
総合評価
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powered by ブクログ解説にも書かれてあるが、登場人物は女性ばかり。しかも男性と幸せに暮らしている人はほぼでてこない。 最後まで読んだが、八日目の蝉がタイトルとなった意味が今ひとつわからない。実の両親と暮らし始めたのが八日目という意味なのだろうけど、腑に落ちない。作者の言いたいことをちゃんと理解できてないのかもしれない。 読後、実の両親の内面が気になったので、もっとこの二人の感情を描いてほしかったなと思った。
1投稿日: 2024.09.29
powered by ブクログなんとも切なくて重い。そんな切ない重さから逃げたくでもなったのか、どんどん読み進めてしまった。読み終わったら、あの人に手渡そうと思っていたけど、やめておこう。今はやっぱり切なくて重い。
1投稿日: 2024.09.26
powered by ブクログ頁をめくりたくなるような内容で面白いけど、共感できるところは少ない。 でもこういう女いるなあーと思う。 どんな事情があっても誘拐はやばいし、不倫をやめられず自分の意思で行動も決められない。 流されて流されて人生不幸になりました。 被害者です。みたいな人物像にまったく共感できず…。 エモい感じにしてるのもちょっとどうなのか… 傍から見てる分にはおもいしろいけど得るようなことはなし。 怖いものみたさみたいなそういう意味で面白かったなという本でした。
14投稿日: 2024.09.24
powered by ブクログ何とも言えない感情・・・ やってはいけないこと。 でもその後の過程は間違ってはいない。 そして最後は… そんな作品です。
0投稿日: 2024.09.24
powered by ブクログなんて辛い、なんて切ない、なんて悲しいのだろう、と思うけど、人生ってこうかな、と思うし、人ってこうだよな、とも思う。 題名が素晴らしい。この小説全てを表している。
0投稿日: 2024.09.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ある日、生まれたばかりの赤ん坊が拐われた。 拐われた赤ん坊は誘拐犯の手によって大事に育てられすくすくと成長する。 誰が子を第一優先に考える優しい母親を誘拐犯だと疑うだろうか。 どこにでもいる普通の親子のはずだった。 フェリーに乗るまでは… 世間は"誘拐"や"犯罪"といった言葉で囃し立て、好奇の目を向ける。 しかし、当事者達にとって『誘拐』の一言では片付けられない感情が事件から何年、何十年たっても払拭できずに心の中を掻き乱している。 何が幸せで、何が不幸なのか。 全てを失った八日目の蟬が不幸でないとすれば、それは大事に育てた我が子が今も生きていると感じられるからではないだろうか。
2投稿日: 2024.09.21
powered by ブクログ本当に悲しく切ない物語でした 昔に映画を観て、切なかったのを覚えてましたが、原作を読んでもっと切ない気持ちになりました 自分の赤ちゃんを堕胎させられ、代わりに赤ちゃんを奪い去り、育てていた希和子もかわいそう 大切にすくすくと育てられた薫もかわいそう 薫の妹もかわいそう ただ、薫の本当の両親の秋山夫妻はちょっとですが… 特に父親は、凄くクズ感ですねー あのまま暮らせられていたら、どんな風になったのだろうかと想像せずにいられません やっぱり無理かな住民票もないって… 最後もまさかの再会と思いきや!ですよねーとの終わり まあ、まだ再開できる可能性はゼロではないですけどね その後のことはどうなるにせよ時計を進めるために再開してほしいと願わずにいられない
2投稿日: 2024.09.19
powered by ブクログ第7回ビブリオバトル全国大会inいこま予選会4-オンライン-で紹介された本です。 https://www.youtube.com/watch?v=I1WIGU-uM-s 2022.2.12
0投稿日: 2024.09.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
着地が読めない展開グイグイ引き込まれ、あっという間に読了。 希和子と薫は本当の親子では無いけれど、誘拐は犯罪だけれど、どうにかして2人がずっと暮らしていける日々を願わずにはいられなかった。 希和子が逮捕される時、「この子はまだ朝ごはんを食べていないんです」と叫んだシーンはあまりにも切なかった。希和子は間違いなく母だった。
3投稿日: 2024.09.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一部 幼児の愛らしさと、拾い子という胸騒ぎがすごくアンビバレントで心が騒ぐ。予防接種、母子手帳ってすごいアンカーになっていると実感。乳児期の愛おしさが目に浮かぶようで、のちの展開に生きる。 二部 前評判なしだったので、視点が変わることに驚き。「なぜ私だったのか」が生きる。被告人の罪は棚にあげ、子どもの受難、被害者の受難が辛い。でもお父さんはクソ。諸悪の根源。でも「無関心と諦観でそれをやり過ごそうとしていた」この言葉はなんか非難と申し訳に共感がある。 俯瞰して見れば、誰が悪いかというと不適合な両親。でも誰かのせいで、じゃあどうだったのかと考えるとこれは難しい。どうであれば幸せかなんて、与えられた登場人物では決められない。 「こんなはずではなかった」と思う場所から、一歩も踏み出せなかった私たち。好きや嫌いではなく、私たちがどうしようもなく家族であったことに、私は今気づく。 希和子に愛されていたこと、愛していたことを最後に思い出せたのが何より。再会して一緒に暮らすのかなーと思ったけど、それよりもダメな家族と厳しい見通しでも一緒に暮らすというのが逞しくていい。 解説とってもいい。そう、男はみんなダメだったし、子育ては美しい。この人の本読んでみたい
2投稿日: 2024.09.06
powered by ブクログ育まれた命について、家族について、自分自身について、そして繋がりについて考えさせられる物語でした。普通でない暮らしをしてきた人の、普通の人には理解できない満ち足りなさや、その先のこと。人間ドラマとしてとても面白く読めました。一部の望みのある終わり方がなんだか素敵でした。
2投稿日: 2024.08.15
powered by ブクログ先日、広島を訪れた。 もっと長旅が出来るなら、瀬戸内の島々も巡ってみたかったなぁ。 そんなことから、そう言えば「八日目の蝉」は小豆島が舞台だったなと思い出し、再読。 〝瀬戸内の海、すっごい静かなんだよ〟 〝なんか、鏡みたいなんだ〟 〝背後にそびえる緑の山、潮のにおい、醬油の甘いにおい〟 〝銀色の海とまっすぐに降り注ぐ陽射し〟 こんな風景の描写から想像も膨らみ、また島の人々の情が心に沁みる。 あぁ、小豆島… 近いうちに必ず訪れよう。 赤ん坊を誘拐し、逃げて逃げて逃げ続け、およそ4年間に渡る逃亡生活。 緊張の糸がピンと張り詰めた暮らしのはずだが、時には助けてくれる人々の情に心を許し、愛しい娘(誘拐した子)との束の間の穏やかな暮らしに心が緩む主人公。 行く先々で女たちに助けられるのが印象的だ。 それに対し、ここに登場する男たちは頼りなく、身勝手すぎる。 だから母(お腹に子を宿したときから母ですね)は強いんだなぁ、としみじみ思った。 読後もしばらく物語から抜け出せず、登場人物たちの幸せを願わずにはいられない。 心の深いところに届く作品だった。
89投稿日: 2024.08.04
powered by ブクログ不倫相手の自らとは血のつながっていない女児を誘拐した女性が実の親子のように逃亡を続ける様子を日記的に描く1章(0章もその女性視点)と、その誘拐された女児が20歳に成長した後を描く2章から成る「母性」をテーマとする小説。 決して許される行為ではないというのは重々承知ながら、誘拐犯である主人公の女性に感情移入しながら読み進めた。読み終わった後には、感動というのとは少し違う、やりきれなさを含む深い余韻に包まれ、電車の中だったのに涙が滲んでしまった。 ここでは誘拐犯とその被害者というかなり歪な形ではあったが、血がつながっていなくても「親子」の愛というのは成り立つということを感じたし、子どもの成長は1日1日がかけがえのないものだということも感じた。 一方で、2歳の子どもを育てている身として、幼少期の記憶の儚さにも思いを馳せた。 また、タイトルにもなっている「八日目の蝉」のエピソードも、人生のヒントになるものとして心に残った。
9投稿日: 2024.08.03
powered by ブクログ女の人特有のつらい気持ちが痛いほどわかり、共感し泣いてしまいます 悪いのは誘拐してしまった女なのか、そうさせてしまった男なのか 大人のエゴはいつでも、子供を苦しめます わかっていても感情に流されてしまう、それが人間ですね
