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最果てアーケード
最果てアーケード
小川洋子/講談社
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総合評価

103件)
4.0
28
37
19
3
0
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    最近長編を読む気力が薄れていたのでこの短編なら読めるかも!と思って読んだら正解だった。 やはり仄暗くて少し埃っぽいような空気感。静かな絶望、諦め、受容、みたいな。明るさとか希望とかはないけど登場人物みなその絶望をひっそりと受け止めているような感覚? 小川洋子さんだなあ、という感じ。

    0
    投稿日: 2025.10.18
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    やさしくて、ほんのり体温が残っている喪失感。 最初は外から「私」を通してアーケードを覗かせてもらっている感覚だったのが、最後はアーケードの中にぽつんと取り残されたような気持ち。 徐々に「私」の輪郭がぼやけていく。 「私」はいつからいるのか、いないのか、アーケードの輪郭だってどこまではっきりしたものなのか。 素直に読み取れるようなものではない気がした。 生よりも死や無に近いところの商品を扱う店々。 アーケードの外がこちらで、ドアノブの向こうがあちら。ならばアーケードは時間がよどむ境界線か。 迷い込んだ名前も知らないアーケード、作者にゆかりのある地でとおった商店街、半年だけ過ごしたあの国の蚤の市で買った、どこかの誰かが写ったネガフィルム。 自分のみてきたそんな景色と最果てアーケードが寂しく重なった。

    0
    投稿日: 2025.10.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    良かった。こういう、連作短編集も良い。全てのエピソードに愛があって、柔らかく暖かかった。表現も美しくて素敵だった。

    0
    投稿日: 2025.09.05
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    アーケードの中の様々な商店の物語。主人公の女の子とお父さんの悲しいエピソードと絡めて描かれている。アーケードの奥にある休憩所がとても魅力的。

    0
    投稿日: 2025.08.08
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    小川洋子さん初読みです。 静かで不思議な世界観と、小川さんの美しい文章がとても心地よい作品でした。 使用済みの絵葉書や義眼、ドアノブなど、その物から持ち主の思いが感じられ、その思いを大切にしている店主たちのまなざしに心があたたかくなりました。主人公の「私」の存在が少しずつ明らかになり、読み終えると『最果てアーケード』の意味がわかります。 また読み返したくなる作品でした。

    13
    投稿日: 2025.05.25
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    せこい、羨ましいが溢れる本 何度も読み返す人生本になる ドアノブのノブさんの話が好き 私もアーケードで出展したい あいかわらずな小川洋子の丁寧で独自の美しい日本語に浸りながら、独創的なありそうで無い世界観にのめり込める。 雨に打たれながら溶ける様に、物語の中に馴染む。言葉の端々に優しさや温かさを感じ、私が欠けていた部分を左官職人の様に塗り埋めてくれる。

    1
    投稿日: 2025.05.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    確かインスタグラムで紹介されていた本。 小川洋子さんの文体が本当に好き。柔らかで優しくて丁寧に読まないと壊れてしまいそうな文体。 そこから紡ぎ出される物語もやはり柔らかで誰かを包み込むような作品。 あるアーケードの配達員さんのお話。不思議な店ばかりでそこにやってくるお客さんもなかなか癖がある。 でもさも普通ですよ、というように商売をしている店主たちと当たり前ですよ、というような顔をしてやってくるお客さんたちには違和感を覚えつつも優しい気持ちにさせられる。小川洋子マジック。 一番好きだったのはラビト夫人。 一番理解できなくて一番幸せになってほしいお客さんだった。

    0
    投稿日: 2025.05.10
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    先日読んだ博士の愛した数式が面白かったので、同じ著者さんの本を買ってみました。 街の中にひっそりとあるアーケード内にまつわる短編。 コンビニたそがれ堂や、あずかりやさんみたいな、短編が繋がってる話すっごく好きなんだよなあ。こういうお話の書き方って名前あるんだろうか。 相変わらず文章がとても綺麗で頭にスッと入ってくる。瞬時に情景が浮かぶような小説を読むと心の底から没頭できて良い時間を過ごせたなあと感じます。 悲しかったり、少し怖かったり、心温まるような、アーケード内の人にまつわるお話が「私」の目線で淡々と書かれている。 いまいちグッと感じなかったのはあまりにも「私」が淡々としていたからかもしれない。 私の読解力では「私」が今何歳なのか分からなかったよーん。アーケードと共に長い時間を過ごしてきたのだなあ。途中、もう亡くなってるのかと思ったけどノブさんと普通に話してたし。 不思議なお話でした。

    1
    投稿日: 2025.02.25
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    最初は大人のための童話・おとぎ話を読んでいるような気持ちだったけど、 だんだん主人公の輪郭がぼやけていくような不穏な感覚が高まっていく。 外国のようで、昭和の日本のようで 本当に不思議な世界観。 不穏さ、奇妙な売り物。 全部好きです。

    8
    投稿日: 2025.02.19
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    不思議なアーケードの片隅で起こる「死」を弔う話。異国の童話のような不思議な世界観だった。「死」を美しく拾い集めた話の数々は、読後に喪失感を感じながらも、どこか心の傷を埋めてくれるような不思議な気持ちになった。ライオンのドアノブの奥の窪みのような場所はどんな人にもあるのだろうか。きっと誰にでもそんな場所はあって、見つけたいような見つけたくないような不思議な場所だと思った。

    5
    投稿日: 2025.02.01
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    初めて小川洋子さんの本を読んだ。 最初に読んだのがこの本で良かったと思うくらいとても素敵な本で、言葉だった。 アーケードの中でもいろんな方がいていろんな思いを抱えている、一つ一つの物語読み終わるたびに宝石をずっと眺めていたような気分になった

    0
    投稿日: 2025.01.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    雰囲気好きだった〜。最後の終わり方好きだ。主人公がなぜだか好きで潜り込んでいたドアノブ屋さんの雄ライオンのノブがついた扉が生み出す窪み、最後はそこにお父さんに会いに行く、という終わり方に切ないような清々しいような不思議な気持ちになった。主人公を送り出して読者はアーケードにまだ残っているような感じ。

    0
    投稿日: 2025.01.17
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    ささやかな物品や情景から垣間見える人柄など 目にうかぶお話。 今は無き、故郷の昔馴染んだ店々が思い浮かぶ。 八角形のラーメン屋、祖母と行ったおやきとかき氷、手芸屋のおじさん先生、甘茶の匂いのお茶屋、飴色の喫茶店のコーラフロート、乾物屋のじいちゃん、母の財布を盗んで行った駄菓子屋、犬と散歩に行った時可愛がってくれた、食パンがとにかくおいしいパンやさん、やさしいお姉さんの肉屋さん、

