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powered by ブクログ(澤野利章先生) 日本大学図書館生産工学部分館OPAC https://citlib.nihon-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=1000242670&opkey=B176282555771968&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0
0投稿日: 2025.11.11
powered by ブクログ面白いとか面白くないとかじゃなく、「読んで良かった」と思える作品。誇張でもなんでもなく、死ぬまでに読めて良かった、出会えて良かったと思える作品でした。 時代背景が、家父長制の色濃く残る明治だったり、キリスト教の話が全体を貫いているので、馴染みがない人にはやや理解し難い部分もあるかもしれないですが、多くの人に読んでもらいたい小説です。著者のプロフィールを改めて読むと、まさに三浦綾子さんにしか書けない作品なんだなということが、よくわかりました。 表紙絵も、読後に見ると一際胸にくるものがあります…
10投稿日: 2025.11.09
powered by ブクログ30歳にして読書にハマりたいと思い、いろいろ話題の本を読んでみたが、中々自分に合わず挫折することが多かった。しかし塩狩峠は毎日夜20ページずつ読んで久しぶりに読了できた。 感想としては、初期の信夫にはかなり共感できる部分が多く、仏教を重んじる自分と重なった。キリストと出会い、信夫の心境が変化していくのが描かれている。最後の方は信夫が聖人のようになり、ついていけない部分があったが、キリスト教はそれほど影響を受けるのかと思い、聖書に興味が出てきた。 関西の兄貴、信夫の父が、あの事件を受けどう思ったか気になる。いずれにせよ読書にハマった最初の1冊として大事にしたい。
2投稿日: 2025.10.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人間には邪な気持ちや、邪悪な心が潜んでいると思っている私にとって、伸夫の清廉潔白さは受け入れがたい。 でも、物語としては読んでよかった。ふじ子が事故現場に向かうところはウルッときた。
1投稿日: 2025.10.11
powered by ブクログ再読。ン十年ぶり。カトリック女子大に通っていたころ、三浦綾子さんにはまってよく読んだ。 すっかり日焼けした、小さな文字の文庫本の奥付には平成2年とある。 実話をもとに書かれた小説であるが、まあ、そんなことはどうでもよい。とにかく純粋な主人公永野信夫という人とその人生にひきこまれる。 明治の時代、不治の病と思われていた脊椎カリエスを患っている恋人を長年見舞い、一途に愛し続ける。それだけでもありえないような話なのに、その大切な人たちを置いて、縁のない偶然に客車に乗り合わせた人々のために自らのからだをもってその多くの命を救う。 この人のなしえたことのただひとつも自分はできないであろう。 多くの三浦綾子作品を読んだが、深く感銘を受け何度も読み返したのは『ひつじが丘』と『水なき雲』である。 いずれももちろん深いキリスト教の教えが柱ではあるがこの塩狩峠に比べると物語性がある。塩狩峠は真正面からキリスト教の教えとただひたすらに「犠牲」を描いた作品
8投稿日: 2025.10.08
powered by ブクログ著者、三浦 綾子さん(1922~1999)の作品、ブクログ登録は、4冊目になります。 で、本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。 ---引用開始 結納のため札幌に向った鉄道職員永野信夫の乗った列車が、塩狩峠の頂上にさしかかった時、突然客車が離れ、暴走し始めた。声もなく恐怖に怯える乗客。信夫は飛びつくようにハンドブレーキに手をかけた…。明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った一青年の、愛と信仰に貫かれた生涯を描き、人間存在の意味を問う長編小説。 ---引用終了
78投稿日: 2025.10.08
powered by ブクログ祖母、父を子供時代にあっけなく亡くして、生と死に向き合いだす。 尊敬できる友人と出会い、影響を受け成長し、自分自身にも正直になっていく。 執着せず、フットワークも軽く、変化していく。 主人公の変化、成長していくさまの描き方がよかった。 人の生き方、幸せとは、自分を満たすことだけではない。 現代の生き方や幸せは、お金に集中しすぎているけど、いろんな生き方、考え方があると思えれば、もう少し生きやすいのかもしれない。 内容とはそれるが、宗教の教えに忠実に生きる人が聖人のようになる一方で、戦争の原因になるのも宗教で、 どうしてこんなにも両極になるんだろうと思う。
1投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なんとなく結末は知っていたものの、主人公にモデルがいて、実際の事故を元にしたお話だとは知りませんでした。 『氷点』シリーズを読んだ後だったので、信夫と、海難事故の際の牧師さんの姿が重なりました。 他者のために自己犠牲が出来るかと自分に問うと、無理だと即答してしまいます。 また、宗教心も全く持ち合わせていません。 だからこそ、自分とは異なる信夫を通して、「生き方」「信仰」について考えさせられました。 幸せの絶頂手前で、婚約者を失ったふじ子さんの、ラストの慟哭が涙を誘いました。 が、あのふじ子さんなら、ひとしきり泣いた後は、信夫を誇りに思い、変わらず清廉に生きていくのではないだろうかとも思います。
1投稿日: 2025.09.25
powered by ブクログ久しぶりの再読 名作ですね どうしても信仰や犠牲が取り上げられるけど、なにより信夫が幼少期から思慮深く考えを巡らせながら成長していく姿の描き方が素晴らしいと思った。
2投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分の命を隣人のために犠牲にすることは常に善と言えるだろうか。と思いつつ、このラストの善悪を議論するのはナンセンスだろうな。信夫にとって善であれば、世がなんと言おうと善。多分、信仰や神に仕えることって他人の評価に左右されるものではないから。 吉川とか中村春雨とか、否定もせず肯定もせず自分の芯を保てる人ってカッコいい。そんな人たちに信夫は憧れたんだろうね。キリスト教徒ではないけれど私も素敵だなって思う。人は1人で生きているわけではないから、いろんな人の考えに触れて思考が深まって芯が固まっていくんだと思う。 それにしても深く考えたいことが山ほどある本だなぁ。消化するまでに時間がかかりそうだ。
1投稿日: 2025.09.21
powered by ブクログ人はなんのために生きるのか。生と死、そして宗教観を考えさせられた作品。宗教的な部分については、いろいろな考え方があるだろう。私はキリスト教ではないので、完全に共感できたわけではないが、こういう考えもあるんだと勉強になった。否定も肯定もしながら読み勧めた。読めて良かった。
12投稿日: 2025.08.26
powered by ブクログ人が死ぬエンディングって嫌い 塩狩峠大好きな方はごめんなさい、バックして ミービフォアユーとかもそうだったけど、人が死んで、切ないエンドって嫌い 心にずっと残って、いがいがする ふじ子さんがかわいそうだった、なんでそこで死ぬの? ハッピーエンドの流れだったじゃん、、、 ハピエンドの流れで急にくるって向きを変えられると、心臓が持たないよ ちょっと病みみたいな投稿ごめんなさい、病んでなーいよー 切ないエンドが苦手なだけです というかブクログ歴5年を過ぎました、私の人生においては結構長い! 言うて2年ぐらいは低浮上だったけど 中学受験期が1番浮上してた笑 これからもマイペースに感想書くので、よろしくお願いします!!
