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八甲田山死の彷徨
八甲田山死の彷徨
新田次郎/新潮社
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総合評価

244件)
4.3
94
97
34
0
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    会社からリーダー研修の課題として読んだ本。確かにこういう場面社内であるよな、自分だったらどうするべきか?と考えつつも当時の時代背景を鑑みると神田大尉に同情してしまう。

    0
    投稿日: 2025.12.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    八甲田山での訓練時に起きた遭難事件。訓練と言うより、あいまいな目的で行われた人体実験だ。死を目前にして発狂した軍人たちが次々と川に飛び込むシーンはかなり痛ましい。 書き口はシンプルで、どんどん読める。私は好きだ。 以下、本の感想ではないが、読んでいて思い出したことなど。 小学生の頃、新田次郎の『強力伝』を読んだ。母親が図書館で借りてきて、しきりに勧められて読んだのだった。富士山の観測隊が一人残らず死ぬ話は、幼い私の心に衝撃を与え、「新田次郎はヤバい」という思い出を心の片隅に刻みつけた。「殉職」という言葉を知ったのもこの本だった。 この衝撃は、恐怖と好奇心の両方を掻き立てるものだった。『八甲田山死の彷徨』が新田次郎の著作であると知ってから、私はずっと気になっていた。しかし怖くて読めなかった。活字から放たれるあの冷たさを思い出すと、手に取るにも勇気が必要だった。 それをこうして今読み終わったというのは、個人的に感慨深いものがある。 最近は風邪で体調を崩していたので、暑いとか寒いとか喉が痛いとかを、普段より過剰に感じながらこの本を読んだ。あぁ、自分には身体があるのかと、そして神田大尉たちはこの身体が動かなくなったのかと、自分の物理的な存在を強く感じることとなった。 風邪引いて苦しいけど、自分の身体は生きていたいんだなと思うと、自分が少し愛おしく思える。私にはそれがありがたかった。 読んでよかったなと思う。

    2
    投稿日: 2025.12.02
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    日本史に残る有名な事件をモデルに 二つの隊の行動を対比させながら進む物語 軍の幹部や文化が、とダメ出しで終わるのではなく 明暗を分けた行動・心理が忠実に描かれていて 現代社会でも通用する有益な示唆を得られました。

    21
    投稿日: 2025.11.24
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    こんな痛ましい出来事を一言で表現するのは心許ないが、要は「始まりは忖度、終わりは曖昧」の日本の闇の縮図そのものではないか。責任曖昧論というと太平洋戦争や現代の政治家スキャンダルばかりが脚光を浴びるが、すでにこの時代にも有ったことを忘れないようにしたい。それこそ当時の犠牲者へのレクイエムになると確信する。

    2
    投稿日: 2025.11.22
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    神田部隊と徳島部隊を比較して指揮官のあり方について言及して書かれている。神田部隊最大の不幸は山田少佐の行軍参加だろう。これにより自ら指揮する権限がなくなった。一方徳島部隊は徳島大尉の念密な計画と権限を掌握したことで成功した。 山田少佐の気まぐれ判断で部隊は混乱し全滅したのは気の毒という一言ではすまない。神田大尉は山田少佐に恨みも怒りもなかったのは象徴的だった。 山田少佐が、もしいっさいを自分に任せていてくれたら、指揮権を奪うようなことをしなかったら、このようなことにはならなかったかもしれない。しかし、今となっては繰り言でしかない。自分へ雪中行軍の計画者なのだ。(P210) 私なら「山田お前のせいで全滅しただろう!」と言って、ぶん殴っているだろう。部隊が全滅するかもしれないのに果たして神田大尉は山田少佐の言うことを従順に聞いていたのは疑問も残る。年上や上官の指示を絶対視しすぎてしまうのが日本の悪いところだと思う(上司の指示に歯向かえという意味ではない)。何でもかんでも盲目的に従うのはいかがなものかということだ。自らから学んだり思索を深めることで正しい判断は見えてくる。

    1
    投稿日: 2025.10.28
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    映画に感化されて八甲田山観光、その前に予習。 よかった!おそろしかった! 映画を見ているので、雪地獄がビジュアルで浮かぶ。 映画と違い、徳島隊が三本木にたどり着くまでの過酷な道のりを示し、神田隊が来ていないことを知りぞっとする。そして死へ行進が幕を開ける…素晴らしい構成で、青森隊出立からは最後まで止まらない勢い。 1番のハイライトはさわの道案内。吹雪にもかかわらず、ワクワクするような爽やかで明るい行軍となった。 日露戦争に向けた、当時の空気をひしひしと感じる。たかだか数十年前に誕生し、急速に力を持った支配階級・軍人を、市井の人々はどう見ていたのか。 最後の立川中将の「軍兵増強と知名度を勝ち得た五連隊の勝ち」判定には甚だ遺憾ではあるが、「両方が勝つ戦争というのはがあるのですか」は日露戦争を思わせて興味深い。日本は勝ったが得るものがなく、好戦の道へ突き進んだ。ロシアは負けたが、この戦争はむしろ革命を後押ししたかもしれない。 最もこれだけの犠牲を出して雪山の恐ろしさを知り、せっかく生存した頑健で有能な将兵たちを失なってまで臨んだのだから勝てないと報われなかったが… 映画ならではのドラマチックな脚色も良かったと振り返って思う。 筆者の思惑通り健さんを通した『徳島大尉』は極限まで美化され、第三十一連隊ここにありと八甲田踏破をアピール。小難しくなる銃の話など後日談はカット。可哀想だけど案内人の受難もカット。神田大尉は若く立場の弱さを強調し、顔を観るだけで苦味がするような三國の山田大佐とキャラクターの凹凸をはっきり。田茂木野での、遺体となった神田大尉との再会。厳冬の雪地獄の合間に、幻覚として美しく優しい秋までの八甲田をはさむ。 というか1世紀前にはこんな過酷な行軍をやってのける軍隊という組織があったなんて。現代、同じような環境に置かれてどれだけの人がチーム行動を保てるのか…?無謀と盲信ではあるけれど、軍という不思議な強制力と信頼を生む組織への興味が湧く。

    0
    投稿日: 2025.09.30
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    難しいのかなと思ってたけど読み始めたら面白すぎた 面白い…と言って良いのかわからないけど。 今は「なんでそんなことするんだよ、普通に考えたらわかるだろ」みたいなことも、それは先人たちのトライアンドエラーで作り上げられた尊い常識なんですよね。 でもやっぱり日本軍の縦社会、精神力崇拝文化ダメすぎ 生き残った者はほとんど日露戦争で死に、つまり死ぬのがちょっと早かったか遅かったかの差だけだった、っていうのがやるせないですね

    0
    投稿日: 2025.09.27
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    初秋、雨が時折降る曇天、適温の週末に一気読み。それに相応しい1日だった。 これは、静かに読む環境が必要だった。 将の器。リーダーは1人ではならぬ。 生き延びるために必要な準備。準備が結果を決める。 極限の状態下も、想像力と事前の準備、そのときに向けた対策がものをいう。 人として見失ってはいけないこと。 将、リーダー、組織を率いるものとしての資質と行動。人を巻き込み、味方につけるためには、何が必要か。 読んでて、息苦しい。。

    0
    投稿日: 2025.09.20
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    200名近い犠牲者を出した旧帝国陸軍青森部隊の雪中行軍。長らくタブーだった事件に切り込んだ、丁寧な取材に基づく小説。「失敗の本質」などでも散々書かれている、リーダーの資質、準備不足、事なかれ主義、油断、責任放棄など、ダメな組織、ダメなリーダーの特徴みたいなものが随所に現れる。ダメなリーダーのおかげで亡くなるのは下々のものであり、これは現代でも同じ。現在、現地には慰霊塔が立っているのだが、これも階級ごとに造りが異なるという。こういうところからも、学んでいかなければならない。

    1
    投稿日: 2025.07.28
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    日露戦争前夜の日本陸軍雪中行軍訓練。 八甲田山という極限の寒冷地において 人体がどのような反応を示すのか、 怖い程に描かれている。

    1
    投稿日: 2025.07.28
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    小学生の頃だと思う 映画の八甲田山を観た 本を買った瞬間は気が付かなかったが 読む直前のふと思い出した 人がいっぱい死ぬ衝撃的な映画であり それこそ半世紀前のことなはら 薄ぼんやりと覚えている この何年か後に二百三高地を観るのだが なんとなく繋がっているし 悲惨な感じと無能な上官という設定が よく似た映画である 八甲田山は配信を探したがDVDしか見つからず。

    0
    投稿日: 2025.07.09
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    2025.7.7.読了 雪中行軍で起きた最大な惨事をとてもリアルに描写していて、その場にいるかのように感じた。

    0
    投稿日: 2025.07.07
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    会長と社長が好きな本ということで積ん読になっていたこちらをやっと読んだけど、人生で読んだ本ベスト3に入るくらいには面白かった。 過去にこんな事があったということを全く知らず、自分の知識を増やすことができたのもよかったけれど、敵を知ることや前準備がいかに重要かをこの本を読んで再認識出来て本当に為になった。 自信を持って人にすすめられる一冊でした。

    0
    投稿日: 2025.06.29
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    淡々と起こったことを書き連ねているだけなのに、冷たくない、むしろ熱をひしひし感じる不思議な文章。 この行軍に成功者はいないと感じた……ひたすらに虚しさと学びだけがある。

    0
    投稿日: 2025.05.19
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    実際に起きた明治の遭難事件を元に作者の新田氏が小説として描いているが、雪山という自然の中での行軍の様子、戦争で死が隣であった軍人たちでも狂ってしまう恐ろしさ、また軍人であるという精神や忍耐論の限界、階級社会の悪いところなどが詰め込まれておりあっという間に読破してしまいました。

