
総合評価
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powered by ブクログむかし読んだのを再読。小説世界の美しさは変わらず、すごいと思った。登場人物やそれに関する描写には、何故だかすこし息苦しさを覚えた。自分自身が大人になったのがわかって感慨深かった。若かった頃に好きだった本を読むのも良いと思った。
0投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログ夏に読めて良かった! 好きなものを貫いて、人の大切なものを大切だと認識できるふたりは、芯があって美しかった。 "お互い様ということなのだ。人といるということは、いつだって。" この感覚が同じだけ感じられる人って、出会ってからの時間問わず、一緒にいて本当に心地いいよね。 誰も完璧じゃないから、間違えてもいいから、素直で、寛容でありたいと思った。
0投稿日: 2025.08.12
powered by ブクログ大事なものは目に見えるとは限らない。人との繋がりこそ財産、雄大な自然も。きらきらしている夏の思い出はとても美しい。 同じ瞬間、同じ季節はないからこそ廃れていくものもあれば新しく生まれるものもある。 まりちゃんはじめちゃんの紡ぐ言葉たちが綺麗。
5投稿日: 2025.07.18
powered by ブクログ町が寂れていく寂しさや大切な人の死別、残された人達のドロドロした人間関係も淡々と流れるような文体なのに、かき氷の描写に情熱を感じる。メリハリすごい。
1投稿日: 2025.07.11
powered by ブクログほんとうに大切なこと、大切にしないといけないものを思い出させてくれた。忘れてしまっていた感覚がじんわりと私の中に戻ってきた。 夏の始まりの一冊に選んで良かったなぁ。 私の夏もきらきらさせてやる。楽しいだけじゃなく、何かを見つけられる夏に。 ●ただ、いつのまにかあせっていた自分の状態には気づいた。 毎日のことに追い立てられて、生涯に一回だけしかないこの夏を、予想がつくものであってほしいと思って、自分で自分を狭くしようとしていた。ほんとうは時間はみんな自分だけのためにあるのに、自分で型にはめようとしていた。 ●それはなんということのない光景だったけれど、そういうのがいちばん心に残るものだ。 あの夏を思い出すとき、いつもその感じを最初に思い出した。 気だるい体と、寝ぼけた頭と、陽にさらされるはじめちゃんのやけどと、コーヒーの匂いと、ぎらぎらした光の中で乾いていく洗濯物と。 ●昔はもっともっと不思議に思ったはずなのに、いつのまにか首をかしげることをやめていたな、と私は思った。はじめちゃんの新鮮なまなざしは私を子供にかえらせた。
12投稿日: 2025.07.01
powered by ブクログボクが幼いころに失ってしまった抽象的な感覚が、この本にはぎっしり詰まっているように感じた。輪郭は朧げだけれど、あたたかく大切なモノ。そんなモノをボクは、成長の過程でおっことしてきたんだろうって。
0投稿日: 2025.05.31
powered by ブクログ文章が過去形なのが印象的だったし、すごく新鮮だった。 この本を読んでいると、大好きな友達に会ってお喋りしたくなるし、海に行きたくなる。 だからこそはじめちゃんなんだよ的な文章がステキ〜!!って思った。自分のことも誰かのこともそう思えるようになろう!って心に沁みた。 もう一回読みたい^_^
0投稿日: 2025.05.12
powered by ブクログ海が好きで海と繋がることが好きな私にとってとても興味深い本だった ただマイナスな表現が多く少し暗く感じた また主人公がよく訪れるという海にまた行きたいと思った
0投稿日: 2025.04.05
powered by ブクログよしもとばななさんの作品は4冊目くらいだけど、気負わず読めるのがいい。あまりカロリーを消費しないから疲れてるときとか頭が回らないかもみたいなときでも読める。 この作品は挿絵で版画がちょこちょこ入っていてそれがまたいい風合いで良い。悲しいことやどうにもならないことはあるけど、いつまでも悲観してないで、受け止めて、前を向いていくことがテーマかな。自然に触れたくなった。
0投稿日: 2025.04.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
またよしもとばななのすごい作品見つけちゃったー。 さらさら読めて勿体無かったから2回続けて読んだ。 最近転職して、給料は下がったけど本当に幸せになった。お金は大事、だけどお金を稼ぐことが目的になってはいけないと思う。稼いだお金でどんな時間を過ごすか。そういう人生の大事なことをばななさんから教えてもらったし、私は私で良いって認めてもらえた感覚 相変わらず描写が美しい。それに夏も海も好きだから、読んでて幸せな気持ちになった。
1投稿日: 2024.12.24
powered by ブクログかつて栄えていた場所が、年月を経てどんどん衰退していく。その様子に心を痛める主人公が印象的でした。私の地元も似たような状況で、このまま終わっていくんだろうな…と見ていることしかできないので。切ないけれど、ほわほわあったかい気持ちになるお話で、ばななワールドが強い作品です!
0投稿日: 2024.12.18
powered by ブクログいつか変わってしまうからこそ、今変わらないものがあることの尊さに気付いて、小さいなことにも感謝して、生きていきたい。 心の中にずっと置いておきたい作品。
0投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログ再読⭐️ 夏の終わりに毎年読みたくなる本No.1 久しぶりに夏の終わりに読めてやっぱり良かった。 忘れてたものを思い出しました。
0投稿日: 2024.10.19
powered by ブクログかき氷屋を営むマリと人形作りを志すはじめちゃん。辛いことがあっても、自然に癒されて、前を向いて歩いていけるのは素晴らしいことだと思う。西伊豆の自然の描写と挿し絵がアートな感じで、よしもとばななワールドだった。
4投稿日: 2024.08.14
powered by ブクログ海のふた 海のふたがどんなものか想像してみた。 世界の海、全体を覆うふた。 これは球体で、北半球と南半球で半分に分かれている。 大陸の部分はくり抜かれていて、上から被せるとそのくり抜かれている部分に大陸がピタッと入る。勿論小さな島々もズレることなくきちんとおさまる。 そして海全体をすっぽりと覆ってしまう。 そんなのを想像して読み始めた。 小な海辺の街のひと夏の友情と日々の物語。 そこに書かれているのは日常や自然の大切さ。そして人との繋がり。 きっと素敵な、心に沁みる言葉が沢山書いてあったんだと思う。 でも、読んでいてずっと違和感があった。どの言葉もスッと入ってこない。 はじめちゃんの発する言葉が大人じみ過ぎていて、子供という設定に無理を感じたから? それだけじゃない。 読み進めて、これかも…と思う文章が出てきた。 「それに子供を生むとかっていうのも、よく考えたらものすごく深くて暗いことだから、女の人はその勉強で充分なのかも、真実のことは。」 女の人は子供を生む勉強で充分 ってこと? ただの台詞だけど、よしもとばななさんにはそう言う気持ちが少なからずあるのかなと思った。 (そう言う意図ではなく、人として根本的な部分を大切にしようと言いたかっただけなのかもしれない。) 子供がいないし生めない私はよしもとばななさんの言う女の人にはなれないし、ならなくてもいいと思った。 この小説が書かれたのは2004年。 よしもとばななさんが出産されたのが2003年。 妊娠、出産を経て育児で忙しい中の執筆は大変な事も多かっただろうと思う。 だから、母としての気持ちや母性が小説全体に組み込まれているのではないか。 この小説全体に溢れているそう言う気持ちを感じて素直に読めなかったのかもしれない。 若い時に読んでいたら、何の疑問も持たずに素直に色んな言葉を受け入れていただろう。 いい小説だと思っていただろう。 ただ、今の私には合わなかった。それだけ。 よしもとばななさんの描写に合わせて、挿入されている名嘉睦稔さんの版画がとても素敵だった。 自然の風景も良いけど、花火の版画がとても気に入った。
1投稿日: 2024.07.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
親、友達、親しんだ自然。 そういうものを、私たちは「ずっとあるもの」だと思ってしまうことがあると思う。 変わらずにずっとあるものだと。 しかし、ずっと変わらずに存在するというのは難しい。 人も自然も、いつかは変わってしまう。 命には必ず終わりが来て、消えていく。 それでも、信じたことを少しずつ続けていけば、「変わらないもの」を作れるかもしれない。 そういう希望が心に灯るような小説だった。 この作品を読んで、壮大な自然と向き合ったときのような気持ちになった。 変わるものと変わらないもの。 私の中に渦巻いているもの。 そういうもの全てをどっしりと包み込んでくれるような、懐の大きさを感じた。 自然と身体が親密に繋がっていて、大きな時間の中で生きている。 そういう感覚を、よしもとばななさんの作品は思い出させてくれる。 目の前のことで精一杯な私に、穏やかな気持ちを与えてくれた。 名嘉睦稔さんの版画もとても美しく、鮮やかなエネルギーを感じた。 夏直前のこの時期に読めて良かったと思う。
1投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログすーーーーごく好きだった。 見たことも行ったこともない海沿いの町が目の前に現れたような感覚。あとがきにあった作者が訪れつづけている町がモデルなのかな、いつかこんなふうに好きな場所についての話を書けるようになりたいと思った。 それから、読みながらずっと穂村弘と東直子の本にあった文章が浮かんでいた。〈好きな人ができると一緒に海へ行きたくなってしまうのは、なぜなんだろう。お互いの身体の中に眠っている遠い記憶を、一緒に確かめたくなるからではないかと思ったりします。〉 海にも行きたいし、この本も読んでもらいたい。
0投稿日: 2024.01.24
powered by ブクログ好きなフレーズがいくつもあり、とても心に残る本になりました。夏が終わる前に読めてよかった。また夏が来たら読みたくなるような作品。挿絵の版画もじんわりと心に響いて、泣きそうになりました。
2投稿日: 2023.09.18
powered by ブクログ感覚的なものの表現が上手でどの場面も情景が鮮明に浮かんできた 何か忘れていたものを取り戻したような気持ちになった 丁寧に自分を大切にするということを書かれていてそのように生きたいと思った
1投稿日: 2023.07.23
