Reader Store

総合評価

142件)
4.4
78
37
17
1
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    改めて、作家としての山崎豊子さんてよくも医者でもなく弁護士でもないのにこのような作品を書かれたことに取材や勉強をされたのと思いすごい人だと思った。 本の感想は、私個人としては、里見さんのように生きたいです。難しいですね、色々しがらみがあって!

    1
    投稿日: 2025.11.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    イッキ展開の最終巻。 あんなに憎たらしいと思ってた財前が何故か愛らしく感じられるラスト。 自分の身体も定期的にしっかりと点検しなければと思う。

    1
    投稿日: 2025.08.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    完読!!傑作ですよ! この作品が描かれたのは昭和中期。癌という病が一般的にまだ不治の病として恐れられており、医学もまだ未発達で現代のような緩和治療がない時代。大学病院の在り方として研究の学会発表とあらゆる症例のレポートがメインとなり、少なからずとも患者の扱いが現代とは異なり、悪い言い方をすれば研究材料だったのだろう。本書裁判における国が捉える『医師』の定義付けとしては『人の命を扱う重要な立場故に可能な限りの手段を用い治療努力をすべき』といった医療現場への警笛。そして、日進月歩である医療現場への尊重がある中での医師の立場と責任感の追求。医師である前に一人の人間であることを忘れるなかれ、といった現代医療にも近しい考えがこの頃はまだ不定着だったのだろう。人は皆考え方が違うし仕事への向き合い方も違う。求めているものも同じではない。財前と里見、正反対の二人が共通して持っていたものはお互いの仕事に対する信頼だけである。何だか寂しい気もするが、全てにおいて分かり合えることなんて絶対にないもんね。もっと上手くやれれば良かったのにね。地位や名誉に溺れないような人でありたいですね。

    145
    投稿日: 2025.07.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読んだ本 白い巨塔5 山崎豊子 20250518  後書き読んだら、やっぱり4巻以降は続編だった。しかも、財前勝訴への批判の声から続けたとのこと。やっぱりな。正直、裁判の行方としては、色々あったとしてもあんな難しい手術をして誤診って言われたら堪んないだろうって思ってしまう。そこだけで言うと、3巻で終わってた方がリアルだった気がします。  と言いつつ、夢中で読んじゃいましたね。今日だけで300ページ。財前の破滅を描いて溜飲を下げるってだけじゃこうはならないんだと思う。そもそも財前の独善も医者としてのプライド、人の命を救うってところから始まってて、それも難しければ難しいほど悦に入るってのは、悪じゃないんだよね。  そして、権力におぼれた人たちも、その根源に医師としての生命へのリスペクトが描かれてて、決して善人になったわけではないけど、底流にあるものにほっとしました。  次は「華麗なる一族」だな!

    3
    投稿日: 2025.06.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    圧倒的な濃厚な壮大なストーリーでした。 財前教授を自業自得、因果応報、医者の不養生など言ったらあまりにも薄いのだが、彼自身もこの白い巨塔の中で歯車の一つとして翻弄された犠牲者のひとりなのではと考えると完全に悪と決めつけられない自分がいました。 40年以上も前の話なのに今読んでも決して色褪せないと感じるのは時代背景、社会状況以外の人間ドラマが強く息づいていたことなのだと思います。 読み終わってもしばらくはなにか心に重くおりみたいなものがずーんと感じます。 また読み返すべき名作です。

    3
    投稿日: 2025.05.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    山崎豊子さん、ありがとう。 財前に可哀想な終わり方をさせないようにしてくれて。 主人公が最悪のヒールだったって話の先駆けじゃないかと思うくらい、大長編にわたって積み上げた財前の非道、悪行、愚昧の数々。 罪に問われなかったらセーフじゃないぞってことだ。 ざまぁみろ。

    67
    投稿日: 2025.04.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読み終わってしまった。裁判の個所は複雑だったけど、財前の亡くなる個所は何回も読んでしまった。わだかまりのあった里見と東が最期、手を伸ばし、最善を尽くす姿に感動する。 最期は医師として、正確な診断を遺す財前。教授選、学術選、何か諦めていたら若くして死すこともなく残念。 本当に良い小説だった

    3
    投稿日: 2025.04.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ある意味どんでん返しのない堂々たる展開なので、結末およびそこへの助走がそれまでと比べて少々こじんまりした感じがしなくもなく。 それでも日本の大衆小説を代表する一作という評価は間違いないかと。 しかしやっぱり三船敏郎を想起してしまうなぁ、財前には。何ででしょ?

    3
    投稿日: 2025.02.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    裁判と学術会議の選挙の両方を渡り歩いていた財前だが、選挙は鵜飼教授の政治もあり見事当選を果たす。一方裁判の方は、元病棟看護婦長の亀山や佐々木の受け持ち医の柳原らの証言により敗訴となる。その後財前は体調を崩し気づいた時には進行胃癌となり病に伏す。 総じてとても面白かった。医療小説であり政治小説でもある。当時の大学病院で行われていたあらゆる駆け引きが描かれており、手に汗握る展開だった。改めて感じたのは医者と患者の関係の大切さで、財前が訴訟されたのも術後診察もせずしっかりと説明をしていなかったからで、仮にそれをしていたら肺転移に気づかなかったとしても遺族は納得していただろう。現代だったらありえないが当時の医療現場ではそれが当たり前だったのだろう。最後食道癌の権威として教授まで上り詰めた財前が自身の体調の変化に気づかず裁判、選挙に没頭し進行を許してしまったのが彼の人生への皮肉だ。

    3
    投稿日: 2025.02.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    医事裁判というテーマの5巻に及ぶ大作を読み切って、今更ながら著者山崎豊子さんの取材力に感服する。医療と裁判という2つの専門領域を描かれている。一方で、名声と医学者としての誇りを併せ持つ財前という男を憎くもあり、神々しいとも思った。これほどのスケールと高潔な社会派小説はそうそう巡り会えないと思う。

    3
    投稿日: 2025.01.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    長い白い巨塔を読破した。もの哀しさを漂わせる読後の残り香がとても心地よかった。権力に囚われ、自身を酷使し、患者を蔑ろにした財前は、裁判に負け、癌を患い死すことで、社会的にも肉体的にも因果応報をくらう。しかしざまあみろで終わるような心情だけでなく、最終的に財前にも同情してしまう。あまりに長い道のりを共に追ってきただけにやはり淋しいような心地がした。これだけの長編であるからこそ、感じるこの気持ちを味わうことができて心から良かったと思う。

    4
    投稿日: 2025.01.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    全5巻読了。 あとがきを読んで、本作は一旦第3巻までで終了しており、その後に続編として、文庫本版第4、5巻が発刊されていることを知る。 本巻は後半から猛スピードで駆け抜く勢いでページをめくる手も止められないほどであった。 人間の生き方の凄まじさの一端を見させてもらった。

    2
    投稿日: 2025.01.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2003年版のドラマを先に視聴してから読了したが、やはり2003年版の配役は完璧だったように感じる。

    2
    投稿日: 2024.10.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    財前が病気になるところは、ドラマの印象が強くて、本の方の筋は忘れていた。 それもあって、なんだか新鮮な気持ちで読めた。 本人に癌であることを隠して延命治療をしたとして、どういうメリットがある? 死に対する準備も何もできないではないか。 ちゃんと伝えられて、その事実を苦しみながらも受け止めたのちにしか、自分の人生や死に対する整理ができないではないか。 昔の、病気を本人に隠すというおかしな思いやりは、やはりまちがっていると感じた。 最後はややきれいにし過ぎな感がある。 加奈子爆弾がさく裂しなかったことについては、実に残念だった。 2004.3.8 ドラマと並行して読んだので、多少入り乱れてしまっているが、面白い話だ。ともかくドロドロしている。人間の弱さも強さも描かれている。リアルだ。裁判や談合の場面が多く、読むのに手間取ったが、人間の欲には際限がないのだなぁと財前に対して思った。なかなか里見のようにはなれないのかもしれない。大人になってしがらみが増えると、物事は単純ではなくなるのだ。自分が正しいことをしても、それは必ずしも良い事態を招くとは限らない。里見は人間としては立派だが、夫としては不合格だと思う。

