその通り。本当にその通りで、みんな分かった上で静かに押し付け続けているよね。申し訳ないとしか言いようがない。死んだおばあちゃんに会いたくなって、途中つらかった。風花ちゃんが「誘拐される時にはなんのお菓子がもらえるの!?」ってこだわっていたのが可愛かった。
0投稿日: 2025.06.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった。 わざわざ基地の近くに住んで、轟音に怯える子どもを抱きしめる。 怒りから逃げない。 他の作品も読んでみよう
0投稿日: 2025.06.05
powered by ブクログ南の楽園、瀟洒な海辺のリゾートを求めて訪れる沖縄。 日本でありながら車両は右側通行、米ドルが流通しパスポートの必要な時代があった沖縄。東京23区の13区分の面積を占めるという米軍基地。演習飛行機の爆音、落下、町を闊歩する米兵が繰り返し起こす少女暴行強姦への恐怖と隣り合わせで生活をする島人。沖縄の背負ってきた戦争の残痕、屈辱、苦悩、貧困、家庭不和を生きる少年少女達の呻き声が、健気な女児の豊かな感性にほんの少し救われ、未来を諦めない希望を感じる。基地問題に対する沖縄と本土との温度差に改めて気付かされる。
0投稿日: 2025.05.22
powered by ブクログちゃんと自分の中で受け止めて、そしてそれを少しでもいいから誰かに与えられたら。そんなバトンを繋ぎたいと思う本。
2投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ上間さんが書いたものは、本当に俺の感情を強く揺さぶる 以前に読んだ本もそうだった 最後の「海をあげる」もとてもよかった 内容からいうと、よかったなんて感想が出てくるはずないのだけれど そうです、わたし(たち)は海をもらわなければいけないんです
7投稿日: 2025.04.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
著者の方のパーソナルな思い出と、現在の子育ての営みと、沖縄の抱えるさまざまな問題を描いたエッセイ。静かな筆致で綴られる、重たい内容。ひとごとにしてはいけない。
0投稿日: 2025.04.12
powered by ブクログ思いのほか、すっと読めました。 今まで何度も手に取りながら読めなかったのは何故だったんだろう。 あたたかくて、悲しくて、痛くて、愛おしい、あらゆる感情がぎゅっと詰まった一冊でした。 沖縄の現実に胸が苦しくなり、娘さんの存在にふわりと緩みました。 沖縄が背負わされているものを、沖縄以外の地に住む私たちももっと知らなくては、と思いました。
3投稿日: 2025.03.28
powered by ブクログ著者の様々な人生体験と自身の調査で出会った方々との交流の中で著者の感じたこと等が綴られたノンフィクション書籍。 主として、著者の故郷である沖縄を中心として記されている。 恥ずかしながら、僕が今までどこか縁遠く他人事のように眺めてしまっていた「基地問題」と「女性問題」を、現実味と切実さを伴ってそっと見せられた気持ちになった。 文が、言葉が、まさしく「なま」の声を発していた。 そして、聞く人であり話す人である著者を癒し、支え、温めるのは、著者の娘さんだった。 おばあ様をはじめ近親者の方々とのお話しの中には、家族観を考えさせられるエピソードも多い。 沖縄という複雑なルーツと文化が引き摺る「タブー」は、本書を読んだ人に解決が託された。海をあげるように、僕に託された。 目の前に広がるのは、青く輝く海。 環境破壊・基地問題・女性問題は目の前にある。 人を信じたいと思う人、声を上げ続ける人、共に生きたいと願う人は、僕の、目の前に、いる。
9投稿日: 2025.03.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
沖縄の怒りに癒され、自分の生活圏を見返すことなく言葉を発すること自体が、日本と沖縄な関係を表していると私は彼に言うべきだった。 上間陽子さんのこの文章、私も忘れません。 静かな部屋で、読みました。何度も。
0投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログドラマ「フェンス」をキッカケに読み始めた。育児、親子関係、性暴力、基地。ごちゃまぜのかたまりがズドンときた。全く自分にとって遠い世界に感じていたけど、それは違う。他人事ではない。
0投稿日: 2025.02.15
powered by ブクログ和光大学図書・情報館の所蔵 https://libweb.wako.ac.jp/opac/opac_link/bibid/SS01134934
0投稿日: 2025.02.07
powered by ブクログ何を言えばいいかわからない。読むべき。読ませたい。読んでほしい。娘をかわいいと思うすべての人が。小さな女の子のかわいさを愛するひとが。沖縄で暮らすということが、女であるということが、女が娘を育てるということが、差別の中に暮らし、育てるとはどういうことなのかを。想像させてくれたし、想像させられてしまったから辛くて辛くて、動揺させられて、差別する側にしかいない自分が(行動しないのは現状を仕方ないとして容認することでしかないのではないか?)しんどくて、でももちろん行動なんかしたくなくて、他人事にしておきたいのに、それはやっぱりゆるされないと思う。 描かれているのはきちんと生きている明るい日常であって、筆致は優しい。本当に読みやすいし、普通に良いお話だし、でも読む前と読んだ後で変わって(変えられて)しまう。それは良いことだけど。
0投稿日: 2024.12.20
powered by ブクログ本土に出るには飛行機に乗らないといけなかったり、好きなアーティストのグッズを買うのに高い送料を払ったり、本土の人と明らかに経験できることが違ったりで、正直沖縄で生まれ育ったことに対してそこまでいいなと思ったことはなかった。 だけどこの本を読んで、沖縄に生まれたというアイデンティティを大切にするべきだと思ったし、せっかく沖縄に生まれたんだから地元のことをより知ろうと思えた。
0投稿日: 2024.12.02
powered by ブクログ上間陽子(1972年~)氏は、沖縄県コザ市生まれ、東京都立大学博士課程退学後、未成年少女たちの支援と調査に携わり、2015年からは引き続き沖縄県で、風俗調査、沖縄階層調査、若年出産女性調査等を続ける。琉球大学教育学部研究科教授。本書『海をあげる』で、「Yahoo!ニュース/本屋大賞ノンフィクション本大賞」(2021年)、「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」(2021年)を受賞。 本書は、「webちくま」に2019年4月~2020年3月に連載されたものを中心に、「新潮」への掲載作と書きおろしを加えた、12編のエッセイをまとめたもの(一部加筆修正)である。 私はノンフィクション物を好んで読み、本書も発刊当時に書店の平台に並んでいるのを目にはしつつ買いそびれ、今般新古書店で入手して読んでみた。 また、私は通常、最初に目次とあとがきを見て本の概要を掴むのだが(それでつまらなそうなら読まない)、本書については偶々それをすることなく、いきなり読み始めたところ、文体は平易で読み易いものの、内容はなかなか硬質なエッセイ集であった。 取り上げられるテーマは、若年出産をした女性や風俗業界で働く女性であり、著者本人が若いときに配偶者と友人に裏切られた経験であり。沖縄の米軍基地問題、とりわけ、普天間基地と辺野古の埋め立てについての現状であり、言わば、力を持たず、時に差別さえされるものの声なき声である。 著者は、「聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれない」と書き、「言葉以前のうめき声や沈黙のなかで産まれた言葉は、受けとめる側にも時間がいる」とも書く。自らがそちら側にいた、いや、いる人だからこそ受け取ることができ、書くことができる言葉には重みがある。 そして、本書を他書と画する最大の特徴は、食べることが大好きな著者の娘・風花の存在である。著者が悩み、怒り、泣いている間にも、娘は一日一日成長していく。端々に登場するその様子が、ややもすれば重く暗くなりがちな全体に、希望の明かりを灯しているように思われる。 本質的にはかなり硬い内容といえる本書が本屋大賞を取ったというのは、少々驚きではあるが、それだけ多くの人々(特に若者)がエンパシーを感じたのだとすれば、我々の将来についても悲観的にばかりなる必要はないのかも知れない。 (2024年11月了)