9投稿日: 2025.08.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
道徳的な、読むと自分も立派な人間になれる気がするようなお話。また読みたい! 信夫という1人の人間の幼少期から、大人になっていく中で色々な価値観が変わっていくのを一緒に感じることができた。その中で出る悩みに共感したり、不思議に思ったりと楽しかった。 祖母と父の最期を見てあんなに急死を恐れていた信夫が、一瞬で自分が犠牲になってでも周りを助ける道を選んだんだなあと思うと… あんなに想っていたふじ子とせっかく一緒になれるところだったのに。幸せになってほしかったけど、信夫に迷いはなかったんだと思った。 聖書を読みたくなりました。
0投稿日: 2025.08.23
powered by ブクログ宗教・信仰・死生観・性、主人公の永野信夫の生涯を通じて考えさせられる作品でした。 決して明るくはない作品ですが、登場する人物は共通して真っ直ぐな人物に描かれていて、捻くれた者にもそれは感じました。 それが登場人物の信仰の影響なのか、作者自身の人に対しての想いなのか。 私自身は何かに信仰はないが、宗教そのものが究極の依存であり生き方の指針になり得るものなのだろうと感じることはできました。 時代背景はかなり前ですが、史実を踏まえていることを含め、貴重な読書体験でした
13投稿日: 2025.07.30
powered by ブクログ生き方を学ぶ 主人公永野信夫がとにかく思慮深く、自分自身にとことん正直な人間で、そこに惹かれるものがある。 とにかく馬鹿正直で、誰しも経験し得る感情でありながらも言葉にする程の事でもないようなことを、丁寧に気持ちを紐解いて赤裸々に語る場面がたくさんあり、良い意味でなんだかむず痒い気持ちにもなる。 キリスト教の考えについては正直よくわからないのだか、信夫の生きる道、死生観というのは、自分ごととして深く考えされられた。 個人的には、父の貞之の遺書が泣けた。 私の読書家としての経験の少なさ故か、後半は疲れて読み飛ばしたくなるようなところもあり、感動も何故か薄れてしまった。
0投稿日: 2025.07.29
powered by ブクログ自己犠牲って、独りよがりだなと思っていた。偽善とまでは言わないが、主人公の選択は良いことだったのだろうか。でもそうしたら、どうするのが善だったのかという話にもなってくる。何もしない人間が口を出せる領域ではないなと思った。
0投稿日: 2025.07.28
powered by ブクログ決して明るい作品ではないけれど、登場人物はみんな根が真面目で、ひねくれた人もどこか真っ直ぐなひねくれ方をしている。 物語が進む中で「人を許す」ということを身につけた主人公を見て、「人としてすごく強くなったんだなぁ」と少し置いていかれたような感覚になった。
1投稿日: 2025.07.26
powered by ブクログ長年想ってきたふじ子との結納の日に、自らの命を犠牲にし、多くの乗客の命を救って死んでいった永野信夫。 信夫にそこまでの行動をさせるキリスト教、宗教、もっと大きく信仰とは何だろうと思った。 正直、神や仏に対する「信仰」は私にはピンと来なくて…。絶対的な存在に対する「崇拝」も理解し難いなぁと思う。 でも、神や仏ではなくて、家族に対する「家族愛」、幼い頃、古くからの友人を大切に想う「友愛」など、目に見えないものを(家族愛や友愛など)存在すると信じ、支えにし、必要に感じることは「信仰」に近しいんじゃないかなと思ったり…。 "家族とはこうあるもの、こうありたい"などのように、信仰は目に見えないものに対する願いのような、祈りのようなもの。そして希望でもあるのかな。 また「信仰」するってことは信仰対象に「依存」するってことになるのかな。 など、ぐるぐると色んなことを考えるのが楽しかった。 久々に良い作品読んだなぁと余韻に浸っています。
2投稿日: 2025.07.17
powered by ブクログ宗教色が強かったものの読みやすかった。物寂しさがのこる儚い終わり方であったが、信夫の人生について考えてしまった。実際のモデルになった人物についても夜中に調べるなどした。 なぜかxxxHOLiCの登場人物で頭の中で情景を浮かべながら読んでいました
1投稿日: 2025.06.18
powered by ブクログSNSで泣ける本と見たため読んでみました。 時代的に前のお話で宗教に対する知識が欠けていたため難しかったです。 ただ人間の欲は不変だなぁと感じました
8投稿日: 2025.06.18
powered by ブクログ高三の時担任から勧められたのがキッカケで読んだ本。久しぶりに再読。一番好きな小説かも。めっちゃ悲しくなるけど。 18歳の俺よりも29歳の俺の方が思うことはやや多かった気がするけど、芯にある感情は全く同じだったと思う。終盤の主人公のような人間になりたいって強く思う、キリスト教への信仰関係なく。やっぱ筋通ってる人間ってカッコいいんだよなとにかく。 別の本で「『信仰』の信仰」って概念出てきて、俺は結構それを支持してる。信仰ってなにも宗教に限らないと思ってて、自分が思う正しいことに邁進できる人生を送りたいと常日頃多少思ってるし、この本を読んでその気持ちを強く思い出した。ただ隣人愛ってほんと難しいな、今の方が出来てないかも。 信夫の三堀への信仰告白文はあまりに刺さり過ぎる。隣人愛や謙虚のつもりが、実は相手を見下していたこと、それを誠実に自認すること、素直に頭を下げること。キリスト教関係なく、自分が信じるものへの信仰の深さが最も大切なものの一つだと思わされる。 自分にとってクソ魅力的なキャラの隆士にいさんが終盤信夫と結婚について話し合って涙ぐむ場面、何がそうさせてるか分からなくて自分の感受性の低さに震える。信夫に話が通じないことが悲しいのか、信念を持っている信夫に感激しているのか。前者だと隆士にいさんちょっと理知的じゃないかもって思うけど、当たり前か。 ただほんと一点、信夫も(恋愛的な)愛を知ってるんだよなー。ここだけが、短いけど29年間ずっと謎。人類への愛はあるつもり。ただ個人への愛とは果たして。 解決した時の自分の顔を見たいです。
3投稿日: 2025.06.15
powered by ブクログ伸夫の人生にはとても感銘を受けた。 キリスト信者ではないが、人生の教訓を得た気がした。 彼自身になった時果たして自分は同じことができるだろうか。 実話だったと聞いて尚更衝撃を受けた作品。 読み応えがあり、ふじ子のことを思うと胸が痛くなった。
0投稿日: 2025.06.12
powered by ブクログ泣くほど感動している人が多いと聞いて身構えてしまっていたせいもあるのかあまり感動はしなかった もう少し最後の列車のシーンが細かく描かれていたらな 宗教色が強くあったけど読みやすかったと思う
1投稿日: 2025.06.10
powered by ブクログ一人の青年の生涯を丹念に描かれた静かな一冊。若さ故の反発や不安定さを経て、人生の岐路に直面し、何が大切かを考え信じる道を見出していく。塩狩峠での出来事は一瞬だったが、その一瞬がいかに訪れたのかがそれまでの生涯で分かる。
7投稿日: 2025.06.08
powered by ブクログすごく読みやすかった。 泣ける本、と聞いて読んでみたけど泣けるというより突然起こった出来事に そんな………………とショックを受けた。 主人公、すごいな〜そうは生きれないな……… 聖書に全く興味なかったけど、読むと面白そうだな〜!と思った。
0投稿日: 2025.06.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
宗教色強め。 結局、史実ではなぜナガノ氏が死を遂げたかは諸説ある。 とはいえさすがの三浦綾子、心理描写は稀なるもので、すさまじい。 主人公の幼少期から思春期に感ずる死への概念は、自分の幼い時からの気持ちを順に掘り起こされるようだった。 私は「まじめか!!」な主人公よりも、実直で欲張らないのにずば抜けている吉川修、素直であるがままの隆志が好きだな。
3投稿日: 2025.06.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私はキリスト教、いや、宗教には全く興味はないのだけど、この一冊を読み切った。 最初は時代設定や宗教がテーマということもあり、なかなかついていくのが大変だったが、信夫の真面目すぎる人間性や吉川との友情など、世界観に引き込まれていった。 生い立ちからあれだけ毛嫌いしていたキリスト教が、大人になったあとは自分の支えとなり、さらにはその教えの影響もあり死んでしまうとは。 ふじ子に対する愛の深さ、また、ふじ子から信夫への愛の深さにも感動を覚える。 泣いたりはしなかったが、とても悲しい素晴らしい話だった。
