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帰ってきたヒトラー 上
帰ってきたヒトラー 上
ティムール・ヴェルメシュ、森内薫/河出書房新社
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総合評価

64件)
3.9
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    ヒトラーといえば冷徹な化け物のような印象だったがこの本では心細さを感じていたり、とにかく人間味がすごかった。当時の人が化け物に投票したのではなく魅力があり強い推進力を持った希望を託せるような人物に投票したという点が理解でき、自分が投票する際も人間的魅力だけに流されないよう気をつけないといけないと思った。

    0
    投稿日: 2025.08.27
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    ヒトラーはベジタリアンで、ドイツとドイツ人のことを真剣に考えていた。その国粋主義の愚かさゆえ、致命的な失敗を犯したのか。下に続く。

    0
    投稿日: 2025.07.26
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    ※ネタバレ感想は下巻に書きます※ ヒトラーが突如として現代に蘇り、しかもコメディアンとして人気を博す!というドイツの異色のコメディ小説! 作者のティムール・ヴェルメシュは、大学で政治と歴史を学んだジャーナリスト(作中でヒトラーに「ジャーナリストなんてクズだ!」と言わしめていたの、爆笑しました!)。ヒトラーの『わが闘争』『独白録』などの書籍も参考に、ヒトラー目線で描く物語は、面白くて恐ろしい。なにが恐ろしいかと言うと、ヒトラーが段々と、魅力的な人物に思えてくるところが…。脚注が豊富で、しかも内容も面白くて(実際にヒトラーが『独白録』でこう言ってた...とかとか)、ドイツの歴史や政治をよく知らなくても楽しめるところもオススメです! マライ・メントラインの解説も秀逸。ドイツ、ひいてはヨーロッパでは、反射的に反ナチス・反ヒトラーの態度を取ることが当たり前とされている、しかし、そのような態度では“いわゆるネオナチのようなごろつきたちには対応可能だろう。しかし「ホンモノ」が現れてしまったらどうなのか?”(下巻P.272)と問いかける。これは本当にその通りだと思っていて、第二次世界大戦の盟友国・我が日本でも同じようなことを感じます。私達は条件反射的に反戦、反戦と叫ぶけれど、先の戦争に至るまでの過程についてあまりにも無知(少なくとも学校の社会科では、受験に出ないからと、適当に流されちゃいますよね)。どのような状況下で、どのように開戦に向かったかを知らなければ、いつのまにか同じ過ちを繰り返してしまうのではないか、と不安を覚えました。 ところで『帰ってきたヒトラー』は映画にもなっていて(実はこっちを先に観ました)、撮影秘話がこれがまた、めっちゃ面白いです! 【参考】 ヒトラーの格好にドイツ市民はどう反応したか? 『帰ってきたヒトラー』主演俳優インタビュー|Real Sound|リアルサウンド 映画部 https://realsound.jp/movie/2016/06/post-2024.html 主演の俳優さん、ネオナチがデモやってるところにヒトラーの格好して突っ込んで大騒ぎになったんだとか(^o^;。俳優ってすごいっすね。

    8
    投稿日: 2025.06.26
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    映画を見たので原作を読んでみた。映画とは内容がずいぶん異なっている。(サヴァツキは利発な若者ということになっているし) 映画とは違ったオチが待っているのか、下巻が楽しみ。

    0
    投稿日: 2025.01.05
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    以前映画を観て、気になっていた原作をようやく読んだ。 映画はもう何年も前に観たきりなので細部の記憶に自信はないが、原作と映画は、エンディングも含めかなりストーリーもテイストも異なるようだ。 映画では、勘違い野郎の主人公と、次第に彼に熱狂し始める大衆を冷ややかに笑いながら観ていたと記憶するが、本原作では、現代社会を批判的に見る主人公の目線に共感し、挙句の果てに、つい主人公そのものに共感してしまいそうな自分に気づいて恐ろしく思う。 もちろんそれはアドルフ・ヒトラーその人ではなく、あくまでも本作の主人公であり実在しない人格なのだが、まるで映画で描かれていた熱狂する大衆の中のひとりになってしまったような怖さ。 ついでに言うと、怖いもの見たさで「我が闘争」を読みたくなっていることもちょっと怖い。

    1
    投稿日: 2024.04.29
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    ヒトラーが現代に蘇ったファンタジー。いろいろとユーモアたっぷりで、史実を知っていたらより楽しめるのだろう。パターンが同じ感じになってきて、下巻の途中でやめている。

    0
    投稿日: 2024.03.11
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     ヒトラー?あの、アドルフ・ヒトラー!!スリラーかと思いきや、そうでない。現代社会で浦島太郎のような体験をしているようです。現代社会をもし、ヒトラーが体験したとしたら?  私から、一言二言。電車で読まないほうがいいかもしれません。ヒトラーの皮肉センス、鋭くて笑えました。

    8
    投稿日: 2024.02.19
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    2011年の世界の、ドイツの常識を1945年のナチスドイツの常識で解釈しようとすることによって起こる齟齬、みたいな下りが繰り返されるのだけど、自分の世界史や2010年頃のドイツに対する知識が足りないせいで面白さが分かりきれていないのが何とももどかしい。 現代に復活したヒトラーの奮闘ぶりに思わずソートー頑張れ!なんて無邪気に思ってしまうので、ナチズムとかホロコーストとか改めて調べてバランスを取らないと