    0
    投稿日: 2025.05.16
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    リーダーとはなんぞや、のヒントがないかと思って読み始めました。結果として、こんなに最適な本はなかったと思いました。読んだ後人生観が変わる。行動に移せればと思う。準備は大事。劣等感は持ちすぎると毒。 誰かにアドバイスされるより、過去にあった事件の本を読んだ方が納得できた。

    11
    投稿日: 2025.05.07
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    遭難した青森第5聯隊と、競わせる為に別の隊・弘前第31聯隊がいた事、第31聯隊は全行程の踏破に成功していた事は知らなかった。 その二つの隊の生死を分けたものは何だったのか。天候、隊を率いるリーダーのあり方、出自による差別意識など、色んな事が重なってしまったからか。 急激な天候の変化、前を行く人の姿も見えないくらいの猛吹雪の中、雪・風・闇・寒さ・空腹等と闘いながら行軍を続ける隊員たちの描写の切迫感は、実際にあった出来事というのも相まって凄まじいものがあった。

    1
    投稿日: 2025.03.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    めちゃくちゃ面白かった。すごく読みやすいし,必要な情報だけざくざく入ってくるというか。先に映画を見ていたので,キャスト表を片手に読み進めたのだけど,それがなくても苦なく読み進められた気もする。 悲劇すぎるのだが,同じようなことはいろんなところで行われてしまっているのではなかろうか,と思う。

    2
    投稿日: 2025.03.17
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    何とも救いようのない話だな。日露戦争になったらロシアの海軍が津軽海峡を封鎖するかもしれない。そうなったら、山間部を通って移動するしかなくなるから、冬の八甲田山を踏破する実験をする。その動機は、確かに国防を理由とするもので、だから簡単に非難する事はできないのだが。案内人を雇った徳島大尉の率いる少数精鋭の隊は踏破に成功し、案内人も拒んだ神田大尉の二百十人の隊は百九十九人の死者を出す始末となり。踏破に成功した徳島大尉も、日露戦争で戦死か。何ともやるせない。救いは、当時の新聞が事実をちゃんと報道した事だろうか。

    1
    投稿日: 2025.03.06
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    日露戦争前夜、雪中での行軍を想定した演習で発生した未曾有の大遭難という史実をベースとした作品。 「Wikipedia三大文学」の一角ということと、大まかなストーリーは知っていたのですが、実際に読んでみて圧倒されました。 一目で「あっ、この瞬間に歯車が狂ったな」と分かるシーンもあれば、「これ、最終的にどっちのチームが遭難するんだ…?」と感じてしまう不穏な描写が散りばめられており、サスペンス作品としても楽しめると思います。 また、演習とはいえ軍事行動における「英雄」という偶像についても考えさせられました。 この演習で生き残った人々のその後や、考え方によっては「本番」と言える日露戦争での結末を知ると…。

    1
    投稿日: 2025.03.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    元道民として冬の時期は「雪を舐めるな…」といつも言ってるけど、これを読んだらマジで雪はおっかねえと思った。中盤兵卒達が寒さで幻覚を見たり狂って凍った河に裸で飛び込む描写など文字通り寒気を感じた。自然の厳しさだけではなく、戦時中の階級差、そしてリーダーの在り方としても考えさせられる作品。仲間の屍を乗り越え生きて完踏した聯隊も日露戦争で戦死したというところに非情を感じた。骨太でこの作家のほかの作品を読みたくなった。

    2
    投稿日: 2025.02.23
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    岩井圭也さんの「完全なる白銀」を読んだ時 今年のネンイチニッタは八甲田山死の彷徨を再読に決まりました 雪山小説の最高峰は、まだ譲れない 1977年の映画と共に記憶に残る作品です 弘前歩兵第三十一連隊隊長徳島大尉が高倉健 青森歩兵第5連隊の神田大尉が北大路欣也 2隊の対比が物語の主体 時代は日露戦争前夜(1902年) 日露が戦争状態となった場合の八甲田山系雪山縦断の可能性の模索 遭難事故については いろいろなところで語られていますので多くの方がご存知かと思います 久しぶりに読んで 記憶と違ったところがいくつかありました  一つは小説は1971年の書き下ろしで遭難事故より時代がかなり経っていた事 一つは 新田次郎の冷静な文脈に引き込まれる事 ドラマティックな記憶は映画からかな 序章で当時の陸軍の組織的欠陥とも思える命令服従制度を 第一章雪地獄 第二章彷徨で 到底人間には対処できない雪山を 第三章奇跡の生還で 生還した者にとっても続く地獄を 終章の記憶は全くなかったのですが 雪山へ向かわせた本当の責任を語る師団長 どちらの隊も勝者であるとした結末 亡くなった方々の家族への対応と このあたりは新田さんの優しさなのか この事故を無駄にしないという配慮でまとめられます

    96
    投稿日: 2025.02.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    5連隊の話はYouTubeで見て知っていましたが、31連隊のことはこれを読んで初めて知った。結局雪山に入ってない人達が勝っただ負けただ言ったり、遭難のきっかけを何度も作った人が一番大きな銅像建てられてたり、読み終えたときは渋い顔になってしまった。

    1
    投稿日: 2025.02.02
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    いつぶりか分からないほど期間を開けての再読。 5連隊の組織がなっていない事や寒さの中での彷徨ばかり覚えていて、31連隊の状況がここまで書かれているとは思ってなかった。 この両連隊の比較は、なるほど組織論・リーダー論として教材に使われるわけだ。 それにしても日本は世界の中でも豪雪だと言われるのが分かる作品だな。そして当時の軍部でも柔軟な組織があったのも驚いた。 段取り大事!組織の指揮命令系統大事!物事への柔軟な対応大事!

    1
    投稿日: 2025.01.14
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    日露戦争前夜の八甲田山での日本陸軍の遭難事件。あまりにも有名な事件だけれど、ほぼ全滅した連隊とは別に、無事生還した連隊があったことがどこまで世間に知られているのか。第五連隊の準備不足、指揮命令系統の混乱、組織論理の優越から来る非合理的な判断、劣等感から意見の飲み込みなど。現代社会において組織に生きる私たち自身も振り返るべき問いが多々ある。合理的な判断でないと思っているにも関わらず、それにいい諾々と従うことは逆に罪深い。 また生還した第三十一連隊の徳島大尉の平民への差別意識も甚だしく、加えて、軍隊が駐屯することになった村・集落の負担も相当なものだったろう。寒村で自らの食糧でさえままならないだろうに無理やり拠出されているわけで、かなりつらいものだったのではと想像される。 それにつけても、そもそも、なぜ真冬の青森県八甲田山に軍隊が行軍する必要があったのか。序章で第八師団参謀長の中林大佐の口から告げられる、その軽々しさたるや。こんな軽挙妄動のために何人、何千人の人生を狂わせることになったのか。 組織の上に立つ人は必ず読むべき作品。

    7
    投稿日: 2025.01.03
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    寒く辛い描写を期待して読んだが、やはり新田文学定番の「嫌な奴」への怒りからの組織と時代へのやるせなさへと心が冷えていった。この大惨事は現代にも沢山の教訓を残す必読の書。

    0
    投稿日: 2024.12.30
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    有名な冬の八甲田山での冬季遭難事件を扱った本。 冬山の知識も経験もない上司の思いつきの行動、事前の知識と準備不足、もう全てフラグ立ちまくりで、読みながらクラクラしました。 これぞ日本陸軍の真髄!という感じですね。 本作品では、悲劇の青森第五連隊に対して、同時期に11日間の冬季訓練を無事に成し遂げた弘前第31連隊を対比しているので、より青森の部隊の上層部のダメダメさが際立ち、青森連隊の現場メンバーが可哀想でならないです。 ほんと、これぞ日本陸軍! 「悲劇」といわれる遭難でも、同じ時期にほぼ同条件で成功しているグループが存在することも多いんですよね。(例えばトムラウシの大量遭難とか) 後世の人間はそれを比較することで、よりよい方法を学ぶことができるんですが、教材にされる本人たちはたまったもんじゃないですよね。 ただ、弘前連隊もガイドの扱いが酷かったし(凍傷で一生苦しんだガイドもいた)、彼らも成功したものの、青森連隊の悲劇で全然注目されなかったし、誰も幸せにならない訓練でした。 以前、この遭難があったあたりに行きましたが、夏に行くと、気持ち良い山でした。

