
総合評価
(294件)| 95 | ||
| 85 | ||
| 65 | ||
| 11 | ||
| 3 |
powered by ブクログ発表以来各誌で絶賛され続けている、中国系米国人作家の短編集。どこでレビューを読んでも褒めちぎられていて、手に取るにはちょっと気が引けるぐらい(^_^; 取り上げられているテーマは斬新です。いかにもSF的なアイディアを基に、でも描き出すのはそのアイディアの「SFらしさ」よりもむしろそこから派生する日常生活の変容、人間の心の変容。淡々として外連味のない筆致といい、ちょっとグレッグ・イーガンを彷彿とさせます。 が、鴨にとっての読了後の印象は、「えっ、これで終り?」とあっけにとられたのが正直なところ。 好みに合わなかった、と言ってしまえばそれまでなんですが・・・何と言うかこぅ、SF的なアイディアを基に世界設定をして、登場人物を配置して、登場人物の動きや心情を描写して、で、それで?というところで物語が終わってしまうんですよね。その発想は面白いけど、物語としてどうなの?と評価できる一歩手前でカーテンを閉められてしまう感じというか。 SFとしての構成要素は十分満たしていると思います。物語としての完成度を、鴨としてはもっと期待したいです。まだ知られ始めたばかりの作家ですし、これからの作品に期待大!ですね。
0投稿日: 2016.03.07
powered by ブクログ表題、ふたつの場面が代わる代わる進んでいる訳に気がついた瞬間が面白い。 主人公がなんでそうしようと思うかの設定が不思議なのに妙に納得してしまう。ヘプタポットも可愛らしい。 これから人生の温度がどんどんぬるくなって行きそうな終わり方だけど、そんなにモヤっとはしませんでした。
0投稿日: 2016.01.07
powered by ブクログまず表題作がよかったなあ。最初は意味がわからなかったけど、読み進めていくうちに糸がつながってきて、最後はなんとも言えない切なさに包まれる。 僕にとっての白眉は「七十二文字」。パラレルワールドのお話かと思いきや(多少なりとも科学史を知っていたら、くすりと笑える部分がけっこうある)、最後のオチで唸る。 いずれも珠玉の作品集。読んで損はない。
0投稿日: 2015.12.13
powered by ブクログ理解するには文章が難しく感じた。 本の感想よりも翻訳家の苦労ばかりが先に頭に入ってしまうため、内容をあまり覚えてないのに、自身の読解力の限界を感じた。 地獄とは神の不在なり、は文章も読みやすく、よくこんな物語を思いつくものだと感心した。
0投稿日: 2015.12.06SFの奇才が産み落とした1冊
執筆活動の他にテクニカル・ライターも務める、兼業作家のテッド・チャン。非常に寡作な作家として知られており、現在のところ実質の著作もこの『あなたの人生の物語』だけ。しかし、ここに収められた8つの短篇は、どれも咀嚼するのに時間のかかる濃密な物語になっています。 表題作の「あなたの人生の物語」では、言語学者の女性が未知の言語を扱うエイリアンとの意思疎通を試みていきます。単語はもちろん、文法やその世界観も異なるエイリアンの世界。彼らの視点を学んでいくことで、次第に彼女自身の人生の見え方も変わっていきます。 他にも、4ヶ月をかけて頂上まで登る塔を舞台にした「バビロンの塔」など、テッド・チャンは壮大な舞台装置を巧みに使って不思議な世界を構築していきます。 大きな世界で展開される、小さな人間の物語。ぜひ気になった章から開いて、彼の生み出した物語に没頭してみてください。
3投稿日: 2015.07.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ずっと読まねばと思っていたSF。 この間、一緒に飲んだ人におすすめされたのを契機にいよいよ読んだ。 タイトルだけ知っていたんだけど、その席で短編集であることを知ったのも読む始めたきっかけ。 図書館情報学的にも面白いネタが満載で読んでよかった。 ・バビロンの塔 今の地球とは異なる法則性のある、バビロニア世界。 天まで届く塔がついに完成し、その天を掘削してヤハヴェの世界を見ようとする人々が知ることになる、世界の有り様。 ・理解 植物状態から薬剤によって回復した主人公。 単に回復するだけでなく知能が異常に発達する。 薬剤の投与を繰り返し人類を遙か超えた精神を持つようになった主人公が、同じ状態になった敵と対峙する。 ・ゼロで割る 乗算と除算の定義:ある数Aで割った数に今度はAをかけると、元と同じ数になる。 しかし何かに0をかけると元の数ではなく0になってしまうので、定義上0による除算はできない・・・というか、不定になる。 1=2が成立してしまう、どころか1=の右辺がどんな数でも証明できてしまうことを発見してしまった数学者と、彼女の夫。 ・あなたの人生の物語 表題作。異星人とコミュニケーションををするために駆り出された言語学者、後にその夫となる物理学者、そして二人の子供。 異星人は話し言葉と対応しない、表義文字とでもいうべき、非線形な書き言葉を使用する。表義文字の使用に習熟し、それで思考することもできるようになった言語学者は、認識と思考も線形的なものではなくなる。 ・七十二文字 今の地球とは異なる法則性のある世界。 ゴーレムと同様、文字の組み合わせ=名辞によってものを動作させることができる。 また、人類はその形態を精子に、生命を卵子に拠っていて、すべての生命ははるか小さな形で既に地球上に存在するものであり、人間はそれが大きな形をとったものである。 この世界で精子のみからの発達を数世代繰り返すと、ある世代以上、子が発達しない=人類は数世代以内に滅亡することがわかる。それを防ぐために、卵子に名辞を刻むことでヒトを発生させる実験に主人公は駆り出される。 ・人類科学の進化 掌編。人類を超えた認識を持つ超人類が存在する世界で、超人類しかアクセスできないネットワーク内で科学が進んでいく中、人類の科学者の役割とは。 ・地獄とは神の不在なり 今の地球とは異なる法則性のある世界。 神、天使、堕天使、天国、地獄は全て実在し、天使が顕現したり死者が地獄や天国にいる姿が見える。 最愛の妻を天使の顕現で失った主人公は神を愛せない。神を愛さない者は天国へ行けない。死んだ妻は天国に昇ったことが確認された。主人公はどうする? ・顔の美醜について ヒトの顔の美醜に対する認識のみ失わせる処置ができるようになった世界。容貌による差別(ルッキズム)をなくすために、学生全員にその処置を行うよう求める運動が起きているある大学。学生投票を前に、この処置と運動についてどう考えるかを、関係者や有識者、実際にその処置を過去受けたまま育ち、今はそれを外した学生らに尋ねて行く。 ・・・こうしてみると、未来ものだけでなく異なる法則性のある世界的な話も多いな。 「あなたの人生の物語」は図書館史的に、「顔の美醜について」は昨今はてなで話題のアレ的にもいろいろ面白いしネタに使えそう。
0投稿日: 2015.05.30
powered by ブクログ数学とか言語学とか認知科学とか、色々な分野のネタが入っている。なんだろう、この説得力。荒唐無稽なのに妙に受け入れさせられてしまう。 著者の経歴を見て納得。サイエンスライターか。 ネイチャーとかに記事を書いている人が、小説を書いてみたという雰囲気は確かにある。 私が特に気に入ったのは、表題作と「理解」。「顔の美醜について」も、参りました。どこでネタを仕入れているのか。取材や調査をしっかりして、理解した上で書いている感じがする。 著者は天才だな!
