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火星年代記〔新版〕
火星年代記〔新版〕
レイ・ブラッドベリ、小笠原豊樹/早川書房
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総合評価

116件)
4.1
33
41
21
1
1
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    火星移住をテーマにした短編集のようで、 色んなモチーフが続々と出てくるけど、 しっかり時代とともに価値観の変遷が見られて… 最後の話が筋が通ったこの作品の総括になっており 読了後の納得感に満たされて、よかった。

    1
    投稿日: 2025.09.27
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    近未来の話でもあるように感じた 悪とみなされた本を焼却される箇所は 現実に近いものを感じる。 実際 図書館から無くされる本 販売制限のかかる本などあると、 そういう団体があると聞いた。 私の敬愛する村上春樹氏の一部の作品も 対象とされる地域が(アメリカ)あるらしい 昨今 映像、書籍、言動に制限がかかる 良い場合も多いが…と思ってしまう そして 人間の欲深さや 身勝手さ、結局は統治されてしまう所など 後半は気になるようになった 私はエイリアンが うようよ出てきて 戦うようなSFは 実は苦手 なので この作品にそういうエンタメ的な 生物が出てこなかったので 良かった ファンタジー的な 火星に住む人だけ それにしても… 現実に起こりえそうな展開に 結末に…少しだけ暗い気持ちになった 自分に出来ることをやろう どうか世界が 人との関わりが 平和なものでありますように。。。

    1
    投稿日: 2025.07.29
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    新版で再読。旧版では年代が1999~2026年だったが、新版は2030~2057年、31年スライドしている。むかし読んだ時に感じた、SFなのに懐かしい感覚、既知感と未知感の綯い交ぜがよみがえる。 前書きで、ブラッドベリは一種の「種明かし」もしている。12歳の時から、週1作のショートストーリーのノルマを自分に課していたが、これだと長編には至らない。24歳の時に、シャーウッド・アンダーソンの掌篇集『ワインズバーグ、オハイオ』に出会い、そうかこれだと思ったという。オハイオを火星に変えて、掌篇たちを年代順に並べる。すると、アメリカ中西部のエピソードの集合が火星の植民・開拓・消滅のクロニクルになる! さあ、あとは持ち前のイマジネーションと詩的感性の発揮のしどころ。 でも、火星人とはいったいだれのことなのか。それが読者の宿題として残される。

    0
    投稿日: 2025.05.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    80年前に書かれたという作品。まだ火星というものが詳しく知られなかった頃に書かれたと思われるので、実際の火星をイメージして読むと混乱してしまう。ただしそれ以外はかなり面白く、人間のあらゆる側面が面白おかしく、そして少しだけ悲しく描かれている。個人的にだけれども、作者本人のキリスト教の、キリスト自身に対する解釈が凄く面白かった。

    0
    投稿日: 2025.04.27
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    好みは別れるかも 読み応えはじわじわと、好きな人は好きでしょう ドタバタアクションSFでは無いのであしからず 4に近い3!

    5
    投稿日: 2025.03.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    レイ・ブラッドベリで最初に手に取ったのが「とうに夜半を過ぎて」で、それはうまく良さを掴みきれず挫折してしまったのですがこれは面白く読めました。 著者はこの作品がSFと言われるのは疑問だと序文で書いているとおり、火星を舞台にした哲学的なファンタジーと言われるとこの小説の雰囲気にしっくりくる。 でもこの幻想的で詩的な中に人間のリアリティがしっかりとある。宇宙旅行が自由になり人間たちは火星へそれぞれ色々な目的で旅行や移住するようになる。その結果、火星の元からあった文明はすべて破壊され、さらに地球では核戦争が起こり火星も地球をも壊してしまうという人間の悲しい罪深さが描かれている。 この小説の核となる7章目の「月は今でも明るいが」はとてもメッセージ性が強く心に残る話だった。 話の中で火星人が、「なぜ生きるのか」という疑問について“考えても答えが得られず、忘れることにした。動物は生に疑問を持ったりしない。生きている理由が生そのものであり、生そのものが答えである。”とあって、私の中で何か腑に落ちた感じがする。 小説の中で、 夏、夜、月、シェリー酒という単語がとても多く出てくる。著者の好きなものなんだろうな 「パパはね、地球人の倫理や、常識や、良い政治や、平和や、責任というものを探していたんだよ」 「それ、みんな地球にあったの?」 「いや、見つからなかった。もう、地球には、そんなものはなくなってしまったんだ。たぶん、二度と、地球には現れないだろうよ。あるなんて思っていたのが、馬鹿げていたのかもしれないな」 ブラッドベリの小説を何作か読んで思ったのは詩的な表現が多すぎてストーリーの輪郭がぼやけていること。恐らく原文では意味が二重にかかっていたり韻を踏んでいそうなところが多々あり、翻訳がかかると良さが活かしきれていないんじゃないかと思う。全ての翻訳小説にはそのデメリットがあると思うが、ブラッドベリの場合は特にそんな風に感じる。 それを味わいと受け取れるか、分かりにくくて読みづらいと受け取るか。私自身何作かは読みづらくて挫折したものもあるけどこの作品はまた読み返したいと思える比較的初心者にも親しみやすい作品だと思う。

    14
    投稿日: 2025.03.06
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    2024年12月26日、メルカリでいいねしてたのが値下げされた通知がきて。たぶん手塚治虫とかイーロン・マスクとかに影響したSFを調べた時にサイトに書いてあったんだと思う。

    2
    投稿日: 2024.12.26
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    「とやかくいわないでください。知りたいとは思いませんから」って、この本の冒頭の作者自身のけっこう長い“まえがき”。 自分的には“童話的SF”または“SF的童話”なんだけど。 確かに、グリムもアンデルセンも擬人化してるんだから、火星を地球化したからといって“サイエンス・フィクション”であるかどうかが議論されることは、ナンセンスだよねって、思うし。 それにしても、長めも短め(たった1ページのもある)もごちゃごちゃなんだけど、なんとなく時系列であることがわかり、且つ、つながっているんだなぁって、感じる。 前半の火星人とのやりとりも良いけど、特に、この短編集のなかではやや長めの「月は今でも明るいが」と「長の年月」、ラストの「100万年ピクニック」で、しっかりとメッセージもあって、やっぱり「ブラッドベリ的」に面白かった。 満足です。

    9
    投稿日: 2024.11.29
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    おそらくSFの古典的作品。 でも、そんなに面白いものでもないな。最後はそうなるのか…という感想です。

    0
    投稿日: 2024.10.06
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    地球人が火星に進出し始めてから,その20年後までの火星での各出来事が時系列に描かれる.各出来事は,ヒトとヒト,ヒトと火星人,というように切り取られ方が場合分けされ,時代が変わろうと,技術が進歩しようが,ヒトという生命体の業は深くなるばかりな様子が切々と描かれる.果たして現実の未来の正鵠を射た予測のようなディストピア世界が突き付けられる.

    0
    投稿日: 2024.09.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    SF入門企画で紹介されていたので手に取った一冊。 色々と考える所が有りました。 本作での"火星"は言わずもがな、アメリカ人に取ってのアメリカ大陸、火星人はインディアンのメタファーですね。 けっこう早い段階で火星人は滅ぼされてほぼ死滅します。その原因が地球人がもたらした細菌によって、と言うもの。これはヨーロッパ大陸特有の伝染病をもたらした移住者達、と言う構造です。 短編集と言う形を取っていながらもどちらかと言うと連作短編と言うイメージで、火星で移住者達の中で起きたエピソードを時系列順に描きます。 個々のエピソードは個人間の諍いとか家族の話なのですが、背景にある地球-火星の間での出来事(例えば核戦争とか)を絡ませるので、構造的に知る造りです。 科学考証が厳密にあると言う訳でもなく、スター・ウォーズみたいにワクワクする感じの作品では無いのだけれど読んで損は無いと思います。

    0
    投稿日: 2024.09.04
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    『地球からの三度にわたる探検隊はひとりも戻らなかった。火星人が彼らなりのやり方でもてなしたからだ。』(内容紹介もカッコいいです) それでも押し寄せる地球人と地球の常識の埒外にある火星人の物語を年代ごとに短編でつないだお話し。 難解なSFに疲れた時にこの叙情的なSFは心にしみます。 ラストの火星人はどこにいるのか?のやり取りも皮肉が効いてて良いです(´▽`)