6投稿日: 2024.11.25
powered by ブクログほんとうに、これは読むことのバトンを渡したいと思う本だ。 沖縄で小さな娘の成長を見守りながら描かれたエッセイ、という形で届けられた、優れたノンフィクション。 柔らかな感受性の中に、きちんとした芯が感じられて、言葉がすーっと入ってくる。 生活と人柄のぬくもりが伝わる、いいエッセイだなと思う。 上間さんが抱えた傷、娘である風花ちゃんへの愛情は、舞台が沖縄でなくても普遍的に共感できる。 でも、沖縄に住むからこそ伝えたい現実があるのだと知るほど、深く言葉が刺さってくる。 沖縄での出口が見えない問題に押しつぶされそうな呻き声が散りばめられている。 差し出された海を、土砂で濁った海を拒絶するわけにはいかない。 耳を塞ぐわけにはいかない。 ここからは私見。 沖縄については、「ファクト」を知ってほしいと思う。 基地建設のための埋め立て工事が、資金投下しても見通しが立たない難事業であること。 米軍側が、軍事的には利用価値が低い政治の妥協点だとみなしていること。 結局、普天間の解決につながってないこと。 これらは「隠された不都合な真実」なんかじゃない。全国紙にたびたび掲載された、誰でも接するはずのオープンな情報だ。 基地の県内移設を決めたときの橋本龍太郎首相や沖縄県内の関係者の方々には苦渋の思いがあったと、想像する。 問題は、いま現実としてここまで継続が難しい案件をなぜ中止できないかということ。 いったん、始めてしまったことを止められないことが、政治でも身の回りでも、余りに多いのではないか。 すでに決まったことに反対するな、という思考停止した声を聞くたびに、情けなく思う。 辺野古が唯一の解決策だと繰り返す政府の思う壺なのが悔しい。 いや、いつだって最適な答えを探していくことが一番大事だろう。
19投稿日: 2024.11.04
powered by ブクログ真っ直ぐに響いてくる言葉に胸を突き刺される想いだった。沖縄が凝縮されている本。穏やかな救いもあるけど、自分の能天気さ無自覚さを突きつけられもした。
6投稿日: 2024.11.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今度沖縄に旅行に久しぶりに行こうと思い、それに先立ち本を何冊か読むことにする。沖縄県立図書館の「沖縄を知るための10冊」(https://opl.okinawan-migration.com/books_okinawa/)というサイトがとても良くて、その中から何冊かピックアップしつつ、友人にも何かおすすめがあればと聞いてみたところ、本作があげられたので手に取る。 面白かったのであっという間に読んでしまったのだが、同時に時々身を切られるような言葉に息を呑み、私に泣く資格?があるとは思えないのにと思いながら涙が出てしまうところがあった、そんな本だった。これは私も間違いなく人に勧める一冊となる。 ハンガーストライキのことなど知らず、基地問題もいつも当事者意識を持たないまま生きているなと改めて突きつけられる。そういった沖縄全体のともいうべきイシューと、上間さんが職業として向き合っているイシュー、個人として向き合ってる家族のこと・娘を育てることについてのイシュー、と色々なレイヤーのものが混ざっていて読みやすかったのはある。個人的な話も混ぜなければ、読むのを離脱する人も多くいるだろうから… それでも最後の話であり、表題にもなっている「海をあげる」というのがどういう意味なのか明かされた時は、本当にきつかった。自分自身に対して。 …沖縄のひとたちが、何度やめてと頼んでも、青い海に今日も土砂がいれられる。これが差別でなくてなんなんだろう?差別をやめる責任は、差別される側ではなく差別する側のほうにある。…そして私は目を閉じる。それから、土砂が豆乳される前の、生き生きと生き物が宿るコックリとした、あの青の海のことを考える。 ここは海だ。青い海だ。珊瑚礁のなかで、色とりどりの魚やカメが行き交う交差点、ひょっとしたらまだどこかに人魚も潜んでいる。 私は静かな部屋でこれを読んでいるあなたにあげる。私は電車でこれを読んでいるあなたにあげる。私は川のほとりでこれを読んでいるあなたにあげる。 この海を一人で抱えることはもうできない。だからあなたに、海をあげる。
2投稿日: 2024.10.22
powered by ブクログ私にも筆者と同じ年頃の娘がいる。 最近、歴史上の人物の伝記を短くまとめた本をよく読み聞かせてほしいと持ってくる。 その中で少しずつ歴史に興味を持つようになった娘に質問をされる。 今も戦争をしている国はあるの? 私は、日本の戦争は終わったけれど、まだ戦争をしている国はあるよと答えた。 でも、この本を読んで、ああ、まだ日本の戦争は終わっていなかったんだと思った。 あんなにも美しい海を眺めながら、汚染された水に、軍機の爆音に悩まされている沖縄の人たちがいると知った。 手渡された海はあまりにも重い。
0投稿日: 2024.09.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ノンフィクション大賞受賞作品だったのですね。でも本書はエッセイですよね。ノンフィクションといえば確かに内容的にもそう言えますがエッセイ要素のほうが大きい。 たくさんのレビューがすでにあるので気後れしますがみなさんとはちょっとズレたところで少し感想を。 本書通読でまず思ったのは、食べられることが生きる力であるということ。それは私自身がいつも思っていることでもありますが本書を読んで改めて痛感。 まず最初の章は著者自身がご飯が食べられなくなった話から始まります。 そしてその後の章では娘さんや調査で関わった人たちや母、祖母などの話が出てきますが、著書が娘さんの食欲に気持ちを支えられていると感じられる箇所が随所に出てきます。 本書の中でもおばあちゃんのことを書かれた「空に駆ける」が一番好きでしたが、その中でも手術したあとのおばあちゃんがご飯を食べなくなり眠れなくなってぼんやりするようになった話が出てきます。その後対策を講じた著者の母が介護計画を立て一緒にご飯を食べるようにしたらたくさん食べられるようになり眠れるようにもなったとのこと。 きちんと食べられること、人と関わることの大切さをつくづく感じます。 娘さんのキャラクターが本書の力強さ、清涼剤にもなっていて読んでいるこちらも力をもらえます。それにしても「おせんべいがもらえるから誘拐される」には大笑いしてしまいました。いや、親御さんにしたら笑い事には済まされないとはわかるのですが、子供ってすごいなと素直に思わされるエピソードでした。 沖縄に住まない人間にとって沖縄の真実についての無知さ加減には埋めがたい断絶があるのだなと理解しました。 「富士五湖」や「湘南の海」に土砂を入れられるといえば吐き気を催すような気持ちは伝わるだろうか?という著者の言葉には怒りはもちろん感じるけれど伝わらなさをもどかしく感じる悲しみのようなものも感じました。 生活の日々の中で感じている、そこに住む人にとって黙らざるを得ない真実というものは、他所に住む人間にこうして伝えられても血肉として体感するようにはやはり理解はできないことだと思います。こういうと冷たく感じられるかもしれないけど冷たいかそうでないかではなくそれは現実だと思います。 けれどそういう中から「本当には理解はできないと思うけれど知らないことにはしない、知ろうとする努力はしていく」こと、「今は黙るしかなくても上げられる声は上げていかなくてはいけない」ということを、他所に住む人間として頭に置いてこれからはしていかなくてはならないだろうと思いました。 そう思ったのはこれを読んだ私たちは著者から「海をもらった」からでしょう。
