
総合評価
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powered by ブクログミステリーの中の人間ドラマでした。 ジャーナリズムとは何か、中堅記者の主人公が身の回りで起こる事件に巻き込まれながらも、ひたすら考え抜く姿勢がとても好きだなと思った。 この時代は、まだ1人一台携帯電話を持っていない時代。情報はテレビ、新聞、ラジオ、雑誌に頼るしかなく、今より拡散もされにくい。 そんな主人公がまさに国際的な大事件の最前線にいる。冷静も持ち合わせながら、行動力もすごい。そのモチベーションは、記者としての使命感なのか、出世欲も垣間見えるのが人間らしくていい。 自分が報道する意味を問われ、悩みながらも、最終的に答えを見出す。 ミステリーとしてももちろん、こういう人間ドラマも熱いところが米澤穂信らしい。
0投稿日: 2025.11.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
サガルがとっても切なかった。 事件も複数で犯人も複数で複雑だった。単純なミステリじゃなくておもしろい。
0投稿日: 2025.11.14
powered by ブクログ途中まで実話かと思っていたけど、完全なるサスペンスだった。カトマンズの情景や問題とリンクして勉強にもなりながら、ゾクゾクする場面もあり、読み進めるのが楽しかった。
0投稿日: 2025.10.30
powered by ブクログ大刀洗は傷心を癒すためネパールに訪れていた。 記者仲間の同期が自殺した、会社の関係者は大刀洗が原因と噂を立てる。 そんな会社が嫌になり、ネパールへ逃げた。 そんなネパールで国王が暗殺され暗殺者は王子だとラジオからの緊急放送が流れる。 大スクープが目の前に、しかし、危険も伴う。 国王の死の真相はいかに、大刀洗はスクープを書けるのか? 謎解きが始まる。
6投稿日: 2025.10.20
powered by ブクログ全く予備知識を持たないまま読んだが、まさか実際に起きたネパール王族殺害事件から始まる小説だとは思わなかった。 ネパールという国につき国名と位置関係くらいしか知識を持ち合わせていないため、地図を見ながら、知らない風俗を確認しながら、なるべく想像しながら読んでみた。 いろいろなテーマが並行している中、壮大かつダイナミックなミステリに引き込まれた。 米澤穂信さんの作品については、重苦しい内容なのだが読み進めずにはいられない、という印象だが本作も同様に期待通りの内容だった。 特に印象に残ったのは以下の2点だった。 ・ラジェスワル准尉の考え方=自分に似た考え方 ・主人公の近況にて「疑い、調べ、書き続けている」 解説では「真実の10m手前」が時系列的に続きにあたるとのことなので、是非読みたい。
0投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログ2025年9月読了。 フリーの記者太刀洗万智がネパールのカトマンズで遭遇した事件を追う長編。太刀洗は他の米澤作品で登場していたそうだが、そちらは未読だ。併せて読めばより楽しめそうだ。というのも、前作は知らないが、今作は太刀洗にとっての大きな転機となる事件を描いているからだ。どんな葛藤を経てどんな答えにたどり着くのか必見だ。 事件はネパールで実際に起きた王宮での殺害事件がもとになっている。王子が国王を含む8人の親族を銃殺したのだ。このビッグニュースをたまたま現地で聞いた太刀洗はすぐに取材を試みるが、その最中に取材した男が殺害されているのを見つける。しかもその男の背中には傷文字でINFORMER(密告者)と書かれている。はたしてこの男は自分が取材したことで何者かに殺害されたのか、太刀洗は事件の裏に何があるのか調査に向かう。 今作が大きなテーマとしているのが、ジャーナリズムのあり方だ。ネパールの国王殺害のニュースを報じようとする太刀洗に、取材した男はこう告げる。「私はこの国をサーカスの見世物にするつもりはない。」悲劇は遠くから傍観する者にとっては単なる娯楽でしかない。ネパールの国王が殺されたというニュースは、海を越えた先の人々にとっては、束の間に消費されてすぐ忘れ去られる程度のものだ。それを報じようとする太刀洗はどんな信念があるというのか。太刀洗の記者としての使命は何か問われる。
5投稿日: 2025.09.08
powered by ブクログ悲劇を報じることは、他所で起こっている者たちに、娯楽を提供していることに他ならないのではないか。 それ以外の意味は一体何なのか。 国内外問わず、起こる悲劇を知り、心を痛めることが良くあるが、それを私が知って一体何になるのだろう。 私のような人々に知らせるために、取材するジャーナリストは何がしたいだろう。 そんなジャーナリズムの本質をストーリーを通じて問う。 この物語の舞台はネパールのカトマンズ。 経済的に裕福でない国の子どもたち(本当は国ではないかも)の逞しさと強かさにゾッとした。 常識では思いもつかない、計り知れないようなことを軽々とやってのける。 だから日本は平和ボケと言われるのかも。
0投稿日: 2025.09.03
powered by ブクログ本当に面白い本は冒頭からページを捲る指が止まらなくなり、気が付いたらその世界に没頭してしまう。こんな体感はかなり稀で、本当に価値のある作品は数年に一度しか出会わない。 僕が米澤穂信を好きになったのは「満願」と「王とサーカス」を読んだからで、その後、過去作も含めて読み漁り、「氷菓シリーズ」や「小市民シリーズ」等ののライトな作品や、「折れた竜骨」や「追想五断章」等数々の傑作と出会うきっかけになった。今回、再読になるが、改めてこの作品の面白さに取り憑かれ、二度目の余韻を感じている。 大刀洗万智が初登場した「さよなら妖精」は未読の作品でまだ読めていない。 今回は彼女が主人公であるが、一人の記者の葛藤や成長が見事に描かれており、万智が一連のネパール王族事件をきっかけにカトマンズでの自身と向き合う姿勢や取材を通して新たに関わる軍人の殺人事件など、かなり濃密な作品である。 ネパール王族事件は2001年に実際に起きた事件であり、一部ノンフィクション的な要素も含まれている。ネパール王族事件の真相は明らかになっておらず、その中でネパールに滞在しているフリーライターの大刀洗万智が事件に巻き込まれていく。 単純な歴史ミステリー、サスペンスというだけではなく、真相が分かった時の薄気味悪さは一級品だ。これ程までに純粋に、ストレートに表現される作品は少ないと思うし、万智が成長し、物事の本質を見抜く力の上達していく一連を、一緒に感じとる、読者自身も成長している様に思える程濃密である。 現地の少年であるサガルは屈託のない純粋な少年に写りながら、どことなく大人びた雰囲気を時折見せる。彼と万智とのやりとりはどこか微笑ましくどことなくよそよそしいイメージがある。また、カトマンズでであうロブというアメリカの学生やシュクマルという商人、トウキョウロッジのチャメリや日本からやってきて数年来住み着いている坊主の八津田等多くはないが深く物語に関わる登場人物達も魅力ある役割をこなしている。 本当に最後まで目が離せない作品だった。面白い事は当然だが恐怖心も相まって読み終えてもまだ彼女達の世界から抜け出せない。 再読で2025年に読んだが、現在はネットがインフラとして整備され、当時とは違った環境下になる。 改めて「ネパール王族事件」の情報を得ながら余韻に浸る。
2投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
米澤穂信さんの作品は、まずタイトルが好きです。この内容を、「王とサーカス」というタイトルで表現される感性が素晴らしい。 「さよなら妖精」のシリーズとして読みましたが、まさか主人公が万智だとは! 日本が舞台の「さよなら妖精」から、今度はネパールへ。 描写が丁寧なので、本当にネパールに行った気分にもなりました。 事件を調べていく上でバラバラだったものが、記事をまとめるようにどんどん明らかになっていって、 犯人が誰だったのかの先にある真実…… 報道しない選択、ジャーナリズムの在り方について問うような、そんな物語でした。
18投稿日: 2025.08.30
powered by ブクログ途中までミステリーとは思わず、読んでいるとネパールを旅した気分になれました。主人公の太刀洗さんは他の作品にも出ていると知り、時系列に彼女が出る作品を追ってみたくなりました ちょっと切ない感じが好きです
13投稿日: 2025.08.20
powered by ブクログ一冊目よりも深い話だった。 仕事が無いのに人だけ増えても豊にはなれないとか、人体に有害でも生きることの方が重要であるとか、なんだか予期せず社会問題的内容だった。 我々が娯楽として悲劇を消費することしか出来ないならば、いっそ知らないままでいたい。
2投稿日: 2025.08.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
米澤穂信作品のなかで、いや、これまでに読んだ小説の中でも私にとって一、二を争うレベルの作品。時間を空けて読み直すたび、そう実感する。 偶然ネパールに居合わせたにすぎない太刀洗万智が、王族殺害事件の記事を書くことになる。取材していく中で、彼女は「なぜ書くのか」「なにをしたいのか」ということに向き合っていく。現実と地続きでありながらも異国情緒あふれるストーリーは、私たち読者にもある種の傲慢さを突きつけてくる。本格ミステリとして謎を解き明かした先にある真実には、いろんな意味で認識を反転させられる。 万智を見下ろす多数の子どもの目と、INFORMERの写真を見つめるラストシーンがとても心に残っている。 読む前には戻れない。これぞまさに至高の作品だと思う。