powered by ブクログ「実はいろんなことってそんなに確かなものじゃない、っていうことに気づいたら苦しすぎるから、あんまり考えないでいられるように、神様は私たちをぼうっとさせる程度の年月はもつような体に作ってくれたのだろうか。 この世の慈悲と無慈悲のバランスは、私たちが想像するには大きすぎる。ただその中で泳いだりびっくりしたり受け入れるしか、できることがないくらいにでっかいみたいだ。」 「お掃除っていうのは、きっとその人がその空間をうんと愛しているという気持ちで清めることなんだなあ、と私はしみじみ思った。形だけやって とわかってしまうし、木でも人でも動物でも空間でもものでも、大事にされてるものは、すぐにわかる」 「どんないやな人にも平等に夕焼けとか、台風の後の空とかがふんだんにきれいなものを降り注いでくれたの。考えられないくらいきれいな日っていうのが 年に数回あって、光や海や空の色の変化があまりにもすばらしいので誰もが何をもらっているような気持ちになったものよ。」 「男の人はゆるされるかぎり、どこまでも淋しくて暗くて深すぎるところに行くよね。わざわざ探求心なのか、人類のしくみなのかな。」 「しくみって思ったことはある。男の人はどんどん暗くて淋しいほうへ行って、女の人は毎日の中で小さい光を作るものなのかなあって。どっちもあってはじめて人類の車輪が回っていくのかも。」 「倒れるまで仕事するとかいうのは女もあるかもしれないけど、体力の限界まで何かを突き詰めるとかって、そこまで深くならないところでストッパーがかかるよね。ああ、暗くてくだらない、おいしいものでも食べて寝るか、ってすぐ明日になっちゃうよね、女の人はね。根本的に役割がちょっと違うところって、きっとあるんだろうね。 体が違うっていうことは、何か役割が違うということだからなあ。きっと男の人は帰るところがあるからそんな思い切ったことができるのかな。 お母さんとか奥さんとか・・・・・・そういう命綱があるから、どこまでも探求できるんじゃないのかな? 宇宙とか、そういうことを。」 「宇宙は、深く暗く果てがなさそうだし、それが真実っていう感じがするもんね。どっちかが実際に調べにいくとなると、やっぱり男が行くんだろうねえ。」 「だから、命綱は、なるべくしっかりしていて暗すぎず、大地に根をはっているほうがいいんだろうね。それに子供を生むとかっていうのも、よく考えたらものすごく深くて暗いことだから、女の人はその勉強で充分なのかも」 「私たちみたいな、そういう速さそのものについていけない人たちって、この世にけっこうたくさん、いるんです。ただ、ゆっくりとして暮らしていたいだけで」 「人を傷つけて得たものって、きっと小さなしみみたいに人生につきまとうよ。どうせはじめちゃんの家族のように誇り高い人生にはならないから。」 「どれほどのことを彼女の心と体が処理しようとしているかはよくわかった。絶対に受け止めたくないことをふんばって受け止めようとしている」
0投稿日: 2023.07.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
土肥っぽい〜 西伊豆に行きたすぎるのよ。景色がすてき。 原付でも持って行って、西伊豆でぼーっと数週間くらい過ごそうかしら。好きなときに泳いで、好きなときに本を読んで。ときどきは勉強や仕事もして。 いつもダイビングいくところに住まわせてもらってさ。すごく素敵なアイデアな気がしてきた。トップシーズンなる前か後がいいね。 かき氷やさん。エスプレッソがあるかき氷やさんというのがいい。あと、こだわったシロップを用意しているのもいい。舞台芸術をやった主人公が手作りでお店を作るというのもなんかいい。 あとは、主人公が元彼とかき氷を食べて、それをきれいというはじめちゃんもいい。わたしもその人と話してるときが一番自然で、きれいになれるような、そんな人と出会えたらいいな。
1投稿日: 2023.07.06
powered by ブクログ普段は図書館利用。久しぶりに手元に残しておきたいと感じた本。廃れた海辺街でかき氷屋を営む主人公と達観した大人びた少女と過ごす一夏の日常。設定だけで自分好み。海との付き合い方や日常の些細なことを大事にしていこうと前向きな落ち着いた気持ちになれる。
2投稿日: 2023.06.01
powered by ブクログ一冊の物語でひと夏を疑似体験したような、濃密でいてのびのびとした読書を味わえた本。 そもそも本作は元々、シンガーである原マスミ氏が作った「海のふた」という楽曲によしもとばなな先生がインスピレーションを得て生まれた物語で、加えて沖縄県出身の版画家・名嘉睦稔氏による版画作品を挿絵として収録した作品らしい…というように私は理解した。更に日本ロレックス社のブルース・R・ベイリー代表(当時)も刊行に関わっているらしく、この辺りの時系列や関係性は今ひとつよく分からなかった。単行本刊行からしばらく後に映画化されている。 音楽も聴いてみたし版画もじっと眇めて見たが、私の乏しい感性ではなかなか腑に落ちた!とまでは至らなかったが冒頭にも書いたように実に濃い〜ぃ読書が出来た。 主な登場人物はたったのふたり、故郷・西伊豆町で小さなかき氷屋を営む〈まりちゃん〉とまりちゃんの元にひと夏転がり込むことになった〈はじめちゃん〉とのささやかな日々の営みの物語。 私たち読者はまりちゃんの視点を借り、はじめちゃんと交流しながら詩的で等身大な言葉を通して’生きていくこと’の一端を垣間見知っていくことになる。以下、印象深い一節を抜き出し。 「どんないやな人にも平等に夕焼けとか、台風の後の空とかがふんだんにきれいなものを降り注いでくれた」(p80) 「夕陽はすごい力を持っている。今日が一回しかないことを、沈黙のうちにさとらせる。」(p91) 「私たち人間は思い出をどんどんどんどん作って、生み出して、どんどん時間の中を泳いでいって、でもそれはものすごく真っ暗な闇にどんどんどんどん吸い込まれていくの。私たちにはそれしかできないの。死ぬまでずっと。ただ作り続けて、どんどんなくしていくことしか。」(p96) 「つまりはお互い様ということなのだ。人といるということは、いつだって。」(p147) 本作では『海』はもちろん山や木々や動物や生きることや死ぬことなど自然、即ち摂理との距離が大変近いところに身も心も置いているまりちゃんとはじめちゃんのほぼ完成されたような魂の美しさに見惚れる一方で、そこまで欲や狡さや汚さを克服する事など可能だろうかという、ちょっとどこか冷めたような印象を持ったのも事実。 タイトルに冠されていて作中でも言及される『海のふた』が一体何を表しているのかは私には中々難しかった。「私たちは、今年、ちゃんと、海のふたを閉めたっていうことなのかも。」(p153)までの一連のやり取りから察するに、海や山をはじめとする今そこに在るもの達に対する「祈り」(p151)「畏れ」「感謝」(どちらもp152)の気持ちをしっかりと持ち、また来年も再来年も同じように会えることの歓びやかけがえなさを慈しみましょう、というケジメ的なものを指しているのかなと感じた。地域の祭事や神事もそういった面が含まれていると思うので、その個人バージョンというか。 なにはともあれ’とりわけ夏は、森羅万象への感謝を抱く季節にしつつ、また誰かと再会出来る事は決して当たり前ではないのだから、自他の生を尊ぶ気持ちは忘れてはなりませんよ’というまとめでもって感想の結びとさせて頂きます。 ブク友様達への日頃の感謝を抱きつつ、ふたを閉じさせて頂きます。 4刷 2023.5.20
14投稿日: 2023.05.20
powered by ブクログまりは廃れ失われゆく故郷を嘆きつつも、かき氷屋を新しく生み出した。人間はそういう力がある。そして、一人一人のそれの積み重ねで、世界はこれからも豊かに続いていく。
0投稿日: 2023.05.01
powered by ブクログとてもよかった。 久しぶりの吉本ばなな。 静かな文章の中に、思わずメモしたくなる、人生において大事なメッセージが書かれているところが好き。 地味で苦しいくり返しの日々でも、やっぱり生きていることって一瞬だし、大切だよねというような。 西伊豆という設定も好きでした。 行ってみたいところが増えた。
3投稿日: 2023.01.18
powered by ブクログ綺麗で素敵だった。よしもとばななさんの小説は、何年も前に読んだキッチン以降読んだことがなかったことを思い出して タイトルに惹かれたことも相まって直感で手に取った。 抱いた印象としては、文章が端的でわかりやすいのでスッと心に入ってくる。言葉選びが上手で何度も引き込まれた。自然や海の生き物の描写を通して人間が忘れてしまっているものに気づかせようとしているのかなあ、と感じた。 地元をこよなく愛する主人公も良い
0投稿日: 2022.10.20
powered by ブクログとっても好きな本。何度もよんでしまう。 海のちかくでかき氷やさんを営み始めた女の人と、その夏を一緒にすごすことになった、とても賢くて魅力的な女の子のお話。二人の会話や、景色、海、かき氷の味(まで感じる) なにもかも好き。こういう雰囲気の夏が、とても好きだ。
1投稿日: 2022.09.24
powered by ブクログとても尊敬している、平野紗季子さんのラジオで夏の読書といえば、、で出てきたもの。 ばななさん、久しぶりですが、やっぱり、やっぱり、いい。 優しい気持ちになれる、というより、優しい気持ちを思い出す、そんなイメージ。 ばななさんが描く夏の風景、それは、木や海や動物が寄り添いあって人と自然と混じり合っている風景なのですが、その夏の風景以上のものにまだ出会ったことない。 今回は挿絵の版画がより一層美しく物語を彩ってくれる。版画なのが、島のイメージで、とても、いい。 景色の描写がとても美しく、わたしもかき氷やさんをやっているし、福の木の周りを散歩したり、はじめちゃんと海で話したり、そういうことが、どんな場所で読書しててもできる本。 開けばすぐ自分だけのその世界にゆける。たとえ東京の地下鉄の喧騒にいても。 _φ(・_・ 実はいろんなことってそんなに確かなものじゃないっていうことに気づくと苦しすぎるから、あんまり考えないでいられるように神様はわたしたちをぼうっとさせる程度の年月は持つように作られている お掃除はその人がその空間をうんと愛しているという気持ちで清めることなんだなぁ 大事にされているものは、すぐわかる はじめちゃんがいっしょにいると、一人でも感じていたことがもっと大きくおおらかに感じられるようになる。 人は人といることでもっと大きくなることがある 大したことができると思ってはいけない ただ生まれて死んでゆくまでの間を、気持ちよくおてんとうさまに恥ずかしくなく、、この世が作った美しいものをまっすぐな目で見つめたまま、目を逸らすようなことに手を染めず、死ぬことができるよう暮らすのみ 体が涙でいっぱいになったように重かった
2投稿日: 2022.08.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