    0
    投稿日: 2024.02.06
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    ヒトラーが現代にきたらどうなるのかをコミカルに描く。 ヒトラーにざっくりとした知識しかない私だったが、詳しく知っていたらもっと面白いのだろうなぁと読みながら感じた。 戦争をしていた時代と現代との価値観によるギャップと、その中でヒトラーの持つ価値観を通していくという内容が面白い。 読み進める中で自分というものについて、改めて価値観を考えてしまった。

    5
    投稿日: 2023.05.20
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    現代にヒトラーが降臨。 茶化してよいのか、笑って良いのか。史実すらも信用ならないヒトラー像。 コミカルな展開に導かれるがまま上巻終了。 帰ってきたヒトラーはインターネットの世界に足を踏み入れることに…。 下巻へ。

    18
    投稿日: 2023.02.25
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    現代にひょっこり現れたヒットラー。何かのパフォーマンスと思う人々の勘違いをそのままにテレビの寵児になっていく。その演説内容は意外と府に落ちるところもあって、噛み合わない会話が機能している面白さ。ただドイツの歴史にもう少し詳しければもっと楽しめただろう。

    1
    投稿日: 2022.05.12
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    上巻を読み終わって下巻を読めば物語が見えてくるかな?と淡い期待をもって読み始めた。だがしかしでした。 こんなんで、どうして過去の時代でヒットラーは総裁にまでなれたのだろうか?作者はヒットラーを揶揄していてこんな自分勝手でおかしな人だったと言いたかったのか? 世界史の授業では独裁者のイメージしかない。もっと勉強すればわかってくるのだろうか?うーんそこまで勉強する気が起きない。 物語は途中な感じで終わりました。今後のヒットラーはどうなるか読者の想像に任せるということでしょうか。すっきりしない。

    0
    投稿日: 2021.10.03
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    クソつまらん。 映画化されたからという期待と、下巻でなにか凄い事が起きるであろう という期待で我慢して読んでみたが、まるっきし頭に入ってこなかった。 そもそもヒトラーの基本知識がゼロなので 注釈で出てくる色々なことに対して、何も感じることがなく クスリともできなかった。 エピソード

    0
    投稿日: 2021.06.28
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    ヒトラーが時代を超えて現代に突如現れるという話。現代の生活に順応していくヒトラー。周囲の人間も本物だとは思っていないが、彼の人間性に徐々に魅せられていく。ヒトラーがYouTubeでアクセス数70万回超えとか、ちょっと映像で観てみたい。訳が上手いのだろうか、スラスラ読めて、最初からストーリーに入り込める。後半の展開に期待。

    17
    投稿日: 2021.05.24
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    ヒトラーが突如、現代に甦った!周囲の人々が彼をヒトラーそっくりの芸人だと思い込んだことから勘違いが勘違いを呼び、本当のコメディンにさせられていく。その危険な笑いで本国ドイツに賛否両論を巻き起こした問題作。本国で二五〇万部を売り上げ、映画は二四〇万人動員、世界四二言語に翻訳された空前のベストセラー小説の待望の文庫化。著者による原注付き。

    0
    投稿日: 2021.01.27
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    もしヒトラーが現代のドイツに蘇ったとしたら、、という設定の仮想小説。復活後戸惑いながら日常生活をしているヒトラーが、ひょんな流れからテレビ番組のディレクターの目に止まり、お笑い芸人としてデビューすることに。その過激な発言が(本人の意図とは別に)ブラックジョークとして視聴者に受け、国民的人気を得る。マスコミも味方につけ、ふたたび政治家として一歩を踏み出そうとするところで小説は終わる。 著者によるとドイツではヒトラーをコメディの題材にすることは大タブーであり、本書も多大な批判にさらされながら刊行されたそうだ。作品中でも、お笑い芸人として人気を得たヒトラーに対し、「お前がしているのは芸ではなく人種差別的政治活動だ!」というような批判がされていたが、本書の発売においても同様の「政治的正しさ」と「表現の自由」をめぐる議論があったもよう。そういった「表現の自由」をめぐる論点とは別に、ヒトラーがふたたび国民的人気を得るということそのものが、戦後ドイツにおいて重大な意味をもち、また社会に対する大きな挑戦であるとも言えるのだろう。現代社会を痛烈に罵倒するヒトラーはたしかに刺激的で魅力ある人物のようにみえるし、それだけでもこの小説を読む価値はあると思う。しかしその他の内容には中途半端な部分が多く、いささか尻すぼみな感じで最後まで読み終えてしまった。

    0
    投稿日: 2021.01.03
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    ヒトラーがタイムスリップして現代ドイツに現れたらという風刺映画。ヒトラーはコメディアン扱いでテレビに登場して沸かせるが、とても面白いのは、現代ドイツにおける行き過ぎたポリティカル・コレクトネスに反発する形で共感を得ていく。ヒトラーは民主主義で選ばれたことを強調するが、ポリティカル・コレクトネスが行き過ぎて息苦しくなると、扇動の余地が出てくるということも表現している。現代ドイツの世情(行ったことが無いから見たことが無い)が理解できるのも秀逸な点。別の文化・社会の話なので完全に理解できたわけでは無いが面白かった。

    0
    投稿日: 2020.10.15
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    もしも、ヒトラーが現代にタイムスリップしてきたら? ヒトラーの時代や思想への批判やツッコミだけでなく、翻って現代社会への風刺にもなっている。 芸人デビューかつユーチューブでバズった(もちろん本人は真面目)ヒトラーは、今後どうなるのか?