    0
    投稿日: 2025.01.13
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    これは文庫よね…。わたしが読了したのはハードカバーやけど、ブクログでは探しきれなかった。ブクログの検索下手芸人。 さてこちらも、年末に棚に差してあった背表紙と目が合って借りた。 著者は未読。いつか読みたいと思っていたので、たぶん、アーケードのいろんな店舗がテーマになる連作短編なら読みやすいんじゃないか、と、思った。 …んやけど、著者のファーストタイトルがこれでよかったのか…とは、なった。(悪い意味ではなく) 童話のような世界観で進んでいく。 矛盾も、やるせなさも、包み込むような雰囲気にすれば飲めるでしょ、って感じが、童話のよう。 夢のなさが7割、残りの3割がきれいなもの、て感じ。 取り扱ってる商品がわりとファンタジックなので、そのあたりは切り離して読めてたんやけど、最終章がねえ…。 ねえ…。 最初は「私」がどのくらいの年齢で何をしている子なのかがつかめなかったけど、読み進めていくうちにそこはつかめなくてもええんかもしれんとすら思った。 いや、あかんか。ちゃんと読んだらちゃんとそのあたりも明確に散りばめられているか。 そんなふうに、いろんなものを繋ぎ合わせてひとつの物語になるところが、まさに「アーケード」。 一見まったく関係のないものが隣同士で並んでいる。 その多様性? が、アーケードなのか、商店街なのか、と、思うと、昔にも多様性ってあったよなと思う。 商店街は、わたしが小学生のころは当たり前のように存在してた。 スーパーと商店街が混在してたかな。 中学生になるころにはもう、スーパーマーケットのほうが主流になりつつあった。 タイトルは「最果て」って言うてるけど、「最果て」なんてない。物事に終わりなんてないんやなと思ってしまうわたしはどうも、ロマンがすぎる。 ある大雪の日に読了した。とてもよかった。 著者の本のおすすめを聞きたい。

    4
    投稿日: 2025.01.09
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    登場人物たちは誰も泣き喚いたり大げさな感情表現をしないのにこんなにも喪失感を感じさせる小川洋子さんの芸術。アーケードには懐かしいような雰囲気が漂いながら、現実から一歩外れて置き去りにされてしまった世界のようでもある。最終話で女の子の過去が描かれるところが良い。 読んでいるとひっそりと静かで心地良い自分だけの時間が流れます。

    3
    投稿日: 2024.12.12
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    この物語は「小さい時の思い出から」と、エッセイ『遠慮深いうたた寝』に書いてあった。 だから、このアーケードでの出来事を語る「私」とは小川洋子さんだ。 小川洋子さんは、岡山市中区森下町で生まれ育ち、11歳に祇園町に引っ越している。 岡山市のどのアーケードの思い出なのだろうと思っていたが、パリのパサージュをイメージしていたそうだ。 日常の「とるにたらないものもの」への想いを綴った、江國香織さんの作品を思い出したが雰囲気は違った。 「最果てアーケード」は、だれがそんなものを必要とするの?という品物を扱っている商店の人々の物語だった。 『ブラフマンの埋葬』でもそうだったが、本書も人の名前が出てこない。 舞台となるお店が違う10篇の物語でできているので、"店主さん"と呼べばどの店の店主さんか分かるのだ。 人物が多人数登場する小説が苦手な私にとってはありがたい。 名前で呼ばれるのは飼い犬の べべ だけだ。 登場人物は、 物語を語る「私」。私の「父」。 レース屋の店主、かつて衣装係だった老女。 百科事典のセールスマン、同級生のRちゃん。 義眼屋の店主、(店主の)婚約者さん、兎夫人。 輪っか屋(ドーナツ屋)さん、元体操選手。 紙店の店主(レース屋の姉)、雑用係のおじいさん。 ドアノブ専門店の店主"ノブさん"。 未亡人の勲章店の店主。 遺髪レース編み師。 軟膏屋さん。 大学の助手。 どんな商品を扱っているお店かは、登場人物の呼び方でわかると思うが、 こんな(商売になりそうもない)お店が連なっているアーケードなどあり得ない風景だ。 だが、昔はアーケードの中のどこかに、似たような雰囲気のお店が紛れ込んでいた記憶がうっすらとある。 その品物が必要で探し求めてくるお客さんと店主さんのこだわりや想いが伝わってきます。 さり気ない動作や心情の描写がうまい小川洋子節が堪能できる物語だと思います。

    57
    投稿日: 2024.07.15
  • 不気味

    アーケードの店側の人々とアーケードを訪ねる人々の物語。作者の作品らしく、それぞれが個性的で、癖があって、奇妙で、そして不気味。「最果て」という言葉が作品を表しているのかもしれない。

    0
    投稿日: 2024.06.08
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    ささやかな生活と、死 年を重ねて変わるもの、変わらないもの アーケードの住人になったような気持ちになる

    2
    投稿日: 2024.06.02
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    とあるアーケードを軸にした短編集。それぞれの話が絡み合って短編集全体として一つの作品となっている。何かをテーマにした短編集は小川洋子さんのよくあるパターンだが、それぞれの話が関連し合うというのは意外と珍しいかも。こういう個別の話はそれぞれで完結するものの全体として大きな話が流れてる、というのは連続もののTVドラマとかでよくある手法と思うが、1話ずつの長さがちょっと読むのにちょうどいい分量なのもあり、TVドラマを見ているような趣もある。 内容は小川洋子さん特有の現代のファンタジー。レースの切れ端、使われた絵葉書、義眼など、何だか美しくて儚い雰囲気がいい。特に以前読んだ『猫を抱いて象と泳ぐ』の空気感と似たイメージ、好きな人には堪らないと思う。また最後のエピソードもとても素敵。全体の儚さをまとめ上げるような役割で、これがこの作品全体の読後感を決定付けていると思う。 意味だけではなく、文章そのものが生み出す空気感を堪能できる小川洋子さん好きなら必ず満足のいく作品だと思います。

    9
    投稿日: 2024.04.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小川洋子はいつ読んでも小川洋子を感じられて安心する 会いに行った先で幸せに過ごしていることを願います

    0
    投稿日: 2024.04.19
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    【なぜだかわからんがずっと鞄に入れておきたい本】 なんだかわからない 特別感動したわけでもない 大好きな本になりました!てわけでもない。 可笑しさとかさみしさとか嬉しさとか いろんなものがしっくりきて心が落ち着く。 現実とひと続きの中にアーケードがあって でも絶対に存在しない感もある。 どんなに悲しくたって本はどっかへ行ったりしないから そっと鞄の中身のレギュラーになったっていいじゃない。 いつだって自分が求めればそこにいてくれる安心感を本に求めたっていいじゃない。 読み終わって次の日とか次の次の日とか すぐじゃないいつか 急にアーケードのことを思い出して泣きそう

    3
    投稿日: 2024.03.13
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    特殊で個性的な店が集まる世界で一番小さなアーケード。 配達係の女の子の視点でアーケードの出来事が語られる。 お客さんも個性的で面白く引き込まれる。 微笑ましさと物哀しさが同居した著者ならではの世界を堪能する。

    1
    投稿日: 2024.02.17
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    『薬指の標本』っぽい感じがする。 ある人にとってはどうでもいい、またある人にとっては大切なものたちを扱うお店が立ち並ぶアーケードのお話。 2023/02/03 22:22

    0
    投稿日: 2024.01.28
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    アーケード街大家の父親を亡くしたわたしが、お店を訪れるお客様と織り成す小さな物語。 どこかもの悲しい雰囲気のなかに灯る小さな光、お店それぞれの味わいがありました。 小川洋子さんの作品に漂う雰囲気は本当に独特。 穏やかで静謐な世界観。 レース屋、義眼屋、ドアノブ店、勲章店など、 「一体こんなもの、誰が買うの?」 という品を扱う店ばかりが集まってるアーケード。 買いに来る人は少ないけど必要とする人がいて、そんな人のためにお店がある。 お気に入りは、 *衣装係さん *百貨辞典少女 *紙店シスター 小川さんの作品は、個人的にやっぱり静かな環境でゆったり落ち着いて読みたい。 小川さんの文章表現がとても好き。 やっぱり良いなぁ。 アーケードの突き当たりの中庭で愛犬ベベと過ごす時間が愛おしい。 店主だけじゃなく、配達屋さんの思いも胸に響くものがありました。 小川ワールド堪能しました。

