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My Humanity
My Humanity
長谷敏司/早川書房
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総合評価

35件)
3.7
7
9
14
2
0
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    脳への直接的な経験伝達によって文化的背景すら書き加えられるようになったとき、文化とは均されるべきなのかを問う話や 小児性愛者の脳に施されるITPによる治療 一転、戦闘シーンの描写が活き活きしてるスピンオフと 霧状に蔓延したナノマシンの暴走が特撮スケールになってく中編など。 書き下ろしの中編は専門性がさらに高くて割と雰囲気読みしたけど、進化するナノマシンとのいたちごっこの展開に引き込まれるスリリングさがあって、後半の絶望感もしっかり味わえたし、そういう技術的な諸々の話がけっきょく社会性や人間性の話に帰結するので自分には無関係な物語、とはならないという。

    0
    投稿日: 2025.05.31
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    個人的には「地には豊穣」と「父たちの時間」が好きです。 ですが、「allo,toi,toi」が一番衝撃でした。

    0
    投稿日: 2022.01.06
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    ナノマシンをテーマにしたSF短編4本。人を自由に操る魔法とか怪電波ってよくある話ですが、ナノマシンを使うと本当にできてしまいそうなので怖いです。

    0
    投稿日: 2021.11.18
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    甘いから好き、ではなくて、好きだから甘い。 そもそも、最初に『好き』だけがあって、理由は後からつけてるだけ……。 この考え方は、けっこう衝撃的でした。欲望も、欲望を抑え込むことも、グロテスク。 すっごくおもしろいんだけど、長谷敏司さんの文章を読みづらく感じるのは、私だけかしら?

    1
    投稿日: 2019.07.07
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    生まれた国の文化を捨てて生きてきたデラシネの話。 小児性愛者を矯正しようとする技術と、その試験台になる終身刑囚の話。 急激に進化するナノマシンを前に、科学者としての自分と父としての自分の相克に悩む男の話。 冷徹で淡々とした筆致で描き出されるのは、SFの文体による個人の魂の話です。SFとしてのアイディアの尖り具合もなかなか面白く、そのアイディアに立脚した世界観を存分に活かしつつエモーショナルな視点を貫くスタイルは、グレッグ・イーガンの短編に近いものを感じます。 ・・・が、エモーショナルな作風であることは認めるんですが、その「エモーション〈情動〉」の描き方が、理に走っているのが鴨的にはちょっとアレかなー、と。 言いたいこと、表現したいことはものすごく伝わって来るんですけど、「あれがこうなってこのようになりました、だから私は云々」というト書きの描写が延々と続いて、いまひとつ登場人物に感情移入できないもどかしさがあります。理屈抜きでうわーーーっと魂を鷲掴みにする、そんな荒々しい表現もあって良いんじゃないかなと思うんですよね、「個人」をテーマに据えるからには。 SFの枠に閉じ込めておくには、勿体ないタイプの作家さんなのかもしれませんね。一皮むけることを期待したいと思います。

    0
    投稿日: 2019.02.04
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    あなたのための物語から関連で読んだ。なかなか良かった。 2作目 allo toi toi:そこにあるようなSF描写と、脳にデバイスを埋め込んでも結局は変われない人間の根っこがうまく描かれている。なかなかの生理的嫌悪をもよおす結末で素敵。 3作目 hollow vision:SF描写の迫ってくる感じが大変よかった。AIを描く作品はとにかく新鮮さが命だとはっきりわかる。テロ鎮圧の流れが怒涛の勢いで一気読み。 気になったのが、自転軸という言葉の使い方。たぶん作者は(自転の円周方向という意味で)間違って使っているのではないか。軸は軸だぞ 4作目 父たちの時間:ナノロボットの自律進化の過程がなかなか真に迫っていてよい。生物学の描写は微妙に怪しい気もしたが、気になるほどではなかった。父という存在を描く小説なので蛇足とは思いつつ、やはり生存競争の結末まで書いてほしかったなあとは思った。

    0
    投稿日: 2018.11.19
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    AIが人間の能力を超えてまもなく、様々な領域において人間を管理する役割を与えられ始めた黎明期を描くSF短編集。人類に有益であっても、人智を超えたAIに対する空恐ろしい雰囲気がそこはかとなく漂い、この物語の世界の今後について考えてしまう。