4投稿日: 2025.07.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ネパールカレー屋でよく見たチヤやらモモやらが出てくるたびにちょっとうれしくなる。作中最大の事件が実在の出来事だったとは驚きだが、仮に創作だとしたらネパールに大層失礼な話だとも思ったので納得。 作品としてはミステリー小説に分類すべきか迷うくらい、HowよりもWhyに振られている印象。「インシテミル」の頃から思っていることだが、こういう話とそれに対する向き合い方が書きたいのだろう多分。「氷菓」の例外さが際立つ。
3投稿日: 2025.07.17
powered by ブクログ海外旅行の特集のためにネパールに訪問した大刀洗万智。描写が良くてゆっくりと進むかと思ったが、国王殺害事件と、身近に起こる事件から一気に進んでいく。取材から得られた情報をどう記事にまとめるのか報道倫理を追求するだけでなく、ミステリとしても完成されていて引き込まれやすい。面白かった。
35投稿日: 2025.07.06
powered by ブクログaudibleにて。 以前から読んでみたかった作品 新聞社を辞めてフリーになったばかりの主人公・大刀洗万智は海外旅行特集の事前取材のためネパールに滞在していた。 そこでネパール皇太子による王族殺害事件に遭遇する。 事件の取材をするために会った軍人も、その後すぐに殺されてしまった。 2つの事件の謎を追うとともに、報道のあり方の是非を問う物語。 王室事件の詳細を暴くミステリーなのかと思っていたけど、話の主軸は報道のあり方を問うというものだった。 「自分に振りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽」 この物語で言えば、王の死をサーカスの見せものみたいに扱う報道と、それをエンターテイメントの様に見る観客って感じかな? 娯楽って言うとちょっと違う気もするけど、言わんとする事は分からないでもない。 "報道"って難しいな。 事実は1つでも 書き手の主観や見せ方によって装飾された真実が生まれてしまう。 競争社会だし、何よりも刺激的な記事を求める側がいるのだから。 なかなか難しいけど、エスカレートしない様に報道する側、受け取る側、どちらにも倫理観や冷静な判断力が要るという事なんだろうな。 舞台が海外だったので、日本との治安の差を凄く感じた。日本人はちょっと平和ボケしてるとこがあるのかも知れないけど、やっぱり日本がいいなぁ。 物語の最後はちょっと衝撃でした。 audible始めました〜\( ᐛ )/ 紙の本が好きだけど、これはこれでめっちゃ便利!ながら聴きが出来る! そして、意外と作品数が多い〜◎ 実は左手を負傷してしばらくギブスなので本が持てません( ߹꒳߹ ) そんなこんなでaudibleで楽しんでます♪♪ のんびり行こ〜 ︎︎♪′
98投稿日: 2025.06.28
powered by ブクログ心に残る一冊。カトマンズの王室事件の謎解き物語と思って読んでいたが、ジャーナリズムの本質をえぐるテーマを突きつけられて読後に考え込んでしまった。それは、ひとに物事を伝えることの難しさ。そしてそれ以上に受け取る側の力量も試されている、と。日々発信されるニュース・報道は、確かな情報元であっても、伝える側の意図が入っている(何かしらのバイアスがかかっている)。受ける側はそれが何かを見抜かないと、送り手側の意図に踊らされてしまい、世の中の真の動きを見間違ってしまうのだろう。常々思っていたことを再認識させてくれた。
5投稿日: 2025.06.21
powered by ブクログ米澤穂信作品では個人的に最も推せる一冊です。フリージャーナリストの太刀洗万智が登場するシリーズで、直木賞候補に挙がった連作短編『真実の一〇メートル手前』とは姉妹編とでも謂う可き作品。 何と言っても異国情緒が素晴らしく、行間から尼婆羅の熱風が匂い立つようです。 勿論ミステリとしても格別です。米澤穂信一流の"苦味"がエッセンスとして能く効いています。 自分が尼婆羅と云う国に憧憬を抱く切っ掛けになった小説。
11投稿日: 2025.06.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
誇れることがあるとすれば、それは何かを報じたことではなく、この写真を報じなかったこと。それを思い出すことで、おそらくかろうじてではあるけれど、だれかのかなしみをサーカスにすることから逃れられる。 一番最後の文が印象に残った。 全てのジャーナリストが同じマインドでいるとは思わないが、あえて語るべきでないこと、語ることによって知られるべきでないことが世に出て生まれるべきでないかなしみを生むこと、それを避けることはできる。一方で、人の知的好奇心を他人が抑えることはできないし、その判断が結局は個人に委ねられるのであれば、一人一人のリテラシーがものをいうということなのだと思った。そしてそれは、ジャーナリストに限った話ではないということも感じた。
2投稿日: 2025.06.11
powered by ブクログ読み応えありました。 中盤あたりでタイトルの意味がわかりそこから最後まではずっと考えさせられました。 主人公は記者という立場で何を書くべきか、伝える必要があるかを問われていましたが記者でないものからすると、情報には書き手の偏りがあり書かれていることが全てではないという認識を持つ必要があるなぁと改めて感じました。
3投稿日: 2025.05.29
powered by ブクログたまたま遭遇したネパール王族殺害事件の取材をするフリージャーナリスト。フィクションと実際の事件を織り交ぜながらの話はとても面白かった。 悲劇や人の悲しみを報道する事の意味、サガルたちのように犯罪に手を染めなければ生きていけないストリートチルドレンの事など、なかなか重いテーマだったが、やっぱり「知る」こと「考える」ことは大事なのだと思った。
15投稿日: 2025.05.24
powered by ブクログ第28回このミステリーがすごい!第1位 なかなかおもしろい! 人がうっすら自覚しているけど考えないようにしている問題に切り込んでミステリーに仕上た唸る作品。 フリーのジャーナリストとして訪れたネパールで、大刀洗万智が報道することの意義を問われる。 改めて、世の中に報道されるニュースについて、自分が知ることの意味はあるのかを考えた。 他人の不幸について、当事者とその近しい人達に不快な思いをさせてまでそれは世間に発表される必要はあるのか。 「娯楽として悲しみを消費するだけ」というフレーズに衝撃を喰らった。 疑問に感じたことは何度もあるのに、結局「へー!」とか「うわ〜」とか言いながらなんとなくそれが日常の刺激になっていたことが否めない。 自分に関係のないことだから痛みを伴わずに同情だけして見えていない真実もあるのだと思った。 『王とサーカス』というタイトルは秀逸。 知る方にも色んなニュース媒体から情報を正しく受け取り真実にに近づける意識を持ちたい。 ネパールの文化を知れたこともおもしろかった。
42投稿日: 2025.05.14
powered by ブクログネパール王族殺害事件をベースに、ジャーナリズムとは何か。 ミステリーを融合させて読みやすさがありながら、読後の抉られた胸の痛みが収まらない。 情報は娯楽なのだろうか。 受け取る側として『知る』ということはこんなに重いものだったとは。 私は知らずに多くの事件や歴史をサーカスとしてみていたかもしれない。 今、この社会では情報に重みはなく、知ることは簡単過ぎる。 恥じない選択をするしかない。 伝えないことも選択していると思うと恐ろしいものもあるが、『俺達はもう絶対に、タクシーの運転手まで巻き込んではいけない』 そして悲しみをサーカスにしない。 これは記者の方々に忘れないで欲しいところですね。 『だが私は、この国をサーカスにするつもりはないのだ。 もう二度と』
7投稿日: 2025.05.12
powered by ブクログジャーナリズムとミステリの話。 後味が残る、良い悪いどちらもある後味。 表情が顔に出ないタイプの太刀洗万智の心揺さぶる心情が覗ける。太刀洗の芯の強さが味わえるのが良いところ。 ジャーナリズムとはなにか、記者とは何かを問われるシーンから主人公のジャーナリズムが確立していく。 これだけ強い人間になってみたいと思うほどに凛々しくてかっこいい。ネパールを舞台として、王が殺害される緊迫感が味わえる。 ミステリとしてはかなり状況証拠と推測で結論至っていると思う。しかし記者という警察でも探偵でもない仕事の太刀洗がそこまでする必要がないことを考えると致し方ないのかもしれない。 どちらかというとネパールの情勢とジャーナリズムを味わう物語だと思う。 記者は度々悪者として扱われる。 ネタとして読者を楽しませる目的の記者が多く、当事者からは嫌われることが多いからだ。 そんな記者とは違い、本作の太刀洗は真実を書き、読者に知ってもらおうとしている。捏造など毛頭ない。 しかし、真実は伝えることは果たして良いことなのだろうか。真実はサーカスとして読者を楽しませるだけにならないのか。真実は悪影響を与えないものではない。ジャーナリズムの正当性は難しいと考えさせられる作品であった。 本作は「さよなら妖精」の続編にあたる。 時系列でいえば、短編「真実の10メートル手前」と「正義漢」の間にあたるらしい。「真実の10メートル手前」を読了している私にとっては、まだフリーになったばかりの慣れていない部分が除けて嬉しい気持ちになる。「さよなら妖精」ではただ表情が読めない探偵役として出ており、年齢の若さが見て取れる。年齢別で精神年齢さえも表されている作品たちに愛おしさを感じてしまう。 余談 著者は強い女性を描くのがとても上手に思う。 もしかして家族などの近い関係でそういう女性がいるのかもしれない。
2投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2001年に実際に起きた「ネパール王族殺害事件」をベースにしたストーリー。 読み終わるまでそんな事件が実際にあったとも知らなくて、その事実も含めて改めて気付かされ、考えさせられる作品だった。今までに感じたことのない角度で心が揺らされて鳥肌が立った。 ジャーナリストに限らず、何かを誰かに伝えるとき、表現するときに誰も傷つけないなんていう保証はできないから、「気をつける」しかなくて。 正義と信じた時、その先に何があるかまで考えたか? 飢えに苦しんでいる人を助けたとして、その人たちが生きてその先を一緒に歩んでいく社会まで見据えたか? 知らなかった、気づかなかったですまされないことがたくさんある。これまでに増してスピードを求められる社会の中でどこまで考えて発信できるのか。やれるとこまでやることしかできないけど、そこで妥協しない人間でいたいと思った。
