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罪と罰(上)(新潮文庫)
罪と罰(上)(新潮文庫)
ドストエフスキー、工藤精一郎/新潮社
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総合評価

315件)
4.0
96
96
76
8
1
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    ラスコーリニコフ、何なんだお前は、という気持ちを抱えたまま読み進める。 まさかの凶行。 かと思えば、あらゆる登場人物との絡みで意識があっちへこっちへと揺さぶられる。 「いつバレるのか、いやバラすのか」という緊張感が常に付きまとう。 後半になって体調が落ち着いてきたところでは、まるで私自身が風邪から直ったかのような爽やかさを感じつつも、しかし罪が消えるわけでも、逃げ切れるわけでもない。 巻末付近で語られた、ラスコーリニコフの論文の話が非常に重要だ。 私は、彼が持論を信じているというよりかは、それを信じたいが故に実践するか、自分自身が非凡人であるかどうかを試したいという若さゆえの過ちが彼を凶行に向かわせてしまったのではないかと考えている。 少なくとも、私は「罪と徳は同じ天秤に乗らない」と考えているので、仮に功利性によって徳の割合を増やし、喜ぶ人が増えようとも、犯した罪が償われることはなく、感謝と非難を両方生涯抱えていくものだろうと信じている。 果たして下巻でどうなることやら。非常に気になる。

    7
    投稿日: 2025.11.12
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    罪を犯した人の心理描写の変化がとてもリアル。自分が悪いことしたような気がしてくる。しばらく読み直したくない

    0
    投稿日: 2025.11.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    独白も手紙も長い…! かと思えば殺害後一気にお話は加速…。 そして心情が生々しい…! 終始鬱々とした気持ちで読んでました。 同時に、観点がおかしいかもですが、意外とバレないものなのか…とも思っちゃいました(笑) ラスコーリニコフがことある事に危うい言動・行動するわで、こっちはヒヤヒヤでした。 でも、相手にバレたくない気持ちと、いっそバラしてやろうか…という2つの気持ちが相反するのも、ちょっと分かります。 そういう意味では、正当化してるようで、彼も心の奥底では悪い事をしたって、きっとわかってるのかも…。

    0
    投稿日: 2025.10.26
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    英雄的な人間は罪の一線を越えても良いという いわゆるナポレオン思想を持った青年が金貸しの老婆を殺す しかし罪の意識に苛まれ自分は英雄的人間ではないことを知る その他妹の結婚問題や純粋な心を持ったソーニャと出会う中で段々と性格が変わっていく

    0
    投稿日: 2025.10.12
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    「罪と罰を読まない」を読んで興味が湧いたので読んでみた。 とりあえず名前はメモりながら読んだ方がいい。誰が誰だか、本当にわからなくなる。 あとロシア人の名前の特徴(男と女で語尾が変わるとか)を調べておくと読みやすいかも。

    5
    投稿日: 2025.09.28
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    文字びっしり&文字が小さめ&名前を覚えるのに苦労しますが、すんごい面白い。最後のページでラスコーリニコフの前にとある人物が現れて不穏さ増し増しで下巻へ続きます。

    3
    投稿日: 2025.08.16
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    細かすぎて話がなかなか前に進まん(-_-;)それだけ主人公の心の葛藤がハゲしいという事か?いくらイケメンでも、時代や環境の事を考えても主人公になんだかイライラしてしまうヽ(`Д´#)ノ

    2
    投稿日: 2025.08.14
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    感受性が強すぎたみたいで第2章まで読んで、心が苦しくて自分を殺してしまいたいと思ってしまい涙が止まらなく、結果、ギブアップです! でも、素晴らしい文章でした。心が健康な時にまた読み直したいです。罪と罰に生きているうちに出会えて良かったです。周りに自慢できるような良い刺激になりました。 このような人間の心理や哲学の本は大好きです。しかし、求めているよりも、私には描写がひとつひとつ詳し過ぎました。気分が悪くなった!(素晴らしい) 読む前は、夜神月みたいに殺人後も淡々とこなす感じかと思っていました。だが、心配なくらい動揺しすぎており、サイコキャラもここまで取り乱してるのは見た事がない。 文書自体は凄く引き込まれる文章です。少しこちらの本に触れてみて確実に損は無いと思います。 ありがとうございました。

    11
    投稿日: 2025.08.10
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    非凡人であれば通常の道徳や法律を超えた行動も許されると考えていたがラスコリーニコフと自身を非凡人であると信じ、通常の道徳や法律を超えた行動をした後のラスコリーニコフの間に乖離が生じる。自分の持っていた理屈と行動の結果押し寄せる精神的な崩壊が人間のもつ理性と感情の複雑さを浮き彫りにする。

    1
    投稿日: 2025.08.01
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    この小説の舞台は、帝政ロシアの首都、サンクトペテルブルク。 先に読んだ『貧しき人々』は、困窮の中でも希望の光が見られました。しかし、本書では殺人者となった青年(ラスコーリニコフ)の深層心理を描いているため、どんどん深い闇に飲み込まれていく感じです。犯罪者の行動、心理をえぐり取るような描写に驚くばかり。「罪を犯す権利」があると信じるラスコーリニコフの人物像が、周囲の人々(家族、友人、その他)とのからみの中で、少しずつ少しずつ鮮明になってくるところが、興味深いです。 ミステリー度満載で満足度は高いです。ロシアの当時の社会情勢など含めて考えると、一読で深いところまでの理解は難しいと感じました。とりあえず、ストーリーの展開を楽しめているので、下巻を読み進めていきたいと思います。

    23
    投稿日: 2025.07.27
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    19世紀ロシア文学の連載長編小説 未読者達が内容を勝手に推測する「『罪と罰』を読まない」という企画の本を読んで、長年いつか読もうとしていた超有名作品を遂に実際に読むことに 馴染み無い名前でしかも呼びかけの度に変わるという複雑にパープレキシーエーアイが役立つ 長いモノローグが続いていくが、予想よりも読み易く、当時はもの凄い娯楽であったように推測される

    1
    投稿日: 2025.07.24
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    2025年7月読了。  ドストエフスキーの代表作として輝き続ける名作。人を殺すことは罪だが、その罪が大勢の人の未来のために繋がるのなら、それは罰せられることなのか。老婆の大金さえあれば明るい未来を築けるラスコーリニコフは、その理論にしたがって老婆を殺害する計画を密かに企てる。少子高齢化が進み、若者の未来がますます暗くなる現代の私たちにも通じる話ではないかと感じた。

    0
    投稿日: 2025.07.14
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    高校生のとき全く理解できず。大学生でも意味不明。電子版で途中下車したまま投げ出して。定年前に再挑戦。物凄い名作。体力があるうちに再読したいです。

    1
    投稿日: 2025.07.13
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    ドストエフスキーの初読にカラマーゾフの兄弟を選び、挫けながらも読み終えた。 こちらを読んで、初めはこちらにすべきだったと後悔した。 ロシア文学らしい、圧倒的情報量。心理描写。哲学。だったが、すんなり読めた。 最近の保守思想にも投影できる部分あり、非常に考えさせられる。

    0
    投稿日: 2025.07.13
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    ドストエフスキーやっと読めました。 罪を犯してしまった主人公の胸中だけでなく、とりまく様々な人々の胸中まで細かく描かれており、すごく読み応えがありました。 下巻、主人公の罪が暴かれ、主人公の胸中がどのように変化していくのかとても楽しみです。

    0
    投稿日: 2025.05.22
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    お金に困ったフリーター、ニートが、高利貸しの女を殺す 殺しても許されると思って出来心でやったけど、罪の意識に苛まれる 殺しても変わらない世界もある 情けに振らないところが、真実らしくていい

    1
    投稿日: 2025.04.28
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     実際に流れてる時間よりも、長くゆっくり時が進んでいる体感があった。  それが主人公の重苦しい心情と重なった。

    0
    投稿日: 2025.04.27
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    積んでる期間が長すぎると何故か読んだ気になってしまっている。罪と罰もその一つ。今回やっと読めた。 大学生ラスコーリニコフは強欲な金貸しの老婆を、独善的な思想から殺害することを企てる。ところが計画していなかった老婆の妹まで殺害してしまう。この殺人がラスコーリニコフに罪の意識を背負わせ、人生を狂わせていく。 犯行後に感じる恐怖や猜疑心、情緒不安定になっている様子がリアル。冗長で回りくどい台詞がその辺りをよく表していると感じた。 ラスコーリニコフほどの罪を犯したことはないけど、何故だか心理はよく理解できるんだよな。よくこんなに伝わってくる描写ができるなという尊敬の笑いと、疲弊しきった読後。 ⚠️コロナ療養期間に読むものではない