    0
    投稿日: 2018.10.27
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    『地には豊穣』 再読 豊穣の月の下で薄れ往く文化差異を惜しむ話 豊穣という言葉は普段使わないとかどうでも良いことを思う 科学の力で言葉や国家や宗教と文化がたいらになるまで 果たしてどれくらいかかるか 他の話と比べると割と平和な話かもしれない 『allo,toi,toi』 再読 犯罪者心理とSFてきに接触する話 SFというより警察ものとか社会派とかああいう系統よりか SFというのもそういうものだけれども 感情自律ができても犯罪は減らないだろうけれど文化は衰退しそう 『Hollow Vision』 スパイ大作戦な娯楽活劇調 『BEATLESS』の超高度AI世界は無尽に広がりそうなので この話の結末もそのひとつとして見える 『父たちの時間』 今度の新ハリウッド版は期待できるのかという話 もとい 3年前のグダグダ神話崩壊ぶりがすごく日本人的だったが 日本以外はどうなんですかね 日本のことも良く知らない日本人には良くわからないけれども 父たちというより雄一般なのではというあたりはちょっと腑に落ちないが 閉じて終わる話でもないということか

    0
    投稿日: 2018.10.26
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    短編集4編 人工による経験の伝承と文化的背景を扱った「地には豊穣」、小児性愛者の矯正の物語「allo,toi,toi」、宇宙ステーションでの海賊との戦いを描いた「Hollow Vision」、原子力発電所を扱った「父たちの時間」。どれもが少々本格的で、わかりにくく、難しかったが、確固たる世界が構築されていた。一番好きなのは最後の物語で、増殖していく「クラウズ」が不気味でその後が気になる。

    0
    投稿日: 2018.04.11
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    表題のとおり登場人物たちを取り巻く「人間性」の葛藤を重点とした短編が4作収められた一冊。一話一話に時間をかけて、ゆっくりと読みたかった…。腰を据えて読まないと魅力が伝わりづらいのだろうなという作品。いつかリベンジする。

    0
    投稿日: 2018.03.21
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     『あなたのための物語』の著者として名前だけは知っていたものの、まだ作品を読んだことがなかったため、短編作品集であるこちらがとっつきやすいかと思い購入。  一言で言って面白い。ついついページをめくって読了してしまった。  『あなたのための物語』購入したので、読むのがとても楽しみである。

    0
    投稿日: 2016.12.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2016/11/20 タイトルにある通り、人間性をモチーフにしたSF4篇 判断や好みは自分の歴史から作られると感じた。

    0
    投稿日: 2016.11.20
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    SF。短編集。 ハードなSFとしては読みやすい文章は好みだが、各作品のテーマが難しい。文化、性犯罪、テロなど。 あまり心に響かなかったな。 「allo,toi,toi」はなかなか好きか。

    0
    投稿日: 2016.10.01
  • SFに求めるもの

    今のSFって何でしょうか。 …僕はSFに文明論だとか社会正義だとかを求めていません。 だからこの作品が少しつまらないのでしょうね。 ハインライン、アシモフ、クラーク、ギブスン、ディック、it、it…。 この作品には過去に現れ出たSFの中から最高の素材を抽出してあります。 そしてやることはといえば、文学ごっこ、通俗的精神分析、そして家族ごっこ…。 SFは黄金期を過ぎたのでしょうか? 批判はこれくらいです。 内容としては経験伝承、その応用が社会に及ぼす影響の特殊心理描写、そしてナノマシンの生物的進化ととても上手い材料が使ってあります。 物語を求めないなら非常に良い出来です。 そして非常に美しく"日本的"でもあります。 確かに日本SF大賞にふさわしいでしょう。 星5つ。

    7
    投稿日: 2016.08.04
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    自己矯正が一般化した未来には、いつか死体になったときどの文化の下に積み重なるかを選ぶことが、自己を語ることになるのかもしれない。 (P.64)

