
総合評価
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powered by ブクログ読む順を間違えたかと思った不意打ちな導入。 そこからの展開にはページをめくる手が止まらなかったが、 後半は冒険小説的な側面が強くなりやや拍子抜け。 3巻通して、緻密な「世界」の描写に驚嘆しつつも、良くも悪くも綺麗で王道な終わり方に感じた。 子供の頃に読んだら何倍も面白く、衝撃的だっただろう。 …ちょうど読み終わった頃に起きた、安倍元首相の事件はとうとう「悪鬼」が出たのかと勘繰ってしまった。
0投稿日: 2022.07.10
powered by ブクログ終わりました。この世界の理にふれる最後。 綺麗事が無い分、アクションの緊迫感や結末がどうなるのかわからない展開の不安と、面白かった。
4投稿日: 2022.07.03
powered by ブクログ長かったが、長さは感じなかった。 読み始めた時点では、下巻があるライトな時間つぶし(失礼)くらいの気持ちだったが中巻があることを知った頃から話に引き込まれて、やめられなくなった。 3冊もあるんです! 最近では鬼滅。昔なら彼岸島のような、敵(鬼?)との行き詰まる丁々発止(いまいちなフィット感)の漫画的な映像の浮かぶ楽しいひとときだった。たまたま手にして前知識ゼロでこの作品と出会えたのは幸運だったかもしれない。 アニメ化はされたのかな? 映画化はむずかしいかな。 あの、グロテスクなハダカデバネズミを見るときっとこの物語を思い出すだろう。
0投稿日: 2022.05.20
powered by ブクログごめんなさい、力不足で言葉にすることができませんが、とにかく素晴らしい作品でした。震えました。涙が止まりませんでした。上中と続いておりましたので、読み終わった後の達成感と虚無感は物凄いです。初めてSFものを読みましたが、解説にもある通りSF初心者でもなるたけ読みやすいよう工夫が施されていたようで、スムーズに読むことができました。あまりにも面白かったのでページを捲る手が止まらなかったというのもありましたが。笑 これは、本当に名作だと思います! もっと色んな人に読んで欲しいなぁ。
0投稿日: 2022.05.02
powered by ブクログ深い影を宿す社会が不気味な闇の深いSFファンタジー作品であり、練り上げられた濃密な世界設定に驚かされる。中盤からの怒涛の展開により、物語は終始緊張感で溢れていて長編だが読者を飽きさせない。とりわけ終盤で明かされるバケネズミの正体は衝撃。
0投稿日: 2022.05.02
powered by ブクログすごいと思った。これだけの質量がある物語が生み出されたことに、ただただ脱帽だった。圧倒的な暴力を齎せる力を持つということの危うさと、形成された平穏な社会基盤に隠されていた、平穏を維持するための非情な社会システム、社会の範疇外にこぼれ落ちた者達に行われた、残虐な行為の数々。そしてそんな世界の中でもがき、また絶望に追い詰められていく主人公たちの、思考をきちんと描いて進んでいった物語には、最後まで感情を持って行かれ、結末まで一気に目が離せなくなった。正義も悪も立場が違えば逆転し、犠牲をともなって手に入れた幸福は、常に再び奪われて失う可能性を孕んでいるのだということを考えさせられた。読了後は重い衝撃と共に、怖さが染み渡るようなそんな感覚だったけれど、本当にいつかの千年後に起こりそうなリアルさがあったこの物語は、下巻の最後の一文に示されているように、人間という存在の様々な一面と可能性を、主人公の視点を通して自分達に見せてくれたような気がした。
1投稿日: 2022.04.13
powered by ブクログこんなにコテコテのファンタジーだと思っていなかったのだが、最高に面白い。久々にページを繰る手が止まらなかった。 練られた世界観、魅力的な人物、息をつかせぬ展開と明らかにされる謎… 正義の脆さや危うさについて考えさせられた。
1投稿日: 2022.04.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
サスペンスやミステリーばかり読んでいたので最初の方は読むのが苦しかったです。架空の生物や力を想像するのが難しかったです。 が、読み進めていくと苦しさはどこへやら。 ハラハラドキドキする場面が多くなり、 ページを捲る速度がどんどん速くなっていきました。架空の生物たちもおぼろげながらも想像しながら読むことができました。ついに下巻は休みの日に一気読みしてしまいました。 バケネズミの祖先がわかったときは、なんとも言えない気分になりました。 自分たちは人間だ、というスクィーラを想像するとなんだかやりきれないですね。 めちゃくちゃ好き、というわけではありませんが 普通に面白かったです。
0投稿日: 2022.04.10
powered by ブクログうーん、これぞSFですね。貴志祐介の真骨頂は、あくまでも現実を捉えたうえでのサスペンスだと思ってるので、やはり味がありましたね。終始、ハラハラドキドキするような展開、クリムゾンを思わせるサバイバル、そして何より、世界観の統一が素晴らしいですよね。結構突飛な設定なのに、どうしてこんなに理解しやすいのかというと、やはりそれは、人間の性質というものをきわめて正確にとらえているんだろうね。だからこそ、ああ、こうなってこうなってしまったのか…と。飲み込みやすい。
0投稿日: 2022.04.10
powered by ブクログ最後まで作り上げられた世界観で凄かった。 主人公に何があったか記憶が薄まってしまうほど長い物語は初めて読んだけど、最初の方を遠い昔のことのように思い出すのは、自分があたかも主人公と一心同体なような気がして不思議な感覚だった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 夏祭りの夜に起きた大殺戮。悲鳴と鳴咽に包まれた町を後にして、選ばれし者は目的の地へと急ぐ。それが何よりも残酷であろうとも、真実に近付くために。流血で塗り固められた大地の上でもなお、人類は生き抜かなければならない。構想30年、想像力の限りを尽くして描かれた五感と魂を揺さぶる記念碑的傑作。
1投稿日: 2022.03.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本の厚さの割にすらすら手が進む。 沢山の人を失ったが、最後まで瞬君のことは忘れられなかった。 この厚さのため、すぐに再読しようとは思えないが忘れた頃にもう1度読み直したい。
0投稿日: 2022.03.23
powered by ブクログ1000年後の日本。 呪力を手に入れた人間達は、幾多の制約を設け平和を保っていた。 強くて弱くてきれいで醜く残酷。 何年経っても人間の本質的なものは変わらない。 様々な要素を含み、自らの倫理観を揺さぶられる作品。 壮大なスケールの物語を綿密に描いた作者の筆力は圧巻です。
0投稿日: 2022.03.08
powered by ブクログひたすら幻想的で綺麗な世界なのに、何かがずっとキモチワルイ。ホラー作家がファンタジーを書いたらこんな暗渠みたいな重厚感になるのかってくらい傑作。文化、生物、科学の圧倒的な知識がこれでもかと基盤になっていてとにかく厚い。本も分厚い。
0投稿日: 2022.02.06
powered by ブクログ下巻からは怒涛の展開だった。怖いのはやはり人なんだなあと感じた。下巻は良かったけど上中は退屈だったから星3で。
0投稿日: 2022.01.23
powered by ブクログ上巻、下巻と読み進めて良かった!!と思った下巻! 今までの不思議なストーリーがつながります! この小説の最後(下巻の最後)に書かれている一文は10年経った今でも覚えています。そんな一文で終わる素晴らしい物語でした^^
3投稿日: 2021.11.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ディストピア系の1つの到達点というか、やって欲しくないことをしっかりやってくれる精神的グロ作家ぶりは流石貴志祐介と言った所。 ボノボと同じく同性間でも性的接触を行うという点、無くはないけどそれを選ぶか?というギリギリを攻めているなども感じた。 雰囲気出したくて上巻を読み終えてからはつくば図書館で読んだ。図書館の設定も含めおぞましいと面白いが融合したような世界観で良かった。 構成的に、瞬が思ったより呆気なく消えるとは思って無かったのでびっくりした。 バケネズミの祖先はまぁ予想通りだが、蟻のような女王制、ロボトミー手術といった気味悪さもかなり良かった。
1投稿日: 2021.11.06
powered by ブクログ面白かった…! 下巻も本当にハラハラドキドキで。主人公たち、ピンチに陥り過ぎだし四面楚歌になり過ぎだし九死に一生を得過ぎだった。何度も『もうこんなの無理でしょ』と思ったけれど、この物語自体が主人公「早季」の手記として書かれているものなので、『ってことは少なくとも早季は生き残るんだろう』というところを心の拠り所にして何とか心の平静を保ちつつ読んだ。しかし一方では、思い返して記述するという手記の性質から、途中途中で少し先のピンチを予告するような記述が出てくる。そのたびに『この上まだ危機が!?』と戦々恐々としてしまった。 後半、怒涛の展開。最後の作戦は、まさかと思った。内容を切り札の相手に伝えるのに、躊躇は無かったんだろうか。私なら言えないし、やれない。覚悟の決まった者同士だからこそ成り立つ作戦だったのは理解できるけれど、それにしてもすごいなと思った。 驚かされたのは、悪鬼の秘密やバケネズミの正体。なんて罪深いんだろう。愕然としてしまった。 失ったものがあまりにも多くて、喪失感がすごい。それでも、変化の兆しは見えているし、変わろうとする人がいる限り期待は持っていいのかなと思った。 上中下、合わせて約1450ページ。かなりの長編だけれど、飽きることなく最後まで楽しめた。すっごく面白かった。 492ページ ルビ あびきゅうかん→あびきょうかん
2投稿日: 2021.10.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
単行本の下巻 悪鬼や業魔になりそうな人間を"完全に"間引くことで殺人が起きないようにした世界。 呪力を持つ人間と持たないバケネズミという"絶対的な"上下関係を築いて種別間の争いを無くした世界。 しかし、考えもしなかった隙からそれらは崩壊してしまう。 "完璧さ"で保たれていた秩序だからこそ、"完璧に"対策しなければ保てなかった秩序だからこそ、1回崩れれば止まらないのだろう。 平和そのものだった町は一瞬で地獄絵図となってしまった。 たった数日の間に町の有力者や仲間、両親を次々となくしていく主人公の気持ちを考えるととても耐えられるものではない。私ならとっくに絶望し、自分も死ぬ運命を受け入れてしまうだろう。 しかし、主人公と生き残ったたった一人の仲間は諦めずに最後まで戦ってバケネズミの動きを止めることに成功した。 ここで諦めては途中で死んでいった仲間や友達に申し訳が立たないという思いだけで何度も何度も立ち上がり続けた主人公の強い気持ちが印象に残った。 身の回りの人達のことを強く思っていれば、例えその人達が死んでしまっても自分の心の中に行き続けて自分自身を何倍も何十倍も強くしてくれるのだと学んだ。
0投稿日: 2021.10.10
powered by ブクログ26歳編、今までの伏線を回収すると共に怒涛の展開続きで展開を楽しみつつ読むことが出来た。 個人的には、千年後の東京が1番面白い。 良作でした。
0投稿日: 2021.09.20
powered by ブクログ1000年後の未来。呪力を手に入れた人間は、文明を放棄し、自分たちを愧死機構と攻撃抑制をかけた状態で、平和を保とうとしていた。 この物語にはたくさんの生き物が出てきて、その生き物の説明も丁寧で面白かった。特にカヤノスヅクリはすごく独創的で面白かった!