    5
    投稿日: 2024.01.06
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    『寡黙な死骸 みだらな弔い』以来に読む小川さんの短編集。 レース、使用済みのはがき、勲章、義眼等一見役に立たなそうな品物を扱う店が連なるアーケードと、そこに住む住人達と買い物客のエピソードを一つずつ丁寧に拾い上げた連作は寂しく、ときに静かな狂気を孕んで紡がれている。 どのお話も死や別れを絡むせいか、全体的な雰囲気が物悲しい。しかし、この連作の語り部である「私」はアーケードの大家の娘としてそこまで悲観的ではない。アーケードの配達係としてアルバイトをする彼女と、彼女の助手である犬のベベがかわいらしいエッセンスを仄暗い小説に加えている。 個人的なお気に入りは最初の「衣装係さん」と「遺髪レース」だった。

    1
    投稿日: 2023.12.21
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    (これを漫画原作にってのは無理があるでしょ…)(こなみ) こんなにも酒井駒子女史の装丁画が似合う小説もないな… 小川先生お得意のリアルさと非現実のバランス感覚を保った幻想小説 お父さんに会いに行って…しまったのかな…あの終わり方は… まさに小川洋子でござい、という連作短編みたいな長編小説だったな…。

    1
    投稿日: 2023.12.03
  • 昔、私がよく通った小さなアーケードも、不思議な閉鎖空間でした

     昔、私が通学や通勤に使っていた路線の途中の駅にも、結構距離の長い、古いアーケード商店街がありました。そこには勿論、普通の?のお店もありましたが、ちょっと入るのが怖い様な漢方薬のお店や、飲食店などがありました。また、本屋さんが3軒ありまして、その内の一軒は、古本屋と見紛うばかりの店構えであり、オマケに書籍の並べ方が無茶苦茶で、それがかえって面白く、よく通っていました。今は再開発で屋根を取っ払い、真ん中の道路を広くしたため、小洒落た店が建ち並ぶ明るい商店街になりました。しかし、往年のちょっと猥雑な雰囲気がなくなって、今一つ賑わいにかけるようです。  そんなわけで、この本のタイトルを見たとき、そのアーケード商店街を思い出しました。  本の内容は、どこか懐かしく、不思議な雰囲気を醸し出すものでありました。他の方が書いてあるレビューのとおり、読み終えた後、いつかもう一度読みたくなるような本ですよ。

    0
    投稿日: 2023.09.06
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    生と死の間にある小さな物語たちが、小川洋子さんにしか描けない優しく穏やかで静謐な、しかしときに冷たく曖昧な描写で淡々と紡がれていきます。 途中途中で感じられる違和感も、最終章で納得が行く形となりますが、まだまだ私が未熟なこともあって全てを理解しきれてはいないような気がします。とはいえ、全てを語らないのも小川洋子さんワールドという感じがして、なんとも魅力的でした。 きっと遠くない未来にまた何度も読み返すであろう特別な一冊に出逢えました。

    2
    投稿日: 2023.06.03
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    【好きなだけ窪みに身を沈めていられるよう、ただ黙って放っておいた】 「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まった小さなアーケードの話。 「私」も店主たちも登場人物がみな大切なものがあり、繊細だけれど芯が通っているため、発言の一つ一つにハッと思わされる。 短編集のようだが話に繋がりはあって、ただ時系列がバラバラ。しかし不思議と違和感がない。 作中に「それを必要としているお客さんが来るまで、わたしたちはいつまでも待った。」という一節があるが、もしかするとこの話の一つ一つが読者が必要とするタイミングで読まれるようになっているのではないだろうか。

    1
    投稿日: 2023.05.16
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    良かったです。 小川洋子さんの作品で今まで読んだ中では「ことり」が1番好きですが、同じ位大切にしたい本になりました。 いつも独特な世界観で中々感想を書くのが難しいのですが、この作品は読みやすく主人公の気持ちに触れ合えるような気持ちになれました。 変わらず不思議な世界です。

    22
    投稿日: 2023.02.25
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    全体を通して、静かなお話 ひっそりと、静かに、でも確実に、光の中に存在しているアーケードが浮かんでくる。 綺麗なだけでなく、少しの狂気なんかも含まれている。 結局「私」はどんな人物で、何歳で、生きているのか死んでいるのか、生きているなら何をして生活しているのか、そんなことがほとんど分からなかった。 どこか非現実的なで、偽物のようなアーケードだけど、本当にあったら行ってみたくなった。 親しい人、大切なものを失くすことへの向き合い方のひとつのヒントを教えてくれるような気がしました。

    0
    投稿日: 2023.02.03
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    切なく悲しい と紹介されていましたが、やさしさや暖かさも感じられました。 もやっと感も残りましたが、、、

    0
    投稿日: 2023.01.29
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    特に好きも嫌いもない作品 アーケードじゅうどこを見回しても死、死、死! 代謝と呼ぶのも憚られる死 なのになぜか適度に温かいのが不思議で不気味

    0
    投稿日: 2022.12.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公何で死んだん? こういうぼかしたラストって、そこばかりが気になって、ほかのいいところがぼやけちゃう。

    0
    投稿日: 2022.12.07
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    ノスタルジックなどこかにある不思議な店の連なる世界一小さなアーケード。 淡々と静かで優しい空気なのに、どこか寂しくなるような、そっと胸が詰まるような感覚が愛おしい。 その感覚のまま読み進めれば、最後には息を詰め、そして思わずため息をついてしまった。

    0
    投稿日: 2022.11.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「この世界では、し、ではじまる物事が一番多いの。し、が世界の多くの部分を背負ってるの。」という台詞で、死を連想して不思議な気持ちになった。生という漢字はたくさんの読み方があるが、死は1つしか読み方がないという話は有名だ。 どの短編にも切なさがあり、それらも日常として、アーケードに吸収されていく。特に父を、よりにもよって約束していた映画館で、火事で失ってしまうのは辛すぎる。ラストは不思議な終わり方だった。父の元に行くといいながら、雄ライオンのノブの暗闇に入っていく。その頃、人さらいの時計も止まっている。父と、アーケード、それらの思い出から一歩踏み出す。

    4
    投稿日: 2022.10.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小川洋子さんらしいこざっぱりした悲しみ?哀愁?ただよう短編集です どこかにある小さな小さなアーケードを舞台に主人公の『私』と様々な人のやりとりが描かれてます 私が遺髪レース屋さんに頼んだのはアーケードの過去から飛び出していく自分とのお別れの為だったのかな…と思いました

    0
    投稿日: 2022.10.02
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    大事な手のひらに握りしめた、他の誰にも見せる必要のない、ひとかけらの結晶があって・・・ と、いう一文が同じく小川洋子さんの蜜やかな結晶にあり、テーマは同じと思った

    0
    投稿日: 2022.10.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    優しさの中に喪失感、死の香りが漂っています。ここで売られているものは必要がなさそうだけれど、誰かにとっては大切なものばかり。自分だけの大切なものが誰かの手によって届くって素敵だな。「私」はこのアーケイドの商店街の人にお父さんの姿を見ているような気がします。そして人生そのものなのかもしれない。

