
総合評価
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powered by ブクログストーリーの滑らかさという点では多少難ありですが、読ませます、考えさせます。 最終盤なんか現在の地球世界を示唆しているようで。冒険心に満ちた世界の後に残るのは保守的な世界。 SFの究極の魅力は現在の人間世界の捉え方なんだろうと思う次第。
0投稿日: 2025.07.30
powered by ブクログ十億年後、不毛な砂漠の惑星と化した地球には唯一の都市ダイアスパーだけが残され、時の流れに抗して人間は永遠に人生を繰り返していた…。クラークの遠未来SFの頂点にして、人類の進化と停滞、壮大な未来と運命を謳う古典SFの名作。 「都市と星」(1956)アーサー·C·クラーク #読書好きな人と繋がりたい
0投稿日: 2025.07.21
powered by ブクログイギリスの作家アーサー・C・クラークの長篇SF作品『都市と星〔新訳版〕(原題:The City and The Stars)』を読みました。 アーサー・C・クラークの作品は4年前に読んだ『幼年期の終り』以来ですね。 -----story------------- 遙か未来、銀河帝国の崩壊によって地球に帰還することを余儀なくされた人類は、誕生・死さえも完全管理する驚異の都市ダイアスパーを建造、安住の地と定めた。 住民は都市の外に出ることを極度に恐れていたが、ただひとりアルヴィンだけは、未知の世界への憧れを抱きつづけていた。 そして、ついに彼が都市の外へ、真実を求める扉を開いたとき、世界は……。 20世紀SF界の巨匠が遺した、『幼年期の終り』と並ぶ思弁系SFの傑作、待望の完全新訳版。解説:中村融 ----------------------- 1956年(昭和31年)に発表された作品……『幼年期の終り』と並んでアーサー・C・クラークの代表作で、SF史上の傑作として知られている作品です。 ダイアスパーは巨大なドーム状の構造の建築物の内側にある都市であり、それは数億年の間中央コンピュータによって統御され、住居や街並み、人間という生命体に至るまで勝手に作り上げられ、勝手に修復されるという、人工的な、老いることのない都市だった……ダイアスパーに暮らす主人公の少年アルヴィンは、仲間たちとともに体感型のゲームで遊んだりと何ひとつ不自由ない生活を送っていたが、「ダイアスパーの外に出たい」という大きな願望を持っていた……。 宇宙に進出していた人類は、銀河帝国の崩壊によって地球に帰還することを余儀なくされた……さらにその10億年後、人の生死をも管理する都市ダイアスパーを舞台にした遥かな未来を描いた壮大なスケールの作品でした、、、 都市に閉じこもっている限りは安穏な暮らしが保証されているダイアスパーはユートピア都市のように描かれますが、本当の幸せを手に入れたとは思えないんですよねー ユートピアどころか、考えようによってはディストピアなのでは という印象でした。 そして、地球上で舞台となるのは、荒廃した土地の中に残るダイアスパーという都市とリスという村落集団……隔たれて異なる文化や価値観を持っており、生まれたときから成人の体系で肉体はほとんど衰えることがなく1,000年の寿命を持ち、体毛は頭にしか残っておらず、歯や爪もなくなり、男性の生殖器は体内に収納されるという驚くべき特徴を持つダイアスパーの人々と、外見や成長はほぼ現代の人類と同じだが、テレバシーで意志を通じ合わせることができるリスの人々、全く異なる進化を遂げた2つの人類の描写がとても印象深かったですね。 VR(ヴァーチャルリアリティ)的な描写や、AIとのやり取りを思わせるようなロボットとの会話等々も描かれており、70年近く前の作品とは思えないですねー 驚きました……後半は宇宙にも出て行き、他の惑星の探索をする等、色んな要素が詰まっているところも興味深かったです。 物語の世界観にどっぷり浸かることができましたねー 面白かったです。
0投稿日: 2025.05.01
powered by ブクログあー、「銀河帝国」の続編か。読んでねー。 と思って引いたんだが、「銀河帝国の崩壊」の、作者自炊完成版と言ったところだったのか。 アーサーCクラークは、名作2001年がイマイチと感じたこともあって敬遠していたのだが、面白かった。 全体に古い。だって、1950年代だもんな。 どこかで見たよなあってのも逆で、この辺の大家のアイデアを、昨今の作品が取り入れていると言うか、二番三番煎じで、どうオリジナリティを出すのかってのが、相場だろう。 かつて銀河中に覇を唱えた銀河帝国が崩壊して、地球に閉じこもって数十億年。 コンピュータによる完全管理社会と、仕組まれた異分子はマトリックス彷彿だが、仮想現実ではなく、それをリアルで実現してる。 カウンター社会になる自然に属する社会。とはいえ原始ではなく、むしろ精神感応というアドバンテージを保持。 展開はあれよあれよと。 イデも出てきたな。イデじゃないけど。 社会の根底にある共通文化をひっくり返すのが、ストーリーの根底で、結局は「謎解き」に近いものがあるが、素直に読めた。 今、こういうアイデアを思いついて形にしても、所詮は二番煎じになってしまう。 悔しがってもしょうがない。
0投稿日: 2024.12.13
powered by ブクログ想像以上に良かった 高度な情報社会を展開しながら、少年の冒険活劇に持っていく筆力は圧感だった。 エンタメとして見方からも高評価は間違いない。
0投稿日: 2024.12.11
powered by ブクログスケールも設定も壮大なのに話としてまとまっているのが凄いなと感じた。 何百億年という歳月で起こる宇宙規模の変化に、ダイアスパーという不死を実現させた超科学のユートピア…。 主人公アルヴィンの冒険譚としてもとても面白く、たくさんのロマンが詰まってるなと感じた。 特に好きだった描写は人間のいない惑星で植物が独自の進化を遂げている描写が凄く禍々しくて想像が膨らんでわくわくした。 また、子どもほどの精神年齢の知的生命体ヴァナモンドも印象に残った。 「幼年期の終わり」でもそうだったが、クラークは幼稚な知的生命体描くのが上手だなと思った。 あと訳者のセンスなのかとても文章が読みやすい。
0投稿日: 2024.07.21
powered by ブクログ成熟した文明、安定を得た歴史の終わり。人類はその先に何を見るのか。どれだけ文明や社会が進化しようともそこにあるのは、飽き足らずに新しい世界を求め続ける子どもの様な好奇心が人間の人間たりうる条件であった。
0投稿日: 2024.04.06タイトルからは想像できないくらい壮大な物語でありました
アーサー・C・クラークの小説を読むと、どれを読んでも現在のSFの元になっているように感じます。この作品は調べてみると1956年に発表されたそうで、その創造力・空想力たるや驚愕ものです。今でこそ、ストーリーに描かれている場面を読者である我々は、何となく今まで見てきた映画やドラマをもとに頭の中で描くことができますが、発表当時に読んだ人はどうだったのでしょうか。そんなことさえ感じます。 さてもし、この小説に世界に生きていたら、ダイアスパーとリスのどちらの都市に住みたいでしょうか?人間が不老不死を願ってきたのは紛れもない真実ですが、私はどうかなぁ。それはそれでしんどいような気がしますけどね。 というわけで、タイトルは「都市と星」というものですが、人間の幸せって何?ってところまで問題提起しているような気がしました。さすがはアーサー・C・クラーク。SFを遙かに超えております。
