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サファイア
サファイア
湊かなえ/角川春樹事務所
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総合評価

204件)
3.8
29
103
50
6
0
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    ぞくっとするものから感動するものまでさまざまだが、結末は読者に委ねる形となっているものが多く考えさせられる内容となっている。 短編集は内容が浅いことが多く苦手だが、短時間で読者に要点を掴ませるまでが筆者の技量にかかっているなと改めて感じた。 突拍子もなく脈絡もなく状況説明が始まることもあるが、周りくどい説明調でないにも関わらず、掴みが良くすんなり落とし込めるものが多かった。流石は湊かなえだと驚嘆に値する。

    1
    投稿日: 2025.11.06
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    久しぶりの湊かなえ作品。短編集。 この人の作品は、普通の台詞回しのように見えてどこかしらに闇が隠れてるような表現がとにかく上手い。珍しくファンタジー的な話もあり、最後のサファイアとガーネットは驚きと感動が混ざりあって感想が難しい。

    18
    投稿日: 2025.10.29
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    怖いけれど面白かった。出来事の解釈は自分で決めていい。先月、訪問販売ですぐ契約してしまった。翌日クーリングオフしたが、商品そのものよりも営業の人に同情してしまったのだと思う。金銭的な被害はなかったけれど、個人情報を与えてしまった事を悔んでいる。疲れてメンタルが落ちている時は逃げるのも難しく、相手の言いなりになってしまう。こんな風に事件は起こっているのかなぁとぼんやり思った。おかげで今後、怪しい人からは全力で逃げられそうだ。

    1
    投稿日: 2025.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編で読みやすかったし、それぞれの終わり方が「そういうこと⁉︎」ってなって面白かった。 最初のルビーが進んでくうちに登場人物2人の関係性が分かってきて1番面白かった。 本の名前にもなってるサファイアと続きのマリーゴールドは他と違って、ハッピーエンド?みたいな終わり方で好き。

    1
    投稿日: 2025.09.29
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    真珠 ルビー ダイヤモンド 猫目石 ムーンストーン サファイア ガーネット

    0
    投稿日: 2025.08.26
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    ゾクゾクっとするのから、なんかジーンとするものまで短編で、いろんな要素がありあっという間に読み終わりました。サファイアとガーネットがよかった。

    0
    投稿日: 2025.08.21
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    「イヤミス」だけじゃなく様々な魅力が詰まった短編集。解説も必読! 本の紹介 綺麗な宝石に秘められた 深い謎と人々の切なる想い。 人間の内なる闇と祈りを描き切る、珠玉の物語。 あなたの「恩」は、一度も忘れたことがなかっ たーー 「二十歳の誕生日プレゼントには、指輪が欲し いな」わたしは恋人に 人生初のおねだりをした・・・・・・(「サファイア」より)。 林田万砂子(五十歳・主婦)は子ども用歯磨き粉の「ムーンラビットイチゴ味」がいかに素晴らしいかを、わたしに得々と話し始 めたが・・・・・・(「真珠」より)。 人間の摩詞不思議で切ない出逢いと別れを、己 の罪悪と愛と夢を描いた傑作短篇集。 (装画・清川あさみ 解説・児玉憲宗)

    16
    投稿日: 2025.07.19
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    ムーンストーン、サファイア、ガーネットが特にとても良かった。短編を感じさせない満足度、読書の気分じゃなくても気づいたら周りの音が聞こえなくなるくらい集中して読んでた。 相変わらず文章力が神がかってる

    1
    投稿日: 2025.07.14
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    久しぶりの湊かなえさんでしたが…やっっっぱり大好きーーー!と思えました。するする読めてテンポがいいのに、独特の雰囲気をずっと感じられて大満足。さらに短編集なので異なる環境のお話をたくさん読めて超お得。 各話に必ず「えっ?!」って驚かされるポイントが用意されてて、そのどれもが予想を超えるので「くるか…?くるか…?!」とハラハラドキドキしっぱなし。この感覚が本当に大好き。 不穏な仕掛けもあれば優しい仕掛けもあって、そのバランスが最高でした。 特に「ダイヤモンド」が最初っからずっと不穏で1番好きでした。他の話と比べて展開を予想しやすい話かと思ったら、斜め上の結末で湊さんさすかだーーー!モノローグとそれ以外の要素で表現される現実とのギャップの怖さがたまらない。 実は再読で「何年か前に読んだこと」と印象的な単語(ムーンラビットとか)はうっすら覚えてたけど、それ以外は綺麗にサクッと忘れていたようで初読として楽しめました。また何年後かに読んだら違った読み方ができるのかな?

    1
    投稿日: 2025.07.12
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    さすがのイヤミスの女王と感心させられる短編集で、考え落ちの余韻を残しつつ、そのイヤミスらしさが高まった後、鮮やかな幕引きで、爽やかで優しい気持ちになれました。‘’普段見ている世界の、もう少し向こうの世界を見せてくれる‘’作品でした。

    0
    投稿日: 2025.07.05
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    良短編集。読みやすい。 一人称でこんなにころころ小説書けるのすごい。 ミステリーチックで読み進めるたびに明らかになっていくの、とても楽しいね。 でもバカだから何十回も読み返しちゃう。

    0
    投稿日: 2025.06.09
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    最初はなんだか何がホントかウソか、ファンタジー小説だと思って読んでたけど、後半になるにつれてやりきれない気持ちになった。短編集に慣れてないから、サファイアを読んだ時はここでほんとに終わるの?っめ気持ちにたまらなくさせる

    0
    投稿日: 2025.06.08
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    【真珠】 いつまでも子ども用歯磨き粉に執着する哀れな女の話。また、物語が男性の一人称で語られているのに、主人公は女性の方なのがユニークで不思議な読書でした! 【ルビー】 読み進めるに従って、物語のピースが揃っていき、やがてカチッとハマる。 その大どんでん返しが面白かった! 【ダイヤモンド】 湊かなえにしては珍しいファンタジー小説で、女性に翻弄される哀れな男が描かれている。読みながら、この物語に出てくる人はみんなバカだと思った。それゆえ、すごく面白かった! 【猫目石】 一見すると仲の良い家族なのですが、それぞれに秘密を抱えており、それが近所の坂口さんを経て暴露されていくお話。 ご近所さんって怖い 【ムーンストーン】 読みながら、過去高校時代にイジメられていたことを思い出した。クラスから浮いて、陰口叩かれて…読むのがつらかった…私には小百合の様な救世主はいなかったから。あんな友達がいたらなぁとしんみり思った。 【サファイア】 人にねだることをしなかった女性が、初めてねだれる相手と出会った話。 途中までは素敵な純愛物語で、読みながらキュンキュンしていたのに、急に崖から突き落とされる。 さすが、湊かなえ。 幸福なままでは終わらない。 【ガーネット】 サファイアの続きが描かれており、イヤミスのその先にある光を感じた。 面白かった!