0投稿日: 2024.08.01
powered by ブクログ安定して面白い。映画で最初に見たが、改めて小説で読んでも面白かった。 赤ちゃんを誘拐した女。 誘拐された側の両親。 当人ともに人生が狂ったが、誘拐された恵理菜が妊娠した時、今までの憎しみが晴れ。 全ても人を救うような愛おしさが込み上げた。
7投稿日: 2024.07.30
powered by ブクログとても辛い内容でこの時代はこういうのがあったなぁ〜と思いました。ラストのフェリーを待つシーン!すれ違う想いは美しく小さな光で鳥肌が立ちました。
2投稿日: 2024.07.24
powered by ブクログ星2.8 希和子が薫(恵里菜)を盗む 前半:希和子の逃走劇 ・主に希和子がずっと逃げているだけだった のでここらへんはパラパラと読めた。 (そんなハラハラ感はない) 後半:恵里菜が希和子から受けた影響 ・作者は後半に力を入れているように感じた 恵里菜の考えがどんどん変わっていく 前半は逃走劇なだけなのであんまり深い意味はなさそうだった。後半は「八日目の蝉」の意味が分かるような気がした。それは蝉は七日間で死んでしまうが、8日目に一匹静かに生きるほうが、悲しいのではないかということだ。(希和子に照らし合わせている) だから希和子は恵里菜を盗むのではなく、みんなと同じように生きていたほうが幸せで、そのほうが恵里菜のためになったのではないか。ということだと思った。 ただ、この本は本格的になにが言いたいのかいまいち分からなかった。
2投稿日: 2024.07.20
powered by ブクログもがきながらも、優しく懸命に生きようとする恵理菜の姿に涙が止まらなかった。 ラストが圧巻。とにかく余韻が凄い。しばらくこの作品のことばかり考えてしまいそう。 読了 7月18日
0投稿日: 2024.07.19
powered by ブクログ★構成 0章 犯行 1章 薫を連れた希和子の逃亡 2章 大学生になった恵理菜(薫) ★印象的な場面 1章の最後 小豆島 小さかったときの薫の目線で 大きくなった恵理菜(薫)が フェリー乗場の出来事を回想する場面 “あの人はあばれることもしなかったし、 私に何かすることもなかった。ただ、 私と引き離されるとき、大声で何か言った” 2章の最後 大声で言った内容が明らかに 「その子は朝ごはんをまだ食べてないの」 ★刺さった台詞・文章 千草が恵理菜に 「八日目の蝉は 他の蝉には見られなかったものを 見られる」 “野々宮希和子も、今この瞬間どこかで 八日目の先を生きているんだと 唐突に思う。私や、父や母が、懸命に そうしているように” 恵理菜 ★舞台 1985年〜4年間 と +α 希和子は逃亡で転々とするから 色々・・・ エンジェルホーム 小豆島 ★感想 昨日 読み終わった本のキーワードが 不妊とか里親制度とか 望まない妊娠とかで。 たまたま 続けて この本も 妊娠やら堕胎やらで しんどいん ね。 希和子は赤ちゃんを連れ去って逃亡 だから悪いことしているんだけどね。 一生懸命、丁寧に薫を育てるのよ。 ヒヤヒヤ ハラハラ 応援しながら読み進めるわけよ。 逮捕される瞬間でさえ 薫の朝ごはんを 気に掛けているんだから。ぐっとなる。 希和子や恵津子が こんがらがっちゃったのは丈博の不倫 のせいなんだよ〜 む〜 ヒドイ。 恵理菜(薫)が 本当の両親のもとに帰れたのに メデタシメデタシって ならないところ。 丈博の 無関心さで均衡を保とうとするあたり。 恵津子の感情的なところ 嫌だな。 とっても嫌だわ。 自分あんなふうに感情的になりたくない と 思う。 これ本当にあった事件なんじゃない? と思った。 最後 “この作品はフィクションであり” で、改めて すごい作品だな、と。 恵理菜が小豆島に行けて 回想できて よかった。 何も憎みたくなかった、と気づけて 救われる こっちまで。 “鎖を握り岩を崖をよじ登っていく 女の後ろ姿” というふうに 大きくなった薫が 希和子を思い出す場面があって はて アタシの息子らは どんな時に どんな場面を 切り取って 記憶してて どんな未来に はた、と それを 思い出すんだろうか と 思ったよ。 アタシが 母ちゃんでいる 日常 ・・・
6投稿日: 2024.07.15
powered by ブクログ再読。 子供とあとどれくらい一緒にいれるかなんて 特に考えたことなかった。 すごく切ないけどすごく感動した。
0投稿日: 2024.06.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
その子は朝ごはんをまだ食べていないの なんて素晴らしいセリフ。 この一言で希和子を許してしまう。 誘拐は犯罪、それでも、薫が生家に育ったより幸せな幼少期を送れたのは、希和子の惜しみない愛情によるもの。産んでいなくても子どものお腹が空いていないか気にする、人間として当たり前の行為をできていた希和子。薫と逃げ切ってほしかった。 小豆島の豊かな生活。 久美の母親、沢田昌江が裁判で言った 「野々宮希和子じゃなくて宮田京子ならいいのに」 きちんと地に足をつけ暮らしていた様がわかり、胸が痛む。 子育てできた4年間に感謝している、そういう希和子に育てられ薫は幸せだったよね… 立川の実家に戻らず、希和子と赤ちゃんを育ててほしいと思ったのは私一人ではないと思う。 素晴らしい本だと思う、未読の方には強くおすすめ。
0投稿日: 2024.06.24
powered by ブクログ赤ん坊を誘拐した女性、実の親子のようにしながらの逃避行と、成長した娘視点の話との2部構成。少しミステリっぽくもあり、一気に読めた。今度映画も見てみようと思う。
1投稿日: 2024.06.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
めちゃくちゃ良かった。 その子はまだ朝ごはんを食べてないの 読み終わって数年経っても忘れられない。 このセリフだけで、愛していることがものすごく伝わって、誘拐犯だけれど、母だった、 角田光代さんの本はやっぱりおもしろい
1投稿日: 2024.06.15
powered by ブクログ物語の最後にタイトルの意味が分かる。 2部構成でそれぞれの視点から語られていること、共通のシーンがあるのが良かった! また読みたい。
3投稿日: 2024.06.11
powered by ブクログ自分の世界が自分以外すべて七日で終わったとしても…生き残ってしまった八日目に見える世界は、目をつぶりたくなるほど悪いものではないかもしれない 事件の中にある母の愛と記憶 自分の境遇を恨む心の奥底にある希望 「その子はまだ朝ごはんを食べてないんです」 と、逮捕される直前に叫んだ女との日々 悔しいとか復讐したいとか手なずけて悔しがらせたいとか逮捕されたくないとか自分を守りたいとか… 私の知ってる感情はこの本にはなくて ただ、ただ、子どもとの日々を守りたい、1秒でも一緒にいたいという気持ち。 私は我が子に対して持てているだろうか。うん、持ててる自信ある。でも不倫相手の子だったら…持てない。 自分の腹から出てきた子だけが自分の子どもか 腹を痛めた女だけが母か ただ、その無償の愛を美談として書き綴るのではなく、あくまで被害者の…子どもの冷静な感情ベースで書いているのが逆に良かった
1投稿日: 2024.06.07
powered by ブクログ号泣。嗚咽が止まらなかったです。 戸籍もないのに学校はどうするのか。予防接種もしてあげられないけど大丈夫なのか。この年齢なら体調崩すのが当たり前だけど保険適用外でお金が持つのか。その他もろもろ、至極当然の疑問が次から次に溢れてきて、親の立場を経験してしたからこそ「こんな誘拐無茶だろ」と思ってしまうんですが、それでも、海を見せてあげたい、星を見せてあげたい、綺麗な景色を全部見せてあげたいという希和子の気持ちは、痛いほどわかるんですよね。どんなに辛いことがあっても、子供の笑顔があるだけで頑張れるという気持ちにも、何度も首肯してしまうんです。 誘拐なんてどんな事情があったとしても許せることではないんです。まして、自分の娘がなんて想像したら正気でいられるはずがありません。それでも、そこには確かに愛情があったんだと、嫌なほど気付かされて胸が締め付けられてしまう。もしやり直せたとしても、薫と会える道を選ぶという希和子の想いに、涙が溢れてしまう。そんな愛情を受けて育った小豆島に引き寄せられて、方言混じりに語りだす恵理菜の姿に涙が溢れてしまう。七日目で死ぬはずだった蝉が八日目に見た景色に、涙が溢れてしまう。ページを捲るたびに、涙が止まらないんです…。 初めて読んだのは社会人1年目でした。その時は「とにかく感動した」といった漠然とした感想しかなかったのでですが、5歳の娘がいる今だから本当の素晴らしさに気づけた気がします。読み返して本当に良かった…!
