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総合評価

260件)
4.1
80
106
52
7
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公は太刀洗万智というフリー女性記者。ネパールの記事を書くことになり、事前取材のためカトマンズに滞在していた。 そんな中、王宮での殺人事件が起きる(実際に起きた事件)。 取材のためある軍人と接触したが、ネパールの問題を海外に報道することは恥になる、自分に関係のない悲劇は読者に「サーカスの演し物」として消費されるのみである、という理由で情報提供を拒否される。 その後、軍人は何者かに殺され、万智が発見する。その背中には「informer(密告者)」と刻まれていた。 [軍人の死は王宮の事件と関係はあるのか?] 報道の意義や責任、さらには読者のリテラシーも問い直される作品。 見た目やイメージに騙されてはいけないということも。

    0
    投稿日: 2019.03.29
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    ネパールで王が死んだ。 ネパールの事件知らなかった。 真山仁さんの「雨が泣いてる」では、新聞記者として、何故記事を書くのかの苦悩を描かれているのに対して、この作品は、フリー記者として、何故記事を書くのか、が描かれてて、同じ記者でも心持ちが違うんだなぁと、考えさせられた。 私たちは、何故情報を求めるのだろうか。 それは、好奇心なのか、何かに心を動かされる為なのだろうか。 一種のエンターテイメントと言われればそうなのかもしれない。 結局、人間は自分本位な生きものだ。 それでも それでも、私は知りたいと思うし、わかりたいと思う。 それが自分本位であっても、知らないことは怖いことだと思うから。 最後の犯人は、よめていたにしても、衝撃でした。 当たらないで欲しかった。。。 本を読めば読むほど、自分は無知だと思わされるわ。 ネパールのこと調べて、実際にあった事件って知ってびっくりした。

    0
    投稿日: 2019.03.28
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    満願が素晴らしかったので読んでみたけれど、海外モノがあまり合わないのか、ミステリーとして入り込めませんでした。 本がどうというより、自分の得意不得意かな(^_^)

    0
    投稿日: 2019.03.23
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    面白過ぎた。久々に時間を忘れて一気読みした。カトマンズの街の情景が鮮やかに目の前に浮かび上がると共に、情報とは何かを考えさせられる秀作だ。騙されたと思って一読する事を強く勧めたい。

    0
    投稿日: 2019.03.19
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    満願に続く米澤さんでした。王家の話が掘り下げられるのかと思っていたら、もっと身近な別の感情が話を複雑にしようとしていたんですね。ミステリーですが報道とは?を問い掛ける作品だとも思いました。

    0
    投稿日: 2019.03.02
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    何かを伝えるということは 何かを伝えないということ。 その取捨選択は記者の手に委ねられている。 その言葉は何を生み何を壊すか。

    0
    投稿日: 2019.02.28
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    大刀洗万智はフリーの雑誌記者としてネパールへ取材に行きます。そこでは国王の暗殺という衝撃的な事件が起こります。取材を進めて行くうちにジャーナリストとして彼女の矜持が試される事態に巻き込まれていきます。この暗殺事件の内情を知ると思われる人物に接近するのですが… ニュースを書く側、さらに刺激的なニュースを求める大衆に煽れ、次々と事件を追うジャーナリストたち。取材を申し込むと、そのような現状をサーカスの見世物に例えた話をされ、突き離されるのですが、その場面はこの物語を象徴します。 貧困に喘ぐ国情と政情の混乱を背景にしたこの話は意外な展開が待っていて、彼女の冴えた推理に読み応えがありました。こうなると、大刀洗万智の最初の登場小説、「さよなら妖精」が読みたくなります。

    0
    投稿日: 2019.02.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    13 長編小説は苦手だって思った矢先にこんな面白い小説に出会って覆った笑 一気読みしてしまった~ 王とサーカスっていうタイトルが秀逸 報道とは、真実とは、に太刀洗が真っ向から挑む話 考えることが大事だと思った 印象的な言葉は 自分に降りかかることのない惨劇はこの上ない刺激的な娯楽 悲劇を消費している 飽きられる前に次の悲劇を供給しなければならない 裏が取れていない 事実は事実だけど繋げるのは読者の想像 読者はそう想像するだろうと考えて放棄してしまう 山があることに気づけばあとは大抵うまくいく 誇り高い言葉を口にしながら、手はいくらでもそれを裏切れる。ずっと手を汚してきた男が、譲れない一点で驚くほど清廉になる。 どれも当たり前のことじゃないか。あんた、知らなかったのか。 全部ハッとした。 あーーー面白かった!!! 2019.02.17

    4
    投稿日: 2019.02.18
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    ジャーナリストの太刀洗万智が出会う死と生を通して、ジャーナリズムとはなにかを考えさせられました。正しいと思って行った行為が、誰かを傷つけているかもしれないこと、それでもやらなければならないこと。"正しさ"を選び取るのは、いつだって難しい。 万智は、前作では守屋視点だったからクールな印象だったけど、今回万智の視点で描かれると思ったより情に熱い子なのだなと。それを思うとやっぱりマーヤとの思い出は切なかった。物語的にはどちらからでも読めるけど、わたしは前作から読んでよかったなと思います。あと短編集が1作あるみたいなので、楽しみ。

    0
    投稿日: 2019.02.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    このミス1位だったので期待感が大きかったのだが、特別な仕掛けやどんでん返しがあるわけでなく 普通に面白かったという感じ。 太刀洗万智シリーズとなっていくならば第2弾になる。 太刀洗が記者となりネパールにてフリーとして初めての記事を書くことになる。 ネパールの王族が大量に殺害される事件と平行して、一人の軍人が殺され太刀洗がその死体に遭遇する。 王族の事件とかんけいがあるのか、または自分に対する警告なのかという謎を取材の中で解き明かしていく。 軍人が殺された真相には辿り着くが、王族の殺人には言及がなくそういう事件があっただけの飾りのような感じが物足りなかった。 事件とは別にジャーナリズムとは何かを太刀洗万智は考えさせられる