    16
    投稿日: 2025.04.06
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    人間の欲、思想、価値観の違い、生き方の難しさを描いたドストエフスキーの名作。 主人公、ラスコーリニコフは貧乏な大学生、彼がなぜ金貸しの婆さんを殺害したのか、途中までは金が欲しいだけかと思っていたが、読み進めるうちに彼の複雑な思想によるものだとわかった。世の中、きれいごとだけではなく、また人の中には複数の人格がいるという、人生を表した物語のように感じた。下巻は、ラスコーリニコフに罰が下るのかどうか、気になりながら進めることとする。

    21
    投稿日: 2025.03.17
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    主人公ラスコーリニコフの老婆と若女殺し周辺の出来事を集めた小説第一巻。人間の〈非常〉事態の描写をありありと描いたドストエフスキーの名作。

    0
    投稿日: 2025.03.04
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    何度も挫折しかけてやっと読み切った ラスコーリニコフがいちいち叫ぶのが、なんだか想像できてしまって気疲れした、、 なんでそうなる⁈って状況も多いけどこれだけ有名で面白い作品のはずだから最後まで読む。

    0
    投稿日: 2025.01.03
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    筆者の、人間の心理描写がめちゃくちゃ丁寧で読んでるボク自身もラスコーリニコフの苦悩には共感したし辛くなった それでもめちゃくちゃ面白かった だからまたいつか読んだら理解が深まってもっと面白くなると思う

    0
    投稿日: 2025.01.02
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    青年が老婆を殺害した事によって性格や思考が変わっていく様に最初はついていけなかったが、後半にいくにつれラスコーリニコフの聡明さを思わせる描写が増えていく。 彼の論文の主張では思想が強くて非常に面白い。 愚かな母や妹に対していたたまれなさを感じた。 母と娘のその後の顛末やペトローヴィチとラスコーリニコフの探り合い、最後に現れた男等を下巻に期待。

    0
    投稿日: 2024.12.17
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    言ってることはよく分からないけど面白いことだけは分かる、みたいな感覚で読み続けた。 罪を犯した人間の心情を極限まで細分化し、まるで自分自身が主人公になってしまったような感覚に陥る。 焦燥、高揚、背徳の不安定な渦に怒涛の如く押し流された。 この感情の狭間から脱却させてほしい。すぐに下巻を読まなくては、、、

    5
    投稿日: 2024.11.10
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    独自の理論で殺人を正当化しようとする、貧しい学生ラスコーリニコフ。 老婆を殺害し財産を奪おうとしますが、偶然来合せた老婆の妹までも殺してしまうことに。 予期しなかった第二の殺人。 ラスコーリニコフは罪の意識におののき、良心の呵責に苦しむことに。 魂の遍歴を辿る大文学作品。 高校の時に読んで以来の再読です。 この年になって読むと、受ける感覚、印象もだいぶ違います。

    1
    投稿日: 2024.07.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文章に力がある。続きも気になるけど、むしろ引っ張られる感じ。こういう人の内面書く本はすごい人しか生み出せないからな。 神学とか哲学を当たり前のように押さえてるの、昔の学生って感じ。 汚い路地とか汚い感じがかなりする。 確かに人の名前はややこしい。

    0
    投稿日: 2024.05.29
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    読書が嫌いになりそうな本でした。 僕にとっては。 とりあえず、それぞれの立場によって名前の呼び方変えるのやめて笑

    0
    投稿日: 2024.04.30
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    何度か挫折したが、今度こそと思い読み切った。(下まで) とにかく、キャラの濃い登場人物たちの皮肉交じりの会話の戦いが面白くて笑わせてもらった。当時の世評とか、背景とかは全く詳しくないが、現代に生きる人が読んでもあらゆる角度からいろんなことを学べる一作だと思う。 善とは何か、悪とは何か、罪とは何か、罰とは何か、いろんなことを考えさせられる。けれど個人的にいは、どんなに思考をめぐらせても、答えはないのだから、あるがままに生きればいいじゃないかと思う。もちろん、罪の意識というのは犯した人にしかふりかからない苦悩だとは思うので、自分には何も言えないが、「考えるって何だろう、悩むって何だろう」とやはり考えてしまう。結局人間にできることは考え続けることだけなのかもしれない。 作中の場面描写や、緊張感、臨場感を浮き彫りにさせる描写は、さすがとしかいいようがなかった。文章だからこそ表現できる「クスッ」となる面白さや、「うわっ」となる臨場感などからは多くのことを学んだ。 無駄な描写がほとんどなく、簡潔でいて、理路整然で、すらすらと面白く読み進めることができた。 きっとまた読むだろう。

    1
    投稿日: 2024.04.23
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    人名がややこしい。 主人公の妹アヴドーチャ・ロマーノヴナ・ラスコーリニコフは、愛称の「ドゥーニャ」以外に「ドゥーネチカ」「アヴドーチャ・ロマーノヴナ」と呼ばれる。 登場人物全員がこんな調子なので「この名前は誰?」と混乱し、名前に気を取られている間にストーリーを忘れてしまいがち…… おすすめは、ネット検索などで人名対照表を準備して、確認しながら読むことですね。

    28
    投稿日: 2024.03.17
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    登場人物一人ひとりに固有の価値観や性格が与えられていて、物語に奥行きがある。 自分の行動が正しいと思うなら、何故主人公は自分の犯行を隠そうとするのだろう...? 現在の世の中においては認められないことだとわかっているからだろうか。 初めの方は名前が覚えられなくてうまくストーリーをつかめなかったので、もう一度読み返したい。

    13
    投稿日: 2024.01.16
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    ラスコーリニコフ大丈夫??彼の精神状態の不安定さに狂気を感じる。 心の葛藤がすごすぎて、彼の心の葛藤だけでページ数が進む。 凶行に至るまでの精神状態などもリアルで怖かった。 もうちょっと妹を大切にしてあげて欲しいと思うが、時代なのかなー? 最後に謎の人物が出てきて、気になるので、下も引き続き読みたい。 訳が上手なのか、割と読みやすかった。

    2
    投稿日: 2023.12.15
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    極悪非道な高利貸の老婆を◯害するまで100ページかかった小説。 読み終えるまでおよそ1年。その間にいろんなことがありました。

    13
    投稿日: 2023.11.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何だこれは。登場人物もストーリーも粗野で荒々しい限りなのに、途轍もない力で小説世界に引き込まれる。名著の筆頭に挙げられるのも納得の圧倒的作品。 1860年代半ば、夏のロシアの帝都ペテルブルグ。学費滞納のため大学を辞めた貧乏青年ラスコーリニコフは、それでも自分は一般人とは異なる「選ばれた非凡人」との意識を持っていた。その立場なら「新たな世の中の成長」のため、一般人の道徳に反してもいいとの考えから、悪名高い高利貸しの老婆アリョーナ・イワーノヴナを殺害する。しかし、その最中にアリョーナの義妹リザヴェータも入ってきたので、勢いでこの義妹も殺してしまう。この日から彼は、罪の意識、幻覚、自白の衝動などに苦しむこととなる。予審判事のポルフィーリーの執拗な追及をかわしたラスコーリニコフだが、下宿の前で見知らぬ男から「人殺し」と言われ立ちすくむ。しかし「人殺し」という言葉は幻覚で、見知らぬ男はスヴィドリガイロフと名乗る男だった…。 みな熱病にうなされたようによく喋る。それは会話というより、長広舌で思いの丈をぶちまけるといった印象。共感できる人物は見当たらないわけですが、とんでもない勢いで物語は転がっていきます。 主人公ラスコーリニコフと予審判事ポルフィーリーとの犯罪論の応酬も見どころですが、老婆を殺した現場に義妹も居合わせていたところや、妹の縁談を壊そうとする主人公、「人殺し」と指摘される幻覚に魘される場面など、異様なリアリティをもつ描写は、エンタメとしても抜群の破壊力。 1861年に農奴解放令が出され、既存の価値観や思想が否定されたというのが時代背景としてよくある解説ですが、それにしても貴族や聖職者などかつての上位身分の権威を否定し尽くすような、ドストエフスキーの描く庶民の溢れるエネルギーに打たれますね。

    0
    投稿日: 2023.10.08
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    ロシア文学最高傑作(らしい)を読む。 ラスト数ページにて急にラスコーリニコフの思想がしっかりと分かりやすく語られる場面があり、そこでこの本の主題みたいなところを知る。非凡人が行うルールの無視、破壊というものが、どこまで認められるのか。過去の偉大な英雄の行動も、その時の法律に基づくと必ず有罪となるようなことであるという事実を考えると、ラスコーリニコフの思想も強ち暴論ではないのか?とも。 ラスコーリニコフの一挙手一投足にどんな意味や意図があるのか考えているとあまりにも進まないので、とりあえずさくさく読んでいる。少し辛さはあったが、最後の方で面白さが出てきたので、下巻も読む?