12投稿日: 2024.05.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初読み作家さん。 どこかでサスペンス小説だと噂を聞いて読んだが、全然サスペンスという感じではなかった。まあまあ面白く読めた。 序盤、淡々と進んでいく感じで読むのに時間がかかったが、中盤、語り手が誘拐犯から誘拐された子に変わった時に電撃の走るような感覚になった。なぜそう感じたか分からないが、子の視点から事件が語られる点がとても新鮮に思えて良かった。 一番印象的なのは、P251「私たちの子どもがどうして私たちの聞いたこともない言葉で話してなくちゃいけないのよ!」という母親のセリフ。誘拐された子が戻ってきて嬉しいはずなのに、子どもには誘拐先で誘拐犯に育てられた事実が染み込んでいて、どうしたらいいか分からないという気持ちがひしひしと伝わってきて痛かった。自分がもしこの母親と同じ立場なら同じように思っただろうし、もっと取り乱していたかもしれない。自分が産んだ子どもなのに、知らない言葉を話す悲しさ。 劇的な展開とかはない静かな物語に感じたけど、じわじわと染み渡ってくる怖さが良かった。育児の描写が細かいのも良かった。
4投稿日: 2024.05.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
家族とは、善悪とは、幸せとは、と色々と考えさせられる物語でした。分厚くてシリアスな話だけど、先が気になり一気に読んでしまいました。 物語が希和子視点で進むので、どうしても希和子に感情移入してしまいました。誘拐という許されない罪を犯していても、希和子が本当に薫を大切に思っていることが伝わってきました。 希和子が逮捕されて薫が本当の両親の元に戻った時も、あのまま小豆島で希和子と暮らせていたら……と思わずにはいられませんでした。でもそうしたら幸せになれたかと言ったらそうは言えなくて難しいです。 それから小豆島の描写がとても美しくて、行ってみたくなりました。
4投稿日: 2024.05.24
powered by ブクログサクサク読めてしまった 前半は苦しく息が詰まるほどの逃走劇。とても読むのが辛かった。ただ、作中に所々描かれる母と子としての癒される時間や幸せなひとときには、私も、きっと希和子と薫も救われたと思う。ストーリーが後半になるにつれて徐々に明らかになる事件の真相。そんな中での薫の複雑な心境は読んでいて私も苦しくなった。 今までにも血の繋がりが家族と言うだけで心の底からの家族になれなかった物語は読んできた。だからこそ心の底からの家族になれるということはとても奇跡のようなことなのだなと思った。
29投稿日: 2024.05.20
powered by ブクログ親子のあり方を考えさせられた作品でした。 前半は息が詰まるような逃亡生活。そんな中にも些細な親子の幸せな時間が描かれています。 後半、少しずつそれぞれの背景が明らかにされていくので、そういうことだったのかと思いながら読み進められました。 あのまま誘拐されたまま成長した方がみんな幸せだったんじゃないかと思ってしまいました。 誘拐はいけないことだけど、やはり希和子の方が親としては正しい振る舞いだったんじゃないかと複雑な思いです。 最後は偶然にも2人とも小豆島に向かっていて、幸せだった頃に引き寄せられていたのかなと思いました。 再びあの島で子育てできてたらいいなぁと思いました。
6投稿日: 2024.05.12
powered by ブクログ咀嚼しきれず二度読んだ。 人とは、人間とは。 生みの親がいれば、育ての親は違うという人もいる。逃亡劇と、その後の人生を二部構成のような形式で描く本作品は罪と罰、そして赦し、といった物語である。 登場人物たちに焦点を当てた構成が実に上手く、一緒に逃避行に出ているようだ。 ふと考えるのは、この物語にひとつでも「if」があったらどうなっていたのか、という事だ。想像は尽きない。面白い。
3投稿日: 2024.05.10
powered by ブクログ実際の事件をもとにした小説であり、頭の中に描写がリアルに描けた。ラストのとこはなんだか切ない気持ちになったけど、優しい気持ちになれるいい小説でした! 産みの親、育ての親 という感じ。
1投稿日: 2024.05.04
powered by ブクログ本のタイトルが読み終えて改めて 美しく表現されてるなぁと思いました。 事細かく描写され情景が浮かんで読みやすかったです^ ^ 映画も観てみたいと思いました!
1投稿日: 2024.05.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
むかーしに映画で観たけれど忘れてしまった 原作と映画、同じ内容だったかな?また映画も観たくなりました いけない事なんだろうけれど、あれだけ愛情を持って育ててもらえるなら、薫は希和子と共に生きていって欲しかった まぁ、そんなハッピーエンドは利己的過ぎるんだろうけど、読みながら逃げ切ってしまえー、と思ってました
7投稿日: 2024.04.19
powered by ブクログ読み終えましたが感情がカオスです。きわこは母性が強いのはわかりますが、人の子を拐うまで理性がなくなるのがわからないです。実母よりよほど母性が強く目線から愛が溢れていて薫の気持ちを丁寧に察しながら親をしていたと思います。 実母は被害者なのはわかるが世間的には犯罪者とされるきわこよりも母性においては子供くさく未熟。未熟さをも被害者というよろいで守ってるかのようでした。きわこですが母性の強さと不倫といういけない関係は同一人物で、堕胎させられたにしても 同じ人間でも多面性があるなと思いました。実母も若い子と不倫していたようだし薫の両親はダブル不倫してるんだから薫が学生で孕んでも不思議ではないなと思いました。薫は事件のせいでと言いながらも実の両親よりきわこ個人についてはあまり恨みを持っていない印象でそこが救いでした。 救いと言ってる時点できわこに肩入れしてしまう自分がずっといたし、薫も覚悟を決めて幸せになって欲しい。きわこは最後薫!なんて心で叫んでいたようだけど似た年齢の女性がきたら薫!ってその都度思うのかな?神々しいと書いてあったから4年限定の親の直感だったのかな。 すれ違ったのは残念だけど、いつかあって今までのこと分かち合える時がきたらいいのになと思いました。千草には2人目のお母さんとして薫を見守って欲しいです。 エンジェルホームでの描写は面白かったです。普段のぞけない世界なので、、、
5投稿日: 2024.04.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
はっきりとした情景は浮かばないけど、心の底にある記憶が誘拐犯とのものだったら。急に母だと思っていた人がいなくなったら。どんなに怖いだろうかと思った。4歳まで育ててくれた母は悪い人。それでも、それまでの子供の記憶は否定してはいけない。薫を抱きしめてあげたくなった。 希和子の気持ちにも共感するところがあり、、 親になってから読むと、また視点が変わりそう。希和子は生物学的に母になれなかったので、出産の経験がない人こそ共感できるのかもしれないけれど、、
2投稿日: 2024.04.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
角田光代さんの作品を読んだのは、2月10日に読了した『さがしもの』に次いで2作目です。 『さがしもの』がとても良かったので、角田さんの違う作品も読もうと本屋さんで探していたところ、「角田光代の代表作」と書いてある本書『八日目の蝉』の帯に目が留まり、あらすじを読んだところでレジに向かいました。 読了して直ぐに本文を書いていることもあり、少し冷静な評価ではないのかもしれませんが、私が今までに読んだ中でベスト10に入るほど好きな作品となりました。 とりわけ、1章の中盤(つかの間ではあったが、小豆島での幸せな生活)から(そうなることが必然とはいえ、希和子と薫の生活が終焉となる)章末までと、フェリーで小豆島へ向かおうとする(大人になって身籠っている)薫と、それが薫とは気づかないまでも、その姿に薫の面影を見る希和子のすれ違うエンディングには心が大きく揺さぶられ、涙腺も崩壊してしまいました。 希和子と薫が血を分けた実の母と娘ではないのは事実ですが、親子であったのは二人の間の「真実」でしたね。 最後に、本作品は映画化もされ、日本アカデミー賞を受賞している名作らしいので、是非観たいと思います。
31投稿日: 2024.04.03
powered by ブクログ積読してた本のひとつ。ようやく読み終えた。 男女目線で意見、評価がわかれるのかなと 皆さんの感想からそういう捉え方もできるのかと 思わせられる作品だったと思う。 ラストの流れはハッピーにはならなかったが良い意味でいい展開であった。
3投稿日: 2024.03.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
