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復讐するは我にあり
復讐するは我にあり
佐木隆三/文藝春秋
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総合評価

27件)
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    日本中を横断しながら詐欺、強盗殺人を繰り返し5人を殺害した榎津巌の78日間に及ぶ逃走を記録したノンフィクションノベル。なぜ榎津がこれだけの極悪非道な人間になったのか、その背景に今一つ迫りきれてない部分は感じるが読み応えあり!

    1
    投稿日: 2025.06.22
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    「佐木隆三」のノンフィクション作品『復讐するは我にあり 改訂新版』を読みました。 ノンフィクション作品は久し振りですね。 -----story------------- ノンフィクション・ノベルの金字塔、再び 連続殺人事件の発生から犯人の死刑執行までを克明かつ重層的に描いた直木賞受賞作。 世紀を超えた執念の全面改訂版、待望の文庫化 列島を縦断しながら殺人や詐欺を重ね、高度成長に沸く日本を震撼させた稀代の知能犯「榎津巌」。 捜査陣を翻弄した78日間の逃避行は10歳の少女が正体を見破り終結、逮捕された「榎津」は死刑に??。 綿密な取材と斬新な切り口で直木賞を受賞したノンフィクション・ノベルの金字塔を三十数年ぶりに全面改訂した決定版。 解説・「秋山駿」 ----------------------- 以前から気になっていた作品、、、 たまたま先日、「佐木隆三」原作の映画化作品『すばらしき世界』を観る機会があり、読んでみようという気になりました… 女性や老人を含む5人の人間を殺した連続殺人犯「西口彰」を題材にした作品です。  ■1 畑  ■2 峠  ■3 車  ■4 血  ■5 猊  ■6 火  ■7 声  ■8 刃  ■9 汗  ■10 濘  ■11 繋  ■12 蠢  ■13 嗤  ■14 脚  ■15 海  ■16 幟  ■17 土  ■18 舌  ■19 影  ■20 爪  ■21 纜  ■22 目  ■23 街  ■24 雨  ■25 旅  ■26 檄  ■27 釘  ■28 風  ■29 鎖  ■30 官  ■31 朝  ■32 歌  ■33 檻  ■34 春  ■35 髭  ■36 瘤  ■37 告  ■38 島  ■39 夜  ■40 刑  ■あとがき  ■文庫版のためのあとがき  ■解説 秋山駿 昭和38年、高度成長に沸く日本国中が震撼した連続殺人事件… 言葉巧みに人を騙し、殺し、日本列島を縦断しながら犯罪を重ねる男に対し、警察は史上初の全国一斉捜査を開始した、、、 関係した女、目撃情報は多数あり、立ち回り先の遺留品や人をおちょくったハガキ…… 広島―静岡―東京―千葉―福島―北海道と証拠の山を残しつつ、空前の捜査網をかいくぐり続けられたわけは? 78日間に及ぶ逃亡、10歳の少女が正体を見破るという予想外の逮捕劇、そして死刑執行までを、綿密な取材と斬新な切り口で克明に描くノンフィクション・ノベルの金字塔。 巧妙な詐欺と凶暴な犯行… 知能犯であり凶暴犯、そして全国の捜査機関が犯人の発見に苦慮焦燥しているのを尻目に、全国を股にかけて逃げ回り、大学教授や弁護士と称して女と遊び、ギャンブル資金を稼ぎ、宇高連絡船では偽装自殺を図る等の大胆不敵な行動、、、 現実とは思えない犯行内容、逃避行に驚かされました… 本当にこんなことがあったなんて……。 その知能や判断力、行動力が別な方向で活かせたら、どんな活躍ができた人材だったのか… 残念でなりませんね。