2投稿日: 2025.04.29
powered by ブクログ私にとっては、460ページと少し厚みのある本でした。 視点の違い、立場の違いってあるよね。 記者って、安全第一にしたほうが良いよね。ほどほどにしたほうが良いよね。 支援受ける側が、何も求めているのか、分かった上で支援したほうが良いよね。 国内の災害のときもそうかもね。
1投稿日: 2025.04.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私はネパール王家の事件を知らなかったので(2001年生まれ)、王族の殺人事件がキーになるスケールの大きな話かと思っていた。 また、米澤穂信作品は「儚い羊たちの祝宴」や「満願」しか読んでおらず、これらのように刺激的な話を期待していたので少し拍子抜けだった。 全体的に淡々としているので、正直なかなか読み進められない部分はあったが、異国の地で危険が伴う中活躍する主人公という流れは良かった。最後の方のヒヤヒヤする展開も面白かった。
2投稿日: 2025.04.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
満願』に続いて2015年にミステリー三冠を達成したのが、本作『王とサーカス』だ。主役の大刀洗万智が『さよなら妖精』に登場していたということもあり、一応「ブルーフ」シリーズと銘打たれているが、ストーリーは全く繋がっていないので、本作単体でも問題なく読んでいける作品に仕上がっている。その彼女も一応キャラクター設定は継続しているものの、立ち位置が違ってしまったせいか、同じキャラクターとは感じられない描写が多々あり、むしろ前作を続けて読むと戸惑ってしまうかもしれない。 その前作『さよなら妖精』では、本作の主人公でもある大刀洗たちが高校生の時に出会ったユーゴスラビアから来た少女マーヤとの交流と、彼女がふと漏らす日常の謎に対する謎解きが描かれた。今は亡くなってしまったユーゴスラビアをテーマとして、しかも内戦が起こった時期の物語ということで、苦い終わり方をするこの作品は、形式としては、著者が得意とする短編集というカテゴリーに収まる作品だった。 しかし本作の場合は、同じように社会的なテーマを描いているとはいえ、長編である。考えてみれば、自分が彼の作品を読み始めてから、本作は初めて出会った本格的な長編だった。『黒牢城』のように全体としては緩やかに流れがあるが、一つ一つの事件は別立てになっているような作品はあったものの、本作のように全体が一つの物語となるような作品はなかったのだ。 その著者にしては珍しい長編作品の舞台となるのは、まだ王政が続いていた頃のネパール。今ではマオイストによって治められるようになってしまったこの国の王政の最後で、実際に起こった王族間の殺人事件が背景となっている。 そのネパールという異国の地を舞台にして本作の主人公となるのは、先ほど書いたように『さよなら妖精』では探偵役の一人であった大刀洗万智。前作では、最後に大学生になった彼女は、それから10年が経ち新聞記者となっていた。しかし、とあることをきっかけに新聞社を退職した彼女は、フリーの記者となる。その最初の仕事として雑誌社の旅行記事を書くためにネパールに来た彼女が出会う一つの殺人事件が、本作で解かれる大きな謎となる。 ここで、わざわざ「一つの」と書いたのは、この長編小説で描かれる事件は、本当にたった一つの殺人事件だからだ。通常ミステリーでは、複数の事件が事系列に沿って発生し、物語は少しずつテンションを高めていく。本格ミステリのような閉鎖空間ではもちろんそうだし、社会派と呼ばれるような作品であっても、複数の事件が描かれることは決して珍しくない。 ところが本作の場合は、事件が起こるまでに、全体の3分の1が費やされ、実際に殺人事件が起こった後も追加で事件が起こることは無い。その代わりに本作が時間をかけて書くのは、王政がまさに揺らごうとしていたネパールの国の有り様であり、そこに住む人々の姿だ。 そして、「なるほど、本作が『さよなら妖精』の続編であるならば、ユーゴスラビアと同じように体制が揺らいでいたネパールを舞台にすることは道理にかなっている……」ともし考えた人がいたなら、既にその段階で著者が仕掛けた罠にはまっていると言えるだろう。実のところ、自分も著者がネパールを舞台に選んだのは、単に事件性のある国にしたかったからだとばかり思っていたのだ。最後の一章を読むまでは。 そう、まさに本作は小説世界の全てを再構成することになる、最後の一章を読むためにこそある作品だと言える。米澤穂信はデビュー当時は日常の謎を描くような作品だったが、キャリアを積むにつれて、よりサプライズを最後の一瞬に提供するような切れ味鋭い作品を提供するようになっていった。本作は、その米澤穂信の特徴が、存分に味わえる作品と言っていい。 なぜなら、自分もそうであったように、ミステリーを読み慣れた人であれば、劇中で描かれた殺人事件の犯人を推理するのはそれほど難しくないからだ。あえてわかりやすく貼られている伏線を追えば、出てくる犯人は論理的にすぐに1人に絞り込める。読んでいる最中は、こんなに簡単な事件を描いた作品がミステリー三冠を達成したなんて本当だろうかと思っていたのだった。 ところが、最後の一章でそういったわかりやすい構図はがらりと変わって、著者が明確に宣言しても、それが伏線だと思えなかったような一行が、鮮やかな伏線として浮かび上がってくるようになっている。主人公の大刀洗はその事実と、事件の背景にある意図を知って驚愕し、やがて苦い思いを抱くことになるのだが、その大刀洗が持つ視線は読者が持つ視線と重なると言っていい。 このようにして最後まで読み終えれば、正しくその年のミステリーを代表するにふさわしい作品だということがよくわかる。できればちまちまと読まずに一気に読み切ってしまって、その苦い味わいをゆっくりと咀嚼してほしい。そんな素晴らしい作品が、この『王とサーカス』という作品だった。
1投稿日: 2025.04.20
powered by ブクログ「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ」 ミステリーって面白さもありながら、ジャーナリズムに対する メッセージ性も強く感じた。 日常を流れてくるニュースを流れるままに眺めてた私は、 なんかちょっと狼狽えた。 見世物だけにして終わらない。 発信する側と受け取る側。 考えることが必要そうだ。
9投稿日: 2025.03.30
powered by ブクログ米澤穂信さん著「王とサーカス」 以前に読んだ「満願」に続き2年連続でミステリーランキング3冠達成した作品。 2016年「このミス」1位の作品、3位が柚月裕子さんの名作「孤狼の血」とレベル高さが伺える。 凄すぎて唖然とする内容だった。 ミステリーというよりは文学、哲学だろうという実直な感想。それが根深い作品で何度も唸らされた。何度も手を止めては思考を巡らせて深く考えてしまった。 ミステリー作品として、一物語として読んでみれば若干の物足りなさが残る作品だったが、それ以上に考えさせられる、心が切り刻まれるようなえげつない感覚がとんでもない。 なんといってもタイトルにもなっている第9章の「王とサーカス」の章。 「真実」とは? 「事実」とは? 誰のため? 何のため? 「事実」から「真実」は幾らでも曲解でき、誰でも何かの為に真実は都合よく自分色に色を染められる。能動でも受動でもそこで人間の感情やら意図やらが大きく作用し、「事実」と「真実」とは絶対にイコールにならないものなのだろうと考えさせられた。 脚色された真実があるだけでそれは「事実」とは異なるものなのだと考えられる。 作中にもあったが 「真実ほど容易くねじ曲げられるものはない、あるいは多面的なものはない」 これは凄い言葉であり、ど真ん中で的を得ており、響かされてしまった。 人間がおりなす事においては「事実」に対しての「真実」とは誰もが共通した一つであることなどありえなく、語り手でも受け手でもによって曲解せずとも主張や思慮が交じるに決まってる。 例えば自分自身が起こす一つの事柄でさえも自分自身の色んな感情や思考によって多面性が絶対に含んでおり、たった一つの事柄でも一つの感情思考だけではないことに気づく。それは感情を持てば持つほど多面的に広がりを見せていくように感じる。 上手く言葉にできないが人間社会においての真の「事実」とは人間同士である以上絶対に一つであるはずがない。 とんでもなく深く重たい章だった。 この作品を読んでみて本当によかった。 恐怖すら感じる位に自分の中での価値観が揺らいでしまった。 「カラマーゾフの兄弟」がよく揶揄されるように、自分にとっては「王とサーカス」を読む前と読んだ後では世界観が変わってしまったと思う。 強烈な作品だった。
126投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ娯楽に変えてるのは読者か...考えさせられる(この言葉こそただ目の前の文を消費してるだけの空っぽなヤツかもしれないが) 殺人事件に関して一直線という、想像するようなミステリではないが、ジャーナリズムとミステリがかけ合わさりながらカトマンズの情景や人物の心情が描かれた、素敵に不思議な物語だった
4投稿日: 2025.03.20
powered by ブクログなんの話か全然わからず、後半まで全然入り込めなかった。最後に少し謎解ありで、やっと…という感じ。後から主人公のタチアライがシリーズで出てくるキャラだと知った。先にキャラになじんでいればもう少し楽しめたかも。
3投稿日: 2025.03.07