    0
    投稿日: 2020.07.25
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    面白い。マインスイーパを地雷撤去と言ったり、単語やら政治の話やら歴史の事実やらを全てヒトラーの目線で面白おかしく(さらにヒトラーは何も面白おかしいと思ってない)ところが秀逸。 さらに歴史の勉強になる。分からないとこは気になって調べるし。もっと歴史的背景とか知ってればさらに面白かったんだろうなあ。

    2
    投稿日: 2020.05.08
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    上下巻合わせての感想とする。 知識が足りず難解なところも多かった。 ヒトラーが時代錯誤な言動を繰り広げるのを笑っていたはずが、いつの間にかヒトラーと一緒に笑っていた。 「なんだ、まともな事言ってるじゃないか」とすら思った。 キャッチコピーの「笑うな危険」にモノの見事に陥ったものである。 映画で大きく構成を変えたのは、思いの外皮肉が通じず本当に「悪いことばかりじゃなかった」って方に転びそうで脅威をより分かりやすくしたのかな?

    1
    投稿日: 2020.03.20
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    なかなか面白かった。 2010年ごろにヒトラーがよみがえり、TV等のエンターテインメントに活躍する物語。 なかなか読んだことがないシリーズだったため、面白かった。 ヒトラーの発言はかなり歴史が色濃く、ヨーロッパの人たちがよめばもっと違う印象になるのかな。 この本を通してヒトラーの印象はよくなったのだが、実際に被害にあった人たちからすると別だろうな。 戦争敗北国が悪である印象がもたれがちなんだろうなっと最近思う。 実際に悪いこともあるだろうが、そういう洗脳がある程度ある感じてしまうな。

    0
    投稿日: 2020.02.28
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    ※上巻だけを読み終わった気持ちで。 面白い。という論調で感想を書いてもよいものか、むねがざわつく。 2011年の「現代」に蘇った総統は技術の進歩に感嘆しつつ社会の腐敗に憤る、ナチズム的に筋が通ったやり方で。一方、周りの人間はこれをメソッドとしてキャラとして消費する。このズレが可笑しみの基本線には違いない。 ただ、単純なズレだけで処理できない部分が何箇所か出てくる。プーチンや国防大臣の件などはもちろんだが、民主主義のちょっと怪しいところに対する極論など、多少なりとも共感できる部分が出てくる。しかしそれと同時に、ナチズムに共感してしまった自分自身への怖れが現れるから、胸がざわつくざわつく。 人類史上最悪(という事になっている)ヒールをこういう描き方をする事で、ただの娯楽SFに終わらず多層な深読みをもたらすものになっている。 復活から約10年、ポピュリズムが跋扈する2020年にこの本を読むのもまた味わい深い。 下巻の展開はどのようになるのか。たぶん問うていくんだろうな。

    2
    投稿日: 2020.01.22
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    2012年にドイツ出張に行ったとき、フランクフルト空港駅の本屋に山積みされていて気になっていた本。 2011年8月、突然路地裏で目を覚ましたアドルフ・ヒトラーは、キオスクに置かれた新聞を見て驚愕する。ものまね芸人と誤解されつつテレビに出たところ、たった1回でネットで話題となり、人気者になってしまうのだが…。 筒井康隆か小松左京か半村良か、他の作家にでもありそうだが、なんだか読んだことのあるプロットをベースに、軟弱化した現代の生活を斬るというストーリー(少なくとも上巻は)。過去に読んだ戦国武将だかが復活する話だと、周りの人間が主人公だが、本作はヒトラー自身が主人公である。 しかしこのヒトラー、66年ぶりに復活して、いわゆる「ファーストコンタクト」が連続するのだが、あっという間に順応していく。とてつもなく新しくなった自動車を見ても、インターネットに触れても、枚数の制限があるのかもしれないが、すぐに使いこなして慣れてしまう。そこんとこでもう少し話は広げても良かったのではないかと思うが。 海外のベストセラーで、訳者や編集の気合の入り具合が尋常でないため、訳も読みやすく、文語調のヒトラーと口語調の現代人のコントラストなども素晴らしい。巻末の注釈は、文章を読みながら読むもんではないだろうが、ややふざけていてそれだけでも楽しめる。原作はもうちょっとふざけてんじゃない? 上巻では、離陸してすぐという感じなので、快進撃もSF展開も問題も、まだまだ起こらない。下巻に期待したい。 一つ難を言えば、この厚さなんだから、2巻に分けずに1巻で良かったんじゃないのか?「我が闘争」だって、もともと2巻だったものが1巻化されているではないのか?売れるからと多数巻にするのは、河出書房の軟弱さの表れではないのか?(ネタ)

    0
    投稿日: 2019.10.23
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    ヒトラーが現代に生き返ったらどうなる?という話。ヒトラーのモノローグなんだけど、文体とかヒトラーのものをよく研究している。70年前の人々が現代に現れたら何をどう思うかというのもよく考えている。

    0
    投稿日: 2019.09.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

     真剣に国と国民のことを考えるヒトラーと、彼の言動をギャグだと受け取る現代ドイツ人。というすれ違いギャグのコメディ。  上巻は芸人としての第一歩を踏み出したところで終章。  独裁者を作るのは行き過ぎた愛国心だというのをどこかで読んだが、この作品のヒトラーはまさにそんな感じ。なんでそんなポジティブに前進できるの。  結構失礼なことも言うが、言い方と彼の態度が言われる側を笑わせる結果になっている。  ユダヤについては、「ユダヤの陰謀!」と彼が考えることはあっても、ユダヤをあからさまに罵倒・差別する言動はない。  後ろに結構な数の注釈が乗っている。  一緒に仲間がタイムスリップしてきてないかなあ、とウロウロしたり、当時の仲間や妻のことを考えて少し落ち込むシーンのヒトラーは人間臭くて好き。

    1
    投稿日: 2018.06.08
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    書店でタイトルと宣伝文句「東大京大第1位 日本の頭脳にいちばん売れてる本!」を見た時は買う気しなかった。というか絶対買わないなと思った。 ところが長男(21)が持ってて、暇つぶしに読み始めたら…、 おもしろい!! 「本国ドイツに賛否両論を巻き起こした問題作」に納得。慎重な書きブリながら笑いをとり、考えさせられる。上巻を読む限りヒトラー礼賛も見受けられる。 さ、下巻を読もう!