    0
    投稿日: 2022.09.22
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    「紙店シスター」と「人さらいの時計」が好きだった こんな商店街があったら行きたい、というよりは この商店街の中の人になりたいと思った 登場人物は皆、一様に優しくて温かいのに、何故か物語全体は少し薄暗くて冷たい印象があって不思議な本だった。

    1
    投稿日: 2022.09.15
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    小さなアーケードで、 人々が少しずつ、それぞれの人生を重ねながら 今を生きている。 アーケードに暮らす登場人物それぞれについての部分は短編でも、小川さんの情景表現があれば、ずっと昔から知っているような、自分も何かしらの当事者のような、関わりがあるような、、 そんな不思議な気持ちになれます。 (衣装係さん)描かれているのは今の衣装係さんについてなのに、衣装係さんが歩んできた長い長い歴史に、ふと触れてしまった、たしかに生きていたんだと実感する感覚を味わえました。 ここに記されているのは、誰かの人生のほんの少しの期間でしかないはずなのに、それぞれの歩みや暮らし、それぞれの時代の姿や感情がすごく凝縮されていてとても贅沢な気持ちになります。 こんなにもリアルに想像できた上で どこか現実味のない、幻想的な空間を作り出せるのは何故なのか。 日本なのか海外なのか、時代はいつなのか、 小川さんの作品はそれらがわからない。 わからないのにまるでこの目で見たような気がする。本当に不思議です。 現実から一旦離れてもう一つの世界に没入したい時にぴったりです。

    2
    投稿日: 2022.08.24
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    酒井駒子さんの表紙のイメージもあって じっとりしたフランス映画を見ているような一冊だった しっとりじゃなくてじっとり 最果てのアーケードは…三途の川みたいな? 生と死の境目の…誰が生きていて誰が死んでいるのか??な不思議な話

    0
    投稿日: 2022.01.05
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    1人1人奇妙ながら物語があって小川さんらしい温もりとミステリアスで骨董品のほこりのような落ち着く本だった。べべとお嬢さんとお父さん、そしてアーケードの人たちが愛おしい。

    2
    投稿日: 2021.11.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ひっそり、という言葉がとても似合う。 生きている者と亡くなった者の境界がふわっと溶けていくような、不思議な空気が漂う連作短編集。一遍一遍を読み終わるごとに、ふと寂しさが迫ってくる。いつの間にか「私」がどんどん透き通っていく。

    2
    投稿日: 2021.09.08
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    アーケードを中心とした短編小説。 時系列がバラバラで1遍1遍は不思議な世界観だが、最後まで読んだ時にこの本の仕掛けがわかるちょっと切ないお話です。

    2
    投稿日: 2021.08.08
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    世界で一番小さなアーケードにやってくる人たちを描いた連作短編。 収録されている「百科事典少女」のタイトルに惹かれて購入。でも読んでみたら良かったけどちょっと思ってたのと違った。 エピソード的には「輪っか屋」の話が一番好みかな。

    0
    投稿日: 2021.07.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人との出会い、物との出合い。ほっこり、しんみり。近すぎず、遠すぎずの距離感。店の様子、全体像が思い描ける描写。店主とお客の会話、彼らの日常。あぁ、ここにはソーシャルディスタンスの言葉もマスク会食もないんだよなぁなんて思ったり。 私たちの日常はいつ戻るのだろうという現実に、ついこの間まであった日常にこの本の世界を少しだけ遠くに感じる。

    1
    投稿日: 2021.07.17
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    とにかく頭に映像が思い浮かぶ。読んだ人と一緒に同じような映像を想像してるのか絵に描いて突き合わせたりしたい。

    1
    投稿日: 2021.07.08
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    1日に客が一人も来ないようなマニアックな店が並ぶ、古い商店街。その商店街の大家をしている父と、老犬べべと暮らす主人公は、商店街で買われた商品を客の家まで届ける仕事をしている。古着から取ったレースばかりを扱っているレース屋に訪れた老女は、家で誰にも着られない舞台衣装を作っているという…。 同一主人公で同じ商店街を舞台にした、アンソロジータイプの小説である。商売にならないような、古いレース、誰かの手紙、ドアの取っ手、勲章といったものを売る、不思議な登場人物と接するところに生じる、割と軽めのストーリーがちょうどよい盛り上がりを見せる。 百科事典を売りに来た紳士に、その百科事典を最初から読みたがる少女、そして一言一句を丁寧に写す紳士など、純文学らしく、どういう商売で生活しているのかわからない人達が現れ、ゆったりとした人間関係を描く。 時々極端に言葉をいじくり回す、小川洋子らしい表現も素晴らしく、それでいてイベントや人間関係が深くなりすぎないため、読書の初心者が『博士』の次あたりに読むのも悪くないだろう。 後半までも、独特のテンションをキープしたままでストーリーは進むが、べべの老化にしたがって、進みはゆっくりと鈍化していく。読み終えるのがもったいないと思っていたのが、作者の策にハマったようにスローダウンしていくのが興味深い。 岩岡ヒサエの漫画(なりひらばし等)みたいだなあと思ったら、漫画化もされてるのか。しかし、ちょっとイメージと違った。

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    投稿日: 2021.06.15
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    不思議なお話。 すごく読みやすくて、世界観に引き込まれていった。 こんなお店があったらぜひ行ってみたいなー

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    投稿日: 2021.06.01
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    ここは、世界でいちばん小さなアーケード。 愛するものを失った人々が想い出を買いにくる。 小川洋子が贈る、切なくも美しい物語。使用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石……。「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まっている、世界で一番小さなアーケード。それを必要としているのが、たとえたった一人だとしても、その一人がたどり着くまで辛抱強く待ち続ける――。