    2
    投稿日: 2024.12.15
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    1902年(明治35年)に発生した「八甲田山雪中行軍遭難事件」を題材にした作品。 本書がWikipedia三大文学と呼ばれていると知り、読んでみた。Wikipedia三大文学には、『死の貝』、以前読んだ『羆嵐』、そして本書『八甲田山死の彷徨』が含まれる。どれも実話を元にした壮絶なもの。「八甲田山雪中行軍遭難事件」のWikipedia記事は見たことがあり、どんな事件かは大まかに知っていた。だが、いざ読むとその凄惨な内容に恐ろしくなった。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E7%94%B2%E7%94%B0%E9%9B%AA%E4%B8%AD%E8%A1%8C%E8%BB%8D%E9%81%AD%E9%9B%A3%E4%BA%8B%E4%BB%B6 ------------------------------ ・事件の舞台は1902年の青森県。日本陸軍の第八師団第五聯隊が青森市街から八甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍で遭難し、数日に渡る彷徨の末に210名中199名が死亡した凄惨なもの。 ・厳冬の八甲田山の恐ろしさが生々しく描かれている。もしかすると、今までに見た様々な作品の雪山遭難の描写の元ネタはこの事件なのかもと思った。   - 寒さのために発狂し、服を脱ぎ捨て凍死してしまう(矛盾脱衣)。   - 「眠ったら死ぬぞ」の声掛け。   - 吹雪による視界不良で、誤った経路を辿ってしまう(リングワンダリング)。 ・全滅した第五聯隊の行軍経路を見てみると、距離としては大したことない。犠牲者の人たちは出発時には「今夜は目的地である田代温泉で一杯やろう」と軽く考えていた。それが数日に渡って食事も睡眠も満足に取れない中彷徨い歩き、殆どが死んでしまった。その対比が恐ろしい。 ・事件の舞台はどんなところなのだろうとGoogleマップを見てみると、「後藤伍長発見の地」、「平沢第一露営地」、「鳴沢第二露営地」、「中の森第三露営地」などの標識が設置されているのがわかる。未曾有の事件を風化させないための取り組みが感じられる。 ・事件当時は各地で史上最低気温が記録されるほどの悪天候だったとある。現在の日本の最低気温を調べると、1902年1月25日(事件と同日)に旭川で観測された-41℃と出た。この時の記録は100年以上経っても破られていない。 ・本作はノンフィクションと思っていたが、「史実を基にしたフィクション」らしい。雪中行軍に成功した徳島大尉と失敗した神田大尉の対比、神田大尉から指揮権を奪い結果的に遭難の原因のひとつになった(無能な上司のように描かれた)山田少佐。悲惨な事件を基にしているだけあって、本作がフィクションだということは頭に留めておきたい。

    5
    投稿日: 2024.12.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まさに対照的。 比較することでわかりやすく浮き彫りになるよね。 とはいえ終了後はどちらも暗い未来。 なんでそんなことなるかなってなる時代だったんだな。 神田、山田、両名は生きてたら どんな扱いを受けていたのか。どちらも恐ろしい。

    0
    投稿日: 2024.12.04
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    まず、ここまで克明にリアルな表現で書いてくださった著者新田氏に感謝したい。 この小説に出会わなければ、八甲田山の雪中行軍の悲劇をしらずに生きていただろう。 人間模様まで聡明にイメージできた。 新田氏、有難うございます。

    0
    投稿日: 2024.12.03
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    八甲田山雪中行軍遭難事故をモデルにした小説。 199名の死者が出た最悪の遭難事故。 あくまで小説なので、史実と違う部分もあるようですが、遭難シーンはとにかく壮絶で辛すぎる。 絶対雪山になんか入るものかと思った。 指揮系統の乱れや準備不足が大きなトラブルを引き起こすっていうのは、現代にも通ずるなぁ。 同時期に行軍を行い、成功した31聯隊がいたっていうのも初めて知った。 それにしても読んでてしんどかったー!!

    1
    投稿日: 2024.11.10
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    八甲田山遭難のあまりの過酷さに食い入るよう読みました。当時の粗末な装備と、知識や情報もない中のでの彷徨は考えるだけで恐ろしい。凍傷で服のボタンが外せずに用も足せず失禁した衣服が凍って凍え死ぬとか想像を絶する。

    9
    投稿日: 2024.11.06
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    小説とは言いつつも、史実に即した内容は興味深く読めた。 指示系統の曖昧さが起こす悲劇は、今の社会も変わらない気がする。

    0
    投稿日: 2024.10.31
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    引き込まれて一気に読了。空気で方針が決まって、曖昧な指示や体制で悲劇を引き起こし、その悲劇をまた解釈し、利用していく、、空気が支配する当時の日本陸軍や世論がこのような悲劇を生んだ構造がよくわかる

    0
    投稿日: 2024.09.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上下関係、キャリアと叩き上げ、事前の根回しの大切さ、生き残ってしまったが故に自決するしかなかった山田少佐、倉持見習士官が抱く疑念は伏線でも何でもなく単に民間人に対して横柄なだけだった徳島大尉、その徳島大尉も雪中行軍を見事完遂した英雄とはならず直後の日露戦争であっさり戦死してしまう、などなど。これだから現実は嫌だというノンフィクションならではの容赦なさ、身も蓋もなさ、後味の悪さ。でもだからこそ面白いんだよな、とも。

    0
    投稿日: 2024.07.18
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    極寒の中で飢えや発狂に苦しみ、次々と命を落とす。まさに悲劇だ。状況がどんどん悪化していく中で、次に何が起こるのか、どうすべきか。思わず息を止めて引き込まれてしまう。 この悲劇は組織の失敗によって招かれたものだ。指揮系統の乱れや情報の軽視、諫言を無視する風潮など、様々な組織の欠陥が大きな悲劇を招いた。 自らが悲劇の一端を担わないようにするためにも、歴史上の組織的失敗を学ぶことが必要だと感じた。

    9
    投稿日: 2024.06.04
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    「人の不幸は蜜の味」などというが、まあ読書好きなんて人種は下世話なもので様々なカタチの他人様の不幸を自室でゆったりまったりと楽しんでやろう、なんて連中ばかりである。そういう意味で本書はその不幸の度合いが桁違い。なんせ世界最大レベルの山岳遭難事故なのだから。 弘前歩兵第31連隊と青森歩兵第5連隊の並列構造で進んでいく物語が希望と絶望のグラデーションとなり、ぐいぐいと真冬の地獄のような八甲田山の中に引き込まれる。しかしこの本の最も重要な点は案内人の記述である。雪山行軍を成功させた第31連隊を英雄の如く描写し第5連隊をある種の反面教師化させれば簡単なのだが、本書は第31連隊を率いる徳島大尉の案内人に対する冷酷な扱いをしつこく何度も書いている。そこにははっきりとした批判的意図が見て取れる。生き残った軍人と死んだ軍人、それだけの話ではなく、軍人と民間人、そこにスポットを当てた作品でもあるのだ。私は増沢から田茂木野まで案内人を務めた7人にこそ最も感情移入をしてしまう。

    4
    投稿日: 2024.05.22
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    組織においてやってはいけないことはなにか リーダーにおいて大事なことはなにかを考えさせられました 組織の意識決定はどこにあって、仮に上司であったとしてもその決定は滅多な事では干渉してはいけないんだなと思いました また雪と冷えの恐ろしさの描写は強烈 恐怖を感じました 軍人の民間人に対する差別意識の描写もなかなかエグい いなければ遭難必至だった案内人も目的地の近くにつくと僅かばかりの金を握らせて最後尾に回すor放置するといった有様 怒りすら覚えました

    2
    投稿日: 2024.05.21
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    「坂の上の雲」を読んだときは明治はチャンスに満ちて明るい時代だったのかなと思ったけど、この本を読むとまた見方が変わる。今と比べて根性論の方が科学よりも優位で階級社会や差別意識が強く残っている世の中の窮屈さみたいなもの感じた。無謀に挑まされることを強いられて途方もなく辛い思いをして気が狂って苦しくも無惨に死ぬようなことは、自分はもちろん家族にも絶対に経験させたくないと思った。今の時代でよかったと思った。 それと、寒さとか辛さとか自然の恐怖とか理不尽さとか人間の愚かさとかいろんなものをたった300頁あまりの文庫本でリアルに想像し擬似体験できる読書という行為の奥深さを改めて実感した。

    0
    投稿日: 2024.05.08
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    何ですか、この既視感というか、無能さというか、自意識の欠如は。 うろ覚えの映画のイメージとはかけ離れていて、あまりに酷過ぎる話を濃厚に飲み込まされる。 色々な立場からの見方はあるんでしょうが、とにかくどんなことがあろうと謙虚さは不可欠ですなぁ。

    0
    投稿日: 2024.04.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1902年におきた八甲田雪中行軍遭難事件をモデルにした小説。 八甲田雪中行軍遭難事件とは、210人中199人が死ぬという、日本山岳史上最悪の遭難事故です。 遭難の描写は壮絶。 明治時代の日本軍の話なので、理不尽さも凄い。 吹雪の中、部下にラッパを吹かせるなど正気とは思えないですし、そのせいで唇が剥がれ凍死してしまった兵士が本当に可哀想です。 本作の主人公、神田大尉は、遭難中に現地解散を指示し、リーダーとしての責任を放棄してしまった人です。 しかし悪役には描かれていません。 責任は神田大尉が負っているのに、上官の山田少佐が同行し、あれこれ指示をだす。 平民出の引け目もあり山田少佐に逆らえず、次第に窮地に陥っていく。 読者が共感し、思わず同情してしまう人物像になっています。 平民から大尉の栄光を手にした神田大尉が、尽力虚しく無能指揮官の誹りを背負い死んでいく。  壮絶な遭難描写だけでなく、神田大尉の悲哀もこの小説の見所です。

    1
    投稿日: 2024.04.12
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    組織論やリスク管理などのビジネスの視点でも興味深い本でした。 参加者ほぼ全滅という結果になってしまった無謀な八甲田山の冬季軍事訓練。 メディアで見たことがある「ほぼ全滅」したのは青森の5聯隊であり、5聯隊と逆ルートで八甲田山越えを目指した弘前の31聯隊は「全員生還」したといいます。 この事実を知っている人は少ないのかもしれません。 最近読んでいた『ゴールデンカムイ』で、八甲田山の生存者といわれるアイヌの兵士が出てくるのですが、きっと31聯隊だったんだなあ... この本は、八甲田山越えを成功させた31聯隊のストーリーのあとに5聯隊が描かれており、いわゆる「成功と失敗」の対比のようでわかりやすかったです。とはいえ31聯隊の徳島大尉の傲慢とも思える行動に違和感を感じることもあり、成功と言われている31聯隊にも組織の体質など問題があることがわかります。 5聯隊は、読者としては結末を知っていることもあり、読んでいて感情を揺さぶられます。 この遭難事件の失敗の原因は複数あるけれど、どうしても感じてしまうのは階級型組織の闇。 『失敗の本質』を読んで、日本の組織の体質は現代にも色濃く残っていると感じましたが、それ以前に八甲田山の失敗は大東亜戦争で生かされなかったということに虚しさを感じてしまいました。