    25
    投稿日: 2024.07.04
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    レイ・ブラッドベリ(1920~2012年)は、米イリノイ州生まれ、高校卒業後に新聞の販売をしていたときに書いた作品(共作)でプロ作家となったが、1950年の『火星年代記』で名声を得、1953年に代表作『華氏451度』を発表した。作品にはファンタジックな雰囲気の短編集が多く、幻想作家として不動の地位を築いた。 『火星年代記』は、米国のSF関連雑誌「ウィアード・テイルズ」等に発表された短編群に、書き下ろし作品を加えた、26の独立した短編を連ねて一つの長編とした作品である。年代記の題名の通り、1950年出版のものは、個々の短編に1999年1月から2026年10月までの年月が付され、その順の構成になっていたが、1997年に発表された改訂版では、前書きを新たに書き下ろし、いくつかの短編を入れ替えた上で、全ての短編を31年遅らせて2030年1月から2057年10月の年月が付されている。 大まかなストーリーは以下である。 火星には既に火星人が文明を築いており、地球から派遣された当初の調査隊は全滅させられてしまうが、第4次調査隊が到着したときには、火星人は地球人が持ち込んだ感染症で絶滅していた。その後、地球人は続々と移住していくが、彼らは過去の火星人の文明には全く関心を示さず、地球・アメリカと同じ街を作り、同じ生活を送った。一方、地球では核戦争が勃発し、それを火星から眺めていた人々は、大半が地球に戻り、ほんの一部が火星に残ったが、地球は滅亡し、火星に残った人々も消滅する。そうした中で、僅か二つの家族だけが地球を脱出することに成功し、誰もいなくなった火星で、新たな火星人としての一歩を踏み出す。 私は最近まで、いわゆるSF(&ファンタジー)はほとんど読まなかったが(ディストピア小説でもある『華氏451度』は随分前に読んだ)、最近、有名な作品はひと通り触れておこうと思い立ち、『星を継ぐもの』、『渚にて』、『火星の人』、『あなたの人生の物語』等を読み、本書もその流れで手に取った。 それらを次々に読んでみてわかるのは(今さらだが)、一口にSFと言っても様々な作風があることだが、本書は、科学的根拠を重視するハードSFとは一線を画す、メッセージ性が強い寓話的な作品である。 ストーリー全体を、地球を旧世界(ヨーロッパのような)に、火星を新世界(アメリカのような)に置き換えて読めば、人類(主として西洋人)の歴史と現状を強烈に風刺しており、更に、我々の未来に強い警鐘を鳴らしていることは明らかなのだ。 本書が書かれたのは第二次世界大戦直後で、それから既に70年以上が過ぎている。しかし、今読んでも古さは感じられないのだが、それは、裏を返せば、70年を経てなお人間も社会も文明も大きくは変わっておらず、本書のメッセージが引き続き有効だということなのだ。我々は滅亡・消滅を免れることができるのか(或いは、我々が「新たな火星人」になることができるのか)、今一度考えるきっかけにしたい作品と思う。 (2024年6月了)

    6
    投稿日: 2024.06.19
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    火星への移住を試み、実際に移住し、最終的に手放すまでの時代を生きた人達の心情に寄り添ったオムニバスストーリー。なんですが、本作の火星は呼吸もでき、地球からの物資持ち込みも容易な設定なので(設定というよりは当時はそういう場所として想像されていたんだと思いますが)、当時の欧米から見た、地球上にある未開の地との交流といった体で読んだ方が楽しめるかもしれません。 どれも詩的な表現に富んだ素晴らしい短編ばかりでしたが、中でもお気に入りは「第二のアッシャー邸」「火星の人」「長の年月」の3編。特に「火星の人」は居なくなった人を求める人間の心情を繊細に描きながら、ラストの「かんぬきをかけた」という言葉で締める表現があまりに綺麗で、そのやるせなさに心が震えました。

    10
    投稿日: 2024.05.30
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    ブラッドベリ初読みでした〜。 地球から火星への植民という、作品全体を貫くひとつの設定。それを繰り広げられるSF連作短編集。 いちおうSFだけれど、人間模様や風景の描き方がかなり幻想的で詩的で叙情的。幻想小説といった方がしっくり来る。 火星人も出てくるのだけれど、そのイメージが序盤と終盤ではけっこう違う。後半では火星人は、エルフや何か人外の架空生物のよう。 年代を追うごとに火星や地球人を取り巻く状況が変化してゆくので、続きが気になりつい読んじゃう。 【ネタバレあり】 全体の大きな破滅の中にも一縷の希望があるという終わり方が『華氏451度』を彷彿とさせる。といっても、原作は未読で映画だけ観て抱いた印象なので、積んである原作も読みたい! 時代とともに改変されたとのことなので、旧版もいつか読みたい(別宅にある)。元は1999年から始まる設定だったらしい。時代が作品を追い越してしまうというのはSF作品の宿命だよなあと思う。どれくらい先を「未来」と考えるか、だね。 途中で聖職者が出てくるのが、いかにもアメリカSFという印象。SFは私は原作を読んだ数より映像作品を観た数の方が多いんだけど、必ず神父さんや牧師さんが出てきて、未知の現象への彼らの解釈を拠り所にする人々が描かれるよね。日本に置き換えてみると坊さんとか神主さん的存在なんだよなと思うと不思議な気がしちゃうよね。 噂に違わぬ詩的で叙情的な世界観でした〜。もっと読みたい!!次はやっぱり『華氏451度』かなあ

    2
    投稿日: 2024.05.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最近色々な火星人が出てくる物語を読んでるけど、やはり火星人は地球人で地球人は火星人なのかなぁ。 そして人間は本当に警告に耳を傾けないよなぁと人間ながら思った。 大体調子に乗る。火星は誰のものでもない。 星の王子さまにも出てくる実業家そのものじゃない。

    1
    投稿日: 2024.05.10
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    面白いと聞いて読んだが自分にとってはあまり響かなかった。ヒューマンドラマ系のものがあまり響かないのかもしれない。

    1
    投稿日: 2024.04.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・あらすじ 2030年代の火星に地球から探検隊がやってくる。 地球からの移住者、火星人たちの文明と滅亡が書かれた火星が舞台の短編オムニバス小説。 ・感想 海外SF小説が好きなYouTuberさんがレイブラッドベリを紹介した動画をみて興味を惹かれ購入。 超超有名なディストピア小説「華氏451度」はずっと読んでみたいと思いつつ未読なんだけど、この作品から読んでみようと思い手に取った。 あまり事前情報を仕入れずに読み始めたので「詩的な文章」という私がもっとも苦手とする表現が多く、抽象的というか想像力が必要な作品で序盤は雰囲気を掴むのにちょっと手こずってしまった。 でも「第3探検隊」からの「月は今でも明るいが」が良すぎて、そこからはブラッドベリの魅力を堪能しながら読むことができた。 特に「月は今でも明るいが」がよかったなーー。 「生きるとは」「なぜ生きているのか」という思春期に誰しもが持つ純粋で普遍的、根源的な哲学的な問いと火星人たちの結論。 科学と宗教と芸術の哲学が生活にどのように染み渡っているか〜的な解釈が好きだった。 物質至上主義の地球人と、執着や即物的な欲望から肉体を捨て去ることで脱却し精神世界に全振りすることで解き放たれた火星人の対比。 先住民族の文明・文化を壊し開拓する人間の傲慢さも描かれてるけど、そういう性質は何年経っても変わらないものなんだな。 のちに第3探検隊の面子が出て来た時と彼らの行く末も退廃的で好き。 最後の短編「百万年ピクニック」が綺麗にこの作品を締めくくってて良かった。

    4
    投稿日: 2024.04.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初どうしてもイメージできない描写がひたすらに続き、これ読み切れるかなと心配していたのだが年代が進むにつれて加速度的に読みやすくなる。でも文明のうつろいを描写で感じることになるとは……。 「優しく雨ぞ降りしきる」のスピード感と「火の玉」における信仰対象への解釈の話がいっとう好き。こういう話、自分で思いつきたかった!というタイプの面白さ。 私にはまだ言語化が難しいところがたくさんあるのだが、先に同作者の華氏451度を読んでいたのでこの辺りは作者のテーマなのかなと思った。たまに殴りかかるような風刺が飛んでくるのでまったく油断できない。 ホラーっぽいなこれ…という描写もちょくちょくあったが、巻末の解説にある掲載誌の話を見て納得した。

    1
    投稿日: 2024.04.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    火星がどんな風に侵略されたか、地球はどんな状況なのか、地球人は何を考え火星へやってきたか、それらをいくつもの短編を読んでいくことで把握できるようになっているのが面白かった。喉元にナイフを突きつけられたような恐怖を味わう話もあったし、心を押しつぶしてくるような話や、詩的で美しい話もある。 目線が変われば見えてくるものも違っていて、それぞれの立場で真実を見せてくれるのが良い。これが一人の主人公の語りであれば偏った情報しか得られないからだ。 いくつか印象的な短編があった。第三探検隊が懐かしさの中で殺された話。地球人の愚かさに抗おうとしたスペンダーの話。火の玉に出会った神父たちの話。死んだ家族を造った男の話。火星人になった話。どれも忘れがたい。きっとこうやって争いや悲しみはひとつひとつ積み上がって、戻れないところまで来てしまうのだなと思った。 ラストの水面を眺めるシーンはゾッとさせられたけれど、それ以降の年代記も読んでみたい。