    0
    投稿日: 2025.05.21
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    何かを欲して手にする代わりに命を落とすという話がいくつかあり、イヤミスでもあるし死人も出ているのでなかなかの展開ではあるのだが、いまいち刺激が弱かった。 鶴の恩返しならぬ雀の恩返しという話のダイヤモンドは、終わり方がショートショートのようで好き。

    26
    投稿日: 2025.05.16
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    読後感はあまりよくないものが多かったけれど『サファイア』からの『ガーネット』は良かった。『ムーンストーン』も希望がもててよかった。他はちょっとザラっとした感じが残るけれど短編のバランスとしては楽しめたかな。どういうこと?っと読み返す自分はまだまだ著者の作品に慣れていないからだろうか…

    1
    投稿日: 2025.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    サファイア 湊かなえ ∞----------------------∞ なんと、短編集でした。どれも不思議で面白い。「真珠」の時々空想にふける聞き手がツボ。「ムーンストーン」が1番好きだったかな。2話読んだ感じすらした。同級生が授業中に先生に言った言葉がスカッとした。「サファイア」はイヤミスっぽく終わるけど、「ガーネット」で良い感じに終わってる。「ガーネット」の出だしで、湊かなえさんでエゴサーチしたらこんなん出てくるのかしらと不意に思った。 -真珠- 「ムーンラビットいちご味」の歯磨き粉を愛してやまない、たぬき顔のおばさん。 -ルビー- 家の隣に建てられた老人施設から手を振るおいちゃん。その正体は... -ダイヤモンド- 婚活パーティーで出会った婚約者。そして雀の恩返し -猫目石- 猫を探したお礼?家族の秘密を知っている隣人 -ムーンストーン- 夫を殺してしまった。そんな時に助けてくれたのは弁護士になった同級生 -サファイア- 誕生日の前日に事故で亡くなった彼。鞄に入ってたプレゼントの指輪は、彼が悪質なアルバイトをして買ったもの -ガーネット- 続き。作家になり被害者と出会うが、彼女たちはそれを力に変えていた 2025/02/13 読了

    5
    投稿日: 2025.02.13
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    短編集は読み応えがなくて、あまり好きでは無いのですが、今回のサファイアは面白かったです。 湊かなえさんの作品は読んでいる段階で誰をさしているのか見失う事がよくあるのですが、今回も見事に見失いました。 あと中年のおばさんに厳しい所が好きです。  結婚詐欺の話があるのですが、騙されている男性のスズメ女に対する言葉使いと婚約者に対する言葉遣いの落差がかなり好きです。

    1
    投稿日: 2024.06.28
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    久々の湊かなえ作品。 どうもイヤミスと呼ばれる分野が好きではなくて、一時期はまって読んでいた湊かなえ作品を遠ざけていた。 短編集。 読み終わって最初に思ったのが、そりゃタイトル「サファイア」になるよね、ということ。一番印象深く感じたのがサファイアだった。続編にあたるガーネットと併せて好きな作品だ。 7つの宝石にまつわる物語。 イヤミスというよりは不思議な物語、奇妙な物語etc…様々な物語が描かれる。 どれも面白かった。

    2
    投稿日: 2024.06.03
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    久しぶりの湊かなえ作品。 あーこれこれ‼︎めっちゃ面白い。 宝石にちなんだお話の短編集なのだけれど、バリエーションの豊富さに改めて尊敬です。

    11
    投稿日: 2024.03.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久しぶりに湊さんの作品を読みました(7カ月ぶり)。 これがまた、するすると読める、非常に読み口の良い短編集。楽しいのでサクっと一日で読了でありました。 この人もやっぱり、すごいストーリーテラーですよ。 ・・・ イヤミスだ何だ言いますが、兎に角面白い。話の構成やツイスト、はたまた連作となっていたり、話の筋も豊富で、そのどれもがすごい。 その中でデフォルト設定となっているのが、「女性」でしょうか。湊さんの作品では母と子の関係を軸に話が展開することが多いのですが、本作は宝石の名前に模して、その名にふさわしい女性とストーリーが展開されるものです。 以下、タイトルと共に概要もお知らせします。 真珠・・・自称「昔は結構モテた」というおばさんの独白。それを聞く男性。次第に全貌が浮かび上がるおばさんの狂気。果たしてこのおばさんと聞き手の男性との関係とは。 ルビー・・・特殊な老人ホームに滞在する「おいちゃん」とその裏の畑で作物を育てる家族とのほっこりする物語。老人ホームの性格や「おいちゃん」の正体やいかに。都心から実家に戻った長女が気づくその実態とは。歴史テイストあふれる物語。 ダイヤモンド・・・とある初老の男性がプロポーズに送るダイヤモンド。当の男性、道端でうずくまる雀を助けたことから、「雀の恩返し」を受けることに。「恩返し」が暴く「ダイヤモンド」の醜さとは。幻想系。 猫目石・・・3人家族の家庭に迷い込む隣家の猫。これをきっかけに隣家の奥さんはこの家族への干渉を始める。3人家族は崩壊するのか? ツイストが効いたホラー系。 ムーンストーン・・・議員の夫を殺め留置される女性。彼女の回想をベース物語は展開。そして別の筋ではとあるいじめられっ子の話。二つの筋が交わる結末には一抹の希望が。 サファイア・・・引っ込み思案の女性が出会った初めての彼氏。ものを欲しがらないように自制していた彼女が初めて出会った彼氏に言った欲しいもの。そのために彼氏はこの世を去ることになる。悲恋系。 ガーネット・・・サファイアからの連作。彼氏亡き後、その真相を小説として発表した元彼女。その過程で見えてきた彼のアクションや心根、そして彼女の怨恨や悲しみのほぐれが描かれる。 ・・・ ということで、実にキレイに読める作品でした。 上からものを言うようであれですが、完成度の高い、美しい読み口のよい作品群であったと思います。言い方を変えれば「クセが足りない」と言えなくもありませんが。 でも、万人が楽しめる、そして多種多様な作品を収録している楽しい作品であったと思います。

    1
    投稿日: 2024.02.23
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    湊かなえさん作品の中でも「イヤミス」感が少なめだと思うので、初心者さんにも読みやすいのでは…! でもその中でも彼女の魅力とも言える「人間の闇/醜さ」みたいなところはやはりしっかり描かれていて、人間とはどういう生き物なのか考えさせられるなと思います。

    0
    投稿日: 2023.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ごめんなさい…実は「湊かなえ作品」=「後味が悪い」そういう印象があります。 でもそう思いながらも買ってしまうのは結局は面白いからだと3冊目ぐらいからは諦めて買ってしまう…(笑) だからいつもおっかなびっくり読むのです。 今回はいい意味で期待はずれ。後味が悪いなんてとんでもない!いろんな湊作品に会えました。 私が1番好きなのは「ムーンストーン」。 小百合が英語教師に「気を取り直して、って言う言い方はおかしいと思います。」で始まるセリフ。これはよかった!!なんとも溜飲が下がる! ありがと~う!下がりすぎたよーーー!!(笑) 気持ちよくて何度も読み返してしまった。なんだか私の日常のモヤモヤも一緒に吹き飛んだ気がします! (2023/10/8、他の読書管理サイトからお引越し。レビューは読了当時の記録。)

    0
    投稿日: 2023.10.08
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    久々に読んだ湊かなえさんは湊かなえさんでした。 明るく軽い本を読んでいたわたしにとって、はじめ重くて暗い質量にグッときました。 ただ、不思議なことに、最後は泣いていました。 解説の児玉憲宗さんのお話がこの文庫本のバランスを見事にとってくれていました。

    0
    投稿日: 2023.09.27
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    不穏な空気がずっと流れていたのに意外と最後に救いがある話が多くてびっくりした。なんでこんなにずっと不穏な感じを出せるのか。

    0
    投稿日: 2023.09.01
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    それぞれ宝石の表題がついた短編が7つ。 最後の「サファイア」から「ガーネット」のみ続きもののようになっていて、「サファイア」のみ読んだ時には悲しく切ない読後感だったのが、ガーネットまで読むことで少し昇華できるようになっていて良かった。