    8
    投稿日: 2024.03.21
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    淡々と事実だけを伝えるように、 極限の寒さと飢えとかつえとで屈強な隊員たちが狂い死んでいく様を記録していく異様な作風は、当時の小説業界にかなりの衝撃を与えたのだろうなと想像しながら読み進めた。 ただ、個人的な大失敗は、 本作の直前に小説版の神々の山嶺を読了してしまったこと。 もちろん、両作品の主軸となるべき点は大いに異なるため、比べること自体が無粋極まりないことは百も承知なのだが、 夢枕獏氏が描く雪山の壮麗さがあまりにもインパクト強く、 どうしても本作の淡々と記される雪山の描写が物足りなく映ってしまった。 今後は、少しでも舞台設定が似通った作品を立て続けに読む場合は、少し寝かせることを肝に置きたい。 自戒の念も込めての感想。

    1
    投稿日: 2023.09.22
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    図書館で見つけて一気に読んだ 人がバタバタ倒れてく描写が淡々としてるのが素敵で、それとは別にそれぞれに研究を課すのが人体実験なんだなと思わせてくる 最後小綺麗にまとめられたせいで小説と思い出してしまうのが個人的には少し残念

    1
    投稿日: 2023.09.04
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     青森旅行で八甲田山雪中行軍遭難資料館に寄ることになったので、その予習として読んだ本。資料館やその周辺に行った際、「あぁ、ここがあのシーンの場所かぁ」と感慨に浸ることができて、よかった。  雪山の進軍という異常な行為において露見する、階級社会や身分制度。成功・失敗という結果と、それによって得た成果。何が正しくて何が間違っていたかも、吹雪の中で見失ってしまう。分かりやすさのない、面白い小説だった。  また、私も少しだけ雪山登山の経験があり、雪山登山で必要な装備やノウハウ等は最低限備えている。そうした視点から見ると、壊滅した青森5聯隊の装備がいかに貧弱だかがひしひしと伝わってくるし、逆に言えば現代の装備があれば遭難なんてしなかったのかなとも思わないでもない。(まぁ進軍なんだから登山と比較してもしかたないのだが)  どんなに装備を固めても怖いものは怖い。まさに壮大な人体実験であり、頭の下がる思いがする。  青森の八甲田山雪中行軍遭難資料館の裏手には犠牲者のお墓が静かに並んでいるが、そこには軍隊という階級社会ならではの厳然たる階級の差があった。並び順であるとか、墓石の大きさであるとか。そんなところにも軍の規律的なものが入り込むのは現代に生きる私には理解が難しいけれど、現代的な価値観による安易な解釈を拒んでいるようにも見えた。 (これ、本の感想じゃないな……)

    1
    投稿日: 2023.08.10
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    面白かったけど、孤高の人の方が好きかな。長さの割に登場人物が多く、あれこの人既に出てたっけなという事が何回かあった。もう一回丁寧に読めばもっと楽しめるかも。

    3
    投稿日: 2023.06.02
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    新田次郎氏の特長が活かされたノンフィクションの傑作。雪中彷徨の表現の迫力に引き込まれた。事実と描写のマッチに圧倒された。

    0
    投稿日: 2023.05.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これまたトラウマ作品です。 極限の寒さと疲労のため精神に異常をきたして、吹雪のなか着ている服を脱いで裸になってそのまま凍死する兵士。 子供の頃、テレビで見たワンシーンが強烈でした。 小説では雪山と、それに翻弄されながら生死を分ける二つの部隊の描写は、気象学者でもある新田次郎でなければ書けなかったと思います。 組織の在り方とか、明治という時代の暗さとかいろいろ考えさせられる作品でした。 映画もちゃんと観ないといけないな。

    22
    投稿日: 2023.02.25
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    登山が趣味なので読んでみました。雪山の怖さも感じましたが1番印象に残っているのは男社会の組織です。縦社会、男のプライド、仲間。それを守るためならどんなに冷徹にもなれる男性社会そのものだと感じました。

    0
    投稿日: 2022.12.20
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    1902年、青森県十和田市で起きた世界最悪の山岳事故、当時の陸軍雪中行軍を描いた事実に基づいたフィクション。今では道路が通る峠道だけど、当時まだ道のない、ましてやヒートテックも無い時代の話しだから、当時の惨状が痛ましい。

    1
    投稿日: 2022.12.15
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    悲惨。明治時代の軍隊の雪山訓練で199名が遭難、死亡した話。遭難した第5連隊も悲惨だけど、第31連隊の案内人たちの扱いのひどさが哀れ。怖かった。

    3
    投稿日: 2022.11.13
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    日露戦争前に青森で起こった陸軍の大規模遭難の話。 遭難して極限状態まで衰弱すると、最後は手が動かなくなり用がたせなくなったり、発狂したり、雪山で遭難する悲惨さが描かれている。 組織における指揮系統の乱れ、危機管理の甘さ、根性論による状況判断ミスが大惨事を引き起こしたことが分かり、これらの大切さを改めて認識させられる。

    0
    投稿日: 2022.10.31
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    無鉄砲な雪山の行軍演習で、寒さ地獄に襲われるほんとにおそろしいお話。 でも現代社会でもいまだに根性論優勢。 教訓が活かされてませんよね。 名著「失敗の本質」と併せて楽しめます。

