![ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II](https://ebookstore.sony.jp/photo/BT00003156/BT000031565400200201_XLARGE.jpg)
総合評価
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powered by ブクログ★館長の本棚2025★ 後藤図書館長推薦図書 【所在・貸出状況を見る】 https://sistlb.sist.ac.jp/opac/volume/27069
0投稿日: 2025.05.23
powered by ブクログ1巻よりもとーっても読みやすくて面白かった。 キングダム、ローマ版。笑 頭の中で自作のアニメーション流れてた。 話の本筋では無いけど、歴史を振り返っていく中で先人に学ぶこととか大切な考え方に気づくこととかあって、 ところどころ、わあ、この考え方すごい分かる、って記述があったから引用する。 286ページ ⭐︎優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。持続する人間関係は、必ず相互関係である。 一方的関係では、持続は望めない。 参考文献 ⭐︎ 人間の性格は、容説より以上に彼や彼女の書き言う言葉にあらわれる(プルタルコス)ということを。 すごく面白かった、本当に。
2投稿日: 2024.04.22
powered by ブクログハンニバルにイタリア半島まで攻め込まれたローマ。19年に渡る防衛戦で遂に勝利し、やがて地中海世界の覇者となる。遠い時代の、遠い所の、知らない歴史。その叙述が何故こうも面白く思えるのだろう。
0投稿日: 2024.04.01
powered by ブクログ2023年9月15日読了。塩野七生の大著『ローマ人の物語』第2回、通商国家カルタゴの名将ハンニバルがローマを攻める「ポエニ戦役」の戦いの推移と、カルタゴ・マケドニアの滅亡までの物語。「古典ラジオ」で語られたストーリーが気になって読んでみたが、ほぼ「まんま元ネタ」であることに驚く。(まあこの話を魅力的に要領よく語るだけでもすごい技術が必要であると思うが)情報を収集し分析して最善と思われる仮説を立て、犠牲覚悟で果断に決断し味方を鼓舞して戦いに挑む、と当たり前のこと・やるべきことを当然のようにやっているだけと本人は言うかもしれないが、偉大な準備に偉大な結果が伴う、ということか…。ハンニバルがローマにいればどうなったのだろう?ローマのシステムに合わず出世することもかなわなかったのだろうか?ローマにスキピオが現れなければどうなった?それともスキピオのような存在が現れることもローマの優れたシステムが生み出した必然なのだろうか。歴史は面白い。
0投稿日: 2023.09.16
powered by ブクログカルタゴの名将ハンニバルのイタリア侵攻とローマの敗北、ハンニバルとローマの名将スキピオの戦いが軸に書かれています。 戦いの戦術も書かれており、大変面白かったです。
0投稿日: 2023.08.11
powered by ブクログ象を伴うアルプス越えからイタリア各地での戦、そして最後はザマでの会戦、地中海世界の覇権をかけたローマとカルタゴの戦いだ。役者は二人ハンニバルとスキピオ、この年齢も性格も著しく異なる二人の天才のぶつかり合いは非常に魅力的だ。紀元前の話しとはとても思えないレアリティがあった。
1投稿日: 2023.05.30
powered by ブクログ題材が良いのもあるだろうが、とんでもなく面白い。史実に忠実で、なおかつ兵士の数や年月などの数字の情報が決して少なくないのに、ハンニバルやスキピオなどの名将達の息遣いまで聞こえてきそうな、臨場感のある文章に引き込まれた。
1投稿日: 2023.04.17
powered by ブクログローマ人の物語第ニ作。紀元前264年のポエニ戦役の始まりから、紀元前146年のカルタゴ滅亡まで、歴史舞台を眺めるがごとく再現されている。 ポエニ戦役とは、フェニキア人の植民都市カルタゴとの戦いであり、三次にわたって繰り広げられた。第一次のシチリア島を巡る戦いで、ローマは海戦を経験し、シチリア島全島とその周囲の領海権を獲得する。第二次はカルタゴの勇将ハンニバルがスペイン経由でアルプスを超えてローマに侵攻、ローマを追い詰める。ローマはスキピオの登場によって劣勢を跳ね返し、カルタゴ本土まで押し返す。この勝利により、カルタゴの戦力を大幅に削ぐが、この後、カルタゴは不幸な出来事により、意図に反した経緯で自滅する。 ローマとカルタゴでは戦いの指導者に対する扱いが真逆である。ローマでは敗将になっても学んだことがあるだろう、ということを重視し、再登板の機会が与えられるのに対し、カルタゴでは敗将には死が待っている。現代でも考慮すべき考え方があると言える。
1投稿日: 2023.03.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
