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薬指の標本
薬指の標本
小川洋子/新潮社
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総合評価

711件)
3.8
170
231
204
39
3
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    小川洋子作品で初めて買ったものであり、初めて読了したもの。 静謐で冷たくて少し恐ろしい気もする物語であるが、ホラーという感想は似合わない気がする。小川洋子の小説とだけあって描写のどこを切り取っても美しい。フランス映画みたいと感じたが、実際かの国で映画化されているようだ。 この作品自体を閉じ込めて標本にして大切にしまっておきたい。 この本を最初に読んで良かった。やはり、電子よりも紙の本で味わって読みたい。 次は『密やかな結晶』でも読んでみようかな。

    1
    投稿日: 2025.12.18
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    世にも奇妙な物語感があるかも? 文章は綺麗で独特の魅力があり……でも、何故か読む気にならずに流し読みしてしまいました。

    0
    投稿日: 2025.12.05
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    勝手に登場人物を外人にして読んでしまうくらい現実離れしていて、でも普通に読めてしまっていて 自分もこの話の中に取り込まれているような気がして変な感じになった

    0
    投稿日: 2025.12.04
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    静かで冷たい「標本室」という職場で、少しずつ引き返せない恋に溺れていく一人の女性の物語。 ここでの「標本」が何を意味するのか、姿を見せなくなった少女は、前任の女性たちは、何処へいってしまったのか。はっきりとしたことが書かれていないからこそ、美しく密やかな世界観が楽しめた。 「彼に封じ込められていたいんです。」という帯にもなっている主人公の言葉が読後も心に残り続ける。

    11
    投稿日: 2025.11.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    終始湿度のある文章で、爽やかさは一切なかった。「好き」「愛してる」の言葉がなくても、ひんやりとした狂気に溢れたお互いの感情が伝われば良いというのも愛の形なのかなと。弟子丸氏の魅力が私には全く伝わらなかったけれど、二人が幸せならそれで…という感想。二つの作品どちらもすっきりとした終わり方ではなかったので、その続きはどうなったんだろう?って気になった。

    0
    投稿日: 2025.11.21
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    日常から迷い込んでしまったような気持ちになる2編の短編集。 文章がミニマムなためボリュームは少ないが、言葉で表現されていない部分である余白が豊かで、奥行きのある作品。 個人的には「薬指の標本」が好き。 ”完結するための標本”の中でゆっくりと流れる時間や香りが、感じられたような気がした。

    0
    投稿日: 2025.11.14
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    2編の短編が入っている。 1つ目は表題作「薬指の標本」。気味の悪いタイトルだな、と思いながら読み進めたが、意外とそうでもない。しかし、そうでもないな、と読み進めると、だんだん不気味になってくる…。  といっても、タイトルから想起されるような肉体的な不気味さではなく、精神的な不気味さだ。主人公が沼にはまっていくのを、不思議な気持ちで読み進めた。 2作目の「六角形の小部屋」の方が個人的には好きだった。小部屋に入った悩める子羊の「わたし」に、少しでも救いがあったのか、なかったのか? お悩み解決小説のような筋を辿りつつ、ハッピーエンドで終わらない。設定は非現実的なのに、そこがむしろリアルである。  普通の一人称の小説の中に本人の独白が混ぜ込まれるという手法もアクロバティックで面白かった。

    0
    投稿日: 2025.10.26
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    ことり、で初めて出会いとても好きな文体で、密やかな結晶を読んだ後にこちらを読了。密やかな結晶やその主人公の書く小説と似た点が多く、少し新しさを感じなかったので勿体無い気がした。読む順番が逆だとだったり、時期を空けていたら良かったかもしれない。寒い小雨の日に、部屋の明かりを控えめにして読みたい文体。

    0
    投稿日: 2025.10.20
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    封じ込めること、分離すること、完結させることが、ここの標本の意義だからです。 繰り返し思い出し、懐かしむための品物を持ってくる人はいないんです」

    0
    投稿日: 2025.10.18
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    友人に勧められて読んだ 中でも『薬指の標本』はよかった。 小川洋子の本に触れたのはこれが初めて 何となく苦手かもしれないと思い読んでいなかった。 友人からは苦手なら薬指の標本から是非読んでよと言われて手に取った。 読み始めて小川洋子さんの独特な世界に惹きつけられていく自分がいた。 何とも官能的、だけどエロティック中ではない なんだら白いヴェール越しに物語を読んでいる様な感覚。みてはいけないものをまじまじとみている。 不思議な感覚になりながら読了。 あっという間だった。 何だからフランス映画のようだ思って調べてみたら 薬指の標本はフランス映画として映画化していた

    0
    投稿日: 2025.10.13
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    この話に一切恐怖心が湧かず、親愛感すら湧いてくる事が怖い。いつの間にかそちら側に取り込まれている感じがする。

    0
    投稿日: 2025.10.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    訳あって再読 小川洋子の小説の怖いほどの美しさを堪能できる一冊。 工場の仕事中の事故で欠けた小指の先。いびつなはずのその指がとてつもなく美しく思える。 薬指の欠けた事務員の私に標本技術士の弟子丸氏が贈った靴。 靴というなんともセクシャルなアイテム。二人が交わすひそやかな「愛」。 静かで不穏で美しい。小川洋子だなぁ、としみじみ思う。

    3
    投稿日: 2025.10.04
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    小川洋子の本を初めて読んだ。 ふわっとしていて独特の雰囲気があり、何を意図しているのかはっきり掴めない、不思議な物語だった。 私だったら何を標本にするよう依頼するだろうか。何を小部屋で語るだろうか。 そんなふうに想像してみることで、自分の中に何が引っかかっているのかが見えてくる気がする。 普段は気にしないようにしていても、実は心に残っている辛いこと。 それを振り返り、昇華させていくような小説なのかも。

    11
    投稿日: 2025.09.21
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    ずっと前に読んでいて、記憶がなくてもう一度読んでみた。 薬指の標本 六角形の小部屋 どちらの話も、声を大きくして誰かに訴えたいわけでも、だからと言って捨てたいわけでもない気持ちの置き所を教えてくれる。 時間を止めて、閉じ込めて、保存したいものが自分にもたくさんあるな。良いことも、悪いことも。 そういう気持ちほど、誰かに見つけて大事に取っておいて欲しいなと思ってしまうけど、 そうするときっともう自分という人間は存在していられなくって。 漠然と、自分は良い人間と思っていたのに、 どうしようもないと思っていた類の人間とおんなじなんだなって気づいた時の感覚が、身に覚えがありすぎてしまった。 自分が生まれた年の話でもこんな気持ちにさせられるなんて小説はやっぱりいいなあ。