0投稿日: 2015.02.10
powered by ブクログSFの文学賞受賞作3編を含む計8編を収録したSF短編集。 収録作はいずれもハードSF系のため内容は難しかったり理解しきれなかったりしたところもあるのですが、それでも作品自体が持っている”力”に強く引き付けられてしまい、分からないながらも読んでしまいますし、満足してしまいます。 表題作「あなたの人生の物語」はエイリアンの言語分析をする女性言語学者の日々と、その女性学者の”あなた”に向けての語りが交互に書かれていく形式の短編。 この女性学者の”あなた”への語りが非常に美しくまた愛情にあふれているのが分かります。そしてその語りの意味が分かった時の切なさもまた素晴らしいです。 「バビロンの塔」は天まで届く塔を造る男の姿を描いた話。 神話的、宗教的なモチーフでその物語は非常に壮大。これが短編集の一番初めに収録されているので、この短編を読んだだけで、この本はすごい作品に違いないと思いました。 「理解」は手術により常人にない感覚を手に入れた男の話。 ストーリー的にはハリウッドで映画化されていてもおかしくない映像映えしそうな作品だと思いました。それだけでなく後半は人類を越えた者同士の姿から見えてくる孤独や、自らの力をどのように使うかという問題が描かれていて哲学的な面でも考えさせられます。 アイディアでいちばん面白かったのは「顔の美醜について―ドキュメンタリー」人の顔の美醜の区別がつかなくなる脳への治療を受け入れるかどうかをめぐり様々な人の考えが述べられていく作品です。 人の価値は内面にあるとはよく言われますが、実際のところはどうなんだと聞かれると…まあ美形の人の方が得しているのは事実だと僕は思っています。 そう考えるとすべての人がこの治療を受けて顔の面で差がなくなるのはいいことのように思いますが、そうした均質化は本当にいいことなのか? こうやって均質だけを追い求めていくと突出した才能が集団から抜け出た”悪”ととらえられるようになってくるのではないかと個人的には少し不安になります。 「地獄とは神の不在なり」会話文が少ないことや宗教観がイマイチ飲み込めず入り込めなかったのですが、テーマが非常に面白かったのでぜひ再チャレンジしたい短編。 おすすめのSFで必ず名前の挙がるこの本ですが、それだけの理由があるのだなということを実感した一冊でした。作者のテッド・チャンはかなり寡作の作家さんらしいのですが、ぜひ次の作品も読みたいところです。 ローカス賞短編集部門賞 ネビュラ賞、第33回星雲賞海外短編部門「あなたの人生の物語」 ネビュラ賞、ヒューゴー章、ローカス賞第35回星雲賞海外短編部門「地獄とは神の不在なり」 ネビュラ賞「バビロンの塔」
1投稿日: 2015.01.29同業者(同じSF作家)からの評価が高い、チャン
この小説の中にはいっている中短編の8編が今までに発表しているほとんどの作品という凄まじく寡作な作家である。が、すべての作品が何らかのアメリカのSFの賞に絡んでおり、同業者(つまり同じSF作家)からの評価が高い。と前評判は上々なのだが、実際読んでみるとそこまで面白いか?というのが正直な感想。 表題作「あなたの人生の物語」と「地獄とは神の不在なり」の2作品は確かに面白かった。 「あなたの人生の物語」は異星人との意思疎通を図る言語学者が、異星言語を研究していくうちにあることに気付きできるように(わかるように)なる。余韻のある結末が良かったですね。「地獄とは神の不在なり」は、天使が降臨する現象が自然現象として起こる世界で、妻がその降臨現象に巻き込まれ死んだ男の話。これも面白い。天使降臨に巻き込まれ死ぬ人もいれば、奇跡が起きて難病が治る人もいるという現象を巡って複数の男女の運命が翻弄される。人にとって信仰とは何か、神とは、天国と地獄とは?などなど結構考えさせられる作品。「バビロンの塔」という話も印象的な話ですが、それ以外は自分的には内容も含め難しいというのが正直な感想。この人の長編読んでみたいとは思いましたが、「書く価値のあるアイディアを思いつかない限り書かない」がモットーらしいので無理かなあ。 ※アニメ「トップをねらえ!2」の最終話の題名が、この小説の題名と同じというかこの題名を使用。
9投稿日: 2014.10.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「バビロンの塔」★★★★ 「理解」★★★ 「ゼロで割る」★★★★ 「あなたの人生の物語」★★★★★ 「七十ニ文字」★★★★ 「人類科学の進化」★★★★ 「地獄とは神の不在なり」★★★ 「顔の美醜について――ドキュメタリー」★★★★
0投稿日: 2014.09.13
powered by ブクログレベルの高い知識に支えられているけど、そういう細部は必要最小限に抑えてあるため物語にも集中できてよい短篇集であった。細部をふくらませたら長編小説が8作できたのではと思う濃さだった。『理解』『あなたの人生の物語』『七十二文字』『地獄とは神の不在なり』が特に良かった。
0投稿日: 2014.08.10
powered by ブクログ表題作はもちろん、自分には「理解」と「地獄とは神の不在なり」も最高。読者自身の中に持つ思想、世界観によって様々な共鳴が、各々の中に生まれそう。こんな完璧な短篇集は読んだことがないほど。
0投稿日: 2014.08.08
powered by ブクログ久々のSF。内容が難しかった。あと私の読解力が足りないんだろうけど、オチが何なのかよく分からないものが多かった。文章自体の意味は分かるんだけど、それが何を表してるのか分からないっていうか…。だからあまり面白いと思えなかったのでした。もしかして挿し絵があったらちょっと違ったかも??
0投稿日: 2014.08.03
powered by ブクログてっぺんまで登るのにひと月以上かかる建設中の塔を旅する男の物語「バビロンの塔」 異星人とのコンタクトを任せられた科学者の試行錯誤「あなたの人生の物語など、8編の短編集
0投稿日: 2014.07.27
powered by ブクログ少し前によく平積みになっていたので図書館で借りてみました。なんというのか通好みのSFって感じだなあと思いました。 バビロンの話は面白かった。らせんというかメビウスの輪のようになっているという感覚が面白い。そして理解も面白かった。貴方の人生~は個人的にはちょっと納得いかないところはありましたがインパクトは一番ですね。 どの作品を読んでもベースとしてキリスト教が濃厚に香る感じがしました。移民二世なのになあというのはちょっと思ったりもしましたが。神と科学という二律背反しそうなものを同様に信じている人はこういう考え方をするのかな、というのが面白かった。神は現象でありすべての現象の解であるとするならば科学的にも神が成立されるべきだろうというような考え方が面白いというか。それにしても神は無条件に愛されるべき存在である、なぜならすべての創造物を生み出したのは神なのだから、という論法なら生物は(人物でも良いけど)神を母のように無条件に愛すべきである、とならないのは神=男性という意識が強いからなのか。その辺りの思想も面白い。 カートヴォネガットを読んだ時も思いましたがキリスト教をベースにSFを書くとこんな感じなのかな。毛色が変わったSFでした。
0投稿日: 2014.07.25
powered by ブクログ寡作のSF作家テッド・チャンの8篇からなる短編小説集。著者は中国からの移民の両親を持つアメリカ人。 激烈な傑作だった!特に表題作含む後半!!一遍ずつの感想を。(以下ネタバレに気をつけながら書くけどネタバレ含むかも) 「バビロンの塔」…文字通り、ずばりバビロンの塔の物語。オチが鮮やか。 「理解」…異能者バトルの形をとった、ある意味「裏・アルジャーノンに花束を」的な物語。人類の知能を超越していく男の精神世界の描写は読んでいて楽しい。 「ゼロで割る」…数学の公理、定理に関する数学者達の見解の変遷の歴史と、とある夫婦の破局の二つの物語が交互に進む。無機的な数学の理論の行き詰まりと、血の通った夫婦の破局が、同じような瓦解の決着を見るというのは面白い。 「あなたの人生の物語」…傑作と名高い表題作。突如地球を訪れたエイリアンの未知の言語を解析することになった言語学者の主人公。彼らの使う言語の謎を一つ一つ解き明かしていくにつれて、驚くべき運命に巻き込まれていく…というのがあらすじ。 主人公がエイリアンと対話しながら言語の謎をひも解いていく、という物語と、とある一つの家族の暖かい情景が何者かによって語られていくという二つの物語が交互に進んでいく。となると、読者としてはこの「何者かによって語られる一つの家族の暖かい情景」は一体何なのか?ということに当然意識が行く。しかもこの「一つの家族の暖かい情景」は過去のことなのか未来のことなのか分からない、非常に曖昧な時制で書かれていることに気づく。一体どういうことやねん…?ということばかりに気を取られてばかりもいられない。主人公がエイリアンの言語の謎を解き明かしていく、というメインの物語も言語学のお話として非常に読んでいて楽しい。 やがてこの二つの物語がとある一点で交錯するのだけれど、その一点というのがね、もう非常に自然で、かつ見事で、ええ。そして全てを受け入れた主人公の決断が…! 深い感動を読者に与えるであろう傑作。すばらしい。 「七十二文字」…無生物に対して擬似的な生命活動を与える「名辞」と呼ばれるコマンドのような文書が存在する、架空のイギリスビクトリア朝時代、というだけで既に面白い設定。これがラノベとかだったら、名辞によるゴーレム対決とかいう方向に行きそうなものだけれど、この設定をまさかの壮大なテーマにぶつけてくる。その意外性に度肝。そして引き延ばせばこれからますます面白くなりそうな設定とストーリーをこの短編1本で終わらせる、という作者の潔さに拍手。 「人類科学の進化」…超ショート・ショート。補食される側に回る、というレベルでは無いが、確実に生命体としてワンランク下になってしまった人類というものを想像させる。 「地獄とは神の不在なり」…面白さのベクトルは違うけれども、表題作に並ぶ完成度を誇ると個人的に思う本作。定期的に天使が降臨する世界。天使の降臨を目的することによって、ある者は啓示を得るが、ある者は体の一部を失い、またある者は命を落とす。天使の降臨によって啓示を得た者たちは集会を開き、神の愛について語り合う。また天使の降臨により体の一部を失ったり家族を失ったりした者は、それでも神を愛すべきなのか、といったテーマを語り合う。 設定だけでもかなり面白いが、読み進めていくにつれて新たな世界観の説明が小出しにされていき、読んでいて飽きない。またそういった世界観の中で繰り広げられる物語自体もとても面白い。 神の愛、あるいは罰が可視化されてしまう世界(それでも神の意志は全く測ることが出来ない)では、神を愛すべきか否かというのは人生のほとんどを占める一大テーマになるんだろうな。ラストの余韻は強烈。 「顔の美醜について」…人類永遠のテーマについて、真正面から真摯に取り組んだ一作。醜い顔が全て美しい顔に見える、のではなく醜い顔と美しい顔の区別がつかなくなるというのがミソか。 全編に共通する特徴だが、物語の展開、構造、オチの付け方が非常に緻密に組み立てられている。この緻密さは、物語を書き始める時点で物語の全体像がほぼ完全に定まっていないと出せないはずで、つまり作者はそういう丁寧なやり方で小説を書く人物なんだろう。 非常に完成度の高い短編小説集でした。オススメ!