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    投稿日: 2021.03.24
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    『アーケード』、それは”建物間を覆う屋根状の構造物”のこと。そして、そんな『アーケード』に覆われた商店街は全国各地に今も点在しています。そんな『アーケード』を想像する時、あなたはそこにどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?様々なお店に、様々な品物が並べられ、その横にはお客さんを迎え入れるお店の人が笑顔で立っている、そしてそんなお店にそれぞれの目的を持って訪れる人たちがいる。そこには、笑顔に溢れる人々の声が今にも聞こえてきそうな、そんなイメージが思い浮かびます。その一方で昨今ニュース報道されるように、様々な理由で寂れてしまい、シャッター街と化してしまった『アーケード』が存在するのも現実です。この世に永遠に存在するものなどないことを考えると、これはやむを得ないことなのかもしれません。 しかし、ここに時代の変化に関係なく、『「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかり』が集まった『アーケード』があります。多くの人々は『そこにアーケードの入口があることさえ気づかず通り過ぎてゆく』というその『アーケード』。この作品は、そんな『アーケード』で生まれ育った『私』と『アーケード』の日常が静かに描かれていく物語です。 『そこは世界で一番小さなアーケードだった。そもそもアーケードと名付けていいのかどうか、迷うほどであった』という『一様に古び』たその場所。『アーケードというより、誰にも気づかれないまま、何かの拍子にできた世界の窪み、と表現した方がいいのかもしれない』というまさにその場所で生まれた『私』。そんな『私が十六歳の時、町の半分が焼ける大火事があり』、『大家だった』父は『近所の映画館』で死んでしまったという苦い記憶。しかし『なぜかアーケードだけは屋根のガラスが割れただけで焼け残った』こともあって『ずっと変わらずそこに暮らしている』という『私』。『突き当たりに中庭があ』り、『飼い犬のベベと一緒に』、『中庭で長い時間を過ごす』という『私』。『お客さんの数はそう多くな』く、『大通りを行き交う人々のほとんどは』、『入口があることさえ気づかず通り過ぎてゆく』というそのアーケードでは、『「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まっている』こともあって来訪者が少なくても『仕方がなかろうと、店主たちは潔く自覚してい』ます。そんな『ある日、何の前ぶれもなく、誰かがアーチ形の入口に』現れ、『一軒の店の前で立ち止ま』りました。『ねえ、ちょっと。あの棚の一束、見せてもらえる?』とレース屋の店主に頼むその女性は『もう常連になって久しい老女』でした。『老女は昔、映画館の隣にあった劇場で長く衣装係をしていた女性だった』ことで、今も『皆彼女のことを衣装係さんと呼』びます。そんな衣装係さんは、麻紐で十字に縛ってあるその束を見て『他のお客に売ろうとして、私の目の届かないところへ隠したんじゃないだろうね』と『一人で愉快そうに笑』います。『いいえ。そんな…とんでもありません』と慌てて否定するのは『アーケードの中でも最も無口で、気の弱い店主』。『ここまで歩いてきた甲斐があった。これ、全部いただくわ』という衣装係さん。『かなりの量がございますから、ご希望の場所まで配達させていただきましょう。ここのアーケードにはちゃんと、配達専用の者がおります』と説明する店主に微笑む衣装係さん。そして『見事に晴れ渡った』翌日。『生地やボタンやリボンやもちろんレースが詰め込まれた荷物を抱え、衣装係さんの自宅へ向った。べべも一緒だった』というのは配達のアルバイトをしている『私』でした。『表札の隣には「舞台衣装研究所」の看板が掛けてあった』というその家に上がることになった『私』。そして…という物語。『アーケード』で暮らす『私』と『アーケード』を訪れる人々の日常が描かれていきます。 十編の短編が連作短編の形式を取るこの作品。何と言っても『アーケード』の独特な世界観の描写が何よりもの魅力です。『入口はひっそりとして目立たず』、『通路は狭く』、『ほんの数十メートル先はもう行き止まり』という『世界で一番小さなアーケード』。小川さんはその小ささを読者に印象付けるために、さらに『人々のほとんどは、そこにアーケードの入口があることさえ気づかず通り過ぎ』てしまうとまで書きます。アーケードが小さければそこにあるお店が大きいはずがありません。『天井は低く、奥行きは限られ、ショーウインドーは箱庭ほどのスペースしかない』とまで書く小川さん。『箱庭ほどのスペース』で何を売るんだ?とも思いますが、それを『使用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石…』と例示していきます。何とも微妙感の漂うマニアックな品物ばかりですが、一方で『それを必要としているのが、たった一人だとしても、その一人がたどり着くまで品物たちは辛抱強く待ち続ける』と小川さんは書きます。そして、さらにこれらが『窪みにはまったまま身動きが取れなくなり、じっと息を殺しているような品物たちばかり』であると表現します。この『窪み』という表現は全編で合計二十箇所に登場しますが、この作品における一つのキーワードとなっています。それは、この『世界で一番小さなアーケード』を象徴的に指す場合もあれば、『Rちゃんの重みが窪みになって残っていた』と亡くなったRちゃんの存在を重ね合わせたり、または『窪みを満たしているのはあくまでも静けさだった』というようにノスタルジックに捉えられたりもしますが、共通して言えるのは、『窪み』というものが喪失感の象徴とされていることです。この『アーケード』で売られているものは一見需要が限られ、そんなもの誰が欲しがるんだというものばかりです。しかし、その一つひとつを見ていくとそこにはひとつの共通点があることに気づきます。例えば『義眼』ですが、それを必要とする人は普通には限られるはずです。しかも『兎』の『義眼』となればなおさらです。それを小川さんは『死んだものの声は全部、目に閉じ込められるのかもしれない』。だから『皆、義眼を買いに来る』というように『兎夫人』に語らせます。また、勲章店では『勲章を買い取ることは、そこに潜むさまざまな記憶も一緒に引き受けるということ』と書く小川さん。これらに共通するのは、何かを失った人々が、色々な思いの詰まったそれら品物を入手することで、自身の喪失感を埋めていく、一方でそれら品物からすれば、入手してくれた人の手により『窪みにはまったまま身動きが取れなくな』った状態から解放されることになる。そんな風にそこを訪れる人にも、そこにあることで身動きが取れなくなっている品物にとっても前に進んでいくための一つの場として機能しているのがこの作品の『アーケード』なのかもしれない。そんな風に思いました。 そして、この作品の主人公であり、最後まで名前が語られない『私』。そんな『私』は、『アーケード』で配達係のアルバイトをしています。『配達する品物が発する小さな音を耳と両手で感じるのが』好きという『私』。これを『生まれて初めての労働で得た、一番の収穫だった』とまで言い切る『私』。十六歳の時に映画館の火事で父親を亡くした『私』は、『アーケード』を離れることなく『アーケード』とともに生きてきました。そんな『アーケード』で売られる品物。上記したとおり、それらは色々な思いの詰まったものの象徴でもあります。そんな品物の側に立ってその気持ちを考えてみる時『自分を必要としてくれる人の元へたどり着けるのが待ち遠しくてならないという、品物たちの喜びの声』を聞く『私』はとても満たされた気持ちになります。『その声が自分の掌の中にあると思うだけで、誇らしい気持ちになれた』という『私』。それは『アーケード』の大家として『アーケード』を守ってきた亡き父の思いにも繋がるものなのだろうとも思います。この世に永遠に存在するものなどありません。それは物であっても命であっても同じことです。それ故に、人はどうしようもないほどの喪失感に苛まれる時があります。そんな時にその『窪み』を埋めたいと願うのは自然な感情の発露だと思います。そして、自らの心の『窪み』を埋めるために『アーケード』という『窪み』を訪れ、そこに嵌まり込んでいるものを拾い上げ、それによって自らの心の『窪み』を埋めていく。そして、そんな『窪み』を埋めるための品物を運ぶ仕事に喜びを見いだす主人公の『私』という図式。乱暴に扱うと壊れてしまいそうな、繊細な感情の世界の物語。『読者の中に物語が入っていった時、言葉の意味を言葉として受け取るのではなく、映像にしていただけると、文字で書かれていないことまで伝えられるのではないかと思います』と語る小川さん。優しく繊細に綴られる品物たちの姿を思い浮かべる時、そこには品物たちに宿る美しい記憶の数々を垣間見ることができたように感じました。 『「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まっている』という『アーケード』。そこには『いらっしゃいませ』という一言でお客さんをねぎらう人たちが営むお店がありました。『はるかな道のりの果て、ようやく求めるべき品に巡り合えた彼ら』、そして『窪み』の中で彼らの訪れをじっと待っていた品物たちとの出会いの先に、解放感に満たされた人々の笑顔がありました。 「最果てのアーケード」という書名から抱く寂しさの極限の感情が先行するこの作品。乱暴に扱うと壊れてしまいそうなその絶品の表現の数々。その中から浮かび上がる静かな死の世界の前に、優しく、柔らかく、そしてほんのりと温かく燃える炎の揺らぎを感じた、そんな小川さんらしさに包まれた作品でした。