2投稿日: 2021.09.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
落伍者2人を逃してから、十年が経過する。 バケネズミが人間の街を攻める。また、バケネズミには子供の呪術使いが協力しておりバケネズミ語を話す。 落伍者2人の子供でバケネズミに育てられた。人は人を殺せない誓約があり倒せないので、東京に眠るPSK絶対殺す粉を入手に向かう。 東京は魔窟だったが、何とか粉をゲットして使おとするも、失敗。バケネズミを殺したバケネズミ派の人間が死んで、自体は収まる。 バケネズミは元々人間だったことがわかる。呪術を使えない人をバケネズミにしたようだった。 なんともおっかない、二千年後のお話。
0投稿日: 2021.08.23
powered by ブクログ壮絶な手記でしたね。 とにかく切なく苦しい。こんな切ない話読んだことない。 作られ社会の闇の真相よ。残酷である。想像したくないな。 スクィーラ救われて欲しかったな。裏切ったり厭な言動したり信用ならないかんじが嫌だったけど。
1投稿日: 2021.08.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
物語の辻褄が合い、納得できるラストでした。 人類が呪力を得た昔の話や、二人の子供の成長に関する話も見てみたいです。
1投稿日: 2021.08.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
上・中巻の伏線を見事に回収していた。下巻にもなると状況を把握しやすく、すらすらと読めた。悪鬼との戦いは臨場感があり読む手が止まらなかった。独特な世界に引き込まれた。
0投稿日: 2021.08.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
上巻は読むのが結構大変だった。あんまりドキドキしないなと思っていた。だけど、中・下巻と、沢山の伏線が回収されていくのは、とても気持ちがよかった。 瞬が消えてからの展開は、もうどんどんとページを捲った。 そして、下巻の夏祭り。 かつてないほどの呪力とカリスマを持った2人があのような最期を迎えたことが、物語により絶望感をもたらす。 バケネズミとは何なのか。悪鬼とは。業魔とは。そして呪力とは。 壮大なスケールのお話を楽しむことが出来た。 とても面白かった。
0投稿日: 2021.08.15
powered by ブクログ下巻が1番読みやすく、気がついたら読み終わっていた。 上巻はじめから続く愧死機構という設定が最後の最後まで関わってきたのにはびっくり。予想不能な展開だった。 早希に血の通った人間味があって感情移入しやすかったのが、世界観にめり込むことができた要因かも。内容が内容なので気軽に人にお勧めはできないけど、かなりお気に入りの一冊になりました。
0投稿日: 2021.08.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
下巻に入ってからずーっとヒヤヒヤして怖かった、 何度ハラハラしたことか。 上、中から不気味な予感、嫌な予感が終始漂っていて、その予感が気になって、中巻あたりからどんどんページをめくる手が加速していって、下巻は一気読みでした。 早季や覚の心の中に居続けたように、 わたしの中にもずっと瞬がいて、 切なさに胸が打ちひしがれました。 瞬のあたりのエピソードがつらいんだけど、すごく好き。 ただ、すごくすごく期待していたのと、 もっと深く掘り下げられるのかなと思っていた所が、あまり掘り下げられなかったりして少しうーんと思ってしまった。 でもこんな壮大な世界観を作り上げるなんて本当にすごいです。 おもしろかった。
0投稿日: 2021.08.07
powered by ブクログ話の店舗がいいのでスラスラ読める。 敵も味方も死にすぎるのでゲンナリしたが ラストがやや救われるので読後感がほっこりできる。 評判が良くて、期待が大きかった分肩透かしを食ったかんじ。
0投稿日: 2021.07.21
powered by ブクログ何度もはまった貴志祐介のSF超大作ということで、これを読んだらもう超えるものはないかもしれないとの思いから長年読めずにいた。 が、もっと早く読んでおけばよかった。 とにかく読みやすい。 訳の分からない設定や生き物が次々と出てくるのに読みやすい。 惹き込まれてあっという間に読み終えてしまった。 悪鬼を倒す方法については読者に察しがつくように書かれていて、自然と涙がこぼれた。 ミステリー要素は少ないけれど、最後に衝撃的な事実が明かされるところはさすがだった。 世界観にどっぷり浸かりすぎて読み返す気力は今のところ湧かないけど、いつかまた読みたい。
8投稿日: 2021.07.19
powered by ブクログいつの時代も人間は愚かだとつくづく感じた。 どんなに強大な力があっても、どんなにルールを作っても世界の綻びは生まれる。 いや、強大な力やルールで支配するからこそ綻びが生まれるのだろうな。 動物、昆虫?(或いは化け物…)たちの描写はとても細かいので想像しながら読み進めたけれど、挿絵があったらもっとわくわくしたかも。 単行本で読んだのでとにかく重くてボリュームがあって自宅でじっくり読んだので一気に読むとかはなかったです。 私は普段の貴志祐介さんの本の方がやはり好きかなぁ。
4投稿日: 2021.07.16
powered by ブクログ何度も読んでいる作品です。今まで読んできた作品の中でも群を抜いて好きです。これ以上に好きになる作品には出会えないのでは。と思うほどです。 上中下と長い物語の中、1000年後の人類を描いた作品のクライマックス。その物語の終わりとして、文句なしの圧巻の最後でした。 物語の軸でもある、呪力を持たない人間はどうなったのか。この答えが明かされます。読み終わった後に思い返せば、早希たちは何度もその答えに辿り着いていました。 この作品全体を通して思うのは、設定の練り具合が尋常ではないことです。 呪力を持った人間が現れてからの千年間、その歴史を貴志祐介さんの中でしっかりと年表として作られているように思います。 また、私たちの常識と主人公たちの世界では考え方が違い、生活様式も違います。呪力という力について、また、呪力によって及ぼされる影響について、細かく考えられています。これには、誰もが脱帽すると思います。 貴志祐介さんの数ある作品の中でもダントツ面白いと思いますし、まだ、貴志祐介さんを知らない人にもぜひ読んで欲しい一冊です。
5投稿日: 2021.06.26
powered by ブクログ長かった、けどこの壮大な世界を描くにはこのくらい分量いるんだろうな。 終盤のクライマックスの臨場感はすごい。汗、泥、血肉の匂いが伝わってきそう。壮絶な戦いだった、ひとまず完結した。この手記は誰の手にわたるんやろか。
5投稿日: 2021.06.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全体通してものすごく面白かった。 ミステリーが好きでSFには長い間あまり手を出せないでいたがプロットがミステリーに近いものがあったのも読みやすかった要因かもしれない。 伏線などを回収する際に上中下巻と分かれていると流石に重さが違うなと感じた。 殺戮のシーンでは表現が鮮やかすぎて苦しみながら読んだ。 筆者が殺人鬼でなくて小説家であって本当によかったと思う。 クライマックスはとてもドキドキして1人で抱え込むのが怖いくらいだった。 生命倫理的な話も絡んでいるのでよく考えながら読んだ。 人によって様々な読み方や見方ができるのではないかと思う。
3投稿日: 2021.06.04
powered by ブクログここまできたら完全にホラー。怖かった。でもこんなに内容が後々残る物語に久しぶりに出会った。読み応えたっぷり。
3投稿日: 2021.05.02
powered by ブクログ第三巻 1000年後の日本 夏祭りにまさかの惨劇 人間VS〇〇〇 闘いとその決着そして・・・な流れでしたがとても読みごたえがありました 結末もまた、そういうことだったのかと
6投稿日: 2021.04.14
powered by ブクログ1000年後の日本、そには呪力と呼ばれる不思議な力を操る人々が住み、生活を送っていた。 主人公・早季は中々自分に芽吹かない呪力に焦りながらも親友たちと穏やかな幼少期を過ごした。 ようやく呪力が芽生え、進級した親友たちと同じ学校に通うようになった頃の夏季キャンプで先史時代の一端を知ってしまい、徐々に自分たちの社会への疑念を抱き始めてしまう。 作中に出てくるなぜ?という疑問が全て晴れたとき、凄まじく気分が悪くなってしまった。その焦土にひとり立ち尽くすこの気持ちをなんて表現したらいいのか分からない。 手に汗握るシーンも、息を着くのも苦しいシーンも、すべては写し鏡で、人間とはなんと醜く愚かしい生き物なのか。
3投稿日: 2021.04.14
powered by ブクログかなり読みごたえがあった。 上巻序盤の、どこか懐かしささえ感じる風景とはうってかわって、後半の描写の残酷さは読者のページを捲る手を止めさせないでしょう。
3投稿日: 2021.04.11
powered by ブクログ貴志裕介が書くSF長編。完結。 26歳になった早季は、保健所の異類(=バケネズミ)担当課で働いていた。 覚は妙法農場で研究員として働いている。 そしてある夏の日、遂に恐ろしい事態が発生する。 バケネズミによる反乱。悪鬼の出現。 神栖の人々は次々と殺されていく。 早季と覚は、早季の母が残した手紙を元に 最終兵器となりうる存在を求めて廃墟となった東京へと向かうが。。。 結局最後までバケネズミか、とちょっとガッカリしていたのだが、 そのバケネズミの由来が判明したところで 「そうか、だからここまでバケネズミを引っ張ったのか」 と納得した。 まあすでに上巻の時点である程度推測できる内容ではあったのだが。 SFとしての形を採りながら、最終的には人間のエゴや人類のあり方という所まで 言及しているような感じである。 どこまで許されるのか。呪力を発揮した人間は、神として君臨すべきなのか。 それにしても野弧丸(スクィーラ)が最後までキーマンになるとは。 あと奇狼丸がちょっとカッコ良かった。 見た目は不気味なんだろうけど。一番筋の通ったキャラクターであった。 欲を言えば、もう少し作中の“古代”から作中の“現代”に至る部分の秘密を 明かして欲しかったような。
0投稿日: 2021.03.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
