
総合評価
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powered by ブクログ有名大学に進学するも、大学に通わず引きこもり生活を続けている裁弥勒(たち・みろく)は、ある日援助交際をしている女子高生の島津里沙(しまづ・りさ)に声をかけられます。彼の異様な様子に気づいたリサは、彼のもとから逃げ出しますが、その後弥勒は、リサが仲間の女子校生の馬場光(ばば・ひかる)に命じられて売春行為をおこなっていることを知ります。リサがヒカルたちの言いなりになっている姿を目にした彼は、自尊心を失ったリサと彼女を食い物にするヒカルに対して激しい怒りを覚え、ヒカルを殺害するという計画を頭に思い描きます。 ストーリーやキャラクター設定などは、ドストエフスキーの同名の小説とかなりの程度で対応していますが、言うまでもなく19世紀ロシアの無神論的な絶望と、現代日本の白々とした明るさの中の絶望とは大きく異なっています。その意味では、吉川英治の『宮本武蔵』と井上雄彦の『バガボンド』の隔たりよりも、ドストエフスキーの作品と本作の隔たりの方がはるかに大きく、ドストエフスキーにヒントを得た著者のオリジナルなストーリーと捉えるべきでしょう。 もちろん、長く実存思想に引き付けて解釈されてきたようなラスコーリニコフの延々と続く自分語りは、現代日本の引きこもり青年らしい劣等感と自意識過剰に置き換えられており、当節ふうのテーマを描いたマンガとしておもしろく読みました。
1投稿日: 2017.11.12共感と嫌悪
第1巻を読んだ直後です。原作は読んだことがありませんのでこの後どういう展開が待っているのか全く知りません。その上での感想になります。 まず主人公の弥勒について、思い込みが激しく、自分の思考に根底では絶対的に正しいという考え方を持っている身勝手な人間に思えました。しかし、テレビでの殺人事件や暴力事件のニュースを視て「なんでこんなひどいことができるんだ。」、「どうしてこんな奴が生きているんだ」等と思ったことがない人がいるでしょうか?そしてそんな事件を起こした人間に対して後ろ暗い感情を持ったことがない人がいるでしょうか?人が誰しも持っている正義感と欲望をむき出しに解かりやすく体現した人物にも思えました。 それに対して、馬場ヒカルという人物はまさに上記で書いたような感情を抱かせるそのものを体現する人物です。自分の配慮に欠ける言動にひどい自己嫌悪に陥って、胃がキリキリ痛むという身からしてみれば、他人を貶めて、蔑んで、罵って、気持ちがいいという感覚が理解できません。それでも主人公が一巻の最後の思考に至ったことにどこか共感してしまっている自分もいて、自己矛盾と恐怖にも似た複雑な心境を抱かせられました。
5投稿日: 2015.04.18換骨奪胎する面白さ
本書はタイトルの通り、ドストエフスキーの『罪と罰』を翻案したマンガだ。 あまり期待せずに読み始めたのだが、原作との距離感が絶妙で、新刊の発売をとても待ち遠しく読むことになった作品だ(現在は完結)。 大幅な換骨奪胎のため、原作を知らなくても面白い。 が、あえて原作ファンの目から魅力を語ってみようと思う。 主人公ラスコーリニコフに対応するのが引きこもり気味の大学生、裁弥勒(たち みろく)。 「踏み越える」ために金貸し老婆アリョーナならぬ、売春組織の親玉女子高生・馬場光の殺害を計画する。 光の「害虫度」は、はっきりいってアリョーナ以上だ。 老婆の義妹で「いつも妊娠している」リザヴェータに対応するのは、光の同級生、島津里沙。 光に売春を強要されながらも逆らうことのできない少女だ。 原作にはない弥勒と里沙の関わりがクローズアップされるにつれて、楽しくも不安になる。 展開が気になる、でも原作のもつ「思想」を壊しはしないか、と。 様々ないきさつはあったものの、里沙と弥勒の関係は「原作通り」に展開する。一番大きなところで。 そこから、判事との間の虚々実々の駆け引きが展開するのかと思いきや、 「首藤魁」なる男をめぐる回想が続く。