北アフリカの強国カルタゴとローマの激戦が描かれる。シチリアの覇権をめぐる「第一次ポエニ戦役」、主戦場をイタリアとしたカルタゴの英雄ハンニバルによる侵略戦争である「第二次ポエニ戦役」がメインのテーマ。 第一次ポエニ戦役は地中海の制海権が重要となることから、当時は海軍を持っていなかったローマより沿岸国であるカルタゴが有利かと思いきや、そうならないのが面白いところ。「カラス」という回転する梯子のようなものを船に装着し、カルタゴの軍船に橋をかけローマの強みである重装歩兵を活用し戦闘を陸戦化するという発想の転換は学ぶ部分が多いなと感じた。 第一ポエニ戦役での敗戦の将となったハミルカルであるが、その長子であるハンニバルの活躍により、ローマは窮地に立たされる。ローマ人には考えも及ばなかったアルプス山脈を越えてのイタリアへの侵攻、トレビアの戦いを経て北イタリアに地盤を築いたハンニバルは更に南下し、トラシメヌス湖畔の戦いでの鮮やかな奇襲によりローマを追い詰める。ハンニバルは拠点を南イタリアに移し、ローマ同盟国の切り崩しを図るも思うように事を運べない。南イタリアでの大規模会戦カンネの会戦でハンニバルが勝利したことにより潮目が変わる。南イタリアのカプア、シチリアのシラクサがハンニバル陣営へと加わる。 「ローマの盾」であるファビウスの戦略のもと、「ローマの剣」であるマルケルスがハンニバルを追い詰める。離反したシラクサをマルケルスが攻略すると共に、奴隷軍団を率いるグラックスがハンニバル包囲網を築き、本国カルタゴからの補給を断つ(アルキメデスがシラクサでローマ軍に殺害されたのは有名な話である。アルキメデスの設計の特殊武器によりローマ軍は大いに苦戦したらしい)。 一方、ハンニバルの本領であるスペインには若き司令官であるスキピオが派遣され大活躍を遂げる。スキピオはハンニバルの弟であるハスドゥルバル・マゴーネが合流する隙を与えずこれを破りスペインを平定する。ハスドゥルバル、マゴーネはスペインを放棄し、イタリアのハンニバルの救援に向かうも、ハスドゥルバルは戦死、マゴーネも合流は叶わなかった。ローマに帰国したスキピオはカルタゴ本国の急襲を主張するも、元老院、ファビウス、大カトーの反対により、一旦シチリアへ派遣される。シチリアで軍を編成したスキピオは北アフリカに上陸し、ウティカの戦いでカルタゴ・ヌミディアの両軍を破ると、マシニッサをヌミディア王として擁立し屈強な騎兵を有する同盟国を得る。いよいよ、天才同士が激突するザマの会戦に突入するが、戦略の柱である騎兵で差をつけられたハンニバルは、自身の得意戦法である騎兵を活用した用兵をスキピオに実践され敗北。第二次ポエニ戦役はここに終結する。 ローマの同盟国(といっても勝手な戦争を行う事は禁止にされるなど、ほとんど従属の扱いだが)となったカルタゴであるが、間もなくして亡国の憂き目にあう。ヌミディアの侵略により苦しめられ、ローマへ解決を求めるも、ローマは対策を講じてくれず、カルタゴはついに軍団を編成。これが条約違反とみなされ、ローマはスキピオ・エミリアヌス(スキピオ・アフリカヌスの義理の甥)を派遣し、カルタゴを完全に滅ぼす。約500年の歴史を持つ経済国が更地にされたとのこと。諸行無常である。 カルタゴの滅亡により、ローマは名実共に地中海の覇権を築くことになるが、この覇権が、ローマを強国たらしめた共和制のシステムのバグを引き起こしていくことになるのである・・・
0投稿日: 2023.02.19
powered by ブクログ地中海の覇権を争うローマとカルタゴ。 ローマは名将ハンニバルに現在のスペインからアルプス超え、イタリア半島への侵入を許してしまう。 3回に渡るポエニ戦争、ローマの危機をハンニバルとスキピオを中心に描く。
0投稿日: 2022.11.30
powered by ブクログ第二巻はハンニバル戦争と呼ばれる第二次ポエニ戦役を中心として、ローマが地中海の覇権国家となるまでを描く。それにしてもよくこれだけ面白く魅力的に歴史を叙述できるものだと感心してしまいますよ塩野さん。 元々はローマでのシチリアへの勢力拡大のためだったけど、その流れでカルタゴでローマの天敵、稀代の天才戦術家ハンニバルを誕生させてしまう。一時期は首都ローマまで侵攻する勢いで、滅亡の危機にあったけれども、柔軟なローマはあの手この手、スキピオのようにハンニバルを師とした戦術を駆使することで軍事力を高めてハンニバルをくだす。そこからマケドニア、シリア、カルタゴと強国を打ち負かして地中海覇権国家となっていく。 ハンニバル戦争、ひとつひとつのエピソードが詳しく面白い。ローマ人が大切にしていた誇りがよくわかる。柔軟な思考、共和制による市民主権をどれだけ大切にしていたのかもよくわかる。これからなぜローマが帝国と変化していくのか、続きが楽しみだ。
0投稿日: 2022.08.21
powered by ブクログこのシリーズで一番お気に入りの巻 戦争は武器を使う外交 外交は武器を使わない戦争 どちらか一方では国家は成り立たない。二千年の時を隔てたものだが、心動くものがある。
0投稿日: 2021.05.19