    1
    投稿日: 2022.10.25
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    「新田次郎」の山岳小説『八甲田山死の彷徨』を読みました。 先日、映画版の『八甲田山』を観て、原作を読みたくなったんですよね。 -----story------------- 愚かだとわらうのはたやすい。 だが、男たちは懸命に自然と闘ったのだ。 日露戦争前夜、厳寒の八甲田山中で過酷な人体実験が強いられた。 「神田大尉」が率いる青森5聯隊は雪中で進退を協議しているとき、大隊長が突然“前進"の命令を下し、指揮系統の混乱から、ついには199名の死者を出す。 少数精鋭の「徳島大尉」が率いる弘前31聯隊は210余キロ、11日間にわたる全行程を完全に踏破する。 両隊を対比して、自然と人間の闘いを迫真の筆で描く長編小説。 ----------------------- 明治35年に起きた青森5聯隊の八甲田山での遭難事件を、以下の構成でドキュメンタリー風に綴った作品です。  ■序章  ■第一章 雪地獄  ■第二章 彷徨  ■第三章 奇跡の生還  ■終章  ■解説 山本健吉 雪中行軍に成功して11日間に亘って200km以上を踏破した弘前31聯隊と、失敗して遭難した青森5聯隊の行動を対比しながら、その経緯を克明に描いた作品、、、 兵隊が次々と凍死する陰惨な場面に、気持ちが落ち込みそうになりながら、雪山の厳しさを再確認した一冊でした。 原因は様々ですが、、、 指揮系統の混乱や準備(装備)不足が大きな要因でしょうね。 これって、仕事にも通じることですよね… 改めて意思統一や準備の大切さを感じました。 案内役の村人や、生き残った兵士の後日譚は、映画では描かれていなかった部分なので、興味を持って読めました。 村人たちは、五十銭銀貨一枚で放り出され、脅されたうえに、あわや遭難という状況に陥っていたり、生き残った兵士は日露戦争で戦死・戦傷したり、英雄視された後に忘れ去られたり… 波乱の人生を歩んだようです。 そして、責任者であるべき師団長等は199名の死者を出しながら、一切の責任を問われていないようです… この隠蔽体質が続いた結果が第二次世界大戦に繋がったのかもしれませんね。 以下、主な登場人物です。 ≪青森歩兵第5聯隊≫ 「神田大尉」  青森歩兵第5聯隊の中隊長で、雪中行軍の責任者。  神成文吉大尉がモデル。  将校に士族や華族が多い中、平民出身の彼は自らの努力により、聯隊屈指の有能な将校と認められていた。  責任感ある聡明な軍人であり、徳島大尉との約束を非常に大切に思っていた。  が、大隊の上官である山田少佐の不適切な干渉に抵抗することができず、悲劇を防げなかった。  中隊が散開した最後には江藤伍長を送り出し、雪原で孤立。  万一生還したとしても軍を追われるであろうことに絶望し、舌を噛み切る。  直接の死因ではなかったが、そのまま凍死した。 「山田少佐」  大隊長。  山口彎�瓦�皀妊襦」  行軍計画を立てた神田大尉に対して指導的立場から助言を行うが、最終的には指揮権を奪取したも同然の形になってしまった。  行軍前には第31聯隊を意識するあまり、神田大尉を急かし、充分に計画が練りこまれないまま出発させた。  行軍中の命令には不適切なものが多く、深夜に突然の行軍再開を発する、進藤特務曹長の妄言を信じきって行路を間違えるなどして、中隊を遭難させることとなる。  部下の犠牲によって生き残ったものの、自責の念から収容された病院で自決した。 「倉田大尉」  中隊長。  山田少佐以下の教導将校団の一員として雪中行軍に参加。  毛糸の手袋やゴム長靴など恵まれた装備を所持していたため体力の消耗が抑えられ、神田大尉や山田少佐が正常な判断ができなくなった後も冷静さを保ち、残された数少ない兵を率いて生き残った。  モデルの倉石一大尉は黒溝台会戦で戦死。 「三上少尉」  最初に編成された救助隊の指揮を務める。  雪に埋まっている江藤伍長を救出するが、自分も含め多数の隊員が凍傷に罹患し撤収を余儀なくされ、大規模な編成による捜索に切り替えることを強硬に主張する。  モデルは三神定之助少尉。 「江藤伍長」  神田大尉と最後まで行動を共にしたが、自分はもう動けないと悟った神田大尉によって斥候を命じられる(=自分を置いて進み、生き残れということ)。  直立したまま凍りついた仮死状態で発見されるが、辛うじて意識を取り戻し、救助隊に惨劇の第一報を伝えた。  村山伍長と共に山間部出身の1人であり、互いに会話する場面がいくつか見られる。  結果としては村山も共に生還しており、知恵を活かしてさまざまな防寒対策を行ったことが、2人の命を救ったと言える。  モデルとなった後藤房之助伍長は故郷に帰って村会議員を務め、1924年に死去。 「村山伍長」  最後に発見された“生存者”である。  江藤と同じく山間部出身者であり、防寒対策を心得ていた。  出発前に、他隊員の冬山に対する警戒心の低さを見て、江藤伍長と共に危惧していた。  田代元湯で発見された唯一の生存者であり、四肢を切断しつつも生還した。  モデルは村松文哉伍長である。  実際の事件においても最後の生存者で、一時危篤に陥ったが生還しており、小説においては比較的忠実な描写が為されたことがわかる。 「進藤特務曹長」  行軍中に現地出身ということに由来する誤った情報(「このブナの木には見覚えがある、この木からこう進めば田代へたどり着く」というような妄言)を振りまいてしまう。  神田大尉は地図を見てそれが誤りだと気づくものの、山田少佐が信用してしまったため、隊はさらに迷走することとなる。  中隊散開後は山田少佐と共に駒込川のほとりで救出を待つことになったが、最後は錯乱の果てに川に飛び込んで凍死。  モデルは佐藤特務曹長だが、実際の佐藤が遭難にどう影響したのかは不明。  出身は岩手。 「長谷部一等卒」  神田大尉の従卒で、弘前歩兵第31聯隊所属に所属する斉藤伍長の弟。  幼いうちに養子に出されたため兄と違い雪山の知識が無かった。  神田大尉の絶望の叫びを聞くと力尽きて凍死した。 ≪弘前歩兵第31聯隊≫ 「徳島大尉」  弘前歩兵第31聯隊の責任者。  慎重かつ毅然とした指揮で、神田大尉との約束を守るために切り詰めた日程の中での八甲田山縦走を、無事に成功させる。  神田大尉ならびに第5聯隊の失敗、遭難死を嘆いた。  福島泰蔵大尉がモデルとなっている。  ちなみに福島は日露戦争の黒溝台会戦で戦死している。 「倉持見習士官」  雪中の路上測図の研究を担当。  行軍中、徳島大尉に何かと批判の眼を向けている。 「松尾伍長」  白地山からの下山時に転倒し足を負傷。  隊の進行に支障をきたしたため、三本木集落で行軍から外され汽車で弘前に帰された。 「斉藤伍長」  青森歩兵第5聯隊に所属する長谷部一等卒の兄。  行軍前から雪山経験の少ない弟に対し遭難の予感を抱き不吉な発言を繰り返す。  行軍中は倉持見習士官の部下として歩測を担当。  第5聯隊の日程を知らないにも関わらず行軍中に遭難死を確信した上、実際に弟の凍死体を発見してしまう。 「小山二等卒」  行軍の経路の中間地にある三本木集落の出身。  生家での宿泊を許され、三本木から増沢までの案内人を務めた。 「西海勇次郎」  東奥日報の従軍記者。  弘前歩兵第31聯隊の行軍に帯同し、青森歩兵第5聯隊の事故に遭遇。  遭難死した長谷部一等卒の銃を持ち帰る。  モデルは実際に雪中行軍に随行した東奥日報記者の東海勇三郎。 ≪民間人≫ 「相馬徳之助」  小国村村長。  猟師の弥兵衛と共に唐竹村から小国村まで弘前歩兵第31聯隊の案内人を務める。  「夜になっても吹雪になっても案じることはございません」と自信を見せた。 「滝口さわ」  宇樽部の開拓農民。  宇樽部から戸来村まで弘前歩兵第31聯隊の案内人を務める。  兵隊もひるむほどの猛吹雪にもかかわらず余裕綽々で先導を完遂し隊員の心を掴んだ。 「福沢鉄太郎」  熊ノ沢の農民。  他の6人と共に増沢から田茂木野まで弘前歩兵第31聯隊の案内人を務める。  第5聯隊の遭難現場に遭遇した際に徳島大尉から秘密厳守を言い渡されたため、ろくな休息をとらないまま帰り道の強行軍を強いられ、凍死寸前の消耗状態で帰宅する。 「作右衛門」  田茂木野村の老爺。  自分の子が真冬の八甲田山で遭難死しており、行軍前の調査で訪れた神田大尉に冬山の危険を警告する。  第5聯隊の通過時にも案内を申し出るが山田少佐に拒否され、これが第5聯隊全滅のきっかけとなる。

    0
    投稿日: 2022.07.20
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    結末をほぼ知ったうえで読んだ一冊。 組織論の題材として、戦時中の指揮命令系統や兵站は常に話題に挙がるけど、なんといっても自然の厳しさを感じた。 当時の記録などをもとに淡々と記されるドキュメンタリー風な内容で、小説らしい絶望的な状況の脚色は抑えられているので、読み手に様々な思いを喚起させる。

    2
    投稿日: 2022.07.18
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    リーダーシップや組織のあり方ついての研修中に事例研究として取り上げられた本。神田・徳島各大尉について、じっくり議論・検討して解説を受けた後に読んでみるとそれぞれの背景や思考の原点をより深く理解できた気がする。研修ではあくまで雪中行軍の捉え方、向き合い方、準備・覚悟・実行など、目的や目標、仕事への取り組みについての神田と徳島の違いに焦点を当てた内容だった。研修を通じて徳島ができていて神田ができていない点ばかりが強調されて記憶に残っていた。しかし実際に読み進める中で、徳島も決してあらゆる面で完ぺきなリーダーではないことも見えてきた。雪中行軍に向けて徹底的に準備をして完遂しきるという点において優れていたことは間違いない。ただ、軍人と民間人の関係性など時代背景的にそれが必然的な部分もあったのかもしれないが、現代的な感覚では大きな違和感を覚えるところもある。そもそも、雪中行軍という名の人体実験が行われてしまった原因としては結局上官の何気ない一言や思いつきに起因してしまっている。「トップがこう言ったから」、「トップがこう考えている」、「トップはこのように思っているはずだ」と、誰も上司が言った本当の意図や背景を確認しないまま、確認できないまま、その下で曲解されて無理難題を実行せざるを得なくなってしまっている。これってこの時代の軍の話だけではないよね。こんなこと、程度の差はあれ会社の中にあふれている。心理的に不安全で忖度がはびこっているコミュニケーション。誰も問い返しができない。そんな組織や関係性が健全であるはずがない。変われない、変えられないってこういうことなんだろうな。不祥事があっても変われない。それが結局その組織の実力なのだと思う。そんな会社や組織は、日本陸軍と同じ道をたどってしまう気がしてならない。

    0
    投稿日: 2022.06.20
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    面白かった。新田次郎の作品は初めて読む。というか、こういう作品を読むこと自体が初めてだった。実際あった事故を元にした半虚構小説。描写がとても分かりやすく、ぐいぐいと読み進めさせられる力があったように感じる。ドラマチックにものを描かないことが余計にその哀愁や虚無感を際立たせる気がした。登場人物が少し多くて多少誰が誰だか分からなかったのは別に良いかという気持ちになった。

    0
    投稿日: 2022.06.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    R4.4.29~5.3 面白かった! 新田次郎のエンタメ文章力は凄い。迫力の山中描写です。 フィクションが含まれているようなので理解しながら楽しみました。お勧めの一冊です。

    0
    投稿日: 2022.05.07
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    明治35年、日露戦争を前に、 陸軍の二つの聯隊が冬の八甲田山をそれぞれ逆ルートで登るという研究的雪中行軍が行われる。 雪と吹雪と氷の死の世界。 ばたばた倒れゆく兵たち。 乾いてあったかな布団に寝られるこの普通の日常に感謝の念がふつふつ。

    0
    投稿日: 2022.04.30
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    史実を基にしたフィクション作品ですが、行軍の様子や雪山の厳しさ、備えの大切さ、リーダーの資質など様々なものがリアルに迫り、物語に引き込まれていきました。読後感はおおいに学びになった、そんな印象です。オススメ!

