
総合評価
(722件)| 318 | ||
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人間があらゆる自然を制御出来るようになった世界の話。 最終的に己の自然的要素である意識をも排除してしまうようになるる、という展開には単なるフィクションと思えない説得力があった。例えば、非リアルのマネーで取引するなどお金のあり方が変化していたり、生命を扱う実験が飛躍的に進歩したりと、倫理観が刻々と変化しモノの境界がグラデーションになっている。そんな社会の延長線上にこの作品の世界がある気がしてくる。人間の発展は受け入れながら、この作品と違う世界にするには我々はどう行動すべきなのだろうか。。。
0投稿日: 2018.06.02
powered by ブクログ伊藤計劃の最後の長編。世界観に入り込むまでは時間が掛かるが入り込めば読みやすい作品。基本的に伊藤計劃はメタルギアシリーズの小島秀夫の影響が強くこの作品にもスナッチャーやポリスノーツの影響が窺える。そういった作品を知っているともっと伊藤計劃の作品を楽しめる。
0投稿日: 2018.01.06
powered by ブクログ伊藤計劃氏二作目の、そして最後の長編小説。 「METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS」を二作目と数える方もいらっしゃるだろうが、あれはゲームのノベライゼーションなので、あえて省きます。 前作「虐殺器官」の感想に僕は「僭越な言い方を許してもらえるのならば、良い意味でのアマチュアリズムに溢れているように思える」と書いたのだけれど、今回も僭越な言い方を許してもらえることとしてこう書きたいと思います。 「非常に文章がしっかりしてきて、上達したなぁと思った」と。 本当に僭越な言い方(書き方、か)なんだけれど、読み進めていくうちに、「上達したなぁ」という印象はどんどんと強くなっていった。 けっして「こなれてきたなぁ」ということではなくて。 今回の話は「虐殺器官」以降の世界(ただし、「虐殺器官」を読んでいないと判らない、といいうことではない)。 前作でアメリカはメチャクチャになり、国家としてのアメリカは消失。 その後、大規模な福祉厚生社会が築かれ、殆どの病気は駆逐された。 優しさや思いやり、倫理観があふれ出ている、まるでユートピアのような世界。 だが、果してこれは本当のユートピアなのか……といった感じの話。 僕は前作よりもSF的なものを感じた。 そして、前作と同じように、世界感、哲学的とも思える思想、そして作品の構成まできちんと論理立てされている。 そしてロジカルになりすぎることによる息苦しさは全く感じられない。 難しくなりそうな内容を、簡単にどんな人にでもきちんと理解出来る文章で書き表してくれている。 良く言われることだが、簡単なことを難しく言うよりも、難しいことを簡単に表現することの方が難しい。 この作品はまさにその難しいことをやり遂げているように思える。 それにしても、本当に面白い。 前作「虐殺器官」も充分に面白かったのだが、本作はそれ以上に面白い。 本編のラスト、その後のエピローグ。 僕はこの関連がとても印象深かった。 ネタばれになるので詳細は書かないが、仮にエピローグなしで本編のみで作品が終わっていたら、とても心情的で切なく悲しい作品になっていたと思う。 本編のあとのエピローグの存在があることで、シニカルでダークで、一種ホラーじみた読後の印象を残すような作品になったように思う。 このエピローグは、論理的な作品を書いてきた伊藤計劃氏の面目躍如的な存在なのかもしれない。 また、このエピローグによって、本編全体を貫いている仕掛けの謎も明かされる(だから、間違ってもエピローグから本書を読んではいけない)。 本編ラストを簡単に言い表せば「少数の人間の死によるハッピーエンド。心情心理に溢れた美しい風景」。 本編ラスト後のエピローグを簡単に言い表せば「多くの人々の命が救われるダークエンド。あくまでもロジカルで冷やかな風景」。 こんな感じだろうか。 いずれにしても、極上のエンターテインメント作品だと思う。
0投稿日: 2018.01.04
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なかなかハードで強烈な描写もあるのに、ナイーブで繊細な香りがした。感情を表すMarkup言語というアイディアも面白く、一方で何だか居心地が悪い様な、登場人物のミアハやトアンに共感しきれず、でも先が気になって止められない。途中から予想していた結末とは違って、最後はそう来たかあ!という感じ。 ミアハのしたかったこと、ハーモニーの目的、理由は予想を越えて、斜め上の展開だった。ミアハ本人が言った理由は本当の理由なのか?生き苦しくて自死を選ぶ人がいないようにするって本当に?そのためにキアンを殺したのか?というかキアンが自死することになったのは、本当にランダム、たまたまなのか?たまたま選ばれ、たまたまトアンの前でって、できすぎでしょう。口にしている理由が本当とは限らないということか? 「意識の消失」というのが、なかなか想像つかなかったが、読書会で「昆虫社会」のようなと言われた方がいて納得。生活はできて社会が回って、でも意識、感情は個々にない状態か。 作者の境遇を知ったうえで読み返すと、闘病生活の中で誰よりも死を近くに見ていたであろう作者のヒリヒリするような感情が伝わってくるようでもあった。すごく面白い本と出会えた。もういらっしゃらない、もう書いていただけないのは本当に惜しい。
0投稿日: 2017.12.23
powered by ブクログまた少し感触の違う作品だけど、タッチの割に深い。そういう印象を受けました。文学の最先端はSFにあるのかもしれない。外殻はSFをまとってるのかもだけど到達点や広がりという点でも相当の作品だと思う。作者が亡くなってしまったというのは残念。伊藤計劃は国産SFを見直すいいきっかけになったと思います。
0投稿日: 2017.12.18生きていれば日本の当代最高のSF作家の作品に
虐殺機関の世界線から延びるディストピアSFの到達点でしょう。 例の国が崩壊した世界観というのは、日本人の嗜虐心と極めて危険な表現の限界ではあります。 この作者の作品は素晴らしいが、ディストピアSFを何冊か読んだ後で読むことをお勧めする。 純粋なくらいに悪意にも善意にも満ち溢れた世界に! 人類のハーモニー…。 既に技術的に可能なのが背筋を震わせます。 伊藤計劃、暗殺されたののでは、とか少し真剣に考えてしまいます。 星5つ。
0投稿日: 2017.11.02
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誰もが一度は感じたことのあるような<自分が健康であることを他人や社会に要求される違和感>とか<かつて身近だった色々なもの(人間の病気や生死、食べ物や排泄物など)が近代化以降どんどん外部化されて見えなくなっていった事>や<人の好意や思いやりが時に過剰に感じて鬱陶しくなる>…といって身近な問題たちを、SF的に突き詰めていって一枚の絵に描ききった感がある。 小説としての不満点は多々あれど(賢かったはずの主人公が終盤で答えをほとんど明らかにされてるのに全然気付かないとか、実際意識が消えると何がどう変わるかの記述がほとんどなくて人類補完計画的な何かとしか見えないとか、このチョー個人的な結末はどうなのとか…)、それ以上にイロイロなアイデアが詰まったおもしろい一冊。
0投稿日: 2017.09.18
powered by ブクログ伊藤計劃、ハーモニー読了。 最後まで読むのをやめさせてくれなかった。 いつもながらの意識の有無、個別性みたいなテーマもさることながら、本書の設定ではある意味自明ですらある最後の社会の決断に、人がなかなか決断できないことののジレンマを感じた点が面白かった。 他の本では感じられた終盤での息切れ感もなく、最後まで非常に研ぎ澄まされた感じ。 また、伊藤計劃にやられたっす。
0投稿日: 2017.06.16
powered by ブクログB913.6-イト 300227840 春の新生活応援コーナー特集のおすすめ図書に、ご紹介とコメントをありがとうございました!!