    0
    投稿日: 2024.02.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    評価も感想も非常に難しい。とりあえず詩人、幻想みたいな謳い文句に引っ張られると結構具体的な描写をしていて、拍子抜けするかもしれない。 普通に人が死に、殺し、殺される。地味で淡々としているが、かなり無常でダークな作風だ。ダークといっても暗黒ではなく冷たい暗灰色といった感じ。 かなり読むのにコツが必要で、現実的な先入見は捨てなければならない。火星と言っても当然リアルな火星ではない。しかし人の見た夢の中の火星も違う気がする。地球が見た夢の火星みたいなイメージだ。本人が神話と表現するように幽世みたいな。まあよくは分からないが。 最初は捉え所がなくて微妙だと思ったのだが、終盤に進むにつれ文章のキレ味も増してくる。華氏451度のように文章でぶん殴ってくるような衝撃はないが、やはり表現の核も結論も変わってはいない。 最後に収録されている『優しく雨ぞ降りしきる』と『百万年ピクニック』の表現力や抒情性はやっぱり素晴らしい。 短編集ということだが、各話一応連続性があり、この百万年ピクニックで完成し、そういうことだったのかと納得する作りになっている。 そして三体III下などはある意味この作品の改変バージョンであることに気付く。代表作と呼ばれる理由もそこにあると思う。埋め込まれた後続への種子が咲いたのだろう。創作を通した著者の計画は成功しているのかもしれない。 ただ一つ、年代表記は不要だったと思う。あまりに展開が性急すぎる。 瞬発的な面白さは無いが、徐々に良さが浸透してくるタイプで、ある時ふいに読むと波長が合って頭に入ってくる感じだ。しかしそのタイミングは分からず、読めない時は本当に読めない。読める時も作者が序文で宣言している通り、答えが明快に解るとかではなく、何かスッと感じ入り読めてくるとしか自分には表しようが無い。まあこの序文が最も意味が分からないのだが……。だから面白いという観点では評価出来ず、かなり読み手を選ぶと思う。全く読んだことがないので詳細不明だが、確かに星新一が影響を受けたっぽい作風だが、更に掴み所がなく解り難い話だと思う。キノの旅などが好きな人には刺さるかもしれない。

    0
    投稿日: 2024.01.30
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    地球の人間が火星を訪れ、人間のための世界を作り、去っていく経過を描いた連作短編集。そしてブラッドベリやっぱりすごい、登場人物は皆生き生きと動き回り、情景がくっきり浮かんでくる語り口。時にファンタジー、時にホラー、時にコメディ。滑稽であったり、無常感を纏っていたり、とにかく生々しく感情の色々な部分を揺さぶってくる短編の数々。 特に良かったのは穏やかな夏の夜を楽しむ火星人たちが人間の到来を知らずの間に知覚してしまう『夏の夜』、火星に到着した探検隊の夜を描く『月は今でも明るいが』、大焚書であらゆる本が焼かれた地球を抜け出してきた男が、火星にポーの作品に出てくる陰鬱な館をこしらえる『第二のアッシャー邸』、老夫婦のもとに地球で死んだはずの息子が現れる『火星の人』。あと傑作集に収録されていた『優しく雨ぞ降りしきる』もやっぱり好きでした。でも実際のところ、全編良かったです。良かった。

    2
    投稿日: 2023.08.08
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    シャーウッド・アンダーソンの『ワインズバーグ・オハイオ』はオハイオの架空の町、ワインズバーグのことを短編小説の連なりから、どんな町なのか浮かび上がってくるという作品だった。 『火星年代記』は序文にも書かれている通り、レイ・ブラッドベリが『ワインズバーグ・オハイオ』から影響を受けて、そのやり方を踏襲、舞台を火星に移した作品だ。 だが描かれている世界はレイ・ブラッドベリらしく非常に幻想的で、不思議な儚さがあった。 時代を感じさせる部分も確かにあるのだが、地球人と火星人という異種族に対する偏見や差別感なども描かれていて、今読んでも強度を感じる部分もある。 個人的な好みとしてはいささか物足りなさも感じるが、名作なのは間違いないだろう。

    0
    投稿日: 2023.06.05
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    ブラッドベリ3冊目。前作の林檎で感じた違和感を、この直前にイーガンを読んでいたからか、更に明確に感じる部分が多々あり、それが本作にハマりきれずにいた要因です...。一部いいなって思うエピソードも勿論あったし(「火星の人」「百万年ピクニック」)、好きな華氏を彷彿とさせるエピソードも良かったんだけどな(「第二のアッシャー邸」)。やはりアメリカ中心な感じが苦手、、

    0
    投稿日: 2023.01.13
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    『華氏451度』以来のブラッドベリ。火星もの読みたいとなったら外せないかなということでやっと読了。序文で本人も言っている通りSFではない。火星を舞台にしたファンタジー。正直そんなに好みではなかったけど、一つの世界に暮らす様々な人たちを年代記として表すというやり方はなんというかグッときちゃうんですよね。他の著者でも色々こういうの読んでみたい。そして全体的な雰囲気が星新一に似てるなと思いながら読んでたけど、むしろ逆で星新一がブラッドベリ的な幻想小説の系譜にあるということなんですね。そう言う歴史的な影響踏まえてもやはり読んで良かった。

    1
    投稿日: 2022.12.04
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    SFというよりはファンタジー小説に近い印象だが、面白い。 火星に入植した人類と火星人たちのそれぞれの物語。

    0
    投稿日: 2022.11.30
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    小説って芸術だなぁと思った。なかなか分かり合えない地球人と火星人にもどかしさを感じたり、地球人同士もそもそも分かり合えないもんねと落胆したり。スペンダーとワイルダー船長のくだりが素晴らしく哲学的な流れにいくのかと思いきや、大きな流れに抗えない人間らしさ。終わりはまたアダムとイブ的な未来を想像するけどどうなることか。物語の始まりは2030年、終わりは2057年。なんだかその頃の地球ではリアルにこんなことが起きてそうと思ってしまった…

    0
    投稿日: 2022.11.20
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    2022.4.29 35 半身浴にて読了。最後落としちゃった。面白かった。いろんなSF。短編で楽しめる。a.iの映画に出てくる宇宙人っぽいやつ、火星人みたいだって思った。

    0
    投稿日: 2022.04.29
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    たしかにSFという感じはせず、どちらかと言えばファンタジーを読んでいる感じに近かった。 だが、面白いことには変わりない

    0
    投稿日: 2022.04.05
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    タイトルから想像するような火星をテラフォーミングしていって、そこで色んな事件が起きていく・・・というような話ではない。 どちらかというと、幻想小説であり科学的な描写は現代の視点から観ると殆どないと言ってよい。 短編集だが、全ての話は火星が舞台で繋がりがある。全編を通して死の匂いが通底している。刊行当時(1950年)のアメリカという国の皮肉な批評として書かれたのだろうが、70年経った現代でも十分に批評として機能してしまうのはそれこそ皮肉な話かもしれない。 個人的には「沈黙の町」が一番好きだ。奇しくも日本で人気なセカイ系や終末もののカウンターになっているからである。

    0
    投稿日: 2022.03.26
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    話自体は他のSF作品に比べて地味だけど、表現力がすごくて読みやすいし想像しやすくて面白い。 SFは目新しさが重要だと思ってたけど考えが少し変わった。

    0
    投稿日: 2022.03.04
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    読みやすかった。火星へ人類が進出していくところは白人が、ヨーロッパからアメリカへ移動したのを下敷きにしているんだろう。

    0
    投稿日: 2021.08.12
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    いろいろ寄り道しながらも、ここ最近でいちばん夢中になれた本。 ラストが ラストが! なーるーほーどー! 手法としてはもう在り来りなのかもしれないけど、怖〜。 最初は、謎系のSF感がとても面白くて読ませます。星新一さんみたいに。 なかなか火星から地球に帰ってこない地球人。だのに、翌月も、また夏にも、地球人たちは火星目指してやって来て… メンタルを損なわれそうなファンタジーが少しずつ短編として連なっていく。 途中私には難解になったり、すごく腑におちたり、バイロン卿の詩が現れたり。。 神父たちが、火星には新しい罪があるのではないかと、ロケットにのっていってしまうという…シュールで詩的な画が浮かぶ、2033年11月「火の玉」は、急に面白くて、なんなんだろう?? 解説を読むと、新版でいくつか短編が差し替えられたりしているそうなので、あとで納得できたけれど。 2036年の、「第2のアッシャー邸」も怖くて面白かった。アッシャー邸を作ったのは、スタンダール氏、 地球人の政治が本を焼き、「むかしむかし は、二度とこんなことは起こらない になってしまった!」と地球の社会学社たち、有名な人物たちを第2のアッシャー邸に招待して… 狂った地球人のせいで、火星人もだんだん絶滅していく。。 時々訳が分からなくなると、「たんぽぽのお酒」を開いて自分を励ましながら、 怖く、面白く、読み耽りました。 地球は、核戦争により自滅する! SFって、本当に予言に満ちているんですね。