    8
    投稿日: 2022.04.23
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    指揮命令系統の崩れが全ての崩壊にもなり得る。 実際に起きた事を元にしているという事もありとても衝撃的でした。

    2
    投稿日: 2022.03.01
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    しばしば雪山に行くので、行軍の描写がリアルに迫ってきて、心に突き刺さった。 第五連隊の兵卒たちが、気力尽きてバタバタと倒れていく様子、狂気に陥って川に飛び込む士官たち。自然相手だが、戦争と同じような恐ろしい地獄が展開されている。 当時の装備なども興味深いし、案内人となる村人たちの視点も面白く読める。案内人を買って出た嫁さわがスイスイと雪の中を進んでいき、兵隊たちを圧倒するシーンが好きだ。

    1
    投稿日: 2022.02.26
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    1902年に発生した八甲田山雪中行軍遭難事件を元にした作品。 本作はフィクションですが、全員生還した第31連隊と210名中199名が死亡した第5連隊の命運を分けたのは何か。最悪の遭難事件が克明に描かれており、胸が苦しくなりましたが…後世に残し、私達が読むべき作品だと。そう感じました。

    2
    投稿日: 2022.02.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    声の大きい無能上司のせいで散々な目に合う優秀な部下、という設定だけで泣けてくる。ちゃんと生存した方が何も成果が得られなかったかのように扱われ、失敗した方が褒め称えられるのに、組織の異常さを感じて怖くなった。戦争なんてものがなければ、こんな実験をしなくてよかったのに。

    0
    投稿日: 2022.01.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今の会社に入って選抜研修に参加した時の課題図書でしたが、研修終了後も何度も読み返した一冊。 研修ではリーダーとして神田大尉と徳島大尉を比較し、違いを理解しながら目指すべきリーダー像を討議していきました。 著者の読み終えた作品の中ではぶっちぎりに好きな作品です。 明治時代の悲しき史実。 日露戦争を目前にし、真冬の八甲田山で行われた雪中行軍は199名もの死者を出してしまいます。 真冬の八甲田山、死の足音を聞きながら軍隊という環境の中で行われる指揮命令はまさに隊員の命を左右します。 息づかいや、風の音、人々が倒れる音、活字から音を感じた作品としては本書が初めてだった気がします。 その位にリアルな描写はお見事としか言いようがありません。 辛く、悲しい歴史と共に未読の方は是非!! レビューを書きながら、又、読みたい気持ちがフツフツと。 年末年始休暇には2年振りの帰省をしようと思っているので、帰ったら探してみよう!! 説明 内容紹介 明治35年、青森・八甲田山で起きた大規模遭難事件。 陸軍によって隠蔽されていた、199名の死者が出た実際の悲劇を発掘、小説化した。 高倉健、北大路欣也主演の映画原作としても知られる。北大路の台詞「天は我々を見放した」は流行語となった。 日露戦争前夜、厳寒の八甲田山中で過酷な人体実験が強いられた。神田大尉が率いる青森5聯隊は雪中で進退を協議しているとき、大隊長が突然“前進”の命令を下し、指揮系統の混乱から、ついには199名の死者を出す。徳島大尉が率いる少数精鋭の弘前31聯隊は210余キロ、11日間にわたる全行程を完全に踏破する。2隊を対比して、組織とリーダーのあり方を問い、自然と人間の闘いを描いた名作。 【目次】 序章 第一章 雪地獄 第二章 彷徨 第三章 奇蹟の生還 終章 解説:山本健吉 【大ヒット映画原作】 1977年、東宝。監督:森谷司郎、脚本:橋本忍。出演: 高倉健(徳島大尉)、北大路欣也(神田大尉)、丹波哲郎(児島大佐)、三國連太郎(山田少佐)、加山雄三(倉田大尉)、秋吉久美子(滝口さわ)ほか超豪華キャスト! 本文より 「救助隊だ!救助隊だ!」 と叫ぶ声が続いた。 「お母(が)さんに会えるぞ」 と叫んだ兵隊がいた。一声誰かが母に会えると叫ぶと兵たちは、口々に母の名を連呼した。(略)兵たちは、救助隊を見て、すぐ母を思った。いま彼等の心には母しかなかった。母が居たら必ず助けてくれるだろうし、生きることは母に会えることであった。 倉田大尉には救助隊は見えなかった。神田大尉にも見えなかった。二人は顔を見合せてから、兵たちが指さす方向に眼をやった。風の中に疎林の枝が揺れ動いていた。飛雪の幕が、横に動いて行くのを見ながら、ふと眼を飛雪に固定すると、今度は木が動くように見えることがあった。……(第二章「彷徨」) 本書「解説」より 八甲田山の事件の真相は、長く国民には知らされないままになっていた。日露の風雲が切迫していたということもあったろうし、その上に陸軍の秘密主義ということがあったろう。軍の責任に触れ、その恥部を国民に知らしめることを怖れたのだ。(略) 徳島大尉始め、雪中行軍に加わった第三十一聯隊の士卒の半数は、二年あとの日露戦争には、黒溝台の激戦で戦死または戦傷している。成功者も失敗者も、死の訪れには二年の遅速があったに過ぎなかった。それは、日露の戦いの準備行動で死んだか、戦いそのもので死んだかの違いに過ぎなかった。 ――山本健吉(文芸評論家) 新田次郎(1912-1980) 1912(明治45)年、長野県上諏訪生れ。無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、中央気象台に就職し、富士山測候所勤務等を経験する。1956(昭和31)年『強力伝』で直木賞を受賞。『縦走路』『孤高の人』『八甲田山死の彷徨』など山岳小説の分野を拓く。次いで歴史小説にも力を注ぎ、1974年『武田信玄』等で吉川英治文学賞を受ける。1980年、心筋梗塞で急逝。没後、その遺志により新田次郎文学賞が設けられた。実際の出来事を下敷きに、我欲・偏執等人間の本質を深く掘り下げたドラマチックな作風で時代を超えて読み継がれている。 メディア掲載レビューほか この世の地獄! 日本陸軍史に残る悲惨な事件を味わう 日露戦争前夜の1902年、一つの壮大な人体実験が行われた。厳寒の積雪期において軍の移動が可能であるかを、八甲田山中において検証すべし。青森第五聯隊の神田大尉と弘前第三十一聯隊の徳島大尉は、それぞれ特命を受けて過酷な雪中行軍に挑むことになる。この世の地獄が前途に待ち受けているとも知らずに。 新田次郎『八甲田山死の彷徨』は日本陸軍史に残る悲惨な事件を題材とした山岳小説である。気象学を修め、登山家でもあった新田の描く雪山の情景は、恐ろしいほどの現実感をもって読者の胸に迫る。雪地獄の中に呑み込まれていく兵士たちの姿は余りにも卑小であり、大自然の脅威を改めて認識させられる。 2つの部隊は明暗がはっきりと分かれる。深雪の対策を行った三十一聯隊が1人の犠牲者も出さずに任務を完遂したのに対して、気象の苛烈さを侮り、精神論で行軍に挑んだ五聯隊は199名もの死者を出してしまうのだ。組織が自壊するプロセスを描いた小説でもある。雪の中で絶望した神田大尉は「天はわれ等を見放した」と呻くがそうではない。合理性よりも軍人としての面子を優先して行動を開始したその時、彼らにはすでに死の影が忍び寄っていたのだ。兵士たちを殺したのは軍が抱えていた病理そのものだったといえる。終章で語られる二挺の小銃を巡るエピソードに、その異常さが集約されている。 新田の筆致は冷徹を極める。不可避の運命へと向けて行軍していく者たちの姿が眼前に浮かび上がるが、押し止めることは不可能なのである。読者は、一つ、また一つと命が失われていくさまを、ひたすら見つめ続けなければいけない。(恋) 評者:徹夜本研究会 (週刊文春 2017.3.16号掲載)

    32
    投稿日: 2021.11.14
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    安易な指示、不充分な計画、指揮系統の混乱が招いた事故。現代の会社組織にも当てはまることが多く考えさせらる本。描写がとてもリアル。 生き残った聯隊も遭難した聯隊もどちらも切ない。

    0
    投稿日: 2021.11.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    リーダーの判断の責任と重さ、日本の軍隊の恐ろしさを感じる話だった。 神田大尉がなんとか助かる道を見出しても、上層部の圧により、じわじわと死に近づいていく無念さが辛い。 雪山の恐ろしさ。 あまりにもの疲労と寒さと過酷な環境により、幻覚を見たり、正常な判断力ができくなっていく恐ろしさを感じた。 2021年9月1日

    5
    投稿日: 2021.09.02
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    20210812 日露戦争前に寒冷装備が不十分だという理由で雪中行軍を強いられた。階級意識と、軍隊の理不尽さ。人間模様が描かれてた。雪怖い。弟を思う兄に涙。

    1
    投稿日: 2021.08.12
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    暑いので、涼しくなりたくて3回目?の読了。 雪と極寒の怖さより、組織の怖さと階級意識の怖さがより感じられる。また、映画では記憶にないが二丁の銃のその後に、軍隊の怖さ?やるせなさ?も感じる。

    0
    投稿日: 2021.07.27
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     もう40年以上経ちますが映画化もされた有名な作品で、私も以前から気にはなっていたのですが、ようやく手に取ってみました。  壮絶です。まさに、「失敗の本質」で取り上げられた太平洋戦争時の日本陸軍の救いようのない思考スタイルが、このころにすでに軍幹部・将校はもとより下士官から兵卒に至るまで軍隊という特殊集団の根底に巣食っていました。  機会があれば映画も観てみたいです。

    1
    投稿日: 2021.07.14
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    二つの隊の壮絶な雪の軍事訓練の話しだが、序章でのやんわりとした話しが終わって第一章の雪地獄からが凄い。ニ隊の対比で話しは進むが容赦のない自然の猛威が恐ろしい。 リーダーとしてどういう行動が正解かとか村人や上官との人間関係等も当時の状況が詳しく書かれているので、こういう状況では人はこうなるのか、と思うことができる。