結局は人間同士(呪力を持つ人間と持たない人間(バケネズミ))の争い。そのことが戦いが終わったあとに分かって、鳥肌が立つほど後味の悪さが際立った印象だった。 「新しい秩序とは、夥しい流血によって塗り固めなければ、誕生しないものなのかもしれない」この言葉がとても印象に残っており、現代の我々の世界にも当てはまると思った。 中•下はあっという間に読んでしまった。この本の世界観が壮大で作者の「想像力」が本当にすごいと思った。
1投稿日: 2021.02.23
powered by ブクログ緻密に計算されていて完成している世界観。上を読み終えるまでにすごく労力と時間を要したが、中下巻に入ると痛快であっという間に読んでしまった。夏キャンプの終わり辺りからページを捲る速さが上巻の倍ぐらいになった。段々秘密が明かされていく感じが面白くて、自分もその世界に紛れ込んだみたいに手に汗を握りながら読み進めてたし、主人公達と同じ感情の起伏だったと思う。。展開が面白くってどんどん引きずり込まれて読み進めちゃう一方で、状況がどんどん絶望的になっていってこれ以上の悲劇を見たくない葛藤、、、を乗り越えての感動。自分の日常ですらソワソワしちゃう
2投稿日: 2021.01.23
powered by ブクログ読み終わったー! 久々に読了感満載の大作読んだ。 でも、長さを感じさせないくらい、テンポ良く、飽きてきた頃に話が進み始めたりと、最後までスルスル読めた! でも、後半洞窟の中で、描写のシーンが多いのはちょっと飽きてしまって、スルースルー読んだ。 なんか、回収されてないこと色々ある気が。。。 マンガの7seedsにもどことなく似てるような。 なんだか人間の弱いところ見せられたような。
4投稿日: 2021.01.19
powered by ブクログ上下巻読了。 これは進化か衰退か。 あるかもしれない人間の未来の姿。 パナソニック製図書館アーカイブ、同東芝製で読者をホッとさせ、ここが未来世界であるという意識を保ちながら物語を先導する。 悪鬼とは? もはや全員のよう。 自分の性格はゴウマカしているようで、純粋な頃読んだらもっと没入したかも。 ジェノサイドに弱い方は気をつけてください。
1投稿日: 2021.01.18
powered by ブクログ全3巻というボリュームながらあっという間に読んでしまった。独特の世界観がクセになるが、多分壮大すぎて上中下3巻では描き切れていないだろうなと思った。そのせいか、物語のキーが何なのかしばらく分からなかった。 下巻は私の苦手だった「悪の教典」を彷彿とさせる描写が満を持して登場したので、その辺りは流し読みしてしまったけど、考えさせられるようなどこか物悲しい結末は印象的だった。
1投稿日: 2021.01.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
めちゃくちゃ面白かった!グロテスクなディストピア小説、日本の作品の中では群を抜いている、これは“すばらしい”新世界より! アニメのホームページの作者インタビューで、なぜパラレルワールドではなく、千年後の日本としたのか?という質問に対し、「...あくまでも現代の我々の社会と地続きで、この世界が出来上がったという設定にしたかった。読者にそう思ってほしかったんですね。」と答えているが、この社会が今の私が住んでいる現代日本の将来だと実感すると(貴志祐介作品、読むのは初めてなのだが、リアリティ描写力にぐいぐい引き込まれた)、恐怖・戦慄が胸に去来する。私は呪力を持たない人間であって、彼らに使役されるバケネズミ側と何も変わらないからで、事実バケネズミが改変された人間ということが明かされた時の恐怖は頂点だった。(私は人間だ!という言葉でえ、まさか、え確かに瞬は奇形児の卵を作っていた、女王も奇形児を作っていたと頭で線が繋がった時のおぞましさよ) 「人間たち」はバケネズミを尊重していると無邪気に思っていて、その違和感、「人間側」への感情移入の不完全さも、一層この小説をグロテスクにしていた。ああディストピア! 結局戦いは呪力を持つ側が勝利したのも、今の人類の暗い未来しか指し示さず、なんとも暗澹たる気持ちになる.... 最後の一文「想像力こそが、すべてを変える」もなんと意味が何層にもなっている締めくくりだろう!感動、戦慄、面白かった!! この小説のタイトルはドヴォルザークの「新世界より」ということだが(ハクスリーのBrave New Worldとも内容的に重なるが)、第二章の家路の挿入は見事だった。幼少期の思い出にも、凄惨な悪鬼とのギャップにも、そして最後の表面上は平穏が訪れた今に対して、これほどにぴったりな曲があるのか?!というほどでした。
2投稿日: 2020.12.28
powered by ブクログとんでもないSF本。 作者の考えたとんでもない空間、生き物を 披露させられる作品だ。 下巻では緊張感のあるシーンが続き、比較的楽しく読めた が、それでも上中下はなげぇわ
0投稿日: 2020.12.10
powered by ブクログ覚以外の一班の友人を失い、26歳になった早季は保健所の異類管理課で働いていた。そんなある日、バケネズミの反乱が起き、穏やかな神栖66町が一変していく。 禁断の知識を手に入れたバケネズミのスクィーラが、人類による支配を不当に感じることに共感できる一方で、人類に対抗する手段が残虐的であったため、善悪の判断で、読後に後味の悪さを感じてしまう物語でした。 全体を通して、貴志祐介さん独特の世界観から想像を掻き立てられる物語で、支配欲に満ちた人類の傲慢さが如実に表現された作品でした。
0投稿日: 2020.11.11
powered by ブクログ久しぶりにほぼ一気に読み終えました 話の展開が面白くて、どんどん引き込まれて行きました ただ生物の表記が事細かに説明があったのだが、知識がついこれずに、あまり想像することが出来なかったのが残念でした
0投稿日: 2020.10.26
powered by ブクログ高校生ぶりの再読! 舞台は1000年後の日本。『呪力』をもった人間が支配していたのは何か。 貴志祐介作品はほぼ全て読破した自分から見ても最高傑作であることは揺らがない。 鮮明な情景描写に加えメッセージ性を持ったバケネズミとの対話。下巻に至っては何度も肌に粟が生じるほどの真実と、緊迫感に満ちたクライマックス。 上巻の最初こそ読みにくさを感じるかもしれないがそこを過ぎれば一気読みも一気読み…気づいたら4日で読み終わっていた、、、 主人公が少年少女なのでライトノベルで括ってしまえばそれまでなのだが、果たしてそう簡単にライトノベルで括っていいような作品なのか 騙されたと思って読んでみて欲しい
0投稿日: 2020.10.12
powered by ブクログ結末がどうなるのか。。。一気読み。 悪鬼の正体が、奇狼丸の最後が、悲しかった。 そしてバケヌズミのルーツが。。。あながち私が中巻の感想で思ったことが間違ってなかった!? 1000年後の日本。滅びてしまった私たちが生きる日本。 いつだって新世界だと思うけど、人類のエゴは変わらない。 貴志祐介さん、蜂作家さんどころじゃなかったよ。なんか、すごすぎました。
2投稿日: 2020.09.06
powered by ブクログどちらかといえばホラー要素が強いと思う。私がホラーが好きではないせいかも知れないが、全体的に読後はあまりスッキリはしない。
1投稿日: 2020.09.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
新世界より 未来のどこか。 誰かが渡辺 早季の手記を手にしたことが想像できる。 以下、ネタバレ有り(備忘録)。 全編に渡って早季の手記という設定ではあるが、そんなことは頭から消え去り、ストーリーの中に引き込まれる。当然、わたし(早季)の主観で物語は進む。 複雑さは排除された、ストレートな作品だと感じる。 特にバケネズミの思考は、序盤は難解な印象を受けたが、終盤には生き物としてごく自然な感情だ。人間の感覚と何ら違いは無い。 それよりも奇妙なのは人間であり、自らの作り出した牢屋に、自ら閉じこもっているような存在に見えたことに、妙に納得させられた。 現代から1000年後、人々は呪力を操り、平和を求めて自らの遺伝子さえも組み替えて、安心と信頼の生活を維持しようとしていた。 下巻は上中巻に比べスピード感があり、人類とバケネズミ、そして悪鬼と呼ばれる存在の登場で、戦いや逃げ隠れする場面が次々と展開されてゆく。 ハラハラドキドキの中で登場人物の会話に、自分も参加しているような感覚になった。自分の意見など全く聞いてもらえないことにイライラさえした......汗 バケネズミの存在は物語の核心に迫るために重要な役割を果たしており、というより核心そのものなのかもしれない。 人間が人間を殺すことなど有り得ない...... 「私たちは、人間だ!」 おそらくこの世界では、年月と共に真実を解き明かすことは、これまで以上に難しいものとなるだろう。バケネズミの一部は核心に迫っていたのかもしれない......と個人的には思う。 業魔、悪鬼、全ての不安は払拭されずに物語は終わる。 不安とは何か。それは誰にとっての不安なのか。 人類の歴史は続く。 読了。
32投稿日: 2020.08.17
powered by ブクログ長い旅が終わったような読了感。 上巻の終わり近くまで世界観に入り込めず 読みきれないかも?と思いながらの遅読。 夏キャンプの終盤から引き込まれてスピードアップ。 生き物の説明や描写が少し長く読み疲れも したけど、バケネズミは私のなかで ロードオブザリングの化け物のイメージで 想像した。 なぜその新世界が生まれたか?の理由には 今の社会の問題も関係してきて考える部分が多かった。愧死機構の発想には特に。
3投稿日: 2020.08.10
powered by ブクログ★★★★☆☆ 4.0 名作三部作。全員が読むべきSFの傑作です。 以下2023/10/9追記 7年ぶりに再読。三部作とは思えないほどあっという間に読ませる世界観にやはり脱帽でした。 読んでる最中も読んだ後もこの作品のことしか考えられなくなるので、時間があるときにまた読み直したい(備忘:今回は海外への転勤)。
4投稿日: 2020.08.06
powered by ブクログ面白かった。 色々突きつけられてくるものはあるけど、それはそれ。 エンターテイメントとしても、楽しめる。
4投稿日: 2020.08.03
powered by ブクログ貴志祐介さん、『悪の教典』しか読んだことなかったけど、これは面白い。世界観の作り込みが素晴らしい。ちょっとゾクッとする感じ。
4投稿日: 2020.06.28
powered by ブクログ539ページ、読了。最後まで驚きの展開で楽しめた。戦闘シーンも、最後に明かされる人類の秘密も、期待どおりの飽きさせないもので、ほぼイッキ読みでした。面白かった!