    3
    投稿日: 2024.09.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    仕事の同僚に借りて読む。同時期唐沢寿明のドラマが放送され、昨日観た?などと話していたことを思い出す。

    1
    投稿日: 2024.08.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ドラマを観てからいつか読みたいと思っていました、ようやくです。現代でも閉鎖的、封建的で難解であろう医学界、医療裁判をこの時代にここまで取材し、描いた著者には脱帽。 社会派小説の名作だと思います。

    1
    投稿日: 2024.07.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最後泣けた 呆気なかった 財前が権力へなびきながらも、時折不安になったりするところが細かく描かれていて、里見派か決め難かったな

    1
    投稿日: 2024.03.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今も何度もテレビで再放送されており、以前買ってあった原作を読みたくなり手にとった。 やっと5巻まで全て読み終えた。 財前が主人公だが、里見のどんな困難があっても 自分の信念を曲げない生き方が好きです。 特に4巻からは夢中になって読みました。 なお4巻5巻は読者の声によりできた続編だそうです。 題名の白い巨塔とは患者の死の経緯について正しい証言をしたものが大学病院を追われ、患者の診察に誤りを犯したものが、大学病院の名誉と権威を守るという美名のもとに、大学のあらゆる力を結集して誤診を否定し、大学にとどまる不条理とのこと。3巻より。

    19
    投稿日: 2024.03.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    五巻に及ぶ長い小説が遂に完結。 胸が締め付けられる。なんとも言えない辛い気持ち。 気づいたのですが、財前教授に感情移入し過ぎて、もっと活躍して欲しい。もっともっと困難に打ち勝って自信に満ちた物語を見せて欲しい。そう願いながらこの小説を読んでいたようです。 最期まで誇り高い態度で人生を駆け抜けた財前五郎に本当に感動した。 ありがとうございました。

    2
    投稿日: 2024.02.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最後は怒涛の展開だった。 学術会議選挙に勝ち、医療裁判や学内の政治に多忙な日日を送る財前に遂に病魔が… 最後は本作らしい結末だった。

    2
    投稿日: 2024.02.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    実際には、40年ほど前の新潮文庫、白い巨塔(上・下)、続白い巨塔を本棚から取り出して再読。 映画やドラマで何度も公開されて好評だった名作だが、原作は大阪の国立浪速大学医学部を舞台にした医事紛争裁判を深く抉った社会派小説。 大学医学部の医局内での派閥争いや医学界におけるドロドロとした内情などの中で翻弄される患者の運命。 医療技術の進歩により、原作当時(昭和37年前後)の医療知識や治療法とは隔世の感があるのは否めないが、癌というものに対して初見時には深い感情を抱かなかったが、癌というものを身近に感じる年齢になった今、ちりょおうや手術、解剖の場面などは身につまされる思い。 主人公の財前五郎をはじめ、同僚で裁判では対立する里見助教授、鵜飼医学部長、病理の大河内教授、担当医の柳原、弁護士の関口、死亡した患者の佐々木とその妻で告訴人の佐々木よし江など、他にも登場するすべての人間の感情が生き生きと描かれており、素晴らしいヒューマンドラマでもある。 数ある山崎豊子作品の中でも代表される名作。

    1
    投稿日: 2023.09.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シリーズ全体を通して思ったことは、特に4巻以降は裁判の話が多くて正直なところ冗長に感じてしまった。その疲れによって読み進めるペースが落ちたのは事実。しかし、解説によれば当初は3巻までの想定で作られたもので、読者からの批判を勘案して4.5巻を追加したようだ。確かに分量としては3巻までがちょうど良いと感じたし、それ以降の展開が5巻まで想定して作ったにしては何か違和感があると感じた。著者の言う植林小説ということになるだろう。そこから昭和40年代の小説に対する一般人の熱量を感じ取ることができたし、小説といえども作ったら終わりではなく、常にフィードバックを受けて変化する生き物のようなものと思える。そのスタンスをとっている著者は直向きであると思う。

    0
    投稿日: 2023.09.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    控訴審となった財前の誤診をめぐる裁判。 原告側弁護人・関口や、里見の努力によって、財前は窮地に… 控訴審に、学術会議選挙に、追われる財前に病魔の影が… 結局、財前がちゃんと診察していれば…ということなんだろうが。 本当にそうなんだろうか。 財前だからこそ、初期噴門癌を見つけて、手術することができたはずでないか。 佐々木庸平に死をもたらしたものは、財前だけによるものではないはずだ。 医者としてあるべき姿は、里見なのかもしれない。 が、財前のように教授がひとりひとりの患者にまで細かい目配りができるだろうか… 里見のようにすべての患者に同じように寄り添うことができるだろうか… 控訴審で原告側勝訴となるが、財前の言う様に、医師が訴えらることを恐れ、医学の進歩を阻むことになるかもしれない。 財前には最後まで戦って欲しかった気がする。 もう一度這い上がる財前を見たかった… 癌が不治の病と言われ、情報が少なかった昭和40年代に、50年以上たった今、読んでも違和感を感じない作品を書いた山崎豊子の取材力の凄まじさを感じる。 4巻、5巻は『続 白い巨塔』だったのか… 3巻までの社会的反響が大きすぎたことを受けての、続編だったのか。

    13
    投稿日: 2023.08.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一気読み。 財前の孤独が際立った最終章。 権力にら執着して、結局残ったものは何なのだろうか。 遺書が少しだけ救いというか、 医者としての尊厳みたいなものを感じられた。 根っこの部分は癌の究明だったろうにどこからこうなつてしまったのか。 作者のものすごいエネルギーを感じた。

    0
    投稿日: 2023.05.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    圧倒的。その一言に尽きる。 各人の心理と謀略を事細かに表現されてある。 財前の手術に東教授が執刀し、開腹した場面で得た感情はどんな言葉を使っても表現できない。

    1
    投稿日: 2023.05.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    通勤途中の電車内で読んでいたので、眠い日や飲み会があったりして遅々と進まなかったけど、この巻は勢いよく、外出時は早めに家を出て現地で読んだりしていた。 今読んでも全然面白かった。 タイトルが白い巨塔とあったので、大学病院の医療関係者の権力争いの様なものが中心だと思ったが、加えて医事紛争裁判がその割合を大きく占めていた。 裁判は互いの主張も理解出来るので良い悪いでは簡単に片付けられないけど、原告は進める過程で嘘偽りなく事実を事実として証言し、被告は名誉や権力を得るために事実を捻じ曲げる証言をするが、自分だったらどうだろう。 この様な選択は多くはないけど何度かあった。 普段の生活でも思いもしていない事を言い忖度する事もあった。 子供の頃に両親からいつも言われてた「人に迷惑を掛けてはならん」を思い出す。 今は定年を迎えたので全てが昔の話だ。

    3
    投稿日: 2023.03.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    圧倒的な筆力。 4、5巻が続編であったと解説にあったが、以前読んだときには見落としていた。続編なしにはここまでの満足感はないように思う。 財前の手術シーンの見事な表現、絶望的な状況が頭の中に映像として浮かび上がる。さすがとしか言いようがない。

    0
    投稿日: 2022.06.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    1-3巻が元の"白い巨塔"、4-5巻が"続・白い巨塔"。 大学病院内での教授の座をめぐる権力争いとその渦中で起こる医療ミスをめぐる裁判を描く。教授選挙の決着と医療ミス第一審判決までが本編、学術会議会員選挙と控訴審判決までが続編。 昭和の金と力の時代を描き切った作品。その意味では本編完結までが純粋な作品。 本編の医療ミス裁判の現実社会での反響が大きく、作成された続編では、裁判と主人公の身に起こる異変が並行して進む。結末は裁判と天命により主人公の人生にけりがつけられる一方、単なる悪役ではない誇り高き医療者の一面を示して終わる。