powered by ブクログ実際に起きたネパール王族殺人事件を軸として、フリージャーナリストである太刀洗万智が「記者」として「伝える」ということについて考え、悩み、決断していく。太刀洗の心の葛藤と事件の究明が描かれている。 伏線が緻密に張られており、物語の終盤で真実を知った時、衝撃を受ける、重厚感のある作品でした。
3投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログAudibleにて。 女性フリーライターの目線で物語は進んでいく。 ネパールの首都カトマンズ旅行レポのような感じではじまり、自分も異国の地に行ったような空気感を感じながら、現地の魅力的な登場人物によって物語に惹き込まれていく。 米澤さんを読むと毎回同じことを書いてるけど、事件が起きる前から自然にぐいぐい読ませる力がすごいと思う。 穏やかな旅行のような日常から一変して事件が起きる。 この事件は2001年にネパールの王宮で実際に起きた事件がモチーフとなっていて、緊迫感がありリアルに感じる。 重大ニュースの取材を開始した彼女に待ち受けていたものは… これも米澤さんの作品で毎回書いてるけど、今回も自分が思ってたようなミステリーではなかった。 ミステリーの謎解きや犯人探しも楽しめるけど、それ以上にメッセージ性が強く描かれていて考えさせられる。 読んだ後に『王とサーカス』のタイトルが改めてずっしりと心に残った。
110投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
米澤作品の「可燃物」を読んで面白かったと話したら、母がオススメしてきたのが太刀洗万智シリーズ。 そういえばタイトル見たことあったなと思い出して昨年に文庫を買ったものの、しばらく積読していた。ちょうど読むモノがなくなったのでやっと読みだしたら…面白かった! 前半はスローな展開でゆっくり読むつもりが、殺人事件が起きてからスピーディーになりほぼ一気読みになっちゃったよ。 ジャーナリズムとは、という主題のもと、身近に起きた殺人事件の謎を追う。 万智さんが頭のいい人で、情報を引き出すための変なお色気展開とかなくて本当に良かった。(そういうのもう飽き飽き) しかし最後の…“真犯人”の思惑はゾッとした。 そして自分に関係のない事柄が娯楽にしかならないという本質は、これだけSNSの情報に翻弄されやすい現時点(2025年)にすごく響く。 なぜ知りたいのか、知ってどうするのか。 考えろ。 タイミング的に今見ているドラマ「御上先生」にも少し通じる内容で、なんかそんなめぐり合わせも含めて今読んでよかったな。
0投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログさよなら妖精から10年後、フリーのジャーナリストになった大刀洗さんのお話。さよなら妖精から続く部外者としてのあり方が学べる。自己満足から来る善意を押し付ける行為というのは当事者からすれば迷惑でしかなく、その結果人が死ぬことがある。憎しみに変わることもある。捨て猫に餌をあげてはいけないように身勝手な正義は残酷である。 米澤穂信さんのお話の中では割と集中力がいる類だと思う
1投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログ米澤先生の作品で読んだのは、「満願」に引き続き2冊目なのですが、言葉が多くて、全ての言葉を咀嚼できずに読んでるような感覚(舞台が海外なのもありましたが)なのですが、なぜかずっとハラハラしながら読見ました。 米澤先生のファンになります。
0投稿日: 2025.01.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
フリーの雑誌記者太刀洗がネパールの王宮殺人事件をきっかけに新たな事件に巻き込まれていく。ネパールの砂埃が舞う乾いた空気、それでいて、標高の高さ故の涼しい気候など、情景描写が印象的だった。同時に、記者として人の不幸を世界に発信することへの葛藤というジャーナリズムの核心とも言えるテーマに迫る作品。
1投稿日: 2024.12.14
powered by ブクログインドに行った後に読んでよかった。 情景が目に浮かぶ。自分の知りたいという思い、欲を万智と一緒に突きつけられた。自分は悪いわけないって思うだろうけど自分の属性が、自分がやっていることが憎しみの対象になることもあるのだ
0投稿日: 2024.11.20
powered by ブクログ「さよなら妖精」に登場した高校生の大刀洗万智は淡々とさりげなく謎を解決していく、他のキャラクターとは一線を画したキャラクターという印象でしたが、本作に登場する大刀洗万智は相変わらず鋭い観察眼と思考力を持っているものの、記者の在り方に苦悩する姿を見せるなど、非常に人間味を感じさせるキャラクターとなっていました。 「さよなら妖精」の大刀洗もかっこよくて好きでしたが、本作の大刀洗の方が「この人も人間なんだ」という安心感を感じましたね。 作品を通してカトマンズを旅しているような臨場感があってすごく楽しかったです。 続編の「真実の10メートル手前」を読み終えた後、もう一度読み返したいですね。
0投稿日: 2024.11.20
powered by ブクログ読後感は非常にナイーブなものに触れた感覚だ。 ミステリとして成立もしながら、読者に訴えかけるテーマが重く、深く考えさせられた。「さよなら妖精」と同じように読者に重く思いを科せてくる。 次作も楽しみです。
3投稿日: 2024.11.07
powered by ブクログ異国の地での殺人事件を、たまたま居合わせた記者が解決に挑む。限定された登場人物の事件への関わり方と目的が読めず、けれども文章にはヒントが隠されているので、論理的な進行で十分に腹落ちする。二転三転するけれど展開が飛躍していない唯一無二の作品。
0投稿日: 2024.10.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
"「お前の心づもりの問題ではない。悲劇は楽しまれるという宿命について話しているのだ。人々はなぜ綱渡りを見て楽しむのか。演者がいつか落ちはしないかと期待しているからだと思ったことはないか? ネパールは不安定な国だ。そして一昨日、演者は落ちた。興味深いことだ。これが他国で起きたことなら私も楽しんだかもしれない」 ラジュスワル准尉は言った。 「だが私は、この国をサーカスにするつもりはないのだ。もう二度と」(p.200)" ネパールに取材中のフリーライターの太刀洗万智。町の人々との交流を通じ、この異国の地に流れる穏やかな雰囲気を楽しんでいた。そこに重大ニュースの一報が入る。王宮で国王が王太子によって殺害されたというのだ! 陰謀の影が見え隠れするこの事件の取材に赴く太刀洗だったが、取材の中で、無惨にも"INFORMER(密告者)"と背中に刻まれた死体を発見することに…。 太刀洗は現地の少年に取材のガイドを頼むのだが、最初は彼らを探偵役としたよくあるバディものかと思って読みはじめた。それが、この結末の見事なことよ! トリックは凝ったものではないが、結末の意外性と描写のすばらしさで、良いミステリーを読んだという読後感が残る。 事件を探る中で太刀洗は、彼女の記者としての信念を問われることになる。自らの「知りたい」という心に従って事件を追ってきた彼女だったが、特権的な立場に立って報道を行う権利があるのか、と。本書のテーマの一つは、悲劇をエンターテイメントとして大衆に提供するマスメディアの倫理である。もちろんジャーナリスト側だけの問題ではなく、悲劇を流れ作業のように次々と消費していく大衆である私たち読者に対する注意喚起でもある。事件の真相に辿り着いたとき、このような社会構造によって生まれた或る隠された悲劇と、そして悪意を、太刀洗は見出すことになる。 「自分に事件を報道する資格はあるのか?」 この問いに対して太刀洗が出した答えは、「多くの人がそれぞれの視点から書き伝えればこの世界がどういう場所なのかがわかっていき、それを通じた認識の深化には価値がある」というものだった。そして、その際生じ得る苦しみについては、生じさせないようできるだけ気を付ける、と。彼女の答えは、現実追認的とも言えるだろうし、根本的な解決にはなっていないわけだが、それでもこの社会構造の中でジャーナリズムを生業とする彼女としては最も現実的で誠実な答えだろうと思う。むしろ、これは何か「正しい」答えを出してオシマイという類の問題ではなく、常に個々人が自らに問い続けなければならない問題だと思うのだ。 "何を書くか決めることは、何を書かないかを決めることでもある。どんな小さな出来事でさえ真実は常に複雑で、複数の立場がそれぞれの言い分を主張する。全ての主張を併記することは公平なことではない。ほぼ間違いないと見られている定説と、一人二人が言い張る新説とに同じ紙幅を割くことを、公平とは言わない。どれが定説でどれが裏付けのない珍説なのかを見抜こうとする時、専門家の意見は大いに役に立つ。けれど最後の判断を下すのは、記者だ。その責任から逃れることはできない。(p.392)"
18投稿日: 2024.10.06
powered by ブクログジャーナリズムの本質を問うヒューマンドラマ。 ミステリ部分が良いスパイスとなっていて読み応えが有った。 誰かのかなしみをサーカスにしないように。記者として1度でも。きれいごとでも。かろうじてでも。そんな瞬間が有ればきっと。 報酬の出ないサーカスの演者には誰もなりたくない。そのサーカスの見世物にされたサガルの兄が切なかった。そしてその兄の死によってかなしみの連鎖が子ども達に引き継がれる。でも、 華やかなサーカスの舞台裏を想像する事の出来る観客はきっと居るはず。そんな余韻と期待を残させるような余白の有る終わり方にほろ苦く、でも味わい深い読了感となった。
3投稿日: 2024.10.01
powered by ブクログネパールを旅行してる気分になれる小説。 ミステリーというより、ヒューマンに近いかな。 ジャーナリストとしての生き方について考えさせられます。 読みやすく、素晴らしい読了感!