5投稿日: 2024.09.26
powered by ブクログ本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞作品。 まず感じたのが、これってノンフィクションなの?エッセイじゃないの? タイトルや受賞スピーチから沖縄の基地問題に関する話しなのかと思ったが、それだけでなく筆者が関わっている様々な種類の社会問題について書かれていた。 筆者自身の家族や娘の話しなどプライベートなことから、若年出産の問題で関わる若者たち、大学の教え子とのやりとりなど話題は多岐にわたる。 文章自体は平易で読みやすい一方、内容は濃い。 でもさくさく読めて、数時間で一気に読み切ってしまった。 ただ、色々な問題がどれも途中までで終わるというか、問題が投げかけられてハイおしまい。 しんどいまま終わるので、こちらの精神が安定しているときに読まないと受け止めきれなくてこちらがしんどくなってしまう。 他人事じゃない、一人ひとりの問題だから目を背けず考えろっていう、それこそが筆者の狙い、読み手への問いかけなのかもしれないけど。 彼女自身の思いを全て詰め込んだ一冊なんだろうが、もっと一つひとつの問題にしっかり向き合いたいというか、分からないままだったり取り残されている感じがしたりで、宙ぶらりんなところも。 あとがきを読み誰かに伝えたかったという筆者の強い思いを感じ、知ることができただけでも、それで筆者が救われるなら、私がこの本を手に取った意味が少しはあったのかなとは思えた。
0投稿日: 2024.09.21
powered by ブクログ何気なく手にとって読み始めたが、心に突き刺さるような本だった。人に言えないような家庭内での辛い生い立ちを背負って、必死に生きる若者たち。 平和を維持するため沖縄に負担を押し付けて、知らんぷりする本土の人間たち。 ところどころに挿入されている、著者の娘の風花ちゃんとのやりとりが微笑ましい。 もっともっとこの著者の本を読んでみたい。
1投稿日: 2024.08.19
powered by ブクログ様々な境遇に置かれる女性たちは表に出さない苦悩を日々抱いている。世間から疎まれる弱者のはけ口が、さらに弱き存在となる子どもたちに向けてはならない。その負の連鎖は次世代へと受け継がれてしまう。社会の改善は弱者の救済であることが責務、そして私たちはその事実を看過してはならない。"誰かがやってくれる" はマジョリティが陥りやすい他責思考なのだから。
1投稿日: 2024.08.05
powered by ブクログめちゃいい、呑気だった自分を思い知らされる。海が綺麗で、ゆったりしてて、だけじゃないんだ。そうだった、知らないフリ、見えないフリを日常的にしてるんだなあと思った。風花ちゃんが可愛い。
1投稿日: 2024.07.28
powered by ブクログ重たいのでまた読むかはわからないけれど。 海をあげるってそうゆうことか… 東京の私たちは加害者。返す言葉もない。 なんでか分からないけど、今まで読んだエッセイの中でも、文章が上手というか、どんどん読みたくなる感じがした。リズム感というのか。
12投稿日: 2024.07.26
powered by ブクログいつまで国は沖縄に犠牲を強いるのか⁈ 日本の政治は、特に沖縄に対しては国民ファーストではなく、アメリカファーストだ!最近もプライバシー保護とかよくわからない理由をつけて米兵の性犯罪を隠蔽していた。とか言う本土に住む私たちも本当の沖縄の人たちの苦しみを理解していない。それを知るためにこの本は多くの人に読んでほしい。 文章がいきなり飛んだり、話者が変わっていたり、説明がなかったりとわかりづらい部分もあるが、筆者が多くの人々の話を聴いた心の叫びだと思う。若年出産女性の調査を進める筆者が、沖縄の本当の闇を浮き彫りにしていく。「ひととひととが紡ぐ営みを知らない人によって奪われ続ける私たち」国やアメリカはどう考える?強姦された少女の自宅に詰め寄るマスコミ。マスコミは何を考える?本当に切実な問題には皆口を噤む。沖縄の外にしかアリエルの王国はないのか⁈
56投稿日: 2024.07.14
powered by ブクログ私は、上間先生の言葉選びが好きだ。 上間先生の言葉は、難しい言葉ではなく、簡単な単語からつくられた言葉ではあるのだが、喜び、悲しさ、怒りなどの感情から絞り出されたキラキラした一雫の言葉という印象を受ける。 私のお気に入りは、「大人げなく大人ぶる」という言葉である。 自分の中でモヤモヤしていたことがスッキリした気分になった。 だからなのか、もっといろいろな言葉を聞きたいと思って、むさぼるように上間先生の他の著作を読んだ。 そうなった読者の方は私以外にもいるのではないだろうか・・・
0投稿日: 2024.07.12
powered by ブクログラジオで薦められていたので手に取った。沖縄には米軍基地問題があり、外側の人が触れ難い繊細なことであると、だいぶ遠巻きに見ていた。 今回、この本に出会い、貧困や搾取、自然破壊まで多くの負の連鎖があることや、女性が巻き込まれやすい環境にあること、それらをどうにか救済し解決しようという活動を知った。 何と無知だったのかと、呆然とする。知ることはなかなか辛い側面がある。立ち上がるぞ!と偉そうに言えないが、日々の行動をよく考え、悪いことに繋がらないような努力をしたいと思った。
0投稿日: 2024.06.30
powered by ブクログ上間先生は、沖縄で未成年の少女や若い女性たちの支援や調査に携わっていらっしゃる方で、沖縄の貧困問題等をご研究されています。 この本では、そのような上間先生だからこそ聴くことができたであろう若い女性のエピソードや、上間先生ご自身のご経験が書かれています。それらの話には、貧困問題や基地問題など様々な問題と隣り合わせのなかで「沖縄で暮らす」「沖縄で生きる」という現実がありありと描き出されており、言葉で表現できないような感覚を抱く本です。 また、話の内容だけでなく、「フィールドで調査する」ということについても考えることができると思います。 ここで紹介した本以外にも、『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』など、複数の本が出版されています。それらの本も含めて、日本の教育問題や貧困問題に興味がある人だけでなく、多くの人に、それぞれの感じ方で読んでいただきたい本です。 (ラーニング・アドバイザー/教育 FUJI) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/4116735 ▼筑波大学附属図書館『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』の所蔵情報はこちら https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/3489205