0投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログ最後は衝撃とともに胸を打たれました。 幼少期からの主人公の心情の変化、成長が丁寧に描かれていて、登場人物が優しい心の持ち主ばかりなので読んでいて心地良かった。 主人公は実在された人物の原型で、著者が創りあげた人格として描かれています。あとがきにある実在の人物のエピソードも読み応えがありました。 どう生きるかを深く考えさせられる物語でした。
31投稿日: 2025.06.02
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何も知らずに手に取ったので、最後まで読み終わり モデルになった方が居ると知って驚いた。 とても立派な方だと思われるし、人生で一度はお会いしたかった。 宗教の話は普段あまり進んで取り入れないのですが、 人物描写がとても素敵で、物語の流れで素直に受け取れました。 ただ、いつか友の為に命を投げ打つことが愛だと思える日が来るのだろうか。。 今の自分では、たった一人の隣に居る人の為に 生を諦めないことも深い愛だと思う。 ただ、比較して考えることが本筋ではないと思うのでこの辺で。 自分の命への責任感が強くなった一冊でした。
0投稿日: 2025.05.29
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Xで感動、泣けるみたいなことを誰もが言ってたので拝読 涙こそ出なかったが、確かに感動した 主人公の小さいころからその犠牲の死までを描いた。最後は結納の日に塩狩峠で暴走する列車の下敷きになって死んだ。 三浦さんはクリスチャンとのことで、主人公の周りにはいつもキリスト教があり、その教えがあった。 自分の大切なもの(いのち)を誰かに与えられるだろうか…自分にはとてもできないとおもった しかも実在の人、事件が元になっているそう。 塩狩峠にいったらその人のために祈りたいと思った
0投稿日: 2025.05.28
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予備知識なしで読んだので、信夫のラストと、実話を元にした小説だったことに驚いた。 もし信仰を持っていたとしても自分は信夫と同じ行動をとれるだろうかと考えたが、たぶん無理…というか、わたわたしている間に落ちているだろう。咄嗟の時に冷静に行動できるかには、人間性や人生観が反映されると思う。 こういう話を読むといつも思うが、人が死ぬのは忘れられた時というのは本当だと感じる。信夫は死んでしまったが、その死により信仰が広がりたくさんの尊敬を集め、何十年経った今でも、(作中でも読者の現実世界でも)忘れられずに生き続けていると言えると思う。
0投稿日: 2025.05.24
powered by ブクログ宗教物は苦手で、読むのに時間がかかった。信仰とは関係なく、人のために犠牲になれるのはすごいなと涙した。
0投稿日: 2025.05.19
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三堀は自分と重なる部分が多い。三堀を通して見てるみたいだった。信夫の死の後の三堀は変わったらしいが描写が極端に少ない。作者から自分にどう変わったか問われてる気持ちになった。 信夫は死ななくていいターニングポイントはたくさんあったが死んだ。信夫は死ななくてよかったんじゃないかと思わせたかったのだろうと強く感じた。ふじ子が立ち止まって信夫はまだ生きていたと思った描写が憎い。 もしかすると、「信夫は死ななくてよかったんじゃないの?」と思わせたかったのは信仰への疑問を表現したかったのではないかと思う。 そう感想を持った私はやはり疑い深い三堀なのだろう…
3投稿日: 2025.05.18
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人物描写がうまいなと思います。登場人物がどんな人間なのかイメージがわいてきますね! また、宗教について考えさせられました。自分は、神とか宗教って争いの種にもなるし、いらないじゃん…と思ってた人なので。 ヤソとか言ってた信夫の心の変化も丁寧で違和感なくキリスト教になることを受け入れられました。 三堀視点の物語も読んでみたいですね…。
3投稿日: 2025.05.06
powered by ブクログよかった。 塩狩峠で自らの命を賭けて乗客の命を救った、鉄道職員でありキリスト教信者でもある永野信夫の生涯を描いた一冊。 信夫の常に正しくあろうとし、あらゆることに真摯に向き合い考えつづける姿、信仰に身を捧げる姿に心動かされた。 信夫は、ただ正しいだけではなく、欲に振り回されたりそれを律したり、悩み葛藤したり、共感できるような人間らしさもあってそんな中でも立派にあろうとする姿がまぶしい。 古い小説だからどうかなと思い読んだが、人間の生と死、性、信仰といった普遍的な悩み、葛藤が描かれていてじわじわ引き込まれた。 また、出てくる人物たちも尊敬できたり、共感できたり、自分も持っている弱さをその人に見たり、魅力的かつ示唆に富んでいる。 信夫の生き様から、宗教をもってなくてもキリスト教の教え、考え方をもっと知りたくなった。 劇的な展開はなくて少しじれったさを感じる部分もあったが、ゆっくり丁寧に描かれている分登場人物らの魅力がより伝わってきた。 ☆4.3
1投稿日: 2025.04.28
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読み進めるにつれて永野信夫に魅せられ、、なのにこんな結末になるとは、悲しかったです。 三浦綾子の本は好きだし、読んでいて心が落ち着きます。あとがきにあるように、永野信夫はたしかに、一生自分の胸の中に生き続けるし、それこそ腹にこたえる小説でした。 ただ、最後まで胸いっぱいで読んでいたのに、だんだんとキリスト教推しのような文章が見受けられ、 最後の方は、まるで永野信夫の殉死を利用してキリスト教を布教しているように感じてしまい、萎えました。 永野信夫が、さもキリスト教信者だから人のために犠牲になることができたという風に、永野信夫の人格がキリスト教に覆われてしまったと思います。 幼少期の描写から、心の中までまっすぐで素直で優秀な永野信夫は、信仰がなくとも、立派な大人になったと思います。キリスト教信者だから、立派な死を遂げたのではないと思います。 あとは、 あとがきにもあるように、この本を通して聖書の購解になっていると言えると思いますが、 信者の人たちは、良いことも悪いことも神のお導きにするんですか?と思いました。 (永野信夫の殉死のことではなく、)事故自体はあってはならない事故なのに、だんだん事故を美化しているようにさえ思えました。。キリストの教えは、役に立つ部分もあるとは思いますが、後半のあの熱狂は萎えました。(逆にこれがなければ、むしろキリスト教信者になっていたかもしれないくらいに目が覚めました笑)
2投稿日: 2025.04.23
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命を大切にしてほしい。 この行動が、キリスト教の精神なのか。最後まで読んでまずそう思った。 列車に飛び込んでも止められないかもしれないし、逆に脱線させてしまうかもしれないとは考えなかったのか。目的を達成して多くの命を救い、信仰を広めた信夫。長い闘病に打ち克ち、やっと結納を迎えたその当日に彼を失ったふじ子。 「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん。」 皆の為に簡単に、捨てるように生命を投げ出すのが、素晴らしい、賞賛される生き方なのか。 信仰を持たない自分には理解が及ばない境地。 前半では、信夫の幼年期からの家族や友との関わり、キリスト教との出会い、揺らぐ心が丹念に描かれていた。 後半は、信夫がどんどん崇高な精神になっていき、衝撃のラストを迎えるが、読み手が凡人でついていけなかったかな…。
0投稿日: 2025.04.22
powered by ブクログまだわたしが中学生?高校生?の時に母に薦められてた本でした。その時は難しい内容だと思い込んで読む気になれませんでした。 でもたまたま本屋さんで『中学生に読んでもらいたい本』という冊子の中にあったので、中学生でも読める本ならばと思い読み始めました。 文章が読みやすく心地よかったです。三浦綾子さんの人柄なのか、明治という時代背景なのか、キリスト教の教えなのか、全体的に優しくて素直で純粋な世界観でした。
10投稿日: 2025.04.21