    0
    投稿日: 2018.05.26
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    ヒトラーがヒトラーの姿のまま現代に甦るので、彼を見た人は彼をコメディアンだと勘違いした。  ヒトラーになりきった物まね芸人だと。似ているのは当たり前、だって本人だもん。でも誰も本人だとは思っていない。これも当たり前。だから滑稽なのだ。  そこで、この物語の続編を勝手に想像してみる。    コメディアンとして人気が出てきヒトラーはメディアの寵児となる。彼の威勢の良い演説に感化された人々は、彼の語る未来像に期待を抱き始める。彼の言うことは尤もだ。彼は我々の不満を代弁してくれている。彼を支持する人は瞬く間に増えていった。  視聴率を稼ぎたいメディアは彼をどんどん登場させる。そしてメディアを味方につけたヒトラーは知名度を武器に、いよいよ政界に進出することになった。彼の武器はその演説力だ。彼を危険視する評論家もテレビ討論の場でこてんぱんにやっつけてしまう。街頭演説ではものすごい数の聴衆が集まる。勇ましい彼の姿に国民は熱狂する。そしてとうとう彼は、弱小政党ながらも党首として連邦議会でも発言できるまでになった。    彼は更なる権力基盤をかため国家元首に上り詰めることはできるのか…    たぶん、できない。  理由は簡単。だってヒトラーの格好しているんだもの。ヒトラーは史上最悪の独裁者だと誰もが知っているし。どこかでそのスタイルを変えないと無理でしょ? だからこの先の展開って想像できないんだよね。  これ、ヒトラーを笑いの種にしているからコメディとして安心して見れるけど、ヒトラーが絶世のイケメンに転生していたら笑いにならない。なぜなら彼の演説の中に潜む巧妙なレトリックを見抜くのは難しいからだ。ヒトラーが言ってることだから、と最初から疑心暗鬼で臨めるから、レトリックには騙されたとしても、信用できないと頭でっかちにその考えを跳ね除けることができる。  でもこれがイケメンだったらどうなのさ。めちゃくちゃ美人だったらどうなのさ。    信じちゃうね、たぶん。少なくともはじめに拒絶することなどはしない。まずは耳は傾けてみようとするはず。  悪魔が悪魔の格好で出てきたら、ああ、悪魔だとわかるけど、そんなにわかりやすい悪魔なんていない。シリアルキラーになるようなサイコパスには魅力的な人が多いんだから。      本文中でテレビのディレクターがヒトラーに対して注文をつける。 「ユダヤ人を冗談の種にしてはいけない」  ヒトラーは答える。 「もちろんだ、ユダヤ人は冗談の種にはならない」  この違い、わかる?  この些細に見える違いにも悪魔の牙が隠れている。  そこに気づける賢さを身につけたい。

    0
    投稿日: 2018.04.20
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    訳者があとがきで書いているように、研究書ではないので長い注を書けず、と。 そのおかげで、彼がブレイクするきっかけとなった芸人がトルコ系であるということも途中まで気づかず。 最後に、ヒトラーが恋心をいだく看護婦は、もしかしたらユダヤ系を示唆する名前なのだろうか。

    0
    投稿日: 2018.03.10
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    設定はSF的だが内容は笑いながらも考えさせられる。現代から歴史を見るのが通常であるなら、本書は過去のある視点から現代を見ている。多面的に現代を捉える一助になる。ドイツの細かいことは日本人にはわかりにくい。

    0
    投稿日: 2017.11.29
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    テーマは、ポピュリズムの危うさ。 現代にヒトラーが生まれ変わっても、同じように熱狂を受けてのし上がってしまう恐怖。 しかし、トランプやBRIXITなど、 常に人々は変化を求めていて、 間違った選択や危険な選択をする可能性は高い。このヒトラーが持ち上げられていく様を誰が笑えるのか。

    0
    投稿日: 2017.11.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上下巻。 表紙が秀逸。あれだけで誰だかわかるんだから。 おもしろくてどうしようって困った本は初めて。 翻訳本にありがちな読みづらさもないし、脚注が充実しているから知識がなくてもわかりやすかった。 過去からタイムスリップしてきた男が当時と現代のギャップに右往左往しながらも、コメディアンとして世間の注目を集め、そして政治家へ。 彼のなんとまあ魅力的なこと。たまに会話が噛み合わないこともあるけれど、真面目で紳士的で理知的でウィットにとんでいる。それに子供と動物好き。 そりゃ過去だって今だって国民が彼を、ヒトラーを選ぶのは不思議じゃないよねって思わせる話。 下巻で暴漢に襲われて、目が覚めたら過去に戻っているのかと思いきや最後に出てきたあのスローガン。 なにこれ、歴史は繰り返すってこと?ってぞくっとした。 近代以降の戦争は一人の絶対悪がいて嫌々周囲が巻き込まれていくわけじゃない。 ヒトラーだって、武力で政権を乗っ取った訳ではなく、彼自身が言うように国民に正当に選ばれた存在だったんだよね、と思うと自分が“ヒトラー”を選ばないとは言い切れないから恐ろしい。 幸か不幸か、今時こんなに魅力的な政治家はいないだろうけれど。 サヴァツキ君とクレマイヤー嬢の子供、ソートーにあやかって~とか言ってアドルフとか名付けるんじゃないかと心配になった。