11投稿日: 2020.05.26
powered by ブクログ途中でやめられず徹夜で一気に読み終えてしまった。こんな凄い小説、かなり久しぶりだ。 遂に蜂起したバケネズミ、周到な計画と恐ろしい切り札。呪術と科学兵器のぶつかり合い。阿鼻叫喚の絶望的な展開。これまでの伏線がここで大きな意味を持ってくる。 スクゥーラの魂の訴え。明らかになったバケネズミの正体。曖昧な人間と化物の境界線。ラストは果たしてハッピーエンドなのか。途中からバケネズミに肩入れしている自分がいる。 構成、設定、世界観、メッセージ性。膨大な情報量がありながらも全く損なわれないスピード感。 恐怖すら覚えるほど凄まじいジャンルレスな傑作。
0投稿日: 2020.05.19
powered by ブクログ中巻で読む勢い失速しかけてしまったけど、下巻でまた引き込まれていった。 あっという間に読了。 策士のバケネズミに騙されてしまうのか?住民たち、いや主人公すらこれからどうなってしまうのか?ドキドキしながら読んだ。 面白かった。
0投稿日: 2020.05.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
何から言えばいいのか。 考えたことが多すぎてまとまらない。 読み終わるまでに、どれだけ調べ学習したか。 あらゆる分野の知識がちょっとずつ、大量に詰め込まれている。 SFで、ミステリーで、エンタメで、なのにやっぱりホラーだと思う。お化けじゃなくて、人間の怖さ。 下巻でとんでもなくゾッとした場面は、東京の地下での悪鬼との鬼ごっこよりも、黄金の郷の病院。 ただでさえ真っ暗で出口もあまり無い場所で、敵がいつ現れるか分からない。人数が増えれば、思うように動いてくれなかったり、非協力的なメンバーも出てくる。 悪鬼にはギリギリのところで気付かれずに済んだけど、何人か犠牲になったし、ドアノブがゆっくり回るところなんて臨場感があり過ぎて、私まで気が遠くなりそうなぐらいだった。 その後、船で後をつけられることも分かってはいたけど、終始ひやひやするシーンだった。いつどのような方法で殺されるか分からない ただその時に覚が作り出した鏡は一番のファインプレーだったのではないだろうか。これができなければ、他に助かる方法があったのだろうか。 覚の生きるための判断力や機転は早季を何度助けたことか。早季一人では到底助からなかったと思う。そして、瞬。幻と言うにはかなり具体的なヒントをくれる彼は、もしかしたら思念のような形で早季の中に生きているのかも。 私はほぼ終盤まで、唯一奇狼丸に対しては、最も賢く不憫な存在だと思い、感情移入して読んでいた。散々人間に使役されておきながら最後は「死んでくれ」とまで言われ、結果的に人間に都合よく利用される形で生涯を終えなければならなかった、有能な将軍。 でも最後の最後、スクィーラの考えを聞いてから、それぞれの主張や目指すものが違うのだから、誰が悪くて、誰が可哀そうということもないのかもしれないと思った。奇狼丸はスクィーラよりは「人間」であることに固執していなかった為、化けネズミ全体の開放と言うよりも、大雀蜂コロニーさえ存続できれば満足だったのだから。 早季が子供時代を振り返って、スクィーラへ最期の言葉をかけるところでは、なぜかすごく悲しくなった。 人間もバケネズミも種を存続させたい思いは共通していて、本来はお互いに協力すべきだし、協力することもあったのに。 戦争にはどちらが正しいも間違いもないが、「勝った方が正しい」とされる。たとえ呪力を使える人間が、かつて呪力を持たない人間を身勝手な理由で化けネズミに変えようとも、その事実を大半の「人間」が知らなくとも、そんな事実は葬られ、「人間」の立場からすれば、自分達は一方的に攻撃を受けた被害者で、化けネズミは「悪」となる。 でもこれが逆の立場ならどうか。もし人間より戦闘能力が高い種族がいて(知能的には同レベル)、人間を力によって支配する社会があったとして、その上遺伝子操作により人間でさえなくなり、都合が悪くなると一族郎党滅ぼされるとしたら。いつ殺されるかの恐怖に怯える日々を過ごしているとしたら。 勝敗が目に見えていようとも、必ず戦うはず。勝つために、あらゆる手段を講じるはずだ。 それは報復どころか、「人間として普通に生きたい」という当然の願い・権利を主張するもので、それがスクィーラの言う「同胞を開放」することであり、誰がそれを責められようか。 私はずっと愧死機構のシステムに違和感があった。同種の人間に攻撃しようとすると自ら死ぬ。これは呪力を持った人間が暴走した呪力によって滅ぼされない為に「人口的に」付加した、超不自然なシステム。けれどその為に、悪鬼や業魔が絶対的な恐怖・敵となってしまった。しかも呪力で防御する能力はない。 倫理委員会や教育委員会は、悪鬼や業魔を発生させない為の対策を打ってはいたが、例えば他の地域で発生した場合や突然変異、今回のように化けネズミに育てられた人間等にどう対応するのか、それについてはなぜか一切検討しなかった為、いざ事が起きれば諦めるしかない。幸運を祈るしかない。 だから、何の制限もなく呪力を使える状態に戻る方が、生物として自然ではないかと考える。自然界でも、絶対に安全で、敵が一切いなくなる状況はあり得ない。何らかの犠牲や、自然淘汰は起こり得る。 それでも、人間が手を加えればその分、歪み、しわ寄せはあるもので、それこそ神様からの罰は免れないのではないか。 人間のルールで雁字搦めになるよりは、自然の一部として身を任せる方が人間らしくいられるのではないか。 早季の功績は、スクィーラを無間の苦しみから開放した事と、愧死機構や規則等、既存の悪習を見直そうとしていることだと思う。 人間は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と自覚のある早季なら、負の連鎖を止められるかもしれない。 読み終わって、ほぼ疑問に思っていたことは解決した。特に、神栖66町のその後が気になっていた。 でも今一納得できなかった点もある。 ・図書館の閲覧禁止の書物を含めた知識の存在意義(上手く活かされていない) ・呪力でケガや病気の治癒はできないのか?限られた人しか使えない? ・古代の人間はサイコバスター1つで立ち向かうつもりだったのか? 「想像力こそが、すべてを変える」 様々な価値観を持った人間が限られた土地で生きていく為に、最も必要なものかもしれない。 20200424
8投稿日: 2020.04.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
バケネズミも悪鬼も怖い反面、来栖66町を含めた人間とか。 真理亜と守のそのあととか知りたかったな。 さきと覚のコンビもよいし。 いろいろ複雑な気持ちになる。バケネズミの遺伝子解析は想像していなかった。そう考えるとスクィーラの反逆はある意味もっとも原始的な気持ちだったんだろうな。勝った方が英雄になるんだろう。 病院の新生児を狙われたのも怖いし、そもそも人間だけどバケネズミとして育った悪鬼はバケネズミとして間違ってない。周囲の環境が異なるだけでこんなにも人生が変わってしまうんだなと思った。 瞬がさきを助けてくれる場面も好きだった。いつになっても頼れる人だった。
2投稿日: 2020.03.22
powered by ブクログ好きすぎる!! 不気味な感じと、独特の世界観、まさかお伽話のものが本当に存在するとは・・・!! 本当にページをめくる手を止められなかった、この下巻も1日で読み切ってしまった。 ここまで引き込まれるSF小説は初めてかもしれない。 読み終わって、人に勧めたい小説No.1だなと思った。 ネタバレ厳禁、とにかく実際に手にとって読んでみることをオススメします。
0投稿日: 2020.03.05
powered by ブクログついに完結だー。 じーんとして涙出る。 あほな感想で申し訳ない。 最後、早希の世界ではこうだった。 翻って、では私の世界では・・・と、問いかけられ、 現実世界へとつながる感じ。
0投稿日: 2020.03.01
powered by ブクログ貴志さんという人は動植物、特に昆虫・甲殻類・軟体動物に造詣が深いようだ。想像力を駆使するにも、元になる生物を知らないと、この小説の面白さは半減する。 ストーリーの中で背景・小道具として登場するが、「気持ち悪さ」をどれだけ頭の中で再現できるかが、面白いかどうかの境目だろう。 上巻あたりは宮崎アニメっぽい情景が浮かぶが、下巻あたりは「アバター」っぽい雰囲気であった。 呪力はSTAR WARSのFORCEにあたるのだろうが、ジェダイのそれよりも強力なパワーっぽい。 「悪鬼」に人間が殺されるシーンは「北斗の拳」のよう。 いろんな要素があり、根幹には重いテーマもある。 いつかは映画化されるのかもしれない。
0投稿日: 2020.02.24
powered by ブクログおもしろかったー! そして疲れた。 疲れきってレビュー忘れてた。 中巻以降は息つく暇もない怒涛の展開だから文量どれだけあっても全然苦じゃないけど、足りない頭フル回転で読んでたし、ちょっと気抜くと置いていかれる。 頭の中で早季たちの世界を少しずつ思い浮かべて、どんどん想像を広げていって、気分的にはあさのあつこさんのNo.6を読んだときみたいな。 読み終わってしばらくたったけどまだ頭のなかにちゃんとあるんだよね、みんなの世界の風景が。 こういうのが本当に楽しいから、本読むの好きでよかったなあとつくづく思う。
1投稿日: 2020.01.25
powered by ブクログ文量もあるし、多分この作家の最高傑作だと思う。 読み終えてかなり経ってしまったので、断片的な記憶しか残っていないが、読み返すなら間違いなくこの作品だ。
4投稿日: 2019.12.22
powered by ブクログ良かった。中巻、下巻はあっという間だった。 最後の最後まで、彼女の生きる世界の正しい在り方はわからなかった。 覚は最初はやな奴という印象だったけど、常に早季を守ろうとして行動していたところはイケメンすぎた。 って言うか瞬、瞬ーーーー!!!