    10
    投稿日: 2023.08.21
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    湊かなえ作品は、やきりれない感情と終着点のない後悔の印象が大きかったけどイヤミスじゃない物語も素敵。彼女を通して見える世界の話、とても好き。ダイヤモンドは東野圭吾っぽいなと思った(男性一人称だからかも)

    0
    投稿日: 2023.08.15
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    湊かなえさんの短編集 真珠 ルビー ダイヤモンド 猫目石 ムーンストーン サファイア ガーネット イヤミスの女王などと評される湊かなえさんだが、本作ではその範疇に留まらず、予想外(といっては失礼だが)に希望すら感じる物語や、人間の愚かさや醜さ、或いは愉しさ等、実に沢山の引出しを持っておられる作家さんだと敬服した。 7つの物語、一つ一つの短編が実に個性豊かで味わい深く、読後に解釈を共有したくなる様な面白さを秘めていた。 特に私が印象に残ったのが、以下2作品 まるで雀の恩返しのような「ダイヤモンド」と2人の女性の過去と現在が交差する「ムーンストーン」 小説のタイトルである「サファイア」は続編ともいえる「ガーネット」により完結するが、その作風もさることながら結末の救いに驚かされた。 短編らしからぬ趣を待った個性豊かな7つの物語で、改めて湊かなえさんの魅力に気付かされた。 読後感の穏やかで心温まる作品もいいが、この独特な刺激と余韻が癖になりそうな作家さんだなぁとしみじみ感じた。

    6
    投稿日: 2023.08.03
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    10年越しの再読(たぶん)。 展開も程よく忘れていて、新鮮な気持ちで読むことができた。 執着、嫉妬、欲望、憧れ、秘密、悔恨 人間の複雑な感情が宝石に混ざるように散りばめられている物語は、10年前の自分には今ほど滲みなかったのではないかと思う。 多分「後味の悪い話だな」「他人の闇が垣間見えるのは面白いな」程度の感想だったような気がする。 登場人物たちほどではないにしても、プラス10年間の人生経験で肉付けされた感情の幅を持って、この作品にあたると当時は気づけなかったところまで共感が落ちていく感覚を味わえた。 色んな意味で自分とはかけ離れている人々の語りなのに、作品の向こう側の世界をぼんやり見ているだけでは済まされないこの感じ。 侵食性・侵襲性のあるイヤミスは、突き刺さって抜けない感じがする。 この本をもう一度読むために、また10年頑張って生きられそうだと思った。

    0
    投稿日: 2023.07.20
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    湊かなえさんの短編集。 嫌な話もほんわかする話もハラハラする話もありますが、どれも面白かったです。 個人的には「猫目石」と「サファイア」が好きでした。

    6
    投稿日: 2023.07.20
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    短編だけど様々な要素が入った濃密な作品といった印象。後味の悪いものも多いがそれも含めて満足です。 特にサファイアとガーネット。連作短編である2編であるが、サファイアの方は後味が悪いが、それを塗り替えてくれるガーネットと併せて読むととても救われた気分になる。それぞれが区切られた端へとなっているところもお気に入り。 ムーンストーンについては1短編の中に前半と後半を配置して、薄々展開がわかりつつも最後まで興味深く読ませていただいた。 しばらく読んでいなかったが、作者の他の作品を探してみたくなった。

    8
    投稿日: 2023.04.01
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    それぞれの宝石が大きな意味を持つ、湊かなえさんの短編集。登場人物の心情にどんどん移入していき、読むのが止まらなかった。真相が掴めず、他の方の解釈を読んでようやく伏線に気づくのも一つの楽しみでした。

    2
    投稿日: 2023.02.03
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    湊かなえの短編集は初めて読んだ。 だが相変わらずスラスラと読め、「らしい」後味の悪さも感じつつとても面白かった。

    2
    投稿日: 2023.01.31
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    イヤミスではないよと勧められた本。宝石にちなんだ、ちょっと不思議だったり、怖かったりする小ミステリー集だった。

    4
    投稿日: 2023.01.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    湊かなえ作品はたくさん読んできたが、今回初めて短編集を読んだ。 結論から言うと、とても面白く物語の世界に没入できた。宝石の名前が題名のそれにちなんだ作品がいくつかあったのだが、どれも面白かった。 個人的に強く印象に残った話は、「ムーンストーン」の語り手の交錯と、地続きになっていた「ガーネット」だ。 ニアミスとよく言われるが、上記の二つの話は、後味がよく、希望が感じられる閉じられ方をしていたと思う。 個人的に、スズメの恩返しのような話の主人公のおじさんは、スズメを救った以降の出来事は妄想でしかなく、ただのストーカーであったとみている。 湊かなえ作品は、女性の心情や狡猾さなどをリアルに描き出してくれるので読んでいてとても勉強になるのと同時に、大変興味深くいつも面白い。

    0
    投稿日: 2023.01.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    湊かなえさん4作品目読み終わりました。短編集は少し苦手で普段からあまり読みませんが、久々に読んでみました。 特に好きだったのは、「猫目石」、「サファイア」そして「サファイア」の続きになっていた、「ガーネット」です。それ以外の話は私個人の感想ではよく分からなかったと言う感想でした。 「猫目石」の印象に残った要因としては、当たり前に幸せそうな普通の3人家族が題材となっていたのだが、隣人とそのペットのネコとの出会いにより、ウラが明かされていくという、その感覚がなんとも形容詞がたく癖になりました。ラストも同じような感覚でゾクッとするラストであったと思います。 1番好きな作品は、「サファイア」と「ガーネット」です。この2つは、短編でありながら、その中に長編のような物語性が詰まっており、とても気に入りました。他人にねだるという行為が得意ではなかった主人公が、20歳の誕生日に恋人に初めて「指輪」をねだったことから展開される2つの「指輪」にまつわる話でした。恋人を殺したかもしれない人物を恨みながらも、恋人が売った指輪で誰かに何かいい影響を与えていて欲しいと心の奥では願わずに居られなかった主人公へ送られたある手紙が、私には主人公の心が復讐から解放されたよう感じ、夢の中でちゃんと恋人とお別れできたことが何より嬉しいと感じました。 総合的には星2くらいですが、最後の2作が大変読み応えがあり、また忘れた頃に読みたいと思ったので、星3にしました。

    7
    投稿日: 2022.12.07
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    いやミスじゃなかった。連作短編で、導入と後半まで短編なのに見事に展開して収束する。すごいなー。2作目はイマイチ

    2
    投稿日: 2022.11.12
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    最後の「ガーネット」は冒頭からもしや…??と作者自信がモデルなのか?と勘ぐってしまい妙にハラハラしました(何故…) 湊かなえさんの小説いくつか読んでますが、いつもなんだか薄暗い雰囲気のなかにハラハラさせられるような気がします。結末がハッピーエンドでもバットエンドでもはたまたスッキリしないもやもやエンドでも。

    4
    投稿日: 2022.10.08
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    面白かった。真珠では、最初2人が留置所で話してるなんて思わなかった。ルビーでは最後、姉妹がブローチが1億円する事に気づいていてこの先どうするんだろう?と。気づかないフリをするのか狙うのか。ムーンストーンでは2人の友情にこれからの裁判に勝利してほしいと。