0投稿日: 2024.06.27
powered by ブクログエッセイを読み慣れていない+子を持つ女性視点の話ということもあって感情移入できる話とそうじゃないがあったが、沖縄現地に住む方々にしか分からない海に対する想いや近隣に軍事基地があることに対する恐怖感を少しでも知れるようになりたいと思った。
13投稿日: 2024.06.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
上間さんの本2冊目。春奈ちゃんを売春させていた和樹くんの方の話が出てくる。彼も辛い人生を歩んでいて、きちんと春奈ちゃんのことも好きで、壊れている。 誰が悪いと一方的に責めることもできないと思う。 そして辺野古の話。 人魚が海の中の生物を救ってくれれば本当にいいのに。 沖縄に暮らす人々と本土の人々のギャップ。 海をあげる、という最後の言葉が突き刺さる。
1投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ読む前 ・Yahoo! ニュース本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞 ・アマゾン★4.4、レビュー数も多い ・初めて読む上間陽子の作品 読んだ後(途中で読むのをやめた) ・Yahoo! ニュース本屋大賞は信用してはいけない ・アマゾン評価が高いものは、悪い評価のレビューも確認する ・上間陽子の作品は二度と読まない ここで限界、読むのをやめた箇所。 「三月の子どもは歌をうたう。大きくなることを夢見て歌をうたう。大人はみんなでそれを守る。守られていることに気づかれないように、そっとそおっとそばにいて」 これがノンフィクション本大賞? ノンフィクション本の傑作、『戦争広告代理店』(高木徹)を読んだ後だったこともあり、同じジャンルとは思えなかった。こんな本、読むんじゃなかった!っていう貴重な体験、選書するときの教訓を得られました。
0投稿日: 2024.06.04
powered by ブクログ先日新聞で読んだ上間さんの文章と冒頭の粕汁の話が繋がった。風花ちゃんのぶっかけうどんの話。祖父母と母の話、キラキラした海だけじゃない沖縄の話。私も海をもらってしまった。思いを馳せる。なにができるんだろう。
0投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログ知っているようで知らなかった沖縄のこと。 いざ読むと、胸の奥がキュッと締め付けられるような、目を背けたくなるような、でも背けられない、不思議な感覚でした。 最初に目にするカバーや表紙の綺麗さと、手に取って読んで初めてわかる、目を背けたくなる現実とのギャップが、SNSで見る一部分の美しさと、その場所で生きる人にしかわからない悲痛な思いを表しているような気がしました。
0投稿日: 2024.05.19
powered by ブクログサーヤが上間陽子さんのインタビューの話をしていて気になっていた本。 沖縄の目を背けたくなるような、でも絶対に知っておかなくちゃいけない現状がそのまま書かれているけど、あくまで淡々と、緩やかに続く文章たちは、ものすごく自然にわたしの中に入り込んできて不思議な気持ちだった。 本を読んで、嗚咽するほど泣いてしまったのはこの本が初めてで、悲しいとか感動とかそういうのじゃなくて、ただ悔しかったり苦しかったり、そして何もできない、今まで何も知らなかった自分の不甲斐なさとかそういうものがたくさん入り混じって出たものだった気がする。 「海をあげる」という、タイトルでも使われている言葉。この本を読んだ時、その言葉の意味が全てわかった時、わたしの胸にこの言葉だけが深く刻まれて今もずっと残っている。
0投稿日: 2024.05.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「裸足で逃げる」で登場した、 彼氏がネットで取った客と彼女を売春させ生計を立てていたカップルの彼氏のその後の話が書かれており、売春を斡旋していた彼もまた恵まれない家庭環境で幼少を過ごした事を知り悲しくなった。 彼のした事は許されないが、そうせざる追えなかった現実がそこにはあったのかと想像した。
1投稿日: 2024.04.20
powered by ブクログ怒り、悲しみ。若い女性と沖縄に押し付けられる差別の構造。ミクロでもマクロでも。 ただただ呼吸が苦しい。 離婚に際して、駆けつけてくれた2人の友人と料理に胸が熱くなった。
0投稿日: 2024.04.10
powered by ブクログ100分deフェミニズムで語る上間さんを見て、この人の本を読まなければいけないと思いました。でもきっと難しいのだろうなと先延ばしにしていたのですが、会社で沖縄出身の新入社員の女の子が「ひいおばあちゃんの介護」を理由に退職して、(もちろんそれを100%信じているわけではないけど)沖縄の県民性や家族観を少しでも知りたいと思い、重い腰を上げました。 結果彼女の退職理由が理解できたとは言わないけど、沖縄の家族のベースには苦難の歴史があるということを改めて感じました。シワ寄せをしている私たちは、沖縄のことを知ろうとすることをやめてはいけないし、そのために上間さんの本は最適なのだろうと思いましたが、2冊目にはなかなか手が伸びない・・・
2投稿日: 2024.03.09
powered by ブクログ社会福祉士としての視点で読み進めるため、自分に何ができるか、日々何を考えるべきかと問い直した。 沖縄という地についての認識を新たに、いや、知らなかったわけではないので再認識し、より自分ごとに捉えるようになった。 沖縄に限らず、社会課題に対する感度の低さを自覚した。今日から生活が変わる。
0投稿日: 2024.03.02
powered by ブクログ私は沖縄出身です。 海に近い村で生まれ育ち、電波に乗って流れてくる米軍基地向けのノイズ混じりのテレビ番組を見て、錆びついたトタンの屋根の下で暮らす友人達と遊ぶ幼少期を過ごしていました。戦闘機の爆音なんかは無かったので、基地の存在感は、米軍の不祥事が報道される時くらいしか感じませんでした。 ですが、そんな私でも強烈に印象に残っているのが、本作でも触れられる、1995年の事件。 あの事件が報じられた時、我が家でも母親が声を震わせて、口悪しく怒りの言葉を吐き捨てたことを今もまざまざと思い出せます。いつも穏やかで優しい母が、怪物のような顔と声でとても汚い言葉を吐いたので、とにかく怖かった。 あの時の沖縄は、本当に島ぐるみで怒っていました。 自分とそう年の変わらない女の子が、「アメリカ人に死にそうなくらいに酷い目に遭わされた」ことが、その事実に沖縄中の大人達がめちゃくちゃに怒っていることが、当時の私にも本当に恐ろしかった。 両親に連れられて行った決起大会では、大人も子供も、熱狂的に、本気で、怒っていました。 「どうして沖縄でこんな悲惨な事件が繰り返されるのか」 「沖縄はいつになったらアメリカーから解放されるのか」 こんなに多くの人間が、こんなに本気で怒っているんだから、きっと米軍基地は近いうちに無くなるんだろうな。と、当時の私は無邪気に感動していました。 