首藤・・・・スヴィドリガイロフ! ラスコーリニコフの妹に迫る、悪魔的な人間、スヴィドリガイロフは彼の魂の父親とも、もう一人の主人公とも評価される人物だ。 初読では、彼の存在意義や根本思想が掴めない読者が多いのではないだろうか。 というか、3回くらい読んでもやはり謎だらけな男だ。 「首藤」という名前が明かされる前から、彼は弥勒の中で父とシンクロする存在として現れる。 嫌悪しながらも惹かれて已まない存在として。 原作でも実は魅力的という設定なのだが、マンガや翻案の中でこれだけスヴィドリガイロフが魅力的に描かれているのは珍しい。 亀山郁夫は、ただ一人、「踏み越えることができた人間」と言っているが、このマンガの中でも、 「草食動物でありながら自然の摂理をひっくりかえして肉食動物になった」存在だ。 「この世は地獄だ。人間の欲が地獄を招く。これは世界の必然だ。欲望は生の本能そのものだから。 欲と欲が絡み合い、強者が弱者を獲って喰らう。猥雑で残酷で、だから世界は美しい」 「欲望を肯定しろ 地獄こそが楽園だ」 裁弥勒は、彼のこうした言葉に導かれるように「踏み越える」ことを目指す。 このあたりは原作とは全く異なる。 賛否両論のありそうなところだが、原作に忠実でなくても、原作からインスピレーションを得た作品としては、非常に魅力的だと思う。 完結巻まで読んだが、きちんと一つの作品としての世界観ができている。 それは、ドストエフスキーの世界観とは違うものだと感じた。 その違いに大きな意味があると感じた。 ある作品の影響を受けるとはどういうことだろう、そこからまた別の世界を構築することはどういうことだろう、 そんなことも考えさせられた作品。
11投稿日: 2015.04.18
powered by ブクログ言わずもがな古典文学の代表作と同名のタイトルで、原作を現代風に作り替えた漫画。全10巻。登場人物の名前が変だが、これは原作の登場人物の名前に合わせている為だと思われる。 一気に読んでしまいました。面白かったですが、なんかこう後味は悪目。 「罪を償って、生まれ変わって帰って来て」
0投稿日: 2014.08.22これは!!
引き込まれる面白さです。 漫画なのですが、小説を読んでいるような感覚になりました。 大人向けですね。
1投稿日: 2014.06.09
powered by ブクログ「罪と罰」を,現代日本を舞台に描いた作品。 読むととても疲れる。 主人公のキャラクターは,一言でいうと, 「実在しそうなレベルの夜神月」みたいな感じ。
0投稿日: 2013.10.26
powered by ブクログドストエフスキーの『罪と罰』を現代日本に置き換えた話。そのせいか、どうしても現実感に欠けるけど、一気に読めた。でもヒロインの設定は幾らなんでも無茶・・・。
0投稿日: 2013.06.01
powered by ブクログドストエフスキーの「罪と罰」を現代の日本を舞台にコミックスに。主人公の心理の揺れを精緻に描き出す作者の画力を得て読ませる物語になっています。
0投稿日: 2012.09.09
powered by ブクログ古書にて表紙買い。どう進むか、面白くなるか否かもまだ見えないですが、先が読みたいと思う作品。完結しているようなので、気長に買う予定。
0投稿日: 2012.06.16
powered by ブクログ全巻分の感想。 最初は本家の「面白い」部分だけ抜いて無駄に陰惨にしただけかと思ってしまったが、全くそうではなかった。漫画なのに文学している。 人付き合いのできない私には、この作品を読んで何か光が見えたような気がした。 あえて文句を付けるなら、ラストシーンはもっと「希望に満ちた」ものにして欲しかった。 罪と罰の現代版、というネタは多くの人が考えるだろうが、世に出たのがこの作品で本当に良かったと思う。
0投稿日: 2012.02.27
powered by ブクログ引き込まれるストーリーは秀逸。ややキャラクターの書き方に難があるが淡々としつつ日常の変化に合っている。陰鬱した話に興味があれば。