よしもとばなな作品を初めて読んだのは二年前の六月。「キッチン」を読んだ。それまでばなな作品に触れたことがなくて今さら読んでもなあと思うところもあったけれど、それでも手に取った。王道すぎるものには一度乗り遅れるとなかなか手が出しづらい。でもそれでも手を取らせてくれたのは友人のひとりのSが面白いと言っていたからだったような気がする。 そんなSがふと、この本を「読みませんか」と言ってくれた。今ではよしもとばななが大好きな僕はありがたく貸してもらうことにした。 主人公のまりちゃんがとても好きになった。まりちゃんの一人称で書かれた物語だから彼女の素敵さを表立って素敵だと言っていないところがとくに好きだ。はじめちゃんがまりちゃんにかける言葉でどきっとするほど印象的なものがある。 「なんだか、まりちゃんにそう言ってもらったら、突然、全てがなんでもないことに思えてきたよ」 社会の理不尽さに面して傷つくことになったはじめちゃんと接していき、まりちゃんは怒りそして疑問を感じる。彼女は生まれ育った寂れている町でかき氷屋を開きながら考える。 ほんとうは折り合いなんてつけなくてもいいはずのものに、折り合いをつけることが当然とされている。正直者が馬鹿を見るなんて言うけれどこんなひどい話はないはずなのに。 まりちゃんが一つ一つに向き合ってくれることによって、ああやっぱおかしかったんだと、知らずのうちに諦めようとしていたことをもう一度素直に受け止められた。ありがとうまりちゃん。
0投稿日: 2022.05.22
powered by ブクログまりちゃんは活気あったころの子供の頃の土肥の町を追い求めていた。夏の町は観光客でごった返し、海の中には鮮やかな世界が広がっていた。しかし、その色鮮やかな世界は時代の流れとともに失われてしまった。土肥の町はしなびてしまい、海の生き物は死に絶え、色彩を失ってしまった。 そんな色を失いつつある土肥で、まりちゃんは色彩を取り戻そうと町のみんなの心のよりどころになるかき氷屋さんを始めた。子供や老人が集まって、かき氷を食べながらひと夏の思い出を紡ぐような景色を提供するために。 きっと伊豆半島をめぐってみれば、その町の景色を守ったり、新たな景色を彩ったりしている町の事業者がたくさんいるんだと思う。 そんな伊豆半島の魅力的な事業者さんを取材し、紹介できる日々が戻ってくるのを心待ちにしている。
0投稿日: 2022.05.15
powered by ブクログ故郷のさびれた海辺の街でかき氷屋を営む主人公まりはこの夏だけその母の親友の娘であるはじめちゃんの面倒を見るようになる。まりははじめちゃんの面倒を見るうちに彼女の心の美しさに惹かれて次第に心を通わせていく。 まずよしもとばななの圧倒的表現力に脱帽した。作家として面白いプロットを書けるのは1つの才能だが本作のように淡々としたシンプルなストーリーを優しく心地よいテンポで描けるのも作家としてたぐいまれな才能だと実感した。彼女の他の著書も読んでみたいと思った。
0投稿日: 2022.03.20
powered by ブクログ【読み終わって感じたこと】 よしもとばななさんの綴る言葉は、とっても優しくて温もりがある。生きることは素晴らしいことで、だけど苦しいこともある。それでも私たちはやっぱり、自分の大好きな人やものをめいっぱい愛することをやめられないんだと思う。それこそが人の本質であってほしいなと思った。 【印象に残ったシーン】 「人を傷つけて得たものって、きっと小さなしみみたいに人生につきまとうよ。(中略)誇り高い人生にはならないから。」 とまりちゃんが、家のことで傷ついているはじめちゃんに伝えるシーン。私の胸に刺さる言葉だった。 【好きなセリフ】 「毎日のように会えることって、ものすごいことなのだ。お互いがちゃんと生きていること。約束もしていないのに同じ場所にいること。誰も決めてくれたわけじゃない。」 人も自然も、全ての存在は当たり前じゃない。こういう気持ちを持って生きることができたら、きっと世界はもっと輝いて見えるだろうなと思った。
2投稿日: 2022.03.02
powered by ブクログ大好きです。 身近な色々なものを大切にしたくなるそんなお話でした。 海も山もある寂れた観光地の人間としては、淋しさも嬉しさも共感できることばかりでした。 「この町に来た観光客が、言い知れない懐かしさや温かさを感じて、そして「また来よう」とここを大切に思う気持ちを、住んでいる人たちの糧になるような輝きを、置いていってくれるようになりますように。」 この言葉を胸に日々暮らしていきたいです。
0投稿日: 2022.01.28
powered by ブクログ6年ぶりの再読。人間関係に悩んでいた今の私にちょうどいいタイミングで読めた。自分が真面目で損な性格で、周りのごうつくばりでいやらしい人が得をしているのに気持ちの整理がつかないでいた。でも、お金や評価といったわかりやすい即物的なものより、心の平穏や清浄な感じの方が好きだから、いいんだと思うようになった。気持ちが楽になった。
0投稿日: 2021.03.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人生、なにがきっかけで良くも悪くも転機を迎えるかほんとにわからない。 正直、大学を多分、奨学金返済もなく親のお金で出て 学んだことがやりたいことでなかったと思い、就職せず、実家で寝食を養われている女の子のおままごと的なお店だ、という甘えと気楽さ。 ぬいぐるま作家になろうというはじめちゃんも 容姿から勤め人は無理だろうし、やはり一生親の家なんだろうし 欲張らない生き方を描く島の海辺の物語を読んでいて 羨ましくもありながら 素敵だと絶賛できないのは カツカツの暮らしで生きることに疲れきっているからかもしれない
0投稿日: 2021.01.13
powered by ブクログ時折読み返したくなる一冊。 海で泳ぎ疲れて昼寝したくなります。 主人公とはじめちゃんの心の距離感が好きです。
0投稿日: 2020.09.11
powered by ブクログいろんなことってそんなに確かなものじゃない、っていうことに気付いたら苦し過ぎるから、あまり考えないでいられるように、神様は私たちをぼうっとさせる程度の年月はもつような体に作ってくれたのだろうか。
0投稿日: 2020.09.03
powered by ブクログ読みながら自分の体験や祖母の家の景色と重ねていた。 みんなが自分のまわりの全てに対して豊かであったなら… 響く言葉がたくさんあった。
1投稿日: 2020.07.08
powered by ブクログひと夏一緒に過ごすことになったはじめちゃんとの話。 海や木々といった素敵な風景が本の中に広がっている。 自然を守るとか、街を守るなど、大それたことではないけど、自分の信念を曲げず続けることはそれと変わらないくらい難しく素敵なことだと思う。
0投稿日: 2020.05.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
・キジムナーとかケンムンとかなまはげとか、遠い外国のホピ族のマサウも…人のいるところに近いところにいる神様たちは、みんな恐ろしい外見をしているみたいだ。 ぎらぎらした目だとか、牙だとか、赤い色の体だとか、武器を持っているとか。 それは、きっと身を守るためでもあるけれど、なによりも、人の心を試すためなのだろう。その見た目を乗り越えてきたものだけが、その繊細な魂の力に触れることができるから。 子供はその姿をはじめ素直にこわがり、そしてその分だけ素直にその形を受け入れることができる。 はじめちゃんにもどこかしらそういうふうな、魔術的で神聖なところがあった。p9-10 →素敵な始まり方、新しい視点もくれる。そしてそれがずっと話の本筋に入る感じ。 ・一度その見た目に慣れてしまえば、はじめちゃんの持っている雰囲気は、まるでハイビスカスの花に浮かんでいる透明な水滴みたいに綺麗なものだった。 たとえば…隣に座っていて一緒に海を見ているとき、私はすぐに横になにか透明でゼリーのようにふるえていて、とても強い光があるのを感じていた。そしてふと姿を見ると、彼女にはじめてあった人がいかにも思いそうなことが思い浮かぶ。かわいそうにだとか、たいへんだねだとか、でも私は、見てないときに感じていたもののほうが、私の本当の気持ちだという気がした。p11-12 ・それは私たちの出会いの夏、一度しかなくもう二度と戻ることはない夏。 いつでも横にははじめちゃんが静かに重く悲しく、そして透けるようにしていっしょにいたっけ。p12 ・やがて福木の道は一周して終わり、静かに海が開けた。おだやかで小さい砂浜にまだ海水浴客がちらほらといた。パラソルやうきわの色が鮮やかに見えた。 昔のままののどかな海水浴の風景だった。 「この景色が好きで、ついついここに帰ってきちゃった。」 とおばさんは笑った。その真っ黒に焼けた肌とおおらかな接客の芯のところに、故郷をどうしようもなく愛している心があった。 私はそれにがつんと打たれたような気がした。 そうか、そうなんだ。 私にはソテツも福木もさとうきびもガジュマルもみんな、とっても珍しくて新鮮なものだ。いつまでだって見ていたいし、恋したみたいに夢中だ。 でも私にとって、この人がこの海と福木があるこの場所に戻ってきてしまったように、とってもうっとうしいけれど心がいつも帰っていくところはらあの、西伊豆の夕日に映える景色や植物以外にはないのだ、そう思った。p18-19 →故郷の好きな景色、そこからは離れられない。郷愁。 ・夢をかなえるだのなんだのと言っても、毎日はとても地味なものだ。 準備、掃除、肉体労働、疲れとの戦い。先のことを考えることとの戦い。小さないやなことをなるべく受け流して、よかったことを考え、予想のつかない忙しさを予想しようとしないようにして、トラブルにはその場で現実的に対処する…。有線で良いチャンネルがなければ、自分でCDを編集して流しておく。面倒でも洗い物は丁寧にやっておく。麻のふきんは白く清潔に保つ。氷は少し多めにいつも注文し、決して他のものの匂いがつかないように管理する。「普通の氷はないのかね?氷イチゴとか」と百回くらい聞かれて「すみません、そういうのはうちにはないんです」と百回くらい笑顔をつくる。そういう細かいことにひたすら追われるだけだ。それがつまり、夢をかなえると世間で言われていることの全貌だった。 私はいちばん暑い時間は避けてお昼と夕方を中心に開店していたけれど、それでもほとんどクーラーなんかきかない暗くちいさな場所に詰めこまれてずっと氷をけずり続けるというのは、とても地味な作業だった。しかしその地味さの向こうにあるものを、私は見つめ続けた。p31-32 →夢をかなえたところで、なにも特別なことはないのかもしれないし、夢をかなえた先に自分がどうなっていたいのかまでが夢なんだろうな。 ・ここを通るたびに、そして橋のたもとから見る海に夕陽の光が映っているのを見るたびに、柳がやさしくわさわさとふるえるのを見上げるたびに、私はなんだか時間が惜しいような気がする。ふと幸福で胸がつまりそうになる。それは、本当に自分の場所を持っているという幸福だった。あ、そうだ。私はほんとうに自分でお店をやっているんだ…そう思うと、うっとりとした夢のような感じがした。そして、さあ明日も店に出よう、と思うのだ。 大変なことに比べたら時間はとっても短くてほんのちょっとだけの部分でも、そこには確かに「夢をかなえる」ことの神秘的なきらめきが存在した。p34 →本当に自分の場所を持っている感覚、これが幸せなんだな。 ・ただ、いつのまにかあせっていた自分の状態には気づいた。 毎日のことに追い立てられて、生涯に一回だけしかないこの夏を、予想がつくものであってほしいと思って、自分で自分を狭くしようとしていた。ほんとうは時間はみんな自分だけのためにあるのに、自分で型にはめようとしていた。 