powered by ブクログ20210321 ・アレクサンダー大王に習い、主力戦力の無効化戦力を実践し、ギリシャ人に記録させて後世の戦史に大きな影響を与えたハンニバル ・情報を収集することで、未踏のガリアからアルプスを超え、敵地イタリアで南部の主要3都市を調略したハンニバル ・ハンニバルの同盟市に寛容な捕虜政策と調略で崩壊しなかったローマ同盟体制の堅牢さがローマがハンニバルに負けなかった要因。被差別的な扱いと、インフラ整備による実利が同盟体制を支えた ・国難に関わらず貴族と平民で分裂することなく、敗将を罰しないことで総力戦を戦い抜くことのできたローマの組織力 ・ポエニ戦争はローマがイタリア半島から初めて外へ拡大するタイミングであり、市民兵制と集団指導体制が完璧に機能していた。存亡の危機を救った英雄であるスキピオ・アフリカヌスであっても、共和派からの攻撃を受けて政界を引退する
0投稿日: 2021.03.21
powered by ブクログ起伏があまりない語り口調により、歴史を語る上で重要と思う客観性を感じることができる一方で、塩野七生の主張が適切に散りばめられている。 本巻では、ハンニバルと、その弟子と評しているスキピオとの対決が見どころ。また、巻中2度も記されている、ロードス島で交わされたというハンニバルとスキピオの会話も面白い。
1投稿日: 2021.01.20
powered by ブクログこの本の面白さは、ローマ目線とカルタゴ目線の展開の早さと感じました。戦勝国や敗戦国として、どちらかを取り上げるのではなく 両方の目線で プロセスを分析する本だと思います 正義とか悪とかの話ではなく、将棋の感想戦のように 行動の動機を考える本だから ビジネスマンに人気があるのでしょう ローマは 税の取り方をシステム化して、国を近代的に運営していることに驚きます
0投稿日: 2021.01.14
powered by ブクログシラクサがメッシーナへ侵攻した事から始まったポエニ戦争からカルタゴ滅亡までの物語。アレキサンダー大王に学んだハンニバルと幾度もハンニバルの手をかいくぐり生き残ったスキピオの活躍が面白かった。16年もイタリアにいたハンニバルの元を去らなかった兵士たちは食べ物も豊富では無かったろうに、それ程ハンニバルにカリスマがあったと言う事なのか。2人が死んだ後のマケドニアやカルタゴの最後もハンニバル戦争の余波というのが長い戦争が残した結果なのだと感じた。
0投稿日: 2021.01.08
powered by ブクログローマ人の物語、第2巻はハンニバルの物語から。 “プロセスとしての歴史は、何よりもまず愉しむものである” 塩野さんの、歴史に対する一つのスタンスが見て取れます。 そして、大学で歴史を学んだ一人としても、肚落ちするものです。 私の学生当時、物語として歴史を紡いでいくことは、 司馬史学なんて揶揄も込められの扱いが主流でした。 最近の動向はわかりませんが、広く社会に還元していくのであれば、 人が生きていくための道標となるのであれば、一つの在り様としては、とも思います。 “現代の研究者でも、古代=奴隷制社会=搾取、ゆえに悪、と断定して疑わない幸福な人” ここ最近ではあれば、行き過ぎたポリティカル・コレクトレス、との言葉が合致するでしょうか、 個人的には、機会の均等ではなく、結果の均等を強奪しようとしているようにしか、見えませんが。 その上で、共和制から帝国制への萌芽、端緒を見て取ることができると、 このハンニバルとの戦いの過程から見出しているようにも、感じます。 “人間も、そしてその人間の所産であるシステムも、時代の求めに応じて 変化する必要があることを訴えつづけたマキアヴェッリに賛成なのだ” さて、そんな歴史を愉しむための素材となるのは、 紀元前264年から133年に渡る約130年間との、なかなかに長い年月、 ポエニ戦役から、マケドニア、そしてカルタゴ滅亡までの事象、 このうち主軸となるのはやはり、三度に渡った「ポエニ戦役」でしょうか。 ローマ人にとってはポエニ戦役を中心とした対外戦争の時代、であったのでしょう。 主役を担うのは、副題にもなっているカルタゴの将・ハンニバル、 それに対するはスキピオ(アフリカヌス)、そんな二人の宿命的な生き様です。 “アレクサンダー大王の最も優秀な弟子がハンニバルであるとすれば、 そのハンニバルの最も優れた弟子は、このスキピオではないか” といっても、ハンニバルとスキピオには1世代ほどの開きがあり、 スキピオの父がハンニバルに敗れた際、スキピオ自身はひよっ子でした。 その後、ハンニバルは10年以上もローマ勢力圏内を、数万の兵を率いて戦い続け、 その戦役の規模も20年単位とのスパンでもあるので、なかなかに壮大ですが、、 “優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。 率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人々でもある。” 史実としては、カンネの会戦でのハンニバルの圧倒的な勝利、 ザマの会戦でのスキピオのリベンジ、が有名とは思いますが、 ポエニ戦役は3度にわたり、幾度かの休戦期を挟みながらも、 当然それ以外の小競り合いも含めての戦闘はあったわけで、 その過程で「国家としての結果」を担保していくには、、 旧来の方式にとらわれず、敵からすらも学んで刷新していく、 これもまた、寛容の在り様の一つでしょうか。 