    0
    投稿日: 2019.02.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    フリーライターの大刀洗万智はネパールの首都カトマンズのホテル「トーキョーロッジ」にいた。 滞在二日目事件は起こる。ネパールの国王一族が殺されたのだ。情報を出さない王宮、たちのぼる不穏な空気、ひろがるきなくさい噂。 フリーでの初仕事として万智はこれを取材しようとするが。 万智さんの探偵能力はすごい。 ちょっとした言葉や目の端に映ったものを記憶してつなげ、あらゆる可能性を導き、それを論理でふるいにかける。 冷徹な目をもっている、ということなんでしょうか。 ネットニュースなんかは特に「そんなこと書く必要あるのか」と思うものがあるけれど。 なるほど「報道する」ということにはあらゆる側面があるらしい。 「知るということ」について考えてしまう作品でした。

    3
    投稿日: 2019.02.02
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    ミステリーだけど、ジャーナリズムとか報道とはとか、一人の記者の葛藤と織り交ぜながら描かれていました。そして、周りの景色の描写がまるで香り立つように書かれていて、風景が本当に見える様でした。 本当にあった事件をベースにもう一つの事件が起こり、記者である主人公の太刀洗万智が記者として追っていく。どんでん返しの様な展開が最後まで続きました。 とても読みやすく、スラスラ読めました。 海外旅行へ行きたくなりました。

    0
    投稿日: 2019.01.31
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    『このミス』『週刊文春』ダブル1位を獲った本作、実は謎解きの部分に関しては、真相を知った後で読み返すといろいろ気になるところがあったり、動機の部分で首をかしげざるを得ない点があったりして、個人的にはそこまで完成度が高いとは思えませんでした。 しかししかし、本作のメインテーマである「ジャーナリズムとは何か」について、主人公である太刀洗万智とラジェスワル准尉の対決が非常に象徴的なのですが、情報を伝える側、受け取る側についての考察はなかなか興味深いものがあり、ミステリ部分の瑕瑾を補って余りある面白さがあったように感じました。私たち読者自身にも刃が向けられる展開もいいですね。考えすぎかもしれませんが、私たちが日々テレビなり新聞なりネットなりの様々な報道に接する際の姿勢を指しているのはもちろんのこと、実際にあった王宮事件をツマにしてミステリを楽しむ読者および著者自身に対する皮肉になっているようにも思えたのです。 米澤さんの作品はそれほど多くは読んでいないのですが、タイトルだけ見るとライトノベルじゃないけどユルめの作風の方なのかなあと勝手に想像していました。しかし本作はそういった雰囲気を微塵も感じさせない、渾身の一作であり代表作と言っていい出来に仕上がっていると思います。とてもいい小説でした。おすすめです。

    0
    投稿日: 2019.01.30
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    太刀洗万智シリーズ。とにかく評判が良い作品みたいだったのでちゃんとシリーズ最初から読んでから読み始めた。 ただのミステリではないな、と思った。報道とは何か、真実とは何か、ジャーナリストとしての在り方など。八津田の最後の言葉は特に印象的だった。当たり前といえば当たり前なんだけど。 謎解きの部分も丁寧なロジックで積み上げられて、真相に至っていく過程が面白く、事件が起こってからは一気に読んでしまった。早く続きが気になるけど読み終わりたくもなかった。アンビバレント。

    0
    投稿日: 2019.01.23
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    意外な真相、伏線回収、読者への課題提起もあり評価高い理由がわかります。だけど著者の特徴なのか起伏なく中盤まで長く感じました。自分にとっては満願のような短編向きの作者かな。

    0
    投稿日: 2019.01.20
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    最後まで結末が予想できませんでした。 謎が明らかになるという意味では最後スッキリしますが、気持ち面では考えさせられる部分が多く個人的にはある意味もやっとしてしまいました。異国の雰囲気を感じ取れるのは面白さの一つだと思います。

    0
    投稿日: 2019.01.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分自身が情報と向き合うときに、本当にそこに主体性はあるのかを考えさせられてしまう内容だった。 普段自分が見ているニュースや雑誌の記事それらを見たとき、自分は考えているのかそれともただ見させられているのか思い込まされているのではないか。このことを思い返したとき、圧倒的後者のほうが多いのでは無いかと感じた。 そして情報を享受する側だけではなく、発信する側として何かを伝えるとき、そこに主体性はあるのかもまた考えてしまった。発信させられているのではないか、発信したときの影響を自分自身が考えているのか、これに対して答えられる自信が自分にはまだない。

    3
    投稿日: 2019.01.03
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    ネパールで起きた王室での国王殺害事件。 たまたまネパールに渡航していたフリー記者の大刀洗万智は早速取材を開始する。 殺害したのは皇太子とも言われる中で、王宮からは「銃の暴発」情報が流れ、国民は正しい情報を求めて王宮前に集まり、今にも暴動が起着ると言った状況になっている その渦中で大刀洗が取材をした軍人の怪死体が発見される。 裸の背中には一言「Informer(密告者)」の文字が…。 読み解いたテーマは「正義」 記事に私見は挟まない。ただ事実を伝えるだけ。 しかしその記事を読んだ人はそこから連想をして解釈をする。 「お前はサーカスの座長だ。お前の書くものはサーカスの演し物だ。我々の王の死は、とっておきのメインイベントというわけだ」 報道における正義とは。 ミステリーとしても面白いが、その中でも素晴らしく考えさせられる作品。

    0
    投稿日: 2019.01.03
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    淡々とした語り口でクールな感じ。読みやすさは相変わらず。 こういうの好きっていうとオシャレな感じになりそう。(こういうの、好きです)

    0
    投稿日: 2018.12.30
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    薄暗い部屋で異国の音楽?祈りの言葉?で目が覚める主人公。無邪気な瞳の子ども、熱気あふれる街並み、人の喧騒。まるで昔の自分の日記を繰るように読み進める。自分の実体験から何かを思い出しそうなむず痒い気持ちになる。 たまたま滞在中のネパールで、主人公が「国王が殺害された事件」を取材する中で巡り合う人と人の心の動きや機微に触れた。最後の最後、少年サガルと対峙する場面は息を詰めて読んだ。主人公は泣かなかったけれど、私は、泣いた。