いつだって、ここではないどこかへいこうとしていた自分をたしなめるように店を始めたはずなのに、ここで起こってくることを受け止めて面白がり、味わうことを忘れかけていた。 あせりこそが私をだめな、ふるさとをだめにしたものと同じ色に染めてしまう。時代の、ぐるぐる回転するわけのわからない速さの車輪に巻き込まれてしまう。 私は大いに反省し、とにかくどういう人かわかるまではきちんと見極める気持ちで、はじめちゃんをとりあえず受け入れることにしたのだった。p38-39 ・…なにかをふりはらうような、地味で静かで意固地な手伝い方だった。p51 →吉本ばななのこーゆー表現好き。下の洗濯物が乾く描写もそうだけど。 ・窓の外には強い光の中に、母が干した洗濯物がさらされているのが見える。 洗濯物はどんどん乾いていく。まわり中にふんだんに満ちている朝のすばらしいエネルギーを吸い取って、すみずみまで光にあたって、いい匂いをさせてぱりっと乾いていっている。p55 (中略)それはなんということのない光景だったけれど、そういうのがいちばん心に残るものだ。 あの夏を思い出すとき、いつもその感じを最初に思い出した。 気だるい体と、寝ぼけた頭と、陽にさらされるはじめちゃんのやけどと、コーヒーの匂いと、ぎらぎらした光の中で乾いていく洗濯物と。p56 →大切な人と日常を過ごす中で、こういう気持ちも大切にしていこうと思えた。 ・すごすぎる。生きているだけでいろんなことがありすぎる。もしもこの夏、私が店のことだけ考えていたら、絶対に思い出すことのない感覚だった。 はじめちゃんが来てくれて、本当に良かったと思った。 こういうひとつひとつの奇妙な感動が私を豊かにして、瞳を輝かせ、毎日をルーチンにしなくなった。そしてそのことが、なぜか昼間の仕事をいろいろな角度から複合的に支えているということがわかってきたのだ。p75-76 →わかる。誰かと過ごすことは、誰かの視点が自分の中に追加されることでもあると思う。同じものを見ているけど、2人分の視点、相手の視点は想像するだけかもしれないけれど、2人分人生を楽しめる。僕が彼女に会って、気持ちの良い夜に散歩をするようになったのも、きっと同じ。夜の空気を彼女にも感じて欲しいから外に連れ出して、結局自分の心が豊かになっていく。 ・お掃除っていうのは、きっとその人がその空間をうんと愛しているという気持ちで清めることなんだなぁ、と私はしみじみ思った。形だけやってもちゃんとわかってしまうし、木でも人でも動物でも空間でもものでも、大事にされてるものは、すぐにわかる。p76 ・…でも、これだけは確かなのは、昔は、そんなことがあっても、全然気にならないくらいに、海とか山がもう毎日変化するワンダーランドかと思うくらいに楽しかったっていうこと。季節の変化も気候の素晴らしさも、全部もう両手に持ちきれないほどだった。そして、どんなにいやな人にも平等に夕焼けとか、台風の後の空とかがふんだんに綺麗なものを降り注いでくれたの。考えられないくらい綺麗な日っていうのが年に数回あって、光や海や空の色の変化があまりにもすばらしいので誰もが何かをもらっているような気持ちになったものよ。」p80 →考えられないくらいきれいな日って良いな。確か2年に数回ある。 ・この町や近くのいろいろなところを巡るたび、はじめちゃんは「連れてきてくれてありがとう」と言ったが、実は感謝したいのは私の方だった。 はじめちゃんがいっしょにいると、ひとりでも感じていたことがもっと大きく大らかに感じられるようになる。私の心が大きく開いて、いろいろなことがもっとよくわかるようになった。 人は、人といることでもっともっと大きくなることがある。 私の好きなものをいっしょに見てくれる人がいる、それだけで私はどんなに運転してもいいや、貯金など全部なくなってもいいや、そんな気持ちになるだった。p90 ・「私はずいぶん早くに、もしかしたら、って気づいてしまったことがあるの。」 (中略)「このやけどのことを、嬉しいと思ったことはなかった。でも、このせいで、私は他の人よりもずっとたくさん、考える時間をもらった。そしてずっと考え続けた。おばあちゃんが私を守ろうとしてくれたときには、暑さも痛さも感じなかった。でもそのときの、おばあちゃんの体の温かさとか匂いとか、よく覚えている。人はそんなふうに、自分よりも幼いものを絶対に守ろうと思う。それが人というものがこうして続いてきた理由、理屈のない理由なんだって私は体で知った。おばあちゃんが教えてくれたことだった。おばあちゃんが死ぬ直前までの期間はうんと時間がゆっくり流れて、それはほんとうのところ、とても美しい時間だった。もっとこわくて生々しくてみていられないようなことだと思っていたら、もう少し余裕があって、自然なことだった。もちろん生々しいこともいっぱいあったよ。でも、そういうのを抜きにしても、意識がなくなる直前まで、おばあちゃんはちゃんとおばあちゃんだったの。イライラしたり、怒っていたり、痛がっていても、おばあちゃんはちゃんと私のおばあちゃんだった。別の生き物に変わったわけじゃない。そのことを私はすごくいいことだと思った。そのドラマを全身で味わった。きっと、昔は、歳をとった人は、若い人にそうやっていろいろ体で教えながら死んでいったんだ、そう思ったの。それから、自分が生まれながらにさずかったものやさずけられなかったもの…いろいろと、うんと考えたの。そして思った。私が特別なわけではないんだって、ただ少し多く早く味わってしまっただけだって。このことの全てが私固有の心の傷なんかじゃない。それこそが、生きるということなんだって。私たち人間は思い出をどんどんどんどん作って、生み出して、どんどん時間の中を泳いでいって、でもそれはものすごく真っ暗な巨大な闇にどんどん吸い込まれていくの。私たちにはそれしかできないの。死ぬまでずっと。ただ作り続けて、どんどんなくしていくことしか。」p94-96 ・私はここに戻ってきてから、こんなことばかり思い出している。ノスタルジーが私を突き動かす力になっている。それは一見、希望的なことに見える。でも、うんと後ろ向きだった。別れた人のことをいつまでも思っているみたいな感じだ。p98 ・だからこそ、大したことができると思ってはいけないのだ、と思えることこそが好きだった。私のできることは、私の小さな花壇をよく世話して花で満たしておくことができるという程度のことだ。私の思想で世界を変えることなんかじゃない。ただ生まれて死んでいくまでの間を、気持ちよく、おてんとうさまに恥ずかしくなく、石の裏にも、木の陰にも宿っている精霊たちの言葉を聞くことができるような自分でいること。この世が作った美しいものを、真っ直ぐな目で見つめたまま、めをそらすようなことに手を染めず、死ぬことができるように暮らすだけのこと。 それは不可能ではない。だって、人間はそういうふうに作られてこの世にやってきたのだから。p99 ・「うん、いつも損をしているけど、気が弱くて、戦わないし、こだわりがないし、どこでも幸せを探せるタイプ。私もお母さんもそれによく振り回されて腹がたつこともあるけれど、憎めないし、結局理解するんだけれど。そういう人って、ドラマの中にしかいないわけではなくて、ほんとうに、ちゃんと存在するんだよ。きっと網代の家で、通勤も苦労して、でも土日は釣りをしたり、趣味の工芸をしたりして、嬉しく過ごすことがお父さんのせめてもの復讐なんだろうなぁ。でも、きっとお父さんはちゃんとそうやって楽しくできるし、その家で死んでも悔いがないっていうくらい、ちゃんと海の景色や干物やきれいな空気を楽しめるんだよ。私そういうお父さんの娘だということが、ほんとうに誇らしい。がつがつしてない男の人って珍しいし、だからこそすばらしいと思うんだ。」p135 ・「うん、どんどん流れていくしかないから、別に私はいいの。おばあちゃんも、そう言っていた、いつだって。ものにこだわらないで、今日1日に感謝して寝れば、どこにしても人は人でいられるって。やけどのことも、おばあちゃんは私がこうなったことよりも、生きていることが嬉しかったってほんとうの本気でいつでも言ってくれた。だから、子供の頃、人にどんな目で見られても、私はゆがまなかった。だから、私はどこに流れてもいいんだ。そこでいいふうにしていくから、そしてどんどん思い出を作り続ける。それで、死ぬときは、持ちきれない花束みたいなきれいなものを持っていくの。」p139 →持ちきれない花束みたいなものを持っていくの…って最高、まじ最高。 ・「さいごこさいごにさされたんだよ…それに、それまでの気持ちの感じと言ったら、素晴らしいものだったわ。」 「くらげにさされてすばらしいなんて、私は思ったことないなぁ。」 私は言った。私にとってくらげは、もう夏の海が終わるしるしの忌々しいものだった。 はじめちゃんはひき続きうっとりとして言った。 「こわいと思う気持ちが、ひとかきひとかきをいっそう研ぎ澄ませて、まるで祈りのような泳ぎだったんだもの。何かに勇気を出して静かに入っていくみたいな。」 「変な奴。たんにくらげの海に入っていっただけだよ。」 私は言った。 「でも、私は海にありがとうって言い忘れたから。この間泳いだとき。」 はじめちゃんは言った。 「ああ、それは私もいつも言う。夏が終わって、さいごに、海から上がるとき。」 私は嬉しくて思わず顔が笑ってしまった。また同じところを見つけた。 …今年も泳がせてくれて、ありがとう、今年もこの海があってくれて、ありがとう。そして来年もこの場所で泳ぐことができますように。 最後のひと泳ぎをするときにはいつでもなごりおしくて、いつまでも海の中にいたいけれどもう陽も暮れそうだし、仕方なく上がる。なんだかぬるい水まで、体にまとわりついてくるようだ。体と魂の一部が、海に溶けていってしまったようだ。足首くらいまで上がったとき、やっとあきらめがついてちょっと切ない気持ちがのこる。p150-151 →福岡堰とかそんな立ち位置。海のように限りある時で当てはめれば、桜とか綿毛の季節とか。 ・私は疲れていたからすぐに寝そうだった。でも、暗闇の中ではじめちゃんの泣く声はもう聞こえず、私の部屋に来たことで安心して、ぐっと深く寝たようだった。なくしたもので頭がいっぱいになっているときに、誰かがふと部屋に入ってくる、そういうきっかけって大事だよなぁ、と私は眠りに落ちる直前に思った。 おばあちゃんが死んだときはずっと部屋で泣いてばかりいたけれど、手伝いに来ていた親戚のおねえさんが車で連れ回してくれて、その人がげらげらわらうたびに、ちょっと私も笑うことができたからだ。1日1回笑えると、大丈夫という感じがしたものだ。p157-158 → 「なくしたもので頭がいっぱいになっているときに、誰かがふと部屋に入ってくる、そういうきっかけって大事だよなぁ、と私は眠りに落ちる直前に思った。」か。さりげない優しさをあげたいな。そらが「ふと」入るってことなのかな。 ・「すごい、なんだかわからないけど、この子たち、生きてるね。」 はじめちゃんは真剣な目で言った。 本当の友達というものは、ほとんど全部を一瞬でつかみとってしまうものだ。それは真剣勝負で、全く嘘のない世界だ。 たとえば「すごくかわいいね、まるで生きているみたい」と誰かが優しい笑顔で言ってくれても、私は嬉しくは思っただろうけど、今みたいに胸の奥をキュッとつかまれたようにはならなかっただろう。 