    1
    投稿日: 2025.09.15
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    なんだろう、、、官能的な文章っていうのかな? 直接的な表現ではないけどエロスを感じました。 ただ、読書初心者だからか理解が出来ないというか、想像力がないのか。 個人的には後半の話の方が好みでした。

    21
    投稿日: 2025.08.27
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    とても静かで耽美で、それでいて少し不気味だった。 繊細で丁寧な描写が美しく、少し官能的なものを感じた。 あの後、どうなってしまうのかが気になって仕方がない。

    1
    投稿日: 2025.08.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    そんな昔の本だとは知らずに購入して読破。 でもやはり世界観はレトロが好きだなあ。 表題【薬指の標本】、全然そんなこと言ってないのに、なんかグロかった。 そして何故か男性の声が脳内つだけんで再生される笑 いやでも本当になんだったの? オカルト好きとしては文字つだけん(仮名)は妖怪だったのかとオモウンダ? 人間か妖怪化した怪人Aの亜種みたいな。 もしくは若い女しか食わない鬼? 血〇術? タイプライターだっけ?読んだの実はちょっと前で細かいところ忘れちゃったんだけど、あのシーンなんだったの? 一緒に探してよ。 決定的に何かが起こるとかではなく、じわじわ攻めてくるというか、侵食してくるというか。 いろいろ言ってますが、すごく面白く読みました。絵的で。 薄気味悪い後味が欲しかったらおすすめの一品と思います。

    1
    投稿日: 2025.08.10
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    独特の世界観と丁寧な描写で読む手が止まらなくなる1冊。 本のタイトルにもなっている薬指の標本が特に好きでした。タイトルからしてグロ注意作品なのかな、と少し気構えて読み始めましたがグロさは感じられなかったので安心して読めます。 テンポが良く、描写が秀逸なのに難しい表現がないため読みやすい。ついつい読む手が止まらなくなる作品でした。 薬指の標本がどういう意味なのか、それを考えながら読んでいましたが私個人としては標本に興味を持ちながら、何よりも少し変わった恋を覗き見てしまった気がするようなお話でした。若いフレッシュな感じの恋愛ではなく歳を重ねたからこその少し重ためな愛の形を知れた気がします。

    11
    投稿日: 2025.08.06
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    愛の話。 苦しくて辛いはずの内容だけど、淡々と日常の様に過ぎてゆく感覚は読んでいてとても気持ちが良いです

    6
    投稿日: 2025.08.05
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    二人の女性が出てくる二編の短編集 どちらも不思議な物語です 仕事あるいは恋人との関係が変わってしまった二人の女性が、それぞれ奇妙な体験をして、それに夢中になってしまいます 二人の最後は対照的ですが、果たしてどちらが幸せなのでしょうか…

    20
    投稿日: 2025.07.26
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    2つの作品が収録されている。共通して出てくるのは、"案内板を出したり宣伝をしなくとも、その場所を必要とする人々は導かれるようにそこを訪れることができる"という空間。日常のなかにひっそりと存在し、必要としてくれる人を待ち続けるという慎ましさが小川洋子さんならではの感じ。 「薬指の標本」はとくにディープでフェティッシュな感じ。

    2
    投稿日: 2025.07.26
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    この人の小説は常に、ひんやりした闇の中に、じっとり湿った生温かさみたいなものを感じる。決して派手でも明るくもない地下室みたい。 そして、本人に自覚があるかどうかは別として、元来ヒトってみんなそうだよなと思う。

    2
    投稿日: 2025.07.15
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    平凡な日常を生きる読者がひょんなきっかけで異常な世界に引き込まれ囚われていく様子が絶妙なタッチで描かれています。ページ数少なめの割に充実の物語でした。

    12
    投稿日: 2025.07.01
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    小川洋子さんの文章が大好きです。 小川洋子さんの作品で登場人物が亡くなっても、ただ悲しいだけではなくその情景が印象的に美しく描かれていると思います。 薬指の先を無くす場面も、火傷の場面も、少しもグロテスクではなくむしろ綺麗な情景として描かれていると思います。

    0
    投稿日: 2025.06.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    映画を見てから本を読んだ。 作者も舞台も言語も日本なのだけど、なぜかフランスで映画化されている作品。 映画は、この本の雰囲気、特色をうまく掴んで映像に表していると思う。 解説にもあったが、「身体性」がテーマであるように思う。 薬指がある、ない、 薬指以外の身体がある、ない… ついつい読書好きな人やポエミィな人、メンヘラ属性のある人(一緒くたにしていいかわからんけど)は、心、精神性の方を優位においてしまうけど、 身体の隅々を丁寧に描き、そこにある種のセクシーさを見いだせる物語 ちなみに映画の方も、とっても官能的でした

    0
    投稿日: 2025.06.18
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    2編共、どうしようもなく閉ざされた感覚、よるべなさ、あたたかい感情とさみしさが共通している。 読み終えるとずうんと気分が落ちてしまうから、夜に読むのは要注意だなと思った(私の場合)。 小川洋子作品は、脇役たちのほうがあたたかい不思議。

    1
    投稿日: 2025.06.11
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    2篇とも主人公の自己肯定感の低さやうっすらとした希死念慮を感じる作品でした。 私はこれら作品から、アクシデントをきっかけに人生計画が頓挫した主人公が死に場所を求めているという共通したイメージを抱きました。 うっすらと思い描いていた人生計画が崩れたときに、ある種の枷が外れたと開き直り、次のプランに向けてバイタリティを高めることは容易ではないと思います。そのため共感できる人も多いのではないでしょうか これらの作品に美しさや救いを感じるには私はまだ幼く元気すぎました。

    1
    投稿日: 2025.06.03
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    小川洋子さん初読み 二作とも、主人公との人間関係が第三者に介入できないほど、親密になった後の切なさを感じました。 これは独特の世界観。 文字だから、表現できるのですね。

    0
    投稿日: 2025.05.10
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    「あるものはあり、あらぬものはあらぬ」という考えが度々哲学で見受けられるが、小川洋子という文筆家は文学としてそれを表現する魔術師であった。この本は一冊、最初のページから最後まで余す所なくパズルのピースとなる本だと思う。解説までじっくりと目を通すことでそこに新たなものが見えてくる。作中では確かにあったものが消滅した。しかしながら、同時に生まれる思いがある。二篇の不思議な物語を通して、そこに生まれたものを捉えるという新しい感覚に囚われる作品であった。

    0
    投稿日: 2025.05.10
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    小川洋子さんが作る、どこかにあってほしい、ひょっとしたらどこかにあるんじゃないかと思うような不思議な世界が大好きです。 「標本」や言葉として切り離すことで、整理したり忘却したいことってありますよね。 逆に、自分から切り離してしまうことが怖かったり、あえてもやもやしたまま残しておきたいものもある。 標本室や語り小部屋があったら自分はどんなものを切り離していくのだろう。