それにしても、将官クラスの人材の、カルタゴというかハンニバル側と、 ローマ側での人材の差が、いかんとも、、ローマ側は枯渇しませんね、本当に。 ローマ元老院のハンニバルをイタリア内に孤立させるとの戦略もあったのでしょうが、 この、人材輩出システムは、やはりローマに国家としての軸、国体がしっかりしていたからでしょうか。 “共和制ローマの魂(スピリット)は、この重装歩兵に体現されていた” そういえば日本について、 “われらが日本の特色が和の精神であるとすれば、それを国際化時代では通用しないとして 全面的にしりぞけたりすれば、日本は日本でなくなる” と述べられているのも、なかなかに興味深いです、塩野さん。 “真に優秀な弟子ならば、師のやり方の全面的な模倣では終らない。” 長年に渡り、ハンニバルに苦杯をなめ続けたローマですが、 その敵からすら学ぶとのことの積み重ねから、ザマにつながります とはいえ、ポエニ戦役が終わった時点では、カルタゴやマケドニアに滅亡の気配はなく どちらかというと、ハンニバル、スキピオが表舞台から退いてから、その色が強まります。 “歴史を後世から眺めるやり方をとる人の犯しがちな誤りは、 歴史現象というものは、その発端から終結に向かって実に整然と、 つまりは必然的な勢いで進行したと考えがちな点” 結果から今の価値観で訴求すると、いかにも、カルタゴやマケドニアの滅亡ありきで、 「覇権的な帝国主義」への道筋をつけるための動きであった、、ともなりますが、 その時代の動きの中に入ると、意外とそうでもなさそうで、特に、、 “カルタゴの滅亡は、二重にも三重にも重なり合って起ってしまった、 不幸な偶然がもたらした結果であった” なんてカルタゴの滅亡を位置付けている一方で、 マケドニアやギリシャのそれについては、、 “何ごとにおいてもおだやかなやり方は、 相手もそれに同意でないと成立しえないという欠点をもつ” “ローマ人に、寛容主義の限界を悟らせた。” なんて風に評価しているように、複層的な要素が交わりあっての、 それぞれの理由に基づいて、国家滅亡との結果につながっていたのか、とも。 とはいえ、結果としては、 “(カルタゴ、スペイン、ギリシャの属州化で)地中海は、ローマ人にとって、 「われらが海(マーレ・ノストゥルム)」となったのだ” との派遣を成立したからこそ、 “ローマ人の地中海制覇は、カルタゴの滅亡までふくめて、 「ハンニバル戦争」の余波なのであった” なんて風にも言いまわせるのでしょうけど、、学界では余波なんて許されないでしょうねぇ。 歴史とは事実を積み重ねただけでは意味がない、とあらためて思います。 数多ある事実に対して、自分の言葉で理解して、どう真実として昇華していくのか、 そして、それをどう伝えていくのか、また、伝えていくのには、 ただ無味乾燥な事実を並べるよりは、血沸き肉躍る方が記憶にも残るでしょう。 かといって、何もそれを頭から無批判に信じる必要はない、伝えられる内容に、 自分の言葉で批判を加えていくことが、学問としての第一歩でしょうから。 なんてのは、歴史学であればこそ、一番最初に叩き込まれる基本姿勢とは思うのですが、、 どうやら、ここ最近の、息子たちの世代の歴史教科書などを見ると、怪しさがぶり返してますかね。 最後にやや耳に痛く残ったのは、以下のフレーズ。 “血も流さずにいて、何を言いたい!” 日本にしてみれば、湾岸戦争時のトラウマも記憶に新しいところ。 さて、われらが日本にとっての「日本らしさ」、いわゆる国体とは、と、 あらためて考えていきたいですね、そして自分の子供たちに伝えていきたいところです。
4投稿日: 2020.09.07
powered by ブクログローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。この巻では、ポエニ戦争での、ハンニバル対スキピオが描かれます。手に汗を握ってしまうほどの迫力です。
0投稿日: 2018.10.23
powered by ブクログローマが地中海の覇権国家となるきっかけとなる第一次ポエニ戦役、およびカルタゴの名将ハンニバル、ローマの英雄スキピオ ・アフリカヌスが登場する第二次ポエニ戦役、またその後のマケドニア、カルタゴ滅亡を描く。 最高に面白く、引き込まれます。
0投稿日: 2018.07.26
powered by ブクログ余りにも有名なハンニバル戦役をふくむ三度のポエニ戦役を活写。第二巻でいきなり最高潮の物語。しかし、単なる合戦描写におわらず、戦勝国、敗戦国各々が抱える問題点が提示される。「戦争終了をどのように行ったかで、その国の将来は決まってくる」、「自主的な交戦権を認めない・・・これではカルタゴは完全な独立国であるとはいえない」。
0投稿日: 2017.04.25
powered by ブクログポエニ戦役からカルタゴ滅亡まで。 1巻は流れを緩やかに追うような語りだったが、この巻ではハンニバルとスキピオの対決を焦点に、圧倒的な戦闘の模様を生き生きと濃密に描いている。 過酷なアルプス越え、周辺諸国がどちらと共闘するか、そして戦術の対決。 一気に読んでしまう緊張感ありました!