    0
    投稿日: 2024.01.04
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    高度成長期の日本を震撼させた。連続殺人鬼、榎津巌。78日間の逃亡劇から、逮捕、裁判、死刑執行までの一人の殺人犯のノンフィクションノベル。 モデルは、西口彰事件。(昭和38、39年) こちらは改訂版で、当時30年ぶりに全面改訂され出版されたもの。 最初の殺人事件から、全国を転々とし、その間、大学教授や弁護士などと偽り、各地で詐欺を働きながら逃亡生活を切り抜ける。 かなりの取材をされているのでしょう。詐欺の手法から、被害に遭った人達の人柄から生活まで、丁寧に時間を追いながら書かれている。 あくまで、事件そのものを追う。ノンフィクションということに重点を置いたためか、犯人の心情や行動動機などは、よくわからない。 犯人は、キリスト教カトリック信者であった。タイトルも新訳聖書ローマ人への手紙から取られている。 長い間、このタイトルからハードボイルド系の何かだと思っていたことがある。神のみぞ罪に審判を下せる的な意味だと思うけど、犯罪は法律で裁いて良いのではと思う。文章は読みやすいし流れもよくわかる。でも、直木賞はノンフィクションでない方が良いなあとも思った。

    75
    投稿日: 2023.11.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    重い。  救いがない殺人鬼。 関わった全員を不幸にする…これが現実かと呆然とするしかなかった。 何度も言うが…救いがない…

    3
    投稿日: 2022.04.03
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    観たことないけど映画が有名だったので原作を読んでみた。が、気分が悪くなってくる。こういったジャンルが好きな人もいるんだな、と思うとそれも気持ちが悪い。

    0
    投稿日: 2021.10.10
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    映画を視聴したのちに購入。 映画版よりもこちらの方が深みがあるというか、映画版の「行間」の意味が分かったともいうか。とはいえ、映画版との展開と違うところも多いが。

    1
    投稿日: 2021.07.04
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    たまたまTVでドラマ版見て(柳葉敏郎)実話ベースということに驚き、その後 映画版見てからの読書。 復讐するは我にあり(新約聖書 ローマ人への手紙12.19) 。というフレーズにある「我」は神でなく自分自身のことだとこの犯人は思い込んでいた。という一説をどこかで目にしたような記憶があったけど、これは私の思い違いであろう。犯人はカトリック信者だったので、いくら信仰から離れた生活をしていたといっても、幼いころにどこかでこれは耳にしていると思うし、一連の犯行は復讐とは関係ないものであるから。  (余談ですが、「ローマ人への手紙」の「人」は「ひと」ではなく「びと」) 大人は誰も気が付かなかったのに(それどころかすっかり騙されている)小学生の女の子に気づかれた、なんて犯人は信じられなかったでしょう。初めてドラマで見たときは、この子も、、、、とサスペンスドラマの流れで最悪のパターンを想像してしまった。 別の書籍で犯人が死刑になるまでの様子について記述されたものを読んだことがあったが、これも佐木隆三だったかな

    1
    投稿日: 2020.07.01
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    5年ぐらい前に読んだので勘違いしてるかも。 あちこち流れながら、ひたすら人を殺しまくる。映画版は何も考えずに見れてエンタメ色が強いが、こちらはノンフィクションぽさが全開で陰惨で読ませる。だけどなぜ彼という根本的な疑問が残った。

    2
    投稿日: 2018.03.03
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    池上冬樹編・ミステリ201から。これ、名前は変えてあるけど、実際の事件を元にしたいわゆるノンフ作品なんですよね。時系列を追っているだけと言ってしまえばそれまでだけど、次に何が起こるか分からない不穏さとか、小説さながら。不謹慎ながら、普通の娯楽作品としても十分楽しませてもらいました。