    1
    投稿日: 2025.05.07
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    標本にしたいものってあるかなぁ  語り部屋に入ったら何を語ろう 村上春樹のよう 読み終えて、どういうことかなぁってのがいい

    0
    投稿日: 2025.04.14
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    人の、心の奥から突き動かされる衝動と そんなつもりじゃなかったのにのめり込んで一気に読んでしまうパワー ずっと脳内に残るワンシーンがあるような

    1
    投稿日: 2025.04.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「薬指の標本」 脆く儚く、少しダークな雰囲気の作品。あとがきにもあったように、「体の消滅」ということが描かれていて、多分弟子丸さんに体をも委ねたいほど好意を抱いたっていう比喩だったのかな。最終的に標本室行っちゃうくらいだし… 「六角形の小部屋」 語り小部屋が実在したらいいのになー、と思った。こちらも少しダークで不思議な世界観だったな。美智男に抱きたかった感情が語り小部屋やミドリさん、ユズルさんに向かったんじゃないかという考察を見てすごく腑に落ちた。

    1
    投稿日: 2025.04.07
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    薬指の標本というタイトルだけで、薄気味悪い、もしかして猟奇的か、小川洋子作品だし、さてさてと読み進めるうちに、どこか自分にもこんな気持ちがあるのかも、と思わせられたら、作者の術中にハマってしまったことになる。 短編2作めの六角形の小部屋にしても同じ感じで、カタリコベヤって何なんだよ、そうかそういう漢字なのか、だから部屋の中で一人で語るのか、そんなやつはいるのか、と思いながら自分なら今日は何を話すのだろうと考える。 薄い文庫本に2篇の短編小説が含まれている、という体裁から奥が広くなっているような場所にいる感じすらした。広い場所と感じたのは自分で感じた空想なのか、ほらまた一歩ずつ作者の世界に引き込まれていく。星をつけて評価するのは小説の面白さではなく自分の気持ちのような気がしてきた。だから真ん中の3つにしておく。

    19
    投稿日: 2025.03.31
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    2025.3.9読了。 1962年生まれ小川洋子さんと原田マハさん。小川洋子さんは岡山県生まれでマハさんは岡山県育ち。1963年生まれで結婚してから30年近く広島県に住んでいる私は 2人の小説を読み、全く作風の違うお二人がお隣の岡山で繋がっていることにちょっとびっくり。岡山恐るべし。 ずいぶん昔に「博士の愛した数式」を読んで全く分からず、無理かも…と思いつつ、この本を借りてみました。 この本も彼女の独特の雰囲気(はっきりしない言い回しの割にグロテスクな表現は直球)がやっぱり無理かも〜と思い、途中で止めてしまおうかと思いましたが、だんだんその不思議な世界に引き込まれていきました。 「薬指の標本」は「赤い靴」を思わせるお話で、謎の「標本屋」と謎の「標本技術者」と謎の「地下室」と関わる女性の話で、いろんな謎がぼや〜としたまま、終わります。 「六角形の小部屋」もやはり謎の「場所」にある謎の「移動小部屋」にいる謎の「管理人」と関わる女性のお話です。 こちらも最後は管理人さんがいなくなり、 小部屋もなくなるのですが、そこに通っていた他の女性は実在していたので、全てが妄想というわけではなかった、という終わり方です。 かなりホラーな感じではあるし、闇に包まれた部分も多いけど、とても文学的な綺麗な表現も散りばめられており、充実感となんとも言えない読後感が残る心地よい本でした。 「博士の愛した数式」もう一回読んでみようかな。

    14
    投稿日: 2025.03.09
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    ■薬指の標本 ミステリアスで艶っぽい雰囲気を感じられる作品。(この作品に限らずかもしれないが)登場人物の心情を、風景やシズル表現に反映させるのが非常に巧い。束縛エロティック。 ■六角形の小部屋 不満も刺激もなかった元カレに対して抱きたかった感情を、小部屋とミドリとユズルに対して抱いたのだと解釈した。 儚く上品な作品だった。

    4
    投稿日: 2025.03.02
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    2.11読了 ・薬指の標本 静けさの中に漂うなんとも言えない違和感。 不気味で歪でエロティック。結末が描かれないからこそ、「わたし」がどうなったのかを想像する余地があり、余韻がある。 あなたが幸せならそれでいいけど…という読後感は、谷崎潤一郎の痴人の愛を読んだ時に似ていた。 ・六角形の小部屋 不思議。それでいて優しい。 静けさの中にある神秘さ。静かで美しい空間。 物語の核となるものが掴めない。まるで抽象画を見ているような気持ちになった。 それでもわたしはこの小説が好きだと言える。掴めないのに優しくて温かい。そんな感じ。

    2
    投稿日: 2025.02.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    再読。全く覚えていなかったので初読な感じで読めた。が最近、表題作の映画をアマプラで久々に観たので薬指の標本の方は読みながら映像も頭の中に浮かんでくる。それもまた面白い。 靴や足に関してはしっかり書かれてるのにタイトルになってる薬指に関してはなぜ標本にしようと思ったのかがほぼ書かれてなくて逆に面白かった。読み手の想像によって様々になるような余白が。 六角形の小部屋も不思議な空気感。ともすればどちらもゴシックホラーみたいな雰囲気にもなりそうだなーと思いながら読んでた。静かで美しくて奇妙な世界観。どストライク。

    2
    投稿日: 2025.01.30
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    紹介されて読んだ本。読んでて浮遊感を感じる不思議な本 歪で怖いなって感想が第一。自立しているはずだったのに、徐々に依存していき、掌握される感じ。女の子が若いのもまた怖さに繋がる どこか綺麗さもあるが、純愛かと言われると違うと思うなあ 六角形の小部屋 カタリコベヤ 宗教ではない、特別な教えを説いたりしないし、祈ったりもしない。神様もいない。 本人の意思や努力によって運命を切り開けると信じている人もいるかもしれません。けれど、意志や努力がすでに運命なのだとわたしは感じます。 決して人生を否定しているわけではありません。 次の瞬間何が起こるか、わたしたちには少しも知らされていないのですから、やはり常に自分で選択したり判断したり築いて行ったりしなければならないでしょう。いくら運命が動かし難いものだとしても、すべてをあきらめてしまうなんて愚かです。誰にとっても運命の終着は死ですが、だからと言って最初から生きる気力を失う人は、たぶんあまりいないはずです。 運命は決まってるのかもしれない、でも諦めてはいけないしもがいてかなきゃいけない みんなそれぞれ抱えているから、話して向き合う でも時に向き合いすぎるとバランスが崩れる 途中の背中の話は謎だったけど好きな話