0投稿日: 2023.11.02
powered by ブクログ不死と引き換えに生殖を捨てた人類、メモリーバンク、ヴァーチャル世界、都市を管理する全能の中央コンピュータ…「SFあるある」の設定が詰まっているが、これが1950年代に出版されたことを思うと改めてクラークの偉大さを実感する。個人的には、肉体を持たない宇宙知性、ヴァナモンドの強烈な存在感が印象的だった。クラークの発想は、スケールがあまりにも大きく、荘厳でピュアに精神的な、言ってしまえば霊的なものを強く感じることが多い。そして、美しい。
0投稿日: 2023.10.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この作品はどれだけパ...影響を与えたのだろう。テクノロジー関係もそうだが、VRゲーム、頭の周りを飛ぶ珍妙な生物、お供のロボット、ニュータイプ、さらに昨今の登山・キャンプブーム、局所的異世界ブームも先取りしており、挙げれば限りがなく驚異的な先見性だ。それにも関わらず、この作品の名をあまり聞かないのは不可解だ。その理由は、わざわざカンニングしたと名乗り出る者がいないのと同じなのではないかと疑っている。多分この作品ひとつで漫画アニメ映画ゲーム小説など1000作品ぐらいはカバーしていると思うので、非常にお得な一冊だ。 70年代ぐらいと予想したが、1956年発表という事実にもビビる。日本では白黒テレビなどが普及してきて、「もはや戦後ではない」などと言ってた時代だ。更に構想はそのずっと前だ。これがメンサ会員の力か。 他に知らないので間違っているかもしれないが、ネタ帳としてもそうだが――そのアイデアの提示の仕方を――漫画的な現代の冒険劇のフォーマット自体を〈目的地を移動してミッションを達成して、謎を解き明かし、次の目標を目指す物語のような〉確立したというのは言い過ぎか。しかも著者は設計図を書いた上に、ネジや釘まで自作して家を建てているようだ。 今でもこの内容のどこかを少し変えてジャンプにでも投稿すれば、絶讃ランキング急上昇に違いない。 もっとハードなものかと思ったら、意外にも硬質感のない平易な文章だった。ただ、翻訳は少し微妙で、もしかすると旧訳の方が良いのでは?という疑念でモヤモヤした。 表現は簡潔でそれぞれの詳細もあまり語らないので、各自勝手に想像するしかない。このシンプルさも、そこにある以上に真似できない理由だろう。 《ダイアスパー》なにやら地方のパチンコ店のような名前だが、この都市はクラウドサーバ、ストレージ、冗長性やデータの復元、インターネット、VRやVX、スパコン、AIなど、まさしく現代のIT・IoT技術に通じている。主人公は都市内において、情報流出を目論むウイルスのようだ。そしてやはりバックドアがあったりする。 てっきりこの都市の機構上で構築していくのかと思いきや、物語はどんどん外へ拡張する。展開はタイトで半分も過ぎてない内に当初の目途が立ち、この先どうするのかと思ったが、かなり斜め上から切り込んで予想外のところにポイントして展開していったので、けっこう先の読めない話だった。 主人公は抗えない初期衝動だけで行動し目的は外に出たいのみで、その先のことは考えない。外に出てすぐ帰りたいと言い出したり、村長もいきなりプレッシャーをかけたり人が悪く、序盤は少し苛々した。 やがて途中手に入れた強力な力で難局を打破し、雄弁を奮い相手を懐柔していく。ここらへんは、やはり異世界チートなんたらみたいな願望達成作品群を思わせる。 途中訪れた惑星には都市環境への重要な指摘があった。 DSP住民は生殖機能がないことから不死と引き換えに絶滅し死んだ存在だとしたが、群体生物のくだりを読んで、考えを改めた。これが生命と呼べるなら、人工知能もやがて生命と呼ぶ日がくるだろう。 完璧に近い都市の快適と安全は、逆に崩壊への恐怖が潜在し、必ずしも安定するわけではないという説明は興味深い。たしかに予測不可能性への耐性がないことは、脆弱性のはずだ。だから都市は必要最低限の犯罪要素を予め設定しているという。この発想は目からうろこだった。 リベラル色が相当強く、特に終盤の展開などは強烈なショックがある。この作風も日本人には相容れない部分だろう。 結論に至る経緯も釈然としないものがあり、プログラムされてたとはいえ、主人公の行動も強迫観念以外いまいち不明瞭だ。そもそもこれは自発的と言えるのだろうか。 取り敢えず、人間本来の性質の追求――愛情や自由が幸福であること――以外は納得する説明は特になかったと思う。 正直ここにはかなりの欺瞞があり、双方が困難であると語っているが、リスの人々は今までとほぼ変わらず全くと言っていいほど影響はない。恩恵もあるだろう。それに比べDSP側の変化は凄まじいものがある。 DSP側は先ず持っている生活の知恵、身体や精神力で劣り、非常に不利な条件を突きつけられている。 明らかに種族からして違い、種族間の能力差も大きい完全に異なる文化同士が、切迫した問題も理由もないのに融和するには不安要素が多すぎる。 しかしアルヴィンと中央コンピュータによってDSP民は強制的に変革への道を歩ませられる。 これは30年引きこもった人のところに突然ドカドカ押しかけ、外に引き摺りだして働けと言っているようなもので、そんな酷な話もない。 この革命は双方が高い知能や理性があるという前提条件の元に成立しているが、現実的に考えれば、聖域無き構造改革などと謳って構造自体を破壊した例もあるので、この流れはちょっと受け入れ難かった。上手く行っているのなら手を付けない方が良いこともある。 また、扇動者がDSP住民だということも罪深い。 特異タイプとは謂わば、保守の中から誕生したリベラルのことだった。自分が思うリベラル像はこの作品の主人公アルヴィンだと直感的に思った。 リベラルとは享受されたり習得するものというイメージは間違いだった。 淀みのあるところに必然的に生まれ、理想に向かい、とにかく行動、行動、行動である。 人類社会のデザインを構想し、取り敢えず絵が完成しても満足することはない。 強迫観念はDSP住民だけではなく、アルヴィンも一歩間違うと危険である。 アルヴィンの行動はDSP(リス)の住民が寛容だから許されているのであり、寛容はなにもリベラルだけの資質ではないことが分かる。 DSP住民はプライバシーもあまり無く、その意味では共感性も高いと言える。 更にリスは原始共産制のような共同体で、DSPも資本主義経済ではない。おそらく貨幣も銀行も無いのではないか。 もしこれらの性質を持ち合わせておらず、住人が強固に反発していたら過激な手段に出ていた可能性もある。 最終的にメモリーバンクを破壊する案も示唆しているが、作中にはないこの先の人類の発展模様に凶兆を感じるのは考え過ぎだろうか。 リベラル的経済政策で凋落した国を見ると、寛容のイデアに到達するのは何十億年かけても無理なように思う。