私がどの程度もぐっていっていて、どのくらい孤独で、どのくらいのことをひとりで心がけているか…友達にはそういうことはみんな伝わってしまうのだ。p161 →真の友情は真剣勝負。なるほど。 ・「はじめちゃん、もうすぐ帰っちゃうんだよ。」 と言ったら、彼は浜で焚き火をしようと言った。 「俺がいれば、ぶっそうじゃないし。」 そして、弟を呼んで手伝わせて、火を起こしてくれた。 「君、火が怖いっていうこと、ないよな?」 はじめちゃんにそう聞くようなところが、泣かせた。 はじめちゃんは首を振ってにこりと笑った。p173-174 →こういうまっすぐな気遣い、思いやり、優しさって響くなぁ。爽やか。 ・虫の声の中、家まで送ってもらった。 「ありがとう、ほんとうにありがとう。」 「また、必ずまた。」 打ち解け合ったもの同士がする特有のあいさつを交わして、夏は終わった。p176 →こういう美しい言葉でディファインすると、何気ない風景もこんなにも愛おしくなるんだ。 ・「必ずいろんなこと実現させようね。私、帰ったらもうぜんとぬいぐるみを作り始めるよ。生地屋に行って。できたら、すぐに送るね。」 はじめちゃんは言った。 「看板娘がいなくても、かき氷屋頑張ってね。私、落ち着いたら本当に毎週手伝いに来るよ。絶対に。」 あぁ、目先の寂しさよりも、はじめちゃんはもっと遠くを見ているんだ、と私は思った。悲しくないわけじゃなくて、これまで経験した困難さのせいで、そしてはじめちゃんの生きにくさがそのまま、夢にしがみつく力の源になっているんだ。p178 →言葉が美しすぎるってぇぇぇぇぇ。 ・後にのこった私は、一歩一歩をふみしめながら、浜辺を戻っていった。 私は私の店を作ってゆき、たくさんの人に出会うだろう。そしてたくさんの人を送るだろう。決まった場所にいるということは、そういうことだ。送らなくてはいけない‥ゲートボールのおじいさんたち、そして、いつかは自分の親も。自分に子共ができたら、子共がかき氷屋をかけ回り…そういうふうになるまで続けていくということは、全然きれいごとじゃなくて、地味で重苦しくて、退屈で、同じことの繰り返しのようで…でも、何かが違うのだ。何かがそこにはっきりとあるのだ。 そう信じて、私は続けていく。p179 →毎日は繰り返しでも、何かが違う。同じことを繰り返すうちに少しづつ変わっていくものの積み重ねが思い出だったり幸せだったり夢に繋がっていくのかもな。p31-32の夢の話にも似ている。 ・…ただがむしゃらに道を作り、排水を流し、テトラポッドをがんがん沈めて、堤防をどんどんつくっただけだ。いちばん楽なやり方で、頭も使わないで、なくなるもののことなんか考えないで。 考えれば、適切な方法は絶対にあるはずだったのだ。 お金か?誰がそんなものを引き換えにするほどお金を節約できたり、楽ができたのか? 私の友達たちを、返してほしい。はじめちゃんに、おばあちゃんの思い出のかげりのないものを返してほしい。私やはじめちゃんの愛することを、お金に換算しないでほしい。 →ここで初めてまりちゃんとはじめちゃんの苦悩が繋がった。もしかしたらまりちゃんがはじめちゃんを見てこんなにも愛おしく、放って置けないと思っていたのは、もしかしたら2人の苦悩の間につながるものがあったからなのだろうか?自分の投影だったのだろうか?ってなる。まぁ、美しさは変わらないけど。
1投稿日: 2020.05.14
powered by ブクログはじめて、よしもとばなな著の作品を読みました。 はじめちゃんがすごく大人びている考えや思いを持っていることに驚き、環境がそうさせたのだと思いますが、小さいながらも芯がある女性だなという感じがします。 読んでいる最中はものすごくかき氷が食べたくなって早く夏が来てくれないかと待ち遠しくなりました。 どこか寂しくも心があったかくなりました。
1投稿日: 2020.05.09
powered by ブクログあるひと夏のなにげない物語。 よしもとばななさんが書く海辺の話、夏の話が大好きだ。 私自身は夏がとても苦手なのだけど、ばななさんの書くぬるい海や空気の濃さや、夜の美しさやだらだらした会話などを読むと、夏もまんざらじゃないと思えてくる。 夏がつらくなったら、この本を読みたいと思う。 ばななさんの作品にでてくる女性たちは、すごい不幸な生い立ちやひどい事件に巻き込まれても、それらに人生のすべてや彼女たちがもつ輝きを奪われることのないしなやかさを持っていて好き。忘れるわけじゃない、受け止めて胸に抱いたまま、強く進んでいく。その過程が、不思議なゆるさで書かれている。 泣かせにくるような盛り上がりや、感動のクライマックスもない。だけど全編を通して、ゆるくゆるく癒されて、赦されてゆく。自由な気持ちになれる夏の一冊。
3投稿日: 2019.11.17
powered by ブクログ柔らかい海の情景と潮の香りが印象的でした。知らず知らずのうちに通り過ぎていく日々が愛おしくも儚いものだと気付かされる一冊です。
0投稿日: 2019.08.06
powered by ブクログ主人公とはじめちゃんとの友情が素敵だった。それから故郷を思う気持ちに共感した。みんな都会に出て行っちゃうけど、主人公みたいに故郷を大切にする人も必要だと思った
0投稿日: 2019.07.30
powered by ブクログ小平奈緒選手の吉本ばななレコ本、これでコンプ。 東京の美術短大を卒業して、故郷の西伊豆に帰ってきてかき氷屋を始める主人公のまりが、実家にとある傷を負ったことでひと夏居候することになったはじめちゃんと出会い、海や山や自然に触れながら、静かに友情を育んでいく物語。 はじめちゃんは大好きなおばあちゃんをなくしたばかり。そして、幼い頃におった火傷がはっきりと顔と体に残っている。2人の友情が芽生えていく様子が、とても、自然で心地よかった。はじめちゃんのまっすぐな言葉、良いな、と思った。 数年後、2人がかき氷屋をやりながら、世界の子供達にぬいぐるみを売るその後の話も読んでみたいなと思った。 小平選手レコ本の中では一番良かったかな。
1投稿日: 2019.01.30
powered by ブクログどうしたって人は結局根っこの部分ではいい人なんじゃないかな。そういう甘さにすがっていたい。 そんな心のクラゲのように透明でぷにぷにした所にグサッと毒を塗ったナイフで突き刺して汚して染めようとするモノたちがいる。悪気があってもなくても。 けれど、ワタシという人とちゃんと色を持って共有できる人と出会えること、それが人生であり、幸せなんじゃないかな。 ―だからこそ、大したことができると思ってはいけないのだ、と思えることこそが好きだった。私のできることは、私の小さな花壇をよく世話して花で満たしておくことが出来るという程度のことだ。私の思想で世界を変えることなんがじゃない。ただ生まれて死んでいくまでの間を、気持ちよく、おてんとうさまに恥ずかしくなく、石の裏にも、木の陰にも宿っている精霊たちの言葉を聞くことができるような自分でいること。この世が作った美しいものを、まっすぐな目で見つめたまま、目をそらすようなことに手を染めず、死ぬことができるように暮らすだけのこと。 それは不可能ではない。だって、人間はそういうふうに作られてこの世にやってきたのだから。 ― ここにこの作品でばななさんが言いたかったことが集約されているような気がします。 海のふた。素敵なタイトルです。
0投稿日: 2018.12.24
powered by ブクログ今年読んだ中でいちばんすき。日常のしあわせを描写するじんわり温かな表現。まりとはじめちゃんの言葉に表れてる生き方に対する姿勢。とっても美しくて、ほっとする。肩に力が入って苦しくなったら、この本を読もう。
4投稿日: 2018.09.25
powered by ブクログじんわりあったかい。読みやすいけどちゃんと大人の読書という感じがする。リアリティとか現実を突きつけて来る台詞もあるけどこの人の才能なのか、それを悪いことと捉えず読む人に前を向かせる、読み終わった後の悲しくもなく特別な爽快感もあまりないところが心地いい。彼女の作品の中で初めて読んだ作品です。
1投稿日: 2018.09.14
powered by ブクログ【感想】 夢を叶えるとは毎日の積み重ねなんだと気づかせてくれる。もし夢が叶ってしまっても、夢を叶え続けるための日々の努力を忘れないこと。 【メモ】 夢を叶えるだのなんだのと言っても、毎日はとても地味なものだ。 準備、掃除、肉体労働、疲れとの戦い。先のことを考えることとの戦い。 小さないやなことをなるべく受け流して、よかったことを考え、予想のつかない忙しさを予想しようとしないようにして、トラブルにはその場で現実的に対処する。 優先でいいチャンネルがなければ、自分でCDを編集して流しておく。 面倒でも洗い物は丁寧にやっておく。麻のふきんは白く清潔に保つ。 氷は少し多めにいつも注文し、決して他のものの匂いがつかないように管理する。 「普通の氷はないのかね?氷イチゴとか」と百回くらい聞かれて「すみません、そういうのはうちにはないんです」と百回くらい笑顔を作る。そういう細かいことにひたすら追われるだけだ。 それがつまり、夢をかなえると世間で言われていることの全貌だった。 ----- 「倒れるまで仕事するとかっていうのは女もあるかもしれないけど、体力の限界まで何かを突き詰めるとかって、そこまで深くならないところでストッパーがかかるよね。ああ暗くてくだらない、美味しいものでも食べてねるかって、すぐ明日になっちゃうよね、女の人はね。根本的に役割がちょっと違うところってきっとあるんだろうね。体が違うってことは、何か役割が違うということだからなあ。きっと男の人は帰るところがあるからそんな思い切ったことができるのかな。お母さんとか奥さんとか・・・そういう命綱があるから、どこまでも探求できるんじゃないのかな?宇宙とか、そういう所を。」 「宇宙は深く暗く果てがなさそうだし、それが真実っていう感じがするもんね。どっちかが実際調べにいくとなると、やっぱり男が行くんだろうねえ。」 「だからさ、命綱は、なるべくしっかりしていて暗すぎず、大地に根をはっている方がいいんだろうね。それに子供を生むとかっていうのも、よく考えたらものすごく深くて暗いことだから、女の人はその勉強で充分なのかも、真実のところは。あとは毎日の中の小さな楽しさでやっていけるように作られているんだよ、きっと。」 「でもそれが深くないってわけじゃない。」 「そう、種類が違うだけ」 「神様ってよく考えているよね」 「本当によく考え抜かれて創られているね、この世の中は」 ----- 「それはわかるのですが、私たちみたいな、そういう速さそのものについていけない人たちって、この世にけっこうたくさん、いるんです。ただ、ゆっくりと暮らしたいだけなので」
0投稿日: 2018.09.09