4投稿日: 2024.09.26
powered by ブクログネパールのカトマンズで活躍するフリーの女性ジャーナリストの話だった。それが「さよなら妖精」の登場人物だった事を後で知ったが、特に続きの作品ではないので「そうなんだ」だけである。 国王の死を巡って繰り広げられる展開だが、あまり馴染みのないネパールという国、多くの日本人ではない登場人物に興味深く最後まで読む事ができた。
9投稿日: 2024.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ネパールに行ってみたくなる ゴビンやサガルが切ない もっとサガルの生活を見たい 太刀洗は本当にサーカスにしないで記事を書けてるのか?記者って誰かの生活をサーカスにする事で成り立つんじゃないの? 他人の不幸は蜜の味
2投稿日: 2024.09.21
powered by ブクログ2001年に起こったネパール王族殺害事件をモチーフにした、フリージャーナリスト太刀洗万智のシリーズ。往年のアジアの混沌とした雰囲気、実際に起こった事件とフィクションが交錯するストリー。二転三転する展開含めミステリーとしてもエンターテイメントとしても上質。後半に入るとやや真相は予測が出来、暗躍した彼もしくは彼女の豹変がやや急すぎる感はあるものの、自分を含めて「サーカス」好きの野次馬根性を持つ大衆心理を揶揄するテーマ性もある。
0投稿日: 2024.08.26
powered by ブクログ終盤にかけて加速していく展開が心地良い 刺激を求める読者、つまり俺も共犯だよ 「知る」ことの快楽に溺れるなよ
0投稿日: 2024.07.31
powered by ブクログ作者は「青春の苦味」が持ち味というかそのように書かずにはいられない性質の作家だと思うけれどそれがハマる時もあればそうでない時もある。ただ、本作では主人公はフリーになった直後のジャーナリストとして、職業人としての覚悟を異国の地で問われるという形で苦味を描くので思春期の少年少女のそれとして描くよりもうまくハマるように思う。本作はあくまでもそれらを描くための道具立てとしてのミステリという印象であまり鮮烈な謎解きの魅力は薄いけれどこれはこれで。
3投稿日: 2024.07.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった。ネパールの土埃を感じた。実際におきたセンセーショナルな事件と殺人事件。結びつけたくなるような状況。でも、とどまった。それには「復讐」が忍び込ませてあった。途中、伏線からなんとなく犯人はわかった。サガルの頭のよさは子どもでは難しいような…。
0投稿日: 2024.07.25
powered by ブクログ緻密に伏線が張り巡らされた本格ミステリとしてはもちろん、他人の不幸を娯楽に変えて消費してしまうジャーナリストの危うさにも真正面から取り組んでいて読み応えありました。 この作家の持つ読後感の苦味や辛さが、きちんと美味として作用するのがすごいところ。
0投稿日: 2024.06.27
powered by ブクログ2024.6.16読了 伏線回収が見事。ネパールという異国の地を想像しながら読むのに時間は掛かったけど、犯人がわかってから最後まで、一気に読み進めてしまった。おもしろかった!
2投稿日: 2024.06.16
powered by ブクログ読む前は本のタイトルの意味はなんだろ?と思ってたけど、読んだ後にはなんて素晴らしいタイトルだろうと思った。 日頃からなんとなく感じてる事、報道する側と受け取る側の在り方を問われている。 ショッキングで残酷なニュースを完全な場所で娯楽として楽しんでいるところもある、と言われれば否定しきれない。 だったら世界で今起きていることを無視すればいいのか?いや、それも違う。 あと、一方向でだけ人や物事を捉えるのも、気をつけなければならない。人は見たいように見て、解釈しがちだから。人も物事も多面的なのだ。
7投稿日: 2024.06.13
powered by ブクログ前作の「さよなら妖精」は未読ですが問題なく楽しめました。主人公が落ち着いた大人の女性で安心して読めそう思っていたけど仕事熱心ゆえに意外と危ない橋も渡るし駆け引きもするからドキドキしながら、そしてネパールの街並みを想像しながら読みました。 ミステリーでありながら報道の在り方を問いかけるノンフィクションのような一面もあり考えさせられる作品です。大半の人が次の日には忘れてしまうようなニュースであっても伝えること・知ることに意味があり、記憶の片隅にでも残れば蓄積して、またあるとき繋がって何かを変える力になることもあるのかな、なんて漠然と思ったり。結末がわかっていても再読する価値のある本だと思うのでまたいつか読みます。
1投稿日: 2024.06.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最高に面白かった!! まずは、ネパールの街並み。行ったことはないが、色や匂い、音、土煙まで想像でき、まるで旅行に訪れたかのように感じられた。 次に事件。ネパールの王族の事件が現実にあったことだとは知らずに読み進めたが、わかりやすく、止まらず読めた。 中盤に出てくる、ジャーナリズムの意義とは?と問答するシーンが非常に印象に残った。そして、「王とサーカス」と言うタイトルに興味を持てずに、今まで手にとらなかったことが嘘のように、印象深い言葉になった。 また、途中でこの人が怪しいと思った人が犯人で、わかった気になっていたが、最後の最後、サガルのところは全く気づかず、全て知らされていたことなのに衝撃を受けた。 真実とは、立場や見方で容易くかわるものであるし、信念があるから正義というわけではない。 この誰もが情報を発信できる時代だからこそ、多くの人におすすめしたい1冊になった。
5投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ実際にネパールで起こった事件と、フィクションの殺人事件を織り交ぜたミステリー。 犯人と動機は早い段階で予想できてしまい、意外性はそれほどなかったが、海外で起こる事件を扱う作品はあまり読んだことがなかったので面白く読めた。
2投稿日: 2024.06.04
powered by ブクログ本書は、米澤穂信さんのあとがきによると、『知るという快楽について小さなひっかかりが生じた』ことを過去に自覚して以来、ようやくそれを形にできたということからも明白な、テーマありきでいながらも、それとフリージャーナリストの主人公「太刀洗万智」の成長物語を見事に絡ませた、謎解きミステリとしても纏まった作品だと思う。 そんなミステリの良さとして、太刀洗への人生訓とも思える言葉が、後になって全く別の意味を帯びてくることが分かったり、それをするべき理由が、実は彼女自身のジャーナリスト人生に大きな影響を及ぼしていたであろうことが、後に判明することから、謎解き自体に充分な必要性があったことを実感させられた、そんな現実志向は物語の中の太刀洗だけではなく、読み手にも思わぬ形で提供されることになるのは、末國善己さんの解説からもよく分かる。 それは太刀洗万智の視点を通して読み手も知ることとなる、ネパールという国で何が起こっているのかという、物語の中に於ける、最新情報を知る喜びと直結していることにあり、2001年に実際に起きたネパール王族殺害事件をフィクションにそのまま取り込んでいるのも、リアルにすればするほど読み手には堪えるものがあるのではないかと、私には思われたのである。 ただ、そこには知るという全体的なものに対してというよりは、個人の人生が関わっているものへのそれに、娯楽性を感じていることへの悲しみであったり、警鐘を鳴らしていることなのではないかと感じ、人の事なんだから別にほっとけばいいのに、ほっとかないし、挙げ句の果てには、あらぬ事まで平気で真実であるかのように書き殴ってしまう記者もいて、それが陰でどれだけの影響を及ぼしているのか本当に真剣に考えているのかと、思いたくなるのは分かるような気がする。 でも、これが王族といった、国民にとってはとても気になる立場に位置付けられる人達の場合はどうなんだろう? 王族だって人間なのは間違いなく、そこは内容次第だとは思うが、本書で挙げられた事件に関しては、はっきりとしたものを知りたい気持ちもあるのではないだろうか。娯楽性ではなくて、単純に何があったのかと心配してしまう気持ちからもあるだろうし。それが余計なお世話と言われたら、もうどうしようもないが。 ということで、そうした観点から見ると、このタイトルはちょっと違うのではないかとも思うのだが、これは読み終えた時に、こうせざるを得なかったのかもしれないと想像することで(ネタばれ防止)、却って絶妙であるとも思えてくる、そうしたところが、また心憎いばかりに配慮の行き届いた感があって、それは終盤のひとつの山場に於ける展開も同様であった。 最初は太刀洗の感じた印象同様に、そういう世界なんだという解釈で済ませてしまうと、おそらく何にでも当て嵌まってしまうと思うが、設定をそれにすることで途端に切実さを帯びる。