角田光代の作品は日常を書いていくものが多いイメージだけどこれはショッキングな始まりで物語がしっかり回っていく作品。 自分が子供を持っていない時にはただ何も考えず主人公の女に共感していたけど子供を産んでからは共感できず。 でも子供目線で見ているとやっぱり別れの時にはぐっとくるものがありました。 作者は血が繋がっていなくても共に過ごした時間が人間関係を構築させる事をメッセージにしたかったのかもしれないけど、この作品で私はそんな風には感じることはできなかった。 ただ角田光代の作品は好きなのでドラマチックな展開として読みやすい本でした。
3投稿日: 2024.03.23
powered by ブクログ誘拐犯である希和子に同情。 あのまま小豆島で細々と暮らしていけたら良かったのに…。 大きくなった薫が希和子のことを恨んでいるところは読んでいて辛かった。
2投稿日: 2024.03.12
powered by ブクログ育ての親とか、母性本能とか、いろいろと考えさせられる。ラストも切ない。読みやすくてぐいぐい引き込まれる。
2投稿日: 2024.03.11
powered by ブクログなぜ私は「私」を引き受けることになったのか。 そうか、きっと皆ずっとそうおもってきたんだ。 私にはこれをお腹にいる誰かに見せる義務がある。私が見たことあるのも、ないのも、綺麗なものは全部。もし、そういうもの全てから私が目をそらすとしても、でもすでにここにいる誰かには手に入れさせてあげなきゃいけない。だってここにいるこの子は私ではないんだから。 「その子は、朝ごはんを、まだ、食べていないの、」
6投稿日: 2024.02.27
powered by ブクログ誘拐と逃走劇。子どもは誰のものか、という問い。子どもが大人になることまで描いて、さらにその問いは根源性を帯びる。その時、暮らす「母」は切実で、真剣で嘘がない。しかし、その後の解釈でいとも簡単に「母」の座は変わりうる。不在にもなる。 あとはシスターフッド。入り込みすぎず、しかし、助け続ける。なんという関係性だ。 傑作。
1投稿日: 2024.02.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
その子はまだ朝ごはん食べてないの。 これで咽び泣いた。 勝手かもしれないけど、許されることじゃないかも知れないけど、ずっとずっと一緒にいてくれることを強く願ってしまった。
1投稿日: 2024.02.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
切なすぎる。最後めちゃくちゃ近くにいたのにお互い気づかずにすれ違ったままっていうのがまた切なすぎる。 えりなに愛した人との間にできて亡くなった薫を重ね合わせていたんだろうけど自分の子でもないのに自分の人生捨ててよくあそこまでできるよなって思った。前半の逃亡のシーンがずっと壮絶でメンタルにずーんってちょっと来る感じだったけど後半えりなの目線に変化してから心のどこかで今でも希和子とのかつての生活を愛しく思っているってゆうのを知ってまたまた切なくなった。 こんなに深い愛を持ってる希和子なら出逢う人に恵まれればこの先幸せになれる気がするんだけどなあ。。 それにしても小豆島の風景描写が良すぎて めちゃくちゃ行ってみたくなった。いつか行きたいなー!
3投稿日: 2024.02.19
powered by ブクログずっと昔に友達に勧められて積読してあった「八日目の蝉」。やっと読了できた。 自分を正当化して罪を大きくしていく一方で、優しくしてくれる人間への罪悪感とこの先の不安を抱えて生きていく希和子にすごく感動させられた。我が子のように薫を可愛がり、何よりも愛し、罪を背負ってでも育て、歳を重ねた後でも幸せになってくれと願う事ができるのって、ある意味本当の母親でも難しいことかもしれないなと思った。 みんな等しく女で、みんな等しく親で、みんな等しく人間である。「自分だけが」「なんで私が」と思ってることの大半は「自分だけじゃない」ことが多いし、みんな何かに対して「なんで私が」って思っているんだと改めて気付かされた。 空っぽになっても、生きていく目的を失っても人は何かに縋りながら頼りながら生きていくしかないんだなと実感した。 「八日目の蝉」とうタイトルの意味を理解できたし、みんなが体験できないことを体験するのもまた人生だなと思えた。
14投稿日: 2024.02.17
powered by ブクログ淡くて切なくて残酷でそれでも希望を持てる物語。 究極の母性を感じた。 一章は赤ちゃんを誘拐した希和子視点、二章は誘拐された薫視点で物語が進められる。 蝉の寿命は7日間と言われている。 本当はなかったはずのなかった一日。 その日に希和子と薫は何を感じ何を想うか。
0投稿日: 2024.02.10
powered by ブクログ映画を観たことがあったが、原作を読むのははじめてだった。 もし、二手に分かれる道の真ん中に立たされて、どちらにいくかと神さまに訊かれたら、私はきっと、幸も不幸も関係なく、罪と罰も関係なく、その先に薫がいる道を躊躇なく選ぶだろう。何度くりかえしてもそうするだろう。そんなことを思う。 この文章を何回も思い出しながら読んだ2章は泣けた。親もにんげん。
5投稿日: 2024.02.10
powered by ブクログ薫を誘拐していた3年間と、大学生になった薫のその後の2章からなる 長編なのに読む手が止まらない角田さんの構成?技法?が素晴らしいからなんだろうな 1章では年月日で物語が進み1日1日が彼女にとっての特別な日なのがよくわかる 逃亡劇にこちらもハラハラして本の中にのめりこんでしまった 2章では大人になった薫目線で過去の事件について語られる 事件に関する記事も加わりより鮮明に当時の心情がわかる 悔しくて悲しくて一気に読んでしまった 最後は読者に委ねる形となるが、きっと2人は分かち合う事ができるんじゃないかなと、期待したい
19投稿日: 2024.02.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
希和子と薫がずっと逃げ延びる物語だと思ってたから、突然終わる第一章にびっくりした。ずっとヒヤヒヤ感のあった第一章と打って変わって第二章は大人になった薫の話だけど、両親が最低すぎて希和子とずっといてほしかったと思ってしまう。最後は再会のハッピーエンドかなと思ってたけど会わなくて残念だなと思っていたら、実は同じ場所には居た展開が良かった。
0投稿日: 2024.02.06
powered by ブクログ・母の愛とは何かを考えさせられた。 ・母とは子を産むことにより誕生する概念なのか、育てることにより誕生する概念なのか、薫の両方母親だと言う結論は綺麗だった
2投稿日: 2024.02.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
表向きは誘拐犯で、でも純粋な気持ちで母でありたくて。 薫が本当の家に帰った時の反応が親子ともに気持ちが分かりすぎて辛かった。 こんなにごちゃまぜな感情になったのは初めてだった。
1投稿日: 2024.02.01
powered by ブクログ読んでいる間ずっと苦しかった。どの女性に感情移入しても苦しい。逃げ場のない部屋にいるような気分でした。 希和子の薫(恵理菜)への愛情は本物の母娘だったけれど、それは自己満足でしかない。 人を憎むことで救われ、望むことも選ぶこともできなかった恵理菜(薫)。小豆島を訪れ、見られなかったものが見られてたらと願った。
26投稿日: 2024.01.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった。どうなるのか気になって、あっという間に読んだ。 誘拐した赤ちゃんと逃げ続けるなんて普通に考えると有り得ない。でも、この2人は本当に母と子だったから、子供を大事に愛おしく思ってるのが伝わってきたから、ずっと一緒に居させてあげたいと思った。 この誘拐が、本来の家族を壊してしまったのも事実で、でも誘拐されなかったら幸せだったのかというとそれも違う、とも思う。幸せと楽は違うんだな、とも思った。
2投稿日: 2024.01.28
powered by ブクログポテトフライ•カーリーさんの評価が高く、「涙が止まらない」と投稿しているので、購入しましたが、その時は泣く気分ではなかったので、少し寝かせていました。 過去に映画版がテレビで流れていたのをなんとなく見たので、あらすじは知っていましたが、誘拐犯に感情移入してしっかり泣きました。私の涙腺ゆるゆるポイントは「その子は朝ごはんをまだ食べてないの。」です。 あと最後の方にもう一度、切なくなってね。 罪は刑法に触れるものと、嘘や裏切りにより相手の心に傷をつけるものがあると思います。罰が定められている前者をイメージしがちですが、この本を読んで、後者の方が罪が重いのではと、考えさせられる作品でした。 登場人物はこの後どうなったかなども気になるし、珍しくいくらでも書けそうですが、この辺にしておきます。 おすすめでーす。
25投稿日: 2024.01.24
powered by ブクログ映画のレビューで「子宮に響く」と言われていたので、気になって購入。妊娠中なので、希和子だけに感情移入出来ずに、終始複雑だった。
7投稿日: 2024.01.21