3投稿日: 2019.12.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なかなかの長編だったけど、あっという間に読み終えた感じ。 SF小説なるものを読み慣れていないので、最初はどんどん出てくる色んな生き物たちの描写に面食らってしまったけど、この世界に慣れてくると興味深く読めるようになった。 次から次へと絶体絶命の危険な状況が訪れて、もうしんどいわ!ってなりそうになったこともあるけど、思いもよらない方法で状況が打開されていくのは面白かった。 バケネズミと人間の関係が、まさかそういうことだったとは…。バケモノと人類かと思いきや、その境界があいまいで、ゾッとする感じだった。人間と悪鬼や業魔にしてもそうだった。
3投稿日: 2019.10.23
powered by ブクログ「新世界より」読了。ベースはSFだが、ホラーやミステリなど、様々なジャンルが渾然一体となって 読む者を惹き付ける、とても魅力的な作品だった。最初は少年少女の学園モノかと思いきや、徐々に物語は異形の世界へと引きずりこまれていく。人間とバケネズミ。相容れぬ2種の生き物が迎える、悲しい結末。果たしてバケネズミが再び◯◯として、人間と同等に生きる未来はあるのだろうか。奇狼丸と野狐丸の叫びは人間に届くのか。
4投稿日: 2019.10.18
powered by ブクログ【感想】 異世界やSFという壮大なスケール感だけでなく、ストーリーや設定の構成の高さに鳥肌たちまくりの、非常に読み応えのある面白い作品でした!!!! 今まで本作品を「和製ハリーポッター」と思いながら読んでいたが、呪力以外では全然そうじゃないかも。 「風の谷のナウシカ」や、「約束のネバーランド」もプラスされたような、なんとも不思議な世界観のファンタジーでした。 そう、この物語を一言で申し上げるなら、「壮大なスケールの世界観」!!この言葉に尽きるでしょう!! 上中下巻とおして、ストーリー構成は勿論ですが、それ以上に本物語の世界観の完成度が凄すぎた!! (なんと、構想期間は30年もかかったとのこと!!これには貴志祐介先生には感服せざるを得ませんね・・・・) また、これほど非現実的なファンタジーであるのに関わらず、現実の世界でも通用するような教訓も沢山描かれていたのではないでしょうか? 中でも特筆すべきは、やはりバケネズミと人間の関係性でしょう。 主従関係に関してバケネズミが人間に抱く憎しみは、あながちフィクションでも何でもなくて、現実でも大いにあり得る事なのでは・・・なんて思ったりもしました。 主人と奴隷という関係性だけでなく、上司と部下、雇い主と労働者、恋人同士や親子などの関係性でも、同じような感情が芽生えてしまう事ってあるのかも。。。 そして、最終巻の最後の方で判明した「バケネズミは能力者ではないただの人間だった」という伏線回収には、本当に鳥肌ブッツブツでしたね!!!! 小説を読んでこれだけ舌を巻くのは久しぶりかも。 あと、上巻・中巻でまき散らされた伏線も全て回収されており、絶望を煽るだけ煽って尚中途半端に終わらせずに綺麗に物語が折りたたまれていく様は、読んでいて感心してしまいました。 何故このような世界が誕生したのか、古世から今の世界まで成り立ちや歴史、人種、世の中の仕組みや現世のインフラについても綿密に書かれており、「こりゃ構想30年もかかるわな!!」と思いました。 ただ、唯一難癖をつけるとすれば、真理亜のボカされた最期についてかなぁ。 途中までは真理亜がラスボスになるかと予測いたし、キャラクターが立っていて良かった為、途中退場してしまったのは少しばかり肩すかしでした。 (真理亜の最期については特に書かれていなかった?) あと、「歴史の傍観者に徹していた科学文明の継承者たち」は結局何をしたの?? いつのまに能力者に「愧死機構」なんていう足かせがついてしまったの?? 等々、読み終わっても尚、余韻と一緒に色々な疑問も残りました。。。 まぁ、それを差し引いても、十分すぎるくらい面白い作品だったと思います!! 設定が凄まじくて、鳥肌たちまくり、舌巻きまくりでした。 最後に・・・・ 夕方に家の近所でよく流れていたあの曲って、ドボルザークの「家路」って曲だったんだ!!笑 てっきり、日本の民謡だと思ってました(笑) 懐古の情に溢れるイイ曲ですよね。大好きです。 【あらすじ】 夏祭りの夜に起きた大殺戮。 悲鳴と嗚咽に包まれた町を後にして、選ばれし者は目的の地へと急ぐ。 それが何よりも残酷であろうとも、真実に近付くために。 流血で塗り固められた大地の上でもなお、人類は生き抜かなければならない。 構想30年、想像力の限りを尽くして描かれた五感と魂を揺さぶる記念碑的大傑作! 【印象に残った文章や台詞】 1.鏑木氏の卓越したカリスマ性がなければ、これほど容易くパニックを鎮める事は不可能だったろう。見事な人身掌握術だった。 心から恐怖を追い出せるほどの強い感情は、怒りしかない。 劇薬に頼るのと同じで危険だが、気付け薬には、それだけ強い刺激が必要なのである。 2.我々の全種族を、お前たちの圧政下から解放することだ。 我々は、高い智能を持っている。本来なら、お前たちと平等に扱われるべき存在なのだ。 にもかかわらず、お前たちの悪魔の力によって尊厳を奪われ、獣のような扱いを受けてきた。 もはや、お前たちを地上から一掃する以外に、我々の誇りを回復する道はない! 3.多くの人が殺され、両親の安否すら分からない。今や、わたしたちには帰るべき町もないのである。 不世出の能力者だった日野光風氏も鏑木氏も斃れ、わたしたちには悪鬼に対抗する手段は何一つ残されていない。 だが、それでも諦めるわけにはいかない。 将来に何の展望もないときこそ、本当の強さが試される。その意味でも、今こそが試練の時なのだ。 4.野狐丸が秘かに描いていたグランドデザイン 野狐丸のもうひとつの、そして真の目的は、託児所を襲って人間の赤ん坊を手に入れることだった。 バケネズミによって託児所の子供たちを育て、さらに多くの子供を略奪して悪鬼の部隊を編成すれば、日本から極東アジア、いずれはユーラシア大陸全土から全世界を征服することさえ夢ではない。 偉大なる、バケネズミの世界帝国の誕生だ。 5.「もし、あの子が本当に悪鬼だったんなら、なぜ野狐丸たちは無事でいられるの?」 どうして奴には、攻撃抑制も愧死機構も無効なんだ? あの子は産まれてすぐ両親から引き離され、バケネズミによって育てられた。 だから自分のことをバケネズミだと思っている。 自らをバケネズミだと思っているあの子には、同族であるバケネズミを殺すことはできない。 しかし、異類である人間なら、何の逡巡もなく抹殺できるのである。 6.「なぜ、人間に反逆しようとしたの?」 「我々は、あなたがたの奴隷ではないからだ」 わたしは、奇狼丸の言葉を思い出した。言っていることは、ほぼ同じである。 「我々は、高度な知性を持った存在です。あなたがたと比べても、何ら劣るものではない。違いといえば、呪力という悪魔の力を持つか否かだけだ」 7.「私たちは、人間だ!」 一瞬観衆は静まり返った。それから、どっと爆笑が起きた。 スクィーラが叫ぶ。 「好きなだけ笑うがいい。悪が永遠に栄えることはない!私は死んでも、いつの日か必ず私の後を継ぐものが現れるだろう。そのときこそ、お前たちの邪悪な圧政が終わりを告げるときだ!」 p518 バケネズミが人間ではないかと、うすうす疑うようになったのはいつ頃からだろう? 唐突に、夏季キャンプでミノシロモドキを捕らえた時に瞬がした質問が、わたしの脳裏に浮かび上がった。 「奴隷王朝の民や狩猟民達は、呪力・・・PKがなかったんだろう?その人たちは、一体どこへ行ったんだ?」 それに対するミノシロモドキの答えは、不得要領なものでしかなかった。 「その後、現在に至る歴史について、信頼の置ける文献はきわめて少数です。そのため、残念ながら、ご質問の点に関しては不明です」 背筋を、悪寒が走った。 わたしたちの先祖である人々が、呪力を持たないそれ以外の人間を、バケネズミに変えてしまったというのか? 【メモ】 p146 「さっき、2人殺されたのを見ただろう?5人いようが、100人いようが、所詮は同じことだ。悪鬼に対して、どう戦いようがあるんだ?いいから、向こうへ行け!」 野口医師は、覚の胸を突き放す。 一体なぜ、バケネズミの襲撃と軌を一にして、悪鬼が出現したりするのか? p153 「奇狼丸の率いる軍が、どうして全滅したのか。いくら勇猛でも、相手が悪鬼では、ひとたまりもなかっただろう。」 覚は言った。 「それに、なぜ野狐丸が開戦に踏み切ったのか。バケネズミと悪鬼の関係はまだわからないけど。もし、僕の想像が当たってるなら・・・」 p205 「バケネズミに死を!」 