0投稿日: 2017.02.18
powered by ブクログ天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることのできる人ではない。誰もが見ていながらも重要性に気づかなかった旧事実に、気づく人のことである。 ローマの元老院は、絶望的な現状の打開に、はじめから大風呂敷を広げるという誤りは犯さなかった。全戦線は視界に収めながらも、必要に迫られている戦線から、当時のローマの力でできる範囲で、反撃を開始したのである。 シラクサには、アルキメデスがいたのである。一人の人間の頭脳の力が四個軍団にも匹敵する場合があることを、ローマ人は体験することになる。 ローマは旧敵国の指導層の子弟、つまり旧敵国の指導層予備軍を選んでローマで学ばせ、ローマのシンパに育てるやり方を好んだ。人質といっても、牢獄につながれるわけではない。適当な家庭に預けられ、家族同様にあつかわれ、その家の子供たちと一緒にその家の家庭教師に学ぶのが、ローマ人の考える人質であったのだ。 七百年もの長い歳月、カルタゴは、広大な土地を、多くの島々を、そして海を支配下に置いてきたのだった。それによって、カルタゴは、これまでに人類がつくりあげた強大な帝国のいずれにも遜色のない、膨大な量の武器と軍船と象と富を所有するまでになっていた。・・・それが今、落城し、完全に破壊され、地上から姿を消そうとしている。スキピオ・アフリカヌスは、伝えられるところによれば・・・、敵のこの運命を想って涙を流したという。勝者であるにもかかわらず、彼は想いを馳せずにはいられなかった。人間に限らず、都市も、国家も、そして帝国も、いずれは滅びることを運命づけられていることに、想いを馳せずにはいられなかったのである。
0投稿日: 2016.02.19
powered by ブクログ個人の力量に過度に依存することなく、あくまでも政治のシステムに従い総力戦で難局を乗り越えたローマには勇気を与えられる気がする。 現代の日本でも個人の力で動いている組織は少なくないと思う。そういう組織はハンニバルを擁したカルタゴのようにいつかどこかで綻びが生じるだろう。特定の個人に依存するのではなく総力戦で挑むという心構えを古代ローマから学びたいと思う。
0投稿日: 2015.11.26名将の手ほどきを。
「カルタゴの名将ハンニバル」の名を聞いたことがない人はいないと思うが、その名将がどのようにして古代ローマを征服寸前にまで苦しめたのかを知らない人は多いと思う。私もその一人だった。 年少の頃から世界史の授業でハンニバルの名を聞き、興味は持っていたが本書を読んでやっと彼の偉業を知ることができた。凄く面白かった。二千二百年前の戦いがこうも詳細に知ることができることに驚く。 少しでも歴史が好きなら読むべきだろう、著者もその道の第一人者らしく幅広い見解を示してくれる。読みごたえはあったがすぐ読んでしまった。
0投稿日: 2015.09.18シリーズ中の白眉
このシリーズはどれを読んでも面白いが、その中でも特に面白いのは本作と「ユリウス・カエサル」「パックス・ロマーナ」「悪名高き皇帝たち」「賢帝の世紀」じゃないかと思う。これはこの時代のローマ史自体がダイナミズムに富んでいること、またこの頃の話は高校の世界史などで親しみのある時代であることによるが、なかでも本作はローマ自体もそうだがカルタゴの栄枯盛衰まで描ききっている点で、シリーズ中もっとも面白い作品となっている。 このシリーズはどの本から読み始めても面白く読めるので手始めに本作、あるいはユリウス・カエサルから読んでみても良いと思う(ユリウス・カエサルのみは2冊に分冊されているので最初の巻から読む必要があるが)。実際、私はたまたま入った本屋でその時1~3巻が売り切れていたため、ユリウス・カエサルから読み始めているが十分楽しめた。 そういえば、私が本作を読み始めたのはやや遅く2003年頃からだが、それでも当時はまだハードカバー版しかなく、出張に重たいハードカバーを3冊も抱えて行って合間に読んでいた。今はタブレット一つで15巻全てを持ち歩ける。電子書籍版の1巻目に作者が触れていたが、良い時代になったものだと思う
4投稿日: 2015.06.02
powered by ブクログこの第二巻は、ハンニバルのカルタゴとローマの戦いのポエニ戦役が舞台。 ハンニバルはもちろん聞いたことはあるが、実際にどんな戦術でローマと闘い、どんな人物だったのかは、世界史を知らない私にはまさに未知の世界。 実際、読み進めていくにつれ、ハンニバルへの思いが強くなり、フィクションの戦争小説を読んでいるような気持になった。 歴史名を残す武将・ハンニバル。 彼の戦術は、2000年以上前のものとは思えないほどに緻密なものであった。 私の完璧な偏見ではあったが、紀元前の世界では絶対王政、戦いは単純な歩兵同士の激突、と考えていたが、ハンニバルは違った。 情報戦、今でいうインテリジェンスに長けた戦術家という印象を与えるハンニバル。 そのハンニバルを破った、ローマの若き武将・スキピオもまた魅力的な戦術家である。 著者は、スキピオをハンニバルの弟子と称しているが、優れた戦術を十分に生かし、さらにそれを己のものとして利用することができたスキピオは優れた才能の持ち主であったのだろう。 今の時代でも、教えてもらったことをどう生かせるかが重要であることは同じである。 それにしても、当時のローマの政治というのはおもしろい。 戦いに敗れた国を征服、侵略するのではなく、同胞あるいは属州として存続させ、ローマ連合という大きな組織を作ることに成功しているのは、まさにローマ人ならではの考え方である。 そんな紀元前のローマにも、嫉妬というのは存在していたというのも興味深い。 