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プリズンの満月
プリズンの満月
吉村昭/新潮社
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総合評価

20件)
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    巣鴨プリズンの一刑務官の評伝のように読めましたが、後書きで主人公が架空の人物と知る。 この小説は、戦争責任の所在を問うものではありません。 また、戦勝国や敗戦国の善悪を論じるものでもない。 戦争という途方もないうねりの結果、戦犯という重苦しい処遇を背負った人々に対し、 ほんの灯火に過ぎずとも、人道的なあたたかさに全力を尽くした人間たちの記録を集め、淡々とつづっている。 (もちろん、戦中の日本上層部の行動を肯定している…という意味ではないですよ) 人によっては、地味で退屈する筆致と感じるかもしれません。 けれど、あの戦争はこうだったと簡単に論じる本より、遥かに誠実です。

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    投稿日: 2025.11.20
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    退職した40年におよぶ刑務官の想いは、 秘めるノスタルジーにすべきだった。 だが運命は告白を求めた。巣鴨プリズン跡地に 建つ高層ビル建設の警備員となり、刑務官時代 の起伏のあるモノローグが始まる。

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    投稿日: 2025.09.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦争は戦争終結宣言で終わったのではなく、戦後処理が敗戦後も長い間続いたことに驚く。多分、学校で習ったと思うが記憶の中からすっぽり抜けている。多分、学校でも詳しくは教えてくれなかったのだろう。 戦争を仕掛けた者、実戦で戦った者、後方で支援した者。それぞれの思いが交差し苦労している。戦争というものはやってはいけないものだとつくづく思うが、それでも戦争は世界のどこかでづっと行われている。 昭和20年8月の無条件降伏で戦争が終わったと思っていたが、戦争処理が戦後も長い間残っていたのだと知る。おそらく学校で習っていたと思うが記憶には残っていない。昭和32年まで多くの戦犯が「巣鴨プリズン」に収監されていたということは多分教えてもらっていないと思う。戦犯に関することはタブーになっていたと言うより触れない様にしていたのだろう。戦争はそれに関わった人全てを不幸にする。それは戦争を始めたヒットラーもそうだし、戦場に戦った兵士も後方で支援した人も例外ではない。それなのに世界のどこかで戦争は行われている。人を不幸にするというのに戦争は無くならない。

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    投稿日: 2025.03.24
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    戦争は、終わってなかったのだなと、感じた。そして、地続きで戦後が始まっているのだなとも。敗戦がいかに惨めで、その時間を乗り越えてきた先人に頭が下がる。

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    投稿日: 2020.11.21
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    実在した森田石蔵という元刑務官の話や、彼が作ったという年表をもとにして書かれた小説。完全にフィクション。 ドラマのような感動や、物語の起伏はない。むしろ時間軸場所軸が前触れなく変わるから、吉村昭に慣れない人には読みづらい印象。 それでもやはり、あとがきにも書かれていたけど「共苦」の感情を作品の基底においてあるところが、日本人たる自分の心を揺さぶる。 戦争責任なんて、個人はおろか、国単位で考えてももしかしたら存在しないんじゃないかと思った。

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    投稿日: 2020.03.09
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    戦後、戦争犯罪人が収容されていた巣鴨プリズン。 戦勝国、アメリカから一方的に戦争犯罪人と言われ収容された者たち。 敗戦国、日本としては従うしかない。 だが、自分たちが何をしたのか、何故、収容されているのか分からない。 徐々に処刑されていく者たち。 残されていく者たちには、恐怖しか残らない。 日本人を処刑する道具を日本人に作らせるアメリカ兵。 作った者たちは、処刑されていく戦争犯罪人を見て徐々に狂っていく。 全てが狂っていた時代だったのか。 巣鴨プリズンの跡地は今、サンシャイン60として戦争犯罪人の墓石のように高々と聳えている。

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    投稿日: 2018.05.14
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    へえー、巣鴨プリズンの話かあと思って読んでみたら、「羆嵐」の吉村昭さんでしたか。 巣鴨プリズンって名前は聞いたことあるけど、どんなところだったのかとかは全く知らなかったので、とてもためになりました。 サンシャインシティって、その跡地に建ったんだ……、それすら知りませんでした。 後半はほとんど刑務所の用をなさない感じだったんだなあ。 戦犯に対する思いは複雑。戦争になったのはお前のせいじゃ!と言いたくなるような人もいただろうし、罪もないのに一方的に犯罪者扱いされた人もいただろうし。 勝った側が一方的に負けた方を裁くっていうのもねえ……。本文にもあったけど、原爆落とした国にお咎めなしってどうよ。 モンテンルパの渡辺はま子さんの話は、以前テレビで見たことがあったので、ここで再び読むことが出来てよかったです。

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    投稿日: 2017.03.21
  • 平和とは何なのだろ