0投稿日: 2017.04.26
powered by ブクログ文庫版で再読。 やっぱり凄い面白かったです。 文章中に挿入されている、ソースタグの意味に気が付いた時に衝撃が走ります。
0投稿日: 2017.04.25
powered by ブクログ人の感情調整への疑問を真っ向から突き付けてくる。確かに平和や秩序維持は大切だが、行き過ぎてしまうのも怖いものだな、と思った。
0投稿日: 2017.03.30
powered by ブクログ友達から本を借りると、自分では選ばないような本も読めたりして、たのしい。 半分過ぎたあたりから面白くなってきて、止まらず読んだ。 映画は見てないんだけど、確かに映像が目に浮かぶ感じの作品。映画ばえしそう。 意識のない天国。 自分という意識、魂。 究極の調和。 ありえたかもしれない未来のオハナシ。
0投稿日: 2017.03.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
映画を観て。 ラストのセリフで、あ~、あのCMのヤツか、と。 あのCMを観て、内容を正しく想像出来た人はいるのだろうか。。??? エヴァの「人類補完計画」 戦う司書の「人間が死ぬと、その魂は『本』になる」世界観 サイコパス。。 と色々関連付けて思い出しだが、 本で読むと情報量アップでまた違った印象に。 キリスト教の暁の子ルシフェルの強制や 『シッタカブッタ』の幸福と不幸を思い出したり。。 管理され尽くした世界は楽だけれど、成長も無くなりそうだ。。 近未来的だけれどすいすい読める文体。 ミァハという少女がとにかくキーで、 でっかい出来事の発端は一人の人間だったりするのだよなぁ、と改めて。 本好きな少女なので、いくつか引用したりして、物事の考え方をそうとるか、と面白く感じたりも。 作者お亡くなりになっているそうで、新たな作品が読めないのが残念。。。 決して押しつけがましい感じでなく、作者の捉え方、思想を感じられるのでもっと色々読んでみたかった。
0投稿日: 2017.03.02
powered by ブクログ「優しさ」と「思いやり」に満ちた病気が駆逐された世界で、とてつもないユートピアに見せかけたディストピアな世界のSFだった。映画観た人も観てない人もぜひ。私はこの世界では生きたくない。
0投稿日: 2017.02.26
powered by ブクログ伊藤計劃氏のオリジナル長編第2弾にして遺作となった作品。 精巧で緻密に練り上げられた世界に驚かされる。「大災禍」後を退廃した世界ではなく徹底管理された幸福な世界として描き、そこに訪れる綻びから物語を発想させる才能は素晴らしい。 ひょっとすると人類が望むユートピア的世界を、トァンとミァハというオブジェクトを通してディストピアらしくみせ、人類の選択と結論を迫るまでの流れは読み応えがある。 全てが一体化した社会、意思が自動化される社会。いまのSNSやAIの発展の先にある世界のようにも思える。「ハーモニー」は幸せか否か、小説を読むと何かそら寒い世界のようにも感じるが、単純に結論付けるには難しい深いテーマを扱っている。
0投稿日: 2017.02.19
powered by ブクログこの作家の場合、これだけ作家サイドの情報が溢れている中で、最早作品そのものだけを先入観なく純粋に評価するのは・・・大変困難なんですけど。 冒頭から1/3くらいは、一から十まで懇切丁寧に噛んで含めるようなラノベ調の文体にうんざりしてたんですが、 これが気にならなくなったら、一気でした。 「意思を失くしてまで生きたくない」とさらっと思えるのは、自分が文字通り死闘していた伊藤計劃でないからでしょうか・・・ 「虐殺器官」の最終理論も壮絶でしたが、これもまた。 作者の執念−生きることへの妄執を垣間見た、と思う。 彼が持って逝ってしまったものの大きさを思う。 私たちに残してほしかった。 その時間が、もう少し欲しかった。 あ、タグの閉じ忘れはないようでw
0投稿日: 2016.11.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「誰も病気で死ぬことが無い世界」というのは、どんな世界だろう。想像しがたいけれど、設定としては面白いなと思った。あと、この作品はこれを書かれた方の遺作らしいが、この物語を書こうと思ったとき、その時の自分の身の上に対する心情も込められているのかなと読みながら考えた。「虐殺器官」も近いうちに読みたいと思う。
0投稿日: 2016.11.14
powered by ブクログ人の意志や意識が、自然淘汰の中で獲得した“適応”だとして、既にその機能は用済みになっているとしたら、人類は群れで行動する野生動物の社会性をピンク色のオブラートで包んだような、ある意味究極の社会主義世界を獲得したということになり、随分と遠回りをしたけど、動物としては落ち着くところに落ち着いたように感じる。
0投稿日: 2016.09.23「虐殺器官」が面白かったので期待が大きすぎた
体内に埋め込まれた医療分子により病気のない世界を作り上げた。 そして社会システムまでも再構築し、個々の暴力や国家的な争いなどこの世界に悪影響を及ぼすものは監視し排除した優しさや思いやりに満ち溢れたユートピアを確立した世界。 そこまでは良かったのですが・・・・。 昨年アニメ映画化されてるみたいなんですが、あまり話題にもなってなかったので、正直アニメ化しても感想はそんな感じかな~って思います。
2投稿日: 2016.09.17
powered by ブクログWatch Me がインストールされた世界を自分で想像してみると,それはおぞましいことのように思えます.その世界は,ユートピアではなく,デストピアではないでしょうか.今現在の医療でさえ,発達するについて病気は減少しましたが,その分だけ人間は薬漬けになっています.高齢者なんか特にそうです.年を老うごとに現れる症状に,薬で抵抗し続けた結果,老人ホームで何の目的もなく暮らす日々,家族に疎まれながら生きながらえる日々,寿命を延ばし,1日でも多く生きることに現代でさえ意味が見出せない状況です.痛みや苦しみは生を実感するためには必要不可欠なものに思えます.それがない世界は,空虚で,この物語のような世界になってしまうと思います. 意識につても語られていますが,管理された世界における意識とはなんでしょうか.過剰に自分の感情を律する.そこに本当の自分の意思は存在するのでしょうか.この物語の世界,こうしているときにも時が進む私が生きている世界,どちらでも世界が管理されようとしています.今では人工知能やビックデータなんて言葉がもてはやされていますが,この技術の先には何があるのでしょうか?Watch Me がインストールされた世界と寸分違わない世界が,そこには広がっている気がします.私たちに自由意志は本当に必要なのか,そう考えさせられます. 科学と技術の観点から深く深く精巧に作られた物語は,読んでいるときも,読み終わった後も,自分と自分の生きる世界に対して,疑問を投げかけ続けています.
0投稿日: 2016.07.18
powered by ブクログいわば健康を外注に回して形成されている「理想の」社会、 誰もが誰もに異様に優しい、リソース意識が一般化した社会、 理想的に平均的な人間が溢れた社会で、 息苦しさ・違和感を抱えた少女3人。 自分の体は自分だけのものだと激しく主張するカリスマミァハの計画により、 ミァハは死に、 キアンは生き延び構成員のひとりになった。 そしてトァンは違和感と仕事を奇妙な形で同居させていた。 6582人が同時刻に自殺を試みるという、大混乱が。 その影にミァハの存在をかぎつけ、トァンは個人的な調査を開始する。 正しくセカイ系のストーリーだが、根拠がはっきりしているところが一線を画す。 漠然と抵抗を感じているのではなく、明確な根拠のある違和感。 社会において人間の意識とは…… ユートピアとは、ディストピアとは…… 体内に埋め込まれたWatchMeと、魔法の箱メディケア、拡現(拡張現実……世界カメラみたいなもの) といった魅力的な小道具が、今回もわんさか出てくる。 そして本や写真はデッドメディアという扱い……。 「プライバシー」という言葉に、「淫靡」とみなが感想を持つ。 頻繁に現れるタグも、ただの雰囲気じゃないのである。 最初は、「ラノベ的だなぁ」と思っていたが、重大な意義があるのだ。これは自戒。 メイルストロム前を生きた老人たちに対する、 メイルストロム後に生まれた少女の反逆の物語。 そして老人たちとは、決して遠くない将来にたどり着くかもしれない私たちの姿なのだ。 (エヴァの人物の出生がセカンドインパクト前後で分けられるのと同様)
0投稿日: 2016.07.14これぞ傑作SF
設定が興味深いし、それを物語によく活かしている。SFの傑作だと思う。 HTML的な文章がとても読みにくいのですが、最後の最後にその意味が分かって、あっ、と納得しました。
0投稿日: 2016.04.27
powered by ブクログ人に薦められた本を読む第4冊目 同期に薦められ。前作の「虐殺器官」が結構好きだったので喜んで読んだ。前作の核戦争の大恐慌時代の後、人々は身体的・精神的健康状態を恒常的に維持できる医療機器を体内にインストールし、健康を第一と据える「生府」を構築するようになった。この新たな時代では酒やタバコ、暴力や不親切さなど、健康を害すると見做される不穏分子は一切排除され、一見してユートピアのような世界が出来上がる。そんな「優しさで人を殺す」世界に疑問を抱く少女と、彼女をカリスマと崇める少女の物語。前作より世界観が綻びなく作り込まれ、面白い設定が増え、一段と作品としての完成度が上がっている!だいぶ楽しんで読めた。このスピードで成長していたら、作者は次にどんな作品を書き上げたのだろうー亡くなってしまったのが非常に惜しいと思える作品だった。
0投稿日: 2016.03.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ハーモニー小説読んでから映画を見てきましたが、映像化にあたりとてもよく原作の良さを表していると思った。それに加え町のデザインやWatchMEやメディケアのデザインが本当によく出来ており、世界観設定を視覚的に上手く説明を補っていたと思った。 しかしキャラクターデザインには違和感を感じた。特に現代ミァハは儚さを表現するためにあのような青と白をメインとしたカラーリングにしてあると思うのだが、派手で音のなる装飾品や露出の多いワンピースなど、すこしミァハらしくないのではないかなと思った。しかしトァンのキャラデザは服やスタイル通して素晴らしかった!近未来感は服装と髪型と色味で表現していたのだね。ちょっとドラえもんのせわし君辺りの古臭い未来感に通じるものも感じだが、今時らしいものが少ないことがその古臭さもあまり感じなかった。 この作品で一番感動して一番記憶に残ったものは、リアリティのある背景画とそのデザインの奇抜さだ。ビルの構造、学校の内部、レストランのデザインに、服装や髪型、ピンクで統一された色彩設定、これらのまとまっていて小綺麗で清潔感もあるが、この世界観を視野的に説明するためにあえて印象に残るように「生活感」を取り除いた奇抜なデザイン。 それに対極になるように描かれた、教授の部屋の中の無造作に置かれた本達に、窓についた雨の水滴、外の世界の汚らしいが現代的でまとまりのない背景画。リアリティがありとても上手く、影が多く暗い色味でピンクと対照的になるように描かれている。しかし、最後の最後ハーモニクスが起動するシーンで見た世界の自然な姿は、とても綺麗だった…。 うまく作用しあってどちらもとても目が離せない素晴らしい背景画だったと思った、 そしてこの作品で一番重要であるグロテスクなシーンは、原作に忠実にとても迫力あるものになっていて鳥肌がたった。 自害する前に動悸や脈拍上昇など、原作とは異なり緊迫感や異常性をうまく表現でするために付け加えられていたが、既読組は違和感を覚えただろうなと思った。 文字では冷淡に自害していく姿に異常性を感じ気持ち悪さを感じたが、映像では原作に忠実にするよりもあの演出の方が異常性という点ではとても上手く表現できていたなと思った。 原作よりもレストランでの会話がゆったりと流れていたように感じ、既読組はいつ来るのかとハラハラドキドキを結構焦らされてドギマギしたwwwくそー演出上手いぞ!って思いました。