0投稿日: 2014.06.23
powered by ブクログあとがきの「ミッチェルに、ぼくの妹でいてくれてありがとう」って書き出しは素晴らしいなぁ。 これ面白かった。 宗教学、数学、言語学等々多彩なモチーフで彩らされたSF短篇集。世界観を作りこんで一部をすくうって姿勢やから、ハードめやのに読みやすい。おすすめ。
0投稿日: 2014.06.19
powered by ブクログSFは素晴らしい!本を閉じた後そう声を上げたくなるような、珠玉の短編集でした(長さ的には中編)。ワシはそこまでSFに詳しいわけでは無いので、この作品群のアイデアが過去あったかどうかの検証はできませんが、ワシの狭い読書録の中では見たことない設定ばかり。 なんという発想、なんという創造/想像力。様々なアイデアに彩られた八つの作品に、これまでに考えたりしたことの無い概念を幾つも教えられた感があります。 表題作の「あなたの人生の物語」は、結果に至る過程の描写が余り見たことがないもので、そこで考えさせられる「物理現象の知覚」の違いというのがとても感覚的に引っかかるものでした。 また、ワシはどうやら「神の存在(あるいは不在)」を定義する小説が好きなんだな、ってことにも気付かされました。ワシは信仰(神道)を持っていますが、自分の信仰と合っているか否かは問題では無く、それでいえばむしろ自分の思想(信仰)と離れている概念ほど、知悉し考察するのが楽しいのです。それは、自分の思想を継いで接いで補完してくれたり強化してくれます。 今回の作品の中でそれを思い知らせてくれたのが「地獄とは神の不在なり」。神と、奇跡と、信仰と、それらの「価値」をどう定義するか、その価値を失った人はどうなるのか、そんなことを考えさせられました。 読みやすいか、といえば決してそんなこともない、文体的にはむしろ多少の導入のかったるさも感じるのですが、読み進めていくウチのアイデアの部分に強く惹かれて、いずれ文体の合う合わないがどうでも良くなってきます。それだけ、ひとつひとつの発想が面白いのです。
0投稿日: 2014.04.13
powered by ブクログ「ゼロで割る」「七十二文字」が私には難しすぎて、読み進めるのに苦労してしまったけれど、最後の2作はとても面白かった。 ファンタジー的壮大なプロットのなかで、言語・数式・信仰・美醜といった――ときに神秘性すら帯びる概念が、人間の世界を秩序立てていく様を、淡々と描き続けているような感じ。 ただ、そこにあるのは無謬なき秩序などでは決してなくて、どこかに矛盾をはらんでいる。 だからこそ、それらの概念に呑まれてしまわないことが大事で、不断の思索が必要となるのだろうと考えさせられた。
0投稿日: 2014.02.05
powered by ブクログ科学や数学の法則や神学的象徴を作品の中心に置きつつ、それを全体のメタファーとして見事に機能させているこの8つの短編集の素晴らしさは、世界観そのものよりも人間を、更にはそれぞれの人生を肯定しようとする眼差しがもたらしているのだと思う。だからこそ本作にはディストピア的世界は存在せず、未来に対して穏やかな微笑みを浮かべようとする意思を感じてしまうのだ。特に、短くも凡庸に終わってしまった一つの生を科学的法則と円環的意匠によって描いた表題作は特筆もの。願わくば、あなたの人生の物語もまた微笑みを浮かべていますように。
0投稿日: 2013.11.10
powered by ブクログ中短編で読みやすい。 SFのひとつのアプローチは思考実験だと考えているが、これは秀逸な例である。わざとらしさがない。 作者の調査が綿密なのだろう、一人の作者の作品とは思えない描写は舌を巻く。また、アイデアの着想もなかなか斬新であると思う。 評価の星が少ないのは、これを誰かに勧めるか、自分がまた読むかという観点ではこの評価となった。
0投稿日: 2013.10.09
powered by ブクログこのSFとファンタジーの融合具合、言葉や式という記号体系に対するセンス、神林長平にも通じるものを感じました。
0投稿日: 2013.09.22
powered by ブクログ世界で一番好きな本。 人生観が激変した。 こんな物語を、自分もいつか書いてみたい、と思った。 唯一の不満は、作者が寡作であること。 テッドチャン先生、新作お待ちしてます。 一生待ってます。
0投稿日: 2013.05.04
powered by ブクログ以前から評判だけは聞いていたテッド・チャンの短編集。 文字や言語といったモチーフが多く使われている。個人的には表題作より『七十二文字』の方が好みだった。 意外に面白かったのが最後の『顔の美醜についてードキュメンタリー』。
0投稿日: 2013.05.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短篇集なのだが、特にこの表題作品について。 本当に驚かされる着想と構成、凡人にはとても思いつかいない天才の技である。 この作品でテッド・チャンは歴史に名を刻むといっても過言ではない。
0投稿日: 2013.03.04
powered by ブクログ長い間読まずにとっておいた期待の作品。 年に数回ある「図書館切れ」。要するに貸し出しの切れ目である。だから、大事にとっておいた本を取り出した。天才作家の短篇集だ。 オープニング「バビロンの塔」は登って行ったら最後地上につながっていてってな感じであまり面白くない。宗教的な話なんだろうか? 次の「理解」は既読。別のアンソロジーで読んでしまった。なぜ超人類がふたり同時に存在したらダメなの?って部分がひっかかるんだが、パワーゲームは面白い。『虐殺器官』の色があるなぁ。言葉というか言語がチャンの底流にある気がする。 続いて「ゼロで割る」は意味不明だなぁ。 そして本番 「あなたの人生の物語」。異星人の言語を理解することで、結果から先に知ることを会得した女性科学者が、これから生まれてくるわが子の人生を語る小説。SF的に面白いのだが、それ以上にわが娘に対する愛あふれる表現がすばらしい。これって本当にチャンが書いたのか?って思うくらい。再読したい作品だ。 次の「七十二文字」は面白いところがなく読み飛ばし、 「人類科学の進化」もジョークが理解できずにパス。 気を取り直して「地獄とは神の不在なり」に進むけれど、神学的で理解できない。再読を期してパス。 次の 「顔の美醜について --- ドキュメンタリー」は面白い。ほんとうに面白い。顔の美醜を判断する中枢機能を殺すシステム「カリー」を設定し、その世界を描いている。人は見かけが9割ってな世界だな。これも再読候補。おもしろい。でも、SFじゃない!