powered by ブクログ“八日目の蟬は、ほかの蟬には見られなかったものを見られるんだから。見たくないって思うかもしれないけど、でも、ぎゅっと目を閉じてなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもないと思うよ“
0投稿日: 2024.01.18
powered by ブクログ母親になりたかった女、娘を愛せなかった母親、不貞の子を孕んでしまった娘。様々な事情を抱えた女たちのそれぞれの愛が入り組んでいる。希和子の決死の逃亡劇、彼女を取り囲む周囲の事情、そして、事件の収束。偽りだらけの母娘のその後の人生の描かれ方がとても丁寧。
0投稿日: 2024.01.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
こういう話を読みたかった 映画のタイトルとしてはみたことあったけど、実際に読むのははじめて。 男が全て悪いのは前提として。 心が崩壊して、誘拐した子と各地を逃げたり、宗教団体じみたものに入ったり。 いろんな人のいろんな視点をひとつひとつ丁寧に書いてある。 映画としてもみてみたい。
0投稿日: 2024.01.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
野々宮希和子 ルツ 宮田京子 不倫相手の秋山丈博の娘・恵理菜を連れ去り薫と名付ける。仁川康枝の家に住み込む。名古屋に逃げて中村とみ子の家に住む。エンジェルホームに逃げ込む。 秋山恵理菜 リベカ 宮田薫 生後六ヶ月で希和子に連れ去られ、娘・薫として育てられる。四歳の時に希和子が逮捕され、家族のもとに戻る。大学に入り一人暮らしをする。 仁川康枝 希和子の学生時代の友人。希和子の不倫の相談に乗っていた。事情も知らずに一時的に希和子を住まわせる。 中村とみ子 名古屋に逃げてきた希和子を住まわせる。立ち退きの家に居座る。演歌を大音量で流している。 秋山丈博 恵理菜の父親。希和子と不倫し、妻との離婚を口にしていた。 秋山恵津子 恵理菜の母親。 古村文代 エンジェルホームの移動販売員。エンゼルに救われた。 沢田久美 エステル 夫の不倫が原因で離婚。裁判で子供の親権を奪われ、エンジェルホームにやってくる。 田辺エレミア&諸橋サライ エンジェルホームの指導係でマザーと呼ばれている。 沙絵 サウル 二十歳。大学の同級生の恋人が別の女の子と交際をはじめめて捨てられた。半年でホームを去った。 徳田 四十代主婦。ひとり娘がぐれて家庭内暴力をふるうようになった。 三枝 取引先の人と不倫をしている自分が許せない。 エンゼル 長谷川ナオミ エンジェルホームの代表。希和子の正体を知ったのは受け入れ後と主張したが、犯人隠匿罪で有罪判決を受けた。 安藤千草 マロン 十一歳。五歳からホームで暮らしている。リベカとよく遊んでくれる。薫達がホームを逃げて十八年後に薫に会いにきた。「女性限定の集団生活 元メンバーが語るその真実」を出版。 ダン マロンの母親。 沢田昌江 久美の母親。小豆島で素麺屋を営んでいる。希和子を自分の素麺屋で働かせる。 真奈美 小豆島のラブホテルの従業員。二十四歳。好きになった男と駆け落ちしてきたものの、その男が麻薬の所持で逮捕され、四国の刑務所に入っている。 フロさん 小豆島のラブホテルの従業員。五十代男性。風呂の掃除係。大阪で会社勤めをしていた。電車で痴漢をして現行犯でつかまり、家庭も職も失った。 カヨ ラブホテルの従業員。指導係で、部屋の掃除の仕方、部屋の整え方を教えてくれる。三十八歳だと言っているが、どう見ても五十代にしか見えない太ったおばさん。 キミ 飲み屋で働いている。 ハナちゃん キミの娘。十七歳。 岸田 恵理菜の不倫相手。恵理菜が大手塾の事務のアルバイトで勤務したそこの講師。 秋山真理菜 恵理菜のひとつ下の妹。高校卒業後、運送会社に就職した。 今でこそ恵理菜が唯一緊張せずに話し合える仲だが、戻ってきた当初は彼女を避けていた。 真部聡美 恵理菜が小学五年の時に東京から転校してきた。恵理菜の過去を知らないらしく、友だちになった。 長谷川ミツ エンジェルホームの前身である「天使の家」という教会を開いた。
0投稿日: 2024.01.15
powered by ブクログ不倫相手の子供を誘拐し宗教施設で暮らしたりと生活を転々とする 実の母親よりも母親らしく子供を愛する気持ちや心情が伝わった 子供目線の話も良かった。
0投稿日: 2024.01.06
powered by ブクログ主人公である女性が誘拐に至った背景を全て理解する事はできないし、どんな理由があっても、どれだけ自身が傷つけられたとしても誘拐なんて絶対にしてはいけない事だけれど、主人公の逃亡を応援せずにはいられませんでした。 主人公の愛する男性の血をひく子供であっても、自身の血はひかない子供。 それでも主人公の子供に対する愛情は本物で、どうか最後まで2人で幸せに暮らして欲しいと願ってしまいました。 どうか、本当の事を何も知らない子供が何も知らないまま、主人公を本当の母親と信じたままでいてほしかった。 最後に逃げ込む小豆島での母子の暮らしは、裕福ではないが周りもいい人ばかりで、海に囲まれ自然の中でのびのびと過ごし、母子共にとても幸せなものだったのではないかなと思いました。
2投稿日: 2024.01.06
powered by ブクログ悪意なき誘拐。それは狂気。 愛した男の子どもを一目見るだけで良かったつもりが、極限の母性が芽生えてしまい連れ去ってしまうというストーリーは、はじめは理解し難いと思いました。 でも希和子の必死さが伝わってきて、いつのまにか私も仮の母子と一緒に逃げるような気持ちで第1章を読み進めていました。 第2章では希和子の気持ちを引きずったままだったので、最初はけっこう苦しかったです。 頼りない男しか出てこないから、女性や母親というものが強く逞しく感じられました。
1投稿日: 2024.01.05
powered by ブクログ三浦綾子の“氷点”を読んだあとに、お勧めとして本作が出てきたので読了する。 どうにも受け入れ難い内容だった。 “不倫“、”誘拐”、社会的にNGなワードに始まり、それらを赦してほしい。 すべてを無かった事に…って訳で無いことは分かるが、主要な登場人物が自分に都合のよい様に話が進みそうなのがイマイチだった。 氷点は刑事罰にはなっていない。不倫もどき、勘違いのスレスレで進行するが、本作はアウトの状態からスタートする。 罰を受け入れ前がついた人間を、出所したから許せるかと言えば、おっちゃん的にはどうかと思う。 子供に罪はない。だらしないオトナのおかげで薫は悲痛な幼少期、学生時代を歩まねばならない。 自身も似た妊娠をとげるが、果たしてそれが美化された話になるかと言えば、NOだろう。 男連中も不甲斐なさ過ぎる。尻も拭かず逃げ回るとは言語道断。 施設での生活も生々しく、カルト臭さが馴染めない。演出とは言え、リアルにありそうでゾッとする。 何やら微妙な事しか書き込めない次第。 作者の作品を読むのは、これが初めてなので他の作品に期待したいです。
2投稿日: 2023.12.13
powered by ブクログ希和子も薫も傷付いたりしたけど、最後は希望のある終わり方で良かった。 タイトルの八日目の蝉という言葉の意味を想像すると、=死?のイメージだったけど、作中では、八日目の蝉は他の蝉と違った景色が見られると、ポジティブな捉え方をしていて、そこがなんだか素敵だなと思った。
1投稿日: 2023.11.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
記憶を閉ざして、憎むことで自分を救ってきた恵理菜。閉ざした扉を開くことはすごく怖い。閉ざし続けることで生きてきたなら尚更。でも、恵理菜はその扉を開けた。千草と一緒に自分が幼い頃過ごした場所を巡って。思い出した希和子の最後の言葉、「その子は朝ごはんをまだ食べていないの」恐る恐る開いた扉の先の景色はひどいものばかりじゃなかった…まさしく八日目の蟬なんだと思う。仲間が死んじゃった八日目の蟬は悲しくて独りが怖くなるけど、ほかの蟬より長く生きることで見られなかったものを見られる。恵理菜も、思い出さないままだったら、見られなかった景色があった。 秋山恵津子も野々宮希和子も、まったく等しく母親だった。千草にとったら、エンジェルホームの女性たちもみんな母親だった。そして、恵理菜のお腹の子の母親は、恵理菜、千草、もしかしたら真理菜も。「母親」=自分を産んだ人だけじゃない、そうじゃなくてもいい。 この作品は映画も何回も観ているけれど、いつも泣いてる。小説、映画ともに素晴らしい作品です。
0投稿日: 2023.11.23
powered by ブクログ登場人物はみんな何かしらから逃げていて、逃げる事は人の弱いところではあるけどそれを含めて愛おしいと思った。 逃げ続けて忙しない2人にひと時だったが穏やかで美しい生活ができたのは本当によかったと思う。過去と向き合って島に向かうフェリーに乗った薫(と呼ぶ)と、フェリーに乗れないままの希和子が最後出会わなかったけど同じ場所にいたのはもう一度会いたいと強く思った2人だったから自然と引き寄せ合えたのかな?