現代ではスキャンダルによって影響力を失う政治家をよく見かけるが、昔も今も似たようなものなのか。 ローマを守り、勢力を拡大させたスキピオは結局最後はローマを離れて死を迎えるわけだが、なんともさみしい終わり方である。 優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。 率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人である。 持続する人間関係は、必ず相互関係である。一方的では、持続は望めない。 興味深く言葉である。 確かにその通りなのか・・・ 実際ハンニバルはそうであったようであるが。 ポエニ戦役後、スキピオを失脚させたローマは大カトーの台頭により、穏やかな帝国主義から厳しい帝国主義へ変革していくが、これも歴の流れからいえば必然なのか・・・ 第三巻がまた楽しみになった。
0投稿日: 2012.11.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
カルタゴ国滅亡という結果に終るポエニ戦役。興隆の途にあるローマ人は、はじめて直面した大危機を“ハンニバル戦争”と呼び、畏れつつ耐えた。戦場で成熟したカルタゴ稀代の名将ハンニバルに対して、ローマ人は若き才能スキピオとローマ・システムを以て抗し、勝った―。歴史はプロセスにあり、という視点から余すところなく、しかし情緒を排して活写される敗者と勝者の命運。
0投稿日: 2012.09.10
powered by ブクログ読みたい巻から読めばいいという話を信じて読んでみましたが、そのとおりでした。 完全な伝記というよりは、事象を追うといった形で、会話文などはほとんどないですが、それでも楽しみながら読んでしまうのは、なんでなんだろうと不思議なところです。 楽しみながらとは言っても、やはりサクサク読める内容でもないので、それなりに読み終わるには時間がかかりました。教科書で5行も、深く調べていくと、こんな壮大な物語が含まれているんだということに驚きます。
0投稿日: 2012.06.15
powered by ブクログハンニバルも良いけど、やっぱスキピオですよね。戦術大好きになりました(前からそうだけど)。包囲作戦は爽快。しかし悲惨。
0投稿日: 2012.06.12
powered by ブクログイタリア半島に地盤を固めた共和制ローマが、地中海の覇権をかけて、カルタゴとの三次にわたるポエニ戦役を戦い抜く過程を描いています。中心となるのは、第二次ポエニ戦役のカルタゴの将軍、ハンニバル。アルプスを越えてイタリアに侵入し、卓越した戦術でローマ軍を苦しめる知将ハンニバルに対し、ローマは組織力で対抗します。直接対決を避けつつ、一歩づつハンニバルを追い詰めてゆくうちに、ローマでは若きスキピオがその才能を開花させました。そしてついにアフリカに渡り、カルタゴとの雌雄を決するザマの会戦へ。ローマがローマたる要因が何であったのか、それを如実に示す歴史が展開されます。
0投稿日: 2012.05.29
powered by ブクログ血湧き肉踊る歴史大スペクタクル!スキピオ擁するローマ対天才ハンニバル将軍の激闘の物語です。 http://ameblo.jp/happybookreviews/entry-11254407271.html
0投稿日: 2012.05.19
powered by ブクログカルタゴのハンニバルがローマ攻略に乗り出す。ローマには若い武将スキピオが登場し、ハンニバルに挑む。イタリア、スペイン、北アフリカを舞台に息もつかせぬ大スペクタクルが繰りひろげられる。共和制ローマのシステムの完成度は見事。また、双方とも戦争の継続のため補給路の確保にいかに腐心したかがわかる。
0投稿日: 2012.05.06
powered by ブクログポエニ戦役、ハンニバルとスキピオの闘い。ハンニバルのストイックで緻密な様子がうかがえる描写が面白かった。ローマが敗戦国に対して寛容さが無くなってきた。次巻ローマがどうなるかに期待が膨らむ。
0投稿日: 2011.12.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ローマとカルタゴの3期に亘る戦いと、ギリシャ、シリアでの戦い 執政官制度の堅持 ハンニバルとスキピオ ギリシャ芸術文化の尊重とギリシャ人への蔑み 緩い帝国支配から厳しい帝国支配への変化 カルタゴの滅亡
0投稿日: 2011.09.02
powered by ブクログついついローマ側に肩入れして読んでいると、ハンニバル戦争は辛い展開。 それだけに、陽の気質を持つスキピオの存在が輝いて見える。
0投稿日: 2011.05.08
powered by ブクログ・ハンニバルしぶい。 ・古代では、騎兵が役立たずだったというのが意外。 その役立たずな騎兵の運用を変更し勝利を重ねる事は、当時、まさに戦術の革新だったのだろう。
0投稿日: 2011.01.03
powered by ブクログ前巻でイタリア半島を統一したローマが、その領土を地中海全域へ拡げることとなったポエニ戦役を中心に描かれる第2巻。しかし、主人公はローマ人ではなく、ローマのライバル国カルタゴの武将ハンニバルだ。 とにかく、このハンニバルが圧倒的存在感を醸し出す。部隊を率いてアルプス山脈を越えて、ローマへ侵入、イタリア半島を縦横無尽に動き回り、ローマを混乱させる。 しかし、ローマに若きヒーロー、スキピオが登場したことで形勢逆転。ハンニバルをイタリアから追い出し、「ザマの会戦」で直接対決が実現する。 2人の英雄の関係はガンダムのシャアとアムロっぽい。
1投稿日: 2010.10.20