0投稿日: 2013.02.01
powered by ブクログごっついSFを読みたくて購入。 ごつかった…読み辛い位でしたが、読了後、自分の中で昇華された時の 感想が語りつくせないものがあります。 「地獄とは神の不在なり」が一番好きでした。マーカー引きながら読みたい。 「七十二文字」「顔の美醜について」あたりも面白かったです。 「あなたの人生の物語」が読了後のモヤッと感と云うか、 考える事が一番多かった気がします。 時間を置いてまた読んでみたい一冊。
0投稿日: 2013.01.13
powered by ブクログ大学の図書館で借りてきた。 表題の「君の人生の物語」は物事の始まりから終わりを一気に体験するという能力を獲得し、自身の子供の出世と死を天秤にかけ、尚産むことを決する物語。良かった。
0投稿日: 2013.01.10
powered by ブクログ難しかった・・・理論的な部分はなんとなくの雰囲気だけで理解するのが限界でした(表題作とか言辞の話とか)。とはいえ表題作はちゃんと読んでないとどこで感動すればいいのかわからないという寒いことになってしまうので、がんばって読みました。でもどれもおもしろかった。アイデア自体は結構わかりやすい。バベルの塔の光景を想像するとすごいです。顔の美醜の話は身近な問題で興味深く読めた。
0投稿日: 2012.12.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
再読したくなって読んでみたらやはり面白いですね。 科学やテクノロジー、宗教をモチーフとした緻密な構成の作品世界とその思索をじっくり楽しむタイプのSF作品集。「もし世界がこうだったら」を突き詰めるようなアイデアが秀逸です。 特に好みの作品についてコメントします。 「バビロンの塔」 実際にバベルの塔を作ったらこんな感じでしょうか。どうなるのか一番わくわくした作品。 「七十二文字」 言葉が実際の力を持つ世界で、真理を探求していく人たちの物語。同じ世界観の作品がもっと読んでみたい。 「地獄とは神の不在なり」 天使が実際に降臨し奇跡を起こす世界の物語。キリスト教に対する皮肉でしょうか。印象に残る作品。 「顔の美醜について」 顔の美醜を判断できなくなるテクノロジーが社会に与える影響を描いています。アイデアが面白い。タメラの恋愛がどうなるのかが一番気になった。
1投稿日: 2012.11.10
powered by ブクログ以前SFアンソロジーで読んだことのあったテッド・チャンですが、現在書籍化しているのはこれ一冊のみとのこと。それでいて完成度がどれも高く、外れが一つもないです。特にお気に入りは二編。古代の錬金術が成り立つ世界を描いた「七十二文字」、一種のファンタジーですが、理論を緻密に組み立てられた世界が素晴らしいです。宇宙人との出会いとそれによる意識変化を描いた「あなたの人生の物語」、言葉によって意識変化とは斬新で面白かったです。作者による作品覚え書きも興味深かったです。新刊が読める日が来るのを待ち望んでいます。
0投稿日: 2012.09.24
powered by ブクログ相変わらずSFをSF足らしめんとしている部分についての理解は全く及ばなかったものの、それでも十二分に楽しめるっていうのが憎い。 特に大げさな修辞が凝らされているわけではないんだけど、例えば新しいものと出会って世界が開けてゆく瞬間に瞼の裏に瞬くものにも似たときめきを行間に覚えて、目の前がちかちかする。展開は淡々としていながら、一文一文に目を凝らすと実に回りくどい説明を試みている変態的文章(語弊有)もすごく私好みだった。 やっぱり表題作が頭一つ抜けて面白いのは確かなんだけど、個人的には「地獄とは神の不在なり」がお気に入り。決してハッピーエンドではないシニカルなオチが実に痛快で、思わず含み笑いを漏らしてしまう。このお話に係る作品覚え書きもまた愉快で、再読したくなることは必至。
0投稿日: 2012.08.27
powered by ブクログ表題作ももちろんだけど「理解」のラストでは読んでる自分も、イメージがほどかれていくような物語の中に取り込まれる感覚を味わって、心の中にしっかりイメージと言葉が残った気がする
0投稿日: 2012.08.22
powered by ブクログ2冊目は最近読んだSFの短編集です。理系の頭の良い人の描いた文章だなぁとつくづく思いました。難しくて一回読んだだけではすっと頭に入らない文章があるっていう。。 全8章中、理不尽な神と無償の愛についての「地獄とは神の不在なり」、薬物の副作用により超知性を獲得した臨界超越者に関する「理解」が特に面白かったです。 「地獄とは…」の世界では、神による救済が全く無作為で、また罪の無い人が無意味に死んだりと、人間の価値観から理解することが不可能な無慈悲なものとして神が描かれます。特に信仰を持たない自分には、神いるとしたらきっとこんなだよなぁと思えました。 「理解」では超人同士の対決が圧巻。自己崩壊コマンド「Understand」に痺れました。 (最初に原文で読んだのです)
1投稿日: 2012.08.12
powered by ブクログ2012年7月初読。 2023年10月再読。 先日読んだテッド・チャンの第二短篇集があまりにも面白かったので、10年ぶりにこちらを再読。相変わらず面白い。 再レビューにあたり、初読時のレビューを読み直しましたが、なんと若い…SFを読み始めたぐらいの時期でもあり、今読むととても恥ずかしい内容ですが、まあそのまま残しておこう。 第二短篇集は、テクノロジーの進化が人間の挙動にどのような影響を与えるか、といった作品が数を占め、全体的にスマートな印象。 第一短篇集でもそういった作品はありました(「顔の美醜について」とか)が、こっちの方がバラエティに富んでいる気がします。まさかのバトル展開に突入する「理解」のような作品もあれば、魔術のようなものを科学的に採用した「七十二文字」のような作品もある。読後、言葉で言い表せない気持ちにさせる「あなたの人生の物語」をメインディッシュに、フルコースを楽しんでいるようでした。 さて、表題作。 初読時は物語のからくりを把握した時のインパクトが強く、とても印象に残った作品でした。再読時は、そのインパクトはもちろん抱きつつも、ヘプタポッドの時間認識のあり方、つまり原因と結果を同時に知る同時的思考に興味を抱きました。よくこんなこと思いつくな、というありきたりの感想はさておき、この思考に対して、悲しさを覚えるのは私だけでしょうか。第二短篇集でも感じる著者の運命論的な主張にも通じる思考だと思いますが、何事も、何をなすにしても結果を知らないからこそだと思うんですよね。でもこれは人間的な発想であって、ヘプタポッドはそうではないのか。原因と結果を同時に知るって、どんな気持ちなんでしょうね。それこそ、物語の結末で「わたし」が行き着くところなんでしょう。だから、この作品には、言葉で言い表せない気持ちにさせられるのです。 <以下、初読時のレビュー> 新進気鋭のテッド・チャンが紡ぐ8つのストーリー。 そのうち以下に示す作品は、栄えたる賞を受賞した。 ・バビロンの塔*ネビュラ賞 ・表題作*ネビュラ賞*スタージョン賞他 ・地獄とは神の不在なり*ネビュラ賞*ヒューゴー賞*ローカス賞他 『バビロンの塔』にいたっては、デビュー作にしてネビュラ賞を獲得するという史上初の快挙。 なんたる才人!読む前に変な先入観を抱いてはいけないのだが…知ってしまったのだから、仕方がない。 そして、読破。 期待を裏切らないテッド・チャン。 なんといっても表題作!これがズバ抜けて素晴らしかった。 優しいモノローグに記された驚くべき運命。 エイリアンとのコンタクトにより獲得した力は、果たして幸福に通じるものなのだろうか… 何かを隠喩した描写が節々で見られるからであろう。 読後に包まれる微妙な余韻は、表題作に限らず。 また、作品を通して物理学や数学など著者の嗜好が見受けられたが、なかでも言語学についての見識が深く、興味をそそられる内容であった。 他のお気に入りは、『ゼロで割る』『地獄とは神の不在なり』『顔の美醜について-ドキュメンタリー-』の三篇。これらもまた優れた作品。 まったく、面白い視点で物事を捉え、面白い物語に仕上げる人だ。
0投稿日: 2012.07.08
powered by ブクログ表題作目当てで買ったが、「地獄とは神の不在なり」「顔の美醜について」が秀逸すぎた。社会派SF寄りのテイスト、好きだなー。思わず唸るようなラストでした。
0投稿日: 2012.07.08