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    投稿日: 2021.01.18
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    昔moonってRPGのゲームがあってそのゲームの街のなかの人たちはそれぞれに役割があって毎日毎日それをこなしながらも実は自分だけの物語を持っているっていうナラティブなRPGだったんだけどそれを思い出した。アーケードという箱庭の中でそれぞれの店主たちの役割とちょっとした物語。それは彼らにとっての日常で読んでいる僕らにとっても他愛のない出来事なのだけどだからこそ語られることのない出来事、それに触れられて生きている実感がした。

    0
    投稿日: 2020.12.02
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    悲しみとあたたかさに包まれたお話。 どんなものも思いを大事にするって素敵。 世界観はいい、けど、これでは生活できなそうって現実的に思ってしまった。

    1
    投稿日: 2020.07.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界で一番小さなアーケードで生まれ育った女の子が主人公の連作短編集。 ‪どんなに古びた物でも、どんなに小さな物でも、それらが辿ってきた記憶すべてに価値があると思えてきた。贈り物として人と人を繋ぐこともできる。ひとつの物を通して同じ景色を見ることだってできる。そして誰かにとっては大事な唯一の愛だったりするから。‬ ‪優しく待っていてくれる居場所として、このアーケードのように存在し続けてほしい本です。‬

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    投稿日: 2019.12.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この世とあの世の端境にあるような小さなアーケード街。 そこで扱う品々の多くは、人々の思いや記憶が染みついた品々。 儚さと切なさをまとったそれぞれの物語があって、エンディングでは少女も父の元へ帰っていく。 小川洋子さんの放つ独特の世界観が堪能できる私好みの秀作でした。

    0
    投稿日: 2019.10.12
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    幽霊とか妖怪とか出てくる不思議な世界のアーケードのお話なのかと思いましたが、その点は現実の寂れたアーケードのお話でした。が、やっぱり不思議な空気感でした。終わりが似合う、夜になる前の夕暮れ時の淡いぼんやりとした雰囲気というか。なんでそんな感じなのかは、読み進めるとわかるのですが。夜寝る前に一遍ずつ読みました。

    0
    投稿日: 2019.09.03
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    ーーーーーーーーーーーーーーー 「いらっしゃいませ」 あたりの静けさを決して破らない声で、 店主は言う。 世界の片隅にひっそりとたたずむアーケード。 そこは愛するものを失った人々が、 思い出に巡り合える場所。 小川洋子が紡ぎ出す、 生と死のあわいにある夢の時間。 ーーーーーーーーーーーーーーー 仕事柄、心がざわつくことが多くて、 毛羽だった気持ちとか、興奮しているときのお昼休みに 一編ずつ読んでました。 すこし不思議で、すこし切ない。 なにかを失っていたり、欠けたりしてるんだけど、 それがバランスを保っているような話ばかり。 読み終わったあとは、やさしい気持ちになる。 読後感の良い一冊です。

    0
    投稿日: 2019.08.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    使用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石…。「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まっている、世界で一番小さなアーケード。それを必要としているのが、たとえたった一人だとしても、その一人がたどり着くまで辛抱強く待ち続けるー。 初期からずっと読んでいる小川さんの本。
今回も、言葉や想いが閉じ込められた「モノ」がとても魅力的。
人形の眼、古い絵葉書。
遺髪レースとかちょっと怖いけど素敵。本当にあるのかなあ。
ただキラキラしてるだけじゃなくて、ちょっと埃っぽいイメージなのもまた良い。 最後はああそういうことか、と納得してちょっと切ない。 ドアノブ屋さんの、隙間がいいなあ。欲しいです。

    0
    投稿日: 2019.03.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この小説に出てくる人たちはひっそりと、そして淡々と暮らし、どこかでだれかの支えとなっている。生きているあいだにできることは、そう多くはない。けれど、少ないわけでもない。そんなふうに思わせてくれる物語が集まって、この小説の世界ができている。(解説より)

    0
    投稿日: 2019.03.23
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    面白かったです。 世界の最果てにある古びたアーケード、行ってみたくなります。 世界の片隅に本当にありそうです。文房具屋さんに一番行ってみたいです。 義眼屋さん、レース屋さんと遺髪レース編み師、ノブ屋さん…どの店主もひっそりとしていました。 主人公も、つかみどころがなくてひっそりとぼんやりとしていました。何歳かもわかりません。 ラストのその先を考えてしまいます。遺髪レース編み師さんに自分の髪を渡していたので、主人公はきっと…とは思いますが。 雄ライオンのノブの奥の暗闇、わたしも入ってみたいです。

    0
    投稿日: 2018.10.13
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    これは面白い。 気になっていた作家だけれど、これほどまでに好みだったとは。 本の中全体に広がる怪しさ、美しさ。 ものを売る、買う、運ぶ、そこにあるのは生きた感情だと思うのに、何故か生き生きとした感じがない。 あるお店もあるんだけど、どちらかというと終わりにするためにやってきて、何かを買っていくような。

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    投稿日: 2018.08.08
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    クエイ兄弟の映画「ストリート・オブ・クロコダイル」の、淡いカラー版。 カバーが酒井駒子だったので手にとって、そのままするすると読んでしまった。ドーナツのポーズ、認めてあげられたらよかったのに。

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    投稿日: 2018.07.21
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    サヨナラだけが人生さ。 ただし「サヨナラ」はゼロではない。 手のひらからこぼれていくのをただただ見ているしかない、こぼれていくものはたただた美しく愛おしい。あかぎれだらけの手のひらにしみいる。 こぼれていくもの以上に私が存在をつかめなかったのは、大家さんの娘である少女でした。 追記)解説を先に読んではいけない

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    投稿日: 2018.02.26
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    大衆文学寄りの小川洋子作品。漫画化されたものも読んだことがあるけど面白かった。小川洋子は、名前にRがつく人物を多く登場させる。

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    投稿日: 2018.02.08
  • もう一度読みます。

    ほんの一歩、本通りを入ればある寂しげな、人のあまり寄りつかない様なアーケード。 並ぶお店も、「そんな商売ないでしょ」と思えるほどの奇妙なものばかり。 それなのにお客さんはちゃんと来る。 そしてドラマがある。 所々ににおわせるキーワード。 あぁ、ソッチ系の話なのかなぁ、、と思いつつ読む。 なかなかハッキリと明かさない、違うかも。。 そして最後は。。。 これ、もう一回読みます。 散りばめられた、見逃したヒントが沢山ありそうです。 この少しノスタルジックな世界感が好きなら、楽しめるんじゃないでしょうか。 ノスタルジック系でも、少し好みの世界感とずれてたので、星1つ減。

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    投稿日: 2017.12.08
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    まぁいかにも小川洋子の世界が満喫できますが、ちょっと印象が弱いかな、個人的には。アーケードという設定がネガティヴに働いてしまった感がある。枠組みに囚われてしまって自由さを失ってしまったというか。 でも死の匂いが静かに漂う独特の空気はしっかり味わえます。

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    投稿日: 2017.09.18
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    「紙店シスター」が好きでした。 「百科事典少女」のRちゃん、「この世界では、し、ではじまる物事が一番多いの。」のフレーズが意味深に感じる一冊。

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    投稿日: 2017.08.02
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    不変の小川ワールド。 ただただ静か。 雑用係のお祖父さんの手紙、遺髪レースの赤ん坊のところは、ほろっときた。 最後のお父さんの焼死から見えてくる物語の構造。結構、入り組んでいる。