    0
    投稿日: 2017.10.26
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    ヒトラーが2011年のドイツに、どういうわけかよみがえる。 人々は最初当惑しながらも、そういう芸風のコメディアンだろうと「善意に」捉えていく。 70年近くのブランクがあって、突然やってきたヒトラー自身も、現代社会に大いに戸惑っているのだが、実は読んでいる自分自身も相当戸惑った。 抱腹絶倒のコメディ、らしいのだが、ドイツの状況がよく理解できていないため、今一つ乗り切れない。 翻訳者の森内さんが苦心に苦心を重ねたヒトラーのモノローグも、ああ、きっとそんな風な言葉遣いになるんだろうな、と思うばかり。 そのミミクリーを楽しめるほど、こちらが成熟していないというか。 それでも、途中で読みやめようとは思わなかった。 ヒトラーがお笑い芸人になってしまうというストーリーはなんとなく知っていたにもかかわらず、だ。 彼が何を言い、周囲の人がどう反応するのかが気になってしまうからかも。

    0
    投稿日: 2017.10.08
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    面白い! 昔の人が現代に甦ったら~という話はよく題材として見かけますが、これはそんな中でもリアルで面白い…。同時に物凄く怖い。本作では、ヒトラーが現代のドイツで普通に受け入れられてしまっています。フィクションだから…と思う気持ちと、実際にこれはあり得てしまうのでは…という気持ちがせめぎ合いながら読了しました。下巻を開くのが、恐ろしいけれど、楽しみです…。

    0
    投稿日: 2017.09.13
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    ヒトラーが現代のドイツに甦ります。 本物だと信じる人はなく、そっくりさんだと思われ、ものまね芸人として、テレビに出演。 ネット動画でも、人気者となっていきます。 設定が面白く、興味深く読める作品です。

    0
    投稿日: 2017.09.07
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    映画を先に観て面白かったし、原作だと結末などが違うと聞いたので読んでいます。 現代に蘇ったヒトラーが文明の利器に翻弄されてるさまはなんだかかわいらしくみえて笑えます。 ですが、やはりヒトラーはヒトラーですから思想が相容れないというか恐ろしいところがある。 暴走運転は良くない、など真っ当にいいことも言ったりするのですが、どうも戦争や民族のこととなるとやはり怖い。 なので小説として面白いは面白いのですが、面白いと言ってしまっていいのか困ります。 あと、私にもっとドイツの戦争時代と現代の知識があればさらに楽しめるんだろうなと思って自分の知識不足が悔やまれます…。 なんにせよ下巻も楽しみです。

    3
    投稿日: 2017.06.08
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    現代のベルリンに突然蘇った?ヒトラーの話。ヒトラー自身の一人称で語られる。 インターネットや携帯電話に驚いたり関心を持ったりする。世間的には新手のコメディアンとして扱われ、テレビに出演していく。 まだ上巻しか読んでないが、これからヒトラーが現代のドイツに如何に影響を与えていくかと言う所が気になる。

    3
    投稿日: 2017.03.12
  • ヒトラーが現代の社会問題を斬る!

    タブー視されているヒトラーを現代に持ってくるという設定自体が面白い。 本人はいたって真面目に振る舞っているのだが、周囲はそっくりさんの芸風だと勘違いして、逆に大うけするというギャップ感がたまらない。 現代にタイムスリップしてあたふたすると思いきや、わりとすんなりと現実を受け入れ、インターネットやスマホを駆使してしまう。 テレビ番組や新聞、欧州連合に至るまでヒトラーの目線から見た現代社会に対する痛烈な批判が次々と繰り出されるが、それがわりと真面目な内容で、むしろ現代人の方がヒトラーに笑われているみたいだ。

    0
    投稿日: 2017.02.12
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    20170120〜0203旦那のお勧め本。現代ベルリンに突如現れたヒトラーが、現在のドイツ政治や世界情勢を分析、批判している。丁度トランプ米政権の誕生時に読んでいることもあり、笑えるけど笑えない…

    3
    投稿日: 2017.02.01
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    先に映画を観たのです 面白かった 何が面白いって ノンフィクションみたいで でもエンターテイメントな内容かと思えば エンディングのその先を想像すると うすら寒いというか 現実になったとしたらこれは怖いと 思わせる内容だからです 小説は映画よりも現実的な感じでした 面白いけれど 面白いと言い切ってよいのか 正直迷う作品です