    0
    投稿日: 2022.05.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    因果応報と言えばそれはそうなんだけど、全体を読み終わった時、新教授も運命という大きな力に翻弄された人だったのかもしれないなぁ。とざまーみろというスカッとした気持ちだけではいられない後味を感じた。 あとがきを見て驚いたのだけどもともとは3巻で完結するところを付け足して4巻、5巻を書いたのだとか...。よくもうまく綺麗につなげたよなぁと感心した。あたかも元々5巻で完結するつもりかのような進め方だったので、あとがきの威力は大きかった。 5巻の終盤、生命というものに厳粛に向き合う描写、絶対的で厳かで止まったかのような時間、張り詰めてかつ静謐に流れる空気...このシーンがめちゃめちゃ良かった。その情景にのまれて僕も涙が意図せずぽろぽろと出た。 舞台が昭和なので現代の医療の常識やレベルは当時のものと比べて更に違った物、進歩した物になってるんだろうなーという印象は受けるものの、それらを差し引いてもずっしりと楽しめる内容でした。山崎さんの別の作品も絶対読みたいな。と思える文章でした。

    7
    投稿日: 2022.01.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    選挙の勝利。 裁判の敗北。 柳原にも、里見にも正義はある。 それが実った結果と言えるが、大学教授という多忙な中で、どこまで診察しなくてはいけないのか、ものすごく重たい投げかけだと思う。 僕はエンジニアなので、開発中はバグがよく出る。たくさんバグが出た時、納期が短ければ顧客と交渉してできる範囲で行う。 だが、医者はそれができない。治るか死ぬまで、全力でみることを求められる職業。 そして、患者が来るときはすでに何らかの症状が出ている負け戦であることが多い。 とても過酷な仕事だと思う。

    0
    投稿日: 2021.10.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    文庫本5冊目。思ったより早くたどりつけた。 医者として天才的な才能があるし野心もある財前。大学病院でのし上がるには政治力と金が必要。 医者として患者を救うため病気の研究に力を注ぐ里見。対照的な二人が信頼しあってるところがいいと思う。 裁判では、権力に負けそうになるがお金や圧力に気づいた人が証言するところがスッキリする。 時代が変わっても共通するところは多くあると思う。

    0
    投稿日: 2021.10.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    結末のバックにベートーヴェンの『荘厳ミサ』が湧き上がるように書き込まれてあり、救われた気がした。 解説にもあるようにそこに作者の意思もあるのだろう。 一人の人間として悪者といえども心の震えはあり、いつ滅びるかと不安にさいなまれている生き物なのだと。 当時(「白い巨塔」が連載されていた頃)、社会派小説は流行っていて私は松本清張氏を多く読んでいて共感や憤りを経験していたにもかかわらず、今回はまいった、あまりの臨場感に。 どろどろした人間関係に憤慨して読んでいると、胃がん手術のリアルさ、医師の頭の下がるような執刀の様子。かと思と法廷の緊迫したやりとり。大阪の商人のドラマチックな展開。 悪人の代表のような財前五郎、ヒューマニズムの、あるいは神のような存在の里見脩二。わかりやすい描きかたに舌を巻く。うーん、その他の登場人物もしかり。 「生み坊主のようにぬるりと頭をひからせた」財前の舅の又一。「鶴のような痩身」の解剖の大河内教授などなど。まるでアニメのようといってもいい。 しかし、作者山崎豊子氏は取材、予習と大変苦労された。だから内容に齟齬がないのだろう。また、一旦、第一審までで筆をおき、二年後続編を書いたということは、読者の反響、社会的影響によるという。 やはりすごい小説だ。大反響だったことは知っていたが、やっと私が読めた感。

    2
    投稿日: 2021.09.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    医事裁判では、新しい証言が語られ、徐々に真実に迫っていく。患者の家族が苦労を乗り越えて戦う姿を通して、命を蔑んだ医者に対する家族の怒りが伝わってくるようだった。 庶民こそ、命の重さを知っているのかもしれない。白い巨塔の後半は「生命の尊厳」が大きなテーマだと感じた。 しかし、患者の命が失われた後の争いだということが切ない。家族が裁判に勝ったとしても、真実が認められたとしても、患者の命は戻ってこない。 命の重さを、存在の大切さを、本当の意味で知ることができるのは失った後なのかもしれない。

    3
    投稿日: 2021.08.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    なかなか読み進みるのが厳しい展開でしたが、最後はさすがの読み応え。白い巨塔、というと、医者に対する悪イメージが先行しがちですが、そんなのではない人間の生き様、プライド、色んなものが迫ってくる、そんな読書体験でした。

    0
    投稿日: 2021.08.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    他の本と並行しながらですが、2ヶ月弱もかかって読みました!もう全ての語彙力を圧倒的という言葉に置き換えたい所存でございます。去年五話連続でやってたドラマのキャストでイメージして読んだので、財前は岡田くん。里見は松山ケンイチ。ケイ子は沢尻エリカ。東佐枝子は飯豊まりえちゃん。などなどが頭の中で物語を展開してくれました! 人間の命の尊厳さと地位や権力への欲望の共存する「白い巨塔」。この白い巨塔に敗北したのは里見や地方へ飛ばされた医局員ではなく財前だった。本当に圧巻。実際医学会がここまでのものかは分かはないけど、少なからずこういう風潮はあると思う。 全ての登場人物がこの物語を考えさせるのに必要な人物で、こういう人間がいたらどうだろうと思うキーパーソーンが本当に全て揃ってるなぁと。里見先生がなんだかんだ財前を尊敬してるところがめちゃくちゃ良くないですか?? 個人的に1番好きなのはケイ子。最後の方でこの人花森って名字だったんだとかしょうもないこと思ったのはさておき、結局財前のことを一番理解してたのがこの人。自分の語彙力でこのケイ子の凄さを文字で表現できない笑。とにかく聡明で物事の本質を見抜いていた感じがしてカッコ良かった。 あとは里見と東佐枝子の関係。佐枝子があの両親に染まらず純粋で真っ直ぐな里見に惚れるのがいい。でも友人によってできた壁をお互いが意識して、最後は佐枝子の方から会わないと決意するところが切ないけど意志の強さを感じてとても良かった。普通あんな両親に育てられたら、無理してでも地位を築きたいと思うけどなー。意志が本当に強い証拠だと思った。ここもあっぱれ。 またこの小説、里見が財前と正反対で焦点当てられがちだけど、関口弁護士もなかなか逸材というか憧れるべき人だと思った。患者の泣き寝入りを防ぐために、医学に素人な弱い立場にもかかわらず佐々木家族のために、むちゃくちゃ勉強して国平弁護士に立ち向かうところとか。里見が医者としてのあるべき姿を見せつけたなら、関口は弁護士としてのって感じがした。というか、財前側に立たずに証言した方々皆すごいよ。柳原くんもよくがんばったよ。運が悪かったねー。 この小説では医学という人を救うための学問においても人間のいろいろな欲望が絡まり合って、プロとしてのあるべき姿を見失ってしまう設定だけど、医学界以外にももちろん通ずるものがあると思いました。やはり人間。技術があっても人情がなければダメ。逆も然り。本当の意味で敬われる存在になるためには両方兼ね備えないとなと!医学の基礎知識に加えて、医療裁判の難しさ、人間のあり方など多くを学べた最高の小説でした! 里見先生目指します! 