    0
    投稿日: 2018.12.24
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    (本書より)「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ」 主人公の万智がジャーナリストとして、葛藤しつつも成長していく。ネパールでの主要登場人物の声は、万智や報道にだけではなく、私たち観客にも突きつけられているような気がした。ミステリ、とまとめるには言葉足らずに感じる魅力的な作品でした。

    0
    投稿日: 2018.12.22
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    米澤さんの物語は読みやすい。なんでだろう。 フリー記者に転向した太刀洗万智は、ネパールの旅行記事を書く前入りのつもりで現地へ赴く。そこで突如起こる王族殺害事件。太刀洗はこのチャンスをものにできるか?しかし、彼女は1人の人間の死体を発見してしまい…! 中程で描かれるタイトルと同名章では、ジャーナリストという職業が根幹に抱える矛盾が突きつけられる。それが通奏低音となり物語を支えているのだけど、こういう構造がやっぱりうまいなぁ。 SNSがこれだけ発達した昨今、ジャーナリストだけの問題でもない気もしてくるね。別に必ず考えねばならない程ではないにせよ、少しは気にすれば少しだけ背筋がしゃんとする 構造が美しすぎるが故にクライマックスまでに 犯人が誰か は見当がついてしまうのが良くないかなぁなんて思いつつ最後の最後までホワイダニットで黒い思いを描き続けられ驚嘆と感謝の一冊でした

    0
    投稿日: 2018.12.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    〇 総合評価  ★★★★☆ 〇 サプライズ ★★★☆☆ 〇 熱中度   ★★★★☆ 〇 インパクト ★★★☆ 〇 キャラクター★★★★☆ 〇 読後感   ★☆☆☆☆ 〇 希少価値  ☆☆☆☆☆ 〇 評価  「ラジュスワルを殺害した犯人は誰か?」という謎について、極めて論理的な推理がされる。殺害に使われた銃を盗むことができたのは誰か、そしてラジュスワルを殺害したのは誰かという点。特にミスディレクションはなく、必然的に犯人は八津田になる。ここに意外性を与えているのは八津田についての他の部分での描写だ。八津田は、ラジュスワルに取材をしたときに、「何のために真実を伝えようとしているのか。」という質問に答えられず、迷い、悩んでいた太刀洗に、仏の教えという形でヒントを与えた人物である。非常に感じのよい人物として描かれている八津田が、麻薬の運び屋で殺人犯。これが大きな意外性になっている。八津田が犯人であると伝えた太刀洗に、八津田が最後に語る一言、「どうぞ心なさい。尊さは脆く、地獄は近い。」というセリフの後味の悪さ。八津田が途中、好人物として描かれているだけに、最後に太刀洗に冷たい言葉を掛けて消えていく八津田は深く印象に残る。  そして、さらに追い打ちをかけるようなサガルが仕掛けた罠。サガルと太刀洗には、友情、信頼関係があるかのように描かれるが、最後に明かされる真相。サガルは自分の兄を死に追いやった原因である「記者」を憎んでいた。そして、太刀洗に罠を仕掛け、「記者なんて連中はろくに調べもせず他人を引っ掻き回すクズだ。」ということを証明したかったのだと。「こっちが聞きたい。どうして憎まれていないと思ったんだ?」とか「上を向いて王様の話ばかり聞いていたせいで気づかなかったのかよ。」などのセリフ。憎しみに満ちた顔。「つまりあんたは、見ることも書くことも、やめるつもりはないんだな。」、「そうね、ないわ。」、「クソ野郎」という会話。なんとも言えない苦い読後感と、印象に残るラスト。ミステリとしての意外性はないが、小説としての意外性に満ちた作品である。 好みという点では、論理的には多少問題があっても、もっと外連味がある作品が好きである。そういった意味では、本格ミステリ的な要素が論理的な部分くらい。社会派的な要素があって、意外性は小説的な意外性だけ。苦い読後感は結構好きなんだけど、全体的に見て、そこまで好みの作風ではない。しかし、好みではなくてもすごいと感じた作品だった。やっはり傑作と言えるできだろう。 ★4で。 〇 メモ 〇 太刀洗がネパールで迎える朝 〇 太刀洗とサガルの出会い。太刀洗とロブの交流など。 〇 八津田と太刀洗の交流。一緒に天ぷらなどを食べる。この辺りの八津田との関係が、八津田がラジュスワル殺害の犯人であり、麻薬の運び屋だったことについての意外性につながる。 〇 サガルと太刀洗の交流。太刀洗はサガルにガイドを頼む。この辺りのサガルと太刀洗の交流が、最後の部分、サガルが記者である太刀洗を憎み、陥れる罠を張る部分の意外性につながる。 〇 王の死。ネパールの王家の多くの人が死ぬ。晩餐会で殺人があったという。犯人は皇太子。皇太子はその後自殺を図ったという。太刀洗は記事を書くように依頼された。 〇 太刀洗は、王の死を受けた街を取材する。ロブは「チーフ」がついているので大丈夫と強がる。サガルの案内で葬列に参加するなど、太刀洗は取材を進める。 〇 トーキョーロッジでのエピソード。ロブの様子が変わっている。チャメリとの会話など 〇 ネパールの王の死が報じられた翌日。太刀洗はラジオなどを買う。チャメリから軍人に会う段取りついてメモを受け取りサガルと話す。ネパール政府は王達の死を銃の暴発による事故と報道する。 〇 太刀洗はラジュスワルに会う。ラジュスワルは取材に応じない。ラジュスワルは太刀洗に問う。「お前の信念の中身は何だ。お前が真実を伝える者だというのなら、なんのために伝えようとしているのか教えてくれ。」と。太刀洗は明確に答えられない。「太刀洗。お前はサーカスの座長だ。お前の書くものはサーカスの演し物だ。我々の王の死は、とっておきのメインイベントというわけだ。」、「…だが私は、この国をサーカスにするつもりはないのだ。もう2度と。」 ラジュスワルは太刀洗に「手の届かない場所のことを知ろうとする権利」について聞いた。しかし、太刀洗は答えられなかった。 〇 太刀洗は取材の最中、INFORMERと書かれた死体=ラジュスワルの死体を発見する。 〇 ラジュスワルとの対話そしてラジュスワルが殺害されたことで、太刀洗は自分がしていること、報道の仕事に迷う。 〇 八津田は太刀洗が迷っていることに気付き、仏の教えの話をしながら迷いについてアドバイスをする。BBCが伝え、CNNが伝え、太刀洗が伝えることで完成に近づくのだと。この章での八津田の振舞いなどが、最後に八津田が麻薬の運び屋で殺人者であったことに意外性をもたらしている。この時点で、八津田はラジュスワルを殺害し、その忌意として袈裟を本式で着ていた。 〇 ラジュスワルの死について、太刀洗は警察の捜査を受ける。太刀洗が銃を撃っていなかったことが分かり、容疑は晴れる。警察から解放されトーキョーロッジに戻る。太刀洗の部屋はピッキングされ、誰かに入られていた(ロブの依頼によりサガルが忍び込んで銃を探していた)。 〇 牧野から電話があり、太刀洗はラジュスワルの死について牧野に話す。「ハゲワシと少女」のようになるかもしれない。ラジュスワルに取材を申し入れたのは太刀洗。そしてINFORMER(密告者)と刻まれたラジュスワルの死体。「記者(太刀洗)が軍人(ラジュスワル)を殺害した。」と言われてしまうかも。牧田との会話で太刀洗は引っ掛かっていた大切なことに気付く。ラジュスワルの死体は裏が取れていない。ラジュスワルの死が王宮の事件と関係があるという証拠がない。 〇 バランとチャンドラという二人の警察官が太刀洗の警護をすることになる。太刀洗と二人の警察官による取材・調査の一日が始まる。 〇 太刀洗と警察二人の3人は餃子屋に行って推理を語る。INFORMERと書かれた意味。試行錯誤の上、太刀洗は犯行現場がクラブジャスミンではなかったのかと疑問を抱く。 〇 太刀洗の案内で、太刀洗と太刀洗の警備をしていた二人の警察はクラブジャスミンに行く。そこで、ラジュスワルが殺害された現場がクラブジャスミンであったことが分かる。警察に協力をしたので、太刀洗は警察からラジュスワルについての情報を聞き出すことに成功する。ラジュスワルはプロの大麻の密売人だった…という噂があった。警察は太刀洗に「誇り高い言葉を口にしながら、手はいくらでもそれを裏切れる。ずっと手を汚してきた男が、譲れない一点では驚くほど精練になる…どれも当たり前のことじゃないか。あんた、知らなかったのか。」と告げる。 〇 太刀洗はアメリカ人の大学生、ラジュスワルの殺害に利用された銃がロブ・フォックスウェルが持っていた銃だということに気付き、確認する。そして、ラジュスワルの殺害に利用された銃をロブから盗み出したのは誰なのか。実際に銃を盗み出したのは客室の掃除をしていたゴビンという少年だった。そのゴビンを利用して銃を盗み出すことができたのは…消去法で八津田源信だけだったと気付く。 〇 ラジュスワルを殺害した真犯人。ロブの部屋から銃を盗み出すことができ、ラジュスワルをその銃で殺害することができたのは、八津田源信だけ。ラジュスワルを殺害したのは八津田だった。八津田は、トーキョーロッジを訪れた同朋に御仏の話を伝え、同時に彼らに大麻を持たせて日本に運ばせていた。ラジュスワルの密輸の相棒であり、手を引こうとしたラジュスワルを殺害した。太刀洗は八津田の話を聞いて救われていた。その八津田が麻薬の密売をした殺人犯だった。ラジュスワルは誇り高い軍人であり同時に金に汚い小心な密売人だった。そして、八津田は太刀洗に「あなたは冷ややかな素振りの内側に、純粋な思いを秘めている。それは尊い。しかしさらにその奥底には、ひとごろしの私もおののくほどの冷たい心がある。」、「どうぞ心なさい。尊さは脆く、地獄は近い。」という言葉を残し、消える。 〇 サガルは、太刀洗を稼がせるためにラジュスワルの死体を晒したといったが、それは嘘だった。サガルは報道により赤ん坊が死ななくなり、仕事もないのに子どもだけが増え、更にその数少ない仕事すら報道により失われ、結果として兄が死んだことから記者を憎んでいた。「記者なんて連中はろくに調べもせずに他人をひっかきまわすクズ」だと証明するために罠を仕掛けた。しかし、太刀洗は報道しなかった。罠にかからなかった。 〇 太刀洗がネパールで出会った「サガル」という少年が、国際的な報道がきっかけで兄を失ったことなどから記者を憎み、記者である太刀洗が誤報をするように、「ラジュスワル」の死体に「INFORMER」という文字を残し、晒した。太刀洗はそのことに気付き、「報道しない」という選択をした。