群衆は熱狂し、拳を振り回しなかまら、シュプレヒコールを繰り返した。 鏑木氏の卓越したカリスマ性がなければ、これほど容易くパニックを鎮める事は不可能だったろう。見事な人身掌握術だった。 心から恐怖を追い出せるほどの強い感情は、怒りしかない。劇薬に頼るのと同じで危険だが、気付け薬には、それだけ強い刺激が必要なのである。 p222 「兵士の命だと?くだらん。大義の前には、一個体の生命など、鴻毛(こうもう)のように軽いのだ」 「その大義というのは何なんだ?」 「我々の全種族を、お前たちの圧政下から解放することだ」 「我々は、高い智能を持っている。本来なら、お前たちと平等に扱われるべき存在なのだ。にもかかわらず、お前たちの悪魔の力によって尊厳を奪われ、獣のような扱いを受けてきた。もはや、お前たちを地上から一掃する以外に、我々の誇りを回復する道はない」 p225 多くの人が殺され、両親の安否すら分からない。今や、わたしたちには帰るべき町もないのである。 不世出の能力者だった日野光風氏も鏑木氏も斃れ、わたしたちには悪鬼に対抗する手段は何一つ残されていない。 だが、それでも諦めるわけにはいかない。 将来に何の展望もないときこそ、本当の強さが試される。その意味でも、今こそが試練の時なのだ。 p254 野狐丸のもうひとつの、そして真の目的は、託児所を襲って人間の赤ん坊を手に入れることだったのだ。 12歳の、夏季キャンプに行った時の記憶がよみがえった。 「土蜘蛛の女王が産んだ幼獣、それこそが貴重な戦利品。我々のコロニーの明日を支える労働力となるのです」 「倍々ゲームどころじゃない」 覚が蒼白な顔で言う。 「最初は、真里亜たちの子供だ。その子が成長して、鏑木さんさえ対抗する術を持たない悪鬼となった。そして、その勝利で得た大勢の子供たちが、十年後みんな呪力を使えるようになれば・・・」 わたしにもようやくわかった。これこそが、野狐丸が秘かに描いていたグランドデザインだったのだ。 バケネズミによって託児所の子供たちを育て、さらに多くの子供を略奪して悪鬼の部隊を編成すれば、日本から極東アジア、いずれはユーラシア大陸全土から全世界を征服することさえ夢ではない。 偉大なる、バケネズミの世界帝国の誕生だ。 p298 「サイコ・バスターとは、古代文明の末期に、アメリカで超能力者一掃計画に用いられた細菌兵器の俗称です」 p464 「我々が東京の地下を探索することにしたのは、今回と全く同じ理由からです。人類の古代文明の遺物である、大量破壊兵器を入手するためでした」 「何のために?」 わたしの質問に、奇狼丸は失笑を漏らす。 「何のため、ですか?兵器が欲しいときは、通常コレクションのためではありません、使うためです。サイコ・バスター程度では力不足ですが、もし核兵器か大量破壊兵器を入手できれば、人類に取って代わり、我々の覇権を打ち立てることも不可能ではないと考えました」 「すべての生物は、自らが生き延び、繁殖することを目的とするよう作られています。 我々のコロニーに関しては、将来にわたって存続し繁栄することが、唯一無二の目的なのです。 したがって安全保障上、あらゆる危険を想定し、対策を用意する必要があります。 大雀蜂コロニーは傘下に多くのコロニーを抱えていましたが、敵対コロニーのみならず、すべての友好コロニーに対しても、急襲して皆殺しにするための戦闘計画が立案されており、必要ならいつ何どきでも実行可能でした。」 奇狼丸は、淡々と続ける。 「そう考えたとき、人類の存在が我がコロニーにとってどれほど大きな不確定要因であり脅威であるかは、容易に想像して頂けるでしょう。 良好な関係とは、一体何でしょうか? 我々は人類に対して忠誠を誓い、山海の幸を献上し、役務を提供することでようやく生存を許される立場です。 しかし、それでさえ、いつ風向きが変わるか分かりません。」 p475 「もし、あの子が本当に悪鬼だったんなら、なぜ野狐丸たちは無事でいられるの?」 「じゃあ、どうして奴には、攻撃抑制も愧死機構も無効なんだ?」 「たぶん無効じゃないと思う。」 「ごく単純に考えてみて? あの子は産まれてすぐ両親から引き離され、バケネズミによって育てられたんでしょう? だから自分のことをバケネズミだと思っているはずだわ」 わたしの中でぼんやりと渦巻いていた考えは、今や確信に変わっていた。 自らをバケネズミだと思っているあの子には、同族であるバケネズミを殺すことはできない。 しかし、異類である人間なら、何の逡巡もなく抹殺できるのである。 p480 あの子は、悪鬼ではなかった。 あの子には、本来何の罪もないのだ。 両親をバケネズミに殺され、バケネズミによって育てられ、その命令により大量殺戮を行なった。 自らをバケネズミと信じていた彼には、何の疑問も、良心の呵責もなかったことだろう。 それだけではない。 あの子はバケネズミの命令に対して、一切逆らうことができないのだ。 バケネズミに対して強固な攻撃抑制と愧死機構に縛られているあの子は、文字通りバケネズミの奴隷なのである。 p506 「なぜ、人間に反逆しようとしたの?」 「我々は、あなたがたの奴隷ではないからだ」 わたしは、奇狼丸の言葉を思い出した。言っていることは、ほぼ同じである。 「我々は、高度な知性を持った存在です。あなたがたと比べても、何ら劣るものではない。違いといえば、呪力という悪魔の力を持つか否かだけだ」 p508 「私たちは、獣でも、おまえたちの奴隷でもない!」 この言葉で、聴衆の怒りは最高潮に達した。しかし、死を覚悟している野狐丸は怯まなかった。 「獣でないとしたら、お前は一体何なのです?」 スクィーラは、ゆっくり法廷の中を見渡した。 「私たちは、人間だ!」 一瞬観衆は静まり返った。それから、どっと爆笑が起きた。 スクィーラが叫ぶ。 「好きなだけ笑うがいい。悪が永遠に栄えることはない!私は死んでも、いつの日か必ず私の後を継ぐものが現れるだろう。そのときこそ、お前たちの邪悪な圧政が終わりを告げるときだ!」 p518 バケネズミが人間ではないかと、うすうす疑うようになったのはいつ頃からだろう? 唐突に、夏季キャンプでミノシロモドキを捕らえた時に瞬がした質問が、わたしの脳裏に浮かび上がった。 「奴隷王朝の民や狩猟民達は、呪力・・・PKがなかったんだろう?その人たちは、一体どこへ行ったんだ?」 それに対するミノシロモドキの答えは、不得要領なものでしかなかった。 「その後、現在に至る歴史について、信頼の置ける文献はきわめて少数です。そのため、残念ながら、ご質問の点に関しては不明です」 背筋を、悪寒が走った。 わたしたちの先祖である人々が、呪力を持たないそれ以外の人間を、バケネズミに変えてしまったというのか? p520 愧死機構とは、いわば呪力による強制的な自殺なのだ。したがって、呪力がなければ愧死機構も機能しないことになる。 「それで、邪魔になった人たち、呪力のない人間を獣に変えてしまったのね」 わたしは、これまで自分の暮らしていた社会が、いかに罪深い存在だったかを悟って、戦慄していた。 呪力を持った「人間」たちは、異形の姿へと変えられたかつての同胞たちを、獣のように惨殺し続けてきたのだ。
31投稿日: 2019.10.16
powered by ブクログあまりに大量殺戮が続くおかげで感覚が麻痺しそうで怖い作品でしたが、バケネズミの由来を知ると彼らの気持ちも理解できる。 結局のところ人類の傲慢さという深いテーマであったとしても、ここまで凄惨な内容は好きではない。
2投稿日: 2019.09.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全巻通しての感想 ぱっと見は和製ハリポタ、というイメージ。 そこから、自分たちが管理されていることを知り、記憶を改ざんされて大切な人の名前も思い出せなくなることを知り、今ある社会に疑問を抱いて。 そのまま大人とか体制とかと戦うのかと思ったら、戦う相手はバケネズミ! なんでバケネズミ、と思ったら最後に答えがありましたがなかなか辛い…
2投稿日: 2019.09.02
powered by ブクログ上中下巻で1400ページオーバーの超大作! 1,000年後の未来で人間が呪力を持ってる世界!? 代わりに現代文明の叡智のほとんどが承継されていない!? 早季達は小さな社会のルールと周囲の思惑に翻弄されながらも大人になる。 数百年の秩序ある理想的な社会には歪みが生まれ、自分達が虐げてきたもの達から災いが齎される事となる。 何となく【シスの復讐】でジェダイが構築した社会的な秩序が崩壊した理由が間接的に理解できた気がします。 貴志祐介さんの作品は本作品が初ですが他の作品も読んでみたくなりました!