    2
    投稿日: 2023.09.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公ラスコーリニコフの中に渦巻いている感情とそれに付随する行動に一貫性がないところが良い。 亭主を喪い路頭に迷うであろうマルメラードフ一家に葬式代として大金を握らせるシーンがあるが、そもそもこの母ですら非常に困窮している中なけなしのお金をなんとか送ってくれたものであり、しかも自分が老婆を殺した理由も困窮からくるものだったのに!美談にも捉えることができるこの行動だが、これは彼が弱い人を見捨てることができないという正義感によるものではないだろうし、非常に自惚れた行いだと思った。 葬式代をあげてしまう突発的な行いそのものには善も悪もなく、その後ラスコーリニコフ自身がどういう人間として位置付けたいのか(「乗り越える」力を持った人間になりたい!)ということが付与されたと考えると、今までの行動も、あと付けあと付けの繰り返しだったからより一層のちぐはぐさがあったのかもしれないと納得する。 「優しい」や「繊細」という言葉が、印象として近いカテゴリにあるけれど意味は違うように、施しの気持ちがあるからといってそれは慈しみや他者への愛情であるとは限らないのかもしれないと思った。 また親友ラズミーヒンでさえ、善良で精神的に安定した好青年の印象があるが、時に人に強く当たったり、誰も彼もにどこかしら過剰な部分がある。彼ら登場キャラクターにはフィクション特有の、一つの理念に基づいた行動の一貫性がない。『罪と罰』は、よく苦悩し渦巻く人間の内面を、否定も肯定もせずただそこにあるように描いている。「人間」であることそのものを肯定し、完璧な「1」にしがみついている人の呪いを解いてくれるセラピー作品なのかもしれない。

    1
    投稿日: 2023.09.23
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    名作ってことでいつかは読みたいな〜と思いつつ、なかなか手が出なかった一冊。 意を決して読み始めてみたけど、登場人物の名前が覚えられず四苦八苦………。 ページ数以上の長さを感じました。 罪を犯してしまう主人公の葛藤や周りの人達との会話も面白いけど、 なぜか、酒場で出会う親父の哀愁漂う語り、馬車馬をいじめる大人たちを見る悪夢が印象に残った。

    0
    投稿日: 2023.06.19
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    トロッコ問題。 世の中の9割ぐらいは消費するのみである、言葉を選ばず言うならばバカで、1割は創造的。 その1割が、全体にとって良い事を行う為ならば、犯罪を犯すことは許される、という論。 愛称が日本人にとっては紛らわしいので整理が必要。翻訳なのもあってか、表現が難解というわけではない。

    0
    投稿日: 2023.06.03
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    登場人物の議論や思想がとてもおもしろい本作ですが、これから読み始める人のためにアドバイスを書き残しておきます…… 「初めて出てきた人名は書き留めておくこと」 大抵一人の人間を表すのに2つ以上は名前が出てきます。しかも登場人物が多いのに推理小説ではないので紹介のまとめページがない。また血縁関係が無いのに名字が同じ人物が出てきた時にはもうえらいこっちゃでした。私のように横文字の名前が覚えられないという方は絶対にメモをすることをオススメします……

    4
    投稿日: 2023.03.28
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     ロシア文学の最高傑作と言われる「罪と罰」。長編かつ難解なので読むのに時間がかかった。主人公の動機が不純だと感じたので感情移入は出来なかったが、「悪を罰するのに一部の選ばれた者は罪を犯してもよい(それがいずれ正義となる)」という考えは、ドストエフスキーが投げかけた一つのテーマでもあるのだろう。  刑事との心理戦は正直長いと感じたし、罪に苛むまでの時間も悠長だと思ってしまった。とはいえ、ニヒリズム、社会主義思想、キリスト要素など沢山のテーマが散りばめられているのは流石だった。そしてヒューマニズムが失われることへの警鐘も。  最終的に愛の力(と言うと安っぽく聞こえてしまうが)が垣間見えたのは少し気恥ずかしかった。そこで救われるんかい!というのが率直な気持ちだが、教養のためにも読んでみてよかった。

    1
    投稿日: 2023.02.18
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    登場人物の名前が長い上に、愛称、フルネーム、苗字だけなど関係性によって名前がワラワラ出てくるので、この人誰?ってなることも少なくない。内容自体は至ってシンプル。どんなにくだらない人間だと思っても殺人はいかんよ、殺人は。

    1
    投稿日: 2023.01.22
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    たまには文学作品でもと思って手にしてみたが、国も時代背景も何もかもが違う物語になかなか感情移入出来ずに正直しんどかった。 ただラスコーリニコフが老婆を殺害するシーンは臨場感が素晴らしく引き込まれた。 とりあえず下巻に進んでみようと思う。

    1
    投稿日: 2022.12.14
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    時代背景が違うため、勿論考え方が違うけど。 人間としての葛藤は共感できる。 でもラスコーリニコフの葛藤に追いつこうとすると頭が破壊されそう。

    2
    投稿日: 2022.11.16
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    二回目の読了。 前回よりはスラスラと物語を噛み砕くことができたように思う。 極限の貧しさを知らない私には、ラスコーリニコフが行った行為と哲学と呵責に対してただの気狂いにしか見えないと、漠然とした感想が出てきただけだった。 しかし、ドストエフスキーの年表や、当時のロシアにおける時代的背景を調べ鑑みてみると、えてして眉唾でもないのかもしれないと末恐ろしくもなる。 我々は良い時代に生まれたものだ。その分、軟弱な人間ばかりになってしまったが。 ドストエフスキーの実存主義的な主題のもと、人間というものをえぐい程ほどストレートに表現する様に読む者は時に気付かされ、時に辟易させる。 読書とは、こういうことなのだ。

    4
    投稿日: 2022.11.14
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    カタカナの名前表記がなかなか馴染めず、長い正式名と略称が混在して人物像をイメージしにくいのはロシア文学の特徴なのでしょうか?いいところで上巻が終わったのでこれから下巻へ突入します!

    1
    投稿日: 2022.09.25
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    登場人物が多く正式な名前で表記されたり急にニックネームになったりで困惑するので整理しながら読むのが大変だった。評価は下巻を読み終わってしようと思います。

    1
    投稿日: 2022.07.05
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    ラスコーリニコフが老婆を殺すシーンは臨場感があって引き込まれた。悪いことをしたら、それをずっと抱えてることが辛くなる。仏教では、仏心と呼ばれる良心を誰もがもっていると考えるようだ。それに近いのかもしれない。

    3
    投稿日: 2022.04.18
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    第一章 貧困に苦しむ主人公は、廃頽的な生活の中、強欲な金利貸しの老婆殺害しその資産を社会に有効な活用をしようと計画、実行する。予定外にその妹も殺害してしまう。感情は昂るが、冷静な大罪をおかす。 第二章 犯した罪の発覚への恐れから、精神的に不安定となり、体調を崩し、犯行を仄めかすような行動もとる。酔漢の知人の事故に遭遇し、その哀れな娘と知り合う。 第三章 元々の性格でもあるが、精神的不安定さも加わり、心配してくれる、母や妹、友人らをも受け入れない。自身の能力に偏愛している。 そして、予審判事と彼の発表された論文「非凡人は、人類の救いになるなら法律を踏み越える権利を持つ」という思想から、スリリングな口論となる。 市井の貧しさ、アルコールへの依存度の高さ、社会主義制度への不満とか?上巻は、社会全般に反抗的な主人公の、現実と理想の落差というような感じでしょうか。 登場人物の会話が多くて、多くて。 この作品は、著者がお金が無くて、長編多作が必要で、口頭筆記させたとか。

    26
    投稿日: 2022.03.15
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    才能に恵まれたものは法や社会規範を逸脱する権利があり、1つの罪悪は100の善行によって償われるという極端な思想を持つラスコーリニコフ。生活に窮する中で歪な自己肯定に基づき強盗殺人を犯し、良心という己に内在する規範により断罪され、序盤から罰を受けているも等しい所が興味深い。

    1
    投稿日: 2022.03.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ドストエフスキーの後期五大作品のひとつ目の作品で、四十歳台半ばで書かれたらしい。言わずと知れた名作だけどこれまで漫画でしか読んだことがなかった。漫画ではさらっと流されているシーンにも、かける熱量が違う。迫力が違う。さすがドストエフスキーだと思った。 主人公・元大学生ラスコーリニコフは極貧にあえぎ、強盗目的で質屋の老婆とその妹を殺す。彼は自分で作った理論のもとに自己を正当化する。人々は凡人と非凡人に分けられ、非凡な人はその非凡を為すために障害を取り除く権利を持つ、というものだ。その理論によればたとえ殺害を犯したとしてもそれは非凡な偉人にとって取るに足りない微細なものだということになる。だが冷徹な切れ者の主人公にも良心があり、事件の後に苛まれることになる。善悪のはざまで揺れ動く主人公の複雑な心理を読者はたどる。普段は冷徹だが、善行を施すときは人情家みたいにもなる主人公。他者に救いを与える一方で、自身も救いを求めているところが人間くさい。主人公の周りの人物も魅力的だが、なかでもおせっかいな友人のラズミーヒンが微笑ましい。下巻はさらに面白くなりそうで楽しみだ。