0投稿日: 2016.03.07
powered by ブクログ近未来、友愛に満ちた社会を築き上げた人類の世界。人間の身体には高度な医療機器をインストールされ、病気が駆逐され健康にいきるために統制されている。 自分の身体を公共的なリソースとして大切にすることを慣習として強制されている。そのあり方を覆すようなテロ行為が世界を混乱に陥れる。 前提となる世界観が圧倒的に面白い。 大胆な発想ながら緻密な設定。 癌と闘いながら執筆されたこの作品に、かけることができた時間はそう長くなかったはずなのに、この壮大で精緻な世界観。 語り手のトァンという女性は眈々と冷静だけれど、精神的な脆さも抱えているようあやうげな不思議な魅力がある。 前作虐殺器官と同様、非常に引き込まれるが、やはりラストが物足りない。 あっさりと、絶望の方にすっと落ちて終わるような。あれはあれでハッピーエンドなのかもしれないけれど。 これは勝手な読み方だけれど、著者の境遇からはあの結末にならざるを得なかったのかもしれない。彼の短い生ではあれ以上突き詰めることができなかったのかもしれない。 彼に病がなかったら、この物語自体さえ生まれたかどうかわからない。だが仮定がゆるされるなら、伊藤計劃にもっと長い未来が与えられていたらどんな結末を見せてくれたのだろうか。 解説の中で、氏のインタビューから引用がある。虐殺器官でもハーモニーでも、結末の「その先の言葉」を見つけられず、それは敗北宣言みたいなもので、途中経過であるというようなことであった。「その先の言葉」が見いだされる前に氏が亡くなったのは本当に残念なことで、たった2冊の付き合いだというのにこれから共に生きていく人をなくしてしまったような気持ちになった。
0投稿日: 2016.03.05
powered by ブクログデザインとは「意味ある秩序状態を生み出すために意識的に努力をすること」であると、ヴィクター・パパネックは「生きのびるためのデザイン」の冒頭で記している。 もし「ヒトの<社会的リソース>としての価値と時間を最大化する」という近代資本主義の秩序を、社会システムをデザインの最高法規として完璧に適用すると、はたして「人間性」はどこへいくのか。 そこで伊藤は「ナノマシンによる完全医療社会の実現」という仮想未来を想定し、最終的に少数エリートによる「脳の報酬系の統御」によってヒトは「意識(=個人単位での短期利益最大化のための心的葛藤)」を失って完全に社会に統合された“非動物的存在”になり、人類社会は完全な調和状態(=ハーモニー)に至るという青写真を描いた。 「この社会にとって完璧な人類を求めたら、 魂が最も不要な要素だった。笑いぐさよね」 あらためて再読してみて、この一行が強烈に印象に残る。 あとがきで伊藤は、批評家・佐々木敦に対して本書の結末を「ひとつのハッピーエンドではあると思う」とも述べていて、人類が取りうるべき未来史として、例えるならエヴァに始まる「セカイ系」の終末論的世界観(=自我が溶けて社会に合一される)を肯定しているようなフシもある。 しかし、この「ハーモニー」的な社会的葛藤の解決は、ユートピア的であると同時に悪夢でもある。たっとひとつの世界秩序によって成り立つ社会構造がディストピアになりうることは、過去に失敗した社会実験の数々をみれば感覚として理解できる。 右に倣えの全体主義が戦争への扉を開いたことは日本史上の記憶に新しい。また辺見陽のいうところの現代にはびこる「鵺のような全体主義」、“善意の強制”が思考停止を生んで予期せぬ暴走を始めた社会を思えば、調和そのものは必ずしも正義ではない。 ところで「ハーモニー」に対して、「グルーヴ」という言葉がある。 一般には、特にダンスミュージックおいて、個々の演奏者のリズムや音程のゆらぎが生み出すなんともいえない「うねり」のこととされる。 教会音楽の美しい和声対して、腹の底から魂をゆさぶる「音場のうねり」。 それ、グルーヴ。 オーティスやJBから連なるソウルミュージックの歴史において、グルーヴは最高の価値を持つ。そして、伊藤が「ハーモナイズされた社会」において不要と断じたのは「魂(ソウル)」だった。 グルーヴはコントロールできない価値で、予測不能かつ刹那的であって、秩序とは真逆の概念だ。そもそも「音」自体が波、つまり「ふるえ」であって、調和した和声にもグルーヴは存在する。音楽は葛藤のない世界では必要のない「魂」そのもの、合理性で割り切れない文化の諸相を表象している。 そして私たち人間は、「ゆらぎの重なりから生まれる音響的快楽」を愛してやまない(と個人的に思う)。 このことは「人間とはなにか」という答えのない問いにひとつの示唆を与えてくれる。完璧に社会的な存在となった(=動物であることを捨てた)人間による「ハーモナイズされた社会」か、それとも葛藤と混沌に満ちた「グル―ヴィな社会」か。 技術的なことは時間と人工知能が解決するかもしれないが、なにをどの位優先するかは意識的な選択、つまり人間がデザインしうる領域だと思う。 「音楽を考えること」は比喩的には「社会を考えること」につながるしれない。MP3のEDMかそれともLPによるソウルDJか、はたまた日曜礼拝の讃美歌か、夕暮れに響くアザーンか。 二度目の「ハーモニー」を読んで、高度な医療社会や全体主義の是非とともに、むしろ音楽について考えたいとも思った。
0投稿日: 2016.02.24
powered by ブクログ虐殺器官の続編になるのかな、一応。 相変わらずゾワゾワする世界観。 作者がお亡くなりになっているのが、とても残念。
0投稿日: 2016.02.13
powered by ブクログWHO憲章だったか、健康である権利というのを学校で習ったとき、不健康でいる権利はないのかなどと思ったのは、やはり私も思春期だったのだ。しかし、その後、健康への圧力は強まり、健康増進は法律で定められ、たぶん、人生の価値を名誉でも財産でもなく、健康に置くと言う人(本音はどうあれ)が増えたのではないだろうか。手狭になった病院が郊外に移転するとそのまわりに家が建ち、ショッピングセンターができるなどという街作りも稀ならずみられるようになった。不治の病に冒され入院をくり返した伊藤計劃は、病室から延長する将来の世界を見すえていたのだろう。と思ったら、やはりインタヴューでそんなことを答えていたようだ。 世界の病院化が進むと、人々は体内に健康状態をモニターするデヴァイスを入れ、それをコンピュータが管理することで病気は克服され、自己身体は公共的リソースとなって、互いが互いをいたわり合う愛に満ちた時代がやってくる。そんな時代を伊藤計劃は「ハーモニー」と称する。これがタイトルのひとつの意味。森岡正博なら無痛文明というだろう。 「ハーモニー」に息が詰まるような閉塞感を覚える女子高校生たちが、自殺を試みるというあらすじをみて、『虐殺機関』とはずいぶん違った作品なのかという予断を持っていたが、実は『虐殺機関』のある種の続編。『ハーモニー』の社会は『虐殺機関』で描かれた世界が、虐殺と限定核戦争という破局にまで突き進み、その後の再建の中で生まれてきたものなのだ。上述のような病院化社会は先進国の多くを覆ってはいても、そこからあぶれる地域紛争地帯も残っている。13年前、自殺を試み失敗した「わたし」トァンは、紛争地帯で停戦監視団のような仕事に就いて、息詰まる社会から半分逃げている。ところが、数千人が同時に自殺を図るという信じがたい事件が起こり、トァンはそこに、自殺を主導し、死んだはずの同級生ミャハの影を見る。 伊藤計劃は『虐殺機関』でいとも論理的に「虐殺こそあなた方の平和に必要なのだ」と示してみせてわれわれを震撼させたが、同様の問題圏から違った解を導いたのが『ハーモニー』である。『ハーモニー』では──ネタバレになるのでぼかして書くと──「平和のためにはある意味で人間をやめるのが正しい」という解を導いたのだと思う。その解法は至極論理的で、まったく正しいように思われるが、『虐殺機関』では「社会」の水準の解法を適用しているのに対して、『ハーモニー』では「人間」の水準の解法を試みているのが大いに違う。私にはこの解法は十分論理的に思えるのにも拘わらず、やはりこの解は違うのではないかと思う。 何でもありのフィクションに対して「違う」を言っても仕方がない。それはそうなのだが、伊藤計劃はたぶん脳漿がにじみ出すほどに考え詰めて、このストーリーを生み出したのだ。思想書並みに読むのが礼儀というものだろう。
4投稿日: 2016.02.03
powered by ブクログ虐殺器官の興奮冷めやらぬまま購入。本全体に仕掛けられているある仕組みにゾクゾク。劇場版とはまた違う気味の悪い静けさが味わえるので、ぜひ書籍の方もお勧めしたい。(htmlの知識がないもんだから読了後一心不乱にググったけど) きっと人類はいずれコレに似たような世界で生きていくようになるんだと中二的にぼんやり想像を巡らすんだけど、例えばその世界が実現したとして、じゃあ何を以て人間というのか?機械との私の違いって?そうなると意識ってやっぱ必要ないのかもね、フンフン。自分とその他、ココだと断言できる境界線をしっかり持っていられるもんなのか。満足感を持って生きることができるのか。考え出すともう止まらなくなるんですわ。そして虐殺器官の劇場版がマジで待てまへんという話なんですわ。
1投稿日: 2016.01.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
作中でも引用されているが「すばらしい新世界」「一九八四年」のようなディストピア・ユートピア小説。 2015年劇場公開映画の原作。 著者が病床で記した最後の本。故に、執筆時間的に無理があった気がする。完結しているけど、もったいない感じがする。 ミャハは結果的に生きていて、キアンとトァンを直接的ではないにせよ騙していたわけで、そこら辺が触れられていないのはちょっとと思わなくもない。13年間の思いを返せ的な。 ところで、映画ハーモニーのテーマ曲「Ghost of a smile」はいい曲で、原作を意識して書かれていると思う。で、歌詞としたは死んだ人が生きている人を想っていると理解したんだけれど(Ghost of a smile ですから)、前述の通りミャハは生きていたので、何となく微妙だと想ったの話私だけなんでしょうか。
0投稿日: 2016.01.02自分の中の「SF」が変わった
失礼ながら著者のことも、ほとんど知らず「なんか小説が読みたい」でお得だったときに購入しました。 正直、SFはイメージ的にロボットがかくかくしているという、貧困なものしかなかったため、読んでみてそのイメージがあっさりと覆され、夢中になって読んでしまいました。 完璧な健康状態を維持し、有害なものは全くない世界。 現在の医療の進み方を見ていると、近くはないけどいつかは来るのではという現実的な仕組み。統一された「平和」な世界と、汚れた生の「野蛮」な世界。 もし自分がそこにいたら、やはり「平和」な世界を選んでしまいそう…。 SFなのに、こんなに自分が入り込める小説は久しぶりでした。