だけど、島ぐるみで怒っていたはずの島が、今は雲散霧消している気がする。 怒り、諦め、失望、そんな言葉が、私たちの世代を含めて浸透してしまっている気がする。 「どうせ何も変わらない」 「ここから遠く離れた海の問題よりも、今月の生活費の方が喫緊した問題」 私もそうです。 辺野古に投入されている土砂のことより、値上がりした食費やガソリン代の方に頭を悩ませています。 正直に言うと、辺野古問題は対岸の問題としか考えられません。 こんな事を言うと、沖縄の反基地の方には怒られるかもしれませんが、那覇近郊に住む働く世代の本音は概ねこんな物だと思います。 貧困、シングルマザー、基地問題。 沖縄を語るときに切り離せないこれらの問題を、自分自身の経験と、若年層への取材から得た知見をもとに描かれた、ほぼノンフィクションであろうと思われる物語です。 私は、著者のようにこんなに真っ直ぐに、沖縄の問題にも、そこに住む人々の悩みにも向き合えない。日々を生きるだけで、本当に精一杯なんです。 不妊治療の中で、体調を崩して、正社員を諦めて、「基地は悪」と語る母親を宥めすかしながら、辺野古の報道は右から左へと聞き流す。 選挙には夫婦でちゃんと行くけど、マニフェストをちゃんと読んでるわけじゃない。ただ何となく、若いから、女性だから、私達の世代の為に何かしてくれそうだから、と、ただ漫然と投票する。辺野古は遠い。普天間も遠い。全ての問題が、私からは遠い。 著者が「あなたにあげる」と言ってくれた海を、だから私はもらう資格なんてない。
11投稿日: 2024.01.31
powered by ブクログ過去のことにトラウマを抱えて、いまなお苦しい日常を送る女の子たちと、沖縄のいまが描かれている。 性的なトラウマを抱えた子が性産業に従事しているというのが、本当に苦しかった。働かないで済むように、誰かが当座のお金をあげればいいというものでもないのだろう。何がどうなれば、彼女たちはそのトラウマから解放されて、望む仕事で生計を立てられるのだろう。 筆者と娘の素敵な関係性と、両親からトラウマになるような出来事を経験させられた女の子たちとの対比にくらくらした。 そして、筆者が4歳で娘に性教育を施すことは、何も早くないと感じた。 いま、女の赤ちゃんを妊娠している女性として、性暴力がこの世からなくなることを1番望むけれど、現状ではそれはもう全然現実的ではなくて、毎日性犯罪や性暴力、望まない妊娠に関するニュースが流れている。では、もう再来月には生まれる娘が性暴力から身を守るために、私は何を教えなくてはいけないか、産む前からずっとずっと考えている。 本書では沖縄の基地問題も取り上げられる。 暗くなるニュースが多くて、正直沖縄の基地問題のことも、調べてちゃんと知ってしまったら暗い気持ちになりそうで、深く知らないまま過ごしている。 私たちは日々のことに精一杯すぎて、大事なことを語ったり知ったりできていないと感じている。 最終章で筆者は、沖縄の人も基地問題に深く言及しないと書いているけれど、日々の生活を回すだけでくたびれてしまうからじゃないだろうか。 例えばトラウマを抱えて苦しむ沖縄の女の子たちが基地問題について考える余裕がないのだとしたら、沖縄以外の人たちも一緒になって、または彼女たちの代わりになって、声を上げて支えないといけないんじゃないか。 そんなことを思った。
2投稿日: 2023.12.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
東京に住んでいて、普天間基地問題について知ってはいたものの、ちゃんと耳を傾けてこなかった自分に後悔しながらも知ることができて、知ろうと思うことができてよかったと思う。 聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれない。まさにそれだ。 「海をあげる」この意味を最後の最後に知ることになる。たくさんの人に読んで考えていただきたい本です。
9投稿日: 2023.12.26
powered by ブクログこの国で、女性という形態で生きていくということはとても厳しくて、ただただ涙を流してフラワーデモの登壇者の話を聞いている、と書く著者。 裸足で逃げる、と間違えて買ってしまったようだが、これはこれで、すごい。最初の章で夫も友達に裏切られ別の友達に支えられ、自分が始めた悪い出来事ではないのに、自分への向き合い方がすごい。そこから芋づるのように日本という国でどのようにも生きづらい、こんなに酷いことな当たり前になってて我慢することを強いられている女性そして、さらにどうしても差別される、日本の人が差別してくる沖縄のことが、丁寧に丁寧にここまでというくらいに丁寧に言葉を選んで紡いでいく。 希望は微塵もないけど、上間さんがいること、上間さんを大切にする人がいてこの本を読む人がたくさんいることが微かな希望だろうか。
1投稿日: 2023.12.02
powered by ブクログ東京で暮らす私は、夜空を見上げることが好きだ。明るい街灯の中でも控えめに光る月や星はとても綺麗で、見たことのない銀河を想像し、幸せな気分になる。また、お昼にふと見上げた空に飛行機が飛んでると、元CAの母を持ち、旅行が大好きな私は思わず、パシャリと写真を撮る。 一方で、沖縄では様子が全く異なる。大きなプロペラの音を聞き、思わず空を見上げる。東京でたまに耳にするヘリコプターとは比べ物にならない。沖縄のこの音は、平日のお昼間に響きわたる。働き方改革が進んでいるのか、土日になると音を耳にすることがないように思う。 沖縄を人気な観光地だけでない、側面から沖縄を知ることができたのは、たった一つのきっかけによるものだ。そのきっかけに巡り会えたことに感謝している。だが、本の中で書かれていた、関心を持つだけの人がまさしく自分のことで、耳(目)が痛かった。なら東京で声を上げればいいじゃないか。まさしくその通りだ。私に何ができるかで悩むのではなく、何でやらないのかを考えるべきだ。 この本の表紙はとても素敵だ。その表紙がボロボロになるまで、家族,友人をはじめ、多くの人に渡したい。
1投稿日: 2023.11.24
powered by ブクログあとがきを読み、そうか書いた本人も苦しさを抱え、答えを探しながら言葉をつなぎ、文章にしたのかとわかった。 沖縄の美しいイメージしか語らない県外の人たちと、県内で育ち生きている人たちの隔たりが、強く感じられた。 海を渡された私はどうしたらいいか、考えても答えはでない、きっと。
2投稿日: 2023.11.24
powered by ブクログ※ 痛みに耐える人たちの声に耳を傾け、 苦悩の記憶に苛まれながら沖縄で生きる 人たちの姿を切々と綴ったノンフィクション。 決して見過ごしていけない生々しい事実が そこににありました。
6投稿日: 2023.11.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
やっぱり上間さんの文章は最高だった。 本土と沖縄の溝は深い。 沖縄の抗議運動に「行けば良かった」ではなくて、東京でやれば良かったと言って欲しかったところが 印象に残った。 最後のタイトル回収は泣きそうになった。娘ちゃんも可愛い。 青い海に赤い大量の土が投入されていることや、軍機の音、秋田は駄目で沖縄は良いこと許せんなー 多くの人に読んでほしい。
1投稿日: 2023.11.03