powered by ブクログ3年前以来の再読。 私は、本を読んだら印象に残った文章をワードで打ち込んで残しておくのだが、見返してみると3年間と今回では違う箇所が響いていて、その変化がとてもおもしろかった。 前回は、働くこと、夢を叶えるなんていっても毎日は地味なことの連続なのよ、といった部分が響いていたようだ。今回は、地元がさびれていくこと。主人公が海辺に小さなかき氷屋を作ったことから、自分の好きな空間を作り、小さな商いを自分のペースで営んでいくことや、海の感触。はじめちゃんという東京から来た少女が、自分のおばあちゃんが亡くなった時のことを表現した箇所などが実感を持って響いた。 つまり、前回は「へえ、こういう人生もあるのね」的な、若干傍観する立場にいたが、今回は、鳥取という場所に自分の居場所を作りつつあり、町のさびれていく様子を実感を伴って知り、そこで小さな商いをしている知人の様子も思いながら、とてもリアルな一つの事例として読み進めているように感じた。祖母が高齢になり、老いをリアルに感じていることもあるだろう。 人の評判どうこうに関わらず、主人公のすきなものしか置かず、自分のすきなものをお客さんに出す、というかき氷屋の表現では、「もの買ってくる 自分買ってくる」という河井寛次郎を思い出した。自分の周りに置くものは自分自身に他ならない、自分の好きなもの以外は自分の周りにはとても置けない。そうして、洗練していく自分の暮らしや空間については、民藝の考え方が自分の中に少し息づいてきたことを感じて嬉しかった。 今年、何年ぶりかに海に入ったときに、ああ、海のふたが読みたいと突然思った。 こうして、自分が生きていくなかで、ふと思い出して大切に読み返したくなる本があるというのはありがたいことだ。忙しいとつい知識を得るだけだったりこなすように本も読んでいた傾向があったので、こうしてその時の感情を丁寧に紐解く作業をまたしていきたいと思った。よしもとばななさんの文章は、やはりとても好きだ。 —————————————————— 「まりちゃんの店には、まりちゃんがちゃんと考えて好きになったものしかないから、けばけばしい色のシロップもないし、器も琉球ガラスで、素朴だけどとてもきれいだし。そういう、まりちゃんにきちんと愛されているものでできている空間にいると、気持ちがうんと落ち着くの。なんだかとても静かなきれいな感じがするから。」 「建物は、きっとみんなが発散している楽しさとか嬉しさとか、そういうのを吸って長持ちするんだよ。だって、手入れしてないと、すぐに淋しい感じになるものね。」 「それでも、もっとにぎやかな頃に、来てほしかったなあ。私の町がまだ、活気の粒にぷちぷちと触れそうなくらいに、勢いがあった頃に。」 「おばあちゃんが死ぬ直前までの期間はうんと時間がゆっくり流れて、それはほんとうのところ、とても美しい時間だった。もっとこわくて生々しくて見ていられないようことだと思っていたら、もう少し余裕があって、自然なことだった。もちろん生々しいこともいっぱいあったよ。でも、そういうのを抜きにしても、意識がなくなる直前まで、おばあちゃんとちゃんとおばあちゃんだったの。」
0投稿日: 2018.09.05
powered by ブクログ夫と同名の映画を見てから、そういえばここ10年ほど、よしもとばなな作品を読んでいないなぁ、と思って、ブックオフで中古本を買ってきて読みました。 私は「キッチン」が話題になった頃(当時海外在住の中学生だったのですが)から「ハードボイルド/ハードラック」あたりまでは全作(エッセイ含む)読むくらいのファンだったのですが、「アムリタ」あたりからのスピリチュアルな作風に違和感をおぼえて、その後よしもと作品からは遠ざかっていました。 だから「海のふた」を読み始めたときも、「また失望することになったら嫌だな」と恐れる気持ちもあったのですが、結果としては恐れを覆す、よい読後感に満たされました。 寂れてしまった地方の町。 私は旅行やハイキングが好きなので、房総半島や鬼怒川など、昨年だけでも結構いろいろと歩いて回っているのですが、そのときに抱いた、たとえば「地方都市は疲弊している、壊れた建物を撤去するお金もないんだ」という感想がふっと蘇ってくるような瞬間が、この本を読んでいて何度もありました。 私はこの本を、疲れてしまった人間の再生だけでなく、疲弊した街や地方共同体、自然環境を再生していくための静かな決意表明だと感じました。 かき氷屋さんの経営で自活、という設定には非現実的な印象を持つものの、その根底にある、自分の好きなこと、自信の持てるもの、そしてずっと続けられそうなもの、を仕事にして、生活の糧を稼いでいくことの大変さと大切さを、ばななさんらしい筆致で綴られた、良作だと思いました。
1投稿日: 2018.06.11
powered by ブクログ[江東区図書館] Z会5年5月号で紹介されていた本。 数冊推奨本を借りてきて息子に選ばせたところ、恐らくこの本がもっとも薄いと感じたらしく選んだ。が、、、、きっと読んだといったけど読んでないだろう、もしくは途中まで読んだとしても全く内容を理解していないだろう~~! 読んでいる途中で内容を聞くと、「海のふたがなくなって、、、」ふーん、物語なのか?幻想世界なのか?と思って後から読むと完全に現実社会の話。背景はともかく、知り合った女二人がそれぞれの心の傷や想いを抱きつつもお互いの存在やそれとの関係性から自分自身を見つめ直してより強く明るく前を向く、いわばひと夏の出来事。 まぁ確かに、今息子にこれをしっかりと読ませたところで何も感じないし理解できないかもしれないけど、来年の今頃も結局読めてくれなさそうな気がして少しへこんだ、そして今あの子に無意味なこれを読ませても時間の無駄だったよなと半分反省。 よしもとばなな。実は恐らくこれまで読んだことはなかったかも。そして今回の本のイメージからすると、正直私は合わないなー(笑)
0投稿日: 2018.05.24
powered by ブクログ群ようこさんの、かもめ食堂を思わせる物語ですが、やはりその中によしもとばななさんのエッセンスが散りばめられていて、味わい深かったです。版画も美しくて、画集のようでした。
1投稿日: 2018.03.25
powered by ブクログ決して派手ではないけれど日々の重なりがこんなにもキラキラとかがやくなんて。 ひと夏の短い話だけれどこれから何度も思い出して何度も読み返す本だと確信した。
0投稿日: 2017.11.18
powered by ブクログごくごく沁み渡る、大切な1冊。 普段以上に、生きること、伝えたいことが いっぱい溢れ出てたのかな、と思う。 覚えておきたいフレーズが多すぎて、 素敵で厳しくて哀しくて優しい たくさんの言葉たちと、大きな愛に包まれる。
4投稿日: 2017.09.01
powered by ブクログ海外に1人でいると読みたくなるばななさん。今回も旅のお供お願いしました。 丁度感じてたことや気づきたかったことをズキっとさらっと書いていてくれる感覚。 人は人といるともっと大きくなるし、自分が好きなことを、目の前のことを地味でもコツコツやることを幸せと感じたい。
0投稿日: 2017.08.15
powered by ブクログーーそれは私たちの出会いの夏、一度しかなくもう二度と戻ることはない夏。いつでも横にははじめちゃんが静かに重く悲しく、そして透けるようにしていっしょにいたっけーー 故郷にもどって大好きなかき氷屋を開いた私と、大好きなおばあちゃんを亡くしたばかりのはじめちゃんの、まぶしくて、切ないひと夏の交流。 初っ端からばななさんの言葉にやられっぱなし。 西伊豆の海の情景と、潮の香、泣きたくなるような夕焼けの空と海・・・そんなものたちが頭の中に浮かび、たまらなくなる。 大切な人に毎日会えることの奇跡。肉体をもってここに存在していることのあまりの短さ。 生きることと、人との出会いに感謝をしながら、自分にできることを静かに考える読後。 暑くて、まぶしくて、ちょっと物悲しい、夏にピッタリの本でした。
1投稿日: 2017.08.12
powered by ブクログ人間の欲深さは、果てしない。でも、欲がないとモティベーションが続かないし、そこは難しいところ。 お金の貪欲さではなくて、探求心の貪欲さを持ちたい。
0投稿日: 2017.06.05
powered by ブクログよしもとばななさんの作品をちゃんと読んだのは初めて。 ふとタイトルと表紙に惹かれて手に。 起伏があってクライマックスがあって、、という作風では決してないのだけど、人間の「生きる」が本当に自然な流れの文章に詰め込まれていた。 どの登場人物もすごく人間らしくて、繋がり方がどことなくリアルで血が通っている感じ。 主人公の母の人物像が素晴らしかったな。個人的に。
1投稿日: 2017.04.26
powered by ブクログ毎日のように会えることって、ものすごいことなのだ。お互いがちゃんと生きてること。約束もしてないのに同じ場所にいること。誰も決めてくれたわけじゃない。
0投稿日: 2017.03.18
powered by ブクログこの時期たくさんたくさん読んだ吉本ばななさんの作品の中でも、とりわけ印象的だった一冊。単純に大好きな海がモチーフだったこともあるし、きっと海のそばでかき氷屋さんを営む主人公へのあこがれもあったのかも。また読み返したい一冊。
0投稿日: 2016.11.07
powered by ブクログ読むと主人公たちと同じようにスローライフを送っている気になり、リフレッシュできた。自分の身の回りの人、手が届く範囲の物を大切にすること。そして、「どうにかなる」と楽観的に考え、前向きでいること。簡単そうに思えるけど、主人公たちのように振る舞うのは難しい。でも、それが人生の闇に飲み込まれないためには必要なのかもしれない。
1投稿日: 2016.09.19
powered by ブクログ西伊豆の小さな町が舞台。挿画となっている版画がとてもいい味を出しています。正直、私は物語そのものよりも版画のほうが好きでした。 映画にもなったんですね。ネットで動画を見たら私のイメージとは違っていた。本からのイメージではもっともっと田舎を想像していました。かき氷屋さんもイメージよりずっと綺麗。かき氷も美味しそうでした。
1投稿日: 2016.09.18
powered by ブクログ少し前に映画を観たけれど、映画とは少し違う部分もあって、当たり前のことだけど原作のほうがよしもとばななワールド炸裂だった。 小さな町での、まりとはじめちゃんのひと夏の物語。 ふるさとの西伊豆に戻ったまりは、かき氷屋を始めたばかり。 母親の友人の娘であるはじめちゃんは、大切な人をなくして傷ついていて、ゆっくりとした時間を過ごすために西伊豆にやってきた。 ともに時間を過ごしながら、2人は自分らしく生きる道を探し始める。 基本的にはわがままで独りを愛する部分があるまりとはじめちゃんが、本当は時々お互いを鬱陶しいと思いながらも(そういう描写は出てこないけれど)、一緒の時間を過ごすことで2人でいるのもいいなと思い始めて、しばしの別れ際には本気で淋しいと思う、そういう関係性が素敵だなと思った。 人と一緒に生活するのは鬱陶しいし面倒くさい。でも、それを超えた感情も確かに存在する。 ともに過ごすことで相手の嫌な面が目に付くこともあるけれど、それ以上に相手の良い面を見つけて尊敬したりする。そういうことが自分の生き方を見つめなおすきっかけになったりもする。 おばあさんをなくしたばかりで傷ついているはじめちゃんの言葉や経験で、あぁすごく解るなぁ、と思う部分があった。 人が死ぬと周りが醜く見える、というのはよくある話で、遺産やお金のことで揉めたり、取り合ったり…自分の利益にならないことは押し付けあったりして欲をむき出しにする。 私も自分の父親が死んだときそういう場面を目にして、「自分は欲で醜くならないようにしよう、せめて誰かが傷ついているときだけでも」と心に誓ったことを思い出した。 欲しいものや行きたいところなどの欲は必要なものだけど(それで仕事をがんばろうと思ったりするし)、誰かの持ち物を取り合うような欲は持ちたくない。 はじめちゃんは心からおばあさんを愛していたからこそ目を覆いたくなった。その気持ちは、ものすごくよく理解できた。 スピリチュアル要素は薄く、海辺でのゆっくりした時間を感じられる、癒しの小説。 自分らしさを見つける、自分らしく生きる、って勇気がいるし、一生かかっても難しいものなのかもしれない。 それを得はじめた2人のたくましさがいいなぁと、素直に思った。