    0
    投稿日: 2018.12.12
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    子供には素直な残酷さがあると思う。子供に突きつけられた事実は、言い訳や理屈で重ねた大人の本当の心にダイレクトに響いたりする。 テーマがはっきりしていて、衝撃的であるけど読後感はさっぱりしていた。

    0
    投稿日: 2018.12.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    異国の地で、王族が殺害されるという事件に遭遇する女性記者が主人公。 ミステリーなので、犯人は誰かという謎解きのストーリーなのですが、 主人公が自身の仕事である報道について、その在り方を自問し、答えを追い求めていくことが、ストーリーの軸になっています。 「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ」 「恐ろしい映像を見たり、記事を読んだりした者は言うだろう。考えさせられた、と。そういう娯楽なのだ」 登場人物が、主人公に投げた言葉。 惨劇は、娯楽。 厳しいけれど、核心をついていますよね。 テレビや新聞で取り上げられた出来事は、なぜ、ニュースになったのか。 世の中にある様々な出来事のうち、ニュースに取り上げられていないものは、 なぜ、取り上げられないのか。 何を、その出来事について知ろうとするのか。 その出来事について知った後、どうするのか。 知ったことを伝えることに、どんな意味があるのか。 問われた時に、明確に答えられるものを持っているかしら? 報道に携わる人は、改めて考えさせられるかもしれません。 このミステリーの読み手、 つまり、報道やニュースの受け手である人たちに、 報道やジャーナリズムの在り方について考えさせるようになっている点が面白いと思います。