    3
    投稿日: 2021.07.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読んだのが数年前なのでうろ覚えな部分もあるのですが…。 この作品が書かれた当時は、核兵器というものがともかく驚異(今もそれには変わりませんが)だったのだなという感想を読んだ当時は強く感じました。けれど、緊急事態宣言が出ている今は、火星人が絶滅した原因が感染症だったことの方が気になります。私達もSFの世界だけでなく、病原体を宇宙にばらまいているのかもしれません…。まさに、小松左京のあの小説のような驚異を、異星人に与えるかも。このSFの物語が現実になりませんよう。 また、火星人は悲しい最期を迎えてしまうのですが、彼らの文化がなんだか美しくて好きでした。

    1
    投稿日: 2021.01.14
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    西暦2029年夏、地球に最も近い二つの月をもつ惑星・火星探検に向けて、新天地の夢を託したアメリカ合衆国のロケットが地球を飛び立ちますが・・・。鬼才【レイ・ブラットベリ】のオムニバス形式による26の挿話で構成された『火星年代記』は、痛烈な文明批判を芳醇な文学の香りで包み込んだ壮大なSF作品です。とどまることのない人間の野望と征服欲、途絶えることのない戦争、破壊と創造を繰り返す文明の歴史を〝地球〟と〝火星〟を舞台に展開されるエピソ-ドは、哀しいまでに人間の愚かしさを感じさせる作品です。

    3
    投稿日: 2020.04.09
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    これは……さすが名作、と言わざるを得ない。 わたしが生まれるずっと前に書かれてたのか……。すごい。 だけど地球人って平和ボケしてるというか何というか……歓迎されると信じ切ってるところがヌケてるというか。 火星人の方が大分上手だ。

    0
    投稿日: 2019.10.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ほぼほぼ独立した叙情的な短編から構成されるが、タイトルの通り、火星(と地球)をめぐる小史といった流れ。 別々に見ると毛色が違う作品群であるが、話の筋は通っており、随所に差し込まれる衝撃的な展開を動力に一気に読んでしまった。 私が特に面白かったのは、 『夜の邂逅』『荒野』 いずれもイメージが美しい。

    0
    投稿日: 2019.09.15
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    火星を舞台にした短編集で、それぞれ雰囲気はさまざまだけれど、時間的つながりのある作り。どこか文学的というか、叙情的というか。またメタファー的表現も多々。

    0
    投稿日: 2019.05.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1999年から31年後にされたそう。2030年からたった27年で地球も火星も滅んでしまう悲しい物語。

    3
    投稿日: 2019.05.14
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    SFというよりSF風の物語です。 火星を舞台にした年代記という発想も、ページを追うごとに未来になっていくという構造も、いまだに新鮮です。 しかし、一部のレビューでも指摘されているように、やや中だるみがあるように感じられました。一種の連作短編集なので、あまり面白くないと感じた短編があると中だるみがあると感じてしまうだけなのかもしれませんが......。 一番うれしかったのは、訳文の素晴らしさです。個人的には、本書の直前に読んだディックの『いたずらの問題』の訳文に首をかしげることが少なくなかったので、余計にうれしさがありました。 これからは、小笠原氏の訳書であれば読んでみようと思う機会もあるかと思うと、本書に出会えてよかったです。

    0
    投稿日: 2018.12.24
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    タイトルは知っているが読んだことのない本ということで手に取った本書。SFと思って読み進め、ファンタジーなのだと気が付きました。自分にとっては火星を舞台にしたファンタジーです。互いの距離、隔たりについて考えさせるファンタジーでした。そして、時代を感じさせるかと思いましたが、全然新鮮さのあるストーリーでした。

    0
    投稿日: 2018.05.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    火星人と火星を訪れる様々な地球人とのかかわりを、年代に沿ってオムニバス形式で綴った物語。地球人が火星に到達し、次々と開拓していく一方、火星人は衰退の一途を辿る。 事前に全く内容を調べないで読んでおり、地球人と火星人がお互いの利権を掛けてしのぎを削りあう様子を想像していた。それをいい意味で裏切られた感。 いくつかのエピソードの中で印象に残ったものは、火星のある家の崩壊にフォーカスを当てて、地球文明の滅亡を描いた『優しく雨ぞ降りしきる』。 かつて地球人が住まい、今は誰も住んでいない家。自動装置だけがさも住人がいるように動き続ける。歌時計の声のモーニングコール、朝食の準備、ねずみの形の掃除ロボット。就寝前の詩の朗読。すべてが行き届いたつくりになっている。ある時一つの事故から火事が起き、自動装置の消火活動も空しく、そのまま家は崩壊してしまう。時間に沿って淡々と描かれていき、静寂と虚しさが強調される。 物語の中で、過去や幻想のやさしさを際立たせるのは、人々の愚かさであり虚しい現実だった。作中で幾人もの地球人が、二度と戻れない過去を火星の幻影に見る。その描写は胸が苦しくなるほどやさしく、豊かである。 また、発表当時のアメリカや周辺の世界情勢の知識があればより楽しめたかもしれないと思う。

    0
    投稿日: 2018.01.03
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    誰もが大人になる前に読むべき作品。人間の悲しさがクールに構えることなく描かれている。萩尾望都は別作品で題材にしていたがこれも良い印象だった。

    0
    投稿日: 2017.10.17
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    火星という新天地への人類の憧れと挫折を浪漫たっぷりに書ききった短編集。 もちろん火星への移住がテーマの一つであるためSF的要素は多分に含まれているのだが、 それ以上にいわゆる人間(火星人も含む)の生き様を多面的に映すショートショートとして楽しめる。 未知の星を巡って発達した文明に意図せず振り回される人々が、 やがてそれぞれの悲劇、あるいは喜劇と出会っていく様を叙情的な文章で (ここら辺はブラッドベリ本人の筆力もさることながら、訳者の力も小さくはないだろう) 次々と畳み掛けてくる。 読み終えた後は立派な一つの「年代記」を紐解いた思いにさせてくれた。 個人的おススメは「火星の人」

    0
    投稿日: 2017.08.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    SFの古典を初めて読んだ。各ジャンルのなかでSFが最も苦手である。『月は無慈悲な夜の女王』も『星を継ぐ者』も読み始めて早々と挫折した。読み終えたのは『幼年期の終わり』についで2作目!夢中で読み耽った。 第三探検隊の隊員たちを待ち受けていたのは懐かしい故郷の街並み。とうに亡くなった父母や兄弟姉妹。こっそりと脱出しようとした隊長に兄だと思われていたものが声をかけた、その場面に戦慄した。 ブラッドベリの文章は叙情的で情景が丁寧に彩色された水彩画を見るようだ。 古典を読む歓びを味わった。

    0
    投稿日: 2017.08.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    レイ・ブラッドベリの有名な本。出だしのロケットの夏の描写が美しい。 火星人の話が前半にあって、これがなかなか読み進められなかった。地球人が火星にやってきて、定着してからは未知の世界で暮らしていく人々と先住民の話があったりして面白く読めた。 移住してくるのがアメリカ人ばかり。地球で戦争が起こり、火星に住んでいたほぼ全ての人々が地球へロケットで帰郷する。この2箇所は引っかかった。地球から逃げ出した人々、という描写があるのにロケットでほとんど帰ってしまうのは変だと想う。 連作短編集で、いろいろ話によってテイストが異なる。火の玉・荒野などは少し他の収録作品と毛色が違う。 正直読んでいるときはそれほど面白くないと感じながら読み進めていたが、最後のエピソードを読み終えた時は「いい話を読んだ」と満足した気持ちになった。

    0
    投稿日: 2017.07.29
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    鴨が「火星年代記」に初めて触れたのは、1980年のテレビドラマ版です。当時鴨は小学生、でもSF御三家の代表作を諳んじるぐらいスレたガキで(^_^;このドラマがブラッドベリの代表作を基にしていることは知っていました。何しろスレてましたから「これSFじゃないよなー、ファンタジーだよなー」なんて生意気な感想を持ちつつ観ていた記憶がありますが、映像化された火星の幻想的な美しさは、いまでもはっきりと覚えています。淡々として掴みどころが無いけれど、奇麗で切なくて印象的な作品でした。 そんなわけで、だいたいのストーリーはドラマの方で把握してまして(改めて思い返すと、ドラマ版は原作をほぼ忠実に、かつ巧くまとめた良作です)、原典に当たるのはこれが初めて。どうしてもドラマ版の印象が脳裏にちらつくので、できるだけそちらを意識せずに、ピュアな気持ちで読むことを心がけました。 で、読了しての感想・・・やっぱりドラマ版と同じでした。火星を主な舞台とし、惑星間移民をテーマにしてはいるけれど、この作品の本質はSFではありません。 では何か、と問われたら、これはもぅ「物語」としか言いようが無いのではないかと。地球から様々な思惑を胸に火星にやってくる移民の歴史、地球人に追われて静かに滅びて行く火星人の歴史、双方の心の動きを丹念に描き出していくこの連作は、「地球人対火星人」というわかりやすい体裁を借りてはいますが、読む人によって様々なメタファーが感じ取れます。何分にも古い作品ですので、描かれているガジェット等には一部陳腐化しているものもありますが、人間の本質が変わらない限り、この作品の本質も古びることは無いだろうな、と思います。 ドラマ版と同様に、奇麗で切ない、薄暮のような作品でした。やっぱりブラッドベリはいいなー。小笠原豊樹氏の流麗な職人肌の訳文もさすがです!