0投稿日: 2023.11.23
powered by ブクログ誘拐は許させることではないけれど希和子が薫に注いだ愛情が真っ直ぐで愛おしくどうか逃げ切ってほしいとさえ願ってしまった。妻帯者と知りながらも関係を続けた希和子の愚行を諌めたいが、産めない身体になってしまった背景には同情した。何もかも捨てる覚悟で本当の母親以上に薫を大事に育てていることが痛い程伝わりこのまま平穏に暮らしていければどんなに良かったか… 誘拐犯に育てられた子ども恵理菜は、実母は母親らしくない母親で家族とのわだかまりを解消できずに成長していた。全部誘拐したあの女が家族をめちゃくちゃにしたと憎んでいた。しかし、恵理菜自身身籠り、小豆島を眼の前にしてふいに連行され離れ離れにされたときの母親の叫びを、「この子はまだ朝ごはんを食べてないの!」と思い出す。認めたくない、思ってはいけない、と気づかないようにしてきたけれど心の奥底に潜む思い、あの人とずっとあそこで生きていたかった。恵理菜を誘拐したあの人は、薫にとっては間違いなく世界に一人の優しかった「お母さん」だったと、そしてまた母親らしくない母親も「お母さん」なのだと、この子と共に生きていくことを決意したところで気付いた場面にジーンとした。
39投稿日: 2023.11.17
powered by ブクログ登場する少ない男どもはいずれもだらしがなく、 仕様もなく、 問題を避けて直視できない。 一方愚かしくとも哀しくとも、 女どもはとにかく自らの弱さを自覚し、 逃げては助けられたり助けたりしながら、 今を生き抜こうとする。 子供を誘拐されたあの母親ですらだ。 映画が大好きなのだが、 この原作のまばゆい光が立ち込める、 神様が与えてくださったような最後の瞬間が、 とてもとても優しく、愛おしい。
2投稿日: 2023.11.16
powered by ブクログ偽りの母子の逃亡、読んでいて胸が苦しくなる。母性とは何か、男女とは何かについて、結局答えが出ないけど、女性の根源にある「性」について描かれている。 主要な男性登場人物がみな役立たずでクズで恐ろしい。
1投稿日: 2023.11.11
powered by ブクログ切なくて切なくて痛い話だった。 希和子のまっすぐな薫への愛に、どうか逃げ切ってほしいと思わずにはいられなかった。 ラストは号泣
2投稿日: 2023.11.05
powered by ブクログ読みながら何度も希和子や恵理菜の姿に自分を重ねた。とても切なかった。言葉でうまくまとめられないけれど、救われてほしいと思わずにいられない作品だった。希和子も恵理菜も、この作品を読んで心を痛める誰かも。もしかしたら、未来の自分も。
4投稿日: 2023.10.28
powered by ブクログ事情は異なるが、私も子供欲しいのに子供いない女なので、読んでて希和子にかなり感情移入してしまった。 なぜタイトルが八日目の蝉なのか、ずっと考えながら読んで、やっぱり私にとっての八日目も考えてしまった。
2投稿日: 2023.10.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
話の内容はなんとなくわかったつもりで読み始めたけど、思っていた内容と結構違った。 大きくなっていくうちに自分の境遇を知っていき、憎むべき誘拐犯との日々がキラキラとした綺麗な記憶として残っていることがますます薫を苦しめているのがかわいそう。
0投稿日: 2023.10.06
powered by ブクログページを繰っているといつのまにか時間を忘れてしまった。 著者はよく旅の物語を書くが、この物語も波乱に満ちた「旅」だなと納得した。 重たいテーマだがすっと理解できる軽快な文章と臨場感で二日ほどで読破してしまった。 とても素晴らしい作品。
0投稿日: 2023.09.30
powered by ブクログドキドキしながら読んだ 元恋人の赤ちゃんを誘拐し、あちこちを転々としながらの逃亡劇 誘拐されなかったらこの子は違う人生だったんだろうな、とか、一瞬の血の迷いで取り返しのつかないことをしてしまった主人公の心情描写が上手く書かれていた
0投稿日: 2023.09.29
powered by ブクログ悲しい物語だった。薫(と呼ぶ)が非自発的に背負った運命があまりにも重い。 誰のせいだとずっと考えながら読んでいた。希和子の誘拐が直接的な要因であるのはもちろんだが、秋山夫妻にも決してさわやかならぬ空気が漂っていたのも間違いない。特に夫の丈博は、希和子への浮気は男の欲求として百歩譲って仕方ないと思えても、ずるずると妻と希和子双方にいい顔を続け、表面化してどちら側も傷つけてそれでもなお未練がましく希和子との関係をあきらめない。潔さのかけらもないだらしない男だ。週刊誌が書き立てたように、秋山家にこそ非があり世間はむしろ希和子に同情的、というマスコミの目に自分も同調する。 それにしても角田先生は本当にすごい。薫が秋山家に連れ戻された直後の混乱の様子がまるで自身が経験したかのごとく絶妙に綴られており、読んでいていともあっさりと心情を汲み取ることができた。読書を物語に入り込ませる力に抜群に長けている。
0投稿日: 2023.09.10
powered by ブクログこれは何に対する涙なのでしょう。 わかりませんが涙が止まりません。 帯ならこんな感じかな、で始めてみました。 前々から読みたかった作品『八日目の蝉』 何かで話題になってたのかな?もはや覚えてない。 前半は、え?とか、は?とか、何こいつ?なのよ。 中盤から泣いてる自分に気づくのよ。 後半はもう流れ出てるのよ。 しかも怖いのが、何に涙出てるかわからんのよね。 どう考えても間違ってるし、とは言っても、こっちもこっちで間違ってるのか? いや、何が正しいのか?それでいいのか? 先入観なしで読んで欲しい。 涙腺弱ってるジジイ泣かせの作品。 タクシー運転手のとことか、あの演出やばい。 その後の、あの子の揺れ動く感情、 もう、何かわからず涙が出る。 とにかく作品はすごい。 とりあえず小豆島行くわ。 あー子供欲しい。 有意義な読書タイムをありがとうございました この読後感を噛み締めつつ 読書中、気に入ったフレーズとかメモしてるんだが、 この作品はメモったもの全部無視するくらい良かった。 良かった、というのも違う気がする。
4投稿日: 2023.09.06
powered by ブクログ深淵なのと、引き込まれて読むのがやめられなくなっちゃうのとが両立していて、ずっしりときた。子供を抱き締めたくなった。
2投稿日: 2023.09.01
powered by ブクログこれは心にずっしり来るなあ。。 小豆島に行った時に、本作品の映画をかなり推してたので、試しに手に取ってみたらイッキ読みでした。 子供を育てるという事、家族のありかた、愛のもつれ、考えるだけで苦しくなるような事ばっかりでしたが、千草も恵理菜も自分を見つめ直して、辛いことばかりじゃないと強く考えて、母親をやり遂げようとする姿は心打たれました。 希和子もいつか小豆島に行けるといいな…。
6投稿日: 2023.09.01
powered by ブクログ絶対に誘拐は駄目な事だけど、気持ちは痛いくらいに分かる。 どんなに努力しても手に入れられない現実、みんなが平等に与えられるものでもなく主人公が言われた言葉を考えると胸が痛みました。 でも、愛情をとても感じる物語でした。
34投稿日: 2023.08.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
映画化されている有名な作品 好きな作者さんでもあり気になっていた 赤ちゃんを連れ去って育てた女性の逃亡劇 と被害者のその後を描いていた 野々宮希和子の視点で物語が進んだからか 希和子に肩入れして読んでしまった とはいえ事件があって良かったわけでは 決してない 起きなければ全く違った世界線を想うと 複雑な気持ちになりながら読んだ
2投稿日: 2023.08.21
powered by ブクログ主人公のしたことの善し悪しは置いておいて、子どもを育てる喜び、愛情、その尊さ、そんなものを深く感じた。そして、そこまでしても欲しいもの、生きる意味について再考させられた。現世にある溢れんばかりの物や情報が薄っぺらくさえ感じた。文章はとても読みやすく引き込まれ、一気に読んでしまった。他の作品も読んでみたい。
1投稿日: 2023.08.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
10年以上前に読みました。当時は学生。学生でも誘拐した母親の気持ちが痛いほど伝わってきました。 逃げて、逃げて、逃げ延びたら私はあなたの母になれるだろうか。 この子は朝ごはんを食べていません。 これらの言葉を思い出すと今でも涙が出てきます。