    0
    投稿日: 2018.11.28
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    ネパールの王族が身内に大量殺害されたという2001年に実際に起きた事件を舞台にした作品。 ジャーナリズムの正義と偽善、人間の中にある誇りや優しさと矮小さ、大人たちの勝手な善意によって運命を歪められた子供たちの無力さと止むを得ず身に付けた逞しさなど、多くの問題を提起している。 作品の中で米澤氏は二面性の一方だけを肯定するわけではなく、時に登場人物を通して、またある時は読書が自分で考えるように問いだけを残していく。安易な正義感によって結論を誘導しないこの点が却って作品の品格を高めていると思う。

    0
    投稿日: 2018.11.22
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    海外旅行特集の仕事を受け、太刀洗万智はネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王殺害事件が勃発する。太刀洗は早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり…(e-honより)

    0
    投稿日: 2018.11.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    犯人までは何となく予想できた。 彼が関わっていることも感じていた。 でも恨みまでを、感じることはできなかった。 最後を読むまでは。 子供とは可愛らしく、残酷だ。 ハッピーには終わらない。 すっきりと気持ちよく終わらない。 でも何故だろう、「そうだよな」と思わせる内容だった。

    1
    投稿日: 2018.11.14
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    とてもしっかりとして重い話でした。 報道官の巻き込まれていく事件。最初はその事件を解決していく話かと思いましたが、全然違う。報道とは何かを考えさせられました。

    0
    投稿日: 2018.11.12
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    2001年に実際にネパールで起こった王宮事件を組み込んだ壮大なミステリー。 ネパールの埃っぽさまで描かれているような細かな描写に、すぐに物語に引き込まれた。 新聞社をやめて、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受けた太刀洗万智。 事前取材として訪れていたネパールの滞在中に、王宮で王族殺害事件が起こったことを知る。 記者としての性が万智を駆り立て、取材を始めることとなるが、取材を通してジャーナリズムとは何かを考えるようになる。 それに伴い、後半はジャーナリズムについての永遠の課題だと言えるであろうことも万智や登場人物を通して描かれている。ラジェスワル准尉の言葉、サガルの思い…様々な言葉を通して「真のジャーナリズムとは何か」を改めて考えさせられた。 読みながら感じる数々の小さな疑問も、万智を通して全てきちんと解明されていくのも非常にスッキリできたし、この著者の文章はとても丁寧で読んでいて心地よかった。

    0
    投稿日: 2018.11.11
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    ショックが大きくて、というと語弊がありそうだけれど、何と言ったら良いのか。自分に響くものが大きくて、まだうまく、感想を言葉にできないのだけれど、言葉にもしたくて、でも、言葉にしないほうが良いのか。すごく色んなものが自分の中で渦巻いている状態です。 サーカスの例えは、まったく他人事と眉をひそめて終わりにしてはいけないな、と常に心に留めておきたいと思った。

    0
    投稿日: 2018.11.10
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    2016ミステリー三冠受賞作、2001.6.1ネパール王族殺害事件なんて全然知りませんでした、太刀洗万智がフリージャーナリストの必要性を感じました。11.1本の日に読めた幸せ。

    0
    投稿日: 2018.11.01
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    「さよなら妖精」に続く太刀洗万智シリーズ第2作は、2001年ネパールで実際に起こり、王制解体に至る契機となった「ナラヤンヒティ王宮事件」を扱いながら、その事件を解明する社会派ミステリーとはなっていない。 別の仕事のためネパールに偶然居合わせた万智が王宮の事件に遭遇し、何故、どのように事件を伝えていくのかを考え、悩み、ジャーナリストとしての自らの答えを出していく過程が描かれている。 取材をしようとする万智に投げかけられる痛烈な言葉は取材する側だけではなくそのまま、ニュースを消費する私たちにも浴びせられる。 「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ。意表を衝くようなものであれば、なお申し分ない。--記事を読んだりした者は言うだろう。考えさせられた、と。そういう娯楽なのだ。」 「このニュースを日本に届けたところで、どこかの国での恐ろしい殺人事件として消費されていくだけだろう。--ニュースのほとんどは、ただ楽しまれ消費されていく。後には、ただかなしみを晒されただけの人々が残る。」 遠く離れた手の届かないところのニュースを伝えること、知ろうとすること、それは何のためか・・・ シリアで拘束されたジャーナリストが解放され、戦地に赴くこと、遠くの国の惨状を伝えることについて様々な意見がある今、タイムリーに考えさせられるテーマだった。 気まぐれな他国のジャーナリストがネパールの子供たちの惨状を報じたために、子供の死亡率が下がり、仕事もないのに子供があふれ、絨毯工場の劣悪な労働環境が報じられると、そのわずかな仕事さえも奪われる子供たちの恨み節。 自分の信じていた正義さえ揺らぎそうになる。自己満足なのか。知ることが果たして彼らのためになっているのか。さまざまなことを考えさせられた、それでいて、謎解きのミステリーとしても楽しめた良作でした。

    0
    投稿日: 2018.10.30
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    今月の4冊目。今年の27冊目 様々なうたい文句にひかれて手をつける。確かに面白いんだけれども、意外性とかはないです。読了後に爽快感はないかな、と思います。

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    投稿日: 2018.10.29
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    犯人の目星が早々についた後半の謎解きより、前半のカトマンズの情景描写や薀蓄の方が興味深く、印象に残った。折しも連日流れるサウジ記者殺害事件、そして安田純平さん解放のニュース。事実は小説より…である。

    1
    投稿日: 2018.10.26
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    この著者の本は、これまでちょっとだけ読んでてそれがどれもむちゃくちゃ面白かったので、その意味では本書はちょっと残念であった。 いや、面白いんだけど、事前に僕がハードルを上げすぎたので、それほど入ってこなかった、というか。ただ文章のうまさはどんどん上がって行っている気はする。