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じっくり自分と向き合って、さまざまな人と出会い、別れることで自分の生き方を見つけることができるのだと思う。 それには、やはり長い年月が必要で、30歳でも早いくらいなのかも知れない。 本人が望んだ人生の終わりであって こちらが悲しむのは違うとわかっていても なぜ今このタイミングで…と思ってしまう結末だった。
1投稿日: 2025.04.19
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僕は、宗教を信仰しているということにあまり良いイメージを持っていなかった。世界の情勢をよく理解しているわけでもないのに、宗教戦争と聞くだけで宗教という概念が存在していなければそんな戦争も起きないのではないか、と。 しかし、ふじ子の性格や信夫の死を見ると、宗教を信仰していることで周りの人に優しく接したり良い影響を与えたりできることに気づいた。この本を読んで、宗教が必ずしも悪いものではないのだと知れた。
3投稿日: 2025.04.01
powered by ブクログ有名な作品なので、結末が分かりつつ主人公の人生や心の葛藤を読み進めるのは初めての感覚だった。 宗教が生き方や死に方に影響される感覚は理解できなかったけど、その世界観に触れた事は無駄ではなかったかと思いました。
8投稿日: 2025.03.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人の一生を描いた作品は本当に読後の満足感が凄まじい。感動する所も多く、思わず涙が出てきてしまうところもあった。自分の考え方と違えど、なるほどそういう考え方もあるのだなと勉強させられたいい作品でした。しかし信夫の一生を見てきたからこそ、あらすじにもあるように、この人もやがて死ぬのだなと思うのが辛かったです。いい作品に巡り会えました。
1投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ昔の価値観とかがわかって、読んでよかったと思えた一冊。 聖書を読んでみたいと思った。この本もまた読もうかな。 3点代後半と迷ったけど、ぎりぎり4.0点ってことで星4つ。
2投稿日: 2025.02.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
塩狩峠の事故を美談として描いた一冊。 私は美談とは逆の感想を持った。 幸せとは何か。子が健康で、伴侶と仲が良くて、親孝行ができることではないかと私は思う。自己犠牲により多くの命を救う、それは信夫にとって大切なことであり、ふじ子はそれを誇らしく思った。美談かもしれないが、信仰がなかった場合どうだろうか。信夫は旭川に行かず、ふじ子を幸せにできたのではないだろうか。 私は多くの知らない人の命より、妻や家族を大切にする方を選ぶ。少なくとも死ぬようなことはしない。 話としてはおもしろかった。信夫の成長が緻密に描かれており、登場人物も魅力的だった。
3投稿日: 2025.02.14
powered by ブクログよく「新潮文庫100」で見かけていた小説。 あらすじはなんとなく知っていたが、どんな過去がそうさせたのかなと気になっていた。 感動した。永野信夫という青年の生きかたに。 幼少期からの多くの出来事や出会いが影響し、生きかたについて深く考えた末に行き着いた答えだったんだなぁ。 やっぱり、信じるものを持つ人は強い。それは、宗教だけに限らずとも。 親がそうだから、ではなくて、自身が信じたいと思ったから。だから、より想いも強かったのだろう。 彼は、聖書の言葉を実践していき、どんどん人間らしさとはかけ離れていったように感じた。 あまりにも美しすぎて、まるで神様みたいで。 「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん」という聖書の言葉。 他人のために自分の命を捧げることが、はたして自分にはできるだろうか。 彼のような人がこの世にいたということ、こんな生きかたをした人がいたんだということ、胸に刻んでおこう。 この先、塩狩峠に行くことがあれば、必ず思い出すだろう。
58投稿日: 2025.02.07
powered by ブクログまさかの結末に驚き。心に深くずっしりのしかかるものが残って読み終えた。続きが気になって、時間を忘れて一気に読めた。心から愛した人と結ばれる直前の死、悲しすぎる。
2投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログ恐らく中学生のころに1度読んだ本。 ラストに衝撃を受けたという断片的な記憶で、 大人になって読み返して、改めて主人公の人間性に感銘を受けた。 こんな生き方ができる人がいるのだろうか…
2投稿日: 2025.01.10
powered by ブクログすごい本を読んだ、私は全くキリスト教信者ではないけど、信夫と自分と向き合い続ける姿勢は共感できて大袈裟じゃない表現で親近感すら持てた、振り返って考えたい言葉も多数、ほんとに読んでよかった 人生考える上で欠かせない本になったかも
2投稿日: 2025.01.03
powered by ブクログ一粒の麦、 地に落ちて死なずば、 唯一つにて在らん、 もし死なば、 多くの果を結ぶべし。 (新約聖書 ヨハネ伝 第一二章 二四節) 続いておびのりさんの本棚から 冒頭の一文は本作の冒頭に書かれている新約聖書の言葉です 超有名な言葉で、キリスト教の信者でなくともどこかで聞いたことあるかもしれませんね もちろんこの小説の主題となっている「犠牲」についての言葉です イエス・キリストが十字架にかけられる前夜に弟子たちに残した言葉とされています 意味は「麦が自分一個にこだわって死ななければ、それはただの一粒の麦にすぎない。 しかし、土の中で死ねば他の多くの実を生ずる」ということです そこから「一粒の麦」ということわざにもなっていて、こちらの意味も「人を幸福にするためにみずからを犠牲にする人。 また、その行為。」となっています つまりこの物語は「一粒の麦」となった人の物語なんですな 無理よな〜って思う わい無理よ「一粒の麦」は「一杯の麦茶」も無理よ(なんだそれ) でも、あれやな 素直に感動したもんね すごいな〜って思ったもんね なんかちょっと人のために出来ることってないかなって思ったもんね まぁ、とりあえず今のところはそんな程度で良しとしましょうよ どんなもんでしょう?イエスさん
76投稿日: 2024.12.31
powered by ブクログお産の時に母を亡くし、仕事に忙しい父に変わって、厳格な祖母に士族の子として厳しく育てられた信夫。祖母の死をきっかけに、死んだと聞かされていた母と妹との生活が始まります。母は死んでいたのではなく、キリスト教信者だった為に家を出されていたのです。 祖母からキリスト教は邪教だと聞かされて育ったのに、ともに暮らす父母妹はキリストを信仰している。信夫は思い悩みながら成長していきます。彼なりの結論に達し、やっと幸せになれると思ったのに、大勢の人を救うためにある決断をします。 信仰のために幼い子どもとの生活を諦める人の気持ちは分かはなかったけど、それは私が無宗教だったり、世の中の大きな変化や価値観が大きく変わるような経験をしてきてないからなのか、、、そんなアレコレも考えつつ、信夫の心境の変化が興味深かったです。 明治時代のお話しなので、学年を勘違いして読み進めてギョッとしたりも。信夫の中学卒業記念に従兄弟が吉原に連れて行ってくれて、「えっ、早くない?明治ってそうなの?」とか動揺しました。今の高校卒業くらいの年齢でした。 実際にあった鉄道事故を元に書かれたお話のようです。塩狩峠行ってみたいな。
11投稿日: 2024.12.27
powered by ブクログ明治期に旭川へ向かう列車が途中で暴走… 今後もし旅先で塩狩峠を通ることになったら偲びたいと思います。 身を犠牲にして乗客を救った一人の人生。 高校生くらいの時に出会いたかった本です。
1投稿日: 2024.12.04
powered by ブクログ三浦綾子さんの作品は読みやすいので、代表作のひとつである塩狩峠も読んでみました。実在した人物をモデルとし、実際に起きた悲しい事故を題材にしているとのこと。かなり宗教色が強いです。主人公信夫は少年時代は僧侶になると言っていたのに、いつのまにか方向転換し、厳格なキリスト教信者になった印象受けました。信夫を取り囲む家族や愛する人たちが皆信者だったので、のめり込む運命であったのかな。三浦綾子記念館にはますます行ってみたくなりました。
1投稿日: 2024.11.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