    0
    投稿日: 2017.01.29
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    まずはとにかく、なんと言ってもおもしろい。とくにヒトラーが眼を醒ましたあと、現代の社会に順応するまでのくだりはまるでアンジャッシュのすれ違いコントを見ているようで、腹が捩れるかと思ったほど。「マインスイーパー」にハマるなど、ときどきどうしようもなくお茶目な部分が垣間見えて、そこがまたすごくおもしろい。ただ、本作は単純なコメディではない。元来が政治家を扱っているだけあって、やはり全体的に諷刺の雰囲気が流れている。ヒトラーの演説内容にしても、今日では的外れだったり、またいかにも「ヒトラー的」だったりする、差別的言辞に満ちたものももちろんすくなくないのであるが、しかし、現代になってもちっとも古びていなくて、ドがつくほどの正論と思えるものも散見されてドキリとしてしまう。今日ではヒトラーについてはすこしでもポジティヴな評価を与えることはタブー視されているが、もともとその政策面については先進的なところもあったというのは以前から指摘されているところで、本作ではそういった事情も踏まえているから、われわれはヒトラーをたんなる独裁者、大量殺人の元凶というような一方的な見方で片づけることもできない。ヒトラーのそういった実態についてじゅうぶんに眼を向けてこなかった、ドイツをはじめとする世界に対しても、痛烈な皮肉となっているのである。本作はいろいろな立場から読むことはできるが、ヒトラーと自分を同一視することはもちろん危険だし、かといってひたすら眼を背け続けるのもまた違う。誰の視点に立ったところで、それぞれ問題があって、じつに難しい決断を迫られることになる。ヒトラーはむしろ現代の複雑な世の中を象徴するような、そんな諷刺に満ちた存在なのかもしれない。なお、余談だがこの飜訳者の言葉遣い、漢字表記には気に入らない部分があって、ちゃんと「禁錮」とか「独擅場」とかを使ってほしかった。そんなことを気にするのはわたしだけかもしれないが。

    3
    投稿日: 2017.01.28
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    子供がたまたま本屋で見つけ買ってやった。 子供はすぐ読んで、おもしろいというので、自分も読んでみると、これがなかなかおもしろかった。 少し終わり方が、中途半端な気がするが、でも含みをもたせた終わり方とも言えるか。 続編が書かれれば読んでみたい。 また、映画も見てみたい。

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    投稿日: 2017.01.22
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    まずはアイデアの勝利。あーヒトラーならこういう会話になりそうだなーというのが随所に出てくるので面白い。「ヒトラーあるある」本みたいな感じ。 本気でドイツを救おうと考えているがためにとにかく咬み合わないヒトラー、しかし現代技術への順応性はとても高い。続きが気になる。

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    投稿日: 2016.12.01
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    ヒトラーが現代に蘇ってきた!すっかり様変わりしたドイツで彼は自分が信じる「国家の幸福」の為に奮闘します。ヒトラーのそっくりさんと思われテレビに出るようになり良くも悪くも人気者になってしまう。Youtubeの視聴者数なんてものすごいことに! 何が面白いって、とにかく嚙み合わない会話。ヒトラーの大真面目な口調も可笑しくてたまらない。 ヒトラーを題材にした爆笑小説という、かなり思い切った本です。イスラエルでも発行されたというのは驚き。

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    投稿日: 2016.11.05
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    プロパガンダは娯楽の顔をしてやってくる。 と申しますが、プロパガンダの天才が芸人になる。 そんなハチャメチャ?なストーリーが本書なわけです。 もちろん天才とはかのアドルフ・ヒトラーなわけで、何も起こるはずがなく…とはいきません。 得意の話芸と頭の良さであっという間に頭角を表し…。 という感じで、第二次世界大戦当時のドイツを知ればより楽しく読むことができます。 そして本書を読み進めるごとにヒトラーに親近感を覚えることになるでしょう。 (フィクションとはいえ恐ろしい気がしますが。)

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    投稿日: 2016.11.01
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    正直、最初は 「賞賛したいのか批判したいのか、はっきりしろよ!」 「これ絶対ドイツ人以外が書いただろ…」 「なんかインパクトあるだけだなー」 と思いながら読んでいた。 ヒトラーが現代に蘇る。 これ以上インパクトのあるネタがあるだろうか。 戦後70年経っても、未だに人類史上最悪とうたわれる彼が、現代ドイツに現れる。 どう考えても、パニックの予感しかしない。 各話のタイトルもなんかキャッチーだし、ライトノベルみたいなノリなんじゃないかな… そんな、ちょっとうんざりした気持ちで読み進めていた。 だが、後半に至り、冒頭の感想も、うんざりした気持ちも、あっという間にどこかに行ってしまった。 ドイツ人が、あのヒトラーの思考をここまでトレースし、現代ドイツひいては全ての市民(特に若者)の問題をあぶりだしながら、それでいてブラックユーモアに溢れた小説を書くなんて。 今なら、これはドイツ人にしか書けないだろうとさえ思う。 いったい、下巻ではどうなるのか。 というより、話をどう収束させるのか。 それが、気になって仕方ない

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    投稿日: 2016.10.28
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    ヒトラーが現代に現れる! なんとも荒唐無稽な設定ですが、読んでみると、中身はトンデモ本とばかりは言えません。 興味深いのは、ヒトラーが中々柔軟で、意外にも若干コミカルなこと。現代の環境において、70年前に主張していた事をそのまま再び主張しているからだけではなく、冗談のセンスもあるのかもしれません。 上巻は、まだヒトラーが現代の環境に戸惑うことが多く、本領発揮とは言っていませんが、環境に慣れてくるとどうなるんでしょうね?