    0
    投稿日: 2021.08.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最後はなんかやるせなかった。 良い人も悪い人も必死に生きているということを伝えている。 この小説の時代では富と権力が人間の幸福であるという背景が濃い。今の時代では幸福とはなんだろう。 医療は神の祈りである。

    0
    投稿日: 2021.07.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    何も知らずに、ベートーベンのミサ・ソレムニスを(初めて)聴きながら、最終章を読んでいたら、ラストで里見にこの曲が聞こえてきたとの描写があり、驚いた。 財前のことは好きになれないが、あらゆる手段を講じて名声を得ようとし、裁判に勝とうとする姿勢は、欲望に素直とも言え、憎み切れない。 それにしても、この裁判は多くの人を巻き込んで誰も幸福にしていない。関口弁護士も罪な人だ。

    1
    投稿日: 2021.03.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ドラマは観たのでストーリーは全て分かっていましたが、それでも十二分に面白かったです♪全部で2000ページ以上ありましたが思いのほかすんなり読む事が出来ました☆

    3
    投稿日: 2021.03.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    まさかの終わりかたでした。 それまでの内容もすごく面白かったです。これが当時の日本で反響を呼んだのもよく理解できます。 小説を書くまでの下調べにかけた時間は計り知れないなと思いました。 ものすごい人間ドラマでした。 とにかく、一度は読んで欲しい作品です。

    6
    投稿日: 2021.03.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    【感想】 さて、ついに長編「白い巨塔」を読み終えました!! かなりの話題作でありながら、これまで1回も本作品に触れてこなかった自分にとって、とても新鮮味のある作品でした。 前半は、単なる財前のサクセスストーリー。 教授になるための競争や根回しに明け暮れ、かなり消耗しながらも無事教授の椅子をGETしました。 この時代ならではだったかもしれませんが、、、 医局の封建性や各々の権力者たちの利害関係のドロドロさ、総じて大学病院という組織の教授選挙の生々しさを描く作品で終始するのかな~と思っていましたが、話は中盤から誤診裁判へと変わっていきます。 (ちなみにこの誤診裁判は、一審こそ病院側の勝利で終え、連載当初はそれで一旦完結したらしいのですが、読者からの「これじゃやりきれない」等の厳しいクレームにより、続編を書かざるを得なかったと筆者は語っています。) 裁判やさらなる権力争いなどに消耗し、徐々に財前の歯車狂っていきます。 終盤は財前の凋落の様子が如実に書かれており、証言者である部下の報復によってついに誤診裁判で敗北、そして最後には自身が末期の癌患者になってしまっていたという皮肉たっぷりの結末に・・・ そして終末が近づくにつれ、財前の意識は混濁してゆき、医者という腕も確かでありながら、権力を追い求めた財前という人間の人生は一体何だったのか?と読んでいて考えさせられてしまいました。 ただ、最期は医者としての素晴らしさ、後世の医学に役立つよう自身の体を解剖してほしいと手紙に残したあたり、財前は強烈な個性こそありましたが、医者として医道に反した人間ではなかったのだなという事を感じさせられました。 名作という名に違わぬ、あとがきや解説まで非常に読み応えがある作品でした。 ちなみに・・・ 本書で「白い巨塔」に激ハマリしましたので、現在は唐沢寿明・江口洋介主演のドラマ版「白い巨塔」を視ています(笑) 既に6話まで視ましたが、こちらもとても面白そうですね!! 【あらすじ】 開始された医事裁判の控訴審は、原告側弁護人や里見たちの献身的努力によって、予断を許さない展開に。 そして、財前自身の体に不吉な病魔の影が…。 厳正であるべき“白い巨塔”大学病院の赤裸々な実態と、今日ますますその重要性を増している医事裁判に題材をとり、徹底した取材によって、人間の生命の尊厳と、二人の男の対照的生き方とを劇的に描ききった、社会派小説の金字塔。 【メモ】 p206 「でも、向こうには里見さんがついてるわ。一度口を聞いただけだけど、あの人は凄い人やわ。私みたいにどんな一流会社の社長にも有名人にも体を張って、操縦しようと思えば出来ないことのない人間でも、あの人だけはどうにも歯が立たへんわ。」 「あんたも誰に勝っても、最後は里見さんにだけは勝てないのと違うかしら」 ケイ子はさり気ない口調で言ったが、財前の胸に鋭く突き刺さった。 それは、財前自身が無意識のうちに心の底に持っている里見という人間への畏れのようなものだった。 p282 「江川、君は!君までが!」 法廷であることを忘れ、財前は大声で叫んだ。 絶対服従で将棋の駒の如く自在に動かすことの出来た医局員が、こともあろうに、柳原一人のみならず、また一人、自分に向かって反逆の弓を引き、法廷にまで出てくるとは… p311 「今回の判決は、今後の医事裁判に一つの方向を示す社会的に極めて有意義な判決です。しかも封建的、ギルド社会ともいうべき白い巨塔に鋭いメスを入れ、診療・研究・教育の指導にあたる国立大学の教授なるが故に、厳しく責任を追求された点、まさに会心の判決だと思います」 p333 「君からではお願いしにくいのなら、僕から東先生にお願いしてみようか」 「うん、頼む…」 財前は感謝するように頭を下げ、あとは人目を憚るようにそそくさと廊下を歩き、足早に立ち去っていった。 その後ろ姿を見送りながら、里見は、人間的には多くの欠陥を持ちながらも、癌専門の外科医として優れた才能を持っている財前が、皮肉にも早期に癌を発見する時期を逸してしまった怒りが激しく込み上げてきた。 なぜもっと早く検査を受けなかったのだ、検査さえ受けておればもっと早期に見つかっていたのに! p342 かつてこの同じ手術室の手術台で、何百人もの癌患者の手術をし、成功した財前が、どう救いようもない状態で横たわっている。 手術台を取り巻いている教授たちは、万策が尽きたことを知った。 「縫合・・・」 最後の断を下すように東が言うと、金井助教授をはじめ三人の弟子たちは眼に涙を滲ませ、手を震わせながら、切開した財前の腹部を閉じ合わせた。 p391 「里見くん、胃癌なら胃癌だったと言ってくれ。そしてそれが手術可能だったものか、それとも不能のものか、真実を教えてくれ。僕は医者だ、しかも癌専門医だ。その僕が、自分の症状の真実を知らずにいるのは、あまりに残酷だ!」 財前はベッドの中から哀訴し、取り縋るように言った。 里見はこれ以上嘘をつくことの白々しさと無駄を悟った。 p405 ・あとがき 昭和39年の連載当時は、現実的視点のもとの専門的な指導の結果、誤診事件にもかかわらず、医師側勝訴、患者側敗訴のどうしようもない非情な裁判を描いた。 が、判決について、多くの読者から「社会的反響を考えて、作者はもっと社会的責任を持った結末にすべき」という声が多数寄せられた。 そこで、既に完結した小説の続きを書くに至ったのだ。

    60
    投稿日: 2021.02.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    判決を言い渡されるあたりはドキドキしながら読みました。 最後100頁ほどはあんなに憎かった財前が可哀想になりました。 そして何よりケイ子さんのいい女っぷりが素敵でした。 泣けました。 読み終わりもよく、久しぶりに面白い長編が読めました。

    3
    投稿日: 2021.02.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最後の展開は読めなかった。 けど、財前五郎が最終的には医者の使命を全うしていたのは感動した。 財前五郎を囲んだ人間模様も最後の方のが味が出ている。 本当に良い作品でした。