    3
    投稿日: 2025.01.05
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    小川洋子さんの、静かでちょっぴり不穏な独特の世界観が、やっぱりたまらない。 最後どうなったのかを想像させられて、ひとり騒ぐ楽しさも与えてくれました。

    27
    投稿日: 2024.12.31
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    標題作の「薬指の標本」。密やかで不思議な気配を描く小川洋子氏の筆力の凄さよ。どこまでも美しく、束縛のエロティズムが琥珀色の液体の中に静かに沈んでいくかのようだ。 「六角形の小部屋」も不思議な話である。徐々に露見する主人公の不安定さを痛々しく感じてしまった。

    3
    投稿日: 2024.11.24
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    『薬指の標本』  『六角形の小部屋』 短編2つのコンパクトな一冊。 なのに、重みがあって、じわじわとした綺麗な狂気の世界に引き込まれる。非現実的な世界なのだけど、ないとも言い切れない絶妙な塩梅。 これ、主人公が女性だからこそ、 繊細さや色香を感じるのかなぁ。 男性だとしたら、また違う物語になりそう。

    1
    投稿日: 2024.11.23
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    小川洋子さんの物語が好きだと自覚したきっかけの本。 かなり前に図書館で借りて読み、久しぶりに読みたくなって購入。 静かでどこか歪な世界、その先が気になる幕切れ。大好きです。

    3
    投稿日: 2024.10.25
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    『薬指の標本』 婚約指輪や結婚指輪は、通常、左手の薬指に嵌める。 だから、私は薬指に好きな人との繋がりを連想し、特別な意味合い感じてしまう。 そんな薬指の先を失ってしまった主人公が、偶然見つけた標本室で働くところから物語は動き出す。 無かったことにはしたくはないけれど、心の奥にそっとしまっておきたい出来事や思い出。少なからず、人は1つくらいはそう言うものを抱えていると思う。 辛い出来事、懐かしい思い出、かつて愛していたものや人。 良い思い出も、悪い思い出も、今を生きるのには少し遠ざけておきたい、ということがある。 それらを標本にしてくれる標本室。標本にすることで、永遠に保存される。 一方で自分のお気に入りのものを、わざわざ標本にして永遠にそばに置いておきたい欲求が生まれることもある。 標本技術士の弟子丸氏に、誘導されるように心を奪われ、主人公がする決断。それは、主人公の前に標本室に勤めていた人達や火傷した少女の行方を考えると、暗に明示されている。 人は愛おしい何かを見つけた時、それを自分の手元に置いておきたいと思うことがある。 人は愛する人のためなら、命を捧げてもいいと思うこともある。 大事なものは心の中にあればいい、と言うのは簡単だ。でも、それにまつわる品物や音や景色に、心が大きく揺さぶられ、気持ちが左右されてしまうこともある。 心と五感と形あるもの。それは密接に関係している。 『六角形の小部屋』 なんだかモヤモヤするのにその原因が分からない。 好きなのに嫌い。嫌いなのに離れられない。 自分ではどうすることもできない感情が時に湧いてくることがある。 スポーツクラブで偶然見かけたミドリさんに惹かれ、社宅管理事務所に辿り着いた主人公。そこにあったのは六角柱のカタリコベヤだった。 自分に都合の悪いこと、自分に非があることが解っているとき、なんとなく素直に認められないことがある。それが相手に知れていないとなれば尚更のこと。 でもそれは、ゆっくりと自分の中に影を落とす。 自分と向き合うのが怖いから、人のせいにする。そして自分の非を、なかった事にする。すると、益々その影は大きくなり、やがて自分を苦しめる。 六角柱のカタリコベヤは教会の告解のようだ。聴いてくれる牧師さんは、そこに居ないけれど、声に出して自分の気持ちを話す。最初は何を話していいかも分からないのに、次第に言葉が溢れてくる。 そうして見つかった答え、モヤモヤの原因。 もっと話したい。そう思った時にカタリコベヤは消え去っていく。 でも、原因が分かれば、自ずと解決の道は開けてくる。 あとは自力で立ち直るしかない。 私が六角柱の小部屋に入ったなら、何を語るのだろう。 印象に残った一文 「あの時の感触ははっきり覚えているのに、感情はよみがえってこない」薬指の標本『六角形の小部屋』117頁 あの時の顔や表情はありありと思い浮かぶのに、感情は全く思い出せない。 なんてことがある。

    3
    投稿日: 2024.10.14
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    標本師と事務員が紡ぐ静かに降り積もる物語と語りの小部屋に通う彼女の話。この小川さん特有の雰囲気が大好きで全てを受け入れられやんけどそれでも良いんじゃないかと思わせられるの凄い。そして小部屋は入ってみたくなる、きっと各々零れ落ちる想いがありそうで。

    2
    投稿日: 2024.09.09
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    今は無いものを描く作家小川洋子さんの名著。2つの中編はどちらも不思議な世界へと誘う。何でも標本にする弟子丸の仕事を手伝うことになった女性。 自分に向き合うため小さな部屋へと入る女性。どちらも吐き出したい思いを胸に抱え、ふとした瞬間に静かに決壊する。 静謐さを感じる物語だった。

    3
    投稿日: 2024.08.11
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    薄い文庫でしたが、物語が2つあり、 短い物語ながら、どちらも後をひくような印象。 『薬指の標本』 奇妙な恋愛感なのか束縛なのか。 結末は書かれてないので読者が想像するストーリー。 『六角形の小部屋』 何となく教会の懺悔室をイメージしてしまった。 こちらのが宗教的な感じが強く、日常にひっそり溶け込んでる感じが怖く印象に残った。

    6
    投稿日: 2024.07.22
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    静かで透明感があって どこか不穏な2つの物語でした。 心の拠り所と、依存。 宗教なのかと問われて違うと答える場面がありましたが ある人にとって救いであり、ある人にとっては気味の悪いものであると言う点では似ているのかなと思いました。

    1
    投稿日: 2024.07.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『薬指の標本』は不穏な終わり方をしていてゾクゾクしました。主人公にとっては弟子丸氏はとてもミステリアスで優しい人なのかもしれません。ただ、見方を変えれば弟子丸氏は何人もの女性を標本にした色魔にも思えてしまいます。

    1
    投稿日: 2024.07.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表題作に出てくる標本室は、標本を必要とする人たちに対する優しさや包容力のようなものを感じさせる。それなのに標本技術師の彼に、すべての自由を握られている感じがしてとても居心地が悪かった。自由に歩いていけるはずの靴が、縛り付けるための靴になっている。わたしはこの人のことを好きになれないなと思った。暴力的なものがひっそりと息を潜めているような気がしてならない。 『六角形の小部屋』は不思議な魅力があって、作品としてはこちらのほうが好みだった。これといった理由もなく恋人を嫌って憎んだ主人公の気持ちを、もっと聞いてみたかった。理由のあることばかりがすべてではないと思う。人が一人きりで自分のために語っているという特異さに惹かれた。語り小部屋にもし出会ったらわたしも入ってみたい。きっと語るべき何かが誰の内側にもあるのだと思う。