0投稿日: 2011.12.15
powered by ブクログ自尊心と劣等感でぐらぐらしている主人公。ある日ファーストフード店で売春を強要されながらも犬のようにグループについて歩く娘に気付く。リーダーとなっている女は調べるほどに悪辣で……害虫を取りのけたとしてそれが罪になるだろうか?「崇高な目的の達成が 流された血をあがなうだろう」いまのところ予測の範囲内。次巻に期待。
0投稿日: 2011.11.06
powered by ブクログ2011年4月、完結済み。 生きることに意味を見出せずに足掻いている人、 ぜひ読んでみてください。 と言っても、暗い内容なので、精神状態がいい時をオススメします。 最終巻では、本当に自分が考えているようなことを 主人公がセリフとして表現してくれていて、泣きました。 アスペルガー症候群(発達障害)を持っていて、 人生を難しく考え過ぎてしまう傾向があるわたしですが、 この『罪と罰』の主人公も、きっと人生に意味を求めてしまう 種類の人間なのかもしれません。
1投稿日: 2011.06.15
powered by ブクログ全10巻。 ドストエフスキーの『罪と罰』を下敷きに、現代の日本の物語に置き換えた作品。 原作では重苦しかったけど、こちらではドラマチックに話が進む。思わず息を飲んで次のページをめくる。
1投稿日: 2011.05.10
powered by ブクログ表紙とあらすじで結構面白そうと思って読んだが、 4巻くらいまで読んだ現状はちょっと期待と違うような。 どこに向かっていくのかは興味があるけど、読み続けるのはちょっとしんどい。また、いつか気が向いたら…
0投稿日: 2011.03.19
powered by ブクログドストエフスキーの「罪と罰」が現代の時代背景でリアルに表現されてる。ドフトエフスキーの小説も読んで、主人公の人を殺してからの心情は絵で再現するのは難しいかと思ったが、単なるリメイクで終わらない新しい表現があって面白い。「崇高なる目的が、流された血を贖う」、自分は資格がある人間であると信じる青年が、儀式の後に感情に押し殺されそうになる姿はリアリティある。
0投稿日: 2011.02.18
powered by ブクログ資格があれば、人を殺してもいい。収穫者の資格、それが主人公にあったから殺したのか。その資格者たらんとし、殺したのか。 だがその人殺しの後に残ったのは、良心の呵責と、資格などとは程遠い何もない自分だった。 何者かでありたいという欲求と、屁理屈はこねても何も実行することができない悩める若者像は、学生時代の悶々としていた自分とどうしても重なる。 超古典名作である原作のテーマをきちんと残して昇華させた素晴らしい作品。
0投稿日: 2010.12.21
powered by ブクログ現代版ドフトエフスキー。 原作も面白かったが、コレもまぁまぁッて感じ。 マンガという点で表現が限定されるので文字媒体表現による想像には劣るが分かりやすい。 コレもまた贖罪atonement 一体化at one ment 結局のところこーゆー事。
0投稿日: 2010.12.21
powered by ブクログドストエフスキーの同名小説を現代日本版にした作品です。 漫画だから小説より読みやすく、現代日本が舞台なので世界観もよりわかりやすくなっています。 6巻まで読みましたが、読んだ後にかなりズッシリきます。
0投稿日: 2010.11.28
powered by ブクログドストエフスキーの「罪と罰」をモチーフにして現代の闇を映し出した作品です。主人公の裁弥勒は卑屈で自尊心が高く、犯罪者のありきたりの性格設定だけど、人間らしい部分もあり先を読みたくなりました。 <あらすじ> 大学をドロップアウトし、暗く狭い自室に閉じこもり肥大する自尊心と過敏な劣等感の間でもがく青年、裁 弥勒。 女子高生リサとの出会いによって彼が宿した恐るべき「ある計画」とは?