5投稿日: 2019.09.01
powered by ブクログ大学生の頃にアニメを見て満足してたけど改めて原作も読んでみなきゃなー、と半ば義務的な感覚で読み始めたら上中下巻ともう止まらなかった。貴志祐介作品に対しては悪の教典やクリムゾンの迷宮、雀蜂もその他の作品も含めファンだったけど、改めて惚れ直した。間違いなく天才だと心の底から思う。完膚無きまでに楽しませてもらってとても満足。出来る事なら記憶をなくしてもう一度読みたいと思うけど、忘れられるような作品じゃないよね。
1投稿日: 2019.08.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
62 こんな面白い小説に出会わせてくれてありがとう。 こんな面白い小説を書いてくれてありがとう貴志祐介。 思わず感謝が溢れるくらい面白かった笑 中巻の勢いのまま下巻も読破。こんなスピードで一日に本を読みきるのって初めてかもしれない。 バッタバッタ人は死ぬし、絶望だし、無慈悲なくらい好きな人たちはいなくなるし、でも読み進めれたのは 圧倒的な筆力と、最後がどうなるか知りたいから。 悪鬼という絶望の存在を倒す方法を思いついたシーン!!!そこから文字通り息もつかせぬ展開!!! 興奮したよ!! バケネズミの裁判シーンのあのセリフ、めちゃくちゃ胸に来た。一番の秘密が明らかになった気がする。 だから異族って呼んでたんだ。。 はーーー面白かった!!! 20190825
2投稿日: 2019.08.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
SF小説の超大作だと思います。時代設定や世界観が凄い。薄っぺらさを全く感じない詳細なキャラクター(仮想動物)設定も凄い。その世界の背景や法律まで完璧に創り込ませているので変な矛盾を感じることなく物語に集中できます。
0投稿日: 2019.08.19
powered by ブクログ「その時はまだ知る由もなかった」的な文が多いのはややしつこかったが、引き込まれた。 奴隷制度や差別などの社会問題について考えさせられる。
2投稿日: 2019.08.17
powered by ブクログずっと読みたかったけど文量多くてなかなか読めなかった作品です。 これだけの長編を飽きさせずに読ませるのが凄かったな、世界観や設定が凄く重厚で、SFともミステリともホラーともとれる展開の多様さにめちゃくちゃ引き込まれました。 最後エピローグまで読んで世界がひっくり返りました。 無知は罪なのか、力を持つって事がどんな未来につながるのかを人間は考え続けなければならないと。SFと侮るなかれ!これは力を持っている人類への警鐘ですね。想像力こそが、すべてを変える。これ僕が考えました。
2投稿日: 2019.08.12
powered by ブクログ文庫本(中)までの展開もすごかったが、最後まで読み進めるにつれて、ますます想像のつかない展開に。 バケネズミの正体には驚愕した。
1投稿日: 2019.08.05
powered by ブクログ伏線が次々に回収される気持ち良さと、 読んでいるうちに思い浮かんでくる嫌な予感がどんどん的中していく気持ち悪さが味わえる 本当に完成度の高いSF作品だなと
2投稿日: 2019.07.27
powered by ブクログああ、面白かった。こんな面白い本を読まずに過ごしていたなんて…! 上巻から下巻まで一気読みだった。こんなにも一瞬で読んだ三部作は初めてかもしれない。 まず何より、悪鬼のホラー描写がなんとも秀逸。 それは超能力の強さとか、描写の上手さもあると思うんだけど、愧死機構という設定が非常にいい味を出している。 中巻からの伏線も良い。一度、過去の出来事として描いておいて、それから「まさか現代に現れてしまうなんて…!」的な展開。構成の勝利。 そんな悪鬼を打ち倒すシーンは、少年ジャンプ的というか、ちょっとしたアクションのようでもあった。 SFにホラーにアクション…多ジャンルを詰め込む作者の力量に感服。 最後の最後で、非常にグロテスクで欺瞞的な世界の真相が明かされる。その上で我々に問いを投げかけてくる感じ。 決して爽やかな勧善懲悪ではなく、課題を与えられたような読後感。これが良い。 まさに「新世界より」渡されたバトンを、現代の我々がどうしていくか。 上巻の感想で、この小説のテイストがジュブナイル小説であると書いた。 でも、この読後感をもって更に、若い子たちにこそ是非読んでほしいという思いを強めた。そういった意味でもジュブナイル小説だった。
4投稿日: 2019.07.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
上巻の最初から仄めかされていたことなのに、それでも恐怖や緊張がこちらに乗り移ってくるくらい物語に引き込まれた。 綺麗事じゃ語れない歴史。人間は生きることに様々な意味を持たせすぎたために、生命力という点では弱いかもしれない。種の存続を第一に捉えるのは不可能かもしれない。 想像以上に綿密に計画された戦術、そして騙し合いが面白かった。
1投稿日: 2019.07.04
powered by ブクログ疲れた。 最終巻、ほぼ張り詰めたテンション。 早希が周りから強いと言われる理由が本当によくわかる。 呪力を持つ人間は鬼太郎ではなかったし、バケネズミも極悪化したネズミ男たちでもなかった。 結果、どんな生物も突き詰めれば種族保存と繁栄の為だけに生存してるんだよ、と提示された気分になってしまってちょっと悲しくなってしまった。 心を与えられた事を大切に生きよう。
3投稿日: 2019.06.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ついに下巻をブックオフ100円コーナーで見つけ、上巻から読み始める事ができるようになった。 下巻 最終巻 中のハラハラ感を維持したまま最後まで駆け抜ける事ができた。 バケネズミとの死闘、自分の精神との葛藤を繰り返し、結局のところ人間の愚かさは何年経っても変わらない業が存在している事を改めて感じさせる作品だった。 1,000年というとてつもない年月を想像する事もできないが、1,000年前も1,000年後も今と変わらない人間の欲が蔓延っているのではないだろうか。
2投稿日: 2019.06.17
powered by ブクログ現れてしまった敵は倒す以外に人間たちの未来はありません。倒すための武器を手に入れるために追われながらも危険生物でいっぱいの地下道を進む彼らに息が詰まります。主人公早紀の視点で見る世界は、正しい方向を選び取っているようでいて、人間の傲慢さを嫌というほど突きつけてきます。最後の対決はわかっていても凄く辛かった。彼らの反乱理由が納得のいくものとしてわかるとき、重みはさらに増します。計算されつくした世界と物語、そして訴えてくるものの大きさに、ただただ圧倒されました。一度挫折した本でしたが本当に読んで良かったです。
0投稿日: 2019.06.14
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文庫本、上、中、下、全て読み終えてからの感想です。 読む前は、めっちゃんこ期待してました。「上・中・下、全3巻の超大作。こりゃもう、貴志祐介の最高傑作これで間違いないっしょ。くうう、超楽しみ!」って。 でも、読み終えた感想は。すまん。誠にすまん。すみません。正直言って、全然、あかんかった、、、全然、楽しめなんだ、、、そこそこ面白かったけど、トータルでは、それほどではない。というレベルでは全然ない。残念ながら、ホンマに、全然、面白くなかった。というレベル。無茶苦茶文句言ってごめんなさい。でも、前期待が高すぎた分、ちょっと、裏切られた気持ちになっちゃった、、、もう、ホンマすんません貴志さん。あくまでも自分個人の勝手な意見なんで、すみません。全然あかんかった、、、肌に合わんかった、、、すみません。ごめんなさい。 もう遥か昔になりますが、「黒い家」「天使の囀り」「クリムゾンの迷宮」あたりを、リアルタイムで読んでいた時は、めちゃんこ大好きだったんですよ、貴志祐介。「なんつー面白い小説を書く人なんだ。凄い。こら凄い」って。 でも、ちょっと貴志さんから遠ざかってて、久しぶりに「悪の経典」を読んだ時に、「うーむ。そら、おもろいけんども、なんかこう、ちょっと、そこまで期待したほどではなかった、、、すまん」と思っていた自分がいたのですが、いやまさか。 この「新世界より」が、ここまで自分的に全然グッとこない作品だったとは。なんだろうなあ、好みって。何でこの作品は、自分にとって、あれほど好きだった貴志祐介さんの作品なのに、こんなにグッとこないんだろうなあ。不思議だなあホントに。 なんだろう。めちゃ失礼な言い方なんですが「仏作って魂入れず」とか、「途轍もなく高級・高価な器に盛りつけられた、とんでもなく美味しくないヤバい料理を泣きながら食べる」みたいな感じでした。世界観も凄いし、物語は魅力的な始まり方だし、謎と不穏と不思議な美しさも深遠なテーマも、もう全部ガッツリありそうなイメージだし、もう、ガワはバッチリ!って雰囲気やないですか。でも、、、読み進めれば読み進めるほど、「あかん、、、全然あかん、、、全然、俺ごのみと、ちゃう、、、なんでこうなるねん、、、」って感じでしたね。 ちょっと期待を持ちつつ読んだ上巻。こら、、、ちょっと、、、あかんかも、、、と思いつつ我慢して読んだ中巻。そして、なんとかたどり着いたよこの下巻!も、うーん、すみません。ホンマにもう、ほぼほぼこれっぽっちも、面白い!とは、思えませんでした、、、無念。読み始めたからには、最後まではなんとしても読んでやる、という、ほとんど意地で読み通した感じでしたね。 1000年前だろうが1000年後だろうが、人間は結局はショボいんですよ、っていうことを伝えたかった。そんな小説なのか?って感じですね。ユートピアではないな。ディストピア小説だな。でも、そんならなんで最後、なんだか希望ありそう的な終わり方なんよ、とかね、思いましたね。うーむ、なんだかなあ、薄いなあ、、、薄っぺらいなあ、、、とか思いました。マジすまん。 凄い嫌だったんですけれど、日野光風とか、あんなに言動がアホなキャラにする設定の意味、あったん?って思いましたね。アホキャラですやん、ギャグですやん。あんなの。かっこ悪いやん、あんなキャラ。これ、基本的に、ちゃんと真面目な小説ですよねえ?で、そんな真面目な筈の話の中で、やたらに浮いたあの言動。うーん、なんだかなあ、、、でしたね。で、結局、アホキャラのまま、変な死に方するし。もったいない、って思いましたね。なんなんだろうなあ。人間の愚かさを表現したかったのかなあ。なんだかなあ。 あと、東京の描写とかも、うーん。現実世界の2019年現在のこの現代では、日本の首都としてバッチリ超絶重要な場所の東京が、1000年後の世界では見るも無残に荒れ果ててるんですよ、って事を、言いたかったのか?気色悪い生き物の登場オンパレードも、なんだか、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」のパクリみたいな感じで、なんだかなあ、、、って感じ。 あと、なんであんなにバケネズミ推しなんだ?バケネズミ、という存在を、そもそもこの物語に関わらせた意味は、なんなんだ?1000年後の世界で人類が生きている意味を、バケネズミと、どう関係づけたかったんだろうか。うーむ。分かりませんでした。バケネズミ、という存在そのものが、無しで物語を構築したほうが良かったんでは?とかね、思うんです。なんなんだバケネズミ。 超能力が使用できる人間が1000年後の世界の主流人間で、超能力が使えなかった人間が1000年後の世界ではバケネズミになってた、ってことなのか?どうなんだ。とにかく、読解できませんでした。 その他、とにかく色々と残念すぎた作品でした。これ、絶対に面白い筈!と思って読み始めたのだがなあ、、、こうも合わんとは。すみません貴志さん、文句ばっかり言って。でも、他作品ではね、凄く好きな作品も、あるのです。そこは間違いないので、自分の中では真実そうなので、また次回読む作品には、期待しちゃうんですなあ。楽しみなのですね。
3投稿日: 2019.06.02
powered by ブクログ読みやすいけれど、終わった後にずっしりと重く大切なことが残る作品。 この小説は最初から最後まで主人公である早季の語りで進んでいきます。そのため、私たちはずっと早季たち、呪力を持つ人間の視点から物語を追うのです。しかし、より今の私たちに近いのはバケネズミの方でした。 視点をバケネズミの方に置いてこの物語を読み解くと、また全然違った印象を受けます。もし今私たちの前に呪力を持った人間が現れたら私たちはどうするでしょう。何が『正義』で何が『悪』なのか。そんな答えのない問を考え続けていかなければならないのです。
4投稿日: 2019.06.01
powered by ブクログ世界観の謎や伏線は上巻、中巻で回収され、下巻からは悲劇的な阿鼻叫喚とも言える箱庭の崩壊が描かれている。その中での登場人物たちの行動や決断は、ハリウッド大作を思わせる極上のエンタメに仕上がっており、息つく暇もない展開になっている。謎や伏線が回収されても、核心部分の動機であるホワイダニットが、この一連の作品のテーマにも符号している。クライマックス付近のトリックによるひっくり返しも中々。全体的には、崩壊に至る背景やシステムの欠陥等、使い古された題材ではあるが、エンタメ性は他の追随を許さない作品だろう。
1投稿日: 2019.05.25
powered by ブクログGreat intro to the grand world of this story. Easy read but not boring at all.