    0
    投稿日: 2024.06.19
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    表現がたまらなく好きで読む手が止まらなかった。2作とも取り憑かれたかのように人に吸い込まれていく主人公が印象的だった。もちろん私自身そんな思いを抱くような人や場所に出会ったことはないが、いくら危なっかしいとは言えそれも運命なのだろう。

    5
    投稿日: 2024.05.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『薬指の標本』 薬指の欠ける描写がグロテスクでありながら面白かった。サイダーが桃色に変わる。 きのこの標本の少女が成長して、今度は頬の火傷を標本に。標本技術士・弟子丸以外は踏み入れることの無い地下にある標本技術室にその女性も入り、標本にした模様。それに嫉妬する主人公。p73 亡くなった文鳥の標本を依頼しにきたおじいさんは50年靴磨きをやっていたために、恐ろしく足に馴染む革靴を見抜き、過去にみたそれは、兵士の義足用のものだったと語り、いっそその革靴を標本にしてはどうかね?というので話の結末として、標本にするのは薬指か、革靴か、の選択肢となった。 薬指なら弟子丸氏の地下に行き彼のものとなるし、革靴なら弟子丸氏と区切りを打つこととなり自由になる。 結局、題名通り薬指を選んで地下へ向かうのだが、その後どうなったかはわからない…という終わり方が良かった。 『六角形の小部屋』 小部屋に入れば誰にも聞かれず好きなだけ語れて、24時間あいているので思い立った時にサッといけて、あわよくば、雑談仲間でもできるようなそんな場所。私にもあったらなと思った。 長く小部屋にとどまると、神経のバランスにぶれが生じて困ったことになるという。p150 まぁそうだろうな。精神の安定として依存しすぎると、現実との区別がつかなくなりそうだ。 なので主人公がある時、転がりでるように小部屋から出た時には、「繊細な話をしたから…」ということから、これ以上は危険だと判断し、主人公が気絶するように眠り込んでいる間に撤収してしまうユズルさんとミドリさん。p172

    12
    投稿日: 2024.05.04
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    主人公の女性が弟子丸氏に惹かれ、底に落ちていくようなスピード感でページを捲る手が止まらなかった。【女性の危うさ】と言えば思春期時代の少女が思い浮かぶが、20代前半の思春期から成人への移行期間も、その時特有の危うさがあると思う。10代より客観的な視点を持っているが、意思決定にそれを用いられる程理性的でない。10代とは違い、保護者もなく自由の身で、行動力がある。ちょうど主人公と同年代である自分や周りの友人と重なるストーリーで恐怖すら感じながらも、文体の美しさに恍惚とさせられた。

    0
    投稿日: 2024.04.28
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    どんどんと、何かに取り込まれていき、進んでなくしていく。薬指だけでなく、ぴったりの靴にとりこまれる足や、主人公の理性もゆっくりと、尋常ならざる関係の中で取り込まれていく。薬指を捧げるのか、それとも薬指からみて身体を失くすことなのか、視点を変えると面白い

    0
    投稿日: 2024.04.23
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    どんどんと、何かに取り込まれていき、進んでなくしていく。薬指だけでなく、ぴったりの靴にとりこまれる足や、主人公の理性もゆっくりと、尋常ならざる関係の中で取り込まれていく。薬指を捧げるのか、それとも薬指からみて身体を失くすことなのか

    0
    投稿日: 2024.04.23
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    “世にも奇妙な物語”のような空気感を纏った、 美しくひんやりとした物語2篇。 物語の中では”奇妙さ”については 何も明かされない。 2つの物語の主人公は 時に安らぎも感じる奇妙さと佇まいに どんどん引き込まれていく。 語られないからこそ引き立つ魅力、 というのは往々にしてあるだろう。 それを取り巻く小川さんの品のある言葉選びが 我々もどんどん世間から引き離していく。 いつも小川さんの小説を読んでいると世界が無音になっていく。 弟子丸さんにとっての靴はどういう意味を含んでいたんだろう。

    1
    投稿日: 2024.04.06
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    夢のような、おとぎ話のような不思議な雰囲気。静かな空気感の中、現実と幻想が入り混じる。そして、怖い。 薬指を欠損したわたしは、仕事を探すうちに不思議な標本室に出会う。依頼された物はなんでも標本にできるという弟子丸氏。イメージでしかない物、思い出も全てだ。その標本室で働く事になったわたしは、弟子丸氏と次第に親しくなっていく。ある日、彼にプレゼントされた靴を履くと、あまりにも足にピッタリで同化する感覚になる。わたしも特別な何かを彼に標本にして欲しいと願うようになり…。  何となく、行ってはダメ、これ以上はいけないと読み手の中に危険信号が灯る。小川洋子さんの淫靡な世界。淫らだけど、品がある。 童謡の「赤い靴」を思い出した。 こんな世界に溺れてみたいとも思う。現実と夢の境界線。もう2度と出てこれなくてもそれはそれで本望だ。あちらの世界も良いかもしれない。

    28
    投稿日: 2024.03.29
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    サイダー工場で薬指の一部が欠けてしまった女性の、依頼人から預かったどんなものでも標本にするという新しい職場での体験を描いた表題作と、六角柱の告白部屋で自分と元彼氏との関係を見つめなおす女性を描いた二本の短編を収録。 どこか不思議な作品世界の中で、自分の体や心の境界を探してみたり、もてあそんでみたり。それは周囲の人との関係も同じであり、その中で主人公たちは自分と周囲の境目を溶かしたり、際立たせたりしてくれる存在に惹かれて行く。この営みは自分探しであり、また自分では見えない姿を示唆してくれるもののように思えた。

    0
    投稿日: 2024.03.17
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    知らず知らずのうちに精神を縛られる、支配される、そして支配されたいと願う… 物語全体がに薄暗い弱い青色が漂っている感じがした。 六角形の小部屋も、標本室も、それを望む人だけが自然にありかを知り吸い寄せられていく雰囲気が共通していた。

    4
    投稿日: 2024.03.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何かに束縛されたままでいたい、それが落ち着くという気持ちはわからなくもないけど、自由がまったく無いのもつまらないんじゃないかな?とも思ったり。主人公は最後部屋から出て来ないままになるんだろうな… 音楽を標本にしてもらうシーンがよかったです。