0投稿日: 2015.12.20
powered by ブクログ意思の無い世界全てが自明の世界。 たしかに意識が無いといけないなんて身体の全てを外注してしまった世界では意識すら必要がないのかも。
0投稿日: 2015.12.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
劇場版を観たあと無性に誰かに「あのラストどう思う?」って尋ねたくなりました。 そんな誰かがいなかったので、帰ってからネットのレビューを見たわけですが…。 賛否はともかく、「原作と違う。」というのは共通認識のようでやや驚きました(因みに、少数ながらハッピーエンドだと書いている人がいたことにはもっと驚きました。ハーモニープログラムの起動をユートピアの実現だと考えるんでしょうか?)。 セリフ、心情を抜きにして、何が起こったのかだけを見れば、劇場版は原作をほぼ忠実になぞっています。問題は、主人公が引き金を引いた動機の解釈。そこの部分で原作は「復讐」に、劇場版は「愛」に焦点を当てている。しかし、それは焦点のあてかたの問題で、いずれも両者は併存できるのではないかと思います。 むしろ、原作から劇場版で「カット」されたシーンとのつながりで言えば、劇場版の焦点の当て方の方がすんなり入ってくるのではないかとすら思えます。劇場版では当該シーンをカットはしているけど、物語の中から排除はしていないんじゃないか。原作の読み方として、劇場版は十分ありだと思います。 その他の細部も含め誰かに「どう思う?」って聞きたくなる作品です。原作も、劇場版も。
1投稿日: 2015.11.28
powered by ブクログもともと世界観が好みだったのと、今年2015年にProject-Itoという形で劇場版アニメが公開されることになったのをきっかけに知り、読んでみました。 結論から言って非常に面白かったです。 人間が健康を第一に考えるようになり、体の恒常性を保つWatchMeを体にインストールすることで、老衰はあるものの病気にかかることがなくなってしまった世界。個人情報の公開は常識。思いやり、親切、優しさ、そういったものに溢れる世界。そして、その世界を憎悪するミァハとその世界に苛立ちを感じ、彼女に心酔したトァンとキアンという3人の少女。 主人公であるトァンは螺旋監察官という特権を利用して今では禁止されている酒やタバコをWatchMeを騙しながら愉しむことを密かにしていました。ある日突然発生した、数千人の人々が同時に自殺を試みるという大事件が昔友人だった御冷ミァハが関係していると気づき事件の調査に乗り出します。 思いやりに溢れる世界と聞くと一見幸せそうな世界に思えます。しかし、必ずしもそうとは言えないのです。ミァハとトァン、キアンにとっては思いやりに溢れる世界はあまりにも極端過ぎて気持ちの悪いものでした。実際に読んで私もこんな世界はごめんだと思ってしまいました(笑) この本はとても考えさせられます。いったいどれが正しいのか。幸せとは何か。この本を読了した翌日は気がつくとハーモニーのことを考えてる自分がいて驚きました(^q^) この物語がハッピーエンドなのかバットエンドなのかという判断は人によって異なると思います。私はトァンに感情移入してしまったこともあり、最後は少し悲しかったです。しかし、バットエンドとも言いきれないあたりがこの本の面白いところかもしれないですね。 本当におすすめです!SF好きな方は特に合うのではないでしょうか。ぜひ読んでみてください!
0投稿日: 2015.11.26
powered by ブクログ本作の冒頭には奇妙な記号が置かれている。「〈?Emotion-in-Text Markup Language:version=1.2:encoding=EMO-590378?〉」などだ。これらは作中の随所に埋め込まれている。これが何であるかは作中で説明されていて、それは「etml」という架空のマークアップ言語の記述なのである。etml はメッセージ内容に付加されるメタ情報、主に「感情」の伝達を実現するためにあるとされる。 マークアップ言語は、通常、メッセージの受信者の視野の外にある。言語とは言うものの、その相手は、大抵はコンピュータなどのメディア・デバイスだ。 それで、「ハーモニー」を読むことは、架空のデバイスの位置に身を置くことになる。あるいは、置かされていたことに気がつく。これは、物語の中の物語、入れ子になった物語の効果をもたらしている。[物語a]が一度起り、それにメタ情報が付加されるという事態が起った[物語a+]が最初の[物語a]を語っているのである。しかも、末尾に仕掛けのスイッチが置かれているため、読者は語られた物語にもう一度目を向けざるを得なくなる。 さて、その物語とは、霧慧トァンの物語である。 霧慧トァンを取り巻く世界は超高度医療福祉社会だ。 その昔、世界には「大災禍(ザ・メイルストロム)」があった。それは、アメリカを中心として拡散した大暴動と、それにより核兵器が使用された、戦争と虐殺の時代であった。世界は混乱し、荒廃した。結果、放射線の影響で癌が増加した。また、突然変異と思しき未知のウィルスによる疫病が蔓延し、人類の生存がとてつもなく脅かされた。人類社会は、その構成員を限られた資源(リソース)として意識し、その健康を守ることを最大の責務とみなすようになった。 医療分子(メディモル)というナノ・テクノロジーの発明がその人類の選択を支えた。 医療分子は体内に常駐し、サーバーに接続されて、人体を常時監視する(WatchMe)。疾病の兆候、異常を逸早く察知し、可塑的製薬分子(メディベース)によって予防、修復、治癒を行なう。 このインフラが、超高度医療福祉社会を実現させる。 医療システムを利用することに合意した共同体=医療合意共同体(メディカル・コンセンサス)、生府(ヴァイガメント)が登場したのだ。そのため従来の政府は縮退した。 この医療福祉社会は、その構成員を包みこみ、病気にならないように、怪我をしないように、傷つかないように見守る、医療と思いやりと慈しみの社会となった。 この社会の依って立つ思想は、生命主義、生命至上主義と呼ばれる。生命主義では、人間の尊厳の条件を次の三点と見なす。まず、「構成員の健康の保全を統治機構にとつて最大の責務と見なす政治的主張」。第二に、ネットワークされた健康監視システムへ構成員を組み込み、安価な薬剤と医療による医療消費システムを実現すること。第三に、「将来予想される生活習慣病を未然に防ぐ栄養摂取及び生活パターンに関する助言の提供」である。 ピンク色をした優しい社会。緻密な論理で透視され、あり得る未来として描き出された社会は、なんと息苦しいのだろう。それは慈母のファシズムと形容される。 そこにガラスのような少女たちが登場する。御冷ミャハ、霧慧トァン、零下堂キアンの三人だ。 美しく孤立するクラス随一の変わり者、「ソプラノの喉を持つ男の子のような声」をして、おせっかいな優しい社会を憎む、思春期のイデオローグ、御冷ミャハの磁力に引きつけられるトァンとキアン。ミャハは、境界を乗り越え、社会の束縛を断ち切り、自分を社会から取り戻し、自分自身で選択する自由を回復しようとする。溺れかけている自分を感じていたトァンは、ミャハをアイコンと仰ぐ。そして三人は、大人たちを出し抜き、餓死することによって死ぬ自由を取り戻そうと謀った。しかしミャハ以外の二人は失敗してしまう。 それから十三年後、霧慧トァンは「螺旋監察官」となっている。それは、「世界原子力機構(IAEA)の遺伝子版」であり、生府なり政府なりが「健康的で人間的な」生活を保障しているかどうか査察する仕事だ。 なんとか社会と折り合いをつけて成人したトァンを死んだはずのミャハの影が訪れる。 ここから物語は、不気味な緊迫感に包まれて行く。それは、高度医療福祉社会のその先へと、作者が挑んだ根源的な思弁の緊迫感なのである。 作者は、意識とは何かと問う。しかし、これが論争のための書ではないことは考慮しておくべきだろう。作者の思弁を追体験するようにしたい。 さて意識は、脳における報酬系を制御する活動と考えることができる。報酬系とは人の「選択を繰り返し行いたくなる動機づけを与える領域」で、それによって動機づけられる「欲求」のエージェントの数々が、競合し、葛藤し、調整して選択されようとするプロセスそのものが意志なのだ。それは喧騒の会議とイメージできる。そして、選択された「欲求」のエージェントの集合が、それと感覚されるものを形作るのである。つまり知覚される現実は、選択されたエージェントによって構成される。即ちそれが意識なのだ。 「欲求」のエージェントの競合と選択のプロセスが意識なら、動物にも意識を認めることができる。そこから意識は、進化の途上で遺伝的にプログラミングされた形質だと見なせる。 進化は場当たり的な適応の集積にすぎない。意識は、おのれが最高位にあり、すべてだと思いたがり、予測し、統御する自分の機能があらゆるものに適用可能だと考えたがるが、単に、進化の途上で獲得された適応の継ぎ接ぎの一部でしかないと考えられる。人間を取り巻く環境が変れば、時代遅れの機能となることもあるだろう。 進化の継ぎ接ぎの結果であるがために、報酬系は目の前の価値を最も高く評価する非線形の判断を行なってしまう。その場しのぎの生き残り戦略の残滓だ。これがフィードバックを伴う再帰的構造を取るため、報酬系の判断はカオスを生み出してしまう。人間の意志の、予測し難い、非合理性はここに由来する。それは人間の脳という自然なのである。暴虐、混乱、荒廃の根は人間の脳そのものにあるのかもしれない。 人間が積み上げてきた営為は、自然の制御、予測不能なものを抑えこもうとする意志の結果と見なせる。それなら、人間は脳という自然をも制御しようとするだろう。身体は治療するのに、脳を治療してはいけない法はないのだから。 脳の制御は、報酬系の価値判断の線形化になるだろう。それは、選択に葛藤がなく、行動が自明になる状態だろう。選択の葛藤の消失とは、言い換えれば、自律の価値観の消去である。それでどうやって行動し、生活できるのか。ネットワークに繋がったシステムに代替させる゠外注することでそれが可能になる。 その結果、何が、どんな世界がやって来るか。 本作「ハーモニー」で示されるその世界は「永遠と人々が思っているものに、不意打ちを与え」る、強烈で、皮肉な衝撃をもたらし、読む者を途方に暮れさせる。 そこに三人の少女の、運命の軌跡が刻みこまれる。少女の、過剰で脆く、哀切な自意識がアラベスクを描く。 この作品は、透き通った傷つきやすい皮膚をしているようだ。それに、物として触知できると思わせるほどの喪失感を湛えている。 物語の最後に、我々は「etml」を気づかされる。etmlの記述が終る時の意味を感じさせられることになる。それは、意識と物語を読むということの不思議な関係へ目を向けさせる。「フィクションには、本には、言葉には、人を殺すことのできる力が宿っているんだよ、すごいと思わない」という御冷ミャハの言葉が轟くだろう。作者が、物語を読むことに救済を見出したとは思わないが、その力を信じたことは確かだろう。 本作では、ゲーテ、坂口安吾、フーコーなどへの言及が登場する。「全書籍図書館」の名前は「ボルヘス」だ。谷川流の「涼宮ハルヒの憂鬱」のパロディ、「ただの人間には興味がないの」は分ったが、それ以外にもあるのかどうかは分らなかった。
1投稿日: 2015.11.25
powered by ブクログ終始作中に流れているように思った穏やかな雰囲気が、読んでいて心地よかった。 恐ろしいくらい調和がとれた新時代もありかも知れないけど、個と意識のない生き方は想像ができない。こわい。 映画も楽しみ。