    4
    投稿日: 2022.02.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    めっちゃ面白かった。「老婆を殺した主人公が罪の意識に苛まれる話」だと聞いていたので、序盤に老婆が死んだ時には「あちぁ〜もう死んじゃうのか、今後一体どう展開するんだ?」と思ったが、いや面白い。人物の内面とか情景、寝ている間にみた夢などの深層心理を見せる描写に加えて、会話や個性的な登場人物の見せ場も置いている。言い換えれば、テンポがいい会話劇を見ているような気分にさせたと思いきや、小説ならではの深くて尺をふんだんに使った内面の描写でも魅せてくる。そんな複合的な見せ方を心得た作品だという印象が強い。上巻の最後がとてもいいところで終わったので、続きが気になる。

    1
    投稿日: 2021.12.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人類は天才と凡人でできている 天才は法律を犯してもいい、それ以上に世界に貢献できるのなら。 天才だと勘違いしている凡人が法を犯す。  天才だから何してもいいわけない。偉くなったら態度悪くてもいいんじゃないって言う人いたけどそんなわけないと思う。地位が上がっても周りの人とか部下のために、お手本になるべき。 あなたがずっと苦しんでいるのはなんでですか。人の罰からは逃れられても、罪を犯したという苦しみからは逃れるのことはできないんです。  自分自身の良心の呵責のために自供するなんてすごく深い話だと思った。 神は信じないはずのラスコリニコフだが、服役している時に聖書を読む。 ラスコリニコフは金貸しの老婆を殺す。最初は罪悪感はなかった。証拠も消し、完全な犯罪を犯したため捕まらない。ポルフィーリというキレ者の刑事に諭され、自分の罪を犯してしまったという苦しみのために自白する話。

    1
    投稿日: 2021.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    殺人を犯してから、 精神が病的に蝕まれていく様が生々しい。 気分が躁鬱のようにころころ変わり、 開き直ったり、怯えたり、自嘲したり、 一貫性がないのが逆に現実的に思える。 人間に対する、各人の様々な主張が物語に厚みを出す。

    0
    投稿日: 2021.09.13
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    ラスコーリニコフの心の中の葛藤や独り言が長くて、個人的にはそのうじうじした感じが好き。彼は根っからの悪人ではなく、マルメラードフ一家や行きずりの少女になけなしのお金をあげたり、心優しい面もあって、ただプライドが高いのだと思う。いろんな人が語るラスコーリニコフ評はさんざんだが、このラスコーリニコフの内面が長々語られる小説にあってその客観評は効いてる。ポルフィーリイとの犯罪についてのやりとりが面白い。結局ラスコーリニコフは、自分が「ふみこえる」側の非凡人だと思って血をふみこえたものの、器が小さくて自分の罪に耐えられない罰を受けている。

    4
    投稿日: 2021.09.08
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    5年前、高校2年の時にはじめて読みました。そして現在、大学を退学し、今読まなければと実家に取りに帰りました。よくよく考えると主人公は「元学生」なわけで、半年前まで法学部にいたのですね。奇しくも境遇が重なり随分と感情移入できたように感じます。特に母親が重要で、これに関しては下巻のレビューに書こうと思います。 よろしければ動画もご覧ください https://youtu.be/uc9NRTEcAPY

    0
    投稿日: 2021.06.05
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    貧乏な元大学生が金貸しの老婆姉妹(妹は義理でまだ若い)を殺した後で様々な人たちと邂逅し心的変化を遂げていく文豪の代表作の1つ。 主人公であるラスコーリニコフは頭脳明晰ながらも傲岸不遜というか選民思想的な悪党で恐らくは「デスノート」の夜神月や「心理試験」の蕗屋清一郎の原型。 後の創作人物に比すると斧であっさりと連続殺人を犯すほどの非情さと知り合いになったアル中貧乏人の家族に有り金(自分で稼いだわけではない)を差し出す熱情さが入り混じった病的さが特徴的。 そんな彼の非凡人による権利主張の論文からプロファイリングしていく予審判事ポルフィーリーもかなり凄い。 ロシア人名に馴染みがないせいもあるが名前が分かりにくいのが難点。メインのラスコーリニコフにしてもロージャなのかロジオン・ロマヌーイチなのかごっちゃになる。(ロシアでは名+父称+姓で更に愛称もある)

    3
    投稿日: 2021.05.05
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    ラスコーリニコフが殺人をした後で罪の意識に怯える不安な心理状態が詳細に描かれている。ドストエフスキーは人間に対する観察眼が鋭いと思う。イワーノブナ、ソーニャ、ラズミーヒン、アレクサンドロヴナ、ソーネチカ、ナスターシャ等多くの庶民の生活がよく分かった。ロシア人の考え方も含めて。

    0
    投稿日: 2021.03.06
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    世界で有名な名作と呼ばれる作品を、人生で一度は読んでおくべきだ…という気持ちで読み始めた。 なかなか難しい。とにかく登場人物の名前が複雑すぎて相関関係を曖昧にしたまま進んじゃったし、台詞は長いし、主人公はずっと情緒不安定だし、読み進めてるうちに少々気が滅入った。 普通の神経を持った人間が人殺しをしてしまったら、こんな風になってしまうのか…という物語ならではの楽しみはあった。 続きが気にならないわけではないけど、下巻を読み進められる気力は自分にはなさそう。。

    7
    投稿日: 2021.03.06
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    字も小さいし、名前もコロコロ変わるし、分厚いしで三重苦でなかなか読み進められなかったけれどどうしても読むのをやめられなかった一冊。面白い、、、。 「上の層」の人間だからこそ、殺人を正当化する権利がある。とはいいつつも発作的に襲う罪の意識に全身が戦慄くほど追い詰められる。行為としては残虐だが殺人の正当性と良心の呵責の相剋に思い悩むラスコーリニコフは非常に人間味に満ちた共感しやすいキャラクターだったように感じた。

    8
    投稿日: 2021.02.26
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    ◯時代背景:推察 「隣人を愛せよ」共助→「功利性」個人利益追求へ 困ったら自分の上衣を脱いでかけてあげる、お互いに貧しいままだったよね。だけど農奴解放など社会変化に伴い、個人の利益を追求することが社会全体の利益に繋がるよねっていう時代に。「経済学」という正しい考え方をできるようになった万歳!ただ「社会の文化的階級の退廃」も問題に。昔は社会主義だったけど、それに懐疑的な人たちが若者を中心に生まれてきている状態? ◯犯罪に関する思想 「世の中には凡人(服従する側、世の中の大半)と非凡な人間(新しいことを発信する未来の支配者、ごく少数)がいる。非凡な人間には、自分の思想を叶えるためには人殺しの権利さえも与えられる」という過激な思想の持ち主。 ◯金遣いの荒さ 妹や母が身を削って稼いだお金を他の貧しい人に施すのは、自分で自分を責めることで一種の安心感を覚えようとしているからだと思う。また、どうしようもない自分を変えるほどの努力もできないから。 と思っていたけれど、金の隠し場所を見つけて気が大きくなっていたから。自分は大丈夫だろうとたかをくくっていたから。 ◯マルメラードフの死 自分の罪を告白し全てを終わらせようと社会的な死を覚悟したタイミングで、マルメラードフが死ぬ。その一方で自分は生きていると強く感じ、図々しくも生きていくことにする、自分の力を感じる。

    0
    投稿日: 2021.02.09
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    自分が生きてきた中で、一番、人を殺した時と近い気持ちになれた。 登場人物の会話が、少し大袈裟で好き。 下も楽しみです。

    3
    投稿日: 2021.02.05
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    鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。

    0
    投稿日: 2021.01.29
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    主人公の犯罪に対する哲学が好き。主人公が罪を犯すことによって彼の理論によって築き上げられた意志と人間性に潜む良心とがせめぎ合い、精神が崩壊していく様が徹底的に描かれている。

    1
    投稿日: 2021.01.14
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    名作巡りということでドストエフスキー。 ラスコーリニコフの心理描写が鬼気迫るものがあってハラハラさせられた。 登場人物が頭の中で交通渋滞を起こしているので、下巻を読む時には整理しておきたいな。

    0
    投稿日: 2020.11.04
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    とにかくみんな語る!酔っ払う!叫ぶわ怒るわ荒々しい。貧しくても病んでても、生きなきゃいけない辛さ。罪をおかしても、正当化と罪悪感の間を彷徨いつつ生活を続けなければいけないという現実。そういうのがドサドサと心に積み重なっていく。ドストエフスキーの文章すごい。 主人公の青年ラスコーリニコフには、上巻では全然共感できないまま。でも、本当に人生手詰まりになったら、ラスコーリニコフみたいになっちゃうのかもしれない、とも思う。 下巻でソーニャやスヴィドリガイロフとどう関係が進展していくのか...? ちょっと雰囲気に呑まれて頭がクラクラしているけど、引き続き下巻も読んでいく。  