    0
    投稿日: 2024.02.26
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    大学の授業で扱った1冊。『薬指の標本』がいいな。小川洋子の作品には、身体の一部が欠如していたり、どこかを病んでいたりする女性が多く出てくることは言うまでもないけれど、これもそのひとつ。切り取られた自分の薬指が、ぷかぷかとサイダーの中に浮いている、みたいなことを主人公が想像する場面があり、私はそこが大好き。

    1
    投稿日: 2024.02.17
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    惹かれた人に身も心も支配されたいと思う主人公の、⁡ ⁡大人のような少女のような感情に 淡々と流れる物語が混ざりあって時折り背中がぞっとします。⁡ ⁡ ⁡⁡2篇どちらも、想いや思い出、記憶、物体、身体、 ⁡とにかく何かを封じ込めるお話しでした。⁡ ⁡封じ込めた後に残るのは、満足感か喪失感か⁡ ⁡はたまた別の、もっと歪な感情なのか…。⁡⁡ ⁡⁡ タイトルの方のお話はなんと、⁡⁡ ⁡フランス映画で映画化されている作品なんだとか⁡。⁡⁡ ⁡非常に気になります…。 ⁡ 静かで美しく絶妙なエロスが漂う芸術的な1冊でした。

    2
    投稿日: 2024.02.05
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    二篇とも小川洋子さんらしい作品。 楽譜に書かれた音や火傷の傷跡など思い出の品を標本にするお話しと、六角形のカタコベヤのお話し。 静かなトーンで粛々と語られていく感じの物語でした。

    19
    投稿日: 2024.01.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    独特な冷たさと静けさ、不思議な時間の進み方と温度感で最初のページからかなり惹き込まれている。楽しい ただ突然 弟子丸氏がDV男のような危うさと冷徹さを身にまとい優しく甘い雰囲気を醸し出すからその瞬間物語の時間軸に歪みが生じる。それもまた不思議で楽しい 結局最後まで標本技術室の中も火傷の少女の行方も” 私 “のことも、何も明確に明かされはしなかった 小川さんの特徴なのかもしれないけど、どうなるんだろう…という気持ちが行き場を無くしてその場に置いていかれるような終わりが多い気がする。 不思議すぎて、よく分からなくて、でも好きな世界観だったから楽しかったことだけは覚えているようなそんな曖昧な感じ 前事務の人も、靴しかり弟子丸氏しかり、 その魅力に取り憑かれて自ら標本になってしまったのだろうか

    0
    投稿日: 2024.01.14
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    静かで暗くて狭い物語。だけど息苦しくなくて、解き放たれるような。わたしの標本は、18歳の時の友達との痛い思い出かなあ。

    0
    投稿日: 2024.01.07
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    小川洋子さんの本は読む度にその情景描写の美しさにうっとりしてしまう。 欠けた指が「薬指」であることは、2人の恋愛を語る上で意味を持つ…ような気がするが、まだ私には分からない。人生経験が足りない。これからも小川洋子さんの本は読み続けたい。 余談になるが、個人的に、小川洋子さんと川上未映子さんが情景描写では頭1つ抜けている印象がある。 何気ない場面を何故こうも詳しく、しかし美しくイメージしやすく説明できるのか不思議。 言葉だけでこんな気持ちにさせてくれるなんて、やっぱ作家さんて凄いですよね。

    0
    投稿日: 2024.01.03
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    二篇とも甲乙付け難い。 消えていく身体、物体。 それは喪失ではなく新たな創出。 狭い空間。 それは無限の世界に思いを馳せる場所。 正に小川ワールドの真骨頂。 読後、自分の普通の生活もあれこれ疑いながら過ごしてしまう。

    0
    投稿日: 2024.01.01
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    自分が標本として手放したいものはなんだろう?カタリコベヤで吐き出したい言葉はなんだろう?と問いかけ、考えさせてくれた。 でもいくら考えてもしっくりくる答えがみつからない。

    0
    投稿日: 2023.11.20
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    境界線が曖昧になり、現実とフィクションが入り交じったかのように感じる雰囲気が好きでした。不思議な感覚と、誰かが見た一夜限りの夢のような不明瞭な美しさ。引き込まれました。わからないままで終わったこともあり続きが気になりましたが、きっと書かれていないからこそ、この世界観が成立するのだと思います。サイダーを見ると薬指を思い浮かべてしまいそうです。

    0
    投稿日: 2023.11.20
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    文化研究序説という授業のおすすめ作品として紹介されていたので。以前から気になっていたというのもある。 どちらの話も静謐な感じで、ひんやりとしていて、読んでいて緊張した。それでいて美しかった。 弟子丸のこと、最初はかっこいいかもって思っていたけど、気持ち悪さが露呈してきて引いた。支配を望む主人公にも。 やっぱり人から必要とされることは、たまらなく快楽に近いのかもしれない。自分を求めてくれる人の支配下にいたい。そんな感じなんだろうか。 ラストで主人公は結局どうなってしまったのか。 考えさせられるラストが良かった。 六角形の小部屋は、なんだろう、人が耐え難い過去を乗り越えていく話なのかな。 主人公の話す「運命とは」という考え方にとても共感してしまった。近頃私も同じようなことを考えていたのだ。 自分にも、ユズルさんや、ミドリさんのような人がいれば、六角形の小部屋があれば、何を話すだろう。

    0
    投稿日: 2023.11.07
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    「薬指の標本」と「六角形の小部屋」の中編二作を収める。「薬指の標本」は、標本室という奇妙な職場が舞台で、火傷の痕や音楽まで標本にする中、わたし」は自分の薬指を標本にしようとする。「六角形の小部屋」には、一人で入って何かを語る六角形の語り小部屋が登場する。やがて「わたし」はその魅力に惹かれてゆく。不思議な秘めやかさと静けさに満ちた小説。

    0
    投稿日: 2023.10.21
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    小川洋子作品は何作か読んだことありますが、大まかに分けた二つの小川洋子の世界を象徴するような2篇だった。六角形の小部屋、噛み締める好きさ。

    0
    投稿日: 2023.10.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分の記憶、根底にあるものを分離し、保存する標本。自分のことをただ語る六角形の小部屋。どちらも自分と向き合う話だと感じた。 薬指の一部が無くなって、残った薬指を標本にしてもらうよう頼むラストは、左手の薬指という象徴的な意味も含めて、恋する相手に全てを委ねて自分を自分から分離してしまうようなそんな感じもした。

    0
    投稿日: 2023.08.15
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    最初から最後まで、不思議な小説だと感じました。 音や、きのこや、骨や、傷が標本になり、その一方で靴は脚にぴったり馴染みました。