    3
    投稿日: 2021.01.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    いやぁ~。ほんとうに時間がかかった。最近加齢のせいか(なんでも加齢のせいにする悪い年の取り方の例)集中力が持続せず、しかも、集中できる数少ない環境である通勤電車に乗らなくなり、チビリチビリ。途中全く読まない日が何日も続いたり、学術会議選挙の票読みや難解な〇▲教授の見解のあたりは斜め読みであったがとにもかくにも読み終えた達成感はほかのどの小説よりも高かった。テレビドラマ(唐沢バージョン)と重なる場面は映像が浮かび脚本も難しかっただろうなぁなどとよこしまなことを考える。 作者自身のあとがきにもあったが、これほどの小説を完成させるにどれほど綿密で膨大な取材と時間を要したことであろうか。まったくすごい小説である。 ラスト、財前自身が手の施しようのないガンに侵され決死の大河内教授宛手紙で目が潤む。 「なお自らがん治療の第一線にあるものが早期発見できず手術不能のがんで死すことを恥じる」 ドラマでは黒木瞳演ずるケイ子との情愛の場面が小説よりももっと深いもののように思えていたけど、5巻、五郎のガンを悟ったケイ子がひとりで思い出の場所に行き嗚咽を漏らす描写がより訴えるものがあった。 また、ドラマで財前危篤を知って病院に向かう里見に妻が「財前さんはあなたの親友ですものね」と送り出すシーンがやたら印象的だったが小説にはなかった。 それよりも小説最後に里見がなんとしてでも「親友」財前の命を永らえようと苦悩する姿がしみた。 傲慢で嫌な奴としか見えない財前に、ケイ子の前でだけ垣間見せる弱さや故郷の母へ仕送りするときだけがささやかな楽しみであるというあたりに、全くの悪ではないのだと、ホッとする。 なんだろう、人間の「業」とは。 また当時の東ドイツの情勢、黒部ダムなどの自然も丁寧に描かれていておのずと引き込まれた。

    1
    投稿日: 2020.12.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    大学病院を舞台にして繰り広げられた権力闘争、医療過誤の法廷闘争の幕が降ろされる最終巻。あとがきによると本当は三巻までで終わっていたはずが、読者からの反響の大きさにより続編として書かれたのが四、五巻に当たるという。前半だけで終わっていたら、これほど静かな読後感があったかどうか。 法廷闘争第二審の最中、あまりの財前の横暴ぶりにそれまで偽証を繰り返していた証人が自分の言を撤回する。しかし物証がないため信頼性に欠けるとされた時、「シヨウコアル」との電報が届くシーンは心揺れた。 悪逆を尽くした財前だったが、最後の最後は医者としての本分に立ち戻る。あらゆる面で遅かったのだけれど。 初読時は、医療過誤についても財前が絶対的に悪いと感じていた。でも読み返してみると、これで医者が悪いとされたらやりきれないかも、と思うことも。 もしも財前が手術後に一回でも患者に面会し、家族にも優しい言葉を掛けていれば訴えも起こらなかった気もする。実際家族も、「患者に対して不誠実な、人間味のない診察しか」しないことを一番問題視していたわけだし。 第二審結審後からの急展開、最後のページまでは他の用事が一切できないほど夢中に読んだ。名作。

    2
    投稿日: 2020.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    白い巨塔1ー5巻を読んで。 最後のシーンは泣けた。無念すぎて泣けた。もしかしたら、財前は患者を疎かにした、その報いを受けた。みたいな感じで捉える捉え方もあるかもしれないけど、正直それでも日本の医学会が失った人材の大きさ、これから財前が成し遂げられたはずのこと、財前の親のことを考えると無念で仕方がなかった。 やり方に問題はあっても、財前の実力を認める人はたくさんいたし、結局人の死はどんな形であれ悲しい いろいろと感情がごっちゃになって泣いてしまったけれど、どうして泣いたのか要素分解できてないからまた反芻しようと思う作品だった。

    1
    投稿日: 2020.08.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    Kindleのprime readingにて一巻が無料であったため、よく聞くタイトルでかつ医学についての知識がつきそうだな、ということから読み始めた。読むのが遅い私だが一巻は思いの外スラスラと読めてしまった。2巻からは有料となるがAmazonの思う壺だとわかりながらも、この最終巻まで読み終わる事に購入していった。 昭和45年たりの話という事で、私にとって2世代昔の大阪での医療政治の話という風に捉えて作品を見た。 特に、最終巻での裁判後の急展開には非常に驚かせられ、最終章はまさに5巻分のフィナーレを飾るような見事な結末であった。特に最後、夏の打ち上げ花火のようにクライマックスで上手く輝く作品であるという点において、ここまで人気で訳が頷けた。

    3
    投稿日: 2020.07.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読了。 全巻を通じて、財前と里見という、物語の二人の主人公とも言うべき人物の正反対の生き様が描かれている。 方や、権力の座を上り詰め、あらゆるものを手に入れようと権謀術数を巡らす、それとは真逆のたとえ名門国立大学の助教授という地位を失っても、医者としての信念を貫き通す。 財前は悪、里見は正義と、表面的にはそう捉えられるかもしれないが、実際にはそう単純ではない。財前には財前なりの正義があったことは、物語を読めばよく分かる。 改めて正義とは何か、何が正しいのかを考えさせられた。

    0
    投稿日: 2020.05.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    全五巻の感想。 人を蹴落としてでも野心剥き出しで叶えていく人、身の回りにいると思うので、登場人物を身の回りの人間に当てはめて読むと、感情移入の度合いが変わります。 里見のように生きていきたいものです。

    0
    投稿日: 2020.03.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    1審が始まって以降、財前の腐敗ぶりが描かれていたが この第5巻では財前の言い分も理解できるような書き方がされていた。作者はどんな‍を使ったのだろう。 そう考えていた矢先、突如の財前の死。 やりきれなさが残るラストでした。 それにしても「先生」と呼ばれる職業は難しいなと感じました。 勘違いしやすいのでしょうね。 医者、弁護士… 教員をテーマにした作品も山崎豊子さんに書いていただきたかった。

    0
    投稿日: 2019.12.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    派閥を経験したことがないので、内部に対してこれだけの力量を使う事が無駄に感じてしまうのが、率直な感想です。その分外部に使えば、どれだけ世の中に貢献できるのかと考えられるのは、今が恵まれた環境で働いているからかもしれませんが。 しかし、こういったドロドロ感満載のテーマを緻密な取材をされた上で筆を取られているのか、まったくもって飽きません。

    0
    投稿日: 2019.11.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    191110.時間かかったが読了。後書き読んで4.5巻は続編だったと知る。 財前さんのラストは泣けた。母親に恩返しが完了した後は何を生きがいにしていたんだろうか?周りの大人都合で忙殺された感があった。 裁判での財前さんの言い分はとてもよく分かる。訴えるべきは財前ではなく病院全体の話ではないか?里見さんも柳原も婦長にしたって遺族側に付いているが責任の一旦はあると思う。 そういう意味でもラストに引き寄せてくる持って来る感じが中立的な作者の立場が現れていたように思う。 裁判も決着がつききっていないのも良い点。

    0
    投稿日: 2019.11.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    凄まじい熱量を内包する労作が完結しました。圧巻の読後感は感無量です。 開始された医事裁判の控訴審は、原告(患者)側弁護人や里見たちの献身的努力によって、予断を許さない展開に。そして、財前自身の体に不吉な病魔の影が…。厳正であるべき"白い巨塔"大学病院の赤裸々な実態と、今日ますますその重要性を増している医事裁判に題材をとり、徹底した取材によって、人間の生命の尊厳と、二人の男の対照的生き方とを劇的に描き切った、社会派小説の金字塔。 終盤に来て、順風満帆だった財前にも転落の兆しが訪れます。ただ、憎まれ役の主人公に「ざまあみろ」という気持ちにならないのが不思議ではありました。里見も、このアクの強過ぎる友人を最後まで見捨てていません。決してきれいではない財前の生き様は、執念は、炎のように読者の心に焼き付きます。 この大作を医療や法律の専門家が書いたのであればともかく、そのどちらにも素人の作家が書き上げたのですから驚愕です。しかも当時は、医事裁判に関する資料が乏しかったことは著者自身も述懐しています。取材にいかに膨大な時間とエネルギーを要したかを想像するだけでも目が眩みそうです。長編と言いながら、読者が読んでいるのは著者の労苦のほんの片鱗でしかないと思わされます。 この作品の全編に張り巡らされた緊張感は、作者が全身全霊で執筆に当たった証左だと思いますし、その魅力は今も色褪せることはありません。近々ドラマが放映されるということも、注目度の大きさを物語っています。