    2
    投稿日: 2022.10.05
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    【真珠】 外套膜が体内に偶然入り込むことで、天然真珠が生成される。この女、偶然なのだろうが...。そう思う心が既に蝕まれている。 【ルビー】 過去と現在がリンクしている物語。 内容はいまいちかな。ワクワクはしたけれど、ハラハラが全くない。途中から全てが予想されてしまう。 【ダイヤモンド】 ファンタジーもの。 展開は予想できていたが、底意地の悪さよりも、健気な恩返しとラストに、何だか心がうずく。 【猫目石】 1人の介入で、家族それぞれの秘密がそれぞれの視点で描かれている。 しかし、なんだな、自分以外の秘密を覗き見るのはわくわくするな。 そんな汚い感情が、わくわくを倍増させる。 【ムーンストーン】 行いはやがて自分に返ってくる。 自分には大した事じゃないかもしれないけれど、当人にとっては、人生の1番大切な核になり得る事もあるのだ。 自分だけの揺るがない価値観の物差しで行動していきたい。 【サファイア】 一度の後悔が一生の後悔になる。 それも、日常なら何でもない行為。恋人にあれが欲しいという行為。たったこれだけの事が、一生モノになるのだ。 あの時、言わなければ。あの時、動かなければ。 たらればでは片付けられない想い。 それもまた、たらればで片付けられる。 人の人生なんて、儚いね。 【ガーネット】 サファイアから続く物語。 見ている世界も、フィルターを通せば違うモノに見える。 実際は同じなのだが、感じ方が違うのだろう。 人の心とは不思議なものだ。 ほんの少しの事で、大幅に変わるんだ。

    0
    投稿日: 2022.09.24
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    ダイヤモンドはファンタジー。雀の恩返し的な?途中から、あれ、詐欺かなって思った。 サファイア、ガーネットは短編だけど繋がっていて、最後彼女が救われてとてもよかった。 全体的にはそんなに怖くもなく、グロくもなく。でも湊かなえ感が満載でした

    0
    投稿日: 2022.09.04
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    短編集、 ぞくっとするような怖いお話しもあれば、 心温まるお話しもあり、 すごくおもしろかったです。 サファイアとガーネットが特に好きでした。

    0
    投稿日: 2022.08.21
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    短編小説集で、どの話も面白かった 湊かなえさんの本は没入感がすごくていつも一息で読んでしまうところがさすが! 個人的にはムーンストーンと猫目石、サファイヤ&ガーネットが好きでした

    0
    投稿日: 2022.08.20
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    ミステリー的な文章の仕掛けが凄く面白い。 真っ暗な部屋に人物だけが映し出されて、徐々に人物以外の物に光が当たっていって最終的に舞台の照明が全て灯るような感覚。 全てのストーリーが誰かによる誰かへの為の恩返しになっており、読み終わった後その思いが胸に食い込んで苦しかった。

    1
    投稿日: 2022.08.16
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    ページを捲る手が止まらなくて、久しぶりに時間を忘れて没頭した。 物語を通して人間の醜さに気付く悲しさ。世の中甘くないんだな、こんな人もいるんだなって気が引き締まる反面、自分はどうだろうかと省みてしまう。 『サファイア』と『ガーネット』には特に胸を打たれた。人間の憎悪がこれでもかというほど膨れ上がったあとに、希望の灯火が見える感じ。これからも湊先生に着いていきます。

    1
    投稿日: 2022.07.29
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    イヤミス感満載の話もあれば、何か裏があるのでは…?と疑いながら読んでいたら素直にジーンとする話もあったり。色とりどりの宝石箱のような1冊でした。

    0
    投稿日: 2022.07.16
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    7つの短篇。それぞれ、物語終盤に「そうだったのか」と驚かされます。続編がありそうな、主人公の今後を見たい衝動が出てきてモヤモヤ。湊かなえさん面白いです。

    0
    投稿日: 2022.07.15
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    宝石の名前をタイトルにした作品が、七編収録された短編集です。 テーマは恩返しということですが、心温まる物語だけじゃないのが湊さんらしいですね。 連作になっている最後のニ編、「サファイア」と「ガーネット」も読み応えがあり良かったのですが、ファンタジーの要素を持つ「ダイヤモンド」が特に印象深かったです。 湊さんの作品といえば、イヤミスという想像をしてしまうのですが、この短編集は作品ごとに様々な雰囲気を持ち、読者を飽きさせない魅力と、作家の力量を感じさせる一冊になっていると思いました。

    0
    投稿日: 2022.06.11
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    7編の短編集。 短編ながら、様々な驚きを楽しむことができる。 湊かなえは着地点がみえない、想像できない向こう側に誘ってくれる。 らしいもの らしくないもの、も 読み進めてしまう魅力が満載だった

    0
    投稿日: 2022.04.30
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    短編集。題名は全て宝石の名前で作中に宝石が出てくる。スッキリしない話もあるが、どの話もサクサク読めておもしろかった。

    3
    投稿日: 2022.04.19
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    短編なのでさくさく読み進めてしまう作品。 どのお話も違った面白さがあったけど、私は特にムーンストーンが好きだった。

    1
    投稿日: 2022.03.29
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    題名に宝石の名前が付けられている短編集。 犯罪者が主人公だったり、普通の女性が主人公だったり、最後以外は各話は独立していて繋がりはない。 他の作品のように最後のあたりに仕掛けがある。いつもより読後感は良い。

    0
    投稿日: 2022.03.05
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    短編小説集 全部好き笑 結末がうわイヤミスすぎる!って言うのもあるしあーそうなるか!そうだったの!?って言うのもあるし短編だから読みやすいって言うのもあってサクサク読めちゃった

    2
    投稿日: 2022.01.28
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    ムーンストーン、サファイア、ガーネット 読み終わったときに良かったねと思える話でなんだか心が温かくなった。

    0
    投稿日: 2021.12.11
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    湊かなえさんらしい本です 。 わたしは好み別れると思いますが特に サファイア ガーネット が好きです 。 短編集だったので 読みやすく すらすら読んでしまいました 。

    0
    投稿日: 2021.12.11
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    短編集。 それぞれ宝石の名前のついたストーリーで、どれも全部面白かった! ほとんど、結末がどうなったかは、読者が想像するような話。 わたしは、『ムーンストーン』という学生時代の友人が立場逆転して助けに現れる話が1番好き。でも、美談で終わらなそうなのは、湊かなえ作品だから?

    0
    投稿日: 2021.10.10
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    短編集で読みやすかった。 ほんわりする物語もあり、あーそうなったか、、って話もある。さすが湊かなえさん。

    0
    投稿日: 2021.10.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    湊かなえさんの、宝石にちなんだタイトルがついた短編集。個性的でキャラ立ちした登場人物が、物語を紡いでいく展開の仕方は湊節と言えるのではないか。 人の人生なんてどこでどうなるかわからない。良い時もあればどん底と思える時もあるだろう。それぞれの人生がどこかで交差することもあるだろうし、その時のお互いの立場が逆転していることもあるだろう。好転するちょっとしたきっかけを「世界の向こう側」と表現できるのは素敵すぎる。その文脈において「ムーンストーン」、「サファイア」、「ガーネット」の3話は鳥肌。

    4
    投稿日: 2021.09.16
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    7つの話が入っていて、最後の2つ以外は全て繋がりのない短編なので少しずつ読むのも良いと思います。 私はムーンストーンが好きでした。 タイトルになってるサファイアは少し意見の別れる作品だと思います。例え救われた人が居たとしても犯罪は犯罪なので。

    0
    投稿日: 2021.09.06
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    サファイア(ハルキ文庫) 著作者:湊かなえ 発行者:角川春樹事務所 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 きらびやかな宝石と人間の不思議な出逢い。

    0
    投稿日: 2021.08.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

     はちのアイコンがかわいい「さてさてさん」のレビューを読んで、読みたくなって購入。  7つの短編から成っているが、私は「ムーンストーン」がとても面白かった。叙述トリックに完全にやられた!「えっ」となって最初から読み直してしまった。  小説初心者で、このような叙述トリックに初めて出会ったので、「すごい…」と素直に感動しまくりでした!!