0投稿日: 2015.11.16
powered by ブクログ伊藤計劃の書いた前作、虐殺器官から半世紀後の未来の話。「ザ・メイルストロム」と呼ばれた世界的混乱を経て、人類は社会に平和な秩序をもたらすために見せかけの優しさを創造する。 その優しさが溢れた社会に絶望し、死を選んだ少女たちがいた。 ーーー正直な感想を言うと、将来こんな世の中にはなってほしくない。その感情すらもなくなっているのだろうけれど。あまりネタバレはしたくないので、ひとことにまとめると、「平和な世界」になってよかったね。感情があるから、私をわたしとして認識できるから、それは個々の人間なのであり、それをとってしまえばその個体はもう人間ではない。アンドロイドのような存在。平和を求めすぎてもいけないのか?長い目でみれば私たちの今生きている時代が1番平和なのかもしれない。…国外で戦争や紛争が起きようとも。
0投稿日: 2015.11.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
善意や優しさだけででき不健康と悪意を取り除いた理想の社会が個人にとって無理を強い抑圧にしかならないとしたら、抑圧を抑圧として感じる“意識”なんかいらないよね?という皮肉。 継ぎ接ぎの適応の結果でしかない人間の精神は理想郷への適合はできず、程度の差はあれ齟齬をきたすのだから。
0投稿日: 2015.11.14
powered by ブクログミィハとトァンの世界だけに焦点が当たって簡潔にまとまってるけど、やっぱりちょっと物足りない。世界全体のいろんな面も、もっと見たい。自分の世界の行く末なのかもしれないだけに。そして二人の行動も選択も、わかるようでよくわからない。救いのない話。
0投稿日: 2015.11.02
powered by ブクログ葛藤も軋轢もなく、われわれが完全なハーモニーを奏でられる社会。素晴らしい新世界に到達する話。 意識が、主観性が、進化の過程での一時的なニーズに過ぎなかったのだとしたら。そうしたらそこに固執する必要もない…。 非常にニーチェ的生物学主義に似たものを感じる。意識がそれを望むならば、あるいは理想足りえるかもしれないと思う。
1投稿日: 2015.10.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ユートピア&デストピアもの。 テーマの着眼も面白いし、読みやすい。 No.6やル=ガルーを想起したり。あんまり関係ないけど。 本文がDTDなマークアップ言語(etmlという感情表現の為の独自マークアップ)でタグ囲みされていることについては読みやすいわけではなかったけど、必要な仕掛けなのね。 つい、タグの意味を解釈してしまうのだけど、タグを無視して読むのとどっちが正解だったのかはわからない。 読んでいる途中はなかなか面白くて、先日読んだ死者の帝国が星三つだったけど、星四つ付けようかな~って思ってました。 けど、最後の方がイマイチだったので三つで。 どうしても、最後トァンがミァハを撃った心情がわからない。 (たぶん、名目上の)口実として、父とキアンの復讐ということを言っていたけど、口実にできるほどその二人との関係性深いかな?ミァハの存在に比べ、父やキアンは知人その1、その2くらいの比重にしか思えないんだ。
0投稿日: 2015.10.06慈母によるファシズム
読み切るのにちょっと時間がかかったけども。虐殺器官の後の人類の話。世界平和に向けて究極の『何故何故』を追求した社会の行く末、みたいな。こういう、人が個を成形するためにあると思っている精神要素を、生態機能としてロジカルに追究する物語は嫌いじゃない。
1投稿日: 2015.10.03
powered by ブクログ病の心配がなくなった未来で起きる、安泰でない事件の話というのが、とても興味深かったです。 読み終わった後は、どれだけ体の病を管理できても、意識がある限り心の病は治せない、というテーマを感じました。 ミァハの生きた道程は過酷で残酷な世界でしたが、それ以外の人物についてはあまり掘り下げられていなくて残念でした。 「なんか嫌だなあ」という世界で自殺が増加の一途というのも、データとして語られているだけで実感がなく、ミァハは世界を憂い自殺に走ろうとする感情の動きを理解できるけれど、ではミァハ以外の子供達を自殺へ走らせる強い思いは何なのか、というケースを1つでも掘り下げてみて欲しかったなと。 主人公とミァハ以外が排除されているにも関わらず、世界の決定権は2人とは異なるところにあったせいか、彼女たちのストーリーにあまり説得力を感じられず…少し物足りなく感じてしまいました。
0投稿日: 2015.09.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なんだかんだ3作読んでる伊藤計劃 病気にならない世界はやさしくて窮屈 自殺志願の少女 意識の(不)必要性 難しかったけどなんとなくわかったかな 女の子主人公ってのがいいね 意識のない(自我のない…?意志のない?)民族ってのが イマイチわからない つまり動物のような ってこと??
0投稿日: 2015.09.01
powered by ブクログ伊藤計劃が2008年に発表した長編SF小説。2015年12月から劇場版アニメが公開されます。舞台は、一度世界が壊れてしまってからの未来。同じ過ちを犯さないために人は公共リソースと見なされる世界が構築されてます。そんな中、霧慧トァン、御冷ミァハ、零下堂キアンという3人の少女は社会に違和感を感じて…。物語の始まりからは想像もできない結末でした。"ハーモニー"という言葉の響きはとても心地が良いです。ただ、ここに描かれた"ハーモニー"に満ちた世界は本当に幸せなのだろうかと考えさせられます。ある意味、ホラーです。
0投稿日: 2015.08.27
powered by ブクログ再読。読み終えてからぼんやりと、もし人を生き返らせることができるようになったらどうするだろうと考えていました。屍者の帝国もそれ以外の新作も待つことも出来ないのはさみしいな。 軽やかにステップ踏みながら長文会話するミィハは見た目同様若いのか鍛えられたのか未来文明の成せる技なのか。しばらくカプレーゼは食べたくない。
0投稿日: 2015.08.21
powered by ブクログ虐殺器官の頃のような文体な未熟さもなく素直に面白かった。 国家の品格で言うところの近代的合理精神の限界に対する近未来で起きる1つの皮肉な解、あるいはシンギュラリタリアン的発想の人類補完計画。情報インフラってこういう怖さはあるよなぁ、と思う。 まぁ、合理的な判断ってモノ自体が幻想だし。生物の進化の根源も非合理やカオスにあるのでその辺は物語として読む感じ。判断ってのは世界をどの切り口で覗きこむかで決まるもので、絶対的な真実があるわけでもないし。ニューロンだって非線形じゃないと学習できない。 しかし、著者の若い死が悔やまれるなぁ。このペースで成長してたらもの凄い作家になっただろうに。
0投稿日: 2015.08.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
意識というのは、「昔は必要だったが、現代では糖尿病の原因となってしまった人体のメカニズム」のように、人類にとって一時的に必要だったが今は邪魔なものなのではないか・・・。分量は少ないのに、面白かったです。
0投稿日: 2015.08.09
powered by ブクログ不思議な読み心地でした。私には難しくて分からない点が一杯で情けないのですが、それでも読めて良かった。
0投稿日: 2015.06.30
powered by ブクログ映画化のCMを見て、初めて伊藤計劃氏を知ったにわか者です。気になって仕方がなかったので読みました。結果、頭のなかを”意識”がぐるぐる。 SFらしいSFなのかどうかは、読書量が少ないのでなんとも言えませんが、本作はとても哲学的だと思いました。 「真綿で首を締めるような」「優しさに殺される」 作中たびたびよく似た表現がでてきます。これを見るだけで、なんだか悲しくて涙が出そうになりました。未来のお話なのに、根底にあるものはもしかして今も変わらないのかなーと。 結末は腑に落ちませんが、でもだからといって反論もできません。『ハーモニー』が、本当に”ユートピア”なのか。わからないです。うらやましくもあり、けれども嫌悪感もあり。 でも、当たり前になってしまったら、きっとそれさえも思わないでしょう。というか、哲学だってしませんね。そう考えると、”ユートピア”ではないのかもしれません。 映画よりも先に読みましたが、映画を先に観てからでも良かったかもしれません。映画も楽しみです。
0投稿日: 2015.06.20
powered by ブクログ昼も必要だけど夜も必要だ、ということを忘れた世界が長い夕暮れを手に入れるお話し? 大事な事だから3回言いました的な繰り返しと、ドラマ感たっぷりな体言止めの多用が安っぽく受けつけなかった。
0投稿日: 2015.06.15
powered by ブクログこの小説の世界は、思うに、日常におけるほんの少しの違和感であったり、歪みであったり、時代の変化をそのまま増幅した近未来の世界であると思う。言葉や概念の意味が、社会や時代によって変容することなど、過去から現在にかけての分析でわかったことを、そのまま現在から未来にかけて応用している手法から描かれる近未来像はとてもリアリティがある。感情や血縁というある種非合理なものを機能主義的に分析するクライマックス手前の葛藤はとても哲学的で好きだ。 さらに、この小説の基本的な軸は、理性/感情、機械/動物という古来から存在する二項対立であり、全てを合理的に決断した時に心の何処かから湧き上がる「正しいのはわかるけど、なんか嫌だなぁ」という感情を具現化したのが主人公トァンである。 科学技術の発展により、あらゆるものの外注が可能にり、矮小化した現代人というミァハの現状分析は、現代への示唆に富んでいると思う。 意識とは、あらゆる意見の葛藤であり、その葛藤の配分や揺らぎが自己のアイデンティティーを表す。ハーモニーは意識の喪失、つまり、アイデンティティーの消滅でもある。
1投稿日: 2015.06.11
powered by ブクログ確かに世界観は壮大で、難解?な所もあるっちゃあるけど素晴らしい作品であることに変わりはない! この本は虐殺器官以上に伊藤計劃の病気に対する感情が色濃く反映されてると思う。 だからこその言い表せないリアル感とが読書中に重なってくるんだと思う。 生きていれば……と悔やまれるのに納得。 もし生きていれば、日本のSF界を引っ張ってくれる人物だったと思う。
0投稿日: 2015.05.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
若干、京極のルー=ガルーを思い出させたけど、最後まで読んだら完全なSFでありました(ルー=ガルーもSFなんですけどね) 最後の部分はスッキリとは終わらなかったものの、割と納得行く結末だったかなあと個人的には思います。 まあ、人類補完計画かよとか言う突っ込みはありつつも、僕には丁度いい感じのSFでした。 実際はもっと元ネタあるのはあるんだろうけど、その辺は素人にはわかんねって感じで。