    9
    投稿日: 2020.10.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【感想】 カラマーゾフは読めなかったが罪と罰は読みやすかった。サンクトペテルブルクの広場や通りの名前が出てきて懐かしくなった。 【あらすじ】 第一部 ラスコーリニコフは老婆アリョーナを訪れる。酒場でマルメラードフの話を聞く。翌朝母から手紙が届く。手紙には妹ドゥーニャが家庭教師をしていた先の家主スヴィドリガイロフのこと、ドゥーニャの結婚について書かれていた。外に出ると酔っ払った女と紳士の男がいた。妹の結婚には反対のラスコーリニコフ。飲食店でウォッカを飲むと、馬車の馬が叩き殺される嫌な夢を見る。 センナヤ広場で老婆の妹リザヴェータが明日19時に外出することを知る。飲食店に行くと大学生と士官が話していた。愚かな老婆を殺し、お金を奪って未来ある若者のために使った方が良いと言う。ラスコーリニコフはそれを聞いて斧を持ち出し老婆を殺害。部屋に入ってきた妹も殺害。老婆を訪ねた客コッホと若い男に気づかれそうになるも上手く逃走した。 第二部 ラスコーリニコフは夜中2時に起きたが、また10時まで横になる。警察に家賃滞納の件で呼び出される。壁に隠した老婆の財布を外の石の下に隠す。友人ラズミーヒンのもとを訪れる。高熱でうなされて、家に帰ると何日も寝ていた。ラズミーヒンが手形の件で彼の代わりに色々やってくれたらしい。老婆殺害の事件でペンキ屋が疑われる。ラズミーヒンと医者ゾシーモフはラスコーリニコフの看病をする。妹の結婚相手ピョートルが訪ねてきた。ラスコーリニコフが外へ出ると女が橋から身投げしていた。マルメラードフが馬に轢かれて死亡。ラズミーヒンの引っ越し祝いに行く。家に帰ると母と妹がいた。 第三部 ラズミーヒンとゾシーモフは母と妹に、ラスコーリニコフは大丈夫だと言う。ドゥーニャとピョートルの結婚に反対するラスコーリニコフ。ピョートルからの手紙には8時に訪れると書いてあった。そこでラスコーリニコフと会わせるつもりのドゥーニャ。マルメラードフの娘ソーニャが訪れ、マルメラードフの葬式に出てほしいと言う。8時の食事にラズミーヒンも行く。ソーニャが家へ帰る途中、見知らぬ男がつけていた。老婆に預けた品の件でラスコーリニコフとラズミーヒンは予審判事ポルフィーリイのもとを訪れる。ポルフィーリイはラスコーリニコフの凡人と非凡人についての論文を読んだことを話す。そこには良心に従って血を許すということが書いてあった。ポルフィーリイはラスコーリニコフにカマをかける。 ラスコーリニコフは約束の食事には行かず、家に帰ろうとすると町人がいて「おまえが人殺しだ」と言われる。その後スヴィドリガイロフが家に来た。

    2
    投稿日: 2020.08.20
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    読めないと諦めていたが挑戦した 色々な人の思いが交差してなかなか考えさせられました ラスコーリニコフはとったお金を使わず、困った人にお金をあげたり殺人を犯したことに病む所があり色んな思いを抱くなか、思い思われる人が現れて幸せだと思いました

    1
    投稿日: 2020.07.27
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    殺人を犯した主人公の思考や、登場人物の描写がとても細かい。 主人公の異様で、でもあり得そうな思考が特に丁寧に記述されている。犯罪に対する責め苦や、周りにバレるのではないかという恐れ、それによって一貫性のない言動を取る主人公。下巻でどうなるのか楽しみ。 自分にとっては展開がゆっくりだったり、説明が細かいため、少し読みづらさもあった。

    1
    投稿日: 2020.07.01
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    ロシアの文豪ドストエフスキー氏の代表作である。 以前から一度読んでみたいと思っていて、この夏ようやく目標が達成できた。 上巻の読みどころは、ラスコーリニコフが己の犯罪哲学についてポルフィーリイと議論を交わす場面である。 「人類は《凡人》と《非凡人》に分けられる。選ばれた少数の非凡人は人類の進歩のために現行秩序を踏みこえる権利をもつ。すなわち、殺人が正当化される」 老婆の部屋からの脱出を試みるシーンなどは、推理小説のような緊迫感があってとてもおもしろかった。 あと特筆すべきはやはり、登場人物の呼称が次々に変わるところ。主人公ラスコーリニコフは、他にもロジオン・ロマーヌイチ、ロージャなどと呼ばれたりして、誰が誰やら分からなくなる。 こういう小説を読んで、きちんとした感想文が書けるようになりたいものである。

    4
    投稿日: 2020.05.27
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    罪を犯した人の心が蝕まれていく描写がすごい。今罪を犯した人々は皆このような心情でいるのだろうか?ここから救われるためには、やはり一人では難しい。

    2
    投稿日: 2020.05.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何となく苦手意識がある洋書だけど、こまめに名前を書き取ったら思いの外スラスラ読めた。 常に衝撃的な展開でヒヤヒヤしながら読んでいた。特にポルフィーリィとのやり取りは濃くて、読み入ってしまう。凡人と非凡人の違いとか。すごく面白かった。 全体的にとにかく“訳あり”で、何だかなぁと思うことも多かった。報われないのだ、何もかも。そしてこの胸に残る凝りは、どれだけそれが罪だとしても、ラスコに似たような思想で決行してしまう例が今でもあとを絶たないからだろう。 まだ上巻なのでこれからどうなるのかとても気になる。楽しみという表現が正しいのかはわからないけれど、今はとにかく楽しみだ。

    0
    投稿日: 2020.04.22
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    初ドストエフスキーですが、思っていたよりは読みやすい。最大の難関はロシア人の名前です。ロシア人は本当にあんな長ったらしいフルネームで呼び合うの?

    0
    投稿日: 2020.04.12
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    再読。一人一人の人間の名前が同一人物なのに呼称がたくさん出てくる。コレがロシア文学なのか…いつ読んでも、難しい…しかし面白い。 もう罰は始まってるのか…。

    1
    投稿日: 2020.04.12
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    色々な小説に、この「罪と罰」は出てきます。 歴史的な文学なので、私に理解できるか不安でしたが、最近読んだ「グラスホッパー」にも、「人間の顔は食べづらい」にも出てきて、これから色々な本を読むにつれ、この有名な文学を読んでいたらより楽しめるのではないかと思いました。 「人の命を左右する人の話」によく「罪と罰」が出てくるような。 金のために金貸しの老婆とその妹を斧で惨殺した、主人公ラスコーリニコフの心の中の葛藤の話。 ラスコーリニコフはとにかく気持ちが錯乱する人で、分裂症か、解離性障害か、と思えば、頭がとてもいいので、冷静に分析している時もあります。 殺人後の後悔、正当化、開き直り、怯え、疑い。 途中自白するような事をしてみたり、どうにも理解できない言動をします。 私の頭の中の映像としては、舞台を観に行っているような感覚で読み進めていました。 あと、愛称?が複数あるので、名前をメモしないと、とても誰が誰だかわかりません。 こんなにメモしながら読んだのは「12人の死にたい子どもたち」以来でした。(名前のみで。) 今のところ、構えていたより筋が理解できているので、下巻、続けて読みます。 内容とは関係ないのですが、「罪と罰上下巻」を古本屋で購入したのですが、元の持ち主が、所々の単語に鉛筆で四角枠を囲っていて、(全体で5箇所程ですが)その単語になんの意味があるのだろうと、推理小説好きな私は、内容云々とは別の意味で気になって気になって、ここに書くまでに至りました。 この文学自体が有名なだけに、なんだか意味ありげな感覚に囚われております。 下巻にもあるのかな、、、笑

    8
    投稿日: 2020.03.30
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    罪を背負わざるを得なかったと言えるのか。 「人命は地球よりも重い」「ぬちどぅたから」疫病が蔓延し、教育が停滞している今日もそうだけど、人の命は何と測れるのか、何と比較されるのか、はたまたされないのか。 主人公の苦悩がありありと描かれているが、具体的に何に苦しんでいるかは描かれていない。自分がやったことの重みをどう考えればいいのかに悩みうなされていると思う。

    0
    投稿日: 2020.03.21
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    まずエンタメとして話が普通に面白い。主人公の心理がかなり生々しく描かれていてその臨場感が別格。凄くサスペンスさせられた。それに加えてテーマがしっかりと深く読み応え抜群。 一番好きなのはインテリどもの論議。頭良すぎだろって感じで意味はわからないのにずっと読んでいたくなる。

    0
    投稿日: 2020.03.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    父親は戦争と平和おすすめだが カラマーゾフは挫折したそうで 太陽の塔は地下室の手記が念頭にあったとのこと