キリスト教の教えがいかに尊いものかはよくわかったけど、人間はそんなに「善く生きること」を目指さないといけないんだろうか。とも思った。まあ、目指した方がいいんだろうね、それは……。でもまあオナニーくらいしたらいいじゃないのとは思った。何よりふじ子が可哀想だ。氷点の方が話としては好きかなあと思った。
1投稿日: 2024.11.03
powered by ブクログ感動したし、自分はこんな風には生きられないけど、こんな風に生きている方も同じ人間であることを再確認させられた。かっこいいし、強いお話。
1投稿日: 2024.10.29
powered by ブクログブクログを始めて記念すべき100冊目。 亡くなった祖母が好きだった三浦綾子さんを初読。 この本も祖母の本棚から拝借してきた。 三浦綾子さんは難しそうなイメージがあり なんとなく敬遠していたのだが、 まもなく祖母の四十九日なので まだこっちにいるうちに読んでみたくなった。 結論、全く難しいことはなく かなり読みやすかった。 先が気になる!というような話では無いのに、 読む手が止まらず時間が溶けるようだった。 物語は実話を基にしたフィクション。 永野信夫の生涯を描いたもの。 キリスト教が疎まれていた時代背景だが 信夫が死や生きる意味について考える中で キリスト教に触れ、次第に信仰するようになる。 あらすじがネタバレみたいになっているので、 事前情報なしで読んだ方が楽しめたと思う。 自分もキリスト教に関わったことはあるが、 聖書の抜粋程度にしか読んだことはなかった。 大人になってから聖書を読むと また違った視点で見えるかな。
32投稿日: 2024.10.23
powered by ブクログキリスト教の話だけど、押し付けがましさはなく、読みやすかった。聖書からの引用は多いけど、シンプルに考えるとただただ自分と向きあって自分を見つけた人の話。お父さんかっこいいなぁ
6投稿日: 2024.10.19
powered by ブクログずっと以前に、氷点を読んだ時に、三浦綾子の代表作は塩狩峠だと言われたことがあった。 気になってはいたがそのまま読まずにいた。 書店へいったら、目立つところに置いてあったので購入し読んでみた。 これほどまでに、重く深い小説を読んだのは 初めての様な気がする。 その中の一つをあげると 愛とは、自分の大事なものを人にやってしまうこと。 その大事なものとは、命ではないか。 三浦さんはキリスト教の伝道師、 私は、キリスト教ではないので、とうてい真似できないが、なるほどと思った。 また、この作品は人間の心の奥深いところをよく捉えている。
17投稿日: 2024.10.17
powered by ブクログ去年の新潮文庫夏のフェアで購入したが、長らく積読してあった。 突然読みたい気分になり、3日かけて読破した。 時代背景が一昔前の小説って読みにくいイメージだったが、読み始めるとスラスラと情景が浮かびページを捲る手が止まらなかった。 実際にあった事故を題材にかかれた作品だが、主人公が最初はキリスト教を毛嫌いしていたのについには心から信仰するようになっていく過程に引き込まれた。 主人公の結末は、らしいなと思う結びであった。 生きるとは、死とは、主人公とともに考えながら読み終えました。
2投稿日: 2024.10.15
powered by ブクログ何がきっかけだったのか、珍しく子供が小説を読んでいる。三浦綾子の塩狩峠。名作と言われる作品だが、これまで読む機会はなかった。せっかくの機会なので自分も読んでみることにした。 キリスト教の教えを胸に自らの命を犠牲にした主人公。正直なところ、途中までは出来すぎた、小説の中だけの話かなという印象を持って読んだ。しかし、作者によるあとがきで、これが実在の人物をモデルにしたものであることを知り、そこで一番の衝撃を受けた。
6投稿日: 2024.09.08
powered by ブクログとても読みやすく、引き込まれるようなストーリーだった。フィクションとして読み進めたが、北海道の地で、このような出来事があったと、後書きを読んで知り、驚いた。真相は違うのかもしれないが、敬虔なクリスチャンとしての生き方は、ここまで強烈なのかと、半分疑いながら、最後は涙が自然と出ていた。このような名作を読んでいなかった、自分が恥ずかしく思えた。ちょうど、この夏は北海道を旅した。あの広い雄大な景色を思い浮かべながら、読んだ。クリスチャンでなくとも、正しいと思う道を進みたいと願うのが、人の常であると信じたい。
3投稿日: 2024.08.31
powered by ブクログ三浦綾子さんの本を読んだのは二作品目だ。 この本を選んだきっかけは文庫の夏のフェアに選ばれていたからだ。
1投稿日: 2024.08.10
powered by ブクログ信じる心の強さ、尊さ、恐ろしさを感じました。 私はキリスト教信者ではありませんし、信者になるつもりもありませんが、宗教を信仰する気持ちがわかる気がしました。人は弱いし、何かを信じ、なにかに救いを求めたいものだと思うのです。
24投稿日: 2024.08.10
powered by ブクログ主人公の永野信夫は、士族の家で厳しい祖母、あまり干渉をしてこない父と暮らしていた。永野の祖母は、信夫が幼いときに死んだ母を嫌い、ことあるごとに悪く言っていた。そこには信夫の知らない父と母の秘密があった。 信夫の悲劇的な結末は小説のあらすじで述べられており、ここに至るまでの信夫の成長が綴られた話。元々の実直さにキリスト教という信仰が加わったことで、信夫は人の為にすることが何であるのかを考えながら暮らしていくのだが、読み進めるこちら側が信夫の教えに自らの行いを見つめ直すことになった。最後まで読み進めると、冒頭の聖書の一節が意味することがよく分かる。信仰に関係なく誰もにおすすめのできる名作。
1投稿日: 2024.07.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
永野信夫の生涯。 彼は生まれながらのキリスト教徒ではなく、武家社会の厳格な性格から始まり、友人の振る舞いや、第二次性徴期から哲学的な世界を経て、父母や恋人、知人の生き方を通して信仰の道に進んだ。 鉄道事故で自己犠牲により乗客の命を救ったことと、長い間闘病してきた恋人との結納の日に亡くなった悲劇によって「死に方」に目がいくが、彼をそうさせた行動原理たる信仰による「生き方」の物語だと思う。 信仰の道に進むまでの苦悩や、家族や周りの人との会話に思いやりと真摯さが溢れていて、素晴らしい。 盲目的狂信と信仰が同義になって久しいと思うが、信仰とは生き方の根幹を成すもの。生まれながらの場合を除き、教義に感動してその道に入る人はほとんど無いと言っていいだろう。それを信じればどういう人間に成るのか、その行いを敬えるか。人生を変えるのは畢竟、誰かの人生、誰かの「生き方」そのものなんだと思う。 人によっては死に方に恐怖を覚えるとは思うけど、私はこの生き方を尊敬する。 ヨシカワはとても良い友人。どちらかと言うと、私はヨシカワのような人に成りたい。キリスト教徒じゃないからという理由ではなく、自然で自由だなぁと思うから。 オーディブルの朗読の方々はとっても良かった。のだけれど、挿入される音楽が合ってないような……何故今音楽を…そして曲調がなぜこれ…という違和感が度々あった。ラジオ・ドラマだったのかしら。 タイトルしか知らなかった話を知ることが出来てありがたかった。
3投稿日: 2024.07.14
powered by ブクログ久しぶりに涙目になりながら読みました。死や罪といった問題に真摯に向き合った信夫のラストに感動と信仰の光を感じられました。 自分の小学生の頃、死んだらどうなるのかという問題に暗澹となり恐怖をしていた日々を思い返すと本当にあの頃の自分に読んでほしい一冊です。 主人公の信夫の一生を追う内容のこの一冊。祖母や父の急死、一目惚れした女性の肺病など彼の一生も死について考える機会が溢れています。また、青年期特有の性や人間性に関する罪悪感にも遭遇していきます。その中で彼は真摯にいずれ来たる死や自分の傲りによる罪に向かい合い、そして信仰に殉じていきます。 その過程が丁寧に描かれ、読んでると永野信夫に惹かれ、彼の信仰の光に触れたくなります。小学生の頃から漠然と死や自分の人間性の不完全さを考えた経験を思い返すと、余計に彼に同調し彼を尊く感じてしまいました。 また、彼を訝しむ三堀が信仰の道を見出したのは今や堕落しきった自分も救われるのかもしれないと希望を感じることもできました。ただ、三堀の信仰が真実続くのかと疑ってしまう自分もいるのでまだまだ信仰の道は遠いなと苦笑しました。 キリスト教の考えに触れるのに、すごくわかりやすい内容かなと思います。
11投稿日: 2024.05.05