3投稿日: 2016.06.26
powered by ブクログ人生は大変だけどその中で続けることが大事で、その先に光が見えてくる。読んでいると、心が浄化されるような感じ。すっと入ってくる文章がやっぱり心地よい。読みやすいし、ちょっと迷った時に読むとラクになれる、そんな本。
1投稿日: 2016.05.21
powered by ブクログばななさんの『初恋』を読んでから次に読んでみました。観念的で感覚的なセリフや内容がやはり多くて、もうおなかいっぱい!!となり途中で断念。残念だなぁ、、
0投稿日: 2016.03.19
powered by ブクログとても感覚的で綺麗な世界観の話です。 ふわふわ、もこもことした暖かい話でした。 風景や情景で、主人公たちの内面を描写するのがうまいです。 話の展開や筋のあまりないえらく感覚的なはなしだけれども、とても楽しく読めました。
1投稿日: 2016.01.08
powered by ブクログよしもとばななの小説を読んでいると、澄んでいて暖かくて…まるで、あったかいジャスミンティーを飲んでいるような気持ちになる。 物語には、ハラハラとした展開も、あっと驚く事件も起こらない。ただ淡々と、地元の海辺の町を愛しかき氷屋を営む主人公と、その友人はじめちゃんの心の交流が描かれる。 そのため途中までは、たいくつでなかなか小説の世界に入り込むことができなかった。 でも、よしもとばななの作品は、静かな音楽のように、ゆっくりと心に響いてくる。 これは、喪失の物語だ。 思えば彼女の作品には、共通して「喪失」の悲しさと、それを見つめ、乗り越えてゆく澄んだ強さが描かれているように思う。 だから好きなんだな、とも思う。 特に好きだった文章をいくつか。 「私はいじめとか仲間はずれとか……まあ田舎だからのどかなものだったが、そういうのに加担しなかったことで、ただでさえ人になじまないのにますますひとりでいることが多くなった。 幼いころはそれでかなりいじけた気持ちにもなったけれど、今となっては、そういう行動が一枚の板みたいになって、私を支えるようになった」(p.89) 「(全身に負った自身の火傷について)私が特別なわけではないんだって、ただ少し多く早く味わってしまっただけだって。(中略)これこそが、生きるということなんだって。 私たち人間は思い出をどんどん作って、生み出して、どんどん時間の中を泳いでいって、でもそれはものすごく真っ黒な巨大な闇にどんどんどんどん吸い込まれていくの。私たちにはそれしかできないの。死ぬまでずっと。 ただ作り続けて、どんどんなくしていくことしか」(p.96) 「私のできることは、私の小さな花壇をよく世話して花で満たしておくことができるという程度のことだ。私の思想で世界を変えることなんかじゃない。ただ生まれて死んでいくまでの間を、気持ちよく、おてんとうさまに恥ずかしくなく、石の裏にも、木の陰にも宿っている精霊たちの言葉を聞くことができるような自分でいること。 この世が作った美しいものを、まっすぐな目で見つめたまま、目をそらすようなことに手を染めず、死ぬことができるように暮らすだけのこと」(p.99) 「解決ってほんとうに面白くて、ちょうど『これはもうだめかも』と思った頃に必ず訪れる。『絶対になんとかなるだろう』と思うことをやめず、工夫し続ければ、なんだか全然別のところからふと、ばかみたいな形でやってくるものみたいだ」(p.127) 「私は私の店を作ってゆき、たくさんの人に出会うだろう。そしてたくさんの人を送るだろう。決まった場所にいるということは、そういうことだ。送らなくてはいけない……ゲートボールのおじいさんたち、そして、いつかは自分の親も。自分に子供ができたら、子供がかき氷屋をかけ回り……そういうふうになるまで続けていくということは、全然きれいごとじゃなくて、地味で重苦しくて、退屈で、同じことの繰り返しのようで……でも、何かが違うのだ。何かがそこにはきっとあるのだ。 そう信じて、私は続けていく。」(p.179)
1投稿日: 2016.01.07
powered by ブクログばなな姫を10年以上読んでいなかったけど、こんなにしんどいかと思った さくさく読めない ぐさぐさ刺さる だいたいすごーくその通り、そう、そうなんだよねと思った 思っていることを言い当ててくれたような 昔は感受性が麻痺していたのか、、 しんどかったけどまた近いうちに、ばなな姫読もう
0投稿日: 2015.12.07
powered by ブクログ毎日のちょこちょこっとした地味な作業を丁寧に続けること。自分にとって大切なものを大切に生きる人の話。透明で深く澄んでいる。
1投稿日: 2015.12.06
powered by ブクログ実家である西伊豆に帰ってきてかき氷屋さんを始めたまりちゃんと、おばあちゃんを亡くし相続争いから距離を置くために夏だけやってきたはじめちゃんのお話。似たような境遇の自分の故郷を思い出したり、大切な人を亡くした経験に共感したりと、涙ぐんでしまう場面が多々あった。そんな中で自分のやりたいことを探し見つけ、芯を曲げずに進んで行く二人の姿に勇気付けられました。変化していく環境と人の影の部分に悲しくなりつつも、最後には心が暖かくなる、とてもいいお話でした。
1投稿日: 2015.12.04
powered by ブクログよしもとばななと睦稔のコラボ企画。所々に睦稔の美しい版画が挿入され、小説の雰囲気を彩る。寂れて、変わっていくわたしの街。その背景には金の動きがあった。そして愛するおばあちゃんの死後、遺産相続のことで醜さを露わにする親族たち。その現実に心を痛めたはじめちゃん。金によって大切なものを奪われたわたしとはじめちゃんの出会い。そのふたりの心の通い合いの物語。大切なものの喪失は、ばななのいつものテーマである。これは作中の表現だが、生まれたシャボン玉を見つめて、それがポッと消えるまでのたまゆらの美しい時間。そんな時を過ごしたような読後感のある作品だった。
1投稿日: 2015.11.08
powered by ブクログ主人公のまりちゃんの地元が寂れていく過程を読んで、あれどっかで。。。と思った。そして、よくよく考えたら私の生まれ育った故郷が、まりちゃんの地元と同じ寂れ方をしていたのに気付いた。 私の地元は温泉街で観光地。母はそこでずっと育って今も、生活している。母が小さかった頃はまりちゃんの幼少の頃の地元のようにうちの地元も賑わっていて、よく東映のスターなんかが撮影にきたと言っていた。 私の地元に限った事ではなくて現在、日本全国に昔は繁盛していたけれど今はもう。。。という場所って、少なくない気がする。そこでいくとこの本は、そういう場所に対しての1つの警鐘を鳴らしているようにも捉えられた。 そして、まりちゃんとはじめちゃんは驚くほどにシンプルに丁寧に毎日を送っていること。 ちゃんと自分らしく、あるがままに生きている2人。 なかなか難しいけれど、この2人のような生き方が出来たらと感じている。 私は、まりちゃんとはじめちゃんの優しくて温かいやり取りを読み進めていく内に大好きになったし、まりちゃんやはじめちゃんのような友達が欲しいと思った。 文体もとっても美しくてシンプル。 何か素敵な音色を聴いているような。 素直に心に響いてくる言葉。 ページの要所に出てくる版画絵も綺麗。
4投稿日: 2015.08.20
powered by ブクログ癒されます! 故郷の海辺の町に戻り かき氷の店を始めた主人公のところに 心と体に傷をもつ少女がやってきて ひと夏を過ごす。 海やお店の風景が頭に浮かび せつないながらも 前に向かって進む強さも感じ 久々に いい本を読んだ!という気分になりました。
0投稿日: 2015.08.04
powered by ブクログただただ、海に行きたい…。潮風を受けて、海の中に潜りたい。通勤電車に揺られながら、漠然と強い欲求に襲われた。
0投稿日: 2015.08.03
powered by ブクログ久々によしもとばななさんの小説を読みました。 文頭からいきなり心に響く本… 少し暗くて?でも明るくて強いお話です。 人間として未熟すぎる私(笑)には、とても糧になる本でした。
0投稿日: 2015.03.29
powered by ブクログノスタルジック。 この小説ははじめから終わりまで懐かしい夏の匂いや温度を感じられるように描かれている。 10年以上前に読んだ本を突然思い出し、あのかき氷屋の話をもう一度読みたいと思った。 自分自身も伊豆の栄えていたときとその後の寂れてしまった状況を知っているし、そういう対比が切ない気持ちを強くするのだと思う。
0投稿日: 2015.03.24故郷は田舎でしょうか。
女性2人の西伊豆、一夏の物語。 物語は起こる大事件、または激しい心の浮き沈みを中心に描かれる訳ではありません。 大切な何かを意識しながら暮らしを描く優しい内容です。 登場する人に考え方に故郷を思い出す、 また自分の今の日々を俯瞰させられる力のある本でした。
2投稿日: 2014.11.09
powered by ブクログシンプルに生きることに憧れても シンプルに生きることは難しいと思った。 だから、憧れるのか。
0投稿日: 2014.10.15
powered by ブクログこれは久しぶりに大当たりの本やった。 よしもとばななさんの本を10年ぶりくらいに読んだ。(しかも2冊目) この本の気持ちは私の普段感じている地元の不思議な開発具合とかにすごくマッチして、 そうやねんそうやねん。 って思わせてくれた。 私が今している仕事も、何か偉大なことをするとかじゃなくて、必要とされていることを誠実にしていくことやなと改めて思わされた。 背中押してもらいました。
0投稿日: 2014.10.10
powered by ブクログ15年ぶりくらいによしもとばななさんの作品を読んだ。 若い頃、江國さんの作品を薄めたような作風に感じていたけど、二人は全然違うんだなぁって、今更。 ときおり泣けてくるような幸せでせつない描写があって、素敵な作品だと思う。今を大切に感受性豊かに生きたいなぁとおもった。
0投稿日: 2014.09.25
powered by ブクログ今年の夏は、西伊豆の土肥へ行こう。 そこで、エスプレッソを出してくれる、小さなかき氷屋さんを見つけよう。
0投稿日: 2014.07.20