    0
    投稿日: 2019.11.19
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    初めてこの本を手に取ったのは5年ほど前 マルメラードフの独白部分がとても屈折していて憂鬱になり挫折 (この頃は「ああ、これは無理!」と感じた 今となっては彼のアクも作品に生かされていることがわかるのだが…) でもドストエフスキーはやはり一度は読んでみたいとまた思い再読 ようやく海外旅行の長〜いフライトを利用して…(笑) マルメラードフを何とかクリアしたら、あれ? いけそう⁉︎ おまけに内容は決して明るい話ではないのだが、なんだかおかしいのだ ん? 面白いぞ… ヒトを騙したり、搾取したり、裏切ったり… まぁとにかくひどいことがたくさん出てくるのだが… それなのに何故かそんなにジメジメしてこない そして話が展開し出すともうあとは波に乗ってどんどん読み進められる 誰もが挫折しかける登場人物の名前 愛称も多くややこしく覚えづらいが登場人物自体は多くないのでなんとか(汗) そして登場人物たちが個性的でアクが強烈なので結構わかるものだ (紙に書いておくほうがわかりやすくておすすめだ) その個性たるや憎たらしいのも、鬱陶しい奴も、イライラさせる奴もたくさんいるのだが… (その代表が主人公である) あーら不思議 だんだん愛おしくなってくる すっかりドストエフスキーの魅力にハマってしまいびっくり 勝手なイメージしていたものとあまりにも違った タイトルから読みはじめまでは もっと重くて真面目な堅い内容かと… いえいえもっととっつきやすく親しみやすい小説でびっくりしてしまった 拍子抜け 肩の力を抜いて読めることに感激! この勢いで下巻へ

    25
    投稿日: 2019.10.20
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    読むのは今回で二回目です。一回目は人に勧められ読んだのですが、理解出来ず途中で断念してしまいました。何年か読まずにいたのですが、ふとまた読みたくなり読んでみると今回はとても楽しく読むことができました。 ラスコーリニコフが老婆を殺すシーンはとても生々しく臨場感溢れる表現で書かれていて本世界に引き込まれました。

    0
    投稿日: 2019.10.16
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    まず、この本を今から読もうとしているあなたへアドバイスがあります。 全てを理解しようとするのは諦めて下さい。 この本の何が難しいって、まず無理やり翻訳しているから遠回しな表現の連続にうんざりしてしまうこと、そして何より登場人物が全く覚えられないことです。そもそもの名前が長いのに、あだ名とかで呼び合うからもうわけわかめです。 「いま誰が誰と喋ってるの?」 この疑問が幾度となく襲ってきます。 つらなる長文の一言一句を理解しようとすると、挫折してしまいます。 でも大丈夫です。なんとなく話はわかります。きちんと読まないと自分が情けなくなると思いますが、後半になると徐々に話がわかってきますし慣れてきます。 名作と呼ばれるだけあってやはり話はおもしろいです。が、登場人物の誰一人として感情移入できないのでやはり辛くはあります。 前半を読んでいるとあれだけ読むのをやめたくなったのに、読み終わった今は「下も読んでみようかな」と思えています。

    11
    投稿日: 2019.10.13
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     物語序盤、主人公は幽霊のようにペテルブルクを彷徨い、歩き回ります。彼がこの様になったのは、大学を中退? して、アルバイトもやめて、社会との接続を断ち、下宿先の部屋に何ヶ月も篭った事が原因です。極度の貧困も関係しています。  作中人物同士が会話している所へ、別の人物が登場する場面が何回もありますが、都合が良すぎると思います。この手法だけでなく、作中度々暗示的な場面が出てきます。これらの目的の一つは、物語を面白くするためだと思います。  語り手は誰か? 語り手は主人公とどの様な関係か? おそらく主人公が起こした事件を素材にして、語り手が物語(フィクション)を書いている設定だと思います。語り手は、服役中か刑期を終えた主人公から、彼が起こした事件の詳細を聞いたのだと思います。作中何回か、「ラスコーリニコフがあとになって、この時の事を思い返すと~」のような表現が出てきます。作中には出てきませんが、「物語時間」より先に進んでいる、「第二の物語時間」が存在しています。語り手が誰かは上手く分かりませんでした。

    0
    投稿日: 2019.10.04
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    高利貸の老婆と偶然その場に戻ってきた妹の殺害シーン(134頁)。 文化的階級の退廃への警鐘(261頁)。 「凡人/非凡人」の区別、非凡人の「無法行為」の免責を説く論文(451頁)。

    0
    投稿日: 2019.09.22
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    ロシア文学の特徴らしいが、セリフが長い。とにかく長い。しかも狂人の独り言のようなセリフが続くので、読むには忍耐力が必要。

    0
    投稿日: 2019.09.12
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    序盤マルメラードフの長台詞の悲惨さと長さにげんなりしたがラスコーリニコフが金貸しのアリョーナ・イヴァーノヴナを殺害するシーンは驚くほど真に迫っていた。 まるで今ここで殺人が行われているかというほどの臨場感だった。 殺人を犯す前からラスコーリニコフの精神状態は異常であり躁鬱の気があるのか突拍子もない行動・言動が多かった。 それが、殺人後はますます増えていき、全く理解し難く理性的でないそれらの行動についていけなかった。 ページをめくる手どころか本を開くのも億劫になった。 結果として上巻を読み終えるのに3ヶ月近くかかった。 ドストエフスキーは心理を描く作家らしいが、これが一人ラスコーリニコフだけでなくとてつもなく長い台詞や手紙を通して関わった人々の心理の襞を丁寧に描写していくため、人物の心理に入り込んだり分析するために、ある程度準備のようなものが必要で、その分読むのに時間がかかる。

    0
    投稿日: 2019.08.24
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    とにかく 登場人物がわかりづらい。 3度目のトライにて やっと上巻読破。 下巻に続く。

    0
    投稿日: 2019.08.15
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    異常に面白い…。 以前読んだカラマーゾフの兄弟よりは多角性はないが、全体を包む緊迫感は素晴らしいものがあり、ページを繰る手を止めさせない。

    0
    投稿日: 2019.08.14
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    『地下室の手記』を、主人公の自己開陳が延々続くのが嫌になって途中放棄したことがある。 それよりはずっと有名な本作だけれど、冒頭のラスコーリニコフの様子から嫌な予感がした。 また『地下室の手記』のようになっているのではないかと思ってページをめくっていった。 結果として言えば、この小説を救っているのはラズミーヒンだった。 彼がいることで、ラスコーリニコフとは別の新しい視点が生まれ、また彼の行動をも活発にして、小説としての強度を上げている。次巻が楽しみ。

    1
    投稿日: 2019.07.30
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    私ならば、私がやるのであれば、 どんなに無謀に思えることでも自分だけは特別で、それをやり遂げることができるのだと思う気持ちは誰しも抱いたことがあると思う。理不尽さを含めて何度も噛み砕いて読み直したいと思う。

    0
    投稿日: 2019.07.18
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    ドストエフスキーから一冊選ぶのは難儀しましたね。他には『カラマーゾフの兄弟』、『悪霊』、『地下室の手記』が候補でした。 エントリーしてから、「『罪と罰』を選んだのは思い出補正だったかも?」と思いましたが、まあいっか。 天才は人を殺しても許されるみたいなことを豪語しときながら、ババア二人殺したくらいであたふたしてるラスコーリニコフの小物っぷりがいいですね。

    1
    投稿日: 2019.07.07
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    貧困な環境こそ悪の蔓延る温床となり得ることを根底に置きつつ、そんな中で犯罪に手を染める主人公を描く。人生の方向性を見失い捨てばちになった主人公ラスコーニコフは殺人を犯し、更に混沌の中に身を投じるが、文無しのマルメラードフの死に際に全財産を投じ献身的に家族を救うことで一転、生への執着を覚えることになる。 そもそも殺人の動機についても他の人々を救済することが目的であり、歪んだ使命感からくるものであることが終盤のポルフィリーのと論争でより明確になっていく。その闘争から主人公のインテリと潜む狂気が顕になる。 主人公の殺人とその後の奇行にはらはらしながらも読み進めつつ、登場人物たちのちょっとした心の襞を繊細に描く筆力に感心する。また、気持ちの入った激した会話、相手を罵る表現などにも面白さがある。相手を罵る言葉など、 同一人物でも何通りかの呼び名があるので混乱して読書の妨げになるので、多少のネタバレは覚悟しつつネットに公開されている人物相関図を手元に置き、参照しながら読み進めることをオススメしたい。相関図さえあればそんなに難しい内容ではない。物語の時代背景の知識があれば更に楽しめそう。

    0
    投稿日: 2019.06.10
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    名著と呼ばれているため読んでみたが難しかった。それは登場人物の名前や関係性といったものがごちゃごちゃしていたからだと思う。 後半からは割と話が進んできて面白くなってきた。下巻が楽しみ。

    4
    投稿日: 2019.01.16
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    上巻の登録者6000人に対して下巻の登録者4000人。ここまで読んで辞めた人もいそうだけど、ここで辞めたら永遠に晴れない気がするんだけど