    2
    投稿日: 2017.07.07
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    「不気味の谷」という考え方がある。所謂ヒューマノイドが限りになく人間に近づくにつれ微妙な差異、視線だったり間だったり、そうしたものの違いが本能的に不気味に感じる現象だ。 本作はブレッドベリの代表作であり、火星移住をテーマにしたオムニバス短編集だ。ここで描かれる世界は、他SF作品とは一線を画し、ホラーに近いのかもしれない。この感情は映画『エイリアン』を観た時に似ている。人間に類する者に対する不気味の谷だったり超越した者への畏怖である。また本作品には人間ドラマの哀愁もある。未知の世界を人類の近似で示し、移民が増え既知の世界になり、或る日突然衰退する。人間の未開の地への恐怖や新天地への憧れ、故郷への望郷の念を「年代記」という形で記し、SFとしながらも人間の抱える本質部分を描いているように感じる。もしかするとこの年代記は「火星」ではなく「米国」であり、そこへ向かう移民たちの比喩的物語であったのかもしれない。 本作品は計26作品が収録されているが個人的には『沈黙の町』が面白かった。「世界が男女一組になったら」と誰もが考えることを、なんとも皮肉めいたユーモアで描いており面白い。

    0
    投稿日: 2017.04.23
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    SF。連作短編集。 ブラッドベリのSFはどこか幻想的。 全体的な印象として、序盤は面白く、中盤は退屈で、終盤はまた面白い。 「地球の人々」での火星人とのコンタクトの結末は、とてもユニーク。 「第三探検隊」も、そう来たか!、という結末の切れ味。 「月は今でも明るいが」では、スペンダーの思考に考えさせられる。 終盤は、「オフ・シーズン」から面白かったと感じる。 「沈黙の町」は、火星に残された人間の哀れな希望が悲しい。 「長の年月」はセンチメンタル。これがベストか。 「優しく雨ぞ降りしきる」は、無人の廃墟で健気に働く機械が虚しい。 「百万年ピクニック」では、最後に僅かな希望があって、少しだけ救われる。

    0
    投稿日: 2016.12.30
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    夫にとって理解しにくい地球のことが夫人の夢として出てくるのに、彼らの日常描写こそ読者には不思議で、二重になってると指摘されて、なるほど~。その反面、構造のことでなるほどと思うと、綺麗だと思った水晶の描写がそうでもなく思えてちょっとかなしかった。別の作品でも、少し不思議で美しい描写って色々あるしなあ、と気づいた。(「イラ」) 12/24 水晶の柱と夫人の夢の描写がとても綺麗だった。12/21

    0
    投稿日: 2016.12.25
  • 1950年に思いを馳せる死の星MARS

    2030年(改正版なので1999年から大人の事情により変更)に火星へと人間が到達し2057年までのオムニバス形式で火星にやってき地球人の物語です。レイ・ブラッドベリは戦後間もない頃(1950年出版)の核戦争を想定して地球が滅びる前に第二の地球として遠い遠い火星を選んだのでしょうか。 新たな惑星への移住、地球を捨ててきた様々ん人々の様々な思い、第2の人生としてやってきた人々がほとんどで、叙情的なストーリーで様々物語を堪能出来ます。火星は第2の母星になるのでしょうか。2016年現在も火星への移住を目的に火星探査が続けられてます。

    3
    投稿日: 2016.12.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    物語は2030年1月からはじまる。あらましを序盤、中盤、終盤にわけるなら、序盤はおもに火星人の視点での叙述となる。地球人の訪問と火星人の抵抗。中盤から視点は地球人に移り、ついに彼らの入植が完了する。そして終盤はふたたび火星人の、かつては地球人だった火星人の視点に戻る。およそ27年にわたる赤い星の記録である。 序盤に関して、とかく2031年4月の叙述は、著者のもつ主要なテーマでもあるようだ。未来と過去の交代、奇妙なノスタルジア、動いているのに止まった時間。悲壮感と一種のエクスタシーに満ちた詩のように。 中盤以降、頁をめくる指の動きが早まる。先へ次へ!きっかけは2033年2月の叙述である。地球からの移住者たちがまるでいなごの大群のように火星におしよせる。このあたりから、登場人物は増え火星はにわかに賑やかになる。しかしそれに反比例して、なにやら虚無感が強まる。新しく次々に生まれ出でる入植者の町、しかし傍にはつねに火星人の町、もはや誰も息をしない死んだ町がある。それはまるで、新たな町の行く末を予言するかのように。文明とはなんだろうか。人間の行いとはなんだろうか。それはどんな価値があるだろうか。どんな意味があるだろうか。そう問うかのように。ここで著者の端書きにある「エジプトのどこかに火星」が思い出される。彼の着想にある光景とはまさに、この膨張する虚無感ではなかろうか。新たにできては消える生きた現在と、圧倒的な現実感をもって佇む死んだ過去。 途中の「第二のアッシャー邸」は、全体の流れのなかではすこし趣が異なるが、ポーのファンとしてはなかなか楽しめる。 最終局面のはじまりは、2036年11月の叙述、「地球を見守る人たち」である。地球では戦争が勃発する。母なる地球が燃えるのをみた移住者たちの耳に「帰リキタレ」と電報がこだまする。そして12月の叙述、「沈黙の町」で予言は完遂する。個人的にはこの1話がもっとも印象深い。誰もいない町に突如鳴り響く黒電話ーここでもノスタルジアが物語をより高次の芸術に昇華する。 そして最後の叙述、2057年10月。地球の戦火から命辛々逃れてきた家族が、新たな神話をつくる。かれらはアダムとイヴであり、アブラハムとサラであるだろう。地球人ではなく火星人の。著者は『火星年代記』という神話を編んだ。未来の入り口は過去とつながった。 はじめから読んでも楽しめるが、気になる1話から頁を進めても本作のもつ魅力は褪せないだろう。SFだけれど叙事詩のような、壮大な物語であった。

    7
    投稿日: 2016.12.02
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    鋭い文明批判が満載で、思わず付箋を貼りながら読んだ。半面それらが率直に綴られすぎというか、説教臭く感じられるところも少々。

    0
    投稿日: 2016.10.01
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    ロングフライトの機内で…と思って鞄に入れた一冊。名前は知っているけど開いたことのない本シリーズで、もうちょいハードSFとか勝手に想像していましたが、繊細な飴菓子のように儚く切なく溶けていくような文学体験で、トランジットの前に読了してしまいました。そう、サイエンスフィクションのフレームとか文明批評の視点とか硬い部分は全く感じずに、人間、いや人類という種が固有で持っているデリケートな部分に自ら傷ついていく優しいクロニクル。著者ブラッドベリの持つ小さな思い出への愛が、最後には大きな未来の希望に繋がっていく連作と感じました。

    0
    投稿日: 2016.08.06
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    多くの後続の作品に影響があると思われるアイデアに満ちている。手塚治虫の火の鳥で出てくる宇宙人が人間そっくりに化けるのなんかそうだと思う。 個人的には、初老の夫婦の目の前に、亡くなったはずの息子が不意に現れるエピソードで涙腺が緩んだ。美しくせつない。

    0
    投稿日: 2016.04.14
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    火星が舞台だと、現実味もある分 ハードSFの方が楽しめる気がして、 ようやく手にして読んだという気がする。 舞台が火星である必要はほとんどないのだけど、 途中の話で、どうしても地球が見える必要があるため やはり火星でなければならなかったのか。 異星人、異文化との交流(すれ違い) 虚構を排した未来の世界は?という話など SFと分類しているけど、人類・西洋人・アメリカ人が 未開の地に足を踏み入れたら? (キリスト教的に)宗教、神とは? 未知との遭遇に対する自らを開かず守る先には? といった寓話的要素が強く感じられる物語がある。 しかし、遠く離れた故郷を思う気持ちや、 それでも孤独を選ぶ心と行動や、 それでも家族とありたい心と行動や、 時空や文化を超えてお互いの日常が触れ合い 二度と交わることのないであろう何気ない別離や、 「幻想的」と感じ、表現してしまう中に ノスタルジー、メランコリー、抒情的、 少し物悲しい、思い出す時はいつでも懐かしい 晩夏の夕暮れのような空気が漂う。 過去の想像の否定、科学的考証や新しい発見などは 頭の外に置いておき、やはり読んでよかった。 元の1999年から+31年されたということだが 年代が物語に追いついてしまったのではなく、 人の空想の力が、現実の科学の進歩のスピードの より、遥か先を行っているということなのだろう。