powered by ブクログ解説を読んで知ったのだが、この短編集が著者の傑作選ではなく、この時点で発表されていた全作品とは本当に凄い!デビュー即8打数8安打の十割打者。この快進撃はどこまで続くのだろうか?第1話冒頭「かりにその塔をシナルの平原へ横倒しにしたら、端から端まで旅をするのに二日はかかるだろう」って高さが100kmってこと?一行目から一気に引き込まれた。後はやっぱり表題作と『地獄とは神の~』が特に良かった。オチで読ませる作風ではないので何度でも読める。この本は売りません。尚、作品毎の感想は別途呟きました。奇想爛漫、続編熱望。 番外作『作品覚書』。作者自らが収録作のひとつひとつについて、解説ではなく、創作に至る経緯を語ったもの。勿論、これは作品ではないが、作家の想像力の源泉が窺われて興味深い。仮に短編集の全8話が存在しなくても『実在しない書物に関する若干の覚書』という題名で一編の作品としても通用しそう。 2012年5月26日 第8話『顔の美醜』。美醜失認処置(識別能力を損なわないまま外見を重視しないようにする技術)を巡る、賛否両論の発言、記事、インタビュー、演説等を並べただけの構成。ここ韓国で整形手術の是非はディベート授業の定番ネタ。この本を読んでおくと独創的な論を展開できるかも。在韓留学生にお勧め。 2012年5月26日 第7話『地獄とは神の不在なり』。先ずは題名が秀逸。天使降臨と地獄顕現が常態化した世界。降臨は一種の稲妻の様な物であり神の御業には奇跡と犠牲が伴う。神の沈黙と不条理。まるでトルネードハンターさながらオフロードカーを駆って降臨天使を追うライトシーカー達の姿が印象的。最後に無条件の愛。 2012年5月24日 第6話『人類科学の進化』。僅か4頁のショートショート。科学雑誌投稿記事風文体。A・C・クラーク『幼年期の終り』に代表される超人類進化に関するパロディ。ハイテクノロジー文化との遭遇を生き延びた人類の科学的方向性についてシニカル且つコミカルに描写されている。傑作ではないが結構笑える。 2012年5月22日 第5話『七十二文字』ゴーレムの一種であるオートマンが単純労働を担う世界を描いた、所謂ビクトリア朝・改変SF。ホムンクルス、カバラ、種の断絶、遺伝子操作、人口政策等の興味深いテーマが織り込まれているが、個人的には物語に入り込めなかった。題名についての具体的言及も行われない。要検索。 2012年5月22日 第4話(表題作) 珍しく読み返す。異星人言語の解明の為に招聘された言語学者。彼等の言語は順不同で、発話と表記に関連性がない上、因果律を前提としない。一方並行して、確定した未来を示す、言い切り文で綴られた『あなた(娘)の人生の物語』が挿入される。一見何の関係もない話が最後に交わる。 2012年5月19日 第3話『ゼロで割る』。追憶の断片と数学史がコラージュされた小品。『ある数をゼロで割っても、その答えは無限大という数にはならない。その理由は…ゼロで割った結果は文字通り“不定”なのである。「たった今、私は数学の大部分が誤謬であることを証明してしまった。数学はもう無意味になった。」』 2012年5月18日 第2話『理解』。頭部に損傷を負い、脳細胞再生治療を受けた男が 超知性を得る話。『アルジャーノンに花束を』を思わす設定。作中で男が語る「ひとつで全宇宙を表現する巨大な象形文字」への考察は ドストエフスキーが、癲癇発作直前に訪れる恍惚の中で感じたという世界理解のヴィジョンを思わせる 。 2012年5月17日 第1話『バビロンの塔』。重層の神話的、宗教的、哲学的解釈が可能な作品ではあるが、案外、著者は不思議な物語を書いて、読者の当惑した様子を見たかったのかもしれない。非常に絵画的な作品である。絵画としてはブリューゲルの傑作があるが、物語として具象化できるとしたら諸星大二郎しかあるまい。 2012年5月15日
0投稿日: 2012.05.15
powered by ブクログ4/24 読了 図書館 SF熱が来たのでちょこちょこ読んでます。テッド・チャンの短・中編集。 高校生の頃に「地獄とは神の不在なり」だけ読んだはず…なんだけど…まったく覚えていなかった。 七十二文字が好きだな。
1投稿日: 2012.04.24
powered by ブクログあまり意識はしなかったのだけれど、テッド・チャンの小説は私の嗜好に合致していて読んでいて気持ちよい。というのも、氏の作品は一口にSFとは言い切れない、ファンタジーや歴史的要素が多分に含まれたものだからだと思う。 個人的には巻頭の「バビロンの塔」が一番面白かった。バビロンの塔をどんどん建てていく人々が、バビロン的な世界観のなかで天の頂上に達し、そのさらに上を目指すとき、そこに神はいたのかという話。不思議な読書体験だったし、こういう語り口があるのかと感嘆した。 惜しむらくはテッド・チャンが非常に寡作な作家だということ。一冊でファンになってしまいました。
4投稿日: 2012.04.11
powered by ブクログとにかく全篇面白い。厚めだけど、長さもテーマも様々だし、構成も変化に富んでるから読んでいて全く飽きなかった。「作品覚え書き」を読んでもわかるけど、どれもアイデア自体はちょっとした思い付きからが多い。しかし、そこからの話の広げ方が、らしさの見せ所。なんとなく、屁理屈から話を広げる手法ということで円城塔を思い出した。話の見せ方ではチャンは最強だけど…。(円城さんも大好きです)「理解」のイーガンに通じるバカバカしさ、「あなたの〜」の次第に謎が解けていく感覚、「七十二文字」の謎科学のワクワクはもう最高だった。
0投稿日: 2012.04.10
powered by ブクログ短編集。著名な賞を受賞した短編あり。巻末に著者による作品覚え書きが収録されている。どうして、そのお話を書いたのかが垣間見えるのは面白い。今回の短編自体は、ちょっと好みではないかな。
0投稿日: 2012.02.19
powered by ブクログ現代においてもてはやされているSF小説がいかにつまらないかを知る為のベンチマーク。訳が悪いのかとも思ったが、役者の評判はかなり良いので、純粋に現代SF小説のつまらなさを知る事が出来る貴重な指標。
0投稿日: 2012.02.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
(2012/01再読)SFの大きな魅力の一つに、「現状とは異なる環境・システムへ人間を置き、そこで人間はどう考えふるまうのかを思考実験することによって、人間についての思索を深める」ことがあると思う。本作はその魅力が存分に発揮された傑作短編集。こう書くと難しい内容のような気がするが、決してそんなことはなく、各短編の設定がまず秀逸で、そこで色々なことを考える人間達の語りが面白い。SFだったりファンタジーだったり、独白だったりドキュメンタリーだったり、テイストも様々で飽きさせない。 特に好きな作品は「七十二文字」「地獄とは神の不在なり」「顔の美醜」「あなたの人生の物語」。 「七十二文字」七十二文字の名辞-おまじないのようなもの-を仕込んだゴーレム(泥人形)が闊歩する改変ヴィクトリア朝!生命の正体を解明する方向へと話は進んでいくが、これが楽しいのなんの。オカルト・ファンタジーテイストが強いかも。 「地獄とは神の不在なり」天使がときどき地上へ降臨し、奇蹟を行っていく。人間の視点から見れば、それは良いこともあり、悪いこともあり、解釈も色々。そして天国と地獄が存在し、死後その魂がどちらかへ行くわけだが、どちらへ行ったのかなんと生者から見える世界。死んだ妻にもう一度会いたい男が突き詰めていく「神を愛するとは」。 「顔の美醜」人間の顔の美醜を認識できなくする処置があって、それを施した人がいたら?この処置が義務づけられるとしたら?平等ってなんだっけ、差別ってなんだっけという皮肉のきいた物語。 「あなたの人生の物語」因果律的、時系列的思考に縛られた地球人が、宇宙人の目的論的、同時的思考を表現している言語を習得したら、その思考はいったいどう変わるのか?が物語られるパート。このパートと交互につづられる、「あなた」への語りかけパート。「あなた」の正体が分かる瞬間に鳥肌。
0投稿日: 2012.01.25
powered by ブクログフェルマーの原理をテーマに定めた表題作が素晴らしい。ヘプタポットという異星人を通して会話、文字、時間などに関する認識を問いただす描写は流石。 日常の世界に1点だけ非日常的なエッセンスを付け足すことで、こんなにリアルで不思議な体験が得られるとは。本格的なSFを読んだのはいつぶりだろうかとふと思い返す。
0投稿日: 2012.01.03
powered by ブクログ一編一編、設定とストーリーが練られていて、どれも長編並みの読み応え。SFでありつつ、も愛するひとと家族を見つめる作品が多い。偉大な一冊。
0投稿日: 2011.12.15
powered by ブクログおもむろに再読レビュー。☆4なのは私の理解力不足が原因なので仕方ない(笑) 各物語の世界観や著者の言わんとするところを理解するのがなかなか難しいかもしれないが、着眼点や発想がおもしろくその点読んでいて飽きることがなかった。(頭は常時フル回転でしたが) いくつかの短編、例えば「ゼロで割る」は数論の矛盾をついた作品だが数学の素養がないと難しいだろうし、表題作「あなたの人生の物語」はファーストコンタクトものだが、言語学者と異星人がコンタクトする過程で人間の認識の限界を示し、認識がどのように言語に影響を与えるのかという複雑な話であり難解だった。 それでも頑張って読み進めていくと何か「道」が開けるような感覚に襲われる。 SFファンなら是非読んでみて欲しい作品。 他の作品も軽く紹介 「バビロンの塔」・・・キリスト教「旧約聖書」にある「バベルの塔」の物語設定を使った作品。ひたすら天を目指す男が辿り着いた先は・・・ 「理解」・・・人間知能の向上を与える薬を飲んだ男の物語。超越した知能からどのような景色が見えるのか、そして超越した知能を持つもの同士が出会ったら? 「ゼロで割る」・・・割愛 「あなたの人生の物語」・・・割愛 「七十二文字」・・・「名辞」と呼ばれる紙を埋め込むと人形がオートマトンの如く動くというファンタジー的世界観を持つ作品。この「名辞」があくまで科学として取り扱われるところが奇妙ながらも面白い。 「人類科学の進化」・・・人類の知性を超越した超人類なるものが存在する時代の人類科学の進化?を5頁という文量で皮肉ってみた作品。 「地獄とは神の不在なり」・・・天使が突然現れるという現代世界、天使の出現は突発的で奇跡を起こし病を癒すが、その反面の出現の余波で障害を抱えたり死者も出るというなんとも不思議な設定。 しかも因果応報ではなく完全に無差別に発生するため、人々は神の真意をそれぞれに解釈し葛藤する。 ある意味、神の意志は人間の意志とは断絶しているというキリスト教の神観をあらわした作品とも言える。 「顔の美醜について―ドキュメンタリー」・・・「カリー」と呼ばれる人の顔の美醜についての認識が出来なくなる技術を題材にした、ドキュメンタリータッチの作品。 本作の中では一番理解しやすい作品だと思うが、「人間は顔じゃないよ」というあまりに身近な問題について深く考察している。意外とお気に入り
0投稿日: 2011.11.28