    12
    投稿日: 2021.08.09
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    あなたは、自分のことを一言で紹介されるとしたらどのような言葉で説明されると思いますか? もちろん、会社とプライベートで人の印象は異なると思います。人は色んな顔を見せる生き物であり、その人をひと言で言い表すことは難しいとも思います。では、ある特定の分野で、特定の場面でその人のことを言い表すとしたらどうでしょうか?ここは、ブクログのレビューの場ですから、小説を通して作家さんのイメージを語るとしたらどうでしょうか?私にとってお馴染みの作家さんを思い浮かべてみます。 ・恩田陸さん ー 幅広いジャンル ・辻村深月さん ー 白辻村と黒辻村 ・三浦しをんさん ー 小説とエッセイの落差 いや、それは違うでしょ!という方、もっと他のイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、これはあくまで私の印象ですので、ご容赦ください。そして、そんな作家さんの中で恐らくどなたも異議を唱えられないであろう方がいらっしゃいます。 ・湊かなえさん ー イヤミス 一年半前に読書を始めた私は、それまで”イヤミス”という言葉自体全く知りませんでした。思わず調べてしまったその意味合い。”読んだ後に-嫌な気分-になる小説”のことを指すその言葉。そもそも読書とは、何のためにするものでしょうか?お金を払って本を買い、さらに時間という、もっと大切なものを使って一冊の本を読む、それが読書です。それなのに、お金をかけて、時間をかけて”嫌な気分”になる。”イヤミス”というのはなんとも贅沢な考え方の上に成り立つ小説なのだと思います。 そんな”イヤミス”で有名な作家さんのお一人である湊かなえさん。”イヤミス”なんて大嫌い、だから湊かなえさんなんて大嫌いという方もいらっしゃるでしょう。そんな読まず嫌いの方に耳よりなお話があります。湊かなえさんは読んでみたい、でも怒涛の”イヤミス”はまっぴらごめん、そういう方に是非お勧めしたいのがこの作品です。”イヤミス”半分、感動的な結末半分という、”ハーフ & ハーフ”な読書が楽しめるこの作品。湊かなえさんの魅力をサクッと感じることのできる魅力満載な短編集です。 一部連作短編になっている作品を含め七つの短編から構成されたこの作品。二編の例外を除き短編間それぞれに繋がりは全くありませんが、共通するのは全ての短編タイトルに宝石の名前が付いていることと、その宝石が象徴的に短編内に登場することです。この演出の効果もあってか、短編集にも関わらず、何故か一冊の作品として妙にまとまりを感じます。しかもそれぞれの短編は見事などんでん返しや、上手い!オチが用意されており、また、短編の並べ方も絶妙で、満足感の高い読書になる作品だと思いました。 そんなサファイア、ガーネットなど7つの宝石を短編タイトルとしたこの作品は、一方で編集者からの提案で隠しテーマとして”恩返し”というものが設定されているようです。そんな短編は、自宅の隣に建設された『老人福祉施設』の六階に暮らす『おいちゃん』との交流が、一家を『貧しいけれど、楽しいわが家』に変えていく〈ルビー〉。『わたし自身、まさか自分が夫を殺害することになろうとは』という衝撃的な出だしが予想外の感動的な結末を迎える〈ムーンストーン〉。そして、えええええっ!これって湊かなえさんの作品なの?、と、かわいい『雀』が登場し、まさかのファンタジー世界が展開する〈ダイヤモンド〉など、いずれもなるほど!、という湊かなえさん流の”恩返し”が描かれていきます。 中々に甲乙つけがたい短編が勢揃いしていてメインでご紹介する作品を選ぶのに躊躇しますが、読後感の良さと唯一の連作短編の読み応えもあって、6編目〈サファイア〉と7編目〈ガーネット〉をご紹介したいと思います。 『二十歳の誕生日プレゼントには、指輪が欲しいな』とお願いした時のことを思い出すのは主人公の『わたし』。『自分の家が経済的に潤っていない』ことに気づき『欲しいモノは親や他人にねだるのではなく、自分で手に入れるものだ』と思って生きてきた『わたし』。大学生になり『アパートの隣の部屋に住んでいた一つ年上のタナカという男子学生』から『青春18きっぷ』を買ったことをきっかけに『一人旅を好きにな』った『わたし』は、旅先で中瀬修一という一つ年上の学生と出会います。『T湖の遊覧船に乗ろうと』したものの、一万円札しかなく、それを見ていた彼が切符を差し出してくれたというきっかけ。自己紹介で、遠くないところに住んでいることがわかり『船代は帰ってから返してもらえないかな』と連絡先を渡された『わたし』は、街中で彼と再開します。『映画を見て、お茶を飲んで…』と時間を過ごした『わたし』は、翌週には彼を自室へと招きます。そして『十九歳の誕生日』に口紅をプレゼントしてもらった『わたし』。その次のデートに、口紅に合うような格好で出かけた『わたし』を見て『わっ。別人じゃん』『めっちゃ、かわいい』と言ってくれた彼ですが、やがて、普段との落差を口にするようになり『どっちかに統一しよう』、口紅は『特別な日だけにしよう』と言い出します。『あのときわたしの胸を満たしていたのは何だったのだろう』と考えだす『わたし』。そんな『わたし』はオーダーメイドのカバンを彼にプレゼントしました。『一生これを使うよ』と言ってくれた彼に『二十歳の誕生日には指輪が欲しい』と告げる『わたし』。そして待ち合わせをした二十歳の誕生日前日。『彼はなかなか現れない』と、駅の改札で彼を待つ『わたし』の耳に『K線のD駅で人身事故が起きた…』というアナウンスが聞こえてきました。結局、彼とは会えずじまいでアパートへと戻った『わたし』。そんな日の夜、『口紅は特別な日だけにって言ったけど、指輪は毎日嵌めておくように』と右手の薬指に『九月の誕生石、サファイア』の指輪を嵌めてくれる彼の夢を見た『わたし』。目が覚めて、『右手をかざしてみても、そんなものはどこにもなかった』という現実に『どうして?』と言葉が出る『わたし』。その時『中瀬佐和子、彼の姉だという人』から電話がかかってきました。その電話で彼が来なかった理由を知ることになった『わたし』は、隣室に住むタナカから彼に関するまさかの真実を聞かされ衝撃を受けます。そして…という短編〈サファイア〉。次の〈ガーネット〉と連作短編を構成しながら、短編集の中とは思えないほどの広がり、高まりを形作っていく好編でした。 そんな連作短編を形作る二編のうち、後編の〈ガーネット〉には、『これほど読後感の悪い小説を読んだことがない…私情を文字に落とし込むのは勝手だが、プロの作家を名乗るなら、「赦し」のない復讐小説など書くべきではない』といったWeb上の感想を『三日に一度は検索している』という作家が登場します。さらにその作家のデビュー長編小説として「墓標」という作品の存在が暗示されます。『作文が得意だったわけではない。国文科を出ているわけでもない。なのに、原稿用紙に向かうと、頭の中に景色が浮かんできた。湖だった』という作家の『わたし』のデビュー作、それが「墓標」。『書くごとに、魂が削ぎ落とされているのかもしれない。それでも、書く手を止めることができなかった ー そうやって書き上がったのが「墓標」だ』と、その作品誕生までの内面が見事に描写されるこの短編。自然とこの作品の作者である湊かなえさんが思い起こされます。しかも『これほど読後感の悪い小説を読んだことがない』という言葉に象徴されるのは、”イヤミス”の湊かなえさんを代表するあの作品、「告白」です。こうなってくると、この短編の主人公=湊かなえさんのイメージが重なるのを抑えきれなくなってしまいます。小説内に小説が登場する作品というと、湊かなえさんには「Nのために」という作品があります。あの作品では「灼熱バード」という小説内小説の内容が作品の中で朧げながらに語られました。しかし、この作品の「墓標」は作中で語られることはありません。しかし、その執筆の場面がこんな風に描かれます。『己の醜さに気付きやがれ!』と『水底から沸き上がる黒い気持ちを書いて、書いて、書きなぐった』というその激しい執筆の場面。これが上記した通り、主人公=湊かなえさんだとしたら、そうか、あの「告白」の執筆の背景にはこんなことがあったのか!とまた違う思いも沸き上がってきます。小説内小説の面白さを最大限に活かす湊かなえさんは、やはり凄い方。そして、短編集の最後が”イヤミス”でなく終わったことに、単なる”イヤミス”などという括りを超えた湊さんの小説家としての魅力を改めて感じました。 湊かなえさんというと”イヤミス”のイメージがどうしても付き纏います。しかしそんな風に人の心を、感情を大きく突き動かすことができるのは、その作品が持つ力の大きさを象徴しているとも言えます。この作品は、そんな”イヤミス”という言葉だけで湊かなえさんの作品を読まないという方にこそお勧めしたい作品。長編の上手さをギュッと凝縮した中に、鮮やかに起承転結が展開する7つの短編。それは、まさしくそれぞれの短編に欠かすことのできない煌めきを放ち続ける宝石の姿に重なるものでした。 湊かなえさんの魅力を気軽に味わってみたい、ちょっぴり”イヤミス”ってなんだろう?という気分を味わってみたい、そんな方に是非お勧めしたい、そんな作品でした。