0投稿日: 2015.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あらすじ 体内にナノシステムを入れオンラインで健康を管理させている近未来を舞台にしたSF小説。 管理される世界に所属する少女と管理される世界を離れた少女2人の物語。 ユートピアだと思っていたものが実はディストピアで、最後に世界は救われない。 感想 初めての伊藤計劃作品。 しかも大好きなディストピアものでした。 文章はひねりが聞いていて面白く、世界観もリアリティがあり魅力的でした。 オンラインで管理される生活が、生暖かくて息苦しくて本当に嫌になります。 できればハッピーエンドで終わってほしかった。
0投稿日: 2015.04.30
powered by ブクログ始め横文字ばかり出てきてちょっと読みづらいと思っていたけど、どんどん面白くなっていき横文字にも慣れてきて一気に読み終えた。 とても好きな世界観で寝る前に読むと本の世界に浸れた。
0投稿日: 2015.04.27
powered by ブクログ世界観が完璧に作り込まれていて、 「プライバシー・プライベートなんて 卑猥な言葉 」という 未来のお話。 ミァハが本当に理想とした世界を理解するところまでの運びがすこし急だったように感じた。 老人がコードを押すのではなく、トァンが引き金を引いたことがミァハの理想の「ハーモニー」の完成となる オチを予想していたので、その点が不満かなあ と 星2つ。
0投稿日: 2015.04.11
powered by ブクログなかなか世界観が頭に入ってこず、だらだらと数ヶ月かけてやっと読了しました。 意識の消失は死と同義のように見えて、まったく異なるものなんだな、と。ハーモニーが完了した世界を想像してぞっとしてしまった。 この難しい世界観をどのように表現するのか、映画楽しみにしています。
0投稿日: 2015.03.19
powered by ブクログテーマは興味深かったが、これなら世界ではなくもう少し小さな単位で描いた方が切実さが出たのではないだろうか。 一人称での記述であるにしても、幾つかの邂逅シーンを含めて、主人公以外の登場人物の行動原理が不明瞭(主人公にとって必要だから出てきたかのように見える)な点も多く感じた。舞台はいいが、もう少し物語を練られたのではないか
0投稿日: 2015.03.10
powered by ブクログ前作、虐殺器官より突き抜けた世界観、ある意味では現実味はもてない(SFだから当たり前なのですが)のに、起こりうる出来事としても感じられるのは著者の圧倒的な筆圧のなせるものなのかと思いました。 難しい、故に満足度は高いです。
0投稿日: 2015.02.22
powered by ブクログ世界観や設定が卓越して面白かった。だが私のような原始の感覚の至上主義者からすると氏の合理的すぎる思考には物足りないところがいくつもあった。そうであることに安心する。この作品は小説であるが、作中の事件が、ある意味では現代に起きてもおかしくない危うさを含んでいるからだ。故に、「氷でできた刃」のように美しく感じるのかもしれない。早逝が惜しまれる。
3投稿日: 2015.02.21
powered by ブクログ近未来に対する設定がすごい。よく考え抜かれているなぁ。未来が舞台ながらたまに参照される古典や歴史の事実。人という種の定義やその限界。独特なタグ表記の意味。とても楽しめました。なんか、EVAの「人類補完計画」みたい。最後のシーンだけちょっと消化不良かなぁ。。
2投稿日: 2015.02.21
powered by ブクログ世界から突き詰めるところまで苦痛を排除すると、人間から意識が失われる。確かにそうなってしまいそうですね。SFという表現技法を通じての、未来への鋭い洞察はさすが。あとがきの中の作者インタビューでも触れられているけど、読みながら感じていたのは、作者自身の置かれた環境(病床)が、如実に物語にも表れていること。だからこそ表現し得る魂の叫びもあると思うし、だからこそ本作が孤高の存在足り得ているんだとも思う。今更ながら追悼の意を表します。
0投稿日: 2015.02.12
powered by ブクログ超高度情報化社会を舞台に 自殺しそこなった女の子の目線で 書かれていて、終始一人称なのが 読みやすかった。 若干、時系列があやふやに なることがあった(;´・ω・) 虐殺器官と同じ時代、もしくは それより少し先の時代で書かれており、 前作を裏付けるような箇所が多々あり ワクワクした! でも、この作品は思ったよりも 読んでて少し退屈だった。 次の『屍者の帝国』に期待。
0投稿日: 2015.01.27
powered by ブクログ初読み伊藤計劃。「高度に発達した社会を持った人間の生存に、『意識』が不要だとしたら」という仮定が非常に衝撃的だった。そんな突飛とも思える仮定が、あまりにもスムーズに腑に落ちるストーリーが恐ろしい。人間の機能がどんどん代替可能で外部化されていくなかで、最終的に自分と他人(ロボットも含む)とを分けるものは、自分が自分であるという確信=『意識』だと思っていた。感情もその意識の中の一つで、それが主観的に感じられるからこそ自分は自分なのだと思っていた。『意識』が不要な世の中になったとき、自分と他者を分けるものって何になるんだろう。「個人」という区別は重要じゃなくなり、社会システム全体を「人間」と呼ぶようになるのかな。感情や意識というものにどこかロマン的なものを感じていたが、それは本当なのだろうかと考えさせられた。ロマンなどではなく、無用の長物なのかもしれないと。
0投稿日: 2015.01.25
powered by ブクログユートピアなのかディストピアなのか。 描かれた未来がどちらなのかが判別付き難い内容。 有名古典に通ずるものがあるように思える。
0投稿日: 2015.01.12
powered by ブクログ少女たちが憎み、死をもって抗おうとしたのは愛と思いやりにあふれた生命主義社会。虐殺器官がもたらした災厄の教訓を経て、あらゆる病気を克服した世界のハーモニーが人間の意志にまで及ぶとき。生命の定義。 プログラミング言語を交えた独特の表記は、期待通りエピローグで活かされた。 あとがきにもあったように、設定や展開がとても論理的で現実的で唸らせられる。反面、少女の友情や親子の情愛に関わる描写は入り込めないことが多かった印象。冷たい展開がはまるクールさが魅力的な作家さんと思う。
0投稿日: 2015.01.10
powered by ブクログ人類が己の欲望を捨て調和のためにだけ生きることができるとしたら、それは今まで描き続けられたユートピアになるのでしょうか?? 感情のない世界って楽なんかしら?楽という感じもないってこと?うーん、考えてもわからない。わたしはきっちり旧世代の人間ね…。 心に引っ掛かり度は☆5つ。 だけど、読んでいる途中に苦しくなったから4つ。
0投稿日: 2014.12.25
powered by ブクログかつて少女だったトァンと、ミァハの話。 少女と大人の境界線は、視野の広さだと思う。自分とごく近しい周囲のみにしか目線のいかない少女期に対して、良くも悪くも世の中というものが見えてきてそれについて考え始めたときにその少女期の終わりが来るのではないだろうか。 非常に早い時期から大人になっていたミァハによって世界の姿を啓かれたトァン。導かれるままに世界に対して引いた小さな反逆の引鉄だが撃鉄が下りることはなかった。 月日を経て再び引鉄を引こうとするミァハと、止めようとするトァンの話。 エヴァを見たときにも思ったことだが、完全なる調和などと、それが果たされた場合一体どんな歴史と文明が刻まれるというのだろう。それは全くの終着点、なのだろうか。ラストで後の世の人物のような描写があったが、どういう経緯をたどってその人物のようなものに至るのか、過程が知りたいと思った。
0投稿日: 2014.12.20
powered by ブクログとくに医療・バイオ分野において科学技術の進歩した未来が舞台。WatchMeという身体中をめぐる高分子が健康状態をモニタリングして、老い以外のすべての痛みが消え失せた社会。 主人公達の友情があって、大事件があって、冒険があって、叙述トリックがあるのだけれど(ふつう叙述トリックって存在自体がネタバレだけれど、この本の場合は叙述のひっかかりは明らかだから良いだろう)、それらは全て、「こんな世界、どう?」をグイグイ読ませるための装置にすぎない、と思う。 高度に倫理的で、健康的で、理想郷のようなディストピアのような世界観は、ファンタジーではなく、今の21世紀からの延長線上を精密にシミュレーションした思考実験みたいだ。「こういう未来って、どう?」と主人公は自問するし、ほかの登場人物は主人公とはまた違った結論を導く。 真綿のような窒息をしそうな、世界観が濃厚。読んでて、正直、正の感情(わくわくとか、安心とか)は湧かなくてただ薄ら怖く悩ましいんだけど、例えば人にオススメするかと言われたら、読んでみてほしいと思う。すごいものを見た、という畏怖のような魅力がある。 物語の結末は、私はただただ空虚に思えた。死後を想像するような空恐ろしさがあったけれど、そもそもこの結末で死後を想像することのマルバツこそがこの物語の要で、なんだか思考がぐるぐる回ってしまう。 ラストのあの社会の完成度はすごく怖くて、つまり完成することって死、だよなぁみたいな。 苦しくっても生きてたいんだ派にとっての救いは、あの理想的な社会が、あんなタグを用意して、あの物語を読むこと。なんでそんな選択をしたのだろう、と思うと、うまく言えないけれど、まだそこに理想社会のバグや不完全や不安要素があるんじゃないかという気がする。人々は要求されない喜怒哀楽を摂取する手段を残した、それがなんだか不可解な気がして。そしたら、そういう所や新しく個人が産まれていくその突然変異の揺らぎから、いつかなにかが動くんじゃないかという予感があると思う。 ただこれは一読した後の直感的な印象だから何か誤読があるかもしれないけれど。
0投稿日: 2014.12.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
http://koedamebiyori.blog.fc2.com/blog-entry-349.html
0投稿日: 2014.11.25
powered by ブクログ舞台は、病気が駆逐された、個人の健康=公共の財産(?)とされている近未来。発想は面白いけど、オチはなんかありがちな感じ。あと、男性が思春期の少女の内面を描くのは無理があると思う。
0投稿日: 2014.11.06
powered by ブクログおもしろかった~~~~!!! SFチックであり、推理小説のようでもあり…。 まさか前作と関係があるとは。。。 途中から真実に向かって展開し始めると一気に読み終えたくなってしまう。 もっと伊藤計劃さんの作品を読みたかったな。 自己とは、自分を自分たらしめるものとは? 考えさせられる作品です。
0投稿日: 2014.11.03
powered by ブクログ電車で読むと睡魔に襲われる。 程度の読みにくさはある。 SFでありながらリアル感がある。 ゲーム好きの人が好きそうな話。 前作が言葉で今回が意志。 次が読めないのが悔やまれる。
0投稿日: 2014.10.08
powered by ブクログわたし、わたし、わたし。意識とかまぁ自意識とか、社会性とか自然的であることとか。いつでも<わたし>には扱いきれずに持て余してて困ってるのに、それでもバッドエンドなんじゃないかと思う程、わたしはわたしを手放せない。しかしなにより、伊藤計劃氏の作品はもう読めないのが一番つらい!という読後な今。「虐殺器官」も「ハーモニー」もすごく好みな世界観のSFで、「メタルギアソリッド4」のノベライズ版も含めて文章もすごく好きなのに!むぁ!