    0
    投稿日: 2021.07.08
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    こんな小説を読んだ後に、なんと感想を書いていいのかわからない。思ったことが上手く文章で表せる自信なく、もどかしい…でもレッツトライ↓ 八甲田はBCで数回訪れたことがあって、その土地を舞台にした小説に興味はありながら、私の中の楽しい思い出とは真逆の、「雪中行軍」(字面ですでに恐ろしい!)の厳しい印象、プラス、「八甲田山死の彷徨」という題名の厳しさに恐れ慄いて、なかなか手が出ず、こちらもまた長ーい積ん読状態の本を、先日の剱岳の点の記の波に乗って、読んでみた。今新田次郎きてます! 八甲田山の雪中行軍ね、と事件についてなんとなく知ってる気でいたけど、読み終わって思うのは1%も知ってはなかった。日露戦争に向かう事件当時明治35年の気風や、日本陸軍の階級制度、指揮官の統率、各個人の性質、、とても複雑に事象が絡んでいて一口に誰々が悪いとか単純な話じゃない。色んな気持ちから読み解ける小説はやっぱり良書ですねぇ。 決して明るい話ではないです、結論見えてるし。でも久しぶりに本の中に入ったし、読んでよかった。 よく練られたであろうタイトルに、一口言うのはおこがましいけど、やっぱり「死の彷徨」なんて(しかも明朝体で!)ついてなかったら、もう少し早く手に取ってたかもなぁ。 2021.6.1

    5
    投稿日: 2021.06.01
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    著者がまるで従軍記者として同行したかのようなリアリティ。著者の取材力に加え、登山に対する見識の深さが窺われる。 第五聯隊と第三一聯隊何がその明暗を分けたのか。 必ずしも第三一聯隊を美化しすぎないところがよい。例えば、この聯隊にも階級意識があったり、案内人に対する敬意を欠いていたり、慎重さを欠いた判断があったり、そういう描写がいくつもある。 軍内部での不毛な権力闘争、将校たちの理不尽な指揮権の発動、非科学的な精神論、、、その後の太平洋戦争での日本軍の失敗の兆候がこの頃からあったのだとわかる。 教養として読んで損はない一冊。

    0
    投稿日: 2021.04.25
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    雪中行軍の生死を分けた2つの聯隊の物語。雪の八甲田の描写がすごい。 組織マネジメントの話としても読み応えあり。 そして、なぜそんな過酷な雪中行軍を敢行しなければならなかったのか、その辺りも興味深い。

    0
    投稿日: 2021.04.11
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    新田次郎が1971年に発表した山岳小説。1902年の八甲田雪中行軍遭難事件を題材としており、1977年に「八甲田山」として映画化され、翌1978年にテレビドラマ化されました。踏破に失敗する第5連隊と踏破に成功する第31連隊の姿が交互に描かれており、明暗を分けた原因が分かりやすくあらわされています。そんな辺りが、最近では組織のリスク管理などの教科書として脚光を浴びているんだろうなと感じます。ただ、本作はノンフィクションではなく、実際の事件について知りたい場合は、他の書籍などを読んだ方が良いと思います。

    1
    投稿日: 2021.03.13
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    古い作品なので私に読めるのかと不安でしたが、そんな心配は無用でした。 一人、引きずられるようにまた一人と人間が雪の中に沈んでいく。あまりにも呆気なく亡くなってしまい、山の知識も雪の知識も無い私には信じられなかった。 家に帰りたかったでしょうね。今でも八甲田山には、兵隊さんの霊が彷徨っていらっしゃるとか。

    1
    投稿日: 2021.02.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    おもしろいと言っていいのか解らないけど久しぶりに夜更かししても読みたくなった本。 地図がついていたので想像しやすかったし、文章が読みやすかった。 とにかく悲惨だ。 映画も見てみたいな。やっぱりわたしはこういうノンフィクションに惹かれるんだな。

    3
    投稿日: 2020.08.12
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    歴史ある作品だから読みにくいかと思っていたが、とても面白かった。行軍中の厳しさ、組織の面倒な関係や、案内人に対する態度等、とてもリアル。弘前藩は犠牲者を出さずに生還したが、大尉が善人だったかというとそういうわけでもなく。多くの人に読んでもらいたい本。

    0
    投稿日: 2020.07.16
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    映画は何となく知っていたが、昔の日本映画ということで、ちゃんと見たいという思いはあまりなかった。 今回小説を読んで、いかに悲惨な演習であったかを知ることができた。個人が優秀なだけでは限界があり、組織として統制がきちんと取れていないとダメだということがよくわかった。 今の会社の状況とよく似ている。やはりリーダーが占める役割は大きく、さらにリーダーに任せるということも重要な要素であることがわかる。 能力のないリーダーの下にいる部下は不幸である。無責任な指示が199名もの死者を出すことになるのだ。 決断と責任。リーダーとしてしっかりとしなければならないと改めて思う。 映画見てみたくなった。

    3
    投稿日: 2020.07.15
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    その昔、先に映画で観た。数年前に再度 映画を観たが、こういった史実を扱った作品は書籍も含めて、時代は変われど本質的な内容は全く変化せず ついこの前のことのようにさえ思えてしまう。 何でもそうだけど、適材適所ってホント大事ね。その業務に対しての努力に加えて、生まれ持った才能って必要だと思う。特に人の上に立つ立場や重要な事柄の決定権を持つ人達には。

    3
    投稿日: 2020.06.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    事実を題材としているがあくまでもフィクションであることは、まず十分に念頭に置いて読もう…というスタンスで読んだ。だが、だがしかし… あはれ、神田大尉。憎むべきが山田小佐。 この構図は頭から拭い去れなかった。 無能な上司の虚栄心に運命を左右された若者たち…という一面は、おそらくこの本を読めば誰もが抱く感想であろうから、ここでは特には言わないでおく。 許せないのが、救出後の山田少佐の自決。 「全ての責任は自分の浅慮にある、遺族に詫びたい」と遺しての自決は潔し………………などとは、1mmも思わない。 自分の無知・無謀を認めた点にこそせめてもの救いはあるけれど、、、、 死ぬのは「逃げ」だよね、と。 凍傷で手足を失った部下達も、 同じく手足に後遺症を遺した案内人達も (しかも彼らは軍人でさえない)、 息子や夫に先立たれた、部下たちの遺族も、 もちろん自分の妻も、子らも、 無謀な計画を立てたと何人にも思われたであろう神田大尉の名誉に関しても、 捜索に駆り出された組織の仲間達も、 後始末をやりくりした上司も、 捜索に費やされた費用も、(つまり国民の税金) 、、、一見して「潔し」と思われがちな「自決」などという行為によって、彼本人にとっては全てが「無」になってしまうのだから。 卑怯極まりないな、と。 彼は、生きるべきだった。自分の言動の非を認めるからこそ、それを悔いながら、また世間の責めを甘受しながら、そして当然自分にも残ったであろう後遺症と付き合いながら余生を生きるべきだった。 現実世界で重大事件を引き起こした人間も ミステリやドラマ、映画などのフィクションの犯人も 自決や自殺で自ら死を選んで楽な道へ行く輩を、心から許せないと思った。 ★4つ、9ポイント半。 2020.02.25.新。 ※さて、思わずかなり熱~く感想を書き散らかしてしまったが、あくまでも本作はフィクションだということは、忘れないようにせねば。 取材に基づいたノンフィクション等での情報も、ちゃんと得ておきたいとも思った。

    10
    投稿日: 2020.02.25
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    明治期、日露戦争を控えての雪中行軍訓練中での遭難事故。同じ階級の二人の指揮官の運命を分けたのは窮地での判断を揺るがす、上官による指揮権の剥奪行為であったと思う。時間のない、困難下、集団を統率する指揮権の行使ご何より優先させる、その目的は無事この訓練を終えること。その目的以外の要素が入った時、悲劇は起こるのである。ただの遭難事故ではなく、現代、マネジメントとしても教訓になる。

    0
    投稿日: 2020.02.23
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    明治時代に大雪の中で雪中行軍を試み、多くの犠牲者を出した日本陸軍の実話を基にした小説。 対ロシアとの戦いを控えて、厳冬の青森八甲田山周辺で、同じ経路を2つの部隊が双方が反対から踏破を試みることになり、2人の指揮官が選ばれた。事前準備が足りないまま大部隊を率いて強行突破を試みた指揮官と、事前に念入りな経路の下調べを行って、小部隊編成で臨んだ指揮官の運命は、天候の急変に対する対応力の差が明暗を分けることになってしまう。 これは、軍隊だけでなくビジネスの世界でも通用する教訓とも言える。例えば、システム構築などでも、様々な要件を取り入れた大規模なシステムは、上手く行けば成果も大きいが問題が起こる可能性も高くなる。どこまでリスクをとれるかが成功の鍵となる。小部隊の指揮官は、自分が取れるリスクの大きさをよく分かっていたのだろう。他方は功を焦って大部隊による強行突破を図った結果、大きなリスクに直面することになってしまう。困難に対応する時は、自分が取れるリスクというものをよく考えよということだろう。

    0
    投稿日: 2020.01.02
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    191028 組織の上位が競争するのはよいとしても、努力している人の意見を聞かないのは間違いを起こす。

    1
    投稿日: 2019.10.28
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    日露戦争開戦前の暗雲たちこめる時代、保守の象徴日本陸軍のなかにも真のリーダーがいた。 極限雪山の中で「気持ちはわかる。だがそれはできない」と心に寄り添いながらも決断ができるリーダーがいることの心強さ、安心感。 一方で、権力による支配とパワーの恐ろしさ。リーダーに対する「この人は本当に何もわかっていない。何を言っても無駄だ」という感情は、絶望感につながり、自死においこむこともある。 ・権力を持った人の場当たり的浅慮(思いつき)、楽観視、物象(科学)の軽視、精神主義だけに片寄ろうとすることの危険 ・見栄、プライド、劣等感の恐ろしさ ・人間は集団生物、妙な場の空気に乱される。いいこともあれば、最悪のケースもある ・決めること=仕事 ずっと読んでみたかった八甲田山、読後感はあまり良くない感じ…弱っている時にはオススメしません。 調子がいい時にてんぐにならないよう自戒の念で読むのがよさそう。