    0
    投稿日: 2015.10.06
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     短編より長編の方が好きだなぁと感じた。  あと、全く関係ないけど、表紙を薄目でじっと見てると猫の顔に見えてくる……。

    0
    投稿日: 2015.09.23
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    父たちの時間以外は他の作品集や雑誌で追っていましたが、こうやってまとまるとまた面白い。三作目と四作目のラストシーンの幻想的で恐ろしいような何故か感動してしまいそうな風景の描写が好きです。

    1
    投稿日: 2015.09.14
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     日本SF大賞2015受賞作2作品のうちのひとつ。4つのSF短編で、いずれも高度に科学技術が発達した未来を、それぞれ異なるアプローチで描いている。うち3つが他作品のスピンオフだが、知らなくても単独で十分読める。 1)地には豊穣  2009年に日本SF大賞候補となった「あなたのための物語」のスピンオフ作品。疑似神経制御言語「ITP」によりだれでも容易に経験の伝達が可能になることと、これまで個人のアイデンテティーを形成してきた文化的価値観のぶつかりが、まだ若い日本人の心の変遷とともに描かれた良作。 2)allo, toi, toi  1)と同じスピンオフ。少女を殺めた小児性愛犯罪者に対しITPによる矯正を試みるも、疑似神経が見せる幻の少女がきっかけで悲劇的な結末を迎える、印象的な作品。結局のところ、ITPは人格との折り合いという問題点を解決しないと使用に堪えないと感じた。 3)Hollow Vision  軌道ステーションで起きたテロ事件とそのてん末を、超高度AIが管理する未来宇宙とともに描く壮大な作品。宇宙空間での物理環境やhIE、液状ドレスなど近未来での宇宙生活のパーツが緻密に描かれていて、4つの中で最も想像が強く膨らんだ。宇宙旅行に行ってきたような気分になる。これも氏の長編「BEATLESS」のスピンオフ。 4)父たちの時間  書き下ろし。自然環境中で自己増殖を始めたナノマシンを止めるため研究に没頭する主人公が、別れた家族に対する「父」という自分の存在の在り方に打ちひしがれる話。ナノマシンの加速する増殖スピードが話の展開に緊張感と恐怖を与え、面白かった。長編に引き延ばしても通用するような気がする。  こうしてみると、長谷さんの作品には微細なロボット(ITP、タバコからの霧状コンピュータ、ナノマシンなど)が多数登場するなと思う。

    1
    投稿日: 2015.07.09
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    あなたのための物語のスピンオフである「地には豊穣」と「allo,toi,toi」、BEATLESSのスピンオフである「HollowVision」、そして描き下ろし「父たちの時間」の合計4篇で構成された短編集です。 「HollowVision」だけはBEATLESSを未読のため掴みきれませんでしたが、どれも勢いと熱量の感じる秀作です。 特に印象深いのは「allo,toi,toi」と「父たちの時間」。 前者は小児性愛者の真に迫った哀切と慟哭すら感じられる内容で、後者は危うい均衡で成り立っていたバランスと秩序が一瞬で崩壊するそのスピード感と取り返しのつかなさをよく表現していました。 どれも短いので、読みやすい反面、多少の物足りなさを感じるのも事実です。 特に「父たちの時間」はできれば長編でじっくり腰を据えて読んでみたい内容でした。