powered by ブクログヒューゴー賞やネビュラ賞などの名だたるSF関連の賞を軒並み制覇していることと「中国系のアメリカSF作家」というちょっと珍しい出自に興味を持って読んでみたものの、がっつり本格的なハードSFであっさり撃沈…。数学のや物理をモチーフにきっちり世界観の設定をしているので、そういう発想に面白さを感じる人にはおすすめ。 面白く読んだのは「理解」。薬物により脳の機能が大幅に向上し、神に等しい認知能力を備えることになったら世界はどう見えるのか。映画「スキャナーズ」を思い出した。ファンタジー寄りの「バビロンの塔」と「地獄とは神の不在なり」も好き。
0投稿日: 2011.10.23
powered by ブクログ中短8編の中ではやはり表題作の「あなたの人生の物語」が一番面白く読めた。宇宙人との対話の中でプロジェクトの進行と共に語られる“彼女”の物語が徐々にシンクロしていく。 言語論や数学などのSFらしい小難しい話も展開されるが、教育や社会いへの言及も強く表に出している印象だ。8編通じて人生というか母性というものを強く意識させられた。やはり人間は皆、母から生まれ人生を始めるのだなと思った。
0投稿日: 2011.10.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
表題の「あなたの人生の物語」はフェルマーの原理の意識レベルへのメタファーを小説にするという発想がほんとうに斬新だった。「理解」からは進化した人間像についてのインスピレーションを受けた。完全に自分の行動と感情をメタ認知しメタ制御することができる能力とかその応用とか。ゲシュタルト指向の文字、真の文字としての適格性を持つ非線形文字など、言語に対する洞察もおもしろい。ゲシュタルト指向の文字というのは、ファインマンダイアグラムのことを意識しているのだろうか。
0投稿日: 2011.08.29
powered by ブクログおもいっきり本格すぎるSFなので、ボケーっと読めないのはご愛嬌。8つのストーリーからなる短篇集ですが、全てに言えるのはネッチリ濃厚なサイエンス・フィクションで、発想と観点が秀逸なこと。中でも面白かったのは「理解」と「顔の美醜について」の2編。まず「理解」は、薬物により脳の機能が大幅に向上し、超人類となった男の話。もし世の中の事象のみならず人間の感情や行動のすべて理解できるようになったら…という、まったくもって妄想がすぎる神設定なお話です。もうひとつ面白かったのが、「顔の美醜について」。顔の美醜を認識不能にする処置があったら…というこれまたタイヘンな妄想の世界。表題作をはじめ、よくこんなこと思いつくなあという感心と、観点と認識次第では、さまざまな可能性があるんだなという感心の詰まった本でした。読むたびにいろいろ気付きそうなので、あと3回は読むと思います。 おもしろいSFはもう哲学ですね。
0投稿日: 2011.07.28
powered by ブクログ脳科学であったり、ファースト・コンタクトであったり、遺伝子工学であったり、SFとしてはおなじみのネタばかりなのだけど、語り口が熱くてぐいぐい読ませてくれる。やはり表題作が一番印象深いが、『理解』の超人バトルの描写がとても面白かった。
0投稿日: 2011.07.26
powered by ブクログ小説としてはちょっと読みにくいので一般の人にはおすすめではないのですが、その中に記述されているアイデアは非常に面白く感じました。私の考えているイメージに合致するアイデアもあってうれしくなってしまいます。特に表題作の「あなたの人生の物語」は逸品です。決定論的な人生観が無理なく描かれています。
0投稿日: 2011.07.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
文庫版が出た頃、日経新聞に書評が出ていた。SFなのに日経とは、と不思議に感じて読んでみた本だったが、久々に再読すると本当に面白い。エイリアンの特殊な予言的な言語を解読するうちに、自分も予知能力を得てゆく言語学者が語る「あなたの人生の物語」。顔の美醜がわからないようにする手術を、大学で義務化するかの論争をインタビュー形式で語る「顔の美醜について」など。人生を深く考えさせられる物語集です。
0投稿日: 2011.07.04
powered by ブクログどの話も「面白くなりそうだ」と盛り上がり、 消化不良を残して閉じたように感じた。 しばらくしたら読み直したくなるかもしれない。 そういう本だと友人は言っていた。
0投稿日: 2011.06.29
powered by ブクログ本のタイトルにもなった作品は、非常に素晴らしい。ヘプタポッドの言語と生まれもった思考に、羨望を覚える。「地獄とは神の不在なり」もよかった。真の信仰とはどんなものなのか、わかった気がする。
0投稿日: 2011.06.18
powered by ブクログ中短編集。 それぞれ密度が濃い話で、短編一話で一冊の本を読んだくらいの感じがした。 私には理解できない所も多々あったけれど、すごいアイディアがぎっちり詰まってるなーと思えた。満足度高い。 「バビロンの塔」「七十二文字」そして「あなたの人生の物語」が好き。特に表題作は読み終えて胸がいっぱいになった。 「地獄とは神の不在なり」は一番視覚的に訴えられた話。読み物として非常に面白かったけど、共感するまでに至らなかったのは宗教観の問題か。
0投稿日: 2011.06.13
powered by ブクログ「バビロンの塔」とか「七十二文字」、「地獄とは神の不在なり」の、異地球感がすごい。世界が成り立っていて、その世界で歴史を紡いだ人間が生きてる話でした。 あとは表題「あなたの人生の物語」。一見関係ない2つの話が交互に綴られていく「(作家の)手法」に見えて、読み進めるうちに「(登場人物の)認識」であったことに愕然。 題材とかは面白かったです。ただー、読みにく、かった、なあ…と……
0投稿日: 2011.05.23
powered by ブクログどの短編もおもしろいが、表題作はやはり素晴らしい。 エイリアンの言語を研究するうちに、人生の新しい観点を見つけるという物語と、娘へ語る母親の物語がラストで重なる瞬間は、あたかかくも静謐な感動がある。 宗教的なテーマにもなりやすいが、そこは無神論者であるチャンらしく、物理の変分原理を使ってくる。 物理や数学を美しさを人生にも感じたい人なら、たぶん好きだと思う。
0投稿日: 2011.05.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「地獄とは神の不在なり」「顔の美醜」にたどりつくまでは自分にはこの本は硬度が高すぎて難しすぎて無理じゃないかと思いつつ、たまにぽろっと出てくるなんでもない文章のおかげで読み進めて、最後の二つがやたら面白かった。 「バベルの塔」もそうだけど、「地獄~」が、好きな「しれっと流されてるけど相当変なことになってないですかこの世界」という話で面白かった。残酷というか無慈悲というか、妙に納得してしまいそうになって良い意味でもやもやと残った。 「顔の美醜」が面白くて没頭した。とりあえずカリーはいらない、可能な限りつけたくない、と思ったので多分自分はCMの誘惑に負けるんだろう。 でも美人が見られなくなる、というか、「見た目」の麗しさを認識できないのは嫌過ぎる。珍しく自分だったらどうするか真面目に考えてさせられた。 しかし覚書を見ると全体に隠喩の話が多いようなので、やっぱり理解できてないんじゃないかと思う。
0投稿日: 2011.01.30
powered by ブクログ表題作は確かに凄い。ある種、ミステリ的構成だったので、最後には全部がすっきりわかった。 それより僕が気に入ったのは『地獄とは神の不在なり』 描かれている世界は現実世界となんら変わらないのに、ひとつ、神という存在を認識できるという要因が入り込んだだけでこうも違うものかと思い知らされた。でも全くの荒唐無稽ではなく、きっとこういう世界になっているだろうなと妙に説得力のある話だった。
0投稿日: 2010.12.29
powered by ブクログヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、 その他を受賞あるいは入賞した作品がゴロゴロと 8 作品。 凡人には想定外の発想、物の見方ができる天才肌の作家だと思う。 もっと早く出会いたかったと思える、 濃密でワクワク出来る読書体験を味わえる。 寡作な著者には、ぜひ長生きしてもらわねば。
0投稿日: 2010.12.18
powered by ブクログ表題作、最初よくわからなかったが、筋書きがわかった瞬間とても切ない気持ちになった。単なるSFではない話。他の短編もどれもはずれなし。極上のチャン・ワールドが味わえる。この人の作品はこれからもウォッチしたい。
0投稿日: 2010.11.04
powered by ブクログ「あなたの人生の物語」が一番好きかな。「バベルの塔」もすごい。人気の「理解」は、自分の中ではまだぴんときていない。
0投稿日: 2010.11.03
powered by ブクログ0年代ベストということで期待したほど楽しめなかった。 表題作は時系列ではない認知方法の物語。世界の広がりを感じた グレッグイーガンのほうが好みかな
0投稿日: 2010.10.15