0投稿日: 2014.10.01
powered by ブクログ人間は自分たちの体を、体内の機械と「生府」に管理させる社会形態を生み出した。そこは病気や怪我もない、傷つけられることもない、安全で幸福な世界…。しかしその世界をどうしても受け入れられない少女たちがいた。その少女の内の1人がやがて成長し、また物語は廻り始める。 タグがいきなり書かれていて「かなりSF色が濃いのかな?」とも思いましたが、さほど読みにくさはなかったです。近未来のような設定できちんと盛り上がるストーリーなのですが、現代社会に向けたメッセージ性が強い印象です。全体的に暗く、グロテスクな描写もあるので苦手な方は注意です。
0投稿日: 2014.09.28
powered by ブクログWatchMeインストール前後の人間達で起こる対立とか、続編を楽しみにさせる世界観だったが・・・伊藤 計劃, R.I.P.
0投稿日: 2014.09.24
powered by ブクログ高度に設計された医療社会のお話。人間の『意識』が一番のテーマ。ただやはり難しい内容。もう一回読んでちゃんと内容を理解したい。
0投稿日: 2014.09.15
powered by ブクログ身体が公共性の一つのリソースになる社会 http://on-the-road.co/?p=2206
0投稿日: 2014.09.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
低めの★三つ。読んでる最中はもっと高評価だったのだが……。 SFはそれほど得意ジャンルではないが、書店でチラチラ目に入ってくる本書が気にはなっていた。 日本人初のフィリップ・K・ディック記念賞特別賞受賞および来年劇場アニメ化ということで、この機会にと手にしてみた。 物語として面白くなくはないのだが、読後しばらくすると、所詮アニメ/ゲームから脱していない作品という感想のほうが強まってくる。(私はゲームはしないし、アニメはごく一部の作品だけを好む。そんなヤツに言われたくはないだろう、もっともだ) エンターテイメント作品なのだから、楽しんで読めればそれで十分なのだが、たとえば、ロシア兵に陵辱のかぎりを受けたチェチェンの意識を必要としない民族等、「えー、何ソレ?」とげんなりさせられてしまうのが残念。その設定必要? 虐殺器官を読むかどうか大いに迷うところ。
1投稿日: 2014.09.08
powered by ブクログ病気にならないよう死なないように徹底管理された世界。痛みを感じる事もない。そんな中、自殺願望がある女の子が独自で製作した薬で自殺をしたのだが実は…意識を必要としないで生きていく世界って虚しさを感じそうだが精神病になってる感じなのかな。深い意味で想像し難い内容でした。
0投稿日: 2014.08.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
虐殺器官の最後でおきた大災禍のその後の世界について。三人の女の子の会話から始まり、うち一人の女の子を主人公として話が展開する。人の体に埋め込まれたWatchMeという体内恒常性監視装置によって、人は病気もけがもほとんどしなくなった。足りないものもすぐにわかるようになって、くするやサプリメントが機械からすぐに出てくる。食事のメニューも考えてもらい、全てを外注に出した人間世界。それを疎んだミァハという女の子。死んだと思ってたのに死んでなくて、世界を虐殺の世界に導こうとしていくのかと思いきやまさかの逆。完璧なハーモニー的意識の社会にしたかった。そのためのスイッチを押させるためにそんな状況に追いやった。一人一殺。できなければ自分で自分を殺すような意識を送り込むよという予告。最終的に主人公トァンはミァハの元へたどりつき、なぜこんなことをしようと思ったのか、話を聞いて、死んでしまった(間接的にミァハのせいで)父と友人キアンの復讐としてミァハを殺す。けれど、ハーモニーのスイッチは押されてしまう。人は自殺をしなくなり、争いもなくなった。怒りなき笑うけれど、それはロボットのそれと同じことで、内面が完全に消滅してしまった。人間はなぜ人間なのか、そういう話。この手前に呼んでたのも川上弘美さんの七夜物語で、その中であいまいなものがあってこそ人は人であるんだなっていう感じの話があったから、通じるところのある主題だったなーと。まあ七夜物語はそれだけがメインテーマじゃなくて成長を描いていく話だったから掘り下げ具合が全然違ったけど。喧嘩はいけない、自殺もいけない、苦しいことは嫌だ。考えるのがつらくても、そういう部分があってこそ人は生きていて、人生としての楽しみを味わえてるんだなって思った。辛いことを全部投げ出して、幸せな世界に身を置いていることは、はたしていいのか、生きていると言えるのか。そう考えると、これからの生き方が少し変わる気がする。かな。笑
0投稿日: 2014.08.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
同じ作者の前作、虐殺器官よりも読みやすく、 全体的に漂うクリアな世界観の中で最後まで読み薦められました。 色々考えさせられることの多い、しかしエンタメ小説として面白い良い作品だったと思います。
0投稿日: 2014.08.03
powered by ブクログAmazonで評価が高かったため、読んでみたが、意味不明で何が面白いのか分理解できなかった。 なんとなく安部公房の箱男を思い出した。。 万人受けする本ではない。
0投稿日: 2014.07.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とても面白かった。一気に読んでしまった。SFとして、飛躍なことはなく、現実からの論理の積み重ねで世界観ができていた。その世界観はリアルで引きこまれた。 ハーモニーの極地の世界は、きれいなバイオハザードの世界のように感じた。
0投稿日: 2014.07.12
powered by ブクログ時間かかりすぎ。 読んでは寝てしまい、寝ては読み直し、わからない描写も多くて。この説明必要?的な文章が多い。 期待したけど、伊藤さんの本は自分には合わないようだ。。 残念。
0投稿日: 2014.07.10
powered by ブクログ「病のない世界って、どんなだろう」 僕はそんなことを呟きながら、さっきコンビニで買ってきたシュークリームに齧り付く。ちなみに朝食だ。 「病気がなくなったって、死ななくなるわけじゃないんだろ」 蛹はコーヒーを飲みながら、そんなことを言った。朝食は先に済んだのか、もしくはスキップする気なのかもしれない。ソファの向かい側で、カップを片手にぱらぱらと本を捲っている。 僕は言う。 「長生きできる保証と、苦しまずに死ねる保証があれば、やっぱり社会のあり方は変わると思うよ。少なくとも医療の観点から見れば、理想に近いかもしれない」 「……朝っぱらから糖分と脂肪分を摂取しながら言うのはどうかと思うんだけど」 的確なツッコミだけれど、できれば言わないでおいてほしい。僕の脳細胞は、糖分を摂取しないと初動すらままならないんだ。 それはともかく。 蛹は先を続ける。 「でもさ、先生。これは、身体のことだけじゃないだろ」 どういうこと、と問う代わりに、僕は首を傾げる。 「お互いに傷つけないように、思いやって、大事にして、そのために互いのことがよく分かるように個人情報を売り渡して、っていう話だろ」 「それが不満?」 カスタードクリームと格闘しながら、僕は問う。 「気持ち悪いね」 蛹は吐き捨てるように言い、コーヒーを啜る。 「結局、思いやりとか、優しさとか、他人の痛みに寄り添うとか、聞こえはいいけど全部、自分と他人の境界を曖昧にしていくことじゃないか」 なるほど、と僕は相槌を打つ。 「それが、お前の言う、気持ち悪さ、かな」 「多分ね。他人が自分の感情を勝手にトレースして、でもそれは俺が本当に感じていたこととは違っているとしたら、結局感情ってなんだろうってさ」 心を守るために心を無くすという矛盾を、彼は気持ち悪いという言葉で表現したのだと思う。 じゃあどうすればいいのかなんて分からないけど、蛹なら、「人と人がわかり合う必要なんてないんだ」と切り捨ててしまうのかもしれない。心の守り方も人それぞれだ。 「ところで、もし誰かひとり殺さなければ死ぬ、ってことになったら、どうする?」 僕は、蛹が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、そんなことを尋ねてみる。 「うん? 先生を殺すかな」 ああ、やっぱりね。それが僕の役割のような気はしているんだ。今日もコーヒーは苦い。 「言うと思ったよ。でもって、お前はそのあとに自殺するんだ」 「そうだよ。だって、下らないし」 それ、僕は死に損じゃないかな。 僕も、誰か殺しておいた方がいいのかな。でもそうすると、殺す相手は蛹くらいしか思い浮かばないし、それが多分、彼が期待している次の言葉なんだと思う。 だから、言ってやらない。絶対に。
7投稿日: 2014.07.07いまいち
『虐殺器官』があまりにも良かったので購入したが、こちらのほうは今一つだった。現在、私たち自身が苦しんでいる問題がすべて解決された世界を批判する主人公たちは、若干金持ちの遊び的な感じで、ぴんと来なかった。大体女の子ってあまり中二病にかからないのにな、みたいな感じがした。文体も新しすぎて、私にはあまり美しいと思えなかった。