powered by ブクログガラシャの時とはまた違った信仰心の在り方を知った。ガラシャの方が私は好きだったけど、塩狩峠も良かった。
0投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログキリスト教が忌み嫌われていた時代。 士族の家に生まれた美しい青年ーー永野信夫は人間の罪深さについて悩み、考えながら生きていた。 やがてその問いの答えをキリスト教の教えに見出し、感銘を受ける。 仕事も私生活も順風満帆で、結婚を控えたある時、彼は列車事故に遭う。彼は自らの命を犠牲にして多くの乗客を救った。 驚くことにこれは事実を元にした小説だそう。実際にそんな人がいたという事実に驚いた。 自分の尊い命を投げ打ってまで人々を助けた利他の心は、自分が損をしたくないという当たり前の価値観を覆される。
5投稿日: 2024.04.09
powered by ブクログ「素晴らしい」「考えさせられた」で終わらせるのは勿体ない。各々が、何度も何度も何度も何度も繰り返して内省すべきだ。自身の考える誠実とは何か?己の中に立つ、不可侵の軸とは何か?私は、私なりの誠実で、利他の心を人に寄せ続ける。考え続ける。これからも。 今の時代にとても合っていると思うんだよな。小説を通して、こんな気持ちになることがあるんだな。呆然としています。
0投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログキリスト教という宗教自体には疑問もあるけれど、永野の最期は感動的だった。 学生のときに読んだ際も印象深かった記憶があり、よく覚えていた。 テンポのいい短い文章が凝縮された緊迫した時間をうまく表現している。 ふじ子たちの聞いた音、電車から降りる姿のことも覚えていて、学生の私も強く心を打たれたことを覚えている。 真面目過ぎるほど真面目な青年だ。 三堀の疑いは当然だと私は思う。 この小説のもととなった人物についても、少し興味がわいた。 2004.6.16 信夫は真っ直ぐな人間だ。自分をごまかさない。あれほど嫌っていたキリスト教に入信しようと決意できる素直さに驚く。たいしたものだ、と思う。私ならへんに意地をはってしまうかもしれない。この本を読んで、キリスト教も悪いものではないのかもしれない、と思った。もちろん、私にはキリスト教の知識も何もないけれど、このような真っ直ぐな生き方、おおらかな人格はうらやましく思う。
2投稿日: 2024.04.01
powered by ブクログ1976年に開始された『新潮文庫の100冊』で、47年間選ばれ続けている常連作品。 この三浦綾子の『塩狩峠』と同様に、開始時から毎年選ばれている日本人の作品は、夏目漱石『こころ』、太宰治『人間失格』、井伏鱒二『黒い雨』、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の4冊のみ。名作と言っていいでしょうね。 東京の本郷で生まれた主人公は、母が生まれて間もなく亡くなったと祖母に聞かされて育ちます。士族の家系故に厳格な祖母は、事あるごとに亡き母を例に上げて母を侮蔑していました。しかし、逆に少年は、もう会うことが叶わない亡き母を思い慕う日々を過ごしていました。 そんなある日、父に連れられて団子坂に菊人形を見に行くと、1人の少女が父に近付いて「おとうさま」と声をかけます。事情が分からない少年は、家に帰って祖母にその時のことを話してしまいます… ここまでで約30ページ。裏表紙にあらすじが書いてありますが、それはラスト30ページのこと。その間には主人公が成長するにしたがって、様々な経験と共にキリスト教への信仰に目覚めていく過程が描かれる心の成長記です。 この話しは「あとがき」にもありましたが、実際にあった事故が下地にあり、事故の事実以外は、自己犠牲のキリスト教の精神に感銘を受けた著者の創作です。著者は小説を通して、はたして敬虔な教えをもとに行動し、私的な人生を省みずに人命を救うことができるのかという自己犠牲について問いています。自分が同じ立場になったら、残される人のことが脳裏に浮かんでしまい、おそらく無理でしょうね。 主人公は、クリスチャンになった後は、人間味溢れる人物描写が少なくなっていき、まるで聖人のようになっていくので、無理と考える自分が宗教と関係のない日常を過ごしているせいかもと思いました。しかし、聖人になるより、自分は日々を誠実に生きていきたいとは思いました。
28投稿日: 2024.03.22
powered by ブクログ愛とキリスト教への信仰を貫いた主人公の生涯。 中学生の頃に読んで感動し、人のために生きること、犠牲を厭わないこと、そんなふうに生きたいと思った記憶があります。 あれから数十年…父から送られてきた本たちの中に入っていて再会した「塩狩峠」。 主人公のあまりに清く正しい生き方に驚き、残された者の喪失感や悲しみを思いとても心が苦しくなりました。
9投稿日: 2024.03.15
powered by ブクログ初の三浦先生作品。主人公の成長を通して、他者への愛と自分の信念について考えさせられる。ラストは泣ける。
8投稿日: 2024.03.10
powered by ブクログ感動のあまりお手がみを出しました。その頃闘病中ということで代筆でお返事をいただき、さらに感動しました。無くしてしまいましが…。
2投稿日: 2024.02.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ずっと読みたかった作品。わたしはキリスト教徒ではないが、キリスト教という宗教に少しは興味があるほうだと思う。 小説では、何年間も待ち続けた最愛の人との結納の当日に死ぬという、あまりにも悲劇的な結末だったが、実際はそのようなタイミングでなかったかもしれない。 主人公のモデルとなった長野氏の人生も、そして死も、実際は小説ほど劇的で美談なものではないのかもしれない。 けれど、人々から愛され慕われた一人の人間が、悲しい事故のせいで亡くなったこと、そしてそれが仮説の一つではあるものの、自らの命を犠牲にした可能性があること、それを何年も先の時代に生きる人々が知り涙する、そんな機会を与えてくださった本書に感謝をしたい。 旭川に旅行したことがあるのだが、塩狩峠について知ったうえでもう一度訪れたい。 特定の宗教を持たないわたしには、信仰とは何なのか分からない。ただ、この作品を読んで信仰とは、誰にでも必ず訪れる死というもの、その避け難いおそろしい死に対して、人の心に安寧をもたらすもの、拠り所となるもののように感じた。
4投稿日: 2024.02.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
星5個では足りない。感動した。犠牲がテーマの作品ではあったが、願わくば実直に生きた信夫とふじ子には幸せに暮らしてほしかった、最後読み進めるのが辛かった。利己的な現代で、自分含めて失われつつある人のためにという価値観が、綺麗に輝いているように思った。
0投稿日: 2024.01.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
何度も読んだが、まだ読みたい気持ち。 あらすじは、自らを犠牲にして多くの乗客を救った永野信夫の生涯。 もともと実母や妹のキリスト信仰をよく思っていなかったが、親友のいる北海道に渡り、そこで自分も洗礼を受ける。親友の妹のふじ子は肺病だったが永野の熱心なアドバイスや食に気をつけることにより安定してくる。静かに愛を育み、結納の前日に永野は鉄道員として、キリスト教信者として、自分を犠牲にして暴走した列車を止める。 宗教色が強く、受け入れられない人もいるかもしれないが、信夫の清潔で信仰に基づいた生き方には心を打たれる。自分が信夫のようなことができるとは、到底思えないが、実在の人物がモデルになっているとのことに衝撃を受ける。 吉川との友情、その妹、ふじ子との愛情、菊や待子との家族愛、読んでいてどれも本当にいいものだと感じる。 でも身近な愛する人のために、死なないという選択は信者はしてはいけないのか?とも思った。 信仰のない私には、理解しきれない部分も多数ある。 でもどなたにも一読をおすすめする本。 氷点も好きだが、こちらも好きな作品。
1投稿日: 2024.01.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
綺麗なお話だとは思うけど、なんか腑に落ちない。散々出てくるキリストの教えが押し付けがましく、途中でうんざりした。結局、誰から見ても信夫は素晴らしいしまさにヒーロー。でも、ふじ子があまりにも可哀想…。どんなに汚くても、大切な人の為に生きようとする方が、私は格好いいと思う。