    1
    投稿日: 2015.06.25
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    作家初読み。これはすごい、面白い。テクノロジーで変容する世界と、変化する社会の中を生きる人間の希望、戸惑いや悩みを丁寧に描いたSF短編(中編)集。 「地には豊穣」 脳に経験を伝達するITP技術の発展は多様な文化や民族性を淘汰するのか。技術の便利さのみを信奉してきた主人公は、自らに強調された祖国人のパーソナリティを植え付けることで、新しい世界を見つける。個人のバックグラウンドに積み重ねられてきた文化や民族性の本質とは何か、何が個々の人間性を定めているのか。個人が自分の背景となる文化を選べる時代が来るのかもしれない。じーんとくるものがある。 「allo,toi,toi」 題材が重く生々しい。刑務所内でITP技術による脳の矯正実験を受ける小児性愛者の話。そして彼をモニタリングする科学者。「好き」「嫌い」とは何かを突き詰めていった結果、そもそもの人間の心の脆弱な部分が見えてきてしまう。心に残るも、ずしりと重荷が乗っかる感覚。 「Hollow Vision」 宇宙時代が幕をあけ、宇宙で暮らすための合理的な習慣やシステムが生まれていく。活劇ありでイメージ多様でわくわくする設定。他の三編より落ちるかな。 「父たちの時間」 面白い。テクノロジーの暴走が人類の危機を招くというよくある筋ではあるのだが、知的な興奮と物語としての面白さを併せ持った傑作になっている。ゴジラを連想。 原発のメンテナンスのために自律するナノマシンが実用化された世界。生物を模倣したナノマシン群は人類の予測を超えて進化を始める。 ナノマシン対策チームの主人公は、父親としての自分を意識の外に置きひたすら仕事に励んできたが、危機を前に再び家族との絆を見直していく。主人公がナノマシンの進化を自分や人間の生と重ね合わせて思いをはせていくのが面白い。世界の危機でも、人は生きて、家族を愛して、もがきながら前に進んでいく。

    1
    投稿日: 2015.05.23
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    「地には豊穣」「allo,toi,toi」は他のアンソロジーなどで読了済でしたが、改めて読み返してみても引き込まれる「凄い」作品でした。 「BEATLESS」をまだ読んでいないので、「hollow vision」はいまいち移入できませんでしたが、どんでん返しまで楽しめるエンターテイメント作品…でいいのかな? 書きおろし「父たちの時間」追い詰められた主人公が立ち向かう姿が、それだけで「父の背中」を彷彿とさせる描写が圧巻でした。 はずれ無しとは言え、もう少しボリュームが有っても良かったかな…

    0
    投稿日: 2015.05.18
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    人の経験を脳内に描き込める言語。監視し判断する超高度AI。生物のように増殖し、人の生活圏を脅かすナノマシン。人は便利な道具を作り使う。道具は人の生活を生態さえも変えていく。支配しているのか、されているのか? 主従が逆転してはいないか? テクノロジーの進化は止まらない。それを是とするか、否とするか"人間性"が戸惑っていてもだ。近視で先を見通せないのに、危うい足取りで進み続けるのだ。 人らしくあることへの葛藤が描かれています。『allo,toi,toi』断末魔の悔悛の絶叫に悪夢を見ました…。

    0
    投稿日: 2015.05.09
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    円環少女の作者の描く本格SF短編集 円環少女自体もかなり作り込まれたハードな設定だったし、本作もなかなかのもの 基本的にはどの話も、私的な苦悩を抱える主人公が何らかの技術のもたらす変化に直面する話。 特に最後の父親たちの時間が印象に残った 離れて暮らす息子に対して父親としての時間を作れずにいる主人公と、自然進化を始めたナノマシン達を並べる発想が素晴らしい 人間性と技術革新を並べるこれぞSFといえる作品です

    0
    投稿日: 2015.03.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    这个小说与伊藤(計)先生的作品相似。我想很難这个系統。我死心了。不过、生命救済机能和極上机械等、我喜欢这个SF的思想。

    0
    投稿日: 2015.03.07
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    4本収録の短編集。 『あなたのための物語』と世界観を同一にするものが2本、他作品のスピンオフが1本、書き下ろしが1本という構成で、各々の作品は短編にしては長めだが、中編というにはやや物足りないかな〜というボリューム。 『地には豊穣』『allo,toi,toi』は、『あなたのための物語』で登場したITPが、既にある程度用いられている世界が描かれているが、後者の方が印象に残った。 4編ともSF的世界における人間性に焦点を当てたテーマで、『My Humanity』というタイトルは内容を的確に表現している。こういうピッタリなタイトル、あるようで無いよな〜。