powered by ブクログ沖縄。性暴力。基地。すべてと向き合い、共に歩む筆者。 ☆この海を1人で抱える事はもうできない。だからあなたに、海を上げる。 ☆あたりに咲く花を両耳につけて、私の娘はくるくるくるくるそこで回る。時間に追われながら会場に向か私は端を持たない。あなたが私の花だと娘を見る。 ☆これからあなたの人生にはたくさんのことが起こります。その中のいくつかは、お母さんとお父さんがあなたを守り、それでもその中のいくつかは、あなた1人でしか乗り越えられません。だからその時に、自分の空腹を満たすもの、今日1日を語って。もう過ごしていける何者か、そういうもの自分の手で作ることができるようになって、手抜きでもごまかしでも何でもいいからそれを食べて、辛いことを乗り越えて行けたらいいと思っています。そしてもし、あなたが窮地に駆けつけておいしいご飯を作ってくれる友達ができたなら、あなたの人生は、多分、結構、どうにかなります。そしてもう一つ大事なことですが、そういう友達と一緒にいながら人を大事にするやり方覚えたら、あなたの窮地に駆けつけてくれる友達は、あなたが生きている限りどんどん増えます。本当です。あの子がそういうことわかる日が、どうかゆっくり来てほしいと私はそう思っている。澄んだ声で歌歌を歌うあの子の手足がぐんと伸びて、1人ですっかり立っていられるようになってから、その日が来るようにと願っている。
0投稿日: 2023.10.17
powered by ブクログまず装丁がキャンバスみたいで素敵だなと思った 少し文章が分かりづらい点があったが、どの話もそれぞれの問題についてため息をつきながら考えさせられる内容だった 著者の聞き取りから沖縄や若年出産、性加害の内情を知り深く学びたいと思った
1投稿日: 2023.10.12
powered by ブクログ沖縄についてあまりにも無知だった私は、沖縄に実際に住んでいる人の苦しみがまるで私の知らない世界の苦しみのように感じた。 苦しみは、当事者でないとその痛みは決しては分からない。背負うことも許されないような気持ちになる。 著者の上間さんは、自ら当事者に戻って、その苦しみを、他の人に分けながら、自分も他の人のものを受け取りながら、必死に生活している。 「海をあげる」私はその海とは遠いところに暮らしているが、つながる海に暮らしている彼らの苦しみは感じられないかもしれないが、彼らの言葉を聞いて、敬意の念を持って、僕のこの感情に向き合い、そして、彼らの海を受け取りたいと感じた。
0投稿日: 2023.10.12
powered by ブクログ私の故郷、沖縄の若年妊婦や貧困層の女性問題についての本ということに興味を持ちアマゾンで購入した本。タイトルの意味は、沖縄のきれいな海を見てねっていうことでキレイにまとめているのかと思っていたら、最後に筆者の想いがそれと全く違うことが分かり胸が締め付けられる。 海をあげる…私も沖縄の海をこの本を読んだ人にあげる、、、と思いました。
1投稿日: 2023.10.08
powered by ブクログ予備知識なしに読みました 分かりやすく共感できて涙が出る章もあるし、 勉強不足の私には「そうなの…?」となる章もある 本当かよと思ってしまう100%すぎる賛同や、逆にちゃんと読んだのか疑わしい冷笑するような感想を見て、なるほど作者はこれに苦しんでいるのかと納得
0投稿日: 2023.10.07
powered by ブクログノンフィクション大賞を取った本で、著者は沖縄の未成年の少女たちの調査に携わってる方、というくらいの前情報だけで読んだけど、めちゃくちゃくらいました。ものすごいものを読ませていただいた。 まず最初の離婚の話で引き込まれて、それから娘さんにぶっかけうどんの作り方を教えてあげた時に伝えたかったという言葉に大泣きした。 なんて力強い言葉なんだろう。 基地問題など沖縄が抱える様々な問題と、それに対する怒りも、著者の暮らしを通して書かれていて、自分の中での解像度が上がった。 当たり前だけど、すべてのことは人の暮らしと生活に密接していることを、忘れずにいたい。
6投稿日: 2023.10.07
powered by ブクログはじめの離婚に至るところは驚いた。 著者は研究者だから、これを書かなくてもいい。 でも、書いた。著者が沖縄で若年出産した女性の調査をしているのは、もちろんそこに理由や必要を感じているわけだけれど、自分の個人的な経験を学者としては書かなくてもいい。 しかし、これ(離婚だけでなく、妹の死、祖父母のこと、娘との日々)を書いたからこそ、その研究や行動が、学者としての地位を確かなものにする、世の中を良くしていくといったことよりも、もっと深く大きな、魂にかかわることなのだということがよくわかる。この研究がうまく行かなかったら別のテーマにしよう、というようなものではない。 沖縄の基地問題、低賃金はよく知られたことだが、沖縄の血縁地縁が強いから、低年齢で結婚や出産をしても、幸せを感じて暮らしている人も多いのではないかと思っていたが、(米軍基地があっても、というのもある)それは本土に住む人間の希望、エゴに過ぎないのだなとわかる。 今の日本で学校に行けず、行かず、低賃金で、基地の轟音やレイプの恐怖に怯えながら暮らすことが、幸せをもたらすはずはない。 沖縄は低賃金でも幸せをな人々が暮らす島という幻想を、それ以外の土地の日本人は持ちたがる。しかし、現実にそこに暮らす人々の日常をどこまで知っているのか? それを突きつけられた気がする。 著者の深い優しさにも、打たれた。
3投稿日: 2023.10.03
powered by ブクログはあ、すごいものを読んだ… 初めの章で娘さんへの愛情を感じ、胸が詰まった。 そしてインタビューがすごくお上手。 自然なように見えて、すごく計算されているような。 相手の思いを大切にしながら、でも聞くべきところはしっかりおさえてらっしゃる印象。 同じタイミングで暮しの手帖を読み、おにわの活動も知れて良かった。 上間さんの活動をもっと知りたいと思う。 沖縄の抱える問題もそうだし、自分の身近で起きている問題に対して、もっと自分ごと化しないといけないと思った。 仕方ないと諦めず、モヤモヤした気持ち、怒りの気持ちを他人を傷つけない形で表現できる人は強い。
1投稿日: 2023.10.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
前作『裸足で逃げる』がとてもよかったので読んだ。語りの集合。加害者は被害者でもあり、その被害を記すことへのためらいと折り合いのつかなさが胸にきた。わかりやすいストーリーに仕立てないということ……。海を受け取って、海を持って、生きていく。
1投稿日: 2023.09.27
powered by ブクログ自伝的ノンフィクションとでも言うのでしょうか。 自身の生い立ちと、それをルーツとした沖縄が抱 える基地問題を始めとした様々な社会問題が詳細 に綴られています。 例えば辺野古の土砂埋め立て問題について。 関東で言えば、富士五湖を埋め立てるよなものだ ろうか。それとも湘南海岸だろうか。 それを想像して欲しい、と著者は訴えかけます。 沖縄の現実に圧倒される一冊です。
0投稿日: 2023.09.18
powered by ブクログすぐに岸政彦さんや打越正幸さんを思い出した ただ文章の根底に常に著者の怒りを感じてしまい 苦手だ 社会運動というものが苦手、怒っている人が苦手だからだろうか 何を読まされているのかと思ってしまう
1投稿日: 2023.08.16
powered by ブクログ離婚して,東京から沖縄へ,再婚して風花ちゃんが生まれてなど個人的なことと,聞き取り調査した10代で母親になった風俗業界の女性たち,沖縄の基地に絡んでの米兵の強姦殺人の多さ,騒音,辺野古移転問題などを取り上げていて,無責任な日本人として恥ずかしく思わされた. 「私の絶望とたくしたそういう意味での『海をあげる』」という言葉が心にずんと響いてきた.