    90
    投稿日: 2021.08.04
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    著者の筆力が際立つ短編集。冒頭の「真珠」で、えっ? 「猫目石」で流石のイヤミス! 標題作からの連作も良いが、著者らしくない「ムーンストーン」が好みでした。このじ~んとくる感じの作風で長編を書いて欲しい! 人の可能性を信じたいと思える一冊でした。

    12
    投稿日: 2021.06.21
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    ゾッとするものと、爽やかな読後感のものが半々くらいの良作。湊さんらしさを殺さずに、爽やかさを織り交ぜてきてるのが素敵。あ、湊さんだなと思わせる「真珠」で始まり、ハラハラさせられながらも綺麗に締めくくられた「ガーネット」。初めて湊さんの短編集を読んだけれど、とても良かった!

    0
    投稿日: 2021.05.24
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    宝石にまつわる短編集 「サファイア」と「ガーネット」は繋がっている 「20歳の誕生日には指輪が欲しい」と恋人に初めてお願いをした… 小さなお願いだったのに、その小さなお願いのために最悪の人をなくしてしまう…「サファイア」 その後、小説家になったマミ「ガーネット」 彼はマミを本当に大切に想っていたんだなあ

    0
    投稿日: 2021.05.08
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    湊かなえらしさ満載の短編集。タイトルのサファイアとガーネットも良いが、個人的には猫目石が面白かった。インパクトが強い話ばかり。

    1
    投稿日: 2021.03.31
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    湊かなえ:サファイア おすすめいただいた本。本を読み始めるきっかけとなった本。 宝石にまつわる短編集。 「真珠」では、一人の女性の人生を変えたムーンラビットいちご味が様々な人を巻き込んで物語が展開していく。平凡な生活を送る男が、その女の想いに寄り添ったり、自分の過去を想起したりながらも、冷静に事件を推察する様子がおもしろい。どんどん引き込まれていきました。 個人的には、「サファイア」からの「ガーネット」が好き。 愛していたからこその切なさややるせなさ。許せない思いも憎しみも、全てを抱えて生きる女性の物語。傷ついたり苦しんだり、弱さを感じてきたからこそ、他者の想いに寄り添える。それがまた誰かを救うための気持ちになるのかもしれない。 最後にはなんだか救われたような温かい気持ちになれる一冊でした。

    0
    投稿日: 2021.02.07
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    短編集 それぞれの宝石に紐づいた別々のストーリーが並ぶ様は、まるでジュエリーショップのガラスケース。 煌びやかな宝石が象徴するのは人の心の闇、裏側、醜さ。 反面、ネガティブな部分だけでなく醜さを消化した清々しさを見れるストーリーもある。 それぞれの宝石が異なる個性で魅せられる。

    1
    投稿日: 2021.02.05
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    寝る前に1話ずつ読んでいた。短編ならではの現実からスッと離れられる引力。ふわっと浮く感覚は眠る前にのふわっとする感覚と似ていた。猫目石、なんとも言えない気持ちになった。

    1
    投稿日: 2021.01.26
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    湊さんの傑作短編集と言う事で気楽に読みたいと思いましたが、中々読み応えが有りました。猫目石が私の中で一番切ない別れで泣けてきました

    2
    投稿日: 2020.12.13
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    湊かなえ作品で、知らなかった1冊。 ムーンストーンの久美と小百合の話が1番良かった。 市議の妻になった小百合の弁護士に名乗り出たのは、中学の同級生の久美。引っ込み思案だった久美を変えるきっかけを作ってくれたのは小百合だった…些細なエピソードが、例えば、自分は仲間であるようで、自分の分はない、そんな時、さりげなく誰も傷つけないよう、上手くたちまわり、ピアスを選び、ピアスは2つセットだから、小百合は久美にひとつ分けてあげる。 いい話だと思う。 サファイアとガーネットは続いている話。 このふたつもとてもよかった。 あとがきにも書いてあったが、ガーネットに出てくる作家、紺野真美は湊かなえ、その人であるようなイメージであった。 読んでいない方は、ぜひ!!

    1
    投稿日: 2020.12.08
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    7つの話で構成された短編集。一人称目線で語られているので主観的で読みやすい。少しずつ主人公の素性が解明されていく過程がいつも面白い。そして感情移入していく。湊さんの小説は大逆転があるんじゃないかと終わりまで安心なんて出来ない。ムーンストーンの話が一番好き。

    7
    投稿日: 2020.09.10
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    宝石の名前がタイトルの短編集。 イチゴ味の歯磨き粉の真珠、元受刑者の老人福祉施設のルビー、雀の恩返しのダイヤモンド、猫と家族の秘密の猫目石、本読みと元市議会議員殺害のムーンストーン、悪質商法のサファイア、その悪質商法から先へ進んだ人たちのガーネットと、どれもとても良かった。

    1
    投稿日: 2020.08.21
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    宝石にまつわる個々で独立した短編集。 一番好きなのはムーンライト。最後まで読んで、過去の話を知った後に最初から読み直すと、主人公を思いなんとも言えない感情になる。 ルビーの最後、姉妹はどうなっていくのだろう。ダイアモンドはもやっとしたなあ。

    1
    投稿日: 2020.06.21
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    サクッと読めます。 …が、どうかサファイアとガーネットは丁寧に読んで欲しい。 サファイアを読んだら一旦本を閉じてこのお話を反芻しながら寝て、翌日、ガーネットを読んで欲しい。 ぶっ通しで読むには勿体ない。 サファイアを味わった上でのガーネットの良さを感じて欲しい。