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    投稿日: 2018.11.13
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    ただひたすら長い。何度か挫けそうになったが何とか上巻を読む。日本人にとっては登場人物の名前が長すぎるのと一人に対してあだ名が複数あって特に断りもなく出てくるので、わかりづらいったらありゃしない。 殺人者や周囲の人間の心理描写は、刑事コロンボや古畑任三郎のように初めから犯人がわかっているミステリーもののような感じでぐいぐい引き付けられるのは確か。ただこの本を読む間に他の本を何冊も読めるので下巻は時間を置いてから読むことにする。

    1
    投稿日: 2018.11.03
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    「少年少女世界名作全集」で読んだっきりとか、粗筋は知ってるけどでちゃんと読んだことないとか、自分の「死ぬまでに読まないとリスト」に載っている本が沢山あるのですが…そのなかの一つにやっと着手。 ロシア文学を読む場合は、愛称と立場をある程度予測しておくと混乱しない。 自己流ロシア名を覚える三原則。  ①個人名+父称+苗字  ②愛称や名前の縮小がある。ロジオン→ロージャ  ③名前も苗字も、男性名と女性名がある。 主人公一家。  兄「ロジオン・ロマーヌイチ(ロマーンの息子)・ラスコーリニコフ(男性姓)」愛称ロージャ、  妹「アヴドーチヤ・ロマーノヴナ(ロマーンの娘)・ラスコーリニコワ(女性姓)」、愛称ドゥーニャ  母「プリーヘヤ・アレクサンドロブナ(アレクサンダーの娘)・ラスコーリニコワ(女性姓)」 お互いの立場や年齢、関係性や親しさにより呼びかけが変わります。  ロジオン・ロマーヌイチ→きちんとした呼びかけ  ロージャ→愛称。親しい呼びかけ。  ラスコーリニコフ→客観的な呼び方?作者は本文でこの名で書くことが多い。 では登場人物も多いので、主人公一家以外の主要人物を書き出してみよう。 マラメードフ一家  セミョーン・ザハールイチ・マルメラードフ⇒飲んだくれ  カテリーナ・イワーノヴナ・マルメラードワ⇒マルメラードフの妻。  ソフィヤ・セミョーノヴナ・マルメラードワ (ソーニャ、ソーネチカ)⇒マルメラードフの娘。 被害者姉妹  アリョーナ・イワーノヴナ⇒高利貸しの老婆。  リザヴェータ・イワーノヴナ⇒アリョーナの異母妹。 警察関係  ポルフィーリー・ペトローヴィチ⇒予審判事。 友人知人など  ドミートリィ・プロコーフィチ・ウラズミーヒン(通称ラズミーヒン)⇒ラスコーリニコフの大学時代の友人。  アルカージイ・イワーノヴィチ・スヴィドリガイロフ⇒ドゥーニャが家庭教師として務めていた家の主人。私は彼の名前が憶えづらく、「ビーフストロガノフさん」と密かに呼んでいる(笑)  ピョートル・ペトローヴィチ・ルージン⇒ドゥーニャの婚約者。 よしこれでばっちり、さあ始めよう(笑)。 貧しい元大学生ラスコーリニコフは高利貸しの老婆、アリョーナ・イワーノヴナへの殺人計画を胸に秘めています。 ラスコーリニコフは「世の中には”凡人”と”非凡人”がいて、非凡人は自らの良心が法律を超えるのではないか」「殺人が発覚するのは犯人自らの行動のため。信念があれば発覚などしない」とかなんとかいう理論を持っています。 貧乏のどん底でありながら変に誇り高く、不穏な心境いあるラスコーリニコフは、たまたま耳にした「一つの微細な罪悪は百の善行に償われる」「選ばれた非凡人は、新たな世の中の成長のためなら、社会道徳を踏み外す権利を持つ」という討論を聴いたり、翌日の晩高利貸しのアリョーナは1人っきりになると知り、 やはり高利貸しアリョーナを殺し溜め込んだ金品を善い行いに使うならその方が良いだろう、との考えが頭から離れません。 そして翌日の晩。 ラスコーリニコフは、アリョーナ・イワーノヴナを訪ね、彼女に向かい斧を振るいます。 しかしたまたま早く帰ってきた義妹のリザヴェータも殺さざるを得なくなり、ラスコーリニコフの心は乱れます。 独自の理論と良心を唱えた殺人を実行しながらも、ラスコーリニコフはこの殺人をもって「善行は犯罪に勝るんだから、高利貸しを殺して遺産を善行に使うことは善」という理論を進めようとはしません。奪った金を使うことも施すこともせず石の下にひっそり埋めます。 そしてただ熱に浮かされ町をうろつき、知人と揉めて、さらには自分が犯人だと仄めかすかのような態度をとります。 …読む前のイメージでは、毅然として殺人に向い、貧しいながらも自分ながらのプライドと論理は揺らがないかと思っていたのですが、実際読んでみたらかなり揺らぎまくりでした。 さて、このころラスコーリニコフの妹のドゥーニャには縁談が持ち上がっています。 ドゥーニャは、家政婦として勤めていた家の主人、アルカージイ・イワーノヴィチ・スヴィドリガイロフに言い寄られていたことで悪い噂を流されましたが、その誤解も解けて貞淑で賢い娘、として評価を挙げていたのです。 そこに目を付けたのが、ピョートル・ペトローヴィチ・ルージン。 自分が貧しい身分から勤勉により地位向上してきたため、上流社会に参加しようとして、そのために貧しく評判がよく賢く、そして自分より立場が低い、一生自分に頭が当たらず自分を立てる娘と結婚しようとしたのです。 …えーっといまでいう「モラハラ亭主」というか、封建社会の小説だとこういう人物はかなり多いな。。貧しい家の娘には断ったら一家ともに生きられないので、断るすべも無し。(しかしいまでも「うちの旦那がそのタイプ!」と答える奥さん衆は結構いるような気がするが(苦笑)) ドゥーニャは、自分たちの母、プリーヘヤ・アレクサンドロブナと、共にラスコーリニコフを訪ねます。 ラスコーリニコフには、学生仲間で同じく貧しいが面倒見のいいラズミーヒンをはじめとする友人知人がいて、彼らが集っているところに妹の求婚者、ルージンが現れます。 ラスコーリニコフ達と、ルージンは、会ったとたんに激しく反発しあい、縁談は破断に向かいます。 さて、街を彷徨うラスコーリニコフは、酔っぱらいのセミョーン・ザハールイチ・マルメラードフが馬車に轢かれて絶命する場所に居合わせます。 このマルメラードフとは、ラスコーリニコフは殺人の前に出会っていたのです。 貧困のどん底でも酒に負けて家族を顧みず、まだ若い娘のソーニャが娼婦になってまで家族を養おうとするその金さえも呑んでしまいます。 マルメラードフの死に立ち合い、ソーニャとの邂逅により、彷徨っていたラスコーリニコフの精神は新たな光を見出したような状態に。 …子供のころ「小学館世界名作全集」ではソーニャは「貧しい娘さん」だったが、元は「娼婦」…ってそりゃそうだよね。。 この子供向けの名作全集で読んで覚えているのはソーニャの「あなたが汚した大地にキスを」で、道に跪くラスコーリニコフの挿絵。まあこの場面は後半だろう。 さて、上巻終盤では、ラズミーヒンの遠縁である予審判事ポルフィーリー・ペトローヴィチと、ラスコーリニコフの心理戦第1弾。 犯罪論、精神論を繰り広げて互いの手の内を探る二人。 この殺人の顛末は、ラスコーリニコフの彷徨う精神の行き着く先は… *** とりあえずのまとめ。 ロージャくん、そういうの鬱っていうんじゃないかい、とりあえず朝起きて飯食って働いて寝ろ!!とちょっと思った…。 ペテルブルグの下級貧困者の生活は匂いたつ様相。 自力ではどうにもならない生活を送るしかない人たちは、神への信心や自分の良心の在り方、お互いの支え合い(借金踏み倒し合い)などで、「御心のまま」に生きようとしています。 ポルフィーリー・ペトローヴィチとの心理戦や、終盤に登場した思わせぶりな町人の存在は、面白いことが始まった!と続きへの期待が増しました。 下巻。 https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/410201022X

    28
    投稿日: 2018.10.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今読んでも衝撃的な内容で、善悪の新しい見方を提示してくれる。まさに金字塔ですね。 そして、登場人物が全員どこか欠けていて、愛おしかった。 どんなダメ人間にも美点や愛せるところがあって、これもまた人間賛歌だなと思った。 犯罪や善悪についてかなり深遠な議論してて、さすが名作文学。 哲学的でキレキレの名台詞たちに痺れます。 最後に救いがあるのも良いなあ。 許すことの尊さについて考えさせられた。 ラスコーリニコフの選民意識的な思想は、デスノートのキラに似てるとも思う。 それにしてもロシアの名前って覚えづらい上に、呼び名が複数あるため、だいぶ混乱した笑 ドストエフスキー自身が投獄された経験があるためか、心に迫る切実さがあった。 当時のロシアについても、もっと知りたいと思いました。