できることなら、誰だってそういう世界なんだと本当は思いたくないのだが、現実はそういう世界であることを容赦なく見せつけてくる。 しかし、太刀洗にとってはそこに救いがあるのではないかとも思われて、別に純粋さと冷徹さが同居しているのは彼女だけではなく、世界はそうした二面性を持つ人や物で溢れかえっており、しかもそこに善悪の概念を簡単に見出すことはとても難しい。何故ならば、それこそ国や人の数だけ無限にある様々な事情を、いとも容易く推し量ることはできないと思うからであり、だからこそ太刀洗のことを、それに近いことをしているあんたには言われたくないとも思った。 また、そうした世界の見方として、外国人が日本でまず行くべき場所として、彼女が京都タワーを挙げていたことも印象的で、本来ならば京都の町を照らす灯台の意味を持つ、それを「お東さん(東本願寺)のろうそく」と思っている人もいる、そんなところにも感じられた、物事には様々な一面があるということは、そう簡単に知ったつもりにはなれないということだと感じ、そこには様々な視点から切り取った、いくつもの情報から知り、更に自分なりに考えてみることが大事なのだということを教えてくれて、それが本書の『知るという快楽について小さなひっかかり』にも、繋がるのではないかと思う。 以上のことから、本書を読めば、太刀洗が何故「真実の10メートル手前」の表題作以外で、あのような人物像に感じられたのかにも納得できる、それくらいの精神的修羅場を潜り抜けてきた感はあったと思うし、それは彼女自身が決して過去を忘れない、繊細な心を持っていることから、ジャーナリストとしての揺るがない信念を持つことへと繋がる過程から知る、たとえ周りからどう思われようと、それでも、そういう世界のあり方を見続けたい。そこにこそ彼女自身の大きな魅力があるのだと、私には思われたのであった。 次は、若かりし頃の彼女を描いた「さよなら妖精」を読みたいと思います。
66投稿日: 2024.05.28
powered by ブクログ単純に面白いだけではあれだよなと思うし響くものがあるんだけど、とりあえずこれだけは言わせてほしい、面白かった。
1投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログネパールへ行ったことがないが、空気を感じ、そこにいるような気分になれた。報道の難しさも少し考えた。どこか自分事にはならず遠くから見ているだけの気持ちで終わった。
1投稿日: 2024.04.24
powered by ブクログ関空からヨーロッパに向かって飛んだはずなのに、到着したのは九州だった。 そんな気分になった作品でした。
0投稿日: 2024.04.14
powered by ブクログかなり面白かった…! 読みながら犯人や動機はわかった気でいたけど、もっと奥深く、人の心の奥底を突いているような、かなり読み応えのあるお話でした。伏線がすごい。 題名にもなっているサーカス、サーカスがここまで考えさせられるものになるとは思ってもなかった。
5投稿日: 2024.03.27
powered by ブクログこの男は、わたしのために殺されたのか?王族殺害事件の取材を開始した大刀洗万智(たちあらいまち)を嘲笑うかのように、彼女の前に転がったひとつの死体-。 『満願』以来の米澤穂信san。 南アジアのネパールで2001年に実際に起きた王宮事件を背景した壮大なフィクション。祈りで始まり、祈りで終わりました。ネパールでの食事の習慣(10時、19時の2回)や、バイティカと呼ばれる額に粉を付ける儀式など、首都カトマンズでの生活が綿密に描かれていて、とても臨場感がありました。 宿泊しているトーキョーロッジ、日本の元僧侶の八津田源信、アメリカの大学生のロブ、インド商人のシュクマル、軍人のラジェスワル准尉など、登場人物も多国籍。 万智の「何を書くか決めることは、何を書かないのかを決めることでもある。」というジャーナリストとしての姿勢に感動しました。最後のサガル少年の悲痛な叫びは切なかったです。 誰かのかなしみがサーカスにならないことを信じて。 【2015年週刊文春ミステリーベスト10・1位、2016年版このミステリーがすごい!・1位、2016年版ミステリが読みたい!・1位】
0投稿日: 2024.03.17
powered by ブクログ「王とサーカス」(米澤穂信)を読んだ。 なるほど、これが世に言う『米澤穂信ツイスト』なのか!(って嘘です。今わたしが勝手に名付けました) いやー面白かったな。 先に太刀洗万智を知っといて良かったと思う。 印象的な文章を引く。 『自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ。意表を衝くようなものであれば、なお申し分ない。』(本文より) 今の世の荒んだ人心への警鐘でもあろう。
8投稿日: 2024.03.08
powered by ブクログ主人公のタチアライさんが冷めた感じで最初はどうも感情移入できなかった。でも事件をきっかけに記者としての在り方、ジャーナリズムとは何かを考え行動していくタチアライさに好感を持てた。伝える側メディアの倫理観はもちろんだが、受け取る側の私も深く考えさせられる物語だった。 ネパールの雰囲気も、そこで暮らす人々の様子も丁寧に描かれている中に事件の伏線も紛れ込ませていて、すごい本を読んだなと、しばらく感慨に浸っていた。
5投稿日: 2024.02.24
powered by ブクログ最後の方、とても引きこまれた。 物語すべてで主題を語られた気持ち。 考えさせられるとかいう言葉さえ軽く感じられる。当事者にしか語るべきところではないところはある。サーカスに踊らされないように。自分を保ち続けること。
3投稿日: 2024.02.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
序盤はネパールの街並みや空気、人々の生活や祈りを静かに感じることが出来た。 中盤で王族殺害事件が起こる。そして、王族殺害事件当日、王宮にいた軍人ラジェスワルがフリーの記者太刀洗のインタビュー後に殺害される。 不可解な殺人事件の謎を通して、太刀洗の記者としての核が問われる。 記者に限らず、誰もが目の前に起こる事を情報として流せる時代だからこそ考えさせられる話だった。 『何を書くか決めることは、何を書かないか決めることでもある』 『自分は中立だと主張する時、記者は罠に落ちる。記者は常に取捨選択する。誰かの主張を書くことで、別の誰かの主張を無視する。その選択において記者自身の見識があらわになる。主観で選択しているのに、どうして中立などと言えるだろう』 心に刺さる言葉でした。 情報を消費する側も忘れてはいけないことだと思った。 ラストは切なかった。そうだ、彼は、確かに伝えていたのだから。
54投稿日: 2024.02.23
powered by ブクログ先が早く読みたくてページがどんどん進むというタイプの小説ではなかった。 舞台はネパール。話はゆっくり進み、国王殺害事件が起きるのは90ページ過ぎ。雑誌記者の主人公が巻き込まれる事件が起きるのはさらに後。 国王の事件は小説の背景でしかない。なので文庫本裏の「実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクション」という紹介文は違和感がある。 2016年度このミス1位だが、期待しすぎないほうが良い。 トリック・謎解き偏重でもなく、社会派推理小説でもなく、異国を舞台にした普通のミステリ。悪くはない。 読み終えて、ジャーナリストの使命といったものに思いを馳せたりした。 あと、解説の末國善己という人の「虚無への供物」のトリックへの言及はやめてもらいたい。
0投稿日: 2024.02.18
powered by ブクログ最高の一冊でした! ネパールの事は何も知識がなく、主人公の言うところの「ネパールが王制だった事も知らない人」 にあたる私が読んでも、当時の状況がとても理解しやすい。それが細かな説明ではなく登場人物の会話などで想像出来るところが非常に良かった。 ガチガチのミステリーとは少しジャンルが異なり、メッセージ性のとても強い作品となっている。 考えさせられる部分が多く、ハッピーエンドとはいえない結末と思えるが、いつまでも作品の余韻に浸っていたいと感じる不思議。 万人に勧めたい一冊。
3投稿日: 2024.02.16
powered by ブクログ王室殺人事件が起きたネパールを舞台に、フリーの記者である太刀洗万智が国軍軍人の死の真相に迫る。 ミステリーメインではなく、万智の記者としての在り方を問う社会派作品だった。 なぜ真相を追うのか、なぜ伝えるのか。悲劇が消費されていく世の中に警鐘を鳴らす。 ミステリーとしてはスロースタートなので自分の中でエンジンがかかるのに時間がかかった。
1投稿日: 2024.02.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