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    投稿日: 2016.10.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    映画化作品の原作。 ある日、なぜかわからないが現代によみがえったヒトラー(本人)を主人公にした話。 上巻は、現代によみがえり、すっかり変わってしまった社会やテクノロジーに翻弄されつつ、ひょんなことからテレビデビューするあたりまでのお話。 ストーリーとしてはおもしろいような気がするが、もともと翻訳物が苦手なせいか、やはりあんまり物語に没頭できずにおわった感じ。

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    投稿日: 2016.08.28
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    「本人」が復活した。ただのモノマネじゃなく、「本人」であるから成り立つ。 みんながケッサクだと笑いものにしていながら、彼の野望に少しずつ近づいている感覚がするのが、笑っていられない。 作者の知識が非常に深いので、読みながら、そうだったのかと納得させられることが多いのもまた楽しい。この先の展開も楽しみ。

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    投稿日: 2016.08.17
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    前々から気にはなっていたが、文庫化、映画化の流れに加えて、今年の夏の戦争関係ということで読み始めた。歴史を多少わかる人であれば、くすくすっと笑えるというか、ヒトラーの言っていることがわかるというか。反対にわからない人には何がどうおもしろいのかが分からない小説かもしれない。上巻ではだいたい副題から推測できる程度の内容だったので、下巻の盛り上がりというか、深く突っ込んだ話に期待。

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    投稿日: 2016.08.16
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    映画を観るために原作を読んだ。 ナチ関係のフィクションは これまでもあったが アドルフ・ヒトラーがこれほど唐突に蘇り これほど普通にベルリンの街で暮らし これほど受け入れられてしまうとは。。。 映画の日本公開時のキャッチコピーは 「笑うな危険」だが 確かにブラックな笑いが満載だ。 しかし読み進むほどに笑おうにも笑えなくなってくる。 原作はヒトラーの一人語りで進行するが その口調よりも、彼の目の前の現象すべてが 彼流に再解釈され、堂々と再定義される有様が 「我が闘争」そのままで戦慄する。 現代の人々との会話がどんなに噛み合わなくても 彼はすべて自分流に解釈し 相手もそれを受け入れてしまうから恐ろしい。 そしておなじみのヒトラーの言い分 「私を選んだのは普通の国民だ。  彼らは選挙で優秀な人物を選び  国家の命運を託したのだ」 は、今の時代にあって一層黒い輝きを帯びる。 民主主義を利用して独裁を成し遂げるこの方法が ある種の政治家を魅了してやまないのは 我が国を見ていてもわかる。 原作が出版されたのは2012年。 国民の戦争責任を認め、自省に努めてきたドイツも 戦後70年を経て、テロの危険や難民の流入で 民主主義や人道主義に対する疑問は 膨らむばかりだ。 だからこそこうしたフィクションが必要なのだ というのが作者の考えで 果たして、大メディアの批判をよそに この作品はベストセラーとなり 映画も大ヒットした。 「帰ってきたヒトラー」は原作と映画を併せて ご自分の頭と目で確認してほしい作品だ。 映画にはドキュメントが随所に挟み込まれているが それを見ると、いま、ドイツの人々の多くが 強く魅力的な人物を望んでいる(らしい)ことがわかる。 それがたとえヒトラーであっても。 そしてそれはドイツに限ったことではない。

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    投稿日: 2016.08.12
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    うーむ。 面白さのツボがイマイチよく解らぬ。 だいたいそもそも元々、翻訳モノは苦手なのだなぁ。

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    投稿日: 2016.08.12
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    微妙。 ヒトラーのことを詳しい人なら面白いのかも。。 私はあまり面白さを感じなかった。 この手のものは映像で見たほうが良いのかも。

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    投稿日: 2016.07.15
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    面白かった。現代に甦ったヒットラーと彼を取りまく芸能界の人々の、ちぐはぐなやりとりが傑作。今のところ上巻では総統は自分の使命を理解しつつもまだ政治風刺のコメディアンの扱い。 下巻が楽しみ。

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    投稿日: 2016.07.04
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    なぜかヒトラーが60年ほど冷凍保存され、2011年の現代ドイツに1945年4月末の意識を保ったままよみがえる。 ヒトラーが手がけたきた行為を反芻しながら、本書をよむことが、いかに面白いか。 映画化されたものは未聴だが、これは活字でなくては伝わらない面白さと著者の工夫が随所にある。 本書は、現代ドイツ版の『パパラギ』だろう。 70年前の筋金入りの国家社会主義者からみた現代は驚愕と落胆の連続であり、現代人からすれば懐古的な思想と発言しかできない男をどこまでも訝しく思う。 そして、それは徹底的な風刺であり皮肉であるが、そしてその皮肉を発する主体である「ヒトラー」その人物も、周囲からすれば「ヒトラーになりきった人」という見え方しかされていない。いかにこれが皮肉なことか。 現代におけるヒトラーの滑稽さと、ヒトラーから見た現代の滑稽さを、相当意識的に混同し、読者を困惑させる。賛同はしないが、応援は心から行う。 そういう小説ではないだろうか。

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    投稿日: 2016.06.29
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    まず着想が面白い!笑えつつも説得力のあるというか納得させられるところが多い。「国民の真の代表者」ヒトラー。コメディとも、風刺ともまた異なる深い作品でした。

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    投稿日: 2016.06.26
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    あのヒトラーが自殺直前のまま、現代に蘇るという設定で始まるコメディ小説。 コメディとはいいつつも、タブーぎりぎりの発言が出たり、風刺が効いていたりと問題作と言われるのが納得の作品です。 前半はヒトラー復活から、芸人としてテレビ業界に進出するまで