    1
    投稿日: 2015.12.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    超有名なのに読んだことなかったので読めてよかったー けどそこまで好き!面白い!!ってほどでもなかったかな~おもしろかったけど 年代記っていうほどすごい長い歴史を描いてるわけじゃなく、 無人の火星に地球人が住み着いて・・ではなくて そのへんよくわかんないんだけど 元々火星人(人型)が住んでて そこに地球人(アメリカ人)がやってきて、 殺されて(奥さんを心配した一般市民的な人に) 2番目の人たちは精神病だと思われて全員殺されて(かわいそう) 次のひとたちは自分の故郷で死んじゃった両親や近しい人と再会してよろこんで寝てる間に殺されちゃって で、次のひとたちがきたときには水疱瘡で全滅しちゃってて・・みたいな あとは地球で核戦争が起こって火星に残った人の悠々自適ライフの話とか 火星に嫁にいく女の子の不安なの!って話とか いろんなテイストの短編集な構成で、飽きない 家族が死んじゃってロボ的なのをつくって暮らしていた男とか すごいイマジネーション!! 人間のサガとか、植民地化してしまうエゴとか 環境汚染とか そういう「人間って・・」ってテーマかな

    0
    投稿日: 2015.12.05
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    地球人(アメリカ人)の火星への入植を複数の短編で描いた作品。 話自体はコミカル調でテンポ良く進むが、その実立ち止まって考えさせられるような警告や隠喩の切れ端を感じさせる。 特に、最終章はアメリカ人による最大の自虐ともとることができ、自身のアイデンティティーとルーツについて考えさせられる。

    0
    投稿日: 2015.05.30
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    人間が火星に進出したことで起こる様々なエピソードを束ねた連作長編。多様なアイデアが盛り込まれていて、斬新であり、考えさせられる内容でした。 特に、「沈黙の町」が面白い! 最終章「百万年ピクニック」でのラスト場面における描写が美しい。

    0
    投稿日: 2015.05.18
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    2015年4月3日読了。SFの超古典。第一次~四次の探検隊が探索し、多くの人々が移り住みそして離れた「火星」をめぐる短編の数々。かつての私が「生涯のベストSF」と感じた名作だが、再読してもその思いは変わらなかった。悲劇的な結末を迎える話ばかりなのになぜか暖かく、SFなのに懐かしく、メッセージ性も強いのに説教臭くなく、切なくてもどかしい気持ちにさせられる。ハードなSF知識を前提としない、牧歌的なSFとしてはやはりこの小説が現代でも最高峰といえるのではないだろうか。

    0
    投稿日: 2015.04.03
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    日本語が詩的で美しく、心に染み入る場面が多かった。特に乗組員スペンサーが出てくる話は、その情景とともにいつまでも心に残っている。

    1
    投稿日: 2014.08.02
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    どこかで、定番と薦められていたので、図書館で借りてみた。私はアメリカ白人ではないので、オハイオにノスタルジーを感じることも無い。いまさらスタートレックを見るような感じで、あんまり、ぐいぐいと読み進める感じではなかった。定番であることは間違いない。

    0
    投稿日: 2014.08.02
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    楽しくはないが、たしかにこの世界はあるのだ。宇宙のどこまでも続く静寂。人間の悲しいほどの、変わらなさ。冷酷無比に、我々はもがき生きている。希望を、可能性を、歴史からではなく、物語として打ち砕くことでやっと見えてくるもの。エゴイズムからの飛躍台がここにある。

    0
    投稿日: 2014.05.29
  • ブラッドベリと言えば、これ

     これなくしては語りようのない、ブラッドベリの代表作です。  未来SF小説ですが、1999年1月の出来事から始まります。 地球では、第1次 火星探索隊が出発。 しかし、帰還せず。 そして、第2次 探索隊も行方不明となり 2000年4月に第3次 探索隊が... ようやく、読者には何が起こったのかが分かりますが この隊も行方不明になり、地球は未だ何も知りません。  2001年6月、第4次火星探索隊が着陸した火星は... 同年8月、第1次 火星移住者のロケットが到着して 以降、町が建設され、子供が生まれ... 最後の記述は 2026年10月、 その時、地球人が見た火星人とは... ?  銀色に輝くロケット、遥かな宇宙に 人間は何を夢見て求め、何を見、そして何を知るのか? ジャンルは SF, しかし 悲しく優しく美しく、叙情的ですらあります。  日本語翻訳本でも、色や音、風や水も感じられる 豊かな表現に魅了されます。 (私が読んだのは、旧版です)

    3
    投稿日: 2014.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編の連作で一本の長編を構成。地球人の火星移住というスケールのデカい話だが、後半の地球が戦争で滅亡してからの話が哀愁を感じさせる名作。

    0
    投稿日: 2014.03.13
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    ーーー火星への最初の探検隊は一人も帰還しなかった。火星人が探検隊を、彼らなりのやりかたでもてなしたからだ。つづく二度の探検隊も同じ運命をたどる。それでも人類は怒涛のように火星へと押し寄せた。幻想の魔術師が、火星を舞台にオムニバス短篇で抒情豊かに謳いあげたSF史上に燦然と輝く永遠の記念碑。 名作中の名作と呼ばれているレイブラッドベリのオムニバス 「評判に偽りなし、SFにおける神話」というのが率直な感想 厳密に科学技術、種々の法則を逸脱しないハードSFではなく その根底に流れる、外の世界への衝動や人間の尊厳が描かれているように思う。 なんといっても文章が幻想的に美しい。短篇なこともあって、何度も読み返したい一冊 二人はたがいにゆびさし合い、そのあいだにも星々の光は、二人の手足のなかで、短剣のように、氷柱のようにホタルのように燃えた。

    0
    投稿日: 2014.01.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これはSFではない。SFと思って構えると(50年前の小説ではあるが)かなり肩透かしを食う。一種の寓話。星新一的。

    0
    投稿日: 2014.01.02
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     火星を舞台にした短編をオムニバス調に書き上げた連作。  不思議さという点では『夜の邂逅』が印象的。言葉ではうまく書き表せないのですが、幻想的で登場人物の言葉にもあるのですが、不思議な夢を見たような感覚もありました。 『火の玉』も幻想性では負けていません。話は宗教のあるアメリカ的な感じだったのですが、それでもどこかいいなあ、と思ってしまう短編でした。 『沈黙の街』はこの作品群の中ではユーモアあふれる語り口でいい意味で浮いていて印象的でした。 『百万年のピクニック』は状況こそ絶望的であるものの、登場人物たちに悲壮感は感じず、希望の感じられる短編でした。  幕間的にはさまれる1~2ページほどの章がいくつもあるのですが、その文章がどれも詩的なイメージに満ち溢れていて、文章に酔ってしまうような感じを受けました。ブラッドベリの文章はいい、ということは知っていたのですが、ようやくその意味が分かった気がします。各短編それぞれ幻想色があふれていて素晴らしいのですが、それが一つの年代記としてまとめられているところがまた「火星」という場所の不思議なイメージを増幅させてくれているような気がします。 作中でも火星に地球人が住む時代まで描かれるのですが、その一方で火星の本当の姿というものは書かれていないような印象を受けました。  今後現実社会でも宇宙開発が進んで、火星を含む宇宙に人が住む時代が来ても、この本がある限り僕は宇宙の惑星に対し、神秘的なイメージを持ち続けるのだろうな、と思います。

    4
    投稿日: 2013.12.22
  • 火星と人類の歩み

    人類が初めて火星に向かうところから始まる、連作短編集です。短編作品が時系列順に並んでいるため、読み進むにつれて物語中の時代も進んでいきます。ときどき登場する装飾的な文体がちょっとくどく感じるものの、全体としては比較的読みやすい部類に入るでしょう。 古典とされる作品なので正直内容はあまり期待していませんでしたが、各短編はそれぞれ雰囲気が異なっていて飽きることなく読めました。怖かったり、滑稽だったり、ちょっとほのぼのしたり、考えさせられたり……これは今でも十分通用する古典ですね。もっといえば、本書の時代設定は現代~近未来ですので、今の時代に読んだからこそ心に響く部分もあったと思います。

    1
    投稿日: 2013.11.04
  • 傑作

    SFの古典的名作です。 古典的名作というと小説に限らず漫画でも映画でも、「当時はエポックメイキングだったけど、それ以降、その作品を真似た上にさらに新しい要素を付け加えた名作が出ているので、今読む(見る)と、まぁ普通」という作品があります。 しかしこの作品は今読んでも十分面白いです。それはおそらく、非常に叙情的だからでしょう。 SFといっても難しい科学的な説明や理屈はありません。そういう点では藤子不二雄の漫画と通じるところがあるかもしれません(もちろん、この作品のほうが藤子不二雄より先にあったのですが)。 僕は大人になってから読んだのですが、多感な中学生ぐらいの時に読んでおきたかったなぁと思える作品です。