1投稿日: 2024.01.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
若い頃、この本に出会った。 クリスチャンではない私だが、この本をきっかけに三浦綾子さんの世界に誘われていった。 同僚に教会で上映会があるからと誘われたので出かけたら、この塩狩峠だった。 小説でも映画でも最後が鮮烈だった。 「真っ白な雪の上に、鮮血が飛び散り、信夫の体は血にまみれていた。」 塩狩峠を家族で訪ねたのも冬だった。 この一文が浮かび、身体は凛とした。 娘もこの本を読み、感動をおぼえたという。 世代を超えて、この小説は問う。 本当の愛とは何か。 最後は辛い。
36投稿日: 2023.12.28
powered by ブクログ三浦綾子(1922~99年)氏は北海道旭川市生まれ、旭川市立高等女学校卒、小学校教員を7年間務めたが、軍国主義教育に疑問を感じて退職。肺結核を患うが、口語短歌等に積極的に取り組み、1964年に朝日新聞社の懸賞小説公募に『氷点』が入選、大ベストセラーとなり、その後、クリスチャン(プロテスタント)としての信仰に基づく数々の作品を発表した。 本作品は、1966~68年に日本基督教団出版局の月刊誌「信仰の友」に連載され、1965年に出版、1973年に文庫化された。今でも「新潮文庫の100冊」に毎年のように入るロングセラーである。 私は、半世紀ほど前に読んだ記憶があるが、今般新古書店で偶々目にし、再読してみた。 本作品は、1909年に北海道の塩狩峠(旭川から稚内方面に向かって20kmほどのところにある峠)で発生した鉄道事故で殉職した、実在の人物・長野政雄をもとに描かれたものである。本作品執筆のきっかけは、上記月刊誌に連載小説を載せることに決めたときに、クリスチャンの三浦氏に白羽の矢が立ったことにあるが、三浦氏が当時、かつて長野政雄が居た旭川六条協会に所属していたことからも、必然的に選ばれたテーマであったと言えるのだろう。 読み終えて、私は多くの日本人と同様に無信教で、キリスト教(に限らず、他の宗教に対しても)に肯定的でも否定的でもなく、従って、本作品の各所に出て来る聖書の言葉や、主人公を含むキリスト教信者の登場人物の考え方・行動の仕方に、全面的に共感できるわけではない。加えて、古今の世界で起こっている対立や紛争の多くには宗教的な要因が絡んでいることを考えると、むしろ宗教(特に一神教)などは存在しない方がいいのではないかと思うことさえある。 一方、本作品の主人公が自らの命を犠牲にして多くの乗客の命を救った行為が、人間としての存在の意味を際立たせるものであることは確かで、それは、必ずしもキリスト教などの宗教に拠る必要はなく、人間としてどう生きるかに関わってくるものなのだと思う。
1投稿日: 2023.12.26
powered by ブクログ最後がなかなかハード。ただそこへたどり着くまでに永野が紆余曲折を経ながら、迷いながら、悩みながら歩み進む姿には考えさせられるものがある。宗教でも何でもいいけど、そこまで信じきることができるのが羨ましくもあり怖くもある。
1投稿日: 2023.12.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後がとても辛かった ふじ子(だけでなく他の人々もだが)の気持ちを思うととても… キリスト教のことをほぼ何も知らないので、そういうことなのかと少しだが学べた あとがきも必読です
1投稿日: 2023.12.03
powered by ブクログすごくためになる本。思春期・青年期の信夫の葛藤が、自分だけが悩んでるんじゃなくてみんなそうなんだなと感じられた。 以前、中学生ぐらいの時に読んだ時よりもしっかり心にしみたように思う。
1投稿日: 2023.12.02
powered by ブクログ読書感想文に選ばれた思い出の本。 人生で誰しもが通る悩みが沢山書かれていて自分と共感できるようなものが沢山あった。行動の描写がひとつひとつ丁寧でとても綺麗だった。涙無しにはとても読めない。
1投稿日: 2023.11.22
powered by ブクログ1966(昭和41)年から1968(昭和43)年の雑誌連載が初出で、連載後に単行本が登場したという。登場以来、既に55年も経つが読み継がれている「古典」と呼んで差し支えない小説であると思う。「今更…」という様子ではあるが、初めて読んだ。読み終わって、何か心揺さぶられるような何かが在るような感じである。 友人と雑談に興じた中で、最近読んだ本というようなことに話題が及び、偶々読了して日が浅かった三浦綾子作品に言及した。すると友人が「その作者の本であれば『塩狩峠』は読んでいた」とした。列車の不具合で大事故が起こりそうになった時、一命を賭して列車を停め、乗り合わせた乗客を救ったという人物が在り、その人物をモデルとする主人公の人生が綴られる物語ということになる。 自身は稚内に住んでいて、旭川へ(場合によって以遠へ)向かう際に列車を利用する。途中の名寄駅にまで至ると、特急列車の場合には旭川駅迄が1時間を切るようになる。名寄駅というのは1903(明治36)年に開業していて、1911(明治44)年に軌道が延伸される迄は起点・終点の駅であったそうだ。1909(明治42)年、この名寄駅から旭川駅へ向かった列車が南下し続けたが、途中の塩狩峠で列車後尾の客車の連結器が外れてしまった。峠を上っている途上なので客車は軌道をスルスルと下って行く。やがて加速し、脱線転覆となってしまうことが危惧された。そういう中、乗り合わせた鉄道職員がデッキへ駆け、非常ブレーキを操作して減速を図った。やがて件の鉄道職員は線路に転落してしまった。そして生命を落としてしまった。が、客車は停止し、乗り合わせた乗客は全員が無事だった。語り伝えられる、少し知られた挿話である。 本作の主人公は永野信夫という人物である。この信夫の少年時代から青年期、そして最期を遂げる少し前の日々、その最期が描かれる。末尾に残された人達の短い挿話が入って、小説は結びとなる。 これは或る男の精神的な成長、或る種の到達、そこから更に踏み出そうとして、そこで唐突に起こる「幕引き」というような物語であると思った。 知らずにやっている、言っていることが「正しくない!」と厳しく指摘されるようなこと。誰かに勧められて、好ましくないと思い悩んで止めてしまったが、そこから少し事の是非を考えるということ。同情すべき苦しい状況に在る人に接しながら、淡々として明るい御本人に驚き、人の心を支えるというような事柄に眼を向けるということ。信夫が重ねて行くのはこういうようなことである。そうして、鉄道の事務関係の仕事の中では、なかなかの人格者で仕事が出来る男として知られるようになり、教会の諸活動という青少年活動等にも精力的に取組んで、色々な人達に敬慕されるようになって行く。 本作は、最終盤に描かれる「犠牲」に終始するような物語でもないと思う。信夫は心の中で、相反する色々な要素をぶつける、そういう情況を乗り越えることで「自分なりの成長」を重ねた経過が在って、その「成長」の故の生き様が在ったのであろう。寧ろその「信夫の心の旅路」というように感じられる物語だと思った。そしてその「最期」は、信夫自身の都合という以前に、何とか居合わせた人達の安全を確保するということにばかり意が向いていたのだと思えた。夢中だったのであろう。そんな様が「迫る」感じで描かれる。そして、そういう有様が周辺の人達に大きな衝撃を与えたということなのだと思う。 本作は「己の来し方?」を、読者個々人に向かって静かに問い掛けるような雰囲気も色濃いかもしれないと思った。それに心が揺さぶられるのだが、同時に「傍目には少し哀しい」という終わり方でもある。互いを心から敬愛し、人生を共に歩むことを誓った信夫とふじ子との結末が、率直に言って哀しい。が、必ずしも因果応報でもなく、運命が突如として立ちはだかるというのが、人の人生というモノなのかもしれないということであろう。この辺は、同じ作者の他作品でも様々に描かれているとも思った。 程々の厚さで一冊で完結の物語で読み易い。同時に余韻が深い。御薦めである。
3投稿日: 2023.11.22
powered by ブクログ自己犠牲による愛のカタチ。 ふじ子の回復を、ひたすら待ち続ける信夫の忍耐力。 おっちゃん、どちらも持ち合わせていません…。 時代背景が時代だから、確かに◯◯を信じるだったり、◯◯な病状だったら嫌厭されたり、◯◯ひいたりしてたら不遇なものとみられたり、そんな中でも主人公も周りの人々も、気をしっかりもっている姿勢に感心しました。 三浦文学、まだまだ追ってみたいです。
1投稿日: 2023.11.12