    0
    投稿日: 2019.05.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    素人の私から見ても、この案件を医療過誤だと断定するのは難しいと思う。 要は被害者の心情なんだろう。 もしも同じ結果に終わったとしても、財前が患者に親身になって接すれば、あるいは親切なフリだけでもしておけば、告訴される事もなかったんじゃないか。 財前の敗因はすべてがそこにあるように感じる。

    0
    投稿日: 2019.04.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    完結。まさかの結末。いわゆる、悪人にはバチがあたるというか、勧善懲悪というか。輿論を気にして落としどころを探ったのだろうか。死を前にしてなお生に固執しつつも、自らの体を今後の研究材料にしてくれと頼むところがすごい。人の生死に真正面から取り組んでいる。なかなかできることではない。主人公の考えや行動は、作者の投影なのだろう。

    1
    投稿日: 2019.02.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    開始された医事裁判の控訴審は、原告側弁護人や里見たちの献身的努力によって、予断を許さない展開に。そして、財前自身の体に不吉な病魔の影が…。厳正であるべき“白い巨塔”大学病院の赤裸々な実態と、今日ますますその重要性を増している医事裁判に題材をとり、徹底した取材によって、人間の生命の尊厳と、二人の男の対照的生き方とを劇的に描ききった、社会派小説の金字塔。 78年版ドラマでは駆け足になっていた結末が、じっくりと描かれる。全体としては、原作の持ち味を生かした、よいシナリオになっていたと思う。

    1
    投稿日: 2019.01.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    久しぶりに再読。40年以上も前の作品なのに、全く古臭さを感じない。現代にも通じるテーマがあるものの、決して説教臭く無く、物語として面白い。 2019年6月4日 再読3度目。相変わらず面白い。前回の再読から10年近く経っているが、全く古臭くならない。

    1
    投稿日: 2018.10.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    これだけの大作を書き上げるのはどれだけ大変苦労があることか 医療分野しかり裁判についても難しく少し勉強したくらいではなかなか書けないであろう 唐沢さんが演じた財前、江口洋介が演じた里見先生、石坂浩二や西田敏行を鮮明に思い出す 伊武雅人と伊藤英明もピッタリでした 笑

    1
    投稿日: 2018.08.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    まったくの予想外の結末。 まさに因果応報。 これまでの悪の報いが全て返ってきた。 しかし、最期の最期で医者として本当の素直な気持ちになれたのか。 人間、誰しも最期は弱気になってしまうものかもしれない。 登場人物、ほぼ全ての人が最後は素直な気持ちになっていたのが清々しい。

    1
    投稿日: 2018.04.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    医事裁判控訴審判決とその後。 財前、里見、佐々木家、鵜飼、柳原、東教授のお嬢さん、ケイ子、そして東。 それぞれの人間味の深い描写に感動。

    1
    投稿日: 2018.01.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    完結。 控訴審で駒と思っていた柳原や江川に追い詰められていく財前は、まさに因果応報。人間というのは、謙虚に、誠実に、生きていかなければならないのだな。 財前の佐々木庸平に対する診療態度は責任を問われて当然のものだったと思うけれど、現実には医者がどんなに力を尽くしても、佐々木庸平と同じような結末を迎えることもあるのだろう。 そうした時、医者がどこまで手を尽くしてくれれば遺族は納得して、諦めることができるのか。 亡くなったのが大切な人であればあるほど、そのハードルは高いのかも。 何だか、考えさせられてしまうな。

    1
    投稿日: 2017.05.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    技術がありながらも手術しないほうが良かったとはどういうことなのだろうか。 やり直せるなとしたら、どこまで遡るのだろうか。 (以下抜粋) ○財前教授は余人が見付けることの出来ぬような早期癌をたった二枚のフィルムで発見し、  患者の生命を助けようとしたため、  現在の医学常識では考えられぬような早期胃癌の肺への転移という不可抗力に近い問題で、  診療責任を追及されている、  これほど、過酷で矛盾した話はないといえよう(P.69) ○学術会議会員になることが、学者としてプラスか、マイナスかは僕自身の人生観が決めることで、  プラスだと思えばこそ打って出たのだ、  そして立候補した限りは、たとえ対立候補を引き下ろしてでも当選してみせる(P.82)

    1
    投稿日: 2016.12.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    さんざん自分勝手な振る舞いをしてきた財前教授だけどどうにか助かってほしいと思わずにはいられなかった。 開腹した時の衝撃はどれほどだっただろう。 最期になって、担当医師の診察を信頼出来ない不安や術医に経過を診てもらえる安心を感じた財前教授はどんな気持ちだっただろう。 名作。この本に出会えてよかった。

    1
    投稿日: 2016.11.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    裁判でのやり取りが極めて医学用語でやり取りされており、作者の相当な取材による情報量に圧倒される。下された判決は今まで読み進めてきた内容からとても納得できる内容で、作者はここに相当気を配ったものと思われる。 後半、財前が悪いと知ったメンバーが、その派閥の垣根を超えて財前を救うために尽力する様には胸を打たれます。それにしても里見の執よう過ぎる裁判での原告側に対する助力が不自然。自分の証言が、偽証となった一審のこと事を悔やんでのことか。確かに原告の遺族は辛すぎる判決ではあったが。癌と言う病魔が身近に関わるようにならない、なっても医学の進歩で回復するような世になる事を念じるように読み終えました。財前のもう一人の不倫相手(名前失念)の伏線は結局使わず仕舞いですねぇ。

    1
    投稿日: 2016.10.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    医者のミスかどうか、医者の倫理、を裁判で問う。ワンマン社長が急に亡くなり、残された家族の生活と執刀した教授の生活の差、大学病院の封建的な仕組み風土、教授を取り巻く思惑、それぞれの弁護士の思い等、丁寧に描かれている。一審は財前教授方の勝訴、いざ控訴審は…佐々木側の勝訴。しかし、財前教授は、すでに末期癌。センセーショナルな結末。

    2
    投稿日: 2016.09.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    最高の完結。柳原は真実を話し、財前は枕元の東教授と和解ともとれる信頼を寄せながら、亡くなった佐々木氏への懺悔のような譫言を言いながら亡くなる。人物描写がとても深い。悪役の財前も里見を尊敬したり母を慕う心を持っている。得意になってメスを振るっていた財前が無力な患者になって怯えたり医師にすがる姿、自分の病状を知ろうと画策する姿は考えさせられる。この巻は続編らしいが、白い巨塔という言葉がやっと出てきて、2回とも非常に印象深い。当初、佐々木氏遺族の敗訴で完結してたなんて信じられない。 欲を言えば、東佐枝子は「東教授のお嬢さん」ではなく、医者かせめて仕事しててほしかった。あと華子は柳原についてきてほしかったが、やりすぎると作り話にもほどがあるからこれてよいのか。

    1
    投稿日: 2016.01.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    あの人は凄い人やわ、心の厳しさというか、何か侵し難いものがあるわ 医者の診察によって患者がどれほど心を安らかにするものであるかを、身にしみて知った。 明らかに肝性昏睡が始まりかけているのだった そこに人間の弱さというか、救われようのない業のようなものが刻印されているようだった 屍は生ける師なり 自ら癌治療の第一線にある者が、早期発見できず、手術不能の癌で死すことを恥じる 医療は神の祈りであることを忘れ、白い巨塔の野望に敗れた財前の魂を洗い浄め、鎮めるような荘厳なミサが、夜明けの清澄な光と一つに溶け合って、里見を揺り動かした

    1
    投稿日: 2015.11.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    医事裁判、控訴審の判決後、財前教授が病に倒れるのだが・・・周囲の彼に対する対応を読みながら目頭が熱くなった。社会派小説金字塔