    1
    投稿日: 2015.03.05
  • ヒトとしての相克を描く中短編SF

    ITPという人間の脳の動きを言語に置き換えて記述する事が出来る技術が実現化した未来。「あなたのための物語」の後日譚でこの技術が浸透した若しくは浸透していく社会が語られる。 「地には豊穣」は好景気に沸く世の中を背景に熟練技術者の不足を解消する為に彼らの経験と知識をITP技術を使って保存、移植するプロジェクトが立ち上がる。主人公のケンゾーは英語圏で開発されたITP技術を他言語圏(この場合は日本語圏)にアジャストさせる為の調整を行っている技術者でこのアジャスタの設定値を日本人被験者から集めて決定する作業を行っている。御船〈ミフネ〉と呼ばれる日本語アジャスタが日本文化の基準値となる設定が面白い。この基準値の取り方ひとつで日本文化モデルに入るか入らないかが決められるというのだ。最初は基準値などは機械的に足切りしてしまえば良いと考えていたケンゾーが、ある事をきっかけに寄って立つべきものが無い自分に気付きミフネを自分に取り込んで「謙三」という日本人になるエピソードが切ない。 「allo,toi,toi」は同じITP技術を使って少児性愛者を矯正しようとする話なのだが、個人の好き嫌いと集団社会としての好き嫌い(やって良い事ダメな事)とのギャップが生む相克に晒される受刑者チャップマン。グロテスクだが考えさせられる作品。 「父たちの時間」は原子炉廃炉の放射線を抑制する機能を持つナノマシンが変異して自己増殖し出す。暴走するナノマシンを捕食する為の新マシンを投入するのだがイタチごっこの様相になり・・・生物進化の生存戦略の話で語られるオスの役割。男にとっては耳の痛いツライ話かも。 どれも短いが内容は濃くそして重い。あなたにとって文化とは、社会とは、父親とは、が問われる4つの中短編。私にはITP技術エピソードの「地には豊穣」が一番良かったですかね。前作「あなたのための物語」は結構読みづらいのでこちらの短編集から入るのもアリかと思います。 しかしこのITP、グレック・イーガンの作品に出てくるMODを毎回思い出してしまうのは私だけか?

    4
    投稿日: 2015.02.22
  • しみ出すような後味の悪さも,心を惹きつける

    SFとはつくづく「人間」を問う物語である。 短編4編からなるこのMy Humanity。 疑似神経制御言語による人格の補完技術,人の知性を超えた超高度AI, 自己増殖し人の制御を離れてしまったナノマシンと,その超テクノロジーに心をくすぐられないわけがない!  しかしやっぱり物語の根幹は,それら超テクノロジーを介して描かれる「人間性」。 4編通して,えも言われぬ絶望感や後味の悪さがしみ出すような物語であるのに, どれもこれもが,ぐっと心を惹きつける。 長谷氏が描く絶望的な物語は,とてもよい。

    4
    投稿日: 2015.02.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「地には豊穣」 けっきょくITPは良かったのか悪かったのか… 「allo, toi, toi」 ロリコンが脳内幼女をもらってウハウハする話。 「Hollow Vision」 諜報機関のエージェントが活躍するスペースアクション。未来ガジェットてんこ盛り。一番SFっぽい。 「父達の時間」 震災を意識しまくった描きおろし。結局父親はのたうち回るしかないのか?

    1
    投稿日: 2014.11.11
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    切れ味鋭い新感覚SF小説  既読の「地には豊穣」は難解で乗りきれない。尖過ぎて私がついていけない。  これも既読の「allo,toi,toi 」はロリコン?の犯罪者。わかるけど題材でひいてしまう。  なかなかの力作「Hollow Vision」だが、設定に入り込めず流し読みしてしまった。シリーズだから入り込めばおもしろそうだ。  傑作が「父たちの時間」。ナノマシンが増殖する。戦慄のテーマに新しい地球の未来が見える。異星人襲来とか隕石より前に、これが人類を滅亡させるのではないか? なんかこのテーマおもしろそうだ。  このナノマシンのお話が最高にインスパイアされたから満足!