powered by ブクログとっても大切なことを思い出させてくれた。 今、ここに存在していること自体がなんてすばらしいことなんだ、ということ。 男と女は、本質が違うんだということ。 あたりまえに見えることが、本当は一番の奇跡なんだ、ということ。 今読まなかったら、私の心は荒んだままで、大切な実習をやることになっていた。 私の魂が、また救われた。 もう一度、丁寧に読もう。 そして、実習精一杯がんばってこよう。
1投稿日: 2014.06.01
powered by ブクログ他の作品と同様、自分はこうと強く信じて生きていこうという信念、邪悪なものに巻き込まれまいとする姿勢はばなな。本当に自分の好きなことして生きていこうとする主人公たちの物語。日本の四季へのノスタルジーを呼び起こす。
0投稿日: 2014.02.26
powered by ブクログ中学生の時に読んだTSUGUMIを読み直したかったけどブコフに置いてなくて、同じ海の物語だったので代わりにこれを買いました。主人公のまりが憧れの地ではなく地元に店を構えたところは素敵だなあと思います。私にはそんな勇気なかったから、この小説を通して出てくるまりの故郷愛には心打たれます。まりとはじめちゃんが話すことも面白い。人生はなくしていくのみだけど、思わぬことで思わぬものがときを超えるのかもだとか、男の人はどんどん深くて暗いものを求めていくとか、生きていく上でそう考えたらすんなりいくかなと思えるセリフがたくさんあったのでここにメモとして残しておきたいと思います。お金の話は、夢見がちだしそんなに共感できなくて極端に綺麗事だったと思います。私はよしもとばななさんの考え方が好きなんだろうな
0投稿日: 2013.12.30
powered by ブクログ忙しさにかまけて忘れていた、自分の中の澄んだ気持ちを思い出させてくれる。誰しもが持つ人間の黒い部分を含めて、自分を受け入れたくなる。 ただ、現状に満足することの大切さを説いているような気がしてしまって、、今の私には合わなかったなぁ。純文学と同じ部類・・の清らかで虚しい感情が残る。
0投稿日: 2013.11.06
powered by ブクログブルース・ベイリーの仲人による、よしもとばななと版画家、名嘉睦稔のコラボレーションで誕生した本。26点の絵は、いずれも版画特有の黒が力強く、またそれらが常に影を意識させるために、海辺の町の日常が淡々と描かれていく小説の背後にも陰翳を与えている。西伊豆の土肥を舞台に物語は展開するが、そこでは寂れていった町への郷愁と強い愛着とが心をこめて語られる。大きな出来事は何も起こらないし、主人公であり物語の語り手であるまりと、はじめちゃんとのひと夏の交流が描かれるだけなのだが、そこにはほのかな輝きがあるようなのだ。
0投稿日: 2013.09.25
powered by ブクログ沖縄で出逢ったかき氷屋さんに憧れ、まりはすっかり寂れてしまった地元の西伊豆で一人かき氷屋を開店する。もう失われた自然や風景の中で、何かを残せるように。やがてそのかき氷屋に、大切なおばあちゃんを亡くし、がめつい親戚たちに何もかもを奪われた火傷を負った少女・はじめがやってくる。まりとはじめ、二人で過ごす夏が、生きる道を探し、意味を見つめる夏が始まった―― 結構長い間積読してたんですけどやっと読み。前に読んでたのがつまらなかったのでその分面白かった。と言うか劇的なことがおこるわけではないけどやはり私の中でばななさんは特別なので、どの文章も特別な意味をもって、何らかの啓示をもって私の中に沁み込んでいく。 実は私のまわりではかき氷がすごくブームなのだけど、私自身全然かき氷に興味を抱けてなかった。でもこの作品を読んでかき氷っていいものかもなあ…と思ったので食べに行きたくなった。でもその、すごい有名なお店とか、どこかで紹介されたお店とかじゃなく、この作品のまりちゃんがやってるみたいな、地元に根付いてて、小さくても暖かいお店がいい、そういうお店をやってる人のかき氷が食べたいなあと思った。ばななさんがモデルにした沖縄のかき氷屋さんも食べてみたい。 ばななさんにしてはお金の問題とかつまらない争いとか、人間関係のどろどろした汚いところとか、もちろんうんと薄めた表現だけど、でも結構ストレートに書いてて、なんとなく他の作品よりも説教臭い……というよりは何だろうな、この問題を敵にしてるよ、って感じがすごくした。それだけばななさんが見た、西伊豆が失ったもの、それが大きかったんだろう。でもその中で慎ましく暮らしていく、生活していく、生きていく人が何かを変えるかもしれない。人とか町とかを。そして夢を与えていく、生き続けていく、そういうのが淡々とばななさんらしいスタイルで描かれてて、ああ久々にいいばななさん読んだなあと思った。かなり好きな作品です。ずっと積読しててすいません。今度は一巻読んだきりで積読してる王国シリーズ崩そうかな。
1投稿日: 2013.09.01
powered by ブクログお店を開くということ、夢を叶えるということは意外と地味で孤独なものだったりする。 でも、1日1日を大切にし、工夫し味わうことを忘れなければ 小さいことでも輝き、幸せを噛みしめることができる。 幸せは、目の届く範囲が一番大切。 そう、それで、いいんだよなぁ。しみじみと噛みしめた。
0投稿日: 2013.08.25
powered by ブクログ美しい海に懐かしい町、大好きな場所でののんびりとした生活。どんなに素敵なものでも、時代の流れの中で寂れていくことは止められない。できることは今を地道に過ごしていくことだけ。 読んでるうちに自分の故郷を思い出して、無性に帰りたくなる。 ストーリーの内容というより、頭に浮かんでくる情景や登場人物たちのセリフや感情がスッと自分の中に入ってくる感じがいい。
0投稿日: 2013.07.07
powered by ブクログ吉本ばななの得意分野である、小さな幸せから再生をしていく素敵なお話でした。 本当に彼女の作品は、彼女の価値観が散りばめられていて、その価値観や世界観が好きな私にとって読んでいて癒しになる。 無理はしないでいい、小さくても自分らしさがあればいいと言ってもらえるのはありがたい。 原マスミ氏の海のふたを読後に聴いたのですが、とても切なく懐かしいような歌で、小説のイメージと良くあっていました。最初に聴いてから読むべきだったかも。
0投稿日: 2013.06.23
powered by ブクログ最近は近くに夏を感じるので、読みました。 たくさんは知らないけど、よしもとばななは読み易くて、 すうっと入ってくる感じが好きです。やさしい。 はじめからおわりまで、夏の、いい意味で「地味な」 風景が鮮やかに浮かんでくる小説です。
0投稿日: 2013.06.08
powered by ブクログばななさんの描く世界は、こんなにも生きるチカラと幸せで満ちている。それを存分に味わうならまずここから。
0投稿日: 2013.06.05
powered by ブクログ挿絵と融合してとても良い物語になっていたような気がする…のだけれども、読み終わった瞬間あんまし話の内容とか覚えてなくて、ってまあ、これはよしもとばなな氏の小説にはありがちの感想なんですけれども…まあ、今回もばなな節炸裂! という感じで氏の独特の感じ・感覚などが小説内で展開されてて満足しました。 ←え?? 社畜死ね!! ヽ(・ω・)/ズコー ていうか、なぜに主人公の女の子はカキ氷屋してんの?(笑) って感じもなくはなかったのですけれども、障害というか、後遺症というのか…顔の皮膚とかがアレな女の子との心の交流…みたいなものがばなな氏のひらがな多目の文体と相まって僕の心のズドーン! と入ってきてよい感じでした。今後もばなな氏の小説を読んでみたくなる…そんな感慨を抱けた作品でした! ←え?? 社畜死ね!! ヽ(・ω・)/ズコー ただまあ、簡潔な文体で良いんですけれども、漢字多めの文章も割りと好きな自分としてはやっぱしばなな氏の作品とどことなく物足りない…みたいな感想を抱いちゃうんですけれども、これはまあこれで仕方がなくね? とも思う僕なのでした。さよなら… ヽ(・ω・)/ズコー
0投稿日: 2013.06.01
powered by ブクログ名前の表記を変えられてからの「よしもと」作品ははじめて。実家のある西伊豆の小さな町に戻ってかきごおり屋をはじめたまりのところに、大切なおばあちゃんを亡くしたばかりのはじめが夏を過ごしにやってくる。そんなに立派なひとたちじゃなく、普通に、でも好きなことをしながら丁寧に、毎日を過ごしていく様子に静かに胸打たれる。名嘉睦稔の版画挿画26点を収録。タイトルが本文にリンクしている。
0投稿日: 2013.06.01
powered by ブクログ夏が終わり、秋に向けて乾いた風が通るような気持ち良い一冊。 主人公は普通の女の子で、出会う女の子(今回は、はじめちゃん)は繊細で消えてしまいそうな透明感のある色白の美少女。 よしもとばななさんの作品によく出てくる美少女が決して主人公じゃなく、周りの人だからすんなり読めるのかな。 衝撃的に好き!って一冊じゃないけど、作中に出てくる素朴なかき氷を飲み干したあとのような、すーっと爽やかでほんわかした気分になった。
0投稿日: 2013.03.30
powered by ブクログ(「BOOK」データベースより) ふるさと西伊豆の小さな町は、海も山も人も寂れてしまっていた。実家に帰った私は、ささやかな夢と故郷への想いを胸に、大好きなかき氷の店を始めることにした。大切な人を亡くしたばかりのはじめちゃんと一緒に…。自分らしく生きる道を探す女の子たちの夏。版画家・名嘉睦稔の挿絵26点を収録。
0投稿日: 2013.01.21
powered by ブクログうん、良かった。 地道に、こつこつと、自分にできる身の丈のことをやっていく、やり続けて行く。 穏やかに、生きていく。 じんわりと効いていく感じ。良かった。
0投稿日: 2012.12.29
powered by ブクログこれこそが、生きるということなんだって。私たち人間は思い出をどんどん作って、生み出して、どんどん時間の中を泳いでいって、でもそれはものすごく真っ暗な巨大な闇にどんどん吸い込まれていくの。私たちにはそれしかできないの。死ぬまでずっと。ただ作り続けて、どんどんなくしていくことしか。 思わぬものが、思わぬ形でときを超えるのかも。
0投稿日: 2012.12.20
powered by ブクログ【ロンドン五輪と海のふた】 よしもとばななの『海のふた』。 とっても好きな作品。 「解決ってほんとうに面白くて、 ちょうど『これはもうだめかも 』と思った頃に必ず訪れる。 『絶対に何とかなるだろう』と思うことをやめず、工夫し続ければ、 なんだか全然別のことろからふと、ばかみたいな形でやってくるものみたいだ。」 こんなセリフが出てくる。 なにごとも、とめてはいけないのだと思う。 ロンドンオリンピックで、金メダルを獲得した女子レスリングの小原さん。 ご飯を食べているときも、レスリングのことを考え続けた。 2回、五輪に出るチャンスを逃してもまだあきらめなかった。 五輪を見ることは、選手の生きざまを見ることなのかもしれない。 一つの舞台で、結果を残すためにどれだけの時間を費やしてきたのか。 どのような日々を送ってきたのか。 五輪は1つのことを、続けることの大切さを教えてくれる。 かき氷屋さんの物語を読んで、 五輪を想ったのでした。
0投稿日: 2012.10.19