0投稿日: 2023.08.10
powered by ブクログとても静かに深く染み入る、海を頂いたような作品だった。当事者にはなれないし、中途半端に共感もできない。ましてや感想なんて軽々しく語れない。でも、出会えてよかった3.6
0投稿日: 2023.08.09
powered by ブクログ沖縄現地の人がどのように日々を見ているのか、少しだけ理解することが出来たのかな、と思います。海が綺麗、ご飯が美味しい、人が優しい、そういう部分だけで沖縄を観光するのではなくもっと根の部分、背けたくなるような現実を知り、その上で足を運ぶことで深く受け止めることができるのではないかと。
0投稿日: 2023.07.29
powered by ブクログ本土復帰後も沖縄にある広大な基地問題から派生するさまざまな事件、事故に振り回される沖縄の人たち。連綿と続く貧困。 タイトルの意味を最後に知った。 軍機の音が聞こえない静かな部屋で読み終えて、はっとした最後のページ。この本から受け取った「海」を、沖縄のことではなく、この国のこととして考え続けなくては。
1投稿日: 2023.07.24
powered by ブクログ美しい文章で綴られる日常(とその延長)の内側には、祈り、怒り、諦念(と簡単に称してしまうのも大変おこがましいですが)、膨大な量の想いが込められて、その想いを取りこぼさないよう、一文一文噛み締めながら、託されながら、読みました。『裸足で逃げる』も読もう。
0投稿日: 2023.07.23
powered by ブクログ作者の日常と沖縄が抱える諸問題が交互に書かれている。 沖縄の若い子達、特に女性を取り巻く環境や境遇には、正直読んでいて辛くなってしまった。なんとなくは知っていたことだけど、実際に当事者へのインタビューという形で聞くと、感情移入してしまい自分だったらどうするんだろう、と考え込んでしまった。 作者と作者の娘とのやりとりは、ほっこりしたり、時々考えさせられることが多かった。 今まで沖縄には旅行で何回かいったことはあるけれど、沖縄が抱える問題についてはニュースで聞くくらいだった。なので、今回この本を読んで、沖縄に住んでいる人たちの声を聞くことができてよかった。
0投稿日: 2023.07.09
powered by ブクログ色々考えさせられる作品でした。 子供に伝えたい事、伝え方、取材を通して噛み締めて考える事等が丁寧に綴られていて、愛を感じて涙が出ました。
0投稿日: 2023.07.02
powered by ブクログ性被害、風俗、貧困、基地など沖縄の抱える社会問題を描く本。個人的には、どれか一つに絞ってもっと深く掘り下げてほしかったかな、、、 それにしても基地の側に住むということは、隣の人が話してる声も聞こえないくらいの爆音が鳴り響くということなのか、、、私にはとても耐えれそうにない。 観光客は沖縄の良い部分しか見えないけれど、裏にあるダークな沖縄の闇を垣間見る本だった。
1投稿日: 2023.06.25
powered by ブクログ最後の一文にぐっと「この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに海をあげる。」読了後にノンフィクションと知り著者の沖縄を想う気持ちに絶望感。風俗、性暴力、辺野古埋立のパワーワードに明るく暖かさの表面以上に陰を感じる。何かできることないかなー
5投稿日: 2023.06.14
powered by ブクログスラスラ読み、ボロボロ泣いた。同じ日本でも、知らないことがたくさんあると思うと、もっと知る努力をしなければとも思った。 あと、女の友情がとても素敵だった。
5投稿日: 2023.05.31
powered by ブクログわたしの知っている沖縄は、わたしが知っているつもりになっていた沖縄だった。 上間さんの日常と、上間さんの暮らす土地が直面している現実と、上間さんが耳を傾け寄り添う女の子たちと、青い海。 届かないことが書いてある本だ。間に合わないかもしれないことが書いてある。それでも手を伸ばすことを、掴んで離さないことを決意したひとが綴る文章だ。 海をあげる、という言葉にこめられた切実な思いに涙がでた。 静かな部屋でこの本を読んでいた、海をもらったわたしに、できることはなんだろう、と思って、涙がでた。
2投稿日: 2023.05.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
わたしは何も知らないし表面しか見ていないんだと思った。これを読んで何か自分で動こうとしなければ読んだ意味がないんじゃないか、と思うほど凄まじかった。はじめからドキっとさせられるような内容でそんな壮絶な人生って…と思ったけど上間さんがひとまず誰かと一緒に暮らしていけるようになって大事な大切な娘との暮らしがあって、よかった。沖縄の少年少女や基地や海の話は重くて厚くて深くて息が詰まりそうだった。 自分の無関心さに自分の喉が締め付けられていくようで情けなかった。 綺麗な海がなくなることをなんとも思わない人間がいて、小さな声がかき消されて、美しい自然が失われていって、それを知らない人間がいて、それで、この本を読んでわたしに一体何ができるんだろうかとも思った。 上間さんから預かった絶望の海をどうしたらいいんだろうか。
1投稿日: 2023.05.09
powered by ブクログ窮地に駆けつけて美味しいごはんをつくってくれる友だち。死んだらみんな海に行く。私はどこに逃げたらいいかわからない。使えるものをすべて使って、ひとりで生きる男の子。辺野古県民投票のハンガーストライキ。この本を読んでくださる方に、私は私の絶望を託しました。 くったくなく日々を送る幼児期の娘の日々、読む側の救いにもなっています。
0投稿日: 2023.05.04
powered by ブクログいつか人間は死ぬ。 どんなに嫌いな人でも、大好きな人でも。 子どもを育てている中で過ぎ去ってしまう時間、本当にあっという間なんだろう。子どものもつ、まっすぐさ、忘れてはいけない、色々なこと。 沖縄のこと全然知らない、観光で行くことしか知らない、基地のこと、何も知らない。 戦争のことも。 2018年から始まった辺野古も、100年これからかかるらしい、、、 何故やめられないの?なにができるのかな。
2投稿日: 2023.04.04
powered by ブクログ沖縄の、問題。風俗の問題。目も当てなくないような悲惨な現実がここそこにある。恵まれた上流社会のやつらにはわからない。 沖縄の基地問題は本土の人間が押し付けていることすら気づいていない。沖縄の人たちだけが我慢してる。沖縄すき、安室ちゃんかわいいじゃない。もっと悲惨な現実も潜んでいる、知らなくてはならない、知らなくては。水が汚染されていたこと、知らなかった。経済的に貧しいこと。 ホストが若い女性を食い物にしてること、それにたかるおじさんもいること。おじさんが稼いだお金が風俗嬢を通じてホストに行くんかい。なんやそれ。特に10代のころなんて判断つかない事が多すぎるから、適切なアドバイスがないと後悔するし、悪い大人もたくさんいるんやろうな。こわいこわいわ。
2投稿日: 2023.03.29