    戦犯を収容していた「巣鴨プリズン」の元刑務官の回想録という形で話は進んでいく。GHQの支配下にあり絶対服従のプリズンの中で収容者の待遇改善に奔走した日本人が居た。その一人「巣鴨プリズン」初代日本人所長の鈴木英三郎(実在・実名)、この所長は「破獄」に出てくる府中刑務所長と同一人物である。途中まで私はA級戦犯の待遇改善に違和感を感じていた。国民は戦争が始まってしまえば戦わざるを得ない。戦争の計画に関わった人間の罪は重くて当然と思っていた。米国側が戦犯を英雄視する日本人がいることを警戒するのも理解できた。 しかし戦争裁判は戦勝国が一方的に裁くという前例のない異常なもので、別人と間違われたまま処刑された人も居たほど杜撰であったという。刑務官も全国から電報一本で召集されたが断ったら戦犯として投獄されるという絶対服従のものであった。またプリズンに関わった米兵も上官に逆らうことのできない悲しい立場であった。悲惨な戦争体験を語り継ぐだけではなく様々な立場から検証し記録を残していくことは大きな意味があると感じた。平和とは何なのだろう「これは絶対やらない」という選択肢を持ち自ら行動できる環境ではないかと考えながら読んだ。

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    投稿日: 2017.01.22
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     刑務官を退職し、悠々自適の生活を送ろうと思っていた鶴岡。そんな彼の元にかつての上司から、ビル建設の警備の責任者の依頼が舞い込む。ビルが建設されるのは、鶴岡がかつて勤務していた、戦犯が収監された巣鴨プリズン跡地。鶴岡は警備責任者から退職する日に、かつての日々を回想する。 「正義は勝つって!? そりゃあそうだろ 勝者だけが正義だ!」 『ONE PIECE』というマンガで出てきた言葉ですが、巣鴨プリズンというのは、まさにその言葉通りの場所だったのだな、と読んでいて感じました。  戦勝国のアメリカによる一方的な裁判で、罪を問われ収監された囚人たち。もちろん、彼らが戦争を指揮し、あるいは人を殺したという事実は変わらないわけですが、じゃあ、アメリカの軍人や上層部も同じことをしたのに罰せられたのか、というとそういうわけでもなく。結局のところ戦勝国の正義ですべては決められてしまったわけです。  そうした巣鴨プリズンですが、刑務の実務をするのは鶴岡をはじめとした日本人たち。戦争をした国民が、同じ国民の刑を執行します。しかし、徐々に刑務官たちは、囚人たちに同情を感じるようになります。そして巣鴨プリズンはどんどん形骸化していくのです。  例えば、囚人たちの外出がほぼ自由になったり、収監されているにも関わらず、就職し仕事終わりに酒を飲んでプリズンに帰ってきたりと、刑務所とは思えない状況に。  そして、囚人たちは状況に応じて釈放されていくわけですが、刑期を終えたから、というよりかは国際政治のバランスを考慮して、というのがまた複雑なところ… 結局、正義とか罪とかって何なんだろう、と巣鴨プリズンって何だったんだろう、と考えさせられます。  こうした問いかけを可能にしたのが、綿密な取材から書かれる当時のプリズンや世相、社会状況や国際政治の説明や描写。この描写の詳細さと、冷徹な視線が吉村さんの持ち味であり、唯一無二のところだと思います。  ページ数的には短めの長編、といった感じですが、内容がしっかりと詰まった吉村さんらしい作品でした。

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    投稿日: 2016.03.02
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    これは多くの人に読んでもらいたいなぁと。 特に戦後の連合国の処置に夢を持っている人には。 私の母なんかはそうなんだけど、「アメリカが助けてくれた、軍国主義者をやっつけてくれた」ってよく言うんだけど、そういうもんじゃないんだって。 戦後70年、そういうものに目を向けるものがほとんどなく、切ない節目だった。 だから、繰り返すんだろう。

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    投稿日: 2015.09.25
  • 戦後の雰囲気

    戦後といえば東京裁判に目が行きがちですが、その後が知りたいと思って読んでみました。裁判後の日本の雰囲気と戦犯たちの生活や心の動き、世論の変化について、細かく描かれています。昭和史に興味ある方はぜひ。。

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    投稿日: 2015.02.27
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    戦犯収容所である巣鴨プリズンを一人の刑務官の目を通して描く。証言者のいるうちに綿密な取材をし遺した貴重なドキュメンタリーと言ってもよい。2014.11.20

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    投稿日: 2014.11.20
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    巣鴨プリズンが極東軍事裁判によって、 A級戦犯とされた人々の収容所だったという事実や 池袋のサンシャイン60がその跡地であり、 サンシャイン60に隣接する公園の片隅に ひっそりとたたずむ「永久平和を願って」の碑の存在を はたして今、どれだけの人が知っているのでしょうか。 この小説の主人公鶴岡は、 A級戦犯を収容した巣鴨プリズンに勤務する刑務官です。 同じ日本人でありながら、 戦犯の日本人を米兵の命令で看守しなければならない苦悩。 戦争の勝ち負けで大きく変わる戦犯の罪。 人が人を裁くのは、何と罪深いことでしょう。 鶴岡の眼をとおして、 戦後の日本の混乱した時代がリアルに描かれていました。 ほとんどが事実に添ったストーリーですから、 小説というよりも、ノンフィクションのような感じで読めました。 実直に勤務をし続けて定年を迎えた鶴岡ですが、 その胸中には深い傷が残っています。 巣鴨プリズンでの話は遠い遠い昔のこと・・・・ でもしっかりと記憶に刻まれたやるせない思いは 鶴岡ばかりでなく、 一人の読者の私にも感じられるものでした。 来年は戦後70年を迎えるといいます。 戦争は起こっても悲劇だし、終っても悲劇しか残らない! プリズンの夜空に浮かんだ満月が見ていた事実や 刑にあった人々の慰霊碑が物語る史実を 忘れることのないようにし、 同じ過ちをおこさないようにしなければならないと思いました。