    2
    投稿日: 2017.12.06
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    事実だけが積み重なられていく構成になっている。 殺害場面もなく、もちろん犯人・榎津が心情を吐露する場面もない。 犯行後の現場の描写はあるものの、第一発見者をはじめとする証言などが語られていく。 これはノンフィクションなのだろうか。 確かに登場人物の名前は違うし、一応小説として発表されてはいるけれど、限りなくノンフィクションに近いもの・・・と言っていいと思う。 映画化の企画が榎津の家族から抗議を受け断念するエピソードが描かれている。 「家族まで罰するのは赦してほしい」という嘆願書だったという。 結局、映画化は残された家族の人権を侵害するとの理由で断念された。 犯人の人権、被害者の人権、そして残された加害者家族・被害者家族の人権。 そんなことを考えながら読み終えた。 逮捕され、裁判が進む中で徐々に変わっていく榎津が興味深かった。 変われるのなら、どうしてもっと前に変わることが出来なかったのか。 現実に起きた事件に基づいているからこその怖さが伝わってきた。 この世で本当に怖いのは、人間が人であることを止めてしまったときなのかもしれない。 すんなりと入ってこない部分もあったけれど、最後まで一気に読んでしまった。 犯罪小説とでも呼んだほうがいいこの手の作品は神経が逆なでされるような気がする。 それをどこかで感じながら、それでも読まずにはいられない。 いつも不思議な感覚に陥ってしまう。 ※実際にあった「西口彰事件」を題材にしている

    2
    投稿日: 2017.03.01
  • 天才的詐欺師が強盗殺人犯に

    クリスチャンの家庭に生まれながらも神職には進まず、裏の世界を歩んでいく男の転落人生。 映画にもなったので興味を持って読みました。何のためらいもなく行く先々、出会う人を騙し、わずかな金で5人を殺す。 日本国中を逃亡し、逮捕されるまでの数ヶ月の記録。佐木隆三の代表的な一冊なので読んで損はない。 調べると分かるが、「復習するは我にあり」このタイトルは、宗教的な意味合いが強いものである。我とは神様のことである。

    0
    投稿日: 2017.02.25
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    新装版となり、地名が実名になって読みやすくなりました。 実在の事件の詳細は知りませんが、まるでノンフィクションを読んでいるかのようなリアリティーがあります。 ここまで、人間って悪人になれるのかという印象を受けました。

    2
    投稿日: 2016.12.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    昭和38年の連続強盗殺人事件を描いた直木賞受賞作。 福岡市で男性二人が惨殺された強盗殺人から、玉名市で少女に見破られるまで78日間の逃亡劇が、親類縁者・友人知人・同僚や目撃者と捜査関係者の証言・資料をつないで綿密に描き出された大作。全国津々浦々で多くの人を欺き続けた大胆な逃亡生活は驚愕に値する。犯行の性質上、また綿密な足跡調査のために事件関係者としての登場人物が多く、誰の話なのか、誰の主観なのか追いづらく、読みやすくはなかった。でも著者の主観や不要な感傷に邪魔されることもなく、過不足なく描かれた事件の全容と、証言・資料をもとにした各関係者の心境描写はバランスが小説として秀逸。

    1
    投稿日: 2015.11.24
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    フィクションとノンフィクションの境目が分かりにくかった。(明確な部分も少なくないけれど)やはり小説としての作品なのだろう。読んでいて最後の方は犯人に肩入れしてゆくのが不思議だったがこれは作者が意図してることなのだろうか。誰に、何に復讐するのわからないまま、己に対してなのかなと思うことにした。

    2
    投稿日: 2015.11.18
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    実際にあった事件を題材としたノンフィクション的作品。淡々と経過が書かれており、読みにくい部分もあった。

    1
    投稿日: 2015.11.04
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    綿密な記録調の文面に最初は「うへぇ…」となりますが徐々にクセになり、やがて著者の気迫に圧倒されます。何も知らず読んだだけにチャクラ全開になりました。そして私はこれ以上にかっこいいタイトルを持つ本を知りません。奇しくも先日著者の訃報が流れ、驚きました。。素晴らしい本でした。

    1
    投稿日: 2015.11.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ずーっと昔に観た映画も凄かったが、原作も期待に違わず圧倒されました。まったく無駄のない文体が、迫真性を際立たせています。一気に死に追いやる残忍さと、いともたやすく人を欺く知能犯ぶりが一人の人間のうちに同居する、化け物のような犯罪人榎津の恐ろしさが伝わってきました。実際に起こった事件をもとに作られたのですが、本当に「事実は小説より奇なり」ですね。