powered by ブクログ「普天間の飛行機は辺野古に離着陸ができない。地盤の柔らさを補強する方法はない」基地建設反対の理由を他の地域の人々がどれだけ理解できているだろうか。メディアは正しく報道しているだろうか。…沖縄で暮らす日々と取材記録。本屋大賞始めいくつかの賞を受賞。高い評価を得ている作品。…批判的なレビューにも目を通す。「各章の話が唐突」「構成・軸がはっきりしない」「問題の考え方を読者へ丸投げしてる」「タイトルの参考にしている作品の作者名を明示せず、感謝の言葉もない」残念だが肯いてしまう。予備知識なしでのお勧めはしない。
1投稿日: 2023.03.25
powered by ブクログ沖縄で起こっていること。米兵の女性レイプや辺野古基地の埋め立て、県民投票を勝手に禁止させた市長たち。自分たちでできることをやっていく、その一歩ずつの大切さ。踏み出さないと始まらない。
4投稿日: 2023.03.23
powered by ブクログ著者が日々向き合っている 自分、家族、虐げられる女性たち、沖縄について綴るエッセイ。 特に沖縄については、話として知っていた内容が現実の問題として感じられる。
2投稿日: 2023.03.21
powered by ブクログここに書いてあることはすべて事実なんだ。ポカーン。 被害の当事者の人々に対して、可哀想だとか辛いだとか、自分の感情をおとしこむのは、とても傲慢だ。“どうにかできなかったのか”と過去への後悔で終わらせてはいけないし、なるようにしかならなかった、この社会の不条理さに対して、憤りを叫ぶことしかできないやるせなさ。 事実と感情は分離すべきなんだけど、読んでいるだけで腹の底に煮えたぎるような憎悪が湧き出てきて、負の感情がむしばみ、骨にまで染み渡ってくるような感じがする、自分しか経験できない絶望を感じるとおもいます、
2投稿日: 2023.03.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ずっしりとした重さを感じる小説ではないのだけれど、取り上げられている社会課題はどれも重くて暗かった。 普天間基地の移転(海の埋め立て)、風俗で働かなければ生活していけない女性たち(生活をしていくために風俗を仕事として選択する女性たち)、家庭内暴力・性暴力の被害者、相手に寄り添えない施設の職員たち。 カテゴリーに括ってしまうと見えなくなる、一人ひとりが抱える闇をシェアしてもらった ー 無知ではいたくないこと ー 日々平和な暮らしをする中で、違う思いを抱えて生活している人もいることを認識させてもらった。 「海をあげる」 なんて強烈なタイトルなんだと、あとがきを読んで思った。
2投稿日: 2023.03.08
powered by ブクログ半分も読まないうちに涙がでる。一度には読めない。怒りや無力感や悲しみやらが自分に流れ込んでくる。私は確かに静かな部屋で読んでいる。沖縄はどこか異国の地と、日本中が思っているのかもしれない。戦争が今だに続いている。理不尽なことが当然のことのように起こる。基地はいらない。
1投稿日: 2023.03.05
powered by ブクログ少し前から気になっていた一冊。著者が沖縄の若い女性を支援し活動していることは知っていたので、その調査内容をまとめたものなのだろうなとぼんやり思っていたけれど、本を読んでここまで怒りや絶望や申し訳なさを感じたのは初めてだった。 沖縄という場所、そこに住む人たちに日々押し付けているのを忘れて何もなく生きていることに気付きもしない私はこの著者の怒りや絶望をただ読むということでしか受け止められない。
2投稿日: 2023.03.01
powered by ブクログ「海をあげる」非常に重たい言葉になっている。 いつまでも他人事とするなという著者の警告である。 「LIVE EARTH JAPAN」で、Coccoが「ジュゴンの見える丘」で残したコメントからはや15年、いまだに日本は変わったといえないのが残念だ。
4投稿日: 2023.02.26
powered by ブクログ著者は普天間に住み、若年出産女性の調査、辺野古基地建設阻止運動などで活動している琉球大教育学研究科教授です。風俗産業で生きるしかない未成年少女達への支援・調査で彼女らにむけられている眼差しはとても暖かく、関わっても好転しない現実に対するもどかしさが伝わってきます。 その一方で、「ヘイトに加担するAホテルに泊まることはないな」とわざわざ書いたり、3歳娘の迷子から誘拐、不審者の話となって早期の性教育をはじめてみたり、子供をフラワーデモに連れて行ったり、基地の話(政治的な話)になると途端にでてくる押し付けがましい態度といった活動家によくみられる行為が苦手でした。 基地の周りに住む人は抗議せずに沈黙する。筆者は「沈黙させられているひとの話を聞かなくてはならない」といいますが、果たして沈黙させられているのか。関わらないでほしい(とりあえず落ち着いているからかき回さないで欲しい)という思いはないのか。それに対してどのように応えるのでしょうか。
2投稿日: 2023.02.18
powered by ブクログ沖縄の人々が置かれている状況と、本島に住む私たちの沖縄に対するイメージには大きな隔たりがあって、私たちは決して安易な言葉で沖縄を語ってはいけないと思った。私たちの平穏な暮らしは多くの人々の涙と苦しみの上に成り立っているということ、どこか他人事として捉えていて今まで向き合おうとしてこなかったこと、色々な思いにさせられた。自分に一体何ができるんだろう。
0投稿日: 2023.02.13
powered by ブクログ沖縄の海に土砂を入れらる事を、憂いてはいても、どれだけ他人事として捉えていたんだろうと、自分が恥ずかしくなった。 何も、わかっていない。 何も、考えていないと改めてわかった。 どれだけの犠牲を払ってもらって私たちはぬくぬくと過ごしてしまっているだろう。 『知らない』ことは最大の罪。 もっと勉強し、どうしていけばいいのか考えなければと強く思った。
5投稿日: 2023.01.27
powered by ブクログ教育社会学者の上間陽子さん、沖縄普天間基地近くに住みながら未成年の少女たちの支援調査にあたっている。 沖縄戦、その後、今も続く基地の問題は水を汚染し、海の生態系を破壊し、女性の安全を脅かす。 娘の風花との生活を描いている言葉が優しく美しくて、祈りに満ちている。読んいでると泣けてくる。 子どもはこんな風に愛されて見守られて育つのだ。だからなおのこと、上間陽子さんが支援調査聴している少女たちの成育環境の過酷さに胸が痛くなる。 これは、全ての少女たちよ、どうか幸せに健やかに育って欲しいという祈りの書だ。 ラストの言葉『静かな部屋でこれを読んでいるあなたにあげる。この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに海をあげる。』泣きながら読んでいた私。泣いていていいのか!と改めて姿勢を正された思いだ。
14投稿日: 2023.01.23
powered by ブクログそこに書かれているのは、幼い娘のこと沖縄のこと女性たちのこと。 社会の違和感に目を向け、人の弱さに寄り添い強さを見守る。泣いて怒り悲しんで笑う。 単に考えさせられたとか、感動したなんて言ってはいけないと思わされた。託されたのは絶望なのだから。
2投稿日: 2023.01.23
powered by ブクログ沖縄の海を想像して何度か涙が出た。 「自分のセクシャルな価値をよく分かり、それを使ってその場の空気を統制しようとする」という言葉が胸に残った。これは当たり前のようにしていることで目の前にあることだったから。
4投稿日: 2023.01.09