    0
    投稿日: 2018.10.21
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    面白かった。    面白かったけれども。    それでも。     それでも私は、情報の取捨選択は受け手がするべきであり、発信側がすることで受け手に十分な情報が伝わらないのを良しとすることはできない。なんか言い訳を滔々と述べてたけど、そんなのは発信側の都合でしかないし、傲慢な態度が透けて見える。言いたいことはもっとあるけれども、感想とは異なるのでやめておこう。        世界の大多数を占める小市民は、みな、サガルである。

    0
    投稿日: 2018.10.21
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    サーカス。 中途半端な情報で面白おかしく物語を作り、広めることで、関係者の生活を散々にかき乱す様。 フリー記者の太刀洗万智がネパールはカトマンズに滞在中に事件は起こった。国民の敬愛を集めていた王様が息子に射殺され、その息子も自殺を図り間もなく死亡するという未曾有の出来事が発生するのだ。町は混乱し、暴動が起きる一歩手前。記者として真相を知りたいと、事件当日に宮内警備に当たっていた軍人に取材を取り付けると、翌日その男が殺され、背中に文字を刻まれた状態で路上に晒されていた。「IMFOMER」ー密告者、と。 センセーショナルな記事が書けると震え立ったのも束の間、軍人の死は王の射殺事件とは直接の関係がないことを万智は暴いていく。記事そのものの面白みは減ったものの、軍人殺害事件の顛末は意外な方向へ。同じ宿に長く逗留していた日本人僧侶が、殺された軍人と麻薬取引のパートナーとして手を組んでおり、取引き上のもつれから引き起こした事件だったのだ。 だけど背中に文字を刻み、路上に放置したのはまた別の人間ーカトマンズで出会い、道案内などの雑用を買って出てくれた、貧しくも逞しい少年だったのだ。 少年は自らの不運な生活が、外部から土足でやってきて好き勝手な記事を書いた記者たちのせいだと考えていて、万智のことも憎んでいたらしい。 自分が記事を書くことの意味を考え続けている万智にとっては、忘れられない苦い思い出となる。 ストーリーは問題なく面白いのだけど、それ以上に響いた一場面がある。万智が、王の死を記事に書くことについて迷いを持っていた時、同じ宿に逗留する日本人僧侶が説法を施してくれる場面だ。 釈迦が悟りを開いたあと、芯から理解してくれる人は一握りかもしれないが教えを広げようとしたこと、その教えすら時代を経て少しずつ形を変えて伝わっていること。 人はなぜ、この世にはもう既に優れた詩や絵や教えが存在するのに、さらに自ら詩を詠み絵を描き教えを説こうとするのか。 それは完成を求めているからだ、と。 心のうちにある深い闇や生活への不安や不満や物事へのおそれを、より払拭してくれる完ぺきなものを求めているからだ、と。 そしてそれぞれの時代に、新しく生まれる悩みを解決しようと、今までのものに手を加え、少しずつ形を変え完ぺきに近づけようとする営みこそが、既に完成されている、とも。 既に概要が伝えられている事件について、改めて万智が記事を書くことは、完成に近づけていく営みなのだ、と。 その完成を求めている人が、きっといるのだ。

    0
    投稿日: 2018.10.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    米沢さんの作品は以前「満願」という短編集を読んだときに、それぞれの結末にちょっとした衝撃を受けましたが、長編は長編でやはり意外な結末が待っていました。この作品は「このミステリーがすごい!2016年版(宝島社 国内編)」「週刊文春 ミステリーベスト10(国内部門)」「ミステリーが読みたい!2016年版(早川ミステリマガジン 国内編)」で1位を獲得した評価の高い作品でしたが、ミステリーとしての謎解きというよりはジャーナリズムに対する問題提起のような社会派小説の側面も強いかなという印象を受けました。なるほど、タイトルの「サーカス」にはそんな意味があったのか・・・「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ」殺されたラジェスワル准尉の言葉だ。ジャーナリストは読者に「飽きられる前に次の悲劇を供給」している、サーカスの座長のようなものということですね。ジャーナリストが信じる、記事が真実を伝え世界を変える力があるというより、ジャーナリストが書く記事は単なるサーカスの出し物に過ぎないということでしょうか。この小説の犯人は実際に殺人を起こした殺人者ではなく、殺された死体をジャーナリズムへの批判として利用しようとした少年ってことですね。そういう構図は読み終わるまで判りませんでした。深いです。そして面白かったです。

    0
    投稿日: 2018.10.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    著者の作品は2作目。前回は短編でした。 面白かったです。 「このミス...」で一位になったのもうなずけます。 結構、急に佳境に入って行ったので、驚きましたが。 万智の推理もよかったですが、他の登場人物も話を引き立たせていました。 やはり、サガルが良かったですね。 解説を読んで、実際に起きた事件がモデルになっていると知りました。 面白かったです。

    0
    投稿日: 2018.10.13
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    ネパールの首都カトマンズの旅小説として読める。ヒマラヤ山脈や有名なお寺を題材にしている訳ではないが街の賑わいや人々の営みと風俗、国の文化等に触れていてネパール旅行を考えている人にこそ読んでいて損はない一冊! と、思いきや王宮で皇太子が王族を皆殺しにした銃の乱射事件が勃発! 『あれっこの事件に何故か聞き覚えが!?』と思い調べてみると約20年ほど前にあった本当の事件!当時は事件がセンセーショナルに報道されて皇太子の乱心か、軍事クーデターか、はたまた他の王族の陰謀説迄登場、本書でもそれらの説に対して主人公の太刀洗の視点で真相に迫っていく。 と、思いきや主人公の前に軍の関係者の死体が現れる!?この死体は王宮の事件と関係があるのか?犯人は誰!?というミステリーにもなっている。 沈着冷静な太刀洗はこの事件をどの様に捌き、どの様に報道していくのかが見どころ! 昨今のスピードと衝撃的なものにばかり重点が置かれ、国民にミスリードばかりさせる報道関係者と、そんなニュースを見て人の不幸は蜜の味の如くニュースを娯楽として楽しんでいる人達にこそ読んで欲しいと思える一冊!