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    投稿日: 2016.06.18
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    コメディではない。風刺である。 タイムスリップしたヒトラーが現代文明を勘違いして巻き起こす騒動...だったら駄作になっていたと思う。 本作のヒトラーは誇大妄想のドンキホーテではなく、自分自身を「すでに総統ではなくなっているが、総統になる途上にある人物」と認識しており、復権に向けて着々と行動している。 彼は、世間から見れば「ヒトラー芸のコメディアン」だが、本人の視点では「マスメディアを通じて国民に影響力を及ぼしている段階」であって、世間の評判などは意に介していない。彼の中では1930年代の大衆も2011年の大衆も本質は変わっておらず、「以前、成功しかかった(「過ち」とは認識していない)道のり」を、現代のツールを使い、過去の経験を踏まえて、忠実な腹心と利用できる同調者を見極めながらリトライしている。 周囲の人物は、彼を過去の「アドルフ・ヒトラー」としては受け止められず(彼は1945年に死んだのだから)、「ヒトラー芸のコメディアン」として理解している。やがて「影響力、すなわち集票力のある人物」として既存政党の接触が始まる。そして、かつての人寄せパンダは「何事かをなそうとしている人間」になり、周囲も彼の主義主張と利害が一致する「支持者」や「崇拝者」に変わっていく...。 彼にとって状況は「二周目」であり、しかも民主主義のルールは変わっていないのである。 風刺というよりはホラーなのかもしれない。

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    投稿日: 2016.06.15
  • ヨーロッパの優等生たる現代ドイツもこの男にかかれば形無し

    風刺や批判の毒を盛り込みながら、歴史上の人物をまったくあり得ないシチュエーションに再現するパロディ小説の手本のような作品。 壁の落書きやテレビ(なんと総統はテレビに向かって、話の進展について文句を言いまたあとで必ず戻ると約束したりする!)にいちいち「なんということだ」と驚きながらも、ヨーロッパの優等生たる現代ドイツもこの男にかかれば形無しである。 散歩中に犬の糞を拾う行為はどう考えても彼にとって奇行だし、「現在のドイツ人は民族の分別に比べ、ゴミの分別はずっと正確に行っている」という嘆息は切実であるだけ滑稽だ。 意外にも現代の政党では『緑の党』に親近感を覚えており、小説とはいえいい迷惑だろうなと同情も。 「最高の人材ほど早く死ぬ」という彼の信念は、第二の人生においてその正しさが証明されたようだが、現代に生きてる我々はなんなんだ..。 まぁ、いい人ほど早く亡くなるのは彼だけの実感ではないが...。

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    投稿日: 2016.06.11
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    表紙イラストが秀逸だが…『帰ってきたヒトラー』という題名を視る以前に「ヒトラーの何か?」と思った…が、これは現代の世界を舞台にした、或る種のコメディーの小説で、非常に興味深い作品だった。 これはドイツで登場し、じわじわと話題になってベストセラーということになり、ドイツ語圏に留まらずに多くの国々で翻訳されているのだという。

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    投稿日: 2016.05.30
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    文庫本になるまで待ってやっと購入、積ん読しているうちに映画を先に観てしまった。ちょと難しいから本の方にはなかなか手がのびず。だめなパターン。

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    投稿日: 2016.05.29
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    面白くて一気読みです!!ヒトラーが現代にタイムスリップ。噛み合わないようで何故か微妙に表面上噛み合ってく蘇ったヒトラーと現代人の会話に笑い、物語のなかのヒトラーが言う言葉や考え方に妙に納得しちゃうことも。続けて下巻読みます!

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    投稿日: 2016.05.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これはおもしろい。アドルフ・ヒトラー本人が死亡する瞬間に2011年現代にタイムスリップしてしまうというSF。ドイツの現在の文化や風俗を体験的に理解しているともっと面白いのだろうな、と思う。が、現代一般知識(例えばトルコ移民問題だとか€問題とか)と義務教育社会の教科書レベル知識で十分楽しめる。彼が現代に出現したらこんなに簡単に適応するだろうか?今だからこそあっという間に支持されそうな気がしてしまうのが、しみじみ肝が冷えますねぇ。 下巻が非常に楽しみ。

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    投稿日: 2016.05.22
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    単行本が発売されたときから読みたく、早く文庫化されないかなと待っていた本書。 わたしの興味があるワードベスト5に入る『ヒトラー』。 これがタイトルに入っていて読みたくならないわけがない。 文庫化されたという情報を耳にするや本屋さんへ急ぐ。 どこだどこだと探したら、帯に映画化とある。へえ、映画化されるんだ。 ヒトラーが突然現代に蘇った。 周囲はヒトラーだとは思わず、ヒトラーの扮装をするコメディアンと思ってしまう。 こう始まり上巻は予想通り現代に蘇ったヒトラーとそうは思わない人々との間で起きる様々が面白く描かれている。 このままコメディで終わるはずはないので下巻でどのように現代を風刺させるか、どのように結末へ運ぶのかが楽しみなところ。 ドイツではタブー視されるヒトラーやナチスを敢えてドイツ人である作者が作品にするところが素晴らしい。 日本人にはなかなか出来ないことだと思う。 日本人は戦争の悲惨さは語るが、あくまでも被害者であろうとする。日本人が行った非人道的行為もきっとあったはずで、そこも含めて考えることが肝要だ。 面白く戦争についてのきっかけを提供する本だと感じた。 下巻へ。

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    投稿日: 2016.05.17
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    良く出来てる。日本では現代に蘇るのが宮本武蔵だったり、あるいは自衛隊を過去に送り込んだりしてるが、これをドイツで出せるってのは良い意味でタブーが無いんだろうな。名前を出すのも題材にするのもダメ、っていう言葉狩り的な思考停止に陥ってないのは羨ましい。どのように風呂敷を畳むのか。

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    投稿日: 2016.05.09