    0
    投稿日: 2013.10.28
  • 抒情詩

    この作品は1999年の夏からはじまり、2050年代にかけて地球人によって入植され移り変わってゆく火星を連作短編小説集といった形式にして描かれた作品です。SFというには科学的考証などには無頓着なのでSFというよりはファンタジーというべきでしょうが、それよりもこの作品の真骨頂はその抒情詩的な文体にあると思います。 作品のオープニングにあたる“1999年 ロケットの夏”と題されたたった3ページほどの部分。ロケットがはじめて発射される時の大人も子供も熱狂する様をこれほど詩的に、優しくつづった文章にはなかなか出会えないでしょう。それより先は地球の人々によって火星がじわじわと汚されてゆく様が描かれてゆきます。ちょうど地球を汚していったように...。 これを読むと最近の宇宙ビジネスさえ罪深いものに思えてきます。人間って観光旅行でさえ、その土地を汚したりしてますからね。

    5
    投稿日: 2013.09.25
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    SF小説の名作で、ブラッドベリの代表作がこの『火星年代記』です。 その名の通り、火星での様子・出来事を年代順に語る様式の作品。 短編はおおむねそれぞれが独立した形でありながら繋がっていたりもし、 連作短編SF小説と言えそうです。 ネタバレになるので、中身に触れないように説明するのは難しいのですが、 いろいろな要素が詰まった、つまり、いろいろなジャンルの話がありながらも、 どれも火星を舞台にしていて、その時系列で話が進んでいくことによる 統一感、筋の通った感じのある短編集。 僕の読んだバージョンは「定本」というもののようで、 この作品は発刊された時には1999年から始まった物語だったそうなのですが、 2030年から始まっています。つまり、31年、未来に話がずれたようです。 それは、このSF小説が今後も読めれていくための修正です。 内容は変わっていないようで、もしかすると、2030年くらいになったときの この世界のテクノロジーや社会の進歩具合によっては、さらにまだ「生きている作品」 としての寿命が延びる可能性もありますね。2060年とかにずらしたりして。 それで、この「定本・火星年代記」は2010年発刊のものです。 そして、作者のレイ・ブラッドベリが亡くなったのが2012年だそうです。 92歳だったそうですが、亡くなる間際まで現役だったとか。 生命力の強い人だったのかもしれないですね。 本作でいえば、もしかすると、ウォルター・グリップのような人かもしれない。 さて、その『火星年代記』で描かれた世界は、 ユートピア的であったか、ディストピア的であったか。 それは読者だけが知りうることです。よかったら読んでみてください。 SFは、架空の未来世界に人類を置いてみて、そこでどう考え、反応するかという 思考実験的な初体験を、未来が来る前に体験してみようという趣旨があります。 そして、そこが面白味だったりする。 通常の人生では得られない、読書上ではあるけれど、新しい体験をSF小説で してみてください。

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    投稿日: 2013.08.08
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    ブラッドベリの代表作を読む。火星が死後の世界なのか?地球の崩壊への警鐘を鳴らしているのか?とても不思議な感覚になる小説であった。

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    投稿日: 2013.06.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    未来の火星を舞台にしたSFではあるが、どこか寓話めいた雰囲気もある。 達観的に、淡々と進められる「歴史」は人間の滑稽さを容赦なく映し出し、しかし同時にその温かさを奥底に感じさせる。 地球から火星への探検、そして移住のなかで、多くの人間たちは地球に残してきた様々なものに思いを馳せる。 戦争・宗教・科学・都市…人間が生み出し(てしまっ)たあらゆる業は、たとえ背負うに重すぎるとしても、容易に置いていけるものではないのだろう。 人間が人間である限り、環境へはたらきかけずにはいられないのだ。 地球人と火星人の噛み合わなさ等シニカルな視点が多いものの、詩的な表現が全てを優しく包み込んでいた。 読んだとき真っ先に連想したのは星新一のショートショートで、どことなく感じが似ているなあと思っていたら、解説で真っ先に名前が出てきて「おお」と思った(笑)

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    投稿日: 2013.06.18
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    友人に勧められて読んでみました。神秘的な描写とともに語られる”記録”。直接グロテスクな表現は出てこないのに、どこかそら恐ろしく、身震いします。遠いはずなのに、すぐ未来にありそうなリアリティ。静かな火星を破壊していく地球人。火星という舞台、もしかしたらそれは地球上の、人間が壊している自然、動物、そして地球そのものを表しているのかもしれない。

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    投稿日: 2013.05.26
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    高校の頃に読んだことがあったけど、氏が亡くなられたというニュースを聴き、改めて全部読んだ。本当に名作だと思う。SFには疎いけど、これはSFというよりは幻想記に近いような、詩のような綺麗な本だと思う。 短篇集からなる年代記で、時代が移りゆくにつれて火星と地球で生きる人達がどの年代でもある種切なげに描かれていた。高校の頃は「月は今でも明るいが」が好きだったけど、今なら断然「夜の邂逅」だな。素敵すぎる

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    投稿日: 2013.05.26
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    一旦中断していたが、最近読み直して一気に読了。人類の浅はかさとか愚かさが描かれていて自己嫌悪を感じつつも、全体的に詩的で物悲しくて、雰囲気が好き。

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    投稿日: 2013.05.24
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    久しぶりにレイ・ブラッドベリを読んだ。本書も表現が詩的で描写も美しい分残酷さが際立つ。色彩も綺麗! 地球人が火星に移民しようする話だが、その数十年に渡る地球人や火星人の物語を短編で描き、年代ごとにオムニバス風にまとめたもの。 火星人に賛嘆されて迎え入れられるだろう、という地球人の驕りや、野蛮な火星人に宗教を布教せねば、という勝手な思い込み。なるほど、ありそう。 どの話も印象的で、読み終わった後もひとつひとつくっきり思い描ける。 でも一番心に残ったのは、火星人の築いた文明を守るために仲間を殺してしまう地球人乗組員の話。その男を殺害せざるを得ない隊長の苦悩がまたいい。この登場人物は時間を経て後にもまた登場する。 それと火星人夫婦の夫が、地球人到着を予知した妻が連れ去られないよう地球人を殺害する話。倦怠期で妻を大事にしなくなった夫が、嫉妬にかられて乗組員二人を殺してしまう。緑の千本のリボンに吊り下げられて、炎の鳥で空を飛ぶシーンも何とも素敵だった。 また時間をおいて読みたい。

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    投稿日: 2013.05.01
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    SFの古典。 ブラッドベリ作品の中では一番センチメンタルかもしれない。SFガジェットはせいぜい宇宙船ぐらいのもので、人生の哀しみが描かれている作品が多かった。 解説によると、新版では作中の設定年が変更され、一部の短篇が別作品と差し替えられている。こうなると旧版が欲しくなる……。

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    投稿日: 2013.04.23
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    というかSFではない。 火星探査機第一号から本格的に地球からの移植がはじまり、そして地球が破滅するまでのお話。まさに当時のアメリカ移植の火星版。といっても決まった登場人物がいるわけではなく、ちいさい短編を時系列に並べただけ。 僕のこの本に対する印象は「ずっこい」だ。三島由紀夫が「安っぽいセンチメンタリズム」と言ったのにもうなずける。 いい見方をすれば詩情があるとも言えなくもないが…… なんというか火星という架空の舞台で、現在(小説的意味じゃなく現実の社会で)失われた、あるいは失われつつある「古きよきもの」に想いを馳せ感傷に浸っている感じ。 近未来という舞台を使った最強の回顧主義。 中身うんぬんよりその姿勢がダサすぎる。

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    投稿日: 2013.03.05
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    当て所のない文章。いや、当てがあるとすればそれは火星か。それとも地球であるか。 史実を物語るかのように、ただ淡々と綴られるこの年代記には戦慄さえ覚える心地がした。史実であるはずなのに、それでいて少しも実がなく感じられる内容。 見果てぬ夢。我々が見る夢とは、本当に目指すべき、目指しても良い夢なのか。そこには畢りがあるのみなのではないか。 SFとは、いくらも夢物語などではなく、少しのリアルが裏付けてあるのだろう、と本を閉じながら思った。

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    投稿日: 2013.02.07
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    【収録作品】2030年1月 ロケットの夏/2030年2月 イラ/2030年8月 夏の夜/2030年8月 地球の人々/2031年3月 納税者/2031年4月 第三探検隊/2032年6月 月は今でも明るいが/2032年8月 移住者たち/2032年12月 緑の朝/2033年2月 いなご/2033年8月 夜の邂逅/2033年10月 岸/2033年11月 火の玉/2034年2月 とかくするうちに/2034年4月 音楽家たち/2034年5月 荒野/2035-36年 名前をつける/2036年4月 第二のアッシャー邸/2036年8月 年老いた人たち/2036年9月 火星の人/2036年11月 鞄店/2036年11月 オフ・シーズン/2036年11月 地球を見守る人たち/2036年12月 沈黙の町/2057年4月 長の年月/2057年8月 優しく雨ぞ降りしきる/2057年10月 百万年ピクニック

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    投稿日: 2013.01.16
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    終末と再生の物語。 kindleで読んだ。高校生の頃読んで、また約30年後の今読んでいる。新しい発見がいくつもある。古典の名に相応しい。 歴史への敬意。 現在を生きることへの共感。 あらゆる時代で、現代の物語として再読しうる普遍性がある。