あるいは科学や技術がそれを解決するのかもしれないが、現状それも阻まれている。 しかし、そんな心配は主題ではないとするのがリベラルなのだろう。 おそらくこの熾烈なリベラル体質が、いくら換骨奪胎したとしても、後続の作品がなにやらメッセージめいたものを残したまま中途半端に終わる理由であり、あまり語られない理由でもあるかもしれない。アイデアだけごちそうさまです。といったところだろう。 徐々に上昇して高みを目指し、そのピークから滑らかに滑空して着地するラストシークエンスの流れは流石だ。これがクラーク節か。 おそらく影響を受けたと思われる星を継ぐ者より高揚感も説得力もあった。まさに宗教だ。 後半は非常にキツイものを投げつけてくるが、停滞したサイクルの連続は同じ話題を何度も繰り返し続ける人のように、安堵感がある一方で成長は期待できない。やはりこれが念頭におくべき正しい道なのだろう。 最後にロボットが深宇宙へ飛ばさせられたのは哀しかった。 たまにリベラルっぽいことを言ってみたりするが、これを読んで所詮自分は保守的な人間だと分からせられた。これを心から楽しめる人はかなりリベラル度が高く、非常にリベラル力が試される挑戦的な作品である。
0投稿日: 2023.05.31
powered by ブクログもう決して出会うことがない筈だったダイアスパーの人とリスの人という全く異なる成長を遂げた2種属の人たちが、異端である主人公の活躍によって手を取り合うようになるという話。「もしも自分たちの性格や人生が気づかない内に全て生まれたときから定められていたら」といったことを想像することができて面白かった
0投稿日: 2021.10.30
powered by ブクログ中盤辺りまでワクワクして読めたが、後半は説明的に過去が語られ、少し残念だった。キャラクターがあまり掘り下げられておらず、作者の背景設定を見せるための存在という感じがした、
0投稿日: 2021.08.19
powered by ブクログ銀河宇宙に進出した人類はその後滅びの道をたどり、地球にただひとつ自己完結型のユートピア都市を建設してその殻に閉じこもった。十億年の停滞を経た後、未知への探究心をおさえられない一人の若者が、ついに外の世界への扉を開く。 冒頭からVRゲーム?が出てきて面食らった。唯一都市の設定が面白く、人間のデジタル化、千年の寿命、心象の視覚化システム、オンライン通話などなど、これが1956年の小説であることに驚くばかり。地球全土は砂漠化しており、都市の外には何があるのか。主人公に共感して興味がおさえられないまま物語は引っ張られていく。探索の舞台はやがて星々の世界に広がり、人類の精神性とその進化にまで言及される。巨匠の先見性と想像力に度肝を抜かれっぱなしだった。脳みそが拡張されるような感覚を味わえる、とにかくクッソ面白かった一冊。
0投稿日: 2021.07.16
powered by ブクログサーガ、マスターコンピューターなど今のVRやスマートシティーに繋がる発想とそこに対する警鐘を感じることができる一冊。
0投稿日: 2021.03.21
powered by ブクログ遙か先の未来、人間から死が失われた何千年もの生を何回も享受することができるダイアスパーと、テレパシーを発達させ自然と共に生きるリス。アルヴィンがダイアスパーから出て、リスを訪れ、さらに宇宙にまで飛び出る物語で、後半に差し掛かったあたりからはぐんと面白くなった。アルヴィンは久しぶりに誕生した子供ということで、勝手に小さい子供かな?と思っていたが、青年でした笑 普通に面白かったのだけど、もっと思索しながら読めたら良かったなと反省...なかなか言語化が難しい感情を引き起こしてくれた作品です
1投稿日: 2021.01.26
powered by ブクログ文庫本で500ページ程度と、とても長い訳ではないが内容ら非常に濃い。主人公と小説の世界観を一緒に旅したような、感覚となった。 生きる意味、理想の追求の果てに何があるか、という哲学的な問いも考えさせられる一冊。
0投稿日: 2020.12.13
powered by ブクログ地球のはるかな未来の姿、人類の行く末を哲学的な啓示で見せてくれる。SF的手法で思いもつかない未来の都市や人類を垣間見るだいご味を味わえる。今の感覚からいえば自然的には荒廃の極みの地球と、停滞した人類の中から、アルヴィンという未知への探求心に満ちた少年を主人公に、やはり前向きに進もう、という方向でしめくくる。それが、やっぱりそうでなくちゃ、と心地よい。 アルヴィンの住むダイアスパーが人類がコンピュータに生も管理されるという描写は映画「マトリックス」を思い浮かべる。実際文中でアルヴィンが中央コンピュータの前に立つ場面では「都市のパターンは、永遠に凍てついた状態でメモリーバンクに保存され、・・・壁面に埋め込まれた構成情報(マトリクス)と連動している」と表現される。 宇宙へ行ったその後の人類は不死を得、人工知能に管理され、あるいはテレパシーで意思疎通をしているが、新たな発見は無く、停滞している。はるか先の世界で争いの無い世界での停滞、というのは「幼年期の終わり」でも描かれている。はるか未来の地球が現在の感覚からすると「停滞」というのはクラークに限らず、映画でも多く描かれている。これはどうしてなのかなあ。 そして人類の進化の行き着く先は、物理的実態のない「意思の世界」というのも「幼年期の終わり」と同じく描かれている。 確か小松左京の「果てしなき流れの果てに」や手塚治虫の「火の鳥・宇宙編」もそんなだったような気がする。 文庫解説より「銀河帝国の崩壊」「都市と星」経過 1937「銀河帝国の崩壊」の原型となるものを執筆開始 1940 第1稿が完成 1948「銀河帝国の崩壊」の原型となる小説、米雑誌「アスタウンディング」4月号に発表 1953「銀河帝国の崩壊」改稿したものを単行本で発行 1954「銀河帝国の崩壊」を「都市と星」とする作業開始。ロンドンからシドニーへ渡る船上で。(スキューバダイビングに行く途中) 特に情報理論の発展により原子力がもたらしているよりさらに深い革命の起こることが暗示されていた”ため改稿してそれを織り込みたかった。 「銀河帝国の崩壊」を「都市と星」として改稿して発表 1956発表 2009.9.15発行 2020.2.15第3刷
1投稿日: 2020.09.18
powered by ブクログ「都市」は地球文明の象徴であり、「星」は未来の象徴。 さらに、ダイアスパーは都会の、リスは田舎の象徴だと思う。田舎の人は、テレパシーで会話する。
0投稿日: 2020.06.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