    1
    投稿日: 2018.04.23
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    今月の初め、古稀を目の前にしてドストエフスキーの傑作《 罪と罰 》を完読した。わたしにこのような意欲と集中力をいまだに授けていて下さる神に感謝したい。 多くの人が知りながら、なかなか手のつけられない大部の小説で、文庫本にして1200頁程ある。《 罪と罰 》というとなにやら難解で哲学的な内容のとっつきにくい小説と思われているが、読み始めてみるとさにあらず何と流麗で読みやすいことかと驚かされる。今読んでもちっとも古くないし現代小説を読んでいるのと同じという感想を持たせる。 物語の舞台は19世紀中ごろの古都サンクトペテルブルク。その夏の二週間程の間の出来事である。元大学生ラスコーリニコフは薄汚く天井の低い狭い屋根裏部屋に下宿していた。彼は頭脳明晰ではあるが鬱屈したニヒルな性格の持ち主である。貧窮していて質入れのため弊衣破帽のまま外出する。都とはいっても当時は悪臭漂う家々が連なりいかがわしい店もあった。彼がふと入った酒場で質入れして入手したなけなしの金で飲んでいると元官吏の男と出くわした。彼から後妻と三人の子供、それに家計を助けるため娼婦となっているソーニャの話を聞かされる。ここがその後の物語の展開にかかわる重要な場面となる。ラスコーリニコフはかねてから強欲で虫けら同然とみなす質屋の老婆を殺害することを企てていた。ちょうどいい計らい時が訪れたと断じ、彼は老婆とそして予期に反して居合せたその義妹を殺害してしまう。首尾よく逃げおうせたものの、それからは罪の意識といつか司直の手に落ちるのではないかと戦々恐々とする。いわば生き地獄の様な心理状態である。 わたしは長々とストーリーを追うつもりはない。核心となる重要なポイントが掴めれば幸いであると思っている。 ある夜更け、街角でくだんの元官吏、ソーニャの父が事故で死にそうになる場面に彼は偶然居合わせる。家に運ばれるが助からない。ラスコーリニコフは母が送金してくれた金を葬儀代にとすべて未亡人に与えてしまう。そういう優しい面も彼は持ち合わせているのだ。 同じ頃、彼の母と妹が上京して投宿していた。ラスコーリニコフは殺人事件以来、精神病やみの様になっていた。それを彼の友人たちが懸命に支えた。それと妹と婚約していた卑劣な俗物弁護士の横柄さに婚約は解消された。 またラスコーリニコフを老婆殺しと嫌疑をかける予審判事の三度にわたる追及は鬼気迫るものがある。その根拠としているのが彼が以前ものした論文でそれに予審判事はこだわる。ここがこの小説の核心部分となるのかもしれない。その論文の論旨は『一つの悪事は百の善行によって償われる』、つまり正義のためには凡人は殺しても構わないとした彼のある意味独創的ではあるが選民思想的な傲慢極まる論理に依拠する。 これら何れの場面もいつ果てることもなく延々と叙述されるのである。これもこの小説の特徴の一つである。 ここで一つ不満を述べさせてもらいたい。ソーニャがラスコーリニコフに所望されて聖書を読んで聞かせるところは感動的であるが、いわば彼にとって聖母マリアにも相当する彼女の描写がそれほど多くないことである。ラスコーリニコフが初めて罪を告白したのはソーニャへであり、彼に自首を促すなど重要な役目を果たしたのも彼女である。 エピローグでシベリアに流刑されたラスコーリニコフについて行き身の回りの世話をするのは彼女である。互いに手を取り合って残る刑期を指折り数えて待つ彼らの姿は美しい

    2
    投稿日: 2018.04.04
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    再読です。 二度目のこの本あっという間でした。 マルメラードフの話が好き。 ((飲んだくれでも無視されないのが嬉しいんだよ)) この発想は面白いと思いました。 たぶん共感する方、割といるかと思います。 この作品は、ラスコーリニコフの老婆殺しの罪と、その苦悩の罰に焦点を当てているが、実はそれだけではなく、登場人物全ての罪と罰が細かく描写されていて、なかでも予審判事ポルフィーリイとの対決はかなりの読みどころだと思います。ルージンのゴミッカスな罪も、ある意味読みどころかと思います。 ドストエフスキーは二度目が良いと聞き齧っていましたが、とても良かったです。

    1
    投稿日: 2018.03.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『選ばれた者は大義のために人を殺しても構わない』 そんな考えに取りつかれたラスコリ―ニコフ。 綿密な計画は想像ほどはうまくいかない。 自分に容疑がかかることへの恐れ、罪悪感、予想もしていなかった事態に憔悴していく。 一人の男の熱病と破滅に周囲の多くの人が振り回される。 そんな中でも、不幸な境遇で娼婦に身を落とした可憐な娘ソーニャとの出会いが印象的。 憐れまれ、崇拝され、愛されながらも、彼女が地獄の穴の底に落ちることを誰もが望んでいる、という「同情」の残酷さというものも描かれていたように思う。

    0
    投稿日: 2018.02.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

     主人公のラスコーリニコフは、自身の生活や経験から、頭脳と精神の強固な者だけが、人々の上に立つ支配者となり、多くのことを実行する勇気のある者が誰よりも正しいと悟った。そして、歴史が示しているように、人類の進歩のために新しい秩序を作るために現行秩序を踏みにじる権利は、物事を勇敢に実行する(善の大きな目的のためには、ちっぽけな悪には見向きもしないで踏み込む)者のみに与えられるという信念の下で、自分にその資格があるか試すために敢然と金貸しの老婆を殺害する計画を実行した。 最後まで逃げ続けよう、自分のことを疑っている奴らには決して屈服しないと考えていたラスコーリニコフであったが、その計画を実行する前後には、ラスコーリニコフは、犯行に対する不安や危惧、また、家族をはじめとする周辺で起こる出来事やそれに対する懸念などが相まって、何日も頭を痛めることになった。これは、ラスコーリニコフは、ナポレオンにはなれなかった、すなわち、権力を有するに相応の天才ではなく、ただの愚かな卑怯者に過ぎなかったことを示すものであり、彼もそのことを悟るに至る。また、知り合った退職官吏の娘であるソーニャの決して嘘をつかない真っすぐな生き方、自他を問わず不幸を受け入れようとする生き方に心を打たれ、最終的には自らが犯した犯罪のすべてを自白する。  本編は全7部からなっており、1000ページを超える長編となっていること、登場人物が多く、時には名前が略されて述べられることなどから、読み切るには相当の根気が必要である。ただ、読み継がれている世界的巨匠の作品というだけあって、秀逸かつ独特な点がいくつもあった。例えば(これは、『罪と罰』に限らず、ドストエフスキーの作品に共通するのかもしれないが)、登場人物たちがかなり雄弁であり、現場の緊張感や当時の風俗のリアルがひしひしと伝わってくる。また、多くの小説では排除されている主人公以外の者たちの事件には直接関係のない会話や心境等が細かく記述されていることで、特異な状況(殺人犯、偏執狂)にある主人公とそれ以外の人物のそれぞれの時の流れや緊張感をリアルに感じられたと同時に、犯人の犯行前後の行動には様々な出来事や出会いが複雑に絡み合っているということを実感させられた(この作品を読んだ後では、通常の小説は、事件以外の時間をあまりにはしょりすぎて、現実からやや乖離しているといえるのかもしれない)。  まとめると、本編は、罪を犯してしまったラスコーリニコフの罰ともいえる苦悩と戦いの物語である。ドストエフスキーは、理性による改革は失敗するということ、愛は人間の意思決定に介入し、行動を変えさせる力を有するということを示したものと考えられる。

    0
    投稿日: 2018.01.03
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    「青春時代に読んで、胸にじいんとした」という教授の言葉を聞いてからずっと早く読まなきゃと気にかかっていた本。 思っていた以上の読みやすさ。おもしろさ! 文章は会話文が続くからといって必ずしも陳腐になるわけではないのだと知る。おもしろさの中に思想や思考の深さが滲み出ている。 ラズミーヒンがたいへんかわいい。

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    投稿日: 2017.10.31
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    10年以上前に「カラマーゾフの兄弟」で挫折して以来、なんとなく敬遠していたドストエフスキーの本をついに読んでみることに。 「カラマーゾフの兄弟」のときと同じく、登場人物の名前や愛称を覚えきれなくて挫けかけたけど、登場人物名や愛称でググると役職やら立ち位置が何だったのか思い出すことが出来て、なんとかストーリーについてけた。 最初の方はラスコーリニコフの葛藤と行動にイマイチ整合性が感じられなくてついていけていなかったけれど、次第に彼を応援したくなり始めてからは、もうページを繰る手が止まらなくなってしまった。 下巻でどう展開していくのか予想もつかない。 ところで裏表紙のあらすじ、本文を読み終えてから読んでみるとちょっと内容違うような……。そこを特に気に病んでる様子は無かったよね?

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    投稿日: 2017.10.21