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    投稿日: 2012.12.18
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    短編の寄せ集めが一つの大きな物語になっている。 人間の愚かさを感じるところが多いね。 雰囲気はちょっと寂しい感じ。 でも、最後の場面が唯一平和で一番美しい場面なのかも。

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    投稿日: 2012.12.12
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     地球人が火星に始めてロケットを飛ばした2030年から、植民を始めて、発展して、衰退するまでの27年間を描いたオムニバス。短編ひとつひとつがそれ単体で充分に面白いのがすげぇ。SF設定を切ない方面に使うのが抜群にうまいなこの人は。

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    投稿日: 2012.11.30
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    名作は色褪せない。 我らが地球が滅びゆくその時も、変わらずに火星はそこにあるのでしょうか。 「月は今でも明るいが」からの「長の年月」が素晴らしい。 あとはラストの「百万年ピクニック」。 火星人に会わせてあげる、がもうめちゃくちゃ詩的でした。 「宇宙旅行はわたしたちみんなをもう一度子供に還らせてくれた」

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    投稿日: 2012.11.15
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    SFの古典的傑作という事になっているものの、作者も序文で述べている通り、科学技術に則った叙述は「優しく雨ぞ降りしきる」の一遍のみ。描写は詩的で、抒情的で、内省的で、舞台装置は、今時の言葉で言えばほとんど「スピリチュアル」。 これを日本語で「ファンタジー」というのは少し違う気がしていたのだけれど、もう少し広い概念として「幻想文学」というのがあるみたいで、字面もしっくりくりくるなと。 ストーリーとしては「長の年月」がとても好きでした。 「百万年ピクニック」に出てくる父親の言葉が、ブラッドベリ自身の科学に対する考え方を代弁しているんだろうなぁと思ったり。

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    投稿日: 2012.09.10
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    宇宙を題にした小説ですが、 読んでみるとSFというよりむしろファンタジーに近く感じました。 それがいいと感じるところもあれば、 悪いと感じるところもあり、 ブラッドベリらしい小説になっています。 個人的には前半が好きだったので、 後半はややだれてしまいました。

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    投稿日: 2012.08.31
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    読む本を切らしたので、たまにはこういう本も読んでみようかと思って買ってみる。 私が生まれた時には出版されていて、物が分る歳になった頃にはもはや古典だったこの本。「新版」と銘打たれたこの本のために作者が書き下ろした前書きを読みながら、作者がついこの間亡くなったことを思い出す。 地球人の火星への探検、火星人との対立、それでも続く殖民、火星人絶滅、地球における戦争の勃発などなど。 異なる文化がぶつかる中スピリチュアルな描写に溢れる「地球の人々」や「火の玉」が印象に残る。地球で戦争が起こってからのエピソードには、いずれにもそこはかとない余韻。 こうした内省的で詩的な文章は、ワサワサした日常から少し離れたところで読みたかったと思う。

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    投稿日: 2012.08.26
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    先日亡くなられたブラッドベリの初期作品を読みました。バローズの火星シリーズみたいなものを想像してたので、全然違う内容にびっくり。最後の皮肉が効いてる作品でした。

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    投稿日: 2012.08.16
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    これは面白い。好き。もともと特にシリーズというわけではなかった、火星にまつわる短編を時系列にまとめた作品とのこと。ゴリゴリに科学的というよりは、確かに詩的なSF。寂しくも美しい火星の情景と、降り立つ人間の弱さと強さが相まって、一つ一つがガラス細工のような短編集。「地球の人々」と「火星の人」が特に好き。

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    投稿日: 2012.08.13
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    なんて素敵な本だろうか。まさに語り部というか。一つ一つの話がとても面白いし、詩的な文章が素晴らしい。 なんだかラファティの「宇宙舟歌」を思い出してしまって、なんでかな〜て思って著者序文を読んだらわかった、「神話」なんだ!

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    投稿日: 2012.08.09
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    追悼ブラッドベリ第2弾。 夏の朝の匂いをかぐと読みたくなるのが「たんぽぽのお酒」ですが、この夏は本書を新訳版で読み返すことに。 50年代の作品ですが、今なお失われないその輝きに脱帽です。SFではないですねこれは。幻想小説としかいいようのない味わい。見知らぬ土地を見知らぬままでほおって置けず、これまでの景色と同じにしてしまう人間の浅はかさを描いているかと思えば、「第二のアッシャー亭」のようなホラーへの愛着を示すパロディーもあります。 でも、全体を通じて感じられるのは、滅んでしまったもの、失われたのも、滅びゆくもの、失われてゆくものへの眼差し。郷愁を誘うというより、もう少し冷たく残酷な感じが強く、胸が苦しくなります。 火星人とすれ違う「夜の邂逅」がやっぱり印象的ですが、「長の年月」も今回は心に残りました。歳とともに響く部分が違ってきますね。

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    投稿日: 2012.07.29
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    レイ・ブラッドベリの詩的な文章に酔いしれる。 失われてもう戻らない風景、人々。 読み終わった後に訪れる寂寞。 しばらくは現実世界に戻ってこれなかった。 それぞれの短編で違った味が楽しめてうれしいが、 これは、火星年代記に入れなくても・・・ というものもあり。 個人的には、 火星人の夫婦を描く「イラ」やロボットたちだけが働く地球を描く「優しく雨ぞ降りしきる」、新しい火星人たちの「百万年ピクニック」が好き。 「第二のアッシャー邸」は「華氏451度」などを思わせる言論弾圧やポーの話等も出てきて、話的には好きなのだが、悪ふざけが過ぎて、個人的には火星年代記に入れて欲しくなかったと思ってしまった。 先日、亡くなったばかりで、 もう新作が読めず残念・・・ と思っていたら、この火星年代記、第二部と第三部があるらしい。 いつ翻訳されるのかわからないが、楽しみ!

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    投稿日: 2012.07.13
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    久々にSFを読んだ。と言うか久々に本読んだ。 で、先日亡くなったブラッドベリ。 恥ずかしながら今まで読んでいなかった。SF読みまくった中高生の頃はなんか甘ったるそうで食指が動かず。 でも今読んでみるとなかなか良いですね。 文学的とか詩的とかと評されるブラッドベリの文体は心地よいです。 内容的にも星新一の原点という感じ。 子供にも読ませられそう。

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    投稿日: 2012.07.07
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    短編オムニバスとして数頁のエピソードと数十頁のエピソードが交互に並べられていて、途中でだれることなく各エピソードをを楽しむことができた。 特に『第二のアッシャー邸』『優しく雨ぞ降りしきる』の2つのエピソードが私の気に入った。 はじめは二人の探検隊が火星に現れるところからそれぞれ異なる登場人物たちのエピソードを進むごとに徐々に最終エピソードへと結ばれていく。 ひとつひとつのエピソードをとってみても面白いが、それらによって多面的に描かれたひとつの物語が浮かび上がってくるにつれて火星の風景が頭の中に広がってきた。 読了後はそのまま目を閉じてその世界に浸るほどであった。

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    投稿日: 2012.06.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読んでるとき、読み終わった後の虚無感というか、寂寞たる思いがものすごい。まぁ、結果的にまずは火星人、在火星地球人、在地球地球人の全てが滅びに向かっていくストーリーなので致し方ないのですが、この作品からはそいうしたストーリー以上の頽廃した雰囲気が感じられます。こんなにロマンを感じない宇宙モノはそうない、とも言えるかもしれませんw とくに最後の方で断章的に挟み込まれる「優しく雨ぞ降りしきる」なんかはその最たるもので、星新一が強い影響を受けたとする解説もここを読むと納得させられます。 ただ、そういう圧倒的な虚無感や、時系列的に細切れになってしまう構成が故に、人物や周辺との人間関係に対する描写にあまり字数を割いていない感があり、そのためにアメリカという国、地球や火星という「星」に対するそれぞれの人の想いがあまり伝わってこないな、という感じはします。まぁ、アメリカ人じゃないですからね、その辺はなかなか難しいのでしょうけど。

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    投稿日: 2012.06.17
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    購入から1か月、布団の横においてゆっくり読んでたらその間に著者がお亡くなりになってた。ご冥福をお祈りします。 年代記のタイトル通りというべきか、特別なドラマ仕立ではなく、淡々と火星の年月が短編で紡がれ続ける。たしかに火星人と地球人の物語であるが、生きた光景というよりはまるで歴史的建造物を眺めているような感覚がある。

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    投稿日: 2012.06.16
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    図書館で、世界SF全集を借りて読む。 短編が連なって歴史や文化をあらわしてて、結構すき。 ただ、読みにくかった(1975年発行の本だから古すぎて汚れもあったし。この本自体に歴史がありそう。)

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    投稿日: 2012.03.27
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    すでに火星にも探査機が送り込まれ、日に日に未知のベールが剥ぎ取られつつある現在、「火星」としてではなく「未知の惑星」への入植と置き換えて読むと、味わいがあるかもしれない。

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    投稿日: 2012.03.24