12年振りのアーサー・C・クラーク。コロナの影響でどこにも行けないゴールデンウィークだからこそ、ハードSFでどっぷりと世界観に漬かりたいと思い読むことにした。 タイトルからは内容の想像が湧かないが、主人公である少年、アルヴィンの冒険譚といったところ。ただし、少年の冒険とそれを通じた成長を描くだけではなく、物語は人類の今後と宇宙の終焉まで見据えた壮大な物語へと発展してゆく。そのダイナミズムに圧倒される上に、人生の歩み方に関する哲学的な問いまで吹っ掛けられる心地にもなり、視覚的にも精神的にもガンガン揺さぶりをかけてくる、長期休暇に持って来いの小説だった。 この物語の舞台は、超絶凄いコンピュータに都市の全てをコントロールされ、あらゆる苦痛から解放された都市「ダイアスパー」から始まる。管理される世界というと、レイ・ブラッドベリ『華氏451度』、オーウェル『1984年』、ザミャーチン『われら』、ハスクリー『すばらしき新世界』……と、ディストピアと称されるSFを想起する。 私もこのジャンルは大好きでよく読むのだが、読んだ感想として必ずといってよいほど思うのが、「この世界はこの世界で、幸せはあるんじゃないかな」ということだ。自由という言葉の意味などは相対的なものなのだから、自分の周りの社会や、直近の過去や容易く想像できる近未来と比較しているのに過ぎないのだと思う。そうであれば、これから先に上述したような小説の世界観が到来したとしても、それがあまりにも急激な変化でなければ、自明のものとして受容できるのではないか、と。 で、本小説においてはその思いが極めて強かった(まあ、ざっと調べる限り、ディストピア小説なんて呼ばれていないのだけど)。ディストピア小説でよくある設定として、しっかり管理している体だけど結局崩壊する、といった世界観がある。ソ連崩壊的な。 これと対照的に、本小説の都市「ダイアスパー」では、実に十億年もの気が遠くなるような年月を、綻びもなく維持し続けている。もちろん、不穏なことも書いてはある。そこには子どもが存在せず、失意や悲劇という過剰がない故に失われてしまった「想い」がある。都市の外に出ることに恐怖感を植え付けられている。それでも、人はそうした揺りかごですやすやと眠るような幸せの中で生活しているのだ。ユートピアと呼んでさえ良いと思う。この均衡を崩す存在としてアルヴィンがいるが、その存在すらも都市の成立時に意図して組み込まれたものであり、人類はアルヴィンのような人物が現れないダイアスパーを作れた、ということになる。 小説の終盤でアルヴィンが自分の行動が本当に正しかったのかと自問自答する描写があるが、これも尤もなことだと思う。彼が行っているのは、見方によってはユートピアの破壊であるし、十億年単位で平和を維持できるシステムなど、現実には未来永劫出現しないかもしれない。 巻末の解説には、「宇宙に広がり、より高度の知性を身につけようとすることこそが知的生命の証なのだ」(p.476)とあるが、そもそもこうした前提自体に違和感をおぼえてしまう。 でも、この物語を一人の少年の物語と見るならば、アルヴィンは、心の持ち方や生きていく指針を探し求めているだけだ。ダイアスパーとリスを繋ぐことの是非は置いておくとして、彼のそうした気持ちは素敵だなと思う。アルヴィンは確かにユートピアを破壊してしまったのかもしれないが、既存の社会を最適解だと考える必要はないのだし、完全なユートピアなど望むべくもない現実世界においては、こうしたエネルギーこそが世界を動かしてゆくのだろう。 この物語において、アルヴィンは子どもの象徴として描かれる。子どもがこうした気持ちを持つものだとするのであれば、子どもが生まれ続ける限り……生命が受け継がれてゆく限り、生命は変化し続けることを運命づけられているのかもしれない。
0投稿日: 2020.05.09
powered by ブクログ話の運びも細かく設計されている感じがするので、読みやすいし、起承転結もはっきりしている。個人的には『幼年期の終わり』の方が話のスケールは大きくないのかもしれないけど、イメージが大きく揺さぶられる感じがして好きだけど。
0投稿日: 2020.05.06
powered by ブクログ終わってしまった世界の話は、壮大ではあるがあまり楽しむことができなかった。もう少し年を重ねれば違う感じ方になるのだろうが。
0投稿日: 2020.04.06
powered by ブクログNHKの100分de名著で取り上げられるということで、積読を消化したのですが、予想以上の面白さにビックリしました。古典SFって思索的なイメージが強かったのですが、この作品はそのイメージにプラスして、冒険小説のようなワクワク感があるのです。 物語の舞台となるのはダイアスパーという都市。そこでは人間の誕生や死の概念すらも、現代とは全く違います。生まれてくる人間は、始めから成人の身体。不老不死となった人間は、死のタイミングも自ら選ぶようになり、その記憶はメモリーバンクに保存され、新しい身体へ移されます。そして、その記憶は概ね20才前後で蘇る。 そんな人間の誕生から、都市のシステムまで全て管理しているのが、政府や国家でななく、ダイアスパーにある巨大コンピュータ。このコンピュータの管理により、ダイアスパーは完全・完璧な都市として常に機能し続けているのです。 こうした設定が70年前のSFで既に書かれていたという事実……。改めてクラークのすごさを実感します。 この作品の主人公となるアルヴィンは、そんな完全・完璧な都市に違和感を持ちます。そして、都市の外の世界に思いをはせます。しかし都市の他の人々は、外の世界に対し恐怖心を持っていて…… そしてアルヴィンは徐々に都市の秘密に迫っていきます。謎の怪人物の登場、都市の地下に眠る巨大な地図、そして都市の外、他の惑星への誘い……。 アルヴィンの強い好奇心に読者である自分も感化されたのか、都市の秘密にアルヴィンが迫っていく描写が、どうしようもなくワクワクするのです。何より都市の地下に潜る場面は本当にワクワクしたなあ。映画のインディ・ジョーンズを観ているようというか。 アルヴィンの冒険はついに都市の外へ。未知の惑星、文化や自然、超能力。しかし、クラークの想像力はまだまだ終わりません。物語は際限なく広がり、アルヴィンの冒険は、これまで何千年と続いてきた都市や文明の関係性を揺るがす事態にまで、発展していきます。 作品を読み終えた段階で、これはSFの何のカテゴリに当たるのかな、と少し思いました。それほどこのSFで使われるギミックや設定は多いのです。未来社会、テクノロジー、管理社会、宇宙、ファーストコンタクト、超能力、異生物、ロボット、コンピュータ、そして神…… こうした様々な要素を使いこなし、際限なく広がる世界観や作品のビジョンを表現する。本当にただただ圧倒されます。 しかしそうした圧倒的な物語、世界観、ビジョンが展開され示されるなかで、人間の普遍的なものの素晴らしさを謳いあげている作品であるようにも思います。 未知のものに対する好奇心 外の世界を恐れない心 アルヴィンのこの心と行動が、文明、そして銀河系の新たな胎動となるのです。それだけ壮大な物語でありながらも、その根底にあるのが人間の誰しもが持つ心にあることに、クラークの人間観が表われているように思います。 クラーク作品のイメージは『幼年期の終わり』のような思想的な作品のイメージが強かったのですが、困難な状況の中で人の強さや技術の可能性を描いた作品であったり、ジュブナイルを描いたりと、人に対する熱さや暖かさを感じる作品もあったことを、この作品で思い出しました。 思索的な部分もありながら、人間の可能性を強く信じた作品でもあり、ジュブナイルもののような冒険、そして成長物語でもある。様々なSFの要素を、そして様々なクラークの側面を楽しめる贅沢で、そして面白い傑作でした!