正統派のミステリー推理小説。 フリー記者、大刀洗万智がネパールのカトマンズにて出逢った事件を解決していく物語。作中、王子が王族一家を大量殺人するがこれは実話だとかなんとか。そして、この殺人が事件に絡んでくるかと思いきや、そうでも無く、ただ無関係かと言えばそうでもなく? 構成も仕掛けもシンプルがゆえに面白い。 ラジェスワルの一言、自分に降りかかることのない惨劇はこの上なく刺激的な娯楽だというメッセージが心にくる。 この本は推理小説に見せかけて野次馬根性への警鐘があって響くものがある。 タイトルもなかなか秀逸。
2投稿日: 2024.02.04
powered by ブクログ最初の方は少し長いなと思った。誰かの悲しみをサーカスにすることから逃れられると言うセリフが印象的だった。ジャーナリズムの在り方を考えさせられると感じた。
0投稿日: 2024.02.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ネパールの情景を事細かに描くことで、物語に臨場感を出すとともに、推理の糸口となる伏線を見事に隠していると感じました。 そして最後の謎が明らかになって行く中で、二転三転と答えが揺れ、顕になって行く結末には、驚きと感動を感じました。 主人公が記者の在り方について苦悩しながらも結論を出し、自身の信念を持って行動することで、最後の結末に辿り着けた様に思います。 単純なトリックやミステリーだけではない素晴らしい作品でした。
2投稿日: 2024.01.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一人の人間が、信念をみつけるお話。 異国の土地へ単身おもむき、国籍の違う、価値観が違う様々な年齢の人達と対峙したことで、自分の軸に気づく。 見た目で人を決めつけるな。 職業、国籍、年齢で人は人を判断しようとする。 しかし、目に見えるものが全てでは無い。 自分が許せないものはなにか。 自分の軸とは、なにか。 軸に気づけた時、それが信念となる。 個人的に、主人公よりも犯人との接点が多く、 自己を客観的に分析ができた。 自分に憎しみを向けてくる相手に対し、自分は主人公のように、はたして考えられるのか。 米澤先生は人の心をえぐる悲しいお話を作ることができるプロだけれど、作品を通して人を成長させることもできる、人類を導く指導者のような人なのかもしれないと、思った。
1投稿日: 2024.01.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
思い返せば、米澤穂信先生の著書で学園ミステリもの以外を読み切ったのは初めてかもしれない。 米澤先生の学園ミステリのほろ苦さが大好きなので、避けていたわけではないけど読む機会がなかった。 でも面白かった〜! 最近読んできたミステリは話の構成が似ていたので、この一文が謎を解く鍵になるな、とか感覚でわかるけど、この作品はそうではなかった。 実際に起きたネパール王宮殺人事件を題材にしているし、この本の「人はその人が持っている一面と正反対の面も併せ持つ」というテーマで描かれた登場人物たちが事件の核となっており、その人間の描き方に説得力というか現実味があった。 なので、小説というよりはルポルタージュに近いような不思議な感覚で読んだ。 あと興味深く読んだのは、主人公の報道に対する姿勢の揺らぎと決意の過程。 昔マスコミへの就職を目指していたことがあったけど、当時の自分は主人公と同じ迷いを持っていたことを思い出した。 誰かの悲劇を消費するものとして世に伝えること、それに何の意味があるのか答えを出せず、結局マスコミではない業界に就職した。 けど主人公が出した答えは「知りたい」というシンプルなもので、その知への欲求はとても共感できるものだった。 これでいいんだ、と思えた。 この後の八津田の話は、あんまり吟味できていない。 あらゆる視点の情報があって、一つの出来事は形成されていく。 言っていることはわかるけど、それを自分の役割として真っ当していくことはどんな感覚だろう。 そして世の中の報道に携わる人たちが、自分たちが情報を伝える意味をどこまで考えているのだろう。 ミステリ要素よりは、ネパールの風景や登場人物たちの心の動きが印象に残る小説だった。
2投稿日: 2024.01.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
報道の倫理がテーマになっていて、前作の「さよなら妖精」同様にミステリー要素は控えめ。 あらすじ 旅行記事を書くためにネパールを訪れた主人公は、国王殺害による国の混乱に巻き込まれる。 ここぞとばかりに事件の記事を書こうとするが、取材対象に自分が報道する意義を問われ、報道とエンタメの区別を強いられる。 序盤は国王殺害に巻き込まれるパートで、国の状況ばかりが描かれるが、ここが謎解きの対象にはならない。時間をかけて読んだのに何も無いという肩透かしを喰らう。 しかし読み終わってみれば、この序章にサガルの心情に関する伏線があり、自分がいかに人の心を考えずに読んでいるかが分かる。 結局、他人の悲劇なんてエンタメで、当人の立場に立って考えていないことを痛感させるための構成なら、皮肉がきいてる。 ただし、つまらないんだから軽く読んでしまうのも仕方無しとも思う。 ラジェスワルの取材から、やっと主人公が絡んだ物語が動き出す。 ラジェスワルの死がミステリー要素だけど、この推理には無理があると思う。 「チーフ」「最悪、空路でも」という言葉からロブの銃に気付くのは難しすぎて、自分は置いてけぼり感があった。 最後にサガルの関与が明らかになり、彼の思惑を察するべきだったと気付かされる部分が作品の主題に沿った終わり方だった。 序盤の退屈さ、内容の薄さが自分の心を作品から離してしまった。 テーマは良かったが、引き込まれなかった。
0投稿日: 2024.01.12
powered by ブクログ2024年読了1冊目は大好きな米澤穂信さんにしました。ネパールで起きた国王殺害事件と、主人公の太刀洗万智が取材中に遭遇した殺人事件。報道のあり方とは、その情報の受け取り方とは。ミステリー要素よりも社会的なメッセージが強めで、かっこいい感じでした。
2投稿日: 2024.01.03
powered by ブクログネパールの異国情緒が濃く漂うミステリー。 2001年、実際に起きた王宮事件や貧困問題にも絡めて描かれています。 海外旅行特集での訪問で遭遇した殺害事件。 王宮事件を取材する記者・太刀洗が新たに目にした事件との関連は? 「この男は、わたしのために殺されたのか?」 その考えが頭から離れずモヤモヤ。 取材中、太刀洗と軍人との問答でジャーナリズムの在り方について痛烈に突きつけられた気がした。 報道をする側・される側・眺める側。それぞれの立場によって見える景色も、抱く感情も全く違う。 「貧困」の報道の裏に隠れた現実の厳しさにハッとなった。 『自分に降りかかることのない惨劇は、この上なく刺激的な娯楽だ』 言葉のインパクトが強い! 表題の「王とサーカス」が、読む前と後で受ける印象が変わる。 壮大なスケールで何度も立ち止まり、じっくり考えながら読み込んでいくような読書体験。 ネパールの喧騒、路地裏の様子が目に浮かぶような情景描写にも引き込まれました。 ジャンルは「社会派ミステリー」でしょうか。 中山七里さん「護られなかった者たちへ」のようにメッセージ性の強い作品。 ミステリーにも本当にいろんなテイストの作品があるなぁ。 理不尽で衝撃的な事件や事故が多い世の中。 ジャーナリズムについて描かれたミステリーは、もっと広く読まれて欲しいなと思いました
7投稿日: 2023.12.30
powered by ブクログさよなら妖精の続編?同じ登場人物が出てくるというので読んでみた。前作読んでから間が空いてしまったからか、かなり成長してしまっているからか最初、誰の話だか分からなかった。(単に自分の記憶力の問題ですが…) ネパールを舞台にした話。前作が旧ユーゴだったから、当時の世相を書きつつミステリーを書くスタイルなのかな? 本の紹介よんだときは国王殺しの犯人を探すのかとおもったが流石にそんなことはなかった。その混乱の中で起きた殺人事件の話。 報道とは…と考えさせられる話だった。報じる側の問題もあるとは思うが受けての私たち側の問題もあると思った。
12投稿日: 2023.12.23
powered by ブクログジャーナリズムについて考えさせられる一冊。 題材もストーリーも面白く、米澤穂信作品らしい印象。 ただ自分には少し難しく、サクサク読み進められたとは言えない。
0投稿日: 2023.12.19
powered by ブクログ先進国に住む人の余裕やどこか見下していた部分を見透かされ、それに気づくシーンの描きかたが良かった。ジャーナリズムとはエゴなのかを考えさせられるもの
2投稿日: 2023.12.14
powered by ブクログ旅行雑誌用の取材で訪れたネパールで王族殺害事件が勃発。急遽取材をすることになった彼女の前に、一つの死体が…。二つの事件に繋がりはあるのか、記者としての覚悟が試される社会派ミステリー!