    1
    投稿日: 2020.05.29
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    あなたの恩は一度も忘れたことはなかった また暗い世界の物語、かと思いつつ読んでしまう。一気に先が気になるというよりは、少しずつ読み進めたくなる。 人の視点をかえつつ物語を進めていく描写がお上手。 読後感はよい。 「恩」は、難しい。自分がしたことが相手の迷惑になることも、気づかずした何でもないことが相手の人生を変える喜ばしいことであったり。 「恩」自分にとっても相手にとっても、両者の幸せに繋がっていることがわかると、とてつもなく、大きなパワーなるんだなと、教えてくれた物語。

    0
    投稿日: 2020.05.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    湊かなえ13冊目です! 短編集で、今回も湊かなえらしい"イヤミス"とは若干違ったストーリー形態だった。 特に面白かったのは、6番目の短編である『サファイア』と7番目の短編である『ガーネット』だった。 他人に「ねだる」という行為ができない主人公が初めて大好きな彼氏にねだった結果起こるストーリーに、とても感情を揺さぶられた。

    0
    投稿日: 2020.05.05
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    ムーンラビット苺味があれば幸せになれるって信じてた 刑務所出所者専用老人福祉施設の建設候補地 ダイヤモンドの指輪を雀の左側の羽にはめてやる 娘がツナ缶なしじゃサラダを食べられなくて 小百合の美しさは凛とした他者とは明らかに一線を画した圧倒的な美しさだった 彼の死因は転落による轢死 歩合制ではなく日給一万円 水面を黒く濁らせるような女は定期的に現れるのだった みなそこ水底から沸き上がる黒い気持ちを書いて、書いて、書き殴った。 登場人物達の醜さに辟易するか。登場人物達を通して、己の醜さに気付くことができるか。その向こう側に、美しい世界を見ることができるのか_。 「なりたい自分は解らなかったけど、なりたくない自分は解ったの。だから、その反対を目指してやればいいんだって。この指輪が似合わない女になってやろうと決めたのよ」 一月の誕生石はガーネット 自分の目に映る世界にまだ向こう側があることを教えてくれる、映画監督や作家のような存在かな、と。 醜い部分をオブラートに包んでしまったお行儀の良過ぎる小説など 小説界のイッセー尾形 広島県・因島で生まれ育ち

    0
    投稿日: 2020.04.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宝石と関連する短編集。 宝石が題材となっているだけに、それぞれの作品は女性の視点で描かれているが、単なる装飾品としてではなく、それぞれの物語の主役になっている。 それぞれの宝石が個人にとっては特別な意味や思いを持ち、綴られた物語。 短編とは思えない味わい深さを感じられた。 説明 内容紹介 綺麗な宝石に秘められた 深い謎と人々の切なる想い。 人間の内なる闇と祈りを描き切る、珠玉の物語。 あなたの「恩」は、一度も忘れたことがなかったーー 「二十歳の誕生日プレゼントには、指輪が欲しいな」わたしは恋人に 人生初のおねだりをした……(「サファイア」より)。 林田万砂子(五十歳・主婦)は子ども用歯磨き粉の「ムーンラビットイチゴ味」が いかに素晴らしいかを、わたしに得々と話し始めたが……(「真珠」より)。 人間の摩訶不思議で切ない出逢いと別れを、己の罪悪と愛と夢を描いた傑作短篇集。 (装画・清川あさみ 解説・児玉憲宗) 内容(「BOOK」データベースより) あなたの「恩」は、一度も忘れたことがなかった―「二十歳の誕生日プレゼントには、指輪が欲しいな」。わたしは恋人に人生初のおねだりをした…(「サファイア」より)。林田万砂子(五十歳・主婦)は子ども用歯磨き粉の「ムーンラビットイチゴ味」がいかに素晴らしいかを、わたしに得々と話し始めたが…(「真珠」より)。人間の摩訶不思議で切ない出逢いと別れを、己の罪悪と愛と夢を描いた傑作短篇集。 著者について 1973年広島県生まれ。2005年第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。 2007年第35回創作ラジオドラマ大賞受賞。同年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。 2008年同作品を収録したデビュー作『告白』は「週刊文春08年ミステリーベスト10」で第1位、第6回本屋大賞を受賞した。 2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞短編部門受賞。 その他の作品に『少女』『贖罪』『Nのために』『夜行観覧車』『往復書簡』『境遇』『花の鎖』『白ゆき姫殺人事件』 『母性』『望郷』『高校入試』『豆の上で眠る』『山女日記』『物語のおわり』『絶唱』などがある。

    2
    投稿日: 2020.03.18
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    それぞれの宝石にまつわるストーリーはどれも短編ながら濃かった。 思わずその先を知りたいと思うものばかりだった。 中でも私が好きだった話はムーンストーンである。 中学時代特有の陰気で微妙な人間関係に苦しんだこと思い出した。 そんなものにとらわれず、自分が正しいと思ったことを信じて行動していた小百合はとてもかっこいい。

    0
    投稿日: 2020.03.09
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    ヒトとの切ない出逢いと別れ。己の罪悪。愛と夢をそれぞれに描いた傑作短篇集です。 7種類の宝石をテーマにしており、それぞれの物語が描かれています。 短編集とは思えないほど一話一話の中身が濃いストーリー展開で、非常に満足度の高い一冊です。 真っ暗な闇の中からたまに顔を覗かせる優しさと愛が、なんともいとおしい気分にさせてくれます。 好きな作品は人によって変わるのがこの短編集のいいところ。 どの作品も後味が違っていて豪華なオードブルを食しているかのよう。 ぼくは「サファイア」「ガーネット」(このふたつは連作)「ムーンストーン」がだいすきです。 ラストは圧巻で、読者泣かせの感動ラストです。

    8
    投稿日: 2020.02.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宝石をタイトルテーマにした湊かなえの短編集。 良いな、と思った短編とそうでないのとあったので評価は3で。 個人的には、ダイヤモンド、と、ムーンストーンの短編が面白かった。 ダイヤモンド、は、簡単に言うと冴えない中年男と鶴の恩返し、ならぬスズメの恩返し、のお話。 スズメは助けてもらったから、純粋に中年男の役に立とうとするが、その恩返しがかえって仇となり、 最悪の結末を迎えるはめになるのが、何とも言えない。 男は何一つ悪い事はしていないのに、可哀想すぎる。 初めは婚活で金銭を騙され取られてる男が、スズメの恩返しのおかけでその裏切りに気づいて、めでたしめでたし、となるかと思っていたが、やはり良い意味で読者の予想を裏切ってくれる湊かなえ。 最後は、嘘でしょ、と息を呑む衝撃の展開だった。 ムーンストーン、は中学時代を共に過ごした友人との深い絆に心がじんと温まるストーリー。 2人のそれぞれの視点でストーリーが書かれている。 中学の時美人で頭が良く、性格の良い女に、 地味で暗いクラスメイトが救われて、どんどん自信をつけ成長。 それから後に、美人で頭が良く性格の良かった女は、大人になり結婚して子供ができ、後に夫からDVを受けるようになる。 子供を庇おうとしたところ、夫を殺してしまい、周囲からは格好の非難の元に。 どん底に堕ちた女の元に、かつて地味で暗く、自分に自信がなかったクラスメイトが、弁護士になっていて、 最後は絶対に女を救ってみせる、と強く慰め、弁護することを誓う、というラスト。 殺人、という世間から強く非難される過ちを犯してしまった旧友に対して、 過ちを犯したから、もう知らない人だ、といって目を背けるのではなく、 己を救い、自己の成長を促してくれた旧友への恩を決して忘れず、たとえ世界が女に対して後ろ指をさそうとも、 自分は味方でい続ける、というそのクラスメイトの姿勢に、強く心撃たれた。 人と人との繋がりが希薄な現代社会における、一筋の光のような絆の物語だと思った。