    6
    投稿日: 2018.10.12
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    大麻関連は雑、犯人の行動も雑。 ジャーナリズムとは?に関してはどこかで読んだことがあるようなありきたりのもの。 なぜ評価が高いのかわからない。

    0
    投稿日: 2018.10.06
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    興味のないテーマだったけど、評価が高かったので読んだ。興味のないテーマなのに、スラスラと読め、そして最後まで引き込まれた。 ジャーナリストの本質に迫るところなど、深く考えさせられる場面も多い。名作。

    0
    投稿日: 2018.10.04
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    ミステリィをエンターテインメントとしてではなく,文学的テーマを昇華するための道具として扱い,しかもミステリィとしても成立する.順位を付けるのも烏滸がましいほど,ずば抜けた第一級の純文学を拝読できることに感謝しかない.

    0
    投稿日: 2018.09.29
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    伏線があますことなく収束する様や、登場人物全てに意味が持たされているところなど、本作はミステリとして本物である。 またそれに加えて遠い国ネパールの非日常感を楽しめ、ラストに至っては「知る権利」の危うさという思いテーマを投げかける。 マストリードの一作。

    0
    投稿日: 2018.09.24
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    米澤穂信の王とサーカスを読みました。 真実の10メートル手前に登場した大刀洗万智が登場するミステリーでした。 万智が出版社を辞めてフリーになったとき、気持ちを切り替えるために旅行したネパールで万智は王宮で起きた王族殺害事件に遭遇します。 ジャーナリストとして事件の取材を始めた万智の前にINFORMER(密告者)という文字が刻まれた死体が現れます。 万智は殺された人物と接触していたことから、この死体は王宮で起きた事件と関連しているのか、無関係なのか、限られた時間の中で万智は真相を解明しなければならなくなります。 万智が滞在していたホテルには一癖も二癖もありそうな宿泊者たちがいて、彼らが事件にどのように関わってくるのか、面白く読みました。 万智のジャーナリストとしての矜持が問われる終盤も読み応えがありました。

    0
    投稿日: 2018.09.24
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    カトマンズで取材する太刀洗万智。記者の仕事の意義をどうとらえるのか。 日常目にする記事は事実の全てを表現してはいない。記者が書かなかった事はその他大勢の人の目には触れなくなってしまう。情報の操作で人の心をある方向へ向けることができるかもしれないのか。 書かれなかった事があると思いつつ読むしかないのかな。 サガルの言葉を聞いて(読んで)思うのは、貧しい国と国民にとって急激な変化を起こす報道は敵か味方か?

    4
    投稿日: 2018.09.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文庫化。 かなり読み応えがあった。何を言ってもネタバレになりそうだから、取り敢えず騙されたと思って、多くの人に読んで欲しいとだけ。

    1
    投稿日: 2018.09.15
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    ネパールの王族の殺害事件を題材にした作品。 美しい世界がこの世に存在するなら、平等で公平な社会だろうか。現実には生きていくためには、綺麗事だけではやっていかないといけない。ネパールで知り合った大人ぶった少年。日本から来て長い間ネパールの宿にいる破戒増。 大刀洗万智はフリーの記者として真実を追いかける。王宮の軍人から、記者はサーカスの座長の様なもので観るものを喜ばせないといけないと言われる。何のために真実を書くのか。それで傷つくひとがいても正しいことなのか。真実が常に美しいものとは限らない。それでも真実を通して救われるひとや世界もあると信じたいです。

    0
    投稿日: 2018.09.15
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    単純にミステリーとはいえず、色々な意味で考えさせられる作品。 マスコミに代表される(主人公もその一端を担う者だ)、情報を扱う者の役割と責任。高潔な精神と汚れた精神の同居。 こういった矛盾するものについての考察が作品の中に含まれているのが、普通のミステリーとは異なると思う。 特に本の題名ともなった、「王とサーカス」の章が秀逸。

    3
    投稿日: 2018.09.11
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    米澤穂信「大刀洗万智」シリーズ長編ミステリ。 海外旅行特集の仕事でネパールに向かった太刀洗万智が、ネパール王宮での殺害事件に遭遇。その取材の過程で発生した別の殺人をめぐる壮大なフィクションです。 長いです。長くて・・・深いです。どっぷりハマりました(^_^;) 好き嫌いの分かれる内容と結末だと思いますが、私的には秋の夜長にじっくりと読むに相応しい一冊かと・・・

    2
    投稿日: 2018.09.10
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    世の中に起こる様々なニュースを、私はどう受け取っているんだろう。 ネパールの王族殺人事件も、高校生の頃興味深く見ていた。でもそれはきっと、この話にでてくるアメリカ人の若者と同じ感覚だったのだろう。遠いところだからこそ、興味深く見られた。 記者はどう伝えるのが正しいのだろうか。 王族殺人事件と主人公の周りで起こった殺人事件。 謎解きをしながらも、この本の根っこは謎解きではなかった。 最後のあたり、主人公とサガルとのやりとりがガツンときた。 「王とサーカス」という題名も心にくる。 自分のニュースに対する受け取り方に気付かされた。

    3
    投稿日: 2018.09.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    単行本で読了済。「さよなら妖精」に登場したセンドーこと太刀洗万智を主人公にした長編。 ジャーナリズムは、単に大衆にエンターテインメントを提供してるだけではないのか。そんな問いかけがここにある。

    6
    投稿日: 2018.09.08
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    本屋大賞2016年6位、このミス2016年版1位。文春、ハヤカワのミステリー大賞も獲得してミステリー三冠獲得。フリージャーナリストの太刀洗万智が主役の実際に起こったネパールの国王殺人事件を題材にした本格ミステリー。国王殺人事件の後に発生したもう一つの殺人事件の謎解きとともに、タイトルにも関連するジャーナリストの意義を問いかける小説。公開情報と隠された真実の間のバランスの良さ、論理的な推理にもとずくひらめきの小気味よさと最大の謎である動機の意外性が本格ミストリーとして秀逸。ただ主題であるジャーナリストの意義については、自分的にはやはり「サーカスの演し物」にすぎないと思っており、それを正当化するための行き過ぎた正義感が昨今の反体制的なバイアスになってしまってるのかなと。SNSに簡単に映像があがり今まで見えなかったものが簡単に見れる今、ジャーナリストがますます変な方向に進んでいかないか心配。作品全体については、自分は本格物も純粋にパズル的なやつはそれなりに好きなんですが、人間ドラマを絡めるやつはそれなりの感情移入と感動が欲しくてこれを両立するやつを期待してしまう。そこんところが、この本では泣けるとこなかったし、動機と工作の難易度とのバランスも納得性がなかったりしてちょっと物足りない。