    1
    投稿日: 2014.11.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「人間性」をテーマにしたSF短編集。4篇収録。 「地には豊穣」別書既読  いつの日か、民族性などの文化が情報として脳に切り貼りできるものになったとしても、その苗床となる「人間」が生きている限り、文化は振るい落とされ失われるばかりでなく、新たに積み重ねられていくものがあるのだろう。例えば、失われゆくものに対する惜別の思いなど。 「allo,toi,toi」  感覚器からの情報に結び付いた動物的な「好き嫌い」と、文化と社会の上に築いた社会的な「好き嫌い」とを、私たちは区別できない。  食料や異性のような生きる上で必要なものだけでなく、芸術や教育のような抽象的な事柄に対しても「好き嫌い」の振り分けができることで、人間は多彩なモチベーションを持ち、社会を発達させてきた。  とはいえ、好悪の管理を精密に行う能力がないために、社会的要請に起因する快楽の意味を取り違えて暴走が起こったりもする―― そういった観点から小児性愛者の心情を描いたお話。  「好き」という単純な言葉のなかには、親愛・母(父)性愛・性的欲求等の雑多な感情が押し込められている。  コミュニケーションにおいて、「好き」という言葉に含められたものを消化できないとき、人間はそれを「好き=自分にとってよい」ものだと大雑把に丸呑みして受け入れようとするし、その錯誤がきっかけで道を踏み外す者がいるのも、特別おかしいことではないのだ。 「安全圏など本当はない」  普段日常から意識的に排除するものの、決して追いやってしまうことのできない恐怖を喚起された。 「Hollow Vision」  科学技術の進歩に伴い変化していく人間の在り方。脳の機械化技術が現実のものとなった世界で、あえてデザイン(かたち)のなかに人間らしさの証しを垣間見る、という話だろうか。  私には難しくてほとんど呑み込めた気がしない。 「父たちの時間」  放射線を吸収するナノロボット≪クラウズ≫が原子炉運用に活用されるようになった未来の日本の話。クラウズが自然環境に漏れ、自己増殖システムに異変を来し始めたため、主人公はその変異型クラウズを利用して、同種を共食いさせるという方向で対策案を模索する。  クラウズに起因する霧や原因不明の病の蔓延により、徐々に不穏な空気を増していく世情。  そしてそうした大きな世界に対し同じくらい差し迫った問題として、家族という小さな営みを再び自分の人生に結び付けていく描写が良かった。  それぞれの研究機関が好き勝手に手を加えたナノマシンたちの特徴が有機的に絡み合って、最終的に自然生物の営為に近づいてしまうところも面白くて、物語としてよく出来ているなあと思った。

    3
    投稿日: 2014.10.05
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    ーーー擬似神経制御言語ITPによる経験伝達と個人の文化的背景との相克を描く「地には豊穣」、 ITPによる小児性愛者の矯正がグロテスクな結末を導く「allo,toi,toi」―― 長篇『あなたのための物語』と同設定の2篇にくわえ、 軌道ステーションで起きたテロの顛末にして長篇『BEATLESS』のスピンオフ「Hollow Vision」、 自己増殖ナノマシン禍に対峙する研究者を描いた書き下ろし 「父たちの時間」の全4篇を収録した著者初の作品集 借り物。 テーマは進歩した技術と人間性(ヒューマニティ)の相互干渉ってとこか。 最初の2篇は、ITPへの理解が深まってからもう一回読みたいと思ったな。 グッときたのは、本書のテーマを原発廃炉というセンシティブな問題と絡めてど直球でぶつけてきた『父たちの時間』かな。 「お前ならどうする」 「お前に何ができる」 を突きつけられている気がした。

    2
    投稿日: 2014.09.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「地には豊穣」★★★ 「all, toi, toi」★★★★★ 「Hollow Vision」★★★ 「父たちの時間」★★★★

    1
    投稿日: 2014.07.21
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    「あなたのための物語」のスピンオフ作品2篇と他2篇。こうゆう近未来のSFは色々なガジェットがワクワクさせてくれて面白い。 文章が少し読みにくかったが、ストーリーは面白い。

    1
    投稿日: 2014.05.04
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    amazonでジャケ買いした記憶 やはり長編のスピンオフというのは元のものとか読んでないといまいちという印象。 書き下ろし「父たちの時間」は一番本の表題とマッチしてるかなと。

    1
    投稿日: 2014.05.03
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    なかなかの本格SF。ガジェットのアイディアもユニーク。 4編ともじんわりくるが、最後の書き下ろし短編「父たちの時間」は涙なくしては読めない。

    1
    投稿日: 2014.03.13