    0
    投稿日: 2020.01.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    湊かなえ短編集。 真珠 ルビー ダイヤモンド 猫目石 ムーンストーン サファイア ガーネット 後半のムーンストーン、サファイアとその続編ガーネットがよかった。 イヤミスの女王の異名をとり、誰もが思わず目を背けたくなる人間の醜い部分にスポットライトをあてることが抜群に上手い湊氏。そのイヤミスの読み方のヒントを与えてくれる作品だった。 「登場人物たちの醜さに辟易するか。登場人物たちを通して、己の醜さに気付くことができるか。その向こう側に、美しい世界を見ることができるのか———。」 『この指輪のおかげで幸せになれました。わたしのために選ばれた宝石は、わたしの人生をキラキラと輝かせてくれています』 指輪や宝石にあたるもの、人によってアイテムは違えど、幸せへのきっかけやスイッチとなるものが、どんな人にも存在するのだと思える一冊だった。

    0
    投稿日: 2020.01.22
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    湊かなえらしさは出ているが、必ずしも読後感が悪い訳ではない短編集。宝石をテーマにしており、うまくまとまっている。

    0
    投稿日: 2019.12.10
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    この人の小説は本当にすごいなあ。 人間の陰の部分は本当にいやらしく、人を励ます陽の感覚には胸が熱くなる。 イヤミスの印象が強い湊かなえさんだけど、この本なら、自分がしんどい時に読んでも大丈夫だと思えた。 良い作品。

    2
    投稿日: 2019.11.17
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    宝石名をタイトルにした7つの短編集。 イヤミス度は低め。 どの話も続きが読みたくなる面白さで、最後の2つ(サファイアとガーネット)が連作だったのが嬉しかった。 ムーンストーンはドラマ化されていたらしく、出演者も私好みだったので見たかったなー。

    0
    投稿日: 2019.10.06
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    怖い話か感動的な話なのか。 怖い話と感動的な話なのか。 短いストーリーが最後は連なるのか。 あっという間に読了。

    0
    投稿日: 2019.09.19
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    前半、いつもながらの人の黒い部分が見え、ザワザワした気分で進めた。ある意味、それを期待していたが。 しかし、後半から少し流れが変わった。最後は湊作品ではなかなか味わえない感覚に! 面白かった。

    1
    投稿日: 2019.07.30
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    どうしても、何か嫌なことが起こる…嫌な終わり方する…って構えながら読んでしまうのが湊かなえ作品。 だからかな「猫目石」が面白かった。 でも「サファイア」と「ガーネット」も切なくて悲しくて好きだな。

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    投稿日: 2019.07.12
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    短編集。以前挫折したのが信じられないくらい一気読み。サファイアからのガーネットが良かった。雀もなにげに好き。イヤミスばかりではなく、救いのある話も良かった。

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    投稿日: 2019.07.11
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    湊かなえさんは全ての作品にハズレがない。 どの作品も、私たちが持っているある感情をうまく物語化し、何か気付きをくれる。 物語を読んだ後、 作品によっては、真実が明確に語られずもやもやした気持ちにさせるものもあるが、そこも面白い。自分で解釈を加え納得のストーリーを完成させる。 自己啓発本を読むより、湊かなえの作品を読む方が、 心豊かに、多くのことを潜在的に得られるのではと思います。

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    投稿日: 2019.06.09
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    最初は後味の何となく悪い短編だなと思ってしまったけど、後半になるにつれてやっぱ湊かなえ面白いと思った! それぞれの人の思いを聞くことによって真実がわかるから、やっぱ人の話を聞くのは大事。

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    投稿日: 2019.03.16
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    イヤミスの女王と言われている湊かなえ。 が、本作は後味の悪さが発揮されるものは少ない。モヤっとするものもあれど、女の強さを描いていることは共通している。 自分の中の「弱さ」「強さ」を見つめる。 したたかに生きる。 強かに生きるためには、弱さと向き合い消化することが必要なのか。心の中に潜むほの暗い部分はあまり知りたくない。深入りしたくない。 蓋をして生きる日常だが、彼女の本は少し蓋を開けてみるのも悪くない、そう思える不思議な力がある。 キラキラとした石の数々。 輝く宝石を身につけることはできなくても、己の強さを見つけてみる…それが宝石になっていくことを信じて…

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    投稿日: 2019.02.20
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    うわーーーーーー。 相変わらずの読後感。でも読むのを止められない。 最後の連作2編は良かったな。 ありがちだけど、ダイヤモンドも好き。 短編でも、とても満足の内容。

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    投稿日: 2019.01.03
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    友人に勧められて購入した一冊。著者の書籍は「告白」しか読んだことがないけれど、後味悪い終わりの作品が多いのはどこかで聞いたことがあった。でも本作は短編で気持ちがのめりこみすぎないのもあって、終わって鬱になることはなかった。ただ、紆余曲折経てハッピーエンドになるわけでもなくておお、さすがと思った(上からでごめんなさい)。個人的には「ムーンストーン」が好きで、幼少期と現在で語り手が変わりどちらの気持ちもよく見えたから安心して読み終われた。 「まず最初にするのは、周りの人間の格付けだ」 その通りだと思う。

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    投稿日: 2018.10.22
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    「真珠」のムーンラビットイチゴ味の歯磨き粉が耳に残り、「ルビー」の老人福祉施設に住む人たちの過去や部屋に驚く。「ムーンストーン」の友達と分けて名札につけたピアスが可愛くて、指輪を悪質に売る表題作から続く「ガーネット」の著者似の作家への悪評に苦しくなる反面、彼と夢で再会して別れるラストに温かくなった。

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    投稿日: 2018.10.09
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    湊さんの小説は、人間の欲望、嫉妬がうまく引き出されていて本当に引き寄せられます。短編小説なので、それをじっくりと味わうことができませんが、それぞれの終わりが突き放されるような終わりかただったり、着地するような終わりかただったりと、思う存分楽しめました。因果応報、を匂わせる物語がここにもありました。それと一部、湊さん自身のことを描かれているのかと思わせる部分がありました。“こんなもの読むんじゃなかった”“読まずにはいられない作品”って「告白」のことですよね?

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    投稿日: 2018.08.18
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    七つの石にちなんだ短編集。 どの作品にもなかなかに偏っている曲者登場人物が出てきておもしろい。 ムーンストーンは読後感が明るい感じ。猫目石は、え?って、で?って感じでした。

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    投稿日: 2018.08.09
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    最初の話がつまらなくてあやうく挫折 ムーンライトをドラマで見たことを思い出しそこからは繋がって面白い

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    投稿日: 2018.04.25
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    短編も面白いんだなぁ、湊かなえ。 以前SMAPxSMAPに出た時、メンバーを使ってこんなストーリーの話はいかが?といった時も、ほんのさわりでそれ読みたい!と思ったもの。どうしてそんな設定思いつくんだろうと感心した。 どれだけ才能あるんだろう。 どれも面白かったけど「ムーンストーン」はいつもの。してやられた! 「サファイア」は、やっぱりそうなっちゃう…と思ったら続く「ガーネット」で素敵な話になって、とても嬉しい。

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    投稿日: 2018.04.25
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    湊かなえが描く、宝石を取り巻く短編集。 単に美しいだけでなく、心を揺さぶり露わにさせる、艶めかしい魅力を放つ物語で詰まっている。 どの作品もミステリーやファンタジーなどへ急速な展開をみせ、1冊でこれでもかというほど様々なジャンルの物語で楽しませてくれる。 湊かなえの他の作品も読んでみたいと思った。

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    投稿日: 2018.03.26