0投稿日: 2019.05.14
powered by ブクログまったく異なる常識のもと作られた世界との対比で、現実の常識が本当に正しいのか再考させる、そこがフィクションの醍醐味でもありこの本でも存分に味わうことができた。 たとえば、人間同士が殺し合うことはありえない、ボタン一つ押すだけで大量殺人できるのは殺したという意識が薄い、日本に一億人以上昔暮らしていたのはマンボウじゃあるまいし信じがたいなど。 物語としては人間とバケネズミとの対立構造が実は‥というところであるが、初めから一貫してバケネズミへの態度があたりまえのように記述されているのはおそらく読者にとって違和感あったと思う。でも現実ではあたりまえのように戦争は起こっており、人間以外の動物に対しては保護の観点はあれど対等にはみていない。 登場人物がバケネズミに対し高度な自治を与えており奴隷ではないと主張する一方、バケネズミ側は高度な知識をもっているのに人間の気分次第ではコロニー丸ごと消される可能性があるのは奴隷以下だと主張する。ここがこの小説の本質を表している気がする。
3投稿日: 2019.04.30
powered by ブクログ夏祭りの夜の惨劇から始まる怒涛の展開。 そして、衝撃的なバケネズミの真実。 1000年後はこんな世の中になってほしくないな。 アニメも観てみたい。
1投稿日: 2019.04.17
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怒涛の最終巻。読んでいてこっちまでハラハラさせられる展開と見事な伏線回収にページを捲る手が止まらなかった。バケネズミが何物であるのかわかった今となっては、覚たち人間の行動に薄ら寒さを覚えたが、人間の愚かさはこれから早季たちがいかに変えていけるかにかかっていくのだろう。恐ろしい描写が盛りだくさんだったが、読後感がすっきりしていて良い終わり方だったと思う。作者の他の本も読んでみたい。
1投稿日: 2019.03.10
powered by ブクログアニメを見たのが確か6、7年前。その時に受けた衝撃は未だに忘れられません。 なぜ原作小説を読むのに至ったのかは、思い出せませんがあの衝撃をまた味わいたかったからかもしれません。 上中下巻の約1500ページという大ボリュームでしたが、全く重さは感じませんでした。 ここまで時間を忘れて小説の世界にのめり込んでしまったのが久しぶりだったため、余韻から抜けきれないままこのレビューを書いています。 下巻では展開が一気に加速し、ラストで明かされる真実まで持っていく展開に言葉を失いそうになりました。 アニメ見たから知ってるんじゃないのかよ、と思われるかもしれませんが、知っても衝撃を受けます。 というのも事実に対する衝撃ではなくて、そこまで持っていく過程が素晴らしすぎるを通り越して畏怖すら覚えてしまうからです。 こんなに緻密に構成された小説はなかなかないです。 「私たちは、人間だ!」 アニメを見た時に、このセリフの印象が強烈で未だに頭から離れないのですが、このセリフまで読み進めるためにただただ一心不乱にページをめくっていました。 当時、『新世界より』と前作の間は4年空いたそうですが、こんな最高傑作を出されれば、ファンにとっては4年待ったかいがあったんだろうな、と思うとその瞬間にいれなかった自分が悔しくなります。笑
3投稿日: 2019.02.01
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結果、何を読まされたのかという感じ。 超能力者とバケネズミとの抗争。(バケネズミは非能力者の末裔である人間だったというオチ) うーーーーん。。。 トータルで星3くらいかな 最初は漢字が多くて読みづらい印象だったが、それに慣れると続きが気になって一気読みできる作品ではある 3巻構成も苦ではないが、様々なところで1位になるほどのものなのか?と思ってしまった。 個人的な趣味趣向はあるが、貴志祐介でオススメを聞かれたら迷わず他の作品を勧めると思う。
0投稿日: 2019.01.19
powered by ブクログ長編のファンタジーでした。そしてグロテスクな未来の話でした。 うーん、私はファンタジーは好きな方ですが、あまり入り込めなかったかなぁ。説明文が多いし種明かしの様な解説やわざとらしさが散りばめられている気がして、ワクワク感が少なかったです。 個人的には、「本屋大賞に入っているんだ…」という感想でした。
0投稿日: 2019.01.08
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面白かったー! 長かったが長いと感じさせない内容。 読めば読むほど止まらなくなり、特に下巻は一気読み。 連休中とか、一気に読める時に読むのがおススメ! 初めはハリポタみたいな感じかと思いきや、ちょっと違う感じ。 スクィールや悪鬼も最終的には単なる悪とは言えないなと思わせる部分もあり◎。 とりあえず読んで良かったー!
2投稿日: 2019.01.03
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ついにバケネズミとの戦いが勃発。というよりバケネズミの反乱により戦闘の火蓋が切って落とされ、とてつもなく多くの命が失われていく。 手記であるため仕方がないが、良くも悪くも次の展開を予想させるワードが多く、個人的に望んでいたハラハラ感が薄れてしまったのは残念。 とはいえ、ホラーな描写はさすがな作者。追われるシーンでの恐怖感は戦慄モノ。 複雑な設定でここまでの長編を書き上げ、それを読むことができて大満足です。
1投稿日: 2018.12.19
powered by ブクログ全人学級を卒業して就職し、バケネズミたちとも上手く共存していると思い込んでいたある日、事件が起こる。 事件と言うほどでもない些細な出来事は、大量殺戮のほんの序章に過ぎなかった。 人間を「神様」と呼ぶバケネズミ。 なんとも言えない違和感の正体が、下巻まで読んで見えてきました。 生き物の命は平等ではない。 人間というだけで自分も傲慢になっている。 人間はどこまで愚かなんだろう。 1000年後の日本がこうなってなければいいいのにと切に願います。
2投稿日: 2018.11.29
powered by ブクログ下巻も一気に読み切った。人間は争わずに生きていけるのか?平和とは犠牲の上に成り立つかりそめのものなのか、読み終えた後考えられずにいられない。
1投稿日: 2018.11.12
powered by ブクログ読み始めて何となく世界観が見え始めたところで「まさか和製ハリーポッター的 な!?」と思い読むのを止めようかと思った。別にハリーポッターが嫌いってわけで はない(読んだことはない)けど、今はホグワーツでのファンタスティックなスクー ルライフを読む気分ではないから。 とは思いつつ勿体無いので読み進めてみたら・・・おもろいではないか。 特に中巻(文庫版)に入ってからはスピード感もなかなか、下巻の東京遠征と決戦は ハリーポッターにはない血生臭さもあって熱中できた。 東京の地下での探索や決戦の際に、実際の場所がわかるような遺跡(駅看板や銅像や そこそこ有名なオブジェ等)の記載があれば臨場感もアップしたかも。今は見附から 四ツ谷に向っているんだな?とか。
0投稿日: 2018.11.11
powered by ブクログこの小説は、ラストがどうなるのか全く読めない話でした。 どんなエンドでも落ち着くのでは、と思いながら読んでいました。 しかし、実際に読み終えると、本当にしっくりときました。 ここまで三巻に亘り楽しみましたが、何度でも読み返せると思いました。 人の心理や、世界の不条理を深く感じれると思います。
1投稿日: 2018.09.01