4投稿日: 2023.08.11
powered by ブクログ逃走劇、あまりにも上手く行き過ぎてるなって思ってたけど解説を読んで 親子って知らず知らずのうちにこうやって助けられて支えられて行くものなんだなと思った。 成長した薫が犯罪者だけど母親である希和子のことを求めててくれて少し嬉しかった。
2投稿日: 2023.08.09
powered by ブクログ今度映画になるらしい。 お母さんからオススメされたので読んでみた。 母子とは何か… 「何で私なの?」という疑問を登場人物のほとんどが抱きながらも、最後にはなんだかあたたかい気持ちにさせてくれる一冊。
3投稿日: 2023.08.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
インスタのリールで、この話の映画のクライマックスのシーンが流れてきて読んでみようと思った作品。 クライマックスを最初に映像で見てしまった時点で、結末はわかってはいたけれど、読んだら印象がガラッと変わるお話。 裁判では、誘拐したほうが誘拐された方より悪いというのは当たり前。加害者が悪くて被害者がかわいそう。これさ世間でいう一般常識。 ただ、それって被害者気持ちを置いて行ってしまっている可能性もあるんだろうなと思った。 誘拐された本人は、身勝手なおとなに振り回されて、でも生きていかなければいけないから、誰かを悪者に思うしかなかった。その人がすべて悪いと押し付けてしまいうしかなかった。本当はそんなことしたくないのに。 理不尽な親の私利私欲や、交友関係のために子供が被害を被ることがないようになればいいと思う。 全体的に見て、1章で出てきた謎の組織や、描写を2章で説明しきれいに回収していく話の流れ。主人公が関わった人、一人一人の気持ち、主人公をどう思っていたかなどをこぼさず「証言」という形で書くさまは、すごくきれいだと思った。 そして、タイトル回収がここまできれいな作品は私は読んだことはない。 自分が体験してきた経験があるからこそ見れる景色があると、信じて居たい。
2投稿日: 2023.07.31
powered by ブクログ角田光代さんはこれが初読。 話はもちろん面白く、何よりこんなに文章が上手い作家さんには久しぶりに出会った。 個人的な話だが、小説に少し飽きていた。共感できないモノローグ、登場人物達の作りものめいた会話、“いかにも”な事件の舞台。没入したくてもできなくて、小説を読む歳じゃなくなったのかな、なんて思っていたのを思い切り裏切ってくれた作品。 言葉がうまい、文が上手い。いや、偉そうに批評できるような立場ではないけれど、思わずそう言ってしまうような没入感と疾走感溢れる作品だった。奇を衒わず、読後感もしっかり。 多くの作品を手掛けてらっしゃる作家さんなので、今後通読するのが楽しみ。
3投稿日: 2023.07.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
誘拐がダメ、とか、不倫がダメ、とか、そういうことはさておき 人の数だけ、正しさや、苦しみがあると思いますが、ぼくは、千草に、強く共鳴しました 「私、自分が持っていないものを数えて過ごすのはもういやなの」 千草は、この世界の中でも、きっと少数派の人間で、どうして私は、って生きているのを感じるのが痛くて ないもの数えて苦しむより、あるもの数えて前向こうよ! そんなこと、できるんなら、みんなやってる できない人が言うから、千草だから、心に響いたのだと思いました 「見たくないって思うかもしれないけど、でも、ぎゅっと目を閉じてなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもないと、私は思うよ」 生きにくい人にとって、世界がそうあってほしいと、心から思います 映画も拝見し、小池栄子さんの演技が素晴らしかったです
12投稿日: 2023.07.17
powered by ブクログ誘拐はもってのほか それを置いといた上で、娘への愛情と成長していく姿は心打たれる 無垢な子供が親を何の疑いもなく信じているし子供もちょっとした仕草ら言葉て成長を実感する喜びは親としてこの上なく嬉しいものだと実感する 人は育ってきた環境に大きく左右されるのだなとあらためて感じた 自分に置き換えて、娘にとって良い環境を与えられたのだろうか、きっと与えてあげられたと思う そう信じるしかないし立派に成長できていることがその証かな 皆と違う8日目を見ることとなり、娘の記憶がいつまでも消えることなくむしろ鮮やかに見えてくるのであれば自分も立ち直って娘の分まで一緒に生きていきたい
3投稿日: 2023.07.14
powered by ブクログ映画は観たけれど原作は未読だったこちら。 改めて「八日目の蝉」という題名が秀逸だなと思う、、、 前半は不倫相手の赤ん坊を誘拐した希和子、後半は誘拐された娘の恵理菜の目線で語られる。希和子のしたことは決して許されることではないが、どうか捕まらずもう少し逃げてと祈り、ふたりがずっと一緒にいられたら幸せだったのかと思ってしまう。 不実な男。奪った女、奪われた女。母性とは。親とは何か。 瀬戸内の凪いだ海が見たくなる。小説の凄みを感じた。
2投稿日: 2023.07.03
powered by ブクログ映画のトレーラーをみて、へビーな内容なのかなと思っていたけれど、意外と読みやすく最終的にほっこりとした。 テーマや展開が素晴らしかった!
4投稿日: 2023.06.20
powered by ブクログ映画を観たことがあり、原作小説が気になり読む。長い。1章は、十数年前の希和子と薫の逃亡劇を希和子目線で描く。2章では、大人になった薫(恵理菜)が、誘拐犯・希和子との逃亡生活、希和子逮捕後の秋山家での生活を振り返り思い出しながら、当時エンジェルホームで共に過ごした千草との交流が描かれる。 感想が書きにくい。状況説明や登場人物の心情が、細かく丁寧に説明されるので、一文一文は長文ではないのだが、文章量が多く、長い。とはいえ、メインテーマは「八日目の蝉」が幸せなのか不幸なのか、ということだろう。周りの仲間が死んでいく七日目を越えて迎えた八日目。生き残った自分は、仲間を失った悲しさで不幸なのか、仲間が見ることのできなかった美しい景色を見る事ができ幸せなのか。不幸だろうな、と思う。やっぱり孤独は寂しい気がする。いくら綺麗な景色を見ても、虚しさが勝るように思う。 感想を書いていて、自分の留年と重ね合わせられることに気づいた。大学を4年で卒業していった同期たち。一方で留年して1年間長く大学生活を送った自分。みんなと同時に卒業できなかったこと、社会に出るのが1年遅れたこと、周囲からの評価を考えると、やはり留年は不幸だ。けど後悔はしていない。同期たちが過ごすことのできなかった1年長い学生生活でモラトリアムを満喫し、学業に対する気持ちを改め、新たな人間関係を手に入れた。 留年が決まった直後はショックだった。大学生とはいえ甘くない世界なのだと思った。とはいえ、留年したショックは割とすぐに癒え、次に襲ってきたのは、2留は絶対に避けなければならないというプレッシャーだった。運も味方につけ、鬼門となっていた単元が一発試験から課題提出に変わり、無事2留は避けられたわけだが、当時の自分は割と人生のどん底にいたように今振り返ると思う。就活も苦手だったし、高校も大学も遊んで過ごしてきた自分はやりたい事なんて見つかっていないし。でも人生のどん底を経験したからこそ、もうこれより不幸になることはないと思えたし、考えを改める事ができた。大きく感情が動く経験をして初めて人は自分の行動を見直せるのだと身をもって実感した。 と、まあ話が逸れてしまったが、自分は八日目まで生きた蝉を経験してきたわけである。得られるものはあったし、後悔はしていないけど、八日目までわざわざ生きる必要はない、というのが現在の自分の結論である。
1投稿日: 2023.06.11
powered by ブクログ衝撃でした! 産まれてすぐに連れ去られた薫。 衝動的に女児を連れ去っても、どう考えても育てるのは難しい。後悔はなかったのか?本当に幸せだったのか?それでも、その後も4年間の逃亡生活を忘れられない希和子。小豆島での出来事に囚われて、でもその先へは進めない。辛いねぇしんどいねぇ、、、人生の歯車を狂わせたのは間違いなく責任も取れないくせに身勝手な男達。最後、2人が出会ってしまったら、フェリー乗り場で気づいてしまったらどうなるのか?胸が締め付けられた。恵理菜も同じにならぬよう、そして2人がどんなかたちでも幸せになって欲しいと心から思いました。映画見たい!小豆島いきたい!凄い!