1投稿日: 2014.07.02
powered by ブクログすごい。あくまで現実の延長線上にありうると感じさせるロジック。驚異の発想(「ハーモニー」という[ユートピア∧ディストピア]の世界)。「虐殺器官」よりも好きです。
0投稿日: 2014.06.30
powered by ブクログ虐殺器官の世界観をさらにすすめた作品。もはや想像の世界でしかない近未来は、病気がなくなり身体に悪いお酒やタバコは悪で、それらを駆逐する圧倒的な善により不自由で健康な生活を送る世界の人々の話。ミァハとかトァンとか読めない名前で物語が記号化されてしまい、なかなか感情移入することは出来ないけれど、ハーモニーやプライベートといった言葉の意味あいが変わってしまっているっていうのが興味深かった。
0投稿日: 2014.06.29
powered by ブクログ哲学的ゾンビ問題を扱った作品 wikiより 「物理的化学的電気的反応としては、普通の人間と全く同じであるが、意識(クオリア)を全く持っていない人間」と定義される。 普通の人間と哲学的ゾンビの唯一の違いは、哲学的ゾンビにはその際に「楽しさ」の意識も、「怒り」の意識も、議論の厄介さに対する「苛々する」という意識も持つことがなく、“意識(クオリア)”というものが全くない、という点である。哲学的ゾンビにとっては、それらは物理的化学的電気的反応の集合体でしかない。
0投稿日: 2014.06.26
powered by ブクログ序盤ミァハの発言がいちいち思春期すぎるわ…と思いながら読んでた所を3分の1あたりに起きる展開からガッとひきこまれた。虐殺器官でちょっと感じた蛇足感も少なく、こう言うと語弊はあるけど構成の上位互換というかレベルアップ版という感じ。あとやっぱりオチが好みです。2作が管理社会物だっただけにそれから抜けた屍者の帝国が…ほんと…伊藤版だとどうなったのか…と…。
0投稿日: 2014.06.25
powered by ブクログSF。 前作「虐殺器官」の続きにして伊藤計劃の遺作、になるのかな?? 虐殺器官の最後に訪れた世界の大混乱のあと、人類が平和と「人間というリソース」の重要性に気づき、世界は「生命主義」の時代に移行する。 「生命主義」社会においては、隣人を愛せよ精神が世界のスタンダードになり、「善」が蔓延する。 息苦しい「善」の空気に違和感を感じる女子高生3人がそれぞれの方法で「生命主義」社会にアクションを起こしていくストーリー。 結果、人間が思考をやめ、論理的に導かれる自明の選択肢を遂行することしか世界に調和が訪れない、という答えが導き出されていくのは切ないなあ。 また、今ある現実と、この小説で描かれる世界がそんなかけ離れていなくもない、というのが少々怖いところでした。
1投稿日: 2014.06.08
powered by ブクログ意識の必要ない世界で生きるってどういう事なんだろうね。 個人的には虐殺器官の方が面白かったんですけど、読みやすいのはこっちかもしれない。 健康が宗教の世界っていうのはこんな感じなんですかね、身体が生命活動を続けてさえいればそれだけでいいとされる世の中、望んで管理される世界。 スイッチを押した老人達すらもただ息をするだけの生き物になったと考えたのですが、個を捨ててでも得たい秩序は一体誰のためのものなんでしょう。
0投稿日: 2014.05.25
powered by ブクログ伊藤計劃「ハーモニー」読了。「虐殺器官」の鼻につく中二病っぽさと、浅学な知識つまみ食い感丸わかりな所が良い形で希釈され、ちゃんとしたディストピア系SFになっていた。中でも意識に関する問題定義はヘンに考えさせられる。むう。
0投稿日: 2014.05.14
powered by ブクログベストセラー『虐殺器官』の著者による“最後”のオリジナル作品。21世紀後半、〈大災禍〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は見せかけの優しさと倫理が支配する“ユートピア”を築いていた。そんな社会に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した……。 それから13年後。死ねなかった少女・霧慧トァンは、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、ただひとり死んだはずだった友人の影を見る――『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。日本SF大賞受賞作。 ・レビュー 面白かった。『虐殺器官』とどちらが上だろうと、ちょっと考えたりもしたのだけれど、そういう比較の仕方はうまくいかなかった。『虐殺器官』が物語を通して人類が持つ破壊のエレメントの暴走をアクション映画のように面白く描いていたの対して、『ハーモニー』は突き詰めた哲学と論理が表にあってどこか心地良く雰囲気が演出されている。いろいろな部分が対になっている二作だけれど、面白さとか良さみたいなものは違うベクトルで伸びていて、個人的には『虐殺器官』『ハーモニー』の二作が揃って初めてひとつの作品かなと思う。 しかも、もっと言えば、『虐殺器官』が先にあるべきだと思う。単体でも読めるし、順序が逆でも読めるけれど、『虐殺器官』は現代の現実世界をベースにして読むことができるのに対し、『ハーモニー』は現実世界の社会問題や風潮をベースにすることはできても『虐殺器官』の時のようにリアルそのものをベースにするのは少々難しい。リアルがベースにある『虐殺器官』、そして『虐殺器官』の世界をベースにした『ハーモニー』というふうに読むのが最も世界観を描きやすい。 内容は、人類の個々の命が社会のリソースとして高価値になり、自己が自己を人質に取り健全であることを開示することで調和を生み、健康な心と肉体がWatchMeと呼ばれる体内の恒常性を監視する分子や、その他の様々な技術とルールでマネジメントされ、病気は消え誰もが健全になった世界を描いている。『虐殺器官』の後に起きたとされる「大災禍(ザ・メイルストロム)」という荒廃した時代を乗り越え、人類はそのようなことが二度と起きないように常軌のような徹底した社会を作り上げる。 そんなユートピアが、じっさいには幸福なのかというのが最大の問題提起であり、この作品のテーマだと思う。その一方でそれを打ち壊すような事件も起きる。主人公はその謎を追う。 ストーリーとしても面白いが、SF的な描写としての面白さもある。クラークの『幼年期の終わり』のような未来感だとか(ある人はグレッグ・ベア『ブラッド・ミュージック』のようだとも言っていたが未読なので言及しない)、個人的には瀬名秀明の『デカルトの密室』のような雰囲気も感じた。 『虐殺器官』同様、考えることがたくさんあることも面白さの一つだが、『虐殺器官』とは違う面白さとして、作品全体の雰囲気も感じ取って欲しいところだと思う。 ネタバレ有りの考察やレビューは、「哲学のプロムナード」というはてなブログで書きます。
1投稿日: 2014.05.13ディストピア小説としての現時点での一つの回答
テクノロジーが進化して、個々人のあらゆる病気が駆逐された未来を舞台にしたディストピア(見方によってはユートピアなのかも)小説。現実世界でのサラリーマンの企業による健康管理を極端・徹底的にして全人類に適用したような世界が舞台。主人公たちは、そんな体制に陰で反抗する女性(少女)たち。そこで起きた、ある意味必然性をもった大事件とは。 文体としてはやや取っつきにくい感じもあるが、読み進むうちに気にならなくなる、非常に強烈な魅力を持った作品。エンタテイメントでありながら、(著者の境遇も併せて)考えさせられる問題作。 このSF小説はすごい。P・K・ディック賞特別賞も当然か。どうしたらこんな小説を考えつくのか。伊藤計劃氏の底の知れなさは慄然としてしまう。早世したのは本当に惜しかったと思えるが、死期が近いことを悟っていたからこその作品かもしれません。 SFファンなら必読、そうでない人にもお勧め。「虐殺器官」を読めた人なら、抵抗なく読めると思います。 そういえば、「虐殺器官」共々アニメ化されるとか。実写での映画化はちょっと難しいのではないかと思っていたので、アニメ化は当然と思われますが、気をつけて演出しないと、総スカンを食いますね、これは。
7投稿日: 2014.05.11
powered by ブクログ話がちぐはぐしていると感じた。 ミァハは生府による福祉厚生社会を嫌悪していたのに最後に人類の意識を消し去ろうとするのは意味が分からない。 そしてトァンもまた社会やそこに生きている人達に倦んでいたはずなのに最後にその社会を守ろうとするのが意味不明。 評価は高い作品なので再読すればまた違った印象を持つかもしれないが現時点では上記の通り。
0投稿日: 2014.05.09
powered by ブクログ理想ってのは追い求めている間はその良いところしか見えていないものなのかもしれない。 葛藤は苦しくもあるが、私が私であるための必要不可欠なもの。 私たちがその苦しみから逃れたければ、それは自分を捨てることに他ならない。 私たちは未完成なもの。
0投稿日: 2014.05.07
powered by ブクログ面白かった。 管理社会からの逃避。って言うと薄っぺらいかもしれんけど、そういうテーマでくどくなかったんすよ、そこがすごい。
0投稿日: 2014.05.05