10投稿日: 2020.03.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人間を含めたあらゆる物質が管理され、究極的に快適に完成された都市。その外側には何があるのか?と疑問をもつストレンジャー。彼の疑問すらも計算されたもの?という大きな謎がストーリーの根幹です。 唯一の欠点は、10億年の進化を経て登場人物のビジュアルが現生人類とかけ離れてしまっており、映像としてイメージしづらい点。 終盤、人類が地球から宇宙へ再出発を目指します。実はこれは古代文明のお話しで、この人類の子孫が我々である…というスジかと期待しましたがどうやら外れたようです。
0投稿日: 2020.02.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
このSF小説は、宇宙に散らばっていた人類が作っていた「銀河帝国」の崩壊によって、その時代の人類が故郷の星「地球」へ向かう中の主人公たちの謎体験。
0投稿日: 2019.04.11
powered by ブクログ最初の10億年を経た都市の在り様をめぐる冒険は 50年前の作品と思えぬ現代的SF面白さがあり なぜ本作が作者の代表作として知られていないのかと いぶかしむほどだが 七つの太陽星系と銀河帝国物語を接がれた全体を眺めると なるほど『幼年期の終わり』に比べて 大きな差をつけられてしまうのも致し方なし ただ作者の作品としては 第2に読まれるべき代表作には違いないと思う
0投稿日: 2019.01.07
powered by ブクログ訳者の酒井昭伸氏はSFではハイペリオン以来、あまり作品に恵まれていないような・・・。 今回の作品は新作ではありませんが、今までたくさんのアーサー・C・クラークの著書を翻訳してた故山高 昭氏の旧約本と比較してどうでしょうか?
0投稿日: 2018.10.29
powered by ブクログ原書名:The city and the stars 著者:アーサー・C・クラーク(Clarke, Arthur Charles, 1917-200、イングランド、小説家) 訳者:酒井昭伸(1956-、福岡県、翻訳家)
0投稿日: 2018.10.15
powered by ブクログおもしろい。 タイトルに惹かれるて手に取っただけですが、予想の上、さらに斜め上の上を高速で軽やかに踊るストーリーでした。「人類」を進化の尺度で考えた視座に圧倒されました。 作品としては古典に入るほどの昔の作品なのに、全く設定、描写に古臭さがなく、新鮮。
0投稿日: 2018.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後がちょっと締まりない。 それでもこれが50年以上前に書かれたものだとすると、すごい先見の明を感じる。 尚、ヴァナモンド登場の必要性がよく分からない。
0投稿日: 2018.04.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
10億年後の未来.人類は銀河から撤退し,地球に閉じこもって永遠都市ダイアスパーを建設した.アルヴィンはダイアスパーの暮らしに違和感を感じ,都市の外の世界への探索を試みる.しかしそれは都市の市民達が恐怖とともに忌避する行為だった.ダイアスパーの外にはしかし,リスという全く違う考えをもった人々の住まうもう一つの都市があったのだ.そこでアルヴィンは銀河帝国最後の砦だったシャルミレインの湖で太古のロボットや巨大生物との邂逅を経て宇宙船を手に入れる.この宇宙船の登場シーンがまさにファイナルファンタジー.アルヴィンはリスで友人となったヒルヴァーとともに星間旅行に出発,「七つの太陽系」で驚異的な体験を重ねる.そこで高次生命体ともいうべきヴァナモンドと出逢う.地球に戻った彼らはダイアスパーとリスを結びつけて新たな時代を画すのであった.やや消化不良なところはあるが,後のクラークSFの源泉のような印象でした.