    1
    投稿日: 2015.09.12
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    [落とし前の清算]東京オリンピックを目前に控えた昭和38年(1963年)、九州で強盗殺人を犯した榎津巌は列島を縦断しながら、殺人と詐欺を繰り返し警察からの逃亡を図る。初の全国一斉捜査が行われ、その当時、史上最悪の殺人鬼と恐れられた榎津であったが、ある少女の通報を基に逮捕され、刑の言い渡しを待つ身となり......。第74回直木賞を受賞したノンフィクション作品です。著者は、本書の執筆を機に、自身の人生が大きく転回したと語る佐木隆三。 (実際に起きた事件ですので不謹慎な表現かもしれませんが)とにかく作品全体のグリップの効きがすごい。冒頭から最後まで、怒濤の如く作品世界に引きずり込まれること間違いなしです。榎津という犯罪者の描き方、それを取り巻く人々の困惑や苦悩、そしてさらにその周縁を囲う当時の社会の空気まで、見事に描ききった一冊だと思います。今村昌平監督がメガホンを取った同名の映画もぜひ観てみたい。 結果としてかもしれませんが、逮捕に至るまでは犯人の榎津にまったく語らせず、彼と何らかの関わりを持った人々の口を借りて、その人間性を浮かび上がらせていった筆の運び方は、後半の榎津の語りをより浮かび上がらせるために正解だったのかもしれません。それにしてもここまで重厚な社会ノンフィクションを久しぶりに読むことができて一人大満足です。 〜絶対に警察には捕まらない。悪しからず。〜 古さをぜんぜん感じさせない作品でした☆5つ

    1
    投稿日: 2015.07.06
  • 著者得意のノンフィクション

    昭和38年に起きた連続強盗殺人とその犯人の逃亡記。 福岡での最初の強盗殺人から全国を転々の逃げ延びる様とそれに巻き込まれた人々の様子をインタビュー調(取り調べ)なところも含めて坦々と物語が進む。 著者の他の本でも事件を追うドキュメンタリー調の書き方が特徴になっており、この本がオリジナルにあたるのだろう。 やはりこの内容が実話だということが一番恐ろしい。 少し脚色と改編はあるが、緒方拳主演で映画化もされている。

    2
    投稿日: 2015.01.09
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    創作部分もあるドキュメンタリー。この世の中に榎津のような人間は多く居るのだろうけど、それを実行に移す者が出てこないだけなのだろう。新約のローマの信徒への手紙にある一節「復習するは我にあり」を題名とした著者のセンスは、榎津が犯した犯罪や、それを詳細に綴った本作の内容にも増して凄いと感じた。

    2
    投稿日: 2014.07.03
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    実在の連続殺人事件を淡々と描く。500ページと長いが、読み出したらあっという間。文章自体に色気はないけど、こんなに読みこませるってのは凄いことだと思う。ほとんどフィクションなんじゃないかってくらいの、取材の綿密さ。どうやったらこんなに切り込めるのか。被害者や関係者の気持ちがよく分かるもんや、と終始驚いてました。 ただやっぱり歴史を感じるなぁ。女性の権利がまだ確立してなかったんだろな。

    1
    投稿日: 2013.12.13
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    第74回 昭和50年下直木賞受賞作。欲望の赴くままに強盗殺人と詐欺を重ねて日本中を逃走する犯人と彼を追う警察との追走劇。実際に発生した事件を題材にしており、犯人と被害者、彼らの家族や知人、警察・法曹関係者たちのそれぞれの立場での描写が生々しく迫ってくる。「週刊新潮」編集部シリーズのようなノンフィクションノベルが好きな人におすすめ。1979年に映画化された今村昌平監督の同名作品は犯人役の緒方拳や三国連太郎、倍賞美津子らの迫真演技と脚本の良さにて小説の雰囲気をそのまま楽しめる。こちらもおすすめ。