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    投稿日: 2014.08.09
  • 静かな

     敗戦直後の巣鴨プリズンに勤務した刑務官の回想と現在を織り交ぜながら話が展開されています。 主人公の個性と刑務官という職業の洞察力が相まって、戦後の占領下という動乱期の話であるのにとても 静かに語られていくので、しんみりと心に沁みこんできます。 その静けさが満月と重なります。 学校では習わない歴史の一面ですね。いい年まで生きてるのに、知ろうとしなかった事、知らない事が沢山あるなぁと感じています。

    2
    投稿日: 2014.04.03
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    今や跡形もないけれど、サンシャインシティにはかつて巣鴨プリズンがあった事を思い出しました。 時代は変わったものです。 かつて、日本は戦争を起こし、連合国軍に敗れた。知ってはいるけれど 完全に過去の物となっていた戦争を思い出しました。 敗戦国として戦争責任を問われた人たちが収監されていた場所。今の専門店街や水族館のある高層ビルからは想像がつきません。 また、僕はこの本を祖父から貰い読んだのだけれど、そこには僕の曾祖父が戦犯とした一瞬登場します。  自分の父が登場する小説を読む祖父の気持ちを考えるとなんだか不思議な気分になります。

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    投稿日: 2013.09.03
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    太平洋戦争による日本国の敗戦責任は日本人個人にも割り振られた。そんな戦争犯罪者のみを収容するために作られた監獄が巣鴨プリズン。 しかし、それはあまりに監獄らしくない監獄だった。収容者の外泊やアルバイトを許可。時にはバス移動により、集団での野球観戦も催される。そして、戦勝国の気まぐれな判断で、理由もなく、減刑されたり、釈放されたり。 そんな無意味で、バカバカしい監獄があったという事実を詳細に記録した小説。 ちなみに巣鴨プリズン跡地は現在の池袋サンシャインビルが建っている。

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    投稿日: 2010.12.20
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    ひとりの元刑務官による巣鴨プリズンの回想。 羆嵐が無茶苦茶良かったので読んでみた吉村昭2冊目。 徹底した調査と取材を元に構成したフィクションというのは羆嵐と同じ。 一見硬質な飾り気のない文体が実はとても読みやすく、逆に主人公に感情移入しやすかった。 羆嵐読んだ時にこの作家好きになるかも、と感じたのは間違いじゃなかった。

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    投稿日: 2010.06.23
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    ・巣鴨プリズンを含めて40年間刑務官を務めた鶴岡って主人公の半生を描く小説。 ・と、いう体裁を取ってはいるが、実は巣鴨プリズンに関するノンフィクション、と言った方が正しい。鶴岡の回想ですら無い部分も多い。 ・GHQから日本に管理が移った後の巣鴨プリズンが、どんどんグダグダになっていく様子がとても意外だった。まさか入所者たちが内職をしたり自由に(じゃないけど)故郷に帰ったり外部に就職して酒を飲んで帰ったり、などと言うことが起きていたとは全く知らなかった。 ・「戦争受刑者の即時釈放要請に関する決議」が昭和30年にあって、その翌年に講和条約第11条の手続きをして、そして釈放となったと理解していたんだけど、実際は五月雨式に釈放が行われていて最後の釈放者は昭和33年だったということ。世の中には知らないことが多い。 ・上述のような事が起こり得たのは、やっぱり「戦犯」っていう存在のあいまいさ、インチキさ、立脚点の無さ、それに尽きる。そもそも意味の無い裁判の結果であり、そこにすがっていつまでも厳しく拘禁していく事は日本は当然として連合国側だってできなかったと言うことだ。それともう一点、朝鮮戦争から冷戦を迎える時局であり日本の存在が無視できないものになっていたからというのもある。 ・フィリピンからの帰国のくだりは泣けた。 ・吉村昭の書いた本は始めて読んだけど、これはなんだか章立ても無くて回想と現在がメリハリ無くつながった妙な本だったなあ。 ・古本屋で100円にて購入。

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    投稿日: 2009.06.20
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    吉村昭氏の本にはいつも頭が下がる。 こういう視点から歴史を垣間見ること、なぜ今までしなかったんだろう。 うわっつらの歴史からは想像もできない日本史。 私達は大事なことを知らないままで、すべてを知ったつもりになっているのではないか。 多くの人に読んで欲しい作品です。

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    投稿日: 2009.02.28
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    巣鴨プリズンという日本人が日本人の戦犯に刑の執行をする場所があった、そういうことを忘れてはならないと思った。

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    投稿日: 2006.10.10