    1
    投稿日: 2015.11.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    濃密な5冊だった。 裁判の行方もそうだけれど、後半の後半、財前の急速な癌の病状の悪化の描写が無常だった。地位と権力と保身に全力だった財前は決して悪人ではなかった。

    0
    投稿日: 2015.10.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    社会的には里見先生のような医師に思い入れを持ち、共感すべきなのかもしれない。にも関わらず、読みながら財前教授を応援してしまった自分を恥じるべきなのだろうか。 身近なテーマであるが故に、多くの読者が感じるところとはまだ別な思いが残ったのかもしれない。医師はプロであるが、神ではない。「社会的責任」とは何か? 財前教授が死の最後、自らの体を剖検に託す姿に心を打たれた。医師としてのプライドに。ただ、それでもやはり、医師も一人の人間にすぎない。

    1
    投稿日: 2015.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    悪どい策略などを、駆使し学術学会選挙や、医療裁判をくぐり抜けてきた財前。 どう落とし前をつけるのから気になったけど、まさかこうなるなんて。 ある意味美しい幕の引き方だったのではと思う。 里見の財前に対する友情と医師として、対立していた財前に親身に医療を行う姿勢に感動した。

    1
    投稿日: 2014.12.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ついに読み終わってしまいました。最終巻は特にあっという間でした。面白かった。 現代なら抗ガン剤やインフォームドコンセントの考え方は違うのでしょうが、やはりこの頃と変わらず医療を巡る問題は山積していると思います。色々と考えさせられる内容でした。 裁判の後の展開もすごかった。圧巻です。 面白すぎて、次に何を読めばいいのか悩んでしまうような作品でした。

    1
    投稿日: 2014.11.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    さすが、不朽の名作といったところか。 病院だけではなく、大学内の権力闘争、裁判と。 たくさんの要素が複雑に絡み合う。 このはなしが、文学部を舞台に~などでは大分難しいだろう。 テーマのチョイスも素晴らしい、 このあとで、動画サイトで田宮二郎版をみるとまさしく財前がそこにいた。

    2
    投稿日: 2014.10.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    あまりにも名誉を欲しすぎると道を踏み外す…。それにしても、医者というのは大変な職業だ。尊敬に値する。

    0
    投稿日: 2014.08.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    重たくて重たくて、読み終わるのにえらい時間がかかった。読後感がわけ分からん。すごい。ほんとすごい。 ただ、昼飯食いながら読む本じゃない。胃の全摘…カルジアクレブス…腹部を正中切開…なんて文章を読みながら食べる唐揚げの味ときたらもう。

    0
    投稿日: 2014.06.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    著者の作風は変わらず、善と悪が鮮明であって決して交わることはない。里見と財前の息詰まる対立の果てに、いくらかでも歩み寄りという結末があってくれたらと願う。

    0
    投稿日: 2014.06.12
  • 白い巨塔

    【ネタバレ含】医大の教授選に向けて東奔西走する第一巻から始まる財前助教授の浮沈が描かれる言わずと知れた作品。権力者の元に奔走する強欲さと、医学に接した時に見せる烈しさと自負、時折見せる郷里の母親への純粋な愛情、国際学会に認められてくすぐられる純粋な自尊心、裁判対策でみせる冷徹さ。。誰しも等しく持つ矛盾した欲と本能と感情の移ろいを誇張して一つの物語にプロットし、最期は自身のガンをして医学の発展に与する姿勢にメッセージを収斂させる美しい手法に感動した。ただ、長いっす。疲れます。

    1
    投稿日: 2014.05.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    里見助教授の失脚で一度は3巻で終わった物語。 後味は良くないが、物語としては余韻の強さが印象的だった。 4、5巻は財前教授が崩れていく。 単純な勧善懲悪ものっぽくなり少し残念。 ある意味、財前氏にも理があるところが考えさせる作品。

    0
    投稿日: 2014.03.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    全5巻の完結編。 控訴審に敗れた財前教授は、即刻最高裁へ上告。 だけど、末期進行がんであっさり死んでしまいました。 うん。 一気に読みたくなるお話で、最後まで勢いがあって楽しめたよ。 でも、なんだかスッキリしないようなしたような結末だねぇ…。

    0
    投稿日: 2014.03.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    山崎豊子シリーズひとまず終わり。 読みごたえがあって良かった。特に白い巨塔は私の生まれた年の作品でとても40年近く前とは思えない素晴らしい出来だと思います。

    0
    投稿日: 2013.11.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    232 本書が刊行されたのは1965年。当時は今ほど医事裁判はなかった。なのにこのリアリティー。加えて、著者が医療関係には全く素人であるというのに、綿密に取材され出来あがった本書。凄いとしか言いようがない。 同著者、読了2作目。

    2
    投稿日: 2013.11.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    環境に左右されない確固たる自分自身を持った生き方に勝るものはない、里見医師。 対照的に、毀誉褒貶に振り回され、名誉と欲望を求め続けた財前医師。 環境に適応することを目的に生きるのか、それとも使命に生きるのか。 自分に甘く生きるのか、自分に厳しく生きるのか。 一番大事なものは自分か、それとも自分以外の何かか。 周囲には利害に群がる人間か、それとも心から信頼し支えてくれる人間か。 花森ケイ子 「あの人はすごい人やわ、もっさりした服装をしてぼさっとしてはるけど、心の厳しさというのか、何か侵しがたいものごあるわ、私みたいにどんな一流会社の社長にも、有名人にも体をはって、操縦しようと思えばできないことのない人間でも、あの人だけはどうにも歯が立たへんわ、だから、あんたも誰に勝っても、最後は里見さんには勝てないのと違うかしらー」 弱い自分に打ち克てる人こそ、最も強き人なのだろう。

    2
    投稿日: 2013.10.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    医学界を題材に人間の本質を描いた傑作小説。 医療現場・職場の人間関係・友情・家族・恋愛・人間の生き方が巧みに描かれている。

    0
    投稿日: 2013.08.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    なんて非情理、さりとてこれが現実世界。 財前の最後の譫言は衝撃だった。医術に捧げた一生だった。 成績優秀な苦学生であった彼もまた、白い巨塔の犠牲者なんだろう。 日本の小説はハリウッドみたいな勧善懲悪ものって少ないんだよね。 でも「悪」の側である万俵大介とか財前五郎にここまで感情移入してしまうと、 最後因果応報な展開が来たときに受ける葛藤がすさまじい。 何が悪かったのか。 どこから間違ったのか。 それではどうすれば正しかったのか。 私はまたこれからしばらく、事ある毎に財前教授についてとくと考えることになるだろう。

    0
    投稿日: 2013.06.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    白い巨塔は、大好きな作家の一人である真山仁さんが、小説家を志すきっかけとなった本だとのこと。真山仁さんをもっと知りたかったのと、タイトルだけは知っていたこの本に以前から興味は持っていたので、この機会に読むことにした。 第五巻では、不覚にも涙。 財前は、小説の主人公ではあるが、その生き方が多くの人に影響を与えた。また、この小説を読んだ人が、小説が社会に及ぼす影響に感銘を受け、小説家になり、時代を経て、新たな社会問題を世に問う小説を生み出している。死してなお、生きる。世の中のどんな人のどんな死にも無駄なものはない。 医療現場の問題を露わにしたこの大作を読み終えて、社会問題だけでなく、人の人生について改めて考えた。素晴らしい小説です。

    0
    投稿日: 2013.06.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    何度もドラマ化された本書。いま読んでも、全く色あせない。大学という組織、それも国立大学、さらに数ある学部の中でもいまだに別格扱いの医学部、そのなかでも絶大な権限・権力・お金を握り続けているのが外科。そして、弱腰の厚生労働省の体質と姿勢。こうした状況は、本書が書かれた頃、いまだ何も変わっていない実態といべきか。 現在、山崎豊子氏が再度本書を書くとすれば、どんな主人公像になるのだろうか。やはり、国立大学医学部教授のポストに固持していくのか、それとも海外に飛び出し、さらに高みを目指していくのか、そんなことを思いつつ1巻から5巻まで一気に読み直した。