powered by ブクログ戦いに明け暮れる感じの2巻。戦争だから人が死ぬ。それもものすごくたくさんの数が。特にローマ兵士達の誇らしげな戦い方が心に残る。強制されて戦うのではなく、自分たちが大切に思うものを守るために戦っているんだな、という感じが実に伝わってくるのだ。ちょっとやばいかもしれない。 ハンニバルとかスキピオとか、名前と一行くらいの業績を知っていたくらいだったけど(スキピオはそれも怪しいが)、いかにそれがやせた歴史のとらえ方だったのかということがとてもよくわかる。 それと同時に、いかに天才であっても、個人は個人でしかなく、結局はシステムと、それを支える多くの人の意識が、世を動かし歴史を変えているのだと言うことがよくわかる。 この時代のローマ人の判断の仕方が好きだ。理性と論理、誠実さと名誉を重んじる集団は美しいと思う。 2007/3/16
1投稿日: 2010.08.29
powered by ブクログ相変わらず、ずっしりぎっしり贅沢なボリューム。 しかし塩野さんの描く男ってのはなんでこうもカッコイイのかな! 惚れずにおれん。
0投稿日: 2010.06.26
powered by ブクログハンニバル、すごい人だな。 職業としての軍人がストレートな形で存在しない日本では、 軍人として生きる男の感覚が、私には肌で理解できない。 そういう意味でもこの小説の男たちが、どう考え、どう生きたのか 知るのはとても興味深い。
1投稿日: 2010.06.20
powered by ブクログ唯一読み残していたⅡを読み終わったことで、去年から読み始めた「ローマ人の物語」をすべて読み終えた。 高校時代、西洋史は全く興味なかったので覚えていないが、このシリーズを読んで初めて分かったことがたくさんあった。 国の盛衰、政治システムや民主主義、外交であったり、今でも考えさせられることの根本がこの時代にすでにあったということ。拙い文章では書き表わすことができないくらい考え、思い知らされた。 是非、1巻から全部読みとおして欲しいと人に勧めてもいい作品だった。
0投稿日: 2010.01.28
powered by ブクログO市図書館より借用。 第一次ポエニ戦役からカルタゴの滅亡までを、ハンニバル、スキピオの両武将を中心に描く。 面白くて、2日間でいっきに読んでしまいました。
1投稿日: 2009.09.27
powered by ブクログハンニバルかっこよすぎるううう!史実だから結末は分かってるのに、なんでこんなにハラハラするんだろう。この戦いを見届けるまでは絶対寝ないぞ!っていう気持ちになる。久しぶりの一気読み。ハンニバルとスキピオの師弟対決、めちゃくちゃ面白かったです。10個くらい星をつけたい。 スキピオが大好きだったので、晩年は切なかった…カトーなんかとのケンカに何故負けたし…!
2投稿日: 2009.09.18
powered by ブクログハンニバルとスキピオ。両雄のぶつかり合いだけでなく、人としての交わりが素晴らしい。他の指導者とはまったくレベルの違う指導者だったんだろう。塩野さんの読ませる文章でずんずんと読んでしまった。
1投稿日: 2009.04.24
powered by ブクログ高校時代、世界史はろくに勉強していなくて、 ハンニバルがどんな人かも知らんまま読みました。 ドラマチックな1冊でした。 勝って寛容なローマが魅力的。 この時期のローマは ぜんまいざむらいの茶じじ みたいな感じ? ----------------------------- 図書館(09.04.05)
0投稿日: 2009.04.21
powered by ブクログ日本で言う2000年前、弥生時代の頃のローマが描かれている ハンニバルの攻撃戦略、ハンニバルに苦戦しながらもスキピオ・アフリカヌスの戦略・戦術が 図解を用いて分かりやすく解説 英雄と今日でも称えられる彼らの戦略には当時の現状を考えると脱帽です
1投稿日: 2009.03.26
powered by ブクログ第2巻はイタリア半島を統一したローマが、ハンニバルの率いるカルタゴを滅亡させるまで、紀元前264年から紀元前146年。 ハンニバルとスキピオの対決する第二次ポエニ戦役、ザマの会戦の描写は素晴らしい。2000年前の北アフリカにいて、激闘を見ているような迫力である。著者の筆力に感嘆しながら読んだ。 「天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることの出来る人ではない。誰もが見ていながらも重要性に気づかなかった旧事実に、気づく人のことである」 「年齢が頑固にするのではない。成功が頑固にする。抜本的な改革は、優れた才能を持ちながらも、過去の成功には加担しなかった者によってしかなされない。しばしばそれは若い世代による」 「ローマがカルタゴとの間に結んだ講和は、正義が非正義に対して下す、報復・こらしめではなかった。戦争という、人類がどうしても超脱することの出来ない悪業を、勝者と敗者でなく、せいぎとひせいぎに分けはじめたのはいつ頃からであろう。分けたからといって、戦争が消滅したわけでもないのだが」 「他者よりも優れた業績を成しとげたり有力な地にの昇った人で、嫉妬から無縁で過ごせた者はいない。機会は、相手に少しでも弱点が見えたときだ。・・・」 「歴史現象は必然的な勢いで進行したと考えがちであるが、ほとんどはそのようにはきれいに進まない」 「カルタゴ滅亡のとき、ローマの勝将・・・かっては栄華を誇った帝国の滅亡という、偉大な瞬間に立ち合っている。だが、この今、私の胸を占めているのは勝者の喜びではない。いつかはわがローマも、これと同じときを迎えるであろうという哀歓なのだ」
1投稿日: 2008.09.12