    0
    投稿日: 2023.08.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    またまた小川作品ぽい。過去体の一部(薬指の先っぽ)をなくした女が、その薬指(または自分ごと)標本にしてもらう話。 もうひとつの方は語り小部屋という小さな六角形の部屋で婚約しかけていた彼との話を語る。 短編である分話が読みづらく、なかなか良い評価とはならなかった。

    0
    投稿日: 2023.08.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    薬指の標本 何かとんでもないものを読んだ、そんな気持ちにさせられた。欠けた薬指、標本室、亡くなったピアノを弾くおばあさん、弟子丸氏がくれた黒い靴、全て何かのメタファーなような気がするけどうっすらとしかわからない。でもこの霧がかかった雰囲気がたまらなく魅力的だ。 六角形の小部屋 地味で従順に見えた中年女性にへ秘密があった。彼女はただの地味で従順な中年女性ではなかった。 いや、そもそも"ただの地味で従順な中年女性"なんていないのかもしれない。六角形の小部屋の前では傲慢な女性の方が格下のように見える。場所さえ変われば人の立場なんてすぐ変わる。自分が見えている世界はただのほんの一面でしかない。

    0
    投稿日: 2023.07.28
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    「薬指の標本」と「六角形の小部屋」。どちらも水晶のように透き通った文体で生々しさこそ無いが、重たくて目を背けたいものがしっとりと染み込んでくるような気がする。密やかなおとぎ話のような二篇だった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡……。人々が思い出の品々を持ち込む〔標本室〕で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは……。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。

    0
    投稿日: 2023.07.18
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    すっきりとしたようなしなかったような、でも余韻に浸れる、読んだ後もその本の世界にしばらくいることができるような話だった。

    0
    投稿日: 2023.07.16
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    純度が高い綺麗さ故の怖さがあった。 限られた頁の中に詰め込まれた言葉たちに、身体の内側から冷やされていくような… ふたつ(2篇)の不思議な世界、見ていけないものを見てしまったような気持ちになった。

    7
    投稿日: 2023.06.03
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    依頼されたものは何でも標本にしてくれるという「標本室」に勤める女性の話。 読み終わったときの感想は、一言でいうと「気持ち悪い……」でした。 誤解を生むと思うので補足すると、話としてはとても面白く、何が起きるんだろうと一気に読みました。 短いけれど小川ワールド全開の作品で、不思議な世界に浸りたい人にはぜひおすすめです。

    2
    投稿日: 2023.05.13
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    すごく失礼な言い方をすると、依存性の高い女の人のお話 ただ女性から見える景色は多分綺麗だったんだろうな〜って。自分自身危険なことだったり、まずいなって思うと身を引くタイプだからこういう視点、考えは面白いなって思いました。

    2
    投稿日: 2023.05.09
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    不思議な物語。何でも標本にする研究所というか、施設?というか。そこが舞台。 色んなものを持ち込んできて標本を作って欲しいと頼むお客さんも、面白い感じの人たち。 没頭するような面白さではないけれど、何となく続きを読んでしまいたくなる物語だった。

    1
    投稿日: 2023.04.17
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    小川洋子の世界ってとっても不思議、現実の顔して全く異世界、それに浸って不思議な気持ちになりたくてふと味わいたくて話を忘れた頃に読み返す、田舎の忘れ去れらているような誰一人いない小さい映画館にぽつんといるような 薬指以上に六角形の部屋を読んでしまうともう戻れない感覚 今年度からちゃんと読んだ本を記録していきたい所存です、続くかわからんけど

    0
    投稿日: 2023.04.04
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    文章の美しさとか、ストーリーの儚さがものすごく好みで、読後ずっと頭の中で反芻していたい。頭の中がこの物語でぼんやりと満たされているのが快感。私の読書の1番の目的である「陶酔」が思う存分味わえる。

    5
    投稿日: 2023.03.24
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    小川ワールドがぎゅっと詰め込まれた中編2作。ひんやりとした温度を常に感じながら読んだ。 表題作の主人公は好きな人からの支配を望んでいるような、標本のようにどじ込められたい…そんな空気を感じた。 2作目の「六角形の小部屋」の方が好みでした。

    1
    投稿日: 2023.03.21
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    「猫を抱いて像と泳ぐ」の読後、 小川洋子さんの魅力にもう少し浸りたいと思って こちらの本に辿り着きました。 静謐で、艶やかで、美しい世界。 奇妙にも思えるひとつひとつが繊細に紡がれて 気付いたら包み込まれていた。 また読みたい文章。

    0
    投稿日: 2023.02.23
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    薬指の標本 小川洋子 21歳の女性。彼女は元々工場で勤務していたが機械に挟まれ薬指の肉を欠損する事故にあった。それがきっかけで退職し彼女が新しく勤務を始めた先は、標本室。 標本室では訪問者が持参したものを標本として作成し、それを保管している。標本室には標本作成技師として弟子丸氏という男が独り働いている。彼女はそこで事務員として訪問者の受付や標本の登録などの業務を行うことになった。 彼女が勤務を始めて1年がたった頃、弟子丸に現在は誰にも使用されていない地下の浴場に連れていかれた。そこで弟子丸は彼女に黒い革靴をプレゼントした。そして毎日この靴を履いてくるよう彼女に伝えた。それから勤務後に弟子丸と彼女は浴場でデートを日々繰り返すようになる。 ある日、頬に火傷を負った少女が火傷を標本にしてほしいと訪ねてきた。弟子丸は受付に彼女を残し少女を自分の標本作成室に連れていった。 標本作成室には弟子丸しか入ることが許されておらず彼女は一度も入室したことがなかった。少女と弟子丸の様子が気になり夜まで聞き耳を立てたが何もなく、翌朝出勤した際には少女が出入りした痕跡はなかった。 弟子丸に火傷を負った少女の標本の有りかを尋ねると、通常の標本管理室ではなく標本作成室に保存していると答えた。なぜ標本作成室なのか理由を尋ねると標本対象が身体のためだと言う。 そして彼女は標本作成の書類に記入を始める。 対象欄には薬指と記入して。 本書のなかで標本とは、悲しみや慈しみなどの感情を閉じ込めることができるとされている。 自分が標本にしてほしいものは何だろうか?