0投稿日: 2023.12.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2001年に実際に起きたネパール王宮事件を題材にしたフィクション。皇太子が国王夫妻や兄弟を銃殺した衝撃的な王族殺害事件と、フリーに転身したばかりと記者の目の前に現れた軍人の変死体には、どう関係があるのか? 久々のミステリー。インスタで感想を見て、面白そうだなと思って読んだはずですが、期待ほどではありませんでした(ごめんなさい)。犯人の細かい動きまではよめなかったけど、被害者が大麻を云々…と出てきた段階で薄々犯人(と動機)が分かってしまったので、物足りなかったのかも。
0投稿日: 2023.12.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ジャーナリストの在り方とか職業有意性みたいな葛藤が多く描かれていて、感心したり考えたりするも、ミステリーとかエンタメ性への期待強めで読んでいて、途中だいぶペースダウンしました。 何気ない描写からの伏線は細かくて面白い一方、近年に限らず空港などに大々的に注意喚起されているあの手法を終盤まで疑わないのが大いなる謎。
0投稿日: 2023.10.27
powered by ブクログ現地の王族殺害事件に絡んでジャーナリズムとは?考えさせられました。自分はジャーナリストではないけれど、簡単に情報も手に入れられ、意見を投稿できる時代だからこそ自分の言葉に責任を持ちたいと思いました。 タイトルも言い得て妙です。 ラジェスワルや八津田との対話のシーンが心に残りました。お釈迦様の話が面白かったです。 想像以上に素晴らしい小説だったので、他の太刀洗シリーズもぜひ読んでみたいです。
2投稿日: 2023.09.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
当事者においては重大事件(王の殺害)であっても、全く関係ない人には娯楽(サーカス)になる。真理を当てているようで、深く心に残った。
1投稿日: 2023.09.20
powered by ブクログメインキャラクターの太刀洗がネパールでの取材中にミステリーに巻き込まれていく。情景を頭の中で想像しながら、ストーリーを予想していくと、あっという間に読破することができた。とても面白かった!
0投稿日: 2023.09.12
powered by ブクログネパールで海外特集の取材で訪れた太刀洗万智。そこで王族殺人事件に巻き込まれ、当日の警備にあたっていたネパールの軍人に近づくが…。 米澤穂信さんの作品には必ず根底に流れるテーマがあり、本作では伝えるということはとういうことなのか、万智を通じて提示される。実在した事件にフィクションで隙間を埋め、米澤穂信さんが伝えたい思いを盛り込んだ骨太な長編小説。どっぷりと物語に浸れ、ネパールの温度、風土さえも感じる。文献や取材で裏付けされた最高のミステリーだ。
1投稿日: 2023.09.09
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ある側面からしか見てない正義感を声高に叫ぶ、または自分はそうだから他人もそうに違いない、更には先進国はそれが当たり前だからそれが正解だ。のような、傲慢で表面しか見ない王様目線と、それによって踊らされる市民や消費される側をサーカスとしているんだと思うが、ジャーナリストだけの話でも無くSNSなんかもその関係性に近くなるのかな。 発言する前に、他の角度からも考えることだったり、正義感だけでなく現実に即してしるのかとか考えてから責任もった発言をしたいなと思った。
33投稿日: 2023.09.04
powered by ブクログジャーナリズムに対する姿勢を学べた。なぜ自分が記者として記事を書くのかを深く考えるプロセスが垣間見えた。特に印象的なのは、ラジェスワルとの問答のようなシーン。あそこはまた見返したい
2投稿日: 2023.08.20
powered by ブクログジャーナリズムに関して何も考えたことはなかったけど、一つのテーマを記事にして世に出すことの重さと責任を学んだ。 ミステリーとしても、「あ、そういうことか」「そうきたか」と思う瞬間が多く、楽しめた。 夏に読んだからかもしれないけど、 文書から外国の埃っぽい雰囲気が漂っていて、読んでる間中、異国にいる気分だった。
1投稿日: 2023.08.13
powered by ブクログ元新聞記者の主人公がネパールで起きた王族殺害事件と遭遇し、取材を進めるお話し。 一部事実だということに驚いた。 なかなか読み応えのある一冊。
3投稿日: 2023.08.10
powered by ブクログ米澤さんの本は、三冊目。1番、好きだ! 後半になるにつれてどんどん先が気になって、止まらない!ただの殺人事件だけじゃなく、発展途上国へ対する報道にも、一記者の葛藤にも、ふせんがある。見事に回収していく。見事に、深掘りしていく。そして、なぜそこに辿り着いたかを著者の後書きで知り、全てが繋がる。王とサーカスというタイトルがもう逸材すぎて…。8年前に、こんな小説があったのか。情報過多の時代に、立ち止まる時間をくれる小説。自分自身、発展途上国と言われた国でボランティアをしていた身もあり、「サーカス」この言葉が、ここ数年のモヤモヤに突き刺さる。私には、覚悟も、信念も、何もなかった。突き刺さる。。。
1投稿日: 2023.08.09
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記者が現実を書き立てることで苦しむ人がいる。そのことで記者を憎むサガル。「ここがどういう場所なのか、わたしがいるのはどういう場所なのか、明らかにしたい」と言う大刀洗。よく聞く事だけど、まさに、「わたしはそういう世界に生きている。」ということだ。 八津田がラジェスワル准尉を射殺した、サガルが大刀洗を憎んでやったことがわかる手掛かりがあとから読み返してみるとわかるのだけど、最初は気づかなかった。 それにしても、サガルの言葉遣いの豹変ぶりは驚くばかりだ。それだけ、記者を憎んでいるということなのだろう。
1投稿日: 2023.07.09
powered by ブクログ自分とは遠い世界に住む一国の王の死亡に乗じて起こった身の回りの小規模な事件について、元新聞社の記者が真実を明らかにしていくという話。 誰かにとっての悲劇や不幸が誰かの幸せになることを、前者の立場からわからせてくれる内容でした。やはり後味の悪さは米澤穂信…って感じですね。
0投稿日: 2023.07.06
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太刀洗万智が主人公のシリーズを〈ベルーフ〉シリーズというらしい。「真実の10メートル手前」と本作。 おもしろかったです。冒頭、導入部ですんなり入れたし、所々で思考を促してくる感じも好みでした。 立場が違うと世界の見え方も違ってくる。ほんとに難しいこと。ミステリーではあるけれど、謎が解けて爽快というわけにはいかない話でした。
0投稿日: 2023.06.24
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全然関係ないと思っていた身近なあの人が、、、 でも、確かに振り返ってみると、ところどころに点があって、繋がっていく。。。 少し長くて退屈な場面もあったが、最後まで楽しませてくれた。
0投稿日: 2023.06.18
powered by ブクログ書店で、裏表紙の内容紹介に、ネパール とあった事にそそられた。 夢枕獏 著の「神々の山峰」でネパール カトマンズの街並みの描写が素晴らしく 心惹かれた思いがよぎったのかな。 しばらく、ミステリーを読んでいなかった。 米澤穂信作品 初読み。 読み始めてみると、面白くて先が気になり止まらない。 何と、米澤穂信 恐るべし! なぜ今まで、読まなかったのかなぁ! 主人公のフリーランス記者 大刀洗万智も魅力的! 2001年6月のネパール王殺害事件と物語をうまく絡めて、本当に上手いなあ、と思う。 首都カトマンズのホテルに宿泊中の、アメリカ人学生、インドの商人、日本人の自称破戒僧 らと知り合う。 そして、路上で土産物売りの少年には、カトマンズで働く小さな子供たちの現状も語らせる。 最後、ミステリーの醍醐味満載で、とても満足‼️
21投稿日: 2023.05.03
powered by ブクログ太刀洗万智シリーズ。 彼女がネパールへ事前調査に赴いた際、王宮内で殺人事件が発生する。 万智は取材も兼ねて調査に乗り出すが、更なる殺人に巻き込まれてしまう。 ネパール国内の混乱と日本とのギャップを上手く混ぜながら、描いているのが米澤先生ならではという感じで面白かった。 太刀洗シリーズはもう出ないのかなぁ。
4投稿日: 2023.04.22
powered by ブクログ最初の大きなミステリーの謎は最後まで解けていない気がするが、ジャーナリズムとは?という大テーマのもとに描かれたミステリー。読み応えがあった。
0投稿日: 2023.04.07
powered by ブクログ小さな事件が大きな事件に結びついていた。という小説はよくあるが、大きな事件の裏に小さな事件が起こっていた。という、後者に焦点を当てた小説だった。しかし、小さな事件でも当事者にとっては大きな事件であり、結末までしっかりと引き込まれた。王とサーカスという題名も、最後まで読むとしっくりときた。
2投稿日: 2023.02.18