    1
    投稿日: 2018.09.08
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    さよなら妖精から10年後、フリージャーナリストとなった太刀洗万智の物語。ネパールにてナラヤンヒティ王宮事件に偶然出くわす、軍人の変死体の写真を撮る、と現実と虚像が入り混じる。出てくる謎はもちろん、キャラクターも魅力的。 特にラジェスワル准尉が万智に真実を伝えることの意味、伝えられる側がどう悲劇を享受するのか、を問う場面は考えさせられる。この本を読むこともまた、サーカスの観客になることなのかもしれない…なんてぶった感想を言いたくなる程度には。

    0
    投稿日: 2018.09.08
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    待望の新刊、大刀洗万智の3冊目。 台風で自宅待機になった日にザクザクと読む。が、停電に阻まれた…。 新しい仕事の事前準備も兼ねてネパールに来た大刀洗。 しかししかし最初から、彼女の纏う雰囲気には異国を楽しむツーリストの気安さはなく何か剣呑のものを感じてしまう。 同じ宿に泊まる人や宿の前で物を売る子どもとのやり取りですら、ごくに普通の旅の一コマの筈であるが、なんだか不穏な雰囲気が漂う。 そうした掴みの中で、国王が殺されるという事件が起こり、それを追うことになる彼女。 この国王殺し事件は実話に基づいたものだそうだが、私の記憶の中には全くなかった。 到着直後のカトマンズの街中の情緒溢れる描写に続き、事件が起こった後の人々の動きを追う前半は臨場感に溢れる。 取材の中で自分が接触した軍人が何者かに殺害され、路上に晒された死体の背中には謎のメッセージが刻まれる。 事件の謎を追う後半は、殺人が起きる前の単なる旅の風景の中から随所に散りばめられた伏線のピースが、彼女の思考に従いひとつずつ嵌っていく見事な収束。 さもありなんと思わせた結論の上に、更に付け加えられた真相が意外で、苦い。 そうした推理小説的な面白さだけでも十分だが、加えて、人の心のあり様への問い掛けが根底にある作品の深み。 目が冷たい、笑っているようには見えない、表情に出ない…、随所に出てくる彼女が思い出す他人からの評価。 それをずっと気にしていながら、変わることもなく、自分でも意に沿わないところもありながら、そんな自分と付き合いながら生きる、彼女の生き様。 練られた筋立ての中で、ジャーナリストとしての信念を試され、人間としての心の内を曝される。 他人の悲劇を見世物にしているという側面を自覚した上でなお、それでも自分が書く意味って難しい。 漸くたどり着いた自分がなぜ書くのかという答えが、『真実の10メートル手前』につながってたわけだ。(私は『真実の…』→『さよなら妖精』→本作という順番で読んだが、彼女との出会い方として、この順番は良かったと感じる) そして八津田から最後の夜の行動を指弾される件りは、エゴと闘う人間の心の複雑さを表して絶妙。 彼女は自分の心の内を曝されとても苦い思いをしているが、私には、こうした人間の二面性があることを認めることが、人間の弱さを認めることで、それは生きる上での慰めとなり、何ら恥じることはないというように思える。

    5
    投稿日: 2018.09.07
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    おお、文庫版!と購入。 他国や他人の悲劇が安全地帯にある人間には娯楽になるというのは…悲しい話だけれども真実だろうなぁ。所詮は他人事だから。報道って確かになんだろう?と思わされる所はあるなぁ。態々危険と知りつつ行く必要があるんだろうか、とか。自分にはちょっと答えられない問題かも。 ネパール王家の悲劇と偶然立ち会った記者と事件と現地事情というか。外国人の余計なおせっかいさえなければ…という気持ちとその観光客相手に商売をして日銭を稼ぐのはジレンマだろうなぁ。確かに良くないことは良くないんだけどそれで生活している人が路頭に迷うのは本末転倒だし。 というわけで殺人の謎解きというよりはネパールという土地と報道のあり方みたいなものがメインのようなお話だと思いました。

    1
    投稿日: 2018.09.05
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    こういう本に出会えるから読書は止められない。シリーズ長編にして、ジャーナリスト・太刀洗万智の原点となる物語。2001年のネパール王族殺害事件を題材に、遠き異国の地にて問われるのは、報道の矜持。ミステリーやサスペンスに分類される本書だが、太刀洗万智の立ち振る舞いはハードボイルドを強く匂わせる。ネパールの空気を肌で感じられるかの様な描写力も圧巻。人は物事の【己にとって都合の良い側面】しか見ようとしないが、現世の森羅万象は全て表裏一体。だからこそ、世の理は複雑で残酷。私たちは否が応にもそういう世界を生きている。

    10
    投稿日: 2018.09.01
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    海外旅行特集の仕事を受け、太刀洗万智はネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王殺害事件が勃発する。太刀洗は早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり…2001年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクション、米澤ミステリの記念碑的傑作。

    0
    投稿日: 2018.08.31
  • 大刀洗、すてきな女性になって主役です。

    さよなら妖精の不思議な大刀洗さんが、自立した女性になって、舞台はネパール王宮殺人事件を取材するフリーのジャーナリストとして、しかも主人公で登場です。隠れファンとしてはうれしい限りで、この本では不思議な雰囲気はなくクールで大人な感じで決めており最高です。 大学を出て5年新聞社で勤務してフリーになりこの事件に遭遇。初めての原稿と言うことなので28歳、いや違う、前作の高校で1歳ダブってたはずだから29歳ですね。振る舞いも大人になるはずです。ストーリーもいいのですが、読んで異国情緒を感じられるのも、作者の文才があってのことで、ヒマラヤの麓のネパールに行って横で見てるように進んでいきます。タイトルのサーカスの意味やジャーナリズムの問題など「幸せ」について考えさせられる箇所もあり、いろんな意味で楽しめました。おすすめします。

    0
    投稿日: 2018.08.30