0投稿日: 2010.10.11
powered by ブクログ一巻しか読んでいないので評価は付け難いが、まず、何よりも読後感が悪くてげんなりする。 ペース良く読みやすく、続きが気になる半面、圧倒的な悪意に満ちた世界に嫌悪感しか覚えない漫画だった。暗いし陰険だし残虐的だし。
0投稿日: 2010.09.16
powered by ブクログそこそこだが評判ほど面白いとは思わなかった。 罪と罰を換骨奪胎した現代日本版なのだが、現代版としては失敗ではないだろうか。 主人公がこれでもかというほどのステレオタイプ文学少年なので、古来文学によって延々と繰り返されてきたごくごく普遍的な殺人・葛藤・罪と罰という内容についてしか描かれておらず、古典の舞台だけを現代に移したような違和感を感じる。殺人者の心理を描いた作品として、この漫画にしかない価値というのが存在していない。 もっとこう…現代の病理を抉るみたいな内容を期待していたんよ。そういう意味では「ソラニン」の現実感の方がこの作品の殺人者の現実よりも圧倒的だった。「ソラニン」の現実感を褒めているのであって「ソラニン」という作品自体を褒めているわけでは決してないのであしからず。
0投稿日: 2010.08.28
powered by ブクログ現代日本版、罪と罰!5巻まで読んだけど、かなり忠実に再現されてて面白かった。心理描写も出来事も、あの時代のロシアでのことが上手く現代日本に移されてて。 6巻あたりから少しアレンジも入って来るようだけど、芯はしっかりとしているので大丈夫でしょう。むしろ、弥勒がその時どういう心理状態に陥るのか、行動に出るのか、楽しみ。 圧巻といえば2巻あたりの計画実行の流れ。あんなにもページを使って描くとは思わなかった。落合先生よくやった。 いつか揃えたい。
0投稿日: 2010.08.26
powered by ブクログ言わずとしれたドストエフスキーの同名作品へのオマージュ。 現代の日本に置き換えて作品が生まれ変わっている。 やっぱ主人公、友達にはなりたくないよなあと思いながらも思想や行動が面白いので読み進めてしまう。 続きが楽しみ。
0投稿日: 2010.04.21
powered by ブクログヒキコモリが援助交際をする女子高生に出会い、ある計画をくわだてる。 こんな世界狂ってる、こんなこと間違ってる。誰が正義で誰が悪か、そんなことはどうだっていい。ただただ計画を実行する。この狂った状況を変えるために。
0投稿日: 2010.04.06
powered by ブクログドストエフスキーの同名の小説をモチーフにした作品。 原作を読んでいないから忠実なのかどうかが分らないのですが、設定は現代になっているので割りと読みやすいのではないでしょうか。 主人公がとても苦悩しています。 信仰や考えが偏ってしまうというのは怖いですね。
0投稿日: 2010.01.31
powered by ブクログ帯の「最高の本!マンガ部門2010ベスト10ランクイン!」の文字にふらっと 書店で衝動買い。 ドストエフスキーの「罪と罰」を現代版にリメイクしたものらしい。 んー。そっちをまだ読んだことが・・・。 でも読んでみたら、この本の見え方も変わるのかも? これは相当エグイというか残酷というか。。。 2010.1定価購入 / 2010.1.24読了
0投稿日: 2010.01.24
powered by ブクログドストエフスキーの「罪と罰」を現代日本を舞台にして、 マンガでリメイクした感じである。 肥大した自意識に囚われ、「崇高なる目的が、流された血を贖う」と信じる青年の、犯す罪とそれへの罰。 不条理への絶望と終わらない葛藤の中で、 主人公ミロクが取る行動とは・・・。 犯した罪は贖われるのか? 救いは、あるのか...? 揺れ動く感情描写が秀逸です。発売されるたびに気になる。
0投稿日: 2009.12.24
powered by ブクログドフトエフスキー「罪と罰」を現代風にアレンジしながら原作にそって話が進む。 昔、「罪と罰」の原作を読んで、あまりのグロさ陰険さに、気持ちが悪くなって途中で読むのをやめた。 マンガだから、読めるかな? ってなんとなく借りてみたけど・・・昔読めなくなったことを思い出した。やっぱりマンガでも読めなくなってしまった・・・。 4巻まで借りてしまったので、2巻からはパラパラ流して読んでみたが、それでもギブアップ。 マンガだからだめだったとかでは、まったくない。 私には「罪と罰」自体が向いていないようだ。
0投稿日: 2009.11.30
powered by ブクログ「一気読み推奨」とのPOPに従い、既刊本は一気に読んだ。ドストエフスキーの原作を現代を舞台にリライトした本作はえげつないほどの…異物感のようなものをもたらす。登場人物はふつうの若者ばかり。だからなのか。
0投稿日: 2009.11.24
powered by ブクログドストエフスキーの「罪と罰」を 現代版にリメイク。 なんで現代で斧?で殺すわけ?? 小難しいなー
0投稿日: 2009.03.11