    0
    投稿日: 2023.02.15
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    薬指の標本、とても引き込まれました。弟子丸に感じる違和感と主人公の依存性がなんとも言い難い関係だったので。

    0
    投稿日: 2023.02.09
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    ◯お嬢さんの足は、もうほとんど靴に飲み込まれる寸前だよ。(93p) ◯自分の足で心の奥底へ降りてゆく意志が大事なのだと感じるだけてす。(191p) ◯思い出せるのは声だけです。古い楽器の弦をこするような、足元に降り積もってゆくような声です。(196p) ★表題作「薬指の標本」と「六角形の小部屋」の二篇を収録。2作品とも良かった。 ★わからないことだらけで不安だが依存してしまう寂しさを感じて、胸がざわざわする小説でした。きっといつまでも記憶に残るのだと思います。

    3
    投稿日: 2023.02.01
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    小川洋子作品っていっっちゃん好きなやつ。 なんかさぁ、エチいよね。いや、なんらかの描写がある訳ではないですよ。フェチってこういうことよなぁと思う。静謐で丁寧な中にそれらを汚さないままにエチさがある。 人は皆こういうフェチひとつやふたつはあると思うからこれを読んだ上でフェチを語り合いたいわね。 蛇足だけどわたしは他人にメイクを施している時にフェチに近いエチさを感じる。あんなに他人の顔をじっくり見ることないじゃないですか。しかもメイクされてる方は無防備に身体を預けている訳で。

    1
    投稿日: 2023.01.29
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    解説に書かれていましたが、薬指をイメージすると残りの身体が消えています。 全てがはっきりと明示されていないこともあり、20年後再読したらもっと理解できるのではないかと感じました。 「自分の足で心の奥底へ降りてゆく意志が大事なのだと感じるだけです。」

    7
    投稿日: 2023.01.14
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    愛…そんな安っぽい言葉では言い表せない、心の奥深くにある感情というのか。 なんと表現していいんだろう。 甘美で妖しくもあり仄暗い不思議な世界観でした。 他の著書も読んでみたいと思わせる作品で、ハマりそうな予感。 「偶然と運命は反対語でしょうか。ちょっとした偶然がきっかけになって、運命が大きく変わる、という話はよく聞きます。」 人との出会いで、その通りだと思います。 ある人と出会ったことで生きる方向が変わる。出会いは偶然でも、その方向は運命で決まっていたのだと。

    0
    投稿日: 2023.01.04
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    読んでいるうちに自分の心の深淵を覗き込んでいるような気持ちになった。 「薬指の標本」、主人公はとても落ち着いていて達観しているようだけど、若くて幼い女性が悪い恋愛によって静かに道を踏み外していくように感じられた。離れられなくなることは幸せなことなのかな。自分の一部を失った彼女が、喪失感とさみしさにつけ込まれてからめとられていったように思えた。若いときの恋愛がぐらりと頭をかすめた。

    0
    投稿日: 2022.12.12
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    過去の出来事や想いを「標本」として保存してくれる不思議な標本室と描く表題作と、同じく過去や想いを語ることにより訣別する語りの小部屋を描く『六角形の小部屋』の二篇。 物質化することと言語化すること。 消えるものと残るもの。 隠微で透明感ある雰囲気が引力あって良い。

    0
    投稿日: 2022.12.04
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    あなたは標本にしたいものはありますか? 標本にしたいものが何か、ではなく、標本にしたいものはあるかを問いたい。 私は今作を読んでも標本したいものが思い浮かばなかったからだ。 私は標本と聞いて真っ先に思い浮かぶのはピンにささった昆虫やホルマリン漬けだった。学生の頃何度も機会があったのに、死を目の当たりにしているようで怖さが勝ち、直視出来なかった。理科室で見たあの標本たちは一体いつからあそこにいて、何人の目に触れられてきたのだろう。 ここでは標本作成室の様子は一文も出てこない。 標本作成の受付をする一人の女性からの目線で話は進んでいく。彼女もまた、標本作成室の様子を知らない。 ただただ標本を求めてやってくる人たちの話を聞き、受付をし、標本技師である弟子丸に引き継ぐ。 彼女の仕事内容はそれだけ。しかし標本を求めるような人たちはそれなりに訳ありのようで、退屈ではないと。 一体弟子丸は何を彼女に求め、彼女は弟子丸に何を認めてほしくて2人はあの建物に居続けたのだろう。 愛 が最大のテーマなのかもしれないが、私には少し難しかった。標本、という刺激が強かったのかもしれない。 いろんな本を読んで、恋愛をして、もっと大人になってからまた読み返したら違う景色を教えてくれそう。 ありそうでない、ないようでありそうな世界。

    6
    投稿日: 2022.11.19
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    小川洋子の世界観、描写の美しさにどっぷり浸かれる作品。消失の美学。この喧騒に溢れた世界の何処かに、こんな穏やかに時が流れる空感が実在していたら、それはどんなに素敵なことだろうと思う。

    1
    投稿日: 2022.10.29
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    標本室も、六角形の小部屋も、吉祥寺の住宅街にある。と思った。 私以外のこの本を読んだ誰かもきっとこれらがある、街を知っているんだろう。 実際に出会う悪い人って、外からは怖い人ってわからない。実際に話しても怖い人って気づくことができない。もしかして、と気づきかけたところでどうやって逃げたらいいのかなんで逃げなきゃいけないのか全然わからなくなる。 悪い人、という言い方さえ間違っているのかもしれない。 読後もまだ後ろに立たれているような、怖いようで何も考えたくなくなるような。 そういう気持ちになった。

    0
    投稿日: 2022.10.10
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    ふたつの短編で構成されている。 思いがけず標本室の受付係へ転職した主人公。そこでは依頼主の要望により、あらゆるものを標本として閉じ込める。文鳥の骨や楽譜に記された音、頬の火傷跡さえも。そして主人公は自分の不完全な薬指を標本にしてもらうべく、雇用者であり標本技師の仕事部屋につづく廊下を歩くのであった。 もう一つ。スポーツジムで何となく目に付いた老婦人。ある日のスーパーで偶然彼女を見かけて後を追う主人公。あえなく尾行が見つかって、彼女と彼女の息子が運営する六角形の小部屋に招かれるのであった。その小部屋は独り言をいうための部屋、その名もカタリコベヤ。今日も様々な人がその小部屋に入っていく。 両方の物語で、それぞれ主人公と恋人との関係を描いているものの、その関係は対照的。けれど、世界観はどちらも少し不思議ですごくぞわぞわする。 上手に感想をまとめることができないけど、とても面白かった。

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    投稿日: 2022.10.08
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    ふたつの不思議な場所の話。 どこにも行けない思いを、どうにかする場所の話。 とにかくずっと、ことばがきれいで、 この本を標本にしてずっと眺めておきたいくらいだった。 ひとつひとつの言葉が、耳にぽてんとおっこちてきて、しゅわーと身体の中にはいっていく、そんな感じ。 読後感が、今までにあまりないようなもの、 ふわっとした、終わりの曖昧な本は、あんまり好きじゃないけれど、この本は好きだ。

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    投稿日: 2022.07.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    消えそうで、有る。無いようで、有る。有るようで、無い。何も無いことが、そこに有る、ことを表すこともあるのかもしれない。

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    投稿日: 2022.07.25