powered by ブクログ塩野七生さんの描く古代ローマ史の大作。 書き手の視点がすごく面白くて、読んでいるものを引き込む。 ハードカバーでずっと追いかけたんだけど、もう一度文庫で読んでみたいな。
0投稿日: 2008.05.16
powered by ブクログ213 カンネ会戦 ハンニバル(カルタゴ)にローマ軍大敗 ザマ会戦でスキピオがハンニバルを破る 146 カルタゴ滅亡
0投稿日: 2007.08.11
powered by ブクログ(2006.01.20読了)(2005.10.20購入) 塩野七生さんによる「ローマ人の物語」の第二巻である。最近第十四巻が出たので、先はだいぶ遠い。この第二巻「ハンニバル戦記」では、紀元前264年から前133年までの、130年間になる。ローマ人にとっては、カルタゴとの間に戦われたポエニ戦役を中心に、ギリシアやシリアにまで及ぶ対外戦争の時代であった。(9頁) 参考までに、述べると、秦の始皇帝による中国の統一は紀元前221年である。 日本で使われている高校生用の教科書によれば、この本で400頁ほどを費やして書く内容は、次の5行でしかない。 「イタリア半島を統一した後、さらに海外進出を企てたローマは、地中海の制海権と商権を握っていたフェニキア人の植民市カルタゴと死活の闘争を演じた。これを、ポエニ戦役と言う。カルタゴを滅ぼして西地中海の覇権を握ったローマは、東方では、マケドニアやギリシア諸都市を次々に征服し、さらにシリア王国を破って小アジアを支配下に収めた。こうして、地中海はローマの内海となった。」(10頁) ●失敗に学ぶ(43頁) 紀元前254年と年の変わった春、シチリア西部のマルサラに象軍を上陸させることで攻勢に出てきたカルタゴに対し、ローマも、二人の執政官と二人の前執政官に率いさせた軍勢を、陸と海に分けて送り込む。 執政官の一人は、ローマが海軍を持った最初の年にリバリの島で捕虜になり、その後の捕虜交換で帰国していたスキピオである。また、前執政官は二人とも、シチリア南岸での海難事故の責任者だった。敵方の捕虜になった者や事故の責任者に再び指揮をゆだねるのは、名誉挽回の機会を与えてやろうと言う温情ではない、失策を犯したのだから、学んだにも違いない、と言うのであったというから面白い。 ●マニュアル化(92頁) ローマ人には、マニュアル化する理由があったのだ。指揮官から兵から、毎年変わるのである。誰がやっても同じ結果を生むためには、細部まで細かく決めておく必要があった。 ●鐙について(176頁) 古代の騎士たちは、アメリカ大陸のインディアンと同じに、簡単な鞍を置いただけの馬にまたがり、両足は、鐙という支えもなしに下げたままだった。 騎乗しながら矢を射たり槍で突き刺したりするには、馬の上で踏ん張らないとうまくいかない。そのために鐙が必要なのだが、それが存在しない以上、両足で馬腹を強く締め付けることで体を馬上で固定すると言う、幼少時からの訓練でもなければ会得できない、特殊技能が要求された。 ちなみに、鐙は、紀元後の11世紀になってようやく普及する。 ●アルキメデス(208頁) 紀元前213年、シチリア島のシラクサはカルタゴ側だったので、ローマ軍は、シラクサに攻めていった。このときシラクサには、アルキメデスが居り、彼の考案した新兵器のために攻めあぐねてしまった。その年、アルキメデスは、75歳前後であった。 紀元前211年、シラクサは陥落するが、アルキメデスは、陥落時の混乱の中でも数学の問題を解くのに熱中していて、彼と気付かなかったローマ兵の一人に殺された。 ●人質(306頁) 人質は、好きなときに帰国できないと言う制約はあっても、フルブライトの留学生と同じようなものである。年齢を若く押えている(14歳から30歳まで)のもそのためだ。ローマは、旧敵国の指導層の子弟、つまり旧敵国の指導層予備軍を選んでローマで学ばせ、ローマのシンパに育てるやり方を好んだ。 ●介入(322頁) 介入とは、それが政治的であれ経済的であれ、また軍事的であろうと何であれ、相手とかかわりを持ったと言うことである。そして、かかわりとは、継続を不可避にすると言う、性質を持つものでもあった。 ☆塩野七生さんの本(既読) 「男の肖像」塩野七生著、文春文庫、1992.06.10 「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」塩野七生著、新潮社、1992.07.07 「男たちへ」塩野七生著、文春文庫、1993.02.10 「緋色のヴェネツィア」塩野七生著、朝日文芸文庫、1993.07.01 「銀色のフィレンツェ」塩野七生著、朝日文芸文庫、1993.11.01 「黄金のローマ」塩野七生著、朝日文芸文庫、1995.01.01 「ローマ人への20の質問」塩野七生著、文春新書、2000.01.20 「ローマの街角から」塩野七生著、新潮社、2000.10.30 著者 塩野 七生 1937年7月 東京生まれ 学習院大学文学部哲学科卒業 1968年「ルネサンスの女たち」でデビュー (「BOOK」データベースより)amazon カルタゴ国滅亡という結果に終るポエニ戦役。興隆の途にあるローマ人は、はじめて直面した大危機を“ハンニバル戦争”と呼び、畏れつつ耐えた。戦場で成熟したカルタゴ稀代の名将ハンニバルに対して、ローマ人は若き才能スキピオとローマ・システムを以て抗し、勝った―。歴史はプロセスにあり、という視点から余すところなく、しかし情緒を排して活写される敗者と勝者の命運。
0投稿日: 2007.06.24
powered by ブクログ地中海世界の覇権を競い、激突する共和制ローマとカルタゴ。ハンニバルをはじめとする名将達の生き様もさることながら、国家最大の危機であるポエニ戦役を「システム」で切り抜けようとしたローマ人の所行が活写されている興奮の一冊。
0投稿日: 2007.05.03