powered by ブクログ素朴な文書で物語はどんどん進んで行き読みやすい小説である。実在した人物をモデルとしたものではあるが、小説の主人公よりも更に高潔な人物であったというから恐れ入る。 自殺説もあるらしいが、だったら何故ハンドブレーキで車両を止めようとしたのか?…矛盾する。 全く今作とは関係ないが漫画『紫電改のタカ』を思い出した。どちらも悲劇的な終わり方、あともう少しで幸せが訪れたのに…。
1投稿日: 2023.11.09
powered by ブクログ妻の実家が道北にある関係で帰省する時に塩狩峠を通っていた。そのたびにこの本を読もうと思って持ってはいたのだが完読できず、今回の北海道の旅でやっと読了できた。実話をもとにしており悲劇な結末ではあるが、全体を通してこの本の筆致は決して暗くない。主人公が子どもの頃から物語は始まるが、特に成長期の部分は、まるで吉野源三郎さんの名著「君たちはどう生きるか」のよう。道徳的な感じを受け、読んでいて気持ちがいい。今回塩狩駅で下車し三浦綾子記念館に行けたのは感慨深かった。とてもいい作品だと思う。他の作品も読みたいと思った。
3投稿日: 2023.09.03
powered by ブクログ佐藤優の読解力の本で、題材となっていたので読む。 主人公信夫の幼年期、青年期の精神的な苦悩に少し共感。「自分は他の人と比べて真っ当に暮らしているはず」という潜在意識が、人に優劣をつける考え方をもたらして、相手の立場を慮る利他的な人になるのを妨げている。キリスト教入信後に信夫はこのような悩みを解決し、他の人にも影響を与えるような人格者となる。 人の思考、行動を許容し理解する読解力は、キリスト教においても必要な力であるように思われた。読解力の向上は、利他的な行動をも促進するのか
6投稿日: 2023.09.03
powered by ブクログ特定の宗教を信仰しているか否かで、この物語の印象は変わってくると思いました。わたしは宗教に対して思い入れがないので、正直主人公の生き方には納得できない部分もあります。ただ、本当に立派だとは思います。また、「死」について考えさせられる場面もあり、いつ死ぬかわからないからこそ、精一杯生きることの大切さを改めて感じました。
1投稿日: 2023.08.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
明治時代、キリスト教が少しずつ認められるようになった。とはいえ、この宗教に対する偏見は依然として残っており、物語の序盤、主人公の家庭環境を見るとわかるように、信じる宗教が原因で、一部の家族と離れ離れになった。物語の途中で、実の妹との出会いや、亡くなったと思ってた母が生きており、祖母が亡くなって以降、同居する。この物語を読むと、異なる宗教が共存することの困難さが想像できる。 子供のころはキリスト教に肯定的な見方をしなかった主人公が、物語の後半につれて、キリスト教の教えに感化されて、最終的に、自己を犠牲に多くの人々の命を救った場面は、ある種の輝きに満ちていた。この小説を読むと、宗教による力の両面性が見え透ける。
3投稿日: 2023.08.22
powered by ブクログ北海道旅行にて 喫茶店の方にまだこの本を読んでる人がいるんだと言われた。 人の人生って少年時代の出来事でかなり決まるんだなと思った。
1投稿日: 2023.08.16
powered by ブクログ主人公(信夫)の人柄がとても好きな作品。 真面目で責任感が強く頑固な反面、友人や知人の人間性を見抜くことに優れている。 青年期の複雑な自分の心と真っ直ぐに向き合い、親友と分かち合うことが出来ること。そしてそれを真っ直ぐに受け止めて共感できる友人。 信仰の違いで苦しめられた経験を持ちながらも、温かく信夫を見守り続けた家族。 そんな中で人間性を育まれた信夫が大切したもの・・・。 信夫がするいくつかの決断は決して小さなことではなかったはずなのに、軽視するでもなく怯むわけでもなく、常に謙虚でありながら芯は強く、川の流れに身を任せるように、自分の気持ちに一途に人生を渡る姿が印象的だった。 人との関わり方に戸惑った時、決断に迷った時に読みたい作品。
1投稿日: 2023.07.29
powered by ブクログ安売りしている感がある、説教くさくなっている気がする。深みがたりない。泥流地帯、氷点と三浦綾子作品の素晴らしさから期待しすぎたかもしれない。
1投稿日: 2023.07.26
powered by ブクログ素直な言葉で、まっすぐ書かれているので、主人公である信夫の心情が、本当に素直に入ってくる。 読み進めるごとに感情移入しているのに気づき、 最後を読むのが怖いほどだった。 自分にはない信仰を持った人の話を、これほどまでに素直に受け入れられたのは初めてかもしれない。 現代人が忘れてしまっている心がここにあると思う。
2投稿日: 2023.07.03
powered by ブクログストーリーやテンポはやはり三浦綾子なので、読みやすく、考えさせられるシーンもいくつかありましたが、理想的な人物像と結末が少し出来すぎな印象でした。 他の作品にも共通して言える事ですが、 信仰ゆえなのか、理想の結末に到達するために 無理矢理な演出を感じる時があります。 三浦綾子さんは何冊も読んでいて大ファンなんですが、 敢えて言うならそういった部分を特に感じる作品なので★3つにしました。
1投稿日: 2023.06.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
昔の本だから難しいかなー、また読むの時間かかるかなー思ってたけど、読了した今、そんな懸念は1ミリも感じなかった。 主人公の心情の変化や、ふじこさんが病気から元気になったこと、単純に信仰心というのはこうやって芽生えるんだなぁ(自分は全くの無信仰だけど)というのが見れて満足度が高かった。 裏表紙に結末が書かれていたから、幸せな場面がいつ急転直下するのだろう、、とハラハラして、それがこの本に引き込まれた要因の一つのような気もした。 本当に最後の最後にまで、幸せな感じで進んだのに、結末があっけなさすぎて(突然の犠牲死)、なんとも言えない気持ちになった。 さらにあとがきを読んでびっくり!主人公には実在したモデルがいたとは。。キリスト教&自己犠牲ときれいな形で纏まっているけれども、もし自分の周りので同じようなことが起こったら、こんなきれいごとだけで終わりにできない気がする。悔しくて悔しくて、、特にふじこさんの気持ちを考えると、、足が不自由で病気にやっと打ち勝って、やっと愛する人と結ばれる日を迎えられると思ったのに。。こんな不平等ってあるのかと。 小説だからってのもあるのけど、そんな中で前を向いて生きられるって、ふじこさんがきっと「今あるもの」にしっかり目を向けて生きている証なんだろうな。「ないものねだり」の自分の考えを改めて見直したいと痛感した。
1投稿日: 2023.06.20
powered by ブクログ作品を読み終えて、あとがきをみて驚いた。本当にあった話だったなんて!人間の死とは本当にあっというまに突然起こることだつくづく思った。 とても面白かった。その理由は大きく分けて三つある。 一つは、信夫とふじ子の恋模様が新鮮でいいから。病気になっても明るいふじ子は、女性としての強さを感じた。また、もらった花に喜んだり、部屋にトンボが入ってきて嬉しがる姿が無邪気でとても可愛いと思った。 二つは、今まで学んできた武士道とキリスト教の考え方を、内容をおいながら答え合わせできている感じがして面白かったから。信夫の父である貞行は本当に「武士」みたいな人。どんな人でも対等にみるし、一回かわした約束は必ず守ろうとするし。 三つは、人間性の高い登場人物が多く、読んでいて真似したくなるような考え方が多いから。貞行は武士道に通じているし、ふじ子は障害があるからこそ自覚的に生きられるという自負をもっているし。 古い作品なので、読む前は難しいのかと思ったけど、とても読みやすかった。読んで良かった。 もし北海道に行くことがあったら、塩狩峠にあるお墓に手をあわせたい。
7投稿日: 2023.06.07
powered by ブクログ母から勧められた一冊。 キリスト教を信仰することでこんなにも人生が変わることもあるんだと驚いた。 実際の出来事がもとになったと知りさらに感動した。
5投稿日: 2023.06.01
powered by ブクログ読んだ当時は中高生でしたが、涙が溢れて止まらなかったのを覚えています。宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』もそうですが、自己犠牲をテーマに描かれています。どちらも悲しく美しいお話です。
1投稿日: 2023.05.19
powered by ブクログ宗教的なことや、実際の人物をモデルにしていることについてはともかく、この人の書く文章がすごく好きだと思った。あとがきもおもしろかった。
3投稿日: 2023.05.12