31投稿日: 2023.06.09
powered by ブクログ小豆島へ旅行で訪れた際、現地の「二十四の瞳映画村」で小説を購入。映画村内施設に映画「八日目の蝉」展で映画制作過程やキャスト衣装、パネル展示など充実した展示がありました。 映画も実はしっかり観た事が無かったけれど、小説を読み始めた時、現地の情景がややあっさり描かれているように感じたけれど読み進めていくうちにそれは主人公が逃亡中だったためか、もう1人の主人公である誘拐した子どもが過去と向き合い幼い頃過ごした彼の地へ向かう際どんどんと色を成し鮮明に描かれていくように感じた。 池澤夏樹さんの解説も良かったです。
2投稿日: 2023.06.03
powered by ブクログずっと読みたいと思いつつ、手にとらずにいた本。図書館の放出本として入手。 この本のモチーフ(?)と推測される事件のことは記憶している。新聞やテレビで大きく報道されていたし、判決後もしばしば犯人の家族や被害者の様子がスクープされていた。被害者妻が放ったとされるセリフは、若く子どものいなかった私にもぐっさりときた。 その後、映画化されたのをテレビで見た。永作博美も小池栄子もよかった。写真館で母子2人の写真を撮るときの永作博美の泣き顔、薫の家の台所でごそごそ食べ物を探す小池栄子。すばらしくうまい、と実感した映画だった。 時を経てようやく小説を読んだ。 終わり方がいい。 ちんけな再開劇とか和解とかなくて、神の視点で。加害者ではあるけれど、希和子が幸せになれたらいいなと思った。 p341 不倫相手の子どもを産むことを決意した恵理菜に、昔エンジェルホームで共に過ごしたルポライター千草が言う。 *「ねえ恵理菜。あんたは母親になれるよ。ナントカさんて人と、いっときでも恋愛したんでしょ。自分が空かれてる、必要とされてるってわかったんでしょ。だったら母親になれる」 p342 千草は自分がエンジェルホームにいたときのこと、エンジェルホームの当事者たちを取材して本を書こうとしていたが、自費出版のその本には書けなかった事実があった。 *~~ 千草、わかってる。わかっているんだ、千草。あなたが、おもしろがって本を書こうとしたのではないことくらい。めずらしいものみたいに扱おうとしたのではないことくらい。だってあなたは、書けなかったじゃないか。ホームから出産費用を出してもらって子を産んだ人のことを書けなかった。その人を傷つけるのがこわくて書けなかった。あなたが書こうとしているのは、私の物語ではなくて、あなた自身の物語だってことくらい。 p343 *「前に、死ねなかった蝉の話をしたの、あんた覚えてる? 七日で死ぬよりも、八日目に生き残った蝉のほうがかなしいって、あんたは言ったよね。私もずっとそう思ってたけれど」千草は静かに言葉をつなぐ。「それは違うかもね。八日目の蝉は、ほかの蝉には見られなかったものを見られるんだから。見たくないって思うかもしれないけど、でも、ぎゅっと目をとじてなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもないと、私は思うよ」 ・自分が死ぬのはそれほど怖くないけれど、自分以外の知っている人がどんどん死んでしまうことは怖い。これは私もずっと思っていること。だけど千草は言う。「ほかの蝉には見られなかったものを見られる」と。それが何かはわからないけれど、そう思えば少し光が見える気がする。絵理菜のそれは、お母さんになること。 p347 幼いころ過ごした島へ行こうと恵理菜は千草に誘われる。とてもとても怖かったけれど、恵理菜はそれを言い出せない。 *こわいから帰りたいと千草には言えなかった。彼女を残して、一人だけ逃げ帰るわけにはいかなかった。私は窓に額をつけて、ひゅんひゅんと流れ去る景色を見つめた。そうしているとなんだか四歳にもどっていくような気がした。 ・意識の中で同じような光景に出会ったことがある。 過去に向かい合おうとしていた友人が向かう先の道中、新幹線からくれたメールの文面から、彼女が小さい小さい女の子になって必死に涙をこらえて立っている姿が立ちのぼった。なんてメールを返したか覚えていないけれど、彼女はそのときのことがとても印象的で、私を思い出す時の原点となる、と言ってくれたことがある。 p353 *私は世界一悪い女にさらわれたのだ。私が家を好きになれないのは、父と母が私に背を向けるのは、すべてあの女のせいだと思えば、少しだけ気持ちが楽になった。楽でいるために私はあの女を憎んだ。あの女の存在を私たち家族のなかにひっぱりこんだ。父と母をも憎んだ。憎むことで私は救われ、安らかになれた。 p354 「だけどね、千草、おじいちゃんの先生がね、子どもがうまれるときは緑がさぞやきれいだろうって言ったの。そのとき、なんだろう、私の目の前が、ぱあっと明るくなって、景色が見えたんだ。海と、空と、光と、木と、花と、きれいなものぜんぶ入った大きい景色が見えた。 ~それで私ね、思ったんだよ。きれいなものをたくさん。私がみたことのあるものも、ないものも、きれいなものはぜんぶ~~そういうものぜんぶから私が目をそらすとしても、でもすでにここにいるだれかには、手に入れさせてあげなきゃいけないって。~」 p358 警察に追われ逃げようとしてつかまったとき、希和子は言う。 *その子は朝ごはんをまだ食べていないの。 ~~ 自分がつかまるというときに、もう終わりだというときに、あの女は、私の朝ごはんのことなんか心配していたのだ。
9投稿日: 2023.06.01
powered by ブクログおもしろかったけど、感動という程ではなかった。 応援したくなるという感情も出てこなくて、それは希和子というキャラクターをそこまで好きになれていないからだろうと思う。 小説で登場人物を好きになれるかって、やっぱり重要なんだと思う。
1投稿日: 2023.05.27
powered by ブクログうーん。評価が難しい。 題名の意味。 薫の選んだ生き方はどこから出てくるか。 生みの親より育ての親か。
1投稿日: 2023.05.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
宗教の時はちょっとだるかったけど 最後がかなりよかった。 犯罪者でも愛があったのは犯罪者の方な気がする。 再読 2021/09/12 希和子が見せたかった景色を 恵里菜も見せたくなるところが 血が繋がってなくても親子だなーって。 誘拐はよくないけど恵里菜の父も母も 不倫しててクソだなって。 ほんとに親になるべき人じゃないんだよね。 普通に考えて新生児1人にして家を出ないし 鍵をかけないのもおかしい。 最後の最後に希和子が薫に会えてよかった。 希和子が薫だと分かってはいないけど 希和子の目に大人になった薫が 映ったことがわたしには嬉しかった。 それが嬉しく感じるのは恵里菜が 希和子を憎しみ恨むことでしか あの時は生きていけなかっただけで ほんとは希和子のことも 恨みたくはなかったと気づいたからだと思う。 次再読する時は第2章からにしようから。 宗教のところの第1章はやっぱりつまらん(笑)
1投稿日: 2023.05.19
powered by ブクログいやぁ〜〜良い小説だった......。こう情景と、生々しさと、思いもよらない方向から湧き上がって爆発する感情とが。 物語は不倫相手の子供を攫ってしまった女性と、その攫われた子供の視点で描かれるんですけど、結局娘は自分を攫った女と同じことをしてしまうし、だけどその人とは同じにならないと決めている。しっかり恨んでいるし馬鹿だなと思っているけど、「好きとか嫌いなんてない。母親は母親」でもある。 この作者さんは初めて読んだけど、ひりひりした感情を描きだす人だなぁ。それでいてどこまでも生々しく「女性」っぽいというか。「女」ってこういう狡さや弱さ、そして良さや愛情もあるよね、みたいに言われている気がする。うーんひりひりした。この小説だけなのかなー
3投稿日: 2023.05.02