    1
    投稿日: 2013.12.11
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    今から五十年前、高度経済成長時代に起きた凶悪事件を題材にしたノンフィクション小説。殺人や詐欺を繰り返し、逃亡を続ける榎津巌。彼の数々の犯行を関係者の視点から描く。 現代の日本で、かような凶悪事件が起きても然程、驚かないが、昭和三十年代後期の日本ではさぞや人びとは恐怖に震えたことだろう。当時の世相や人びとの暮らしぶりが窺える。

    1
    投稿日: 2013.09.17
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    緒形拳や柳葉敏郎などにより何度も映画化、ドラマ化された大量殺人実話。 鬼気迫る演技ばかりに気を取られるが、実話は更に狂気じみている。戦後史に残る事件として驚きに満ちているの。

    1
    投稿日: 2012.08.29
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    ノンフィクション小説の金字塔と言われていますが、私にはなぜか文章が素直に入ってこず、時間がかかりました。

    0
    投稿日: 2012.06.08
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    「文庫本あきとがき」で著者自身も書いているが、手法としてはカポーティ の名作『冷血』と一緒か。 実際にあった事件のノンフィクション・ノベルだが、犯人の名前は勿論 変えている。 九州での強盗殺人事件を皮切りに、静岡県で旅館経営者の親子を殺害。 殺害後、旅館に質屋を読んで物品を処分する。 その後、弁護士を装い、千葉県、北海道、栃木県、東京で詐欺を働き、 東京では老齢の弁護士を殺害し、洋服ダンスに死体を隠したアパート で数日過ごす。なんだ?この神経は。 そして、舞い戻った九州で再度弁護士を装い教誨師に接近するも、 11歳の娘に正体を見破られあっけなく逮捕される。 昭和38年から昭和39年の初めにかけての、78日間の逃亡はこれにて 幕を閉じる。 取り調べの模様から裁判、そして死刑執行までを描いているが、描写は あくまでも淡々としている。殺人は確かに起きているのだが、その凄惨な 場面は一切なし。まるで新聞記事を読んでいるようだ。 日本縦断で犯行を繰り返した犯人の動機は分からないが、カトリック一家 に生まれ育った犯人が最後には死刑判決を受け入れ、信仰に帰依する。 緒方拳主演の映画では犯人像ばかりに焦点が当てられていたが、原作は 逮捕から刑の執行までの心理の推移が読みどころか。 尚、モデルとなった西口彰事件の犯人は「史上最高の黒い金メダル チャンピオン」「悪魔の申し子」と呼ばれ、1966年に死刑確定、4年後に 刑場の露と消えた。 呼んでいる間、緒方拳の顔がちらついて仕方なかった。同名映画もそうだが、 「鬼畜」も観たくなったなぁ。

    1
    投稿日: 2012.03.16
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    今村昌平による映画は緒形拳の迫力の演技が印象に残る衝撃的な名作だった。その原作ということで今回初めて読んだが、これも衝撃を受けた。書いてあることではなく、書いてないことに。今村映画で中核をなすエピソードがほとんど書かれていないのだ。 ひとつは主人公榎津と家族の関係。特に父と妻の関係が事件の背景として大きく影を落としているが、原作にはその関係を示唆するような記述すらない。 ふたつめは「あさの」の母娘殺人があっさりとした記述しかないこと。今村映画では、母娘は指名手配犯人であることをわかった上で、自分たちも殺される予感を抱きながらも榎津と関係を続ける。榎津も自分のことがばれていることを知っており、それでも拒絶しきれない彼女たちを本当に殺してしまうのかという緊迫感。そしてついに二人とも殺してしまうときの衝撃。原作ではここもだましきった上での殺人、という扱いである。 つまり、これらのエピソードは今村映画の「創作」だったのだ。恐るべし。 だからといって、この原作が面白くないというのでは決してない。事件に関連した人々の、物語の本筋にはほぼ関係ない逸話を丹念に描くことによって時代を映していくかと思えば、榎津が神出鬼没に大胆不敵な詐欺を繰り返すあたりのスピード感は爽快ですらある。 久々に高木彬光の「白昼の死角」を読みたくなったが、こちらは残念ながらガラパゴスにはない。

    1
    投稿日: 2011.07.09