0投稿日: 2017.05.21
powered by ブクログ異星人の侵略により人類の築いた銀河帝国が崩壊。人類は異星人を恐れるようになり、地球に都市ダイアスパーを建造、都市の外側から出ないようにされる。そんな都市に子どものような性格を持ち、探求心、好奇心が旺盛なアルヴィンひとりだけが都市から出ていきたがるお話。 まぁ閉鎖された都市から舞台がどんどん広がっていくのは読んでて爽快。
0投稿日: 2017.04.17
powered by ブクログすごく俺好みの本。物語性がかなり強い。ディストピアな感じなんだけど、言葉に潤いがあって、柔らかい。同じクラークだけあって、幼年期の終わりに雰囲気は似ている。
0投稿日: 2016.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アルヴィンは通路を引き返し、ゆっくりと鏡の間をぬけていったーまぶたの裏に、今なお夜空と星々をあふれさせながら。あの光景は、しかし、心を刺激すると同時に、失意をももたらした。あの広大な荒野へ出ていくルートはなかなか見つからないし、そうするだけの筋が通った目的もない。ジェゼラックは、砂漠に出ようものなら、人間はたちまち死んでしまうと言っていた。それも納得のいく話ではある。いつの日か、ダイアスパーを出る方法が見つかるかもしれないが、例え見つかったとしても、すぐに引き返してこざるを得ないだろう。あの砂漠に出ることは、単なる興味本位のゲームであって、それ以上のものではない。おまけに、誰とも共有できず、得るものなど何もないゲームッでもある。とはいえ、自分の魂に宿った餓(かつ)えを癒す助けになるのなら、試してみる価値はあるはずだった。 ダイアスパーは不死の代償を支払ったのだ。それも、とてつもなく大きな代償を。 アルヴィンは理解した。人類のみんながみんな都市移住者だったわけではないことを。人類が機械によって労働から解放されて以来、そこには常に、相容れない二系統の文化同士の対立があったことを。<薄明の時代>、地球には何千という都市があったが、人類の大多数は比較的小さなコミュニティに住むことを好んでいた。交通網が地球の隅々にまで行きわたり、即時通信が可能で必要な時はいつでも連絡を取り合うことが出来たので、大都市で窮屈な思いをしながら何百万人もの人々と暮らす必要を感じなかったのだろう。 人口が減るにつれて、人類は大移動を開始した。最終的に、ダイアスパーが最後にして最大の都市になったのは、そういう流れの終着点だった。 寿命を無限に延ばす力は、個人個人にとっては満足のいくものであっても、その民族の活力を徐々に奪ってしまう。それに気づいた私たちは、遠い昔に不死を捨て去った。 眼下に広がるダイアスパーを見て、アルヴィンは自分が故郷に帰ってきたことを強く実感した。宇宙とその謎がどれだけ自分を魅きつけようとも、こここそは自分が生まれた場所であり、こここそは自分が属するところに他ならない。決して満足することはないが、常に帰ってくる場所ーそれがアルヴィンにとってのダイアスパーなのだ。銀河系を半分がた横断して分かったのは、その単純な真実だった。
0投稿日: 2015.09.03
powered by ブクログやっと読み終わった!ザ・冒険譚! 私はあまり夢らしい夢を見ないからか、いかにも面白い夢、みたいなSFを読むと、夢を見てるみたいで眠くなってしまう。そのせいか「都市と星」を電車の中で開くとすぐに眠くなってしまうので読み進めるのにやたら時間がかかってしまった。面白くなかった訳では決してない。
1投稿日: 2015.06.04
powered by ブクログ十億年以上先の地球に唯一残った都市ダイアスパー。人は何世代も生まれ変わり、前に生きた記憶が保持されるような世界。そこに一度も生まれ変わったことのない(=初めて生を受けた)主人公アルヴィンが生まれ、都市の外の世界に飛び出して行く。 ダイアスパーの成り立ちも興味深かったし、その完璧な世界に違和感をすんなり覚えられるのはアルヴィンが私たちと同じ立場だからだろうな、と思った。人が都市に文字通り作られて、生かされているというのは、健全な社会とは言えないであろうから。
0投稿日: 2015.01.17スケールの増大感が圧倒的
10億年に渡って外との接触を断ってきた都市ダイアスパー。 転生によって永遠に生きる人類が住むその都市から, 外界へ飛び出そうとする少年の世界を巻き込む冒険譚。 ミステリー,冒険,深宇宙,あれやこれやと, 指数関数的に壮大さを増していく展開に引き込まれる。 この話,そんなとこまでいくのかよ!? って。
1投稿日: 2014.10.25
powered by ブクログ”ダイアスパー”という都市名から「襁褓」という字面を想像してしまうのは私だけなんでしょうか・・・いえ、きっと、アクセントの位置が違うんでしょうが・・・宇宙空間に浮かぶ、でっかいオムツ・・・ファンからめっちゃ怒られそうやわ >< 巽孝之が「『2001年宇宙の旅』講義」で ディアスポラdiasporaに通じる、って言ってて、 まあこっちが妥当だわなー。 diasporeってのも響きが似てるなー。 タンポポの綿毛とか。なんのこっちゃ。 でも、こっちのほうがオムツよりマシだな。 「2010年宇宙の旅」、早く着手しろよ、自分。
0投稿日: 2014.09.29
powered by ブクログいわゆるSF小説というジャンルは初めて読みましたが、そういう免疫力がない自分でも楽しめる読み手を選ばない作品だと思います。宇宙レベルの長いスパンで地球や人類のことを考えさせられる。自分も如何に知らず知らずの内に狭い社会的通念に囚われ生きているのかと改めて気付かせられます。著者の他の作品も読んでみたくなりました。
0投稿日: 2014.08.22ダイアスパーはバルタン星人の元ネタ?
永遠都市・ダイアスパーの設定がすごい。都市住民のほとんどが休眠状態で、一部が活性化して生命活動をしているってバルタン星人の設定に似ている気がする。バルタンが死んでも生き返って見えるのって、別の個体が活性化してるんじゃないかなぁ〜。 それはさておき、本作は「永遠の子ども」であり「作者の分身」であるアルヴィンの成長と冒険の物語であり、主人公に感情移入してどんどんと読み進められる、成長・冒険譚。 教師、道化師、別都市との交流でできた友人などサブキャラクターも良い。「彼女」との絡みもあるのだが、物語上さほど重要な存在ではない。この辺が自分好みである(笑)。 かつて銀河に進出して一大帝国を築いたものの外敵との戦いで一敗地に塗れて地球に逃げ帰り、永遠都市にひきこもった人類。 現代日本のロスジェネ、NEET、ひきこもりとイメージがだぶった。僕はアルヴィンに感情移入できたが、変化を恐れるダイアスパー住人の方に感情移入できるという読者もいるだろう。多様な読み方が出来るのも本作の魅力だと思う。
1投稿日: 2013.11.09