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    投稿日: 2017.05.22
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    世界でいちばん小さなアーケード。そこに並ぶお店と客を描きながら紡がれる物語。使い古しのレースの端切れを売る店の客は、劇場の衣装係さん。この衣装係さんを皮切りに、使用済みの絵葉書を売る店、ドーナツ屋、義眼屋、ドアノブ屋などなどが登場します。語り手はアーケードの配送係の女性で、かつアーケードの大家の娘。大家は火事ですでに亡くなっています。いずれの話もノスタルジーを感じさせ、読み手のイマジネーションを膨らませる逸品。特に、ライオンのドアノブの向こうにある「窪み」に埋まる話が好きでした。大家だった父親と彼女の身に何が起こったのか、最後にあきらかになるシーンは切なくてたまりません。この世界観、大好きです。

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    投稿日: 2017.04.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どこか幻想的なアーケード。 1話1話心に沁みる小噺。そして抒情感溢れる終幕。 「この世界では、し、ではじまる物事が一番多いの。し、が世界の多くの部分を背負ってるの。」 物語の途中から薄々気付いてはいたけれど・・・ 心に残る名作です。

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    投稿日: 2017.04.21
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    義眼屋、古着のレースだけを扱うお店、ドアノブだけを売るお店、、気付かれないような小さなアーケードに育った少女の目線で、不思議なお店、不思議なお客さんの物語が描かれている。ゆったりと暖かな空気感の中に、死の気配が濃厚に漂っている静かなお話たちは、とろりとした液体みたいに読み手を充たしてくれる、読んでいてとても幸せな小説だった。 20〜30ページのお話が10個、続いて行くこの小説の なかでも「紙店シスター」が好き。 「手紙」のもつ特別感や送り手の思い 療養所の雑用係を続けるおじいさんに届く手紙 「さあ、目を開けて。何も怖くないよ」 ===以下気に入った部分、一部引用 百冊ほどの本と魔法瓶に入ったホットレモネードが用意され、アーケードのお店の人レシートを見せれば誰でも好きなだけ利用できる仕組みになっていた。p39 私はRちゃんの声が好きだった。それはこぬか雨のようにひっそりとして、落ち着きがあり、路面電車の音にも店主たちの「いらっしゃいませ」の声にも乱されず、ひたひたとアーケードの中を満たしてゆく。p47 「大変?」 「いや、そうでもない。もう四十年近くやってる仕事だから」 「ずっとここで?」 「そう、ずっと、ここで」 「飽きない?」 「今のところ、大丈夫みたいだ」p119

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    投稿日: 2017.04.02
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    ブログに感想載せました http://blog.goo.ne.jp/luar_28/e/9e46960d941cf437552b0b35abccb2da

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    投稿日: 2017.02.24
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    世界でいちばん小さく、目立たないアーケード。 誰が一体買うのだろう?という品物が、それをまさに必要としている人と出会うまでひそやかに静かにじっとたたずんでいる様子や、プライドをもって丁寧に大切に仕事をしている店主たちの姿が、つつましくも確かに描かれていてひきこまれる。 そして、アーケードの配達係である「私」。いろいろな年代のときの「私」、「私」が経験するエピソード、それらはときにあたたかいけれど、ときに狂気も感じられてひゅっと背中が寒くなることも。 小川洋子さんの作品は、舞台が外国なのか日本なのかが明らかにならず、なんとなく異国情緒を感じながらも懐かしいような不思議な感覚がする。

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    投稿日: 2016.10.16
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    ある人にとっては大切なもの。でも、他の人にとっては何の価値のないもの。そんなものたちを商品として扱う、世界で一番小さなアーケードが舞台。 解説の蜂飼耳さんの言葉のように、ささやかだけど自分の分身のようなものを、大切に空き箱や空き缶に取っている人には、とても魅力的なアーケードだろう。私もその一人。久しぶりに自分の宝箱を開けたくなった。

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    投稿日: 2016.10.07
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    この本を読んで「ジャワマメジカ」に興味を持ち 上野動物園に見に行きました。 まっくらやみの中で暮らしていました。

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    投稿日: 2016.06.21
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    小川洋子作品の中で、『薬指の標本』をよく覚えている。本作も、そういう系統の本かと思い、手に取った。 一言でいうと"喪失"の物語、だろうか。 使用済みの絵葉書、義眼…誰が買うの?という品を扱う店ばかりが集まるアーケード。品を必要とする人以外には、忘れ去られてしまったかのような場所で、誰かの思い出を慈しみ、静かに生活する人々。 品物に秘められた物語だけを各章で綴っていくような、そんな単純な作りではなくて、各章を重ねる中で、そのアーケードに暮らす人の息遣いが静かに聞こえてくるような作りになっているのがよい。 "私"の飼い犬、べべがとても可愛らしい。 そんなべべも、"私"が成長するにつれて年をとり、アーケードにならぶ品物と同じように、そこを訪れる人々、流れる時間をゆっくりと見守っている。

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    投稿日: 2016.05.08
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    世界で一番小さいアーケードで見つけた心に沁みる物語です。「レース屋」「義眼屋」「ドーナツ専売店」「紙店」「ドアノブ専門店」「勲章店」があって、一番奥には中庭と1Fが読書休憩室、そしてその2Fにアーケードの大家さんとその娘が住んでいました。娘は、愛犬ぺぺと一緒に、それぞれの店の品物をお客さんの自宅に配達する役目を担ってて、この物語の主人公です。表紙の三つ編みの少女がそうです。短編10話、それぞれが微妙につながってて、何とも言えない味と余韻を醸し出しています。「輪っか屋」と「百科事典少女」特に良かったです!

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    投稿日: 2016.04.15
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    レース屋さん、義眼屋さん、輪っか屋さん… 最果てアーケードの店主たちと、そこに訪れるわけありのお客さんたち。 主人公の生まれ育ったアーケードのひっそりとした懐かしい空気にひき込まれ、最終章で涙が出そうになった。 どんなに時が流れても、悲しみを癒すことのできる静かな場所がここにはある。

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    投稿日: 2016.04.03
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    【蘇鉄の実に群がる紫のヤドカリ】 たとえば、本に最初から挟まれている栞にハンプティ・ダンプティの一節が書いてあって、見つけたそのときは少し意識を向けてもすぐに忘れてしまうだろう。 凄く明確に覚えていることがあるのに、輪郭があやふやで、現実に本当にあった事を証明できない事がある。 死を認識できない人が居るように、生を認識していない人も居て、その人は酷く淡い色でそこに確かにいる。何をするでもない、思い出を水につけてふやかしている。

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    投稿日: 2016.01.27
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    タイトルから寂れた商店街を想像したが、ドーナツ屋さんはじめ、意外とお客さんが多くて驚き。ここに出てくるような、小さいけれど○○についてならお任せあれ的なこだわりのお店ってすてきだ。

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    投稿日: 2015.11.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上演されない舞台の衣装をつくりつづける女性、一種類のドーナツを毎日焼き続ける男性、遺髪でレースを編む女性…… どれもちょっとずつ壊れていて、さみしくて、でも物と人に対する慈しみのようなものを感じました。慈しみ。これは小川洋子さんの作品に一貫してあるもののような気がします。といっても、まだ、氏の本を読むのはこれで4冊目なのですが……。短編連載という形で、なかでも読みやすい一冊だったなあと思います。ただ、女の子の生存についての描写が意味深で、しょうしょう、消化不良です。お父さんが亡くなってしまったこともかなしいし……。なんなんだろうなあ。一気には読めませんでしたが、ある程度毎日読みました。生活していて、ふと読みたくなる瞬間があるように思います。

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    投稿日: 2015.09.28
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    アーケードという名の三途の川.幼くして亡くなった少女が,短いながらも充実した生を振り返るかの如き世界観.何がその人の生を形作り,転機を与えるかは,決して高価であるだとか,有益であるだとか全く関係なく,他人には理解できない.その人だけがその人の生を肯定できるのだ.