powered by ブクログ妄想的思考実験。 「脳内会議のすごい人」(と、勝手に呼んでいる)こと、チャン先生の現在唯一の単独の短編集。 スペースオペラやSF的ガジェットを使ったファンタジーと同じ棚にカテゴライズするのもどこか違和感のある、ダイナミックな小説。 妄想も想像も、ここまで脳内で練って練って理屈で緻密にブチあげれば、人を感動させるに足るんですよという好例だと思います。 浮かび上がる「神もテクノロジーも時間も空間も宇宙も理も、結局そこにででんとおわすだけ。全部お前らの解釈次第なんですよ。」というテーマは、なんとも投げやりでクールで切なくもあり、押し付けがましくない。諦めと一筋の希望がないまぜになったような気持ちでむらむらさせてくれます。 以下、各話の感想です。(※ネタバレなしのつもり!) ■「バビロンの塔」 彼らは、高いたかい塔へ上って、いつかあの天井を破ってその先の真実を知るんだ…。 ―いきなりなんか宗教的な寓話か! と思わせつつ、神様は出そうで出ない。地道に塔を登る工夫達と、塔に生きるその家族の生活がリアルに描かれます。そして結末は驚きの… …アレ? ゜Д゜ 初っ端から、先生はにぎりっ屁をかましてくれます! この脱力感。いるかどうかも判らない神様は終始だんまりで、結局世界なんて×××してるだけのようです。 ■「理解」 事故によって脳に障害を負った男が、とある治療法により奇跡的な快復を見せた。その後に彼の身に起こった副作用とは・・・? ―頭よすぎるやつは頭おかしいんです。頭のおかしいやつは、にらめっこするだけ、相手を殺せるんです。でもちゃんと理解してるから、そのへんもしっかり納得してるんです。というお話です(たぶん)。 頭が良い事=万能である事への持ってきかたがスゴイ。 ■「ゼロで割る」 数学者の彼女は、天才過ぎる故に気付いてしまった。否定したくても、完全に証明できてしまうんですもの。もう、その事実には耐えられない。 ―数学ってば、整然と目の前にある自然の摂理みたいな気がしてたけど、ぜんぜんそんなことありませんでした、というお話です(たぶん)。 数学は疎いですが、一瞬目の覚めるような思いをした気がします。 ■「あなたの人生の物語」 ある日現れた異星人とのコンタクトを行う女性言語学者。彼らとの交流の中で、彼女は知る。「あなた」の人生の物語を。 ―さすが表題作、切ないセンスオブワンダーのSF汁が出まくりです。 構成が素敵にロマンティック。言語学って、宇宙を記述する学問なんですね。 まずはこの話から読んでもいいです。最高ですから。 ■「七十二文字」 『名辞』は、ものの根源を記述する理の七十二文字。オートマトンの手を器用に動かす技術を持つ、若き命名師の名はストラットン。名辞により、もしヒトが子孫を残す仕組みをコントロール出来るとしたら? ―人類の進化と衰退を、この世界に横たわる錬金術の如き科学で顕わにする。 ヒトにテロメアがあるのなら、人類という種にもあるのかもしれないですね。 #珍しくアクションシーンもあるよ。 ■「人類科学の進化」 超人類と能力的に隔てられた末に、人類に生きる道はあるのだろうか。 ―先生の「前置きナシ」のトンデモ世界観から世界を冷たく見つめる、クールなやつ。 全部でわずか4ページちょっとでこの勢いです。 ■「地獄とは神の不在なり」 天使が降臨すると、そこに居合わせた人々に快復と、死と、肉体の欠損が現れる。そんな世界で、生まれつき足に障害を持ち、降臨で妻を失った男と、その周囲の人々に起こる奇跡に満ちた出来事とは…。 ―具体的にそこにある「天使」「天国」「地獄」。彼らは砂漠や山や街中に平然と現れる。もしそんな理解不能な存在があちこちに現れては、体が治ったり死んだりするとしたら、人間にとってどんな意味を持つのだろう。 現代社会と神々とが交錯する不思議な世界で、倫理観はどうなっていくのか。非常にエキサイティングなお話。 ■「顔の美醜について」 美醜失認装置「カリー」。装着することによって、人の顔の美醜の見分けがつかなくなるこの装置をめぐって、セイブルック校で賛否両論が巻き起こる…。 ―ほかとは少々毛色の異なる、社会性の強いお話。他のお話程インパクトは無いものの、もっと身近な題材で、じりじりと背中がかゆくなります。 チャン先生もこういうの書くんですね。
1投稿日: 2010.10.08
powered by ブクログ表題作だけ読んだ。よくできていて美しい。ただ、作者の重心が読者を感動させることより、作品の完成度を上げることにより置かれている感じがする。そういう態度も嫌いじゃないけど。
0投稿日: 2010.09.28
powered by ブクログどの短編が一番好きだろうと考えてみたけど、どれも出来が良すぎて決まらない。寓話めいたものから未来を舞台にしたものまで全部、アイデアと物語性が融合している。
0投稿日: 2010.09.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
薦められたので珍しく新品を買って読む 面白かった、とうよりは興味深かった 引き込まれる、というよりは感嘆させられた 読みやすい、というよりは読み応えがあった なんというか独特の書き方をする人だと思う 僕なんかには難解な数学などの理論を、物語の間に挟むことで、物語だけでは得られない、一種のカタルシスが得られるようになっている 最初は何言っているか分からないんだけど、最後まできて「うまいことやりやがって」という気にさせられる 短編集なんだけど好きな作品を挙げると 表題作は最高 「理解」は「コッポラの胡蝶の夢」を思い出した 「ゼロで割る」が共感できた そんなとこ ハードSF(で、いいよな?)は読んだ後、読んで良かったと思うんだけど、少し疲れるんだよなあ そりゃ京極よりは百倍疲れないけど
1投稿日: 2010.08.19
powered by ブクログSF短編集。めちゃくちゃ面白かった!!。発想も論理も物語も全てが緻密で美しい。認識の変容とその先、みたいなのが共通するテーマなのかな?。とにかくサイコーでした!!。
0投稿日: 2010.08.03
powered by ブクログ表題作含め、がっつり硬派なSF短編集。 ライトなSFをイメージしていると途中で「???」となると思う。 正直私も数度読み返して理解した作品もある。 ただ、理解すると珠玉の短編集に思える。 SFファンならぜひとも読んでほしい。
0投稿日: 2010.06.30
powered by ブクログ内容 地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、 まったく異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく… ネビュラ賞を受賞した感動の表題作はじめ、 天使の降臨と共にもたらされる災厄と奇跡を描くヒューゴー賞受賞作「地獄とは神の不在なり」、 天まで届く塔を建設する驚天動地の物語―ネビュラ賞を受賞したデビュー作「バビロンの塔」、 ほか本邦初訳を含む八篇を収録する傑作集。
0投稿日: 2010.06.20
powered by ブクログ読んでいる途中、「?????」とはてなが頭を行きかった(笑) む、むずかしい・・! しかし、段々とこの書体や作者の魅せる世界観に慣れて来ると、難解は難解ながらも、なるほど、と思う。とにかく先を知りたくてページを繰り続けてしまう。 表題作ともなった「あなたの人生の物語」は、読み終えて、筆舌に尽くしがたい感動を覚えた。激しいものではない、実に静かな感動だ。 これも何度でも読みたい作品だ。
0投稿日: 2010.05.23
powered by ブクログ8本のうち5本は文句なく面白い短編集だった。一番面白かったのは「七十二文字」かな。架空のヴィクトリア朝、カバラ、ゴーレム、前成説… 表題作も、最後の「顔の美醜について」も、「バビロンの塔」も。 バビロンの塔、本当に天蓋そのものに届く塔の描写がなんともセンスオブワンダー。しかし一番考えさせられたのは「顔の美醜について」か。美醜失認処置、メディアの押し付ける美というもの。
0投稿日: 2010.05.20
powered by ブクログ想像力が刺激された。 確かにわれわれは時間に沿って生きていくけど、未来も過去がすべて同時に来ることがあったとしたら…。 どんな未来があるかを知りつつも、前向きに歩き出す姿に心を揺さぶられた。
0投稿日: 2010.04.05
powered by ブクログ短編集って並び順が大事かも。この短編集の最初の話がつまらなくて。 個人的な好みの問題だから、作品の出来が悪いわけではないんだろうけど。 読むのを止めようかと思ったけど、がまんして読み進めたのです。しばらく「う〜む」という感じの作品が続いたのですが、表題作の『あなたの人生の物語』という短編を読んだらとても面白くて吃驚。 その後は全部面白く感じたな〜。 これを最初に持ってきたら、後のも面白く感じた気がするんだけどどうだろう? 最初だけで後は面白くなかった、って事になるのかな? 2004/05/17
0投稿日: 2010.01.27
powered by ブクログ短編集です。 ヒューゴー賞、ネビュラ賞をとってる作品だけあって おもしろかった。天使が光臨してくる話「地獄とは神の不在なり」と「顔の美醜について-ドキュメンタリー-」の話が印象的。
0投稿日: 2009.12.31
powered by ブクログSFの世界では、結構有名な作者さんの短編集で、色んな賞を受賞しています。 SFは、人によって好き嫌いがあるので、みなさんに押しなべて薦めることは出来ません。 (最初に「惑星ソラリス」なんか読んだ日には、二度とSFは読まないと思う人もいるかも) 有名なこの作品も好き嫌いはあると思いますが、短編集ですので、自分にあった作品を選べるという意味では、間口が広いかもしれませんね。 この作品中のお気に入りは、ヴィクトリア朝のイギリスを舞台とした「七十二文字」と、天使の出現が自然現象のように扱われている現在の世界を描いた「地獄とは神の不在なり」ですかね。 「七十二文字」は、オカルトと言語学、および化学が密接に関連した技術世界が描かれます。はっきり言って、その世界に描かれる説明体系はよく理解できていないと思いますが、世界の描き方としては面白いですね。 現代の科学技術も説明体系がきちんとしていることが条件なら、オカルトでも説明がきちんととしており、再現性がある技術として存在するならば、こういう世界もありえるのかいうところです。 まあ、こういう世界が好きならどうぞ。 「地獄とは神の不在なり」は、自分が高校時代から疑問に思ってきたことが、作品とされており、結構立ち止まって考えながら読みました。 「なぜ、弥勒菩薩は末法の世の中まで現れないのだろう?」 「なぜ、神は人間を弱く創り、試練を与えながら、みんなに救いの手を差し伸べないのだろう?」 こういうことを疑問に思った事がある方は、面白く読めるかもしれません。 天使の出現が、奇跡と災厄をもたらす世界に生きる人々を描いた作品です。 両方とも映像化しても面白いかもしれません。 とかいっても、一番印象に残ったのは、一番目に掲載されているバベルの塔の建設作業員のお話「バビロンの塔」だったりして。