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「2001年宇宙の旅」の作者による独特の世界観のSF小説です。 面白くて一気に読んでしまいました。 荒廃し、砂漠で覆われた未来の地球。 そこに作られたシェルターに覆われた人口都市で 暮らす青年を主人公にした物語です。 青年は強い探究心を持って、外の世界への冒険を始めます。 人口都市の世界観や設定がとても細かく、 「もしかして遠い未来は本当にこうなってしまうのかな」と思えるレベルです。 単純に青年の冒険記としても面白いのですが、 SFの世界を通して我々が当たり前に宗教や哲学、社会システム、生活様式に 疑問符を与えるような内容になっています。 個人的には物語の終わりで語られる世界はまぁまぁありかなと思いつつ、 作者の描く気持ち悪いくらい高度に発展した人口都市にも憧れを抱いてしまいます。
0投稿日: 2013.04.17
powered by ブクログ幼年期の終わりよりエンタメっぽくて面白かった。エルヴィンの冒険譚で、変な生物(種族)やロボットが出てきたり、人工の惑星が出てきたり。色々ロマンがあるね。なんと言っても10億年も外界と接触して来なかった世界という設定も面白い。序盤のダイアスパーの雰囲気は良い。ちょっと自然賞賛すぎな感じもあるえけど、ラストの話も想像力豊かでOK。
0投稿日: 2013.03.24
powered by ブクログ20年くらい前に読んだ、同作者の「幼年期の終わり」は衝撃だった。とても面白かった。本作品は前から読んでみようとは思っていたが、なかなか手が伸びなかった(本屋さんに行った時に、毎回そのことを忘れていただけですけど)。 本作品も面白かった。またそのうち読みたい。
0投稿日: 2012.10.18
powered by ブクログ未知なる場所に向かう冒険心や世界の謎に挑む探究心。 そういった知的好奇心の類を描かせたら、著者の右に出るものはいないと思う。
0投稿日: 2012.10.07
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『2001年宇宙の旅』を書いたアーサー・C・クラークが20歳から20年ほどかけて書いた作品で、1955年に脱稿である。クラークは「最高のSF作家」と言われるが、この作品の世界観も壮大であり、内容はSpeculative Fiction(思弁系SF)と言われる。物語は、人類が「銀河帝国」をつくったのち、謎の「侵略者」に負かされて、荒廃した地球に撤退してから10億年、テクノロジーの粋を尽くした都市「ダイアスパー」から始まる。ここでは人の寿命は約1000年、ほぼ成人の体型で合成される。20歳までは両親のもとで都市生活を学び、以後「前世」の記憶がよみがえり、生活する。生殖能力、睡眠など多くの習慣は失われている。また、生活物資は思うだけで合成でき、情報端末のおかげで動かなくても他人と会うことは可能だ。死は記憶を整理し、「創造の館」で分解され、中央コンピュータに記憶されるだけである。ほぼ10万年後にまた「創造の館」で合成されるというのがくり返される。つまり、この都市では人間やそれを取り巻く環境がすべて情報なのである。主人公は、この都市に始めて生まれたアルヴィンである。彼は他の住人とちがい、前世の記憶がなく、ダイアスパーの外に出たいという強い脱出願望があり、自分の実存に苦しむ。彼は「道化師」(都市に計算された無秩序をもちこむのが仕事)の力をかり、「中央コンピュータ」で都市を探索、都市脱出に成功する。外にはほぼ「自然」のままの人類のコミュニティ「リス」があった。彼らはテレパシーで精神を共有することができ、高度な精神文明を築いており、「不死」を捨てた人々だった。リスのコミュニティーで、ヒルヴァーと出会い、友情をむすぶ。リスの探索の途中、ずっと「主」をまっているという異星からきた群体生物とそのパートナーのロボットにであう。群体生物からロボットを借り受けると、アルヴィンはリスを脱出し、ダイアスパーに戻り、リスとダイアスパーが交流することを画策する。また、ロボットの力をかり「主」の宇宙船を発見、ヒルヴァーとともに銀河の知性体をたずねる旅にでかける。その旅の果てにであうのが、かつての人類が作った「純粋知性」の「ヴァナモンド」である。彼を地球に連れて帰ると、今まで信じてきた人類の文明史があやまりであったことが分かる。「侵略者」とは暴走した「狂える精神」であり、人類は幾多の知性体とともにほかの銀河へ去ったのであった。アルヴィンはダイアスパーとリスの交流をすすめ、地球を再び人類が住める環境に整備する事業に従事するのであった。創世記や失楽園などを思わせる壮大な物語だが、語り方はダイアスパーの常識をみにつけたアルヴィンの一人称で展開するので、テクノロジー下で起こる意識の変容とか、異文化接触などの問題を描いている。最初の100ページくらいは延々とダイアスパーの常識が展開されているので、すこし退屈であるが、後半は「センスオブワンダー」に満ちている。情報機器が出現する前にこういう小説があったのは驚きである。
0投稿日: 2012.09.04
powered by ブクログ時間と空間の幅がハンパない。 SFは、アイデア勝負なんじゃないかと思ってたけど、違った。 リアル感だけでなく、作者の深い考察と創造力×想像力が伝わってくる。 時間方向と空間方向への視野が広くなった気がする。 環境と自分を見つめ直すきっかけにもなる。 なるほど、これがSFか。
0投稿日: 2012.06.13
powered by ブクログすべての人間がメモリーバンクに登録され、 青年の体で生み出されて長い長い人生を生き、メモリーバンクに還っていく。 外界から隔絶されたそんな都市で、アルヴィンはただ1人異質な存在だった。 という導入で始まるお話。 最初は自分のことしか考える余裕のないアルヴィンが、冒険を進めるにつれ成長していくのが素敵です。
0投稿日: 2012.03.30
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クラークにしては(失礼!)、キャラクターがたっていて魅力的。特に主人公アルヴィンがなかなかに人間臭い。全般的に、会話に多少イーガン臭を感じる 銀河帝国の歴史も楽しめる。語られる物語がいい。アカシックレコードである、肝心のヴァナモンドの出現は唐突な印象を受けたが。 ダイアスパー、リス2つの都市、どちらか一方が優れてるということではなく、停滞ではなく、不安定にこそ進歩の余地があるというお馴染みのテーマも。 リスからダイアスパーへ帰ってくるあたりから、ストーリーが読めず、結末がどこに行くのかハラハラした。そして、豪腕で軌道修正した印象は拭えなかった。 ただし、リスから帰ってきた後の評議会前後に、アルヴィンが高揚感を感じるあたりのストーリーは秀逸 本筋とは外れるが、10億年後、地球、そして太陽はまだあるのかなーと思ったので、ちらりとでも言及があるとよかったかも
0投稿日: 2012.03.13
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外の世界に出ることを渇望していた少年が、都市の外、星の外を見て最後に選んだものはなにか。地に足を着けて生きることと対比して、人には及ばぬ遠い未来の宇宙の物語を想像させられました。
0投稿日: 2011.12.02