    3
    投稿日: 2019.07.25
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    前から私の周囲の人たちの中でよくおススメされた本。地味だし、なんかテーマが重そうなので読んでなかったけど、思い立って読んでみたら、、、地味どころではない、読み応えのある作品だった。自然の猛威の中でなすすべのない(いや、色々試みるんだけど太刀打ち出来ない)、極限状況の人間の、無力さ、浅はかさ、そして哀しみ。人間を軽々しく扱ってしまう「組織」の愚かさ、醜悪さ。日本の歴史の中で確かにあった事実を、ことさらに大げさにせず、淡々と書いていくことで一層重く深く読ませる文章の力。そういったものが幾重にも重なって、読む楽しみを増す。 この中で一番印象的だったのが、さわ女が第三十一聯隊を案内するシーン。ふわふわと雪の中を歩く姿の描写が美しく、重い内容の中で、ここだけ光が灯ったように感じる。兵士にとっても守り神に見えたのではないか。最後まで、多くの兵士の無念の思いばかりが胸に迫る中、さわ女の存在があることで少し救われた気持ちになった。

    3
    投稿日: 2019.07.17
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    2002年1月23日は、八甲田山大量遭難事故からちょうど100年目だそうな。 これは新田次郎が、もと気象庁予報官ならではの考察を交えながら遭難を小説化した実に怖い怖い本である。 その100年前、十分な知識も装備もないまま行軍訓練に入った歩兵第五連隊。昼は陽気の中重いソリをひっぱって、木綿の肌着に汗をかいたまま、記録的な大寒波の夜を迎えたらどうなるか。 歩兵たちは外套すら持たず、胸までの新雪の中でソリは当然埋もれ、握り飯は凍り付き、小便がしたくとも指は凍傷で動かず…冬山の恐ろしさをイヤというほど感じさせてくれる。 痛ましすぎ。

    3
    投稿日: 2019.06.13
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    新田次郎作品は、どれも読み始めから没頭までに少し時間を要していたのだが、本作は最初から一気に没入してあっという間に読み終えた。 登山経験があるだけに、夫々の登場人物の立場に立って自分ならどうしたかという視点でも読むことが出来、最後まで非常にドキドキさせられた。 生還した第二十一聯隊のその後の人生も衝撃の一言。

    4
    投稿日: 2019.03.23
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    史実に基づくフィクション。想像を絶する。 不条理な命令に従っていく人たち。強いのか弱いのか。 一度訪れて祈りを捧げなくては。

    2
    投稿日: 2019.03.18
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    何度目の再読だろうか。 エンタメとしても一級品だが、やはりどうしても組織論、リーダーとはとか、第二次大戦前の日本という国のあり方の問題点等の視点で読んでしまう。色んな読み方が出来るのが本書のすごいところ。 確か昨年遭難事故の真実を描いた作品が出てるはずなのでそちらも読んでみたい。

    12
    投稿日: 2019.02.10
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    読み物としては面白い。この事件(?)を後世に語り継ぐための性質が強いように感じ、メッセージ性は少ないように感じた。 そもそもこれは日露戦争への準備として起こったものだったため、世界大戦を通して日本がどれだけ謝った道を選んでしまったのかについて、戦争の直接的ではない部分からそれを見ることには役立つ。 >学んだこと ・優先順位を謝る危うさ(自分の立場を保護することを優先してしまう) ・昔の日本の軍部内、あるいは軍部と民間の関係性(現在の日本にも通づることはある) ・自然の脅威の具体例

    1
    投稿日: 2019.01.17
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    組織論として非常に示唆の富む内容です。 1.この本を一言で表すと? ・極限状態での軍の悲惨な結末 2.よかった点を3〜5つ ・凍えている人の様子が目の前で見えるような描写 ・徳島隊と神田隊との対比 ・軍という組織の不条理さ ・生き残った人のその後 2.参考にならなかった所(つっこみ所) ・小説の途中に史実を挟むのはどうかと思う 3.みんなで議論したいこと ・神田大尉はなぜ指揮権を取られる結果となったのか ・なぜ2つの隊を競わせて雪山行軍をおこなわせたのか 4.全体の感想 ・「失敗の本質」そのものではないか?  あいまいな戦略目的・・・そもそもこの雪中行軍はひつようだったのか  コンティンジェンシープランの欠如・・・計画書に引き返す条件がなかったのでは?  空気の支配・・・下士官からの突き上げで行軍続行を決断  間違った勝利の条件を強要・・・根拠のあいまいな者への田代温泉への嚮導役交代 不適切な人事・・・事件の関係者は誰も責任を問われなかった

    0
    投稿日: 2018.12.30
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    壮絶・・・という言葉しか浮かばなかった。 色んな場面で惨禍を逃れられる機会をことごとく逃していく様子が綴られているのも印象的だった。

    1
    投稿日: 2018.11.25
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    組織論,リーダー論としても素晴らしい.ライフセーバーも含め様々な現場を率いる立場の人は一読の価値あり.高倉健主演で映画化さらた「八甲田山」の原作.映画と小説では多少異なるが,映画の方も素晴らしい.神田大尉役の北大路欣也の抑えた演技が光る.こちらもお薦め.

    0
    投稿日: 2018.10.09
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    八甲田山の遭難は知っていたけど、ここまで壮絶な内容だったとは…暑い日に読むと、心がどんどん冷えていくのは良かった。組織の危うさなんて100年前も今もたいして変わらないんだなと。しがらみを気にせずノーと言える人でいたいよ。映画も見てみよう。

    2
    投稿日: 2018.07.05
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    実際に起こった八甲田山雪中行軍遭難事件を題材とした小説。もちろん脚色はされているので事実そのままではない。 遭難の原因は一つではないだろうけど、最初の田代まで(だったか?)の行軍演習がトラブルなくうまくいってしまったのも仇になったんだろうなぁ。 自然を甘くみてはいけない。装備と食料は可能な限り万全に。雪山ではおにぎりを懐に入れるべし。

    1
    投稿日: 2018.07.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何という無謀な実験だったのか。記録的な異常気象の八甲田山。踏破し生還した聯隊と、ほぼ全滅の聯隊。 せめて競争ではなく両聯隊が協力して情報を共有し十分な時間があったなら、避けられたかもしれない悲劇。読んでいると手指やつま先がじんと冷え痺れるような気がしてくる。まさに死の彷徨、その描写がすごくてのめり込んで読んだ。八甲田山の名前だけは知っていたが、こんなことがあったとは。。 弘前31聯隊は38名全員生還。青森5聯隊は210名中199名死亡。

    2
    投稿日: 2018.02.15
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    再読。まあ無謀な事をと思うよ。それでも上の命令で進まないと行けない軍下の異常さを思う。知識がある人は生存率が高まった。知識の大切さ。 日露戦争前、ロシア対策に雪山軍行を思いつき、2つの隊に競わせるように雪の八甲田山縦断が決まる。1つの隊はなんとかやり遂げるが、もう一方の隊は雪山で遭難しほぼ全員の人(100名以上)が命を落とす。 雪山の恐ろしさ、プロジェクトの失敗例として気付かされる事が多くある。 命令系統 準備不十分 案内人を頼まなかった 部下の妄言を信じた 雪壕を夜中出発したこと 自分がその中にいてもパニックにならない自信がない。

    1
    投稿日: 2018.01.26
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    日露戦争直前に行われた日本陸軍による八甲田山雪中行軍の惨劇を描いている。小説内の氏名は架空のものだが、実在の人物をもとに描かれている。 人智の及ばない氷の世界にただ戦慄する思いがしたし、上役の判断ミスや能力如何によって、運命が左右される部下の悲哀を感じた。また当時の陸軍内部の事情についても伺い知ることができる。 表現に迫力があり、読んでいるこちらが寒さを感じる程だった。

    1
    投稿日: 2018.01.05
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    1902年の八甲田雪中行軍遭難事件をモチーフにしているが史実より新田氏の小説のほうが有名であろう。 年間降雪量世界一の都市は青森市だが特に雪深い八甲田山へ満足な雪上装備もないままの雪中行軍はまさに無謀な人体実験といえる。日清戦争勝利の興奮冷めやらぬまま日露戦争を迎えんとする高揚感と不安感が渦巻く異様な狭間期に起こった事件である。そうした中でも徳島大尉は軍隊的規律と実証的判断を以って11日間の210キロ余の雪中踏破を成し遂げる。対照的に青森第五聯隊の指揮命令系統の混乱や調査不足が199名の死を招いた。では第五聯隊の指揮官が無能であったかというとそうではない。山田少佐しかり神田大尉しかり自責の念に堪えかね自決を遂げている。つまりは厳寒期の八甲田山行軍自体が多分に無謀な計画であり、軍部幹部らの認識の甘さか聯隊の悲劇を生みだしたのである。 さらに単に教訓話や英雄話で終わらず本作を名作たらしめているのは第三章以降である。第五聯隊の捜索とともに、二挺の銃を巡る詳述や遺族補償は「軍」とは階級と規律を重んじる組織であることを思い起こさせ、明治特有の閉鎖的で暗鬱とした雰囲気を横たわらせる。津村中佐の独白のような雪中行軍の意義と日露戦争での各自の顛末は何ともやるせない。 山岳小説家として著名な新田次郎氏であるが、自然に向き合ったときの人間についての深い洞察力を感じさせる。

    4
    投稿日: 2017.12.19