0投稿日: 2009.11.01
powered by ブクログSFは首尾範囲外なので、ほとんど読んでいないんだけど。 そんな中でも、一番好きな本がこれ。 理系とは全く持って相性が悪く、縁もないので、平生馴染みのない言葉が あれやこれや出てきて読みづらいけど。 それでも、好きだ。 本当に面白い物語というのは、上記のようなことなど意に介さずに いられるものだと思う。 なんていうか。 思考するということ・娯楽を与えてくれるということ、この両方を与えてくれる。 普段読む、さらっとさくっと読める小説も好きだけど。 自分にとっては、それは使い捨てと一緒。 だけど、この本は。、自分にとって使い捨てではない1冊。 どれもなかなか面白いけど、表題作が1番心に残る。 自分の発想にない物語。 あと「地獄とは神の不在なり」。 何度か読み返すうちに、自分の中での評価が上がった。
0投稿日: 2009.10.13
powered by ブクログ[あなたの人生の物語] ・人はだまし絵を見たときに、あるときは人の顔、あるときは瓶を 見て取ることができるが、その両方を同時に見ることはできない。 ⇒人は意味を読み取ってものを見ている。 読了日:2009/05/02
0投稿日: 2009.05.02
powered by ブクログすげぇよ!って言われてたほどの衝撃は無い。なんとなく予想がつく結末が多いので。 ただ表題作は強烈。一読の価値あり。こういうの大好きです。 個人的にはイーガン先生に軍配をあげます。
0投稿日: 2009.01.22
powered by ブクログ久しぶりのSF。 がつーんと読ませてくれました。 うんうん、やっぱりいいねぇ。 表題作は、ちょっと感動。 天才数学者対天才物理学者のミステリーも、 この人に書いて欲しかったかも。
0投稿日: 2009.01.13
powered by ブクログ久しぶりに読んだ青背(苦笑)←しばらくご無沙汰だったから 短編集なんだけど、とにかくどの短編も発想が凄いっていうか 私としては驚きの連続で 大変満足な1冊でした。
0投稿日: 2008.11.16
powered by ブクログ人類の理解、認識を超えた/変える新たな世界が 示された時、過去の認識に基づいた喜びも悲しみも 超越して受け容れることのできる世界が広がる。 全作宇宙を飛び回ったりしなくても 地球上(地球であろう所)にいても世界の広がりが 感じられ、想像力・創造力の豊かさが刺激的
0投稿日: 2008.11.13
powered by ブクログ最近あたりはずれが多くて、小説を読む気にならなかったけど、コレは本当におもしろかった。 感動!!!とまではいかないけど、驚きに溢れた奇想天外な作品でした。 物語は単純明快!?しかもそこには予想もつかないアイデアと密接に絡み付いた登場人物の描写が印象的、とかなんとか云う解説は必要ないかf∧_∧; でも、最初は専門用語が多くて読みづらかったけど、読んで行くうちに引き込まれていく感覚がしたね☆☆ こんな感覚は久しぶり。 『あなたの人生の物語』はSF小説です。 SFと云えば、人間の知的好奇心をくすぐらせる作品。 と、同時に心で感じる前に頭で理解しなきゃいけない難解な代物。 でもコレは少し違う。 未来を過去のように感じる事が出来るようになった母親が、まだ生まれていない娘を愛するお話。 なんか素敵やん♪ まぁコレを手にするきっかけは、『トップをねらえ!2』の最終話がこの小説と同じタイトルだったからなのだが、 読めば何故『あなたの人生の物語』なのかがわかります。 わかるとは少し違うかな? 感じることが出来ますよ! 『トップをねらえ!2』を知ってる人も、または知らない人も一度読んでみてはいかがでしょうか?
0投稿日: 2008.07.05
powered by ブクログとあるヒトに強烈に薦められて読んでみた。8つの短編集。全ての物語の奥底にしっかりと流れているキリスト教的世界観がきちんと理解できないのがもどかしい。原罪への畏怖や異形へ固執、そして理屈にこだわる表現が、この短編集へのとっつっきにくさの元となっているよう。表題作が一番評価が高いようだけれど、私は冒頭の「バビロンの塔」が一番好きだな。
0投稿日: 2008.06.19
powered by ブクログジャンルでいえばSF短編集になるらしい。 SFを好んで読んだことはなかったけど、非現実的な設定はどうも苦手、という感覚は全くなかった。 むしろ自分が認識している現実の輪郭がわからなくなってくる。それがおもしろい。 いろんな読み方ができる本です。 収録されたどの話もすごく面白いが、特におすすめは表題作。 もし私が主人公と同じ立場だったらどうするだろうか? きっと同じようにするだろうと思う。 最上の喜びと最大の悲しみをまるごと引き受ける人生に対する覚悟を持つ みたいなものが、いまの自分の心にずんときた。 私が母親になったらまた違う読み方になるかもしれない と、自分の母親のことを想った。
0投稿日: 2008.04.24
powered by ブクログ「理解」すごい。普通の人間の何倍も知性を強化された主人公が目指すものとは? 終盤、場面はほとんど動かず居間に立ってる人物と、回転いすに座っている人物だけ。しかし中身は思わずページをめくる手に力が入る対決シーンなのだ。読まないと味わえない興奮。しかもSFの味。あー面白い。 「あなたの人生の物語」 新しい言語は新しい世界認識をもたらす。異世界の言語は時空の認識をも変えてしまう。言語の設定をマニアックに積み重ねて読ませる部分と、娘に愛を語るパート。こういう語り口調だと、何となく娘パートには用心してしまう(いわゆる泣かせ系じゃないかと)。でも「バビロンの塔」から順に読んでいって、すでに作者の虜になってる読者は強引に泣かされてしまうのだ。最後に物語の構造に納得がいくというおまけ付き。 ほかSFというより辛口ファンタジー(もしくはバッドエンドファンタジーというのだろうか)というテイストの話も全部おもしろかった。
0投稿日: 2008.04.23
powered by ブクログこの人の作品は、なんとなく、『編む』とかいう言葉が似合う気がする。毛糸とかじゃなくて真っ白なレースとか。あ、あと「理系…!」って思った(典型的文系視点)。
0投稿日: 2007.12.13
powered by ブクログこれも久しぶりに読んだSFだ。主人公が言語学者で点対称の構造をもつ異星人(ヘプタポット)の言語を研究している。小説中の時制はすべて未来形である。認知言語学的に読める言語SFの傑作の一つだろう。点対称の構造であれば、前後ろというメタファーは存在しない。したがって、時制もあり得ないという考えが底にある。
0投稿日: 2007.04.23
powered by ブクログどの作品も素晴らしいSF短編集。それぞれ、過去や現在を舞台にしているのだが、その発想と展開のうまさに驚くばかりです。 読んで損はない一冊。
0投稿日: 2007.02.18
powered by ブクログ今のところこれ一冊(しかもこれは短編集)しかない作家ですが、早くも21世紀最高レベルのSF作家の称号が確実視されそうな勢い。素晴らしい。 方向性としては認識・意識の問題を扱っていると言う点でイーガンと近いものがありますが、イーガンより優しい。 SFとファンタジーの境目のような短編もあります。 チャン版アルジャーノン(またか)「理解」や、異星人の言語習得を通して認識が変容してしまった表題作などなど、どれも水準以上の仕上がりで解説の仕様もありません。 難しくて理解できないような理論も出てこないし、とにかく自分を小説読みと思っている人は絶対読むべし
0投稿日: 2006.11.08
powered by ブクログもしかしたらSF史上最強かもしれないテッド・チャンの唯一の作品集(お願いだから早く書いて……)。アイデアを熟成させて濃厚なストーリーを紡ぐテクニックはプリースト級(もしかしたら凌ぐかも?)。表題作はあまりにも完璧すぎるので、たまに読み返すと、ほら、いまでも鳥肌が立つ。
0投稿日: 2006.07.22
powered by ブクログ収録作品 ・『バビロンの塔』 ・『理解』 ・『ゼロで割る』 ・『あなたの人生の物語』 ・『七十二文字』 ・『人類科学の進化』 ・『地獄とは神の不在なり』 ・『顔の美醜について――ドキュメンタリー』 全ての短篇が一級品。 特に『バビロンの塔』と『あなたの人生の物語』と『地獄とは神の不在なり』のビジョンは強烈。 是非読むべき。 しかも、今のところ、これがチャンの全作品。
0投稿日: 2005.01.06
powered by ブクログこんなにものすごくSFらしいSFを読んだのはひさしぶりだなあ、と感慨に耽る。 感触としては、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアに似てるかな? 表題作は、いったいどんなオチにするのかと思いながら読んでしまいました。普通は、落ち着くべきところに落ち着くので、いちいち先読みしようと言う気は起こらないのですが。 この短編集が、ちゃんと落ち着くべきところに辿りついていないと言う意味ではありません。 ただ、川を下って行って海に出ると思いきや、いきなり平行世界に飛ばされてしまうと言うか。 しかも、行き着き方自体は、ものすごく論理的で説得力がある、と言うような。 なんだかピンとこない説明で申し訳ありませんが、そんな感じがしました。
0投稿日: 2004.01.04