powered by ブクログ読了まで、なんと1ヶ月も要した本です。 非常に苦労したように思われますが、実際はその反対で、読むのが躊躇され読み進めることができなかったのです。 実は、この本は購入したものではなく、図書館で借りました。 読み終わったら手元になくなるのが分かっていたので、なかなか進むことができなかったのです。 返却期限1ヶ月(通常2週間ですが、延長しました)を経過するまで、少し読んでは戻り…また少し読んでは戻り。 昨日、とうとう図書館に返却してきました。 そこまでしなくても…(笑)と言われそうですね。 はい。もちろん購入する予定です。文庫ですから安いです。 面白かった!感動した!というレベルではないです。 何十回でも読み返したい、人生に影響を与えるような本です。
0投稿日: 2011.05.25
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さすがアーサー・C・クラーク。長い!深い!物語。 目次ではそうなっていないけれどおそらく『都市』編と『星』編に分かれている。 まず『都市』のほう。主人公のアルヴィンは永遠の日常の象徴である都市『ダイアスパー』において初めてメモリの中から生をうけることになる。彼が『ダイアスパー』を抜け出し自立して生きようとする都市『リス』を見つけ宇宙船を手に入れるまでがおそらく『都市』編。 そして宇宙船を手に入れ神話の世界であった。遠い銀河の星たちを見て人間はどうして『ダイアスパー』と『リス』にしか見られなくったのかを考える『星』編。 何が凄いかというとやっぱりもってる教養がすごい。 あとSF的要素も1950年代とは思えない逆に言うとそれからどれだけ今発展した展開があるのか気になるぐらいのレベルの高さでした。 精神をメモリバンクに保存して中央コンピュータが管理、永遠の日常のために転生を繰り返すシステム、純粋理性、群体、テレパシーの設定などなどこれでもかってぐらいにSFの味噌みたいな要素ごっちゃりで楽しいですね。 ところでアルヴィンはアーサー・C・クラーク自身を強く反映してるそうですが、思うに子供的なもんの象徴『ダイアスパー』の中から出て『リス』という大人的な社会をもつ都市と交流を図りつつ相互理解を目指す。っていうところを見るに、クラークは心は子供で、つねにそういう好奇心の強いチャレンジャーな部分を持っていてそこをもってして大人な世界とやり合おうっていう思考が見られるように思います。 そのためには人間に対して何故と問い続けることが欠かせない。 それが彼の深い教養の源なのかもしれませんね。
0投稿日: 2011.05.08
powered by ブクログ遠未来SF長編。「ハードSF」ではないけど雰囲気はハード寄りかな。 同作者の「銀河帝国の崩壊」のリメイク作品、みたい。巨匠アーサー・C・クラークの集大成! 10億年続いた銀河系最後のユートピア「ダイアスパー」が次の時代に進むまでのお話、です。 「遠未来の・完成された・ユートピア」って異質な舞台でありながら世界構築がとにかく素晴らしい! 50年前の作品とは思えないね。 もちろん物語もわくわくどきどきです。SFってジャンルの本質を体現してるんじゃないかな。 訳は全体的に柔らかめ・あっさりめ。読みやすいので幅広い層におすすめ!
0投稿日: 2011.04.14
powered by ブクログ遥かな未来、地球上に唯一つ残された永遠の都市・ダイアスパー。かつて銀河帝国の覇権を謳歌していた人類は、帝国の崩壊によって地球へと引きこもり、あらゆる環境を完全制御できる閉ざされたこの都市で自らの生体情報をも完全にデジタル化して事実上の不死を生き続けていた。もはや宇宙はおろか都市の外にすら出ようとしない人々の中で、たった一人、外の世界への興味を持ち続けている少年アルヴィンは「ユニーク」と呼ばれる存在だった。外界への情熱断ちがたい彼は、ついにダイアスパーから外へ出る方法を見つけ出すのだが・・・。 約10億年後の未来を舞台にした、気が遠くなるほど遥かな未来の物語。元は短編「銀河帝国の崩壊」という作品で、クラークが船旅の途中で長編にリメイクしたもの。そのせいなのか、分厚い割にストーリー展開はやや冗長で、スケールでかい割りに淡々とした筆遣いです。 停滞した未来社会をブレイクスルーせんと冒険の旅に出る、若者の成長物語・・・といったまとめ方ができる作品なんでしょうが、ここまで来るとSFというより幻想小説ですね。それなりに面白く読み進めましたが、うーん、鴨的にはあまり心に響くものはなかったなぁ。登場するキャラクターがステロタイプで今ひとつ感情移入できなかったし、物語の展開もややご都合主義なところがあって「そう行っちゃうかなぁ〜」と疑問に思いつつ読んだところが敗因ではないかとヽ( ´ー`)ノ世間擦れしてから読む作品じゃないのかもしれませんねヽ( ´ー`)ノもっと若いうちに読めば良かった。 物語の後半で壮大な冒険を経験したアルヴィンは、様々な想いを抱えて地球へと帰還します。その後の人類がどうなったのか、この作品では描かれていません。人類が大きな変化を経た後の未来が果たして良い方向に進むのか、いやそもそも人類にとって「良い」未来って一体何だろう?そこをはっきり描かないラストは、クラークの他の代表作である「幼年期の終わり」や「2001年宇宙の旅」と共通しています。 この閉塞感溢れる21世紀にクラークがもし生きていたら、どんな作品を書いたんだろうなぁ。
0投稿日: 2010.09.02
powered by ブクログ遙か未来、銀河帝国の崩壊によって地球に帰還することを余儀なくされた人類は、誕生・死さえも完全管理する驚異の都市ダイアスパーを建造、安住の地と定めた。住民は都市の外に出ることを極度に恐れていたが、ただひとりアルヴィンだけは、未知の世界への憧れを抱きつづけていた。そして、ついに彼が都市の外へ、真実を求める扉を開いたとき、世界は……。20世紀SF界の巨匠が遺した、『幼年期の終り』と並ぶ思弁系SFの傑作、待望の完全新訳版。解説:中村融 ___(感想)前半が結構辛いですが、後半は素晴らしいです。さすがアーサー!といったところでしょうか。アーサー・C・クラークが好きな方にはおすすめです。個人的には『幼年期の終り』の方が好きです。
0投稿日: 2010.01.04
powered by ブクログ最初の一行から、がん!があって最後までそのテンションが下がらない稀有な傑作だと思いました。はるか未来の地球のある一つの町に生まれた異端者の青年の「外を見たい」という単純な思いを描きつつも、外に行って別の場所を見ると、更にそれは宇宙へと広がっていく・・・途中で宇宙オデッセイになり哲学になり宗教になり、そして最後実に意外な人間史が語られる。細かい部分の設定(子供が生まれない世界とかロボットとか中央コンピューターとかヴァーチャルとか)まで物語としても楽しめるし、当時書いたというのが信じがたかったです。
0投稿日: 2009.10.26
powered by ブクログふらっと入った本屋で購入。 銀河帝国の崩壊の改訂版とは知らず・・・ 最初の都市名を見た瞬間どこかで読んだなぁと思ったはずだよ。 再読してくっか・・・実家に帰らねば、父親の持ち物だし。
0投稿日: 2009.10.13