    0
    投稿日: 2013.06.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    財前教授はほんとにやなやつだけど、根っからの悪人ではない。本当は脆いし、母思いで、何より医学にはどこまでも誠実だった。大学病院が権力にまみれた世界でなかったら、きっと立派な医者だったんだろう。愛されて死んでいった。 最も信頼しているのが里見さんで、愛したのがケイ子、というのがなんとも深い。逆に里見さんやケイ子にとっても財前教授はそういう存在だと思う。 何を信念とするかは人によって様々で、一概に善悪でくくれるものでも他人が評価できるものでもない。それが人間なんだろうな。

    0
    投稿日: 2013.03.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    財前の死があっさりしたもんだな。黒部ダムに行こうと思わされた。それにしても医学と法学の取材量は物凄い。

    0
    投稿日: 2013.03.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ましてや、二審で勝訴させるとは 里見・関口側にも正義にたったものの狂気も感じられる 怖い 悪役も描ききる度量が山崎豊子にはないのが惜しまれる ハゲタカとか読んではいかがか 教授選のようなものをもっと書いて欲しかった 面白いんだけど、もう一皮剥けたのではなかろうかと 惜しい あと数十年生まれるのが遅いと良かったかもしれない

    0
    投稿日: 2013.03.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    医療現場の重厚なストーリーに、終始引き込まれていった。 財前の名誉欲の大きさは、責められることなのかどうか…。 医師は神ではない。 が、患者側は時に神にすがるように接する。 財前の心情は単に思い上がりでは片付けられないと思った。 原作は元々、第一審までで、それ以降は続 白い巨塔であったそう。 唐沢寿明主演のドラマが頭の中を駆け巡っていました。

    0
    投稿日: 2013.02.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読み終えて、寂寥感に溢れています。 元々、「白い巨塔」は3巻までで、4巻と5巻は「続白い巨塔」だったことを知りました。 確かに5巻までないとここまで感慨深くないでしょう。 続けて読めて幸せですね!!

    0
    投稿日: 2013.02.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    5巻あったのですが、あっという間だった。逆に言えば、簡単に読めるということかもしれない。財前は欲と権力にまみれたまるで悪役のような書かれ方をされていましたが、最後まで正真正銘の悪役ではなかったところが、物語の核としてとても良いと思う。1巻の最初に、こっそりと実家の母親に送金していたように。死が近づくと多くの人が必死に回復を祈ったように。 ここまでストーリーに重きが置かれた作品を読んだのはとても久しぶりだったので、あまりに読むのが楽で驚いた。読書をしたという感覚は全くない。ストーリーを追うのは最早読書ではなく文字の映画を見ているようなかんじ。文学としての意味と娯楽としての意味とを考えざるを得ない。

    0
    投稿日: 2013.01.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    了。 長かった物語が、ついに完結。一抹の寂しさも。 控訴審の決着には安堵するも……財前哀れ。まさに彼自身が“白い巨塔”に翻弄された生きざまを描いた、とも思えた。 時代背景からして癌告知が一般的ではなかったとはいえ………手術直後に自らの死期を知らされていたならば、残りの生を彼はどう生きたのだろう…との思いを抱いた。 ★4つ、8ポイント半。 2013.01.15.了。 ついに一線を越えることの無かった里見医師と東佐江子の恋に、安堵。 後書きを読み、筆者が医学知識ゼロから取材をしながらの執筆だったのだという事実に驚愕。海堂さんのように、元医療関係者だと言われたとしても、疑わなかっただろう。

    1
    投稿日: 2013.01.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    前半の野望編と後半の裁判編ともあっという間に引き込まれる描写がとても良い。ページの残りが少なくなるのが寂しくなる。 入社後にいた大阪の地名も懐かしい。

    0
    投稿日: 2012.12.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読了。 発汗依頼月日の経っている作品にもかかわらず、感じさせない面白さがありました。 ドラマを後追いで見ながらだったので、財前は毛深いっけかーとか、ケイ子はコテコテの浪花言葉じゃ無いのかしら?なーんて言いながらも、キャラも、しっくりきたので、より読みやすかった。 然し、無念のラストですなぁ。

    0
    投稿日: 2012.11.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    次々と読みたくなる第5巻面白かった。医療用語も多くあり、勉強になった。大阪を中心に舞鶴や金沢が舞台となり、自分が住んだことのある地域ばかりで少しびっくりした。まるで、戦国時代の武将の争いのような印象も受けた。人の命の尊厳さを強く感じさせてくれた。

    0
    投稿日: 2012.10.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    遂に最終巻。ということで、最終的な感想を。 財前のような名誉欲の塊みたいな医者でも、医者を志し始めた頃の初心は、おそらく皆が「多くの患者を救える医者になりたい」であろう。 だが、「ともだち100にんできるかな」と言いながらをピカピカのランドセルを背負った小学1年生が、クラスメイトに些細な悪戯を仕掛けるようになったり、毎日課される宿題に嫌気が差したりと、次第に薄汚れていくかように、財前もまた、大学病院という封建社会に身を置くうちに、初心を置き去りにして汚れていってしまったのではないか。 一見すると、大学病院の権力闘争でのし上がっていった、強欲で汚い教授に見える財前も、もしかしたら環境による被害者なのかもしれない。 ともすれば、大学病院の権力闘争とは何の関係もない我々にとっても、このような話はまるで他人事ではない。 小さなコミュニティでも、大きなコミュニティでも、何らかの社会に常に属している我々。そこで様々な価値観と触れ合いながら、どれだけの人が己の初心を、正義感を、最期まで貫き通すことが出来るだろうか。 そんなことを考えさせられる作品であった。 最後に、山崎豊子の取材力に敬意を表しておく。

    0
    投稿日: 2012.09.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    圧巻の全5巻。そのページ数ゆえ、最初の1ページをめくるのには躊躇いがあったが、一度ページを進めると途中で止める事ができず、あっと言う間に読んでしまった。 まず、本作品を書いたのが、医学関係者ではなく、医療について素人の著者である事に驚きを隠せない。そして刊行が昭和40年、書かれたのが昭和30年代とはとても思えない。 内容が現在の医療の内情とかけ離れていると信じたいが、本当に素晴らしい小説は時代を超えても色褪せないものとあらためて思ってしまう。 物語は勧善懲悪的な顔を見せつつも、ひとりの人間が過ちを犯す原因は本人だけに責任があるわけではないと言う、警告も与えているように思える。 また、最後に財前教授が見せる医学への姿勢に、罪を憎んで人を憎まずという言葉を思い出す。 ☆5としたいところですが、同著者の『沈まぬ太陽』『大地の子』と比べてしまい結局4つとしました。

    0
    投稿日: 2012.06.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    後書きを読んで初めて知ったのですが、4巻5巻は続編だったのですね。 もし、3巻までの話だったら やるせなさ過ぎる。。。 財前、自分の死期が近くなってようやく 患者側の気持ちが解ったなんて、何だかとっても皮肉です…。 最期まで、財前は財前だったけれど やはり胸をうたれました。 もしかしたら、周りにがんじがらめにされていた財前も 被害者の一人なのかも知れませんね。

    0
    投稿日: 2012.02.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    大学病院での教授選に誤診その他のドロドロしたことには必ず汚いお金が動く‼ 今ではそんなことはないと断言できるのかな?(´・_・`)

    0
    投稿日: 2012.01.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    何百人もの癌患者を救ってきた財前が、自身も癌に蝕まれてゆく。 裁判・選挙と自身の地位のための裏工作に納得いかないと思いながらも、財前の急逝には胸を痛め、もっと財前という男を見ていたかったと思った。この感情は里見が抱いているものと似ているかな。 再読も読み手が止まらない面白さ。また何年か後に読み返したい作品。

    0
    投稿日: 2012.01.04