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    投稿日: 2015.09.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小川洋子の作品は静かなものが多い。穏やかな日常の中に、さざ波程度のイベント。なんだか夢の中にいる気がした。朝も夜もない、薄暗いような雰囲気は独特。

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    投稿日: 2015.09.14
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    小川さんの作品には、どこかの深い森の中の透明度の極めて高い湖底で演じられる物語のような雰囲気があります。透明だけど片隅はどこか薄暗く、ゆったりと静かな。 主人公は動き語っていても、決して跳ねず叫ばず。ただ沈み込むようです。この独特の雰囲気が素晴らしく、大きな展開がなくともその世界に浸ることができます。 どこかにありそうで、でもどこか幻想的なアーケードを舞台に描かれる短編集。「物語」という言葉が本当に似合う作品です。 それにしてもよく死ぬ。私より先に手にとった家内は、あまりの死者の多さに挫折でした。

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    投稿日: 2015.09.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アーケードにある専門店の店主たちと、配達係をする「私」とお客さんたちの話。少し物悲しくも懐かしい感じがして、こういうアーケードがそばにあったらなと思わせる本。

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    投稿日: 2015.09.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    さびれたアーケードを舞台にした連作短編集。 死に関わった話が多く、連作のテーマとしても死を連想してしまう。いずれの話もほんわかとした温かみは感じるものの、展開が唐突すぎてついて行けないところが多く、十分には楽しめなかった。

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    投稿日: 2015.08.31
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    久々に、読み始めの文章からドキドキしました。なんて魅力的!なんて刹那的!読み終わるのが寂しくて仕方ないのは、いい本の証です。

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    投稿日: 2015.08.26
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    世界からポツンと取り残されて、時間が止まったようなアーケード。この人もこの人も本当はもういないんじゃないかと少し怖くなったりする。優しい人達。なのに狂気。

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    投稿日: 2015.08.25
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    小川さんの書く物には、どこか、儚く、美しく、母の胎内で眠っていた頃のような、生と死の合間に漂う静けさのようなものが宿ってる。 この物語にも、濃厚に、その空気が漂っている。 すべてを受容するどこまでも静かな世界。

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    投稿日: 2015.08.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編連作形式。 全編を通してとても静かで、どこか「死」を感じさせる厳かさを感じさせる。 古びたアーケードの店での話なのだが、なんでもない顧客の人生を垣間見るお話だったり、店主自身の話だったりと、大きな事件は起きないが引き込まれる。 個人的な好みとして、ラストはちょっと寂しすぎるけれど。 (べべが切ない)

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    投稿日: 2015.07.24
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    題名通りな寂れた不思議な商店街。 ふんわり、それでいてしっとりしてる感じ。 温かさと切なさが同居しているような。

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    投稿日: 2015.07.23
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    死、別れ。 最果てアーケードに飾られた品物が過去に残してきた事柄をよみがえらせる。 夕暮れ時の傾いた陽の光が、時折、思いがけなくきらめく。 変化に耐えて、最果てアーケードにはまだ夕暮れの静かな時が流れているであろうか? それとも、最果てアーケードに流れる時は止まったのか?

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    投稿日: 2015.06.27
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    小さな路地の片隅にある日常。 そこにしかない日常。 静かな時間を見つめ、 穏やかなひとときを過ごす。

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    投稿日: 2015.06.21
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    アーケードの店主たち。訪れる客。 誰かの思いや誰かの気配がずっと この世界の片隅の窪みには満ちている。 読み始めてなかばで 誰も触れていないものの気配が濃くなり 少しずつ私の心に 哀切といったようなものが忍び込んできた。 死と、それを受け止める生者の思い。 生と、その世界を充たす死者の気配。 分かち難いもの。別れ難いもの。 たくさんの人たちの濃密な思いに 私の心もまたこの世界を去り難かった。 だが私は読み終えた。 二度とあそこには戻れない。 人さらいの時計はもう動かないのだから。 胸をきゅーっと締め付けられるような そんな気配に満ちた ぼやけた輪郭の世界でした。 小川洋子さん、さすがです。 さらりとした狂気が 人の世界にとけこんでいました。

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    投稿日: 2015.06.07
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    10分くらいで読み終えることが出来る短いお話が10編。仕事帰りの電車の中で1話ずつ読む。 ステンドグラスで飾られたアーケードにあるお店とそこに行き交う人たちのお話。 とても静謐で美しい文章で全編が貫かれ、随所にホッと静かに感嘆するような表現が鏤められる。 2つ目のRちゃんとそのお父さんのお話と8つ目の遺髪レースのお話が良かったな。 本当に遺髪でレースを編む職人さんが存在するのだろうか、とても不思議。 最後の2話。ひとときの邂逅、永遠の別れ、父の思い、老いへの不安、生への思い。 大仰なことは何も起こらないが、ひたひたと打ち寄せる波のようにじんわりと心に沁みてくるようなお話。

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    投稿日: 2015.06.05
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    ひっそりとした世界の窪みのようなアーケード。店々に並ぶ使用済みの絵葉書、義眼、徽章、ドアノブなどが、お客が来るのを待っている。 小川洋子の作品は「何かを失なう物語」という印象があります。今作も「死」がここかしこに満ちています。商品自体、過去誰かが所有していたものが多く、剝製のための義眼や遺髪を用いたレースは死に直結しています。 主人公の少女は友と死別し、母を病気で亡くし、父を火事で亡くします。そして少女自身も生のあいまいさを感じるのです。生と死をつなぐものとして品々があり、店主は生と死をつなぐために客に売り、少女は商品を運び生と死をつなぎとめる。そんな生死のあわいを表す場所としてアーケードは、ひっそりとしながらもこれ以上ないくらい存在感を示しています。

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    投稿日: 2015.05.28
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    死をテーマにした、とあるアーケードの人達のストーリー集。どれも切なかったですが、小川さをの作品は、誰か(何か)を無条件に愛する表現がうまいなぁと思います。主人公にプレゼントをもらったときの父親の描写が愛おしくて涙がでそうでした。

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    投稿日: 2015.05.24
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    ☆3.5 解説は、あらすじがかなりのっていて ネタバレはないものと思っていたし ネタバレの場合は先に書いて下さるものと思っていたので 先に解説から読んだら読む気が失せた この人の解説は今後、どこで見かけても読まないことにする 小川さんと親交がない人なのか、あらすじばっかり 最後の数行だけ自分の気持ちを書いてある 今時、小学生の感想文でもこんなにあらすじ書かないよ 文字数埋めるために、せっせとあらすじ書いたって感じ

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    投稿日: 2015.05.23
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    こうした作品に出合えるたびに、まだ文学は大丈夫だと安心することができる。 最後の一行に胸をつかれた。

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    投稿日: 2015.05.23